説明

入退室管理システム

【課題】無線タグを利用して、解錠すべき扉を選択することができる入退室管理システムを提供する。
【解決手段】複数の扉2の各々に対応して設けられた複数のタグリーダー3と、無線タグ7から送信される電波9を複数のタグリーダー3が同時に受信している場合に、複数の扉2の中から解錠すべき扉2を選択する選択手段5と、無線タグ7で所定の操作が行われた際に選択されている扉2の解錠指示11を出力する出力手段5と、を備えるように構成した。これにより、無線タグ7を利用して、解錠すべき扉2を選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入退室管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
入退室管理システムにおいては、扉に対応して、タグリーダーが設けられる。タグリーダーは、LF電波を送出する。このLF電波範囲内で、無線タグはLF電波を受信し、UHF電波を送信する。タグリーダーは、UHF電波を受信し、対応した扉を解錠する。
【0003】
LF電波は、タグリーダーを中心に半径2m程度の範囲まで伝播される。すなわち、扉を解錠するためには、無線タグを持って扉から2m程度の範囲内まで移動する必要がある。このため、屋外の車両等に対応した扉にシステムを適用した場合、走行中の車両を円滑に通行させることができない。
【0004】
これに対し、無線タグがLF電波を受信することなく、UHF電波を送信できるようにすれば、扉から離れたところから扉を解錠することができる。
【0005】
しかしながら、扉が隣接する場所では、両方の扉に対応したタグリーダーがUHF電波を受信する。このため、どちらの扉を解錠すべきかを判定することができない。
【0006】
これに対し、電波の強度の差に基づいて、どちらの扉を解錠すべきかを判定するシステムが提案されている。具体的には、電波の強度が一定値以上のときに自動的に解錠すべき扉が決定される(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のものにおいては、電波の強度が一定値未満の場合は、どちらの扉を解錠すべきかを判定することができない。
【0008】
これに対し、ユーザー側の装置で解錠すべき扉を指定するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−204059号公報
【特許文献2】特開2002−161656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、無線タグは、扉を指定するための機能を有していない。このため、無線タグを利用したシステムにおいて、特許文献2記載の指定方法を適用することはできない。
【0011】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、無線タグを利用して、解錠すべき扉を選択することができる入退室管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る入退室管理システムは、複数の扉の各々に対応して設けられた複数のタグリーダーと、無線タグから送信される電波を前記複数のタグリーダーが同時に受信している場合に、前記複数の扉の中から解錠すべき扉を選択する選択手段と、前記無線タグで所定の操作が行われた際に選択されている扉の解錠指示を出力する出力手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、無線タグを利用して、解錠すべき扉を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1における入退室管理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における入退室管理システムの構成図である。
【0017】
図1において、1は隣接した居室である。各居室1の一側には、扉2が設けられる。各扉2は、互いに隣接する。各扉2に近接して、タグリーダー3が設けられる。各タグリーダー3に近接して、表示装置4が設けられる。
【0018】
各タグリーダー3と各表示装置4とは、IDコントローラ5に接続される。IDコントローラ5には、記憶装置6が接続される。記憶装置6には、ユーザーの個人情報が記憶される。
【0019】
7は無線タグである。無線タグ7は、ユーザー(図示せず)に携帯される。無線タグ7には、ボタン8が設けられる。
【0020】
このようなハンズフリーの入退室管理システムにおいては、ユーザーが扉2から離れたところでボタン8を押下すると、無線タグ7がUHF電波9を直接送信する。扉2が隣接する場合、UHF電波9は、一定時間内に双方のタグリーダー3に受信される。
【0021】
双方のタグリーダー3は、UHF電波9から無線タグ7のID情報を取得するとともに、UHF電波9の電界強度を測定する。双方のタグリーダー3は、ID情報と電界強度とを受信情報10としてIDコントローラ5に出力する。
【0022】
IDコントローラ5は、一定時間内に同一の受信情報10を受信した場合に双方のタグリーダー3から出力された電界強度を比較する。電界強度の差が所定値よりも大きい場合、IDコントローラ5は、電界強度の強いUHF電波9を受信しているタグリーダー3に扉2の解錠指示11を出力する。この指示11に基づいて、タグリーダー3は、扉2を解錠する。
【0023】
これに対し、双方のタグリーダー3から出力された電界強度の差が所定値以下の場合、IDコントローラ5は、解錠すべき扉2を選択する選択手段として機能する。
【0024】
