説明

全細胞捕捉及びATP分析を用いた細菌試料の分析方法

本発明は、特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体の使用を含む細菌全細胞の捕捉方法と、これに続く、直接又は間接ATPアッセイを用いたこの標的全細胞の分析方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年2月20日に出願された米国仮出願第61/066,336号の利益を主張するものであり、該仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用される抗生物質に耐性を有する細菌の出現は、感染した人々の治療にとって深刻な意味を有する、増大しつつある問題である。したがって、このような細菌の存在を初期の段階で及び比較的迅速に見つけ出すことは、このような細菌のより良好な制御を得るためにますます重要になっている。これはまた様々な他の微生物にもあてはまる。
【0003】
重要な関心が持たれる、そのような細菌の1つに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(以下、「黄色ブドウ球菌」)がある。黄色ブドウ球菌は、小さな皮下膿瘍及び創傷感染等の表面型病変、心内膜炎、肺炎及び敗血症などの全身性でかつ生命に脅威を及ぼす状態、並びに食中毒及び中毒性ショック症候群などの中毒症を含めた広範な感染症を引き起こす病原菌である。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、少数の選択された抗生物質を除いて、全ての抗生物質に対して耐性である。
【0004】
特に抗生物質に耐性がある細菌を検出するための現在の技術は、一般的に時間がかかり、典型的に純粋な形態で細菌を培養する工程を伴う。急性感染、即ち、ヒト及び動物内の黄色ブドウ球菌、並びに動物内のスタフィロコッカス・インターメディウス及びスタフィロコッカス・ハイカス、に関連する病原性ブドウ球菌を特定するこのような技術は、血漿を凝固する細菌の能力に基づく。少なくとも2つの異なるコアグラーゼ試験:遊離コアグラーゼの試験管試験及び「細胞結合コアグラーゼ」又はクランピングファクターのスライド試験が記載されている。試験管コアグラーゼ試験は、典型的に脳心臓浸出物ブロスでの一夜培養に再構成血漿を混合し、混合物を4時間培養し、凝固形成用チューブをゆっくり傾けることにより凝固形成用チューブを観察することを包含する。少数の菌株は凝固形成に4時間を超える場合があるため、1夜試験培養は黄色ブドウ球菌に推奨されている。スライドコアグラーゼ試験は、典型的により速くより経済的であるが、10%〜15%の黄色ブドウ球菌は、陰性の結果をもたらす場合があり、分離したものを試験管試験で再試験する必要がある。
【0005】
当該技術分野において、黄色ブドウ球菌、並びに他の病原菌を検出する方法が記載されているが、検出の改善された方法には利点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態において、本発明は、全細菌細胞を捕捉し、続いて、直接又は間接的にアデノシン三リン酸(ATP)を分析する方法を提供する。本方法は、特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体(好ましくは、特定の細菌に特徴的な2つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体)の使用を含む。2つ以上の抗体を使用する場合、2つ以上の抗体はその結合特性において共働的であるのが好ましい。つまり、それらは、標的検体(単数又は複数)の異なる領域に同時に結合することが可能である、又は最適には相補的結合であることが明らかであり、それによって異なる検体の結合が別の抗体の結合により促進される。
【0007】
このような1つの実施形態において、本発明は特定の細菌の分析方法を提供し、該方法は:特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と;特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体を提供する工程であって、抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と;存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と、固体支持材料と、1つ以上の抗体との間の接触を提供する工程と;捕捉された標的全細胞を試料から分離する工程と;溶解物を形成するために標的全細胞を溶解する工程と;ATPに関して溶解物を直接又は間接的に分析することによって、特定の細菌の有無を分析する工程と;を含む。
【0008】
1つの好適な実施形態において、1つ以上(好ましくは、2つ以上)の抗体が検体結合材料を形成する固体支持材料に付着しており、該方法は、存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と検体結合材料との間に接触を提供することを含む。試料と検体結合材料との間の接触を提供する工程は、試料と1つ以上の抗体との間で同時及び/又は連続的に、好ましくは同時に接触させる工程を含む。
【0009】
別の好ましい実施形態において、試料、固体支持材料、及び1つ以上の抗体の間の接触を提供する工程は、抗体結合した全細胞を形成するために1つ以上の抗体と試料との間の接触を提供する工程と、続いて、抗体結合した全細胞と固体支持材料との間の接触を提供する工程と、を含む。
【0010】
ある実施形態において、特定の細菌はグラム陽性細菌、特に黄色ブドウ球菌を含む。
【0011】
ある実施形態において、各粒子は、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。
【0012】
ある実施形態において、標的全細胞は溶解前に磁性粒子から除去される。
【0013】
ある実施形態において、ATPを直接又は間接的に分析することによって、特定の細胞の有無を分析する工程が:任意のアデニル酸キナーゼの存在によってアデノシン三リン酸(ATP)を生成するのに有効な条件下で、溶解物とアデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液とを接触される工程と;生成されたATPの有無を検出する工程と;を含む。ある実施形態において、生成されたATPの有無を検出する工程が、生成されたATPの量を測定する工程と、これを特定の細菌又は特定の細菌に特徴的な細胞内物質の存在及び/又は量と関連付ける工程、を含む。ある実施形態において、生成されたATPの有無を検出する工程が、生成されたATPの量に比例する光を生成するために、溶解物とADPとを含有する混合物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、照度計で光を検出する工程と、を含む。
【0014】
ある実施形態において、ATPを直接又は間接的に分析することによって、特定の細胞の有無を分析する工程が:存在するATPの量に比例する光を生成するために、溶解物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と;照度計を使用して光を検出する工程と;を含む。ある実施形態において、特定の細菌の有無を分析する工程が、存在するATPの量を測定する工程と、これを存在する特定の細菌又は特定の細菌に特徴的な細胞内物質の量と関連付ける工程、を更に含む。
【0015】
本発明は、細菌試料の分析方法を更に提供し、該方法は:特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と;特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程であって、抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と;存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と、1つ以上の抗体が付着した磁性粒子との間の接触を提供する工程と;捕捉された標的全細胞を試料から分離する工程と;溶解物を形成し、かつ存在する場合にアデノシン三リン酸(ATP)を放出するために、標的全細胞を溶菌する工程と;存在するATPの量に比例する光を生成するために、溶解物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と;照度計を使用して光を検出する工程と;存在するATPの量を測定する工程と、これを特定の細菌又は特定の細菌に特徴的な存在する細胞内物質と関連付ける工程と;を含む。
【0016】
本発明は、細菌試料の分析方法を更に提供し、該方法は:特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と;特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程であって、抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と;存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と、1つ以上の抗体が付着した磁性粒子との間の接触を提供する工程と;捕捉された標的全細胞を試料から分離する工程と;溶解物を形成するために標的全細胞を溶解する工程と;任意のアデニル酸キナーゼの存在によってアデノシン三リン酸(ATP)を生成するのに有効な条件下で、溶解物とアデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液とを接触させる工程と;生成されたアデノシン三リン酸を測定して、これを特定の細菌又は特定の細菌に特徴的な細胞内物質と関連付ける工程と;を含む。
【0017】
定義
「全細胞」とは、他の生物学的物質からの分離の間にその構造を維持する生物学的に活性な細菌細胞を意味するが、必ずしも増殖することができる必要はない。
【0018】
用語「検体」及び「抗原」は、同義的に使用され、対象となる微生物(すなわち、病原菌)の特性である、様々な分子(例えば、プロテインA)若しくは分子のエピトープ(例えば、プロテインAの異なる結合部位)、又は微生物の全細胞を指す。これらには、細胞壁の成分(例えば、プロテインA等の細胞壁タンパク質、黄色ブドウ球菌に見られる細胞壁にあるフィブリノゲン受容体であるクランピングファクター)、細胞外成分(例えば、カプセル多糖類及び細胞壁炭水化物)等が含まれる。
【0019】
「磁性粒子」は、強磁性、常磁性、又は超常磁性粒子を含む粒子又は粒塊を意味し、ポリマービーズ内のこれらの粒子の分散物を含む。
【0020】
用語「好適な」及び「好適には」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好適な可能性がある。更に、1つ以上の好適な実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0021】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有さない。
【0022】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば、「1種の」抗体を含む検体結合材料は、その検体結合材料が異なる検体を結合する「1種以上の」抗体を包含することを意味すると解釈することができる。
【0023】
用語「及び/又は」は、列記されている要素の1つ若しくは全て、又は列記されている要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0024】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0025】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示するそれぞれの実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、対象となる細菌の全細胞を、対象となる細菌に特徴的な1つ以上の検体の使用に基づいて試料から捕捉する様々な方法に関する。具体的には、本発明の捕捉方法は、特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体(好ましくは2つ以上)に対する抗原特異性を有する、1つ以上の抗体(好ましくは2つ以上)の使用を含む。2つ以上の抗体が用いられる場合、それらはその結合特性において共働的であるのが好ましい。つまり、それらは、標的検体(単数又は複数)の異なる領域に同時に結合することが可能である、又は最適には相補的結合であることが明らかであり、それによって異なる検体の結合が別の抗体の結合により促進される。
【0027】
