八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造
【課題】ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することが可能であって、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造を提供する。
【解決手段】柱1側方で、ブロックの表裏側からシール材でシールした柱際充填通路P4を形成し、次いで、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に閉鎖部材19を装着し、次いで、柱際充填通路に、下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部から上方へ接着材を充填し、次いで、接着材が閉鎖部材の空気抜き穴から溢流したときに空気抜き穴を栓部材で塞ぎ、その後、接着材が第3縦方向クリアランスCV3の上方開放部から溢流したときに充填を終了して、柱1、柱際封止ブロック18及び一般部八角形ブロック6を相互に接合する。
【解決手段】柱1側方で、ブロックの表裏側からシール材でシールした柱際充填通路P4を形成し、次いで、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に閉鎖部材19を装着し、次いで、柱際充填通路に、下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部から上方へ接着材を充填し、次いで、接着材が閉鎖部材の空気抜き穴から溢流したときに空気抜き穴を栓部材で塞ぎ、その後、接着材が第3縦方向クリアランスCV3の上方開放部から溢流したときに充填を終了して、柱1、柱際封止ブロック18及び一般部八角形ブロック6を相互に接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することが可能であって、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の柱と上下の梁で区画される開口部分にブロックを組んで構築される壁及びその構築方法として、特許文献1が知られている。特許文献1の「耐震壁およびその構築方法」は、ブロックの強度を確保しつつ、合理的に採光や通風を確保することが可能であるとともに、居ながらで施工することが可能な耐震壁およびその構築方法を提供することを課題とし、柱と梁で区画される開口部分に構築される耐震壁であって、八角形状で形成され、斜辺同士が向かい合う配列で開口部分に縦横方向に配列され互いに接合されて、縦辺および横辺で取り囲んだ開口を形成し、かつ、柱や梁に対し、縦辺や横辺が接合されるプレキャストコンクリート製八角形ブロックと、八角形ブロックの斜辺と柱や梁との間の隙間にこれを封止すべく配設され、これらに接合されるプレキャストコンクリート製封止ブロックとを備えた。八角形ブロック同士、八角形ブロックと封止ブロック、八角形ブロックと柱や梁、封止ブロックと柱や梁は、それぞれ互いに接着材で接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−146447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
順次積み上げていく八角形ブロックなどのブロック同士を接着材で接着する場合、接着材を塗布した後でブロックを積んで位置の調整を行う手順となり、この位置調整のために、予め塗布しておく接着材の接着力が弱まってしまうという課題があった。また、塗布した接着材の上にブロックを積み上げる手順であると、接着面に気泡が残存し易く、残存する気泡によっても接着力が弱まってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することが可能であって、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる八角形ブロックを用いた壁の構築方法は、左右の柱と上下の梁で区画される開口部分にブロックを積み上げて壁を構築する方法であって、八角形状で形成され、斜辺同士が向かい合う配列で上記開口部分に縦横に配設されて、縦辺及び横辺で取り囲んだ開口を形成する複数のプレキャストコンクリート製八角形ブロックと、上記八角形ブロックの斜辺と向かい合う2つの斜辺を有し、上記柱側方に縦並びで配列されて、各々が該柱と縦並びで隣接する2つの該八角形ブロックとの間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される複数のプレキャストコンクリート製柱際封止ブロックと、空気抜き穴付きの閉鎖部材と、上記空気抜き穴を塞ぐ着脱自在な栓部材とを用い、上記柱側方で、縦並びで隣接する上記柱際封止ブロック同士の間の横方向クリアランス、下方の該柱際封止ブロックと上記八角形ブロックとの間にあって下方から該横方向クリアランスに連通する下位置斜め方向クリアランス、上方の該柱際封止ブロックと該八角形ブロックとの間にあって該横方向クリアランスから上方へ向かう上位置斜め方向クリアランス、並びに上方の該柱際封止ブロックと該柱との間にあって該横方向クリアランスから上方に向かう縦方向クリアランスを、これらブロックの表面側及び裏面側からシール材でシールすることで柱際充填通路を形成し、次いで、上記上位置斜め方向クリアランスの上方開放部に上記閉鎖部材を装着し、次いで、上記柱際充填通路に、上記下位置斜め方向クリアランスの下方開放部から上方へ向かって接着材を充填し、次いで、接着材が上記閉鎖部材の上記空気抜き穴から溢流したときに該空気抜き穴を上記栓部材で塞ぎ、その後、接着材が上記縦方向クリアランスの上方開放部から溢流したときに充填を終了し、これら柱、柱際封止ブロック及び八角形ブロックを相互に接合することを特徴とする。
【0007】
前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックは、それらの斜辺に傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に、接着材の充填を案内する条溝を有することを特徴とする。
【0008】
前記柱際封止ブロックには、下方の前記八角形ブロックに面する斜辺に単一の嵌合凹部を傾斜方向に沿って形成すると共に、当該斜辺の傾斜方向上側に平坦面を形成し、該嵌合凹部と向かい合う上記八角形ブロックの斜辺には、当該嵌合凹部に嵌合する単一の嵌合凸部を傾斜方向に沿って形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる八角形ブロックを用いた壁構造は、上記八角形ブロックを用いた壁の構築方法によって構築される壁構造であって、前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックの互いに接合される斜辺のいずれか一方には、単一の嵌合凸部を形成し、他方の斜辺には、該嵌合凸部に嵌合する単一の嵌合凹部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造にあっては、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することができ、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造の好適な一実施形態を説明するための壁の正面図である。
【図2】図1に示した実施形態に適用される一般部八角形ブロックの斜視図である。
【図3】図1に示した実施形態に適用される上部八角形ブロックの斜視図である。
【図4】図1に示した実施形態に適用される梁上封止ブロックの斜視図である。
【図5】図1に示した実施形態に適用される梁下封止ブロックの斜視図である。
【図6】図1に示した実施形態に適用される柱際封止ブロックの斜視図である。
【図7】図1に示した実施形態に適用される下隅角封止ブロックの斜視図である。
【図8】図1に示した実施形態に適用される上隅角封止ブロックの斜視図である。
【図9】図2に示した一般部八角形ブロックの正面図である。
【図10】図3に示した上部八角形ブロックの正面図である。
【図11】図1に示した実施形態における下梁上充填通路の第1横方向クリアランス及び第1縦方向クリアランスへの接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図12】図1に示した実施形態における下梁上充填通路の第1斜め方向クリアランス、一般部充填通路、並びに下隅角封止ブロック周辺への接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図13】図1に示した実施形態における柱際充填通路への接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図14】図1に示した実施形態における上梁下充填通路への接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図15】図1に示した実施形態におけるシール材によるシール状況を説明する斜視図である。
【図16】図15中、A−A線矢視断面図である。
【図17】図1に示した実施形態における閉鎖部材及び栓部材の適用の様子を示す斜視図である。
【図18】図1に示した実施形態における一般部充填通路への接着材の充填の様子を示す要部拡大図である。
【図19】図18に示した一般部充填通路へ接着材を充填する様子を示す斜視図である。
【図20】図1に示した実施形態における柱際充填通路への接着材の充填施工を説明する要部拡大図である。
【図21】図1に示した実施形態における上梁下充填通路への接着材の充填施工を説明する要部拡大図である。
【図22】図21中、B−B線矢視図である。
【図23】図1に示した実施形態における上梁下充填通路の第3斜め方向クリアランスの様子を示す要部拡大断面図である。
【図24】図23中、C−C線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る八角形ブロックを用いた壁の構築方法により構築されて完成した壁構造の正面図が示されている。
【0013】
この壁構造は、左右の柱1と上下の梁2,3で区画される長方形状の開口部分4に、各種形態のブロックを積み上げ、接着材で接合することで構成される。接着材としては、後述するようにクリアランスに充填するものなので、エポキシ樹脂などの一般的な接着材でも、粘性の低いタイプを採用することが好ましい。開口部分4の形状は、長方形状に限らず、どのような形態であっても良い。
【0014】
本実施形態に係る壁の構築方法及び壁構造は、開口部分4のほぼ全域にわたって積み上げられる複数の八角形ブロック6,7と、下梁3上に横並びで配列される複数の梁上封止ブロック9と、上梁2下に横並びで配列される複数の梁下封止ブロック10と、左右の柱1側方に縦並びで配列される複数の柱際封止ブロック18と、柱1と下梁3で挟まれた下隅角部に配置される2つの下隅角封止ブロック21と、柱1と上梁2で挟まれた上隅角部に配置される2つの上隅角封止ブロック22とを用い、これらを順次積み上げることで構成される。これらブロックはいずれも、プレキャストコンクリート製で形成される。
【0015】
各八角形ブロック6,7は、外形輪郭が八角形状で形成され、上下及び左右に隣接する八角形ブロック6,7同士は必ず、互いの斜辺s同士が向かい合う配列で開口部分4に縦横に配設され、斜辺s同士が接着材で接合される。
【0016】
各八角形ブロック6,7の斜辺s間に位置する縦辺y及び横辺xは、非接合部とされ、例えば縦辺yは、右側や左側に隣接して配設される他の3つの八角形ブロック6,7の2つの横辺x及び1つの縦辺yと共にこれらで取り囲んで、あるいは横辺xの場合には、上側や下側に隣接して配設される他の3つの八角形ブロック6,7の1つの横辺x及び2つの縦辺yと共にこれらで取り囲んで、八角形ブロック6,7同士の間に、採光用や通風用の正方形状の開口8を形成する。開口8には、ガラスブロックなどを嵌め込んでも良い。
【0017】
図2及び図3には、八角形ブロック6,7が示されている。図3の八角形ブロック(以下、上部八角形ブロックという)7は、梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22との接合に用いられる。図2の八角形ブロック(以下、一般部八角形ブロックという)6は、その他の一般部分に用いられる。
【0018】
いずれの八角形ブロック6,7も、斜辺(傾斜面)sには、傾斜方向に沿って、接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。特に本実施形態では、粘性の低い接着材を採用していて、接着強度を増強するために接着面を増加する目的で条溝12が形成される。斜辺sのうち、八角形状の上側の2つの上側斜辺(傾斜面)saには、その上に搭載される他のブロックとの間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。スペーサ23は、八角形状下側の斜辺(傾斜面)sbに設けるようにしても良い。
