説明

入退室管理装置の通行履歴検索システム及び検索方法

【課題】管理者が簡単な操作によって通行履歴の検索条件を作成することができ、所望の情報を取得することができるようにする。
【解決手段】通行履歴検索システム26は、通行履歴と、GUI部品からなり、通行履歴に関する情報を含むオブジェクトと、オブジェクトより大きいGUI部品からなり、出力形式に関する情報を含む出力パレットとを記憶する記憶部32とを有する。そして、本システム26は、出力パレットの領域内に配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成する検索条件作成部34と、検索条件作成部34により作成された検索条件に適合する通行履歴を、出力パレットの出力形式に基づいて出力する出力部36とを有する。この構成により、通行履歴の中から、管理者が望む情報を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理対象となるエリアへの入退室を認証処理に基づいて管理する入退室管理装置の通行履歴検索システム及び検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、管理対象となるエリアへの入退室を認証処理に基づいて管理する入退室管理装置が知られている。この入退室管理装置の構成の一例について、図9を用いて説明する。図9は、従来の入退室管理装置の構成を示す図である。
【0003】
入退室管理装置110は、ユーザが所持する認証端末112に記憶された認証端末情報を取得する認証装置114と、管理対象となるエリアの扉に設けられた電気錠116とを有する。
【0004】
また、入退室管理装置110は、認証装置114と電気錠116にそれぞれ接続されたコントローラ装置118と、コントローラ装置118に通信回線120を介して接続され、この入退室管理装置110を管理する管理用装置122とを有する。
【0005】
コントローラ装置118は、予め記憶された個人認証情報と認証装置114により取得された認証端末情報との照合結果に基づいて電気錠116の施解錠制御を行なう。
【0006】
管理用装置122は、入退室管理装置110の管理者により設定された個人認証情報を記憶するとともに、この個人認証情報を認証装置114に送信する。また、管理用装置122は、コントローラ装置118による施解錠制御を管理して、ユーザが扉を通行した履歴とユーザが不正操作した履歴とを含む通行履歴を記憶する。
【0007】
次に、このように構成される入退室管理装置110の動作について、ユーザが入室する場合を例に挙げ、簡単に説明する。
【0008】
ユーザの入室時、認証装置114が、ユーザが所持する認証端末112に記憶された認証端末情報を取得し、取得した認証端末情報をコントローラ装置118に送信する。コントローラ装置118は、認証装置114から受信された認証端末情報と個人認証情報とを照合し、入室許可の確認を行う。そのユーザが入室許可者であることが確定した場合、コントローラ装置118は、電気錠116に解錠指令を送信する。ユーザの入室後、すなわちユーザが扉を通行した後、管理用装置122は、ユーザが扉を通行した旨の通行履歴を記憶する。
【0009】
一方、そのユーザが入室許可者でない場合、コントローラ装置118は、ユーザの入室を許可せず、電気錠116の施錠状態を維持させる。そして、管理用装置122は、ユーザが不正操作した旨の通行履歴を記憶する。
【0010】
このようにして、入退室管理装置110は、セキュリティの管理対象となるエリアへのユーザの入退室を認証処理に基づいて管理するとともに、その通行履歴を記憶している。
【0011】
下記特許文献1には、ユーザが所持する通信端末と、通信端末から取得したユーザID情報に基づいてユーザの認証を行い、その認証結果に基づいて電気錠の施解錠制御を行なう電気錠制御装置とを有する入退室管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−57112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したような従来の入退室管理装置においては、管理者が、管理用装置に記憶された通行履歴から所望の情報を取得するための検索を行う場合がある。この場合、管理者は、通常、予め設計されたGUI(Graphical User Interface)、言い換えれば汎用のGUIを使用して検索条件の絞込みを行い、所望の情報の取得を試みる。このような汎用のGUIを用いた検索方法においては、入退室管理装置の仕様に対応する検索条件の絞込みしか行うことができず、それ以外の検索条件によって通行履歴を絞込むことはできないという問題がある。また、入退室管理装置の運用形態に対応させた、汎用のGUIに設定されていない検索条件をその都度追加しようとすると、開発時間及びコストがかかってしまい開発効率が悪くなってしまうという問題がある。
【0014】
