全天候型仮設屋根のリフトアップ装置
【目的】 外装工事に制約を受けることなく、長スパン、複雑な平面形状の屋根を有する建造物に適用可能で、無足場工法が可能となる全天候型仮設屋根のリフトアップ装置を提供する。
【構成】 開閉式仮設屋根Ｂを備えたリフトアップ支柱１を、施工中の建造物Ａ躯体の各階床Ｓを貫通し、同貫通部に固定装置２によって支持するとともに、前記支柱上部に設けた電動駆動機４に装架したチェーン７を、支柱最下端の滑車５に捲回して端部を固定装置の固定端６に固定した。
【構成】 開閉式仮設屋根Ｂを備えたリフトアップ支柱１を、施工中の建造物Ａ躯体の各階床Ｓを貫通し、同貫通部に固定装置２によって支持するとともに、前記支柱上部に設けた電動駆動機４に装架したチェーン７を、支柱最下端の滑車５に捲回して端部を固定装置の固定端６に固定した。
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は建造物の構築中に際して、降雨や直射日光から作業員を保護し、作業環境を良好にする全天候型仮設屋根のリフトアップ装置に係るものである。
【０００２】
【従来の技術】建造物を構築する場合、基礎工事、上部躯体工事を行なう。躯体工事は型枠、配筋、コンクリート打設と躯体の階層順に構築していくが、工事中、降雨や直射日光から作業員を保護するために、工事中の作業床を覆うように仮設の屋根を設けて、天候に左右されることのないようにしている。例えば建造物外周に足場を組立て、同足場に昇降タワーを立設してピニオン・ギヤ方式の如き昇降装置を装備して、屋根シートが展張された仮設屋根を装備して、屋根シートが展張された仮設屋根を前記昇降装置と連結してクライミングするようにした全天候型屋根や、躯体外部にポストを独立して立設し、スクリュウジャッキ方式の如き上昇装置によって躯体の施工進捗状況に対応して仮設屋根を上昇するもの等が適用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】建造物の建設中における作業環境を向上して、作業員の確保、作業の効率化、安定化を促進するための課題として、全天候型の仮設屋根の開発が近年急速に進み、実用化にと普及されつつある。仮設屋根の架設方法としては、建造物の平面、階数、工期等の規模によっても異なり、前記各工法もその例であり、夫々特徴を有する架設方法であって、所期の目的は達成されている。
【０００４】しかしながら建造物外周に足場を組立て、同足場に専用の仮設屋根タワーを立設したり、躯体外部に独立して立設したポストに仮設屋根上昇装置を設ける従来技術においては、同装置によって外装に制約を受け、カーテンウォールの配設に難点を生じ、また複雑な平面形状あるいは長スパン屋根の、建造物に対する適用が困難となる。
【０００５】本発明は前記従来技術の有する問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とする処は、外装工事に制約を受けることがなく、長スパン、複雑な平面形状の屋根を有する建造物に適用可能で、無足場工法が可能となる全天候型仮設屋根のリフトアップ装置を提供する点にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため本発明に係る全天候型仮設屋根のリフトアップ装置は、開閉式仮設屋根を備えたリフトアップ支柱を、施工中の建造物躯体の各階床を貫通し、同各貫通部に固定装置によって支持するとともに、前記リフトアップ支柱に昇降駆動手段を設けて構成されている。
【０００７】
【作用】本発明は前記したように構成されているので、開閉屋根を具えたリフトアップ支柱を施工中の建造物躯体の外部に配設することなく、同建造物の各階床を貫通し、同各貫通部に固定装置によって支持しているので、前記リフトアップ支柱に装架した開閉式仮設屋根直下の階層の工事が完了すると、前記固定装置を解放し、昇降駆動手段を介して複数のリフトアップを支柱を同時に前記昇降駆動手段を介して次の作業空間となる１層階分上昇させ、前記足場の固定装置を介して固定し、前記支柱をリフトアップし、作業に応じて同リフトアップに装架された開閉式仮設屋根を開閉して建設用資材等の搬出入を行う。かくして作業の進捗度に応じて順次開閉式仮設屋根を具えた支柱をリフトアップしながら、作業空間を確保するものである。
