説明

入退室管理システム

【課題】セキュリティ室などの特定エリアで1名になった事象を検索し、誰がどこで1名になったかを容易に検索可能な入退室管理システムを提供する。
【解決手段】特定エリアへの入退室を管理する入退室管理システム1であって、入退室情報から求められる特定エリア内の在室者数が、1名になったときには、少なくともその在室者の個人IDおよび1名在室開始の発生日時の情報を有する「1名在室開始履歴」を記録し、その後に1名でなくなったときには、少なくとも前記在室者の個人IDおよび1名在室終了の発生日時の情報を有する「1名在室終了履歴」を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティを要する部屋等に一名で在室すると内部犯罪が生じやすくなるため、これを回避するために、従来の入退室管理システムには、在室人数を監視して2名になると退室時に2名照合を促して在室者数が1名にならないようにする機能を備えたものがある。一方、特許文献1には、退室者以外に所定人数以上の人が存在しないと判定した際に、退室者の退室を不許可にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−175905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の技術によると、後に誰がどの部屋にどのくらいの時間在室していたかを抽出することが困難となる。
【0005】
本発明は、セキュリティ室などの特定エリアで1名になった事象を検索し、誰がどこで1名になったかを容易に検索可能な入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、特定エリアへの入退室を管理する入退室管理システムであって、入退室情報から求められる前記特定エリア内の在室者数が、1名になったときには、少なくともその在室者の個人IDおよび1名在室開始の発生日時の情報を有する「1名在室開始履歴」を記録し、その後に1名でなくなったときには、少なくとも前記在室者の個人IDおよび1名在室終了の発生日時の情報を有する「1名在室終了履歴」を記録する1名在室履歴記録手段を備えることを特徴とする。
【0007】
当該入退室管理システムによれば、「1名在室開始履歴」および「1名在室終了履歴」の両データを履歴項目として記録することにより、1名在室履歴の検索を容易に行える。これにより、定期的な監査を行う場合、1名で在室した実績のある者に対して注意をすることが可能となる。また、何らかの内部犯罪が発生した場合に1名で在室した履歴を出力し、犯人追跡に役立てることができる。
【0008】
また、本発明は、前記特定エリア内の在室者数が1名になったときの入退室情報と、その後に1名でなくなったときの入退室情報とから、1名在室時間を算出する1名在室時間算出手段を備えることを特徴とする。
【0009】
当該入退室管理システムによれば、入退室情報を利用して1名在室時間を算出することにより、簡単な演算プログラムで1名在室時間を算出できる。
【0010】
また、本発明は、前記1名在室時間算出手段により算出された1名在室時間を前記「1名在室終了履歴」の一部として記録することを特徴とする。
【0011】
当該入退室管理システムによれば、容易に1名在室時間を集計でき、管理者にとっても1名在室時間を把握しやすくなる。
【0012】
また、本発明は、前記特定エリアへの入退室用の少なくとも1つのゲートと、該ゲートに対応して設けられるID入力端末と、前記ゲートおよびID入力端末に接続し、ID入力端末からの入力ID情報と予め登録された登録ID情報とを照合して両者が一致したときゲートを解錠する入退室制御装置と、該入退室制御装置に接続し、入室者の個人情報および入退室イベント情報の履歴を格納管理する管理サーバと、を備えた入退室管理システムであって、前記1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を前記入退室制御装置により行うことを特徴とする。
【0013】
仮に1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を管理サーバで行おうとした場合、管理サーバに送信される膨大な入退室イベント履歴から1名在室時間を算出することになるので処理時間をかなり要するおそれがある。また、管理サーバがダウンした場合には1名在室時間を算出できなくなる。これに対し、本発明の入退室管理システムでは、1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を、ゲートの解錠を行う入退室制御装置により行うために情報送信のタイムラグの問題を低減でき算出に要する処理時間を速めることができる。入退室制御装置で算出処理を行うため、各種設定情報や履歴情報を記憶する管理サーバの負担も軽減される。また、入退室制御装置で算出する構成とすれば、万一管理サーバがダウンしても1名在室時間を算出できる。
【0014】
また、本発明は、前記ゲートが複数設けられている場合において、所定のゲートおよびそのID入力端末に接続するように前記入退室制御装置を複数台設け、前記1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を前記複数の入退室制御装置の間で共有可能に行うことを特徴とする。
