全面床吹き出しシステム
【課題】OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる全面床吹き出しシステムを提供する。
【解決手段】本発明の全面床吹き出しシステムは、床スラブ1と、この床スラブ1上に設けられ吹出孔3bが形成されたフロアパネル3と、該床スラブ1と該フロアパネル3との間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体10と、からなり、該潜熱蓄熱材収容体10は、カゴ状部11と該カゴ状部11を該フロアパネル3側から吊り下げる吊り下げ金具12とを具備することを特徴とする。
【解決手段】本発明の全面床吹き出しシステムは、床スラブ1と、この床スラブ1上に設けられ吹出孔3bが形成されたフロアパネル3と、該床スラブ1と該フロアパネル3との間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体10と、からなり、該潜熱蓄熱材収容体10は、カゴ状部11と該カゴ状部11を該フロアパネル3側から吊り下げる吊り下げ金具12とを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスビル等のビルディングに二重床を敷設し、二重床から室内に空調空気を吹き出す空調方式において、特に昼間等の放熱運転時に潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を放熱し、二重床の吹出孔から室内に給気する全面床吹き出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の床スラブ上に二重床を構築し、二重床内にOA機器用の配線を収納する所謂OAフロアが広く採用され、また、二重床の全面から室内に空調エアを吹き出す全面床吹き出し空調方式が採用され始めている。
【0003】
また、この方式において、従来、二重床の下面に潜熱蓄熱材を配設し、夜間等の蓄熱運転時に潜熱蓄熱材に蓄熱させておき、昼間等の放熱運転時に潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を放熱し、二重床の吹出孔から室内に給気する提案がなされている。このような蓄熱空調によれば、安価な夜間電力を利用して蓄熱し、これを昼間のオフィスアワーに利用することが可能となる。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2003−185373号公報)には、床スラブ上に敷設され、多数の吹出孔が形成された二重床と、床スラブと二重床の間に形成された給気チャンバーと、二重床の下面に配設された、通気性が高く空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、給気チャンバーに接続された空調機とを備えたことを特徴とする潜熱蓄熱材を用いた全面床吹出空調システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−185373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の潜熱蓄熱材を用いた全面床吹出空調システムは、粒状の潜熱蓄熱材を二重床内に設置するものであるが、このときOAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工方法などについての具体的な提案がなされておらず問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、床スラブと、該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該フロアパネル側から吊り下げる吊り下げ金具とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステムである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、床スラブと、該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該床スラブ側から支持するカゴ状部支持体とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステムである。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは一体的に構成されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項2に記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは分離可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より小さな網目の金網が用いられることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より大きな網目の金網が用いられ、該カゴ状部にはネットに封入された該潜熱蓄熱材が載置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の全面床吹き出しシステムによれば、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いるフロアパネル単体の平面図であり、図3は本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。図1及び図3において、1は床スラブ、2は支柱、2aはベース部、2bは下部柱部、2cは上部柱部、2dは支持部、3はフロアパネル、3aは溝、3bは吹出孔、4は給気チャンバー、10は潜熱蓄熱材収容体、11はカゴ状部、12は吊り下げ金具をそれぞれ示している。
【0014】
床スラブ1上には支柱2が立設され、支柱2上に多数のフロアパネル3が敷設され、この構成により、フロアパネル3の下部即ち二重床内には給気チャンバー4が形成される。フロアパネル3には、複数の給気拡散用の溝3aが形成され、また、溝3a内に複数の吹出孔3bが形成されている。さらに、フロアパネル3の四隅には嵌合穴3cが形成されている。
【0015】
フロアパネル3を支持する支柱2は、床スラブ1に接着材により固定されるベース部2aと、ベース部2a上に立設された下部柱部2bおよび上部柱部2cと、フランジ状の支持部2dとからなっている。フロアパネル3は、支柱2の支持部2eによって支持される。