【0019】
図示例にあっては、八角形ブロック6,7は、外周縁部が厚肉で、中央部が薄肉に形成されている。中央部に貫通孔を形成しても良い。
【0020】
図2に示した一般部八角形ブロック6は、図9にも示すように、2つの上側斜辺(傾斜面)saそれぞれに、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、2つの下側斜辺(傾斜面)sbそれぞれに、単一の嵌合凹部15が傾斜方向に沿って形成される。
【0021】
互いに接合される斜辺s同士が向かい合う配列で、一方の一般部八角形ブロック6の上に他方の一般部八角形ブロック6を積み上げる際、下になる一方の一般部八角形ブロック6の上側斜辺saの嵌合凸部14が、上になる他方の一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0022】
図3に示した上部八角形ブロック7は、図10にも示すように、すべての斜辺s(傾斜面)それぞれに、単一の嵌合凹部15が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺s同士が向かい合う配列で、一般部八角形ブロック6の上に上部八角形ブロック7を積み上げる際、下になる一般部八角形ブロック6の上側斜辺saの嵌合凸部14が、上になる上部八角形ブロック7の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0023】
また、上部八角形ブロック7の上に梁下封止ブロック10や上隅角封止ブロック22を積み上げる際、下になる上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15には、後述する梁下封止ブロック10や上隅角封止ブロック22に形成される嵌合凸部14が嵌合される。
【0024】
図4には、梁上封止ブロック9が示されている。各梁上封止ブロック9は、横並びで隣接する2つの一般部八角形ブロック6と下梁3との間の梁上隙間にこれを封止すべく配設される。各梁上封止ブロック9は、台部9aと台部9aから隆起する台形部9bとから構成される。台部9aが下梁3上面に接着材で接合される。台形部9bは、隣り合う2つの一般部八角形ブロック6の間に位置し、これら一般部八角形ブロック6の各下側斜辺sbと向かい合う2つの斜辺9sを有する。
【0025】
梁上封止ブロック9は、2つの斜辺9sが接着材で、2つの一般部八角形ブロック6の各下側斜辺sbと接合される。梁上封止ブロック9の台形部9bの上底の寸法は、八角形ブロック6,7の横辺xの寸法で、斜辺9sの寸法は、八角形ブロック6,7の斜辺sの寸法で、台部9aの長さ寸法は、横並びの2つの八角形ブロック6,7の横辺x中央部間に亘る寸法(八角形ブロックの横幅+横辺)で形成される。
【0026】
梁上封止ブロック9の斜辺9s(傾斜面)には、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺9s(傾斜面)には、その上に搭載される一般部八角形ブロック6との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。台部9aの底面にも、下梁3との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、同様のスペーサ23が設けられる。
【0027】
2つの斜辺9s(傾斜面)にはそれぞれ、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺sb,9s同士が向かい合う配列で、梁上封止ブロック9の上に一般部八角形ブロック6を積み上げる際、下になる梁上封止ブロック9の斜辺9sの嵌合凸部14が、上になる一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0028】
図5には、梁下封止ブロック10が示されている。各梁下封止ブロック10は、横並びで隣接する2つの上部八角形ブロック7と上梁2との間の梁下隙間にこれを封止すべく配設される。各梁下封止ブロック10は、台部10aと台部10aから隆起する台形部10bとから構成される。台部10aが上梁2下面に接着材で接合される。台形部10bは、隣り合う2つの上部八角形ブロック7の間に位置し、これら上部八角形ブロック7の各上側斜辺saと向かい合う2つの斜辺10sを有する。
【0029】
梁下封止ブロック10は、2つの斜辺10sが接着材で、2つの上部八角形ブロック7の各上側斜辺saと接合される。梁下封止ブロック10の台形部10bの下底の寸法は、八角形ブロック6,7の横辺xの寸法で、斜辺10sの寸法は、八角形ブロックの斜辺sの寸法で、台部10aの長さ寸法は、横並びの2つの八角形ブロック6,7の横辺x中央部間に亘る寸法(八角形ブロックの横幅+横辺)で形成される。
【0030】
梁下封止ブロック10の斜辺10s(傾斜面)には、傾斜方向上側を除き、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺10s(傾斜面)の傾斜方向上側は、空気抜きのために平坦面13で形成される。
【0031】
2つの斜辺10s(傾斜面)にはそれぞれ、下方に位置する上部八角形ブロック7の上側斜辺saに向かって突出させて、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、上述した上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15は、当該嵌合凸部14と向かい合う。互いに接合される斜辺s、10s同士が向かい合う配列で、上部八角形ブロック7の上に梁上封止ブロック10を積み上げる際、下になる上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15に、上になる梁上封止ブロック10の斜辺10sの嵌合凸部14が嵌合される。
【0032】
図6には、柱際封止ブロック18が示されている。各柱際封止ブロック18は、縦並びで隣接する上下2つの一般部八角形ブロック6,6同士や一般部八角形ブロック6及び上部八角形ブロック7と、柱1との間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される。各柱際封止ブロック18は、台部18aと台部18aから隆起する台形部18bとから構成される。台部18aが柱1側面に接着材で接合される。台形部18bは、隣り合う上下2つの八角形ブロック6,7の間に位置し、これら八角形ブロック6,7の上側斜辺sa及び下側斜辺sbにそれぞれ向かい合う、下側斜辺18sb及び上側斜辺18saを有する。
【0033】
柱際封止ブロック18は、2つの斜辺18sa,18sbが上下2つの八角形ブロック6,7の上側斜辺sa及び下側斜辺sbと接着材で接合される。柱際封止ブロック18の台形部18bの上底の寸法は、八角形ブロック6,7の縦辺yの寸法で、斜辺18sa,18sbの寸法は、八角形ブロック6,7の斜辺sの寸法で、台部18aの長さ寸法は、縦並びの2つの八角形ブロック6,7の縦辺y中央部間に亘る寸法(八角形ブロックの縦幅+縦辺)で形成される。
【0034】
柱際封止ブロック18の斜辺18sa,18sb(傾斜面)には、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。下方に位置する八角形ブロック6に面する下側斜辺18sb(傾斜面)の傾斜方向上側は、空気抜きのために平坦面30で形成される。上側斜辺18sa(傾斜面)には、その上に搭載される八角形ブロック6,7との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。台部18aの底面にも、柱1との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、同様のスペーサ23が設けられる。
【0035】
上側斜辺18sa(傾斜面)には、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、下側斜辺18sb(傾斜面)には、単一の嵌合凹部15が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺18sa,18sb,sa,sb同士が向かい合う配列で、柱際封止ブロック18を八角形ブロック6,7に対し積み上げる際、下になる八角形ブロック6の上側斜辺saの嵌合凸部14が、上になる柱際封止ブロック18の下側斜辺18sbの嵌合凹部15に嵌合され、また、この柱際封止ブロック18の上側斜辺18saの嵌合凸部14が、その上になる他の八角形ブロック6,7の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0036】
図7には、下隅角封止ブロック21が示されている。各下隅角封止ブロック21は、柱1、下梁3及び一般部八角形ブロック6で取り囲まれる下隅角隙間にこれを封止すべく配設される。各下隅角封止ブロック21は、縦片部21a及び横片部21bからなるL字状の台部と、縦片部21a及び横片部21b間に形成した傾斜部21cとから構成される。台部の縦片部21aが柱1側面に、横片部21bが下梁3上面に接着材で接合される。
【0037】
傾斜部21cは、一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbと向かい合う斜辺21sを有し、この斜辺21sが一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbと接着材で接合される。下隅角封止ブロック21の縦片部21aの寸法は、八角形ブロック6の縦幅の1/2と梁上封止ブロック9の台部9aの高さとの和で、横片部21bの寸法は、八角形ブロック6の横幅の1/2と柱際封止ブロック18の台部18aの高さとの和で、傾斜部21cの寸法は、八角形ブロック6の斜辺sの寸法で形成される。
【0038】
下隅角封止ブロック21の斜辺21s(傾斜面)には、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺21s(傾斜面)には、その上に搭載される一般部八角形ブロック6との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。縦片部21a及び横片部21bにも、柱1や下梁3との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、同様のスペーサ23が設けられる。
【0039】
斜辺21s(傾斜面)には、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺s,21s同士が向かい合う配列で、下隅角封止ブロック21の上に一般部八角形ブロック6を積み上げる際、下になる下隅角封止ブロック21の斜辺21sの嵌合凸部14が、上になる一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0040】
図8には、上隅角封止ブロック22が示されている。各上隅角封止ブロック22は、柱1、上梁2及び上部八角形ブロック7で取り囲まれる上隅角隙間にこれを封止すべく配設される。各上隅角封止ブロック22は、縦片部22a及び横片部22bからなるL字状の台部と、縦片部22a及び横片部22b間に形成した傾斜部22cとから構成される。台部の縦片部22aが柱1側面に、横片部22bが上梁2下面に接着材で接合される。
【0041】
傾斜部22cは、上部八角形ブロック7の上側斜辺saと向かい合う斜辺22sを有し、この斜辺22sが上部八角形ブロック7の上側斜辺saと接着材で接合される。上隅角封止ブロック22の縦片部22aの寸法は、上部八角形ブロック7の縦幅の1/2と梁下封止ブロック10の台部10aの高さとの和で、横片部22bの寸法は、上部八角形ブロック7の横幅の1/2と柱際封止ブロック18の台部18aの高さとの和で、傾斜部22sの寸法は、上部八角形ブロック7の斜辺sの寸法で形成される。
【0042】
上隅角封止ブロック22の斜辺22s(傾斜面)には、傾斜方向上側を除き、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺22s(傾斜面)の傾斜方向上側は、空気抜きのために平坦面13で形成される。少なくとも縦片部22aには、柱1との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能なスペーサ23が設けられる。
【0043】
斜辺22s(傾斜面)には、下方に位置する上部八角形ブロック7の上側斜辺saに向かって突出させて、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、上述した上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15は、当該嵌合凸部14と向かい合う。互いに接合される斜辺s,22s同士が向かい合う配列で、上部八角形ブロック7の上に上隅角封止ブロック22を積み上げる際、下になる上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15に、上になる上隅角封止ブロック22の斜辺22sの嵌合凸部14が嵌合される。