【0015】
仮に1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を管理サーバで行おうとした場合、大規模なネットワークの場合には、退室情報が入室情報よりも早く管理サーバに届いて1名在室時間の算出をスムースに行えないおそれがある。これに対して、本発明の入退室管理システムでは、1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を、それぞれゲートの解錠を行う入退室制御装置の間で共有して行うため、ネットワークにおける情報送信のタイムラグの問題を低減でき、1名在室時間の算出をスムースに行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の入退室管理システムによれば、1名在室履歴の検索を容易に行える。これにより、定期的な監査を行う場合、1名で在室した実績のある者に対して注意をすることが可能となる。また、何らかの内部犯罪が発生した場合に1名で在室した履歴を出力し、犯人追跡に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る入退室管理システムの構成例を示す図である。
【図2】特定エリアとゲートのイメージ平面図である。
【図3】在室情報テーブルの構成例を示す図である。
【図4】イベント履歴ファイルの構成例を示す図である。
【図5】在室状況を経時的に示す説明図である。
【図6】1名在室時間集計の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る入退室管理システム1の主構成は、図1に示すように、管理サーバ2と、入退室制御装置3と、電気錠式の扉等からなるゲート4と、暗証番号の入力装置や暗証カードのカードリーダなど、入室者の認証IDを入力するID入力端末5と、からなる。図2に示すように、特定のエリアに対して入退室用のゲート4が複数ある場合(ゲート4A〜4Dにて示す)、入退室制御装置3は適宜に分割して設けられ、図1ではゲート4A、4Bに接続する入退室制御装置3Aと、ゲート4C、4Dに接続する入退室制御装置3Bとから構成した場合を示している。ID入力端末5は各ゲート4A〜4D周りにそれぞれ設けられる。
【0019】
管理サーバ2は、入退室制御装置3の設定、前記ID入力端末5等の設定、検索機能を有した入室者の個人情報の格納管理、検索機能を有した入退室イベント情報の履歴の格納管理等を行う。管理サーバ2にはパソコン等の処理端末(不図示)が接続され、その処理端末のモニタには、入室者の個人情報や入退室管理システム1の各種設定状態が表示され、入退室イベント情報の履歴もリアルタイムで表示される。
【0020】
入退室制御装置3は、CPU、メモリ等から構成される。入退室制御装置3は、LANを介して管理サーバ2に接続するとともに、制御専用回線を介してID入力端末5およびゲート4の電気錠に接続する。入退室制御装置3は、ID入力端末5で入力された入室者の入力ID情報と、管理サーバ2に予め格納されている入室者の登録ID情報とを照合して両者が一致したときゲート4を解錠するID照合処理部6を有する。本実施形態の場合、複数の入退室制御装置3A、3Bは管理サーバ2を介することなく互いにデータ送信可能にLAN接続されている。
【0021】
本発明の入退室管理システム1は、入退室情報から求められる特定エリア内の在室者数が、1名になったときには、少なくともその在室者の個人IDおよび1名在室開始の発生日時の情報を有する「1名在室開始履歴」を記録し、その後に1名でなくなったときには、少なくとも前記在室者の個人IDおよび1名在室終了の発生日時の情報を有する「1名在室終了履歴」を記録する1名在室履歴記録手段を備えることを主な特徴とする。ここにいう個人IDとは、前記した管理サーバ2に予め格納されている入室者の登録ID情報と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0022】
入退室管理システム1において、入退室情報から求められる特定エリア内の在室者数が1名になったと認識する際に用いる入退室情報は次の2つである。
(1)「0名→1名」となったときの情報、すなわち無人の特定エリアに1人の入室があったときのその入室情報D1
(2)「2名→1名」となったときの情報、すなわち2名が在室している状態から1人の退室があったときのその退室情報D2
【0023】
入退室情報から求められる特定エリア内の在室者数が1名でなくなったと認識する際に用いる入退室情報は次の2つである。
(3)「1名→2名」となったときの情報、すなわち1名が在室している状態でさらに1人の入室があったときのその入室情報D3
(4)「1名→0名」となったときの情報、すなわち1名が在室している状態でその人物が退室したときの退室情報D4
【0024】
前記入室情報D1、退室情報D2、入室情報D3および退室情報D4は、例えば初期リセット時からの入退室回数の積算により容易に特定されるものである。
【0025】
