説明

公共交通機関内での広告配信システム

【課題】公共交通機関の乗客から取得した乗車区間に関する情報に基づき、乗客の公共交通機関利用用途を識別することで、対象を絞り効果的に広告配信を行うことができる公共交通機関内での広告配信システムを提供する。
【解決手段】無線中継装置8は、複数の広告情報をチャンネル別にワンセグコンテンツ送信機221を介して携帯電話10に向けて配信する手段と、乗客によって予め乗車時に降車予約され登録された降車予約情報と、ホストシステム2の乗車履歴DB1から取得した乗車履歴情報とを使用し、乗客が「通常客」であるか、「一時客」であるかの顧客分類の判定を行う手段と、判定された顧客分類及び乗車履歴DB1から別途取得した乗客のジャンル別興味度合い情報に基づき、広告情報配信のチャンネルを乗客の携帯電話10に向けて通知する手段とを備える公共交通機関内での広告配信システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスに代表される公共交通機関において乗客から取得した乗車区間に関する情報を元に、対象を絞り効果的に広告配信を行う公共交通機関内での広告配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バスや電車等の公共交通機関は、普段の生活において多くの人々が利用する生活インフラとなっている。公共交通機関へ広告を出すことは、生活や地域への親和性を利用し多くの人へ情報を循環させることが可能な有効な広告手段の1つである。
【0003】
近年、携帯電話の普及は進み、ほぼ1人1台を所有するまでになっている。
携帯電話は年々多機能化し電話機能以外にもカメラ・Webブラウザ・テレビ視聴や、電子マネー機能を持つようにもなっている。この携帯電話の普及率と高機能性を利用し、生活インフラである電車網においても携帯電話に定期券機能を持たせたサービスが実現されている。
【0004】
また、携帯電話に搭載されたワンセグ(携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)
機能を利用し、店頭などで独自コンテンツを配信するサービスが実現されている。ワンセグ機能を使用することで、利用者側はパケット通信料をかけずに無料で情報を受信することが出来る。
【0005】
一方、バスにおいてはGPS(Global
Positioning System)を活用し、走行中の位置を把握・確認することが可能となるサービスが提供されている。このサービスは交通状況により比較的不安定になりがちな運行状況情報を視覚化し、利用者の利便性向上に役立っている。
【0006】
現在、普及率の進んだ携帯電話と運行情報をモニタリングすることが可能になったバスの運行管理システムを利用し、携帯端末通信装置からバスの降車予約を行い、降車予定停留所が近くなった際に降車予約を行った携帯端末へ通知するシステムが検討されている。
尚、本発明に関連する公知技術文献としては例えば下記の特許文献1がある。
特許文献1には、予め携帯端末からコンピュータに対して降車したい停留所を降車予約情報として登録しておけば、コンピュータは、降車したい停留所の手前で自動的に降車予約情報を携帯端末へ報知してくれる降車予約方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−179573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、バスの利用者の中には、その路線周辺で生活を営んでおり周辺地域への土地勘を有し、通勤・通学のため定期乗車券を所有している顧客もいれば、顧客先訪問や観光などで周辺地域の土地勘のない人もいる。土地勘の有無やその地域での日常生活の有無により、これらの人々が必要とする情報は異なることが想像される。そのため、バス利用の目的を把握し目的に見合った情報・広告を提供することができれば、その情報はより効果的な情報となり得る。また、情報および広告の配信媒体として、昨今普及の進んだ携帯電話のディスプレーを使用し、飛行機の個人用モニターのように、個人の嗜好にあった情報を視覚的、聴覚的に提供することで、バス内でのサービス向上につながる。
【0009】