【０００８】
【実施例】以下本発明を図示の実施例について説明する。図１は本発明に係る全天候型仮設屋根のリフトアップ装置の概念図を示し、施工中の建造物Ａを全天候型の開閉式仮設屋根Ｂをリフトアップ支柱１で支承し、同支柱１は建造物Ａの各階の床Ｓを貫通し、一双の平行材よりなる固定装置２を介して支持されている。Ａ′は建造物Ａの上部の施工中の階層を示す。
【０００９】なお開閉式仮設屋根Ｂの詳細は同日付出願に係る特許出願（平成５年特許願第２３９５６７号）に詳述されている。図２はリフトアップ支柱の昇降装置を示し、床Ｓに設けた貫通孔３を貫通するリフトアップを支柱１の上部に電動チェンブロック等よりなる電動駆動機４が装架され、同電動駆動機４にはリフトアップ支柱１の下部の滑車５に架渡され、上階層の固定装置２を尻手とする固定端６に亘ってチェーン７が取り付けられ、同チェーン７は前記電動駆動機４によって捲き取られることによって、前記支柱１が上昇するように構成されている。
【００１０】前記支柱１には固定金物８が取り付けられ、ボルト等により、固定装置２の平行材に橋架された受材９に着脱自在に連結されている。更に固定装置２には方形断面のリフトアップ支柱１の４隅を滑動自在に支持するガイドローラ１０が装架されている。前記リフトアップ支柱１の昇降駆動手段及び固定案内装置は前述した同日付特許出願に係る（平成５年特許願第２３９５６７号）に示されたものと実質的に同一である。
【００１１】図示の実施例は前記したように構成されているので、リフトアップ支柱１の上部の電動駆動機４により、これと固定端６との間に滑車５に回装されたチェーン７を介してリフトアップ支柱１を若干吊状態にする。次いでリフトアップ支柱１の固定装置２の固定金物８と受材９のボルトを外して受材９を取り除き、複数の電動駆動機４を同期すように駆動してチェーン７を介して前記支柱１を建造物Ａの１階層分上昇させ、同建造物Ａの上層部の施工を行ない、以下同様の工程を繰り返して建造物Ａを開閉式仮設屋根Ｂで覆われた状態で、天候等外部条件に左右されることなく建造物Ａを施工する。
【００１２】
【発明の効果】本発明によれば前記したように、開閉式仮設屋根を具えたリフトアップ支柱を、施工中の建造物の外部に設置することなく、同建造物躯体の各階床を貫通し、同貫通部に固定装置によって支持するとともに、昇降駆動手段を介して前記建造物の施工状況に対応してリフトアップ支柱を上昇させるようにしたので、前記仮設屋根によって降雨や直射日光を遮断して良好な作業環境のもとに建造物の施工を行なうことができるとともに、リフトアップを支柱における前記構造物の床貫通部に固定装置を設置したことによって任意の位置にリフトアップ支柱を設置することができ、長スパン屋根のように屋根フレームを適宜間隔で組み立て、建物の平面形状に合わせた屋根形状が得られ、またカーテンウォールの施工、その他外装工事に支障を生じることがない。更にまた本発明によれば無足場工法が可能となり、足場架設費の節減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る全天候型仮設屋根のリフトアップ装置の一実施例を示す立面図である。
【図２】リフトアップ支柱の昇降装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
Ａ 建造物
Ａ′ 施工中の階層
Ｂ 開閉式仮設屋根
Ｓ 床
１ リフトアップ支柱
２ 固定装置
３ 貫通孔
４ 電動駆動機
５ 滑車
６ 固定端
７ チェーン
８ 固定金物
９ 受材
１０ ガイドローラー
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は建造物の構築中に際して、降雨や直射日光から作業員を保護し、作業環境を良好にする全天候型仮設屋根のリフトアップ装置に係るものである。