磁性粒子に付着した時点で、更に分析する前に標的全細胞を試料から除去することができる。分析する前に標的全細胞を選択的に結合し、かつ、試料の残部からこれら標的全細胞を分離することの利点は、このことにより細胞を選択的に濃縮し、より良好な感度及び選択性を提供することができることである。これは、複合試料に存在する場合がある阻害物質も排除する。
【0028】
本発明の方法における細菌の分析技術は、直接又は間接的なアデノシン三リン酸(ATP)の分析を含む。かかる分析に先立って、捕捉された(標的)全細胞は、磁性粒子から放出せずに、又は細胞から放出した後に、溶解させることができる。
【0029】
本発明は、全細胞の捕捉が、検出前の試料調製工程又は更なる分析の一部である多くの状況において有利である。標的タンパク質の発現が細胞の所定の菌株で有意に異なることがあることは既知である。特定の状況では、単一抗体法で適正に捕捉される菌株の捕捉を用いることができる。他の状況において、標的細菌の単一抗原に対する単一の抗体は、細菌のいくつかの菌株において、低い捕捉効率を示す又は全く捕捉されない結果を示す可能性がある。これらの菌株において、試料調製工程は、細菌の検出の効率を大きく減少する結果となるであろう。結果として、これは、検出技術において偽陰性の数を増やし、かつこれは、アッセイの検出限界にも悪影響を及ぼす。異なる抗体で被覆された粒子の混合物、又は同じ粒子上に被覆された異なる抗体を有することにより、単一抗体では低い、又は全く捕捉されない細菌株の捕捉効率を向上することが可能である。したがって、全細胞ご捕捉を用いるアッセイの分析感度、並びに検出限界を、特定の細菌に特徴的な2つ以上の識別可能な検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体を使用する本発明の好ましい方法を使用して、改善することができる。
【0030】
好ましくは、比較的少量の試験試料を使用することができる。有意に2ミリリットル(mL)を超える試験試料容量が使用されてもよいが、500マイクロリットル(μL)くらいの試験試料が典型的に本発明の方法に十分であり、更に小さい試料の大きさも可能である。
【0031】
好ましくは、本発明の方法を使用することにより、捕捉時間が比較的短くなる。例えば、捕捉時間は、30分未満、15分未満、5分未満、60秒未満、及び30秒でさえあることができる。
【0032】
特に対象となる細菌は、グラム陽性及びグラム陰性細菌を含む。特に関連性のある生物としては、腸内細菌科若しくは球菌科、又はブドウ球菌属の種、連鎖球菌種、シュードモナス種、腸球菌種、サルモネラ菌種、レジオネラ菌種、赤痢菌種、エルニシア種、エンテロバクター種、エシェリキア種、バチルス種、リステリア種、ビブリオ種、コリネバクテリア種、並びにヘルペスウイルス、アスペルギルス種、フサリウム種、及びカンジダ種のメンバーが挙げられる。特に悪性の生物には、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌株を包含する)、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿レンサ球菌、エンテロコッカス・フィカリス、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、炭疽菌、緑膿菌、大腸菌、クロコウジカビ、アスペルギルス・フミガータス、アスペルギルス・クラバタス、フザリウム・ソラニ、フザリウム・オキシスポラム、フザリウム・クラミドスポラム(F. chlamydosporum)、リステリア・モノサイトゲネス、リステリア・イバノビ、コレラ菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ・コレラスイス、チフス菌、ネズミチフス菌、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、エンテロバクター・サカザキ、大腸菌O157及び多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR)が挙げられる。
【0033】
特に対象となるものは、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌である。典型的には、これらは、細胞壁タンパク質などの、細菌に特徴的な細胞壁成分の存在を検出することにより検出できる。また、特に対象となるものは、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDRなどの抗生物質耐性菌である。典型的には、これらは、抗生物質耐性の原因となる、膜タンパク質、輸送タンパク質、酵素などのような細胞内構成要素の存在を追加的に検出することにより検出することができる。
【0034】
本発明の好ましい方法は、別の分子(例えば、黄色ブドウ球菌の分析のためのプロテインA及びクランピング因子等の分子)又は同じ分子(例えば、タンパク質)の2つの異なるエピトープを使用して、試料から全細菌細胞を捕捉するために使用することができる。このような検体には、例えば、プロテインAなどの細胞壁タンパク質、並びにフィブリノゲン結合タンパク質(例えば、クランピングファクター)、フィブロネクチン結合タンパク質、コラーゲン結合タンパク質、ヘパリン関連多糖結合タンパク質などの微生物表面構成要素認識接着性マトリックス分子(MSCRAMM)が挙げられる。プロテインA、並びにフィブリノゲン結合因子及びクランピングファクターA、B、及びEfb等のクランピングファクターもまた、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法に特に有用である。他の対象となる細胞壁構成要素としては、莢膜多糖類及び細胞壁炭水化物(例えば、テイコ酸及びリポテイコ酸)が挙げられる。
【0035】
対象となる種は、例えば、血液、唾液、接眼レンズ液、滑液、脳脊髄液、膿汁、汗、排出物、尿、粘液、粘膜組織(例えば、頬、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道、尿管、膣、頸部、及び子宮粘膜)、母乳、糞便、又は同等物等の生理的液体のような多種多様な源に由来することができる試験試料内で分析することができる。更に、試験試料は、例えば、傷、皮膚、前鼻孔、鼻咽頭腔、鼻腔、前鼻前庭、頭皮、爪、外耳、中耳、口、直腸、膣、腋窩、会陰、肛門、直腸、又は他の同様の身体部位に由来することができる。
【0036】
生理学的な流体以外に、他の試験試料としては、他の液体並びに液体媒質に溶解された固体(単数又は複数)を挙げることができる。対象となる試料は、プロセス流、水、土壌、植物又は他の草木、空気、表面(例えば、汚染)、及び同等物を含むことができる。
【0037】
当該技術は、黄色ブドウ球菌等の細菌の検出のための様々な患者のサンプリング技法を記載する。このような試料採取技術は、本発明の方法にも同様に好適である。例えば、無菌の綿棒での拭き取り又はサンプリングデバイスにより、患者の鼻孔、例えば、患者の前鼻孔を拭き取って試料を得ることは一般的である。例えば、乾燥した又は適切な溶液で予め湿潤させておいた綿棒を被験者の鼻孔の前端の中に挿入し、綿棒を粘膜表面に沿って2回完全に周回させることにより、試料採取を実行することができる。
【0038】
多種多様な綿棒又は他の試料収集器具が、例えば、商品表記ピュア・ラップス(PURE-WRAPS)としてピューリタン・メディカル・プロダクツLLC(Puritan Medical Products Co. LLC)(メイン州ギルフォード(Guilford))、又は商品表記マイクロレオロジックス・ナイロン・フロック綿棒(microRheologics nylon flocked swab)、イースワブ・コレクション及びトランスポート・システム(ESwab Collection and Transport System)としてコパン・ダイアグノスティクス社(Copan Diagnostics, Inc.)(カリフォルニア州ムリエッタ(Murrietta))から市販されている。所望であれば、例えば、米国特許第5,879,635号(Nason)に開示されているような試料収集手段も用い得る。綿棒は、綿、レーヨン、アルギン酸カルシウム、ダクロン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなどを包含する様々な物質からなることができる。
【0039】
次いで、試料収集デバイス(例えば、綿棒)は、直接培養する、直接分析する、又は適切な溶液で抽出(例えば、洗浄、ボルテックスによる溶出によって)することができる。このような抽出物(即ち、溶出)溶液は、典型的には水を包含し、所望により緩衝液及び少なくとも1種の界面活性剤を包含できる。溶出緩衝液の例としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられ、これは、例えば、シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手できるTWEEN 20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)又はプルロニックL64(BASF社(BASF Corp.)から入手できるポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロック共重合体)と組み合わせて用いることができる。他の抽出溶液は、試料採取場所から試料分析場所への輸送の間、標本安定性を維持するように機能する。これらの種類の抽出溶液の例には、エイミーによる(Amies’)及びスチュアートによる(Stuart’s)輸送媒体が挙げられる。
【0040】
試験試料(例えば、液体)は、更なる分析に先立って処理にさらされてもよい。これには、濃度、沈殿、濾過、遠心分離、蒸留、透析、希釈、天然成分の不活性化、試薬の添加、化学処理等が含まれる。
【0041】
試料を、磁性粒子材料に付着させることができる適切な抗体に接触させる。結合した細胞は、精製された標的検体を得るために支持体から溶出することができ、又は固体支持材料に結合している間に処理することができる。
【0042】
黄色ブドウ球菌抗体等の1つ以上(好ましくは、2つ以上)の抗体を、黄色ブドウ球菌反応物質として採用する。「黄色ブドウ球菌抗体」は、その抗原結合フラグメントを含む所与の抗原に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリンを指す。黄色ブドウ球菌の抗体は、シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)及びアキュレート・ケミカル社(Accurate Chemical)から市販されている。更に、モノクローナル抗体MAb 12−9などの他の黄色ブドウ球菌抗体が、米国特許第6,979,446号に記載されている。特定の好ましい実施形態では、抗体は本明細書で記載されたもの(例えば、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製されたRxClf40、アフィニティー精製されたGxClf40、MAb 12−9からなる群から選択される)、これらのフラグメント、及びこれらの組み合わせから選択される。かかる抗体はまた、共に「プロテインA選択性を持つ抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」と題された米国特許出願公開第2008−0118937A1号及びPCT国際公開第2008/140570号、並びに共に「プロテインA選択性を持つ抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」と題された2006年11月22日に出願の米国特許出願第11/562,747号、及びPCT国際公開第2008/143697号、並びに共に「選択的溶出条件による特異的抗体の選別(SPECIFIC ANTIBODY SELECTION BY SELECTIVE ELUTION CONDITIONS)」と題された2006年11月22日に出願の米国特許出願第60/867,089号、及び2007年11月20日出願の米国特許出願第11/943,168号に開示されている。
【0043】
好適な抗体は、モノクローナル抗体である。特に好適な抗体は、黄色ブドウ球菌(本明細書において「黄色ブドウ球菌」又は「Staph A」とも呼ばれる)のプロテインAに結合するモノクローナル抗体である。特に好ましい抗体は、MAb−76、MAb−107、これらのフラグメント、及びこれらの組み合わせである。
【0044】
