全身性エリテマトーデスの治療のためのペプチドの非経口製剤
【課題】副作用が少なく、望まれない疾患の症状を強力に排除または減少させることができる新たなSLE治療薬の提供。
【解決手段】特定のヒト・モノクローナル抗−DNA抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域内に見いだされるアミノ酸配列、に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸を含むペプチド、または特定のアミノ酸配列を含むペプチドを0.1mg/ml〜20mg/ml並びに特定の溶解度エンハンサーとからなり、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物。
【解決手段】特定のヒト・モノクローナル抗−DNA抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域内に見いだされるアミノ酸配列、に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸を含むペプチド、または特定のアミノ酸配列を含むペプチドを0.1mg/ml〜20mg/ml並びに特定の溶解度エンハンサーとからなり、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年1月14日に出願された米国仮出願番号第60/439,918号の利益を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
この出願の全体を通じて、種々の刊行物が、完全な引用によって参照される。これらの刊行物の開示は、本発明が本明細書に記載し、および主張した日付と同様に、当該技術分野の当業者に既知の技術水準をより完全に記載するために、本出願によりその全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
全身性エリテマトーデス(SLE)または狼蒼は、dsDNAに対する抗体、核抗原に対する抗体、およびリボ核タンパクに対する抗体を含む多くの自己抗体の存在によって特徴づけられる衰弱していく自己免疫疾患である。SLEは、約2000人に1人が発症する(米国では、700人の女性に1人)。本疾患は、主に若い女性を冒し、女性-対-男性の比は、約9:1である。
【0004】
全身性の狼瘡は、体のほとんどすべての器官または系を冒し得る。全身性の狼瘡は、あるとしても、ほんのわずかの症状が明らかである(「緩解」)期間と、疾患がより活性に(「フレア」)なるときの別の時期を含むであろう。多くの場合、人々が、「狼蒼」のことを言う場合、彼らは全身性の疾患形態をいっている。
【0005】
副腎皮質ステロイドは、全身性の自己免疫不全を治療する際の主力である。生命を脅かす、重篤なSLEの身体障害は、高用量の糖質コルチコイド(1〜2mg/kg/日)によって治療される。慢性の糖質コルチコイドによる望ましくない効果は、クッシング様の体質、中心性肥満、高血圧、感染症、毛細血管脆弱症、多毛症、悪性骨粗鬆症、白内障、糖尿病、筋障害、および精神病などの多くの顕著な副作用を含む。副腎皮質ステロイドの毒性に加えて、投与計画に対する患者のコンプライアンスも、重大な問題を提起する。
【0006】
また、活発な疾患を制御するため、疾患のフレアの割合を減少させるため、およびステロイドの必要性を減少させるために、細胞障害性の薬剤が使用されている。後者の望ましくない副作用には、骨髄低下、日和見性の生物による感染症の増大、不可逆的卵巣不全、脱毛症、および悪性腫瘍のリスクの増大を含む。
【0007】
SLEは、現在までに決定的な治療または治癒がない炎症性疾患である。本疾患は、急性および慢性の合併症を生じる。利用できる唯一の治療は、緩和剤であり、急性の症状を軽減し、慢性の合併症を予防することを目的とし、重大な副作用を有することが多い。従って、この分野の要求はいまだ対処されておらず、医師および患者はいずれも、望まれない疾患の症状を強力に排除または減少させることができる新たな治療を喜んで受け入れるであろう。
【0008】
SLEの誘導の基礎をなす機構についての広範な研究にもかかわらず、疾患の病因についての情報は、非常に限られている。SLEの研究は、最近まで、異なる臨床段階の、および種々の治療プロトコル下の患者の末梢血リンパ球(PBL)を使用して行われていた。あるいは、自然にSLE様の疾患を発症するマウスの株をSLEのモデルとして調査していた。この種の解析では、主に、一つには患者の不均一性により、および他方ではマウスのSLE株において疾患の誘導期を制御することができないことにより、本疾患を誘導し、またはこうむる際の種々の免疫学的および非免疫学的な因子の役割の不完全かつ混同した解釈が生じた。
【0009】
数年前に、SLEの動物モデルが確立された。このモデルは、イディオタイプネットワークの概念に基づいており、広範囲な狼蒼に関連した自己抗体および臨床症状を発症する(Mendlovic, S. etal.' Proc. Natl. Acad Sci. USA 85: 2260 (1988))。誘導は、自然に自己免疫不全を何ら発症しないマウス株を、16/6 Idと呼ばれる一般的なイディオタイプを有するヒト抗DNAモノクローナル抗体(mAb)で免疫することによって行われた(Shoenfeld, Y. et al., J. Exp.Med. 158: 718 (1983))。
【0010】
ヒトmAB16/6は、元来はIgMアイソタイプの抗DNA抗体であり、培養の際にIgG1にスイッチされる。該mABは、患者から誘導されたものであり、一般的なイディオタイプ16/6 Idを発現する(Shoenfeld et al. , 1983; Mendlovic et al. , 1988)。このmABを分泌するハイブリドーマ細胞を培養においてルーチンで増殖させて、セファロース(商標)に結合されたプロテインGのアフィニティーカラムを使用して、抗体を培養液上清から単離する。ヒト16/6抗DNA mAB(IgG1/K)は、Shoenfeld, Y. et al., J. Clin. Invest. 70 : 205-208 (1982) and in Waisman, A. et al., Int. Immunol. 7: 689-696 (1995)に記載があった。
【0011】
免疫化に続いて、マウスは、16/6 Idに特異的な抗体、16/6 Idを有する抗体、および異なる核抗原(dsDNA、ssDNA、Sm、リボ核タンパク(RNP)、Ro、Laその他)に対する抗体を産生した。血清学的な知見では、白血球減少症、高い赤血球沈降速度、タンパク尿、腎臓における免疫複合体の多量の存在、および糸球体硬化症と関係しており(Mendlovic et al. , 1988)、これらは、SLEの典型的な症状である。マウスの抗16/6 Id mAbによって(Mendlovic, S. et al. , Eur. J. Immunol. 19 : 729, (1989))およびマウス抗16/6 Id(16/6 Id+)mAbによって(Waisman, A. etal., Internatl. Immunol. 5: 1293 (1993) ; Waisman, A. and Mozes, E. Eur.J. Immunol. 23: 1566, (1993))実験的に疾患を誘導することができることがさらに示された。疾患の誘導は、遺伝的に制御され、したがって株依存的である(Mendlovic, S. et al., Immunology 69 : 228 (1990) )。実験的にSLEを誘導するためのこの独特のモデルは、SLEの誘導および発症に関与する種々の工程およびリンクする免疫パラメーターを明白に精査するために適した手段を提供する。
【0012】
SLEは、DNA、Sm、Ro、La、RNP、カルジオリピン、およびヒストンなどの自己抗原に対する自己抗体の形成によって特徴づけられる全身性の自己免疫疾患である。SLEの病因は、知られておらず、これらの自己抗体が生じる機構を理解することにより、洞察がもたらされる。16/6 Idを有するか、またはこれと反応する抗体を誘発することができたモノクローナル自己抗体は、病原性であり、したがって実験的にSLEを誘導することができることが見いだされた(Fricke, H. etal., Internatl. Immunol. 2: 225 (1990) ; Sthoeger, Z. M. et al., J. Clin. Immunol. 13: 127 (1993))。実験的なSLEを有するC3H.SWマウスから単離した、DNAまたはHeLa核抽出物(NE)のいずれかに結合する9の自己抗体の可変(V)領域がシーケンスされた(Waisman and Mozes, 1993)。異なる自己抗体間の関係を決定するために、異なる特異性を有するモノクローナル抗体を解析した。3つのmAbが、DNAに結合することが見いだされ、病原性の抗DNA抗体の配列の特徴を示すことが示された。2C4C2と名付けられたこれらのmAbのうちの1つは、その他の狼蒼を起こしやすいマウス、すなわち、(NZBxNZW)F1から単離された抗DNA mAbのVHと同じ重(H)鎖可変部遺伝子(VH)を使用することが示された。mAb 2C4C2の軽(L)鎖可変部遺伝子(VL)も、(NZBxNZW)F1マウスから単離された別の抗DNA mAbのVLに対して98%の相同性がある。5G12-4および5G12-6と名付けられたその他の2つの抗DNA mAbは、mAb 2C4C2のものとこれらのVH配列を93%共有する。6つのmAbがHeLa NEのタンパク質に結合した。9つのmAbは、合計5つのVHおよび4つのVL生殖系列遺伝子を使用しており、実験的SLEを有するマウスにおいて誘導される自己抗体が、1つのB細胞クローンに由来するのではないことを示している。9つのVHおよびVLのうちの3つは、生殖系列遺伝子と配列が同一であったが、その他の少なくとも3つは、体細胞突然変異を有した。後者は、これらの自己抗体が既存の(免疫前の)B細胞の利用により、および抗原によって駆動されるプロセスにより、両方によってマウスに生じることを示唆する。さらに、実験的なSLEを有するマウスに見いだされる自己抗体は、自然に狼蒼を発症するマウス株から単離されたmAbによって使用されるものと同様の遺伝因子を使用する。
【0013】
T細胞は、実験的なSLEの誘導および発症において重要な役割を演ずる。従って、16/6 Idに特異的なT細胞株およびクローンは、16/6抗体と同様の同系のレシピエントに実験的なSLEを誘導することが示された。従って、該系統の活性化された細胞の接種後に、マウスは、SLEに典型的な血清学および腎障害を発症した(Fricke, H. et al., Immunology 73: 421 (1991))。さらに、C3H.SW由来の16/6 Id特異的なT細胞株は、16/6 Idまたは抗16/6 Id mAbのいずれかを注射した後の疾患の誘導に対する抵抗性が示されていたC57BL/6マウスにSLEを誘導した(Mendlovic et al. , 1990)。
【0014】
16/6 Idの病原性領域を同定する試みでは、(Fab')2断片を16/6 Id mAbで調製し、完全な16/6 Id分子の特異性および病原性の能力を保持することが見いだされた(Ruiz, P. J. etal., Immun. Let. 41:79(1994))。
【0015】
実験的なSLEを有するマウスから単離され、かつDNAに結合し、および16/6 Idを有することが示されているmAb 5G12は、マウスに実験的なSLEを誘導することができる(Waisman, A. et al., Internatl. Immunol. 5: 1293(1993))。増殖によってmAbに対して特異的に反応するT細胞は、おそらくこれらの相補性決定領域(CDR)に由来する配列を示すペプチドに反応する。T細胞は、同じ定常領域を有するが、異なる特異性を有するその他の抗体と反応しないので、これらが上記抗体のV領域を認識する可能性は非常に高い。可変領域のうち、認識される可能性が最も高いのはCDRであり、これらが種々の抗体間で最も異なる領域であるためである。マウスにおいてSLEを誘導することを上述した、9つの病原性のマウスmAbのVH配列のCDR領域は、9つのmAbのVHについての完全なヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列が示されている(Waisman and Mozes, 1993の図1で四角で囲ってある)。
【0016】
実験的なSLEモデルの−Balb/cマウスかつSLEを起こしやすいマウス−すなわち(NZBxNZW)F1マウスでは、mCDRに基づいたペプチドまたは化合物1のいずれかでの処置により、有意にSLEに関連した知見、特に腎臓における免疫錯体沈澱物(ICD)、タンパク尿、および白血球減少症が減少した。該処置は、16/6 Id特異的な抗体反応に対しては効果を有さなかった(Waisman, A. , et al. " Modulation of murine systemic lupus erythematosus with peptides based on complementarity determining regions of pathogenic anti-DNA monoclonalantibodies. " Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. (1997) , 94 (4) : 620; Eilat, E. , et al., " Prevention of systemic lupus erythematosus-like disease in (NZBxNZW) F1 mice by treating with CDR1-and CDR3-based peptides of pathogenicautoantibody " J. Clin. Immunol. (2000) , 20: 268; Eilat, E. , et al. , " The mechanism by which a peptide based on complementarity determining region-1 of pathogenic anti-DNA antibody ameliorates experimental SLE " (2001) , Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 98: 1148)。
【0017】
図1に示したヒトCDR1、化合物1は、16/6 Idを意味するヒト抗dsDNA mAbの相補性決定領域1(CDR1)に基づいた19アミノ酸の合成ペプチドである(Waisman, A. , et al. " Modulation of murine systemic lupus erythematosus with peptides based on complementarity determining regions of pathogenic anti-DNA monoclonalantibodies. " Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. (1997) , 94 (4) : 4620- 4625)。
【0018】
これらのペプチドは、多くのペプチドと同様に、あまり可溶性がない。従って、ペプチドの溶解度を改善する製剤が、本明細書において提供される。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、以下を含む薬学的組成物であって:
水性キャリアと;
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたβ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含み、
前記ペプチドおよび前記溶解度エンハンサーは、両方とも水性キャリアに溶解され;かつ、
前記組成物は、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は、ヒト被験者の全身性エリテマトーデス(SLE)の症状を軽減する方法であって、ヒト被験者に対して、本発明の薬学的組成物を、ヒト被験者のSLEの症状を軽減するために有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】酢酸塩としてのヒトCDR1(化合物1)−hCDR1の分子式および構造式、アミノ酸配列、および物理パラメーターを示す。
【図2】化合物1およびカプチソール(登録商標)溶液で処置したマウスから採取し、細胞をその後に化合物1のPBS溶液で活性化した後の細胞からのIL-2分泌。 -黒四角-化合物1(RS)50μg/マウス -黒三角-化合物1(RS)200μg/マウス -白四角-DP 50μg/マウス -白三角-DP 200μg/マウス -黒丸-12%のアンプライズした(ampulized)カプチソール。
【図3】化合物1溶液で処置したマウスから採取し、細胞をその後に化合物1のEM-1溶液で活性化した後の細胞からのIFN-γの分泌(2.5×106細胞/ウェル) -黒菱形-プラセボ -黒丸-化合物1 50μg/マウス(処置用量) -白三角-化合物1 100μg/マウス(処置用量) -X-化合物1 200μg/マウス(処置用量)。
【図4】化合物1溶液で処置したマウスから採取し、細胞をその後に化合物1のEM-1溶液で活性化した後の細胞からのIFN-γの分泌(5×106細胞/ウェル) -黒菱形-プラセボ -白四角-化合物1 25μg/マウス -白三角-化合物1 50μg/マウス -X-化合物1 100μg/マウス -*-化合物1 200μg/マウス。
【図5】化合物1のカプチソール(登録商標)溶液での注射の10日後の(NZBxNZW)F1マウスにおける抗dsDNA抗体[OD=光学濃度;化合物1(C)=カプチソール(登録商標)に溶解した化合物1] -白四角-プラセボ -白菱形- 50μg/マウス -白丸- 25μg/マウス。
【図6】免疫複合体沈着の強度を示す(NZBxNZW)F1マウスからの腎臓切片。最上列の切片は、カプチソール(登録商標)処置したマウスからのものであり、中央列の切片は、50μg/マウスの化合物1で処置したマウスからのものであり、最下列の切片は、25μg/マウスの化合物1で処置したマウスからのものである。拡大率:左:×100、右:×400。FITC免疫組織学。
【図7】SLE患者および健常ヒト対照者の血清における、これらの血清がペプチドIa、IIa、およびIIIa、またはmAb5G12もしくは対照ペプチドに結合する能力について試験することによる抗体価。
【図8】SLE患者および健常対照者の末梢血リンパ球の最適な刺激のために必要とされるヒト抗DNA 16/6 Id mAbの濃度。PBLを種々の濃度(0.1〜40μg/ウェル)の16/6 Id mAbで刺激した。最も高い刺激指数を生じる濃度を、増殖反応をトリガーするための最適なものと定義した。
【図9】hCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下において分裂促進因子フィトヘマグルチニン(PHA)で刺激した1人のSLE患者からのPBLの増殖。
【図10】ヒト・ペプチドhCDR1もしくはhCDR3、またはマウス・ペプチドmCDR3の非存在下または存在下においてヒト16/6I mAbで刺激した1人のSLE患者からのPBLの増殖。
【図11】ヒト・ペプチドhCDR1もしくはhCDR3、またはマウスの逆転したペプチドrevmCDR1およびrevmCDR3の非存在下または存在下におけるヒト16/6ImAbで刺激した1人のSLE患者からのPBLの増殖。
【図12】hCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下においてヒト16/6 Id mAbによってトリガーされるSLE患者のPBLのIL-2分泌の阻害。
【図13】hCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下におけるヒト16/6 Id mAbで刺激された1人の代表的なSLE患者のPBLのTGF-β分泌のアップレギュレーション。
【図14】SLE患者および健常対照者の血清中のMMP-2およびMMP-9の活性を示す代表的なゲル。40人の個々のSLE患者および25人の健常対照者の血清(5μl)をこれらのMMP-2またはMMP-9活性についてゲル酵素電気泳動法によって解析した。図は、2つの群の血清試料での代表的結果を示す。
【図15】SLE患者(暗いカラム)および健常対照者(白いカラム)の血清中のMMP-2およびMMP-9活性のグラフ示す定量分析。36人のSLE患者の血清試料および15人の健常対照者の血清試料を、比活性アッセイ法キットを使用してMMP-2またはMMP-9活性を試験した。結果は、平均±s.e.m.で表してある。*P=0.0302。
【図16】SLE患者のMMP-9活性レベルおよび疾患活性指標(SLEDAI)を示すグラフ。8人の男性(図16A)および27人の女性の(図16B)SLE患者からの35人の血清試料を比活性アッセイ法キットによってMMP-9活性を試験した。患者のSLEDAIに従ってMMP-9活性の分布を示す。点線は、健常対照者のMMP-9の活性を表す。
【図17】疾患の4〜6年の間に試料をとった2人のSLE患者の血清中のMMP-2(白丸)およびMMP-9(黒丸)活性のパターンを示すグラフ。比活性アッセイ法キットによってMMP-2またはMMP-9活性について血清を試験した。アッセイ法は、二回行った。
【発明の詳細な説明】
【0022】
本発明は、 以下を含む薬学的組成物であって:
水性キャリアと;
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたβ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含み、
前記ペプチドおよび前記溶解度エンハンサーは、両方とも水性キャリアに溶解され;かつ、
前記組成物は、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物を提供する。
【0023】
一つの態様において、前記組成物の少なくとも0.5mg/mlは、ペプチドの薬学的に許容される塩である。
【0024】
もう一つの態様において、ペプチドは、以下からなる群より選択される配列を有する:
NH2-Thr Gly Tyr Tyr Met Gln Trp Val Lys Gln Ser Pro Glu Lys Ser Leu Glu-Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 1) ;
NH2-Glu Ile Asn Pro Ser Thr Gly Gly Thr Thr Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Ala Lys Ala Thr-COOH(SEQ ID NO : 2) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Phe Leu Trp Glu Pro Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Ser-COOH(SEQ ID NO : 3) ;
NH2-Gly Tyr Asn Met Asn Trp Val Lys Gln Ser His Gly Lys Ser Leu Glu Trp Ile Gly-COOH (SEQ ID NO : 4) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser Gly Arg Tyr Gly Asn Tyr Trp Gly Gln Thr Leu-COOH (SEQ ID NO : 5) ;
NH2-Gly Tyr Tyr Trp Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Glu Glu Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 6) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Gly Met Asp Val-COOH(SEQ ID NO : 7) ;
NH2-Phe Ser Gly Tyr Tyr Trp Ser-COOH(SEQ ID NO : 8) ;
NH2-Glu Ile Asn His Ser Gly Ser Thr Asn Tyr Lys Thr Ser Leu Lys Ser-COOH(SEQ ID NO : 9) ;および、
NH2-Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Tyr Gly Met Asp Val- COOH(SEQ ID NO : 10) 。
【0025】
一つの態様において、ペプチドは、
X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、Gly、またはThr Glyであり;X34はArgまたはLysであり;X35は、Pro、またはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerである配列を有する連続したアミノ酸を含む。
【0026】
上記の薬学的組成物のいずれかのもう一つの態様において、溶解度エンハンサーは、置換されたシクロデキストリンである。
【0027】
一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル、スルホブチルエーテル、またはスルホプロピルエーテル置換されたシクロデキストリンである。
【0028】
もう一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンは、置換されたスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。
【0029】
上記の組成物のいずれかのさらなる態様において、溶液中のペプチドの濃度は、少なくとも1mg/mlである。
【0030】
さらなる態様において、溶液中のペプチドの濃度が、少なくとも2.5mg/mlである。
【0031】
一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、0.5mg/ml〜10mg/mlである。
【0032】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、0.5mg/ml〜2.5mg/mlである。
【0033】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、2.5mg/ml〜5mg/mlである。
【0034】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、5mg/ml〜7mg/mlである。
【0035】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、7mg/ml〜8.5mg/mlである。
【0036】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、8.5mg/ml〜10mg/mlである。
【0037】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、9mg/ml〜10mg/mlである。
【0038】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、10mg/ml〜15mg/mlである。
【0039】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、15mg/ml〜20mg/mlである。
【0040】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、1.0mg/mlである。
【0041】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、2.5mg/mlである。
【0042】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、5mg/mlである。
【0043】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、10mg/mlである。
【0044】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、15mg/mlである。
【0045】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.1mg/ml〜0.5mg/mlである。
【0046】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.1mg/ml〜0.2mg/mlである。
【0047】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.2mg/ml〜0.3mg/mlである。
【0048】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.3mg/ml〜0.4mg/mlである。
【0049】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.4mg/ml〜0.5mg/mlである。
【0050】
さらなる態様において、組成物は、6.5〜8.5の間のpHを有する。
【0051】
さらなる態様において、組成物は、7.5〜8.5の間のpHを有する。
【0052】
さらなる態様において、組成物は、4〜5の間のpHを有する。
【0053】
さらなる態様において、組成物は、5〜6の間のpHを有する。
【0054】
さらなる態様において、組成物は、6〜7の間のpHを有する。
【0055】
さらなる態様において、組成物は、7〜8の間のpHを有する。
【0056】
さらなる態様において、組成物は、8〜9の間のpHを有する。
【0057】
上記の薬学的組成物のいずれかのもう一つの態様において、薬学的に許容される塩は、酢酸塩である。
【0058】
さらなる態様において薬学的に許容される塩は、酢酸塩であり、かつ置換されたβ-シクロデキストリンは、ヘプタ-(スルホブチルエーテル)-β-シクロデキストリンである。
【0059】
もう一つの態様において、組成物は、4〜9の範囲で薬学的組成物のpHを作製するために適した量の、およびタイプの薬学的に許容される緩衝液をさらに含む。緩衝液は、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、または炭酸ナトリウムであってもよい。
【0060】
また、本発明は、ヒト被験者の全身性エリテマトーデス(SLE)の症状を軽減する方法であって、前記ヒト被験者に対して、上記の薬学的組成物のいずれかを、前記ヒト被験者のSLEの症状を軽減するために有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【0061】
また、本発明は、ヒト被験者のSLEの治療に使用するための、上記の薬学的組成物のいずれかを提供する。
【0062】
また、本発明は、上記の薬学的組成物のいずれかを製造するための方法であって、以下のa)〜d)の工程:
a)ジメチル-アセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリジノン、1-エテニル-2-ピロリドン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、または置換されたβ-シクロデキストリンの水性キャリア溶液を、予め定められた濃度で調製することと;
b)予め定められた量の以下の1)〜4)の薬学的に許容される塩を添加することと、
1)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体のの重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
2)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
3)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
4)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、
c)前記溶液に前記ペプチドが溶解するまで前記工程b)の溶液のpHを調整することと;並びに、
d)必要に応じて、前記工程c)の溶液のpHを4〜9のpHに合わせることと、
を含み、
これにより薬学的組成物を製造する方法を提供する。
【0063】
一つの態様において、ペプチドの予め定められた量は、少なくとも0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0064】
もう一つの態様において、ペプチドの予め定められた量は、少なくとも0.5mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0065】
さらなる態様において、ペプチドの予め定められた量は、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0066】
もう一つの態様において、ペプチドの予め定められた量は、5mg/ml、10mg/ml、または15mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0067】
本方法の一つの態様において、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度は、70mg/ml〜170mg/mlである。
【0068】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、80mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0069】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、90mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0070】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、100mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0071】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、110mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0072】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、120mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0073】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、130mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0074】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、140mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0075】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、150mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0076】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、160mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0077】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、120mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0078】
さらなる態様において、工程b)ha、溶液を1時間混合することをさらに含む。
【0079】
さらなる態様において、工程c)において、pHは、1.0 N HClまたはNaOHを使用して調整される。
【0080】
さらなる態様において、本方法は、酢酸セルロースフィルターを通して工程d)の溶液を濾過することをさらに含む。
【0081】
さらなる態様において、
ペプチドの予め定められた量は、2.5mg/ml,2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量であり;
工程b)は、前記溶液を1時間混合することをさらに含み;および、
工程c)において、pHは、1.0 N HClまたはNaOHを使用して調整され、
酢酸セルロースフィルターを通して前記工程d)の溶液を濾過することをさらに含む。
【0082】
また、本発明は、上記の方法のいずれかによって調製される組成物を提供する。
【0083】
また、本発明は、以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、Nメチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたΒ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含む凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0084】
凍結乾燥された薬学的組成物の一つの態様において、少なくとも0.5mg/mlの組成物は、ペプチドの薬学的に許容される塩である。
【0085】
また、本発明は、上記の薬学的組成物のいずれかを凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-40℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定の時間-40℃に温度を保持することと;
h)20℃に前記溶液の温度を上げることと;
i)所定時間20℃に温度を保持することと;および、
j)減圧して、所定時間20℃に温度を保持することと、
を含み、これにより、薬学的組成物を凍結乾燥する方法を提供する。
【0086】
一つの態様において、工程a)は2時間以内で行われる。
【0087】
もう一つの態様において、工程b)は3時間以内で行われる。
【0088】
もう一つの態様において、工程c)は13時間以上行われる。
【0089】
もう一つの態様において、工程c)は110μバールの圧力で行われる。
【0090】
もう一つの態様において、工程d)は13時間以上行われる。
【0091】
もう一つの態様において、。工程d)は、110μバールの圧力で行われる。
【0092】
もう一つの態様において、工程e)において、前記圧力は10μバールに減少される。
【0093】
もう一つの態様において、工程e)は5時間以上行われる。
【0094】
もう一つの態様において、
工程a)は2時間以内で行われ;
工程b)は3時間以内で行われ;
工程c)は13時間以上、110μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上、110μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は5時間以上行われ、圧力は10μバールに減少される。
【0095】
また、本発明は、上記の方法のいずれかによって調製される凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0096】