【0044】
図1に示すように、壁5の中央部では、下梁3上に梁上封止ブロック9を設置し、梁上封止ブロック9の上に一般部八角形ブロック6を積み上げ、一般部八角形ブロック6を積み上げることを繰り返してその上に上部八角形ブロック7を積み、上部八角形ブロック7の上であって上梁2下に梁下封止ブロック10が積まれる。
【0045】
また、壁5の柱1際では、下隅角部において、梁上封止ブロック9の隣に位置させて下梁3上に下隅角封止ブロック21を設置し、その上に一般部八角形ブロック6を積み、その後、一般部八角形ブロック6の上に柱際封止ブロック18を積み上げることを繰り返し、上隅角部では、柱際封止ブロック18の上に上部八角形ブロック7を積み、その後、梁下封止ブロック10の隣に位置させて上梁2下に上隅角封止ブロック22が積まれる。
【0046】
2つの下隅角封止ブロック21及び2つの上隅角封止ブロック22は、梁上封止ブロック9及び梁下封止ブロック10と共に、開口部分4の横方向に連続して配列される。また、柱1側方で、上下の下隅角封止ブロック21と上隅角封止ブロック22は、柱際封止ブロック18と共に、開口部分4の縦方向に連続して配列される。
【0047】
このようにしてブロックを積み上げると、図11に示すように、下梁3上で、下梁3と下梁3上に配設される梁上封止ブロック9及び下隅角封止ブロック21の間には、スペーサ23を介して、開口部分4の長さ方向に沿って一連に第1横方向クリアランスCT1が形成される。横並びで隣接する梁上封止ブロック9同士及び下隅角封止ブロック21の間には、第1縦方向クリアランスCV1が設定される。図12〜図14に示すように、梁上封止ブロック9及び下隅角封止ブロック21と一般部八角形ブロック6との間には、スペーサ23を介して、第1斜め方向クリアランスCS1が形成される。
【0048】
これら第1横方向クリアランスCT1、第1縦方向クリアランスCV1及び第1斜め方向クリアランスCS1は、後述するエポキシ樹脂製のシール材11でシールされることによって、下梁上充填通路P1を形成する。
【0049】
一般部八角形ブロック6同士、並びに一般部八角形ブロック6と上部八角形ブロック7の間には、スペーサ23を介して、第2斜め方向クリアランスCS2が形成される。第2斜め方向クリアランスCS2は、シール材11でシールされることによって、一般部充填通路P2を形成する。
【0050】
また、図14に示すように、上梁2下で、上部八角形ブロック7と上梁2下に配設される梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22との間には、スペーサー23を介して、第3斜め方向クリアランスCS3が形成される。横並びで隣接する梁下封止ブロック10同士及び上隅角封止ブロック22の間には、第2縦方向クリアランスCV2が設定される。梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22と上梁2との間には、開口部分4の長さ方向に沿って一連に第2横方向クリアランスCT2が設定される。
【0051】
これら第2横方向クリアランスCT2、第2縦方向クリアランスCV2及び第3斜め方向クリアランスCS3は、シール材11でシールされることによって、上梁下充填通路P3を形成する。
【0052】
柱1側方では、図13に示すように、縦並びで隣接する柱際封止ブロック18同士及び上隅角封止ブロック22の間に、八角形ブロック6,7のスペーサ23によって、第3横方向クリアランスCT3が形成される。第3横方向クリアランスCT3を挟む上下位置関係において、下方の柱際封止ブロック18とその上に積まれる八角形ブロック6,7との間にあって下方から当該横方向クリアランスCT3に連通する下位置斜め方向クリアランスCS4がスペーサ23によって形成される。
【0053】
また、下位置斜め方向クリアランスCS4を形成する当該八角形ブロック6,7と上方の柱際封止ブロック18との間にあって当該第3横方向クリアランスCT3から上方へ向かう上位置斜め方向クリアランスCS5がスペーサ23によって形成される。当該上方の柱際封止ブロック18と柱1との間にあって当該第3横方向クリアランスCT3から上方へ向かう第3縦方向クリアランスCV3がスペーサ23によって形成される。
【0054】
特に、柱1側面と柱際封止ブロック18及び上・下隅角封止ブロック21,22との間には、開口部分4の高さ方向に沿って一連に第3縦方向クリアランスCV3が形成されるが、ブロックを積み上げていく施工手順との関係で、第3縦方向クリアランスCV3は積み上げの進捗に従って順次形成されていく。
【0055】
これら第3横方向クリアランスCT3、第3縦方向クリアランスCV3、下位置斜め方向クリアランスCS4及び上位置斜め方向クリアランスCS5は、シール材11でシールされることによって、柱際充填通路P4を形成する。
【0056】
各種ブロック同士及びこれらブロックと上下の梁2,3や左右の柱1との接合はクリアランスへ接着材を充填することで行われる。接着材をクリアランスへ充填する前に、積み上げたブロック同士等の間のクリアランスは図15及び図16に示すように、ブロックの表面側及び裏面側からシール材11を施工することでシールされ、これにより充填通路P1〜P4が形成される。
【0057】
図16には、一般部八角形ブロック6同士の接合箇所のように、斜辺s全体に条溝12を形成した部分が示されている。条溝12は、接着面を増加すると共に接着材を斜辺sの傾斜方向に沿って案内して、接着強度を確保すると同時に、接着材の充填を円滑化し、そしてまた、クリアランスから空気をスムーズに排出して気泡が残留することを抑制する。
【0058】
また、図17に示すように、クリアランスからの空気の排出と、接着材の充填確認に加えて、充填確認後に、接着材を充填通路内の各所へさらに充填していく操作を可能とするために、空気抜き穴19a付きの閉鎖部材19が用いられる。図示例にあっては、閉鎖部材19は、L字形状のアルミ製アングル材で構成される。
【0059】
閉鎖部材19を充填通路を形成するクリアランスの上方開放部に適宜に配置することで、充填通路内の空気を空気抜き穴19aから排出し、接着材が空気抜き穴19aから溢流することで充満されたことを確認し、その後、空気抜き穴19aを着脱自在な栓部材20で塞ぐことにより、当該閉鎖部材19の設置位置よりも高い位置へ接着材を充填していくことができる。
【0060】
なお、空気は高いところに集まることから、空気抜き穴19aは嵌合凹部15の底付近(閉鎖部材19の上部側)に設けることが望ましい。
【0061】
図11及び図12を使用して、下梁3上で、梁上封止ブロック9、下隅角封止ブロック21及び一般部八角形ブロック6を積み上げて形成される下梁上充填通路P1を用いて行う下梁上施工を説明する。
【0062】
図11に示すように、梁上封止ブロック9及び下隅角封止ブロック21と下梁3との間の第1横方向クリアランスCT1に対し、開口部分4の一方の柱1際に挿着した注入パイプ24から他方の柱1際に向けて、一連に接着材を充填する。この際、第1縦方向クリアランスCV1の上方開放部に、空気抜きパイプ25を挿着し、空気抜きを行う。
【0063】
接着材は、第1横方向クリアランスCT1及び第1縦方向クリアランスCV1に充満すると、空気抜きパイプ25から溢流し、充填を確認することができる。また、柱1と下隅角封止ブロック21との間にも、接着材が充満し、この充満は下隅角封止ブロック21の上方開放部からの溢流で確認できる。
【0064】
次に、図12に示すように、梁上封止ブロック9の上に一般部八角形ブロック6を積み、第1縦方向クリアランスCV1の上方開放部に注入パイプ24を挿着し、第1斜め方向クリアランスCS1に対し、下方から上方へ向かって接着材を充填する。
【0065】
接着材は、第1斜め方向クリアランスCS1に充満すると、一般部八角形ブロック6の斜辺sの上方開放部から溢流し、充満を確認することができる。
【0066】
下隅角封止ブロック21周辺については、下隅角封止ブロック21と一般部八角形ブロック6の上に、一番下となる柱際封止ブロック18を載せると共に、当該下隅角封止ブロック21の上方開放部に注入パイプ24を挿着し、この注入パイプ24により下方から上方へ向かって接着材を充填する。この際、充填前に、一般部八角形ブロック6と柱際封止ブロック18の間の斜辺s,18sの上方開放部に、空気抜き穴付きの閉鎖部材19を取り外し可能に装着しておく。
【0067】
接着材は、一般部八角形ブロック6と柱際封止ブロック18の間の斜辺s,18s及び柱1側方の第3縦方向クリアランスCV3を上昇し、まず、斜辺s,18sの上方開放部の閉鎖部材19の空気抜き穴19aから溢流する。
【0068】
溢流したら、空気抜き穴19aを栓部材20で塞ぐ。塞いだ後、再度接着材を充填すると、今度は接着材は、第3縦方向クリアランスCV3に沿ってさらに上昇して柱際封止ブロック18の上方開放部から溢流し、これにより下隅角封止ブロック21を基点として、一番下の一般部八角形ブロック6及び柱際封止ブロック18周りに対する接着材の充満を確認することができる。
【0069】
下梁上充填通路P1に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、下梁3、梁上封止ブロック9、下隅角封止ブロック21及び一般部八角形ブロック6相互を接合する下梁上施工を完了することができる。また、柱際充填通路P4下に対する接着材の充填も終えておくことができる。
【0070】
次に、図12を使用して、下梁上施工で施工した一番下の一般部八角形ブロック6から上部八角形ブロック7までを積み上げて形成される一般部充填通路P2を用いて行う一般部施工を説明する。
【0071】
図18に示すように、第2斜め方向クリアランスCS2の下方開放部に注入パイプ24を挿着し、この注入パイプ24で下方から上方へ向かって接着材を充填する。接着材は条溝12に案内されて上昇し、空気が第2斜め方向クリアランスCS2の上方開放部から抜け切ったことで、当該上方開放部から溢流するので、これにより充満を確認することができる。
【0072】
一般部充填通路P2に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、八角形ブロック6,7同士を接合する一般部施工を完了することができる。
【0073】
次に、図13を使用して、一般部八角形ブロック6と柱1との間で柱際封止ブロック18を積み上げて形成される柱際充填通路P4を用いて行う柱際施工を説明する。
【0074】
図20に、柱際施工箇所の要部が示されている。充填作業の前に、下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部に注入パイプ24を、第3縦方向クリアランスCV3に、第3横方向クリアランスCT3よりも僅かに下方に位置させて、空気抜きパイプ25を挿着すると共に、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に、空気抜き穴付き閉鎖部材19を取り外し可能に装着する。次いで、注入パイプ24から接着材を充填する。
【0075】
接着材は、下位置斜め方向クリアランスCS4に下方から上方に向かって流入し、第3横方向クリアランスCT3へ回り込んで、空気抜きパイプ25から溢流する。溢流によってこれらクリアランスCS4,CT3への充満を確認することができる。
【0076】
次いで、空気抜きパイプ25を封鎖し、さらに注入パイプ24から接着材を充填する。接着材は今度は、上位置斜め方向クリアランスCS5と第3縦方向クリアランスCV3の双方に、下方から上方へ向かって流入する。接着材は、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に達すると、閉鎖部材19の空気抜き穴19aから溢流し、これにより上位置斜め方向クリアランスCS5への充填を確認することができる。
【0077】
この際、下側となる八角形ブロック6には上向き凸の嵌合凸部14が、上側になる柱際封止ブロック18の下側斜辺18sbには嵌合凹部15が形成されている。また、下側斜辺18sbの傾斜方向上側には平坦面30が形成されている。接着材を充填していくと、軽い空気は、接着材によって押し上げられブロックの表面側及び裏面側から嵌合凹部15へ向かって集められ、また、平坦部30では条溝12がないために、上位置斜め方向クリアランスCS5内をスムーズに流れて、嵌合凸部14に沿って閉鎖部材19の空気抜き穴19aへ向かって円滑に押し出されて排出することができ、ブロックを表・裏面側からシール材11でシールしても、気泡溜まりが生じることなく、密実に接着材を充填することができる。このような作用は、図12に示した施工段階における同様の部位でも同じように確保することができる。
