説明

公共用塩ビ製会所ますの滝落し配管

【目的】 公共用塩ビ製会所ますの滝落し配管に汎用性をもたせる。
【構成】 公共用塩ビ製会所ますの点検筒1に、流入口9を現場に合せてあける。この流入口9にツバ付ソケット管3を接着接合して、下水管を段差接合する。本件の場合、この点検筒1に塩ビパイプを採用し、この塩ビパイプの下端に上げ底5を設けて流出管2と接続する。この上げ底5の高さHを、ツバ付ソケット管3のツバの長さと等しくする。したがって、流入口9の位置が低くなっても、ツバに邪魔されることなく、ツバ付ソケット管3が取付けられるので、この滝落し配管はいずれの段差にも採用でき、汎用性をもたせることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、公共用塩ビ製会所ますの滝落し配管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、公共用会所ますへ接続される宅地内排水管は、その勾配が略決められているので、山間における集落排水などの傾斜地では、公共用会所ますを設置する場合に、ますの側壁に直接接続して段差接合する、いわゆる滝落し配管が採られている。
【0003】
ところで、従来の公共用塩ビ製小口径ますの滝落し配管は、ます本体にTS接合等で立設された点検筒を設け、この点検筒に流入口をあけ、この流入口に90°支管(ツバ付ソケット管またはスカ−ト付ソケット管ともいう)を接着接合し、この90°支管に宅地内排水管を接続する構造となっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
このような滝落し配管では、滝落し落差がきわめて小となり、点検筒とます本体のTS接合部近傍に宅地内排水管用の流入口の位置がくれば、流入口をあけることができないし、仮に、流入口をあけても90°支管が接合できない、という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本考案は、かかる問題を解決するためになされたもので、その要旨とするところは、塩ビ製下水管を滝落し配管した公共用塩ビ製会所ますにおいて、会所ますの点検筒を既製の塩ビ製パイプで構成し、該点検筒の上端に掃除口用蓋を設け、該点検筒の側壁に、現場に合せて穿設する流入口を設け、該流入口に、前記下水管を挿入する塩ビ製90°支管を接着接合し、点検筒の下端に、少なくとも90°支管のフランジの稜線張出し長さを高さとし、かつ、凹状弯曲面を有する上げ底を設け、該上げ底を、点検筒の下端側に突設した流出管と接続したことを特徴とする公共用塩ビ製会所ますの滝落し配管にある。
【0006】
【作用】
傾斜地あるいは雛壇状の造成地で、公共用塩ビ製会所ますに滝落し配管をする場合には、流出管と上げ底とを予め工場で溶接または接着等により組付けた塩ビ製パイプからなる点検筒を設置し、次いで、この点検筒の側壁に流入口をあけ、そこに90°支管を接着し、この90°支管に下水管を接続する。
【0007】
【実施例】
本考案を添付図面に示す実施例により詳細に述べる。
図1および図2において、本実施例の公共用会所ますの点検筒1は、1本の、例えば径300mmφの塩ビ製パイプで本体1aを構成し、その下端側には、上げ底高さH(例えば100mm)を介して、流出管2を生産工場で溶接して取付ける。この上げ底高さHは、90°支管3のフランジ4の稜線の張出し長さLに略等しくしている。この流出管2は約165mmφの塩ビ製パイプで構成され、その基部外周にはFRPをオ−バレイ11して補強している。この点検筒1の上端には掃除口用蓋10が取付けられる。
【0008】
点検筒1の下端側には、凹状弯曲面をもつ上げ底5が溶接または接着等により、前記上げ底高さHをもって設けられ、この上げ底5と下端板6とで形成される上げ底空間には、充填材7が充填されている。この充填材7には砂や発泡ウレタンが用いられる。
【0009】
以上のような点検筒1を現場に設置した後、この点検筒1の側壁に、現場に合せて、つまり高さおよび方向を合せて下水管8の流入口9を穿設する。但し、この流入口9の高さは最大約60cm以内のものにすることが好ましい。この流入口9を取り囲んで90°支管3を接着剤で取付ける。この接着接合は、90°支管の設計どおりの接合となって信頼性を損なわない。したがって、この実施例の公共用会所ますは、滝落し配管専用のものとなる。
なお、前記上げ底5に代り、凹状弯曲面を上面とするプラグを用いてもよい。
【0010】
【考案の効果】
考案によれば、点検筒を1本の既製の塩ビ製パイプで構成し、流入口を現場に合せて穿設して90°支管を接着接合するので、安価な公共用会所ますが提供できると共に、下水管との上下および左右のズレが完全に防止でき、しかも下水管の勾配も90°支管で吸収できるので、滝落し配管に好適となるのは勿論、流出管と下水管との段差が接近しても90°支管の信頼性の高い接着が可能となり、いずれの段差にも設置できる汎用性のある公共用会所ますにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例の一部断面側面図である。
【図2】(A)は図1の要部平面図、(B)は側断面図である。
【符号の説明】
1…点検筒、2…流出管、3…90°支管、4…フランジ、5…上げ底、8…下水管、10…掃除口用蓋

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 塩ビ製下水管を滝落し配管した公共用塩ビ製会所ますにおいて、会所ますの点検筒を既製の塩ビ製パイプで構成し、該点検筒の上端に掃除口用蓋を設け、該点検筒の側壁に、現場に合せて穿設する流入口を設け、該流入口に、前記下水管を挿入する塩ビ製90°支管を接着接合し、点検筒の下端に、少なくとも90°支管のフランジの稜線張出し長さを高さとし、かつ、凹状弯曲面を有する上げ底を設け、該上げ底を、点検筒の下端側に突設した流出管と接続したことを特徴とする公共用塩ビ製会所ますの滝落し配管。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【公開番号】実開平6−43485
【公開日】平成6年(1994)6月10日
【考案の名称】公共用塩ビ製会所ますの滝落し配管
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−84678
【出願日】平成4年(1992)11月13日
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)