【0016】
潜熱蓄熱材収容体10は、カゴ状部11と吊り下げ金具12とから構成されており、フロアパネル3の四隅の嵌合穴3c並びに吹出孔3bから吊り下げ金具12が所定部位に係合し、潜熱蓄熱材収容体10がフロアパネル3直下に吊り下げられるようになっている。
【0017】
このような構成によるメリットとしては、施工による床の高さの誤差に関係なく潜熱蓄熱材収容体10がフロアパネル3に密着できるため、空気の漏れがなく熱交換性能が高くなる。(床スラブ1の施工精度が数mmであるとフロアパネル3と潜熱蓄熱材収容体10の間に隙間ができ、空気が隙間を流れてしまい、潜熱蓄熱材に流れにくくなる。)
また、本実施形態による構成では、OAフロアをあけるとき、すなわちフロアパネル3と取り外すときに、潜熱蓄熱材収容体10をOAフロアと一緒に取り外すことができる。
【0018】
潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11の高さは、一般的な冷房負荷の事務所ビルで、20mmから60mmとし、通常のOAフロアの高さ(150mm〜200mm)に設置してもカゴの下部に配線スペース、空調スペースを十分に確保することができるようになっている。
【0019】
また、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11は、フロアパネル3の大きさ(500mm×500mm)に相似の形状とすることにより、配線工事時にOAフロアとカゴを同時に取り外すことで配線工事が可能となる。このような構成によって、本発明の全面床吹き出しシステムでは、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0020】
本発明に用いる潜熱蓄熱材は、概略、図4に示すような、円柱状の粒状体であり、短辺Aの長さは1mm〜10mm、長辺Bの長さ2mm〜20mm程度となっている。このような粒状体の潜熱蓄熱材は、ある程度の表面積を確保することでき、伝熱性能が高く、効率的に蓄放熱を実現することができるために採用されるものである。ただ、本発明は必ずしもこのような潜熱蓄熱材を使用することに限定されるものではない。潜熱蓄熱材の主要素材としては、例えばパラフィンなどの相変化物質(Phase Change Material)が用いられ、このような潜熱蓄熱材によって空気との熱交換が行われる。なお、この潜熱蓄熱材 は、ペレット状、サイコロ状、球状などとすることもできる。
【0021】
例えば、この潜熱蓄熱材は、セラミックスや発泡ビーズなどの粒状多孔質体に潜熱蓄熱材料を含浸させ担持させたものとして、潜熱蓄熱材料としては、上記のようなパラフィンなどの芳香族化合物や硫酸ナトリウム10水塩などの無機含水塩を通常質量分率で30〜50の含有率を有するものとすることができる。なお、潜熱蓄熱材料を高分子吸着剤などの網目状分子に封じ込めたものを採用してもよいし、スポンジフィルタなどに潜熱蓄熱材料を担持させたものを採用してもよい。
【0022】
潜熱蓄熱材による蓄熱量は、パラフィン40%含浸(かさ密度780kg/m3 の場合、潜熱43.7J/g)の場合、厚さ30mm設置すると1022kJ/m2 となり、これは床スラブのみの躯体蓄熱を5時間行った蓄熱量1068kJ/m2 に匹敵し、蓄熱量が倍増する。
【0023】
潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11は、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網状のものを使用することにより、潜熱蓄熱材を保持しつつ、通気性を有する構成とすることができる。しかしながら、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網は高価であるので、カゴ状部11の網目は潜熱蓄熱材の粒状体より大きなものとしつつ、潜熱蓄熱材粒状体を、粒状体より細かい目のネットなどの袋にいれて、これをカゴ状部11に載置するような構成とすることもできる。このような構成とすれば、潜熱蓄熱材収容体10の製造コストを削減することできる。
【0024】
以上、本実施形態の全面床吹き出しシステムによれば、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0025】
次に本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムについて説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図であり、図6は本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。フロアパネル3及びフロアパネル3を支持する支柱2の構造は先の実施形態と変わらないので説明を割愛する。
【0026】
本実施形態の潜熱蓄熱材収容体10は、カゴ状部11とこれを四隅で支持するカゴ状部支持体15とか構成されている。カゴ状部支持体15は、床スラブ1に固定されるベース部16と、このベース部16とカゴ状部11と間を連結する支柱部17とからなっている。
【0027】
このような潜熱蓄熱材収容体10は、床スラブ1に置くだけで設置が簡便で施工性の向上を期待することができ、施工費のコストダウンとなる。また、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11の形状等は、先の実施形態と同様とすることができる。本実施形態においても、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0028】
次に本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムについて説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図であり、図8は本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。フロアパネル3及びフロアパネル3を支持する支柱2の構造は先の実施形態と変わらないので説明を割愛する。
【0029】
本実施形態の潜熱蓄熱材収容体10では、カゴ状部11とこれを支持する構造体が別体として構成される。本実施形態のカゴ状部支持体20は、カゴ状部11とは独立した構成であり、床スラブ1に固定されるベース部20aと、このベース部20aと支柱部20bと、カゴ状部11が載置される載置部20cとからなっている。
