説明

全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体

【課題】遠隔地点から非接触により対象物の表面温度を計測可能な熱画像収録装置及び熱画像収録方法とそのシステムならびに記録媒体を提供する。
【解決手段】地表面や建物表面等の3次元空間の全方向から放射される赤外線を全球熱画像収録装置で検出した放射温度分布画像を放射率及び大気補正を施すことで対象物の表面温度に変換して表示、記録可能な熱画像収録装置及び熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表面や建物表面等の3次元的空間から放射される全球の赤外線を検出し、画像化する為の熱画像収録装置及び熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹木や建物等の対象物の全球を視野に納めた熱画像(以下、全球熱画像と記す)を3次元的な空間分布として捕らえることが出来る全球熱画像収録装置やシステムについては本発明者が特許文献1で開示している。
【0003】
図9は特許文献1に開示された全球熱画像収録装置の系統図を示すものである。図9に於いて、全球熱画像を得るためには、赤外検出カメラ3を旋回雲台19上で一次走査しながらパン及びチルトさせつつ対象物1の計測ポイントを中心に上下、左右に旋回させて全球に亘って撮像して熱画像を得ている。
【0004】
上述の図9の構成を具体的に説明すると、樹木、建物等の対象物1から放射する赤外線2の強弱は赤外線検出カメラ3を介して赤外線検出カメラ3内の赤外線検出器3aで検出される。
【0005】
赤外線2はウィンド3bを介してガルバノミラー等の走査光学系3c、フォーカス用の対物レンズ3d、チョッパ3e、リレーレンズ3f並びに冷却剤(液体窒素やアルゴン等)や冷却素子で冷却されたHgCdTe等の赤外線検出器3aを有し、走査光学系3cはガルバノドライブ3gで、対物レンズ3dはフォーカスドライブ3hで、チョッパ3eはチョッパモータ3jで夫々駆動され、対象物1は通常ガルバノドライバ3gで走査光学系3cを介して2次元的に線順次走査され赤外線の温度分布画像信号の強弱を検出するが、図9の構成では1次元的に走査する様に成される。
【0006】
赤外線検出カメラ3内の赤外線検出器3aで検出した対象物1の温度分布画像信号はプリアンプ4に供給され、図示しないが放射率補正、リニアライズイング、レベル調整、センス調整、等の補正調整手段を介してアナログ−デジタル変換器(ADC)5で標本化及び符号化が行なわれて、デジタル−データに変換される。
【0007】
ADC5からのデジタル−データは画像メモリ6a及び6bに供給され、赤(R)、緑(G)、青(B)の信号を発生させる疑似カラー発生回路7のカラーパレット(メモリ)7R,7G,7Bに供給されて、デジタル−データのレベル(温度)に応じて定められた色付けがなされる。
【0008】
これらカラーパレット7R,7G,7Bからの各データはデジタル−アナログ変換回路(DAC)8(8R,8G,8B)でアナログの温度分布カラー画像信号に変換されて陰極線管(CRT)や液晶表示装置(LCD)等のモニタ用の表示装置9に供給されて画面上に対象物1の画像が色別された温度分布パターンとして表示される。
【0009】
マイクロコンピュータ(CPU)10はADC5、画像メモリ6a及び6b、疑似カラー発生器7、DAC8を制御すると共にインタフェース11を介して赤外線カメラ3のガルバノドライブ3g等が検出カメラコントローラ12を介して制御している。
【0010】
ROM13及びRAM14等はCPU10が通常有しているワーク用のメモリであり操作部15はキーボード等の入力部である。
【0011】
上述の様に構成した全球を視野に収めることが可能な熱画像収録装置16の赤外線検出カメラ3を屋外環境観測車に植立した電動伸縮ポール18の旋回雲台19上に載置する。又、三脚等に設置することも出来る。
【0012】
雲台制御部及び熱画像収録装置16の制御部を含む表示装置9等も観測車内に配設されている。更に通風筒付乾湿球白金温度計、プロペラ式微風向風速計、ネオ日射計等の気象観測装置が観測車の屋根に配設されている。
【0013】
赤外線検出カメラ3の光学走査系は目的に応じて三種類の波長帯3〜5μm、5.5〜7.9μm、8〜13μmが用いられ、波長3〜5μm帯では赤外線検出器3aはInSbが用いられ、波長5.5〜7.9μm及び8〜13μm帯ではHgCdTeが用いられる旨の記載がある。
【0014】
上述の如き全球熱画像収録装置で観測される対象物1の赤外線検出器3aで検出した対象物1の温度分布画像信号は対象物1周辺の空間の放射温度分布であり、対象物1の表面温度ではない。即ち、赤外検出カメラ3で低放射率のガラスの様な対象物1を観測すると、対象物1と対向する面からの放射が対象物1に反射して映り、対象物1の正確な表面温度は計測出来なくなる。更に、観測される放射エネルギは、大気の影響を受けて減衰しているので大気に対する補正を施さない限り対象物1の表面温度を計測出来ない。
【0015】
