説明

入金機、およびカセット交換方法

【課題】硬貨または紙幣のどちらかの入金量が極端に多い場合でも回収コストを抑えたサービスを提供可能な入金機、およびカセット交換方法を提供する。
【解決手段】入金される紙幣を収納するための紙幣収納カセットと、入金される硬貨を収納するための硬貨収納カセットとを有した収納部と、紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットを施錠および開錠するロック部と、紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットに収納された紙幣または硬貨を計数するカウンタと、紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットに収納可能な枚数の紙幣または硬貨が収納され、紙幣または硬貨が回収される場合に、ロック部が施錠した収納可能な枚数が収納された紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットを開錠し、カウンタによる計数をクリアする制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、入金機に備えられた金庫のカセットの交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開平9−16691号公報(特許文献1)がある。近年この特許文献1に開示されているようなシステムに類似の方法を用いて、警備会社が入金機を使用して店舗の売上金を回収する等のビジネスが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−16691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入金機を使用した売上金の回収業務は、店舗の想定する売上金の入金枚数と使用する入金機の紙幣および硬貨の収納容量により想定される回収業務周期により、店舗側と警備会社側の双方にメリットがあって成り立つ。従って、硬貨または紙幣のどちらかの入金量が極端に多い場合は、回収作業の回数が多くなり集配金に掛かるコストが増大するため、集配金のビジネスが成り立たなくなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、硬貨または紙幣のどちらかの入金量が極端に多い場合でも回収コストを抑えたサービスを提供可能な入金機、およびカセット交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる入金機は、入金される紙幣を収納するための紙幣収納カセットと、入金される硬貨を収納するための硬貨収納カセットとを有した収納部と、前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットを施錠および開錠するロック部と、前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納された前記紙幣または前記硬貨を計数するカウンタと、前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納可能な枚数の紙幣または硬貨が収納され、前記紙幣または前記硬貨が回収される場合に、前記ロック部が施錠した収納可能な枚数が収納された前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットを開錠し、前記カウンタによる計数をクリアする制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記入金機で行われるカセット交換方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬貨または紙幣のどちらかの入金量が極端に多い場合でも回収コストを抑えたサービスを提供可能な入金機、およびカセット交換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】硬貨に限定した硬貨金庫引き出し部の引き出し図である。
【図2】金庫引き出し部の引き出し図である。
【図3】本発明方式入金機の運用例(硬貨)のフローである。
【図4】現行方式入金機の運用例(硬貨)のフローである。
【図5】紙幣に限定した紙幣金庫引き出し部の引き出し図である。
【図6】本発明方式入金機の運用例(紙幣)のフローである。
