説明

入退室管理装置

【課題】通行履歴の記録件数を増やすことができるとともに、カード操作に伴う人の動きを記録することができる入退室管理装置を提供する。
【解決手段】扉の近傍に設けられ、扉の通行制御に要する情報をカードから読み取るカードリーダと、カードリーダの近傍に設けられ、カードリーダの近傍を所定の時間間隔で撮影するカメラと、カードリーダでカードが操作された前後の一定時間内にカメラが撮影した複数の画像に対して人物検出を行う検出装置と、一定時間内に撮影された複数の画像から人物が検出されない画像を間引いて、カードリーダに対して操作されたカードの通行履歴に、複数の画像のうち、人物が検出された画像を対応付けて記録する記録装置と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入退室管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入退室管理装置として、カードリーダでカードが操作された前後の一定時間内にカメラが撮影した複数の画像の中から、通行者の顔を認識するのに最も適したベストショット画像を選択するものが提案されている。これによれば、通行履歴の記録件数を増やすことができるとともに、通行履歴と顔画像を対応付けて記録することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−214231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のものにおいては、通行履歴と対応付けられる画像は、顔画像のみである。このため、不審者による不正操作や不審者に強制された操作等、カード操作に伴う人の動きを記録することができないという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、通行履歴の記録件数を増やすことができるとともに、カード操作に伴う人の動きを記録することができる入退室管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る入退室管理装置は、扉の近傍に設けられ、前記扉の通行制御に要する情報をカードから読み取るカードリーダと、前記カードリーダの近傍に設けられ、前記カードリーダの近傍を所定の時間間隔で撮影するカメラと、前記カードリーダでカードが操作された前後の一定時間内に前記カメラが撮影した複数の画像に対して人物検出を行う検出装置と、前記一定時間内に撮影された前記複数の画像から人物が検出されない画像を間引いて、前記カードリーダに対して操作されたカードの通行履歴に、前記複数の画像のうち、人物が検出された画像を対応付けて記録する記録装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、通行履歴の記録件数を増やすことができるとともに、カード操作に伴う人の動きを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1における入退室管理装置の基本構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における入退室管理装置に利用されるカードリーダの構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1における入退室管理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における入退室管理装置の基本構成図である。
図1において、1は扉である。これらの扉1は、建築物の各部屋の出入口等に設けられる。2は電気錠である。これらの電気錠2は、扉1の各々に対応して設けられる。これらの電気錠2は、各扉1の施錠及び解錠を行う機能を備える。3はカードリーダである。これらのカードリーダ3は、扉1の各々に対応して設けられる。これらのカードリーダ3は、操作されたカードの情報を読み取る機能を備える。
【0011】
4はコントローラである。これらのコントローラ4は、扉1の各々に対応して電気錠2とカードリーダ3とに接続される。これらのコントローラ4は、カードリーダ3が読み取ったカードの情報と予め設定された通行制御情報とを比較して、各扉1の施錠及び解錠を制御することによって、カードを操作した者の通行制御を行う機能を備える。
【0012】
5はセンター装置である。このセンター装置5は、建築物の管理人室等に設けられる。このセンター装置5は、各コントローラ4に接続される。このセンター装置5は、各扉1に対応した通行制御情報をコントローラ4に設定する機能を備える。また、センター装置5は、各扉1の状態を表示する機能を備える。
【0013】
