説明

全バナナ(MusaSpp.)果実からの天然抽出物

【課題】
良好な抗酸化特性を備えた全バナナ(Musa Spp.)からの天然抽出物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
バナナ(Musa Spp)の全果実(熟していてもいなくてもよい)からの天然抽出物であって、主に天然のメラトニン、セロトニン、カテコールアミンとその前駆物質、アミノ酸のトリプトファンとチロシン、ミネラルのカリウム、マグネシウム、リン、および、抗酸化物を含み、炭水化物を極少量しか含まないか全く含まない。最終的な抽出物は、液体、半固体、または粉末状である。抽出物は、粉末または粉末均等物の状態で、1日量1〜1000mgで、哺乳動物および動物に使用される。抽出物は、栄養補助食品、薬剤、アジュバントとして、液体、ゲル、カプセル、カプレット、または錠剤形式で使用される。抽出には、物理的処理、酵素加工および樹脂抽出が主に使用される。保存期間のために、防腐剤、酸化防止剤などの食品グレードまたは薬品グレードの添加物を添加する。効果または用法をさらに向上させるために、他の抽出物、ビタミン、ミネラル、アミノ酸を添加してもよい。抽出物は、一つまたは複数の病気において、気分高揚、ストレス、不安および鬱の減少、基礎代謝率(BMR)上昇、発熱、肥満、高脂血症、高コレステロール、高血圧、糖尿病、睡眠障害、神経疾患、筋疾患、勃起障害、体内のカリウム量増加のために、哺乳動物または動物用に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全バナナ(Musa Spp.)果実からの天然抽出物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バナナは、バショウ科バショウ属の草本植物の果実の総称である。バナナは東南アジアの熱帯地方を原産とする。バナナは殆どが果実用に栽培されているが、繊維用または観賞用にも栽培されている。
【0003】
バナナは、世界の約170か国で生産されている。発展途上国世界においては、バナナは主食と見なされている。また、即時的エネルギーや、豊富な繊維、ミネラル、ビタミンの源でもある。バナナには、植物栄養素(phyto-nutrients)、ステロール、脂肪酸を含む約200の揮発性成分が含まれている。
【0004】
コップ一杯の全乳とともに食するバナナは、主食と見なされ、体に必要な栄養を完全に供給できる。これは、ダイエットをする人にとって、最も好ましい食事と考えられている。神経伝達物質とその前駆物質に富み、即効的な気分高揚効果がある。カリウムが豊富なバナナは、高血圧の人にも良い。バナナは、子供から高齢者に至るまで、誰にとっても非常に安全と考えられる唯一の果物である。
【0005】
従来、バナナは、胃の不快感、潰瘍、便秘によいと考えられている。バナナの澱粉が、胃に保護層を与える一方で、消化されないバナナの繊維は、コレステロール低下と便秘に効果がある。アフリカ原住民は、バナナの皮の内側部分を、虫刺されや皮膚のトラブルのために使用する。バナナの皮は、カリウムを多く含むが糖分(糖分は食用部分により多く含まれる)を含まないため、アーユルベーダ(インドの伝統医学)では、糖尿病患者に、バナナの皮を食べることを薦めている。
【0006】
古来の用法および最近の研究成果により、バナナには、良好な抗酸化特性があり、電解質平衡異常を補正することが示されている。
【0007】
抗欝および抗不安治療に用いられる薬剤は、主に2クラス、つまり、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とに分類される。これらの薬剤は、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害することによって作用する。これにより、セロトニンおよびノルアドレナリンの細胞外濃度が上昇し、神経伝達物質が増加する。
【0008】
バナナ(Musa paradisiaca)由来のフラボノイドの抗酸化活性に関し、通常の食事を与えられたラットと高脂肪食を与えられたラットで、研究が行なわれた。過酸化生成物、つまり、マロンジアルデヒド、ヒドロペルオキシド、共役ジエンの濃度が著しく低下し、一方で、カタラーゼとスーパーオキシドジスムターゼの活性が著しく増強した。グルタチオンの濃度も、投与を受けた動物で上昇した(非特許文献1)。
【0009】
多くの研究者により、150以上の揮発性物質がバナナ中で特定された。成分の多くは脂肪族エステル、アルコール、カルボニルである(非特許文献2)。
【0010】