上記した対象物1への対向面からの反射による映り込み及び大気の減衰による数°Cの対象物1の表面温度の観測誤差は、建物や広場等の熱環境の計測や評価に於ける環境観測で大きな問題となる。
【0016】
又、全球熱画像収録装置に限らず、建物の壁面や地表面の温度等をグローブ温度計、或いは純放射を計測する放射収支計等を用いての温度計測でも限定された特殊な場合を除いては、非接触で対象物1の表面温度を観測することが困難であった。
【0017】
更に、放射温度から、対象物1の表面温度を計測し把握するには対象物1の放射率等の除去による補正が必要となり、対象物1の表面温度を遠隔から非接触で計測することは出来ない問題があった。
【特許文献1】特開平10−136263号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上述の課題を解決するために成されたもので、本発明が解決しようとする課題は、全球熱画像収録装置によって計測した放射温度分布画像を対象物の表面温度分布画像に変換可能な熱画像収録装置及び熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の本発明の全球熱画像収録装置は、対象物から放射される赤外線を赤外線検出カメラにより検出し、画像化する様にした全球熱画像収録装置に於いて、赤外線検出カメラにより対象物の全球を視野に収めた空間の全放射の全球熱画像を検出する全球熱画像検出手段と、全球熱画像に空間の3次元幾何情報を付加して3次元熱画像を得る3次元幾何情報形成手段と、3次元熱画像の各計測面の放射率及び各計測面と対向する反射面の放射率を付加する放射率付加手段と、放射率付加手段で付加された3次元熱画像に光線追跡法でシミュレートを施し、各計測面に映り込んだ対向する反射面からの放射成分を除去する反射面成分除去手段と、を具備し、放射温度から対象物の各計測面の表面温度を演算するように成したものである。又、第2の本発明の全球熱画像収録装置は、第1の発明に於いて、前記全球熱画像の収録時に大気状態を計測する大気計測手段と、大気補正を施す大気補正手段とを具備してなるものである。
【0020】
第3の本発明の全球熱画像収録方法は対象物から放射される赤外線を赤外線検出カメラにより検出し、画像化する様にした全球熱画像収録方法に於いて、赤外線検出カメラにより対象物の全球を視野に収めた空間の全放射の全球熱画像を検出する全球熱画像検出ステップと、全球熱画像に空間の3次元幾何情報を付加して3次元熱画像を得る3次元幾何情報形成ステップと、3次元熱画像の各計測面の放射率及び各計測面と対向する反射面の放射率を付加する放射率付加ステップと、放射率付加ステップで付加された3次元熱画像に光線追跡法でシミュレートを施し、各計測面に映り込んだ対向する反射面からの放射成分を除去する反射成分除去ステップと、を具備し、放射温度から対象物の各計測面の表面温度を演算するように成したものである。
【0021】
第4の本発明の全球熱画像収録システムは、対象物から放射される赤外線を検出する赤外線検出カメラシステムと、この赤外線検出カメラシステムからの出力を画像化する様にした熱画像収録システムとより成り、赤外線検出カメラシステムにより対象物の全球を視野に収めた空間の全放射の全球熱画像を検出し、熱画像収録システムは全球熱画像に空間の3次元幾何情報を付加し、この3次元熱画像の各計測面の放射率及び各計測面と対向する反射面の放射率を付加し、この対向する反射面の放射率が付加された3次元熱画像に光線追跡法でシミュレートを施し、各計測面に映り込んだ対向する反射面からの放射成分を除去し、放射温度から対象物の各計測面の表面温度を演算するように成したものである。
【0022】
第5の本発明の記録媒体は、赤外線検出カメラにより検出した対象物の全球を視野に収めた空間の全球熱画像の放射温度分布の放射率を補正し、対象物の表面温度に変換した擬似カラーに変換したデータを記録したものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体によれば、放射温度から、表面温度を遠隔から非接触で計測することが可能となり、都市空間や建造物の表面温度分布やヒートアイランド現象の観測及び把握に役立つものが得られる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の1形態例を示す全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体の構成を図1乃至図8によって説明する。