【0030】
このような潜熱蓄熱材収容体10では、カゴ状部11とこれを支持するカゴ状部支持体20とは施工時に取り付ける。このような構成をとるメリットとしては、OAフロアの高さに応じた、カゴ状部支持体20を調達することで、様々な現場に柔軟に対応することができるということが挙げられる。
【0031】
また、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11の形状等は、先の実施形態と同様とすることができる。本実施形態においても、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0032】
第2及び第3の実施形態においても、潜熱蓄熱材は、図4に示すような、円柱状の粒状体の用いることができる。また、このとき、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11は、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網状のものを使用することにより、潜熱蓄熱材を保持しつつ、通気性を有する構成とすることができる。しかしながら、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網は高価であるので、カゴ状部11の網目は潜熱蓄熱材の粒状体より大きなものとしつつ、潜熱蓄熱材粒状体を、粒状体より細かい目のネットなどの袋にいれて、これをカゴ状部11に載置するような構成とすることもできる。このような構成とすれば、潜熱蓄熱材収容体10の製造コストを削減することできる。
【0033】
次に、以上のようにして構成される潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体10が用いられてなる全面床吹き出しシステムについて説明する。図9は、本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図であり、図10は、本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。図9及び図10において(A)は全面床吹き出しシステムであり、(B)全面床吹き出しシステムの各ダンパによる調節風量比を示している。なお、これまでに説明した符号番号が付された部位は先の説明と同様のものである。
【0034】
本発明の全面床吹き出しシステムを図9及び図10を参照して説明する。図中符号5は空調対象室、6はその天井面、7は還気チャンバーとしての天井チャンバー、8は空調機である。また、図中MD1乃至MD4は、ダクト中に設けられるダンパである。
【0035】
図9の昼間放熱運転においては、空調機8は、内蔵している冷却器、加熱器、加湿器、フィルタ(いずれも図示略)により温湿度調整と粉塵除去などを行い、送風機9により給気ダクト21、吹出口3b(不図示)を通して室内に給気SAを供給し、天井面6に設けた不図示の吸込口から還気RAを天井チャンバー7に吸い込み、主還気口31から排気ダクト22を通して空調機5に戻して循環させるようになっている。
【0036】
なお、還気RAの一部は排気EAとして排気ダクト22により外部に排気し、それに見合う量の外気OAを外気吸入ダクト24から取り入れるようになっている。また、外気吸入ダクト24と排気ダクト22の間には図示するようにバイパスダクト25が接続される。
【0037】
図9の昼間放熱運転においては、ダンパMD1乃至MD4を通る各ダンパの定格に対する風量比が図9(B)に示されるようになるよう各ダンパが調整される。昼間放熱運転においては、ダンパMD2の風量比は0とさせるように閉じられる。これに対して、図10の夜間蓄熱運転においては、ダンパMD1乃至MD4を通る風量比が図10(B)に示されるようになるよう各ダンパが調整される。
【0038】
給気チャンバー4には副還気口32が設けられており、副還気口32から還気ダクト23を通して空調機5に戻して循環可能に構成されている。本発明の全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転においては、副還気口32から還気ダクト23を通して空調機5に戻して循環させると同時に、空調対象室5からも還気RAを天井チャンバー7に吸い込み、主還気口31から排気ダクト22を通して空調機5に戻して循環させるようになっている。この時の風量比を図10(B)に示すものとなるように各ダンパをコントロールすると、潜熱蓄熱材が効率的に蓄熱される。
【0039】
次に、本発明の比較例として、床スラブ1の蓄熱のみを用いた全面床吹き出しシステムについて説明する。図11は、比較例に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図であり、図12は、比較例に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。図11及び図12において、これまでに説明した符号番号が付された部位は先の説明と同様の構成であることを示している。また、図11及び図12において(A)は比較例の全面床吹き出しシステムであり、(B)全面床吹き出しシステムの各ダンパによる調節風量比を示している。この比較例においては、潜熱蓄熱材は用いられないので潜熱蓄熱材収容体10に係る構成がない。
【0040】
特に比較例に係る全面床吹き出しシステムでは、図12の夜間蓄熱運転においては、ダンパMD2の風量比が0となることが、潜熱蓄熱材を用いた本発明の全面床吹き出しシステムと大きく異なる。このため、図示しているのものの、比較例に係る全面床吹き出しシステムでは、副還気口32と還気ダクト23とダンパMD2は不要の構成となる。
【0041】
以上、本発明の全面床吹き出しシステムによれば、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0042】
なお、以上、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いるフロアパネル単体の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図である。
【図8】は本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。
