説明

全芳香族ポリエステルの製造方法

本発明は、成形品から発生する副生ガス量がきわめて少なくて、ポリエステル樹脂が本来持っている機械的強度、耐熱性で電気、電子部品の用途として適したポリエステル樹脂の製造方法を提供する。すなわち、(a)単量体を混合して攪拌インペラーの高さLと攪拌インペラーの直径Dとの比が1〜3:1、反応器の底面と攪拌インペラーの下段との間の公差がDの1/100〜1/15であり、長方形または台形の板状攪拌インペラーを装置した反応器に投入して昇温速度0.5〜1.5℃/minとし、単位体積動力を10〜60kW/mを維持しつつエステル化反応して重合する工程と、(b)重合体を粉砕する工程と、(c)粉砕された重合体を固状重合する工程と、を持つことを特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法を提供する。
本発明はまた、固体状態の重合反応時溶融重合反応で生成された低分子量ポリマーの重量減量開始温度と溶融温度範囲で昇温速度及び維持時間を調節することによって、効果的に副生ガスを排出させて変色及び融着なしに、高い耐熱性を持つ全芳香族ポリエステルの製造方法を提供する。
本発明はまた、液晶性ポリエステル樹脂(A)と液晶性ポリエステル樹脂(B)とを一定割合で配合した樹脂混合物に対して、繊維状及び/またはフレーク型無機充填剤の所定量を配合しており、液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融温度、液晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融温度、液晶性ポリエステル樹脂(A)、(B)間の溶融温度の差が適正範囲以内に属するようにブレンドすることを特徴とする光ピックアップ用部品などに使われる流動性の改良される高耐熱性液晶性ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族ポリエステルの製造方法に係り、より詳細には、酢酸などの副生ガス発生を低減させ、熱的、機械的安定性及び化学的な耐熱性に優れ、成形品の製造時に変色がなく、流動性が改善された全芳香族ポリエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近まで全芳香族ポリエステルの製造に関する研究が活発に進んでおり、代表的には、パラヒドロキシ安息香酸の重合によるホモポリマー、パラヒドロキシ安息香酸とビフェノールの重合によるヘテロポリマー、パラヒドロキシ安息香酸と脂肪族有機酸との重合によるヘテロポリマーなどがある。かかる縮重合方法は、大気圧下または減圧下で反応液を加熱及び攪拌して過剰のモノマー及び反応副生成物などを反応系の外部に排出させる過程を含む。
【0003】
全芳香族ポリエステルは、分子構造が堅固で溶融状態でも分子鎖間のもつれ現象なしに液晶状態で剪断により分子鎖が流動方向に配向する挙動を表す特徴によって、溶融流動性がきわめて優秀であり、高温の荷重曲げ温度と260℃以上の溶融ハンダ付け温度とでも変形や発泡を作らない。これによって、全芳香族ポリエステルはコネクタ、コイルボビン、リレイ部品に使われているが、高い成形温度によって成形時に副生ガスを発生させる。かかる副生ガスは溶融重合反応で残存する酢酸を主成分とし、成形品で発生した副生ガスは、金属の接点を腐食させるか、絶縁不良の原因になるため、副生ガス発生量を減少させるための多くの努力があった。
【0004】
特に、ポリエステルの製造過程で溶融重合反応時に生成された副生物質は、最終製品での副生ガス発生量に直接的な影響を及ぼすため、反応時間を短縮し、高品質の重合体を安定的かつ経済的に得るためには、かかる副生物質を効率的に除去する必要がある。特に、攪拌過程は反応液からの副生物質の除去効率に多くの影響を及ぼすので重要である。
【0005】
従来には、溶融縮重合反応工程における攪拌方法として、パドル型、タービン型、アンカー型、ヘリカルリボン型などの攪拌インペラーを任意の回転速度で攪拌する方法、または縮重合の進行に伴う反応液の粘度上昇によって回転数を工程別に低める方法、任意の粘度に到達した工程から反応完結時まで外観溶融粘度の増加によって攪拌速度を連続的に減少させる方法、または縦型及び横型またはパドル型攪拌インペラーを利用する各反応槽を工程的に経て反応を完結させる方法などが知られている。
【0006】
ところが、縮重合工程では反応が進むにつれて反応液の粘度が上昇し、合わせて反応液が非ニュートン性流体の性質を表し、これによって反応装置内でカルバン(Carvan)現象が発生して効率的な攪拌が困難になる問題点がある。すなわち、ポリエステルは高レベルの剪断応力下の溶融状態では溶融粘度がだいぶ低いが、剪断応力を受けない停止状態または低レベルの剪断応力下の溶融状態では粘度が顕著に増加する。このために、縮重合反応が進むにつれて一定重合度に到達すれば、幾何学的特性上、反応器内に一部の剪断応力が作用しない部分が生じる。このように剪断応力が作用しない部分は、流動性が急減して反応物の分子量や組成などが反応器内の他の部分と異なるか、酢酸が主成分である副生物質を反応系の外部に円滑に除去し難くなって均一な物性のポリマーを得られなくなる。
【0007】
副生物質の発生量を減少させるために、溶融重合反応工程で無水酢酸の使用量を最適化する方法も知られている。
【0008】
特に、固状重合工程では最終ポリマー製品での副生ガス発生量を最小化するために、溶融重合反応工程で副生物質を除去するための追加的かつ継続的な努力があった。すなわち、副生物質を除去するために溶融重合反応で得たプレポリマーを微粉砕し、このプレポリマーを引出し式または回転式加熱装置に投入して一定温度まで昇温させた後、その温度で一定時間維持した後で冷却して製品を得る方法が行なわれた。ここで、一定時間維持する温度を維持温度といい、前記一定時間を維持時間というが、前記方法は、温度及び時間を調節することによって副生物質を減少させる方法である。
【0009】
ところが、固状重合反応工程で維持温度が高いか、または維持時間が長い場合、得られる製品は明度が落ち、赤色が高くなって色相が悪化する。特に固状重合装置内に不活性ガス雰囲気が組成されていなければ、色相はさらに悪化する。
【0010】
一方、溶融ポリエステルは分子構造が堅固で、溶融状態でも分子鎖間のもつれ現象なしに液晶状態を形成し、成形時に剪断により分子鎖がフロー方向に配向する挙動を表す。このような特徴で溶融流動性及び耐熱性に優れたため、小型、薄い電気・電子部品の材料として使われている。特に高分子主鎖がいずれも芳香族基からなる全芳香族ポリエステルの場合、特に耐熱性に優れたため、高温の溶融ハンダ付けされるコイルボビンや、高温の伝熱体及び光熱機器の支持部品に使われる。
【0011】
溶融ポリエステル製造方法のうち、代表的なものとして、芳香族ヒドロキシカルボン酸類、芳香族ジオール類、芳香族ジカルボン酸類を出発原料とし、無水酢酸をアシル化剤として使用して、昇温工程を通じて分子量の不十分な低分子量ポリマーを生成する溶融縮重合反応後、固体状態で高分子量化する方法が提示されている。従来には、低分子量ポリマーの流動温度を基準として固体状態反応の昇温速度、反応温度及び維持時間を決定した。しかし、流動温度を基準に固体状態の反応進行時に生成された全芳香族ポリエステルは、耐熱性及び機械的強度には優れているが、反応器の内部に融着現象が発生し、副生性ガスの残存で樹脂の変色及び成形品製造時に発泡現象が現れるなど、均一な物性の高分子量ポリマーを得られず、この点の改善が要求された。
【0012】
特に、固体状態の重合反応工程で高分子量ポリマーの副生性ガス発生量を最小化するための方法として、低分子量ポリマーを引出し式または回転式加熱装置に投入して昇温工程の改善が要求された。
【0013】
さらに一方、液晶性ポリエステル樹脂は耐熱性に優れ、溶融時の流動性が良い点などによって、精密成形可能な射出成形材料として電子部品分野を中心に非常に広範囲に使われている。これら液晶性ポリエステル樹脂は、耐熱性を基準としてタイプI、タイプII、及びタイプIIIに分類される[参照:“液晶ポリマーの新展開”、CMC出版、2004年]。これら3種のうち、タイプIに該当するものは全芳香族成分で構成され、液晶性ポリエステル樹脂のうち特に耐熱性の高い物質であり、荷重下の熱変形温度が250℃以上の物質として区分することもあり、光ピックアップ用部品などの高耐熱が要求される用途に主に使われる。