図1は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの1形態例の原理構成を示すフローチャート、図2は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの1形態例を示す観測される放射温度説明用の線図、図3は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムによって撮像された全球熱画像を示す全球熱画像図、図4は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの3次元熱画像図、図5は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの1実施例を示すフローチャート、図6は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの撮像時の放射率付加方法を説明するための対象物とカメラの関係を示す説明図、図7は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの対向する反射面からの放射を説明するための線図、図8は本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムで計測する部屋の間取りを示す平面図である。
【0025】
図1のフローチャートは図9の従来技術で説明したと同様の赤外線検出カメラ3(ボロメータを用いたカメラでも良い)及び熱画像収録装置16を用いて対象物1の表面温度の演算方法を示すもので、第1のステップS1では赤外線検出カメラ3によって対象物1の建物の壁面である対象面T1等からの空間の全放射を撮像することで全球熱画像を取得する、この全球熱画像は図3のサーモグラフに示す様に空間の全放射温度分布の観測が可能となり、図2に示す赤外線検出カメラ3から距離L1にある対象物1の対象面T1からの放射成分Aと、隣接する対象物1との間に距離L2を有する対向する反射面T2からの放射の反射成分Bを含んでいる。従って、赤外線検出カメラ3の赤外検出器3aの出力の放射成分はA+Bとなる。尚、図3は後述するも建物内部の壁面を撮像したもので、50部分は入口のドア、51は室内の隣室との境にある入口扉、52は天井の照明である。
【0026】
次の第2ステップS2では全球熱画像から3次元幾何情報を付加して、図4及び第3ステップS3に示す様な3次元熱画像を作成する。
【0027】
第4ステップS4では撮像した壁面毎の各面の指向放射率を与える。第6ステップS6では対象物1の対象面T1と対向する反射面T2からの放射成分Bを除去し、同時に第5ステップS5の様に室内の空気の温度や湿度などの環境状態を計測し、大気による放射の減衰の影響を考慮した第7ステップに示す大気補正を行なつた後に第8ステップS8に示す様に対象物1の各面の表面温度情報を得ている。
【0028】
上述の図2に示す対象物1の対象面T1で観測される放射温度をTとしたとき下記の数1の式1の関係が成り立つ。
【数1】

1式でθn、n、τ(Ln、ε(θ)はそれぞれ下記に示すものとする。図2で距離L、L=L、対象面温度及び対向する対象面温度T、T=Tの関係にある。
【0029】
ここで、
【表1】

である。
上記した1式から明らかなように観測される対象面の放射温度Tは対象面T1の対象面温度Tのθ方向への放射率ε(θ)と光線の対象面Tへの入射角θに大きく依存していることが解り対象面の表面温度Tは1式から対象面からの放射を減算することで容易に求まる。
【0030】
次に、図5に示すフローチャートによって、3及び図4で説明したサーモグラフの対象物である室内の壁面等の全球熱画像を取り込み各面の表面温度を演算してサーモグラフ化する方法を詳記する。
【0031】
先ず、図4の室内の状態を説明するために、図8にサーモグラフ化した図4の俯瞰図の平面図を示す。図4で括弧内の数字は放射温度を示している。図8に於いて、赤外線検出カメラ3を室内の撮像地点52に置いて全球方向に撮像した場合の(1)乃至(4)方向の構造物を(1)乃至(4)の四角の枠内に示す、50は建物の入口ドア、51は隣室との入口扉、53は階段、54はエレベータ、55は(4)方向の壁面、56は金属製の郵便受けを示し、床から1mの距離に置かれた赤外線検出カメラ3の撮像地点52は階段の左コーナから8mの地点に置かれている。天井の高さは3mである。
【0032】
上記した対象物である室内の壁面等の真の表面温度を取得するためのフローチャートを図5に示す。先ず、対象物1である各面の全球熱画像を撮像し、第1ステップST1に示す様に3次元熱画像を作成する。更に、後述するも対象物1への入射角や材質によって図6の材料1及び材料2に示す様に放射率が異なった値を示すので、第2ステップST2に示す様に各部の物性データを用意して置く。又、対象物1である壁面への入射角に応じた放射率を記録した例えば、図6の材料1、材料2・・・に示す様なデータベースを別途用意する。ここでは、以下このデータベースを物性DBと記す。
【0033】
図6は建物57、58を赤外線検出カメラ3によって撮像し、全球熱画像59を取得する場合の一つの手順を示すもので、建物58の壁面60を含めた全周の走査はパン方向Pに360°、チルト方向Cに180°走査し、壁面60を含めた全周の走査を完了し、全球熱画像を得る。
【0034】
今、建物58の単位ピクセル61で示す位置を撮像している場合、赤外線検出カメラ3が観測する壁面60からの放射は当然、大気の影響を受ける。又、建物57のガラス窓64に観測される放射は、対向する建物58のガラス窓63からの放射成分65を含んでいる。また、建物58の単位ピクセル61にある窓に観測される放射には、対向する天空の雲62からの放射成分が含まれる。
