説明

全身麻酔薬の作用を低減する装置

呼吸回路又は麻酔送達回路に沿って配置されるように構成された吸入された麻酔を解除する装置は、それを通過するガスから1種又は複数種の麻酔薬を除去するための濾過部と、個体によって吸入されるガス中のCO2レベルを上昇させるための構成部品とを備える。この装置は、呼吸回路のY字状接続具と呼吸回路の個体に連結される部分との間に配置されるように構成される。このCO2レベル上昇要素は、個体のPaCO2レベルを著しく低下させずに、したがって個体の脳内の血流量を低下させずに、個体の換気の増加を促進する。この装置は、CO2量が増大されたガスを個体に吸入させ、こうしたガスから麻酔薬を濾過しながら、麻酔状態にある個体の呼吸数を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、吸入全身麻酔薬の作用を解除する装置及び技術に関する。より詳細には、本発明は、吸入全身麻酔薬の作用を解除するために、換気装置、再呼吸装置、及び任意選択で呼吸モニタ装置を互いに組み合わせて使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
全身麻酔はしばしば、外科手術の実施中に個体に施される。一般的に、全身麻酔を受ける個体は、呼吸回路を経由してベンチレータ(人工呼吸器)に「つながれる」。個体の呼吸、麻酔、及び、場合によっては個体の血液ガス及び血流の監視を簡単にするために、1つ又は複数のセンサを呼吸回路に接続することができる。一般的に、1種又は複数種の麻酔薬が呼吸回路を通して個体に投与される。
【0003】
麻酔を患者に施す間に使用される呼吸回路の例として、当技術分野では「循環式回路」とも呼ばれる循環式呼吸回路、及び本明細書では便宜上「ベイン回路」と呼ぶメープルソン又はベイン式呼吸回路が挙げられる。
【0004】
循環式回路は通常、成人患者に用いられる。循環式回路の呼吸回路における呼気肢部と吸気肢部とは互いに連通し、その間にソーダライム缶などの二酸化炭素除去装置が配置される。呼気肢部と吸気肢部が互いに連通しているので、循環式回路は一般に、吐き出された直後のCO2濃度の高いガスを患者が吸い込むのを防ぐために、2組以上の一方弁を備える。
【0005】
ベイン回路は通常、小柄な患者(例えば子供)に使用される。ベイン回路は、直線状の管を備え、その内部を呼気と吸気の両方が流れる。通常、患者との境界面に向かって新鮮な空気が送られて、吐き出された直後のガスを患者が再び吸い込む前にそこから除去する。患者の呼吸の流れよりも、新鮮な空気の流れの方が強い限り、再呼吸はほとんど又は全く行われない。
【0006】
全身麻酔が個体に施されるときは、使用される麻酔薬のタイプに応じて低濃度で、通常は約1%から約5%の濃度に希釈された呼吸された麻酔薬又は吸入された麻酔薬が患者に与えられる。全身麻酔薬を個体が吸入すると、麻酔薬は肺の内部へと送られ、そこで血流に入り、血液によって他の様々な体組織へと運搬される。麻酔薬の濃度が脳内で十分なレベル又は閾値に達すると、個体は麻酔状態となる。このレベルは、その個体のサイズや体重を含めた個体に特有の様々な要因によって変わる。個体の脳内の麻酔薬濃度が閾値以上に保たれている限り、個体の麻酔状態は維持される。
【0007】
全身麻酔の対象となる処置、通常は手術が完了した後は、一般に、全身麻酔薬の作用を可能な限り早く解除することが望ましい。全身麻酔の作用が解除されると外科チームが手術室を退出することが可能になり、これによって後続の手術のために外科チームが解放され、場合によっては手術のコストが低減される。また、麻酔医が他の患者に向かうことができ、使用される一般的に高価な麻酔薬が節約される。さらに、安全上の理由から、個体が全身麻酔下におかれる時間が最小限になることが望ましい。麻酔を迅速に解除することの他の利点として、高齢患者の手術直後の認知機能が高まり、患者が気道をより迅速に確保することが可能になることが挙げられる。
【0008】
全身麻酔状態を解除又は中断するには、脳内の麻酔薬のレベルを閾値未満に減少させ、又は個体の脳内の麻酔薬をなくす必要がある。
活性炭及びその他の物質を用いて、ガス状の麻酔薬を選択的に吸収できることが久しく以前から知られてきた。すなわち、活性炭は、Psarosらの米国特許第5,471,979号に記載されるものなど、麻酔薬が呼吸回路から漏れて手術室に入るのを防ぐ吸着装置で従来から使用されてきた。この点に関連して、活性炭吸着装置は、一般に麻酔送達システムの排気流内に配置される。手術室内に排気される麻酔ガスの潜在的に有害な作用がそれによって防止される。さらに、ハロカーボン麻酔薬は大気汚染物質であると考えられているため、ガス状の麻酔薬が大気中に放出された場合に生じる汚染が、従来の麻酔薬吸着装置の炭又はその他の吸着剤によって防止される。
【0009】
Westenskowらの米国特許第5,094,235号(以下「Westenskow」)には、ガス状態の麻酔薬を呼吸回路から除去することを促進するために活性炭を使用することが記載されている。こうした技術は、以前に吐き出された麻酔薬を再吸入するのを防ぐのに役立つが、個体の脳から麻酔薬を取り除く速度を高めるために、さらにできることがあるはずである。
【0010】
一般に、脳内の血流量、ならびに個体の呼吸数及び呼吸気量が、当該レベルの麻酔薬が個体の脳から取り除かれる速度を決定する主な要因である。血液は麻酔薬を脳から肺へと運搬するので、脳内の血流量は決定要因である。呼吸数及び呼吸気量は、麻酔薬が血液から取り除かれ肺を通じて体外へと送り出される速度を増加するので重要である。