【図7】現行方式入金機の運用例(紙幣)のフローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる入金機、およびカセット交換方法の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1、図2、図3、図4を用いて、現行(従来)方式の入金機と本発明かかる入金機を説明する。なお、以下では入金機の操作をカードで行うことを前提として説明しているが、操作ボタン等の入力装置による操作等、カード以外の方法により入金機の操作をおこなうこととしてもよい。また、本実施例における入金機は、紙幣に比べて硬貨の入金枚数が極端に多い場合について説明し、入金機の金庫引き出し部の構成は、紙幣と硬貨が別に引き出し可能な構成となっており、硬貨カセット単独で引き出されて交換される場合について説明している。
【0012】
続いて、図2を用いて現行方式の入金機を説明する。図2に示すように、現行方式の入金機においては、紙幣カセット202、硬貨カセット102を取り出して交換するためには、まず、カードリーダライタ103が、回収者が近接させた回収用カード104(例えば、非接触または接触により読取可能なIC(Integrated Circuit)カード)を読み取り、正常な回収者であることが認識されると、入金機の各部の動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)等から構成される制御部(不図示)は、金庫引き出し部201のロックを開錠する。制御部がそのロックを開錠すると金庫引き出し部201の全体(紙幣カセット202および硬貨カセット201)が前面側に少し移動して出てくる状態となる。このような移動は、例えば、金庫引き出し部201の全体がフランジ付きの車輪を備え、所定のレールに沿って車輪が転がることにより、脱輪することなく移動可能となっている。
【0013】
そして、金庫引き出し部201が前面側に少し移動して出てくると、回収者は、その金庫引き出し部201を最大限に引き出し、紙幣の入った紙幣カセット202と硬貨の入った硬貨カセット102を取り出すとともに、空の紙幣カセット、空の硬貨カセットを装填する。そして、回収者は、これらのカセットが装填された金庫引き出し部201を押し込み元に戻すことにより紙幣や硬貨を回収してカセットの交換を行う。これを回収操作と呼び、この一連の作業を回収作業と呼ぶ。回収操作が成立すると、制御部は紙幣カセット202、硬貨カセット102の有り高情報を装置外部に出力するとともに、装置内の有り高情報をクリアし、新たな入金に備える。このように、現行方式の入金機では上述した回収操作機能のみを有したものとなっている。
【0014】
続いて、本実施の形態における入金機について説明する。図1に示すように、本実施の形態における入金機は、現行方式の入金機の回収操作機能を備えていて、更に加えて金庫引き出し部201の硬貨金庫部分が単独で動作する硬貨金庫引き出し部101を有する機構を有している。この機構を使用するために、回収者は、硬貨カセット交換用カード105(例えば、非接触または接触により読取可能なICカード)をあらかじめ入金機に登録しておき、登録された硬貨カセット交換用カード105をカードリーダライタ103に近接させる等して使用することができるようになっている。
【0015】
カードリーダライタ103が硬貨カセット交換用カード105を読み取り、正常な回収者であることが認識されると、制御部は金庫引き出し部201内の硬貨金庫引き出し部101のみのロックを開錠し、硬貨金庫引き出し部101が前面側に少し移動して出てくる状態となる。そして、硬貨金庫引き出し部101が前面側に少し出てくると、回収者は、その硬貨金庫引き出し部101を最大限に引き出し、硬貨の入った硬貨カセット102を取り出すとともに、空の硬貨カセットを装填し、そのカセットが装填された硬貨金庫引き出し部101を押し込み元に戻すことにより硬貨を回収して硬貨カセットの交換を行うことができる。この硬貨カセット102の交換において、制御部は、交換成立時に硬貨カセット102の有り高情報を装置外部に出力するが、装置内のカウンタ(不図示)で有している硬貨カセットの有り高情報はクリアせず継続して加算をする。
【0016】
なお、本実施の形態では、制御部が硬貨金庫引き出し部101を少し出しているが、この機能は、回収者が硬貨金庫引き出し部101を引き出し易くするためのものであるため、必ずしもこの機構を備えている必要はない。
【0017】
続いて、現行方式の入金機と本実施の形態における入金機を使用した運用を運用フローに示し比較を行う。図4は、現行方式の入金機での運用フローを示す。以下では、現行方式の入金機における1日目から6日目まで運用される場合について示している。また、入金機の金庫に収納可能な紙幣の枚数および硬貨の枚数は、それぞれ3500枚および5000枚であり、入金機が設置された店舗で入金される紙幣および硬貨の想定枚数は、それぞれ500枚/日および3000枚/日であるものとする。