【0078】
次いで、空気抜き穴19aを栓部材20で封鎖し、さらに注入パイプ24から接着材を充填する。接着材は、第3縦方向クリアランスCV3を下方から上方へ向かって上昇し、柱際封止ブロック18の上方開放部から溢流する。これにより、柱際充填通路P4全体への接着材の充填を確認することができる。
【0079】
柱際充填通路P4に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、柱1、柱際封止ブロック18及び一般部八角形ブロック6相互を接合する柱際施工を完了することができる。
【0080】
次に、図14を使用して、一般部施工で施工した上部八角形ブロック7に対し、上梁2下で、梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22を積み上げて形成される上梁下充填通路P3を用いて行う上梁下施工を説明する。
【0081】
上部八角形ブロック7と梁下封止ブロック10との間の第3斜め方向クリアランスCS3及び梁下封止ブロック10同士の間の第2縦方向クリアランスCV2へ接着材を充填する際には、空気抜きを確保するために、図21及び図22に示すように、第3斜め方向クリアランスCS3の上方開放部近傍及び第2縦方向クリアランスCV2と第2横方向クリアランスCT2との交差位置に、これらにそれぞれ連通させて、ブロックの表面側及び裏面側から空気抜き部材16が挿着される。
【0082】
また、第3斜め方向クリアランスCS3については、図23及び図24に示すように、空気抜き部材16への空気流動性を確保するために、梁下封止ブロック10には、平坦面13が形成され、空気抜き部材16は、この平坦面13箇所に連通させて挿着される。平坦面13は、上述したように、斜辺10sの傾斜方向上側にのみ形成され、斜辺10sの傾斜方向下側では条溝12同士が向かい合っている。
【0083】
条溝12で下方から上方へ案内される接着材により、第3斜め方向クリアランスCS3を上昇する空気は、平坦部13では条溝12がないために、ブロックの表裏方向へ向かってスムーズに流れて排出されるようになっている。
【0084】
また、図21〜図24に示すように、上梁2下では、下側となる上部八角形ブロック7には嵌合凹部15が、上側になる梁下封止ブロック10には嵌合凸部14が形成されている。例えば図16に示した他の部分のように、嵌合凸部14が下側で嵌合凹部15が上側の関係であると、軽い空気は接着材によって押し上げられ上方の嵌合凹部15内に溜まってしまって排出されにくいが、上梁2下では図24に示すように、嵌合凸部14が上側で下向きに凸となるようにしたことから、押し上げられる空気をブロックの表裏方向へ向かって横方向へ押し出すことができ、空気をきわめて円滑に空気抜き部材16から排出することができる。
【0085】
接着材を第3斜め方向クリアランスCS3の下方開放部に挿着した注入パイプ24から充填する。接着材は、第3斜め方向クリアランスCS3に下方から上方に向かって上昇し、空気は接着材で押し出されて、2つの空気抜き部材16から排出される。
【0086】
接着材は、第3斜め方向クリアランスCS3の上方開放部の空気抜き部材16に達すると、これより溢流し、これにより第3斜め方向クリアランスCS3に充満したことを確認することができる。
【0087】
次いで、溢流が生じた空気抜き部材16を封鎖し、さらに接着材を充填すると、今度は第2縦方向クリアランスCV2と第2横方向クリアランスCT2の交差位置に挿着した空気抜き部材16から接着材が溢流し、これにより第2縦方向クリアランスCV2への接着材の充満を確認することができる。
【0088】
上隅角封止ブロック22周辺に対する接着材の充填は、上記柱際充填通路P4と同様に施工されるが、図21〜24に示したように、上記空気抜き部材16を第3縦方向クリアランスCV3の上方開放部、上位置斜め方向クリアランスCS5及び上記交差位置へ挿着することと、上部八角形ブロック7の嵌合凹部15に上隅角封止ブロック22の嵌合凸部14を嵌合することとで、ブロックの表面側及び裏面側から空気を円滑に排出することができるようになっている。
【0089】
最後に、第2横方向クリアランスCT2へ接着材を充填する施工を行う。上梁2には、少なくとも当該施工前に、図21及び図22に示すように、第2横方向クリアランスCT2と連通してこれより空気抜きするための切り欠き部17が複数形成される。図示例にあっては、おおよそ梁下封止ブロック10の台部10a位置に対応させて、上梁2にその幅方向両側から切り欠き部17が形成されている。
【0090】
接着材は、開口部分4の一方の柱1際に挿着した注入パイプ24から他方の柱1際に向けて、一連に充填する。接着材は、第2横方向クリアランスCT2に充満すると、切り欠き部17から溢流し、充填を確認することができる。なお、複数の切り欠き部17からは順次接着材が溢流するので、溢流があった切り欠き部17は順次封鎖していく。
【0091】
上梁下充填通路P3に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、上梁2、梁下封止ブロック10、上隅角封止ブロック22及び上部八角形ブロック7相互を接合する上梁下施工を完了することができる。施工完了時には、挿着等した空気抜きパイプ25や注入パイプ24、空気抜き部材16、閉鎖部材19を全て撤去する。
【0092】
以上説明した本実施形態に係る八角形ブロック6,7を用いた壁5の構築方法及び壁構造にあっては、左右の柱1と上下の梁2,3で区画される開口部分4にブロックを積み上げて壁5を構築する方法であって、八角形状で形成され、斜辺s同士が向かい合う配列で開口部分4に縦横に配設されて、縦辺y及び横辺xで取り囲んだ開口8を形成する複数のプレキャストコンクリート製八角形ブロック6,7と、八角形ブロック6,7の斜辺sと向かい合う2つの斜辺18sを有し、柱1側方に縦並びで配列されて、各々が柱1と縦並びで隣接する2つの八角形ブロック6,7との間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される複数のプレキャストコンクリート製柱際封止ブロック18と、空気抜き穴19a付きの閉鎖部材19と、空気抜き穴19aを塞ぐ着脱自在な栓部材20とを用い、柱1側方で、縦並びで隣接する柱際封止ブロック18同士の間の第3横方向クリアランスCT3、下方の柱際封止ブロック18と八角形ブロック6,7との間にあって下方から第3横方向クリアランスCT3に連通する下位置斜め方向クリアランスCS4、上方の柱際封止ブロック18と八角形ブロック6,7との間にあって第3横方向クリアランスCT3から上方へ向かう上位置斜め方向クリアランスCS5、並びに上方の柱際封止ブロック18と柱1との間にあって第3横方向クリアランスCT3から上方に向かう第3縦方向クリアランスCV3を、これらブロックの表面側及び裏面側からシール材11でシールすることで柱際充填通路P4を形成し、次いで、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に閉鎖部材19を装着し、次いで、柱際充填通路P4に、下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部から上方へ向かって接着材を充填し、次いで、接着材が閉鎖部材19の空気抜き穴19aから溢流したときに空気抜き穴19aを栓部材20で塞ぎ、その後、接着材が第3縦方向クリアランスCV3の上方開放部から溢流したときに充填を終了し、これら柱1、柱際封止ブロック18及び八角形ブロック6,7を相互に接合するようにしたので、柱際の施工について、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することができて、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる。また、柱際充填通路P4により、複数のブロックに対し、一挙に接着材を充填することができ、合理的に効率よく施工することができる。
【0093】
全てのブロックは、それらの斜辺に傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に、接着材の充填を案内する条溝12を有するので、粘性の低い接着材であっても十分な接着強度を確保できると共に、下方から上方へ向かう接着材の充填をきわめて良好に行うことができ、また、クリアランス内の空気を確実に排出することができ、気泡の残留を防止して、この面からも高い接着強度を確保することができる。
【0094】
柱際封止ブロック18には、下方の八角形ブロック6に面する下側斜辺18sbに単一の嵌合凹部15を傾斜方向に沿って形成すると共に、当該斜辺18sbの傾斜方向上側に平坦面30を形成し、嵌合凹部15と向かい合う八角形ブロック6の上側斜辺saには、当該嵌合凹部15に嵌合する単一の嵌合凸部14を傾斜方向に沿って形成したので、接着材を充填する下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部から遠方であってかつブロックの表面側及び裏面側からシール材11でシールすることで空気抜きし難い上位置斜め方向クリアランスCS5内の空気を、閉鎖部材19の空気抜き穴19aへ向かってスムーズかつ確実に排出することができ、気泡の残留を防止して、高い接着強度を確保することができる。
【0095】
全てのブロックの互いに接合される斜辺のいずれか一方には、単一の嵌合凸部14を形成し、他方の斜辺には、嵌合凸部14に嵌合する単一の嵌合凹部15を形成したので、接着材の充填前に確保しておくべきブロックの位置調整を容易かつ適切に行うことができる。
【0096】
上記実施形態では、各封止ブロック9,10,18,21,22に、斜辺先端部が欠けることを防ぐために、台部等9a,10a,18a,21a,21b,22a,22bを設けたが、台部を設けることなく、八角形ブロック6,7の横辺xを梁2,3に、縦辺yを柱1に直接接合するようにしても良いことはもちろんである。
【符号の説明】
【0097】
1 柱
2 上梁
3 下梁
4 開口部分
5 壁
6 一般部八角形ブロック
7 上部八角形ブロック
8 開口
11 シール材
12 条溝
14 嵌合凸部
15 嵌合凹部
18 柱際封止ブロック
18s 柱際封止ブロックの斜辺
19 閉鎖部材
19a 空気抜き穴
20 栓部材
30 平坦面
CS4 下位置斜め方向クリアランス
CS5 上位置斜め方向クリアランス
CT3 第3横方向クリアランス
CV3 縦方向クリアランス
P4 柱際充填通路
s 八角形ブロックの斜辺
x 八角形ブロックの横辺
y 八角形ブロックの縦辺
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することが可能であって、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の柱と上下の梁で区画される開口部分にブロックを組んで構築される壁及びその構築方法として、特許文献1が知られている。特許文献1の「耐震壁およびその構築方法」は、ブロックの強度を確保しつつ、合理的に採光や通風を確保することが可能であるとともに、居ながらで施工することが可能な耐震壁およびその構築方法を提供することを課題とし、柱と梁で区画される開口部分に構築される耐震壁であって、八角形状で形成され、斜辺同士が向かい合う配列で開口部分に縦横方向に配列され互いに接合されて、縦辺および横辺で取り囲んだ開口を形成し、かつ、柱や梁に対し、縦辺や横辺が接合されるプレキャストコンクリート製八角形ブロックと、八角形ブロックの斜辺と柱や梁との間の隙間にこれを封止すべく配設され、これらに接合されるプレキャストコンクリート製封止ブロックとを備えた。八角形ブロック同士、八角形ブロックと封止ブロック、八角形ブロックと柱や梁、封止ブロックと柱や梁は、それぞれ互いに接着材で接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−146447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
