説明

公営競技の投票システム

【課題】公営競技の投票券を無駄なく利用することができる公営競技の投票システムを提供すること。
【解決手段】投票機3により投票された投票内容を特定可能な投票データは、投票機3から管理サーバ5に送信されて登録、管理されるとともに、投票された投票データは、投票受け付け完了後に管理サーバ5から送信される投票受付完了情報の受信に基づき、投票カード4に送信、記憶され、電子ペーパー9からなる表示部8に表示される。投票カード4の切替操作スイッチ7a、7bを操作すれば、複数件の投票情報を見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競馬や競輪、競艇等の公営競技の投票システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の投票システムとしては、投票者が競技場や発券所等において購入した投票情報が投票サーバに送信されて管理されるとともに、投票者には、投票した投票情報が記録された紙媒体からなる投票券が発券され、購入した投票情報が的中した場合、該投票券を払戻し機等により的中投票情報であるか否かを照合し、払戻しが受けられるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−79545号公報(第5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の公営競技の投票システムにあっては、投票券が紙媒体であるため、購入した投票情報が的中しなかった場合には競技場等に捨てられてしまうばかりか、払戻しに使用され回収された場合でも、払戻しした投票券は廃棄されてしまうため、発券された膨大な量の投票券が1回で無駄になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、公営競技の投票券を無駄なく利用することができる公営競技の投票システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の公営競技の投票システムは、
各公営競技場(競馬場)にて開催される公営競技(競馬)に投票するための投票手段(投票機3)と、
前記投票手段にて投票した投票者(会員)を個々に識別可能な識別情報(カードID、会員ID)及び該投票者にて投票された投票内容を特定可能な投票情報(投票データ)を記憶可能な記憶手段(記憶部17b)並びに前記投票情報が表示される表示部(8)を有する投票情報表示媒体(投票カード4)と、
前記投票手段にて投票された前記投票情報を登録管理する管理装置(管理サーバ5及び会員管理サーバ6)と、
競技結果に基づいて、的中した投票情報から算出される払戻し価値の大きさ(払戻し金)を払い戻すための払戻手段(投票機3)と、
を備え、
前記投票手段は、
前記投票情報表示媒体を受け付け、該受け付けた前記投票情報表示媒体の記憶手段に記憶されている識別情報を読み取る読取手段(リーダライタ34)と、
前記投票者にて投票された前記投票情報を、前記読取手段により読み取られた識別情報とともに前記管理装置に送信する投票情報送信手段(制御部37、通信部36)と、
前記投票情報送信手段により送信された前記投票情報を前記表示部に更新表示させる更新表示処理を行う表示処理手段(受け付けた投票データを投票カード4に送信して記憶部17bに記憶させる処理を行う制御部37及び記憶部17bに記憶された投票データを読み出して電子ペーパー9に表示させる制御を行う制御部17a)と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、投票情報表示媒体の表示部に表示される投票情報を更新表示させることができることで、1つの投票情報表示媒体を複数回の公営競技の投票にて使用することが可能となるため、投票券が無駄になることがない。
【0007】
本発明の請求項2に記載の公営競技の投票システムは、請求項1に記載の公営競技の投票システムであって、
前記払戻手段(投票機3)にて払戻しすべき払戻し価値の大きさ(払戻し金)を特定可能な払戻し価値情報(残額)を前記投票情報表示媒体(投票カード4)に記憶可能な価値記憶手段(残額管理テーブル、記憶部17b)を備え、
前記表示処理手段(受け付けた投票データを投票カード4に送信して記憶部17bに記憶させる処理を行う制御部37及び記憶部17bに記憶された投票データを読み出して電子ペーパー9に表示させる制御を行う制御部17a)は、前記価値記憶手段に記憶されている価値情報(残額)を前記表示部(8)に表示させる処理を行う(図2の8,500円参照)ことを特徴としている。