以上の現状に鑑み、本発明は、公共交通機関の乗客から取得した乗車区間に関する情報に基づき、乗客の公共交通機関利用用途を識別することで、対象を絞り効果的に広告配信を行うことができる公共交通機関内での広告配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、乗車履歴データベースを備えたホストシステムと、
公共交通機関内に設けられた無線中継装置とが公衆回線網によるネットワークを介して接続され、
前記無線中継装置と、ワンセグコンテンツ送信機とが前記公共交通機関内のローカルネットワークを介して接続され、
前記公共交通機関内の乗客が所持する移動体端末が、前記無線中継装置から発信される通知を受信すると共に、前記ワンセグコンテンツ送信機から配信されるワンセグコンテンツを受信するように構成された公共交通機関内での広告配信システムであって、
前記無線中継装置は、
複数の広告情報をチャンネル別に前記ワンセグコンテンツ送信機を介して前記移動体端末に向けて配信する手段と、
乗客によって予め乗車時に降車予約され登録された降車予約情報と、前記ホストシステムの乗車履歴データベースから取得した乗車履歴情報とを使用し、乗客が「通常客」であるか、「一時客」であるかの顧客分類の判定を行う手段と、
判定された顧客分類及び別途予め収集されたジャンル別興味度合い情報に従った広告情報配信のチャンネルを乗客の移動体端末に向けて通知する手段とを備え、
前記移動体端末は、前記無線中継装置から前記広告情報配信のチャンネルの通知を受信する手段と、
前記チャンネルの通知に促され、ワンセグが起動され、通知されたチャンネルが選択されると、前記無線中継装置から配信される前記チャンネルに対応する広告情報を受信する手段とを備えることを特徴とする公共交通機関内での広告配信システムを提供するものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記無線中継装置は、乗客がバス乗車時、移動体端末のICカードを前記無線中継装置に接続された非接触ICカードリーダにかざし、予め記録させた降車予約情報を読取らせると、前記降車予約情報と共にかざした移動体端末の識別番号を取得する手段と、
取得した前記降車予約情報と識別番号と、別に取得した乗車地の情報とを使用して前記ホストシステムに乗車履歴情報の問合せを行う手段と、
前記ホストシステムの乗車履歴データベースから取得した乗車履歴情報の乗車回数が所定閾値以上である場合、「通常客」、そうでない場合「一時客」として顧客分類を判定する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の公共交通機関内での広告配信システムを提供するものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記無線中継装置は、乗客の顧客分類が一時客と判断された場合は、前記無線中継装置が備える配信広告ジャンルテーブルにより、所定の乗車回数範囲毎に設定された異なるジャンルの広告を選択し、そのチャンネルを乗客の移動体端末に通知する手段と、
乗客の顧客分類が通常客と判断された場合は、前記乗車履歴データベースに集計蓄積された乗客のジャンル別興味度合い情報に基づき選択したジャンルの広告のチャンネルを乗客の移動体端末に通知する手段と、
一時客及び通常客の何れの場合に於いても、配信した広告の乗客の視聴時間、及び、配信された情報の乗客による能動的な利用を乗客のジャンル別興味度合い情報として集計し、前記乗車履歴データベースに蓄積していく手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の公共交通機関内での広告配信システムを提供するものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、乗車履歴データベースを備えたホストシステムと、
公共交通機関内に設けられた無線中継装置とが公衆回線網によるネットワークを介して接続され、
前記無線中継装置と、ワンセグコンテンツ送信機とが前記公共交通機関内のローカルネットワークを介して接続され、
前記公共交通機関内の乗客全員で共有する音声案内及び車内モニターが、前記ワンセグコンテンツ送信機から配信されるワンセグコンテンツを受信するように構成された公共交通機関内での広告配信システムであって、
