説明

入退室管理システム

【課題】識別体に対応した個人の入退室を正確に管理することができる入退室管理システムを提供する。
【解決手段】管理領域外で管理領域の出入口近傍に設けられ、個人に対応付けられた識別体5を検出するための電波3aを送信する入側リーダ3と、管理領域内で出入口近傍に設けられ、入側リーダ3が送信した電波3aの範囲と重なるように、個人に対応付けられた識別体5を検出するための電波4aを送信する出側リーダ4と、入側リーダ3と出側リーダ4とが送信した電波3a、4bの重なる範囲に位置する識別体5を入側リーダ3と出側リーダ4とが同時に検出した場合に、入側リーダ3と出側リーダ4とが送信する電波3a、4aの重なる範囲が徐々に狭くなるように、入側リーダ3と出側リーダ4とが送信する電波3a、4aの出力を制御するコントローラ2と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入退室管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
入室用の送信アンテナと退室用の送信アンテナとを備えた入退室管理用リーダが提案されている。このリーダは、入室用の送信アンテナと退室用の送信アンテナとを切り替えて、タグ等の識別体を検出するためのコマンドに対応した電波を送信する。当該電波は、識別体に受信される。識別体は、当該電波に応答した電波を送信する。
【0003】
当該電波は、リーダに受信される。リーダは、識別体からの電波がどの送信アンテナから送信された電波にして応答したのかを特定する。この特定により、識別体に対応した個人の入退室が管理される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−227315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記電波の周波数は、FeliCa(登録商標)等で規格化されている。このため、特許文献1記載のものにおいては、2つの送信アンテナが送信した電波の重なる範囲に識別体が位置する場合、当該識別体は2つの送信アンテナから送信されたコマンドに対して応答する。その結果、当該識別体に対応した個人の入退室を正確に管理することができない。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、識別体に対応した個人の入退室を正確に管理することができる入退室管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る入退室管理システムは 管理領域外で前記管理領域の出入口近傍に設けられ、個人に対応付けられた識別体を検出するための電波を送信する入側リーダと、前記管理領域内で前記出入口近傍に設けられ、前記入側リーダが送信した電波の範囲と重なるように、個人に対応付けられた識別体を検出するための電波を送信する出側リーダと、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信した電波の重なる範囲に位置する識別体を前記入側リーダと前記出側リーダとが同時に検出した場合に、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の重なる範囲が徐々に狭くなるように、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の出力を制御するコントローラと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、識別体に対応した個人の入退室を正確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における入退室管理システムのブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における入退室管理システムのブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1における入退室管理システムによるリーダの電波範囲の制御方法を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1における入退室管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2における入退室管理システムによるリーダの電波範囲の制御方法を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態3における入退室管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1と図2とはこの発明の実施の形態1における入退室管理システムのブロック図である。
【0012】
図1において、管理領域(図示せず)には、出入口(図示せず)が設けられる。出入口には、扉(図示せず)が設けられる。扉には、電気錠1が設けられる。電気錠1には、コントローラ2が接続される。
【0013】
コントローラ2には、入側リーダ3が接続される。入側リーダ3は、管理領域外の出入口近傍に設けられる。入側リーダ3は、送信アンテナ(図示せず)と受信アンテナ(図示せず)とを備える。
【0014】
コントローラ2には、出側リーダ4が接続される。出側リーダ4は、管理領域内の出入口近傍に設けられる。出側リーダ4は、送信アンテナ(図示せず)と受信アンテナ(図示せず)とを備える。
【0015】
5はタグである。タグ5は、識別体として、管理領域を入退室する個人(図示せず)に所持される。タグ5は、個人に対応付けられたIDデータを記憶する。タグ5は、受信アンテナと送信アンテナとを備える。
【0016】
この入退室管理システムにおいては、入側リーダ3の送信アンテナは、所定の範囲まで電波3aを送信する。電波3aの範囲内にタグ5が位置している場合、電波3aは、タグ5の受信アンテナに受信される。電波3aに応答して、タグ5は、送信アンテナからIDデータに対応した電波を送信する。
【0017】
当該電波は、入側リーダ3の受信アンテナに受信される。入側リーダ3は、当該電波に対応した受信データをコントローラ2に送信する。当該受信データに基づいて、コントローラ2は、個人を特定する。当該個人が管理領域内への入室を許可された者である場合、コントローラ2は、電気錠1を開くとともに、当該個人が管理領域に入室したと判断する。
【0018】