この特徴によれば、投票者が獲得した払戻し価値情報を表示部に表示させることができるため、投票者は払戻し状況を容易に確認することができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の公営競技の投票システムは、請求項1または2に記載の公営競技の投票システムであって、
前記投票情報表示媒体(投票カード4)は、
前記表示部(8)に表示される表示内容を切り替える操作を行うための切替操作部(7a、7b)と、
前記表示部の表示内容の切り替えに必要な電力を供給するバッテリ(電池19)と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、各公営競技に投票した複数の投票情報を1つの投票情報表示媒体で確認することが可能となるため、投票者による投票状況の管理が容易になる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の投票情報表示媒体は、請求項1ないし3のいずれかに記載の公営競技(競馬)の投票システムにおいて使用され、前記表示部(8)が所定の情報(投票情報)を電子的に書き換え可能な電子ペーパー(9)にて構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、表示部が投票情報を保持するための電力を必要としない電子ペーパーから構成されていることで、少ない電力供給で投票情報を何度でも書き換えることができるばかりか、投票情報表示媒体を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る公営競技の投票システムを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における公営競技の投票システムの全体構成を示す概略図である。図2は、投票券を示す正面図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、公営競技の投票システムの構成を示すブロック図である。図5は、管理サーバに記憶される投票・払戻し管理テーブルである。図6は、(a)は会員管理サーバに記憶される会員管理テーブルであり、(b)は残金管理テーブルである。図7は、(a)は図2に示す投票券に記憶された投票情報の2頁目を示す図であり、(b)は3頁目を示す図である。以下、図2の紙面手前側を投票券の正面側として説明する。
【0012】
図1の符号1は、本発明の適用された公営競技の一例である競馬の投票システムを示す概略図である。本実施例における競馬の投票システム1は、各地に設置される投票所2毎に複数設置され、図示しない各競馬場(公営競技場)にて開催される競馬レース(公営競技)に投票するための投票機3と、各投票機3にて投票した投票者を個々に識別可能な識別情報である後述する会員ID及びカードIDや、投票者が投票した投票内容を特定可能な投票情報が記憶される投票情報表示媒体としての投票カード4(図2参照)と、各投票機3にて投票された投票情報やレース結果に基づく払戻し情報等を登録管理する管理サーバ5と、管理サーバ5に接続され、会員カードの発行及び会員管理を行う会員管理サーバ6と、各投票所2に設置され、各投票機3から出力される情報を収集して管理サーバ5と情報の送受を行う投票所サーバ27と、から主に構成されている。
【0013】
本実施例の投票機3は、レース(競技)結果に基づいて、的中した投票情報から算出される払戻し金を払い戻すための払戻機能と、新規会員の登録及び投票カード4の発行機能と、各投票カード4への追加入金機能と、各会員カードに対応して記憶されている残金額を精算するための精算機能と、をそれぞれ備えており、投票機3に表示されるメニュー画面操作により、投票、払戻し、会員登録及び投票カード4の発行、追加入金、精算のいずれかを選択することができるようになっている。
【0014】
投票カード4は、図2に示されるように、携帯可能な大きさを有し、四角形状に形成された合成樹脂板からなる本体4aからなり、その表面(正面)には、後述する電子ペーパー9からなる表示部8が設けられるとともに、その側方には、該表示部8の表示内容を切り替え操作するための切替スイッチ7a,7bが設けられている。
【0015】