【0018】
図4に示すように、まず、1日目は、紙幣については1日あたり500枚の入金があるため、収納可能枚数に対して紙幣の入金後の空きを示す残枚数(紙幣金庫残枚数)は、3000枚となる。これと同様に、紙幣については1日あたり3000枚の入金があるため、収納可能枚数に対して紙幣の入金後の空きを示す残枚数(硬貨金庫残枚数)は、2000枚となる。これらの数値は入金機の許容範囲である収納可能な枚数の範囲内であるため、入金機では金庫の交換等の処理は何もせずに正常に終了し、売上金の締め処理が行われる。
【0019】
そして、2日目は、1日目の終了時点での紙幣金庫残枚数が3000枚であるところ、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、2日目の紙幣金庫残枚数は2500枚となる。一方、1日目の終了時点の硬貨金庫残枚数が2000枚であるところ、1日あたりの入金枚数が3000枚であるため、2日目に入金される硬貨が2000枚となったところで金庫が満杯となり、入金機は硬貨金庫満杯を表示し動作を停止する。その際、硬貨金庫満杯を装置外部に出力することもできる。
【0020】
そして、店舗から警備会社に回収依頼を行い、店舗からの依頼あるいは装置からの報告を受けた警備会社は、空の紙幣カセットと空の硬貨カセットを持って出動し、回収操作により紙幣の入ったカセットと硬貨の入ったカセットの両方を取り出し、空の紙幣カセットと空の硬貨カセットの両方を入金機に装填し、取り出した紙幣カセットと硬貨カセットを持ち帰り精査する。
【0021】
この時点では、紙幣金庫および硬貨金庫のそれぞれが空の金庫に交換されているため、紙幣金庫残枚数は、収納可能枚数である3500枚となる。一方、上述したように、2日目の硬貨が2000枚入金された段階で満杯となったため、1日あたりの入金枚数との差である1000枚が入金された状態となっており、硬貨金庫残枚数は、4000枚となる。
【0022】
その後、3日目は、1日目と同様に、紙幣については1日あたり500枚の入金があるため、紙幣金庫残枚数は3000枚となる。これと同様に、硬貨については1日あたり3000枚の入金があるため、硬貨金庫残枚数は1000枚となる。
【0023】
そして、4日目は、2日目と同様に、3日目の紙幣残枚数が3000枚であり、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、紙幣金庫残枚数は2500枚となる。一方、3日目の硬貨の残枚数は1000枚であるため、3日目の1日あたりの硬貨の入金枚数3000枚のうち1000枚が投入された段階で満杯となる。従って、2日目の場合と同様に、店舗から警備会社に回収依頼を行い、警備会社は紙幣および硬貨の回収操作を行って、空の紙幣カセットおよび空の硬貨カセットに交換される。
【0024】
この時点では、2日目の場合と同様に、紙幣金庫残枚数は、紙幣全てが回収された状態にあるため、3500枚となる。一方、硬貨金庫残枚数は、1日あたりの硬貨の入金枚数が3000枚であるところ、1000枚は既に回収されて、残りの2000枚が入金されることとなるため、3000枚となる。
【0025】
そして、5日目では、4日目の紙幣金庫残枚数が3500枚であり、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、紙幣金庫残枚数は3000枚となる。一方、4日目の硬貨金庫残枚数が3000枚であり、1日あたりの入金枚数が3000枚であるため、その日の全ての売上金を入金し、硬貨金庫残枚数は0枚となる。そして、2日目、4日目の場合と同様に、店舗から警備会社に回収依頼を行い、警備会社は紙幣および硬貨の回収操作を行って、空の紙幣カセットおよび空の硬貨カセットに交換される。
【0026】
6日目以降も、1日目〜5日目と同様の運用方法により入金機が運用され、このように、現行方式入金機では、5日間に3回の警備会社出動による回収作業が発生することになる。
【0027】
続いて、図3を用いて本実施の形態における入金機での運用フローを示す。なお、紙幣および硬貨の収納可能枚数、1日あたりの紙幣および硬貨の入金想定枚数については、図4に示した場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。ただし、図3に示す例では、店舗側に空の硬貨金庫が2つ準備されているものとする。
【0028】