また、本発明は、薬学的組成物を凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-45℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定時間-45℃に温度を保持することと;
h)-20℃に溶液の温度を上げることと;
i)25℃に溶液の温度を上げること;および、
j)所定時間25℃に温度を保持することと、
を含み、これにより薬学的組成物を凍結乾燥する方法を提供する。
【0097】
一つの態様において、工程a)は6時間以内で行われる。
【0098】
もう一つの態様において、工程b)は3時間以内で行われる。
【0099】
もう一つの態様において、工程c)は19時間以上行われる。
【0100】
もう一つの態様において、工程c)は150μバールの圧力で行われる。
【0101】
もう一つの態様において、工程d)は13時間以上行われる。
【0102】
もう一つの態様において、工程d)は、150μバールの圧力で行われる。
【0103】
もう一つの態様において、工程e)は8時間以上行われる。
【0104】
もう一つの態様において、工程e)は150μバールの圧力で行われる。
【0105】
もう一つの態様において、
工程a)は6時間以内で行われ;
工程b)は3時間以内で行われ;
工程c)は19時間以上、150μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上、150μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は8時間以上、150μバールの圧力で行われる。
【0106】
また、本発明は、上記の方法のいずれかによって調製される凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0107】
また、本発明は、組成物の水含有量が5%未満である、上記の凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0108】
一つの態様において、組成物の水含有量は4.0%未満である。
【0109】
もう一つの態様において、組成物の水含有量は3.5%未満である。
【0110】
また、本発明は、以下から構成されるパックされた薬学的組成物:
パッケージ材;および、
予め定められた量の上記の凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0111】
もう一つの態様において、ペプチドは、式
NH2-GIy Tyr Tyr Trp Ser Trp Arg Gln Pro ho Gly Lys Gly Glu Glu Trp Ile Gly-COOHを有する(SEQ ID NO:6)。
【0112】
本発明の合成ペプチドは、実験的SLEを有するマウスから単離されたモノクローナル病原性自己抗体のCDRに基づいている。このようなモノクローナル抗体は、たとえば、X63.653形質細胞腫細胞と抗16/6 Id mAbで免疫したC3H.SWマウスの脾細胞の融合によって産生されるハイブリドーマの上清から得られる(WaismanおよびMozes、1993)。
【0113】
このようなペプチドの例は、本明細書の式Ia〜Vaのものであり、それぞれ、mAb 5G12の重鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3領域、並びにmAb 2C4C2の重鎖のCDR1およびのCDR3領域、並びにこれらの類似体に基づいている(WaismanおよびMozes、1993)。
【0114】
本発明のペプチドは、本明細書に記載されている置換、欠失、および付加の類似体を含むペプチドIa-Vaの類似体を含むことが企図される。置換類似体は、種々の位置にアミノ酸置換を有し、これらの置換は、アミノ酸の体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷に基づいて作製される。
【0115】
アミノ酸は、一連の体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷に沿って分けてもよい。体積に関しては、当業者であれば、最も大きな体積を有するアミノ酸は、Trp、Tyr、Phe、Arg、Lys、Ile、Leu、Met、およびHisであるが、最も小さな体積を有するものは、Gly、Ala、Ser、Asp、Thr、およびProであり、その他は中間であることを理解した。疎水性-親水性パターンに関しては、アミノ酸Gly、Ala、Phe、Val、Leu、Ile、Pro、Met、およびTrpは、疎水性であるが、残りのアミノ酸の全ては、親水性であることが周知である。親水性アミノ酸の中で、Ser、Thr、Gln、およびTyrは、電荷を有さないが、Arg、Lys、His、およびAsnは、正電荷を有し、AspおよびGluは、負電荷を有する。
【0116】
SLEを誘導する自己抗体に対して高い応答者であるマウスのTリンパ球の増殖反応を阻害する際のこれらの能力についての試験をするペプチドを選択する際に、非置換の親ペプチドの対応する部分の体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷を累積的に実質的に変化させないものから置換を選択することが重要である。従って、疎水性の残基は、全体の効果が対応する非置換の親ペプチドの体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷を実質的に変化させない限り、親水性の残基で置換されてもよく、またはその逆でもよい。
【0117】
また、その他のペプチドの修飾が本発明によって想定されることが理解されるべきである。従って、本発明のペプチドには、T細胞増殖反応および自己免疫疾患を予防または阻害する際のその有用性となるペプチドの機能の少なくとも一部を保持した「化学的誘導体」を含むことが企図される。
【0118】
本発明のペプチドの「化学的誘導体」は、通常はペプチドの一部ではないさらなる化学的部分を含む。ペプチドの共有結合による修飾は、本発明の範囲内に含まれる。このような修飾は、ペプチドのターゲットされるアミノ酸残基を、選択された側鎖または末端残基と反応することができる有機誘導化剤と反応させることによって分子に導入させてもよい。このような化学的誘導体およびこれらを作製するための方法は、当該技術分野において周知である。
【0119】
また、本発明のペプチドの塩も本発明の範囲内に含まれる。本明細書において使用されるものとして、「塩」の用語は、ペプチド分子のカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方をいう。カルボキシル基の塩は、当該技術分野において既知の手段によって形成させてもよく、無機塩、たとえば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、三価鉄、または亜鉛の塩など、並びにたとえばトリエタノールアミンなどのアミン、アルギニンもしくはリジン、ピペリジン、プロカインなどと形成されるものなどの有機塩基との塩を含む。たとえば、酸付加塩は、たとえば塩酸またはなどの硫酸鉱酸との塩、およびたとえば酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩を含む。このような化学的誘導体および塩は、好ましくは、安定性、溶解度、その他に関する限り、ペプチドの薬学的性質を修飾するために使用される。
【0120】
本発明に従った合成ペプチドおよびこれらの類似体は、本明細書の配列I〜Vを有するペプチドからなる群より選択されてもよく、ここで:
(i)配列Iのペプチドは、以下の式を有し(SEQ ID NO:11):
TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG[I]、
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaである。
【0121】
一つの態様において、配列Iのペプチドは、式(Ia)を有する(SEQ ID NO:1):
TGYYMQWVKQSPEKSLEWiG(Ia)。
【0122】
(ii)配列IIのペプチドは、以下の式を有し(SEQ ID NO:12):
EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT[II]、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGlu;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrである。
【0123】
一つの態様において、配列IIのペプチドは、式(IIa)(SEQ ID NO:2)を有する:
EINPSTGGTTYNQKFKAKAT(IIa)。
【0124】
(iii)配列IIIのペプチドは、式(SEQ ID NO:13)を有し:
YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS[III]、
式中、X13はPhe、Thr、またはGlyであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerである。
【0125】
一つの態様において、配列IIIのペプチドは、式(IIIa)(SEQ ID NO:3)を有する:
YYCARFLWEPYAMDYWGQGS(IIIa)。
【0126】
(iv)配列IVのペプチドは、以下の式を有する(SEQ ID No:14):
GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG[IV]、
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaである。
【0127】
一つの態様において、配列IVのペプチドは、式(IVa)(SEQ ID NO:4)を有する:
GYNMNWVKQSHGKSLEWIG(IVa)。
【0128】
(v)配列Vのペプチドは、以下の式(SEQ ID NO:15)を有し:
YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL[V]、
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28は、GlyまたはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaである。
【0129】
一つの態様において、配列Vのペプチドは、式(va)(SEQ ID NO:5)を有する:
YYCARSGRYGNYWGQTL(va)。
【0130】
ペプチドIa〜IIIaは、それぞれmAb5G12のVH鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3領域に基づいており、ペプチドIVaおよびVaは、それぞれ、mAb 2C4C2のVH鎖のCDR1およびCDR3領域に基づいている(Waisman and Mozes, 1993)。
【0131】
一旦、本発明に従ったペプチドが産生されると、SLEを誘導する自己抗体に対する高い応答者であるマウスTリンパ球の増殖反応を阻害するその能力は、本明細書に記載されているものなどの試験を使用して過度の実験を伴わずに当業者によって容易に決定されるであろう。容易に行われるであろう1つの試験は、置換されたペプチドが、SLEを誘導する自己抗体に特異的な一定のT株化細胞およびクローンの増殖反応をインビトロで阻害する能力に関するものである。T株化細胞およびクローンは、たとえば以前に記載された方法(Axelrod, O. and Mozes, E. Immunobiology 172: 99 (1986))によって免疫されたマウスのリンパ節細胞から確立された16/6 Id mAb(Fricke etal., 1991)に特異的なT株化細胞およびクローンであってもよい。細胞を、栄養強化培地の存在下において、照射を受けた同系の脾細胞に提示された刺激抗体に対して2週ごとに曝露する。T株化細胞は、標準的な限界希釈技術によってクローン化する。これらのT株化細胞およびクローンの増殖反応を、たとえば本明細書の材料および方法に記載されている方法によって試験する。
【0132】
所望の活性を有するペプチドを選択するために行うことができるもう一つの試験は、置換されたペプチドがT株化細胞およびクローンの能力を阻害して、親ペプチドの存在下においてペプチド特異的なB細胞の補助を提供する能力について試験することである。また、置換されたペプチドを、ビオチン化後に、関連株の抗原提供細胞上のMMCクラスII産物に対してこれらが直接結合する能力について試験してもよい。この目的のために、関連したペプチドのN末端のビオチン標識が、水溶液中の過剰のビオチン-N-ヒドロキシ琥珀酸イミドによって0℃で行われる(Mozes, E. et al., EMBO J. 8: 4049(1989))。マウス脾臓の接着細胞、またはヒト末梢血リンパ球(PBL)接着細胞(1×106/試料)を0.1%のウシ血清アルブミンを含むPBS(PBS/BSA)溶液中で37℃においてビオチン化されたペプチドと共に20時間インキュベートし、続いて4℃でフィコエリトリン-ストレプトアビジンと共に30分間インキュベーションする。各インキュベーションの後、細胞を上記の溶液で2回洗浄する。その後、FACScanを使用するフローサイトメトリーによって細胞を解析する。それぞれの解析において、最低5000細胞を検査する(上記手順については、たとえば、Mozes et al., 1989 ; Zisman et al., 1991を参照されたい)。
【0133】
さらに行うことができる試験は、SLEを誘導する自己抗体に対する高応答者であるT株化細胞によるか、またはマウスのTリンパ球によるサイトカイン分泌をペプチドが阻害する能力について試験することである。サイトカインは、以下の通りに検出される:IL-1活性は、一対の捕獲抗体および検出抗体を使用するELISAによって(IL-4、IL-6、IL-10について以下に記載したとおり)、またはLBRM-33(1A5)アッセイ法(Conlon, P. J. J. Immune. 134: 1280 (1983))(該アッセイ法では、1A5細胞をフィトヘマグルチニン(PHA)の存在下において、種々の濃度の上清または組換えIL-1のいずれかによって刺激してIL-2を分泌させる)を使用するかのいずれかによって評価する。一晩のインキュベーションに続き、1A5細胞の上清をIL-2依存的な細胞障害性リンパ球(CTLL)株に移す。IL-2によるCTLL株の刺激を24時間後に3[H]-チミジンの組み込みによって測定する。IL-2は、IL-2依存的CTLL株を使用して、またはELISAによって直接検出する。上清中のIL-4、IL-6、IL-10、INFγ、およびTNFαのレベルは、製造業者の説明書に従って種々のサイトカインに対する抗体を使用するELISAによって決定する(Phamingen/San Diego/Ca./USA)。
【0134】
これらのインビトロ試験の1つまたは複数において試験に陽性のペプチドにより、インビボでの活性の合理的な予想をもたらすであろう。しかし、インビボでの試験も、過度の実験なしで行うことができる。従って、たとえば、成人マウスに、3日または0日に候補ペプチドを注射してもよい。次いで、マウスには、疾患を誘導する自己抗体またはペプチドを免役する。10日後、候補ペプチドの阻害能を見いだすために、免疫原に対するマウスの増殖能力についてマウスのリンパ節細胞を試験する。
【0135】
もう一つのこのようなインビボでの動物試験は、上記のように、SLEの発生についてマウスのモデルにおいてインビボで直接治療活性を測定することからなる。異なる用量で、異なる経路によって、および異なる時間スケジュールで実験的なSLEを誘導したマウスにペプチドを注射することができる。分布量、抗原提示細胞への取り込み、およびクリアランスを含むペプチドの薬物動態学的なパラメーターを決定するために、ペプチドのビオチン化された誘導体を使用することができる。種々の体液中のペプチドの可溶性画分の濃度は、アビジン・コート・プレートおよび特異的な抗ペプチド抗体を使用するELISAによって決定することができる。細胞に結合したペプチドは、蛍光色素結合アビジンまたはストレプトアビジンを使用してFACSによって解析することができる。さらに、処置されたマウスは、自己抗体反応に対するペプチドの効果、およびSLEを誘導する自己抗体によってマウスに誘発される疾患症状に対するペプチドの効果を決定するために、周期的に試験することもできる。
【0136】
もう一つのインビボでの方法は、候補ペプチドで生まれたてのマウスを寛容化すること、続いて16/6 Id+などの病原性の自己抗体で、または同じペプチドでマウスを免疫すること、および白血球減少症、高い赤血球沈降速度、タンパク尿、腎臓における免疫複合体の多量の存在、および糸球体硬化症と関係する血清学的な知見などの疾患症状を経過観察することからなる。したがって、本明細書の実施例において使用できることが示された好ましい態様の他に、当業者であれば、過度の実験なしで本明細書に示された指針に従って使用できるさらなるペプチドを決定することができることを理解することができる。
【0137】
また、任意の所与のSLE患者に対する任意の所与の置換されたペプチドの予想される治療有効性についてアッセイするために、比較的単純なインビトロ試験を行うことができる。適切なMHCクラスII分子に対して高親和性で結合するが、さらなるT細胞の活性化を生じず、従ってSLE患者に対して治療効果を有するであろうペプチドを産生するという最終的な目標を評価するために、SLE患者の末梢血リンパ球の抗原提示細胞上のHLAクラスII産物に対してこれらが直接結合する能力について、ペプチドをビオチン化後にアッセイしてもよい。健常対照者のドナーおよび対照ペプチドをこのようなアッセイ法に使用してこれらの特異性を検査してもよい。
【0138】
一つの態様において、本発明の治療薬は、本明細書の式I〜Vのペプチドの群から選択されるペプチドであり、ペプチドIa〜Vaおよびこれらの置換類似体および/または欠失類似体を含む。
【0139】
もう一つの態様において、本発明に従った治療薬は、多エピトープの単一ペプチドの形態である。従って、好ましい態様において、本明細書の式I〜Vのペプチドの群から選択される2つの異なるペプチドからなる2種のペプチドが、アラニン残基の短いひと配列によって、またはカテプシンによるタンパク質分解のための推定上の部位などによって、共有結合で互いに連結されている。たとえば、このような部位に関する米国特許第5,126,249号および欧州特許第495,049号を参照されたい。これにより、2つの所望の類似体内に好ましい形態の部位特異的なタンパク質分解が誘導される。あるいは、本発明の多数の同じか、または異なるペプチドは、たとえば0.1%のグルタルアルデヒドなどの適切な重合剤によるペプチドの重合など、ペプチド重合体内に形成されてもよい(Audibert et al.(1981) , Nature 289: 593)。重合体は、好ましくは5〜20ペプチド残基を含む。また、このようなペプチド重合体は、ペプチドを架橋するか、または巨大分子キャリアに複数のペプチドを付着させることによって形成してもよい。適切な巨大分子キャリアは、たとえば破傷風トキソイドなどのタンパク質、およびアミノ酸の直鎖状または分枝の共重合体、L-アラニン、L-グルタミン酸、およびL-リジンの直鎖状コポリマー、並びにLチロシン、L-グルタミン酸、L-アラニン、およびL-リジン(T、G)-A-L-などの分枝の共重合体、または複数鎖のポリDLアラニンである(M. Sela et al. 1955, J. Am. Chem. Soc. 77: 6175)。抱合体は、たとえばMuller, G. M. et al. (1982) Proc. Natl. Acad.Sci. USA 79:569によって記載されているように、最初に1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)塩酸カルボジイミドなどの水溶性カルボジイミドとペプチドをカップリングし、次いで巨大分子キャリアとの抱合を行うことによって得られる。それぞれの抱合体中の結合されたペプチドの内容は、アミノ酸分析によって、キャリア単独の組成物と比較して決定される。
【0140】
本発明の一つの態様によれば、1つまたは複数の活性ペプチドを適切な巨大分子キャリアに付着させてもよく、またはグルタルアルデヒドの存在下において重合させてもよい。
【0141】
ペプチド、これらの重合体、または適切な巨大分子キャリアとのこれらの抱合体は、これらの生物学的利用能を保証する形態で、これらが治療に適するように患者に与えられる。複数のペプチドが有意な阻害活性を有することが見いだされている場合、ペプチドの混合物を含む製剤で、これらのペプチドは患者に与えられる。
【0142】
本発明は、本発明による少なくとも1つの合成ペプチド、適切な巨大分子キャリアとのこれらの抱合体、または選択的に薬学的に許容されるキャリアとのこれらの重合体を含む薬学的組成物を更に含む。
【0143】
経口、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、吸入、鼻くう、髄腔内、腹腔内、皮内、経皮、または腸内の経路を含むその他の既知の経路を含む、いずれの適切な投与経路も本発明に含まれる。
【0144】
本発明の組成物の投与のための用量範囲は、所望の効果を生じさせるのに十分に多くするべきであり、これにより、たとえばSLEを誘導する自己抗体に対する免疫応答は、インビトロでのT細胞増殖によって測定すると実質的に防止されるか、または阻害され、さらに疾患が有意に治療される。
【0145】
用量は、不必要な交叉反応、全身性の免疫抑制、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほど多くするべきでない。
【0146】
SLEを治療する際に使用される本発明のペプチドの有効量は、1μg/kg〜1mg/kg体重の範囲である。投与される用量は、レシピエントの年齢、性別、健康、および重量、併用治療の種類、あるとしても、治療の頻度、および要求される効果の性質に依存するであろう。
【0147】
本発明の合成ペプチド、特に本明細書のI〜Vの配列のものは、他の全ての免疫応答に影響を及ぼさずに、SLE患者の特異的な抗原反応を阻害するか、または抑制することを目的とする。大部分の診断される患者は若い女性であり、長年治療しなければならず、また、SLEのために現在承認されている治療は、副腎皮質ステロイドおよび/または細胞毒などの免疫抑制因子の投与を含み、これらはいずれも非特異的であり、かつ複数の有害な副作用を有するので、このアプローチは最も重要性がある。
【0148】
本発明の製剤は、非経口的に、局所的に、または直腸に与えられてもよい。これらは、もちろんそれぞれの投与ルートに適した形態で与えられる。たとえば、これらは、注射、吸入、軟膏、坐薬、その他によって、注射、注入、または吸入による投与によって;ローション剤または軟膏により局所的に;および坐薬により直腸に投与される。
【0149】
「非経口投与」および「非経口的に投与される」の句は、本明細書に使用されるものとして、腸内および局所的な投与以外の投与様式を意味し、通常注射により、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、および内胸骨の注射および注入を含む。
【0150】
「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、および「末梢に投与される」、の句は、本明細書に使用されるものとして、化合物、薬物、またはその他の物質を、中枢神経系に直接投与する以外にこれが患者の系に入り、代謝およびその他のプロセスを受けるように投与すること、たとえば皮下投与を意味する。
【0151】
さらなる賦形剤についての一般的な製剤の手順および情報の詳細は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Editionに見いだされるであろう。
【0152】
PCT国際公開番号WO02/067848に、またはPCT国際公開番号WO96/30057に記載されているように、合成ペプチドを作製することもできる。
【0153】
本発明は、以下の事件の詳細からよりよく理解されるであろう。しかし、当業者であれば、論議される特定の方法および結果は、請求の範囲をより完全に記載する本発明の単なる例示であることが容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0154】
実験の詳細
ペプチドI〜Vの合成および動物モデルにおいてSLEを治療するために合成されたペプチドの効果を示す試験は、PCT国際公開番号WO96/30057に記載されている。さらなる動物試験は、PCT国際公開番号WO02/067848に記載されている。
【0155】
実施例1:化合物1のための製剤の開発
本出願のペプチドは、2002年9月6日に発表されたPCT国際公開番号WO02/067848に記載されており、当該技術分野において周知方法によって調製することができる(たとえばPeptides: Synthesis, Structure and Applications, ed. by B. Gutte, Academic Press, 1995; Peptide Synthesis Protocols, ed. By M. Pennington and B. Dunn, Humana Press, 1994; Schnolzer, M. et al. , " In situ neutralization in Boc-chemistry solid phase synthesis. Rapid, High yield assembly of difficult sequences. " Int. J. Pept.Protein Res. (1992) 40: 180-193を参照されたい)。
【0156】
化合物1は、19アミノ酸で構成される合成ポリペプチドである。これは、酢酸塩として提供される。本ペプチドの水溶解度は、0.5mg/ml未満であることが決定された。図1は、酢酸塩としての化合物1を示す。
【0157】
2mg/mlを越える(好ましくは10mg/mlまでの)ペプチド濃度を有する製剤をするために、いくつかの溶解度エンハンサーで実験を行った。予備実験では、2mg/mlの濃度は容易に達成することができないことが示された。また、皮下注射のための製剤を開発するために、pHが4〜9の範囲であること、および溶液が等浸透圧であることが望ましい。
【0158】
広範な文献調査に基づいて、最大の溶解度を有する製剤を産生するために少数の主要なアプローチを採用した。考えられる因子は、以下の通りであった:
・pH調整および緩衝液
・溶媒
・共溶媒(Co-solvent)
・溶解剤。
【0159】
方法
化合物1を、選択した溶解度エンハンサー溶液に、その他の賦形剤とは別々に、またはこれと共に溶解し、溶液を少なくとも1時間撹拌した。必要に応じてpHを調整した。溶液を視覚的に検査して溶解度を推定し、解析アッセイ法での決定のために送った。選択した製剤のいくつかについては、生物活性も試験した。
【0160】
結果
表1は、製剤の開発のために使用した溶解度エンハンサーのタイプを示す。表2および3には、種々の溶解度エンハンサーで行った実験を要約してある。表2は、5〜10mg/mlの範囲のペプチド濃度で行った最初のスクリーニングを要約してある。次いで、高いペプチド濃度で行った実験研究をより低い用量で繰り返した(表3を参照されたい)。
【0161】
最初の試験では、化合物1が、酸性および塩基性の両方で、所望のpHレベルの限界でより可溶性であったが、塩基性のpH範囲ではあまり安定ではなかったことを示した。従って、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、および炭酸ナトリウムを含むいくつかの緩衝液およびpH調整薬剤を試験した。初めに試験した緩衝液では、いずれも所望のペプチド溶解度レベルを達成しなかった。pH9.2以上およびpH3.0以下でのみ2mg/mlの溶解度レベルが観察された。それにもかかわらず、最初の段階では、酢酸緩衝液およびクエン酸緩衝液を(緊張剤としてのマンニトールと共に)有する製剤を最初の毒物学研究のために選択した。これらの製剤を生物活性について試験して活性であるとことを証明した。
【0162】
エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、クレモフォア(Chremophore)、およびこれらの組み合わせなどの非水性溶媒を試験したが、化合物1の溶解度を増大しなかった(表1を参照されたい)。30%のDMA(ジメチルアセトアミド)溶液では、所望の範囲(5〜9mg/ml)の溶解度を得たが、その毒性プロフィールのために薬学的製剤には適していなかった。また、溶解度の改善は、30%(w/w)PEG400(5〜9mg/ml)を使用しても観察された。この後者の製剤を毒物学研究のために選択したが、両方ともバイオアッセイにおいて不活性であることが判明し、マウス毒性研究においていくらかの副作用を引き起こしてしまったのかもしれない。従って、さらにこの製剤を追跡しないことに決定した。予備実験からみて、非水溶性溶媒を本製剤に使用しなかった。
【0163】
L-アルギニン、L-グルタミン酸、L-グリシン、およびL-リジンを含むいくつかのアミノ酸(表1を参照されたい)を、タンパク質溶解度を改善するために試験した。L-アルギニンのペプチドの溶解度は、所望のレベルであったが、生じるpHは9を超えた。pHを減少させるか、またはアルギニンHCl塩の使用を試みると、ペプチドの沈澱を生じた。また、ヒト血清アルブミンを試験して、低いペプチド濃度(1mg/ml)でペプチドの溶解度を改善した(表3を参照されたい)。しかし、その潜在的免疫原性および低いペプチド溶解度のために、さらなる実験にはこれを利用しなかった。マンニトール、ソルビトール、およびデキストランを含む充填剤(表1を参照されたい)を単独で、およびその他の賦形剤と組み合わせて試験したが、溶液中のペプチドの溶解度を改善しなかった。
【0164】
ポリソルベート20およびポリソルベート80を含む共存溶媒(表1を参照されたい)を単独で、およびその他の賦形剤と組み合わせて試験した。より低濃度のポリソルベート(6%まで)では、ペプチドの溶解度を改善しなかったが、より高濃度(10%まで-表2を参照されたい)では、2mg/mlまでペプチドの溶解度を改善した。しかし、このような高濃度のポリソルベートは、薬学的製剤に不適当であると考えられた。
【0165】
また、シクロデキストリンの2つのタイプ:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(カプチソール)(両方とも市場に出された非経口的製品に使用することが承認されている)を試験した。両方とも、著しくペプチドの溶解度を増大した(ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンについて10mg/mlおよびカプチソールについて2.5のレベルの濃度)。2つのシクロデキストリン製剤の生物活性を試験して、ペプチド単独での活性が同等であることを見いだした。
【0166】
カプチソール(CAPTISOL:登録商標)は、商業的に入手可能な、ブチルエーテル・スペーサ基またはスルホブチルエーテル(SBE)によって疎水性の空洞から分離されたスルフォン酸ナトリウム塩によるポリ陰イオン性シクロデキストリン誘導体である。カプチソール(登録商標)は、CyDex社のヘプタ置換スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE7-β-CD)製剤の商品名である(www.captisol.com)。カプチソール(登録商標)の構造は、薬物分子を疎水性の空洞に適合させることができ、これにより水性溶媒から薬物分子を単離することができる。カプチソール(登録商標)の外面は親水性であるため、これにより複合体を形成した薬物分子の溶解度が増強される。薬物分子の溶解度を増強するためのシクロデキストリンの使用は、米国特許番号第5,134,127号および第5,376,645号に開示されており、これらの全ての内容は、参照により本明細書に援用される。
【0167】
CyDex社の文献によれば、カプチソール(登録商標)は、非経口的に投与したときに安全であり、β-シクロデキストリンに付随する腎毒性を示さない。β-シクロデキストリンと比較して、カプチソールは、匹敵するか、またはより高い複合体形成の特徴および90grams/100mlを上回る優れた水溶性を−50倍の改善を提供する。
【0168】
結論
いくつかの溶解度エンハンサーは、所望の溶解度範囲に合致することが見いだされた:DMA、PEG-400、ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリジノン、1-エテニル-2-ピロリドン、ポリソルベート20、ポリをルベート80、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(カプチソール(登録商標))。これらの溶解度エンハンサーの中で、両シクロデキストリンが、溶解度、生物活性、および安定性に関して優れていることが証明された。従って、実施例5の製剤に使用するための溶解度エンハンサーとしてカプチソール(登録商標)を選択すること、およびさらに両方のシクロデキストリン製剤を研究することに決定した。実施例5の臨床研究のための最終的な製剤は:120mg/mlのカプチソールの所望の量のペプチド(0.5、1.0、または2.5mg/ml)を有する水溶液およびpH調整のためのHClおよびNaOH。
【0169】
表1:化合物1の製剤の開発のために使用した溶解度エンハンサー
【表1】
【0170】
表2。
【0171】
化合物1のペプチド製剤において評価した共溶媒および安定剤の一覧。
【表2−1】
【表2−2】
【表2−3】
【0172】
表3:低いペプチド濃度での化合物1の製剤
【表3】
【0173】
実施例2:化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のための調製プロトコル
乾燥した化合物1と乾燥したカプチソール(登録商標)を水中で混合するか、またはカプチソール(登録商標)と水の調製された溶液に化合物1を添加するなどの標準的溶解法では、所望の濃度で完全に溶解されなかった。化合物1およびカプチソール(登録商標)の両方のいくつかの異なる濃度を種々のpHレベルで試験した。しかし、化合物1のカプチソール(登録商標)溶液を作製するため以下の方法では、所望の濃度で完全に溶解された。
【0174】
材料:カプチソール(登録商標)、化合物1、および水
方法:
1. 適切な量のカプチソール(登録商標)の重さを量り、120mg/mlの終濃度を得る。
【0175】
2. 80%の終量の水を添加し、10分間マグネチックスターラで混合する。
【0176】
3. 化合物1の重さを量り、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの終濃度を得る。
【0177】
4. ペプチドをカプチソール(登録商標)溶液に添加する。1時間混合する。
【0178】
5. pHを上げて透明溶液を得る(2.0mg/mlの製剤では、わずかにpH9以上に上げることが必要であろう)。pHは、1.0N HClおよび1.0N NaOHを使用して調整すべきである。10分間混合する。
【0179】
6. 必要に応じて、pHを7.5〜8.5の範囲に修正する(HClまたはNaOH 1.0Nを使用する)。
【0180】
7. 最終体積に水を添加する。
【0181】
8. 0.2μの酢酸セルロースフィルターを通して溶液を濾過する。
【0182】
9. 最終pHを記録する。
【0183】
10. 一定分量に分けて、適当な温度で貯臓する。
【0184】
実施例3:化合物1およびカプチソール(登録商標)溶液の凍結乾燥
通常、凍結乾燥製品は5〜10%の間の固体を含むが、本製剤中の固体の割合は高い(12%)という点で、今回の凍結乾燥プロセスは、その他の凍結乾燥製品とは異なる。
【0185】
設備
使用した凍結乾燥機は、 Edwards lyophilizerLyoflex 0.6であった。プロセスの開発の前に品質保証によるコンプライアンスについて、設備のIQ/OQを行い点検した。
【0186】
化合物1とカプチソール(登録商標)の溶液を0.5mg/ml、1.0mg/ml、および2.5mg/mlの濃度の化合物1で調製した。充填容積は、1mlに調整した(1.05gr)。
【0187】
主な生産工程:
1. 凍結する
2. 保持する(低温で)
3. 減圧下において2段階で乾燥する:
3.1. 一次乾燥-保持温度よりも高く棚を加熱し、保持レベルよりも高く棚温度を制御する。
3.2. 二次乾燥-保持棚温度よりも高い温度で圧力を最小値に減圧する。
【0188】
バッチ1〜3
凍結-凍結は、2時間以内に室温から-40℃にした。棚を-40℃で3時間保持した。
【0189】
乾燥-乾燥は、110μbar圧力で行った。棚温度を13時間以上で-20℃に増大させて、さらに13時間その温度で保持した。
【0190】
全工程の時間は、31時間であった。
【0191】
結果:
水含量の結果は:
バッチno.1:3.8%
バッチno.2:4.0%および
バッチno.3:4.9%
であった。
【0192】
バッチ4および5
バッチ1、2、および3に至る方法の水含量の結果は、所望の値よりも高かったので、同じ温度で、および低圧で二次乾燥工程を加えることを決定した。
【0193】
乾燥-乾燥は、110μbar圧力で行った。棚温度を13時間以上で-20℃に増大させて、さらに13時間(バッチ4)または8時間(バッチ5)その温度で保持した。さらに5時間、圧力を10μbarに減圧した。
【0194】
全工程の時間は、36時間であった。
【0195】
結果:
水含量の結果は:
バッチ4:プラセボ:3.0%、
1mg/ml:3.9%。
【0196】
バッチ5:プラセボ:4.1%。
【0197】
結論
図示したとおり、カプチソール(登録商標)での化合物1の満足な凍結乾燥法が開発された。高割合の固体で、それ故圧縮ケーキであるために、開発された方法は、現在ペプチドのために利用できる凍結乾燥サイクルよりも長く、さらに二次乾燥段階を示す。
【0198】
表4に開発された方法を要約する。
【表4】
【0199】
実施例4
凍結乾燥された化合物溶液のインビボでの生物活性の調査(DP、1mg/バイアル、12%のカプチソール(登録商標))
生物活性は、2つの濃度の、凍結乾燥した化合物溶液、すなわち製剤(drug product:DP)を皮下(s.c.)処置した後に、化合物1の参照標準(RS)特異的T細胞からのIL-2分泌の阻害によってモニターした。処置結果を化合物1(RS)のリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液で処置したマウスと比較する。結果は、下記の表に、および図2に示してある。
【0200】
実験デザイン:
1. 免疫化 0日
(CFAで乳状化した化合物1のRS、4つの足蹠全てに)
2. 処置 0日
(s.c.首の後ろに、200μlの溶液で)
3. 以下によるインビトロでの活性化: 10日
a. 0;0.5;1;2.5;5;10;25;50、および100μ/mlの濃度の化合物1のRS
b.化合物1と逆順位のアミノ酸を有するペプチド(ネガティブ対照)。
【0201】
c.コンカナバリンA(ポジティブ対照)。
【0202】
4. 加湿した5%CO2インキュベーター中で37℃において20時間の培養液のインキュベーション。
【0203】
5. ELISAによるIL-2の測定。
【0204】
実験群の表:
【表5】
【表6】
【0205】
実施例5:治療のための最適な用量の評価
以下の略語を以下の明細書に使用した:
CFA 完了するフロイントアジュバント
ConA コンカナバリンA
DP 製剤
DS 原体
EM-1 濃縮DCCM-1培地
EM-3 濃縮RPMI-1640+ウシ胎児血清培地
FCS ウシ胎仔血清