電子ペーパー9は、図3に示されるように、本体4aの表面に凹設された収容部4bに収容されているとともに、電子ペーパー9が構成する表示部8の表面には、該表示部8を保護するための保護パネル10が積層されている。
【0016】
この電子ペーパー9は、液晶モニタと異なりバックライト等を用いないため、液晶モニタ等の他の表示画面を有する電子機器と比較して消費電力が少なくて済むようになっている。更に、電子ペーパー9は、表示部8の書き換え時のみに電力を使用し、電力が供給されない状態であっても表示部8の表示内容を維持できるようになっている。
【0017】
本実施例における電子ペーパー9の表示方式は、マイクロカプセル電気泳動方式を採用している。具体的には、電子ペーパー9は、カバーフィルム11の正面に形成された磁気泳動記憶層12と、磁気泳動記憶層12を覆う透光性を有する保護層13と、から構成されている。このうち、カバーフィルム11の正面側及び保護層13の背面側には、図示しない透明電極が配置されている。また、磁気泳動記憶層12には、無数の透明なマイクロカプセル14が封じ込められており、このマイクロカプセル14の中には、帯電された白と黒の粒子が内包されている。そして、磁気泳動記憶層12内に透明電極によって所定の電圧をかけることでマイクロカプセル14内の粒子を移動させることで、表示部8の書き換えを行うようになっている。尚、保護パネル10は、無色透明な樹脂材によって収容部4bと略同形に構成されており、表示部8を外部からの衝撃等から保護するほか、防水のために周縁部を収容部4bと接着して取り付けられている。
【0018】
また、投票カード4には、各投票カード4を個々に識別可能な識別情報であるカードIDを含む情報が記憶されるRFIDタグ16が埋設されている。このRFIDタグ16は、カードIDを含む情報が記憶されるICチップ17と、投票機3に備えられる後述するリーダライタと電波の送受信が可能なアンテナ18と、から構成されており、アンテナ18は、受信した電波による電磁誘導によってRFIDタグ16内で使用される電力を発電できるように、ICチップ17の周囲を巻回して配置されている。また、切替スイッチ7a,7bによる表示切替の際に必要な電力を供給するバッテリとしての電池19が内蔵されている。
【0019】
このように構成される投票カード4は、投票機3または投票所等に設置される窓口等にて会員登録した会員にのみ発行される会員カードである。この投票カード4が発行された会員、すなわち投票者が投票するには、投票所2に投票カード4を持ち込み、投票機3にて投票カード4を用いて本人認証した後、所定の投票操作を行うことで投票できるようになっている。
【0020】
次に、管理サーバ5及び会員管理サーバ6と、投票機3及び投票所サーバ27と、投票カード4の構成を、それぞれ図4に基づいて説明する。
【0021】
まず、管理サーバ5は、液晶表示器等からなる表示器20と、キーボードやマウス等からなる入力装置21と、プリンタ等の出力装置22と、各投票所2から送信される投票データや払戻しデータ等を管理する投票・払戻し管理テーブル(図5参照)等を有するデータベースが記憶される記憶部23と、投票所サーバ27や会員管理サーバ6との間でデータ通信を行うための通信部24と、投票や払戻し等に関わる各種制御を行う制御部25と、から構成されている。
【0022】
制御部25は、各投票所2から送信される投票データや払戻しデータの受信に基づいて、図5に示される投票・払戻し管理テーブルを更新し、投票や払戻し状況を管理する。投票・払戻し管理テーブルには、例えば受信したデータから特定されるカードIDに対応付けて、受け付けたデータの種別(投票、払戻し等)、投票したレースを特定可能なレースID、投票したレースのレースNo.、単勝、馬番連勝等の投票方式を示す投票の式別、投票の組合せ、入金額、投票時の購入金額、払戻し金額、データの送信元の投票所を特定可能な投票所ID等の情報が、時系列順に記憶されるようになっている。よって、各投票所2の複数の投票機3からそれぞれ送信される投票や払戻し情報を一括管理することができるようになっている。
【0023】
一方、会員管理サーバ6は、特に図示しないが前記管理サーバ5とほぼ同様に構成され、管理サーバ5と通信可能に接続されており、各投票所2から送信される投票データや払戻しデータの受信に基づいて、図6に示される会員管理テーブルや残金管理テーブルを更新し、各会員及び投票カード4の管理を行っている。
【0024】