様々な成熟段階の果肉組織からバナナ(Musa acuminata, cv Dwarf Cavendish)タンパク質を抽出し、二次元電気泳動による分析を行なった。その結果、成熟過程における差分的なタンパク質蓄積が実証された。2組のポリペプチドが検出され、成熟した果実では顕著に増加していた。これらのポリペプチドは、ウェスタンブロット法、コンカナバリンA結合分析によって、糖タンパク質であるとされた(非特許文献3)。
【0011】
この研究により、バナナが、強力な抗酸化物質であるドーパミンを大量に含んでいることがわかった。ドーパミンの抗酸化力は、BHA、BHT、フラボノイド、グルタチオン、カテキンよりも大きく、強力な抗酸化物質であるガロカテキンガラートおよびアスコルビン酸と同程度である(非特許文献4)。
【0012】
ドーパミンには、エイコサノイド合成を調節することにより、腸粘膜損傷に対する保護作用があることが発見された(非特許文献5)。
【0013】
このスクリーニングの結果、熟していないバナナと熟した黄色のバナナの果肉は、それぞれ31.4ng/gおよび18.5ng/gの濃度の5−ヒドロキシトリプタミンを含むことがわかった。100gの果実または野菜の組織中の平均メラトニン量は、次の通りである。バナナ、47ng(非特許文献6)。
【0014】
成熟したバナナおよびプランテインバナナの果実に、比較的大量にマンノース結合ジャカリン関連レクチンが存在することは、これらフルーツ関連生物学的活性タンパク質の生理学的役割に疑問を投げかける(非特許文献7)。
【0015】
ドーパミンは、ラジカル捕捉速度が、カテキンより速く、ガロカテキンガラートと同程度であった。アスコルビン酸は、最も強力な水溶性の抗酸化物質である。ドーパミンは、アスコルビン酸と同程度の活性を呈した。成熟段階によって、バナナは、8〜118mg/皮100g、0.8〜2.10mg/果肉100gを含んでいる(非特許文献8)。
【0016】
緑茶を摂取したグループは、摂取しなかったグループと比べて、脂肪の燃焼量が35パーセント以上多いことを、研究者が発見した。ノルアドレナリンに関しても、37パーセントの上昇が測定された。緑茶は、体内でのノルアドレナリンの分解を妨げる働きがあり、その結果、脂肪燃焼の働きをするノルアドレナリンのレベルを高くするものと考えられている(非特許文献9)。
【0017】
ノルアドレナリンやアドレナリンのようなカテコールアミン・ホルモンは熱発生と脂肪分解を増進させることにより、エネルギー消費を増加させ、脂肪蓄積を減少させることができる(非特許文献10)。
【0018】
3つの重要な神経伝達物質系(ドーパミン、セロトニンおよびノルアドレナリン)中の神経細胞により、著しい脳の調節異常また時には重篤な精神科的症状を引き起こす可能性のあるのは、これら系の中でトータル1未満であることがわかった。時には、影響はより重大で、また、より長期間持続することがあるが、最終的には、ある種の大うつ病の場合のように、自然寛解する傾向にある(非特許文献11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5989559号 バナナ皮抽出物の組成と抽出方法
【特許文献2】米国特許第4273792号 バナナ加工
【特許文献3】米国特許第4874617号 バナナ加工
【特許文献4】米国特許第3974301号 乾燥バナナ製品
【特許文献5】米国特許第4921709号 バナナ皮加工
【特許文献6】米国特許第6013260号 熱帯医学のためのバナナ皮抽出物の組成と抽出方法
【特許文献7】米国特許第6753019号 栄養補助食品
【特許文献8】米国特許第7098029号 肥満抑制のための製品と方法
【特許文献9】米国特許第5470879号 インスリン非依存性糖尿病の治療
【特許文献10】米国特許第Re.34237号 バナナ加工
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】「バナナフラボノイドの抗酸化活性」、S. Vijayakumar et al. / Fitoterapia 79(2008)279-282
【非特許文献2】「バナナ揮発性物質の生合成」、J. Agr. FoodChem., Vol. 21, No. 4,1973
【非特許文献3】「成熟過程のバナナ果実における差分的タンパク質蓄積」、Plant Physiol. (1992) 98, 157-162
【非特許文献4】「バナナの抗酸化物質」、J. Agric. Food Chem. Vol. 48, No.3, 2000
【非特許文献5】MacNaughton and Wallace, 1989; Alanko et al., 1992
【非特許文献6】「数種のエジプトの食物および薬用植物におけるメラトニン、セロトニンおよびトリプタミン」、JOURNAL OF MEDICINAL FOOD Volume 5. Number 3, 2002
【非特許文献7】「バナナおよびプランテインバナナ果実のレクチン」、Planta (2000) 211: 546-554