【図11】比較例に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図である。
【図12】比較例に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・床スラブ、2・・・支柱、2a・・・ベース部、2b・・・下部柱部、2c・・・上部柱部、2d・・・支持部、3・・・フロアパネル、3a・・・溝、3b・・・吹出孔、4・・・給気チャンバー、5・・・空調対象室、6・・・天井面、7・・・天井チャンバー、8・・・空調機、9・・・送風機、10・・・潜熱蓄熱材収容体、11・・・カゴ状部、12・・・吊り下げ金具、15・・・カゴ状部支持体、16・・・ベース部、17・・支柱部、20・・・カゴ状部支持体、20a・・・ベース部、20b・・・支柱部、20c・・・載置部、21・・・給気ダクト、22・・・排気ダクト、23・・・還気ダクト、24・・・外気吸入ダクト、25・・・バイパスダクト、31・・・主還気口、32・・・副還気口
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスビル等のビルディングに二重床を敷設し、二重床から室内に空調空気を吹き出す空調方式において、特に昼間等の放熱運転時に潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を放熱し、二重床の吹出孔から室内に給気する全面床吹き出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の床スラブ上に二重床を構築し、二重床内にOA機器用の配線を収納する所謂OAフロアが広く採用され、また、二重床の全面から室内に空調エアを吹き出す全面床吹き出し空調方式が採用され始めている。
【0003】
また、この方式において、従来、二重床の下面に潜熱蓄熱材を配設し、夜間等の蓄熱運転時に潜熱蓄熱材に蓄熱させておき、昼間等の放熱運転時に潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を放熱し、二重床の吹出孔から室内に給気する提案がなされている。このような蓄熱空調によれば、安価な夜間電力を利用して蓄熱し、これを昼間のオフィスアワーに利用することが可能となる。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2003−185373号公報)には、床スラブ上に敷設され、多数の吹出孔が形成された二重床と、床スラブと二重床の間に形成された給気チャンバーと、二重床の下面に配設された、通気性が高く空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、給気チャンバーに接続された空調機とを備えたことを特徴とする潜熱蓄熱材を用いた全面床吹出空調システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−185373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の潜熱蓄熱材を用いた全面床吹出空調システムは、粒状の潜熱蓄熱材を二重床内に設置するものであるが、このときOAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工方法などについての具体的な提案がなされておらず問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、床スラブと、該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該フロアパネル側から吊り下げる吊り下げ金具とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステムである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、床スラブと、該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該床スラブ側から支持するカゴ状部支持体とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステムである。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは一体的に構成されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項2に記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは分離可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より小さな網目の金網が用いられることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステムにおいて、該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より大きな網目の金網が用いられ、該カゴ状部にはネットに封入された該潜熱蓄熱材が載置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の全面床吹き出しシステムによれば、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いるフロアパネル単体の平面図であり、図3は本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。図1及び図3において、1は床スラブ、2は支柱、2aはベース部、2bは下部柱部、2cは上部柱部、2dは支持部、3はフロアパネル、3aは溝、3bは吹出孔、4は給気チャンバー、10は潜熱蓄熱材収容体、11はカゴ状部、12は吊り下げ金具をそれぞれ示している。
【0014】
床スラブ1上には支柱2が立設され、支柱2上に多数のフロアパネル3が敷設され、この構成により、フロアパネル3の下部即ち二重床内には給気チャンバー4が形成される。フロアパネル3には、複数の給気拡散用の溝3aが形成され、また、溝3a内に複数の吹出孔3bが形成されている。さらに、フロアパネル3の四隅には嵌合穴3cが形成されている。
【0015】
フロアパネル3を支持する支柱2は、床スラブ1に接着材により固定されるベース部2aと、ベース部2a上に立設された下部柱部2bおよび上部柱部2cと、フランジ状の支持部2dとからなっている。フロアパネル3は、支柱2の支持部2eによって支持される。