前記無線中継装置は、乗客によって予め乗車時に降車予約され登録された降車予約情報と、前記ホストシステムの乗車履歴データベースから取得した乗車履歴情報を使用し、乗車回数が所定閾値以上であるかどうかの判断により、乗客である対象顧客の「通常客」であるか、「一時客」であるかの顧客分類の判定を行う手段と、
前記無線中継装置が乗車人数を含む利用区間のデータを管理する利用区間データベースに、判定した前記顧客分類を登録する手段と
前記利用区間データベースから前記公共交通機関が現在走行する区間に乗車する顧客分類毎の乗車人数を取得する手段と、
各広告情報の配信優先度に対し、顧客分類と、乗車人数とによる重み付けを行う手段と、
重み付けを行った配信優先度に基づき選択した広告情報を、前記ワンセグコンテンツ送信機を介して前記音声案内及び車内モニターに配信する手段とを備えることを特徴とする公共交通機関内での広告配信システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の公共交通機関内での広告配信システムによれば、次のような効果がある。
(1)公共交通機関の乗客から取得した乗車区間に関する情報に基づき、乗客の公共交通機関利用用途を識別することで、対象を絞り効果的に広告配信を行うことができる公共交通機関内での広告配信システムを提供することができる。
(2)携帯電話を個人別モニターとして使用することで、公共交通機関内で個人別に独自コンテンツを配信することが可能になり、サービスが向上する。これにより大量輸送手段である公共交通機関の利用客が増加し、環境負荷を減らすことができるため地球温暖化防止につながる。
(3)定期券を持たない顧客に対しても、定期券を所有する顧客同様のサービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の公共交通機関内での広告配信システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の乗車履歴データベースに格納されているデータの構成図である。
【図3】本発明の広告データベースに格納されているデータの構成図である。
【図4】本発明の顧客分類判定処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】本発明の利用区間データベースに格納されているデータの構成図である。
【図6】本発明のある時点での利用区間管理データベース上のデータ構成図である。
【図7】本発明の乗客全員で共有する車内広告優先度付け処理を示す説明図である。
【図8】本発明のジャンル別興味度合い判定手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の乗客が公共交通機関内でワンセグコンテンツを受信する手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の乗車回数に応じた配信広告ジャンルテーブルである。
【図11】本発明のジャンル別の広告配信テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
尚、上記ホストシステム及び無線中継装置は、コンピュータであり、上記各手段は、コンピュータのCPUが必要なコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現される手段であり、そのフローチャート図が図4、図8及び図9である。
【0017】
図1は、本発明の公共交通機関内での広告配信システムの一例を示すシステム構成図であり、本公共交通機関内での広告配信システムは、乗車履歴データベース1を備えたホストシステム2と、このホストシステム2から乗車履歴情報を受信する公共交通機関である移動車両8と、移動車両8内のローカルネットワーク19内に構築された無線中継装置9とを備え、移動車両8内の無線中継装置9はモバイルターミナル部222を介し無線回線によって基地局7と接続されている。そして、基地局7は有線の公衆回線網によるネットワーク6と接続され、このネットワーク6にホストシステム2が接続されている。移動車両8内には、ワンセグコンテンツ配信サーバ220と、そのワンセグコンテンツ配信サーバ220からコンテンツを移動体端末である携帯電話10(図中、個別の携帯電話を10a,・・・,10nで示す。)に送信するためのワンセグコンテンツ送信機221が搭載されている。
【0018】