このような問題に対して、管理者自らが、例えばSQL(Structured Query Language)文を生成して検索条件を作成し、所望の情報の取得を試みることも考えられる。しかしながら、SQL文は直感的に理解することが難しい形式であるので、通行履歴の検索条件を作成するのに手間がかかってしまうという問題がある。また、未習熟者の管理者にとっては、その検索条件自体の作成が困難であるという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、管理者が簡単な操作によって通行履歴の検索条件を作成することができ、所望の情報を取得することができる入退室管理装置の通行履歴検索システム及び検索方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、管理対象となるエリアへの入退室を認証処理に基づいて管理する入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、通行履歴と、GUI部品からなり、通行履歴に関する情報を含むオブジェクトと、オブジェクトより大きいGUI部品からなり、出力形式に関する情報を含む出力パレットとを記憶する記憶部と、記憶部から選択された出力パレットの領域内に、記憶部から選択されて配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成する検索条件作成部と、検索条件作成部により作成された検索条件に適合する通行履歴を、出力パレットの出力形式に基づいて出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、検索条件作成部は、2つオブジェクトの位置関係によって、これらのオブジェクトにそれぞれ含まれる情報に対する論理演算を決定する論理演算決定部を有し、論理演算決定部により決定された論理演算により検索条件を作成することができる。
【0018】
また、記憶部は、さらに、オブジェクトより大きく出力パレットより小さいGUI部品からなり、その領域内の予め設定された位置に特定のオブジェクトを配置可能な検索パレットを記憶し、検索条件作成部は、検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに基づいて特定の検索条件を作成することができる。
【0019】
また、論理演算決定部は、検索パレットに対応する特定の論理演算を決定し、検索条件作成部は、検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに基づいて、論理演算決定部により決定された特定の論理演算により検索条件を作成することができる。
【0020】
また、検索条件作成部は、記憶部から選択された出力パレットの領域内に、記憶部から選択されて配置されたオブジェクトと検索パレットの相対的な位置関係、または複数の検索パレットの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成することができる。
【0021】
また、論理演算決定部は、オブジェクトと検索パレットの位置関係によって、このオブジェクトに含まれる情報と、検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに含まれる情報であって、その検索パレットの特定の検索条件に適合する情報とに対する論理演算を決定することができる。
【0022】
また、論理演算決定部は、2つの検索パレットの位置関係によって、一方の検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに含まれる情報であって、この検索パレットの特定の検索条件に適合する情報と、他方の検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに含まれる情報であって、この検索パレットの特定の検索条件に適合する情報とに対する論理演算を決定することができる。
【0023】
また、オブジェクトは、ユーザ識別情報を含むオブジェクト、扉情報を含むオブジェクト、および通行日時の情報を含むオブジェクトを有することができる。
【0024】
また、記憶部は、検索条件作成部により作成された検索条件を実行回数とともに記憶することができる。
【0025】
また、出力部は、検索条件作成部により作成された検索条件の内容を言語処理して出力することができる。
【0026】