【0014】
タイプIの液晶性ポリエステルは、単量体の組み合わせと組成比によって分子構造の硬直性または直線性により溶融温度が400℃以上であり、荷重下の熱変形温度が320℃以上になるほど耐熱性を高めることができるが、それほど加工が難しいという短所がある。また電子部品の軽薄短小化の好みによって加工性、その中でも特に流動性を向上させる要求が高くなっているが、それについての研究はほとんど進んでいない実情である。
【0015】
特許文献1には、流動性を向上させるために相異なる流動開始温度を持つ2つの形態の液晶性ポリエステルの混合で製造される樹脂混合物及び無機充填剤を含有する樹脂組成物を提示しているが、タイプIの中でもコネクタなどの製造に使われる耐熱性の低い側に属する樹脂組成物に関する。
【0016】
特許文献2は、特許文献1と類似しているが、特徴的に異なる点は、液晶ポリエステルの重合時に複素環状有機塩基化合物を触媒として使用したものである。
【0017】
混合に使われる2形態の液晶性ポリエステルは、それぞれ重合時にアシル化及びエステル交換反応の一つ以上が2つ以上の窒素原子を持つ複素環状有機塩基化合物の存在下で実施されたものである。また前記特許の目的は、コネクタ用液晶性ポリエステルの流動性向上に制限されるのである。
【0018】
特許文献3には、示差走査熱量計(DSC)で測定される310℃以上の溶融温度を持つ全芳香族耐熱液晶性ポリエステルと、300℃以下の溶融温度を持つ全芳香族耐熱液晶性ポリエステルとのブレンドを特徴とする流動性が改良される技術が提示されているが、これは、リフローハンダ付けの対応に関する樹脂組成物であるために、光ピックアップ用部品などの製造工程で行われる高温熱処理時に熱的安定性が落ちるという短所がある。
【特許文献1】特開平10−219085号公報
【特許文献2】韓国特開2003−0070540号明細書
【特許文献3】特開2002−249647号公報
【発明の開示】
【発明の効果】
【0019】
本発明は、均一な物性確保が可能であり、かつ副生ガス発生量を減少させることができる全芳香族ポリエステルの製造方法を提供する。
【0020】
本発明は、機械的物性及び熱的性能の優秀な各種成形品を提供できる全芳香族ポリエステルの製造方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、高分子量ポリマーに残存する副生性ガスによる樹脂の変色、成形品の製造時に発泡されるという問題点を解決するだけではなく、熱、機械的及び化学的な耐熱性の優秀な高品質の重合体を安定かつ経済的に得るために、溶融重合反応工程及び固体状態の重合反応工程で効果的に副生成物を除去し、特に、固体状態の重合反応時に反応温度範囲と昇温速度及び反応維持時間を調節することによって効果的に副生ガスを除去し、劣化による変色がなく、微粒子の融着が発生せず、この樹脂の成形品が高温の環境でも発泡などの異常が生じないという優秀な特性を持つ高耐熱の全芳香族ポリエステルの製造方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、コネクタなどに使われる耐熱液晶性ポリエステル樹脂とは異なる、光ピックアップ用部品に使われる流動性の改良された高耐熱液晶性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【0023】
また本発明は、前記組成物を利用した流動性の改良された高耐熱液晶性ポリエステル樹脂の製造方法を提供する
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。かえって、ここで紹介される実施形態は、開示された内容を完全にするために、かつ当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。
【0025】
本実施形態で、溶融重合と固状重合との2工程の重合反応によるポリエステル樹脂製造について研究を行った。
【0026】
バッチ式または連続式溶融重合で、攪拌インペラーの高さ(L)と攪拌インペラーの直径(D)との比が1〜3:1であり、反応器の底面と攪拌インペラーの下段との間の公差がDの1/100〜1/15である長方形または台形の単板状または二重板状の攪拌インペラーを使用した。乱流応力が作用する反応器内で、アセチル化反応は120〜160℃の温度範囲で行われ、エステル化反応は昇温速度が0.5〜1.5℃/min、単位体積動力が10〜60kW/mに維持されつつ行われた。反応系が所定の粘度(1000〜10000Pa・s)に到達する工程まで反応液容量当たり攪拌動力を一定に維持することによって、200〜300℃のフロー温度範囲を持つプレポリマーを得た。
【0027】
より具体的に、本発明の一実施形態による全芳香族ポリエステルの製造方法は、(a)攪拌インペラーの高さLと攪拌インペラーの直径Dとの比が1〜3:1、反応器の底面と攪拌インペラーの下段との間の公差がDの1/100〜1/15であり、長方形または台形の板状攪拌インペラーを装置した反応器に投入して昇温速度0.5〜1.5℃/minとし、単位体積動力を10〜60kW/mを維持しつつ300〜350℃の温度に達するまでエステル化反応して120〜160℃に予熱した単量体混合物を溶融重合する工程と、(b)前記重合体を粉砕する工程と、(c)前記粉砕された重合体を固状重合する工程と、を持つ。
【0028】
本実施形態で使われる板状攪拌インペラーは、L/Dが1〜3の長方形または台形で上下に作用する流動性が確保できて、反応器内でカルバン現象(インペラーの動的区域のみで流動性のある現象)が発生することを抑制でき、剪断応力を反応器内の全空間に十分に作用させることができる。かかる攪拌インペラーの一例を図1に示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、このような攪拌インペラーは他の多様な構造で形成されうる。
【0029】
また攪拌インペラーが、図2に示したように、補助羽根をさらに備える二重板状攪拌インペラーの場合には、補助羽根の前後圧力差によってさらに強い剪断応力が反応液に作用する。したがって、この場合には、ポリエステルの特性上、溶融粘度が急激に減少して流動性が良くなって、反応器全体に混合作用が停滞されている部分がなくなるのでさらに望ましい。しかし、前記のように図2は、補助羽根が設置された二重板状攪拌インペラーの一例を表す構造であるだけで、本発明が前記構造に限定されるものではない。
【0030】
反応器の底面とインペラー下段との公差を攪拌インペラーDの1/100〜1/15として反応物を排出する場合には、反応器の下部に残存物または付着物がほとんどなくなる。
【0031】
本実施形態の板状攪拌インペラーは、添付図面には図示されていないが、方形または円形の通孔を備えることが望ましい。
【0032】
本実施形態の板状インペラーを使用する場合、溶融重合工程で反応器内の全空間に作用する剪断応力により、無水酢酸と粉体状のモノマーとの間に接触表面積が増加して反応器内の全空間での温度分布が均一になる。また、インペラーの上下流動作用によってアセチル化反応により生成された副生酢酸の反応系外部への排出が容易になる。
【0033】
特に、本実施形態では全芳香族ポリエステルを製造する過程で、攪拌インペラーの高さ(L)と攪拌インペラーの直径(D)との比が1〜3:1であり、反応器の底面と攪拌インペラー間の公差がDの1/100〜1/15である長方形または台形の板状攪拌インペラーを使用して、エステル反応で単位体積動力が10〜60kW/mである場合、満足すべきガス発生の除去効果を表すことを明らかにした。
【0034】
本発明を実施するための装置は、攪拌速度可変機能がなければならないが、かかる装置は、例えば、インバータモータや減速比連続可変装置を備えることができる。前記装置のコスト及びサイズを考慮する時、インバータモータ方式が望ましい。
【0035】
また、制御方法としては、攪拌トルクをモニタリングしてこれを回転数と連動させることによって、反応液容量当たり攪拌動力を一定に制御するフィードバック制御方式が適している。
【0036】
本実施形態で全芳香族ポリエステルは、下記化学式1で表示されるパラヒドロキシ安息香酸と、下記化学式2で表示されるビフェノールと、下記化学式3で表示されるテレフタル酸と、下記化学式4で表示されるイソフタル酸と、下記化学式5で表示される無水酢酸とを脱水縮合反応させて製造される。
【0037】
<化学式1>