【0011】
個体の呼吸気量及び/又は呼吸数を増加させ、それによって個体の肺からの麻酔薬除去を促進するために、過換気が利用されてきた。しかし、一般に、過換気によって個体の血中の二酸化炭素(CO2)レベル(PaCO2)が低下する。PaCO2レベルが低下すると、脳は肺に自発的に呼吸するよう命令する信号を送りにくくなり、患者は人口呼吸器からの換気に依存したままになる。Reamerの米国特許第5,320,093号(以下Raemer)を参照されたい。さらに、過換気の結果PaCO2レベルが低下すると、それに対応して脳内血流量が低下し、それによって血液が脳から麻酔薬を運び去る速度が実質的に低下することが知られている。
【0012】
このような過換気中のPaCO2レベルの大幅な低下を防ぐために、以前に吐き出されたCO2濃度の高い空気を個体が「再び吸い込む」再呼吸プロセスが利用されてきた。しかし、従来このようなプロセスを実施するために使用されてきた装置は、吐き出された空気を個体が再呼吸する前に、麻酔薬をこの空気から濾過によって除去しない。したがって、患者はその前に吐き出された麻酔薬も再呼吸し、それによって実際上全身麻酔の解除プロセスが長引くことになる。
【0013】
Raemerに記載されたコンピュータ化されたシステムは、過換気及び再呼吸の欠点とされているものを克服するように設計されていた。Raemarのシステムでは、全身麻酔の解除中に、外部供給源からCO2を呼吸回路内に、したがって個体の肺に注入して(すなわち、個体はCO2を再呼吸しない)、麻酔解除、すなわち全身麻酔からの患者の回復の速度を高める。外部供給源からのCO2注入に関するRaemerの教示は、個体脳内に麻酔薬が再導入されることを回避しながら、患者の脳による自発呼吸の再開が促進されるレベルまで個体のPaCO2をできるだけ早く高めることのみに限定されている。Raemerで教示される技術及びシステムは個体の呼吸数又は呼吸気量を増加させることを含まないため、個体が麻酔から回復する速度を加速しない。
【特許文献1】米国特許第5471979号明細書
【特許文献2】米国特許第5094235号明細書
【特許文献3】米国特許第5320093号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、脳内の麻酔薬レベルを下げてその作用を解除するための所要時間を最小限に抑えるために、血液によって麻酔薬が脳から運搬される速度、及び肺によって麻酔薬が体外に放出される速度を上げる方法及び装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、個体が全身麻酔から回復する速度を高める、又は麻酔薬の作用を解除するための方法及び装置を含む。こうした方法及び装置は、個体の脳内を血液が流れる速度を維持又は増加させ、個体の呼吸率及び呼吸量を増加させ、以前に吐き出された麻酔薬を個体が再呼吸するのを防ぐ。
【0016】
本発明による方法は、CO2の割合が高められたガスを少なくとも定期的に個体に吸い込ませながら、個体の呼吸数又は個体によって吸入されるガスの体積を増加させることを含み、これはベンチレータ(人工呼吸器)又はレスピレータ(人工呼吸器)によって実施することができる。これは、個体がすでに吐き出したガスの少なくとも一部を個体に再呼吸させることによって、又は個体によって吸い込まれるガス中のCO2の量を増加させることによって実施することができる。再呼吸されたガスを濾過して、以前に吐き出された1種又は複数の麻酔薬を少なくとも部分的にそこから除去する。一般に、吐き出されたガスを再呼吸する前に実質的にすべての麻酔薬がそこから除去されることが好ましい。
【0017】
本発明の教示を組み込んだ装置は、個体の血液中のCO2レベルを維持するとともに、個体が速い速度で(すなわち正常より速く)呼吸するのを促進し、それによって、個体の脳内へと、及び脳内を血液が流れる速さを少なくとも維持するように構成される。このような装置は、個体によって吐き出されたガスから麻酔薬を選択的に除去するための濾過部と、本明細書では「再呼吸要素」と呼ばれる、個体による部分的な再呼吸を実施するように構成された構成部品、又は個体によって吸入されるCO2のレベルを高めるように構成された別の構成部品とを備える。この装置の再呼吸用構成部品又はCO2レベルを上昇させるその他の構成部品は、個体の血液中のCO2レベル(すなわちPaCO2)を正常に維持し、又は高めながら、個体の呼吸数の増加を促進する。この再呼吸用構成部品又はCO2レベルを上昇させるその他の構成部品はさらに、レスピレータを高容量又は高速で使用して、CO2を高い又は正常なレベルに維持しながら、患者が機械的に換気されることを可能にする。
【0018】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲を考慮することにより、当分野の技術者には明らかになるであろう。
図面には、本発明の例示的な実施形態の様々な面を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を参照すると、本発明による麻酔解除システム10は、呼吸回路50の一部分に沿って個体IとY字状接続具60との間に配置することができ、濾過部20及び再呼吸用構成部品30を備える。吸気肢部52及び呼気肢部54をY字状接続具60に、したがって呼吸回路50に連結することができる。特に、吸気及び呼気肢部が同軸になっている呼吸回路もある。それにもかかわらず、そのような呼吸回路の吸気ホースと呼気ホースとの間の接合部は「Y字状接続具」と呼ばれる。