【０００２】
【従来の技術】建造物を構築する場合、基礎工事、上部躯体工事を行なう。躯体工事は型枠、配筋、コンクリート打設と躯体の階層順に構築していくが、工事中、降雨や直射日光から作業員を保護するために、工事中の作業床を覆うように仮設の屋根を設けて、天候に左右されることのないようにしている。例えば建造物外周に足場を組立て、同足場に昇降タワーを立設してピニオン・ギヤ方式の如き昇降装置を装備して、屋根シートが展張された仮設屋根を装備して、屋根シートが展張された仮設屋根を前記昇降装置と連結してクライミングするようにした全天候型屋根や、躯体外部にポストを独立して立設し、スクリュウジャッキ方式の如き上昇装置によって躯体の施工進捗状況に対応して仮設屋根を上昇するもの等が適用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】建造物の建設中における作業環境を向上して、作業員の確保、作業の効率化、安定化を促進するための課題として、全天候型の仮設屋根の開発が近年急速に進み、実用化にと普及されつつある。仮設屋根の架設方法としては、建造物の平面、階数、工期等の規模によっても異なり、前記各工法もその例であり、夫々特徴を有する架設方法であって、所期の目的は達成されている。
【０００４】しかしながら建造物外周に足場を組立て、同足場に専用の仮設屋根タワーを立設したり、躯体外部に独立して立設したポストに仮設屋根上昇装置を設ける従来技術においては、同装置によって外装に制約を受け、カーテンウォールの配設に難点を生じ、また複雑な平面形状あるいは長スパン屋根の、建造物に対する適用が困難となる。
【０００５】本発明は前記従来技術の有する問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とする処は、外装工事に制約を受けることがなく、長スパン、複雑な平面形状の屋根を有する建造物に適用可能で、無足場工法が可能となる全天候型仮設屋根のリフトアップ装置を提供する点にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため本発明に係る全天候型仮設屋根のリフトアップ装置は、開閉式仮設屋根を備えたリフトアップ支柱を、施工中の建造物躯体の各階床を貫通し、同各貫通部に固定装置によって支持するとともに、前記リフトアップ支柱に昇降駆動手段を設けて構成されている。
【０００７】
【作用】本発明は前記したように構成されているので、開閉屋根を具えたリフトアップ支柱を施工中の建造物躯体の外部に配設することなく、同建造物の各階床を貫通し、同各貫通部に固定装置によって支持しているので、前記リフトアップ支柱に装架した開閉式仮設屋根直下の階層の工事が完了すると、前記固定装置を解放し、昇降駆動手段を介して複数のリフトアップを支柱を同時に前記昇降駆動手段を介して次の作業空間となる１層階分上昇させ、前記足場の固定装置を介して固定し、前記支柱をリフトアップし、作業に応じて同リフトアップに装架された開閉式仮設屋根を開閉して建設用資材等の搬出入を行う。かくして作業の進捗度に応じて順次開閉式仮設屋根を具えた支柱をリフトアップしながら、作業空間を確保するものである。
【０００８】
【実施例】以下本発明を図示の実施例について説明する。図１は本発明に係る全天候型仮設屋根のリフトアップ装置の概念図を示し、施工中の建造物Ａを全天候型の開閉式仮設屋根Ｂをリフトアップ支柱１で支承し、同支柱１は建造物Ａの各階の床Ｓを貫通し、一双の平行材よりなる固定装置２を介して支持されている。Ａ′は建造物Ａの上部の施工中の階層を示す。
【０００９】なお開閉式仮設屋根Ｂの詳細は同日付出願に係る特許出願（平成５年特許願第２３９５６７号）に詳述されている。図２はリフトアップ支柱の昇降装置を示し、床Ｓに設けた貫通孔３を貫通するリフトアップを支柱１の上部に電動チェンブロック等よりなる電動駆動機４が装架され、同電動駆動機４にはリフトアップ支柱１の下部の滑車５に架渡され、上階層の固定装置２を尻手とする固定端６に亘ってチェーン７が取り付けられ、同チェーン７は前記電動駆動機４によって捲き取られることによって、前記支柱１が上昇するように構成されている。