また、本発明は、管理対象となるエリアへの入退室を認証処理に基づいて管理する入退室管理装置の通行履歴検索方法において、入退室管理装置は、通行履歴と、GUI部品からなり、通行履歴に関する情報を含むオブジェクトと、オブジェクトより大きいGUI部品からなり、出力形式に関する情報を含む出力パレットとを記憶する記憶部を有し、記憶部から出力パレットが選択されるステップと、記憶部からオブジェクトが選択されるステップと、出力パレットの領域内に、選択されたオブジェクトが配置されるステップと、配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件が作成されるステップと、作成された検索条件に適合する通行履歴が、出力パレットの出力形式に基づいて出力されるステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の入退室管理装置の通行履歴検索システム及び検索方法によれば、管理者が簡単な操作によって通行履歴の検索条件を作成することができ、所望の情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る入退室管理装置の通行履歴検索システムの構成を示す図である。
【図2】オブジェクトに含まれる情報の一例を示す表である。
【図3】出力パレットに配置された2つのオブジェクトの位置関係の一例を示す図である。
【図4】出力パレットに配置された2つのオブジェクトの位置関係の一例を示す図である。
【図5】出力パレットに配置された2つのオブジェクトの位置関係の一例を示す図である。
【図6】検索パレットに配置されたオブジェクトの位置関係の一例を示す図である。
【図7】出力パレットに配置されたオブジェクトと検索パレットの位置関係の一例を示す図である。
【図8】通行履歴検索システムの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】従来の入退室管理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る入退室管理装置の通行履歴検索システムの実施形態について、図を用いて説明する。一例として、一つのエリアを挙げ、このエリアを管理対象とし入退室を管理する入退室管理装置について説明する。なお、本発明は、この態様に限らず、管理対象のエリアを複数有する入退室管理装置にも適用することができる。
【0030】
図1は、本実施形態に係る入退室管理装置の構成を示す図である。入退室管理装置10は、認証端末12の情報を取得する認証装置14と、電気錠16と、認証装置14と電気錠16にそれぞれ接続されたコントローラ装置18と、コントローラ装置18に通信回線20を介して接続され、この装置10を管理する管理用装置22とを有する。
【0031】
認証端末12は、ユーザが所持する端末であり、その内部には認証端末情報が記憶されている。認証端末12は、例えば、認証端末情報を埋め込んだRFID(radio frequency identification)タグ(以下、IDタグという)を有するカードや携帯端末である。認証端末情報は、認証端末12を所持するユーザ本人であることを証明する個人情報(ID)であり、例えばユーザの氏名、ユーザ番号、ユーザの権限などを含む。
【0032】
認証装置14は、管理対象となるエリアの扉24の付近であって、そのエリアの外側、例えば共用部に設置される。さらに、認証装置14は、そのエリアの内側に設置されてもよい。認証装置14は、認証端末12に対し接触または非接触で認証端末情報を読み取り、その情報をコントローラ装置18に送信する。また、認証装置14は、ディスプレイまたはインジケータなどの情報を表示する表示部と、例えば表示部に一体化されたタッチパネルまたはテンキーなどのユーザの操作により情報が入力される入力部を有する。本実施形態においては、認証装置14が認証端末情報を読み取る場合について説明したが、この構成に限定されず、ユーザ本人であることを証明する情報であれば、認証装置14は、ユーザの指紋または静脈などの生体情報を読み取り、その情報をコントローラ装置18に送信することもできる。
【0033】
電気錠16は、管理対象となるエリアの扉24に設けられる。電気錠16は、コントローラ装置18からの施解錠指令に基づいて動作する。すなわち、電気錠16は、コントローラ装置18からの解錠指令に基づいて扉24を解錠し、コントローラ装置18からの施錠指令に基づいて扉24を施錠する。なお、電気錠16は、開扉後に扉24が閉じた時点で、自動的に扉24を施錠することもできる。
【0034】
コントローラ装置18は、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、コントローラ装置18の機能は、記録媒体に記録された制御プログラムがメインメモリに読み出されてCPU(Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。コントローラ装置18は、この装置内に記憶された個人認証情報と、認証装置14により取得された認証端末情報とを照合し、この照合結果に基づいて電気錠16の施解錠制御を行なう。コントローラ装置18の照合履歴及び施解錠制御履歴は、通行履歴として、管理用装置22に送信される。
【0035】
コントローラ装置18と管理用装置22を接続する通信回線20は、コンピュータネットワークであり、例えばイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)である。ここで、管理対象となるエリアが複数有る場合、この通信回線20に、複数のエリアにそれぞれ対応する複数のコントローラ装置18が接続される。