順次積み上げていく八角形ブロックなどのブロック同士を接着材で接着する場合、接着材を塗布した後でブロックを積んで位置の調整を行う手順となり、この位置調整のために、予め塗布しておく接着材の接着力が弱まってしまうという課題があった。また、塗布した接着材の上にブロックを積み上げる手順であると、接着面に気泡が残存し易く、残存する気泡によっても接着力が弱まってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することが可能であって、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる八角形ブロックを用いた壁の構築方法は、左右の柱と上下の梁で区画される開口部分にブロックを積み上げて壁を構築する方法であって、八角形状で形成され、斜辺同士が向かい合う配列で上記開口部分に縦横に配設されて、縦辺及び横辺で取り囲んだ開口を形成する複数のプレキャストコンクリート製八角形ブロックと、上記八角形ブロックの斜辺と向かい合う2つの斜辺を有し、上記柱側方に縦並びで配列されて、各々が該柱と縦並びで隣接する2つの該八角形ブロックとの間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される複数のプレキャストコンクリート製柱際封止ブロックと、空気抜き穴付きの閉鎖部材と、上記空気抜き穴を塞ぐ着脱自在な栓部材とを用い、上記柱側方で、縦並びで隣接する上記柱際封止ブロック同士の間の横方向クリアランス、下方の該柱際封止ブロックと上記八角形ブロックとの間にあって下方から該横方向クリアランスに連通する下位置斜め方向クリアランス、上方の該柱際封止ブロックと該八角形ブロックとの間にあって該横方向クリアランスから上方へ向かう上位置斜め方向クリアランス、並びに上方の該柱際封止ブロックと該柱との間にあって該横方向クリアランスから上方に向かう縦方向クリアランスを、これらブロックの表面側及び裏面側からシール材でシールすることで柱際充填通路を形成し、次いで、上記上位置斜め方向クリアランスの上方開放部に上記閉鎖部材を装着し、次いで、上記柱際充填通路に、上記下位置斜め方向クリアランスの下方開放部から上方へ向かって接着材を充填し、次いで、接着材が上記閉鎖部材の上記空気抜き穴から溢流したときに該空気抜き穴を上記栓部材で塞ぎ、その後、接着材が上記縦方向クリアランスの上方開放部から溢流したときに充填を終了し、これら柱、柱際封止ブロック及び八角形ブロックを相互に接合することを特徴とする。
【0007】
前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックは、それらの斜辺に傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に、接着材の充填を案内する条溝を有することを特徴とする。
【0008】
前記柱際封止ブロックには、下方の前記八角形ブロックに面する斜辺に単一の嵌合凹部を傾斜方向に沿って形成すると共に、当該斜辺の傾斜方向上側に平坦面を形成し、該嵌合凹部と向かい合う上記八角形ブロックの斜辺には、当該嵌合凹部に嵌合する単一の嵌合凸部を傾斜方向に沿って形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる八角形ブロックを用いた壁構造は、上記八角形ブロックを用いた壁の構築方法によって構築される壁構造であって、前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックの互いに接合される斜辺のいずれか一方には、単一の嵌合凸部を形成し、他方の斜辺には、該嵌合凸部に嵌合する単一の嵌合凹部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造にあっては、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することができ、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造の好適な一実施形態を説明するための壁の正面図である。
【図2】図1に示した実施形態に適用される一般部八角形ブロックの斜視図である。
【図3】図1に示した実施形態に適用される上部八角形ブロックの斜視図である。
【図4】図1に示した実施形態に適用される梁上封止ブロックの斜視図である。
【図5】図1に示した実施形態に適用される梁下封止ブロックの斜視図である。
【図6】図1に示した実施形態に適用される柱際封止ブロックの斜視図である。
【図7】図1に示した実施形態に適用される下隅角封止ブロックの斜視図である。
【図8】図1に示した実施形態に適用される上隅角封止ブロックの斜視図である。
【図9】図2に示した一般部八角形ブロックの正面図である。
【図10】図3に示した上部八角形ブロックの正面図である。
【図11】図1に示した実施形態における下梁上充填通路の第1横方向クリアランス及び第1縦方向クリアランスへの接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図12】図1に示した実施形態における下梁上充填通路の第1斜め方向クリアランス、一般部充填通路、並びに下隅角封止ブロック周辺への接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図13】図1に示した実施形態における柱際充填通路への接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図14】図1に示した実施形態における上梁下充填通路への接着材の充填施工を説明する説明図である。
【図15】図1に示した実施形態におけるシール材によるシール状況を説明する斜視図である。
【図16】図15中、A−A線矢視断面図である。
【図17】図1に示した実施形態における閉鎖部材及び栓部材の適用の様子を示す斜視図である。
【図18】図1に示した実施形態における一般部充填通路への接着材の充填の様子を示す要部拡大図である。
【図19】図18に示した一般部充填通路へ接着材を充填する様子を示す斜視図である。
【図20】図1に示した実施形態における柱際充填通路への接着材の充填施工を説明する要部拡大図である。
【図21】図1に示した実施形態における上梁下充填通路への接着材の充填施工を説明する要部拡大図である。
【図22】図21中、B−B線矢視図である。
【図23】図1に示した実施形態における上梁下充填通路の第3斜め方向クリアランスの様子を示す要部拡大断面図である。
【図24】図23中、C−C線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る八角形ブロックを用いた壁の構築方法及び壁構造の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る八角形ブロックを用いた壁の構築方法により構築されて完成した壁構造の正面図が示されている。
【0013】
この壁構造は、左右の柱1と上下の梁2,3で区画される長方形状の開口部分4に、各種形態のブロックを積み上げ、接着材で接合することで構成される。接着材としては、後述するようにクリアランスに充填するものなので、エポキシ樹脂などの一般的な接着材でも、粘性の低いタイプを採用することが好ましい。開口部分4の形状は、長方形状に限らず、どのような形態であっても良い。
【0014】
本実施形態に係る壁の構築方法及び壁構造は、開口部分4のほぼ全域にわたって積み上げられる複数の八角形ブロック6,7と、下梁3上に横並びで配列される複数の梁上封止ブロック9と、上梁2下に横並びで配列される複数の梁下封止ブロック10と、左右の柱1側方に縦並びで配列される複数の柱際封止ブロック18と、柱1と下梁3で挟まれた下隅角部に配置される2つの下隅角封止ブロック21と、柱1と上梁2で挟まれた上隅角部に配置される2つの上隅角封止ブロック22とを用い、これらを順次積み上げることで構成される。これらブロックはいずれも、プレキャストコンクリート製で形成される。
【0015】
各八角形ブロック6,7は、外形輪郭が八角形状で形成され、上下及び左右に隣接する八角形ブロック6,7同士は必ず、互いの斜辺s同士が向かい合う配列で開口部分4に縦横に配設され、斜辺s同士が接着材で接合される。
【0016】
各八角形ブロック6,7の斜辺s間に位置する縦辺y及び横辺xは、非接合部とされ、例えば縦辺yは、右側や左側に隣接して配設される他の3つの八角形ブロック6,7の2つの横辺x及び1つの縦辺yと共にこれらで取り囲んで、あるいは横辺xの場合には、上側や下側に隣接して配設される他の3つの八角形ブロック6,7の1つの横辺x及び2つの縦辺yと共にこれらで取り囲んで、八角形ブロック6,7同士の間に、採光用や通風用の正方形状の開口8を形成する。開口8には、ガラスブロックなどを嵌め込んでも良い。
【0017】
図2及び図3には、八角形ブロック6,7が示されている。図3の八角形ブロック(以下、上部八角形ブロックという)7は、梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22との接合に用いられる。図2の八角形ブロック(以下、一般部八角形ブロックという)6は、その他の一般部分に用いられる。
【0018】
いずれの八角形ブロック6,7も、斜辺(傾斜面)sには、傾斜方向に沿って、接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。特に本実施形態では、粘性の低い接着材を採用していて、接着強度を増強するために接着面を増加する目的で条溝12が形成される。斜辺sのうち、八角形状の上側の2つの上側斜辺(傾斜面)saには、その上に搭載される他のブロックとの間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。スペーサ23は、八角形状下側の斜辺(傾斜面)sbに設けるようにしても良い。
【0019】
図示例にあっては、八角形ブロック6,7は、外周縁部が厚肉で、中央部が薄肉に形成されている。中央部に貫通孔を形成しても良い。
【0020】
図2に示した一般部八角形ブロック6は、図9にも示すように、2つの上側斜辺(傾斜面)saそれぞれに、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、2つの下側斜辺(傾斜面)sbそれぞれに、単一の嵌合凹部15が傾斜方向に沿って形成される。
【0021】
互いに接合される斜辺s同士が向かい合う配列で、一方の一般部八角形ブロック6の上に他方の一般部八角形ブロック6を積み上げる際、下になる一方の一般部八角形ブロック6の上側斜辺saの嵌合凸部14が、上になる他方の一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0022】
図3に示した上部八角形ブロック7は、図10にも示すように、すべての斜辺s(傾斜面)それぞれに、単一の嵌合凹部15が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺s同士が向かい合う配列で、一般部八角形ブロック6の上に上部八角形ブロック7を積み上げる際、下になる一般部八角形ブロック6の上側斜辺saの嵌合凸部14が、上になる上部八角形ブロック7の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0023】
また、上部八角形ブロック7の上に梁下封止ブロック10や上隅角封止ブロック22を積み上げる際、下になる上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15には、後述する梁下封止ブロック10や上隅角封止ブロック22に形成される嵌合凸部14が嵌合される。
【0024】
図4には、梁上封止ブロック9が示されている。各梁上封止ブロック9は、横並びで隣接する2つの一般部八角形ブロック6と下梁3との間の梁上隙間にこれを封止すべく配設される。各梁上封止ブロック9は、台部9aと台部9aから隆起する台形部9bとから構成される。台部9aが下梁3上面に接着材で接合される。台形部9bは、隣り合う2つの一般部八角形ブロック6の間に位置し、これら一般部八角形ブロック6の各下側斜辺sbと向かい合う2つの斜辺9sを有する。
【0025】
梁上封止ブロック9は、2つの斜辺9sが接着材で、2つの一般部八角形ブロック6の各下側斜辺sbと接合される。梁上封止ブロック9の台形部9bの上底の寸法は、八角形ブロック6,7の横辺xの寸法で、斜辺9sの寸法は、八角形ブロック6,7の斜辺sの寸法で、台部9aの長さ寸法は、横並びの2つの八角形ブロック6,7の横辺x中央部間に亘る寸法(八角形ブロックの横幅+横辺)で形成される。
【0026】
梁上封止ブロック9の斜辺9s(傾斜面)には、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺9s(傾斜面)には、その上に搭載される一般部八角形ブロック6との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。台部9aの底面にも、下梁3との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、同様のスペーサ23が設けられる。
【0027】
2つの斜辺9s(傾斜面)にはそれぞれ、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺sb,9s同士が向かい合う配列で、梁上封止ブロック9の上に一般部八角形ブロック6を積み上げる際、下になる梁上封止ブロック9の斜辺9sの嵌合凸部14が、上になる一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0028】