更に具体的には、一実施形態において、好適なモノクローナル抗体、及びそれらの抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生されるモノクローナル抗体の免疫学的結合特性を示すものである。マウスモノクローナル抗体76は、マウスIgG2A、プロテインAで免疫化されたマウスから単離されたκ抗体である。ブタペスト条約に従って、モノクローナル抗体76を産生するハイブリドーマ358A76.1は、2006年10月18日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)細胞バンク(10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)に寄託され、特許寄託指定PTA−7938(本明細書では受入番号PTA−7938とも示される)を与えられた。ハイブリドーマ358A76.1は、本明細書で「Mab 76」と呼ばれる抗体を産生する。Mab 76は、本明細書で「Mab 76」、「Mab−76」、「MAb−76」、「モノクローナル76」、「モノクローナル抗体76」、「76」、「M76」、又は「M 76」とも示され、本明細書では全て相互互換的に使用され、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に2006年10月18日に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生される免疫グロブリンを指す。
【0045】
別の実施形態では、好適なモノクローナル抗体及びこの抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ細胞株358A107.2により産生されるようなモノクローナル抗体107の免疫学的結合特性を示すものである。マウスモノクローナル抗体107は、マウスIgG2A、プロテインAで免疫化されたマウスから単離されたκ抗体である。ブタペスト条約に従って、モノクローナル抗体107を産生するハイブリドーマ358A107.2は、2006年10月18日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)細胞バンク(10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)に寄託され、特許寄託指定PTA−7937(本明細書では受入番号PTA−7937とも示される)を与えられた。ハイブリドーマ358A107.2は、本明細書で「Mab 107」と呼ばれる抗体を産生する。Mab 107は、本明細書は「Mab 107」、「Mab−107」、「MAb−107」、「モノクローナル107」、「モノクローナル抗体107」、「107」、「M 107」、又は「M107」とも示され、本明細書では全て相互互換的に使用され、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に2006年10月18日に寄託され、受入番号PTA−7937が付与されたハイブリドーマ細胞株により産生される免疫グロブリンを指す。
【0046】
好適なモノクローナル抗体はまた、モノクローナル抗体Mab−76が黄色ブドウ球菌のプロテインAへ結合するのを阻害するものである。本発明は、モノクローナル抗体Mab−76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合するモノクローナル抗体を利用することができる。モノクローナル抗体がモノクローナル抗体Mab−76による黄色ブドウ球菌のプロテインAへの結合を阻害するかを決定するための方法、及びモノクローナル抗体がモノクローナル抗体Mab−76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合するかを決定するための方法は、免疫学の当業者に周知である。
【0047】
好適なモノクローナル抗体はまた、モノクローナル抗体MAb−107が黄色ブドウ球菌のプロテインAへ結合するのを阻害するものである。本発明は、モノクローナル抗体MAb−107により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合するモノクローナル抗体を利用することができる。モノクローナル抗体がモノクローナル抗体MAb−107による黄色ブドウ球菌のプロテインAへの結合を阻害するかを決定するための方法、及びモノクローナル抗体がモノクローナル抗体MAb−107により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合するかを決定するための方法は、免疫学の当業者に周知である。
【0048】
好適なモノクローナル抗体は、このハイブリドーマの子孫又は誘導体により産生されるもの及び同等又は類似のハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体である。
【0049】
また、本発明に含まれるものには、抗原結合フラグメントとも呼ばれる様々な抗体フラグメントが含まれ、それらには、一般に無傷の抗体の抗原結合部位を含む無傷の抗体の一部分のみが含まれ、それにより抗原に結合する能力が保持される。抗体フラグメントの例としては、例えば、タンパク質分解消化及び/又はジスルフィド架橋の還元により産生されるFab、Fab’、Fd、Fd’、Fv、dAB、及びF(ab’)フラグメント、並びにFab発現ライブラリから産生されるフラグメントが挙げられる。そのような抗体フラグメントは、当該技術分野において周知の技術により作られることができる。
【0050】
本発明に有用なモノクローナル抗体には、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、単鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、Fab発現ライブラリにより産生された直鎖抗体断片、VL又はVH領域のいずれかを含む断片、細胞内で作られた抗体(即ち、細胞内抗体)、及びこれらの抗原結合抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明に有用なモノクローナル抗体は、多種多様なアイソタイプの抗体であってもよい。本発明に有用なモノクローナル抗体は、例えば、マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgD、又はIgEであってもよい。本発明に有用なモノクローナル抗体は、例えば、ヒトIgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、又はIgEであってもよい。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体はマウスIgG2a、IgG1、又はIgG3であってよい。本発明について、所与の重鎖は、κ又はλ形状のいずれかの軽鎖と対になっていてよい。
【0052】
本発明において有用なモノクローナル抗体は、動物(限定されないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ウマ、ニワトリ、又はシチメンチョウを含む)により産生され、化学的に合成され、又は組み換えにより発現されることができる。本発明に有用なモノクローナル抗体は、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野において既知の多種多様な方法、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、アフィニティー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又はタンパク質の精製のための多種多様な他の標準的な技法によって、精製することができる。
【0053】
好適な抗体はまた、黄色ブドウ球菌の組み換えクランピングファクター(rClf40)タンパク質を好適には少なくとも1ピコグラム毎ミリリットル(pg/mL)、より好適には100pg/mLまでの濃度で検出する、高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピングファクタータンパク質ポリクローナル抗体調製物を包含する。好適な抗体はまた、黄色ブドウ球菌クランピングファクタータンパク質抗血清と比較して、検出感度において少なくとも4倍の増加を示す高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピングファクタータンパク質ポリクローナル抗体調製物を包含する。
【0054】
ある実施形態において、高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は有用であり、高い結合活性の黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は、黄色ブドウ球菌の組み換え型クランピング因子(rClf40)タンパク質で免疫された動物から抗血清を得る工程、抗血清を黄色ブドウ球菌クランピング因子(Clf40)タンパク質アフィニティーカラムに結合させる工程、カラムを0.5Mの塩及びpH4を有する洗浄緩衝液で洗浄する工程、及びpH2の溶出緩衝液でカラムから高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体を溶出する工程を含む方法により調製される。ここで、ウサギ及びヤギからの高結合活性抗黄色ブドウ球菌クランピングファクターポリクローナル抗体調製物はそれぞれ、アフィニティー精製RxClf40及びアフィニティー精製GxClf40として示される。一部の実施形態において、高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は、抗血清を黄色ブドウ球菌クランピング因子(Clf40)タンパク質アフィニティーカラムに結合させる前に、抗体のIgGクラスに対して抗血清を濃縮する工程を更に含む方法により得ることができる。そのような濃縮は、調製物から非免疫グロブリンタンパク質を除去することができ、及び/又は試料内の抗体のIgGクラスを濃縮することができる。
【0055】
本明細書に用いられる、抗血清とは、免疫されたホスト動物からの血液から凝固タンパク質及び赤血球(RBC)を除去したものを指す。標的抗原に対する抗血清は、多種多様な宿主動物を免疫することにより得ることができる。多種多様な免疫プロトコルを使用してもよい。
【0056】
抗体結合活性は、ポリクローナル抗体の作成の機能的親和性の尺度である。結合活性は、複数の抗体/抗原の相互作用の化合物親和性である。つまり、結合活性は、真の親和性ではなく、抗原/抗体結合の見かけの親和性である。ほとんどの抗血清の親和性が不均質であるにも関わらず、平均の親和性(K)を規定することによりそのような母集団を特徴づけることができる。
【0057】
検体結合材料は、強磁性、常磁性、及び超常磁性材料などの磁性粒子材料を包含する。好ましくは、かかる磁性粒子(例えば、ビーズ)は、2マイクロメートル未満、好ましくは、0.05マイクロメートル〜1マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズ(即ち、個々の粒子の最長寸法、例えば、直径)を有する。例えば、カルボキシ、アミン、及びトシル等の様々な基で機能化された磁性粒子は、インビトロジェン社(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))及びアデムテック社(Ademtech)(フランス、ペサック(Pessac))等の様々な商業的供給元から市販されている。ストレプトアビジンで被覆された粒子は、インビトロジェン社(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))、アデムテック(Ademtech)社(フランス、ペサック(Pessac))、及びミルテニーバイオテクGmbH社(Miltenyi Biotec GmbH)(ドイツ、ベルギッシュグラートバハ(Bergisch Gladbach))等の様々な商業的供給元からも市販されている。
【0058】
検体結合材料は、好ましくは、粒子材料のそれぞれの粒子が、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する磁性粒子材料を含む。例えば、ある実施形態において、検体結合材料は、それらの上に配置された抗体MAb−107及びアフィニティー精製GxClf40(好ましくは、1:1の比率)を有する磁性粒子材料を含む。
【0059】
抗体は、共有結合又は非共有結合のいずれかを介し、磁性粒子支持材料に付着することができる。
【0060】
磁性粒子支持材料への抗体の非共有結合性付着は、例えば、イオン性相互作用又は水素結合による付着を包含する。本発明に含まれる非共有結合の1実施例は、既知のビオチン−アビジン系である。アビジン−ビオチン親和力に基づく技術は、生物学及び生物工学の数多くの分野で広い汎用性が見出されている。アビジンとビオチンとの親和力定数は極めて高く(解離定数Kdはおよそ10−15Mである(グリーン(Green)、「バイオケミストリージャーナル(Biochem. J.)」89巻、599ページ、1963年)を参照されたい))、ビオチンが非常に多様な生体分子に結合される場合にも有意に減じられない。数多くの化学反応が、生体分子の活性又は他の所望の特性において、最小若しくは無視できる損失しか伴わずに生体分子をビオチンにカップリングするために同定されている。ビオチン−アビジン技術の概説は、バイエル(Bayer)ら「親和性に基づく分離へのアジビン−ビオチン技術の応用(Applications of Avidin-Biotin Technology to Affinity-Based Separation)」(「ジャーナル・オブ・クロマトグラフィ(J. of Chromatography)」3〜11ページ、1990年)に見ることができる。