【0036】
管理用装置22は、この入退室管理装置10を管理する管理者のみがアクセス可能なようにアクセス制限が設定されている。管理用装置22は、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、管理用装置22の機能は、記録媒体に記録された制御プログラムがメインメモリに読み出されてCPU(Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。管理用装置22は、コントローラ装置18から送られる通行履歴を記憶するとともに、その通行履歴を検索する通行履歴検索システム26を有する。この通行履歴検索システム26の構成については、後述する。
【0037】
通行履歴検索システム26の構成を説明する前に、このように構成される入退室管理装置10の通常動作について、ユーザがエリアに入室する場合を例に挙げて説明する。コントローラ装置18は、エリアの外側の認証装置14から認証端末情報を受信する。そして、コントローラ装置18は、この装置18に記憶される個人認証情報に含まれる認証端末情報と、認証装置14からの認証端末情報とを照合し、一致した認証端末情報に対応する入退室許否情報に基づいて入室の確認を行う。
【0038】
その入退室許否情報が、ユーザの入退室が許可されている旨の情報である場合、コントローラ装置18は、扉24の電気錠16に解錠指令を送信する。このとき、認証装置14が、ユーザの入室が許可された旨を表示または音声等により報知してもよい。ユーザの入室後、すなわちユーザが扉を通行した後、コントローラ装置18は、照合履歴及び施解錠制御履歴を通行履歴として管理用装置22に送信し、管理用装置22は、その通行履歴を記憶する。
【0039】
一方、その入退室許否情報が、ユーザの入退室が許可されていない旨の情報である場合、コントローラ装置18は、扉24の電気錠16に解錠指令を送信せず、電気錠16は施錠状態のままとなる。このとき、認証装置14が、ユーザの入室が許可されない旨を表示または音声等により報知してもよい。そして、コントローラ装置18は、照合履歴及び施解錠制御履歴を通行履歴として管理用装置22に送信し、管理用装置22は、その通行履歴を記憶する。
【0040】
次に、本実施形態の通行履歴検索システム26について説明する。通行履歴検索システム26は、入力部28と、表示部30と、記憶部32と、検索条件作成部34と、出力部36とを有する。なお、これらの構成は、すべて、管理用装置22の機能として共有することができる。
【0041】
入力部28は、例えばマウスやキーボードであり、これを介して、管理者からの情報が通行履歴検索システム26に入力される。表示部30は、ディスプレイであり、これを介して、管理者に通行履歴検索システム26内の情報を表示する。本実施形態において、入力部28から入力される情報は、例えば、表示部30に表示されるGUI部品の選択情報、GUI部品の配置情報である。
【0042】
記憶部32は、通行履歴と、オブジェクトと、出力パレットと、検索パレットとを記憶する。さらに、記憶部32は、後述するが、検索条件作成部34により作成される検索条件を実行回数とともに記憶する。
【0043】
通行履歴とは、上述したようにコントローラ装置18における照合履歴と施解錠制御履歴である。これらの履歴には、正常操作に関する情報、すなわちどのユーザがどの扉をいつ通行(入室又は退室)したのかという情報と、不正操作に関する情報、すなわち入退室が不許可であるユーザが、その不許可である扉をいつ通行しようとしたのかという情報とが含まれる。
【0044】
オブジェクトは、通行履歴に関する情報を、視認性及び操作性のよいGUI部品に置き換えたものである。要するに、オブジェクトは、通行履歴に関する情報を含むGUI部品である。オブジェクトは、ユーザ識別情報を含むオブジェクト、扉情報を含むオブジェクト、通行日時の情報を含むオブジェクト、不正要因の情報を含むオブジェクト、操作区分の情報を含むオブジェクト、および操作要因の情報を含むオブジェクトを有する。これらのオブジェクトは、入力部28を介して、管理者により選択され表示部30において配置される。
【0045】
これらの情報については、図2を用いて説明する。ユーザ識別のオブジェクトは、氏名と、ユーザ番号と、登録区分とに分けることができる。これらは、ユーザが所持する認証端末12の認証端末情報に含まれるものである。登録区分とは、ゲストまたは一般社員など、ユーザの権限を示す情報である。扉のオブジェクトは、電気錠16に対応する扉24の情報を含み、通行日時のオブジェクトは、日、時間の範囲に関する情報を含む。不正要因のオブジェクトは、期限切れまたは権限なしなどの、不正操作が検出された際の原因に関する情報を含み、操作区分のオブジェクトは、照合に基づく通行であったか、あるいは警戒解除による通行であったかなどの、通行時の行動区分に関する情報を含む。そして、操作要因のオブジェクトは、管理用装置22からの遠隔操作、予め設定されたスケジュールによる操作、あるいは認証装置14による操作などの、操作の要因に関する情報である。なお、オブジェクトの数は一例であって、本発明はオブジェクトの数に限定されない。通行履歴に関する情報をどのように整理するかにより、オブジェクトの数が変わるからである。