IFN-γ インターフェロン-ガンマ
LN リンパ節
PBS リン酸緩衝食塩水
RS 参照標準
s.c. 皮下
TB トリパンブルー
TGF-β トランスフォーミング成長因子-β
WFI 注射用水。
【0206】
導入
20匹のマウス群には、50μg/マウスの化合物1 RSを免疫した。免疫マウスは、以下の通りに5つの処置群に割り当てた:プラセボ、25、50、100、および200μg/マウスの化合物1 DP(皮下投与)。免疫および処置の10日後、LNを抽出し、単個細胞浮遊液を調製した。次いで、いくつかの濃度の化合物1 RSでの活性化に応答する培養細胞によるインビトロでのIFN-γおよびTGF-βの分泌を測定した。
【0207】
実験デザイン
1.免疫化 -0日
2.化合物1 DPでの処置 -0日
3.処置マウスからのLN細胞のインビトロでの活性化 -10日
4.培地の収集
(IFN-γの測定のため) -12日
5.培地の収集
(TGF-βの測定のため) -13日
6.IFN-γのELISA
7.TGF-βのELISA
表7:実験群
【表7】
【0208】
材料および試薬
動物
マウス:20匹の雌のBALB/cマウス、Harlan animals breeding center, Rehovot.によって供給。
【0209】
免疫時の年齢(週+日):10
実験に含めたマウスの平均重量:19.01gr。
【0210】
一般試薬
70%エタノールは、精製H2Oで希釈することによって96%エタノール調製した。
【0211】
免疫のための化合物1溶液の調製
CFA-化合物1 RSエマルジョン(500μg/ml、50μg/マウス)は、以下の通りに調製した:
1. 1.874mgの化合物を1.87mlのWFIに溶解して1mg/mlの溶液を得た。
【0212】
2. 溶液をpH指示薬一片でテストしてpH5を有することを見いだした。
【0213】
3. 1.5mlの溶液を1.5mlのCFAで乳状化し、500μg/mlの終濃度にした。
【0214】
処置のための溶液の調製
処置は、200μlの溶液のs.c.注射によって行った。
【0215】
12%カプチソール溶液の調製
1.2grカプチソール(登録商標)を10mlのWFIに溶解し、12%カプチソール(登録商標)溶液を得た
実験法
免疫化の前にマウスの重量を測定した平均マウス重量:19.01±0.97gr。
【0216】
免疫化
免疫化は、100マイクロリットル(それぞれの後足蹠へ50マイクロリットル)の免疫化エマルジョンを注射して行った。
【0217】
処置
免疫化工程の後、マウスには、指定された化合物1 DPまたは12%カプチソール(登録商標)処置溶液から200μlのs.c.注射により、これらの首の後ろに処置した。
【0218】
インビトロ培養
マウスを頚椎脱臼によって屠殺した。後肢からLNを抽出し、約5mLのRPMIを含む無菌のシャーレへ移した。200マイクロメートルのメッシュ・ステンレス鋼ネットに対して組織を穏やかに押し出すことによって細胞を抽出した。細胞を収集し、RTで10分間300Gで遠心した。
【0219】
それぞれの実験群のプールされたLNから単個細胞浮遊液を調製した。
【0220】
2.5および5,000,000細胞/ml/ウェルの懸濁液をEM-1中で化合物1 RS(0〜100μg/ml)と共に培養した。
【0221】
細胞反応の指標としてのIFN-γおよびTGF-βの分泌は、培地のELISAによって決定した(IFN-γについて48時間およびTGF-βについて72時間)。
【0222】
表8:インビトロでの実験群
【表8】
【0223】
細胞懸濁液の調製
表9:細胞カウントの結果および細胞懸濁液の調製(10×106/ml)
【表9】
【0224】
細胞懸濁液の調製(5×106/ml)
10×106細胞/mlの懸濁液を5mlのEM-1を5mlの細胞懸濁液に添加することによって1:2に希釈した。
【0225】
48ウェル・プレートでのLN細胞培養のインキュベーション
3つの組織培養プレートを調製した。以下をそれぞれのプレートに添加した。
【0226】
バックグラウンド対照(細胞を培地と共にインキュベートした)
0.5mlの細胞懸濁液
0.5mlの培地(EM-1)。
【0227】
系のポジティブ対照(ConAで刺激した細胞)
0.5mlの細胞懸濁液
0.5mlのConA 5μg/mlのEM-1溶液(終濃度2.5μg/ウェル)。
【0228】
細胞を化合物1活性化溶液と共にインキュベートした(試料)
0.5mlの細胞懸濁液
0.5mlの化合物1 RS 6.25〜200μg/ml(終濃度3.125〜100μg/ml/ウェル)。
【0229】
96ウェル・プレートでのLN細胞培養液のインキュベーション
48ウェルプレートを調製後、細胞懸濁液からの100μlと活性化溶液からの100μlを適用することによって96ウェルプレートを調製した。
【0230】
培養プレートを37℃で加湿した5%CO2インキュベーター内で48または72時間インキュベートした。
【0231】
上清の収集
培養したプレートをRTで10分間300gで遠心した。上清(それぞれのウェルから850μl)を艶板またはチューブに移した。次いで、繰り返し試料の凍結/融解を回避するために、上清を実験用の一定分量に分けた(200μlの2つの一定分量および450μlの1つの一定分量)。それぞれのチューブには、以下の詳細をラベルした:
1. 実験コードおよびインキュベーション後の時間。
【0232】
2. 群および試料番号
3. 活性化因子および濃度。
【0233】
4.上清収集の日付。
【0234】
上清は、ELISAのために使用するまで、-20℃で貯蔵した。
【0235】
結果
表10:群の概要
【表10】
【0236】
表11-A:最終サイトカイン濃度
最終サイトカイン(pg/ml)(2,500,000細胞/ウェル)
【表11−A】
【0237】
表11-B:最終サイトカイン濃度
最終サイトカイン(pg/ml)(5,000,000細胞/ウェル)
【表11−B】
【0238】
結果は、図3〜4にも示してある。
【0239】
知見
IFN-γ分泌
1. プラセボ群において、化合物1の活性化の直線状の用量応答がインビトロで示された。このグラフは、同じ免疫化用量(50μg/マウス)および培地(EM-1)でのエキソビボ・モデルについて得られたグラフに似ている。
【0240】
2. インビトロでの化合物1の活性化による用量応答は、全ての試験群にあった。
【0241】
3. 有意なIFN-γ分泌の阻害が、処置に使用した全ての用量で見られた(25g/マウスの処置用量で平均95%阻害)。処置および%阻害に役立つ用量の間の逆相互関係は、主に5×106細胞/ウェルを使用したときに見いだすことができる。2.5×106細胞/ウェルを使用したときは、50μg/マウスでの動物の処置では、100または200μgよりも良好な阻害がなされた。25μgの点は抜けている(細胞不足)。
【0242】
4. 2×106細胞/ウェルの代わりに5×106細胞/ウェルを使用したときは、より良好な阻害が見られた。
【0243】
5. グラフの直線範囲では、阻害%のSDは低かった。
【0244】
6. 2.5×106細胞/ウェルを使用したときは、ConAによる技術的問題が明らかである。
【0245】
TGF-βの分泌
1. プラセボ群、
化合物1でのインビトロでの活性化による用量応答は見られなかった。TGF-βの分泌レベルは、全ての他の処置群でELISAの検出限界以下であった。
【0246】
実施例6:注射(0、0.5、1.0、および2.5mg/バイアル)のための化合物1およびカプチソール(登録商標)を有する凍結乾燥サイクルの最適化
目的
この研究の目的は、注射のための化合物1およびカプチソール(登録商標)に関して、凍結乾燥サイクルを最適化し、凍結乾燥ケークの形状を改善して、圧壊および割れを回避するすることである。したがって、凍結乾燥サイクルを改善して最適化することに決定した。
【0247】
プロセスの最適化
このサイクルでは、第一相バッチを製造するための生成物を凍結乾燥器に移す。0.5mg/ml、1.0mg/ml、2.5mg/mlの濃度のペプチド、およびプラセボのバッチを調製して、数回の凍結乾燥サイクルを行った。使用した凍結乾燥機は、Edwards凍結乾燥器 Lyoflex 0.6であった。
【0248】
溶解度、含水量、およびケーキの出現を試験した。得られた結果に従って、化合物1のための新たな凍結乾燥サイクルを選択した。固体が高割合(12%)であり、それ故ケーキが濃縮されたために、新たな方法では、実施例3の凍結乾燥サイクルよりもより長く、さらなる一次乾燥段階を示す。表12には、プロセス間での相違を要約する。
【表12】
【0249】
実施例7:
SLEを起こしやすい(NZBxNZW)F1雌マウスにおける狼蒼症状に対する化合物1(カプチソール(登録商標)中で投与した)の効果
臨床試験に参加している患者には、賦形剤としてカプチソール(登録商標)(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム)化合物1で処置した。この理由のために、カプチソール(登録商標)に与えられた化合物1の製剤による(NZBxNZW)F1マウスの処置では、このマウス株を化合物1のPBS溶液で処置したときに観察されるものと同様に狼蒼症状に対して有益効果を有するかどうかを決定することが重要であった。
【0250】
この目的で、(NZBxNZW)F1雌マウス(約8月齢)を3つの群に分けて、カプチソール(登録商標)単独、またはカプチソール(登録商標)中の25もしくは50μg/マウスの化合物1で、週に一度10週間、皮下に処置した(それぞれ、n=9および10)。従来の研究では、SLE症を改善する際にこの範囲の用量が試験したより高用量のもの(100および200μg/マウス)よりも有効なことを示したので、これらの用量を選択した。同じバッチの原体をこの研究において、および化合物1による第1相臨床試験において使用した。
【0251】
マウスを抗二本鎖DNA抗体ついて、およびタンパク尿について経過観察した。マウスを屠殺したときに、腎臓のICD強度を決定した。
【0252】
図5で分かるように、10回の処置注射後の二本鎖DNA特異抗体のレベルに、群間の有意差を観察することはできない。
【0253】
また、表13は、化合物1での処置の有益効果は、5回目の注射から観察することができ、10回の注射まで持続したことを示す。カプチソール(登録商標)対照群のタンパク尿の平均レベルは、化合物1処置群のものよりも一貫して高かった。また、表13は、ICD強度の減少が両方の化合物1用量群の腎臓で観察されたことを示す。これらのマウスの臨床症状を減少させる際に、低用量(25μg/マウス)では、高用量(50μg/マウス)よりも有効であったことを示する全体の傾向があった。
【0254】
表13 25または50μg/マウスの化合物1(カプチソール(登録商標)中)で処置した(NZBxNZW)F1マウスのSLEの臨床症状
【表13】
【0255】
a ICD=免疫複合体沈着。ICD強度規模:0=なし;1=中程度;2=重篤;3=重篤/非常に強い。
b 高レベルのタンパク尿による1匹の動物の死が低い群の平均に生じた
c p<0.05(カプチソール(登録商標)処置した対象マウスと比較;Mann-Whitney)。
【0256】
図6は、それぞれの処置群からの1つの腎臓の代表的な切片を示す。最上列の切片は、カプチソール(登録商標)処置したマウスに由来し、中央列の切片は、50μg/マウスの化合物1で処置したマウスに由来し、および下列の切片は、25g/マウスの化合物1で処置したマウスに由来する。いずれの服用レベルにおいても、化合物1(カプチソール(登録商標)に溶解)で処置したマウスの腎臓切片で観察される免疫複合体沈着の強度は、対照群で観察されたものよりも低かったことが分かる。
【0257】
実施例8:第一相臨床研究
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のSLE被検者の皮下注射の耐容性および安全性を評価するための、第一相の、多施設の、無作為化した、二重盲検、プラセボ対象の、単一用量の、4腕研究。
【0258】
これは、フランスにおいて行われた、ヒトにおける化合物1のカプチソール(登録商標)溶液での最初の臨床研究であった。その主な目的は、SLE被験者に対する単一のsc注射として投与した化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の耐容性および安全性を評価することである。その第2の目的は、これらの被検者において化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の単一のsc用量に続く免疫応答を評価することである。
【0259】
36(36)人の被検者が研究に参加した。研究の参加条件を満たすためには、SLE患者は、米国リウマチ学会により狼蒼の診断のために使用される少なくとも4つの基準を満たさなければならなかった。また、患者は、安定な、軽度/中程度の疾患を有し、かつ同等〜10以下のSLE疾患活性示数(SLE Disease Activity Index:SLEDAI)スコアでなければならなかった。
【0260】
それぞれの患者には、以下の群譲渡に従って、注射のための再構成された化合物1の単一のsc注射か、またはそのマッチング・プラセボ(カプチソール(登録商標))を受けさせた:
群A:プラセボ(カプチソール(登録商標))
群B:0.5mg化合物1のカプチソール(登録商標)溶液
群C:1mgの化合物1のカプチソール(登録商標)溶液
群D:2.5mgの化合物1のカプチソール(登録商標)溶液。
【0261】
臨床検査のためのに血液および採尿を含む、安全試験の標準的な組を、投薬の間に投薬後24時間に、および投薬後2、4、および8週にスクリーニングを行った。投薬前に、および予定される引き続いての来診時に、血液サンプルをSLEに関連した免疫学的検査、抗化合物1抗体、およびPBL増殖アッセイ法のために採取した。以下の免疫学試験を行った:
・Coomb's(直接的および間接的)
・C3、C4、およびCH50
・総IgG、IgM、およびIgA
・ANA、抗dsDNA(ファー・アッセイ法)、抗ssDNA
・抗ENA(抗La、抗Ro、抗RNP、抗Smを含む)
・抗カルジオリピン抗体
・VDRL
・FTA抗体
・リウマチ因子。
【0262】
被検者群における化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の安全性および耐容性は、以下の基準に基づいて評価した:
・SLE発赤を含むAEの発生
・生命徴候
・理学的検査の変化
・ルーチンの臨床検査試験
・SLEDAIスコア
免疫学的試験の結果。
【0263】
第1a相の臨床研究の詳細
研究主任研究員およびそれぞれの研究場所:フランスの6(6)つの研究センター:Prof. Jean Charles Piette (Hopital La Pitie Salpetriere, Paris) , Prof Oliver Meyer (Hopital Bichat, Paris) , Prof. Jean Revuz (Hopital Henri Mondor, Creteil) , Prof. Loic Guillevin (Hopital Avicenne, Bobigny) , Prof. Eric Hachulla (HopitalClaude Huriez, Lille Cedex) , Prof.-Xavier Mariette (Hopital Bicetre, Kremlin Bicetre)。
【0264】
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液、プラセボ、注射アンプルのための水、投与の用量および様式:
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のバイアル(120mg/バイアル)を以下の用量で被検者につき単一用量として皮下注射した:
0.5mg化合物1/バイアルのカプチソール(登録商標)溶液、1mg化合物1/カプチソール(登録商標)溶液、および2.5mgの化合物1/カプチソール(登録商標)溶液。
【0265】
化合物1のためのプラセボ:120mgカプチソール(登録商標)/バイアル(外観上は化合物1のカプチソール(登録商標)のバイアルと同一)。
【0266】
方法
これは、化合物1またはプラセボの単一の皮下注射を使用する多施設の、ランダム化した;二重盲検の、プラセボ対象の、4腕研究であった。SLE患者をベースライン手順の前に21日間スクリーニングした。それぞれの資格のある被検者は、4つの処置群:0.5、1、または2.5mgの化合物1またはそのマッチするプラセボの皮下注射のうちの1つにランダムにわけた。全ての被検者は、投与日前にクリニックに入院した。それぞれの被検者には、上記の一覧表に記載された処置のうちの1つの単一用量を受けさせた。被検者は、投薬の24時間後にクリニックから退院した。被検者は、投薬後2、4、および8週にさらにモニターした。安全臨床検査のための血液サンプル(血清および全血)をスクリーニング時、投与日(投与前)、2日(投与後)、2、4、および8週(最後の訪問)に採取した。免疫学的検査のための血液サンプルは、スクリーニング時、投与日(投与前)、並びに4および8週に採取した。末梢血リンパ球(PBL)増殖は、投与日(投与前)および2、4、および8週で評価した。
【0267】
被験者数(合計およびそれぞれの処置について):
36(36)人の被験者を以下の通りにこの研究においてランダム化した;0.5mgの処置群に9人の被検者、1mgの処置群へ9人の被検者、2.5mgの処置群へ10人の被検者、およびプラセボ処置群へ8人の被検者。
【0268】
診断および主な包含基準:
この研究の資格のある被検者は、米国リウマチ学会(ACR)の少なくとも4つの診断基準を満たしたSLE患者であった。これらの疾患症状は、安定な、軽度/中程度の疾患を有し、かつ2000年に更新された同等〜10以下のSLE疾患活性示数のスコア(SLEDAI 2K)でなければならなかった。
【0269】
研究スクリーニングより前の6月の間に、不安定なまたは重篤な喘息、脳卒中、急性心筋梗塞症、不安定狭心症、脳溢血、および肺塞栓症を報告したSLE患者は、参加から除外した。何らかの臨床的に有意もしくは不安定な医学的または外科的な症状、糖尿病、肝疾患(肝硬変、活性な肝炎、門脈圧高進、または腹水)、臨床的に有意な高血圧、何らかの悪性の病歴、透析、または慢性障害肺疾患(COPD)を有するSLE患者は、研究への参加から除外した。
【0270】
また、血漿分離交換法を受けたか、またはスクリーニングの3月前の間に下記の薬物一覧表に記載されたうちの1つで治療されたSLE患者は、研究への参加から除外した:プレドニゾン30mg/日以上(または、別の副腎皮質ステロイドの同等物の投与)、静脈内副腎皮質ステロイド、静脈内免疫グロブリンG(IgG)、経口抗凝血薬、および何らかの細胞障害性薬剤(たとえば、アザチオプリン、クロランブシル、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート(methothrexate)、タクロリムス)。
【0271】
加えて、副スクリーニング前の最後の3月間に、腎皮質ステロイド(10mg/日以上プレドニゾン、または別の副腎皮質ステロイドの同等物の投与)または抗マラリア薬での治療を開始するSLE患者も、研究から除外した。
【0272】
研究の全期間にわたって、ベースラインSLE医療を保持する努力がなされたが、それにもかかわらず、研究者は、寛容な福祉を維持および最適化するために、研究の間いつでも参加者の医療を変更することができる。
【0273】
評価基準
安全性:
以下の安全性パラメーターをスクリーニング時、入院の間、および最終来診を含む引き続く来診時に評価した:生命徴候(収縮期血圧、最小血圧、パルス、酸素飽和度、温度、および重量)、12-導出ECG(12-lead ECG)、理学的検査の変化、および臨床的ルーチンの研究室安全性試験。有害事象は、投与日およびその後の来診時のそれぞれで記録した。
【0274】
免疫学:
SLEに関連した免疫学的検査をスクリーニング時、入院の間、および最終来診を含む引き続く来診時に行った。
【0275】
薬物に関連した免疫応答は、投与日および最終来診を含む引き続く来診時にPBL増殖アッセイ法および抗化合物1抗体アッセイ方を使用して行った。
【0276】
疾患活性:
2000年に更新されたSLE病の活性度指数スコア(SLEDAI 2K)を使用する疾患活性評価をスクリーニング時、入院の間、および解除契約来診を含む引き続く来診時に評価した。
【0277】
統計方法:
SAS(登録商標)バージョン9.0ソフトウェアを使用してこの研究の間に収集したデータを解析し、提出するために用いた。検定力の算出は行っておらず、また、形式的仮説検定は、このIa相の研究に対して行わなかった。
【0278】
有害な経験
有害な経験の発生率および頻度は、System Organ Classおよび好ましいMedDRA辞書版5.0に従った用語法によって示した。データを処置群によって表にしてある。
【0279】
臨床的実験室データ
スクリーニング時、1日(投与前)、2日、2、4、および8週について決定された観察の数、平均、標準偏差、最低値、および最大値を含む研究室値の記述的統計を処置群によって示してある。ベースラインからそれぞれの時点/来診時への変化も、治療割り当てによってそれぞれの来診について示してある。異常な結果のパーセント(低いおよび高い、適用可能な場合)を処置群および来診時/時点によってパラメーターに基づいて示してある。ベースラインから投与後24時間までおよびベースラインから最終来診までの変化の解析を行った。
【0280】
生命徴候
スクリーニング時、1日(投与前、投与後、およびそれぞれの時点)、2日、2、4、および8週について決定された観察の数、平均、標準偏差、中央値、最低値、および最大値を含む生命徴候のための記述的統計を来診および割り当てられた処置によって表にしてある。ベースラインからそれぞれの時点/来診時までの変化を来診および割り当てられた処置によって提示してある。
【0281】
重量
ベースライン、最終、およびベースラインからの変化の重量(kg)の記述的統計を処置群によって提示してある。
【0282】
ECG
ベースライン、最終、およびベースラインからの変化のECGパラメーターの記述的統計を提示してある。変化の解析をベースラインから最終までの変化の表として、正常/異常または存在/不存在のECGパラメーターの間で示してある。潜在的に臨床的に有意な(PCS)QTc(Bazett)測定を所定の基準に従って同定した。PCSと非PCSの間の絶対QTc(Absolute QTc)(Bazett)変化解析の表およびベースラインから任意の来診までのQTc(Bazett)のPCS変化の発生率の表を示してある。
【0283】
身体検査
身体検査の結果は、ベースラインおよび最終来診時のそれぞれの体の系について異常または正常な知見を有する被検者の発病率によって解析する。正常から異常の間および逆の変化の解析も適用した。ベースラインからの変化が生じないときは、「その他」として定義した。
【0284】
化合物1に関する免疫学的検査
免疫学的パラメーターについては、観察の数、平均、標準偏差、中央値、最低限、および最大値を含む記述統計学を算出し、処置群および来診によって示してある。ベースラインからそれぞれの経過観察来診まで変化を処置群によって示してある。該当する場合には、ネガティブ/ポジティブな結果を有する被検者の数およびパーセントを処置群および来診によって示してある。
【0285】
SLEDAI 2K
平均、標準偏差、中央値、、最小値、および最大値を含む、SLEDAI 2Kの記述的統計を示してある
Ia相臨床研究の結果:
被検者の割り付けおよびSLEの特徴
プロトコルにつき36(36)人の研究被検者でこの研究を始めて完了した。全ての処置群の被検者(34)の大多数は、女性(94.4%)および白人(30、83.3%)であった。全ての処置群についての平均年齢は、35.6才(32才から39才までの平均の範囲)であった。大部分の被検者(91.7%)は、4〜6の米国リウマチ学会(空港監視レーダ)診断基準および2.1〜4.1の範囲のSLEDAI 2Kスコアの平均群を有した。
【0286】
安全性の結果
研究薬物処置群とプラセボ群の間にAEの発病率に顕著な違いはなかった。全ての群において最も一般的なAEは、頭痛であり、穏やかまたは適度な性質として分類され、注射部位の反応は穏やかな性質として分類された。用量応答は調べなかった。重篤な有害事象(SAE)、または重篤と分類されるAEは、研究の間に生じなかった。
【0287】
研究の薬物に起因する臨床的に有意な効果は、血液学、生化学、または検尿値については見られなかった。
【0288】
研究の薬物に起因する臨床的に有意な効果は、生命徴候パラメーター(収縮期血圧、最小血圧、パルス、酸素飽和度)については見られなかった。
【0289】
研究の薬物に起因する臨床的に有意な効果は、温度および重量については見られなかった。
【0290】
分類上のECG測定およびデジタル化したECGパラメーターについては、化合物1処置群とプラセボの間で臨床的に有意な相違は見られなかった。PCS QTc絶対値およびベースライン>60msecからのQTc変化は示されなかった。
【0291】
化合物1処置した群およびプラセボ群において同数の被検者が30〜60msecの間のベースラインからのQTcB変化を有した。
【0292】
身体検査での化合物1の臨床的に有意な効果は注目されなかった。
【0293】
免疫学結果
全ての被検者からの血清試料の評価は、0.5、1、および2.5mg/患者の服用レベルでの化合物1の単一皮下投与では、抗化合物1特異的抗体の発生を誘導しないことを示した。7人の被検者では、カットオフ以上の化合物1に対する反応を有した。これらの抗体レベルの上昇は、投与前にすでに存在した。抗体レベルの増加は、研究の再調査期間(2月)において観察されなかった。これらの被検者の血清を反応性抗体のアイソタイプについて解析した。被検者のうちの2人の反応は、IgMアイソタイプと関係しており、その他の2人ではIgGアイソタイプと関係した。7人のいずれも、特異的なIgE抗体を有しなかった。末梢血リンパ球(PBL)アッセイ法では、被検者(18)の50%が全ての処置群と同様の分布をもつ応答者(SI>2)として分類されることを示した。T細胞応答は、相対的に低く、研究薬物の単一SC用量だけが投与されたことを考慮にすると、アッセイ法に使用した化合物1の処置用量または濃度と応答者/非応答者の状態の間の関連性を検出することはできなかった。また、全時間にわたって応答者の状態の発病率増大の徴候は、観察されなかった。安全性の対象としての役割を果たす破傷風トキソイド(TTX)アッセイ法では、TTXへの反応が全ての処置群の研究期間の全体を通じて維持されたことを示し、化合物1のカプチソール(登録商標)溶液は、TTX復活抗原(recall antigen)に対する免疫応答を変化しなかったことを示す。
【0294】
免疫学的な知見は、研究薬物の化合物1の単一用量だけの投与の結果である。
【0295】
疾患活性の結果
膿尿症の検尿を基礎としたベースラインと4週の間で2〜10ポイントのSLEDAIスコアの変化が記録された0.5mgの処置群の1人の被検者以外、研究の間にSLEDAIスコア(≧3の変化、≦12ポイント)に対する化合物1の臨床的に有意な効果は、注目されなかった。この検尿での知見では、研究者によってプロトコル定義あたりの狼蒼炎とは確認されず、治療の変化なしで解決した。
【0296】
結論
このIa相研究では、0.5、1、または2.5mgの化合物1の120mgのカプチソール(登録商標)溶液の単一皮下注射用量が安全かつ十分に通用することを示し、Ib相の多回投与研究に継続することができる。
【0297】
実施例9:第Ib相の臨床研究
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のSLE被検者の皮下注射の耐容性および安全性を評価するための、第一相の、多施設の、二国の、無作為化した、二重盲検、プラセボ対象の、単一用量の、4腕研究
この研究は、SLE患者に対する化合物1の反復sc投与の安全性および耐容性を評価するために行われる。本研究の第2の目的は、被験者における化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の反復sc投与に続く免疫応答を評価することである。
【0298】
化合物1は、0.5、1.0、または2.5mgの用量のカプチソール(登録商標)溶液で与えられる。研究の製品は、合計12回のsc注射の間一日おきに(週末を除く)、すなわち4週間で1週につき3用量が投与される。投薬の開始後、2、4、8、および12週で予定されている来診予定で被検者をモニターする。安全性および耐容性は、上記の第Ia相臨床研究に記載したのと同様の試験を使用して評価する。
【0299】
結果
この第Ib相研究では、0.5、1、または2.5mgの化合物1の120mgのカプチソール(登録商標)溶液の複数皮下注射用量は、安全で、かつ十分に耐容性あることを示す。
【0300】
実施例10:SLE患者および健常対照者におけるペプチドIa、IIa、およびIIIaに対する抗体、並びに抗1616 Id抗の検出。
【0301】
ヒトSLE患者(32人の患者)の血液を抜き、彼らの血清を、これらがペプチドIa、IIa、およびIIIa、対象ペプチドp195-212(PCT公開番号WO94/00148に記載されている筋無力症(myasthogenic)のペプチド)、またはmAb5G12に結合する能力をELISAによって試験した。
【0302】
抗体の検出は、10μg/mlのペプチドIa、IIa、IIIa、p195-212、またはmAb5G12で被覆したプレート上で、PBS中において2時間行い、洗浄して、1%卵白アルブミンのPBS溶液でさらに2時間ブロックした。ELISAは、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体を使用してPCT国際公開番号96/30057の実施例2の遮断の後の記載の通りに続けた。
【0303】
図7に示したとおり、SLE患者は、健常対照者と比較してペプチドIa(白四角)、IIa(白ダイヤモンド)、IIIa(白丸)、またはmAb5G12(白三角)のいずれかと結合する抗体の優位に高いレベルを示した(ペプチドIa-健常者=黒ダイヤモンド;ペプチドIIa-健常者=場交差した丸;ペプチドIIIa-健常者=逆さ白三角;5G12-健康者=半分が黒い四角)。患者または対照者の血清のいずれにかを関係ないペプチド195-212で被覆したプレート上で試験したときは、結合を観察することができなかった(p195-212-SLE=交差した正方形;p195-212-健康者=半分黒いダイヤモンド)。結果は、全部の抗体分子とCDRに基づいたペプチドとの間に抗体価レベルでの相互関係を示す。
【0304】
実施例11:ヒト16/6 Id mAbおよびペプチドの存在下におけるSLE患者および健常対照者からのPBLの増殖
末梢血液リンパ球(PBL)をSLE患者または健常対照者の血液からフィコール勾配を使用して単離した。その後、試料をIL-2測定のために採取したときに、PBLを種々の濃度のペプチドIaIIa、またはIIIa、またはヒト16/6 Id mAbの存在下において24時間インキュベートした。アッセイは、合計7日間連続して行い、3H-チミジンを最後の16時間添加した。増殖は、細胞のDNAに組み込まれた放射能の量を読み込んで検出した。
【0305】
表14に見られるように、SLE患者から採取されたPBLでは、健常対照者と比較したときに、より低い比率がペプチドと、または16/6 Id mAbと反応した。結果は、応答者の割合(第1ラインの34%)および実際の患者数(32人のうちの11人:11/32)で現してある。
【0306】
次の実施例に示すように、ペプチドまたは16/6 Id mAbの存在下においてPBLによって産生されるIL-2のレベルを試験したときに、同様の結果が得られた。
【0307】
表14。mAb 16/6 IdおよびペプチドIa-IIIa の存在下におけるSLE患者および健常対照者に由来するPBLの増殖。
【表14】
【0308】
実施例12。mAb 16/6 Idおよびペプチドの存在下におけるSLE患者および健常対照者のPBLによるIL-2の生産。
【0309】
PBLをSLE患者または健常対照者の血液からフィコール勾配を使用して単離し、実施例11に記載のようにインキュベートした。50μlの試料をアッセイ開始から24時間後に取り除き、IL-2感受性細胞(CTLD)の存在下において24時間インキュベートし、その後に3H-チミジンを16時間添加して、プレートを集めてβカウンターで計数した。
【0310】
表14のように、表15からも、SLE患者から採取したPBLでは、健常対照者と比較したときに、より低い比率がペプチドと、または16/6 Id mAbと反応したことを見ることができ、したがって、ペプチドに対する反応は、病原性のヒト自己抗体に対する患者のT細胞のものに対応することを示している。
【0311】
表15:mAb 16/6 IdおよびペプチドIa-IIIa の存在下におけるSLE患者および健常対照者のPBLによる産生。
【表15】
【0312】
実施例13
ヒト・ペプチドhCDR1およびhCDR3の合成。
【0313】
ヒトhCDR1(SEQ ID NO:6)およびhCDR3(SEQ ID NO:7)を以下に示してある。
【0314】
GYYWSWIRQPPGKGEEWIG(hCDR1)
YYCARGLLRGGWNDVDYYGMDV(hCDR3)。
【0315】
ペプチドは、当該技術分野において周知の方法によって、たとえばt-ブチルオキシカルボニル(t-Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、または本質的に記載されていたとおりのその他のα-アミノ酸保護基法に関する製造業者のプロトコルを用いて、自動化されたシンセサイザを使用して化学的固相または溶液相合成によって調製した(たとえば、Peptides: Synthesis, Structure and Applications, ed. By B. Gutte, Academic Press, 1995; Peptide Synthesis Protocols, ed. by M. Pennington and B. Dunn, Humana Press, 1994 ; Schnolzer M. et al., In situ neutralization in Bocchemistry solid phase peptide synthesis. Rapid, high yield assembly of difficult sequences. Int. J. Pept. Protein Res. 40: 180-193, 1992を参照されたい)。
【0316】
実施例14
ペプチドhCDR1およびhCDR3は、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖反応を阻害する。
【0317】
SLEを伴った62人の患者、9人の男性(14.5%)および53人の女性(85.5%)が研究に参加した。診断時の平均年齢は、32.95±12.92(範囲12〜61)歳であり、平均追跡調査期間は、10.98±10.76(範囲1-32)年であった。全ての患者は、米国リウマチ学会(ACR)のSLEに関する改正診断基準のうちの少なくとも4つを満たした(Tan E. M. et al. , Arthritis Rheum 25: 1271-77 (1982) )。患者は、3か所のsraeli Medical Centers (Kaplan, Rehovot ; Ichilov, Tel Aviv; Asaf- Harofeh, Rishon Lezion) から動員した。疾患活性は、SLEDAI狼蒼活性度指数に従って決定した(Bombardier C. et al. , Arthritis Rheum 35: 630-40 (1992))。36人の性および年齢がマッチした健常対照者ボランティアの対照群もSLE患者と同時に研究した。研究は、医療センターの倫理委員会によって承認された。
【0318】
ヒト16/6 Id mAbのCDR1およびCDR3に基づいたペプチドhCDR1およびhCDR3が、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの特異的な増殖反応を阻害することができるかどうかを調査することに興味が持たれた。この目的のためには、本発明者らは、最初に、ヒト16/6 Id mAbによって刺激されて増殖することができるPBL(応答者)の患者を同定しなければならなかった。
【0319】
従って、62人の継続性SLE患者のPBLをヒト16/6 Idの存在下において培養し、これらの増殖反応およびIL-2を分泌する能力を判定した。試験したSLE患者の合計62(39%)のうち24人のPBLおよび55(42%の)人のうちの23人のPBLが、それぞれ増殖によって(SI≧2、2〜5.6の範囲)、およびIL-2分泌によって(SI≧2、2〜60の範囲)応答した。SLE患者群の応答者の頻度は、対象として試験した健常なドナー群で観察されるよりも低かった。従って、合計36(58%の)人の健常なドナーのうちの21人のPBLが、16/6 Idに対する増殖によって応答した。増殖の範囲(SIレベル)は、16/6 Idに応答したSLE患者および健常対照者について同様であった。しかし、図8に示すように、対照ドナーのPBLの16/6 Idに対する最適な反応は、SLE患者と比較してより高い濃度の16/6 Idで観察された。
【0320】
16/6 Idに応答したSLE患者の性および年齢と非応答者の患者群との間の相違は、証明することができなかった。しかし、PBLが16/6 Idに応答して増殖した患者は、より短い期間だけ病気であった(応答者および非応答者について、それぞれ平均9.788±8.36年、対11.73±12.06年;P<0.036)。表16には、SLE患者の16/6 Id応答者および非応答者群の臨床的な特性付けを要約してある。表で分かるように、両群とも、大部分のSLEに関連した臨床症状が同様であった。SLE病活性スコア(SLEDAI)およびSLE診断基準の数も2つの群において同様であった。それにもかかわらず、非応答者の群と比較して、より高い頻度の神経病学的(発作および精神病)および血液学的な関与およびより低い割合の腎臓の関与が、患者の応答者群において示された。しかし、おそらく関連したサブグループの患者数が少ないために、上記の違いは、統計学的有意差に達しなかった。そのうえ、研究時にステロイドまたは細胞障害性薬剤で処置したものの間は、比較的少ない応答者患者で決定した。今までにステロイドを受けていなかった患者が、非応答者群と比較して16/6 Idに応答したことは、注目に値する(54%対21%;P=0.023)。
【0321】
16/6 Idに対する健常なドナーのPBLの増殖反応を阻害するCDRに基づいたペプチドの有効性が、SLE患者のPBLについて観察されたものよりも低かったことは、注目に値する(図示せず)。
【0322】
表16。SLE患者の臨床的および検査上の特性付け。
【表16】
【0323】
*臨床関与がACR改訂基準にしたがって定義された。抗核抗体(ANA)および抗dsDNA抗体は、それぞれHep2細胞およびクリチジア・ルシリアエ(Crithidia luciliae)によって決定した。抗リン脂質の抗体(APLA)は、以下の1つまたは複数のアッセイ法の活性として定義した:偽陽性VDRL、狼蒼抗凝固薬(LAC)、または抗カルジオリピン抗体に対するELISA。
†抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンは、200〜400mg/日の用量で使用し;ステロイド治療は、1日量:5mgプレドニゾンとして定義し;使用した細胞障害性薬剤は、シクロホスファミド(0.75〜1.0g/m2;月)、またはアザチオプリン(100〜150mg/日)であった。
‡応答者および非応答者のSLE患者の2つの群の違いに対して傾向が観察された観察されたパラメーター。
【0324】