【0061】
ストレプトアビジン、及びその機能的同族体であるアビジンは、4つの同一のサブユニットを有する四量体タンパク質である。ストレプトアビジンは、アクチノバクテリア、ストレプトミセスアビジニィにより分泌される。ストレプトアビジン又はアビジンのモノマーは、水溶性ビタミンであるビオチンに対する1つの高親和性結合部を含み、ストレプトアビジン又はアビジン四量体は、4つのビオチン分子を結合する。
【0062】
ビタミンH又はシス−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ−[3−4]−イミダゾール−4−ペンタン酸としても知られるビオチンは、細菌及び酵母を含むほとんどの生物に不可欠である基本のビタミンである。ビオチンは、その結合パートナーであるアビジン及びストレプトアビジンよりも更に小さい、244ダルトンの分子量を有する。ビオチンはまた、ピルベートカルボキシラーゼ、トランス−カルボキシラーゼ、アセチル−CoA−カルボキシラーゼ及びβ−メチルクロトニル−CoAカルボキシラーゼの酵素補助因子でもあり、それらは、多種多様な基質を共にカルボキシル化する。
【0063】
ストレプトアビジン及びアビジンの両方は、ビオチンと非常に強力で極めて特異的な結合を示し、その結合は、10−15モル(M)のモル解離定数(グリーン(Green)、タンパク質化学の進歩(Advances in Protein Chemistry)、29巻、85〜133頁、1975年)、及び89日のリガンド解離半減期(t1/2)(グリーン(Green)、N.M.、タンパク質化学の進歩(Advances in Protein Chemistry)、29巻、85〜133頁、1975年)のタンパク質とリガンドとの最も強い既知の非共有結合相互作用の1つである。アビジン−ビオチン結合は、血清中及び循環中において安定である(Wei et al.,Experientia,Vol.27,pp.366〜368(1970年))。一度形成されると、アビジン−ビオチン錯体は、究極のpH、有機溶媒、及び変性条件に影響を受けない。ビオチンからのストレプトアビジンの分離は、8Mグアニジン、pH1.5、又は121℃で10分間(min)のオートクレーブ等の条件を必要とする。
【0064】
抗体は、多種多様な既知の方法を使用してビオチン化することができる。例えば、抗体は、ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Company)(イリノイ州ロックフォード(Rockford))から市販されるN−ヒドロキシサクシンイミドビオチン(NHS−ビオチン)等の活性化ビオチン類似体を使用して化学的にビオチン化することができ、抗体上に遊離1級アミノ基の存在を必要とする。
【0065】
本発明の好ましい方法において、磁気粒子はストレプトアビジンで被覆されることができ、ビオチン化された抗体と接触させることができる。これらの粒子は、更に細菌捕捉に使用することができる。2つ以上の抗体により、同時又は連続した捕捉を行うことができる。もう1つの方法は、ビオチン化された抗体が、細菌を捕捉するために試料と混合され、抗体−細菌錯体が、更にビーズ(Dynal T1 MyOne Streptavidin Packageの挿入物)上で捕捉されることができる方法である。
【0066】
ある実施形態において、抗体数に対するビオチン分子の数の比率は、特定の粒子の凝集を回避するために最適化することができる。例えば、アデムテック(Ademtech)の200nmのストレプトアビジンにより被覆された粒子では、約2:1の比率が好ましい。より高い比率、特に7:1を超えるものではこれらの粒子の凝集の問題を示している。
【0067】
抗体を粒子支持材料に共有結合する代表的な方法には、抗体内の他の反応基(ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、又はスルフヒドリル基等)と反応するように活性化化合物(グルタルアルデヒド、カルボジイミド、臭化シアン等)で活性化された支持材料内の官能基(カルボキシル基、アミン、ヒドロキシル基、マレイミド基、ヒドラジド等)を使用する方法が挙げられる。この結合は、例えば、ジスルフィド結合、チオエステル結合、アミド結合、チオエーテル結合などであってもよい。抗体はまた、抗体上の官能基(アミン基など)と直接反応することができる基(トシル基、クロロメチル基など)で官能化された支持体物質に直接付着させてもよい。
【0068】
抗体は、当該技術分野において既知の多種多様な方法により磁性粒子支持材料に共有結合することができる。例えば、カルボキシル基で誘導体化されたビーズが市販されている。抗体は、更に抗体上の一級アミンとカルボジイミド活性により媒介されたビーズ表面上のカルボキシル基との間のアミド結合の形成を介してこれらのビーズに結合させることができる。
【0069】
典型的に、粒子に対する粒子濃度及び抗体の比率は、早い捕捉を達成するために対象となるシステムに最適化される。一般的に、これは、粒子依存性である。例えば、Dynal1−μm粒子では、粒子濃度は、好ましくは、0.04mg/mL超過、より好ましくは0.1mg/mL超過、及び更により好ましくは0.16mg/mL超過である。同じ粒子において、粒子に対する抗体の比率は、好ましくは1μg/mg粒子超過、より好ましくは10μg/mL超過、及び更により好ましくは40μg/mg粒子超過である。
【0070】
例えば、アデムテック(Ademtech)200−nm粒子では、粒子濃度は、好ましくは、0.04mg/mL超過、更に好ましくは0.1mg/mL超過、及びより更に好ましくは0.16mg/mL超過である。同じ粒子において、粒子に対する抗体の比率は、好ましくは少なくとも0.01μg/mg粒子、より好ましくは0.1μg/mL超過、及び更により好ましくは1μg/mg粒子超過である。同じ粒子において、粒子に対する抗体の比率は、好ましくは10μg/mg粒子未満である。
【0071】
好適な粒子は、非特異的結合を防止するためにブロックされても又はブロックされなくてもよい。このようなブロッキングは、抗体結合前又は後に行ってもよい。例えば、購入した特定の磁気ビーズ(例えば、Dynal T1 MyOneストレプトアビジンビーズ)はウシ血清アルブミン(BSA)でブロックされる。他の好適な非特異的結合のブロッキング剤を使用することができ、それらは、当該技術分野において既知である。
【0072】
標的全細胞を含有する試料と抗体を含有する固体支持材料との接触時間(例えば、混合時間)は、15分以下であることができるが、短くて30秒、長くて30分が用いられてもよい。そのような組成物は、任意にプルロニックL−64界面活性剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、BSA、又はこれらの組み合わせを含むPBS等の、緩衝液を含んでもよい。物理的な攪拌(又は混合)を大きな粒子及び小さな粒子の両方に使用することができるが、小さな粒子は、混合しないで使用することができる。
【0073】
粒子は、沈降、遠心分離、又は濾過により分離することができる。好適には、磁気粒子が使用され、磁場の使用により分離される。これらの分離された粒子(それらの上に全細胞を有する)は、例えば、プルロニックL−64又はトィーン(TWEEN)20、BSA有りあるいは無しを含んだPBSを含む種々の緩衝液で洗浄されることができる。
【0074】
注目すべきは、本発明の全細胞捕捉方法を使用して、好ましくは試料中の標的全細胞の少なくとも20%が捕捉され、より好ましくは標的全細胞の少なくとも50%が捕捉され、更により好ましくは標的全細胞の少なくとも80%が捕捉される。
【0075】
本発明の方法は、試験試料内の標的全細胞を溶解する工程を含む。
【0076】
標的全細胞は、溶解する前に磁性粒子から除去されてもよい。磁性粒子から細胞を除去する方法には、化学的方法及び物理的方法がある。最も簡単な方法は、捕捉された細胞を放出するための緩衝pH又はイオン強度(あるいは両方)の変化に依存する。温度もまた、捕捉された細胞を放出するためのトリガーとして用いることができる。別の方法は、固体支持体表面と捕捉された抗体との間に不安定な連結基を提供することに依存する。リンカーの構造に応じて、不安定化合物をトリガーするためのいくつかのモードを用いることができる。光及び熱への暴露は、捕捉された抗体を放出するために不安定なリンカーをトリガーするための可能な手段である。捕捉された抗体に対して高い親和性を有する競合結合剤を使用して捕捉された細胞を移動させることによって、それらを放出することもまた可能である。あるいは、標的全細胞が磁性粒子に付着している間にそれらを溶解させてもよい。
【0077】
細胞中のATPを効率的に測定するために、ATPを劣化させずに効率よく抽出することが望ましい。文献は多くの異なる抽出処置を記載している。例えば、Karl D.M.;Microbiology Review,44,739,1980;Stanley,P.E.Methods in Enzymology,133,14,1986を参照のこと。最もよく使用される抽出剤の1つはトリクロロ酢酸(TCA)である。TCAは、細胞からATPを放出するために、並びに、ATPの劣化をもたらす可能性がある試料マトリックス内に存在する酵素を不活性化するために使用される。通常のTCA濃度は0.5%〜2.5%(容量で)の範囲内であるが、TCAはルシフェリン/ルシフェラーゼ反応を阻害するので、典型的には、所与の細胞標的のATP含有量を効率的に抽出することがなお可能である最低限必要な濃度のTCAを使用する。抽出後、典型的には、適切な緩衝液(例えば、トリス−アセテート)を添加することによって試料を中和して、溶液pH約7.7を得る。
【0078】
細胞溶解を介するATPの抽出は、同様に他の方法で達成されることができる。例えば、溶解は、5℃〜42℃(おそらく50℃の高さ)の温度、好ましくは15℃〜25℃の温度などの従来の条件下で行うことができる。有意に、溶解は、培養細胞を使用することができるが、未培養細胞、即ち、直接試験試料を使用して実施することができる。
【0079】
溶解は、細胞を物理的に溶解して実施できる。物理的な溶解は、試験試料をグラスビーズで攪拌、音波処理、加熱及び煮沸、又は試験試料を高圧下に置くこと、例えば、フレンチプレスを使用して実施することができる。
【0080】
溶解は、溶解剤を使用して実施できる。好適な溶解剤には、例えば、酵素(例えば、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ)が挙げられる。代表的な酵素には、リソスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N−アセチルムラミル−L−アラニンアミダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、ALE−1、DNase、及びRNaseが挙げられる。所望される場合には、様々な組み合わせの酵素を使用することができる。リゾスタフィンは、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法において特に有用である。
【0081】
他の溶解剤には、塩(例えば、カオトロピック塩)、可溶化剤(例えば、洗剤)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸(TCEP;ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Company)(イリノイ州ロックフォード(Rockford)))、システイン、n−アセチルシステイン)、酸(例えば、HCl)、及び塩基(例えば、NaOH)が挙げられる。このような溶解剤は、他に対してよりも特定の生物に対して好適となることがあり、例えば、これらは、グラム陽性細菌と共に使用するよりも、グラム陰性細菌と共に使用するのに好適であることができる。
【0082】
必要に応じて、溶解剤及び/又は方法の様々な組み合わせを使用することができる。溶解の方法は更に米国特許出願公開第2005/0153370 A1号において更に論ぜられている。
【0083】
加えて、所望されると共に試料が粘液含有試料である場合には、試料は溶解の前又は後のいずれかで、粘液溶解剤を包含することができる少なくとも1種の試薬で、更に処理することができる。粘液溶解剤での粘液含有試料の処理は、分析の間の粘液の存在から生じる妨害を減少できる。
【0084】