【0020】
図示のとおり、濾過部20は、マスク又はマウスピースを通して呼吸するとき、吐き出された麻酔薬が麻酔解除システム10の他の部分に流入する前にそれを除去するように、挿管された患者の気管内挿入管の付近に、あるいは個体Iの口及び/又は鼻を覆って配置される。ここで、この麻酔薬は、別のやり方で、吸入された麻酔薬を除去するための麻酔解除システムの表面によって吸着され、その後に個体によって吸入される。もちろん、濾過部20が個体Iと再呼吸用構成部品30との間に配置される限り、濾過部20を麻酔解除システム10の他の位置に配置することも本発明の範囲に含まれる。
【0021】
濾過部20は、図示の例では濾過部20の両側にある(個体Iに対して)近位ポート24及び遠位ポート26を有する、ハウジング22を備える。さらに近位ポート24及び遠位ポート26の両方と連通する麻酔濾過部材28が、ハウジング22内に収容される。
【0022】
近位ポート24及び遠位ポート26はいずれも、標準的な呼吸回路の取付部品と連結できるように構成される。例えば、近位ポート24及び遠位ポート26は、15mm又は22mmの標準呼吸装置用取付部品と連結するように構成できる。したがって、全身麻酔又はその他の吸入された麻酔の解除が望まれるとき、すでに個体Iの気道(すなわち口又は鼻、気管及び肺)と連通している呼吸回路50中に濾過部20を配置することができる。
【0023】
麻酔濾過部材28は、1種又は複数の麻酔薬を選択的に吸着することが知られているいかなる濾過部でもよい。本発明の範囲を限定するためではなく例として挙げると、麻酔濾過部材28は、活性炭又は活性炭素、フィルタ、結晶性シリカ分子ふるい、脂質ベースの吸収剤(例えばこれは、ここでその全体を参照することによって本明細書に組み込むLoughlinらの米国特許第4,878,388号の教示に従って機能する)、圧縮フィルタ、又は個体Iによって吐き出されたガスから麻酔薬蒸気を捕捉又は除去する他のいかなるタイプの濾過機構を含むこともできる。濾過部材28が、活性炭や結晶性シリカなどの粒状材料を含む場合、この粒状材料は、多孔質部材、スクリーン(濾網)などでよい。
【0024】
麻酔濾過部材28は近位ポート24及び遠位ポート26の両方と連通しているので、個体Iによって吸い込まれるガスから麻酔薬を除去するとともに、個体Iによって吐き出されるガスからも麻酔薬を除去する。
【0025】
任意選択として、濾過部20はまた、3M FILTRETE(登録商標)の濾過材又は静電性を帯びたポリプロピレン繊維のベースの濾過材など、当技術分野で公知のタイプの抗菌濾過部材29を含むことができる。麻酔濾過部材28と同様に、抗菌濾過部材29は(例えば濾過部20の近位ポート24及び遠位ポート26によって)呼吸回路50と連通する。したがって、抗菌濾過部材29は、個体Iによって吸い込まれ吐き出される実質的にすべてのガスを受け取り、したがって、こうしたガスからバクテリア、ウィルス、又は病原体を取り除くように配置される。もちろん、濾過部20とは別に抗菌濾過材を備える麻酔解除システムもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0026】
図1に示すように、濾過部20と再呼吸要素30は、互いに直接連通している。以下に更なる詳細を示すように再呼吸要素30は、濾過部20と別々にするのではなく、実際に濾過部20の一部とすることもできる。
【0027】
再呼吸要素30は、個体Iの血液中を特定のCO2レベル(すなわちPaCO2)に維持するある体積又はある大きさのデッドスペースを提供するように構成することができる。図示の例では、再呼吸要素30は、伸縮可能な管である区間32を備える。この管は、個体Iによって再呼吸されることになる、以前に吐き出されたガスを収容するためのデッドスペースの大きさを増すために伸張し、また減らすために収縮させることができる。もちろん、その開示をここで、全体を参照することによって本明細書に組み込むOrrらの米国特許第6,227,196号に記載されたもののうちの1つ(気管ガス吸送装置を除く)など他のタイプの再呼吸装置、又は公知の他のいかなるタイプの部分的再呼吸装置も、麻酔解除システム10で再呼吸要素30として使用することができる。
【0028】
当技術分野で公知のように、本発明による麻酔解除システム10に沿ったいずれかの位置(例えば個体Iの付近、濾過部20と再呼吸要素30との間、Y字状接続具60の付近など)に、呼吸流れセンサ又はそのためのガスサンプリングポート40a、あるいはカプノメータ(吸気二酸化炭素濃度測定機)又はそのためのガスサンプリングポート40bなど別の要素を含めることもまた本発明の範囲に含まれる。例えば、ガスサンプリングポート40a、40bを使用する場合、それらは、呼吸回路50の端部に又はその全長に沿って、又はそれと連通する吸気及び呼気肢部52、54のところに配置されるように構成された取付部品など、(例えばガスサンプリング速度を約50ml/分から約250ml/分に促進するための)従来の構成とすることができる。
【0029】
ここで図2〜図6に移ると、本発明の教示を組み込んだ特定の麻酔解除システムの例が示されている。
図2に示す麻酔解除システムの実施形態10’は、再呼吸導管31’の区間を含む再呼吸用構成部品30’を備える。再呼吸導管31’は、濾過部20とY字状接続具60との間の2つの位置34’及び35’で呼吸回路50と連通している。再呼吸導管31’は、当技術分野で知られた方法で(例えば、波型を形成する方法によって)体積が調整可能な区間32’を備えることができる。1つ又は複数の弁36’、流れ制限体37’、又はそれらの組合せを、導管31’に流入しそこから流出するガスの流れを制御するために、呼吸回路50又は再呼吸導管31’に沿って配置することができる。