<化学式2>

<化学式3>

<化学式4>

<化学式5>

前記全芳香族ポリエステルの製造方法をさらに具体的に説明すれば、次の通りである。
【0038】
まず、パラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸及び無水酢酸をそれぞれ反応器に供給して、原料がよく混ざるように混合して130〜160℃に予熱する。
【0039】
次いで、昇音温度0.5〜1.5℃/minで反応器の温度を300〜350℃まで上昇させつつ反応器内の温度分布が均一になるように攪拌しつつ重合し、副産物である酢酸は常圧蒸溜または減圧蒸留(5〜10Torr)して除去する。重合は多様な反応時間によって進むが、この時、反応時間は1〜10時間であり、運転圧力は大気圧である。このように得られた全芳香族ポリエステルを粉砕した後、固状反応器で固状重合する。結果的に得られた全芳香族ポリエステルのフロー温度及び溶融温度を測定する。そして、このように得られた全芳香族ポリエステルとガラスファイバなどとを混合した後、圧出してペレット化して溶融温度、荷重曲げ温度と副生ガス発生量などの物性を次のような方法で測定する。
【0040】
(1)フロー温度は島津製作所のCFT−500を使用して測定した。
【0041】
4℃/minの昇温速度で加熱溶融される樹脂を、その溶融粘度が50,000ポアズであり、荷重100kg/cm下で内径1mm、長さ10mmのノズルから外に流れ出せ、その樹脂の温度はフロー温度として測定される。
【0042】
(2)基準物質としてα−アルミナを利用して、示差走査熱量計(DSC)を使用し融点測定を行った。昇温速度を10℃/minで室温から流動温度+40℃まで昇温してポリマーを完全に融解させた後、降温速度10℃/minで常温まで降温して更に昇温速度10℃/minで流動温度+40℃まで昇温した時に得られる吸熱ピークの頂点を第2次融点とした。
【0043】
(3)副生ガス発生量は、次の手順で測定された。全芳香族ポリエステル樹脂組成物から射出成形器を利用して金型温度130℃でダンベルを成形し、得られた成形品を長さ5mm、幅0.8mm、厚さ0.8mmチップに切削した。このチップ4gを定量して蒸溜水で洗浄した後、真空乾燥した25ccの小瓶に入れてパッキングでシーリングした後、150℃に設定した熱風乾燥器内で24時間加熱して成形品からガスを発生させた。この小瓶をヒューレットパッカード製のヘッドスペースガスクロマトグラフィーに装着して150℃を維持しつつ、充填剤を利用した15m長さのカラムに注入すると同時に、カラム温度を80℃から昇温速度2℃/minで昇温させて維持時間25分間のガスを探知器で検出した。キャリアガスとしてはヘリウムを利用した。検出されるガスピークからあらかじめ標準物質として確認した酢酸のピークの相対量と、成形品から発生するガス中の酢酸の相対量とを比較した。
【0044】
本発明はまた、高耐熱全芳香族ポリエステルの製造に係り、さらに詳細には高耐熱全芳香族ポリエステルを固体状態重合により製造する場合、溶融重合反応で生成された低分子量ポリマーの重量減量開始温度及び溶融温度範囲で昇温速度及び維持時間を調節することによって効果的に副生ガスを排出させ、融着されず、熱化による変色なしに耐熱性の優秀な溶融ポリエステル樹脂を製造する方法に関する。
【0045】
さらに具体的に、本発明は高耐熱性全芳香族ポリエステルの製造方法に係り、さらに詳細には、前記化学式1のパラヒドロキシ安息香酸、前記化学式2のビフェノール及び前記化学式3のテレフタル酸を出発原料とし、アシル化剤として前記化学式4の無水酢酸を使用する溶融重合反応及び固体状態の重合反応時に、反応温度及び昇温速度の調節を通じて優秀な物性の高耐熱全芳香族ポリエステル製造方法に関する。
【0046】
また選択的に、前記出発原料に前記化学式5のイソフタル酸をさらに追加して使用できる。
【0047】
本発明をさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0048】
(a)前記化学式1のパラヒドロキシ安息香酸、前記化学式2のビフェノール及び前記化学式3のテレフタル酸を出発原料とし、アシル化剤として前記化学式4の無水酢酸を混合してアセチル化反応させる工程と、(b)副産物を除去して生成物を排出して粉砕する工程と、(c)前記粉砕された低分子量ポリマーを固状反応器に投入して重量減量開始温度に昇温させる工程と、(d)前記重量減量開始温度から溶融温度まで昇温して固状反応させる工程と、で昇温速度を調節することを特徴とする変色及び気泡発生のない高耐熱性全芳香族ポリエステルの製造方法に関する。
【0049】
本発明は選択的に、前記(a)工程で、出発原料に化学式5のイソフタル酸をさらに追加することもできる。
【0050】
前記重量減量開始温度は150〜250℃、溶融温度は280〜350℃であることが望ましく、前記低分子量ポリマーの重量減量開始温度から溶融温度まで昇温させる反応時間は4〜7時間、昇温速度は0.3〜0.8℃/minとすることが望ましく、前記溶融温度で1〜7時間反応を維持することが望ましい。
【0051】
固体状態の重合反応時に、低分子量ポリマーの重合反応で生成された副産物を除去しつつ進むので、熱重量分析器を使用して重量減量が進む時点を昇温開始点に決定した。重量減量開始温度以下で進む場合に反応時間が長くなって経済的でなく、重量減量開始温度以上で進む場合に急激な昇温で低分子量ポリマーの溶融による融着が発生した。したがって、固体状態の重合反応の開始温度は、低分子量ポリマーの重合反応が始まる温度である重量減量開始温度に設定することが望ましい。固体状態の重合反応時に昇温終了温度は、低分子量ポリマーが溶融されて融着現象が発生しないように溶融温度までのみ昇温させることが望ましい。溶融温度以上に反応させる場合に融着及び反応時間の増加で経済的でなく、溶融温度以下で反応させる場合に高分子量ポリマーのガス発生量が増加するだけでなく物性低下の原因になる。