ペプチドhCDR1およびhCDR3がヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖反応を阻害する能力を試験するために、SLE患者のPBL(2×105/ウェル)をインビトロにおいて種々の濃度の(0.1〜20μg/ウェル)16/6 Id mAbで3回、ペプチドhCDR1およびhCDR3(50または100μg/ウェル)の非存在下または存在下で刺激した。インキュベーションの6日後、3H-チミジン(0.5μCiの5Ci/mmol)をそれぞれのウェルに添加し、さらに18時間インキュベーションした。次いで、細胞を集めて、β-カウンターで放射活性を計数した。結果は、3回の培養の平均毎分放射能数(cpm)として現した。次いで、刺激指数(16/6 Idのない平均cpmに対する最適濃度の16/6 Idを伴った時の平均cpmの比率)を算出した。刺激指数(SI)>2を養成と見なした。
【0325】
合計62人(39%)のSLE患者のうちの24人のPBLでは、16/6 Id mAbに対する増殖が見いだされた。ペプチドhCDR1およびhCDR3が16/6 Id自己抗体の全分子に対する増殖反応を阻害する能力を19人の応答者SLE患者のPBLで試験した。
【0326】
表17は、これらの実験の結果を示す。増殖能力の50%以上の阻害を養成と見なした。表は、それぞれのペプチドについて最も養成の阻害能力を表す。試験した19人の応答者の中で、ヒトhCDR1およびhCDR3がそれぞれ16/19(84.2%)および15/19(78.9%)のPBLの増殖を阻害したことが分かる。両方のペプチドとも、試験した応答者の18/19(95%)のPBLの増殖を阻害した。また、表において、阻害の大きさが両ペプチドで同じであったことが分かる。従って、ヒト16/6 Id mAbのCDR1およびCDR3に基づくペプチドは、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖の効率的な阻害剤であると結論づけることができる。
【0327】
表17
ペプチドhCDR1およびhCDR3によるSLE患者のPBLの増殖の阻害。
【表17】
【0328】
実施例15
hCDR1およびhCDR3の阻害能力の特異性
hCDRに基づいたペプチドの阻害作用は、SLEに関連した反応に特異的であることを証明することが重要である。このために、ペプチドhCDR1またはhCDR3を分裂促進因子の植物性血球凝集素(PHA、2μg/ml)で刺激したSLE患者のPBLの培養液に添加した。1人のSLE患者のPBLで行ったこのような実験の結果を図9に示してある。ペプチドhCDR1およびhCDR3は、分裂促進因子PHAに対するPBLの増殖反応(cpmで現してある)を阻害することができず、増殖反応は、hCDR1またはhCDR3のいずれかの非存在下(黒いカラム)または存在下においても同様に高かった。
【0329】
別の実験では、SLE患者のPBLの培養液をヒト16/6 Id mAbで刺激してヒト・ペプチドhCDR1またはhCDR3と共に、または対照としてペプチドIIIaと共にインキュベートした。1人のSLE患者のPBLによって行ったこのような実験の結果を図10に示してある。図10に示すように、ヒト自己抗体を主成分としたペプチドhCDR1およびhCDR3は、ヒト16/6 Id mAbに対するPBLの増殖反応を効率的に阻害したが、マウスの抗体のCDR3に基づくペプチドmCDR3(すなわちペプチドIIIa)は、増殖を阻害しなかった。
【0330】
2つのさらなる対照ペプチド、すなわち逆向きで合成したペプチドのIaおよびIIIaプチドをこれらの実験に使用し、結果を図11に示してある。2つの逆向きのペプチドは、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖反応を有意に阻害することができなかったが、hCDR1およびhCDR3は、効率的に増殖を阻害することが分かり、ヒトhCDRに基づいたペプチドによる増殖の阻害がペプチドに対して、およびSLEに関連したT細胞応答に対して特異的であることを証明している。
【0331】
実施例16
ペプチドhCDR1およびhCDR3Itの存在下におけるSLE患者のPBLによるIL-2の分泌のダウンレギュレーション
hCDRペプチドが、ヒト16/6 Id mAbによる刺激に続くSLE患者のPBLによるIL-2分泌を阻害することができるかどうかを見いだすことは興味が持たれた。また、このような阻害は、ヒトCDRに基づいたペプチドがIL-2分泌をダウンレギュレートすることによって部分的に少なくとも16/6 Id mAbに対する増殖反応を阻害することを示唆するかもしれない。この目的のために、SLE患者のPBLをペプチドhCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下でヒト16/6 Id mAbと共にインキュベートした。培養上清を48時間のインキュベーション後に収集した。上清中のIL-2のレベルを決定するためのアッセイ法は、CTLLIL-2依存的な株を使用して行った。簡単には、CTLL株化細胞(2×104/ウェル)を種々の上清の存在下において24時間インキュベートし、さらに18時間インキュベーション期間のための3H-チミジンを添加した。次いで、細胞を集め、放射活性をβカウンターを使用して計数した。結果は、標準として使用した組換えヒトIL-2に基づいて算出した。ヒト16/6 Idによって刺激した23人の応答者のPBLのIL-2分泌をペプチドが阻害する能力を試験した。結果は、表18に要約してあり、hCDR1およびhCDR3は、それぞれ21/23および19/23の患者のPBLによるIL-2の分泌を阻害した。PBLの増殖反応の阻害は、CDRに基づいたペプチドによるIL-2阻害と直接相関した。従って、IL-2分泌の阻害は、増殖の阻害を判定した全例において観察された。
【0332】
図12に示した1人のSLE患者のPBLで得られた結果(IL-2の分泌は、pg/mlで現してある)は、hCDR1およびhCDR3の両者が、ヒト16/6 Id mAbによってトリガーされるSLE患者のPBLによるIL-2分泌を100%阻害したことを示す。
【0333】
表18。hCDR1およびhCDR3によるIL-2分泌の阻害
【表18】
【0334】
実施例17
CDRに基づいたペプチドによる免疫抑制性サイトカインTGF-β分泌のアップレギュレーション
ヒトCDRに基づいたペプチドがヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体に対する増殖反応を阻害する機構についての光を注ぐための試みとして、細胞培養上清中の免疫抑制性サイトカインTGF-βのレベルを決定した。これらの実験の陰にある正当性は、ヒト抗DNA 16/6 Id mAbで誘導されたか、またはマウスCDRに基づいたペプチドでの処置後の自然発生的な{(NZB x NZW) F1 マウス}SLEとのマウス脾細胞の培養における高レベルのTGF-βの本発明者らの以前の知見に基づいている (Eilat, E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 98, 1148 (2001) )。TGF-βレベルの上昇は、処置マウスの疾患徴候の改善と相関した。
【0335】
このために、ペプチドhCDR1もしくはhCDR3の非存在下または存在下でヒト16/6 Id mAbと48時間インキュベーションした後に上清を種々のSLE患者のPBLの培養液から取り出した。TGF-βの存在は、製造業者の説明書に従ってELISAによって決定した。簡単には、Maxisorbプレート(Nunc)をPBS(100ng/ml)に希釈した組換えヒトTGFβsRII/Fcキメラ(R & D Systems)でを被覆した。ブロッキング後に、細胞上清を添加した。18時間のインキュベーション後に、検出用ビオチン化抗ヒトTGF-β抗体(R & D Systems)を添加した。使用した基質溶液は、TMB Colour Reagent(Helix Diagnostics)であり、酵素活性は、MRX ELISAリーターによって570nmおよび630nmフィルターを使用して評価した。結果を表19に要約してある。
【0336】
図13の結果は、ペプチドhCDR1およびhCDR3が、病原性ヒト16/6 Id mAbで刺激された1人の代表的なSLE患者のPBLによるTGF-βの分泌(pg/mlで現した)の有意なアップレギュレーションをトリガーしたことを証明する。
【0337】
表19
hCDR1およびhCDR3ペプチドでの、SLE患者のPBLの16/6 Id誘導刺激のTGF-β分泌のアップレギュレーション。
【表19】
【0338】
実施例18
MMP-9の活性は(しかし、MMP-2ではなく)、SLE患者の血清において上昇する
本実施例では、本発明者らは、40人のSLE患者の血清中のMMP-9およびMMP-2レベルを決定し、本発明者らは、MMP-9(しかし、MMP-2ではない)活性は、健常対照者と比較してSLE患者の血清において有意に上昇していることを証明する。高いMMP-9活性は、円板状の発疹の存在、レーノー現象、間質性肺炎、粘膜の潰瘍、および抗リン脂質抗体(APLA)の存在と相関した。加えて、MMP-9レベルの上昇は、男性患者群のSLE活性と相関した。 材料および方法
患者。SLEの32人の女性および8人の男性の40人の患者がこの研究に参加した。全ての患者は、米国リウマチ学会(ACR)のSLEに関する改正診断基準のうちの少なくとも4つを満たした(Tan E. M. et al. , Arthritis Rheum 25: 1271-77 (1982) )。25人の性および年齢がマッチした健常ボランティアは、本発明者らの研究の対照群として仕えた。診断時の患者の平均年齢は、29±9.7(範囲15〜48)歳であり、平均追跡調査期間は11±10(範囲1〜32)年であった。疾患活性は、SLEDAI狼蒼活性度指数(Bombardier et al. , 1992)およびBILAG指数(Hay E. M. etal. , Q. J. Med. 86: 447-58 (1993))に従って決定した。研究は、カプラ医療センター(Kaplan Medical Center, Rehovot, Israel.)の倫理委員会によって承認された。
【0339】
活性アッセイ法キットによるMMP-2およびMMP-9の測定。MMP-2およびMMP-9の活性は、特異的なBiotrak MMP-2またはMMP-9活性アッセイキットによって、製造業者の説明書に従って測定した(Amersham Pharmacia Biotech UK Limited, UK)。MMP-2およびMMP-9活性の決定のために、血清をそれぞれ1:100および1:32に希釈した。適切な標準をそれぞれのアッセイ法に加えた。MMPsの総含量を測定するために、MMPsのプロ形態の活性化をp-アミノ酢酸フェニル水銀アセテート(APMA)を使用して行った。
【0340】
MMP-2およびMMP-9活性のゲル酵素電気泳動法による測定。MMP-2およびMMP-9活性は、ゼラチン酵素電気泳動法によって試験した。5μlの血清試料を1mg/mlのゼラチンと重合した8%のSDS-PAGEゲルによって分離した。ゲルを2.5%のトリトンX-100中で30分間一度洗浄してSDSを除去し、50mMのトリス-HCl、200mMのNaCl、10mMのNaCl2、および0.02%(w/v)のBrij 35(pH7.5)を含む反応緩衝液中の30分間一度洗浄した。反応緩衝液を新しいものに交換、ゲルを37℃で24時間インキュベートした。0.5%のクーマシーブリリアントブルーで染色することによってゲラチン融解活性をゲルを視覚化し、濃度測定によって定量化した。
【0341】
統計解析。データは、カイ二乗またはフィッシャー正確試験(Fisher exact tests)、不対t検定、および両側P値を使用して評価した。ピアソン、スピアマン、および多変量解析も使用した。
【0342】
実施例18(i)
MMP-9の活性は、SLEで上昇するが、MMP-2では上昇しない
上記およびPCT国際公開番号WO02/067848に記載されているように、MMP-9は、いくつかの自己免疫疾患に、並びにSLEの動物モデルに関与していることが示された。従って、本発明者らは、MMP-9がまた、SLE患者の血清中で上昇するかどうかを研究することに興味を持たれた。このために、本発明者らは、40人のSLE患者の血清、および25人の健常対照者の血清を、MMP-9およびMMP-2活性を視覚化することができるゲル酵素電気泳動法によって検査した。代表的なゲルを図14に示してある。この図で分かるように、MMP-9レベルは、健常対照者と比較したときに、SLE患者の血清で上昇する。40人のSLE患者および25人の健常対照者の血清の酵素電気泳動像での濃度測定の解析では平均MMP-9活性は、、SLE患者について109±5.6濃度測定ユニットであり、健常対照者について76.5±4.2濃度測定ユニット(P=0.0001)であった。85濃度測定ユニット以上の活性値を高いとみなした(健常対照者+2s.e.の平均)。結果は、SLE患者の68%において高活性レベルのMMP-9を示した。3%の健常対照者のみが、高いMMP-9活性を示した(P=0.001)。同じ血清試料中のMMP-2レベルの濃度測定の解析により、SLE患者と健常対照者の血清間のMMP-2活性の違いが有意であることが明らかとなった。したがって、健常対照者およびSLE患者について、それぞれ109±7および123±5.を決定した(平均活性の濃度測定ユニット±s.e.)(P=0.0531)。さらに血清中のMMP-9およびMMP-2の活性レベルを定量化するために、本発明者らは、活性アッセイキットを使用した。
【0343】
図15は、MMP-9の活性が健常対照者の血清と比較してSLE患者の血清において三倍に上昇すること、およびこの上昇は、統計学的に有意であること(P=0.0302)を示す。対照的に、2つの群間のMMP-2のレベルの相違は有意ではない(P=0.1254)。
【0344】
本発明者ら、並びにその他(Ebihara I. et al., AmJ Kidney Dis 32: 544-50 (1998) ; Ebihara I. et al. , Nephron 83: 169 (1999))は、おそらく酵素の保持によるために、非SLE慢性腎不全(たとえば、糖尿病、高血圧症)の患者の血清中に高MMP-9レベルを検出し、本発明者らは、MMP-9のレベルと試験したSLE患者群の腎機能との間の相互関係を解析した。クレアチニン濃度とMMP-9レベルの間に相互関係は観察されず(r2=0.01)、SLE患者での高レベルのMMP-9は、じん臓機能障害による酵素の保持の結果ではなかったことを示している。
【0345】
実施例18(ii)
臨床的および検査上のパラメーターとMMP-9活性の相関
SLE患者の血清中のMMP-9の活性レベルの上昇は、臨床的および検査上のパラメーターと血清MMP-9レベルとの間に相互関係がある可能性があるように本発明者らには見えた。それぞれの臨床症状(表20)について高いおよび正常なMMP-9レベルを有する患者数を調査することによって、並びに一定の臨床症状の有し、または有さない患者について実際のMMP-9の平均活性レベルを考慮することによって、統計解析(カイ二乗またはフィッシャー正確試験)を行った。結果は、両解析で同じであった。全ての臨床症状について、MMP-9レベルが上昇した患者のパーセントが、健常対照者の群におけるよりも高いことは、注目に値する。MMP-9のレベルは、性、疾患の期間、またはその発症年齢と相関しなかった(ピアソン、スピアマン)。
【0346】
表20は、SLE患者の、これらのMMP-9活性レベル(より低い、または健常対照者=正常と同等)に従った臨床的および検査上の特徴を示す。 高レベルのMMP-9は、レイノー現象(P=0.0138)およびAPLA(P=0.041)の存在と有意に相関した。間質性肺炎、円板状の発疹、神経疾患、および粘膜の潰瘍で強い相互関係を観察することができた。しかし、後の徴候を有する患者の数は、統計解析を行うには少なすぎた。多変量解析により、レイノー現象および低い補体(C3、C4)レベルが高いMMP-9レベルと明らかに相関されることが明らかになった(それぞれ、P=0.0001および0.0137)。対照的に、感光性、関節炎、および血液疾患は、MMP-9活性レベルとネガティブに相関する(それぞれ、P=0.0381、0.0014、および0.0065)。
【0347】
表20
高いおよび正常なMMP-9活性を有するSLE患者の、彼らのMMP-9レベルに従った臨床的特徴付け
【表20】
【0348】
臨床的関与は、ACRの改訂基準に従って定義した(Winchester、1996)。抗核抗体(ANA)および抗dsDNA抗体は、それぞれHep2細胞およびクリチヂア・ルシリエ(Crithidia lucilie)を使用して決定した。抗リン脂質の抗体(APLA)は、以下のアッセイ法の1つまたは複数との反応性として定義した:偽陽性VDR、狼蒼抗凝固薬(LAC)、または抗カルジオリピン抗体に対するELISA。
【0349】
また、本発明者らは、男性(図16A)および女性患者(図16B)のSLEDAIとMMP-9活性の間の相互関係の可能性を調べた。面白いことに、相関係数は、男性に有意であり、ポジティブであったが(r2=0.6333)、女性に対しては、有意ではなく、ネガティブであった(r2=0.0571)。BILAGスコアリング系を使用しても、同様の結果が得られた。従って、MMP-9活性とBILAGスコアとの間のポジティブな相関係数は、男性について観察されたが(r2=0.
6442)、女性については有意でなかった。
【0350】
また、患者による種々の治療様式の使用とMMP-9活性の間に相互関係が存在するかどうかを決定することも興味がもたれた。表21(A)で分かるように、患者の現在の治療とMMP-9活性との間に有意な相互関係はなかった。しかし、本発明者らは、彼らの疾病経過の間いつでも患者の治療に注目すると(表21(B))、高いMMP-9レベルは、細胞障害性薬(82%)の使用と関連があった。
【0351】
表21
SLE患者の彼らのMMP-9レベルに従った治療様式
【表21】
【0352】
実施例18(iii)
種々の時点で個々のSLE患者から採取した血清試料中のMMP-9活性の変動
疾患活性は時間とともに変化するので、本発明者らは、4〜6年の追跡調査の間に試料を採取した個々患者の血清中のMMP-9およびMMP-2の活性レベルを測定した。種々の時点で採取した9人の患者の血清を解析した。MMP-2のレベルは、患者と健常対照者との間で有意な変化はなかった。試験した9人の患者農地の5人において、時間と共に個々の患者の血清試料中のMMP-9活性の変化を観察することができる。2人の代表的なSLE患者の結果を図17A-Bに示してある。分かるとおり、MMP-9活性は(しかし、MMP-2活性ではない)、同じ患者において時間とともに変化していた。これらの変化は、SLEDAIまたはBILAG系によって定まる疾患活性指標との関連はなかった。MMP-9活性の変化は、種々の時点(データ示ず)でサンプルを採取した5人の健常対照者の血清においては検出されなかった。その他の4人のSLE患者では、MMP-9またはMMP-2活性の実質的変化は観察されず、およびMMP-9活性レベルは、個々患者に応じて高または低いままであった。
【0353】
考察
本研究は、初めてヒトSLEにおけるMMP-9の関与を証明する。本発明者らは、それを示すMMP-9の活性(しかし、MMP-2ではない)が、健常対照者と比較して、68%のSLE患者の血清において有意に上昇する。高いMMP-9レベルは、レイノー現象、間質性肺炎、神経疾患、円板状の頻出、およびAPLAの存在と相関される。MMP-9活性の変化は、疾患の異なる段階で、同じ患者の血清で観察された。MMP-9活性レベルは、女性患者では疾患活性度指数(SLEDAI、BILAG)と相関しなかったが、男性患者の群ではSLE活性と相関した。
【0354】
本研究は、MMP-2の活性レベルがSLE患者の血清中で有意に上昇しないことを示す。これらの結果は、MMP-2レベルは、SLEにおいて増大されなかったという以前の報告と適合する(Zucker, S. J Rheumatol. 26, 78 (1999))。また、MMP-2のレベルは、MMP-9のレベルがに健常対照者と比較した上昇したその他の病状(視神経炎および多発性硬化症など)において恒常的かつ不変であった(Gijbels K et al., J. Neuroimmunol. 41: 29-34 (1992) .; Paemen, L. et al. , Eur. J.Neurol. 1: 55-63 (1994))。
【0355】
MMP-3は、SLE患者の血清においてかなり増大されたので、さらなるMMP、すなわちMMP-3の関与がSLEの発症において示唆された。(Kotajima, L. et al., Clin. Exp. Rheum. 16: 409-415 (1998))。本実施例で示した高いMMP-9活性のSLE患者の頻度(68%)は、SLE(76%)における、およびRA(82%)患者における高いMMP-3について報告された頻度と似ている(Kotajima et al. , 1998)。さらに、MMP-3転写物は、(NZB x NZW)F1マウスの腎炎の進行と共に増大することが示された(Nakamura、T.etal.、Clin.科学85:295-301(1993))。
【0356】
SLE患者の血清中の高いMMPsの起源は、既知でない。MMP-9は、T細胞、好中球、およびマクロファージなどの末しょう血液細胞によって分泌されることが示された(総説についてはGoetzl, E. J. et al. , J. Immunol. 156: 1-4 (1996) を参照されたい)。患者のMMP-9活性レベルと末しょう血液細胞の数との間に相互関係が見いだされたでなかったという事実は、MMP-9が末梢血免疫細胞によって分泌されるのではなく、むしろ腎臓または肺/胸膜などのSLEによる影響を受ける器官によって分泌されることを示唆するであろう。間質性肺炎を伴った全てのSLE患者が高いMMP-9レベルを示したという観察は、高いMMP-9活性の供与源としての病気にかかった肺を示唆するであろう。そのうえ、SLEに関連した器官障害の重篤さを表す細胞障害性の治療と血清中の高レベルのMMP-9との間の関連も、病気の器官がSLE患者におけるMMP-9活性の供与源であるという概念を支持する。それにもかかわらず、より少ない末梢血リンパ球が、より高いMMP-9の活性レベルを分泌したという可能性もなおも存在する。
【0357】
TNF-αおよびIL-1は、両方ともヒト疾患におけるSLEの病原において重要な役割をはたすことが示された(Dean G. S. et al., Ann Rheum Dis 59: 243-51 (2000))、およびマウスのモデルにおいて、(Segal R. et al., J Immunol 158: 3009-16 (1997) ; Theofilopoulos A. N. et al., Ann Rheum Dis 58 (suppl) : 149-55 (1999) ; Eilat et al., 2001)。これらのサイトカインがMMP-9生産を誘導することが、いくつかの系において示されており(Guedez, L. et al., Crit. Rev. Oncogenesis 7: 205-225 (1996))、したがって、後者のMMPの誘導は、SLEにおけるこれらのサイトカインの病原性の効果の一部であるのかもしれない。健康な個体の末梢血単球によって自発的に分泌されるMMP-9のレベルは、TNF-αおよびIL-1に対する暴露によってアップレギュレートされることが報告された(Saren P. et al., J Immunol 157: 4159-65 (1996))。加えて、T細胞およびマクロファージのMMPは、膜結合型の形態の切断によって分泌型のTNF-αを促進する(Gearing A. J. H. et al., Nature 370: 555-7 (1994))。従って、これらの実施例は、炎症誘発性のサイトカインに対するMMPの相互の調整効果およびその逆を証明する。それにもかかわらず、数人の患者の血清では、MMP-9の活性レベルが追跡期間の間にも正常範囲のままであったが、高い活性レベルのMMP-9が大部分の患者の血清で測定されたという事実は、後者の調節に遺伝的要因が関与することを示唆しているであろう。
【0358】
本明細書の結果は、MMP-9がSLEの発生において役割を果たすかもしれないこと、およびMMP-9活性を妨げる薬物によって治療された患者をモニターするときに、このメタロプロテイナーゼの血漿/血清の活性レベルの測定が重要な情報を提供するであろうことを示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年1月14日に出願された米国仮出願番号第60/439,918号の利益を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
この出願の全体を通じて、種々の刊行物が、完全な引用によって参照される。これらの刊行物の開示は、本発明が本明細書に記載し、および主張した日付と同様に、当該技術分野の当業者に既知の技術水準をより完全に記載するために、本出願によりその全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
全身性エリテマトーデス(SLE)または狼蒼は、dsDNAに対する抗体、核抗原に対する抗体、およびリボ核タンパクに対する抗体を含む多くの自己抗体の存在によって特徴づけられる衰弱していく自己免疫疾患である。SLEは、約2000人に1人が発症する(米国では、700人の女性に1人)。本疾患は、主に若い女性を冒し、女性-対-男性の比は、約9:1である。
【0004】
全身性の狼瘡は、体のほとんどすべての器官または系を冒し得る。全身性の狼瘡は、あるとしても、ほんのわずかの症状が明らかである(「緩解」)期間と、疾患がより活性に(「フレア」)なるときの別の時期を含むであろう。多くの場合、人々が、「狼蒼」のことを言う場合、彼らは全身性の疾患形態をいっている。
【0005】
副腎皮質ステロイドは、全身性の自己免疫不全を治療する際の主力である。生命を脅かす、重篤なSLEの身体障害は、高用量の糖質コルチコイド(1〜2mg/kg/日)によって治療される。慢性の糖質コルチコイドによる望ましくない効果は、クッシング様の体質、中心性肥満、高血圧、感染症、毛細血管脆弱症、多毛症、悪性骨粗鬆症、白内障、糖尿病、筋障害、および精神病などの多くの顕著な副作用を含む。副腎皮質ステロイドの毒性に加えて、投与計画に対する患者のコンプライアンスも、重大な問題を提起する。
【0006】
また、活発な疾患を制御するため、疾患のフレアの割合を減少させるため、およびステロイドの必要性を減少させるために、細胞障害性の薬剤が使用されている。後者の望ましくない副作用には、骨髄低下、日和見性の生物による感染症の増大、不可逆的卵巣不全、脱毛症、および悪性腫瘍のリスクの増大を含む。
【0007】
SLEは、現在までに決定的な治療または治癒がない炎症性疾患である。本疾患は、急性および慢性の合併症を生じる。利用できる唯一の治療は、緩和剤であり、急性の症状を軽減し、慢性の合併症を予防することを目的とし、重大な副作用を有することが多い。従って、この分野の要求はいまだ対処されておらず、医師および患者はいずれも、望まれない疾患の症状を強力に排除または減少させることができる新たな治療を喜んで受け入れるであろう。
【0008】
SLEの誘導の基礎をなす機構についての広範な研究にもかかわらず、疾患の病因についての情報は、非常に限られている。SLEの研究は、最近まで、異なる臨床段階の、および種々の治療プロトコル下の患者の末梢血リンパ球(PBL)を使用して行われていた。あるいは、自然にSLE様の疾患を発症するマウスの株をSLEのモデルとして調査していた。この種の解析では、主に、一つには患者の不均一性により、および他方ではマウスのSLE株において疾患の誘導期を制御することができないことにより、本疾患を誘導し、またはこうむる際の種々の免疫学的および非免疫学的な因子の役割の不完全かつ混同した解釈が生じた。
【0009】
数年前に、SLEの動物モデルが確立された。このモデルは、イディオタイプネットワークの概念に基づいており、広範囲な狼蒼に関連した自己抗体および臨床症状を発症する(Mendlovic, S. etal.' Proc. Natl. Acad Sci. USA 85: 2260 (1988))。誘導は、自然に自己免疫不全を何ら発症しないマウス株を、16/6 Idと呼ばれる一般的なイディオタイプを有するヒト抗DNAモノクローナル抗体(mAb)で免疫することによって行われた(Shoenfeld, Y. et al., J. Exp.Med. 158: 718 (1983))。
【0010】
ヒトmAB16/6は、元来はIgMアイソタイプの抗DNA抗体であり、培養の際にIgG1にスイッチされる。該mABは、患者から誘導されたものであり、一般的なイディオタイプ16/6 Idを発現する(Shoenfeld et al. , 1983; Mendlovic et al. , 1988)。このmABを分泌するハイブリドーマ細胞を培養においてルーチンで増殖させて、セファロース(商標)に結合されたプロテインGのアフィニティーカラムを使用して、抗体を培養液上清から単離する。ヒト16/6抗DNA mAB(IgG1/K)は、Shoenfeld, Y. et al., J. Clin. Invest. 70 : 205-208 (1982) and in Waisman, A. et al., Int. Immunol. 7: 689-696 (1995)に記載があった。
【0011】
免疫化に続いて、マウスは、16/6 Idに特異的な抗体、16/6 Idを有する抗体、および異なる核抗原(dsDNA、ssDNA、Sm、リボ核タンパク(RNP)、Ro、Laその他)に対する抗体を産生した。血清学的な知見では、白血球減少症、高い赤血球沈降速度、タンパク尿、腎臓における免疫複合体の多量の存在、および糸球体硬化症と関係しており(Mendlovic et al. , 1988)、これらは、SLEの典型的な症状である。マウスの抗16/6 Id mAbによって(Mendlovic, S. et al. , Eur. J. Immunol. 19 : 729, (1989))およびマウス抗16/6 Id(16/6 Id+)mAbによって(Waisman, A. etal., Internatl. Immunol. 5: 1293 (1993) ; Waisman, A. and Mozes, E. Eur.J. Immunol. 23: 1566, (1993))実験的に疾患を誘導することができることがさらに示された。疾患の誘導は、遺伝的に制御され、したがって株依存的である(Mendlovic, S. et al., Immunology 69 : 228 (1990) )。実験的にSLEを誘導するためのこの独特のモデルは、SLEの誘導および発症に関与する種々の工程およびリンクする免疫パラメーターを明白に精査するために適した手段を提供する。
【0012】
SLEは、DNA、Sm、Ro、La、RNP、カルジオリピン、およびヒストンなどの自己抗原に対する自己抗体の形成によって特徴づけられる全身性の自己免疫疾患である。SLEの病因は、知られておらず、これらの自己抗体が生じる機構を理解することにより、洞察がもたらされる。16/6 Idを有するか、またはこれと反応する抗体を誘発することができたモノクローナル自己抗体は、病原性であり、したがって実験的にSLEを誘導することができることが見いだされた(Fricke, H. etal., Internatl. Immunol. 2: 225 (1990) ; Sthoeger, Z. M. et al., J. Clin. Immunol. 13: 127 (1993))。実験的なSLEを有するC3H.SWマウスから単離した、DNAまたはHeLa核抽出物(NE)のいずれかに結合する9の自己抗体の可変(V)領域がシーケンスされた(Waisman and Mozes, 1993)。異なる自己抗体間の関係を決定するために、異なる特異性を有するモノクローナル抗体を解析した。3つのmAbが、DNAに結合することが見いだされ、病原性の抗DNA抗体の配列の特徴を示すことが示された。2C4C2と名付けられたこれらのmAbのうちの1つは、その他の狼蒼を起こしやすいマウス、すなわち、(NZBxNZW)F1から単離された抗DNA mAbのVHと同じ重(H)鎖可変部遺伝子(VH)を使用することが示された。mAb 2C4C2の軽(L)鎖可変部遺伝子(VL)も、(NZBxNZW)F1マウスから単離された別の抗DNA mAbのVLに対して98%の相同性がある。5G12-4および5G12-6と名付けられたその他の2つの抗DNA mAbは、mAb 2C4C2のものとこれらのVH配列を93%共有する。6つのmAbがHeLa NEのタンパク質に結合した。9つのmAbは、合計5つのVHおよび4つのVL生殖系列遺伝子を使用しており、実験的SLEを有するマウスにおいて誘導される自己抗体が、1つのB細胞クローンに由来するのではないことを示している。9つのVHおよびVLのうちの3つは、生殖系列遺伝子と配列が同一であったが、その他の少なくとも3つは、体細胞突然変異を有した。後者は、これらの自己抗体が既存の(免疫前の)B細胞の利用により、および抗原によって駆動されるプロセスにより、両方によってマウスに生じることを示唆する。さらに、実験的なSLEを有するマウスに見いだされる自己抗体は、自然に狼蒼を発症するマウス株から単離されたmAbによって使用されるものと同様の遺伝因子を使用する。
【0013】
T細胞は、実験的なSLEの誘導および発症において重要な役割を演ずる。従って、16/6 Idに特異的なT細胞株およびクローンは、16/6抗体と同様の同系のレシピエントに実験的なSLEを誘導することが示された。従って、該系統の活性化された細胞の接種後に、マウスは、SLEに典型的な血清学および腎障害を発症した(Fricke, H. et al., Immunology 73: 421 (1991))。さらに、C3H.SW由来の16/6 Id特異的なT細胞株は、16/6 Idまたは抗16/6 Id mAbのいずれかを注射した後の疾患の誘導に対する抵抗性が示されていたC57BL/6マウスにSLEを誘導した(Mendlovic et al. , 1990)。
【0014】
16/6 Idの病原性領域を同定する試みでは、(Fab')2断片を16/6 Id mAbで調製し、完全な16/6 Id分子の特異性および病原性の能力を保持することが見いだされた(Ruiz, P. J. etal., Immun. Let. 41:79(1994))。
【0015】
実験的なSLEを有するマウスから単離され、かつDNAに結合し、および16/6 Idを有することが示されているmAb 5G12は、マウスに実験的なSLEを誘導することができる(Waisman, A. et al., Internatl. Immunol. 5: 1293(1993))。増殖によってmAbに対して特異的に反応するT細胞は、おそらくこれらの相補性決定領域(CDR)に由来する配列を示すペプチドに反応する。T細胞は、同じ定常領域を有するが、異なる特異性を有するその他の抗体と反応しないので、これらが上記抗体のV領域を認識する可能性は非常に高い。可変領域のうち、認識される可能性が最も高いのはCDRであり、これらが種々の抗体間で最も異なる領域であるためである。マウスにおいてSLEを誘導することを上述した、9つの病原性のマウスmAbのVH配列のCDR領域は、9つのmAbのVHについての完全なヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列が示されている(Waisman and Mozes, 1993の図1で四角で囲ってある)。
【0016】
実験的なSLEモデルの−Balb/cマウスかつSLEを起こしやすいマウス−すなわち(NZBxNZW)F1マウスでは、mCDRに基づいたペプチドまたは化合物1のいずれかでの処置により、有意にSLEに関連した知見、特に腎臓における免疫錯体沈澱物(ICD)、タンパク尿、および白血球減少症が減少した。該処置は、16/6 Id特異的な抗体反応に対しては効果を有さなかった(Waisman, A. , et al. " Modulation of murine systemic lupus erythematosus with peptides based on complementarity determining regions of pathogenic anti-DNA monoclonalantibodies. " Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. (1997) , 94 (4) : 620; Eilat, E. , et al., " Prevention of systemic lupus erythematosus-like disease in (NZBxNZW) F1 mice by treating with CDR1-and CDR3-based peptides of pathogenicautoantibody " J. Clin. Immunol. (2000) , 20: 268; Eilat, E. , et al. , " The mechanism by which a peptide based on complementarity determining region-1 of pathogenic anti-DNA antibody ameliorates experimental SLE " (2001) , Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 98: 1148)。
【0017】
図1に示したヒトCDR1、化合物1は、16/6 Idを意味するヒト抗dsDNA mAbの相補性決定領域1(CDR1)に基づいた19アミノ酸の合成ペプチドである(Waisman, A. , et al. " Modulation of murine systemic lupus erythematosus with peptides based on complementarity determining regions of pathogenic anti-DNA monoclonalantibodies. " Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. (1997) , 94 (4) : 4620- 4625)。
【0018】
これらのペプチドは、多くのペプチドと同様に、あまり可溶性がない。従って、ペプチドの溶解度を改善する製剤が、本明細書において提供される。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、以下を含む薬学的組成物であって:
水性キャリアと;
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたβ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含み、
前記ペプチドおよび前記溶解度エンハンサーは、両方とも水性キャリアに溶解され;かつ、
前記組成物は、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は、ヒト被験者の全身性エリテマトーデス(SLE)の症状を軽減する方法であって、ヒト被験者に対して、本発明の薬学的組成物を、ヒト被験者のSLEの症状を軽減するために有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】酢酸塩としてのヒトCDR1(化合物1)−hCDR1の分子式および構造式、アミノ酸配列、および物理パラメーターを示す。
【図2】化合物1およびカプチソール(登録商標)溶液で処置したマウスから採取し、細胞をその後に化合物1のPBS溶液で活性化した後の細胞からのIL-2分泌。 -黒四角-化合物1(RS)50μg/マウス -黒三角-化合物1(RS)200μg/マウス -白四角-DP 50μg/マウス -白三角-DP 200μg/マウス -黒丸-12%のアンプライズした(ampulized)カプチソール。