【0030】
図3に示す麻酔解除システムの別の実施形態10”は、呼吸回路50ではなく濾過部20”と直接連通する再呼吸用構成部品30”を備える。図示のとおり、再呼吸用構成部品30”は、導管31”のループとして構成される。導管31を通る前及び後にガスが濾過されるように、導管31の端部38”及び39”の一方又は両方が、麻酔濾過部材28の個体I(図1)に対して遠位側のある位置(例えば麻酔濾過部材28と遠位ポート26との間)で、濾過部20”と連通する。再呼吸用構成部品30’(図2)と同様に、再呼吸用構成部品30”は、体積調整可能な区間32”を備える。
【0031】
図4は、麻酔解除システムのさらに別の実施形態10”’を示す。この麻酔解除システム10”’では、濾過部20”’は、個体Iが息を吐いたときに、二酸化炭素濃度の高いガスを少なくとも部分的に収集するデッドスペース空間30”’を提供するように構成される。図示したように、デッドスペース空間30”’は、その内部に収集された呼気がそこに流入するとき、及び後でそこから引き出されるとき(例えば、後で個体I(図1)が息を吸うときなど)に濾過されるように、麻酔濾過部材28の遠位側に配置される。
【0032】
本発明の教示を組み込んだ麻酔解除システムの別の実施形態10””を図5に示す。麻酔解除システム10””は、図4に示し、それに関して説明した麻酔解除システム10”’と極めて類似している。麻酔解除システム10””と麻酔解除システム10”’の主な相違点は、例えば本体22””が占める空間の大きさを(例えば、図示した摺動運動により、又は当分野の技術者には容易に明らかになるそれ以外の方法で)拡大又は縮小することにより、麻酔解除システム10””の、少なくとも部分的に濾過部20””の本体22””によって画定されるデッドスペース空間30””が調整可能であることである。
【0033】
図6A及び図6Bに示す別の代替実施形態である本発明の麻酔解除システム10””’は、吸気肢部52””’と呼気肢部54””’との間に配置された、選択的に寸法設定されたデッドスペースを回路内に設けるための1つ又は複数のシャントライン(迂回路)56””’を備える。本実施形態では、吸気肢部52””’及び呼気肢部54””’は、デッドスペースの一部として働く。二方シャント弁58””’が、吸気及び呼気の流れの方向を選択的に決めるために、各シャントライン56””’に沿って配置される。
【0034】
正常呼吸又は基底(baseline)呼吸中は、図6Aに示すように二方シャント弁58””’が閉位置にあり、斜線部分で示す吐き出されたガスが呼気肢部54””’に流入する。
再呼吸を促進するために、図6Bに示すように、二方シャント弁58””’が開かれて、すべてデッドスペースとして働く、吸気肢部52””’の一部分、呼気肢部54””’のほぼ全体、及びシャントライン56””’を、吐き出された息が満たすことが可能になる。
【0035】
吸気肢部52””’、呼気肢部54””’、及びシャントライン56””’のうち1つまた複数の一部分又は全体に伸縮可能な導管を使用することによって、このデッドスペースを調整可能に伸縮させることができる。
【0036】
図7及び図8を見ると、本発明の麻酔解除システム10を様々な麻酔送出システムと併せて使用する例が示されている。
図7に、循環式回路70を示す。循環式回路70は、(例えば円又はループの形状に)相互連結された吸気肢部52’及び呼気肢部54’を備える。吸気肢部52’及び呼気肢部54’は、呼吸回路50’に連結されたY字状接続具60に連結される。呼吸回路50’は、(例えば挿管、マスク、鼻カニューレによるなど)公知のやり方で個体I(図1)と連結されるように構成される。循環式回路はまた、Y字状接続具60の両側の吸気肢部52’と呼気肢部54’の端部にそれぞれ配置された、少なくとも2つの一方弁72及び74を備える。一方弁72及び74は、呼気が吸気肢部52’に直接流入しないように循環式回路70を通るガスの流れを一方向に制限して、個体Iが呼気肢部54’から直接ガスを吸い込むことを防止する。
【0037】
循環式回路70の吸気肢部52’は、麻酔送達システム300、機械式換気装置又は呼吸袋との連結を促進するポートなどのガス流入口75、あるいは循環式回路70の外部環境(例えば手術室、患者の病室など)からの空気をシステム内部に流入させるガス流入口75を、少なくとも1つ備える。公知のタイプの呼気逃し弁など呼気要素76が、循環式回路70の呼気肢部54’に沿って配置される。
【0038】
図示のとおり、呼気肢部54’と吸気肢部52’は、Y字状接続具60及び個体Iに対して遠位側のある位置でソーダライム缶などの二酸化炭素除去要素77によって結合される。一方弁72は呼気が吸気肢部52’に流入するのを防ぐので、呼気は呼気肢部54’を通って、呼気肢部54’に沿って配置されるバイパス弁78の位置に応じて、場合によっては二酸化炭素除去要素77内へと流され、そこで、こうしたガス中に存在する二酸化炭素量が低減される。
【0039】
さらに、循環式回路70は、麻酔解除システム10を備える。図示のとおり、麻酔解除システムは、バイパス弁78によって循環式回路70の呼気肢部54’と選択的に連通し、二酸化炭素除去要素77と並列に配置される。循環式回路70内に設けることができるデッドスペースの体積は、呼気要素76が呼気を呼気肢部54’内に残留させるか否か、ならびにバイパス弁78が呼気を二酸化炭素除去要素77に迂回させるように配置されるか否かによって変わる。さらに、機械式換気装置がガス流入口75に連結される場合、循環式回路70内のデッドスペースの体積、ガス流入口75が麻酔解除システム10と吸気肢部52’との接合部80にどれだけ近接しているかによって変わる。