【0016】
潜熱蓄熱材収容体10は、カゴ状部11と吊り下げ金具12とから構成されており、フロアパネル3の四隅の嵌合穴3c並びに吹出孔3bから吊り下げ金具12が所定部位に係合し、潜熱蓄熱材収容体10がフロアパネル3直下に吊り下げられるようになっている。
【0017】
このような構成によるメリットとしては、施工による床の高さの誤差に関係なく潜熱蓄熱材収容体10がフロアパネル3に密着できるため、空気の漏れがなく熱交換性能が高くなる。(床スラブ1の施工精度が数mmであるとフロアパネル3と潜熱蓄熱材収容体10の間に隙間ができ、空気が隙間を流れてしまい、潜熱蓄熱材に流れにくくなる。)
また、本実施形態による構成では、OAフロアをあけるとき、すなわちフロアパネル3と取り外すときに、潜熱蓄熱材収容体10をOAフロアと一緒に取り外すことができる。
【0018】
潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11の高さは、一般的な冷房負荷の事務所ビルで、20mmから60mmとし、通常のOAフロアの高さ(150mm〜200mm)に設置してもカゴの下部に配線スペース、空調スペースを十分に確保することができるようになっている。
【0019】
また、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11は、フロアパネル3の大きさ(500mm×500mm)に相似の形状とすることにより、配線工事時にOAフロアとカゴを同時に取り外すことで配線工事が可能となる。このような構成によって、本発明の全面床吹き出しシステムでは、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0020】
本発明に用いる潜熱蓄熱材は、概略、図4に示すような、円柱状の粒状体であり、短辺Aの長さは1mm〜10mm、長辺Bの長さ2mm〜20mm程度となっている。このような粒状体の潜熱蓄熱材は、ある程度の表面積を確保することでき、伝熱性能が高く、効率的に蓄放熱を実現することができるために採用されるものである。ただ、本発明は必ずしもこのような潜熱蓄熱材を使用することに限定されるものではない。潜熱蓄熱材の主要素材としては、例えばパラフィンなどの相変化物質(Phase Change Material)が用いられ、このような潜熱蓄熱材によって空気との熱交換が行われる。なお、この潜熱蓄熱材 は、ペレット状、サイコロ状、球状などとすることもできる。
【0021】
例えば、この潜熱蓄熱材は、セラミックスや発泡ビーズなどの粒状多孔質体に潜熱蓄熱材料を含浸させ担持させたものとして、潜熱蓄熱材料としては、上記のようなパラフィンなどの芳香族化合物や硫酸ナトリウム10水塩などの無機含水塩を通常質量分率で30〜50の含有率を有するものとすることができる。なお、潜熱蓄熱材料を高分子吸着剤などの網目状分子に封じ込めたものを採用してもよいし、スポンジフィルタなどに潜熱蓄熱材料を担持させたものを採用してもよい。
【0022】
潜熱蓄熱材による蓄熱量は、パラフィン40%含浸(かさ密度780kg/m3 の場合、潜熱43.7J/g)の場合、厚さ30mm設置すると1022kJ/m2 となり、これは床スラブのみの躯体蓄熱を5時間行った蓄熱量1068kJ/m2 に匹敵し、蓄熱量が倍増する。
【0023】
潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11は、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網状のものを使用することにより、潜熱蓄熱材を保持しつつ、通気性を有する構成とすることができる。しかしながら、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網は高価であるので、カゴ状部11の網目は潜熱蓄熱材の粒状体より大きなものとしつつ、潜熱蓄熱材粒状体を、粒状体より細かい目のネットなどの袋にいれて、これをカゴ状部11に載置するような構成とすることもできる。このような構成とすれば、潜熱蓄熱材収容体10の製造コストを削減することできる。
【0024】
以上、本実施形態の全面床吹き出しシステムによれば、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0025】
次に本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムについて説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図であり、図6は本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。フロアパネル3及びフロアパネル3を支持する支柱2の構造は先の実施形態と変わらないので説明を割愛する。
【0026】
本実施形態の潜熱蓄熱材収容体10は、カゴ状部11とこれを四隅で支持するカゴ状部支持体15とか構成されている。カゴ状部支持体15は、床スラブ1に固定されるベース部16と、このベース部16とカゴ状部11と間を連結する支柱部17とからなっている。
【0027】
このような潜熱蓄熱材収容体10は、床スラブ1に置くだけで設置が簡便で施工性の向上を期待することができ、施工費のコストダウンとなる。また、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11の形状等は、先の実施形態と同様とすることができる。本実施形態においても、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0028】
次に本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムについて説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図であり、図8は本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。フロアパネル3及びフロアパネル3を支持する支柱2の構造は先の実施形態と変わらないので説明を割愛する。
【0029】
本実施形態の潜熱蓄熱材収容体10では、カゴ状部11とこれを支持する構造体が別体として構成される。本実施形態のカゴ状部支持体20は、カゴ状部11とは独立した構成であり、床スラブ1に固定されるベース部20aと、このベース部20aと支柱部20bと、カゴ状部11が載置される載置部20cとからなっている。