粘液溶解剤の例には、酵素(例えば、ペプシン、DNアーゼ、RNアーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グリコシダーゼ)、塩(例えば、カオトロピック塩(chaotrophic salts))、可溶化剤(例えば、界面活性剤、洗剤)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(dithiotreotol)(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、TCEP、n−アセチルシステイン)、及び酸(例えば、HCl)が挙げられる。所望される場合には、このような溶解剤の様々な組み合わせを、使用することができる。例えば、全ての溶解剤が粘液溶解剤であるわけではないが、溶解剤と粘液溶解剤との間には重複が存在可能であることが、当業者には理解される。
【0085】
ある実施形態において、試料が粘液含有試料であり、粘液溶解剤が還元剤である場合に、還元剤は酸性化(例えば、pH3未満を有する)することができる。還元剤は、無機酸(例えば、HCl)又は有機酸(例えば、乳酸、クエン酸)などの様々な酸を使用して酸性化することができる。あるいは、十分に高濃度で使用される場合には、還元剤のpHは、酸で調整される必要はない。
【0086】
典型的には、しかしながら所望により、還元剤を添加した後、試料調製は組成物中の還元剤の不活性化を含む。これを、例えば、競合的基質(例えば、n−アセチルシステインに対してウシ血清アルブミン)を提供することによって、行うことができる。還元剤を不活性化する試薬の他の例には、中和緩衝液を含む、希釈剤が挙げられる。中和緩衝液の代表的な成分には、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸)、塩類(例えば、NaCl)、タンパク質安定剤(例えば、BSA、カゼイン、血清)、ポリマー、糖類、及び/又は洗剤若しくは界面活性剤(例えば、商標名及び一般に入手可能な供給源で記載されている次の薬剤のうちの1つ以上:NINATE 411(アミンアルキルベンゼンスルホネート、ステパン社(Stepan Co.,)(イリノイ州ノースフィールド(Northfield))より入手可能)、ゾニール(ZONYL)FSN 100(ポリエチレングリコールを有するテロマー(Telomer)Bモノエーテル、イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール社(E.I.Dupont de Nemours Co.)より入手可能)、エアゾール(Aerosol)OT 100%(ジオクチルスルホスクシネートナトリウム、アメリカン・サイアナミド社(American Cyanamide Co.)より入手可能)、ゲロポン(GEROPON)T−77(N−オレイル−N−メチルタウリンナトリウム、ロディア・ネヴァケア(Rhodia Novacare)より入手可能)、BIO−TERGE AS−40(オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14〜C16)、ステパン社より入手可能)、スタンダポル(STANDAPOL)ES−1(ポリオキシエチレソ(1)ラウリル硫酸ナトリウム、コグニス社(Cognis Corp)(ペンシルバニア州アンブラー(Ambler))より入手可能)、テトロニック(TETRONIC)1307(エチレンジアミンアルコキシレートブロック共重合体、BASF社(BASF Corp.)より入手可能)、サーフィノール(SURFYNOL)465、485、及び104PG−50(全てエアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)より入手可能)、イゲパール(IGEPAL)CA210(オクチルフェノールエトキシレート、ステパン社より入手可能)、トリトン(TRITON)X−45、X−100、及びX−305(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、全てダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Co.)より入手可能)、シルウェット(SILWET)L−7600(ポリジメチルシロキサンメチルエトキシレート、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社(Momentive Performance Materials, Inc.)(コネティカット州ウィルトン(Wilton))より入手可能)、ローダサーフ(RHODASURF)ON−870(ポリエトキシル化(2)オレイルアルコール(ロディア・ネヴァケアより入手可能)、クレモホル(CREMOPHOR)EL(ポリオキシエチル化ヒマシ油、BASF社より入手可能)、ツイン(TWEEN)20及びツイン80(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート及びモノオレエート、共にシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp)より入手可能)、BRIJ 35(ポリオキシエチレン(23)ドデシルエーテル、シグマ・アルドリッチ社より入手可能)、ケマル(CHEMAL)LA−9(ポリオキシエチレンラウリルアルコール、PCCケマックス(Chemax)(サウスカロライナ州ピエディモント(Piedmont))より入手可能)、プルロニック(PLURONIC)L64(ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレンブロック共重合体、BASF社より入手可能)、サルファクタント(SURFACTANT)10G(p−ノニルフェノキシポリ(グリシドール)、アーチ・ケミカルズ社(Arch Chemicals Inc.)(コネティカット州ノーウォーク(Norwalk))より入手可能)、スパン(SPAN)60(ソルビタンモノステアレート、シグマ・アルドリッチ社より入手可能)、クレモホル(CREMOPHOR)EL(ポリオキシエチル化ヒマシ油、シグマ・アルドリッチ社より入手可能)、を挙げることができる。所望される場合には、中和緩衝液は試料のpHを調整するためにも使用することができる。
【0087】
還元剤に加えて、又は代えて、粘液含有試料の試料調製は、1種以上の界面活性剤又は洗剤の使用(例えば、試料及び酵素性溶解剤を粘液溶解剤と組み合わせることに続いて、又はそれと同時に)を包含できる。好適な界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性であることができる。好適な例には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が挙げられる。必要に応じて、様々な界面活性剤の組み合わせを使用することができる。
【0088】
所望により、試料調製方法は、続けて界面活性剤を不活性化することを包含できる。これは、例えば、拮抗性基質を提供することにより行うことができる。界面活性剤を不活性化するための他の例は、粘液溶解剤試験試料及び界面活性剤のpHを、少なくともpH5に調整するのに十分な緩衝液のような、試薬中和緩衝液を使用することを含む。好適には、緩衝液は、pHを8以下に調整するのに十分である。
【0089】
更に、試料調製試薬の1種以上が酸性である場合、対象となる検体を包含する生成組成物は、好適にはpH7〜7.5又は7.2付近に中和される。これを、例えば、緩衝液及び/又は希釈剤を提供することによって行うことができる。
【0090】
本発明は、アデノシン三リン酸(ATP)の分析に基づいて、対象となる細菌用試料を分析する様々な方法を提供する。この方法は、直接又は間接的に行うことができる。
【0091】
ATP検出を細菌負荷の指標として使用することができる。直接ATPアッセイでは、結合した細菌性細胞を有する固体支持体を試料の残部(細胞外ATPなどの妨害成分を含有している場合がある)から分離した後、細胞を溶解し(磁性粒子の存在下で行われてもよい)、ルシフェリン及びルシフェラーゼと接触させる。捕捉された細菌性細胞の数に比例する強度の得られた生物発光は、次に、例えば、照度計を使用して検出され、好ましくは測定される。かかる方法は、例えば、McElroy,W.D.and Deluca,M.A.;Firefly and bacterial luminescence:Basic science and applications;Journal of Applied Biochemistry,Vol.5,197,(1983)、及びLundin,A.and Thore,A.;Analytical information obtainable by evaluation of the time course of firefly bioluminescence in the assay of ATP;Analytical Biochemistry,Vol.66,47,(1975)に記載されている。ルシフェリン/ルシフェラーゼ調製物、及び直接ATPアッセイにおけるそれらの使用方法は当業者には既知であり、市販されている(例えば、プロメガ社(Promega Corporation)(ウィスコンシン州マディソン(Madison))から入手可能なENLITENrルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬、又はバイオトレース・インターナショナル(Biotrace International)(英国、ブリジェンド(Bridgend))から入手可能なクリーントレース(Clean-Trace)又はアクアトレース(Aqua-Trace))。典型的な製剤は、例えば、0.1ミリグラム/リットル(mg/L)〜10mg/Lのルシフェラーゼ、15ミクロモル/リットル(μmol/L)〜1000μmol/L、好ましくは15μmol/L〜100μmol/L(例えば、36μmol/L)のD−ルシフェリン、及びMgCl(2.5〜25mmole)EDTA、BSA、及びpH7緩衝液(より典型的にはpH7.8緩衝液)などの薬剤を含有する。
【0092】
ATPの量と、細菌及び/又は細菌に特徴的な細胞内含有物の量との関係は、標的細菌又は標的細菌に特徴的な細胞内物質の既知量を使用するアッセイ方法を実施し、これと比較して未知量を推定することによって作られる検量線を使用することによって、容易に行われる。好ましい方法では、細菌数当たりの放射光の検量線が作られ、試料中の未知量の物質からの単位時間当たりの光出力の読取値をこの検量線から解釈する。
【0093】
ルシフェラーゼ反応の速度は、発光シグナルの強度及び崩壊速度を決定する。したがって、ルシフェラーゼ反応の速度に影響を与えるあらゆる環境変数は、やがては発光シグナルの強度及び安定性にも影響を与える。例えば、温度は、酵素反応の速度及び系の発光出力に影響を及ぼす。一貫した結果を得るために、アッセイの実施中は温度制御を維持することが望ましい。
【0094】
反応の光出力はまた経時的に変化するので、発光シグナルがそのピーク強度の間の測定値であることを確実にするために、検出系の動力学特性を理解することが望ましい。大量生産される試薬のほとんどは、これら動力学効果を最小限にするために、より長時間の間より一定な光出力をもたらすように調製されている。
【0095】
ルシフェラーゼ反応の化学環境もまた、生じる発光に影響を与える。例えば、原料の時点で、又はATP検出の前に試料を処理した結果として、試料を汚染する界面活性剤及び溶媒は、予測される光出力を変更することができる。したがって、適切な管理を採用し、かつ、特定の試料タイプに存在する場合があるルシフェラーゼ反応への干渉の潜在源を理解することが好ましい。この考え方に沿って、分析される試料が汚染ATP(即ち、非細菌ATP)を含有しているかどうかを認識することもまた重要である。本明細書に記載の試料調製は汚染ATPの量を低減するが、試料の酵素処理を用いることも可能である。例えば、汚染物質ATPからの背景信号を極力最小限に抑えるために、細胞捕捉の前に、細胞中に含まれていないATPを分解するアピラーゼを使用することができる。
【0096】
混合は、ATP検出における別の変数である。最適性能は、試薬を抽出されたATPと完全に混合することによってもたらされる。
【0097】
また、標的細胞からATPを抽出するのに必要な時間は、使用する抽出剤試薬だけでなく、標的細胞のタイプにも左右される場合がある。特定の細菌からATPを抽出するのには時間がかかる。ほとんどのATP試薬は、その調製方法又は純度に関わらず、バックグラウンドATPを本質的に示す。この背景信号は達成可能な感度に影響を与える可能性があるので、バックグラウンドATPが極力無い状態の試薬を使用するのが望ましい。
【0098】
ルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬系は、その貯蔵寿命を最大限にするために熱安定剤もまた含まなければならない。ほとんどの大量生産されるルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬は、熱安定性となるように調製される。