【0040】
呼気要素76が少なくとも部分的に閉じている場合は、個体Iによって吐き出され呼気肢部54’を流れるガスの少なくとも一部を、バイパス弁78の位置に応じて二酸化炭素除去装置77から麻酔解除システム10へと方向転換させることができる。バイパス弁78を3つ以上の位置に調整できる場合、麻酔解除システム10と二酸化炭素除去装置77との両方に呼気を流すことができる。したがって、麻酔解除システム10及び二酸化炭素除去要素77内へと流される呼気の量を慎重に調節することによって、個体Iが再呼吸する二酸化炭素の量を制御することが可能になる。さらに、バイパス弁78が以前に吐き出されたガスを麻酔解除システム10内に流すように配置される場合は、麻酔解除システム10内を流れるガス中に残留する二酸化炭素の量が相対的に多くなるが、そのようなガス中に存在する麻酔の量は濾過部20によって低減される。
【0041】
その場合、個体Iが吸息する又は吸息させられるとき、吸い込まれるガス(すなわち呼吸回路50’及び麻酔解除システム10内の残留ガス)の少なくとも一部は、以前に吐き出されたCO2濃度の高いガスとなる。
【0042】
循環式回路70はそれ自体デッドスペースとして働くことができ、個体Iはそこから以前に吐き出した二酸化炭素濃度の高いガスを再呼吸させられるので、循環式回路70内で使用される麻酔解除システム10は再呼吸要素30など追加のデッドスペースを備えないことがある。
【0043】
次に図8を参照すると、本発明の教示を組み込んだベイン回路90が示されている。ベイン回路90は、直線状の呼吸回路50”と、呼吸回路50”の端部51”に配置された患者用インターフェース92と、公知のタイプの麻酔送達システム300、機械式換気装置、呼吸袋、又はベイン回路90の外部の環境と連通するように構成された新鮮なガス流入口94とを、呼吸回路50”の全長に沿って備える。さらにベイン回路90は、呼吸回路50”と連通する麻酔解除システム10を備える。麻酔の作用が解除されていくとき、呼気から除去される麻酔の量を最適にし、個体Iが再呼吸する麻酔薬の量を最小限に抑えるために、麻酔解除システム10は好ましくは患者用インターフェース92に近接して配置される。
【0044】
個体Iが麻酔状態から回復するときにそこから再呼吸するデッドスペース空間を提供するのに有用な様々なシステムを図2から図8に示したが、個体への麻酔作用を解除する目的で機械式呼吸回路内の二酸化炭素の再呼吸を誘発するその他の方法、装置、又はシステムもまた本発明の範囲に含まれる。
【0045】
次に図9を見ると、再呼吸用構成部品ではなく二酸化炭素注入要素130を備える麻酔解除システム110が示されている。図示のとおり、二酸化炭素注入要素130は、呼吸導管150と連通する。麻酔解除システム110の濾過部120もまた、個体Iが吐き出したガス中の麻酔の量を低減させ、したがって、呼吸導管150から引き出され個体Iによって再呼吸されるガス中に残留する麻酔の量を最小限に抑えるために、呼吸導管150に沿って個体I(図1)に近接して配置される。
【0046】
再び図1を参照すると(図9に示しそれを参照して説明した麻酔解除システム110も同じように使用することができるが)麻酔解除システム10を、呼吸回路又は麻酔送達回路(例えば図7及び図8に示したものなど)と連通させて配置して使用することができる。一般には、濾過部20を個体Iに近接して配置し、再呼吸要素30をY字状接続具60の付近に配置することが好ましい。麻酔解除システム110(図9)の場合は、濾過部120に対する二酸化炭素注入要素130の位置が不適切である。
【0047】
再呼吸を促進するための所望の体積のデッドスペースがもたらされるように、デッドスペース体積(例えば、再呼吸要素30内の空間という形の)は麻酔医によって調整されることができる。例えば、デッドスペース空間が少なくとも部分的に波型管内に配置されると、この波型管の長さを拡張及び収縮させることによってデッドスペースの体積を調整することができる。別の例として、デッドスペースの体積が固定されている場合、又は体積調整可能なデッドスペースの場合でも、二酸化炭素が除去された再循環ガスを含めて「新鮮な」ガスの流れを調整することにより、デッドスペース内の二酸化炭素量を調節することができる。「新鮮な」ガスの流れが個体Iの呼吸の流れより弱い場合、デッドスペース内にあるガスの再呼吸が行われることがある。
【0048】
麻酔解除システム10を呼吸回路又は麻酔送達システムと連通させて配置すると、個体Iによって吐き出されたガスが、吐き出されたガスから麻酔薬の少なくとも一部を除去する濾過部20内を通過する。吐き出され濾過されたガスの体積のうち少なくとも一部が、デッドスペース(例えば再呼吸要素30)に入り、一時的にそこにとどまる。また、個体Iによって吐き出されたガス中の麻酔薬レベルを低減させることにより、濾過部20は、個体Iが息を吐き出したときに環境中(例えば、手術室、回復室、外気など)に漏れ出す麻酔薬のレベルを効率的に低減させることができる。
【0049】