【非特許文献8】「キャベンディッシュバナナにおける高含量のドーパミン(強力な抗酸化物質)」、J. Agric. Food Chem. 2000, 48, 844-848
【非特許文献9】http://findarticles.com/p/articles/mi m0KFY/is 4 20/ai 98464596/pg 2/
【非特許文献10】「体重管理におけるお茶の役割」
【非特許文献11】「セラピストのための臨床精神薬理学ハンドブック」、John Preston, John H. O’Neal, Mary C. Talaga
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、良好な抗酸化特性を備えた全バナナ(Musa Spp.)果実からの天然抽出物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
読者の便宜のため、本発明に関する文脈で記載された「抽出物」の語は、全て本発明の請求項に記載された抽出物を指し、本発明に関する文脈で記載された「発明者」の語は、全て本特許出願書類に記名された発明者を指すことを了解事項とする。
【0023】
伝統的用法から最新の発明に至るまで全て、フラボノイド、フェノールおよび揮発性化合物の分離には、バナナの食用部分または皮の何れかを使用してきた。発明者自身も、先に、バナナから天然のカリウムを分離するための特許を出願している。
【0024】
発明者の文献調査の結果、主に、バナナのパウダー、ピューレ、シロップおよびジュースがあることがわかった。バナナパウダーには、80%を超える炭水化物が含まれている。バナナピューレは主にバナナの食用部分から作られ、乳幼児食やデザートに使用される。バナナジュースは主にバナナの食用部分から作られ、天然糖を含んでいる。酵素加工により、酵母発酵によって糖をアルコールに変えることでバナナワインを製造することに関する研究論文もいくつかある。バナナレクチンは、主に研究目的で使用されている。バナナエッセンスはバナナの皮から分離され、主に食品添加物および香料として使用される。不溶性バナナ繊維、バナナ澱粉、バナナペクチンも、分離されて、様々な工業目的で使用されている。
【0025】
本発明は、物理的加工、酵素加工、樹脂処理を行なった、バナナの全果実(果実の食用部分と皮を含む)の抽出物に関する。本発明は、アミノ酸、タンパク質、糖タンパク質を含むがこれらに限定されない窒素含有分子、神経伝達物質とその前駆物質、ミネラル、の分離に関する。この抽出物は、単糖および繊維を極少量しか含まないか、または全く含まないことを特徴とする。
【0026】
革新的で新規なのは、神経伝達物質、ミネラル、および、アミノ酸、タンパク質、糖タンパク質などの窒素含有分子、および、抗酸化物質を主に含む、特殊な全バナナ果実抽出物であることである。この純粋で特殊なバナナ抽出物は、この抽出物中の上記栄養素の生物学的利用能が、全バナナを食べる場合と比べて高いため、人間の食用として、1回量わずか100mgで効果があり、1回量1,000mgでも毒性がない。
【0027】
また、良好な抗酸化特性を備えた抽出物を提供することに加えて、発明者は、体脂肪を燃焼させて体の発熱とエネルギー消費を増加させることで知られる、ノルアドレナリンとアドレナリンが、抽出物中に含有されることに注意を払った。ノルアドレナリンとアドレナリンは、体脂肪燃焼作用があると信じられている緑茶に含まれる成分である。抽出物には、ドーパミンも含まれている。ドーパミンは、気分高揚と勃起障害で知られる。ドーパミンとノルアドレナリンの組合せは、ミトコンドリアレベルで呼吸作用を増加させ、また気分高揚と動機付けを引き起こすことにより、体のエネルギーレベルを上昇させることで知られている。発明者が発見したもう一つの驚くべき結果は、この抽出物が、発熱を引き起こし、これにより、低温適応性を向上させ、被験者が、突然の寒冷暴露に耐えられるようになることである。
【0028】
現時点で発明者が知り得た限りでは、気分高揚およびストレス解消特性と高い抗酸化特性を有し、睡眠障害に対処し、発熱を増加させて体脂肪を燃焼させるのに効果がある、カテコールアミン、抗酸化物質、ミネラルおよび微量栄養素が豊富な、全バナナ果実抽出物の抽出は、今まで知られていない。本抽出物は、皮と食用部分の滋養分を、簡便な錠剤形式で使用に供することができる。このため、本発明により、体に過度の糖質、炭水化物および繊維を課すことなく、1つの天然抽出物により、上記した人間の疾病すべてに対する自然療法を提供することができる。
【0029】