【0052】
前記範囲で反応させる場合にガス発生量が1.3重量%以下であり、黄変現象のない高耐熱性全芳香族ポリエステルを製造できる。さらに望ましくは、ガス発生量を1.0重量%以下に製造できる。
【0053】
以下では、前記高耐熱性全芳香族ポリエステルの製造工程をさらに具体的に説明する。
【0054】
本発明は、原料物質である前記化学式1で表示されるパラヒドロキシ安息香酸、前記化学式2で表示されるビフェノール、前記化学式3で表示されるテレフタル酸、前記化学式4で表示されるイソフタル酸、前記化学式5で表示される無水酢酸を反応器に供給して攪拌しつつ100〜200℃に昇温してアシル化反応させた後、300〜400℃に再び昇温して混合された原料がよく混ざりつつ重合されるようにし、副生成物である酢酸を常圧または減圧蒸留して除去する。重合は、多様な反応時間によって進むが、この時に反応時間は0.5〜10時間であり、運転圧力は0〜0.5気圧である。このように溶融縮重合反応で得られた低分子量ポリマーは、粉砕過程を経て均一な粒度の粉末で引出し式または回転式反応器に投入され、重量減量開始温度(150〜250℃)及び溶融温度(280〜350℃)の二つの昇温過程を通じて150〜350℃の温度範囲で反応温度を調節し、前記重量減量開始温度から溶融温度まで0.3〜0.8℃/min、4〜7時間ほど昇温させて昇温速度を調節することによって物性の優秀な高耐熱全芳香族ポリエステルを製造する。このように得られた高耐熱全芳香族ポリエステルの溶融温度を測定する。
【0055】
そして、このように得られた高耐熱性芳香族ポリエステルとガラス繊維などとを混合した後、圧出してペレット化する。
【0056】
本発明に使われる出発物質のモル比によって製造される高耐熱全芳香族ポリエステルの物性が大きく変わる。樹脂の物性が決定される固体状態の重合反応工程で、反応温度及び昇温速度によって高分子量ポリマーの物性に相当な差を表す。
【0057】
本発明で固体状態の重合反応温度は、1段階で熱重量分析器(TGA)を使用して低分子量ポリマーの重量減量開始温度を測定して150〜250℃に通常30分〜1時間ほどで昇温させ、2段階で示差走査熱量計(DSC)を使用して低分子量ポリマーの溶融温度を測定して、280〜350℃に4〜7時間ほどで昇温させつつ一定の物性確保のために1〜7時間ほど維持することが望ましい。
【0058】
本発明による高耐熱全芳香族ポリエステルの製造工程は、バッチ式で実施されることが望ましい。
【0059】
また、本発明者らは、溶融温度間に特別な差が存在する高耐熱液晶性ポリエステル樹脂(A)及び高耐熱液晶性ポリエステル樹脂(B)を特定量にブレンドして得た液晶性ポリエステル樹脂組成物に、繊維またはフレーク形態の無機充填剤を特定量混合することによって、前記で本発明の目的に符合する樹脂組成物を収得し、これにより光ピックアップ用部品などに使われる流動性の改良された高耐熱液晶性ポリエステル樹脂組成物が得られることを明らかにすることによって、本発明を完成した。
【0060】
すなわち、本発明の望ましい実施形態は下記の通りである。
【0061】
液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して液晶性ポリエステル樹脂(B)10ないし100重量部を配合する樹脂混合物の100重量部に対して、繊維状及び/またはフレーク型無機充填剤10ないし150重量部を配合しており、示差走査熱量計(DSC)で測定される液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融温度が350℃ないし450℃、液晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融温度が310℃ないし400℃であり、液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融温度と液晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融温度との差が10℃ないし70℃であるものをブレンドすることを特徴とする、光ピックアップ用部品などに使われる流動性が改良される高耐熱性液晶性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0062】
本発明で前記溶融温度は、示差走査熱量計(DSC)で測定したものであり、微粉砕したそれぞれの液晶性ポリエステル樹脂を10mg測定して集め、窒素ガス下で、50℃から10℃/分で温度を高めて現れる吸熱ピークの頂点温度より20℃以上で3分間維持する(第1工程)。次いで、50℃まで10℃/分で温度を低め(第2工程)、50℃に到達すれば、470℃まで前記速度で昇温させ(第3工程)、測定を終了する。第3工程で出現する吸熱ピークの頂点温度を溶融温度という。
【0063】
前記液晶性ポリエステル樹脂(A)と液晶性ポリエステル樹脂(B)とは、それぞれ下記化学式6ないし9の構成単位を二つ以上含み、化学式6の構造単位の量が40ないし80mol%であり、化学式7の構造単位の量が10ないし30mol%であり、化学式7の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0.9ないし1.1mol%であり、化学式9の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0ないし0.5mol%であることが望ましい。
【0064】
<化学式6>