6はカメラである。これらのカメラ6は、カードリーダ3の各々に対応してカードリーダ3の近傍に設けられる。これらのカメラ6は、カードリーダ3近傍の静止画像を撮影する機能を備える。なお、カメラ6は、カードリーダ3に内蔵される構成となっていてもよい。また、カメラ6が撮影した画像は、カードリーダ3に対して操作されたカードの通行履歴に対応付けられて、センター装置5内の記録装置に記録されるようになっている。
【0014】
次に、図2を用いて、カメラ6が撮影した画像とカードリーダ3に対して操作されたカードの通行履歴との対応付けについて説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における入退室管理装置に利用されるカードリーダの構成図である。
【0015】
図2には、カメラ6を内蔵したカードリーダ3が示される。このカードリーダ3は、カメラ6の他、カードR/W7、カード読取部8、コントローラ通信部9、カメラ制御部10、画像通知部11を備える。かかるカードリーダ3を備えた入退室管理装置においては、カメラ6が撮影した画像とカードリーダ3に対して操作されたカードの通行履歴との対応付けとして、様々なものが考えられる。
【0016】
例えば、通行履歴と1枚の画像を対応付けて記録する方式が考えられる。この方式においては、まず、カードR/W7に対してカード操作がなされると、カード読取部8により、カードの情報を読み取られる。そして、カード読取部8により、カードの情報がコントローラ通信部9を介してコントローラ4に出力される。また、これと同時に、カード読取部8により、カード操作信号がカメラ制御部10に出力される。
【0017】
そして、カメラ制御部10の制御により、カメラ6が1枚の画像を撮影する。また、これと同時に、コントローラ3により、カードの情報が扉1を通行する権限があるか否かがチェックされる。そして、権限がある場合は、コントローラ3により、通行履歴がセンター装置5に通知されるとともに、通行履歴と対応付けるためのデータがコントローラ通信部9を介して、画像通知部11に通知される。
【0018】
かかる通知を受けた画像通知部11により、予めカメラ6で撮影してあった1枚の画像が通行履歴と対応付けるためのデータとともにセンター装置5に通知される。かかる通知を受けたセンター装置5により、通行履歴と1枚の画像が対応付けられて記録される。
【0019】
この方式においては、上述したように、カード読取部8から出力されたカード操作信号をトリガとして、カメラ6が1枚の画像を撮影する。かかる方式では、必ずしも、カードを操作した者の顔を撮影することができるとは限らないという問題がある。
【0020】
かかる問題を解決する方式として、通行履歴とカード操作前後の複数枚の画像を対応付けて記録する方式がある。かかる方式においては、カメラ6により、所定の時間間隔で撮影が行われる。これらの画像は、一時的にカードリーダ3内部に保存される。そして、画像通知部11により、カード操作信号を受信した時間の前後の一定時間内に撮影された画像が通行履歴と対応付けるためのデータとともにセンター装置5に通知される。かかる通知を受けたセンター装置5により、通行履歴と複数の画像が対応付けられて記録される。
【0021】
この方式においては、1件の通行履歴に複数の画像が対応付けられる。このため、カードを操作した者の顔を撮影できる確率は高くなる。しかし、例えば、2fpsで記録した画像をカード操作前後5秒ずつ記録した場合、1件の通行履歴に20枚の画像が対応付けられる。このため、センター装置5の記録容量が上述の方式と同じである場合、上述の方式に比べ、画像を対応付けることができる通行履歴が1/20程度になってしまうという問題がある。
【0022】
かかる問題を解決する方式として、複数の画像の中で通行者の顔を認識するのに最も適したベストショット画像のみを通行履歴に対応付けて記録する方式がある。しかし、かかる方式は、あくまで顔画像のみを記録するものである。このため、不審者による不正な操作や不審者に強制された操作等、カード操作に伴う人の動きを記録することはできない。即ち、カードの不正利用等が発覚した場合に、十分な解析を行うことができない。
【0023】
そこで、本実施の形態においては、通行履歴の記録件数を増やすことができるとともに、カード操作に伴う人の動きを記録することができる方式を採用することとした。以下、図3を用いて、本実施の形態の入退室管理装置が通行履歴と画像とを対応付けて記録する際の動作について説明する。
【0024】
図3はこの発明の実施の形態1における入退室管理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、カメラ6により、カードリーダ3の近傍の全景画像が所定の時間間隔で撮影される。これらの画像は、一時的にカードリーダ3内に保存される。
【0025】