【0046】
出力パレットは、出力形式に関する情報を含むGUI部品であり、このGUI部品はオブジェクトより大きく形成される。出力形式には、円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフ、リストなどが含まれ、これらの形式に対応して出力パレットが用意される。これらの出力パレットは、入力部28を介して、管理者により選択され表示部30において配置される。
【0047】
検索パレットも、GUI部品からなり、このGUI部品は、オブジェクトより大きく出力パレットより小さく形成される。そして、検索パレットは、この領域内の予め設定された位置に特定のオブジェクトを配置することができるよう設定されている。これらの検索パレットは、入力部28を介して、管理者により選択され表示部30において配置される。なお、特定のオブジェクトについては、図6を用いて後述する。
【0048】
検索条件作成部34は、記憶部32から選択された出力パレットの領域内に、記憶部32から選択されて配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成する。
【0049】
そして、出力部36は、検索条件作成部34により作成された検索条件に適合する通行履歴を、出力パレットの出力形式に基づいて出力する。また、出力部36は検索条件作成部34により作成された検索条件の内容を言語処理して、例えば日本語による文章で出力することもできる。出力部36による出力は、表示部30に対して出力、すなわちディスプレイに対する出力、プリンタへの出力、あるいは遠隔の装置に対して信号による出力であってもよい。
【0050】
このような構成により、管理者が、管理用装置に記憶された通行履歴から所望の情報を取得するための検索を行う場合であっても、出力パレットとオブジェクトを操作しながら、直感的に検索条件を作成して、所望の通行履歴を絞り込むことができる。
【0051】
次に、検索条件作成部34の構成について具体的に説明する。検索条件作成部34は、2つオブジェクトの位置関係によって、これらのオブジェクトにそれぞれ含まれる情報に対する論理演算を決定する論理演算決定部38を有し、論理演算決定部38により決定された論理演算により検索条件を作成する。
【0052】
論理演算による検索条件の作成について、図3から5を用いて説明する。図3から5は、出力パレットに配置された2つのオブジェクトの位置関係の一例を示す図である。なお、図3から5に示される出力パレットは、例えば円グラフによる出力形式のものとする。
【0053】
図3には、出力パレットの領域内において、扉Aと扉Bとのオブジェクトが重なるように配置される位置関係が示されている。このような互いのオブジェクトが重なるという位置関係である場合、論理演算決定部38は、AND条件の論理演算を生成する。すなわち、扉Aと扉Bに共通する通行履歴、例えば、両扉を通行したユーザに関する通行履歴を絞り込むように検索条件を作成する。そして、その結果が円グラフの形式で出力される。
【0054】
図4には、出力パレットの領域内において、扉Aと扉Bとのオブジェクトが隣接して並ぶように配置される位置関係が示されている。このような互いのオブジェクトが隣接して並ぶという位置関係である場合、論理演算決定部38は、OR条件の論理演算を生成する。すなわち、扉Aまたは扉Bの通行履歴、例えば、両扉の少なくとも一方を通行したユーザに関する通行履歴を絞り込むように検索条件を作成する。そして、その結果が円グラフの形式で出力される。
【0055】
そして、図5には、出力パレットの領域内において、扉Aと扉Bとのオブジェクトが隣接するとともにずらして配置される位置関係が示されている。このような互いのオブジェクトが隣接し、ずれるという位置関係である場合、論理演算決定部38は、EXOR条件の論理演算を生成する。すなわち、扉Aと扉Bに共通する通行履歴を排除した扉Aまたは扉Bのいずれか一方の通行履歴、例えば、両扉の一方のみを通行したユーザに関する通行履歴を絞り込むように検索条件を作成する。そして、その結果が円グラフの形式で出力される。
【0056】
本実施形態においては、論理演算決定部38が、互いのオブジェクトが重なる位置関係をAND条件と認識し、互いのオブジェクトが隣接して並ぶ位置関係をOR条件と認識し、互いのオブジェクトが隣接し、ずれる位置関係をEXOR条件と認識して論理演算を生成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。論理演算決定部38が、予め設定された複数の、2つオブジェクトの相対的な位置関係と対応するように論理演算をそれぞれ生成することができる。