図5には、梁下封止ブロック10が示されている。各梁下封止ブロック10は、横並びで隣接する2つの上部八角形ブロック7と上梁2との間の梁下隙間にこれを封止すべく配設される。各梁下封止ブロック10は、台部10aと台部10aから隆起する台形部10bとから構成される。台部10aが上梁2下面に接着材で接合される。台形部10bは、隣り合う2つの上部八角形ブロック7の間に位置し、これら上部八角形ブロック7の各上側斜辺saと向かい合う2つの斜辺10sを有する。
【0029】
梁下封止ブロック10は、2つの斜辺10sが接着材で、2つの上部八角形ブロック7の各上側斜辺saと接合される。梁下封止ブロック10の台形部10bの下底の寸法は、八角形ブロック6,7の横辺xの寸法で、斜辺10sの寸法は、八角形ブロックの斜辺sの寸法で、台部10aの長さ寸法は、横並びの2つの八角形ブロック6,7の横辺x中央部間に亘る寸法(八角形ブロックの横幅+横辺)で形成される。
【0030】
梁下封止ブロック10の斜辺10s(傾斜面)には、傾斜方向上側を除き、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺10s(傾斜面)の傾斜方向上側は、空気抜きのために平坦面13で形成される。
【0031】
2つの斜辺10s(傾斜面)にはそれぞれ、下方に位置する上部八角形ブロック7の上側斜辺saに向かって突出させて、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、上述した上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15は、当該嵌合凸部14と向かい合う。互いに接合される斜辺s、10s同士が向かい合う配列で、上部八角形ブロック7の上に梁上封止ブロック10を積み上げる際、下になる上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15に、上になる梁上封止ブロック10の斜辺10sの嵌合凸部14が嵌合される。
【0032】
図6には、柱際封止ブロック18が示されている。各柱際封止ブロック18は、縦並びで隣接する上下2つの一般部八角形ブロック6,6同士や一般部八角形ブロック6及び上部八角形ブロック7と、柱1との間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される。各柱際封止ブロック18は、台部18aと台部18aから隆起する台形部18bとから構成される。台部18aが柱1側面に接着材で接合される。台形部18bは、隣り合う上下2つの八角形ブロック6,7の間に位置し、これら八角形ブロック6,7の上側斜辺sa及び下側斜辺sbにそれぞれ向かい合う、下側斜辺18sb及び上側斜辺18saを有する。
【0033】
柱際封止ブロック18は、2つの斜辺18sa,18sbが上下2つの八角形ブロック6,7の上側斜辺sa及び下側斜辺sbと接着材で接合される。柱際封止ブロック18の台形部18bの上底の寸法は、八角形ブロック6,7の縦辺yの寸法で、斜辺18sa,18sbの寸法は、八角形ブロック6,7の斜辺sの寸法で、台部18aの長さ寸法は、縦並びの2つの八角形ブロック6,7の縦辺y中央部間に亘る寸法(八角形ブロックの縦幅+縦辺)で形成される。
【0034】
柱際封止ブロック18の斜辺18sa,18sb(傾斜面)には、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。下方に位置する八角形ブロック6に面する下側斜辺18sb(傾斜面)の傾斜方向上側は、空気抜きのために平坦面30で形成される。上側斜辺18sa(傾斜面)には、その上に搭載される八角形ブロック6,7との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。台部18aの底面にも、柱1との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、同様のスペーサ23が設けられる。
【0035】
上側斜辺18sa(傾斜面)には、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、下側斜辺18sb(傾斜面)には、単一の嵌合凹部15が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺18sa,18sb,sa,sb同士が向かい合う配列で、柱際封止ブロック18を八角形ブロック6,7に対し積み上げる際、下になる八角形ブロック6の上側斜辺saの嵌合凸部14が、上になる柱際封止ブロック18の下側斜辺18sbの嵌合凹部15に嵌合され、また、この柱際封止ブロック18の上側斜辺18saの嵌合凸部14が、その上になる他の八角形ブロック6,7の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0036】
図7には、下隅角封止ブロック21が示されている。各下隅角封止ブロック21は、柱1、下梁3及び一般部八角形ブロック6で取り囲まれる下隅角隙間にこれを封止すべく配設される。各下隅角封止ブロック21は、縦片部21a及び横片部21bからなるL字状の台部と、縦片部21a及び横片部21b間に形成した傾斜部21cとから構成される。台部の縦片部21aが柱1側面に、横片部21bが下梁3上面に接着材で接合される。
【0037】
傾斜部21cは、一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbと向かい合う斜辺21sを有し、この斜辺21sが一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbと接着材で接合される。下隅角封止ブロック21の縦片部21aの寸法は、八角形ブロック6の縦幅の1/2と梁上封止ブロック9の台部9aの高さとの和で、横片部21bの寸法は、八角形ブロック6の横幅の1/2と柱際封止ブロック18の台部18aの高さとの和で、傾斜部21cの寸法は、八角形ブロック6の斜辺sの寸法で形成される。
【0038】
下隅角封止ブロック21の斜辺21s(傾斜面)には、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺21s(傾斜面)には、その上に搭載される一般部八角形ブロック6との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能にねじ込まれるネジなどのスペーサ23が設けられる。縦片部21a及び横片部21bにも、柱1や下梁3との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、同様のスペーサ23が設けられる。
【0039】
斜辺21s(傾斜面)には、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成される。互いに接合される斜辺s,21s同士が向かい合う配列で、下隅角封止ブロック21の上に一般部八角形ブロック6を積み上げる際、下になる下隅角封止ブロック21の斜辺21sの嵌合凸部14が、上になる一般部八角形ブロック6の下側斜辺sbの嵌合凹部15に嵌合される。
【0040】
図8には、上隅角封止ブロック22が示されている。各上隅角封止ブロック22は、柱1、上梁2及び上部八角形ブロック7で取り囲まれる上隅角隙間にこれを封止すべく配設される。各上隅角封止ブロック22は、縦片部22a及び横片部22bからなるL字状の台部と、縦片部22a及び横片部22b間に形成した傾斜部22cとから構成される。台部の縦片部22aが柱1側面に、横片部22bが上梁2下面に接着材で接合される。
【0041】
傾斜部22cは、上部八角形ブロック7の上側斜辺saと向かい合う斜辺22sを有し、この斜辺22sが上部八角形ブロック7の上側斜辺saと接着材で接合される。上隅角封止ブロック22の縦片部22aの寸法は、上部八角形ブロック7の縦幅の1/2と梁下封止ブロック10の台部10aの高さとの和で、横片部22bの寸法は、上部八角形ブロック7の横幅の1/2と柱際封止ブロック18の台部18aの高さとの和で、傾斜部22sの寸法は、上部八角形ブロック7の斜辺sの寸法で形成される。
【0042】
上隅角封止ブロック22の斜辺22s(傾斜面)には、傾斜方向上側を除き、傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に接着材の充填を案内するための条溝12が形成される。斜辺22s(傾斜面)の傾斜方向上側は、空気抜きのために平坦面13で形成される。少なくとも縦片部22aには、柱1との間に接着材を充填するためのクリアランスを確保するために、高さ調整可能なスペーサ23が設けられる。
【0043】
斜辺22s(傾斜面)には、下方に位置する上部八角形ブロック7の上側斜辺saに向かって突出させて、単一の嵌合凸部14が傾斜方向に沿って形成され、上述した上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15は、当該嵌合凸部14と向かい合う。互いに接合される斜辺s,22s同士が向かい合う配列で、上部八角形ブロック7の上に上隅角封止ブロック22を積み上げる際、下になる上部八角形ブロック7の上側斜辺saの嵌合凹部15に、上になる上隅角封止ブロック22の斜辺22sの嵌合凸部14が嵌合される。
【0044】
図1に示すように、壁5の中央部では、下梁3上に梁上封止ブロック9を設置し、梁上封止ブロック9の上に一般部八角形ブロック6を積み上げ、一般部八角形ブロック6を積み上げることを繰り返してその上に上部八角形ブロック7を積み、上部八角形ブロック7の上であって上梁2下に梁下封止ブロック10が積まれる。
【0045】
また、壁5の柱1際では、下隅角部において、梁上封止ブロック9の隣に位置させて下梁3上に下隅角封止ブロック21を設置し、その上に一般部八角形ブロック6を積み、その後、一般部八角形ブロック6の上に柱際封止ブロック18を積み上げることを繰り返し、上隅角部では、柱際封止ブロック18の上に上部八角形ブロック7を積み、その後、梁下封止ブロック10の隣に位置させて上梁2下に上隅角封止ブロック22が積まれる。
【0046】
2つの下隅角封止ブロック21及び2つの上隅角封止ブロック22は、梁上封止ブロック9及び梁下封止ブロック10と共に、開口部分4の横方向に連続して配列される。また、柱1側方で、上下の下隅角封止ブロック21と上隅角封止ブロック22は、柱際封止ブロック18と共に、開口部分4の縦方向に連続して配列される。
【0047】
このようにしてブロックを積み上げると、図11に示すように、下梁3上で、下梁3と下梁3上に配設される梁上封止ブロック9及び下隅角封止ブロック21の間には、スペーサ23を介して、開口部分4の長さ方向に沿って一連に第1横方向クリアランスCT1が形成される。横並びで隣接する梁上封止ブロック9同士及び下隅角封止ブロック21の間には、第1縦方向クリアランスCV1が設定される。図12〜図14に示すように、梁上封止ブロック9及び下隅角封止ブロック21と一般部八角形ブロック6との間には、スペーサ23を介して、第1斜め方向クリアランスCS1が形成される。
【0048】
これら第1横方向クリアランスCT1、第1縦方向クリアランスCV1及び第1斜め方向クリアランスCS1は、後述するエポキシ樹脂製のシール材11でシールされることによって、下梁上充填通路P1を形成する。
【0049】
一般部八角形ブロック6同士、並びに一般部八角形ブロック6と上部八角形ブロック7の間には、スペーサ23を介して、第2斜め方向クリアランスCS2が形成される。第2斜め方向クリアランスCS2は、シール材11でシールされることによって、一般部充填通路P2を形成する。
【0050】
また、図14に示すように、上梁2下で、上部八角形ブロック7と上梁2下に配設される梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22との間には、スペーサー23を介して、第3斜め方向クリアランスCS3が形成される。横並びで隣接する梁下封止ブロック10同士及び上隅角封止ブロック22の間には、第2縦方向クリアランスCV2が設定される。梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22と上梁2との間には、開口部分4の長さ方向に沿って一連に第2横方向クリアランスCT2が設定される。
【0051】
これら第2横方向クリアランスCT2、第2縦方向クリアランスCV2及び第3斜め方向クリアランスCS3は、シール材11でシールされることによって、上梁下充填通路P3を形成する。
【0052】
柱1側方では、図13に示すように、縦並びで隣接する柱際封止ブロック18同士及び上隅角封止ブロック22の間に、八角形ブロック6,7のスペーサ23によって、第3横方向クリアランスCT3が形成される。第3横方向クリアランスCT3を挟む上下位置関係において、下方の柱際封止ブロック18とその上に積まれる八角形ブロック6,7との間にあって下方から当該横方向クリアランスCT3に連通する下位置斜め方向クリアランスCS4がスペーサ23によって形成される。
【0053】