具体的には、IDコントローラ5は、解錠すべき扉2として扉2の一方を選択する。この際、IDコントローラ5は、扉2の一方に近接した表示装置4の一方に点滅の指示12を出力する。この指示12に基づいて、表示装置4の一方は、点滅することにより、扉2の一方が解錠すべき扉2として選択されている旨を表示する。
【0025】
その後、一定時間(例えば、5秒)が経過すると、IDコントローラ5は、表示装置4の一方に点滅停止の指示12を出力する。この指示12に基づいて、表示装置4の一方は、点滅を停止する。
【0026】
その後、IDコントローラ5は、解錠すべき扉2として扉2の他方を選択する。この際、IDコントローラ5は、扉2の他方に近接した表示装置4の他方に点滅の指示12を出力する。この指示12に基づいて、表示装置4の他方は、点滅することにより、扉2の他方が解錠すべき扉2として選択されている旨を表示する。
【0027】
その後、一定時間(例えば、5秒)が経過すると、IDコントローラ5は、表示装置4の他方に点滅停止の指示12を出力する。この指示12に基づいて、表示装置4の他方は、点滅を停止する。
【0028】
その後、IDコントローラ5は、解錠すべき扉2の変更を繰り返す。この際、IDコントローラ5は、解錠すべき扉2の変更に応じて、上記同様に表示装置4を制御する。
【0029】
ユーザーが解錠すべき扉2を選択する際には、解錠する扉2に近接した表示装置4が点滅しているときに、再度無線タグ7のボタン8を押下すればよい。例えば、ユーザーが扉2の一方を解錠する場合は、表示装置4の一方が点滅しているときに、無線タグ7のボタン8を押下すればよい。
【0030】
この押下により、無線タグ7がUHF電波9を送信する。このUHF電波9は、タグリーダー3の一方に受信される。タグリーダー3の一方は、ID情報と電界強度とを受信情報10としてIDコントローラ5に出力する。
【0031】
このとき、UHF電波9は、タグリーダー3の他方にも受信される。このため、タグリーダー3の他方も、ID情報と電界強度とを受信情報10としてIDコントローラ5に出力する。
【0032】
しかしながら、IDコントローラ5は、扉2の一方が解錠すべき扉2であることを認識している。このため、IDコントローラ5は、タグリーダー3の一方からのID情報と記憶装置6に記憶された個人情報と照合する。
【0033】
その後、IDコントローラ5は、照合結果に基づいて通行可能と判定した場合は、タグリーダー3の一方に解錠指示11を出力する出力手段として機能する。この指示11に基づいて、タグリーダー3の一方は、扉2の一方を解錠する。
【0034】
以上で説明した実施の形態1によれば、無線タグ7から送信されるUHF電波9を複数のタグリーダー3が同時に受信している場合は、無線タグ7のボタン8が押下された際に選択されている扉2が解錠する。このため、UHF電波9の電界強度に差がなく、解錠すべき扉2の自動判定が困難な場合でも、解錠すべき扉2を選択することができる。このシステムを屋外の車両等に対応した扉2に適用すれば、走行中の車両を円滑に通行させることができる。
【0035】
また、複数のタグリーダー3の各々に受信されているUHF電波9の電界強度の差が所定値以上の場合は、電界強度の強いUHF電波9を受信しているタグリーダー3に対応した扉2が解錠する。このため、ユーザーに再操作を依頼することなく、適切な扉2を解錠することができる。
【0036】
また、表示装置4は、対応した扉2が選択されている旨を表示する。このため、扉2の誤解錠を防止することができる。これにより、居室1等のセキュリティを保つことができる。
【0037】
なお、解錠すべき扉2の選択する際の操作は、ボタン8の押下に限定されない。すなわち、無線タグ7側の所定の操作で、解錠すべき扉2を選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 居室
2 扉
3 タグリーダー
4 表示装置
5 IDコントローラ
6 記憶装置
7 無線タグ
8 ボタン
9 UHF電波
10 受信情報
11 解錠指示
12 指示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扉の各々に対応して設けられた複数のタグリーダーと、
無線タグから送信される電波を前記複数のタグリーダーが同時に受信している場合に、前記複数の扉の中から解錠すべき扉を選択する選択手段と、
前記無線タグで所定の操作が行われた際に選択されている扉の解錠指示を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記複数のタグリーダーの各々に受信されている電波の強度の差が所定値以下の場合は、前記タグで所定の操作が行われた際に選択されている扉の解錠指示を出力し、前記差が所定値よりも大きい場合は、強度の強い電波を受信しているタグリーダーに対応した扉の解錠指示を出力することを特徴とする請求項1記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記複数のタグリーダーの各々に近接して設けられ、近接したタグリーダーに対応した扉が選択されている場合に、当該扉が選択されている旨を表示する表示装置、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−219483(P2012−219483A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85035(P2011−85035)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】