ホストシステム2の乗車履歴データベース1には、個人を識別するための移動体識別番号と乗車区間および乗車回数が登録されている(詳細は図2を用いて後述する。)。
また、ホストシステム2は、乗車履歴データベース1の更新処理を行うDB更新部3、主に移動車両8からの乗車履歴情報の要求に対して、乗車履歴データベース1の検索処理を行う検索処理部4、移動車両8等との送受信を行う送受信部5を備えている。
【0019】
無線中継装置9内は、モバイルターミナル部222、降車予約情報管理部11、広告情報管理部12、制御部13、表示部14、操作部15、WWWサーバ部16、無線LANアクセス制御部17、利用区間管理部18、ワンセグコンテンツ配信サーバ220から構成される。
乗客から取得した降車予約情報は、降車情報管理部11で管理される。このとき、各乗客の利用区間情報は、乗車地と降車予定地とに展開し利用区間管理部18で管理される。同時に広告情報管理部12で管理されている広告情報と利用区間管理部18で管理されている利用区間情報から、配信広告を決定する。乗客が配信された広告情報へアクセスする場合、無線を使用し無線LANアクセス制御部17を介しWWWサーバ部16にアクセスすることで所望の情報を入手することができる。
尚、本実施例では広告データはワンセグコンテンツ配信サーバ220が管理して乗客のワンセグコンテンツ送信機221に配信することを想定して記載するが、広告データはホストシステム側に接続されたコンテンツサーバで管理・配信するようにしてもよい。
【0020】
乗車履歴データベース1に格納される情報は、図2に示すように移動体識別番号21、乗車地22,降車地23,乗車回数24,ジャンル別興味度合い情報25、26を保持しており、移動体識別番号21は乗客の移動体固有の識別番号、乗車地22は乗客がバスに乗車するバス停、降車地23は乗客がバスを降車するバス停、乗車回数24は移動体識別番号21で識別される移動体を有する乗客が乗車地22から降車地23で特定される区間でバスに乗車した回数、ジャンル別興味度合い情報25、26は乗客が移動体識別番号21で識別される携帯電話10で広告を視聴した時間数をジャンルごとに集計した値及び乗客が配信された情報をより能動的に利用した場合(例えば、乗客が配信された広告情報へ携帯電話10からアクセスした場合等)にジャンルごとに集計した値に基づき設定された乗客の興味度合いの指数(又はチャンネル)から構成され、必要な情報は適宜無線中継装置9から送信され、移動体識別番号、乗車地、降車地別に、データが登録される。
【0021】
図3は、広告データベースの構成を示した図である。広告データは、路線番号31、広告配信区間32、広告名33、顧客分類(通常客34、一時客35)、広告ジャンル36のデータから構成される。移動車両内での広告データは、配信タイミングと位置を制御できるようにどの区間で配信すべきかを示す区間情報毎に広告データが登録される。
【0022】
図4は、顧客分類判定処理の概要を示すフローチャートである。乗客は予め非接触ICカードライタを使用し、携帯電話10内の非接触ICカードに降車予定地を記録させておく(ステップ407)。この乗客はバス乗車時、非接触ICカードリーダに自身のICカードをかざし降車予約情報を読取らせる(ステップ408)。このときICカードリーダにて降車予約情報とともにかざした携帯電話10の移動体識別番号を取得しておく(ステップ401)。
尚、前記非接触ICカードに代えて、非接触ICタグであっても良い。その場合、前記非接触ICカードライタの代わりに非接触ICタグライタを用い、非接触ICカードリーダの代わりに非接触ICタグリーダを用いる。
前述したように、降車予約情報は、移動車両8内の無線中継装置9の降車情報管理部11内で管理する。これは降車地接近アラートの通知時に、ホストシステム2との接続状況に依存し、通知がなされないようなリスクを回避させるためである。無線中継装置9は、取得した移動体識別番号、乗車地及び降車地の情報に基づき、ホストシステム2に乗車履歴情報の問合せを行う(ステップ402)。予め、通勤・通学など毎日のように利用する乗客と観光などの目的で一時的に利用しているかを区別するための利用数閾値を定めておき、ホストシステム2を介して乗車履歴データベース1から取得した乗車履歴情報の乗車回数がその閾値以上である場合、通常客、そうでない場合、一時客と判定する(ステップ403、ステップ404、ステップ405)。その後、前記までで判定した顧客分類を、利用区間管理部18が管理する利用区間データベース(図5参照)の乗車利用区間情報に登録する(ステップ406)。