【0099】
間接ATPアッセイでは、試料の残部(細胞外ATPなどの妨害成分を含有する可能性がある)から結合した細菌性細胞を有する固体支持体を分離した後、細胞を溶解し(磁性粒子の存在下で行われてもよい)、溶解物は、任意のアデニル酸キナーゼの存在によってアデノシン三リン酸(ATP)を生成するのに有効な条件下で、アデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液と接触させられる。かかる方法は、例えば、米国特許第5,798,214号に記載されている。アデニル酸キナーゼの使用はまた、試料にATPを混入させるために使用することができる。
【0100】
試料と混合するADPの量は、混合物中のADP濃度が0.005mM超過、より好ましくは0.01mM超過、最も好ましくは0.08mM超過となるのに十分であることが好ましい。変換工程の混合物における特に好ましいADPの量は約0.1mMである。これはADPの純度に依存してもよく、高濃度のATP汚染は高濃度の使用を制限する。ADPに特に有用な範囲は、10mM〜0.1μMである。
【0101】
ATPを生成するのに有効な条件は、ADPからATPへの最大変換が可能となるのに十分なモル濃度でマグネシウムイオンが存在することを含む。上記にて提示したADPの好ましい濃度に対する、ADPからATPへの変換の間の、懸濁液又は溶液中のマグネシウムイオンの好ましい濃度は、1mM以上、より好ましくは5mM以上、及び最も好ましくは10mM以上である。マグネシウムイオンは、任意のマグネシウム塩の形態で提供されてもよいが、好ましくは酢酸マグネシウムとして提供される。Mg2−に特に有用な範囲は、約0.1mM〜約25mMである。存在するMg2−の量は、とりわけ、ADP濃度に依存し得る。
【0102】
マグネシウムイオンは、ADPの不安定性(汚染アデニル酸キナーゼが早期にADPをATPに変換させるという意味において)をもたらし得るので、使用前にこれらを溶液と一緒にしないのが好ましく、好ましくはこれらは、使用直前に、又はADP変換工程において一緒にされる。マグネシウムイオンはアデニル酸キナーゼの活性に必要であるので、ADPを添加する前に、マグネシウムイオンと試料を一緒に混合するのが好ましくあり得る。試薬が一緒に保持される場合は、あらゆる不安定効果を避けるために、試薬は凍結乾燥形態で保存することが好ましい。
【0103】
ATPを生成するのに有効な条件には、ADPからATPへの変換に有効な時間だけ、溶解物をADP及びマグネシウムと培養することが含まれる。直接ATPアッセイに関して上述した条件及び濃度は、間接ATPアッセイに関しても同様に適用される。
【0104】
生成されたATPを検出することができ、好ましくは、生成されたATPの量を測定して、細菌若しくは細菌に特徴的な細胞内物質の存在及び/又は量に関連付けることができる。これは、生成されたATPの量に比例する光を生成するルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬を使用して行うことができ、光は、直接ATPアッセイと同じやり方で照度計を使用して検出される。ルシフェリン/ルシフェラーゼ調製物及びそれらの使用方法は、直接ATPアッセイに関して上述されている。好ましい実施毛形態は、ルシフェリン/ルシフェラーゼ発光試薬を試料に、培養の開始時に、好ましくは単一試薬としてADP及びマグネシウムイオンソースと共に添加することを含む。この実施形態は、典型的には高純度のルシフェラーゼ試薬を使用する。このようにADPからATPへの変換の開始時に試薬の全てが含められる、及び/又は、別個の工程であるルシフェリン/ルシフェラーゼの添加後に照度計による計測が継続する本発明の実施形態では、マグネシウムはルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬によって提供されてもよい。しかしながら、ルシフェラーゼによるマグネシウムイオンとEDTAは結合するので、マグネシウムイオンの量は、典型的には、事前の実験又は計算によって明確に確実なものとされる。最大シグナルが得られる既知量の細菌を含有する試料を使用した日常の実験によって、所与のADP試料及びルシフェリン/ルシフェラーゼ混合物に添加されるマグネシウムの最適量を容易に決定することができることは、当業者には完全に理解されよう。
【0105】
例示の実施形態では、細菌は、1つ、望ましくは2つの抗体を使用して捕捉されて、分析され得る。単離された細菌は、選択的増菌培地で濃縮され、非結合物質を除去するために洗浄されてもよい。溶解剤、例えば、リソスタフィンと、アデノシン二リン酸とを含有する試薬を、洗浄試料に添加する。溶解細胞は、ADPからATPへの反応に触媒作用を及ぼすアデニル酸キナーゼを放出する。次に、ルシフェリン及びルシフェラーゼを試料に添加し、ATPの存在下で光が放射される。
【0106】
本発明は、本発明の様々な方法を実施するためのキット及びシステムを更に提供する。1つの特定の実施形態では、キットは、例えば、(1)試料捕捉デバイス(例えば、米国特許第5,879,635号に記載のデバイス)と、(2)磁性ビーズと、(3)ビーズを試料から分離するための磁石と、(4)例えば、送達するための適切なピペット又は試薬瓶に入った試料調製溶液(例えば、非特異的に吸着した細胞及びその他の妨害物質を除去するための洗浄液、溶解剤/ATPを抽出するための抽出剤)と、(5)例えば、送達するための適切なピペット又は試薬瓶に入ったルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と、(6)光出力を読み取るための照度計と、を含む。
【0107】
本発明は、以下の具体的な実施形態を提供する。
【0108】
1.細菌試料の分析方法であって、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体を提供する工程であって、抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb−12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程と、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と、固体支持材料と、1つ以上の抗体との間の接触を提供する工程と、
捕捉された標的全細胞を試料から分離する工程と、
溶解物を形成するために標的全細胞を溶解する工程と、
ATPに関して溶解物を直接又は間接的に分析することによって、特定の細菌の有無を分析する工程と、を含む。
【0109】
2.1つ以上の抗体が検体結合材料を形成する固体支持材料に付着し、該方法が、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と検体結合材料との間の接触を提供する工程を含む、実施形態1に記載の方法。
【0110】
3.試料と検体結合材料との間の接触を提供する工程が、試料と1つ以上の抗体との間の同時接触を含む、実施形態2に記載の方法。
【0111】
4.試料、固体支持材料、及び1つ以上の抗体の間の接触を提供する工程が、抗体結合した全細胞を形成するために、1つ以上の抗体と試料との間の接触を提供する工程と、続いて、抗体結合した全細胞と固体支持材料との間の接触を提供する工程とを含む、実施形態1に記載の方法。
【0112】
5.特定の細菌が、グラム陽性細菌を含む、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
6.特定の細菌が、黄色ブドウ球菌を含む、実施形態5に記載の方法。
【0114】
7.標的全細胞の少なくとも20%が捕捉される、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
8.標的全細胞の少なくとも50%が捕捉される、実施形態7に記載の方法。
【0116】
9.標的全細胞の少なくとも80%が捕捉される、実施形態8に記載の方法。
【0117】
10.固体支持材料が、0.04mg/mLを超える濃度の粒子を含む、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
11.固体支持材料が粒子を含み、粒子に対する抗体の比率が1μg/mg粒子を超える、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
12.固体支持材料が粒子を含み、粒子に対する抗体の比率が少なくとも0.01μg/mg粒子である、実施形態1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【0120】
13.粒子に対する抗体の比率が10μg/mg粒子未満である、実施形態12に記載の方法。
【0121】
14.各粒子が、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する、実施形態1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
15.溶解する前に標的全細胞が磁性粒子から除去される、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
16.ATPを直接又は間接的に分析することによって、特定の細胞の有無を分析する工程が、
任意のアデニル酸キナーゼの存在によってアデノシン三リン酸(ATP)を生成するのに有効な条件下で、溶解物とアデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液とを接触させる工程と、
生成されたATPの有無を検出する工程と、を含む、実施形態1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
17.生成されたATPの有無を検出する工程が、生成されたアデノシン三リン酸(ATP)の量を測定して、これを特定の細菌又は特定の細菌に特徴的な細胞内物質の存在及び/又は量と関連付ける工程と、を含む、実施形態16に記載の方法。
【0125】
18.生成されたATPの有無を検出する工程が、生成されたATPの量に比例する光を生成するために、溶解物とADPとを含有する混合物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、照度計で光を検出する工程と、を含む、実施形態16又は実施形態17に記載の方法。
【0126】
19.ATPを生成するのに有効な条件が、ADPからATPへの最大変換が可能となるのに十分なモル濃度でマグネシウムイオンが存在することを含む、実施形態16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【0127】
20.ATPを生成するのに有効な条件が、ADPからATPへの変換に有効な時間だけ、溶解物をADP及びマグネシウムと培養することを含む、実施形態19に記載の方法。
【0128】
21.ATPを直接又は間接的に分析することによって、特定の細胞の有無を分析する工程が、
存在するATPの量に比例する光を生成するために、溶解物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、
照度計を使用して光を検出する工程と、を含む、実施形態1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【0129】
22.特定の細菌の有無を分析する工程が、存在するATPの量を測定する工程と、これを存在する細菌又は細胞内物質と関連付ける工程と、を更に含む、実施形態21に記載の方法。
【0130】
23.細菌試料の分析方法であって、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程であって、抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb−129、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と、1つ以上の抗体が付着した磁性粒子との間の接触を提供する工程と、
捕捉された標的全細胞を試料から分離する工程と、溶解物を形成し、かつ存在する場合にアデノシン三リン酸(ATP)を放出するために、標的全細胞を溶解する工程と、
存在するATPの量に比例する光を生成するために、溶解物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、
照度計を使用して光を検出する工程と、
存在するATPの量を測定する工程と、これを特定の細菌に特徴的な存在する特定の細菌又は細胞内物質と関連付ける工程と、を含む方法。
【0131】