<化学式7>

<化学式8>

<化学式9>

本発明において、前記繊維状及び/またはフレーク型無機充填剤は、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、雲母、滑石、黒鉛からなる群から選択される一つ以上を使用できるが、これに制限されるものではない。
【0065】
また本発明は、前記の樹脂組成物を使用して射出成形で得られた成形品も権利範囲に含まれ、これを利用した光ピックアップ用部品も本発明の権利範囲に含まれる。
【0066】
また、本発明の組成物を利用した製造方法を整理すれば、(a)パラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸からなる群から選択される二つ以上の成分及び無水酢酸を重合させた後、副産物を除去し、粉砕して固状反応させる工程と、(b)前記(a)で得られた溶融温度350℃ないし450℃の高耐熱液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、溶融温度310℃ないし400℃の高耐熱液晶性ポリエステル樹脂(B)を10ないし100重量部を混合した組成物であり、前記液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融温度と液晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融温度との差が10℃ないし70℃である前記樹脂混合物100重量部に対して、無機充填剤10ないし150重量部を混合する工程と、(c)前記混合物を圧出してペレット化する工程と、(d)成形する工程と、により製造される。
【0067】
以下本実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0068】
本実施形態でブレンドに使われる液晶性ポリエステル樹脂は、前記で定義したような溶融温度350℃ないし450℃の液晶性ポリエステル樹脂(A)と、前記で定義したような溶融温度310℃ないし400℃の液晶性ポリエステル樹脂(B)とで構成され、溶融温度の差は10℃ないし70℃、望ましくは20ないし70℃である。溶融温度の差が10℃未満の場合には、意図する流動性を改善させるための効果は不十分である。一方、溶融温度の差が70℃を超過する場合には、液晶性ポリエステル樹脂の熱分解によって成形工程が難しく、優秀な成形品を得難い。
【0069】
前記液晶性ポリエステル樹脂(A)と液晶性ポリエステル樹脂(B)とは、それぞれ前述した化学式6ないし9の構成単位を2つ以上含み、化学式6の構造単位の量が40ないし80mol%であり、化学式7の構造単位の量が10ないし30mol%であり、化学式7の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0.9ないし1.1mol%であり、化学式9の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0ないし0.5mol%である。
【0070】
前記液晶性ポリエステル樹脂が化学式6の構造単位を40mol%未満に含有する場合には、耐熱性が不十分であり、80mol%を超過する場合には加工性が不良である。望ましくは、化学式6の構造単位が45ないし65mol%であり、さらに望ましくは、液晶性ポリエステル樹脂(A)が45ないし55mol%であり、液晶性ポリエステル樹脂(B)は55ないし65mol%である。
【0071】
前記液晶性ポリエステル樹脂が化学式7の構造単位を10mol%未満に含有する場合には加工性が不良であり、30mol%を超過する場合には耐熱性が不十分である。
【0072】
また化学式7の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0.9未満または1.1を超過する場合には、液晶性ポリエステル樹脂の重合度が不十分であり、物理的特性が低下し、化学式9の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0.5を超過する場合には液晶性ポリエステル樹脂の耐熱性が不十分である。
【0073】
液晶性ポリエステル樹脂(A)と液晶性ポリエステル樹脂(B)とのブレンド比において、液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して液晶性ポリエステル樹脂(B)10ないし100重量部でブレンドされる。液晶性ポリエステル樹脂(B)の量が10重量部未満の場合には、意図する誘導性を改良させようとする効果が不十分である。一方、液晶性ポリエステル樹脂(B)の量が100重量部を超過する場合には、流動性が改善されるにもかかわらず、耐熱性はかなり減少する。
【0074】
本発明で使われる無機充填剤の配合量は、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物の100重量部に対して、10ないし150重量部である。
【0075】
本発明で使われる繊維状の無機充填剤は、平均繊維直径が望ましくは5ないし20μmであり、さらに望ましくは5ないし15μmである。平均繊維直径が5μm未満の場合に、意図する流動性、耐熱性を改善させる効果は不十分である。一方、平均繊維直径が20μmを超過する場合には、意図する耐熱性を改善させる効果が、平均繊維直径が20μm以下の場合の効果とあまり異なっていないが、成形品の外観及び成形品での均一な分散性は望ましくない。平均繊維長は望ましくは10ないし300μmであり、さらに望ましくは50ないし300μmである。平均繊維長が10μm未満の場合に、意図する流動性、耐熱性を改善させるための効果は不十分である。一方、平均繊維長が300μmを超過する場合には、流動性を改善させるための効果が不良であり、成形品の外観及び成形品での均一な分散性は望ましくない。その例としては、これに制限されるものではないが、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維及び炭素繊維などが含まれる。
【0076】
本実施形態で使われるフレーク型の無機充填剤は、平均粒径が望ましくは1ないし20μm、さらに望ましくは5ないし20μmである。平均粒径が1μm未満の場合には、意図する流動性及び耐熱性を改善させるための効果は不十分である。一方、平均粒径20μmを超過する場合には、流動性及び耐熱性を改善させるための効果が、平均粒径20μm以下の場合の効果とあまり異なっていないが、成形品の外観及び成形品での均一な分散性は望ましくない。その例としては、これに限定されるものではないが、雲母、滑石、及び黒鉛などが含まれる。これらは単独または混合されて使われうる。
【0077】
また、本発明の樹脂組成物には、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、離型剤、染料、顔料、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤などの従来公知の添加剤を使用できる。
【0078】
前記高耐熱性芳香族液晶性ポリエステル樹脂の製造工程を具体的に説明すれば、次の通りである。
【0079】
まず、パラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸で選択される二つ以上の成分及び無水酢酸と有機金属塩とをそれぞれ反応器に供給して混合して130〜160℃に予熱するが、この時に混合器に供給されるパラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、テレフタル酸及びイソフタル酸総重量に対する有機金属塩の使用量は0.005〜0.05重量%である。そして、反応器の温度を300〜350℃に上昇させて混合された原料をよく混ぜて重合させ、副産物である酢酸は蒸留して除去する。重合は多様な反応時間によって進むが、この時に反応時間は0〜10時間であり、運転圧力は0〜0.5気圧である。このように得られた高耐熱性芳香族ポリエステルは、粉砕過程を経て固状反応器で固状重合する。
【0080】
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物のブレンドを製造する方法としては、特別に制限はなく、前記で得られた液晶性ポリエステル樹脂(A)及び液晶性ポリエステル樹脂(B)と無機充填剤、その他の添加剤を原料として、公知の方法によって得ることができる。
【0081】
液晶性ポリエステル樹脂(A)、液晶性ポリエステル樹脂(B)、繊維及び/またはフレーク形態の無機充填剤及び任意の補強剤と離型改善剤及び熱安定化剤などをそれぞれ別途に溶融混合器に供給するか、これら原料成分をモルタル、ヘンシェルミキサー(Henshell mixer)、ボールミル及びリボンブレンダーなどを使用してまた予備混合できる。また、液晶性ポリエステル樹脂(A)と繊維またはフレーク形態の無機充填剤及び液晶性ポリエステル樹脂(B)と繊維またはフレーク形態の無機充填剤とを、別途に溶融混合器に供給してペレットを形成する。
【0082】
前記得られた液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形させることによって光ピックアップ用部品を得ることができる。成形方法は、例えば、射出成形を含むことができる。成形温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度より10℃ないし80℃ほど高温が望ましい。もし、前記言及された温度より低いならば流動性はきわめて減少して成形性を悪化させ、もし、高ければ、樹脂をかなり悪化させ、さらには光ピックアップ用部品の特性を劣化させる。
【0083】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
【0084】
<実施例>
(攪拌インペラーの使用により副生物質が減少した全芳香族ポリエステルの製造)
実施例1
10リットル反応器に攪拌インペラーの高さが30cm、直径が15cmでL/Dが2である台形の二重板状攪拌インペラー[ハド(株)]を、反応器の底面と攪拌インペラーの下段との公差が1cmになるように設置し、パラヒドロキシ安息香酸1797g、ビフェノール808g、テレフタル酸540g及びイソフタル酸180gを供給し、無水酢酸は1.06当量供給して単位体積動力が20kW/mになるように攪拌した。
【0085】
反応器内の反応物が任意の粘度(5000Pa.s)に到達するまで合成し、副産物である酢酸を常圧蒸留した。そして反応物を排出して粉砕した後、固状反応器に投入して反応して全芳香族ポリエステルを得た。このように得られた全芳香族ポリエステルとガラスファイバとを混合した後、圧出してペレット化してフロー温度を測定した結果、352℃であり、溶融温度は360℃であった。この時、副生ガスの発生量は5であった。
【0086】
実施例2
単位体積動力を15kW/mにしたことを除いては実施例1と同一に反応した。その結果、測定されたフロー温度、溶融温度、副生ガスは次の表1の通りである。
【0087】
比較例1〜6
前記実施例1と同じ方法により高耐熱性芳香族ポリエステルを製造するが、ただし、次の表1に表したように攪拌動力とインペラー種類とを異ならせた。その結果、測定されたフロー温度、溶融温度、副生ガスは次の表1の通りである。
【0088】
比較例7
前記実施例1と同じ種類の攪拌インペラーを使用してL/Dを4にして測定した。
【表1】

