Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
全窒素測定方法及び装置
説明

全窒素測定方法及び装置

【課題】
硝酸を亜硝酸に簡便に還元して全窒素濃度を高精度に定量する。
【解決手段】
酸化分解反応部12では、窒素化合物試料にペルオキソ二硫酸カリウム溶液2と水酸化ナトリウム溶液3とを加えた後に、120℃程度に加熱して硝酸イオンにまで酸化分解を行なう。還元反応部23の反応容器15内に硝酸イオン含有試料水が供給され、この試料水に還元促進剤6として、例えばヨウ化カリウムを加え、紫外線ランプ14によって紫外線を照射することによって硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する。そしてナフチルエチレンジアミン溶液5を加え、発色した試料水の吸光度を測定する。演算処理部18は測定部16で測定された吸光度を全窒素濃度に変換し、表示部19に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水、下水、環境水、プラント用水などの試料水に含まれる全窒素を測定する方法及び装置に関する。特に、本発明は試料水中の窒素化合物を硝酸イオンにまで酸化分解した後、亜硝酸イオンに還元して発色試薬を用いた吸光光度法によって全窒素を定量する全窒素測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国においては、工場等からの排水中の全窒素化合物総量を窒素の濃度であらわす全窒素の測定方法は、日本工業規格(JIS)の「工場から排出される排水の試験方法」に規定されている「紫外吸光光度法」(非特許文献1参照。)が構成の簡素さにより最も一般に利用されている。
【0003】
この窒素化合物の計測方法は、酸化剤であるアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウムを添加した試料水をオートクレーブ法、すなわち高温、高圧下で試料を硝酸イオンにまで加熱分解した後、pHを2〜3に調整し、波長220nmの紫外線吸光度測定により全窒素濃度を定量する方法である。この方法を実現するための装置は耐圧性と耐熱性が要求され、材質や設計が特殊なものになっている。
【0004】
一方、試料を硝酸イオンにまで分解する方法に、「紫外線酸化分解法」を採用した全窒素測定装置も市販されている。この方法では、温度、圧力を下げる改善も進められ利用されている。すなわち、紫外線酸化に必要な温度が120℃から60℃程度にまで下げられ、圧力も常圧下で行なうことができる。
両者共、酸化分解により窒素化合物は硝酸イオンにまで酸化分解され、その後吸光度測定のための酸が添加され、220nm付近の吸光度測定によって試料中の全窒素の測定が行なわれる。
【0005】
上記のオートクレーブ法や紫外線酸化分解による全窒素測定法は、220nm付近の紫外線の吸光度測定によって、全窒素濃度を測定することは共通である。そのため、紫外域に吸収をもつ金属イオンや臭化物イオンを含む試料では測定値に誤差を与え、同時に酸化剤として用いるペルオキソ二硫酸カリウムも220nm付近に吸収をもつため、その酸化後の残量が測定に影響を与えることもあり、220nmの吸光度測定は紫外域に吸収を持つ物質の影響を受けるという問題を有している。また、測定精度についても、高度に処理された0.1mg以下の低濃度域の試料に対しては、220nmの吸光度測定法では定量困難である。
【0006】
この問題回避のために、ペルオキソ二硫酸カリウムのアルカリ性溶液を加えて窒素化合物を硝酸イオンに酸化し、酸化後の試料を銅−カドミウムカラムに通過させ亜硝酸イオンへ還元させたあと、ナフチルエチレンジアミン吸光光度法によって540nm付近の吸光度から全窒素濃度を定量する銅−カドミウムカラム還元方法がある(非特許文献2参照。)。
【0007】
水中の硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する方法として、紫外線を照射する方法が提案されている(非特許文献3参照。)。そこでは、紫外線を照射する試料水のpHは8.0がよい結果を与えるとしている。また紫外線照射だけでは十分な反応率をえることが難しいことから、試料を流すセルの形状をコイル状にして紫外線ランプの周囲に巻きつけることにより紫外線の照射時間を長くしている。
【非特許文献1】JIS K0102 45.2
【非特許文献2】JIS K0102 45.4