【0030】
このような潜熱蓄熱材収容体10では、カゴ状部11とこれを支持するカゴ状部支持体20とは施工時に取り付ける。このような構成をとるメリットとしては、OAフロアの高さに応じた、カゴ状部支持体20を調達することで、様々な現場に柔軟に対応することができるということが挙げられる。
【0031】
また、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11の形状等は、先の実施形態と同様とすることができる。本実施形態においても、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0032】
第2及び第3の実施形態においても、潜熱蓄熱材は、図4に示すような、円柱状の粒状体の用いることができる。また、このとき、潜熱蓄熱材収容体10のカゴ状部11は、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網状のものを使用することにより、潜熱蓄熱材を保持しつつ、通気性を有する構成とすることができる。しかしながら、潜熱蓄熱材の粒状体より網目の細かい金網は高価であるので、カゴ状部11の網目は潜熱蓄熱材の粒状体より大きなものとしつつ、潜熱蓄熱材粒状体を、粒状体より細かい目のネットなどの袋にいれて、これをカゴ状部11に載置するような構成とすることもできる。このような構成とすれば、潜熱蓄熱材収容体10の製造コストを削減することできる。
【0033】
次に、以上のようにして構成される潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体10が用いられてなる全面床吹き出しシステムについて説明する。図9は、本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図であり、図10は、本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。図9及び図10において(A)は全面床吹き出しシステムであり、(B)全面床吹き出しシステムの各ダンパによる調節風量比を示している。なお、これまでに説明した符号番号が付された部位は先の説明と同様のものである。
【0034】
本発明の全面床吹き出しシステムを図9及び図10を参照して説明する。図中符号5は空調対象室、6はその天井面、7は還気チャンバーとしての天井チャンバー、8は空調機である。また、図中MD1乃至MD4は、ダクト中に設けられるダンパである。
【0035】
図9の昼間放熱運転においては、空調機8は、内蔵している冷却器、加熱器、加湿器、フィルタ(いずれも図示略)により温湿度調整と粉塵除去などを行い、送風機9により給気ダクト21、吹出口3b(不図示)を通して室内に給気SAを供給し、天井面6に設けた不図示の吸込口から還気RAを天井チャンバー7に吸い込み、主還気口31から排気ダクト22を通して空調機5に戻して循環させるようになっている。
【0036】
なお、還気RAの一部は排気EAとして排気ダクト22により外部に排気し、それに見合う量の外気OAを外気吸入ダクト24から取り入れるようになっている。また、外気吸入ダクト24と排気ダクト22の間には図示するようにバイパスダクト25が接続される。
【0037】
図9の昼間放熱運転においては、ダンパMD1乃至MD4を通る各ダンパの定格に対する風量比が図9(B)に示されるようになるよう各ダンパが調整される。昼間放熱運転においては、ダンパMD2の風量比は0とさせるように閉じられる。これに対して、図10の夜間蓄熱運転においては、ダンパMD1乃至MD4を通る風量比が図10(B)に示されるようになるよう各ダンパが調整される。
【0038】
給気チャンバー4には副還気口32が設けられており、副還気口32から還気ダクト23を通して空調機5に戻して循環可能に構成されている。本発明の全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転においては、副還気口32から還気ダクト23を通して空調機5に戻して循環させると同時に、空調対象室5からも還気RAを天井チャンバー7に吸い込み、主還気口31から排気ダクト22を通して空調機5に戻して循環させるようになっている。この時の風量比を図10(B)に示すものとなるように各ダンパをコントロールすると、潜熱蓄熱材が効率的に蓄熱される。
【0039】
次に、本発明の比較例として、床スラブ1の蓄熱のみを用いた全面床吹き出しシステムについて説明する。図11は、比較例に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図であり、図12は、比較例に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。図11及び図12において、これまでに説明した符号番号が付された部位は先の説明と同様の構成であることを示している。また、図11及び図12において(A)は比較例の全面床吹き出しシステムであり、(B)全面床吹き出しシステムの各ダンパによる調節風量比を示している。この比較例においては、潜熱蓄熱材は用いられないので潜熱蓄熱材収容体10に係る構成がない。
【0040】
特に比較例に係る全面床吹き出しシステムでは、図12の夜間蓄熱運転においては、ダンパMD2の風量比が0となることが、潜熱蓄熱材を用いた本発明の全面床吹き出しシステムと大きく異なる。このため、図示しているのものの、比較例に係る全面床吹き出しシステムでは、副還気口32と還気ダクト23とダンパMD2は不要の構成となる。
【0041】
以上、本発明の全面床吹き出しシステムによれば、OAフロアとしての機能を維持しつつ、蓄熱性能、放熱性能の向上をよくし、かつ安価な施工を実現することができる。
【0042】
なお、以上、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いるフロアパネル単体の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの二重床構造を示す図である。
【図8】は本発明の第3の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムに用いる潜熱蓄熱材収容体の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。
【図11】比較例に係る全面床吹き出しシステムの昼間放熱運転の様子を示す図である。