24.細菌試料の分析方法であって、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程であって、抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb−129、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と、1つ以上の抗体が付着した磁性粒子との間の接触を提供する工程と、
捕捉された標的全細胞を試料から分離する工程と、
溶解物を形成するために標的全細胞を溶解する工程と、
任意のアデニル酸キナーゼの存在によってアデノシン三リン酸(ATP)を生成するのに有効な条件下で、溶解物とアデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液とを接触させる工程と、生成されたアデノシン三リン酸を測定する工程と、これを特定の細菌に特徴的な特定の細菌又は細胞内物質と関連付ける工程と、を含む方法。
【0132】
25.固体支持材料が、特定の細菌に特徴的な2つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む、実施形態1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【実施例】
【0133】
ここで、本発明は、可能な記述が実施可能な発明者によって予測される、いくつかの特定の実施形態を参照して記載されている。現在予測されていない修正を含む、本発明の実体の無い修正は、それでもなお、それらと同等であると定めることができる。したがって、本発明の範囲は、本明細書において説明した詳細及び構造に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲、及びそれらと同等の物によって単に限定されるべきである。
【0134】
実施例中、及び残りの明細書中の、全ての分率、パーセンテージ、比率などは、特に指示がないかぎりモルによるものである。供給者の名前が挙げられていない全ての溶媒及び試薬はアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee, WI))から購入した。水はU−V Milli−Q水精製器(water purifier)(マサチューセッツ州ミリポア(Millipore))を使用して、18.2Mオーム/cmの抵抗率で精製した。
【0135】
【表1】

【0136】
調製実施例1−抗体により機能化された磁性ビーズの調製
マウス抗プロテインAモノクローナル抗体、MAb−107、は、共に「プロテインA選択性を持つ抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」と題された、2006年11月22日に出願の米国特許出願第11/562,747号、及びPCT国際公開第2008/143697号に記載されている。マウス抗プロテインAモノクローナル抗体、MAb−107、を、製造会社の指示に従って、ピアス(Pierce)製のEZ−リンクNHS−PEO4−ビオチン(製品番号21330)でビオチニル化した。ストレプトアビジン被覆磁性粒子(1μm Dynal T1)はインビトロジェン社(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))から入手した。すべての反応及び洗浄は、他に規定されない限り、PBS L−64緩衝液(0.2%w/vプルロニックL64を有するリン酸緩衝生理食塩水)中で実施された。洗浄工程は、他に規定されない限り、3回の連続洗浄を含んだ。洗浄プロセスは、磁石に近位の管側に、粒子を引き込むための管に隣接して磁石を設置する工程と、隣接した磁石で管から液体を除去する工程と、除去された液体を交換するために等量の新しい緩衝液を添加する工程からなる。再懸濁及び粒子の混合を可能にするために磁石が除去された。
【0137】
2.5ミリグラム毎ミリリットル(mg/mL)の濃度のストレプトアビジン被覆磁性粒子を500マイクロリットル(μL)のPBS L−64緩衝液中のビオチン化された抗体調製物と混合した。抗体を結合するための粒子に対する質量比は40μg抗体/mg粒子であった。得られた混合物を37℃で1時間(hr)培養した。続いて、粒子を、PBS L−64緩衝液中で洗浄し、結合しなかった抗体を除去した。最終洗浄後、粒子を2.5mg/mLの粒子濃度で再懸濁した。
【0138】
調製実施例2−プルロニックL64緩衝液を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS−L64緩衝液)の調製
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液は10xPBS濃縮液(EMDバイオサイエンス(EMD Biosciences)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)から市販品として入手可能)を10倍に希釈して調製した。これにより以下の塩組成のPBS緩衝溶液が得られた:10mMリン酸ナトリウム、137mM塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム。このPBS緩衝溶液は、25℃で7.5のpHを示す。プルロニックL64溶液を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS−L64緩衝溶液)を調製するために、0.2%(w/v)のプルロニックL64界面活性剤(BASF社(BASF Corp.)、ニュージャージー州マウント・オリーブ(Mount Olive)から入手可能)をPBS緩衝溶液に加えた。PBS−L64緩衝溶液は、25℃で7.5のpHを示す。
【0139】
調製実施例3−黄色ブドウ球菌細菌懸濁物の調製
黄色ブドウ球菌細菌は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(The American Type Culture Collection)(メリーランド州ロックビル(Rockville))から、商標名ATCC 25923のものを入手した。細菌は、5〜10ミリリットルの調製された無菌トリプティック・ソイ培地(Tryptic Soy Broth)(ハーディ・ダイアグノスティクス(Hardy Diagnostics)、カリフォルニア州サンタマリア(Santa Maria))に細菌を接種して調製したブロス中で1夜(17〜22時間、37℃において)ブロス培養された。培養物は、エッペンドルフモデル番号5804R遠心分離機(ブリンクマン・インスツルメンツ(Brinkman Instruments)、ニューヨーク州ウエストバーリー(Westbury))の中で15分間(8,000〜10,000rpm)遠心分離により洗浄され、PBS L64緩衝液に再懸濁され、この溶液で遠心分離により追加の3サイクル洗浄された。
【0140】
調製実施例4−表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)細菌懸濁物の調製
表皮ブドウ球菌は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(The American Type Culture Collection)(メリーランド州ロックビル(Rockville))から、商標名ATCC 12228のものを入手した。細菌は、5〜10ミリリットルの調製された無菌トリプティック・ソイ培地(Tryptic Soy Broth)(ハーディ・ダイアグノスティクス(Hardy Diagnostics)、カリフォルニア州サンタマリア(Santa Maria))に細菌を接種して調製したブロス中で1夜(17〜22時間、37℃において)ブロス培養された。培養物は、エッペンドルフモデル番号5804R遠心分離機(ブリンクマン・インスツルメンツ(Brinkman Instruments)、ニューヨーク州のウエストバーリー(Westbury))の中で15分間(8,000〜10,000rpm)遠心分離により洗浄され、PBS L64緩衝液に再懸濁され、この溶液で遠心分離により追加の3サイクル洗浄された。
【0141】
調製実施例5−溶解溶液の調製
リソスタフィン(カタログ番号L−4402、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))100μgを、撹拌しながら10mLのPBS L6緩衝液の中に溶解して、リソスタフィン濃度10μg/mLの溶解溶液を得ることによって、溶解緩衝液を調製した。
【0142】
実施例1〜6−黄色ブドウ球菌の試料応答検出
黄色ブドウ球菌の検出試験は、以下のように実施された:
(1)MAb 107抗体(調製実施例1で調製されたもの)で機能化された16μLの磁性ビーズ懸濁物を、ポリプロピレン微小遠心管(VWRサイエンティフィック(VWR Scientific)、ペンシルベニア州ウェストチェスター(West Chester)から入手可能)に加えた。同じ微小遠心管に484μLのPBS−L64緩衝液(調製実施例2及び3で調製されたもの)中の所定の濃度(表1に記載されている)の黄色ブドウ球菌細菌懸濁物を加えた。この混合物をバンステドLabQuakeシェーカー(Barnstead LabQuake shaker)(バンステド・インターナショナル(Barnstead International)、アイオワ州ドゥビューク(Dubuque IA))を用いた揺動撹拌下に、室温で15分間培養した。
【0143】
(2)次いで、ビーズを分離し、微小遠心管をダイナル・マグネチック・フィクスチャー(Dynal magnetic fixture)(インビトロジェン社(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad)から入手可能)に少なくとも5分間入れることによって濃縮した。凝集したビーズをかき乱すことなく上澄みをマイクロピペッティングにより捨てた。
【0144】
(3)次いで、0.5mLのPBS−L64緩衝液を管に加え、5分間揺動により撹拌することによりビーズを洗浄した。次いでビーズを再び分離し、微小遠心管をダイナル・マグネチック・フィクスチャー(Dynal magnetic fixture)に少なくとも5分間入れることにより濃縮した。凝集したビーズをかき乱すことなく洗浄溶液をマイクロピペッティングにより捨てた。この洗浄工程は、2回繰り返された。
【0145】
(4)100μLのリソスタフィン溶液(調製実施例5で調製されたもの)を洗浄された磁性ビーズに加えた。次いで、微小遠心管を10秒間ボルテックスし、5分間放置した。
【0146】
(5)次いで、ビーズを再び分離し、微小遠心管をダイナル・マグネチック・フィクスチャー(Dynal magnetic fixture)に少なくとも5分間入れることにより濃縮した。次に、綿棒及びペレット化された溶解剤を収容している箔密閉チャンバを取り除いた後、全ての上澄み(100μL)をバイオトレース・アクアトレース試験装置(Biotrace Aqua-Trace test device)のボトムチャンバに微量ピペットした。バイオトレース装置のボトムチャンバは、ルシフェラーゼ生物発光を介してATPの存在を判定するために必要な全ての乾燥試薬(ルシフェラーゼ/ルシフェリン及び安定剤)を含んでいる。試料を10秒間ボルテックスし、工程(4)の上澄みをバイオトレース(Biotrace)装置に入れた後30秒以内にバイオトレース(Biotrace)照度計(Uni−Lite NG)の中に定置した。各試料からの生物発光応答を、相対発光単位(RLU:Relative Light Units)で表1に示す。3回の反復測定からの平均RLUが表1に示されている。報告されたRLU値の1σ標準偏差もまた表1に示されている。表は、同じ機能化磁性ビーズの2つの異なる調製を用いた2回試験の結果を示している。実施例1〜3では、4℃で5カ月間保存されたビーズ調製品が用いられたが、実施例4〜6は新たに調製されたビーズ溶液の使用結果を示す。試験された黄色ブドウ球菌の濃度が最も高いときに、2つの試験の間で統計的に有意な差異が認められた。これは、新たに調製されたビーズ溶液は、5カ月保存されたものよりも、細菌の捕捉においてより効率的であることを示している。捕捉後のビーズを塗布して培養することによって、2つのビーズバッチの捕捉効率を個別に検証した結果、新たに調製された溶液の捕捉効率は総菌濃度(10cfu/mL)の約80%であり、一方保存されていた溶液の捕捉効率は約60%であったことが示された。これらの実施例は、濃度の範囲にわたって標的生物を検出する能力を示し、検出の限界は10000cfu/mLという低いものである。
【0147】
【表2】

【0148】
実施例7〜10−表皮ブドウ球菌の存在下での黄色ブドウ球菌の試料応答検出