【0089】
前記表から分かるように、単位体積動力が20kW/mである実施例1の場合に副生ガスの発生が顕著に低いということが分かり、同一単位体積動力を持つ比較例1のシングルヘリカルリボン、比較例3のダブルヘリカルリボン、比較例5のアンカーに比べて非常に少量のガスが発生したことが分かった。また、比較例2または比較例4から分かるように、単位体積動力が増加する場合にも本発明による二重台形板のインペラーを使用したことに比べてガス発生率が非常に高いことが分かり、実施例2のように本発明のインペラーの単位体積動力を15kW/mに小さくした場合にも、比較例1〜7に比べてガス発生率が非常に少ないということが分かった。
【0090】
また比較例5の場合には、反応後に反応器の内部を調べた結果、剪断応力が作用する攪拌インペラーと反応器の壁面間の反応混合物は流動性があって反応終了後に排出できたが、剪断応力が作用しない攪拌中心軸とインペラー間の空間では流動性が落ち、棒上がり現象またはワイセンベルグ現象によって攪拌軸を中心に多量の付着物があった。
【0091】
また前記比較例7は、実施例1と同じ構造を持つ二重台形板状のインペラーを使用してL/Dを本発明の範囲から外した場合を測定した結果、副生ガスの発生量が増加することが分かり、また、公差を大きくした場合にも同様にガス発生量が増加することが分かった。
【0092】
本発明は、全芳香族ポリエステルの溶融重合工程で反応混合物の攪拌を効果的にしてプレポリマーを製造する技術であり、最終的に副生ガス量を減少させた全芳香族ポリエステルの製造方法を提供できる。
【0093】
また本発明は、産業現場に適用することによって工程時間を短縮して経済性を確保し、安定した物性のポリエステルを製造する技術を提供できる。
【0094】
また本発明は、従来の攪拌方法で攪拌効率が悪いために過剰モノマーの除去が不十分になり、重合反応速度が遅くて目的とする重合度のポリマーを得るのにも長い反応時間を必要としたのを、特定の範囲の物性を持つインペラーを使用して反応時に攪拌効率を増大させることによって、重合反応の完結まで反応混合物容量当たり攪拌動力を一定にすることで反応混合物粘度の上昇に対応し、過剰モノマーの脱気除去も効率的に行えると同時に、反応速度が向上して反応時間を短縮できて高品質のポリエステル重合体が得られる。
【0095】
また本発明は、板状攪拌インペラーの使用によって上下流動性が大きくなり、反応混合物の表面更新が十分に進むため、酢酸の反応系外への流出速度及び流出除去量が増大する。その結果、重合速度が向上して溶融重合反応時間が短縮され、反応副生成物の残存量が減少して最終的に得られる全芳香族ポリエステルでは酢酸を主成分とする副生ガスの発生量が減少する特徴がある。
【0096】
(昇温速度及び維持時間調節による高耐熱性の全芳香族ポリエステル製造)
本実施形態において溶融温度、耐熱温度などの物性及びガス発生量は、次のような方法によって測定した。
【0097】
(1)重量減量の開始温度は、熱重量分析器(TGA)を利用して測定した。
【0098】
昇温速度10℃/minで40℃から700℃まで昇温して重量減量が始まる点の温度を求めた。
【0099】
(2)溶融温度は、示差走査熱量計(DSC)を利用して測定した。昇温速度20℃/minで40℃から450℃まで昇温して得られた吸熱ピークの頂点を融点とした。
【0100】
(3)耐熱温度は、熱変形温度測定機(HDT)を利用してASTM D648方法で測定した。
【0101】
(4)色相変化は、白色度測定機器を使用して測定した。
【0102】
(5)ガス発生量は、射出成形器を利用して得られた成形品を切削した後、定量して25cc小瓶に入れて熱風乾燥器で24時間加熱してガスを発生させた後、ガスクロマトグラフィーを使用しカラム温度を80℃から2℃/minで260℃まで昇温させて、あらかじめ標準物質で確認した酢酸のピークと検出されたピークとの相対量を比較した。
【0103】
実施例3
攪拌装置、窒素ガス流入管、温度計及び還流冷却器が装着された1リットルの反応器にパラヒドロキシ安息香酸171g、ビフェノール114g、テレフタル酸100gを供給して窒素注入で反応器の内部を置換し、無水酢酸264gを添加した後で攪拌器で回転数200rpmで攪拌した。反応器内の反応物を150℃まで30分昇温し、3時間アセチル化反応を進めた。アセチル化反応の後、副産物である酢酸流出状態で340℃まで5時間昇温させ、30分維持後に生成物を排出して粉砕した。生成された低分子量ポリマーの重量減量開始温度及び溶融温度を測定した後、固状反応器に投入して30分間重量減量開始温度である200℃まで昇温させ、溶融温度である330℃まで6時間反応させて、4時間維持して高分子量ポリマーを得た。
【0104】
そして、このように得られた高耐熱全芳香族ポリエステルとガラス繊維などとを混合した後、圧出してペレット化して溶融温度、耐熱温度などの物性を測定した。
【0105】
この時に測定された溶融温度は410℃、耐熱温度は385℃であった。
【0106】
実施例4〜6
前記実施例3と同じ組成及び方法により高耐熱全芳香族ポリエステルを製造するが、但し、次の表2に示したように固体状態反応時に反応維持時間を異ならせた。その結果、測定された溶融温度及び耐熱温度は次の表2の通りである。
【0107】
実施例7
攪拌装置、窒素ガス流入管、温度計及び還流冷却器が装着された1リットルの反応器にパラヒドロキシ安息香酸215g、ビフェノール95g、テレフタル酸63g、イソフタル酸21gを供給して窒素注入で反応器の内部を置換し、無水酢酸275gを添加した後、攪拌器で回転数200rpmで攪拌した。反応器内の反応物を150℃まで30分昇温させ、アセチル化反応を3時間進めた。アセチル化反応の後、副産物である酢酸流出状態で320℃まで4.5時間昇温させ、30分維持後に生成物を排出して粉砕した。生成された低分子量ポリマーの重量減量開始温度及び溶融温度を測定した後、固状反応器に投入して30分間重量減量開始温度である180℃まで昇温させ、溶融温度である320℃まで6時間反応させ、4時間維持して高分子量ポリマーを得た。
【0108】
そして、このように得られた高耐熱全芳香族ポリエステルとガラス繊維などとを混合した後、圧出してペレット化して溶融温度、耐熱温度の物性を測定した。この時、測定された溶融温度は350℃、耐熱温度は290℃であった。
【0109】
比較例8
攪拌装置、窒素ガス流入管、温度計及び還流冷却器が装着された1リットルの反応器にパラヒドロキシ安息香酸171g、ビフェノール114g、テレフタル酸100gを供給して窒素注入で反応器の内部を置換し、無水酢酸264gを添加した後、攪拌器で回転数200rpmで攪拌した。反応器内の反応物を150℃まで30分昇温させ、アセチル化反応を3時間進めた。アセチル化反応の後、副産物である酢酸流出状態で340℃まで5時間昇温させ、30分維持後に生成物を排出して粉砕した。生成された低分子量ポリマーの重量減量開始温度及び溶融温度を測定した後、固状反応器に投入して30分間重量減量開始温度より高い250℃まで昇温させ、溶融温度である330℃まで6時間反応させ、4時間維持して高分子量ポリマーを得た。排出された高分子量ポリマーは、融着されただけでなく赤褐色に変色されて品質評価をしていない。
【0110】
比較例9
前記実施例3と同じ組成及び方法により高耐熱全芳香族ポリエステルを製造するが、但し、次の表2に示したように固体状態反応時に昇温時間を異ならせた。排出された高分子量ポリマーは、融着されただけでなく赤褐色に変色されて品質評価をしていない。
【0111】
比較例10
前記実施例3と同じ組成及び方法により高耐熱全芳香族ポリエステルを製造するが、但し、次の表2に示したように固体状態反応時に昇温終了温度を異ならせた。その結果、測定された溶融温度及び耐熱温度は次の表2の通りである。
【表2】