【0035】
3次元幾何情報と全球熱画像を統合して作成される3次元熱画像の各面に、第3ステップST3に示す様に上述の用意した物性DB番号を割当てる。更に、第16ステップST16に示す様に空間の温度や湿度等の大気状態や多重反射の回数等も設定した初期データをメモリして置く。
【0036】
3次元熱画像はCAD等によって描画された3次元幾何モデルに全球熱画像がテクスチャとして貼られたものである。
【0037】
第4ステップST4では3次元熱画像の全表面をメッシュ分割し、各メッシュにメッシュ番号、放射温度、物性DB番号、メッシュの法線ベクトルを保存する。この際に分割生成されたメッシュの位置に貼られているテクスチャの輝度情報を読み取り、放射温度をメモリ等に保存される。又、第16ステップST16で設定された大気状態から第17ステップST17に示す様に大気の透過率を計算し、第18ステップST18の様にメモリ等に保存する。これらの計算はブーゲランベルトの式で行われる。
【0038】
第5ステップST5ではメッシュ化された3次元画像が得られる。第6ステップST6ではレイトレース(光線追跡法)等で、計算対象メッシュの選択がなされる。第7ステップST7では赤外線検出カメラ3の撮像地点52を原点とし、壁面上の対象のメッシュに視線を延長する。
【0039】
次の、第8ステップST8及び第9ステップST9では図7のA及び図7のBに示す様に視線の入射角計算と対象のメッシュまでの距離計算がなれる。第10ステップST10では対象のメッシュに対応した物性DBや放射温度等のそのメッシュの情報を取得する。次の第11ステップST11では図7のCの様に物性DBから入射角を内挿して指向放射率を読み取り、第12ステップST12ではキルヒホッフの法則から放射率を与えることで反射率を算出する。
【0040】
第13ステップST13では設定した回数だけ反射を追ったか否かの判断がなされNOの場合は図7のDの様に第14ステップST14に進む第14ステップST14では対象対向メッシュの探索が成され、第15ステップST15では対象対向メッシュへの視線延長がなされ、第15ステップST15終了後は第8ステップST8及び第9ステップST9の頭に戻される。ここで、図7のE及び図7のFに示す対象対向メッシュの面間距離Ln+1や入射角θn+1の計算がなされ、対象対向メッシュの数だけ繰り返して計算が成される。第13ステップST13がYESの場合は第19ステップST19に進み、1式に基づく放射温度補正が行われる。
【0041】
第19ステップST19の終了後は第20ステップST20より対象メッシュの表面温度が求められる。第21ステップST21では全てのメッシュに関して表面温度の計算が終了したか否かの判断がなされ、YESであれば第22ステップST22に進みLCD等の表示装置やカラープリンタ、メモリ等の記録媒体に3次元表面温度分布画像を表示或いは印画、記憶する。第21ステップST21がNOの場合は第6ステップST6の頭に戻される。
【0042】
図7は1式に基づく表面温度計算までの対象メッシュと対象対向メッシュの計算手順を図式化したもので、A、B・・・Hの順序で計算、検索が行われる。即ち、Aでは赤外線検出カメラ3の原点から対象メッシュまでの距離を計算し、Bでは入射角を計算するなどである。図7での図5との対応部分にはステップ番号を付してあるので同一動作の説明は省略する。
【0043】
本発明の熱画像収録装置及び熱画像収録方法とそのシステム並びに記録媒体によれば、放射温度から、表面温度を遠隔から非接触で計測することが可能となり、都市空間や建造物の表面温度分布やヒートアイランド現象の観測及び把握に役立つものが得られる効果を有する。
【0044】
従って、本発明によれば、建造物の構造診断やヒートアイランド現象の現状把握などに利用可能となる。これらを列挙すると
(1)構造物の構造診断や剥離診断
(2)断熱診断
(3)熱収支の検討ヒートアイランド形成の影響要因の把握
(4)生活空間の熱環境の問題把握
等の場面での使用が想定されるが特に、(2)乃至(4)では放射温度でなく表面温度が必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの1形態例の原理構成を示すフローチャートである。
【図2】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの1形態例を示す観測される放射温度説明用の線図である。
【図3】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムによって撮像された全球熱画像を示す全球熱画像図である。
【図4】本発明に用いるセンサの全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの3次元熱画像図である。