表皮ブドウ球菌の存在下での黄色ブドウ球菌を検出するためのアッセイは、顕著な濃度の妨害微生物(表皮ブドウ球菌)の存在下での標的検体(黄色ブドウ球菌)の検出を実証するために、黄色ブドウ球菌を含む溶液に表皮ブドウ球菌(調製実施例4で調製されたもの)を混合して含ませた試料を用いて、実施例1〜6に記載されたように実施された。3回の反復測定からの平均RLUが表2に示されている。報告されたRLU値の1σ標準偏差もまた表2に示されている。実施例7は陰性対照であり、実施例8及び9はそれぞれ黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌の陽性対象であり、実施例10は混合試料である。
【0149】
【表3】

【0150】
実施例11〜24−異なる細菌標的のATP検出への溶解剤の影響
これらの実施例は、異なる溶解剤が異なる細菌のATPに基づく検出に与える影響を実証している。実施例11〜17では、10μLのPBS−L64緩衝液(調製実施例2及び3で調製したもの)中の黄色ブドウ球菌細菌懸濁液、又はPBS−L64緩衝液(調製実施例2及び4で調製したもの)中の表皮ブドウ球菌細菌懸濁液のいずれかを、90mLのリソスタフィン溶液(調製実施例5で調製したもの)に添加して、表3に示される細菌濃度を得た。各試料を5分間ボルテックスして、上記実施例1〜6で使用した手順の工程(5)に記載の通りに、バイオトレース・アクアトレース試験装置(Biotrace Aqua-Trace test device)のボトムチャンバに添加した。別の方法としては、実施例18〜24では、10μLのPBS−L64緩衝液中の黄色ブドウ球菌細菌懸濁液、又はPBS−L64緩衝液中の表皮ブドウ球菌細菌懸濁液のいずれかを、バイオトレース・クリーントレース(Biotrace Clean-Trace)試験の綿棒の上にスパイクした。続いて、残りの試験を製造会社の指示に従って行った。クリーントレース(Clean-Trace)試験は非酵素溶解剤を使用する。2回の反復測定から得た平均RLUを表3に示す。報告されたRLU値の1σ標準偏差もまた表3に示されている。表を参照すると、クリーントレース(Clean-Trace)製品を採用したものなどの非特異的溶解剤を使用すると、黄色ブドウ球菌の検出と表皮ブドウ球菌の検出の間に有意差は観察されなかった。しかしながら、リソスタフィンなどの特異的酵素性溶解剤は、密接な関係がある細菌の存在下で標的生物を特異的に検出するのに有用な、差別的な溶解作用を呈することができる。特異的試料調製と特異的溶解工程及びATP検出とを組み合わせることによって、1000cfu/mLという低い細菌濃度を検出することが可能な優れた系がもたらされる。
【0151】
【表4】

【0152】
本明細書に記載されるすべての特許、特許出願、刊行物、並びに核酸及びタンパク質データベースエントリ(例えば、GenBank受入番号を含む)のすべての開示は、個々に組み込まれるように、参照することによって本願に組み込まれる。本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び変化が当業者には明らかであろうし、本明細書に記載の説明的実施例に本発明が不当に制限されないことは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌試料の分析方法であって、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体を提供する工程であって、該抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程と、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、前記試料と、前記固体支持材料と、前記1つ以上の抗体との間の接触を提供する工程と、
前記捕捉された標的全細胞を前記試料から分離する工程と、
溶解物を形成するために前記標的全細胞を溶菌する工程と、
ATPに関して前記溶解物を直接又は間接的に分析することによって、前記特定の細菌の有無を分析する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の抗体が検体結合材料を形成する前記固体支持材料に付着し、前記方法が、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、前記試料と前記検体結合材料との間の接触を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料と前記検体結合材料との間の接触を提供する工程が、前記試料と前記1つ以上の抗体との間の同時接触を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料、前記固体支持材料、及び前記1つ以上の抗体の間の接触を提供する工程が、抗体結合した全細胞を形成するために、前記1つ以上の抗体と前記試料との間の接触を提供する工程と、続いて、該抗体結合した全細胞と前記固体支持材料との間の接触を提供する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記特定の細菌が、グラム陽性細菌を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記特定の細菌が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標的全細胞の少なくとも20%が捕捉される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記標的全細胞の少なくとも50%が捕捉される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記標的全細胞の少なくとも80%が捕捉される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固体支持材料が、0.04mg/mLを超える濃度の粒子を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記固体支持材料が粒子を含み、該粒子に対する前記抗体の比率が、1μg/mg粒子を超える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記固体支持材料が粒子を含み、該粒子に対する前記抗体の比率が、少なくとも0.01μg/mg粒子である、実施形態1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
粒子に対する前記抗体の比率が、10μg/mg粒子未満である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各粒子が、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
溶解する前に前記標的全細胞が前記磁性粒子から除去される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ATPを直接又は間接的に分析することによって、前記特定の細胞の有無を分析する工程が、
任意のアデニル酸キナーゼの存在によってATPを生成するのに有効な条件下で、前記溶解物とアデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液とを接触される工程と、
生成されたATPの有無を検出する工程と、を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記生成されたATPの有無を検出する工程が、生成されたアデノシン三リン酸(ATP)の量を測定する工程と、これを特定の細菌又は特定の細菌に特徴的な細胞内物質の前記存在及び/又は量と関連付ける工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生成されたATPの有無を検出する工程が、前記生成されたATPの量に比例する光を生成するために、前記溶解物と前記ADPとを含有する前記混合物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、照度計で該光を検出する工程と、を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記ATPを生成するのに有効な条件が、ADPからATPへの最大変換が可能となるのに十分なモル濃度でマグネシウムイオンが存在することを含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ATPを生成するのに有効な条件が、ADPからATPへの変換に有効な時間だけ、前記溶解物を前記ADP及び前記マグネシウムと培養することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ATPを直接又は間接的に分析することによって、前記特定の細胞の有無を分析する工程が、
前記存在するATPの量に比例する光を生成するために、前記溶解物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、
照度計を使用して前記光を検出する工程と、を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記特定の細菌の有無を分析する工程が、前記存在するATPの量を測定する工程と、これを存在する前記特定の細菌又は前記特定の細菌に特徴的な細胞内物質の前記量と関連付ける工程、を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
細菌試料の分析方法であって、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と、
前記特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程であって、該抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、前記試料と、前記1つ以上の抗体が付着した磁性粒子との間の接触を提供する工程と、
前記捕捉された標的全細胞を前記試料から分離する工程と、
溶解物を形成し、かつ存在する場合にアデノシン三リン酸(ATP)を放出するために、前記標的全細胞を溶解する工程と、
前記存在するATPの量に比例する光を生成するために、前記溶解物をルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬と接触させる工程と、
照度計を使用して該光を検出する工程と、
前記存在するATPの量を測定する工程と、これを前記特定の細菌又は前記特定の細菌に特徴的な存在する細胞内物質と関連付ける工程と、を含む方法。
【請求項24】
細菌試料の分析方法であって、
特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体を含む標的全細胞を含むことが疑われる試料を提供する工程と、
前記特定の細菌に特徴的な1つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する1つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む固体支持材料を提供する工程であって、該抗体は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、それらのフラグメント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
存在する場合、特定の細菌に特徴的な1つ以上の検体で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、前記試料と、前記1つ以上の抗体が付着した前記磁性粒子との間の接触を提供する工程と、
前記捕捉された標的全細胞を前記試料から分離する工程と、
溶解物を形成するために前記標的全細胞を溶解する工程と、
任意のアデニル酸キナーゼの存在によってアデノシン三リン酸(ATP)を生成するのに有効な条件下で、前記溶解物とアデノシン二リン酸(ADP)を含有する溶液とを接触される工程と、
生成されたアデノシン三リン酸の量を測定する工程と、これを前記特定の細菌又は前記特定の細菌に特徴的な細胞内物質と関連付ける工程と、を含む方法。
【請求項25】
前記固体支持材料が、前記特定の細菌に特徴的な2つ以上の識別可能な検体に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体が付着した磁性粒子を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−516824(P2011−516824A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547733(P2010−547733)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/034450
【国際公開番号】WO2009/137138
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】