【図3】化合物1溶液で処置したマウスから採取し、細胞をその後に化合物1のEM-1溶液で活性化した後の細胞からのIFN-γの分泌(2.5×106細胞/ウェル) -黒菱形-プラセボ -黒丸-化合物1 50μg/マウス(処置用量) -白三角-化合物1 100μg/マウス(処置用量) -X-化合物1 200μg/マウス(処置用量)。
【図4】化合物1溶液で処置したマウスから採取し、細胞をその後に化合物1のEM-1溶液で活性化した後の細胞からのIFN-γの分泌(5×106細胞/ウェル) -黒菱形-プラセボ -白四角-化合物1 25μg/マウス -白三角-化合物1 50μg/マウス -X-化合物1 100μg/マウス -*-化合物1 200μg/マウス。
【図5】化合物1のカプチソール(登録商標)溶液での注射の10日後の(NZBxNZW)F1マウスにおける抗dsDNA抗体[OD=光学濃度;化合物1(C)=カプチソール(登録商標)に溶解した化合物1] -白四角-プラセボ -白菱形- 50μg/マウス -白丸- 25μg/マウス。
【図6】免疫複合体沈着の強度を示す(NZBxNZW)F1マウスからの腎臓切片。最上列の切片は、カプチソール(登録商標)処置したマウスからのものであり、中央列の切片は、50μg/マウスの化合物1で処置したマウスからのものであり、最下列の切片は、25μg/マウスの化合物1で処置したマウスからのものである。拡大率:左:×100、右:×400。FITC免疫組織学。
【図7】SLE患者および健常ヒト対照者の血清における、これらの血清がペプチドIa、IIa、およびIIIa、またはmAb5G12もしくは対照ペプチドに結合する能力について試験することによる抗体価。
【図8】SLE患者および健常対照者の末梢血リンパ球の最適な刺激のために必要とされるヒト抗DNA 16/6 Id mAbの濃度。PBLを種々の濃度(0.1〜40μg/ウェル)の16/6 Id mAbで刺激した。最も高い刺激指数を生じる濃度を、増殖反応をトリガーするための最適なものと定義した。
【図9】hCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下において分裂促進因子フィトヘマグルチニン(PHA)で刺激した1人のSLE患者からのPBLの増殖。
【図10】ヒト・ペプチドhCDR1もしくはhCDR3、またはマウス・ペプチドmCDR3の非存在下または存在下においてヒト16/6I mAbで刺激した1人のSLE患者からのPBLの増殖。
【図11】ヒト・ペプチドhCDR1もしくはhCDR3、またはマウスの逆転したペプチドrevmCDR1およびrevmCDR3の非存在下または存在下におけるヒト16/6ImAbで刺激した1人のSLE患者からのPBLの増殖。
【図12】hCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下においてヒト16/6 Id mAbによってトリガーされるSLE患者のPBLのIL-2分泌の阻害。
【図13】hCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下におけるヒト16/6 Id mAbで刺激された1人の代表的なSLE患者のPBLのTGF-β分泌のアップレギュレーション。
【図14】SLE患者および健常対照者の血清中のMMP-2およびMMP-9の活性を示す代表的なゲル。40人の個々のSLE患者および25人の健常対照者の血清(5μl)をこれらのMMP-2またはMMP-9活性についてゲル酵素電気泳動法によって解析した。図は、2つの群の血清試料での代表的結果を示す。
【図15】SLE患者(暗いカラム)および健常対照者(白いカラム)の血清中のMMP-2およびMMP-9活性のグラフ示す定量分析。36人のSLE患者の血清試料および15人の健常対照者の血清試料を、比活性アッセイ法キットを使用してMMP-2またはMMP-9活性を試験した。結果は、平均±s.e.m.で表してある。*P=0.0302。
【図16】SLE患者のMMP-9活性レベルおよび疾患活性指標(SLEDAI)を示すグラフ。8人の男性(図16A)および27人の女性の(図16B)SLE患者からの35人の血清試料を比活性アッセイ法キットによってMMP-9活性を試験した。患者のSLEDAIに従ってMMP-9活性の分布を示す。点線は、健常対照者のMMP-9の活性を表す。
【図17】疾患の4〜6年の間に試料をとった2人のSLE患者の血清中のMMP-2(白丸)およびMMP-9(黒丸)活性のパターンを示すグラフ。比活性アッセイ法キットによってMMP-2またはMMP-9活性について血清を試験した。アッセイ法は、二回行った。
【発明の詳細な説明】
【0022】
本発明は、 以下を含む薬学的組成物であって:
水性キャリアと;
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたβ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含み、
前記ペプチドおよび前記溶解度エンハンサーは、両方とも水性キャリアに溶解され;かつ、
前記組成物は、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物を提供する。
【0023】
一つの態様において、前記組成物の少なくとも0.5mg/mlは、ペプチドの薬学的に許容される塩である。
【0024】
もう一つの態様において、ペプチドは、以下からなる群より選択される配列を有する:
NH2-Thr Gly Tyr Tyr Met Gln Trp Val Lys Gln Ser Pro Glu Lys Ser Leu Glu-Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 1) ;
NH2-Glu Ile Asn Pro Ser Thr Gly Gly Thr Thr Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Ala Lys Ala Thr-COOH(SEQ ID NO : 2) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Phe Leu Trp Glu Pro Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Ser-COOH(SEQ ID NO : 3) ;
NH2-Gly Tyr Asn Met Asn Trp Val Lys Gln Ser His Gly Lys Ser Leu Glu Trp Ile Gly-COOH (SEQ ID NO : 4) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser Gly Arg Tyr Gly Asn Tyr Trp Gly Gln Thr Leu-COOH (SEQ ID NO : 5) ;
NH2-Gly Tyr Tyr Trp Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Glu Glu Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 6) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Gly Met Asp Val-COOH(SEQ ID NO : 7) ;
NH2-Phe Ser Gly Tyr Tyr Trp Ser-COOH(SEQ ID NO : 8) ;
NH2-Glu Ile Asn His Ser Gly Ser Thr Asn Tyr Lys Thr Ser Leu Lys Ser-COOH(SEQ ID NO : 9) ;および、
NH2-Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Tyr Gly Met Asp Val- COOH(SEQ ID NO : 10) 。
【0025】
一つの態様において、ペプチドは、
X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、Gly、またはThr Glyであり;X34はArgまたはLysであり;X35は、Pro、またはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerである配列を有する連続したアミノ酸を含む。
【0026】
上記の薬学的組成物のいずれかのもう一つの態様において、溶解度エンハンサーは、置換されたシクロデキストリンである。
【0027】
一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル、スルホブチルエーテル、またはスルホプロピルエーテル置換されたシクロデキストリンである。
【0028】
もう一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンは、置換されたスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。
【0029】
上記の組成物のいずれかのさらなる態様において、溶液中のペプチドの濃度は、少なくとも1mg/mlである。
【0030】
さらなる態様において、溶液中のペプチドの濃度が、少なくとも2.5mg/mlである。
【0031】
一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、0.5mg/ml〜10mg/mlである。
【0032】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、0.5mg/ml〜2.5mg/mlである。
【0033】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、2.5mg/ml〜5mg/mlである。
【0034】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、5mg/ml〜7mg/mlである。
【0035】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、7mg/ml〜8.5mg/mlである。
【0036】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、8.5mg/ml〜10mg/mlである。
【0037】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、9mg/ml〜10mg/mlである。
【0038】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、10mg/ml〜15mg/mlである。
【0039】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、15mg/ml〜20mg/mlである。
【0040】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、1.0mg/mlである。
【0041】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、2.5mg/mlである。
【0042】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、5mg/mlである。
【0043】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、10mg/mlである。
【0044】
もう一つの態様において、ペプチドの塩の濃度は、15mg/mlである。
【0045】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.1mg/ml〜0.5mg/mlである。
【0046】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.1mg/ml〜0.2mg/mlである。
【0047】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.2mg/ml〜0.3mg/mlである。
【0048】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.3mg/ml〜0.4mg/mlである。
【0049】
もう一つの態様において、塩の濃度は、0.4mg/ml〜0.5mg/mlである。
【0050】
さらなる態様において、組成物は、6.5〜8.5の間のpHを有する。
【0051】
さらなる態様において、組成物は、7.5〜8.5の間のpHを有する。
【0052】
さらなる態様において、組成物は、4〜5の間のpHを有する。
【0053】
さらなる態様において、組成物は、5〜6の間のpHを有する。
【0054】
さらなる態様において、組成物は、6〜7の間のpHを有する。
【0055】
さらなる態様において、組成物は、7〜8の間のpHを有する。
【0056】
さらなる態様において、組成物は、8〜9の間のpHを有する。
【0057】
上記の薬学的組成物のいずれかのもう一つの態様において、薬学的に許容される塩は、酢酸塩である。
【0058】
さらなる態様において薬学的に許容される塩は、酢酸塩であり、かつ置換されたβ-シクロデキストリンは、ヘプタ-(スルホブチルエーテル)-β-シクロデキストリンである。
【0059】
もう一つの態様において、組成物は、4〜9の範囲で薬学的組成物のpHを作製するために適した量の、およびタイプの薬学的に許容される緩衝液をさらに含む。緩衝液は、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、または炭酸ナトリウムであってもよい。
【0060】
また、本発明は、ヒト被験者の全身性エリテマトーデス(SLE)の症状を軽減する方法であって、前記ヒト被験者に対して、上記の薬学的組成物のいずれかを、前記ヒト被験者のSLEの症状を軽減するために有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【0061】
また、本発明は、ヒト被験者のSLEの治療に使用するための、上記の薬学的組成物のいずれかを提供する。
【0062】
また、本発明は、上記の薬学的組成物のいずれかを製造するための方法であって、以下のa)〜d)の工程:
a)ジメチル-アセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリジノン、1-エテニル-2-ピロリドン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、または置換されたβ-シクロデキストリンの水性キャリア溶液を、予め定められた濃度で調製することと;
b)予め定められた量の以下の1)〜4)の薬学的に許容される塩を添加することと、
1)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体のの重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
2)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
3)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
4)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、
c)前記溶液に前記ペプチドが溶解するまで前記工程b)の溶液のpHを調整することと;並びに、
d)必要に応じて、前記工程c)の溶液のpHを4〜9のpHに合わせることと、
を含み、
これにより薬学的組成物を製造する方法を提供する。
【0063】
一つの態様において、ペプチドの予め定められた量は、少なくとも0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0064】
もう一つの態様において、ペプチドの予め定められた量は、少なくとも0.5mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0065】
さらなる態様において、ペプチドの予め定められた量は、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0066】
もう一つの態様において、ペプチドの予め定められた量は、5mg/ml、10mg/ml、または15mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である。
【0067】
本方法の一つの態様において、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度は、70mg/ml〜170mg/mlである。
【0068】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、80mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0069】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、90mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0070】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、100mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0071】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、110mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0072】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、120mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0073】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、130mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0074】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、140mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0075】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、150mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0076】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、160mg/ml〜170mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0077】
本方法の一つの態様において、置換されたβ-シクロデキストリンの予め定められた濃度は、120mg/mlの、薬学的組成物中の置換されたβ-シクロデキストリンの終濃度を生じるような量である。
【0078】
さらなる態様において、工程b)ha、溶液を1時間混合することをさらに含む。
【0079】
さらなる態様において、工程c)において、pHは、1.0 N HClまたはNaOHを使用して調整される。
【0080】
さらなる態様において、本方法は、酢酸セルロースフィルターを通して工程d)の溶液を濾過することをさらに含む。
【0081】
さらなる態様において、
ペプチドの予め定められた量は、2.5mg/ml,2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量であり;
工程b)は、前記溶液を1時間混合することをさらに含み;および、
工程c)において、pHは、1.0 N HClまたはNaOHを使用して調整され、
酢酸セルロースフィルターを通して前記工程d)の溶液を濾過することをさらに含む。
【0082】
また、本発明は、上記の方法のいずれかによって調製される組成物を提供する。
【0083】
また、本発明は、以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、Nメチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたΒ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含む凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0084】
凍結乾燥された薬学的組成物の一つの態様において、少なくとも0.5mg/mlの組成物は、ペプチドの薬学的に許容される塩である。
【0085】
また、本発明は、上記の薬学的組成物のいずれかを凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-40℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定の時間-40℃に温度を保持することと;
h)20℃に前記溶液の温度を上げることと;
i)所定時間20℃に温度を保持することと;および、
j)減圧して、所定時間20℃に温度を保持することと、
を含み、これにより、薬学的組成物を凍結乾燥する方法を提供する。
【0086】
一つの態様において、工程a)は2時間以内で行われる。
【0087】
もう一つの態様において、工程b)は3時間以内で行われる。
【0088】
もう一つの態様において、工程c)は13時間以上行われる。
【0089】
もう一つの態様において、工程c)は110μバールの圧力で行われる。
【0090】
もう一つの態様において、工程d)は13時間以上行われる。
【0091】
もう一つの態様において、。工程d)は、110μバールの圧力で行われる。
【0092】
もう一つの態様において、工程e)において、前記圧力は10μバールに減少される。
【0093】
もう一つの態様において、工程e)は5時間以上行われる。
【0094】
もう一つの態様において、
工程a)は2時間以内で行われ;
工程b)は3時間以内で行われ;
工程c)は13時間以上、110μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上、110μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は5時間以上行われ、圧力は10μバールに減少される。
【0095】
また、本発明は、上記の方法のいずれかによって調製される凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0096】
また、本発明は、薬学的組成物を凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-45℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定時間-45℃に温度を保持することと;
h)-20℃に溶液の温度を上げることと;
i)25℃に溶液の温度を上げること;および、
j)所定時間25℃に温度を保持することと、
を含み、これにより薬学的組成物を凍結乾燥する方法を提供する。
【0097】
一つの態様において、工程a)は6時間以内で行われる。
【0098】
もう一つの態様において、工程b)は3時間以内で行われる。
【0099】
もう一つの態様において、工程c)は19時間以上行われる。
【0100】
もう一つの態様において、工程c)は150μバールの圧力で行われる。
【0101】
もう一つの態様において、工程d)は13時間以上行われる。
【0102】
もう一つの態様において、工程d)は、150μバールの圧力で行われる。
【0103】
もう一つの態様において、工程e)は8時間以上行われる。
【0104】
もう一つの態様において、工程e)は150μバールの圧力で行われる。
【0105】
もう一つの態様において、
工程a)は6時間以内で行われ;
工程b)は3時間以内で行われ;
工程c)は19時間以上、150μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上、150μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は8時間以上、150μバールの圧力で行われる。
【0106】
また、本発明は、上記の方法のいずれかによって調製される凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0107】
また、本発明は、組成物の水含有量が5%未満である、上記の凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0108】
一つの態様において、組成物の水含有量は4.0%未満である。
【0109】
もう一つの態様において、組成物の水含有量は3.5%未満である。
【0110】
また、本発明は、以下から構成されるパックされた薬学的組成物:
パッケージ材;および、
予め定められた量の上記の凍結乾燥された薬学的組成物を提供する。
【0111】
もう一つの態様において、ペプチドは、式
NH2-GIy Tyr Tyr Trp Ser Trp Arg Gln Pro ho Gly Lys Gly Glu Glu Trp Ile Gly-COOHを有する(SEQ ID NO:6)。
【0112】
本発明の合成ペプチドは、実験的SLEを有するマウスから単離されたモノクローナル病原性自己抗体のCDRに基づいている。このようなモノクローナル抗体は、たとえば、X63.653形質細胞腫細胞と抗16/6 Id mAbで免疫したC3H.SWマウスの脾細胞の融合によって産生されるハイブリドーマの上清から得られる(WaismanおよびMozes、1993)。
【0113】
このようなペプチドの例は、本明細書の式Ia〜Vaのものであり、それぞれ、mAb 5G12の重鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3領域、並びにmAb 2C4C2の重鎖のCDR1およびのCDR3領域、並びにこれらの類似体に基づいている(WaismanおよびMozes、1993)。
【0114】
本発明のペプチドは、本明細書に記載されている置換、欠失、および付加の類似体を含むペプチドIa-Vaの類似体を含むことが企図される。置換類似体は、種々の位置にアミノ酸置換を有し、これらの置換は、アミノ酸の体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷に基づいて作製される。
【0115】
アミノ酸は、一連の体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷に沿って分けてもよい。体積に関しては、当業者であれば、最も大きな体積を有するアミノ酸は、Trp、Tyr、Phe、Arg、Lys、Ile、Leu、Met、およびHisであるが、最も小さな体積を有するものは、Gly、Ala、Ser、Asp、Thr、およびProであり、その他は中間であることを理解した。疎水性-親水性パターンに関しては、アミノ酸Gly、Ala、Phe、Val、Leu、Ile、Pro、Met、およびTrpは、疎水性であるが、残りのアミノ酸の全ては、親水性であることが周知である。親水性アミノ酸の中で、Ser、Thr、Gln、およびTyrは、電荷を有さないが、Arg、Lys、His、およびAsnは、正電荷を有し、AspおよびGluは、負電荷を有する。
【0116】
SLEを誘導する自己抗体に対して高い応答者であるマウスのTリンパ球の増殖反応を阻害する際のこれらの能力についての試験をするペプチドを選択する際に、非置換の親ペプチドの対応する部分の体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷を累積的に実質的に変化させないものから置換を選択することが重要である。従って、疎水性の残基は、全体の効果が対応する非置換の親ペプチドの体積、疎水性-親水性のパターン、および電荷を実質的に変化させない限り、親水性の残基で置換されてもよく、またはその逆でもよい。
【0117】
また、その他のペプチドの修飾が本発明によって想定されることが理解されるべきである。従って、本発明のペプチドには、T細胞増殖反応および自己免疫疾患を予防または阻害する際のその有用性となるペプチドの機能の少なくとも一部を保持した「化学的誘導体」を含むことが企図される。
【0118】
本発明のペプチドの「化学的誘導体」は、通常はペプチドの一部ではないさらなる化学的部分を含む。ペプチドの共有結合による修飾は、本発明の範囲内に含まれる。このような修飾は、ペプチドのターゲットされるアミノ酸残基を、選択された側鎖または末端残基と反応することができる有機誘導化剤と反応させることによって分子に導入させてもよい。このような化学的誘導体およびこれらを作製するための方法は、当該技術分野において周知である。
【0119】
また、本発明のペプチドの塩も本発明の範囲内に含まれる。本明細書において使用されるものとして、「塩」の用語は、ペプチド分子のカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方をいう。カルボキシル基の塩は、当該技術分野において既知の手段によって形成させてもよく、無機塩、たとえば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、三価鉄、または亜鉛の塩など、並びにたとえばトリエタノールアミンなどのアミン、アルギニンもしくはリジン、ピペリジン、プロカインなどと形成されるものなどの有機塩基との塩を含む。たとえば、酸付加塩は、たとえば塩酸またはなどの硫酸鉱酸との塩、およびたとえば酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩を含む。このような化学的誘導体および塩は、好ましくは、安定性、溶解度、その他に関する限り、ペプチドの薬学的性質を修飾するために使用される。
【0120】
本発明に従った合成ペプチドおよびこれらの類似体は、本明細書の配列I〜Vを有するペプチドからなる群より選択されてもよく、ここで:
(i)配列Iのペプチドは、以下の式を有し(SEQ ID NO:11):
TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG[I]、
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaである。
【0121】
一つの態様において、配列Iのペプチドは、式(Ia)を有する(SEQ ID NO:1):
TGYYMQWVKQSPEKSLEWiG(Ia)。
【0122】
(ii)配列IIのペプチドは、以下の式を有し(SEQ ID NO:12):
EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT[II]、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGlu;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrである。
【0123】
一つの態様において、配列IIのペプチドは、式(IIa)(SEQ ID NO:2)を有する:
EINPSTGGTTYNQKFKAKAT(IIa)。
【0124】
(iii)配列IIIのペプチドは、式(SEQ ID NO:13)を有し:
YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS[III]、
式中、X13はPhe、Thr、またはGlyであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerである。
【0125】
一つの態様において、配列IIIのペプチドは、式(IIIa)(SEQ ID NO:3)を有する:
YYCARFLWEPYAMDYWGQGS(IIIa)。
【0126】
(iv)配列IVのペプチドは、以下の式を有する(SEQ ID No:14):
GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG[IV]、
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaである。
【0127】
一つの態様において、配列IVのペプチドは、式(IVa)(SEQ ID NO:4)を有する:
GYNMNWVKQSHGKSLEWIG(IVa)。
【0128】
(v)配列Vのペプチドは、以下の式(SEQ ID NO:15)を有し:
YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL[V]、
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28は、GlyまたはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaである。
【0129】
一つの態様において、配列Vのペプチドは、式(va)(SEQ ID NO:5)を有する:
YYCARSGRYGNYWGQTL(va)。
【0130】
ペプチドIa〜IIIaは、それぞれmAb5G12のVH鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3領域に基づいており、ペプチドIVaおよびVaは、それぞれ、mAb 2C4C2のVH鎖のCDR1およびCDR3領域に基づいている(Waisman and Mozes, 1993)。
【0131】
一旦、本発明に従ったペプチドが産生されると、SLEを誘導する自己抗体に対する高い応答者であるマウスTリンパ球の増殖反応を阻害するその能力は、本明細書に記載されているものなどの試験を使用して過度の実験を伴わずに当業者によって容易に決定されるであろう。容易に行われるであろう1つの試験は、置換されたペプチドが、SLEを誘導する自己抗体に特異的な一定のT株化細胞およびクローンの増殖反応をインビトロで阻害する能力に関するものである。T株化細胞およびクローンは、たとえば以前に記載された方法(Axelrod, O. and Mozes, E. Immunobiology 172: 99 (1986))によって免疫されたマウスのリンパ節細胞から確立された16/6 Id mAb(Fricke etal., 1991)に特異的なT株化細胞およびクローンであってもよい。細胞を、栄養強化培地の存在下において、照射を受けた同系の脾細胞に提示された刺激抗体に対して2週ごとに曝露する。T株化細胞は、標準的な限界希釈技術によってクローン化する。これらのT株化細胞およびクローンの増殖反応を、たとえば本明細書の材料および方法に記載されている方法によって試験する。
【0132】
所望の活性を有するペプチドを選択するために行うことができるもう一つの試験は、置換されたペプチドがT株化細胞およびクローンの能力を阻害して、親ペプチドの存在下においてペプチド特異的なB細胞の補助を提供する能力について試験することである。また、置換されたペプチドを、ビオチン化後に、関連株の抗原提供細胞上のMMCクラスII産物に対してこれらが直接結合する能力について試験してもよい。この目的のために、関連したペプチドのN末端のビオチン標識が、水溶液中の過剰のビオチン-N-ヒドロキシ琥珀酸イミドによって0℃で行われる(Mozes, E. et al., EMBO J. 8: 4049(1989))。マウス脾臓の接着細胞、またはヒト末梢血リンパ球(PBL)接着細胞(1×106/試料)を0.1%のウシ血清アルブミンを含むPBS(PBS/BSA)溶液中で37℃においてビオチン化されたペプチドと共に20時間インキュベートし、続いて4℃でフィコエリトリン-ストレプトアビジンと共に30分間インキュベーションする。各インキュベーションの後、細胞を上記の溶液で2回洗浄する。その後、FACScanを使用するフローサイトメトリーによって細胞を解析する。それぞれの解析において、最低5000細胞を検査する(上記手順については、たとえば、Mozes et al., 1989 ; Zisman et al., 1991を参照されたい)。
【0133】
さらに行うことができる試験は、SLEを誘導する自己抗体に対する高応答者であるT株化細胞によるか、またはマウスのTリンパ球によるサイトカイン分泌をペプチドが阻害する能力について試験することである。サイトカインは、以下の通りに検出される:IL-1活性は、一対の捕獲抗体および検出抗体を使用するELISAによって(IL-4、IL-6、IL-10について以下に記載したとおり)、またはLBRM-33(1A5)アッセイ法(Conlon, P. J. J. Immune. 134: 1280 (1983))(該アッセイ法では、1A5細胞をフィトヘマグルチニン(PHA)の存在下において、種々の濃度の上清または組換えIL-1のいずれかによって刺激してIL-2を分泌させる)を使用するかのいずれかによって評価する。一晩のインキュベーションに続き、1A5細胞の上清をIL-2依存的な細胞障害性リンパ球(CTLL)株に移す。IL-2によるCTLL株の刺激を24時間後に3[H]-チミジンの組み込みによって測定する。IL-2は、IL-2依存的CTLL株を使用して、またはELISAによって直接検出する。上清中のIL-4、IL-6、IL-10、INFγ、およびTNFαのレベルは、製造業者の説明書に従って種々のサイトカインに対する抗体を使用するELISAによって決定する(Phamingen/San Diego/Ca./USA)。
【0134】
これらのインビトロ試験の1つまたは複数において試験に陽性のペプチドにより、インビボでの活性の合理的な予想をもたらすであろう。しかし、インビボでの試験も、過度の実験なしで行うことができる。従って、たとえば、成人マウスに、3日または0日に候補ペプチドを注射してもよい。次いで、マウスには、疾患を誘導する自己抗体またはペプチドを免役する。10日後、候補ペプチドの阻害能を見いだすために、免疫原に対するマウスの増殖能力についてマウスのリンパ節細胞を試験する。
【0135】
もう一つのこのようなインビボでの動物試験は、上記のように、SLEの発生についてマウスのモデルにおいてインビボで直接治療活性を測定することからなる。異なる用量で、異なる経路によって、および異なる時間スケジュールで実験的なSLEを誘導したマウスにペプチドを注射することができる。分布量、抗原提示細胞への取り込み、およびクリアランスを含むペプチドの薬物動態学的なパラメーターを決定するために、ペプチドのビオチン化された誘導体を使用することができる。種々の体液中のペプチドの可溶性画分の濃度は、アビジン・コート・プレートおよび特異的な抗ペプチド抗体を使用するELISAによって決定することができる。細胞に結合したペプチドは、蛍光色素結合アビジンまたはストレプトアビジンを使用してFACSによって解析することができる。さらに、処置されたマウスは、自己抗体反応に対するペプチドの効果、およびSLEを誘導する自己抗体によってマウスに誘発される疾患症状に対するペプチドの効果を決定するために、周期的に試験することもできる。
【0136】
もう一つのインビボでの方法は、候補ペプチドで生まれたてのマウスを寛容化すること、続いて16/6 Id+などの病原性の自己抗体で、または同じペプチドでマウスを免疫すること、および白血球減少症、高い赤血球沈降速度、タンパク尿、腎臓における免疫複合体の多量の存在、および糸球体硬化症と関係する血清学的な知見などの疾患症状を経過観察することからなる。したがって、本明細書の実施例において使用できることが示された好ましい態様の他に、当業者であれば、過度の実験なしで本明細書に示された指針に従って使用できるさらなるペプチドを決定することができることを理解することができる。