人体は、血液脳関門(BBB)機能により、脳内のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンレベルを維持している。例えば、ドーパミンを摂取するとL-ドーパに変換されてから脳内に輸送され、その後、ドーパミンに再変換される。このBBB機能により、人体は、脳内に過度の神経伝達物質が流入するのを防いでいる。SSRIやSNRIのように体の自然な機能を阻害するのではなく、体に必要なものを提供することができ、システムを調整することのできる、全体的で伝統的な薬が推奨される。本抽出物は、体の自然な機能を阻害することのない、天然の薬となる。
【0030】
本抽出物は、抗欝剤同様の効果がある。つまり、自然な方法で体内の神経伝達物質レベルを上昇させることにより、自然な方法でSSRIやSNRIと同様な効果を得ることができる。本抽出物は水溶性であり、このため、体は、必要な分の神経伝達物質を使うとともに余剰分を排泄によって除去する。経口試験と細胞毒性試験を行なうことにより、本抽出物は、高用量でも安全なことが示された。
【0031】
本抽出物から特定レベルのミネラルまたは神経伝達物質を含む標準化された抽出物が作られ得ること、本加工および本抽出物から天然の神経伝達物質が分離され標準化され得ることがわかる。この種の標準化は、本発明の範囲に入るものである。
【0032】
世界中のどこでも、生産されるバナナの約30%が、加工や輸送の過程で廃棄されていることは、よく知られている。一部は動物の餌となるが、殆どは餌にもされることがない。本発明は、傷んだバナナを付加価値生産物に加工する機会をバナナ農家に提供するものであり、国家的な、また国際的な重要性を有している。
【0033】
請求項に記載された加工方法は、主に3つの点、つまり、単糖を全くまたは極少量しか含まない、不溶性繊維を全くまたは極少量しか含まない、粉末状にされたときに高いパーセンテージの神経伝達物質(w/w)を含むことで、従来と異なっている。これら3つの特徴がともに加わることにより、請求項に記載された抽出物は、新規性と進歩性を備えたものとなっている。
【0034】
発明者自身、バナナから抽出された天然カリウムの生体内蓄積飽和に関する特許を先に出願しているが、本出願は、多くの点で先の発明より優れているので、この、先に出願された特許に関しては、現在、既に放棄した。
【0035】
また、荷電イオン交換樹脂を用いる、提案された処理方法が、ジュース/シロップ/ピューレの製造において、ジュース/シロップ/ピューレの清澄化とミネラルおよびタンパク質等の除去のために使用されていることは知られている。しかし、樹脂中に蓄積された成分が、本発明で論じられたり請求項に記載されたりした目的で使用されたことはない。ジュース/シロップ/ピューレを作るのにはバナナの食用部分だけが使用されるためと考えられる。ジュース/シロップ/ピューレ製造業の樹脂から回収される成分も、果実の食用部分だけから回収されるかまたは全果実から回収されるかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本実施形態は、主に、天然のメラトニン、セロトニン、カテコールアミンおよびその前駆物質、アミノ酸のトリプトファンおよびチロシン、ミネラルのカリウム、マグネシウム、リン、および、抗酸化物質を含み、炭水化物を極少量しか含まないか全く含まない、食用部分と皮を含む未成熟または成熟バナナ(Musa Spp.)の全果実からの天然抽出物である。
【0037】
セロトニン、メラトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンまたはその酸化型を含むがそれらに限定されない神経伝達物質を含む天然抽出物である。
【0038】
ミネラル含有量が、重量の20〜80%である抽出物である。
【0039】
炭水化物含有量が、重量の0.05〜30%である抽出物である。
【0040】
pHが4〜7である抽出物である。
【0041】
単糖含有量が、重量の10%未満である抽出物である。
【0042】
澱粉、繊維およびペクチンの合計含有量が、重量の20%未満である抽出物である。
【0043】
水溶性である抽出物である。
【0044】
水分含有量15%未満の粉末状である抽出物である。
【0045】
全バナナが、界:植物界、科:バショウ科、属:バショウ属から選択される抽出物である。
【0046】
粉末状、ゲル状、ペースト状、半固体状、または液体状である抽出物である。
【0047】
栄養補助食品、薬剤、食品添加物、アジュバント、または、栄養補助食品若しくは食品若しくは飲料若しくは飲料混合物若しくは薬剤へのアジュバントとして、哺乳動物および動物に使用される抽出物である。
【0048】
経口投与、皮下投与、経鼻投与、経皮投与、皮膚投与、舌下投与またはその他の方法で哺乳動物および動物に投与されるか、または、ナノ粒子状、ナノゲル状、または賦形剤に吸収された状態である抽出物である。
【0049】
錠剤、カプレット、カプセル、パッチ、ソフトゲル、局所ゲル、飲料、粉末、発泡剤、飲料混合物、チュアブル、チューングガム、グミタブレット、を含むがこれらに限定されない形態で、哺乳動物および動物に投与するために調合された抽出物である。