【非特許文献3】K. Takeda and K. Fujiwara, Analytica Chimica Acta, 276 (1993) 25-32
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
銅−カドミウムカラム還元方法は有害物質である銅−カドミウムカラムを用いなければならず、また、活性化のために頻繁にカラムの再生処理を行なう必要があることから、オンライン測定には不適であった。
【0009】
また、紫外線照射だけによって硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する方法は、反応速度が低いだけではなく、窒素化合物を硝酸イオンに酸化するために「紫外線酸化分解法」が行なわれていることからもわかるように、紫外線照射は還元と酸化のいずれにも作用するものである。そのため、単に試料に紫外線を照射するだけでは試料中の窒素化合物を全て硝酸イオン又は亜硝酸イオンに変換することは難しく、両イオンが混在した平衡状態になる可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みて、簡便で、保守性に優れ、実用性を備えた全窒素濃度の定量方法と装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の全窒素測定方法は、試料水中の窒素化合物を硝酸イオンにまで酸化分解した後、硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する還元工程を備え、亜硝酸イオンに発色試薬を用いた吸光光度法によって全窒素を定量する全窒素測定方法において、上記還元工程では試料水に還元促進剤を添加し加熱しつつ紫外領域の光を照射する。
還元工程は中性条件下でもよいが、反応速度を高める上ではアルカリ性条件下で行なうことが好ましい。
【0011】
本発明の全窒素測定方法を実現する本発明の全窒素測定装置は、試料水中の窒素化合物を硝酸イオンに酸化分解しる酸化分解反応部と、還元促進剤の存在下で加熱しつつ紫外領域の光を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する還元反応部と、還元反応部からの試料水に対して発色試薬を用いた吸光光度法によって吸光度を測定する測定部と、測定部で得られた吸光度から全窒素濃度を求める演算処理部とを備えている。
【0012】
還元反応部での還元反応はアルカリ性条件下で行なうのが好ましい。
酸化分解反応部は、例えば試料水に酸化剤とアルカリを添加し、オートクレーブ法や紫外線照射により窒素化合物を硝酸イオンにまで酸化分解するものである。
測定部は、例えば亜硝酸イオンをエチレンジアミン法などの吸光光度法により発色させ、可視領域の吸光度を測定するものである。
【0013】
紫外線照射により硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する際に用いる還元促進剤は、反応速度を高める上で、ヨウ素イオンを含むものが好ましく、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム又はその他のヨウ化物塩を用いることができる。
紫外線照射に用いる紫外線ランプは、低圧水銀ランプをはじめ、高圧、中圧水銀ランプなど紫外線を発生するランプであればよい。
【発明の効果】
【0014】
窒素化合物試料水に還元促進剤を添加し、加熱しつつ紫外領域の光を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンにまで還元することで、高感度で、かつ環境に負荷を掛けるカドミウム等の有害な還元カラムを用いることなしに全窒素を測定できる。この紫外線照射による還元過程では還元促進剤を添加するので、酸化反応が抑えられ、もっぱら還元反応が進行する。
アルカリ性条件下で還元反応を行なわせることにより、反応速度が高まる。
還元促進剤として特にヨウ素イオンを添加すると還元反応は短時間に終了する。
【0015】
全窒素測定装置が、窒素化合物を硝酸イオンまで酸化分解する酸化分解反応部と、還元促進剤の存在下で亜硝酸イオンに還元する還元反応部と、測定部及び演算処理部を備えることで、簡単で保守性に優れた高精度な測定装置を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明の一実施例を詳細に説明する。
図1は全窒素測定部の構成を示した概略図である。
1は試料調整槽であり、試料水が常時流れており、チューブ29を介して8ポートバルブ10bの1つのポートに接続されており、測定時に試料水が採水される。