【0137】
また、任意の所与のSLE患者に対する任意の所与の置換されたペプチドの予想される治療有効性についてアッセイするために、比較的単純なインビトロ試験を行うことができる。適切なMHCクラスII分子に対して高親和性で結合するが、さらなるT細胞の活性化を生じず、従ってSLE患者に対して治療効果を有するであろうペプチドを産生するという最終的な目標を評価するために、SLE患者の末梢血リンパ球の抗原提示細胞上のHLAクラスII産物に対してこれらが直接結合する能力について、ペプチドをビオチン化後にアッセイしてもよい。健常対照者のドナーおよび対照ペプチドをこのようなアッセイ法に使用してこれらの特異性を検査してもよい。
【0138】
一つの態様において、本発明の治療薬は、本明細書の式I〜Vのペプチドの群から選択されるペプチドであり、ペプチドIa〜Vaおよびこれらの置換類似体および/または欠失類似体を含む。
【0139】
もう一つの態様において、本発明に従った治療薬は、多エピトープの単一ペプチドの形態である。従って、好ましい態様において、本明細書の式I〜Vのペプチドの群から選択される2つの異なるペプチドからなる2種のペプチドが、アラニン残基の短いひと配列によって、またはカテプシンによるタンパク質分解のための推定上の部位などによって、共有結合で互いに連結されている。たとえば、このような部位に関する米国特許第5,126,249号および欧州特許第495,049号を参照されたい。これにより、2つの所望の類似体内に好ましい形態の部位特異的なタンパク質分解が誘導される。あるいは、本発明の多数の同じか、または異なるペプチドは、たとえば0.1%のグルタルアルデヒドなどの適切な重合剤によるペプチドの重合など、ペプチド重合体内に形成されてもよい(Audibert et al.(1981) , Nature 289: 593)。重合体は、好ましくは5〜20ペプチド残基を含む。また、このようなペプチド重合体は、ペプチドを架橋するか、または巨大分子キャリアに複数のペプチドを付着させることによって形成してもよい。適切な巨大分子キャリアは、たとえば破傷風トキソイドなどのタンパク質、およびアミノ酸の直鎖状または分枝の共重合体、L-アラニン、L-グルタミン酸、およびL-リジンの直鎖状コポリマー、並びにLチロシン、L-グルタミン酸、L-アラニン、およびL-リジン(T、G)-A-L-などの分枝の共重合体、または複数鎖のポリDLアラニンである(M. Sela et al. 1955, J. Am. Chem. Soc. 77: 6175)。抱合体は、たとえばMuller, G. M. et al. (1982) Proc. Natl. Acad.Sci. USA 79:569によって記載されているように、最初に1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)塩酸カルボジイミドなどの水溶性カルボジイミドとペプチドをカップリングし、次いで巨大分子キャリアとの抱合を行うことによって得られる。それぞれの抱合体中の結合されたペプチドの内容は、アミノ酸分析によって、キャリア単独の組成物と比較して決定される。
【0140】
本発明の一つの態様によれば、1つまたは複数の活性ペプチドを適切な巨大分子キャリアに付着させてもよく、またはグルタルアルデヒドの存在下において重合させてもよい。
【0141】
ペプチド、これらの重合体、または適切な巨大分子キャリアとのこれらの抱合体は、これらの生物学的利用能を保証する形態で、これらが治療に適するように患者に与えられる。複数のペプチドが有意な阻害活性を有することが見いだされている場合、ペプチドの混合物を含む製剤で、これらのペプチドは患者に与えられる。
【0142】
本発明は、本発明による少なくとも1つの合成ペプチド、適切な巨大分子キャリアとのこれらの抱合体、または選択的に薬学的に許容されるキャリアとのこれらの重合体を含む薬学的組成物を更に含む。
【0143】
経口、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、吸入、鼻くう、髄腔内、腹腔内、皮内、経皮、または腸内の経路を含むその他の既知の経路を含む、いずれの適切な投与経路も本発明に含まれる。
【0144】
本発明の組成物の投与のための用量範囲は、所望の効果を生じさせるのに十分に多くするべきであり、これにより、たとえばSLEを誘導する自己抗体に対する免疫応答は、インビトロでのT細胞増殖によって測定すると実質的に防止されるか、または阻害され、さらに疾患が有意に治療される。
【0145】
用量は、不必要な交叉反応、全身性の免疫抑制、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほど多くするべきでない。
【0146】
SLEを治療する際に使用される本発明のペプチドの有効量は、1μg/kg〜1mg/kg体重の範囲である。投与される用量は、レシピエントの年齢、性別、健康、および重量、併用治療の種類、あるとしても、治療の頻度、および要求される効果の性質に依存するであろう。
【0147】
本発明の合成ペプチド、特に本明細書のI〜Vの配列のものは、他の全ての免疫応答に影響を及ぼさずに、SLE患者の特異的な抗原反応を阻害するか、または抑制することを目的とする。大部分の診断される患者は若い女性であり、長年治療しなければならず、また、SLEのために現在承認されている治療は、副腎皮質ステロイドおよび/または細胞毒などの免疫抑制因子の投与を含み、これらはいずれも非特異的であり、かつ複数の有害な副作用を有するので、このアプローチは最も重要性がある。
【0148】
本発明の製剤は、非経口的に、局所的に、または直腸に与えられてもよい。これらは、もちろんそれぞれの投与ルートに適した形態で与えられる。たとえば、これらは、注射、吸入、軟膏、坐薬、その他によって、注射、注入、または吸入による投与によって;ローション剤または軟膏により局所的に;および坐薬により直腸に投与される。
【0149】
「非経口投与」および「非経口的に投与される」の句は、本明細書に使用されるものとして、腸内および局所的な投与以外の投与様式を意味し、通常注射により、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、および内胸骨の注射および注入を含む。
【0150】
「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、および「末梢に投与される」、の句は、本明細書に使用されるものとして、化合物、薬物、またはその他の物質を、中枢神経系に直接投与する以外にこれが患者の系に入り、代謝およびその他のプロセスを受けるように投与すること、たとえば皮下投与を意味する。
【0151】
さらなる賦形剤についての一般的な製剤の手順および情報の詳細は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Editionに見いだされるであろう。
【0152】
PCT国際公開番号WO02/067848に、またはPCT国際公開番号WO96/30057に記載されているように、合成ペプチドを作製することもできる。
【0153】
本発明は、以下の事件の詳細からよりよく理解されるであろう。しかし、当業者であれば、論議される特定の方法および結果は、請求の範囲をより完全に記載する本発明の単なる例示であることが容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0154】
実験の詳細
ペプチドI〜Vの合成および動物モデルにおいてSLEを治療するために合成されたペプチドの効果を示す試験は、PCT国際公開番号WO96/30057に記載されている。さらなる動物試験は、PCT国際公開番号WO02/067848に記載されている。
【0155】
実施例1:化合物1のための製剤の開発
本出願のペプチドは、2002年9月6日に発表されたPCT国際公開番号WO02/067848に記載されており、当該技術分野において周知方法によって調製することができる(たとえばPeptides: Synthesis, Structure and Applications, ed. by B. Gutte, Academic Press, 1995; Peptide Synthesis Protocols, ed. By M. Pennington and B. Dunn, Humana Press, 1994; Schnolzer, M. et al. , " In situ neutralization in Boc-chemistry solid phase synthesis. Rapid, High yield assembly of difficult sequences. " Int. J. Pept.Protein Res. (1992) 40: 180-193を参照されたい)。
【0156】
化合物1は、19アミノ酸で構成される合成ポリペプチドである。これは、酢酸塩として提供される。本ペプチドの水溶解度は、0.5mg/ml未満であることが決定された。図1は、酢酸塩としての化合物1を示す。
【0157】
2mg/mlを越える(好ましくは10mg/mlまでの)ペプチド濃度を有する製剤をするために、いくつかの溶解度エンハンサーで実験を行った。予備実験では、2mg/mlの濃度は容易に達成することができないことが示された。また、皮下注射のための製剤を開発するために、pHが4〜9の範囲であること、および溶液が等浸透圧であることが望ましい。
【0158】
広範な文献調査に基づいて、最大の溶解度を有する製剤を産生するために少数の主要なアプローチを採用した。考えられる因子は、以下の通りであった:
・pH調整および緩衝液
・溶媒
・共溶媒(Co-solvent)
・溶解剤。
【0159】
方法
化合物1を、選択した溶解度エンハンサー溶液に、その他の賦形剤とは別々に、またはこれと共に溶解し、溶液を少なくとも1時間撹拌した。必要に応じてpHを調整した。溶液を視覚的に検査して溶解度を推定し、解析アッセイ法での決定のために送った。選択した製剤のいくつかについては、生物活性も試験した。
【0160】
結果
表1は、製剤の開発のために使用した溶解度エンハンサーのタイプを示す。表2および3には、種々の溶解度エンハンサーで行った実験を要約してある。表2は、5〜10mg/mlの範囲のペプチド濃度で行った最初のスクリーニングを要約してある。次いで、高いペプチド濃度で行った実験研究をより低い用量で繰り返した(表3を参照されたい)。
【0161】
最初の試験では、化合物1が、酸性および塩基性の両方で、所望のpHレベルの限界でより可溶性であったが、塩基性のpH範囲ではあまり安定ではなかったことを示した。従って、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、および炭酸ナトリウムを含むいくつかの緩衝液およびpH調整薬剤を試験した。初めに試験した緩衝液では、いずれも所望のペプチド溶解度レベルを達成しなかった。pH9.2以上およびpH3.0以下でのみ2mg/mlの溶解度レベルが観察された。それにもかかわらず、最初の段階では、酢酸緩衝液およびクエン酸緩衝液を(緊張剤としてのマンニトールと共に)有する製剤を最初の毒物学研究のために選択した。これらの製剤を生物活性について試験して活性であるとことを証明した。
【0162】
エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、クレモフォア(Chremophore)、およびこれらの組み合わせなどの非水性溶媒を試験したが、化合物1の溶解度を増大しなかった(表1を参照されたい)。30%のDMA(ジメチルアセトアミド)溶液では、所望の範囲(5〜9mg/ml)の溶解度を得たが、その毒性プロフィールのために薬学的製剤には適していなかった。また、溶解度の改善は、30%(w/w)PEG400(5〜9mg/ml)を使用しても観察された。この後者の製剤を毒物学研究のために選択したが、両方ともバイオアッセイにおいて不活性であることが判明し、マウス毒性研究においていくらかの副作用を引き起こしてしまったのかもしれない。従って、さらにこの製剤を追跡しないことに決定した。予備実験からみて、非水溶性溶媒を本製剤に使用しなかった。
【0163】
L-アルギニン、L-グルタミン酸、L-グリシン、およびL-リジンを含むいくつかのアミノ酸(表1を参照されたい)を、タンパク質溶解度を改善するために試験した。L-アルギニンのペプチドの溶解度は、所望のレベルであったが、生じるpHは9を超えた。pHを減少させるか、またはアルギニンHCl塩の使用を試みると、ペプチドの沈澱を生じた。また、ヒト血清アルブミンを試験して、低いペプチド濃度(1mg/ml)でペプチドの溶解度を改善した(表3を参照されたい)。しかし、その潜在的免疫原性および低いペプチド溶解度のために、さらなる実験にはこれを利用しなかった。マンニトール、ソルビトール、およびデキストランを含む充填剤(表1を参照されたい)を単独で、およびその他の賦形剤と組み合わせて試験したが、溶液中のペプチドの溶解度を改善しなかった。
【0164】
ポリソルベート20およびポリソルベート80を含む共存溶媒(表1を参照されたい)を単独で、およびその他の賦形剤と組み合わせて試験した。より低濃度のポリソルベート(6%まで)では、ペプチドの溶解度を改善しなかったが、より高濃度(10%まで-表2を参照されたい)では、2mg/mlまでペプチドの溶解度を改善した。しかし、このような高濃度のポリソルベートは、薬学的製剤に不適当であると考えられた。
【0165】
また、シクロデキストリンの2つのタイプ:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(カプチソール)(両方とも市場に出された非経口的製品に使用することが承認されている)を試験した。両方とも、著しくペプチドの溶解度を増大した(ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンについて10mg/mlおよびカプチソールについて2.5のレベルの濃度)。2つのシクロデキストリン製剤の生物活性を試験して、ペプチド単独での活性が同等であることを見いだした。
【0166】
カプチソール(CAPTISOL:登録商標)は、商業的に入手可能な、ブチルエーテル・スペーサ基またはスルホブチルエーテル(SBE)によって疎水性の空洞から分離されたスルフォン酸ナトリウム塩によるポリ陰イオン性シクロデキストリン誘導体である。カプチソール(登録商標)は、CyDex社のヘプタ置換スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE7-β-CD)製剤の商品名である(www.captisol.com)。カプチソール(登録商標)の構造は、薬物分子を疎水性の空洞に適合させることができ、これにより水性溶媒から薬物分子を単離することができる。カプチソール(登録商標)の外面は親水性であるため、これにより複合体を形成した薬物分子の溶解度が増強される。薬物分子の溶解度を増強するためのシクロデキストリンの使用は、米国特許番号第5,134,127号および第5,376,645号に開示されており、これらの全ての内容は、参照により本明細書に援用される。
【0167】
CyDex社の文献によれば、カプチソール(登録商標)は、非経口的に投与したときに安全であり、β-シクロデキストリンに付随する腎毒性を示さない。β-シクロデキストリンと比較して、カプチソールは、匹敵するか、またはより高い複合体形成の特徴および90grams/100mlを上回る優れた水溶性を−50倍の改善を提供する。
【0168】
結論
いくつかの溶解度エンハンサーは、所望の溶解度範囲に合致することが見いだされた:DMA、PEG-400、ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリジノン、1-エテニル-2-ピロリドン、ポリソルベート20、ポリをルベート80、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(カプチソール(登録商標))。これらの溶解度エンハンサーの中で、両シクロデキストリンが、溶解度、生物活性、および安定性に関して優れていることが証明された。従って、実施例5の製剤に使用するための溶解度エンハンサーとしてカプチソール(登録商標)を選択すること、およびさらに両方のシクロデキストリン製剤を研究することに決定した。実施例5の臨床研究のための最終的な製剤は:120mg/mlのカプチソールの所望の量のペプチド(0.5、1.0、または2.5mg/ml)を有する水溶液およびpH調整のためのHClおよびNaOH。
【0169】
表1:化合物1の製剤の開発のために使用した溶解度エンハンサー
【表1】
【0170】
表2。
【0171】
化合物1のペプチド製剤において評価した共溶媒および安定剤の一覧。
【表2−1】
【表2−2】
【表2−3】
【0172】
表3:低いペプチド濃度での化合物1の製剤
【表3】
【0173】
実施例2:化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のための調製プロトコル
乾燥した化合物1と乾燥したカプチソール(登録商標)を水中で混合するか、またはカプチソール(登録商標)と水の調製された溶液に化合物1を添加するなどの標準的溶解法では、所望の濃度で完全に溶解されなかった。化合物1およびカプチソール(登録商標)の両方のいくつかの異なる濃度を種々のpHレベルで試験した。しかし、化合物1のカプチソール(登録商標)溶液を作製するため以下の方法では、所望の濃度で完全に溶解された。
【0174】
材料:カプチソール(登録商標)、化合物1、および水
方法:
1. 適切な量のカプチソール(登録商標)の重さを量り、120mg/mlの終濃度を得る。
【0175】
2. 80%の終量の水を添加し、10分間マグネチックスターラで混合する。
【0176】
3. 化合物1の重さを量り、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの終濃度を得る。
【0177】
4. ペプチドをカプチソール(登録商標)溶液に添加する。1時間混合する。
【0178】
5. pHを上げて透明溶液を得る(2.0mg/mlの製剤では、わずかにpH9以上に上げることが必要であろう)。pHは、1.0N HClおよび1.0N NaOHを使用して調整すべきである。10分間混合する。
【0179】
6. 必要に応じて、pHを7.5〜8.5の範囲に修正する(HClまたはNaOH 1.0Nを使用する)。
【0180】
7. 最終体積に水を添加する。
【0181】
8. 0.2μの酢酸セルロースフィルターを通して溶液を濾過する。
【0182】
9. 最終pHを記録する。
【0183】
10. 一定分量に分けて、適当な温度で貯臓する。
【0184】
実施例3:化合物1およびカプチソール(登録商標)溶液の凍結乾燥
通常、凍結乾燥製品は5〜10%の間の固体を含むが、本製剤中の固体の割合は高い(12%)という点で、今回の凍結乾燥プロセスは、その他の凍結乾燥製品とは異なる。
【0185】
設備
使用した凍結乾燥機は、 Edwards lyophilizerLyoflex 0.6であった。プロセスの開発の前に品質保証によるコンプライアンスについて、設備のIQ/OQを行い点検した。
【0186】
化合物1とカプチソール(登録商標)の溶液を0.5mg/ml、1.0mg/ml、および2.5mg/mlの濃度の化合物1で調製した。充填容積は、1mlに調整した(1.05gr)。
【0187】
主な生産工程:
1. 凍結する
2. 保持する(低温で)
3. 減圧下において2段階で乾燥する:
3.1. 一次乾燥-保持温度よりも高く棚を加熱し、保持レベルよりも高く棚温度を制御する。
3.2. 二次乾燥-保持棚温度よりも高い温度で圧力を最小値に減圧する。
【0188】
バッチ1〜3
凍結-凍結は、2時間以内に室温から-40℃にした。棚を-40℃で3時間保持した。
【0189】
乾燥-乾燥は、110μbar圧力で行った。棚温度を13時間以上で-20℃に増大させて、さらに13時間その温度で保持した。
【0190】
全工程の時間は、31時間であった。
【0191】
結果:
水含量の結果は:
バッチno.1:3.8%
バッチno.2:4.0%および
バッチno.3:4.9%
であった。
【0192】
バッチ4および5
バッチ1、2、および3に至る方法の水含量の結果は、所望の値よりも高かったので、同じ温度で、および低圧で二次乾燥工程を加えることを決定した。
【0193】
乾燥-乾燥は、110μbar圧力で行った。棚温度を13時間以上で-20℃に増大させて、さらに13時間(バッチ4)または8時間(バッチ5)その温度で保持した。さらに5時間、圧力を10μbarに減圧した。
【0194】
全工程の時間は、36時間であった。
【0195】
結果:
水含量の結果は:
バッチ4:プラセボ:3.0%、
1mg/ml:3.9%。
【0196】
バッチ5:プラセボ:4.1%。
【0197】
結論
図示したとおり、カプチソール(登録商標)での化合物1の満足な凍結乾燥法が開発された。高割合の固体で、それ故圧縮ケーキであるために、開発された方法は、現在ペプチドのために利用できる凍結乾燥サイクルよりも長く、さらに二次乾燥段階を示す。
【0198】
表4に開発された方法を要約する。
【表4】
【0199】
実施例4
凍結乾燥された化合物溶液のインビボでの生物活性の調査(DP、1mg/バイアル、12%のカプチソール(登録商標))
生物活性は、2つの濃度の、凍結乾燥した化合物溶液、すなわち製剤(drug product:DP)を皮下(s.c.)処置した後に、化合物1の参照標準(RS)特異的T細胞からのIL-2分泌の阻害によってモニターした。処置結果を化合物1(RS)のリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液で処置したマウスと比較する。結果は、下記の表に、および図2に示してある。
【0200】
実験デザイン:
1. 免疫化 0日
(CFAで乳状化した化合物1のRS、4つの足蹠全てに)
2. 処置 0日
(s.c.首の後ろに、200μlの溶液で)
3. 以下によるインビトロでの活性化: 10日
a. 0;0.5;1;2.5;5;10;25;50、および100μ/mlの濃度の化合物1のRS
b.化合物1と逆順位のアミノ酸を有するペプチド(ネガティブ対照)。
【0201】
c.コンカナバリンA(ポジティブ対照)。
【0202】
4. 加湿した5%CO2インキュベーター中で37℃において20時間の培養液のインキュベーション。
【0203】
5. ELISAによるIL-2の測定。
【0204】
実験群の表:
【表5】
【表6】
【0205】
実施例5:治療のための最適な用量の評価
以下の略語を以下の明細書に使用した:
CFA 完了するフロイントアジュバント
ConA コンカナバリンA
DP 製剤
DS 原体
EM-1 濃縮DCCM-1培地
EM-3 濃縮RPMI-1640+ウシ胎児血清培地
FCS ウシ胎仔血清
IFN-γ インターフェロン-ガンマ
LN リンパ節
PBS リン酸緩衝食塩水
RS 参照標準
s.c. 皮下
TB トリパンブルー
TGF-β トランスフォーミング成長因子-β
WFI 注射用水。
【0206】
導入
20匹のマウス群には、50μg/マウスの化合物1 RSを免疫した。免疫マウスは、以下の通りに5つの処置群に割り当てた:プラセボ、25、50、100、および200μg/マウスの化合物1 DP(皮下投与)。免疫および処置の10日後、LNを抽出し、単個細胞浮遊液を調製した。次いで、いくつかの濃度の化合物1 RSでの活性化に応答する培養細胞によるインビトロでのIFN-γおよびTGF-βの分泌を測定した。
【0207】
実験デザイン
1.免疫化 -0日
2.化合物1 DPでの処置 -0日
3.処置マウスからのLN細胞のインビトロでの活性化 -10日
4.培地の収集
(IFN-γの測定のため) -12日
5.培地の収集
(TGF-βの測定のため) -13日
6.IFN-γのELISA
7.TGF-βのELISA
表7:実験群
【表7】
【0208】
材料および試薬
動物
マウス:20匹の雌のBALB/cマウス、Harlan animals breeding center, Rehovot.によって供給。
【0209】
免疫時の年齢(週+日):10
実験に含めたマウスの平均重量:19.01gr。
【0210】
一般試薬
70%エタノールは、精製H2Oで希釈することによって96%エタノール調製した。
【0211】
免疫のための化合物1溶液の調製
CFA-化合物1 RSエマルジョン(500μg/ml、50μg/マウス)は、以下の通りに調製した:
1. 1.874mgの化合物を1.87mlのWFIに溶解して1mg/mlの溶液を得た。
【0212】
2. 溶液をpH指示薬一片でテストしてpH5を有することを見いだした。
【0213】
3. 1.5mlの溶液を1.5mlのCFAで乳状化し、500μg/mlの終濃度にした。
【0214】
処置のための溶液の調製
処置は、200μlの溶液のs.c.注射によって行った。
【0215】
12%カプチソール溶液の調製
1.2grカプチソール(登録商標)を10mlのWFIに溶解し、12%カプチソール(登録商標)溶液を得た
実験法
免疫化の前にマウスの重量を測定した平均マウス重量:19.01±0.97gr。
【0216】
免疫化
免疫化は、100マイクロリットル(それぞれの後足蹠へ50マイクロリットル)の免疫化エマルジョンを注射して行った。
【0217】
処置
免疫化工程の後、マウスには、指定された化合物1 DPまたは12%カプチソール(登録商標)処置溶液から200μlのs.c.注射により、これらの首の後ろに処置した。
【0218】
インビトロ培養
マウスを頚椎脱臼によって屠殺した。後肢からLNを抽出し、約5mLのRPMIを含む無菌のシャーレへ移した。200マイクロメートルのメッシュ・ステンレス鋼ネットに対して組織を穏やかに押し出すことによって細胞を抽出した。細胞を収集し、RTで10分間300Gで遠心した。
【0219】
それぞれの実験群のプールされたLNから単個細胞浮遊液を調製した。
【0220】
2.5および5,000,000細胞/ml/ウェルの懸濁液をEM-1中で化合物1 RS(0〜100μg/ml)と共に培養した。
【0221】
細胞反応の指標としてのIFN-γおよびTGF-βの分泌は、培地のELISAによって決定した(IFN-γについて48時間およびTGF-βについて72時間)。
【0222】
表8:インビトロでの実験群
【表8】
【0223】
細胞懸濁液の調製
表9:細胞カウントの結果および細胞懸濁液の調製(10×106/ml)
【表9】
【0224】
細胞懸濁液の調製(5×106/ml)
10×106細胞/mlの懸濁液を5mlのEM-1を5mlの細胞懸濁液に添加することによって1:2に希釈した。
【0225】
48ウェル・プレートでのLN細胞培養のインキュベーション
3つの組織培養プレートを調製した。以下をそれぞれのプレートに添加した。
【0226】
バックグラウンド対照(細胞を培地と共にインキュベートした)
0.5mlの細胞懸濁液
0.5mlの培地(EM-1)。
【0227】
系のポジティブ対照(ConAで刺激した細胞)
0.5mlの細胞懸濁液
0.5mlのConA 5μg/mlのEM-1溶液(終濃度2.5μg/ウェル)。
【0228】
細胞を化合物1活性化溶液と共にインキュベートした(試料)
0.5mlの細胞懸濁液
0.5mlの化合物1 RS 6.25〜200μg/ml(終濃度3.125〜100μg/ml/ウェル)。
【0229】
96ウェル・プレートでのLN細胞培養液のインキュベーション
48ウェルプレートを調製後、細胞懸濁液からの100μlと活性化溶液からの100μlを適用することによって96ウェルプレートを調製した。
【0230】
培養プレートを37℃で加湿した5%CO2インキュベーター内で48または72時間インキュベートした。
【0231】
上清の収集
培養したプレートをRTで10分間300gで遠心した。上清(それぞれのウェルから850μl)を艶板またはチューブに移した。次いで、繰り返し試料の凍結/融解を回避するために、上清を実験用の一定分量に分けた(200μlの2つの一定分量および450μlの1つの一定分量)。それぞれのチューブには、以下の詳細をラベルした:
1. 実験コードおよびインキュベーション後の時間。
【0232】
2. 群および試料番号
3. 活性化因子および濃度。
【0233】
4.上清収集の日付。
【0234】
上清は、ELISAのために使用するまで、-20℃で貯蔵した。
【0235】
結果
表10:群の概要
【表10】
【0236】
表11-A:最終サイトカイン濃度
最終サイトカイン(pg/ml)(2,500,000細胞/ウェル)
【表11−A】
【0237】
表11-B:最終サイトカイン濃度
最終サイトカイン(pg/ml)(5,000,000細胞/ウェル)
【表11−B】
【0238】
結果は、図3〜4にも示してある。
【0239】
知見
IFN-γ分泌
1. プラセボ群において、化合物1の活性化の直線状の用量応答がインビトロで示された。このグラフは、同じ免疫化用量(50μg/マウス)および培地(EM-1)でのエキソビボ・モデルについて得られたグラフに似ている。
【0240】
2. インビトロでの化合物1の活性化による用量応答は、全ての試験群にあった。
【0241】
3. 有意なIFN-γ分泌の阻害が、処置に使用した全ての用量で見られた(25g/マウスの処置用量で平均95%阻害)。処置および%阻害に役立つ用量の間の逆相互関係は、主に5×106細胞/ウェルを使用したときに見いだすことができる。2.5×106細胞/ウェルを使用したときは、50μg/マウスでの動物の処置では、100または200μgよりも良好な阻害がなされた。25μgの点は抜けている(細胞不足)。
【0242】
4. 2×106細胞/ウェルの代わりに5×106細胞/ウェルを使用したときは、より良好な阻害が見られた。
【0243】
5. グラフの直線範囲では、阻害%のSDは低かった。
【0244】
6. 2.5×106細胞/ウェルを使用したときは、ConAによる技術的問題が明らかである。
【0245】
TGF-βの分泌
1. プラセボ群、
化合物1でのインビトロでの活性化による用量応答は見られなかった。TGF-βの分泌レベルは、全ての他の処置群でELISAの検出限界以下であった。
【0246】
実施例6:注射(0、0.5、1.0、および2.5mg/バイアル)のための化合物1およびカプチソール(登録商標)を有する凍結乾燥サイクルの最適化
目的
この研究の目的は、注射のための化合物1およびカプチソール(登録商標)に関して、凍結乾燥サイクルを最適化し、凍結乾燥ケークの形状を改善して、圧壊および割れを回避するすることである。したがって、凍結乾燥サイクルを改善して最適化することに決定した。
【0247】
プロセスの最適化
このサイクルでは、第一相バッチを製造するための生成物を凍結乾燥器に移す。0.5mg/ml、1.0mg/ml、2.5mg/mlの濃度のペプチド、およびプラセボのバッチを調製して、数回の凍結乾燥サイクルを行った。使用した凍結乾燥機は、Edwards凍結乾燥器 Lyoflex 0.6であった。
【0248】
溶解度、含水量、およびケーキの出現を試験した。得られた結果に従って、化合物1のための新たな凍結乾燥サイクルを選択した。固体が高割合(12%)であり、それ故ケーキが濃縮されたために、新たな方法では、実施例3の凍結乾燥サイクルよりもより長く、さらなる一次乾燥段階を示す。表12には、プロセス間での相違を要約する。
【表12】
【0249】
実施例7:
SLEを起こしやすい(NZBxNZW)F1雌マウスにおける狼蒼症状に対する化合物1(カプチソール(登録商標)中で投与した)の効果
臨床試験に参加している患者には、賦形剤としてカプチソール(登録商標)(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム)化合物1で処置した。この理由のために、カプチソール(登録商標)に与えられた化合物1の製剤による(NZBxNZW)F1マウスの処置では、このマウス株を化合物1のPBS溶液で処置したときに観察されるものと同様に狼蒼症状に対して有益効果を有するかどうかを決定することが重要であった。
【0250】
この目的で、(NZBxNZW)F1雌マウス(約8月齢)を3つの群に分けて、カプチソール(登録商標)単独、またはカプチソール(登録商標)中の25もしくは50μg/マウスの化合物1で、週に一度10週間、皮下に処置した(それぞれ、n=9および10)。従来の研究では、SLE症を改善する際にこの範囲の用量が試験したより高用量のもの(100および200μg/マウス)よりも有効なことを示したので、これらの用量を選択した。同じバッチの原体をこの研究において、および化合物1による第1相臨床試験において使用した。
【0251】
マウスを抗二本鎖DNA抗体ついて、およびタンパク尿について経過観察した。マウスを屠殺したときに、腎臓のICD強度を決定した。
【0252】
図5で分かるように、10回の処置注射後の二本鎖DNA特異抗体のレベルに、群間の有意差を観察することはできない。
【0253】
また、表13は、化合物1での処置の有益効果は、5回目の注射から観察することができ、10回の注射まで持続したことを示す。カプチソール(登録商標)対照群のタンパク尿の平均レベルは、化合物1処置群のものよりも一貫して高かった。また、表13は、ICD強度の減少が両方の化合物1用量群の腎臓で観察されたことを示す。これらのマウスの臨床症状を減少させる際に、低用量(25μg/マウス)では、高用量(50μg/マウス)よりも有効であったことを示する全体の傾向があった。
【0254】
表13 25または50μg/マウスの化合物1(カプチソール(登録商標)中)で処置した(NZBxNZW)F1マウスのSLEの臨床症状
【表13】
【0255】
a ICD=免疫複合体沈着。ICD強度規模:0=なし;1=中程度;2=重篤;3=重篤/非常に強い。
b 高レベルのタンパク尿による1匹の動物の死が低い群の平均に生じた
c p<0.05(カプチソール(登録商標)処置した対象マウスと比較;Mann-Whitney)。
【0256】
図6は、それぞれの処置群からの1つの腎臓の代表的な切片を示す。最上列の切片は、カプチソール(登録商標)処置したマウスに由来し、中央列の切片は、50μg/マウスの化合物1で処置したマウスに由来し、および下列の切片は、25g/マウスの化合物1で処置したマウスに由来する。いずれの服用レベルにおいても、化合物1(カプチソール(登録商標)に溶解)で処置したマウスの腎臓切片で観察される免疫複合体沈着の強度は、対照群で観察されたものよりも低かったことが分かる。
【0257】
実施例8:第一相臨床研究
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のSLE被検者の皮下注射の耐容性および安全性を評価するための、第一相の、多施設の、無作為化した、二重盲検、プラセボ対象の、単一用量の、4腕研究。
【0258】
これは、フランスにおいて行われた、ヒトにおける化合物1のカプチソール(登録商標)溶液での最初の臨床研究であった。その主な目的は、SLE被験者に対する単一のsc注射として投与した化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の耐容性および安全性を評価することである。その第2の目的は、これらの被検者において化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の単一のsc用量に続く免疫応答を評価することである。
【0259】
36(36)人の被検者が研究に参加した。研究の参加条件を満たすためには、SLE患者は、米国リウマチ学会により狼蒼の診断のために使用される少なくとも4つの基準を満たさなければならなかった。また、患者は、安定な、軽度/中程度の疾患を有し、かつ同等〜10以下のSLE疾患活性示数(SLE Disease Activity Index:SLEDAI)スコアでなければならなかった。
【0260】
それぞれの患者には、以下の群譲渡に従って、注射のための再構成された化合物1の単一のsc注射か、またはそのマッチング・プラセボ(カプチソール(登録商標))を受けさせた:
群A:プラセボ(カプチソール(登録商標))
群B:0.5mg化合物1のカプチソール(登録商標)溶液
群C:1mgの化合物1のカプチソール(登録商標)溶液
群D:2.5mgの化合物1のカプチソール(登録商標)溶液。
【0261】
臨床検査のためのに血液および採尿を含む、安全試験の標準的な組を、投薬の間に投薬後24時間に、および投薬後2、4、および8週にスクリーニングを行った。投薬前に、および予定される引き続いての来診時に、血液サンプルをSLEに関連した免疫学的検査、抗化合物1抗体、およびPBL増殖アッセイ法のために採取した。以下の免疫学試験を行った:
・Coomb's(直接的および間接的)
・C3、C4、およびCH50
・総IgG、IgM、およびIgA
・ANA、抗dsDNA(ファー・アッセイ法)、抗ssDNA
・抗ENA(抗La、抗Ro、抗RNP、抗Smを含む)
・抗カルジオリピン抗体
・VDRL
・FTA抗体
・リウマチ因子。
【0262】
被検者群における化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の安全性および耐容性は、以下の基準に基づいて評価した:
・SLE発赤を含むAEの発生
・生命徴候
・理学的検査の変化
・ルーチンの臨床検査試験
・SLEDAIスコア
免疫学的試験の結果。
【0263】
第1a相の臨床研究の詳細
研究主任研究員およびそれぞれの研究場所:フランスの6(6)つの研究センター:Prof. Jean Charles Piette (Hopital La Pitie Salpetriere, Paris) , Prof Oliver Meyer (Hopital Bichat, Paris) , Prof. Jean Revuz (Hopital Henri Mondor, Creteil) , Prof. Loic Guillevin (Hopital Avicenne, Bobigny) , Prof. Eric Hachulla (HopitalClaude Huriez, Lille Cedex) , Prof.-Xavier Mariette (Hopital Bicetre, Kremlin Bicetre)。
【0264】
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液、プラセボ、注射アンプルのための水、投与の用量および様式:
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のバイアル(120mg/バイアル)を以下の用量で被検者につき単一用量として皮下注射した:
0.5mg化合物1/バイアルのカプチソール(登録商標)溶液、1mg化合物1/カプチソール(登録商標)溶液、および2.5mgの化合物1/カプチソール(登録商標)溶液。
【0265】
化合物1のためのプラセボ:120mgカプチソール(登録商標)/バイアル(外観上は化合物1のカプチソール(登録商標)のバイアルと同一)。
【0266】
方法
これは、化合物1またはプラセボの単一の皮下注射を使用する多施設の、ランダム化した;二重盲検の、プラセボ対象の、4腕研究であった。SLE患者をベースライン手順の前に21日間スクリーニングした。それぞれの資格のある被検者は、4つの処置群:0.5、1、または2.5mgの化合物1またはそのマッチするプラセボの皮下注射のうちの1つにランダムにわけた。全ての被検者は、投与日前にクリニックに入院した。それぞれの被検者には、上記の一覧表に記載された処置のうちの1つの単一用量を受けさせた。被検者は、投薬の24時間後にクリニックから退院した。被検者は、投薬後2、4、および8週にさらにモニターした。安全臨床検査のための血液サンプル(血清および全血)をスクリーニング時、投与日(投与前)、2日(投与後)、2、4、および8週(最後の訪問)に採取した。免疫学的検査のための血液サンプルは、スクリーニング時、投与日(投与前)、並びに4および8週に採取した。末梢血リンパ球(PBL)増殖は、投与日(投与前)および2、4、および8週で評価した。