【0050】
活性、味、香り、保存期間、効果を向上させる目的を含むがこれらに限らない目的のために、他の植物または動物抽出物、ミネラル、ビタミン、タンパク質、アミノ酸、脂肪酸、抗酸化物質、香味料、調味料、結合剤、防腐剤、または、アジュバントを加えた抽出物である。
【0051】
一つまたは複数の病気において、気分高揚、ストレス、不安および鬱の減少、基礎代謝率(BMR)上昇、発熱、肥満、高脂血症、高コレステロール、高血圧、糖尿病、睡眠障害、神経疾患、筋疾患、勃起障害、体内のカリウム量増加のために、哺乳動物および動物用に使用される抽出物である。
【0052】
また、本実施形態は、前記天然抽出物の製造方法であって、主要なステップとして、バナナを洗浄し、殺菌するステップ、全バナナをカットし、すりつぶしてペーストにし、所要量の水と混合するステップ、上記を、75℃より高い温度で加熱して繊維と澱粉を分解するステップ、繊維、澱粉およびペクチンの分解および消化のため、繊維、澱粉、ペクチンを、セルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、アミロース、アミロペクチン、ペクチナーゼ酵素を含むがこれらに限定されない酵素で処理するステップ、ミネラル、神経伝達物質、タンパク質、アミノ酸、および、レクチンその他のような窒素含有化合物、を含むがこれらに限定されない成分を、蓄積または回収するために、上記液体を荷電イオン交換樹脂に通すステップ、有機または無機のpH調整された液体で処理することにより、上記成分をイオン交換樹脂から回収して集めるステップ、真空下で、70℃未満で液体を蒸発させ、水分を減少させるステップ、噴霧乾燥、ドラム乾燥機、短行程蒸留、凍結乾燥、薄膜蒸発器を含むがこれらに限定されない、使用可能な既知の方法を使用して、粉末に乾燥させるステップ、すりつぶし、篩にかけて、微粉末にするステップ、酸化防止剤、防腐剤、抗ケーキング剤のような、認可された添加物を添加するステップを含む製造方法である。
【0053】
HPLC、ゲルカラム、デカンタ、遠心分離機、加圧フィルターを含むがこれらに限定されない、他の方法を使用することによっても、ミネラル、神経伝達物質、タンパク質、アミノ酸、および、レクチンその他のような窒素含有化合物、を回収可能な製造方法である。
【0054】
ミネラル、神経伝達物質、タンパク質、アミノ酸、および、レクチンその他のような窒素含有化合物が、ジュース製造業における陽イオン樹脂を含むがこれに限定されない樹脂を使用することによって回収され、ジュース、シロップまたはピューレの製造に食用部分のみまたは全果実が使用され、薬剤、栄養補助食品、アドジュバント、または添加物として哺乳動物または動物に使用される。
【0055】
前記天然抽出物が、1日量1〜1000mgの粉末または粉末均等物で、哺乳動物または動物用に使用される抽出物または抽出物の製造方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に、天然のメラトニン、セロトニン、カテコールアミンおよびその前駆物質、アミノ酸のトリプトファンおよびチロシン、ミネラルのカリウム、マグネシウム、リン、および、抗酸化物質を含み、炭水化物を極少量しか含まないか全く含まない、食用部分と皮を含む未成熟または成熟バナナ(Musa Spp.)の全果実からの天然抽出物。
【請求項2】
セロトニン、メラトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンまたはその酸化型を含むがそれらに限定されない神経伝達物質を含む、請求項1に記載の天然抽出物。
【請求項3】
ミネラル含有量が、重量の20〜80%である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項4】
炭水化物含有量が、重量の0.05〜30%である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項5】
pHが4〜7である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項6】
単糖含有量が、重量の10%未満である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項7】
澱粉、繊維およびペクチンの合計含有量が、重量の20%未満である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項8】
水溶性である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項9】
水分含有量15%未満の粉末状である、請求項2乃至8のいずれかに記載の抽出物。