【0023】
図5は、利用区間データベースの構成を示した図である。利用区間データベースに格納される乗車利用区間情報は、移動体識別番号51、顧客分類52、停留所から次の停留所までの各区間において乗車するかしないかを示す情報53を保持している。
【0024】
次に、図6に具体的な利用区間データベースのある時点のデータ保持例を示す。図6では、4名の乗客が始発地である五反田駅から乗車した場合を示している。
2行目の乗客を例として説明すると、この顧客は携帯電話10の移動体識別番号61として12345678-222222-1を所有し、その携帯電話10を使用して降車予約を行った。この顧客は乗車履歴により顧客分類62は通常客と判断されている。また、この乗客は始発地の次の停留所である五反田3丁目で降車予定である。そのため、各乗車区間 五反田→五反田3丁目63には「○」印で乗車することを示しており、その先の区間である五反田3丁目→馬込64、馬込→西馬込65には「×」印で乗車しないことを表している。
【0025】
これにより、各区間で乗車人数を把握することが可能になるため、各区間での乗車率が把握できるようになる。バスの運行状況情報と同時に乗車率を通知することで、乗車予定者はバスの混雑状況をあらかじめ把握できることになり、サービスレベルの向上および混雑緩和の効果が期待できる。
【0026】
図7は、乗客全員で共有する広告配信の優先度付けに関する説明図である。
車内の音声案内、車内モニターなどで提供する乗客全員で共有する情報については、その時点での乗客全員の顧客分類を考慮し、広告配信を行う。広告情報は、対象顧客分類毎に配信優先度を保持している。利用区間情報からその区間に乗車する顧客分類毎の乗車人数を取得し、各広告情報の配信優先度に対し乗車人数による重み付けを行うことで、乗客に応じた広告配信を行うことを可能にする。
【0027】
具体的に説明すると、「五反田3丁目」→「馬込」の区間71に於いて、広告名72が「歯科の宣伝広告」、「夏休み周遊パスの案内」、「土産物店の宣伝広告」という広告があり、それらは、予め、ジャンル73が夫々「地域医療」、「レジャー」、「レジャー」、通常客優先度74が夫々「3」、「2」、「1」、一時客優先度75が夫々「1」、「2」、「3」と設定されている場合、現在の乗車状況が「通常客1人、一時客2人」であると、「乗車状況からみた優先度」76は、顧客分類別の前記優先度と乗車状況に基づき、「歯科の宣伝広告」、「夏休み周遊パスの案内」、「土産物店の宣伝広告」について、夫々「3×1(人)+1×2(人)=5」、「2×1(人)+2×2(人)=6」、「1×1(人)+3×2(人)=7」という重み付けとなり、優先順77は重み付けに基づき夫々「3」、「2」、「1」と決定される。
【0028】
図10は、乗車回数に応じた配信広告ジャンルテーブル1001を示している。乗車履歴情報の乗車回数24に基づき、一時客か通常客かを分類し、Q回未満の場合は一時客と判断して、一時客の場合は、設定された乗車回数範囲に応じて本テーブルで定められたジャンルの広告を配信する。一方で、Q回以上の場合は、通常客として扱い、乗車履歴情報のジャンル別興味度合い情報25、26に集計された乗客の興味度合いに応じて、乗客が最も興味のあるジャンルの広告を配信する。
【0029】
一時客の場合、例えば、M回未満の場合、レジャー関連情報のジャンルの広告を配信する。M〜N回未満の場合はグルメ情報、N〜P回未満の場合は地域医療情報、P〜Q回目未満は地域コミュニティ情報の広告を配信する。
尚、閾値の値や、ジャンルの割り当ては、随時管理者が自由に設定変更可能である。
【0030】
図11は、ジャンル別の広告配信テーブルを示している。図11では、例として、レジャー関連情報の広告配信表を示している。チャンネル1では、交通情報の広告、チャンネル2では、周辺のレジャー施設及び文化施設の広告、チャンネル3では周辺の宿泊施設の広告、チャンネル4では周辺の飲食店の広告を配信する。これにより、一時的な客に適切な広告情報の配信を可能とし、乗客も、チャンネルを切り替えながら、自分が欲しい情報を得ることが可能である。
同様に、グルメ情報や、地域医療情報のジャンルについてもチャンネルごとに配信する広告内容を割り当てたテーブルを用意する。