【0267】
被験者数(合計およびそれぞれの処置について):
36(36)人の被験者を以下の通りにこの研究においてランダム化した;0.5mgの処置群に9人の被検者、1mgの処置群へ9人の被検者、2.5mgの処置群へ10人の被検者、およびプラセボ処置群へ8人の被検者。
【0268】
診断および主な包含基準:
この研究の資格のある被検者は、米国リウマチ学会(ACR)の少なくとも4つの診断基準を満たしたSLE患者であった。これらの疾患症状は、安定な、軽度/中程度の疾患を有し、かつ2000年に更新された同等〜10以下のSLE疾患活性示数のスコア(SLEDAI 2K)でなければならなかった。
【0269】
研究スクリーニングより前の6月の間に、不安定なまたは重篤な喘息、脳卒中、急性心筋梗塞症、不安定狭心症、脳溢血、および肺塞栓症を報告したSLE患者は、参加から除外した。何らかの臨床的に有意もしくは不安定な医学的または外科的な症状、糖尿病、肝疾患(肝硬変、活性な肝炎、門脈圧高進、または腹水)、臨床的に有意な高血圧、何らかの悪性の病歴、透析、または慢性障害肺疾患(COPD)を有するSLE患者は、研究への参加から除外した。
【0270】
また、血漿分離交換法を受けたか、またはスクリーニングの3月前の間に下記の薬物一覧表に記載されたうちの1つで治療されたSLE患者は、研究への参加から除外した:プレドニゾン30mg/日以上(または、別の副腎皮質ステロイドの同等物の投与)、静脈内副腎皮質ステロイド、静脈内免疫グロブリンG(IgG)、経口抗凝血薬、および何らかの細胞障害性薬剤(たとえば、アザチオプリン、クロランブシル、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート(methothrexate)、タクロリムス)。
【0271】
加えて、副スクリーニング前の最後の3月間に、腎皮質ステロイド(10mg/日以上プレドニゾン、または別の副腎皮質ステロイドの同等物の投与)または抗マラリア薬での治療を開始するSLE患者も、研究から除外した。
【0272】
研究の全期間にわたって、ベースラインSLE医療を保持する努力がなされたが、それにもかかわらず、研究者は、寛容な福祉を維持および最適化するために、研究の間いつでも参加者の医療を変更することができる。
【0273】
評価基準
安全性:
以下の安全性パラメーターをスクリーニング時、入院の間、および最終来診を含む引き続く来診時に評価した:生命徴候(収縮期血圧、最小血圧、パルス、酸素飽和度、温度、および重量)、12-導出ECG(12-lead ECG)、理学的検査の変化、および臨床的ルーチンの研究室安全性試験。有害事象は、投与日およびその後の来診時のそれぞれで記録した。
【0274】
免疫学:
SLEに関連した免疫学的検査をスクリーニング時、入院の間、および最終来診を含む引き続く来診時に行った。
【0275】
薬物に関連した免疫応答は、投与日および最終来診を含む引き続く来診時にPBL増殖アッセイ法および抗化合物1抗体アッセイ方を使用して行った。
【0276】
疾患活性:
2000年に更新されたSLE病の活性度指数スコア(SLEDAI 2K)を使用する疾患活性評価をスクリーニング時、入院の間、および解除契約来診を含む引き続く来診時に評価した。
【0277】
統計方法:
SAS(登録商標)バージョン9.0ソフトウェアを使用してこの研究の間に収集したデータを解析し、提出するために用いた。検定力の算出は行っておらず、また、形式的仮説検定は、このIa相の研究に対して行わなかった。
【0278】
有害な経験
有害な経験の発生率および頻度は、System Organ Classおよび好ましいMedDRA辞書版5.0に従った用語法によって示した。データを処置群によって表にしてある。
【0279】
臨床的実験室データ
スクリーニング時、1日(投与前)、2日、2、4、および8週について決定された観察の数、平均、標準偏差、最低値、および最大値を含む研究室値の記述的統計を処置群によって示してある。ベースラインからそれぞれの時点/来診時への変化も、治療割り当てによってそれぞれの来診について示してある。異常な結果のパーセント(低いおよび高い、適用可能な場合)を処置群および来診時/時点によってパラメーターに基づいて示してある。ベースラインから投与後24時間までおよびベースラインから最終来診までの変化の解析を行った。
【0280】
生命徴候
スクリーニング時、1日(投与前、投与後、およびそれぞれの時点)、2日、2、4、および8週について決定された観察の数、平均、標準偏差、中央値、最低値、および最大値を含む生命徴候のための記述的統計を来診および割り当てられた処置によって表にしてある。ベースラインからそれぞれの時点/来診時までの変化を来診および割り当てられた処置によって提示してある。
【0281】
重量
ベースライン、最終、およびベースラインからの変化の重量(kg)の記述的統計を処置群によって提示してある。
【0282】
ECG
ベースライン、最終、およびベースラインからの変化のECGパラメーターの記述的統計を提示してある。変化の解析をベースラインから最終までの変化の表として、正常/異常または存在/不存在のECGパラメーターの間で示してある。潜在的に臨床的に有意な(PCS)QTc(Bazett)測定を所定の基準に従って同定した。PCSと非PCSの間の絶対QTc(Absolute QTc)(Bazett)変化解析の表およびベースラインから任意の来診までのQTc(Bazett)のPCS変化の発生率の表を示してある。
【0283】
身体検査
身体検査の結果は、ベースラインおよび最終来診時のそれぞれの体の系について異常または正常な知見を有する被検者の発病率によって解析する。正常から異常の間および逆の変化の解析も適用した。ベースラインからの変化が生じないときは、「その他」として定義した。
【0284】
化合物1に関する免疫学的検査
免疫学的パラメーターについては、観察の数、平均、標準偏差、中央値、最低限、および最大値を含む記述統計学を算出し、処置群および来診によって示してある。ベースラインからそれぞれの経過観察来診まで変化を処置群によって示してある。該当する場合には、ネガティブ/ポジティブな結果を有する被検者の数およびパーセントを処置群および来診によって示してある。
【0285】
SLEDAI 2K
平均、標準偏差、中央値、、最小値、および最大値を含む、SLEDAI 2Kの記述的統計を示してある
Ia相臨床研究の結果:
被検者の割り付けおよびSLEの特徴
プロトコルにつき36(36)人の研究被検者でこの研究を始めて完了した。全ての処置群の被検者(34)の大多数は、女性(94.4%)および白人(30、83.3%)であった。全ての処置群についての平均年齢は、35.6才(32才から39才までの平均の範囲)であった。大部分の被検者(91.7%)は、4〜6の米国リウマチ学会(空港監視レーダ)診断基準および2.1〜4.1の範囲のSLEDAI 2Kスコアの平均群を有した。
【0286】
安全性の結果
研究薬物処置群とプラセボ群の間にAEの発病率に顕著な違いはなかった。全ての群において最も一般的なAEは、頭痛であり、穏やかまたは適度な性質として分類され、注射部位の反応は穏やかな性質として分類された。用量応答は調べなかった。重篤な有害事象(SAE)、または重篤と分類されるAEは、研究の間に生じなかった。
【0287】
研究の薬物に起因する臨床的に有意な効果は、血液学、生化学、または検尿値については見られなかった。
【0288】
研究の薬物に起因する臨床的に有意な効果は、生命徴候パラメーター(収縮期血圧、最小血圧、パルス、酸素飽和度)については見られなかった。
【0289】
研究の薬物に起因する臨床的に有意な効果は、温度および重量については見られなかった。
【0290】
分類上のECG測定およびデジタル化したECGパラメーターについては、化合物1処置群とプラセボの間で臨床的に有意な相違は見られなかった。PCS QTc絶対値およびベースライン>60msecからのQTc変化は示されなかった。
【0291】
化合物1処置した群およびプラセボ群において同数の被検者が30〜60msecの間のベースラインからのQTcB変化を有した。
【0292】
身体検査での化合物1の臨床的に有意な効果は注目されなかった。
【0293】
免疫学結果
全ての被検者からの血清試料の評価は、0.5、1、および2.5mg/患者の服用レベルでの化合物1の単一皮下投与では、抗化合物1特異的抗体の発生を誘導しないことを示した。7人の被検者では、カットオフ以上の化合物1に対する反応を有した。これらの抗体レベルの上昇は、投与前にすでに存在した。抗体レベルの増加は、研究の再調査期間(2月)において観察されなかった。これらの被検者の血清を反応性抗体のアイソタイプについて解析した。被検者のうちの2人の反応は、IgMアイソタイプと関係しており、その他の2人ではIgGアイソタイプと関係した。7人のいずれも、特異的なIgE抗体を有しなかった。末梢血リンパ球(PBL)アッセイ法では、被検者(18)の50%が全ての処置群と同様の分布をもつ応答者(SI>2)として分類されることを示した。T細胞応答は、相対的に低く、研究薬物の単一SC用量だけが投与されたことを考慮にすると、アッセイ法に使用した化合物1の処置用量または濃度と応答者/非応答者の状態の間の関連性を検出することはできなかった。また、全時間にわたって応答者の状態の発病率増大の徴候は、観察されなかった。安全性の対象としての役割を果たす破傷風トキソイド(TTX)アッセイ法では、TTXへの反応が全ての処置群の研究期間の全体を通じて維持されたことを示し、化合物1のカプチソール(登録商標)溶液は、TTX復活抗原(recall antigen)に対する免疫応答を変化しなかったことを示す。
【0294】
免疫学的な知見は、研究薬物の化合物1の単一用量だけの投与の結果である。
【0295】
疾患活性の結果
膿尿症の検尿を基礎としたベースラインと4週の間で2〜10ポイントのSLEDAIスコアの変化が記録された0.5mgの処置群の1人の被検者以外、研究の間にSLEDAIスコア(≧3の変化、≦12ポイント)に対する化合物1の臨床的に有意な効果は、注目されなかった。この検尿での知見では、研究者によってプロトコル定義あたりの狼蒼炎とは確認されず、治療の変化なしで解決した。
【0296】
結論
このIa相研究では、0.5、1、または2.5mgの化合物1の120mgのカプチソール(登録商標)溶液の単一皮下注射用量が安全かつ十分に通用することを示し、Ib相の多回投与研究に継続することができる。
【0297】
実施例9:第Ib相の臨床研究
化合物1のカプチソール(登録商標)溶液のSLE被検者の皮下注射の耐容性および安全性を評価するための、第一相の、多施設の、二国の、無作為化した、二重盲検、プラセボ対象の、単一用量の、4腕研究
この研究は、SLE患者に対する化合物1の反復sc投与の安全性および耐容性を評価するために行われる。本研究の第2の目的は、被験者における化合物1のカプチソール(登録商標)溶液の反復sc投与に続く免疫応答を評価することである。
【0298】
化合物1は、0.5、1.0、または2.5mgの用量のカプチソール(登録商標)溶液で与えられる。研究の製品は、合計12回のsc注射の間一日おきに(週末を除く)、すなわち4週間で1週につき3用量が投与される。投薬の開始後、2、4、8、および12週で予定されている来診予定で被検者をモニターする。安全性および耐容性は、上記の第Ia相臨床研究に記載したのと同様の試験を使用して評価する。
【0299】
結果
この第Ib相研究では、0.5、1、または2.5mgの化合物1の120mgのカプチソール(登録商標)溶液の複数皮下注射用量は、安全で、かつ十分に耐容性あることを示す。
【0300】
実施例10:SLE患者および健常対照者におけるペプチドIa、IIa、およびIIIaに対する抗体、並びに抗1616 Id抗の検出。
【0301】
ヒトSLE患者(32人の患者)の血液を抜き、彼らの血清を、これらがペプチドIa、IIa、およびIIIa、対象ペプチドp195-212(PCT公開番号WO94/00148に記載されている筋無力症(myasthogenic)のペプチド)、またはmAb5G12に結合する能力をELISAによって試験した。
【0302】
抗体の検出は、10μg/mlのペプチドIa、IIa、IIIa、p195-212、またはmAb5G12で被覆したプレート上で、PBS中において2時間行い、洗浄して、1%卵白アルブミンのPBS溶液でさらに2時間ブロックした。ELISAは、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体を使用してPCT国際公開番号96/30057の実施例2の遮断の後の記載の通りに続けた。
【0303】
図7に示したとおり、SLE患者は、健常対照者と比較してペプチドIa(白四角)、IIa(白ダイヤモンド)、IIIa(白丸)、またはmAb5G12(白三角)のいずれかと結合する抗体の優位に高いレベルを示した(ペプチドIa-健常者=黒ダイヤモンド;ペプチドIIa-健常者=場交差した丸;ペプチドIIIa-健常者=逆さ白三角;5G12-健康者=半分が黒い四角)。患者または対照者の血清のいずれにかを関係ないペプチド195-212で被覆したプレート上で試験したときは、結合を観察することができなかった(p195-212-SLE=交差した正方形;p195-212-健康者=半分黒いダイヤモンド)。結果は、全部の抗体分子とCDRに基づいたペプチドとの間に抗体価レベルでの相互関係を示す。
【0304】
実施例11:ヒト16/6 Id mAbおよびペプチドの存在下におけるSLE患者および健常対照者からのPBLの増殖
末梢血液リンパ球(PBL)をSLE患者または健常対照者の血液からフィコール勾配を使用して単離した。その後、試料をIL-2測定のために採取したときに、PBLを種々の濃度のペプチドIaIIa、またはIIIa、またはヒト16/6 Id mAbの存在下において24時間インキュベートした。アッセイは、合計7日間連続して行い、3H-チミジンを最後の16時間添加した。増殖は、細胞のDNAに組み込まれた放射能の量を読み込んで検出した。
【0305】
表14に見られるように、SLE患者から採取されたPBLでは、健常対照者と比較したときに、より低い比率がペプチドと、または16/6 Id mAbと反応した。結果は、応答者の割合(第1ラインの34%)および実際の患者数(32人のうちの11人:11/32)で現してある。
【0306】
次の実施例に示すように、ペプチドまたは16/6 Id mAbの存在下においてPBLによって産生されるIL-2のレベルを試験したときに、同様の結果が得られた。
【0307】
表14。mAb 16/6 IdおよびペプチドIa-IIIa の存在下におけるSLE患者および健常対照者に由来するPBLの増殖。
【表14】
【0308】
実施例12。mAb 16/6 Idおよびペプチドの存在下におけるSLE患者および健常対照者のPBLによるIL-2の生産。
【0309】
PBLをSLE患者または健常対照者の血液からフィコール勾配を使用して単離し、実施例11に記載のようにインキュベートした。50μlの試料をアッセイ開始から24時間後に取り除き、IL-2感受性細胞(CTLD)の存在下において24時間インキュベートし、その後に3H-チミジンを16時間添加して、プレートを集めてβカウンターで計数した。
【0310】
表14のように、表15からも、SLE患者から採取したPBLでは、健常対照者と比較したときに、より低い比率がペプチドと、または16/6 Id mAbと反応したことを見ることができ、したがって、ペプチドに対する反応は、病原性のヒト自己抗体に対する患者のT細胞のものに対応することを示している。
【0311】
表15:mAb 16/6 IdおよびペプチドIa-IIIa の存在下におけるSLE患者および健常対照者のPBLによる産生。
【表15】
【0312】
実施例13
ヒト・ペプチドhCDR1およびhCDR3の合成。
【0313】
ヒトhCDR1(SEQ ID NO:6)およびhCDR3(SEQ ID NO:7)を以下に示してある。
【0314】
GYYWSWIRQPPGKGEEWIG(hCDR1)
YYCARGLLRGGWNDVDYYGMDV(hCDR3)。
【0315】
ペプチドは、当該技術分野において周知の方法によって、たとえばt-ブチルオキシカルボニル(t-Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、または本質的に記載されていたとおりのその他のα-アミノ酸保護基法に関する製造業者のプロトコルを用いて、自動化されたシンセサイザを使用して化学的固相または溶液相合成によって調製した(たとえば、Peptides: Synthesis, Structure and Applications, ed. By B. Gutte, Academic Press, 1995; Peptide Synthesis Protocols, ed. by M. Pennington and B. Dunn, Humana Press, 1994 ; Schnolzer M. et al., In situ neutralization in Bocchemistry solid phase peptide synthesis. Rapid, high yield assembly of difficult sequences. Int. J. Pept. Protein Res. 40: 180-193, 1992を参照されたい)。
【0316】
実施例14
ペプチドhCDR1およびhCDR3は、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖反応を阻害する。
【0317】
SLEを伴った62人の患者、9人の男性(14.5%)および53人の女性(85.5%)が研究に参加した。診断時の平均年齢は、32.95±12.92(範囲12〜61)歳であり、平均追跡調査期間は、10.98±10.76(範囲1-32)年であった。全ての患者は、米国リウマチ学会(ACR)のSLEに関する改正診断基準のうちの少なくとも4つを満たした(Tan E. M. et al. , Arthritis Rheum 25: 1271-77 (1982) )。患者は、3か所のsraeli Medical Centers (Kaplan, Rehovot ; Ichilov, Tel Aviv; Asaf- Harofeh, Rishon Lezion) から動員した。疾患活性は、SLEDAI狼蒼活性度指数に従って決定した(Bombardier C. et al. , Arthritis Rheum 35: 630-40 (1992))。36人の性および年齢がマッチした健常対照者ボランティアの対照群もSLE患者と同時に研究した。研究は、医療センターの倫理委員会によって承認された。
【0318】
ヒト16/6 Id mAbのCDR1およびCDR3に基づいたペプチドhCDR1およびhCDR3が、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの特異的な増殖反応を阻害することができるかどうかを調査することに興味が持たれた。この目的のためには、本発明者らは、最初に、ヒト16/6 Id mAbによって刺激されて増殖することができるPBL(応答者)の患者を同定しなければならなかった。
【0319】
従って、62人の継続性SLE患者のPBLをヒト16/6 Idの存在下において培養し、これらの増殖反応およびIL-2を分泌する能力を判定した。試験したSLE患者の合計62(39%)のうち24人のPBLおよび55(42%の)人のうちの23人のPBLが、それぞれ増殖によって(SI≧2、2〜5.6の範囲)、およびIL-2分泌によって(SI≧2、2〜60の範囲)応答した。SLE患者群の応答者の頻度は、対象として試験した健常なドナー群で観察されるよりも低かった。従って、合計36(58%の)人の健常なドナーのうちの21人のPBLが、16/6 Idに対する増殖によって応答した。増殖の範囲(SIレベル)は、16/6 Idに応答したSLE患者および健常対照者について同様であった。しかし、図8に示すように、対照ドナーのPBLの16/6 Idに対する最適な反応は、SLE患者と比較してより高い濃度の16/6 Idで観察された。
【0320】
16/6 Idに応答したSLE患者の性および年齢と非応答者の患者群との間の相違は、証明することができなかった。しかし、PBLが16/6 Idに応答して増殖した患者は、より短い期間だけ病気であった(応答者および非応答者について、それぞれ平均9.788±8.36年、対11.73±12.06年;P<0.036)。表16には、SLE患者の16/6 Id応答者および非応答者群の臨床的な特性付けを要約してある。表で分かるように、両群とも、大部分のSLEに関連した臨床症状が同様であった。SLE病活性スコア(SLEDAI)およびSLE診断基準の数も2つの群において同様であった。それにもかかわらず、非応答者の群と比較して、より高い頻度の神経病学的(発作および精神病)および血液学的な関与およびより低い割合の腎臓の関与が、患者の応答者群において示された。しかし、おそらく関連したサブグループの患者数が少ないために、上記の違いは、統計学的有意差に達しなかった。そのうえ、研究時にステロイドまたは細胞障害性薬剤で処置したものの間は、比較的少ない応答者患者で決定した。今までにステロイドを受けていなかった患者が、非応答者群と比較して16/6 Idに応答したことは、注目に値する(54%対21%;P=0.023)。
【0321】
16/6 Idに対する健常なドナーのPBLの増殖反応を阻害するCDRに基づいたペプチドの有効性が、SLE患者のPBLについて観察されたものよりも低かったことは、注目に値する(図示せず)。
【0322】
表16。SLE患者の臨床的および検査上の特性付け。
【表16】
【0323】
*臨床関与がACR改訂基準にしたがって定義された。抗核抗体(ANA)および抗dsDNA抗体は、それぞれHep2細胞およびクリチジア・ルシリアエ(Crithidia luciliae)によって決定した。抗リン脂質の抗体(APLA)は、以下の1つまたは複数のアッセイ法の活性として定義した:偽陽性VDRL、狼蒼抗凝固薬(LAC)、または抗カルジオリピン抗体に対するELISA。
†抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンは、200〜400mg/日の用量で使用し;ステロイド治療は、1日量:5mgプレドニゾンとして定義し;使用した細胞障害性薬剤は、シクロホスファミド(0.75〜1.0g/m2;月)、またはアザチオプリン(100〜150mg/日)であった。
‡応答者および非応答者のSLE患者の2つの群の違いに対して傾向が観察された観察されたパラメーター。
【0324】
ペプチドhCDR1およびhCDR3がヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖反応を阻害する能力を試験するために、SLE患者のPBL(2×105/ウェル)をインビトロにおいて種々の濃度の(0.1〜20μg/ウェル)16/6 Id mAbで3回、ペプチドhCDR1およびhCDR3(50または100μg/ウェル)の非存在下または存在下で刺激した。インキュベーションの6日後、3H-チミジン(0.5μCiの5Ci/mmol)をそれぞれのウェルに添加し、さらに18時間インキュベーションした。次いで、細胞を集めて、β-カウンターで放射活性を計数した。結果は、3回の培養の平均毎分放射能数(cpm)として現した。次いで、刺激指数(16/6 Idのない平均cpmに対する最適濃度の16/6 Idを伴った時の平均cpmの比率)を算出した。刺激指数(SI)>2を養成と見なした。
【0325】
合計62人(39%)のSLE患者のうちの24人のPBLでは、16/6 Id mAbに対する増殖が見いだされた。ペプチドhCDR1およびhCDR3が16/6 Id自己抗体の全分子に対する増殖反応を阻害する能力を19人の応答者SLE患者のPBLで試験した。
【0326】
表17は、これらの実験の結果を示す。増殖能力の50%以上の阻害を養成と見なした。表は、それぞれのペプチドについて最も養成の阻害能力を表す。試験した19人の応答者の中で、ヒトhCDR1およびhCDR3がそれぞれ16/19(84.2%)および15/19(78.9%)のPBLの増殖を阻害したことが分かる。両方のペプチドとも、試験した応答者の18/19(95%)のPBLの増殖を阻害した。また、表において、阻害の大きさが両ペプチドで同じであったことが分かる。従って、ヒト16/6 Id mAbのCDR1およびCDR3に基づくペプチドは、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖の効率的な阻害剤であると結論づけることができる。
【0327】
表17
ペプチドhCDR1およびhCDR3によるSLE患者のPBLの増殖の阻害。
【表17】
【0328】
実施例15
hCDR1およびhCDR3の阻害能力の特異性
hCDRに基づいたペプチドの阻害作用は、SLEに関連した反応に特異的であることを証明することが重要である。このために、ペプチドhCDR1またはhCDR3を分裂促進因子の植物性血球凝集素(PHA、2μg/ml)で刺激したSLE患者のPBLの培養液に添加した。1人のSLE患者のPBLで行ったこのような実験の結果を図9に示してある。ペプチドhCDR1およびhCDR3は、分裂促進因子PHAに対するPBLの増殖反応(cpmで現してある)を阻害することができず、増殖反応は、hCDR1またはhCDR3のいずれかの非存在下(黒いカラム)または存在下においても同様に高かった。
【0329】
別の実験では、SLE患者のPBLの培養液をヒト16/6 Id mAbで刺激してヒト・ペプチドhCDR1またはhCDR3と共に、または対照としてペプチドIIIaと共にインキュベートした。1人のSLE患者のPBLによって行ったこのような実験の結果を図10に示してある。図10に示すように、ヒト自己抗体を主成分としたペプチドhCDR1およびhCDR3は、ヒト16/6 Id mAbに対するPBLの増殖反応を効率的に阻害したが、マウスの抗体のCDR3に基づくペプチドmCDR3(すなわちペプチドIIIa)は、増殖を阻害しなかった。
【0330】
2つのさらなる対照ペプチド、すなわち逆向きで合成したペプチドのIaおよびIIIaプチドをこれらの実験に使用し、結果を図11に示してある。2つの逆向きのペプチドは、ヒト16/6 Id mAbに対するSLE患者のPBLの増殖反応を有意に阻害することができなかったが、hCDR1およびhCDR3は、効率的に増殖を阻害することが分かり、ヒトhCDRに基づいたペプチドによる増殖の阻害がペプチドに対して、およびSLEに関連したT細胞応答に対して特異的であることを証明している。
【0331】
実施例16
ペプチドhCDR1およびhCDR3Itの存在下におけるSLE患者のPBLによるIL-2の分泌のダウンレギュレーション
hCDRペプチドが、ヒト16/6 Id mAbによる刺激に続くSLE患者のPBLによるIL-2分泌を阻害することができるかどうかを見いだすことは興味が持たれた。また、このような阻害は、ヒトCDRに基づいたペプチドがIL-2分泌をダウンレギュレートすることによって部分的に少なくとも16/6 Id mAbに対する増殖反応を阻害することを示唆するかもしれない。この目的のために、SLE患者のPBLをペプチドhCDR1またはhCDR3の非存在下または存在下でヒト16/6 Id mAbと共にインキュベートした。培養上清を48時間のインキュベーション後に収集した。上清中のIL-2のレベルを決定するためのアッセイ法は、CTLLIL-2依存的な株を使用して行った。簡単には、CTLL株化細胞(2×104/ウェル)を種々の上清の存在下において24時間インキュベートし、さらに18時間インキュベーション期間のための3H-チミジンを添加した。次いで、細胞を集め、放射活性をβカウンターを使用して計数した。結果は、標準として使用した組換えヒトIL-2に基づいて算出した。ヒト16/6 Idによって刺激した23人の応答者のPBLのIL-2分泌をペプチドが阻害する能力を試験した。結果は、表18に要約してあり、hCDR1およびhCDR3は、それぞれ21/23および19/23の患者のPBLによるIL-2の分泌を阻害した。PBLの増殖反応の阻害は、CDRに基づいたペプチドによるIL-2阻害と直接相関した。従って、IL-2分泌の阻害は、増殖の阻害を判定した全例において観察された。
【0332】
図12に示した1人のSLE患者のPBLで得られた結果(IL-2の分泌は、pg/mlで現してある)は、hCDR1およびhCDR3の両者が、ヒト16/6 Id mAbによってトリガーされるSLE患者のPBLによるIL-2分泌を100%阻害したことを示す。
【0333】
表18。hCDR1およびhCDR3によるIL-2分泌の阻害
【表18】
【0334】
実施例17
CDRに基づいたペプチドによる免疫抑制性サイトカインTGF-β分泌のアップレギュレーション
ヒトCDRに基づいたペプチドがヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体に対する増殖反応を阻害する機構についての光を注ぐための試みとして、細胞培養上清中の免疫抑制性サイトカインTGF-βのレベルを決定した。これらの実験の陰にある正当性は、ヒト抗DNA 16/6 Id mAbで誘導されたか、またはマウスCDRに基づいたペプチドでの処置後の自然発生的な{(NZB x NZW) F1 マウス}SLEとのマウス脾細胞の培養における高レベルのTGF-βの本発明者らの以前の知見に基づいている (Eilat, E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 98, 1148 (2001) )。TGF-βレベルの上昇は、処置マウスの疾患徴候の改善と相関した。
【0335】
このために、ペプチドhCDR1もしくはhCDR3の非存在下または存在下でヒト16/6 Id mAbと48時間インキュベーションした後に上清を種々のSLE患者のPBLの培養液から取り出した。TGF-βの存在は、製造業者の説明書に従ってELISAによって決定した。簡単には、Maxisorbプレート(Nunc)をPBS(100ng/ml)に希釈した組換えヒトTGFβsRII/Fcキメラ(R & D Systems)でを被覆した。ブロッキング後に、細胞上清を添加した。18時間のインキュベーション後に、検出用ビオチン化抗ヒトTGF-β抗体(R & D Systems)を添加した。使用した基質溶液は、TMB Colour Reagent(Helix Diagnostics)であり、酵素活性は、MRX ELISAリーターによって570nmおよび630nmフィルターを使用して評価した。結果を表19に要約してある。
【0336】
図13の結果は、ペプチドhCDR1およびhCDR3が、病原性ヒト16/6 Id mAbで刺激された1人の代表的なSLE患者のPBLによるTGF-βの分泌(pg/mlで現した)の有意なアップレギュレーションをトリガーしたことを証明する。
【0337】
表19
hCDR1およびhCDR3ペプチドでの、SLE患者のPBLの16/6 Id誘導刺激のTGF-β分泌のアップレギュレーション。
【表19】
【0338】
実施例18
MMP-9の活性は(しかし、MMP-2ではなく)、SLE患者の血清において上昇する
本実施例では、本発明者らは、40人のSLE患者の血清中のMMP-9およびMMP-2レベルを決定し、本発明者らは、MMP-9(しかし、MMP-2ではない)活性は、健常対照者と比較してSLE患者の血清において有意に上昇していることを証明する。高いMMP-9活性は、円板状の発疹の存在、レーノー現象、間質性肺炎、粘膜の潰瘍、および抗リン脂質抗体(APLA)の存在と相関した。加えて、MMP-9レベルの上昇は、男性患者群のSLE活性と相関した。 材料および方法
患者。SLEの32人の女性および8人の男性の40人の患者がこの研究に参加した。全ての患者は、米国リウマチ学会(ACR)のSLEに関する改正診断基準のうちの少なくとも4つを満たした(Tan E. M. et al. , Arthritis Rheum 25: 1271-77 (1982) )。25人の性および年齢がマッチした健常ボランティアは、本発明者らの研究の対照群として仕えた。診断時の患者の平均年齢は、29±9.7(範囲15〜48)歳であり、平均追跡調査期間は11±10(範囲1〜32)年であった。疾患活性は、SLEDAI狼蒼活性度指数(Bombardier et al. , 1992)およびBILAG指数(Hay E. M. etal. , Q. J. Med. 86: 447-58 (1993))に従って決定した。研究は、カプラ医療センター(Kaplan Medical Center, Rehovot, Israel.)の倫理委員会によって承認された。
【0339】
活性アッセイ法キットによるMMP-2およびMMP-9の測定。MMP-2およびMMP-9の活性は、特異的なBiotrak MMP-2またはMMP-9活性アッセイキットによって、製造業者の説明書に従って測定した(Amersham Pharmacia Biotech UK Limited, UK)。MMP-2およびMMP-9活性の決定のために、血清をそれぞれ1:100および1:32に希釈した。適切な標準をそれぞれのアッセイ法に加えた。MMPsの総含量を測定するために、MMPsのプロ形態の活性化をp-アミノ酢酸フェニル水銀アセテート(APMA)を使用して行った。
【0340】
MMP-2およびMMP-9活性のゲル酵素電気泳動法による測定。MMP-2およびMMP-9活性は、ゼラチン酵素電気泳動法によって試験した。5μlの血清試料を1mg/mlのゼラチンと重合した8%のSDS-PAGEゲルによって分離した。ゲルを2.5%のトリトンX-100中で30分間一度洗浄してSDSを除去し、50mMのトリス-HCl、200mMのNaCl、10mMのNaCl2、および0.02%(w/v)のBrij 35(pH7.5)を含む反応緩衝液中の30分間一度洗浄した。反応緩衝液を新しいものに交換、ゲルを37℃で24時間インキュベートした。0.5%のクーマシーブリリアントブルーで染色することによってゲラチン融解活性をゲルを視覚化し、濃度測定によって定量化した。
【0341】
統計解析。データは、カイ二乗またはフィッシャー正確試験(Fisher exact tests)、不対t検定、および両側P値を使用して評価した。ピアソン、スピアマン、および多変量解析も使用した。
【0342】
実施例18(i)
MMP-9の活性は、SLEで上昇するが、MMP-2では上昇しない
上記およびPCT国際公開番号WO02/067848に記載されているように、MMP-9は、いくつかの自己免疫疾患に、並びにSLEの動物モデルに関与していることが示された。従って、本発明者らは、MMP-9がまた、SLE患者の血清中で上昇するかどうかを研究することに興味を持たれた。このために、本発明者らは、40人のSLE患者の血清、および25人の健常対照者の血清を、MMP-9およびMMP-2活性を視覚化することができるゲル酵素電気泳動法によって検査した。代表的なゲルを図14に示してある。この図で分かるように、MMP-9レベルは、健常対照者と比較したときに、SLE患者の血清で上昇する。40人のSLE患者および25人の健常対照者の血清の酵素電気泳動像での濃度測定の解析では平均MMP-9活性は、、SLE患者について109±5.6濃度測定ユニットであり、健常対照者について76.5±4.2濃度測定ユニット(P=0.0001)であった。85濃度測定ユニット以上の活性値を高いとみなした(健常対照者+2s.e.の平均)。結果は、SLE患者の68%において高活性レベルのMMP-9を示した。3%の健常対照者のみが、高いMMP-9活性を示した(P=0.001)。同じ血清試料中のMMP-2レベルの濃度測定の解析により、SLE患者と健常対照者の血清間のMMP-2活性の違いが有意であることが明らかとなった。したがって、健常対照者およびSLE患者について、それぞれ109±7および123±5.を決定した(平均活性の濃度測定ユニット±s.e.)(P=0.0531)。さらに血清中のMMP-9およびMMP-2の活性レベルを定量化するために、本発明者らは、活性アッセイキットを使用した。
【0343】
図15は、MMP-9の活性が健常対照者の血清と比較してSLE患者の血清において三倍に上昇すること、およびこの上昇は、統計学的に有意であること(P=0.0302)を示す。対照的に、2つの群間のMMP-2のレベルの相違は有意ではない(P=0.1254)。
【0344】
本発明者ら、並びにその他(Ebihara I. et al., AmJ Kidney Dis 32: 544-50 (1998) ; Ebihara I. et al. , Nephron 83: 169 (1999))は、おそらく酵素の保持によるために、非SLE慢性腎不全(たとえば、糖尿病、高血圧症)の患者の血清中に高MMP-9レベルを検出し、本発明者らは、MMP-9のレベルと試験したSLE患者群の腎機能との間の相互関係を解析した。クレアチニン濃度とMMP-9レベルの間に相互関係は観察されず(r2=0.01)、SLE患者での高レベルのMMP-9は、じん臓機能障害による酵素の保持の結果ではなかったことを示している。
【0345】
実施例18(ii)
臨床的および検査上のパラメーターとMMP-9活性の相関
SLE患者の血清中のMMP-9の活性レベルの上昇は、臨床的および検査上のパラメーターと血清MMP-9レベルとの間に相互関係がある可能性があるように本発明者らには見えた。それぞれの臨床症状(表20)について高いおよび正常なMMP-9レベルを有する患者数を調査することによって、並びに一定の臨床症状の有し、または有さない患者について実際のMMP-9の平均活性レベルを考慮することによって、統計解析(カイ二乗またはフィッシャー正確試験)を行った。結果は、両解析で同じであった。全ての臨床症状について、MMP-9レベルが上昇した患者のパーセントが、健常対照者の群におけるよりも高いことは、注目に値する。MMP-9のレベルは、性、疾患の期間、またはその発症年齢と相関しなかった(ピアソン、スピアマン)。
【0346】
表20は、SLE患者の、これらのMMP-9活性レベル(より低い、または健常対照者=正常と同等)に従った臨床的および検査上の特徴を示す。 高レベルのMMP-9は、レイノー現象(P=0.0138)およびAPLA(P=0.041)の存在と有意に相関した。間質性肺炎、円板状の発疹、神経疾患、および粘膜の潰瘍で強い相互関係を観察することができた。しかし、後の徴候を有する患者の数は、統計解析を行うには少なすぎた。多変量解析により、レイノー現象および低い補体(C3、C4)レベルが高いMMP-9レベルと明らかに相関されることが明らかになった(それぞれ、P=0.0001および0.0137)。対照的に、感光性、関節炎、および血液疾患は、MMP-9活性レベルとネガティブに相関する(それぞれ、P=0.0381、0.0014、および0.0065)。
【0347】
表20
高いおよび正常なMMP-9活性を有するSLE患者の、彼らのMMP-9レベルに従った臨床的特徴付け
【表20】
【0348】
臨床的関与は、ACRの改訂基準に従って定義した(Winchester、1996)。抗核抗体(ANA)および抗dsDNA抗体は、それぞれHep2細胞およびクリチヂア・ルシリエ(Crithidia lucilie)を使用して決定した。抗リン脂質の抗体(APLA)は、以下のアッセイ法の1つまたは複数との反応性として定義した:偽陽性VDR、狼蒼抗凝固薬(LAC)、または抗カルジオリピン抗体に対するELISA。
【0349】
また、本発明者らは、男性(図16A)および女性患者(図16B)のSLEDAIとMMP-9活性の間の相互関係の可能性を調べた。面白いことに、相関係数は、男性に有意であり、ポジティブであったが(r2=0.6333)、女性に対しては、有意ではなく、ネガティブであった(r2=0.0571)。BILAGスコアリング系を使用しても、同様の結果が得られた。従って、MMP-9活性とBILAGスコアとの間のポジティブな相関係数は、男性について観察されたが(r2=0.