これに対し、出側リーダ4の送信アンテナは、所定の範囲まで電波4aを送信する。電波4aの範囲内にタグ5が位置している場合、電波4aは、タグ5の受信アンテナに受信される。電波4aに応答して、タグ5は、送信アンテナからIDデータに対応した電波を送信する。
【0019】
当該電波は、出側リーダ4の受信アンテナに受信される。出側リーダ4は、当該電波に対応した受信データをコントローラ2に送信する。当該受信データに基づいて、コントローラ2は、個人を特定する。コントローラ2は、電気錠1を開くとともに、当該個人が管理領域から退室したと判断する。
【0020】
図1に示すように、電波3aの範囲と電波4aの範囲とが重なる位置にタグ5が位置している場合、タグ5の受信アンテナは、電波3aと電波4aとを同時に受信する。電波3aと電波4aとに応答して、タグ5は、送信アンテナからIDデータに対応した電波を送信する。
【0021】
当該電波は、入側リーダ3の受信アンテナと出側リーダ4の受信アンテナとに受信される。入側リーダ3と出側リーダ4とは、当該電波に対応した受信データをコントローラ2に送信する。当該受信データに基づいて、コントローラ2は、個人を特定する。この際、コントローラ2は、当該個人の入室と退室とを同時に検出する。このため、当該個人の入退室を正確に判断することができない。
【0022】
本実施の形態においては、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データを受信した場合、入側リーダ3の送信アンテナと出側リーダ4の送信アンテナに流れる電流を徐々に減らす。
【0023】
その結果、図2に示すように、電波3aの範囲と電波4aの範囲の重なる範囲が徐々に狭くなる。これにより、タグ5は、出入口近傍の壁等の物理的な障害(図示せず)等の関係から、電波3aの範囲と電波4aの範囲の一方のみに位置するようになる。その結果、当該タグ5に対応した個人の入退室を正確に管理することができる。
【0024】
図2においては、タグ5は、入側リーダ3よりも出側リーダ4に近い。この場合、出側リーダ4のみがタグ5からの電波を受信する。このため、コントローラ2は、当該タグ5に対応した個人が退室したと判断する。
【0025】
次に、電波3aの範囲と電波4aの範囲とを徐々に狭くする具体例に説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における入退室管理システムによるリーダの電波範囲の制御方法を説明するための図である。図3の横軸は時間を表す。図3の縦軸は電波3aの範囲と電波4aの範囲とを表す。
【0026】
図3に示すように、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データを受信した場合、電波3aの範囲と電波4aの範囲とを時間の経過に応じて一定の割合で狭くする。この際、コントローラ2は、記憶部(図示せず)に記憶されている設定値を初期値として、電波3aの範囲と電波4aの範囲とを制御する。
【0027】
次に、入退室管理システムの動作を説明する。
図4はこの発明の実施の形態1における入退室管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0028】
ステップ1では、入側リーダ3又は出側リーダ4がタグ5からの電波を受信する。その後、ステップS2に進み、入側リーダ3又は出側リーダ4は、当該電波に対応した受信データをコントローラ2に送信する。その後、ステップS3に進み、コントローラ2は、受信データを解析する。その後、ステップS4に進み、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データを受信しているか否かを判断する。
【0029】
入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データが受信されている場合は、ステップS5に進む。ステップS5では、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とに、記憶部に記憶された設定値を初期値として電波3a、4aの範囲を狭くするように指示する。その後、ステップS6に進み、入側リーダ3と出側リーダ4とは、コントローラ2の指示に従って、電波3a、4aの範囲を狭くする。その後、ステップS1に戻り、上記動作が繰り返される。
【0030】
ステップS4で入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データが受信されてない場合は、ステップS7に進む。ステップS7では、コントローラ2は、記憶部に記憶された設定値をその時点での電波3a、4bの範囲に更新する。その後、ステップS8に進み、コントローラ2は、電気錠1の開閉を制御する。この制御により、一連の動作が終了する。
【0031】
以上で説明した実施の形態1によれば、電波3aの範囲と電波4aの範囲とが重なる位置にタグ5が位置している場合、入側リーダ3と出側リーダ4とが送信した電波の重なる範囲が狭くなる。その結果、最終的には、入側リーダ3及び出側リーダ4の一方のみがタグ5からの電波を受信することになる。このため、入側リーダ3と出側リーダ4とを一定の距離以上離すことなく、タグ5に対応した個人の入退室を正確に管理することができる。
【0032】
この際、電波3aの範囲と電波4aの範囲は、時間の経過に応じて一定の割合で徐々に狭くなる。このため、簡単な制御で、個人の入退室を正確に管理することができる。
【0033】
また、コントローラ2の記憶部に記憶された設定値は、入側リーダ3及び出側リーダ4の一方のみがタグ5からの電波を受信した際に更新される。このため、設定値の更新後、タグ5の検出にかかる時間を短縮することができる。
【0034】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2における入退室管理システムによるリーダの電波範囲の制御方法を説明するための図である。図5の横軸は時間を表す。図5の縦軸は電波3aの範囲と電波4aの範囲とを表す。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
実施の形態1においては、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データを受信した場合、電波3aの範囲と電波4aの範囲とを時間の経過に応じて一定の割合で狭くしていた。
【0036】
一方、実施の形態2においては、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データを受信した場合、図5の左側に示すように、電波3aの範囲と電波4aの範囲とを所定時間間隔毎に所定量だけ狭くなる。