【0031】
図8は、ジャンル別興味度合い判定手順を示すフローチャートである。乗車履歴データベース1では、各乗客のジャンル別興味度合い情報を管理している。図8のフローチャートでは、この興味度合い情報の取得方法を示している。乗客のジャンル別興味度合いは、乗客に予め登録してもらうのでなく、バス乗車時の行動情報から取得する。システムは、まず乗車履歴情報を取得し(ステップ801)、配信広告ジャンルテーブル1001から、乗車回数24に応じて顧客分類を判断する。その結果、一時客と判断されると、ジャンル別の興味度合い情報を収集するため、設定された乗車回数範囲毎に異なるジャンルの広告を、配信広告ジャンルテーブル1001に基づいて配信する(ステップ802、ステップ803)。通常客と判断された場合は(ステップ802)、乗車履歴情報のジャンル別興味度合い情報25、26に集計された、乗客の興味度合いに応じて、ジャンル別の広告配信テーブル1101,1102から乗客が最も興味のあるジャンルの広告を配信する(ステップ804)。
【0032】
そして、その配信された広告の視聴時間を乗車履歴データベース1で管理していくことで徐々にジャンル別興味度合い情報を蓄積していく。また広告配信により、乗客が配信された情報をより能動的に利用した場合には、それについても乗車履歴データベース1中のジャンル別興味度合い情報として蓄積していく(ステップ805)。こうすることで、常に最新の興味ジャンルを把握することが可能となり、走行地点だけでなく顧客属性、興味ジャンルを加味した重み付けを行い、顧客のニーズに見合った広告配信を実現することができる。
【0033】
図9は、乗客が車内でワンセグコンテンツを受信する手順を示すフローチャートである。乗客は、あらかじめ乗車時に降車予約を行う(ステップ901)。登録された降車予約情報と乗車履歴情報を使用し、無線中継装置9は、対象顧客の顧客分類の判定を行うと共に、顧客分類で通常客と判定された場合はジャンル別興味度合いの取得を行う(ステップ902)。そして、無線中継装置9にて携帯端末10に向け、判定された顧客分類又はジャンル別興味度合いに従ったワンセグコンテンツ配信のチャンネルを通知する(ステップ903)。具体的には、乗客の乗車回数24に応じて指定されたジャンルの広告配信テーブル1101、1102に従ってチャンネル内容を通知する。
【0034】
通知を受けた乗客は、自身の保持する携帯電話10のワンセグ機能を起動し(ステップ904)、通知されたチャンネルに合わせる(ステップ905)。以上により、顧客分類に従った広告情報が乗客の保持する携帯電話10向けに配信されることとなる(ステップ906)。
ワンセグを使用した情報配信においては、受信者側にチャンネルを合わせてもらう必要がある。そのため、配信する情報として音楽やクイズなどのエンターテイメント情報を配信し、その前後に広告をはさみこむことで利用率をあげる方法などが考えられる。
尚、乗客に配信されたジャンル以外の広告を視聴したい場合は、ワンセグ画面に表示されたジャンル一覧からジャンルを切替え、ワンセグチャンネルの再通知を受けることができるようにしても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 乗車履歴データベース
2 ホストシステム
6 ネットワーク
9 無線中継装置
19 ローカルネットワーク
24 乗車回数
25,26 ジャンル別興味度合い情報
34 通常客
35 一時客
52,62 顧客分類
73 ジャンル
221 ワンセグコンテンツ送信機
1001 配信広告ジャンルテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車履歴データベースを備えたホストシステムと、
公共交通機関内に設けられた無線中継装置とが公衆回線網によるネットワークを介して接続され、
前記無線中継装置と、ワンセグコンテンツ送信機とが前記公共交通機関内のローカルネットワークを介して接続され、
前記公共交通機関内の乗客が所持する移動体端末が、前記無線中継装置から発信される通知を受信すると共に、前記ワンセグコンテンツ送信機から配信されるワンセグコンテンツを受信するように構成された公共交通機関内での広告配信システムであって、
前記無線中継装置は、
複数の広告情報をチャンネル別に前記ワンセグコンテンツ送信機を介して前記移動体端末に向けて配信する手段と、