まず、1日目は、図4に示した場合と同様に、紙幣については1日あたり500枚の入金があるため、紙幣金庫残枚数は3000枚となり、硬貨については1日あたり3000枚の入金があるため、硬貨金庫残枚数は、2000枚となる。これらの数値は入金機の許容範囲である収納可能な枚数の範囲内であるため、入金機では金庫の交換等の処理は何もせずに正常に終了し、売上金の締め処理が行われる。
【0029】
そして、2日目では、1日目の終了時点での紙幣金庫残枚数が3000枚であるところ、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、2日目の紙幣金庫残枚数は2500枚となる。一方、1日目の終了時点の硬貨金庫残枚数が2000枚であるところ、1日あたりの入金枚数が3000枚であるため、2日目に入金される硬貨が2000枚となったところで金庫が満杯となり、入金機は硬貨金庫満杯を表示して入金を一時中断する。このとき、店舗で準備されている空きの硬貨カセットと使用中の硬貨カセットとを交換するための硬貨カセット交換用カード105を入金機に読み取らせる。
【0030】
硬貨カセット交換用カード105が入金機のカードリーダライタ103に読み取られると、入金機の制御部は、硬貨金庫引き出し部101のみのロックを開錠する。すると、硬貨金庫引き出し部101が前面側に少し移動して出てくる状態となる。そして、硬貨金庫引き出し部101が前面側に少し移動して出てくると、回収者は、その硬貨金庫引き出し部101を最大限に引き出し、満杯となった硬貨カセットを取り出し、店舗に事前に準備されている空の硬貨カセットを装填し、硬貨金庫引き出し部101を押し込み元に戻す。これにより、入金機の入金が可能になるので残りの硬貨入金を引き続き行う。交換した満杯の硬貨カセットは警備会社の回収作業まで店舗で保管することとなる。
【0031】
そして、制御部は、一時中断していた入金を再開すると、本来入金すべき1日あたりの硬貨の枚数3000枚のうちの残りの未入金の1000枚を入金し、硬貨金庫残枚数は4000枚となる。
【0032】
その後、3日目は、1日目と同様に、紙幣については1日あたり500枚の入金があるため、紙幣金庫残枚数は2000枚となる。これと同様に、硬貨については1日あたり3000枚の入金があるため、硬貨金庫残枚数は1000枚となる。
【0033】
そして、4日目は、2日目と同様に、3日目の紙幣残枚数が2000枚であり、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、紙幣金庫残枚数は1500枚となる。一方、3日目の硬貨の残枚数は1000枚であるため、3日目の1日あたりの硬貨の入金枚数3000枚のうち1000枚が投入された段階で満杯となる。従って、2日目の場合と同様に、制御部は入金を一時中断し、満杯となった硬貨カセットを取り出し、店舗に事前に準備されている空の硬貨カセットを装填し、硬貨金庫引き出し部101を押し込み元に戻す。これにより、入金機の入金が可能になるので残りの硬貨入金を引き続き行う。
【0034】
そして、制御部は、一時中断していた入金を再開すると、本来入金すべき1日あたりの硬貨の枚数3000枚のうちの残りの未入金の2000枚を入金し、硬貨金庫残枚数は3000枚となる。
【0035】
5日目は、4日目の紙幣金庫残枚数が1500枚であり、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、紙幣金庫残枚数は1000枚となる。一方、4日目の硬貨金庫残枚数が3000枚であり、1日あたりの入金枚数が3000枚であるため、その日の全ての売上金を入金し、紙幣金庫残枚数は0枚となる。そして、既に店舗で準備されていた空の硬貨カセットの残りがないため、この段階ではじめて店舗から警備会社に回収依頼を行い、警備会社は紙幣および硬貨の回収操作を行って、空の紙幣カセットおよび空の硬貨カセットに交換される。このとき、警備会社は、店舗で交換した満杯の硬貨カセットも回収金額に含まれるので一緒に持ち帰り、代わりに次回交換用の空の硬貨カセットを置いて帰ることとなる。そして、6日目以降も、1日目〜5日目と同様の運用方法により入金機が運用される。
【0036】
このように、本実施の形態における入金機では、5日間に1回の警備会社出動で済むことになり、費用の削減が可能となる。また、店舗側も硬貨金庫満杯が発生すると、現行方式入金機では、警備会社の回収作業が終了するまで残りの入金ができなくなり待たされるが、本方式ではその無駄な時間をなくすことが可能となる。
【実施例2】
【0037】