【0112】
前記表2から分かるように、本発明で提示された重量減量開始温度及び溶融温度を測定してその範囲で反応させた場合、そうでない比較例に比べて溶融温度と耐熱温度とが高くて優秀な耐熱性を持つということが分かり、ガス発生量も相対的に少ないだけでなく色相変化がないということが分かった。
【0113】
本発明によって、固体状態の反応時に反応温度範囲、昇温速度及び維持時間の調節を通じて樹脂の変色なしに高い耐熱性を持つ全芳香族ポリエステルを製造でき、かかる優秀な物性により高強度、高剛性、高耐熱、高寸法精密度などの高度の性能が要求される高分子電子材料に使われうる。
【0114】
(流動性が改善された高耐熱性の全芳香族ポリエステル樹脂組成物の製造)
本実施形態で熱的特性及びフロー特性は次の方法によって測定される。
【0115】
(a)溶融温度は、示差走査熱量計(2910 Modulated DSC,TA instruments)を使用して測定した。ここで、溶融温度は次のように定義される。微粉砕したそれぞれの液晶性ポリエステル樹脂を10mg測って集め、窒素ガス下で、50℃から10℃/分で昇温して現れる吸熱ピークの頂点温度より20℃以上で3分間維持する(第1工程)。次いで、50℃まで10℃/分で降温させ(第2工程)、50℃に到達すれば、470℃まで前記速度で昇温させ(第3工程)、測定を終了する。第3工程で出現する吸熱ピークの頂点温度を溶融温度という。
【0116】
(b)溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(Gottfert CapillaryRheometer社製、Rheograph)を使用して測定した。0.5mmのダイ直径で1000/secの剪断速度下で測定する。溶融粘度の測定時、前記(a)で定義された溶融温度より20℃高温を測定温度とする。
【0117】
(c)荷重下の熱変形温度は、1.85MPaの荷重下で長さ127mmで幅12.7mmであり、厚さ6.4mmの成形試験片を使用してASTM D648によって測定する。
【0118】
製造例1
1リットルの反応器にパラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、及びテレフタル酸は50:25:25のモル%でそれぞれ供給され、無水酢酸は1.06当量供給され、有機金属塩は0.01重量%供給されて攪拌する。反応器内の反応物を150℃の予熱過程を経て315℃、100rpmで30分間合成し、副産物である酢酸を蒸留する。そして反応物を排出して粉砕した後、固状反応器に投入して325℃で1時間反応して高耐熱性芳香族液晶性ポリエステル樹脂(LCP A)を得た。このようにして得られた樹脂の前記(a)による溶融温度は400℃であった。
【0119】
製造例2
1リットルの反応器にパラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、テレフタル酸、及びイソフタル酸は60:20:15:5のモル%でそれぞれ供給され、無水酢酸は1.06当量供給され、有機金属塩は0.01重量%供給されて攪拌する。反応器内の反応物を150℃の予熱過程を経て310℃、100rpmで30分間合成し、副産物である酢酸を蒸留する。そして、反応物を排出して粉砕した後、固状反応器に投入して320℃で1時間反応させて高耐熱性芳香族液晶性ポリエステル樹脂(LCP
B)を得た。このようにして得られた樹脂の前記(a)による溶融温度は350℃であった。
【0120】
実施例8ないし10
前記製造例1及び製造例2で得られた液晶性ポリエステル樹脂と無機充填剤(ガラス繊維、直径14μm、長さ3mm)とを表3に記載された割合で予備混合した後、二軸圧出器(Dr.Collin社製、ZK25)を利用してシリンダー温度420℃で圧出してペレット化して液晶性ポリエステル樹脂組成物を得、前記言及された(b)及び(c)の方法で測定した。その結果を表3に表した。
【0121】
比較例11及び12
前記製造例1及び製造例2で得られた液晶性ポリエステル樹脂と無機充填剤(ガラス繊維、直径14μm、長さ3mm)とを表3に記載された割合で予備混合した後、二軸圧出器(Dr.Collin社製、ZK25)を利用してシリンダー温度420℃で圧出し、かつペレット化して液晶性ポリエステル樹脂組成物を得、前記言及された(b)及び(c)の方法で測定した。その結果を表3に表した。
【表3】