乗客によって予め乗車時に降車予約され登録された降車予約情報と、前記ホストシステムの乗車履歴データベースから取得した乗車履歴情報とを使用し、乗客が「通常客」であるか、「一時客」であるかの顧客分類の判定を行う手段と、
判定された顧客分類及び別途予め収集されたジャンル別興味度合い情報に従った広告情報配信のチャンネルを乗客の移動体端末に向けて通知する手段とを備え、
前記移動体端末は、前記無線中継装置から前記広告情報配信のチャンネルの通知を受信する手段と、
前記チャンネルの通知に促され、ワンセグが起動され、通知されたチャンネルが選択されると、前記無線中継装置から配信される前記チャンネルに対応する広告情報を受信する手段とを備えることを特徴とする公共交通機関内での広告配信システム。
【請求項2】
前記無線中継装置は、乗客がバス乗車時、移動体端末のICカードを前記無線中継装置に接続された非接触ICカードリーダにかざし、予め記録させた降車予約情報を読取らせると、前記降車予約情報と共にかざした移動体端末の識別番号を取得する手段と、
取得した前記降車予約情報と識別番号と、別に取得した乗車地の情報とを使用して前記ホストシステムに乗車履歴情報の問合せを行う手段と、
前記ホストシステムの乗車履歴データベースから取得した乗車履歴情報の乗車回数が所定閾値以上である場合、「通常客」、そうでない場合「一時客」として顧客分類を判定する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の公共交通機関内での広告配信システム。
【請求項3】
前記無線中継装置は、乗客の顧客分類が一時客と判断された場合は、前記無線中継装置が備える配信広告ジャンルテーブルにより、所定の乗車回数範囲毎に設定された異なるジャンルの広告を選択し、そのチャンネルを乗客の移動体端末に通知する手段と、
乗客の顧客分類が通常客と判断された場合は、前記乗車履歴データベースに集計蓄積された乗客のジャンル別興味度合い情報に基づき選択したジャンルの広告のチャンネルを乗客の移動体端末に通知する手段と、
一時客及び通常客の何れの場合に於いても、配信した広告の乗客の視聴時間、及び、配信された情報の乗客による能動的な利用を乗客のジャンル別興味度合い情報として集計し、前記乗車履歴データベースに蓄積していく手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の公共交通機関内での広告配信システム。
【請求項4】
乗車履歴データベースを備えたホストシステムと、
公共交通機関内に設けられた無線中継装置とが公衆回線網によるネットワークを介して接続され、
前記無線中継装置と、ワンセグコンテンツ送信機とが前記公共交通機関内のローカルネットワークを介して接続され、
前記公共交通機関内の乗客全員で共有する音声案内及び車内モニターが、前記ワンセグコンテンツ送信機から配信されるワンセグコンテンツを受信するように構成された公共交通機関内での広告配信システムであって、
前記無線中継装置は、乗客によって予め乗車時に降車予約され登録された降車予約情報と、前記ホストシステムの乗車履歴データベースから取得した乗車履歴情報を使用し、乗車回数が所定閾値以上であるかどうかの判断により、乗客である対象顧客の「通常客」であるか、「一時客」であるかの顧客分類の判定を行う手段と、
前記無線中継装置が乗車人数を含む利用区間のデータを管理する利用区間データベースに、判定した前記顧客分類を登録する手段と
前記利用区間データベースから前記公共交通機関が現在走行する区間に乗車する顧客分類毎の乗車人数を取得する手段と、
各広告情報の配信優先度に対し、顧客分類と、乗車人数とによる重み付けを行う手段と、
重み付けを行った配信優先度に基づき選択した広告情報を、前記ワンセグコンテンツ送信機を介して前記音声案内及び車内モニターに配信する手段とを備えることを特徴とする公共交通機関内での広告配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−88871(P2012−88871A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234099(P2010−234099)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】