上述した実施例1においては、硬貨の入金枚数が紙幣の入金枚数に比べて極端に多い場合について説明した。しかし、月末等には紙幣の入金枚数のほうが硬貨の入金枚数に比べて極端に多くなる場合もある。そこで、このような場合に備え、図2、図5、図6、図7を用いて、硬貨に比べて紙幣の入金枚数が極端に多い場合について説明する。なお、実施例1の場合と同様、以下では入金機の操作をカードで行うことを前提として説明しているが、操作ボタン等の入力装置による操作等、カード以外の方法により入金機の操作をおこなうこととしてもよい。また、現行方式の入金機の構成については、実施例1(図2)に示した場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0038】
続いて、図5を用いて本実施の形態における入金機について説明する。図5に示すように、本実施の形態における入金機は、現行方式の入金機の回収操作機能を備えていて、更に加えて金庫引き出し部201の紙幣金庫部分が単独で動作する紙幣金庫引き出し部301を有する機構を有している。この機構を使用するために、回収者は、紙幣カセット交換用カード106をあらかじめ入金機に登録しておき、登録された紙幣カセット交換用カード106をカードリーダライタ103に近接させる等して使用することができるようになっている。
【0039】
カードリーダライタ103が紙幣カセット交換用カード106を読み取り、正常な回収者であることが認識されると、制御部は金庫引き出し部201内の紙幣金庫引き出し部301のみのロックを開錠し、紙幣金庫引き出し部301が前面側に少し移動して出てくる状態となる。そして、紙幣金庫引き出し部301が前面側に少し出てくると、回収者は、その紙幣金庫引き出し部301を最大限に引き出し、紙幣の入った紙幣カセット202を取り出すとともに、空の紙幣カセットを装填し、そのカセットが装填された紙幣金庫引き出し部301を押し込み元に戻すことにより紙幣を回収して紙幣カセットの交換を行うことができる。この紙幣カセット202の交換において、制御部は、交換成立時に紙幣カセット202の有り高情報を装置外部に出力するが、装置内のカウンタ(不図示)で有している紙幣カセットの有り高情報はクリアせず継続して加算をする。
【0040】
なお、本実施の形態では、実施例1の場合と同様、制御部が紙幣金庫引き出し部301を少し出しているが、この機能は、回収者が紙幣金庫引き出し部301を引き出し易くするためのものであるため、必ずしもこの機構を備えている必要はない。
【0041】
続いて、現行方式の入金機と本実施の形態における入金機を使用した運用を運用フローに示し比較を行う。図7は、現行方式の入金機での運用フローを示す。以下では、実施例1の場合と同様、現行方式の入金機における1日目から6日目まで運用される場合について示している。また、入金機の金庫に収納可能な紙幣の枚数および硬貨の枚数は、それぞれ3500枚および5000枚であり、入金機が設置された店舗で入金される紙幣および硬貨の想定枚数は、それぞれ2100枚/日および500枚/日であるものとする。
【0042】
図7に示すように、まず、1日目は、紙幣については1日あたり2100枚の入金があるため、収納可能枚数に対して紙幣の入金後の空きを示す残枚数(紙幣金庫残枚数)は、1400枚となる。これと同様に、紙幣については1日あたり500枚の入金があるため、収納可能枚数に対して紙幣の入金後の空きを示す残枚数(硬貨金庫残枚数)は、4500枚となる。これらの数値は入金機の許容範囲である収納可能な枚数の範囲内であるため、入金機では金庫の交換等の処理は何もせずに正常に終了し、売上金の締め処理が行われる。
【0043】
そして、2日目は、1日目の終了時点での紙幣金庫残枚数が1400枚であるところ、1日あたりの入金枚数が2100枚であるため、2日目に入金される紙幣が1400枚となったところで金庫が満杯となり、入金機は紙幣金庫満杯を表示し動作を停止する。その際、紙幣金庫満杯を装置外部に出力することもできる。一方、1日目の終了時点の硬貨金庫残枚数が4500枚であるところ、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、2日目に入金される硬貨金庫残枚数は4000枚となる。
【0044】
そして、店舗から警備会社に回収依頼を行い、店舗からの依頼あるいは装置からの報告を受けた警備会社は、空の紙幣カセットと空の硬貨カセットを持って出動し、回収操作により紙幣の入ったカセットと硬貨の入ったカセットの両方を取り出し、空の紙幣カセットと空の硬貨カセットの両方を入金機に装填し、取り出した紙幣カセットと硬貨カセットを持ち帰り精査する。
【0045】
この時点では、紙幣金庫および硬貨金庫のそれぞれが空の金庫に交換されているため、紙幣金庫残枚数は、収納可能枚数である5000枚となる。一方、上述したように、2日目の紙幣が1400枚入金された段階で満杯となったため、1日あたりの入金枚数との差である700枚が入金された状態となっており、紙幣金庫残枚数は、2800枚となる。