前記1名在室履歴記録手段は在室情報処理部7として入退室制御装置3に備えられる。ここで、仮に入退室情報を管理サーバ2に送信して管理サーバ2により1名在室時間を算出したとすると、1名在室時間をスムースに算出できない場合がある。例えば、図1、図2に示すシステム構成で、特定のエリアに対してゲート4Aから入室しゲート4Cから退室した場合、入退室制御装置3Aがゲート4Aからの入室情報を持ち、入退室制御装置3Bがゲート4Cからの退室情報を持ち、管理サーバにそれら入室情報および退室情報が送信されたとき、大規模なネットワークの場合には退室情報が入室情報よりも早く管理サーバに届くことがあり、この場合には1名在室時間を算出できない事態が生じ得る。
【0026】
本実施形態では、複数の入退室制御装置3A、3B間で入退室イベント情報を共有し、入退室制御装置3A、3Bのいずれかで1名在室時間を算出する構成であり、これによりネットワークにおける情報送信のタイムラグの問題を低減している。例えば、ゲート4Aにて入室がありゲート4Cにて退室があった場合、ゲート4Aに接続した入退室制御装置3Aは、ゲート4Aの入室情報を、管理サーバ2にではなく、ゲート4Cに接続した入退室制御装置3Bに送信する。入退室制御装置3Bは、送信されてきた入室情報と自身が持つゲート4Cの退室情報とから1名在室時間を算出し、この算出結果を管理サーバ2に送信する。
【0027】
以下に具体的な入退室イベント情報の持ち方について説明する。
入退室制御装置3は、入退室イベント情報として、図3および図4に示すように、在室情報テーブル8の作成およびイベント履歴ファイル9の記録を行う。在室情報テーブル8は複数の入退室制御装置3A、3Bが共有するデータである。イベント履歴ファイル9は入退室制御装置3A、3Bのそれぞれにおいて記録されるデータである。在室情報テーブル8およびイベント履歴ファイル9の各データは時系列的に作成される。
【0028】
在室情報テーブル8には、個人ID毎に在室情報としてのデータが作成される。具体的には、在室情報テーブル8のデータは、個人IDと、入室した入室時刻(年月日を含むものとする)と、1名在室が開始された場合の1名在室開始時刻(年月日を含むものとする)と、入室エリアの番号とからなり、これらにはレコードNo.が付与される。ある個人IDの人物が退室したらその個人IDの人物のデータはクリアされ、再度入室すれば、同様のデータが作成される。
【0029】
イベント履歴ファイル9は、入退室イベント情報が発生した発生日付時刻と、個人IDと、在室エリア(前記入室エリアに相当)の番号と、在室時間と、入退出のイベント内容とからなる。イベント内容には、「入室」、「退室」、「1名在室開始」、「1名在室終了」のいずれかが書き込まれる。イベント内容が「1名在室終了」の場合には、そのデータに対応する在室時間の項目に、1名だけで在室していた時間を示す1名在室時間が書き込まれる。また、イベント内容が「退室」の場合には、室内人数に拘わらずその退室した人物が在室していたトータルの在室時間が書き込まれる。
【0030】
図3〜図5を参照して、無人のエリア(図3の入室エリア、図4の在室エリア)001に対して、個人ID1234の人物が10時に入室して11時30分に退室し、個人ID4567の人物が11時に入室して12時に退室した場合の具体的なデータ処理の一例について説明する。
【0031】
(1)「個人ID1234の人物が10時にエリア001に入室したとき」
エリア001の在室人数が0名から1名となり、入退室制御装置3は、前記入室情報D1があったと認識し、イベント履歴ファイル9に「入室」イベント情報E1と「1名在室開始」イベント情報E2とを同時に書き込む。この「1名在室開始」イベント情報E2が、個人ID1234の人物に関する「1名在室開始履歴」であり、発生日付時刻の項目には1名在室開始の発生時刻として例えば2009年11月1日10時00分(以降、年月日については省略)と書き込まれる。
また、入退室制御装置3は、在室情報テーブル8において、前記入室情報D1として、レコードNo.001に、個人IDの番号「1234」と、入室時刻と、1名在室開始時刻と、入室エリアNo.とを書き込む。
【0032】
(2)「個人ID4567の人物が11時にエリア001に入室したとき」
個人ID4567の人物の入室によりエリア001の在室人数が1名から2名となり、入退室制御装置3は、前記入室情報D3があったと認識し、イベント履歴ファイル9に「入室」イベント情報E3と「1名在室終了」イベント情報E4とを同時に書き込む。この「1名在室終了」イベント情報E4が個人ID1234の人物に関する「1名在室終了履歴」であり、発生日付時刻の項目には1名在室終了の発生時刻として11時00分と書き込まれる。
そして、入退室制御装置3は、前記入室情報D1に相当する在室情報テーブル8のレコードNo.001に書き込まれた個人ID1234の1名在室開始時刻と、前記入室情報D3に相当する個人ID4567の人物の入室時刻とから、個人ID1234の1名在室時間を計算する。前記「1名在室終了」イベント情報E4の在室時間の項目には、この計算で求めた個人ID1234の1名在室時間である10時から11時までの1時間として「1H」が書き込まれる。
また、在室情報テーブル8のレコードNo.002に、個人IDの番号「4567」と、入室時刻と、入室エリアNo.とが書き込まれる。このときは未だレコードNo.002において1名在室開始時刻は書き込まれない。