6442)、女性については有意でなかった。
【0350】
また、患者による種々の治療様式の使用とMMP-9活性の間に相互関係が存在するかどうかを決定することも興味がもたれた。表21(A)で分かるように、患者の現在の治療とMMP-9活性との間に有意な相互関係はなかった。しかし、本発明者らは、彼らの疾病経過の間いつでも患者の治療に注目すると(表21(B))、高いMMP-9レベルは、細胞障害性薬(82%)の使用と関連があった。
【0351】
表21
SLE患者の彼らのMMP-9レベルに従った治療様式
【表21】
【0352】
実施例18(iii)
種々の時点で個々のSLE患者から採取した血清試料中のMMP-9活性の変動
疾患活性は時間とともに変化するので、本発明者らは、4〜6年の追跡調査の間に試料を採取した個々患者の血清中のMMP-9およびMMP-2の活性レベルを測定した。種々の時点で採取した9人の患者の血清を解析した。MMP-2のレベルは、患者と健常対照者との間で有意な変化はなかった。試験した9人の患者農地の5人において、時間と共に個々の患者の血清試料中のMMP-9活性の変化を観察することができる。2人の代表的なSLE患者の結果を図17A-Bに示してある。分かるとおり、MMP-9活性は(しかし、MMP-2活性ではない)、同じ患者において時間とともに変化していた。これらの変化は、SLEDAIまたはBILAG系によって定まる疾患活性指標との関連はなかった。MMP-9活性の変化は、種々の時点(データ示ず)でサンプルを採取した5人の健常対照者の血清においては検出されなかった。その他の4人のSLE患者では、MMP-9またはMMP-2活性の実質的変化は観察されず、およびMMP-9活性レベルは、個々患者に応じて高または低いままであった。
【0353】
考察
本研究は、初めてヒトSLEにおけるMMP-9の関与を証明する。本発明者らは、それを示すMMP-9の活性(しかし、MMP-2ではない)が、健常対照者と比較して、68%のSLE患者の血清において有意に上昇する。高いMMP-9レベルは、レイノー現象、間質性肺炎、神経疾患、円板状の頻出、およびAPLAの存在と相関される。MMP-9活性の変化は、疾患の異なる段階で、同じ患者の血清で観察された。MMP-9活性レベルは、女性患者では疾患活性度指数(SLEDAI、BILAG)と相関しなかったが、男性患者の群ではSLE活性と相関した。
【0354】
本研究は、MMP-2の活性レベルがSLE患者の血清中で有意に上昇しないことを示す。これらの結果は、MMP-2レベルは、SLEにおいて増大されなかったという以前の報告と適合する(Zucker, S. J Rheumatol. 26, 78 (1999))。また、MMP-2のレベルは、MMP-9のレベルがに健常対照者と比較した上昇したその他の病状(視神経炎および多発性硬化症など)において恒常的かつ不変であった(Gijbels K et al., J. Neuroimmunol. 41: 29-34 (1992) .; Paemen, L. et al. , Eur. J.Neurol. 1: 55-63 (1994))。
【0355】
MMP-3は、SLE患者の血清においてかなり増大されたので、さらなるMMP、すなわちMMP-3の関与がSLEの発症において示唆された。(Kotajima, L. et al., Clin. Exp. Rheum. 16: 409-415 (1998))。本実施例で示した高いMMP-9活性のSLE患者の頻度(68%)は、SLE(76%)における、およびRA(82%)患者における高いMMP-3について報告された頻度と似ている(Kotajima et al. , 1998)。さらに、MMP-3転写物は、(NZB x NZW)F1マウスの腎炎の進行と共に増大することが示された(Nakamura、T.etal.、Clin.科学85:295-301(1993))。
【0356】
SLE患者の血清中の高いMMPsの起源は、既知でない。MMP-9は、T細胞、好中球、およびマクロファージなどの末しょう血液細胞によって分泌されることが示された(総説についてはGoetzl, E. J. et al. , J. Immunol. 156: 1-4 (1996) を参照されたい)。患者のMMP-9活性レベルと末しょう血液細胞の数との間に相互関係が見いだされたでなかったという事実は、MMP-9が末梢血免疫細胞によって分泌されるのではなく、むしろ腎臓または肺/胸膜などのSLEによる影響を受ける器官によって分泌されることを示唆するであろう。間質性肺炎を伴った全てのSLE患者が高いMMP-9レベルを示したという観察は、高いMMP-9活性の供与源としての病気にかかった肺を示唆するであろう。そのうえ、SLEに関連した器官障害の重篤さを表す細胞障害性の治療と血清中の高レベルのMMP-9との間の関連も、病気の器官がSLE患者におけるMMP-9活性の供与源であるという概念を支持する。それにもかかわらず、より少ない末梢血リンパ球が、より高いMMP-9の活性レベルを分泌したという可能性もなおも存在する。
【0357】
TNF-αおよびIL-1は、両方ともヒト疾患におけるSLEの病原において重要な役割をはたすことが示された(Dean G. S. et al., Ann Rheum Dis 59: 243-51 (2000))、およびマウスのモデルにおいて、(Segal R. et al., J Immunol 158: 3009-16 (1997) ; Theofilopoulos A. N. et al., Ann Rheum Dis 58 (suppl) : 149-55 (1999) ; Eilat et al., 2001)。これらのサイトカインがMMP-9生産を誘導することが、いくつかの系において示されており(Guedez, L. et al., Crit. Rev. Oncogenesis 7: 205-225 (1996))、したがって、後者のMMPの誘導は、SLEにおけるこれらのサイトカインの病原性の効果の一部であるのかもしれない。健康な個体の末梢血単球によって自発的に分泌されるMMP-9のレベルは、TNF-αおよびIL-1に対する暴露によってアップレギュレートされることが報告された(Saren P. et al., J Immunol 157: 4159-65 (1996))。加えて、T細胞およびマクロファージのMMPは、膜結合型の形態の切断によって分泌型のTNF-αを促進する(Gearing A. J. H. et al., Nature 370: 555-7 (1994))。従って、これらの実施例は、炎症誘発性のサイトカインに対するMMPの相互の調整効果およびその逆を証明する。それにもかかわらず、数人の患者の血清では、MMP-9の活性レベルが追跡期間の間にも正常範囲のままであったが、高い活性レベルのMMP-9が大部分の患者の血清で測定されたという事実は、後者の調節に遺伝的要因が関与することを示唆しているであろう。
【0358】
本明細書の結果は、MMP-9がSLEの発生において役割を果たすかもしれないこと、およびMMP-9活性を妨げる薬物によって治療された患者をモニターするときに、このメタロプロテイナーゼの血漿/血清の活性レベルの測定が重要な情報を提供するであろうことを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む薬学的組成物であって:
水性キャリアと;
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28は、GlyまたはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたβ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含み、
前記ペプチドおよび前記溶解度エンハンサーは、両方とも水性キャリアに溶解され;かつ、
前記組成物は、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物。
【請求項2】
前記組成物の少なくとも0.5mg/mlが、薬学的に許容される前記ペプチドの塩である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ペプチドが、以下からなる群より選択される配列を有する、請求項1または2に記載の薬学的組成物:
NH2-Thr Gly Tyr Tyr Met Gln Trp Val Lys Gln Ser Pro Glu Lys Ser Leu Glu-Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 1) ;
NH2-Glu Ile Asn Pro Ser Thr Gly Gly Thr Thr Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Ala Lys Ala Thr-COOH(SEQ ID NO : 2) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Phe Leu Trp Glu Pro Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Ser-COOH(SEQ ID NO : 3) ;
NH2-Gly Tyr Asn Met Asn Trp Val Lys Gln Ser His Gly Lys Ser Leu Glu Trp Ile Gly-COOH (SEQ ID NO : 4) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser Gly Arg Tyr Gly Asn Tyr Trp Gly Gln Thr Leu-COOH (SEQ ID NO : 5) ;
NH2-Gly Tyr Tyr Trp Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Glu Glu Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 6) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Gly Met Asp Val-COOH(SEQ ID NO : 7) ;
NH2-Phe Ser Gly Tyr Tyr Trp Ser-COOH(SEQ ID NO : 8) ;
NH2-Glu Ile Asn His Ser Gly Ser Thr Asn Tyr Lys Thr Ser Leu Lys Ser-COOH(SEQ ID NO : 9) ;および、
NH2-Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Tyr Gly Met Asp Val- COOH(SEQ ID NO : 10) 。
【請求項4】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記ペプチドは、
X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、Gly、またはThr Glyであり;X34はArgまたはLysであり;X35は、Pro、またはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerである配列を有する連続したアミノ酸を含む薬学的組成物。
【請求項5】
前記溶解度エンハンサーが、置換されたβ-シクロデキストリンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記置換されたβ-シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル、スルホブチルエーテル、またはスルホプロピルエーテル置換されたβ-シクロデキストリンである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
置換されたβ-シクロデキストリンが、置換されたスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記溶液中のペプチドの濃度が少なくとも1mg/mlである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記溶液中のペプチドの濃度が、少なくとも2.5mg/mlである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記組成物が6.5〜8.5の間のpHを有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記組成物が7.5〜8.5の間のpHを有する、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記薬学的に許容される塩が酢酸塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
請求項5に記載の薬学的組成物であって、前記薬学的に許容される塩は、酢酸塩であり、かつ置換されたβ-シクロデキストリンは、ヘプタ-(スルホブチルエーテル)-β-シクロデキストリンである薬学的組成物。
【請求項14】
ヒト被験者の全身性エリテマトーデス(SLE)の症状を軽減する方法であって、前記ヒト被験者に対して、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を、前記ヒト被験者のSLEの症状を軽減するために有効な量で投与することを含む方法。
【請求項15】
ヒト被験者のSLEの治療に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を製造するための方法であって、以下のe)〜h)の工程を含み:
e)ジメチル-アセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリジノン、1-エテニル-2-ピロリドン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、または置換されたβ-シクロデキストリンの水性キャリア溶液を、予め定められた濃度で調製することと;
f)予め定められた量の以下の1)〜4)の薬学的に許容される塩を添加することと、
1)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
2)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
3)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
4)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、
g)前記溶液に前記ペプチドが溶解するまで前記工程b)の溶液のpHを調整することと;並びに、
h)必要に応じて、前記工程c)の溶液のpHを4〜9のpHに合わせることと、
を含み、
これにより薬学的組成物を製造する方法。
【請求項17】
前記ペプチドの予め定められた量が、少なくとも0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
記ペプチドの予め定められた量が、少なくとも0.5mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ペプチドの予め定められた量が、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である、請求項16、17、または18に記載の方法。
【請求項20】
工程b)が、前記溶液を1時間混合することをさらに含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
工程c)において、前記pHは、1.0 NのHClまたはNaOHを使用して調整される、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
酢酸セルロースフィルターを通して前記工程d)の溶液を濾過することをさらに含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法であって、
前記ペプチドの予め定められた量は、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlで薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量であり;
工程b)は、前記溶液を1時間混合することをさらに含み;および、
工程c)において、pHは、1.0 NのHClまたはNaOHを使用して調整され、
酢酸セルロースフィルターを通して前記工程d)の溶液を濾過することをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項16〜23のいずれか1項に記載の方法によって調製される組成物。
【請求項25】
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたΒ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含む凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項26】
前記組成物の少なくとも0.5mg/mlが、前記ペプチドの前記薬学的に許容される塩である、請求項25に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項27】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-40℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定の時間-40℃に温度を保持することと;
h)20℃に前記溶液の温度を上げることと;
i)所定時間20℃に温度を保持することと;および、
j)減圧して、所定時間20℃に温度を保持することと、
を含み、これにより、薬学的組成物を凍結乾燥する方法。
【請求項28】
工程a)が2時間以内で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程b)が3時間以内で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程c)が13時間以上行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
工程c)が110μバールの圧力で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
工程d)が13時間以上行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
工程d)が110μバールの圧力で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
工程e)において、前記圧力が10μバールに減少される、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
工程e)が5時間以上行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
請求項27に記載の方法であって、
工程a)は2時間以内で行われ;
工程b)は3時間以内で行われ;
工程c)は13時間以上で、110μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上で、110μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は5時間にわたって行われ、圧力は10μバールに減少される方法。
【請求項37】
請求項27〜36のいずれか1項に記載の方法によって調製される凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項38】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-45℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定時間-45℃に温度を保持することと;
h)-20℃に溶液の温度を上げることと;
i)25℃に溶液の温度を上げることと;および、
j)所定時間25℃に温度を保持することと、
を含み、これにより薬学的組成物を凍結乾燥する方法。
【請求項39】
工程a)が6時間以内で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
工程b)が3時間以内で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
工程c)が19時間以上行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
工程c)が150μバールの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
工程d)が13時間以上行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
工程d)が、150μバールの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
工程e)が8時間以上行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
工程e)が150μバールの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
請求項38に記載の方法であって、
工程a)は6時間行われ;
工程b)は3時間行われ;
工程c)は19時間以上で、150μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上で、150μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は8時間以上で、150μバールの圧力で行われる方法。
【請求項48】
請求項38〜47のいずれか1項に記載の方法によって調製される凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項49】
前記組成物の水含有量が5%未満である、請求項48に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項50】
前記組成物の水含有量が4.0%未満である、請求項49に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項51】
前記組成物の水含有量が3.5%未満である、請求項50に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項52】
以下から構成されるパックされた薬学的組成物:
パッケージ材;および、
予め定められた量の請求項37または48に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項1】
以下を含む薬学的組成物であって:
水性キャリアと;
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28は、GlyまたはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたβ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含み、
前記ペプチドおよび前記溶解度エンハンサーは、両方とも水性キャリアに溶解され;かつ、
前記組成物は、4〜9の間のpHを有する薬学的組成物。
【請求項2】
前記組成物の少なくとも0.5mg/mlが、薬学的に許容される前記ペプチドの塩である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ペプチドが、以下からなる群より選択される配列を有する、請求項1または2に記載の薬学的組成物:
NH2-Thr Gly Tyr Tyr Met Gln Trp Val Lys Gln Ser Pro Glu Lys Ser Leu Glu-Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 1) ;
NH2-Glu Ile Asn Pro Ser Thr Gly Gly Thr Thr Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Ala Lys Ala Thr-COOH(SEQ ID NO : 2) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Phe Leu Trp Glu Pro Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Ser-COOH(SEQ ID NO : 3) ;
NH2-Gly Tyr Asn Met Asn Trp Val Lys Gln Ser His Gly Lys Ser Leu Glu Trp Ile Gly-COOH (SEQ ID NO : 4) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser Gly Arg Tyr Gly Asn Tyr Trp Gly Gln Thr Leu-COOH (SEQ ID NO : 5) ;
NH2-Gly Tyr Tyr Trp Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Gly Lys Gly Glu Glu Trp Ile Gly-COOH(SEQ ID NO : 6) ;
NH2-Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Gly Met Asp Val-COOH(SEQ ID NO : 7) ;
NH2-Phe Ser Gly Tyr Tyr Trp Ser-COOH(SEQ ID NO : 8) ;
NH2-Glu Ile Asn His Ser Gly Ser Thr Asn Tyr Lys Thr Ser Leu Lys Ser-COOH(SEQ ID NO : 9) ;および、
NH2-Gly Leu Leu Arg Gly Gly Trp Asn Asp Val Asp Tyr Tyr Tyr Gly Met Asp Val- COOH(SEQ ID NO : 10) 。
【請求項4】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記ペプチドは、
X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、Gly、またはThr Glyであり;X34はArgまたはLysであり;X35は、Pro、またはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerである配列を有する連続したアミノ酸を含む薬学的組成物。
【請求項5】
前記溶解度エンハンサーが、置換されたβ-シクロデキストリンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記置換されたβ-シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル、スルホブチルエーテル、またはスルホプロピルエーテル置換されたβ-シクロデキストリンである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
置換されたβ-シクロデキストリンが、置換されたスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記溶液中のペプチドの濃度が少なくとも1mg/mlである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記溶液中のペプチドの濃度が、少なくとも2.5mg/mlである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記組成物が6.5〜8.5の間のpHを有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記組成物が7.5〜8.5の間のpHを有する、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記薬学的に許容される塩が酢酸塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
請求項5に記載の薬学的組成物であって、前記薬学的に許容される塩は、酢酸塩であり、かつ置換されたβ-シクロデキストリンは、ヘプタ-(スルホブチルエーテル)-β-シクロデキストリンである薬学的組成物。
【請求項14】
ヒト被験者の全身性エリテマトーデス(SLE)の症状を軽減する方法であって、前記ヒト被験者に対して、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を、前記ヒト被験者のSLEの症状を軽減するために有効な量で投与することを含む方法。
【請求項15】
ヒト被験者のSLEの治療に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を製造するための方法であって、以下のe)〜h)の工程を含み:
e)ジメチル-アセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリジノン、1-エテニル-2-ピロリドン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、または置換されたβ-シクロデキストリンの水性キャリア溶液を、予め定められた濃度で調製することと;
f)予め定められた量の以下の1)〜4)の薬学的に許容される塩を添加することと、
1)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
2)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
3)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
4)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、
g)前記溶液に前記ペプチドが溶解するまで前記工程b)の溶液のpHを調整することと;並びに、
h)必要に応じて、前記工程c)の溶液のpHを4〜9のpHに合わせることと、
を含み、
これにより薬学的組成物を製造する方法。
【請求項17】
前記ペプチドの予め定められた量が、少なくとも0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
記ペプチドの予め定められた量が、少なくとも0.5mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ペプチドの予め定められた量が、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlの、薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量である、請求項16、17、または18に記載の方法。
【請求項20】
工程b)が、前記溶液を1時間混合することをさらに含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
工程c)において、前記pHは、1.0 NのHClまたはNaOHを使用して調整される、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
酢酸セルロースフィルターを通して前記工程d)の溶液を濾過することをさらに含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法であって、
前記ペプチドの予め定められた量は、2.5mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.5mg/ml、または0.1mg/mlで薬学的組成物中のペプチドの終濃度を生じるような量であり;
工程b)は、前記溶液を1時間混合することをさらに含み;および、
工程c)において、pHは、1.0 NのHClまたはNaOHを使用して調整され、
酢酸セルロースフィルターを通して前記工程d)の溶液を濾過することをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項16〜23のいずれか1項に記載の方法によって調製される組成物。
【請求項25】
以下のa)〜d)の0.1mg/ml〜20mg/mlの薬学的に許容される塩の組成物と:
a)以下の配列
(i)ヒト・モノクローナル抗-DNA 16/6 Id抗体の重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、もしくは、
(ii)マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)様の疾患反応を誘導する病原性の抗DNAモノクローナル抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に見いだされるアミノ酸配列、
に対応する配列を有する少なくとも12および多くても30の連続したアミノ酸で含むペプチド、または、
b)以下の配列
(i)TGYYX1X2X3X4X5QSPEKSLEWIG(SEQ ID NO:11)
式中、X1は、Met、Ala、またはValであり;X2は、Gln、Asp、Glu、またはArgであり;X3は、TrpまたはAlaであり;X4は、ValまたはSerであり;およびX5は、Lys、Glu、またはAlaであるペプチド、または、
(ii)EINPSTGGX6X7X8X9X10X11X12KAKAT(SEQ ID NO:12)、
式中、X6およびX7は、それぞれのThr、Val、またはAlaであり;X8は、TyrまたはPheであり;X9は、AsnまたはAspであり;X10は、GlnまたはGluであり;X11は、LysまたはGluであり、およびX12は、PheまたはTyrであり;
(iii)YYCARX13X14X15X16PYAX17X18YWGQGS(SEQ ID NO:13)
式中、X13は、Ph、Thr、またはGlyeであり;X14は、Leu、Ala、またはSerであり;X15は、TrpまたはAlaであり;X16は、GluまたはLysであり;X17は、MetまたはAlaであり、およびX18は、Asp、Lys、またはSerであり;
(iv)GYNX19X20X21X22X23X24SHGX25X26LEWIG(SEQ ID NO:14)
式中、X19は、MetまたはAlaであり;X20は、Asn、Asp、またはArgであり;X21は、TrpまたはAlaであり;X22は、ValまたはSerであり;X23は、LysまたはGluであり;X24は、GlnまたはAla;X25は、LysまたはGluであり、およびX26は、SerまたはAlaであり;
(v)YYCARX27X28X29YGX30X31X32GQTL(SEQ ID NO:15)
式中、X27は、SerまたはPheであり;X28はGly、またはAlaであり;X29は、Arg、Ala、またはGluであり;X30は、AsnまたはAspであり;X31は、TyrまたはPheであり、およびX32は、Trp、His、またはAlaであり;
(vi)X33YYWSWIX34QX35PX36X37GX38EWIG(SEQ ID NO:16)
式中、X33は、GlyまたはThr Glyであり;X34は、ArgまたはLysであり;X35は、ProまたはSerであり;X36は、GlyまたはGluであり;X37は、LysまたはAspであり;およびX38は、Glu、Leu、またはSerであり;
(vii)YYCARX39LLX40X41X42X43X44DVDYX45GX46DV(SEQ ID NO:17)
式中、X39は、GlyまたはPheであり;X40は、ArgまたはAlaであり;X41は、GlyまたはAlaであり;X42は、GlyまたはAlaであり;X43は、TrpまたはAlaであり;X44は、AsnまたはAlaであり;X45は、TyrまたはTrpであり;X46は、MetまたはGlnであり;
(viii)FSGYYWS(SEQ ID NO:8);
(ix)EINHSGSTNYKTSLKS(SEQ ID NO:9);または、
(x)GLLRGGWNDVDYYYGMDV(SEQ ID NO:10)、
を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
c)a)およびb)、もしくは(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)の配列のうちの少なくとも2つのいずれかの配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチド、または、
d)(a)(i)、(a)(ii)、および(b)(i)〜(b)(x)に含まれる少なくとも2つの同一の配列を含む配列を有する連続したアミノ酸を含むペプチドと;並びに、
ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリオキシル化されたヒマシ油、N-メチル-2-ピロリドン、1-エテニル-2-ピロリジノン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および置換されたΒ-シクロデキストリンからなる群から選択される溶解度エンハンサーと、
を含む凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項26】
前記組成物の少なくとも0.5mg/mlが、前記ペプチドの前記薬学的に許容される塩である、請求項25に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項27】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-40℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定の時間-40℃に温度を保持することと;
h)20℃に前記溶液の温度を上げることと;
i)所定時間20℃に温度を保持することと;および、
j)減圧して、所定時間20℃に温度を保持することと、
を含み、これにより、薬学的組成物を凍結乾燥する方法。
【請求項28】
工程a)が2時間以内で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程b)が3時間以内で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程c)が13時間以上行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
工程c)が110μバールの圧力で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
工程d)が13時間以上行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
工程d)が110μバールの圧力で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
工程e)において、前記圧力が10μバールに減少される、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
工程e)が5時間以上行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
請求項27に記載の方法であって、
工程a)は2時間以内で行われ;
工程b)は3時間以内で行われ;
工程c)は13時間以上で、110μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上で、110μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は5時間にわたって行われ、圧力は10μバールに減少される方法。
【請求項37】
請求項27〜36のいずれか1項に記載の方法によって調製される凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項38】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組成物を凍結乾燥する方法であって、以下の工程:
f)-45℃まで薬学的組成物の温度を下げることと;
g)所定時間-45℃に温度を保持することと;
h)-20℃に溶液の温度を上げることと;
i)25℃に溶液の温度を上げることと;および、
j)所定時間25℃に温度を保持することと、
を含み、これにより薬学的組成物を凍結乾燥する方法。
【請求項39】
工程a)が6時間以内で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
工程b)が3時間以内で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
工程c)が19時間以上行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
工程c)が150μバールの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
工程d)が13時間以上行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
工程d)が、150μバールの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
工程e)が8時間以上行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
工程e)が150μバールの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
請求項38に記載の方法であって、
工程a)は6時間行われ;
工程b)は3時間行われ;
工程c)は19時間以上で、150μバールの圧力で行われ;
工程d)は13時間以上で、150μバールの圧力で行われ;および、
工程e)は8時間以上で、150μバールの圧力で行われる方法。
【請求項48】
請求項38〜47のいずれか1項に記載の方法によって調製される凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項49】
前記組成物の水含有量が5%未満である、請求項48に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項50】
前記組成物の水含有量が4.0%未満である、請求項49に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項51】
前記組成物の水含有量が3.5%未満である、請求項50に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【請求項52】
以下から構成されるパックされた薬学的組成物:
パッケージ材;および、
予め定められた量の請求項37または48に記載の凍結乾燥された薬学的組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−173888(P2011−173888A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−66343(P2011−66343)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【分割の表示】特願2006−500956(P2006−500956)の分割
【原出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66343(P2011−66343)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【分割の表示】特願2006−500956(P2006−500956)の分割
【原出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
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