また、下位置斜め方向クリアランスCS4を形成する当該八角形ブロック6,7と上方の柱際封止ブロック18との間にあって当該第3横方向クリアランスCT3から上方へ向かう上位置斜め方向クリアランスCS5がスペーサ23によって形成される。当該上方の柱際封止ブロック18と柱1との間にあって当該第3横方向クリアランスCT3から上方へ向かう第3縦方向クリアランスCV3がスペーサ23によって形成される。
【0054】
特に、柱1側面と柱際封止ブロック18及び上・下隅角封止ブロック21,22との間には、開口部分4の高さ方向に沿って一連に第3縦方向クリアランスCV3が形成されるが、ブロックを積み上げていく施工手順との関係で、第3縦方向クリアランスCV3は積み上げの進捗に従って順次形成されていく。
【0055】
これら第3横方向クリアランスCT3、第3縦方向クリアランスCV3、下位置斜め方向クリアランスCS4及び上位置斜め方向クリアランスCS5は、シール材11でシールされることによって、柱際充填通路P4を形成する。
【0056】
各種ブロック同士及びこれらブロックと上下の梁2,3や左右の柱1との接合はクリアランスへ接着材を充填することで行われる。接着材をクリアランスへ充填する前に、積み上げたブロック同士等の間のクリアランスは図15及び図16に示すように、ブロックの表面側及び裏面側からシール材11を施工することでシールされ、これにより充填通路P1〜P4が形成される。
【0057】
図16には、一般部八角形ブロック6同士の接合箇所のように、斜辺s全体に条溝12を形成した部分が示されている。条溝12は、接着面を増加すると共に接着材を斜辺sの傾斜方向に沿って案内して、接着強度を確保すると同時に、接着材の充填を円滑化し、そしてまた、クリアランスから空気をスムーズに排出して気泡が残留することを抑制する。
【0058】
また、図17に示すように、クリアランスからの空気の排出と、接着材の充填確認に加えて、充填確認後に、接着材を充填通路内の各所へさらに充填していく操作を可能とするために、空気抜き穴19a付きの閉鎖部材19が用いられる。図示例にあっては、閉鎖部材19は、L字形状のアルミ製アングル材で構成される。
【0059】
閉鎖部材19を充填通路を形成するクリアランスの上方開放部に適宜に配置することで、充填通路内の空気を空気抜き穴19aから排出し、接着材が空気抜き穴19aから溢流することで充満されたことを確認し、その後、空気抜き穴19aを着脱自在な栓部材20で塞ぐことにより、当該閉鎖部材19の設置位置よりも高い位置へ接着材を充填していくことができる。
【0060】
なお、空気は高いところに集まることから、空気抜き穴19aは嵌合凹部15の底付近(閉鎖部材19の上部側)に設けることが望ましい。
【0061】
図11及び図12を使用して、下梁3上で、梁上封止ブロック9、下隅角封止ブロック21及び一般部八角形ブロック6を積み上げて形成される下梁上充填通路P1を用いて行う下梁上施工を説明する。
【0062】
図11に示すように、梁上封止ブロック9及び下隅角封止ブロック21と下梁3との間の第1横方向クリアランスCT1に対し、開口部分4の一方の柱1際に挿着した注入パイプ24から他方の柱1際に向けて、一連に接着材を充填する。この際、第1縦方向クリアランスCV1の上方開放部に、空気抜きパイプ25を挿着し、空気抜きを行う。
【0063】
接着材は、第1横方向クリアランスCT1及び第1縦方向クリアランスCV1に充満すると、空気抜きパイプ25から溢流し、充填を確認することができる。また、柱1と下隅角封止ブロック21との間にも、接着材が充満し、この充満は下隅角封止ブロック21の上方開放部からの溢流で確認できる。
【0064】
次に、図12に示すように、梁上封止ブロック9の上に一般部八角形ブロック6を積み、第1縦方向クリアランスCV1の上方開放部に注入パイプ24を挿着し、第1斜め方向クリアランスCS1に対し、下方から上方へ向かって接着材を充填する。
【0065】
接着材は、第1斜め方向クリアランスCS1に充満すると、一般部八角形ブロック6の斜辺sの上方開放部から溢流し、充満を確認することができる。
【0066】
下隅角封止ブロック21周辺については、下隅角封止ブロック21と一般部八角形ブロック6の上に、一番下となる柱際封止ブロック18を載せると共に、当該下隅角封止ブロック21の上方開放部に注入パイプ24を挿着し、この注入パイプ24により下方から上方へ向かって接着材を充填する。この際、充填前に、一般部八角形ブロック6と柱際封止ブロック18の間の斜辺s,18sの上方開放部に、空気抜き穴付きの閉鎖部材19を取り外し可能に装着しておく。
【0067】
接着材は、一般部八角形ブロック6と柱際封止ブロック18の間の斜辺s,18s及び柱1側方の第3縦方向クリアランスCV3を上昇し、まず、斜辺s,18sの上方開放部の閉鎖部材19の空気抜き穴19aから溢流する。
【0068】
溢流したら、空気抜き穴19aを栓部材20で塞ぐ。塞いだ後、再度接着材を充填すると、今度は接着材は、第3縦方向クリアランスCV3に沿ってさらに上昇して柱際封止ブロック18の上方開放部から溢流し、これにより下隅角封止ブロック21を基点として、一番下の一般部八角形ブロック6及び柱際封止ブロック18周りに対する接着材の充満を確認することができる。
【0069】
下梁上充填通路P1に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、下梁3、梁上封止ブロック9、下隅角封止ブロック21及び一般部八角形ブロック6相互を接合する下梁上施工を完了することができる。また、柱際充填通路P4下に対する接着材の充填も終えておくことができる。
【0070】
次に、図12を使用して、下梁上施工で施工した一番下の一般部八角形ブロック6から上部八角形ブロック7までを積み上げて形成される一般部充填通路P2を用いて行う一般部施工を説明する。
【0071】
図18に示すように、第2斜め方向クリアランスCS2の下方開放部に注入パイプ24を挿着し、この注入パイプ24で下方から上方へ向かって接着材を充填する。接着材は条溝12に案内されて上昇し、空気が第2斜め方向クリアランスCS2の上方開放部から抜け切ったことで、当該上方開放部から溢流するので、これにより充満を確認することができる。
【0072】
一般部充填通路P2に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、八角形ブロック6,7同士を接合する一般部施工を完了することができる。
【0073】
次に、図13を使用して、一般部八角形ブロック6と柱1との間で柱際封止ブロック18を積み上げて形成される柱際充填通路P4を用いて行う柱際施工を説明する。
【0074】
図20に、柱際施工箇所の要部が示されている。充填作業の前に、下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部に注入パイプ24を、第3縦方向クリアランスCV3に、第3横方向クリアランスCT3よりも僅かに下方に位置させて、空気抜きパイプ25を挿着すると共に、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に、空気抜き穴付き閉鎖部材19を取り外し可能に装着する。次いで、注入パイプ24から接着材を充填する。
【0075】
接着材は、下位置斜め方向クリアランスCS4に下方から上方に向かって流入し、第3横方向クリアランスCT3へ回り込んで、空気抜きパイプ25から溢流する。溢流によってこれらクリアランスCS4,CT3への充満を確認することができる。
【0076】
次いで、空気抜きパイプ25を封鎖し、さらに注入パイプ24から接着材を充填する。接着材は今度は、上位置斜め方向クリアランスCS5と第3縦方向クリアランスCV3の双方に、下方から上方へ向かって流入する。接着材は、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に達すると、閉鎖部材19の空気抜き穴19aから溢流し、これにより上位置斜め方向クリアランスCS5への充填を確認することができる。
【0077】
この際、下側となる八角形ブロック6には上向き凸の嵌合凸部14が、上側になる柱際封止ブロック18の下側斜辺18sbには嵌合凹部15が形成されている。また、下側斜辺18sbの傾斜方向上側には平坦面30が形成されている。接着材を充填していくと、軽い空気は、接着材によって押し上げられブロックの表面側及び裏面側から嵌合凹部15へ向かって集められ、また、平坦部30では条溝12がないために、上位置斜め方向クリアランスCS5内をスムーズに流れて、嵌合凸部14に沿って閉鎖部材19の空気抜き穴19aへ向かって円滑に押し出されて排出することができ、ブロックを表・裏面側からシール材11でシールしても、気泡溜まりが生じることなく、密実に接着材を充填することができる。このような作用は、図12に示した施工段階における同様の部位でも同じように確保することができる。
【0078】
次いで、空気抜き穴19aを栓部材20で封鎖し、さらに注入パイプ24から接着材を充填する。接着材は、第3縦方向クリアランスCV3を下方から上方へ向かって上昇し、柱際封止ブロック18の上方開放部から溢流する。これにより、柱際充填通路P4全体への接着材の充填を確認することができる。
【0079】
柱際充填通路P4に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、柱1、柱際封止ブロック18及び一般部八角形ブロック6相互を接合する柱際施工を完了することができる。
【0080】
次に、図14を使用して、一般部施工で施工した上部八角形ブロック7に対し、上梁2下で、梁下封止ブロック10及び上隅角封止ブロック22を積み上げて形成される上梁下充填通路P3を用いて行う上梁下施工を説明する。
【0081】
上部八角形ブロック7と梁下封止ブロック10との間の第3斜め方向クリアランスCS3及び梁下封止ブロック10同士の間の第2縦方向クリアランスCV2へ接着材を充填する際には、空気抜きを確保するために、図21及び図22に示すように、第3斜め方向クリアランスCS3の上方開放部近傍及び第2縦方向クリアランスCV2と第2横方向クリアランスCT2との交差位置に、これらにそれぞれ連通させて、ブロックの表面側及び裏面側から空気抜き部材16が挿着される。
【0082】
また、第3斜め方向クリアランスCS3については、図23及び図24に示すように、空気抜き部材16への空気流動性を確保するために、梁下封止ブロック10には、平坦面13が形成され、空気抜き部材16は、この平坦面13箇所に連通させて挿着される。平坦面13は、上述したように、斜辺10sの傾斜方向上側にのみ形成され、斜辺10sの傾斜方向下側では条溝12同士が向かい合っている。
【0083】
条溝12で下方から上方へ案内される接着材により、第3斜め方向クリアランスCS3を上昇する空気は、平坦部13では条溝12がないために、ブロックの表裏方向へ向かってスムーズに流れて排出されるようになっている。
【0084】
また、図21〜図24に示すように、上梁2下では、下側となる上部八角形ブロック7には嵌合凹部15が、上側になる梁下封止ブロック10には嵌合凸部14が形成されている。例えば図16に示した他の部分のように、嵌合凸部14が下側で嵌合凹部15が上側の関係であると、軽い空気は接着材によって押し上げられ上方の嵌合凹部15内に溜まってしまって排出されにくいが、上梁2下では図24に示すように、嵌合凸部14が上側で下向きに凸となるようにしたことから、押し上げられる空気をブロックの表裏方向へ向かって横方向へ押し出すことができ、空気をきわめて円滑に空気抜き部材16から排出することができる。
【0085】
接着材を第3斜め方向クリアランスCS3の下方開放部に挿着した注入パイプ24から充填する。接着材は、第3斜め方向クリアランスCS3に下方から上方に向かって上昇し、空気は接着材で押し出されて、2つの空気抜き部材16から排出される。
【0086】
接着材は、第3斜め方向クリアランスCS3の上方開放部の空気抜き部材16に達すると、これより溢流し、これにより第3斜め方向クリアランスCS3に充満したことを確認することができる。
【0087】
次いで、溢流が生じた空気抜き部材16を封鎖し、さらに接着材を充填すると、今度は第2縦方向クリアランスCV2と第2横方向クリアランスCT2の交差位置に挿着した空気抜き部材16から接着材が溢流し、これにより第2縦方向クリアランスCV2への接着材の充満を確認することができる。
【0088】
上隅角封止ブロック22周辺に対する接着材の充填は、上記柱際充填通路P4と同様に施工されるが、図21〜24に示したように、上記空気抜き部材16を第3縦方向クリアランスCV3の上方開放部、上位置斜め方向クリアランスCS5及び上記交差位置へ挿着することと、上部八角形ブロック7の嵌合凹部15に上隅角封止ブロック22の嵌合凸部14を嵌合することとで、ブロックの表面側及び裏面側から空気を円滑に排出することができるようになっている。
【0089】