個体Iが吸息するとき、吸気の少なくとも一部分は、空気又はベンチレータと連通する吸気ガスの供給源から引き出されるその他のガスがある場合はそれとともに、デッドスペースから(例えば再呼吸要素30から)引き出される。吸気は呼吸回路から引き出されると、濾過部20内部を通過し、そこでその中の麻酔薬が少なくとも一部が除去される。明らかに、ほとんどの麻酔システムでは、非常に高濃度の酸素(>90%)が使用される。したがって、個体Iは、酸素の供給を十分に受けながら、同じガスを何度も再呼吸することができる。
【0050】
一般に、吸入された麻酔の作用を解除する際に、部分的再呼吸プロセス(すなわち、患者によって吸入されるガスの一部分のみが以前に吐き出されたもので、残りの部分は「新鮮」である)を使用することが好ましい。なぜなら、個体Iは麻酔解除中に酸素を必要とするからである。もちろん、全体的な再呼吸プロセスも本発明の範囲に含まれる。個体Iに十分な酸素を供給しながら所望の作用をもたらすために、再呼吸を行う方法を変える又は制御することができる。
【0051】
もちろん、二酸化炭素又は酸素を測定するガスセンサ/モニタ210(例えば公知のタイプの麻酔ガスモニタ)を使用して、個体Iの呼吸ガスをモニタすることができる。また、呼吸流れセンサ/モニタ212を使用して、個体Iの呼吸の流れをモニタすることができる。ガスセンサ/モニタ210ならびに流れセンサ/モニタ212と連通する、処理要素220(例えばコンピュータの処理装置又は制御装置や、論理回路の小さなグループなど)によって、当技術分野で公知のようにガスの濃度を測定することができる。二酸化炭素レベル又は酸素レベル(例えば血液ガス含有量、呼吸気中の分率など)が望ましくないレベルに達した場合、デッドスペース空間(例えば再呼吸要素30内部)又は再呼吸されるガスの体積、及び吐き出されたその他のガス中の酸素又は二酸化炭素の濃度、あるいはそれらの任意の組合せを調整することができる。当然ながら適切なプログラムの制御下で動作し、麻酔解除システム10のベンチレータ、弁(例えばバイパス弁78(図7))の1つ又は複数と接続する処理要素220などによって、こうした調整を自動的に行うことができる。あるいは、処理要素によって提供される指令に従ってなど半自動的に、又は手動でデッドスペースの調整を実施することもできる。
【0052】
本発明の麻酔解除装置で、濾過部20と、個体Iによって吸い込まれる二酸化炭素の量を増加させるための要素(例えば再呼吸要素30又は二酸化炭素注入要素130)とを組み合わせることによって、血流レベルを維持し又は高める正常ないし高レベルのPaCO2を維持し、したがって麻酔薬が脳から除去される速さを維持しながら、個体Iの換気を増加することができる。というのも、換気の増大によって、血液から麻酔薬が除去される速さ、したがって個体Iによって麻酔薬が排出される速さが向上するからである。
【0053】
本明細書に記載された説明の大部分は全身麻酔の解除に焦点を当てているが、本発明の装置及び方法は、吸入された麻酔薬が全身麻酔作用を有するか否かにかかわらず、いかなるタイプの吸入された麻酔の作用を解除するのにも有用であることを理解されたい。
【0054】
以上の説明は多くの具体的な事項を含むが、それらは本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではなく、いくつかの本発明の好ましい実施形態を説明するものにすぎない。同様に、本発明の精神又は範囲を逸脱しない本発明の他の実施形態を案出することができる。異なる別々の実施形態の特徴を組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の範囲は、上記説明によってではなく、添付の特許請求の範囲又はその法的均等物によってのみ限定される。本明細書に記載した本発明に対する追加、削除、及び修正はすべて、特許請求の範囲に包含される趣旨及び範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】呼吸回路の少なくとも一部分と、麻酔状態から回復中の患者が吸い込む二酸化炭素の濃度を上げるための要素と、呼吸回路に沿って配置された麻酔濾過部及びY字状接続具とを備える本発明による麻酔薬解除システムの例を示す概略図である。
【図2】呼吸回路に沿って配置された麻酔濾過部とY字状部品との間に呼吸回路に沿って配置された再呼吸管を備える、図1に示す麻酔解除システムの例示的な実施形態を示す概略図である。
【図3】再呼吸管が麻酔濾過部から出てそこに戻る、図1の麻酔解除システムの例示的な別の実施形態を示す断面図である。
【図4】麻酔濾過部が、再呼吸を実施できるように構成された追加のデッドスペース空間を備える、本発明による麻酔解除システムの別の実施形態を示す断面図である。
【図5】麻酔濾過部が、再呼吸を実施するための体積調節可能なデッドスペースを備える、本発明の教示を組み込んだ麻酔解除システムのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図6A】Y字状接続具から分岐した吸気肢部と呼気肢部との間に1つ又は複数の導管及び弁が配置された、本発明の麻酔解除システムのさらに別の実施形態を示す概略図である。
【図6B】Y字状接続具から分岐した吸気肢部と呼気肢部との間に1つ又は複数の導管及び弁が配置された、本発明の麻酔解除システムのさらに別の実施形態を示す概略図である。
【図7】従来の循環式回路に沿った本発明による麻酔解除システムの使用を示す概略図である。
【図8】本発明の麻酔解除システムを従来のベイン回路と共に使用する状態を示す概略図である。