そして、ステップS1に進むと、画像通知部11により、カード操作信号が入力された前後の一定時間内にカメラ6に撮影された画像の中から1枚の画像が選択される。その後、ステップS2に進み、画像通知部11により、当該画像に対して、人物検出の処理がなされる。この人物検出は、顔以外の部分も含む体全体が識別できるように行われる。具体的には、特許第3883250号公報等に記載されているように、予め記録されている背景画像と当該画像との差分画像に基づいて、当該画像に対する人物検出が行われる。
【0026】
その後、ステップS3に進み、画像通知部11により、当該画像に対して人物が検出された否かが判断される。当該画像に対して人物が検出された場合は、ステップS4に進む。ステップS4では、画像通知部11により、当該画像が通知リストに追加された後、ステップS5に進む。これに対し、ステップS3で当該画像に対して人物が検出されなかった場合は、ステップS4を経由せずに、ステップS5に進む。即ち、画像通知部11は、画像に対して人物検出を行い、人物が検出されない画像は、通知リストから間引く検出装置として機能する。
【0027】
そして、ステップS5では、画像通知部11により、カード操作の前後の一定時間内に撮影された全画像がチェックされたか否かが判断される。カード操作の前後の一定時間内に撮影された全画像がチェックされていない場合は、ステップS1に戻り、上記動作が繰り返される。これに対し、カード操作の前後の一定時間内に撮影された画像がチェックされた場合は、ステップS6に進む。
【0028】
ステップS6では、画像通知部11により、通行履歴と対応付けるためのデータとともに通知リストの画像がセンター装置5に通知され、動作が終了する。かかる通知を受けたセンター装置5により、通行履歴と画像リストの画像が対応付けられて記録される。
【0029】
以上で説明した実施の形態1によれば、センター装置5は、カードリーダ3に対して操作されたカードの通行履歴に、人物が検出された画像のみを対応付けて記録する。即ち、人物が検出されなかった画像を間引くことにより、画像の情報記録量が削減される。このため、通行履歴の記録件数を増やすことができるとともに、カード操作自体に加え、カード操作に伴う人の動きを記録することができるという効果を得ることができる。また、センター装置5とカードリーダ3との間の通信負荷を低減することができるという付随的効果も得ることができる。
【0030】
さらに、センター装置5は、複数の扉1に関する通行履歴と人物が検出された画像とを対応付けて記録する。このため、複数の扉1に関する通行履歴と画像との解析を1箇所で行うことができる。
【0031】
なお、実施の形態1においては、人物の検出を行って画像を間引く検出装置としての機能は、カードリーダ3側にあった。しかし、かかる機能がセンター装置5側にあっても、同様の効果を得ることができる。また、人物の検出だけなく、より重要なものも同時に検出された画像のみを通行履歴に対応付けて記録する構成とすれば、より通行履歴の記録件数を増やすことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 扉、 2 電気錠、 3 カードリーダ、 4 コントローラ、
5 センター装置、 6 カメラ、 7 カードR/W、 8 カード読取部、
9 コントローラ通信部、 10 カメラ制御部、 11 画像通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の近傍に設けられ、前記扉の通行制御に要する情報をカードから読み取るカードリーダと、
前記カードリーダの近傍に設けられ、前記カードリーダの近傍を所定の時間間隔で撮影するカメラと、
前記カードリーダでカードが操作された前後の一定時間内に前記カメラが撮影した複数の画像に対して人物検出を行う検出装置と、
前記一定時間内に撮影された前記複数の画像から人物が検出されない画像を間引いて、前記カードリーダに対して操作されたカードの通行履歴に、前記複数の画像のうち、人物が検出された画像を対応付けて記録する記録装置と、
を備えたことを特徴とする入退室管理装置。
【請求項2】
前記カードリーダは、複数の扉の各々に対応して設けられ、
前記カメラは、前記カードリーダの各々に対応して設けられ、
前記記録装置は、前記複数の扉の通行制御に要する設定を行うセンター装置に設けられたことを特徴とする請求項1記載の入退室管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−141614(P2011−141614A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−664(P2010−664)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】