【図5】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの1実施例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの撮像時の放射率付加方法を説明するための対象物とカメラの関係を示す説明図である。
【図7】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムの対向する反射面からの放射を説明するための線図である。
【図8】本発明の全球熱画像収録装置及び全球熱画像収録方法とそのシステムで計測する部屋の間取りを示す平面図である。
【図9】従来の全球熱画像収録装置の系統図である。
【符号の説明】
【0046】
1‥‥対象物、3‥‥赤外線検出カメラ、10‥‥CPU、16‥‥熱画像収録装置、52‥‥撮像地点、57,58‥‥建物、59‥‥全球熱画像、60‥‥壁面、61‥‥単位ピクセル(メッシュ)、63,64‥‥ガラス窓


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物から放射される赤外線を赤外線検出カメラにより検出し、画像化する様にした全球熱画像収録装置に於いて、
前記赤外線検出カメラにより前記対象物の全球を視野に収めた空間の全放射の全球熱画像を検出する全球熱画像検出手段と、
前記全球熱画像に空間の3次元幾何情報を付加して3次元熱画像を得る3次元幾何情報形成手段と、
前記3次元熱画像の各計測面の放射率及び該各計測面と対向する反射面の放射率を付加する放射率付加手段と、
前記放射率付加手段で付加された前記3次元熱画像に光線追跡法でシミュレートを施し、前記各計測面に映り込んだ対向する前記反射面からの放射の反射成分を除去する反射成分除去手段と、
を具備し、
前記放射温度から前記対象物の各計測面の表面温度を演算することを特徴とする全球熱画像収録装置。
【請求項2】
前記全球熱画像の収録時に大気状態を計測する大気計測手段と、大気補正を施す大気補正手段とを具備してなることを特徴とする請求項1記載の全球熱画像収録装置。
【請求項3】
対象物から放射される赤外線を赤外線検出カメラにより検出し、画像化する様にした全球熱画像収録方法に於いて、
前記赤外線検出カメラにより前記対象物の全球を視野に収めた空間の全放射の全球熱画像を検出する全球熱画像検出ステップと、
前記全球熱画像に空間の3次元幾何情報を付加して3次元熱画像を得る3次元幾何情報形成ステップと、
前記3次元熱画像の各計測面の放射率及び該各計測面と対向する反射面の放射率を付加する放射率付加ステップと、
前記放射率付加ステップで付加された前記3次元熱画像に光線追跡法でシミュレートを施し、前記各計測面に映り込んだ対向する前記反射面からの放射の反射成分を除去する反射成分除去ステップと、
を具備し、
前記放射温度から前記対象物の各計測面の表面温度を演算することを特徴とする全球熱画像収録方法。
【請求項4】
前記全球熱画像の収録時に大気状態を計測しておくことで、大気補正を施して大気減衰の影響を除去したことを特徴とする請求項3記載の全球熱画像収録方法。
【請求項5】
対象物から放射される赤外線を検出する赤外線検出カメラシステムと、該赤外線検出カメラシステムからの出力を画像化する様にした全球熱画像収録システムであって、
前記赤外線検出カメラシステムにより前記対象物の全球を視野に収めた空間の全放射の全球熱画像を検出し、
前記熱画像収録システムは前記全球熱画像に空間の3次元幾何情報を付加し、該3次元熱画像の各計測面の放射率及び各計測面と対向する反射面の放射率を付加し、該対向する反射面の放射率が付加された該3次元熱画像に光線追跡法でシミュレートを施し、該各計測面に映り込んだ対向する反射面からの放射を除去し、放射温度から前記対象物の該各計測面の表面温度を演算するように成したことを特徴とする全球熱画像収録システム。
【請求項6】
前記全球熱画像の収録時に大気状態を計測しておくことで、大気補正を施して大気減衰の影響を除去したことを特徴とする請求項5記載の全球熱画像収録システム。
【請求項7】
赤外線検出カメラにより検出した対象物の全球を視野に収めた空間の全球熱画像の放射温度分布の放射率を補正し、該対象物の表面温度に変換した擬似カラーに変換したデータを記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
前記全球熱画像の放射温度分布に更に、大気補正を施して、前記対象物の表面温度に変換した擬似カラーに変換したデータを記録したことを特徴とする請求項7記載の記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−250733(P2006−250733A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68204(P2005−68204)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月25日 社団法人日本リモートセンシング学会発行の「日本リモートセンシング学会 第37回(平成16年度秋季)学術講演会論文集」に発表
【出願人】(899000013)財団法人理工学振興会 (81)
【Fターム(参考)】