【0057】
その他に、図には示されないが、入力部28により、配置されたオブジェクトをダブルクリックすることで、論理演算決定部38は、NOT条件の論理演算を生成する。例えば、扉Aをダブルクリックすると、扉A以外の通行履歴を絞り込むように検索条件を作成するようにしてもよい。
【0058】
そして、検索条件作成部34は、検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに基づいて特定の検索条件を作成する。具体的には、論理演算決定部38は、検索パレットに対応する特定の論理演算を決定し、検索条件作成部34は、検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトに基づいて、論理演算決定部38により決定された特定の論理演算により検索条件を作成する。
【0059】
検索パレットに対応する特定の論理演算による検索条件の作成について、図6を用いて説明する。図6は、検索パレットに配置されたオブジェクトの位置関係の一例を示す図である。図6に示される検索パレットは、通行経路の順序を限定するパレットである。なお、本発明はこれに限定されず、検索パレットが、2つのオブジェクトの位置関係による論理演算では検索条件を絞り込むことができないもの、例えば時間帯、登録区分、回数などを限定するものを含むことができる。
【0060】
図6に示される検索パレットは、通行経路の順序を限定するものであるので、この領域内に配置可能なオブジェクトは、扉のオブジェクトに特定される。このように検索パレットへの配置が特定されるオブジェクトのことを特定のオブジェクトという。図6には、検索パレットの領域内において、扉Aと扉Bと扉Cのオブジェクトが矢印方向に沿って順に配置される位置関係が示されている。このように矢印方向の順に並ぶ位置関係である場合、論理演算決定部38は、この検索パレットに対応する特定の論理演算、すなわち指定された順序で扉を通行した通行履歴、すなわち扉A,B,Cの順番で通行したユーザに関する通行履歴を絞り込むよう論理演算を決定し、検索条件作成部34は、この論理演算により検索条件を作成する。
【0061】
さらに、検索条件作成部34は、出力パレットの領域内に配置されたオブジェクトと検索パレットの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成することもできる。具体的には、論理演算決定部38は、オブジェクトと検索パレットの位置関係によって、このオブジェクトに含まれる情報と、検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに含まれる情報であって、その検索パレットの特定の検索条件に適合する情報とに対する論理演算を決定する。そして、検索条件作成部34は、論理演算決定部38により決定された論理演算により検索条件を作成する。
【0062】
出力パレットの領域内におけるオブジェクトと検索パレットとの位置関係に基づく論理演算による検索条件の作成について、図7を用いて説明する。図7は、出力パレットに配置されたオブジェクトと検索パレットの位置関係の一例を示す図である。この図に示される検索パレットは、時間の範囲、すなわち時間帯を限定するパレットである。
【0063】
図7に示される検索パレットは、時間の範囲を限定するものであるので、この領域内に配置可能な特定のオブジェクトは、日時のオブジェクトである。図7には、検索パレットの領域内において、日時Aと日時Bのオブジェクトが矢印方向に沿って配置される位置関係が示されている。このように矢印方向の順に並ぶ位置関係である場合、論理演算決定部38は、この検索パレットに対応する特定の論理演算、すなわち指定された時間帯の通行履歴を絞り込むよう論理演算を決定し、検索条件作成部34は、この論理演算により検索条件を作成する。
【0064】
そして、図7には、出力パレットの領域内において、検索パレットと扉Aのオブジェクトが重なるように配置される位置関係が示されている。このようなに検索パレットとオブジェクトが重なる位置関係である場合、論理演算決定部38は、図3を用いて説明したように、AND条件の論理演算を生成する。すなわち、検索パレットと扉Aに共通する通行履歴、すなわち、日時Aから日時Bまでの時間帯において扉Aを通行したユーザに関する通行履歴を絞り込むように検索条件を作成する。そして、出力パレットの出力形式が、円グラフである場合、その検索結果が円グラフの形式で出力される。
【0065】