【0033】
(3)「個人ID1234の人物が11時30分にエリア001から退室したとき」
個人ID1234の人物の退室によりエリア001の在室人数が2名から1名となり、入退室制御装置3は、前記退室情報D2があったと認識し、イベント履歴ファイル9に「退室」イベント情報E5と「1名在室開始」イベント情報E6とを同時に書き込む。この「1名在室開始」イベント情報E6が、個人ID4567の人物に関する「1名在室開始履歴」であり、発生日付時刻の項目には1名在室開始の発生時刻として11時30分と書き込まれる。
また、入退室制御装置3は、前記退室情報D2に相当する個人ID1234の人物の退室時刻と、在室情報テーブル8のレコードNo.001に書き込まれた個人ID1234の人物の入室時刻とから、個人ID1234の人物のトータルの在室時間を計算する。前記「退室」イベント情報E5の在室時間の項目には、個人ID1234の人物のトータルの在室時間である10時から11時30分までの1時間30分として「1.5H」が書き込まれる。
個人ID1234の人物が退室したので、在室情報テーブル8のレコードNo.001のデータはクリアされる。
個人ID1234の人物の退室により在室人数が2名から1名になると、空欄であった在室情報テーブル8のレコードNo.002の1名在室開始時刻の項目に、前記退室情報D2として個人ID1234の人物の退室時刻である11時30分が書き込まれる。
【0034】
(4)「個人ID4567の人物が12時にエリア001から退室したとき」
個人ID4567の人物の退室によりエリア001の在室人数が1名から0名となり、入退室制御装置3は、前記退室情報D4があったと認識し、イベント履歴ファイル9に「退室」イベント情報E7と「1名在室終了」イベント情報E8とを同時に書き込む。この「1名在室終了」イベント情報E8が個人ID4567の人物に関する「1名在室終了履歴」であり、発生日付時刻の項目には1名在室終了の発生時刻として12時00分と書き込まれる。
また、入退室制御装置3は、在室情報テーブル8のレコードNo.002に書き込まれた個人ID4567の入室時刻と、前記退室情報D4に相当する個人ID4567の人物の退室時刻とから、個人ID4567の人物のトータルの在室時間を計算する。「退室」イベント情報E7の在室時間の項目には、個人ID4567の人物のトータルの在室時間である11時から12時までの1時間として「1H」が書き込まれる。
さらに、入退室制御装置3は、前記退室情報D2に相当する在室情報テーブル8のレコードNo.002に書き込まれた個人ID4567の1名在室開始時刻と、前記退室情報D4に相当する個人ID4567の人物の退室時刻とから、個人ID4567の1名在室時間を計算する。「1名在室終了」イベント情報E8の在室時間の項目には、この計算で求めた個人ID4567の1名在室時間である11時30分から12時までの0.5時間として「0.5H」が書き込まれる。
そして、個人ID4567の人物が退室したことにより、在室情報テーブル8のレコードNo.002のデータはクリアされる。
【0035】
(5)入退室制御装置3で作成されたイベント履歴ファイル9の全情報は、管理サーバ2に送信され、格納される。
管理サーバ2では、イベント履歴検索により、検索期間、個人ID、エリアNo.を指定して検索条件を絞り込むことにより、1名在室時間を集計可能であり、接続した処理端末のモニタでは、図6に示すように、リスト形式での印刷イメージのプレビュー表示が可能である。
【0036】
以上のように本発明の入退室管理システム1は、入退室情報から求められる前記特定エリア内の在室者数が、1名になったときには、少なくともその在室者の個人ID(図4における個人ID)および1名在室開始の発生日時(図4における発生日付時刻)の情報を有する「1名在室開始履歴」(図4の「1名在室開始」イベント情報E2、E6)を記録し、その後に1名でなくなったときには、少なくとも前記在室者の個人ID(図4における個人ID)および1名在室終了の発生日時(図4における発生日付時刻)の情報を有する「1名在室終了履歴」(図4の「1名在室終了」イベント情報E4、E8)を記録する手段を有しているので、「1名在室開始履歴」および「1名在室終了履歴」の両データから個人毎の1名在室時間を容易に把握できる。
【0037】
また、特定エリア内の在室者数が1名になったときの入退室情報(入室情報D1、退室情報D2)と、その後に1名でなくなったときの入退室情報(入室情報D3、退室情報D4)とから、1名在室時間を算出することにより、簡単な演算プログラムで1名在室時間を算出できる。
【0038】
さらに、算出した1名在室時間を、図4の「1名在室終了」イベント情報E4、E8のように、「1名在室終了履歴」の一部として記録すれば、容易に1名在室時間を集計でき、管理者にとっても1名在室時間を把握しやすくなる。
【0039】