【0046】
その後、3日目は、1日目と同様に、紙幣については1日あたり2100枚の入金があるため、紙幣金庫残枚数は700枚となる。これと同様に、硬貨については1日あたり500枚の入金があるため、硬貨金庫残枚数は4500枚となる。
【0047】
そして、4日目は、2日目と同様に、3日目の紙幣残枚数が700枚であり、1日あたりの入金枚数が2100枚であるため、3日目の1日あたりの紙幣の入金枚数2100枚のうち700枚が投入された段階で満杯となる。従って、2日目の場合と同様に、店舗から警備会社に回収依頼を行い、警備会社は紙幣および硬貨の回収操作を行って、空の紙幣カセットおよび空の硬貨カセットに交換される。一方、3日目の硬貨の残枚数は4500枚であるところ、3日目の1日あたりの硬貨の入金枚数500枚であるため、4日目に入金される硬貨金庫残枚数は4000枚となる。
【0048】
この時点では、2日目の場合と同様に、硬貨金庫残枚数は、硬貨全てが回収された状態にあるため、5000枚となる。一方、紙幣金庫残枚数は、1日あたりの硬貨の入金枚数が2100枚であるところ、700枚は既に回収されて、残りの1400枚が入金されることとなるため、2100枚となる。
【0049】
そして、5日目では、4日目の紙幣金庫残枚数が2100枚であり、1日あたりの入金枚数が2100枚であるため、その日の全ての売上金を入金し、紙幣金庫残枚数は0枚となる。一方、4日目の硬貨金庫残枚数が5000枚であり、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、硬貨金庫残枚数は4500枚となる。そして、2日目、4日目の場合と同様に、店舗から警備会社に回収依頼を行い、警備会社は紙幣および硬貨の回収操作を行って、空の紙幣カセットおよび空の硬貨カセットに交換される。
【0050】
6日目以降も、1日目〜5日目と同様の運用方法により入金機が運用され、このように、現行方式入金機では、5日間に3回の警備会社出動による回収作業が発生することになる。
【0051】
続いて、図6を用いて本実施の形態における入金機での運用フローを示す。なお、紙幣および硬貨の収納可能枚数、1日あたりの紙幣および硬貨の入金想定枚数については、図7に示した場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。ただし、図6に示す例では、店舗側に空の紙幣金庫が2つ準備されているものとする。
【0052】
まず、1日目は、図7に示した場合と同様に、紙幣については1日あたり2100枚の入金があるため、紙幣金庫残枚数は1400枚となり、硬貨については1日あたり500枚の入金があるため、硬貨金庫残枚数は、4500枚となる。これらの数値は入金機の許容範囲である収納可能な枚数の範囲内であるため、入金機では金庫の交換等の処理は何もせずに正常に終了し、売上金の締め処理が行われる。
【0053】
そして、2日目では、1日目の終了時点での紙幣金庫残枚数が1400枚であるところ、1日あたりの入金枚数が2100枚であるため、2日目に入金される紙幣が1400枚となったところで金庫が満杯となり、入金機は紙幣金庫満杯を表示して入金を一時中断する。このとき、店舗で準備されている空きの紙幣カセットと使用中の紙幣カセットとを交換するための紙幣カセット交換用カード106を入金機に読み取らせる。一方、1日目の終了時点の硬貨金庫残枚数が4500枚であるところ、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、2日目の紙幣金庫残枚数は4000枚となる。
【0054】
紙幣カセット交換用カード106が入金機のカードリーダライタ103に読み取られると、入金機の制御部は、紙幣金庫引き出し部301のみのロックを開錠する。すると、紙幣金庫引き出し部301が前面側に少し移動して出てくる状態となる。そして、紙幣金庫引き出し部301が前面側に少し移動して出てくると、回収者は、その紙幣金庫引き出し部301を最大限に引き出し、満杯となった紙幣カセットを取り出し、店舗に事前に準備されている空の紙幣カセットを装填し、紙幣金庫引き出し部301を押し込み元に戻す。これにより、入金機の入金が可能になるので残りの紙幣入金を引き続き行う。交換した満杯の紙幣カセットは警備会社の回収作業まで店舗で保管することとなる。
【0055】
そして、制御部は、一時中断していた入金を再開すると、本来入金すべき1日あたりの紙幣の枚数2100枚のうちの残りの未入金の700枚を入金し、紙幣金庫残枚数は2800枚となる。
【0056】