本実施形態においては、検索条件作成部34が、出力パレットの領域内に配置されたオブジェクトと検索パレットの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。出力パレットの領域内に配置される検索パレットを一つのオブジェクトとして認識すれば、他の態様でも検索条件を作成することができる。例えば、検索条件作成部34は、出力パレットの領域内に配置された複数の検索パレットの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成することもできる。具体的には、論理演算決定部38は、2つの検索パレットの位置関係によって、一方の検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに含まれる情報であって、この検索パレットの特定の検索条件に適合する情報と、他方の検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに含まれる情報であって、この検索パレットの特定の検索条件に適合する情報とに対する論理演算を決定する。そして、検索条件作成部34は、論理演算決定部38により決定された論理演算により検索条件を作成することもできる。
【0066】
本実施形態の通行履歴検索システム26によれば、管理者が、管理用装置22に記憶された通行履歴から所望の情報を取得するための検索を行う場合、GUI部品の位置関係を考慮しながら直感的に配置するという簡単な操作によって、検索条件を自動的に作成することができる。そして、このように手間をかけずに検索条件の作成が可能になるので、多様な検索条件を作成し、そこから所望の情報を容易に取得することができる。また、その検索条件は履歴として記憶されるので、次回における検索の時間を大幅に短縮することができる。
【0067】
次に、本実施形態の通行履歴検索システム26の制御動作について、図8を用いて説明する。図8は、通行履歴検索システム26の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ステップ101において、表示部30を見ている管理者により入力部28を介して、出力パレットの一覧から所望の出力パレットが選択される。そして、ステップ102において、管理者により入力部28を介して、オブジェクトの一覧から所望のオブジェクトが選択される。そして、ステップ103において、管理者により入力部28を介して、出力パレットの領域内に、選択されたオブジェクトが配置される。ステップ102、103の動作を複数回繰り返すことができる。また、ステップ102,103において、検索パレットの一覧から所望の検索パレットが選択され、その検索パレットが出力パレットの領域内に配置されてもよく、さらに、その配置された検索パレットの領域内に特定のオブジェクトが配置されてもよい。
【0069】
ステップS104において、配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件が作成される。このとき、上述のように検索パレットが配置される場合、検索パレットの領域内に配置されたオブジェクトの位置関係、オブジェクトと検索パレットの相対的な位置関係、または検索パレット同士の相対的な位置関係に基づいて検索条件が検索される。
【0070】
そして、ステップS105において、作成された検索条件に適合する通行履歴が、出力パレットの出力形式に基づいて出力され、本制御動作は終了する。なお、作成された検索条件が記憶部32に記憶され、次回、管理者により通行履歴を検索しようとする場合に、その作成された検索条件またはその一覧を表示することができる。これにより、次回からの検索時間の短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 入退室管理装置、12 認証端末、14 認証装置、16 電気錠、18 コントローラ装置、20 通信回線、22 管理用装置、24 扉、26 通行履歴検索システム、28 入力部、30 表示部、32 記憶部、34 検索条件作成部、36 出力部、38 論理演算決定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象となるエリアへの入退室を認証処理に基づいて管理する入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
通行履歴と、GUI部品からなり、通行履歴に関する情報を含むオブジェクトと、オブジェクトより大きいGUI部品からなり、出力形式に関する情報を含む出力パレットとを記憶する記憶部と、
記憶部から選択された出力パレットの領域内に、記憶部から選択されて配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成する検索条件作成部と、
検索条件作成部により作成された検索条件に適合する通行履歴を、出力パレットの出力形式に基づいて出力する出力部と、
を有することを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
検索条件作成部は、2つオブジェクトの位置関係によって、これらのオブジェクトにそれぞれ含まれる情報に対する論理演算を決定する論理演算決定部を有し、論理演算決定部により決定された論理演算により検索条件を作成する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項3】