8ポートバルブ10bの他のポートには、測定校正用水(スパン液)8や純水9を貯留するための容器と、酸化分解反応部12と、還元反応部23の試料出入口25と、測定部16と、廃棄ポート11が接続され、8ポートバルブ10bの共通ポートは他の8ポートバルブ10aの1つのポートに接続されている。
【0017】
8ポートバルブ10aの各ポートには、試薬2〜6を貯留するための容器と、大気解放ポート7が配管によって接続されている。
この実施例においては、試薬2はペルオキソ二硫酸カリウム溶液、試薬3は水酸化ナトリウム水溶液、試薬4はスルファニルアミド・塩酸溶液、試薬5はN−(1−ナフチル)エチレンジアミン溶液、試薬6は還元促進剤であるとする。
【0018】
8ポートバルブ10aの共通ポートにはシリンジポンプ17が接続されており、シリンジポンプ17はモータ27により駆動させられ、8ポートバルブ10a,10bを介して試料水や試薬などをシリンジポンプ17に取り込んだり、還元反応部23や測定部16に送り出すと共に、シリンジポンプ17内にて試料水に試薬などを添加することができる。
【0019】
12は試料中の窒素化合物を硝酸イオンにまで分解する酸化分解反応部である。これは窒素化合物を硝酸イオンにまで酸化分解できるものであればよく、オートクレーブ(蒸気滅菌器)を用いたものでもよく、紫外線ランプを用いたものでもよい。
【0020】
23は、酸化分解後の硝酸イオン溶液を亜硝酸イオンに還元するための還元反応部であり、反応容器15の中心部には低圧水銀ランプなどの紫外線ランプ14を備え、反応容器15の外側には温度調節を行なうヒータ13を備えている。ヒータ13による加熱は100℃以下で行なうことが望ましい。
【0021】
還元反応部23の反応容器15内には酸化分解反応部12から硝酸イオン含有試料水が供給され、この試料水に還元促進剤6として例えばヨウ化カリウムを加え、紫外線ランプ14によって紫外線を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する。
【0022】
反応容器15の試料出入口25は、バルブ10bの1つのポートに接続される。
測定部16は還元化反応終了後の試料水にのN−(1−ナフチル)エチレンジアミン溶液5による発色反液の吸光度を測定するものであり、詳しくは図示していないが、試料セルと、特定の波長(例えば、540nm)の光を試料セルに照射する光源と、試料セルを透過した光を検出するセンサなどから構成されている。
演算処理部18は測定部16で測定された吸光度を全窒素濃度に変換し、表示部19に表示する。
【0023】
22は入力部であり、オペレータは入力部22から還元反応部23における還元化の条件や試料水に添加する試薬の量や濃度を入力することで、制御部20がオペレータの入力した条件に基づいた制御を行なう。制御部20は、専用のマイクロコンピュータや汎用のパーソナルコンピュータにより実現され、8ポートバルブ10a、10bの切換え動作、シリンジポンプ17を駆動するモータ27の動作、加熱ヒータ13による反応容器15の温度調節、測定部16の測定動作、及び紫外線ランプ14のオン/オフの制御を行なう。
【0024】
この全窒素測定装置における測定動作を図2のフローチャートを参照して説明する。
試料水は、試料調製槽1から8ポートバルブ10b、10aを介してシリンジポンプ17に計量される。必要に応じて純水9が8ポートバルブ10b,10aを介してシリンジポンプ17に吸入され、試料水が2mgN/L以下になるまで希釈する。
【0025】
この試料水に、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液2と水酸化ナトリウム溶液3を添加したものを、シリンジポンプ17から酸化分解反応容器12へ導入する。そして内部ヒータで30分間120℃程度に加熱し、窒素化合物を硝酸イオン(NO3-)にまで酸化分解する。
【0026】
続いて酸化分解後の硝酸イオン含有溶液をシリンジポンプ17で希釈しながら計量し、これに水酸化ナトリウム水溶液及びヨウ化カリウム溶液を添加した後、還元反応部23へ導入する。そして、ヒータ13で80℃に加熱し、5分間紫外線を照射した環境で、試料中の硝酸イオンを亜硝酸イオン(NO2-)にまで、(1)式に示すように紫外線還元する。

【0027】
還元反応終了後、試料の一定量をシリンジポンプ17へ計量し、スルファニルアミド・塩酸溶液4とナフチルエチレンジアミン溶液5を添加し、ナフチルエチレンジアミン反応による発色反応液(淡赤褐色溶液)を生成させる。
【0028】