【請求項10】
全バナナが、界:植物界、科:バショウ科、属:バショウ属から選択される、請求項1に記載の抽出物。
【請求項11】
粉末状、ゲル状、ペースト状、半固体状、または液体状である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項12】
栄養補助食品、薬剤、食品添加物、アジュバント、または、栄養補助食品若しくは食品若しくは飲料若しくは飲料混合物若しくは薬剤へのアジュバントとして、哺乳動物および動物に使用される、請求項1に記載の抽出物。
【請求項13】
経口投与、皮下投与、経鼻投与、経皮投与、皮膚投与、舌下投与またはその他の方法で哺乳動物および動物に投与されるか、または、ナノ粒子状、ナノゲル状、または賦形剤に吸収された状態である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項14】
錠剤、カプレット、カプセル、パッチ、ソフトゲル、局所ゲル、飲料、粉末、発泡剤、飲料混合物、チュアブル、チューングガム、グミタブレット、を含むがこれらに限定されない形態で、哺乳動物および動物に投与するために調合された、請求項1に記載の抽出物。
【請求項15】
活性、味、香り、保存期間、効果を向上させる目的を含むがこれらに限らない目的のために、他の植物または動物抽出物、ミネラル、ビタミン、タンパク質、アミノ酸、脂肪酸、抗酸化物質、香味料、調味料、結合剤、防腐剤、または、アジュバントを加えた、請求項14に記載の抽出物。
【請求項16】
一つまたは複数の病気において、気分高揚、ストレス、不安および鬱の減少、基礎代謝率(BMR)上昇、発熱、肥満、高脂血症、高コレステロール、高血圧、糖尿病、睡眠障害、神経疾患、筋疾患、勃起障害、体内のカリウム量増加のために、哺乳動物および動物用に使用される請求項12の抽出物。
【請求項17】
請求項1の天然抽出物の製造方法であって、主要なステップとして、
バナナを洗浄し、殺菌するステップ、
全バナナをカットし、すりつぶしてペーストにし、所要量の水と混合するステップ、
上記を、75℃より高い温度で加熱して繊維と澱粉を分解するステップ、
繊維、澱粉およびペクチンの分解および消化のため、繊維、澱粉、ペクチンを、セルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、アミロース、アミロペクチン、ペクチナーゼ酵素を含むがこれらに限定されない酵素で処理するステップ、
ミネラル、神経伝達物質、タンパク質、アミノ酸、および、レクチンその他のような窒素含有化合物、を含むがこれらに限定されない成分を、蓄積または回収するために、上記液体を荷電イオン交換樹脂に通すステップ、
有機または無機のpH調整された液体で処理することにより、上記成分をイオン交換樹脂から回収して集めるステップ、
真空下で、70℃未満で液体を蒸発させ、水分を減少させるステップ、
噴霧乾燥、ドラム乾燥機、短行程蒸留、凍結乾燥、薄膜蒸発器を含むがこれらに限定されない、使用可能な既知の方法を使用して、粉末に乾燥させるステップ、
すりつぶし、篩にかけて、微粉末にするステップ、
酸化防止剤、防腐剤、抗ケーキング剤のような、認可された添加物を添加するステップ、
を含む、製造方法。
【請求項18】
HPLC、ゲルカラム、デカンタ、遠心分離機、加圧フィルターを含むがこれらに限定されない、他の方法を使用することによっても、ミネラル、神経伝達物質、タンパク質、アミノ酸、および、レクチンその他のような窒素含有化合物、を回収可能な、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
ミネラル、神経伝達物質、タンパク質、アミノ酸、および、レクチンその他のような窒素含有化合物が、ジュース製造業における陽イオン樹脂を含むがこれに限定されない樹脂を使用することによって回収され、ジュース、シロップまたはピューレの製造に食用部分のみまたは全果実が使用され、薬剤、栄養補助食品、アドジュバント、または添加物として哺乳動物または動物に使用される。
【請求項20】
前記天然抽出物が、1日量1〜1000mgの粉末または粉末均等物で、哺乳動物または動物用に使用される、請求項1〜19に記載の抽出物または抽出物の製造方法。

【公表番号】特表2013−501772(P2013−501772A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524301(P2012−524301)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001994
【国際公開番号】WO2011/018700
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512026905)
【Fターム(参考)】