また、少なくとも1つのゲート4と、ゲート4に対応して設けられるID入力端末5と、入退室制御装置3と、入退室制御装置3に接続し、入室者の個人情報および入退室イベント情報の履歴を格納管理する管理サーバ2と、を備え、1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を管理サーバ2ではなく入退室制御装置3で行うことにより、入退室情報の送信のタイムラグの問題がなくなり算出に要する処理時間を速めることができる。入退室制御装置3で算出処理を行うため、各種設定情報や履歴情報を記憶する管理サーバの負担も軽減されることになる。また、入退室制御装置3で算出する構成とすれば、万一管理サーバがダウンしても1名在室時間を算出できる。
【0040】
また、ゲート4が本実施形態のゲート4A〜4Dのように複数設けられた場合で、入退室制御装置3を入退室制御装置3A、3Bの複数台から構成した場合、仮に1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を管理サーバ2で行おうとすると、大規模なネットワークの場合には、退室情報が入室情報よりも早く管理サーバ2に届いて1名在室時間の算出をスムースに行えないおそれがある。これに対して、1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を入退室制御装置3A、3B間で共有可能に行うようにすれば、ネットワークにおける情報送信のタイムラグの問題を低減でき、1名在室時間の算出をスムースに行うことができる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。上記データ処理でのイベント履歴ファイル9と在室情報テーブル8でのデータの書き込み順序は一例であり、イベント履歴ファイル9と在室情報テーブル8とのデータの書き込みの順序はどちらが先でもよい。
【0042】
また、本発明では、1名での在室時間を計測し、1名での在室時間が所定時間に達した場合には、アラーム用の信号を発するなどして警告することもできる。
【0043】
また、本発明は、ゲート4の数は特に限定されることはなく、1つのゲート4であってもよい。さらに、入退室制御装置3の台数も1台であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 入退室管理システム
2 管理サーバ
3 入退室制御装置
4 ゲート
5 ID入力端末
6 ID照合処理部
7 在室情報処理部
8 在室情報テーブル
9 イベント履歴ファイル
E2、E6 「1名在室開始」イベント情報(1名在室開始履歴)
E4、E8 「1名在室終了」イベント情報(1名在室終了履歴)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定エリアへの入退室を管理する入退室管理システムであって、
入退室情報から求められる前記特定エリア内の在室者数が、1名になったときには、少なくともその在室者の個人IDおよび1名在室開始の発生日時の情報を有する「1名在室開始履歴」を記録し、その後に1名でなくなったときには、少なくとも前記在室者の個人IDおよび1名在室終了の発生日時の情報を有する「1名在室終了履歴」を記録する1名在室履歴記録手段を備えることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記特定エリア内の在室者数が1名になったときの入退室情報と、その後に1名でなくなったときの入退室情報とから、1名在室時間を算出する1名在室時間算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記1名在室時間算出手段により算出された1名在室時間を前記「1名在室終了履歴」の一部として記録することを特徴とする請求項2に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
前記特定エリアへの入退室用の少なくとも1つのゲートと、
該ゲートに対応して設けられるID入力端末と、
前記ゲートおよびID入力端末に接続し、ID入力端末からの入力ID情報と予め登録された登録ID情報とを照合して両者が一致したときゲートを解錠する入退室制御装置と、
該入退室制御装置に接続し、入室者の個人情報および入退室イベント情報の履歴を格納管理する管理サーバと、
を備えた入退室管理システムであって、
前記1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を前記入退室制御装置により行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記ゲートが複数設けられている場合において、
所定のゲートおよびそのID入力端末に接続するように前記入退室制御装置を複数台設け、
前記1名在室時間算出手段による1名在室時間の算出を前記複数の入退室制御装置の間で共有可能に行うことを特徴とする請求項4に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−179163(P2011−179163A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41287(P2010−41287)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(307011510)株式会社熊平製作所 (12)
【Fターム(参考)】