会員管理テーブルには、図6(a)に示されるように、各会員、つまり投票者を個々に識別可能な識別情報としての会員番号に対応付けて、会員の氏名、性別、住所、電話番号、当該会員に発行された投票カードを個々に識別可能な識別情報としてのカードID、投票カードの使用時に本人認証する際に入力するパスワード等の会員情報が記憶されている。
【0025】
残金管理テーブルには、図6(b)に示されるように、各カードIDに対応付けて、投票カード4に入金された入金金額、購入金額、払戻し金額、払戻し金額、残金額、現金精算額、受信したデータの種別、レースID、レースNo.、式別、組合せ、投票所ID等が時系列順に記憶されるようになっている。
【0026】
投票機3は、投票者に対向するように配置され、投票、払戻し等の画面が表示される表示器30と、表示器30上に配置され、投票者の操作を検出するタッチパネル31と、受け付けた貨幣の識別及び釣銭の払出しが可能な貨幣ユニット32と、投票者により投票内容が記載されたマークシートを受け付けるとともに、該受け付けたマークシートに記載された投票内容を読み出して特定するためのマークシート読取装置33と、受け付けた投票カード4に記憶されている情報の読出し及び表示部8に表示する情報の書き出しが可能なリーダライタ34と、各種機能に対応するプログラムや表示情報等が記憶される記憶部35と、投票所サーバ27との間でデータの送受を行うための通信部36と、投票や払戻し等に関わる各種制御を行う制御部37と、から構成されている。
【0027】
制御部37は、タッチパネル31による操作検出状況に応じて所定のプログラムに基づく処理を実施するとともに、受け付けた投票内容や払戻し等を特定可能なデータを管理サーバ5に送信するとともに、該送信したデータから特定される情報を表示部8に表示させる。
【0028】
投票カード4は、カードIDを含む情報が記憶される記憶部17b及び電子ペーパー9の表示制御及び投票機3とデータの送受制御を行う制御部17aを備えるICチップ17とアンテナ18とからなるRFIDタグ16と、ICチップ17に接続され、表示部8を構成する電子ペーパー9と、ICチップ17に電力を供給する電池19と、表示部8の表示内容を切り替え操作するための切替スイッチ7a,7bと、から構成されている。
【0029】
次に、投票機3による投票方法及び該投票時における投票機3、管理サーバ5、投票カード4の制御部がそれぞれ行う制御内容を説明する。
【0030】
まず、投票機3の表示器30には、特に図示はしないが、投票、払戻し、会員登録及び投票カード4の発行、追加入金、精算のいずれかを選択可能なメニュー画面が表示されている。ここで、投票者により「投票」が選択されると、投票機3の制御部37は、投票処理を開始し、メニュー画面に、図示しない読取部に投票カード4を挿入する指示メッセージを出力し、リーダライタ34を駆動する。
【0031】
そして、投票カード4に記憶されているカードID及び会員IDを正常に読み取ることができたら、続いてパスワードの入力を指示するメッセージを出力する。そして投票者によりパスワードが入力されたら、該入力されたパスワード、先に読み取ったカードID及び会員ID及び投票機IDを含む認証要求情報を管理サーバ5に送信する。
【0032】
管理サーバ5の制御部25は、受信した認証要求情報を会員管理サーバ6に送信し、入力されたパスワード及びカードIDと会員IDとが正規なものであるか否かを判定させ、正規なものである旨の結果が返信されたら、認証確認完了情報を要求があった投票機3に返信する。
【0033】
制御部37は、認証確認完了情報の受信に基づき、投票内容の入力または投票内容が記載されたマークシートの挿入を指示するメッセージを出力する。そして、投票内容が入力またはマークシートから読み取られたら、該投票内容及び賭け金を算出して表示器30に表示させ、内容に間違いがなければ、入金を指示するメッセージを出力する。
【0034】
そして貨幣が受け付けられた場合、カードIDと会員IDや、受け付けた金額情報を含む投票データを管理サーバ5に送信する。尚、ここで残額が発生した場合、残金額を現金にて払い出すか、投票カード4に記憶する(つまり追加入金する)かの選択を指示するメッセージを出力させ、追加入金であった場合は、投票の購入金額とともに当該追加入金情報を管理サーバ5に送信する。
【0035】
管理サーバ5の制御部25は、投票データの受信に基づいて、受信した投票データに基づいて、投票・払戻し管理テーブル等の更新記憶し、投票の受付が完了した旨を示す投票受付完了情報を送信する。また、会員管理サーバ6は、管理サーバ5から受信した投票データの基づき残金管理テーブルの更新記憶を行う。