【図12】比較例に係る全面床吹き出しシステムの夜間蓄熱運転の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・床スラブ、2・・・支柱、2a・・・ベース部、2b・・・下部柱部、2c・・・上部柱部、2d・・・支持部、3・・・フロアパネル、3a・・・溝、3b・・・吹出孔、4・・・給気チャンバー、5・・・空調対象室、6・・・天井面、7・・・天井チャンバー、8・・・空調機、9・・・送風機、10・・・潜熱蓄熱材収容体、11・・・カゴ状部、12・・・吊り下げ金具、15・・・カゴ状部支持体、16・・・ベース部、17・・支柱部、20・・・カゴ状部支持体、20a・・・ベース部、20b・・・支柱部、20c・・・載置部、21・・・給気ダクト、22・・・排気ダクト、23・・・還気ダクト、24・・・外気吸入ダクト、25・・・バイパスダクト、31・・・主還気口、32・・・副還気口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床スラブと、
該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、
該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、
該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、
該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該フロアパネル側から吊り下げる吊り下げ金具とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステム。
【請求項2】
床スラブと、
該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、
該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、
該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、
該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該床スラブ側から支持するカゴ状部支持体とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステム。
【請求項3】
該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは一体的に構成されることを特徴とする請求項2に記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項4】
該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは分離可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項5】
該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より小さな網目の金網が用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項6】
該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より大きな網目の金網が用いられ、該カゴ状部にはネットに封入された該潜熱蓄熱材が載置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項1】
床スラブと、
該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、
該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、
該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、
該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該フロアパネル側から吊り下げる吊り下げ金具とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステム。
【請求項2】
床スラブと、
該床スラブ上に設けられ吹出孔が形成されたフロアパネルと、
該床スラブと該フロアパネルとの間に配置される空気と直接熱交換が可能な潜熱蓄熱材と、
該潜熱蓄熱材を収容する潜熱蓄熱材収容体と、からなり、
該潜熱蓄熱材収容体は、カゴ状部と該カゴ状部を該床スラブ側から支持するカゴ状部支持体とを具備することを特徴とする全面床吹き出しシステム。
【請求項3】
該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは一体的に構成されることを特徴とする請求項2に記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項4】
該カゴ状部と該カゴ状部支持体とは分離可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項5】
該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より小さな網目の金網が用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステム。
【請求項6】
該潜熱蓄熱材の主要素材はパラフィンの粒状体であり、該カゴ状部には粒状体より大きな網目の金網が用いられ、該カゴ状部にはネットに封入された該潜熱蓄熱材が載置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の全面床吹き出しシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−309392(P2008−309392A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157239(P2007−157239)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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