最後に、第2横方向クリアランスCT2へ接着材を充填する施工を行う。上梁2には、少なくとも当該施工前に、図21及び図22に示すように、第2横方向クリアランスCT2と連通してこれより空気抜きするための切り欠き部17が複数形成される。図示例にあっては、おおよそ梁下封止ブロック10の台部10a位置に対応させて、上梁2にその幅方向両側から切り欠き部17が形成されている。
【0090】
接着材は、開口部分4の一方の柱1際に挿着した注入パイプ24から他方の柱1際に向けて、一連に充填する。接着材は、第2横方向クリアランスCT2に充満すると、切り欠き部17から溢流し、充填を確認することができる。なお、複数の切り欠き部17からは順次接着材が溢流するので、溢流があった切り欠き部17は順次封鎖していく。
【0091】
上梁下充填通路P3に下方から上方へ向かって接着材を充填することで、上梁2、梁下封止ブロック10、上隅角封止ブロック22及び上部八角形ブロック7相互を接合する上梁下施工を完了することができる。施工完了時には、挿着等した空気抜きパイプ25や注入パイプ24、空気抜き部材16、閉鎖部材19を全て撤去する。
【0092】
以上説明した本実施形態に係る八角形ブロック6,7を用いた壁5の構築方法及び壁構造にあっては、左右の柱1と上下の梁2,3で区画される開口部分4にブロックを積み上げて壁5を構築する方法であって、八角形状で形成され、斜辺s同士が向かい合う配列で開口部分4に縦横に配設されて、縦辺y及び横辺xで取り囲んだ開口8を形成する複数のプレキャストコンクリート製八角形ブロック6,7と、八角形ブロック6,7の斜辺sと向かい合う2つの斜辺18sを有し、柱1側方に縦並びで配列されて、各々が柱1と縦並びで隣接する2つの八角形ブロック6,7との間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される複数のプレキャストコンクリート製柱際封止ブロック18と、空気抜き穴19a付きの閉鎖部材19と、空気抜き穴19aを塞ぐ着脱自在な栓部材20とを用い、柱1側方で、縦並びで隣接する柱際封止ブロック18同士の間の第3横方向クリアランスCT3、下方の柱際封止ブロック18と八角形ブロック6,7との間にあって下方から第3横方向クリアランスCT3に連通する下位置斜め方向クリアランスCS4、上方の柱際封止ブロック18と八角形ブロック6,7との間にあって第3横方向クリアランスCT3から上方へ向かう上位置斜め方向クリアランスCS5、並びに上方の柱際封止ブロック18と柱1との間にあって第3横方向クリアランスCT3から上方に向かう第3縦方向クリアランスCV3を、これらブロックの表面側及び裏面側からシール材11でシールすることで柱際充填通路P4を形成し、次いで、上位置斜め方向クリアランスCS5の上方開放部に閉鎖部材19を装着し、次いで、柱際充填通路P4に、下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部から上方へ向かって接着材を充填し、次いで、接着材が閉鎖部材19の空気抜き穴19aから溢流したときに空気抜き穴19aを栓部材20で塞ぎ、その後、接着材が第3縦方向クリアランスCV3の上方開放部から溢流したときに充填を終了し、これら柱1、柱際封止ブロック18及び八角形ブロック6,7を相互に接合するようにしたので、柱際の施工について、ブロックの位置調整を接着材の施工前に完了し、かつ接着材を施工する際に気泡が残留するのを抑制することができて、これにより接着材の接着力が弱まってしまうことを防止でき、接合強度を高く確保することができる。また、柱際充填通路P4により、複数のブロックに対し、一挙に接着材を充填することができ、合理的に効率よく施工することができる。
【0093】
全てのブロックは、それらの斜辺に傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に、接着材の充填を案内する条溝12を有するので、粘性の低い接着材であっても十分な接着強度を確保できると共に、下方から上方へ向かう接着材の充填をきわめて良好に行うことができ、また、クリアランス内の空気を確実に排出することができ、気泡の残留を防止して、この面からも高い接着強度を確保することができる。
【0094】
柱際封止ブロック18には、下方の八角形ブロック6に面する下側斜辺18sbに単一の嵌合凹部15を傾斜方向に沿って形成すると共に、当該斜辺18sbの傾斜方向上側に平坦面30を形成し、嵌合凹部15と向かい合う八角形ブロック6の上側斜辺saには、当該嵌合凹部15に嵌合する単一の嵌合凸部14を傾斜方向に沿って形成したので、接着材を充填する下位置斜め方向クリアランスCS4の下方開放部から遠方であってかつブロックの表面側及び裏面側からシール材11でシールすることで空気抜きし難い上位置斜め方向クリアランスCS5内の空気を、閉鎖部材19の空気抜き穴19aへ向かってスムーズかつ確実に排出することができ、気泡の残留を防止して、高い接着強度を確保することができる。
【0095】
全てのブロックの互いに接合される斜辺のいずれか一方には、単一の嵌合凸部14を形成し、他方の斜辺には、嵌合凸部14に嵌合する単一の嵌合凹部15を形成したので、接着材の充填前に確保しておくべきブロックの位置調整を容易かつ適切に行うことができる。
【0096】
上記実施形態では、各封止ブロック9,10,18,21,22に、斜辺先端部が欠けることを防ぐために、台部等9a,10a,18a,21a,21b,22a,22bを設けたが、台部を設けることなく、八角形ブロック6,7の横辺xを梁2,3に、縦辺yを柱1に直接接合するようにしても良いことはもちろんである。
【符号の説明】
【0097】
1 柱
2 上梁
3 下梁
4 開口部分
5 壁
6 一般部八角形ブロック
7 上部八角形ブロック
8 開口
11 シール材
12 条溝
14 嵌合凸部
15 嵌合凹部
18 柱際封止ブロック
18s 柱際封止ブロックの斜辺
19 閉鎖部材
19a 空気抜き穴
20 栓部材
30 平坦面
CS4 下位置斜め方向クリアランス
CS5 上位置斜め方向クリアランス
CT3 第3横方向クリアランス
CV3 縦方向クリアランス
P4 柱際充填通路
s 八角形ブロックの斜辺
x 八角形ブロックの横辺
y 八角形ブロックの縦辺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の柱と上下の梁で区画される開口部分にブロックを積み上げて壁を構築する方法であって、
八角形状で形成され、斜辺同士が向かい合う配列で上記開口部分に縦横に配設されて、縦辺及び横辺で取り囲んだ開口を形成する複数のプレキャストコンクリート製八角形ブロックと、
上記八角形ブロックの斜辺と向かい合う2つの斜辺を有し、上記柱側方に縦並びで配列されて、各々が該柱と縦並びで隣接する上下2つの該八角形ブロックとの間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される複数のプレキャストコンクリート製柱際封止ブロックと、
空気抜き穴付きの閉鎖部材と、
上記空気抜き穴を塞ぐ着脱自在な栓部材とを用い、
上記柱側方で、縦並びで隣接する上記柱際封止ブロック同士の間の横方向クリアランス、下方の該柱際封止ブロックと上記八角形ブロックとの間にあって下方から該横方向クリアランスに連通する下位置斜め方向クリアランス、上方の該柱際封止ブロックと該八角形ブロックとの間にあって該横方向クリアランスから上方へ向かう上位置斜め方向クリアランス、並びに上方の該柱際封止ブロックと該柱との間にあって該横方向クリアランスから上方に向かう縦方向クリアランスを、これらブロックの表面側及び裏面側からシール材でシールすることで柱際充填通路を形成し、
次いで、上記上位置斜め方向クリアランスの上方開放部に上記閉鎖部材を装着し、
次いで、上記柱際充填通路に、上記下位置斜め方向クリアランスの下方開放部から上方へ向かって接着材を充填し、
次いで、接着材が上記閉鎖部材の上記空気抜き穴から溢流したときに該空気抜き穴を上記栓部材で塞ぎ、
その後、接着材が上記縦方向クリアランスの上方開放部から溢流したときに充填を終了し、これら柱、柱際封止ブロック及び八角形ブロックを相互に接合することを特徴とする八角形ブロックを用いた壁の構築方法。
【請求項2】
前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックは、それらの斜辺に傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に、接着材の充填を案内する条溝を有することを特徴とする請求項1に記載の八角形ブロックを用いた壁の構築方法。
【請求項3】
前記柱際封止ブロックには、下方の前記八角形ブロックに面する斜辺に単一の嵌合凹部を傾斜方向に沿って形成すると共に、当該斜辺の傾斜方向上側に平坦面を形成し、
該嵌合凹部と向かい合う上記八角形ブロックの斜辺には、当該嵌合凹部に嵌合する単一の嵌合凸部を傾斜方向に沿って形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の八角形ブロックを用いた壁の構築方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかの項に記載の八角形ブロックを用いた壁の構築方法によって構築される壁構造であって、
前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックの互いに接合される斜辺のいずれか一方には、単一の嵌合凸部を形成し、他方の斜辺には、該嵌合凸部に嵌合する単一の嵌合凹部を形成したことを特徴とする八角形ブロックを用いた壁構造。
【請求項1】
左右の柱と上下の梁で区画される開口部分にブロックを積み上げて壁を構築する方法であって、
八角形状で形成され、斜辺同士が向かい合う配列で上記開口部分に縦横に配設されて、縦辺及び横辺で取り囲んだ開口を形成する複数のプレキャストコンクリート製八角形ブロックと、
上記八角形ブロックの斜辺と向かい合う2つの斜辺を有し、上記柱側方に縦並びで配列されて、各々が該柱と縦並びで隣接する上下2つの該八角形ブロックとの間の柱際隙間にこれを封止すべく配設される複数のプレキャストコンクリート製柱際封止ブロックと、
空気抜き穴付きの閉鎖部材と、
上記空気抜き穴を塞ぐ着脱自在な栓部材とを用い、
上記柱側方で、縦並びで隣接する上記柱際封止ブロック同士の間の横方向クリアランス、下方の該柱際封止ブロックと上記八角形ブロックとの間にあって下方から該横方向クリアランスに連通する下位置斜め方向クリアランス、上方の該柱際封止ブロックと該八角形ブロックとの間にあって該横方向クリアランスから上方へ向かう上位置斜め方向クリアランス、並びに上方の該柱際封止ブロックと該柱との間にあって該横方向クリアランスから上方に向かう縦方向クリアランスを、これらブロックの表面側及び裏面側からシール材でシールすることで柱際充填通路を形成し、
次いで、上記上位置斜め方向クリアランスの上方開放部に上記閉鎖部材を装着し、
次いで、上記柱際充填通路に、上記下位置斜め方向クリアランスの下方開放部から上方へ向かって接着材を充填し、
次いで、接着材が上記閉鎖部材の上記空気抜き穴から溢流したときに該空気抜き穴を上記栓部材で塞ぎ、
その後、接着材が上記縦方向クリアランスの上方開放部から溢流したときに充填を終了し、これら柱、柱際封止ブロック及び八角形ブロックを相互に接合することを特徴とする八角形ブロックを用いた壁の構築方法。
【請求項2】
前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックは、それらの斜辺に傾斜方向に沿って、接着面を増加すると共に、接着材の充填を案内する条溝を有することを特徴とする請求項1に記載の八角形ブロックを用いた壁の構築方法。
【請求項3】
前記柱際封止ブロックには、下方の前記八角形ブロックに面する斜辺に単一の嵌合凹部を傾斜方向に沿って形成すると共に、当該斜辺の傾斜方向上側に平坦面を形成し、
該嵌合凹部と向かい合う上記八角形ブロックの斜辺には、当該嵌合凹部に嵌合する単一の嵌合凸部を傾斜方向に沿って形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の八角形ブロックを用いた壁の構築方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかの項に記載の八角形ブロックを用いた壁の構築方法によって構築される壁構造であって、
前記八角形ブロック及び前記柱際封止ブロックの互いに接合される斜辺のいずれか一方には、単一の嵌合凸部を形成し、他方の斜辺には、該嵌合凸部に嵌合する単一の嵌合凹部を形成したことを特徴とする八角形ブロックを用いた壁構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−241375(P2012−241375A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110878(P2011−110878)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】
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