【図9】患者によって吸い込まれる二酸化炭素の濃度を上げる要素が二酸化炭素注入器を備える、図1に示すタイプの麻酔解除システムのさらに別の実施形態を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入された麻酔からの患者の覚醒を促進する装置であって、
前記患者の肺から脳内へと流れる血液中の麻酔薬濃度を低減させる手段と、
前記患者の脳内の血流を増加させる手段と、
以前に吐き出された麻酔薬を前記患者が吸入するのを防ぐ手段とを備える装置。
【請求項2】
前記血流を増加させる手段が、前記患者によって吸入される二酸化炭素の量を制御する手段を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
吸入された麻酔からの患者の覚醒を促進する装置であって、
前記患者の換気(ベンチレーション)を増加させる手段と、
前記患者に少なくとも大気中の二酸化炭素の量を含むガスを吸入させる手段と、
以前に吐き出された麻酔薬を前記患者が吸入するのを防ぐ手段とを備える装置。
【請求項4】
前記吸入させる手段が、前記患者によって吸入される二酸化炭素の量を制御する手段を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御する手段が、二酸化炭素濃度が固定された空気又はガス混合物を前記患者に吸入させる手段を含む、請求項2又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御する手段が、正常な量を上回る二酸化炭素を含む空気又はガス混合物を前記患者に吸入させる手段を含む、請求項2又は4に記載の装置。
【請求項7】
前記制御する手段が、以前に吐き出されたガスを前記患者に再呼吸させる手段を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記再呼吸させる手段が、前記以前に吐き出されたガスの体積を調整する手段を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記調整する手段が、前記再呼吸させる手段と連通する空間から前記以前に吐き出されたガスの一部が流出することを可能にする手段を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記再呼吸させる手段が、前記以前に吐き出されたガス中の二酸化炭素量を調整する手段を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記調整する手段が、前記以前に吐き出されたガスの一部から二酸化炭素を除去する手段を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記調整する手段が、前記再呼吸させる手段と連通する空間内に流入する新鮮なガスの流量を制御する手段を含む、請求項8乃至11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記吸入させる手段が、実質的に麻酔薬を含まない空気又はガス混合物を前記患者に吸入させる手段を含む、請求項6乃至12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記防止する手段が、前記以前吐き出されたガスから麻酔薬の少なくとも一部を除去する手段を含む、請求項6乃至13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記除去する手段が、前記以前に吐き出されたガスから実質的にすべての麻酔薬を除去する手段を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記除去する手段が、前記以前に吐き出されたガスを濾過する手段を備える、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記患者が病原体を吸入することを防ぐ手段をさらに含む、請求項1乃至16の何れか一項に記載の装置。
【請求項18】
吸入された麻酔からの患者の覚醒を促進するシステムであって、
前記患者によって吐き出されたガスから麻酔剤を少なくとも部分的に除去する濾過部と、
正常量を上回るCO2を含むガスを前記患者に吸入させるCO2レベル上昇用構成部品とを備えるシステム。
【請求項19】
前記CO2レベル上昇用構成部品が、少なくとも以前に吐き出されたガスを前記患者に吸入させるための再呼吸構成部品を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記再呼吸構成部品が、前記濾過部を通過した、以前に吐き出されたガスの少なくとも一部を前記患者に吸入させるように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記再呼吸構成部品が、前記患者による部分的な再呼吸を促進するように構成される、請求項19又は請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記再呼吸構成部品が、前記患者による全体的な再呼吸を促進するように構成される、請求項19又は請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記再呼吸構成部品が、呼吸回路のY字状部品と前記濾過部との間に配置された、所定の長さの導管を含む、請求項19乃至22の何れか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記長さの導管の少なくとも一部分が体積調整可能である