【0122】
前記表3から分かるように、本発明による樹脂組成物を使用し、本発明の範囲内で使用する場合に耐熱性に優れ、流動性が改良されたことが分かった。したがって、本発明は光ピックアップ用部品などに使われる流動性が改良される高耐熱性液晶性ポリエステル樹脂組成物を提供できることが分かり、また光ピックアップ用部品のハンダ付け時にも十分な安定性を持つ樹脂組成物を得ることができた。
【0123】
本発明による組成物は、特定の組成によって流動性の改善された高耐熱性の液晶性ポリエステル樹脂を提供できる。
【0124】
また、本発明の組成物を利用して流動性の改善された高耐熱性の光ピックアップ用部品を提供できる。
【0125】
またハンダ付け時に耐熱性の優秀な樹脂組成物を提供できる。すなわち、本願発明はハンダ付けに対する耐熱性と、光ピックアップ用部品として使用時に流動性とをいずれも満たす組成物を提供できる。
【0126】
本発明は実施例を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならばこれより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲によって定められねばならない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の一実施形態による全芳香族ポリエステルの製造方法に使われる単一板状インペラーの一例を示す図面である。
【図2】本発明の一実施形態による全芳香族ポリエステルの製造方法に使われる二重板状インペラーの一例を示す図面である。
【図3】従来技術である比較例2、3で使われたシングルヘリカールリボン型インペラーの一例を示す図面である。
【図4】従来技術である比較例4、5で使われたダブルヘリカールリボン型インペラーの一例を示す図面である。
【図5】従来技術である比較例6で使われたアンカー型インペラーの一例を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチル化反応とエステル化反応とを含む全芳香族ポリエステルを製造する方法において、
(a)単量体を混合して攪拌インペラーの高さLと攪拌インペラーの直径Dとの比が1〜3:1、反応器の底面と攪拌インペラーの下段との間の公差がDの1/100〜1/15であり、長方形または台形の板状攪拌インペラーを装置した反応器に投入して昇温速度0.5〜1.5℃/minとし、単位体積動力を10〜60kW/mを維持しつつエステル化反応して重合する工程と、
(b)前記重合体を粉砕する工程と、
(c)前記粉砕された重合体を固状重合する工程と、を持つことを特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項2】
前記全芳香族ポリエステルは、下記化学式1で表示されるパラヒドロキシ安息香酸、下記化学式2で表示されるビフェノール、下記化学式3で表示されるテレフタル酸、下記化学式4で表示されるイソフタル酸、下記化学式5で表示される無水酢酸を混合して脱水縮合反応させることを特徴とする請求項1に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法:
<化学式1>

<化学式2>

<化学式3>

<化学式4>

<化学式5>

【請求項3】
前記板状攪拌インペラーは、補助羽根が設置された二重板状であることを特徴とする請求項1に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項4】
前記板状攪拌インペラーは、方形または円形の通孔を持つことを特徴とする請求項1または3に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項5】
前記インペラーは、反応混合物容量当たり攪拌動力が一定になりえるインバータモータを利用することを特徴とする請求項4に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項6】
高耐熱性全芳香族ポリエステルの製造方法において、
(a)パラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール及びテレフタル酸と、アシル化剤として無水酢酸を混合して反応させる工程と、
(b)副産物を除去し、生成物を排出して粉砕する工程と、
(c)前記粉砕された低分子量ポリマーを固状反応器に投入して重量減量開始温度に昇温させる工程と、
(d)前記重量減量開始温度から溶融温度まで昇温して固状反応させる工程と、を持つことを特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項7】
前記(a)工程でイソフタル酸をさらに追加することを特徴とする請求項6に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項8】
前記重量減量開始温度は150〜250℃、溶融温度は280〜350℃であることを特徴とする請求項6または7に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項9】
前記低分子量ポリマーの重量減量開始温度から溶融温度まで昇温させる反応時間は4〜7時間、昇温速度は0.3〜0.8℃/minとすることを特徴とする請求項8に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項10】
前記溶融温度で1〜7時間反応を維持することを特徴とする請求項9に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項11】
ガス発生量が1.3重量%以下であることを特徴とする請求項10に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項12】
前記ガス発生量が1.0重量%以下であることを特徴とする請求項11に記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項13】
請求項8に記載の製造方法により製造された全芳香族ポリエステル。
【請求項14】
請求項9ないし12のうち、いずれか1項に記載の製造方法により製造された全芳香族ポリエステル。
【請求項15】
溶融温度350℃ないし450℃の液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、溶融温度310℃ないし400℃の液晶性ポリエステル樹脂(B)10ないし100重量部を配合した樹脂混合物の100重量部に対して、繊維状及び/またはフレーク型無機充填剤10ないし150重量部を配合した組成物であり、前記液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融温度と液晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融温度との差が10℃ないし70℃であることを特徴とする全芳香族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項16】
前記液晶性ポリエステル樹脂(A)と液晶性ポリエステル樹脂(B)とは、それぞれ次の化学式6、化学式7、化学式8及び化学式9の構成単位を2つ以上含み、化学式6の構造単位の量が40ないし80mol%であり、化学式7の構造単位の量が10ないし30mol%であり、化学式7の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0.9ないし1.1mol%であり、化学式9の構造単位/(化学式8の構造単位+化学式9の構造単位)が0ないし0.5mol%であることを特徴とする請求項15に記載の全芳香族ポリエステル樹脂組成物:
<化学式6>

<化学式7>

<化学式8>

<化学式9>

【請求項17】
前記繊維状及び/またはフレーク型無機充填剤は、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、雲母、滑石、黒鉛からなる群から選択される一つ以上を使用することを特徴とする請求項15に記載の全芳香族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項18】
前記繊維状無機充填剤は、平均直径が5ないし20μm、平均長さが10ないし300μmであり、フレーク形態の無機充填剤は平均粒径が1ないし20μmであることを特徴とする請求項17に記載の流動性が改良された高耐熱性全芳香族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項19】
請求項15ないし18のうち、いずれか1項に記載の樹脂組成物を使用して射出成形して得られた成形品。
【請求項20】
前記成形品は光ピックアップ用部品であることを特徴とする請求項19に記載の成形品。
【請求項21】
(a)パラヒドロキシ安息香酸、ビフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸からなる群から選択される二つ以上の成分及び無水酢酸を重合させた後、副産物を除去し、粉砕して固状反応させる工程と、
(b)前記(a)で得られた溶融温度350℃ないし450℃の高耐熱液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、溶融温度310℃ないし400℃の高耐熱液晶性ポリエステル樹脂(B)を10ないし100重量部を混合した組成物であり、
前記液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融温度と液晶性ポリエステル樹脂(B)の溶融温度との差が10℃ないし70℃である前記樹脂混合物100重量部に対して、無機充填剤10ないし150重量部を混合する工程と、
(c)前記混合物を圧出してペレット化する工程と、
(d)成形する工程と、を含むことを特徴とする全芳香族ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項22】
前記パラヒドロキシ安息香酸の量が40ないし80mol%であり、ビフェノールの量が10ないし30mol%、ビフェノール/(テレフタル酸+イソフタル酸)の量が0.9ないし1.1mol%であり、イソフタル酸/(テレフタル酸+イソフタル酸)の量が0ないし0.5mol%であることを特徴とする請求項21に記載の全芳香族ポリエステル樹脂の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−515004(P2009−515004A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538817(P2008−538817)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004515
【国際公開番号】WO2007/052955
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508130188)サムスン ファイン ケミカルズ カンパニー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】