【００１０】前記支柱１には固定金物８が取り付けられ、ボルト等により、固定装置２の平行材に橋架された受材９に着脱自在に連結されている。更に固定装置２には方形断面のリフトアップ支柱１の４隅を滑動自在に支持するガイドローラ１０が装架されている。前記リフトアップ支柱１の昇降駆動手段及び固定案内装置は前述した同日付特許出願に係る（平成５年特許願第２３９５６７号）に示されたものと実質的に同一である。
【００１１】図示の実施例は前記したように構成されているので、リフトアップ支柱１の上部の電動駆動機４により、これと固定端６との間に滑車５に回装されたチェーン７を介してリフトアップ支柱１を若干吊状態にする。次いでリフトアップ支柱１の固定装置２の固定金物８と受材９のボルトを外して受材９を取り除き、複数の電動駆動機４を同期すように駆動してチェーン７を介して前記支柱１を建造物Ａの１階層分上昇させ、同建造物Ａの上層部の施工を行ない、以下同様の工程を繰り返して建造物Ａを開閉式仮設屋根Ｂで覆われた状態で、天候等外部条件に左右されることなく建造物Ａを施工する。
【００１２】
【発明の効果】本発明によれば前記したように、開閉式仮設屋根を具えたリフトアップ支柱を、施工中の建造物の外部に設置することなく、同建造物躯体の各階床を貫通し、同貫通部に固定装置によって支持するとともに、昇降駆動手段を介して前記建造物の施工状況に対応してリフトアップ支柱を上昇させるようにしたので、前記仮設屋根によって降雨や直射日光を遮断して良好な作業環境のもとに建造物の施工を行なうことができるとともに、リフトアップを支柱における前記構造物の床貫通部に固定装置を設置したことによって任意の位置にリフトアップ支柱を設置することができ、長スパン屋根のように屋根フレームを適宜間隔で組み立て、建物の平面形状に合わせた屋根形状が得られ、またカーテンウォールの施工、その他外装工事に支障を生じることがない。更にまた本発明によれば無足場工法が可能となり、足場架設費の節減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る全天候型仮設屋根のリフトアップ装置の一実施例を示す立面図である。
【図２】リフトアップ支柱の昇降装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
Ａ 建造物
Ａ′ 施工中の階層
Ｂ 開閉式仮設屋根
Ｓ 床
１ リフトアップ支柱
２ 固定装置
３ 貫通孔
４ 電動駆動機
５ 滑車
６ 固定端
７ チェーン
８ 固定金物
９ 受材
１０ ガイドローラー
【特許請求の範囲】
【請求項１】 開閉式仮設屋根を備えたリフトアップ支柱を、施工中の建造物躯体の各階床を貫通し、同各貫通部に固定装置によって支持するとともに、前記リフトアップ支柱に昇降駆動手段を設けたことを特徴とする全天候型仮設屋根のリフトアップ装置。
【請求項１】 開閉式仮設屋根を備えたリフトアップ支柱を、施工中の建造物躯体の各階床を貫通し、同各貫通部に固定装置によって支持するとともに、前記リフトアップ支柱に昇降駆動手段を設けたことを特徴とする全天候型仮設屋根のリフトアップ装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開平７−９１０７７
【公開日】平成７年（１９９５）４月４日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平５−２３９８６４
【出願日】平成５年（１９９３）９月２７日
【出願人】（０００１１２６６８）株式会社フジタ (20)
【公開日】平成７年（１９９５）４月４日
【国際特許分類】
【出願日】平成５年（１９９３）９月２７日
【出願人】（０００１１２６６８）株式会社フジタ (20)
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