【0037】
この際、例えば、電波3aの範囲と電波4aの範囲とがA点となったときに、タグ5が電波3aの範囲外かつ電波4aの範囲外に位置する場合がある。このとき、入側リーダ3と出側リーダ4との双方がタグ5を検出しなくなる。
【0038】
この場合、コントローラ2は、図5の右側に示すように、電波3aの範囲と電波4aの範囲とをA点よりも所定量だけ広げる。その後、コントローラ2は、タグ5が検出されなくなる前の時間間隔よりも短い時間間隔毎に、タグ5が検出されなくなる前の量よりも少ない量で電波3aの範囲と電波4aの範囲とを狭くする。
【0039】
以上で説明した実施の形態2によれば、電波3aの範囲と電波4aの範囲とが重なる位置にタグ5が位置している場合、電波3aの範囲と電波4aの範囲とは、所定時間間隔毎に所定量だけ狭くなる。このため、個人の入退室を早く判断することができる。
【0040】
また、入側リーダ3と出側リーダ4とがタグ5を検出しなくなった場合、コントローラ2は、電波3aの範囲と電波4aの範囲とをA点よりも所定量だけ広げる。その後、コントローラ2は、タグ5が検出されなくなる前の時間間隔よりも短い時間間隔毎に、タグ5が検出されなくなる前の量よりも少ない量で電波3aの範囲と電波4aの範囲とを狭くする。このため、個人の入退室を確実に判断することができる。
【0041】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3における入退室管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
実施の形態1においては、コントローラ2は、個人の入退室を判断した後に、電気錠1の開閉を制御していた。一方、実施の形態3においては、コントローラ2は、個人の入退室を判断する前に、電気錠1の開閉を制御する。以下、図6を用いて、実施の形態3の入退室管理システムの動作を説明する。
【0043】
ステップS11〜S13は、ステップS1〜S3と同様である。ステップS13の後、ステップS14では、コントローラ2は、電気錠1の開閉を制御する。その後、ステップS15に進み、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データを受信しているか否かを判断する。
【0044】
入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データが受信されている場合は、ステップS16に進む。ステップS16では、コントローラ2は、入側リーダ3と出側リーダ4とに、記憶部に記憶された設定値を初期値として電波3a、4aの範囲を狭くするように指示する。その後、ステップS17に進み、入側リーダ3と出側リーダ4とは、コントローラ2の指示に従って、電波3a、4aの範囲を狭くする。その後、ステップS11に戻り、上記動作が繰り返される。
【0045】
ステップS15で入側リーダ3と出側リーダ4とから同時に同一のIDデータに対応した受信データが受信されてない場合は、ステップS18に進む。ステップS18では、コントローラ2は、記憶部に記憶された設定値をその時点での電波3a、4bの範囲に更新する。この更新により、一連の動作が終了する。
【0046】
以上で説明した実施の形態3によれば、コントローラ2は、個人の入退室を判断する前に、電気錠1の開閉を制御する。このため、タグ5を所持した個人が出入口を通過することを妨げることなく、個人の入退室を判断することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 電気錠
2 コントローラ
3 入側リーダ
3a 電波
4 出側リーダ
4a 電波
5 タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理領域外で前記管理領域の出入口近傍に設けられ、個人に対応付けられた識別体を検出するための電波を送信する入側リーダと、
前記管理領域内で前記出入口近傍に設けられ、前記入側リーダが送信した電波の範囲と重なるように、個人に対応付けられた識別体を検出するための電波を送信する出側リーダと、
前記入側リーダと前記出側リーダとが送信した電波の重なる範囲に位置する識別体を前記入側リーダと前記出側リーダとが同時に検出した場合に、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の重なる範囲が徐々に狭くなるように、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の出力を制御するコントローラと、
を備えたことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信した電波の重なる範囲に位置する識別体を前記入側リーダと前記出側リーダとが同時に検出した場合に、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の範囲を時間の経過に応じて一定の割合で狭くすることを特徴とする請求項1記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信した電波の重なる範囲に位置する識別体を前記入側リーダと前記出側リーダとが同時に検出した場合に、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の範囲を所定の時間間隔毎に所定量だけ狭くすることを特徴とする請求項1記載の入退室管理システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記入側リーダと前記出側リーダとが当該識別体を検出しなくなった場合に、前記入側リーダと前記出側リーダとが送信する電波の範囲を、前記入側リーダと前記出側リーダとが当該識別体を検出しなくなったときの範囲よりも所定量だけ広げ、当該識別体が検出されなくなる前の時間間隔よりも短い時間間隔毎に当該識別体が検出されなくなる前の量よりも少ない量で狭くすることを特徴とする請求項3記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243248(P2012−243248A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115835(P2011−115835)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】