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記再呼吸構成部品が、2つの端部を備える所定の長さの導管を含み、前記2つの端部がそれぞれ前記濾過部と連通する、請求項19乃至22の何れか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記長さの導管の少なくとも一部分が体積調整可能である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記再呼吸構成部品が、前記濾過部の本体内部に、当該濾過部の濾過要素の前記患者に対して遠位側に配置されたデッドスペース空間を含む、請求項19乃至26の何れか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記デッドスペース空間が少なくとも部分的に前記本体によって画定される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記デッドスペース空間が調整されるように構成される、請求項27又は28に記載のシステム。
【請求項30】
前記再呼吸構成部品が、
前記濾過部が沿って配置される呼吸回路の吸気肢部と呼気肢部との間に配置されたシャントラインと、
前記シャントラインに沿って配置され、当該シャントラインを通るガスの流れを制御するための弁とを備える、請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記再呼吸構成部品が、前記濾過部が沿って配置される呼吸システムの少なくとも一部分を含む、請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステム。
【請求項32】
吐き出されたガスの少なくとも一部を、前記再呼吸構成部品及び前記濾過部のうち少なくとも一方に対して、選択的に流入させるか又は流出させる弁をさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
少なくとも前記濾過部が連通する、循環式回路及びベイン回路のうちの一方をさらに備える、、請求項18乃至32の何れか一項に記載のシステム。
【請求項34】
吐き出されたガスの少なくとも一部を、前記循環式回路又は前記ベイン回路から前記濾過部へと選択的に流すための、あるいは前記CO2レベル上昇用構成部品と前記循環式回路又は前記ベイン回路との間を連通させるための、弁をさらに含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記再呼吸構成部品が、
取り外し可能な二酸化炭素吸着装置と、
吐き出されたガスに前記麻酔呼吸回路の二酸化炭素吸着装置を迂回させるためのバイパス導管及びそれに連結された弁と、
の少なくとも一つを有する麻酔呼吸回路を備える、請求項18乃至34の何れか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記弁が、前記患者によって吐き出されたガスの少なくとも一部を、前記濾過部内に導入させるか、又は前記CO2レベル上昇用構成部品と前記麻酔呼吸回路とを連通させるかするように構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記CO2レベル上昇用構成部品が、CO2注入要素を含む、請求項18乃至36の何れか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記濾過部が、前記患者によって吐き出されたガスから麻酔を実質的に除去するように構成される、請求項18乃至37に記載のシステム。
【請求項39】
前記濾過部が、周囲に漏出する麻酔のレベルを低減させるように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記濾過部が、前記吸入された麻酔の少なくとも一部のための吸着剤を含む、請求項18乃至39の何れか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記濾過部が、活性炭、結晶性シリカ、脂質性吸収剤、及び圧縮物生成要素のうち少なくとも1つを含む、請求項18乃至40の何れか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記濾過部が、前記患者によって吐き出されたガス中の二酸化炭素及び酸素のうち少なくとも一方の量を実質的に低減させない、請求項18乃至41の何れか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記濾過部がさらに、前記患者によって吸入されるガスから病原体を除去するように構成される、請求項18乃至42の何れか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−521054(P2007−521054A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513186(P2006−513186)
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/012291
【国際公開番号】WO2004/098688
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505407379)アクソン・メディカル・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】