請求項2に記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
記憶部は、さらに、オブジェクトより大きく出力パレットより小さいGUI部品からなり、その領域内の予め設定された位置に特定のオブジェクトを配置可能な検索パレットを記憶し、
検索条件作成部は、検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに基づいて特定の検索条件を作成する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項4】
請求項3に記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
論理演算決定部は、検索パレットに対応する特定の論理演算を決定し、
検索条件作成部は、検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに基づいて、論理演算決定部により決定された特定の論理演算により検索条件を作成する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
検索条件作成部は、記憶部から選択された出力パレットの領域内に、記憶部から選択されて配置されたオブジェクトと検索パレットの相対的な位置関係、または複数の検索パレットの相対的な位置関係に基づいて検索条件を作成する、
ことを特徴とする管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項6】
請求項5に記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
論理演算決定部は、オブジェクトと検索パレットの位置関係によって、このオブジェクトに含まれる情報と、検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに含まれる情報であって、その検索パレットの特定の検索条件に適合する情報とに対する論理演算を決定する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
論理演算決定部は、2つの検索パレットの位置関係によって、一方の検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに含まれる情報であって、この検索パレットの特定の検索条件に適合する情報と、他方の検索パレットの領域内に配置された特定のオブジェクトに含まれる情報であって、この検索パレットの特定の検索条件に適合する情報とに対する論理演算を決定する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
オブジェクトは、ユーザ識別情報を含むオブジェクト、扉情報を含むオブジェクト、および通行日時の情報を含むオブジェクトを有する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
記憶部は、検索条件作成部により作成された検索条件を実行回数とともに記憶する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の入退室管理装置の通行履歴検索システムにおいて、
出力部は、検索条件作成部により作成された検索条件の内容を言語処理して出力する、
ことを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索システム。
【請求項11】
管理対象となるエリアへの入退室を認証処理に基づいて管理する入退室管理装置の通行履歴検索方法において、
入退室管理装置は、通行履歴と、GUI部品からなり、通行履歴に関する情報を含むオブジェクトと、オブジェクトより大きいGUI部品からなり、出力形式に関する情報を含む出力パレットとを記憶する記憶部を有し、
記憶部から出力パレットが選択されるステップと、
記憶部からオブジェクトが選択されるステップと、
出力パレットの領域内に、選択されたオブジェクトが配置されるステップと、
配置された複数のオブジェクトの相対的な位置関係に基づいて検索条件が作成されるステップと、
作成された検索条件に適合する通行履歴が、出力パレットの出力形式に基づいて出力されるステップと、
を有することを特徴とする入退室管理装置の通行履歴検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−155577(P2012−155577A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14876(P2011−14876)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】