その後、3日目は、1日目と同様に、紙幣については1日あたり2100枚の入金があるため、紙幣金庫残枚数は700枚となる。これと同様に、硬貨については1日あたり500枚の入金があるため、硬貨金庫残枚数は3500枚となる。
【0057】
そして、4日目は、2日目と同様に、3日目の紙幣残枚数が700枚であり、1日あたりの入金枚数が2100枚であるため、3日目の1日あたりの紙幣の入金枚数2100枚のうち700枚が投入された段階で満杯となる。従って、2日目の場合と同様に、制御部は入金を一時中断し、満杯となった紙幣カセットを取り出し、店舗に事前に準備されている空の紙幣カセットを装填し、紙幣金庫引き出し部301を押し込み元に戻す。これにより、入金機の入金が可能になるので残りの紙幣入金を引き続き行う。一方、3日目の硬貨の残枚数は3500枚であるところ、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、硬貨金庫残枚数は3000枚となる。
【0058】
そして、制御部は、一時中断していた入金を再開すると、本来入金すべき1日あたりの紙幣の枚数2100枚のうちの残りの未入金の1400枚を入金し、紙幣金庫残枚数は2100枚となる。
【0059】
5日目は、4日目の紙幣金庫残枚数が2100枚であり、1日あたりの入金枚数が2100枚であるため、その日の全ての売上金を入金し、紙幣金庫残枚数は0枚となる。そして、既に店舗で準備されていた空の紙幣カセットの残りがないため、この段階ではじめて店舗から警備会社に回収依頼を行い、警備会社は紙幣および硬貨の回収操作を行って、空の紙幣カセットおよび空の硬貨カセットに交換される。このとき、警備会社は、店舗で交換した満杯の紙幣カセットも回収金額に含まれるので一緒に持ち帰り、代わりに次回交換用の空の紙幣カセットを置いて帰ることとなる。一方、4日目の硬貨金庫残枚数が3000枚であり、1日あたりの入金枚数が500枚であるため、硬貨金庫残枚数は2500枚となる。そして、6日目以降も、1日目〜5日目と同様の運用方法により入金機が運用される。
【0060】
このように、本実施の形態における入金機では、5日間に1回の警備会社出動で済むことになり、費用の削減ができる。また、店舗側も紙幣金庫満杯が発生すると、現行方式入金機では、警備会社の回収作業が終了するまで残りの入金ができなくなり待たされるが、本方式ではその無駄時間がなくすことが可能となる。
【0061】
上述した実施例1、実施例2において示したように、金庫引き出し部201が、入金される紙幣を収納するための紙幣収納カセットと、入金される硬貨を収納するための硬貨収納カセットとを有し、制御部からの指示によりロックが紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットを施錠および開錠し、カウンタが、紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットに収納された紙幣または硬貨を計数し、制御部が、紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットに収納可能な枚数の紙幣または硬貨が収納され、紙幣または硬貨が回収される場合に、ロックが施錠した収納可能な枚数が収納された紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットを開錠し、カウンタによる計数をクリアすることにより、硬貨または紙幣のどちらかの入金量が極端に多い場合でも回収コストを抑えたサービスが提供可能となる。
【0062】
例えば、従来は回収機能で回収用カードを使用して紙幣カセットと硬貨カセットを搭載した金庫引き出し部を開錠して金庫引き出し部を引き出し売上金の入った紙幣カセットと硬貨カセットを取り出し空の紙幣カセットと硬貨カセットを交換することだけであったカセット交換方式に対して、さらに店舗において硬貨カセット交換用カードと空の硬貨カセットを有し、硬貨カセット満杯が発生した場合には硬貨カセット交換用カードを使用し、硬貨カセット交換機能を実行し空の硬貨カセットと交換する。また、この硬貨カセット交換機能は、硬貨カセットが交換されたことや交換された金庫内の有り高などの情報を入金機の外部出力機能で報告し精査情報とし、回収ではないので硬貨カセットの有り高情報は引き続き積算を継続する。交換した満杯の硬貨カセットは次回の警備会社の回収まで店舗が保管する。警備会社は契約の周期で従来通りの回収を行うがその際、店舗が交換した満杯の硬貨カセットも回収金に含まれるので同時に回収し、必要分の空の硬貨カセットを置いて帰ることとなる。これにより上述した課題を解決することが可能となる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、あるいは上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせてもよい。例えば、実施例1および実施例2に示した交換方法を組み合わせて、紙幣カセット交換用カードと硬貨カセット交換用カードとをそれぞれ別個に準備してそれらを1つのカードリーダライタに読ませ、紙幣交換および硬貨交換を1つの入金機で実行させるように構成することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0064】