その発色反応液を測定部16中のセルに導入し、発色した試料を45℃で3分間経過後、540nmにおける吸光度測定を行い、次式(1)から試料中の窒素濃度を算出した。
{(試料吸光度―純水吸光度)/(校正液吸光度―純水吸光度)}×(校正液濃度)×希釈率 ………(1)
【0029】
校正液8には、例えば2mgN/Lの硝酸カリウム水溶液を用い、純水9と校正液8にも試料水と同じように試薬を加え、酸化分解反応、還元化反応及び発色反応を行なったものを用いる。
全窒素濃度は、(1)式から算出する以外に測定結果を試料水の希釈率や校正データが入力されている演算処理部38に取り込んで求めてもよい。
【0030】
表1はこの実施例の装置を用いて、オートクレーブ法による酸化分解を行い、ヨウ化カリウム存在下で紫外線を照射して還元したときの実排水試料の紫外線還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法による全窒素測定結果を示す。
【表1】

【0031】
表1に示すように、化学工業排水、下水処理場排水の(A)及び(B)において、本発明法による測定値はJIS法とよく一致しており、全窒素を精度よく測定できることが示された。
また、硝酸イオンから亜硝酸イオンへは5分程度で90〜100%還元することができ、測定終了までの時間が短縮された。
【0032】
試料水の加熱温度、紫外線照射時間、還元促進剤濃度などは試料水により変更することができる。例えば還元化反応時の加熱温度は20〜100℃、紫外線照射時間は1〜10分程度、還元促進剤のヨウ化カリウム濃度は0.01〜1.0%が適当である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
排水、下水、環境水、プラント用水、などの試料水に含まれる硝酸イオンの還元方法に利用することができ、亜硝酸イオンの発色反応によって、試料水中に含まれる全窒素を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一実施例の全窒素測定装置の構成を概略的に示す構成図である。
【図2】同実施例の操作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 試料調整槽
2、3、4、5、6、8、9 試薬又は水
7 大気解放ポート
10 バルブ
11 廃棄ポート
12 酸化分解反応部
13 ヒータ
14 紫外線ランプ
15 反応容器
16 測定部
17 シリンジポンプ
18 演算処理部
19 表示部
20 制御部
22 入力部
23 還元反応部
25 試料出入口
27 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料水中の窒素化合物を硝酸イオンにまで酸化分解した後、前記硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する還元工程を備え、前記亜硝酸イオンに発色試薬を用いた吸光光度法によって全窒素を定量する全窒素測定方法において、
前記還元工程では試料水に還元促進剤を添加し、紫外領域の光を照射することを特徴とする全窒素測定方法。
【請求項2】
前記還元工程をアルカリ性条件下で行なう請求項1に記載の全窒素測定方法。
【請求項3】
前記還元促進剤としてヨウ素イオンを添加する請求項1又は2に記載の全窒素測定方法。
【請求項4】
試料水中の窒素化合物を硝酸イオンにまで酸化分解する酸化分解反応部と、
前記酸化分解反応部を経た試料水を還元促進剤の存在下で加熱しつつ紫外領域の光を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する還元反応部と、
前記還元反応部からの試料水に対して発色試薬を用いた吸光光度法によって吸光度を測定する測定部と、
前記測定部で得た吸光度から全窒素濃度を求める演算処理部と、
を備えた全窒素測定装置。
【請求項5】
前記還元反応部での還元反応をアルカリ性条件下で行なう請求項4に記載の全窒素測定装置。
【請求項6】
前記還元促進剤はヨウ素イオンである請求項4又は5に記載の全窒素測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−201104(P2006−201104A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15143(P2005−15143)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】