101 硬貨金庫引き出し部
102 硬貨カセット
103 カードリーダライタ
104 回収用カード
105 硬貨カセット交換用カード
106 紙幣カセット交換用カード
201 金庫引き出し部
202 紙幣カセット
301 紙幣金庫引き出し部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金される紙幣を収納するための紙幣収納カセットと、入金される硬貨を収納するための硬貨収納カセットとを有した収納部と、
前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットを施錠および開錠するロック部と、
前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納された前記紙幣または前記硬貨を計数するカウンタと、
前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納可能な枚数の紙幣または硬貨が収納され、前記紙幣または前記硬貨が回収される場合に、前記ロック部が施錠した収納可能な枚数が収納された前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットを開錠し、前記カウンタによる計数をクリアする制御部と、
を備えたことを特徴とする入金機。
【請求項2】
前記紙幣または前記硬貨の回収操作をするための回収IC(Integrated Circuit)カードと、前記紙幣カセットまたは前記硬貨カセットの交換操作をするための交換ICカードとを読み取るリーダライタ部をさらに備え、
前記制御部は、前記回収ICカードおよび前記交換ICカードを正しく認識できた場合にのみ、前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納可能な枚数が収納された紙幣または硬貨の回収を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の入金機。
【請求項3】
前記リーダライタ部は、前記紙幣の交換操作をするための紙幣交換ICカードおよび前記硬貨の交換操作をするための硬貨交換ICカードの両方を読み取り、前記制御部は、前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納可能な枚数が収納された紙幣または硬貨の回収を受け付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の入金機。
【請求項4】
収納可能な枚数の紙幣または硬貨が収納された紙幣収納カセットまたは硬貨収納カセットが回収される場合に、前記入金機に装填される新たな空の紙幣交換用カセットまたは硬貨交換用カセットが、前記入金機が備えられた店舗に保持されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の入金機。
【請求項5】
入金される紙幣を収納するための紙幣収納カセットと、入金される硬貨を収納するための硬貨収納カセットとを有した収納部を有した入金機で行われるカセット交換方法であって、
前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納可能な枚数の紙幣または硬貨が収納するステップと、
前記紙幣または前記硬貨が回収される場合に、ロック部によって施錠した収納可能な枚数が収納された前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットを開錠するステップと、
前記紙幣収納カセットまたは前記硬貨収納カセットに収納された前記紙幣または前記硬貨を計数するカウンタによる計数をクリアするステップと、
を含むことを特徴とするカセット交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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