【0036】
投票機3の制御部37は、投票受付完了情報の受信に基づき、リーダライタ34を駆動し、受け付けた投票データを投票カード4に送信する。送信された投票データは、アンテナ18を介して受信したICチップ17の記憶部17bに記憶される。
【0037】
そして制御部17aは、記憶部17bに記憶された投票データを読み出すとともに、電子ペーパー9を駆動して、該読み出した投票データを表示させる制御を行う。つまり、投票受付完了情報の受信に基づき、リーダライタ34を駆動し、受け付けた投票データを投票カード4に送信して記憶部17bに記憶させる処理を行う制御部37及び記憶部17bに記憶された投票データを読み出して電子ペーパー9に表示させる制御を行う制御部17aは、本発明の表示処理手段を構成している。
【0038】
図2には、上記投票処理にて投票データが表示された投票カード4が示されている。この投票カード4の表示部8は、前述したように電子ペーパー9にて構成されている。よって、上記投票機3のリーダライタ34から投票データを受信する際に発生した電力にて投票データの表示が行われた後は、電力が供給されなくても、表示部8に表示された内容は維持されるので、省電力化を図ることができる。
【0039】
また、受信した投票データに、投票者(会員)が所有する入金金額の残額データが含まれている場合、図2に示すように、投票に関わる情報とともに残額情報を表示することができるため、投票者は表示部8にて残額を容易に確認することができるばかりか、電子ペーパー9の表示情報を更新することができるため、残額の増減に伴い残額情報を何度でも更新できる。
【0040】
また、受信した投票データが記憶する記憶部17bを有していることで、例えば複数レースの投票データを1枚の投票カード4に記憶しておくことができるとともに、切替スイッチ7a,7bを操作することで、記憶部17bに記憶された複数の投票データのうちからいずれかを選択して表示することができる。
【0041】
例えば図2には、最新の投票データが表示されているが、記憶部17bに他の2レースの投票データが記憶されている場合、図7(a)、(b)に示されるように、切替スイッチ7a,7bを操作することで、既に購入済みの2件の投票データを含む3件分の投票データを選択表示することができる。
【0042】
尚、この切替スイッチ7a,7bを操作に基づく表示切替の際に必要な電力は電池19から供給されるようになっているが、表示を切り替えた後は電力が供給されていなくても表示が維持されることで、頻繁な電池交換等が必要となることはなく、大型の電池等を搭載しなくて済むため、カードの小型化、薄型化を図ることができる。
【0043】
また、図7(a)、(b)には、過去に的中した2レースの投票情報が表示されているが、当該レースの投票後において、例えば新規なレースの投票を行うとき等に、当該投票者が既に投票したレースの結果や払戻し状況等が抽出され、その旨を示すデータが送信されるようになっているため、該データの受信に基づいて、既に記憶部17bに記憶されているデータが更新され、例えばレース結果を示す「的中」や、払戻し状況等を示す払戻し金額(図示略)及び未だ払戻しがされていない旨を示す「未払戻し」等が表示される。
【0044】
このように、各競技場にて行われたレースに投票した複数の投票情報を1つの投票カード4で確認することが可能となるため、投票者による投票状況の管理が容易になるばかりか、複数の投票情報が表示されるだけでなく、レース結果及び払戻し状況に応じて、該レース結果や払戻し金額等の情報が更新表示されるようになっているため、投票者が獲得した払戻し金額等の払戻し状況を容易に確認することができる。
【0045】
尚、このように投票カード4に表示される情報の更新は、投票機3にて投票カード4が受け付けられたときに管理サーバ5からの指令に基づいて行われ、例えば払戻しが完了したレース情報や、的中しなかったレースの投票情報等は、レース結果に応じて消去されていくようになっている。
【0046】
以上説明したように、本発明の実施例としての投票システムにあっては、投票情報表示媒体としての投票カード4の表示部8に表示される投票情報を更新表示させることができることで、1つの投票カード4を複数回のレースの投票にて使用することが可能となるため、投票カード4が無駄になることがない。
【0047】
特に表示部8が表示された投票情報を維持するための電力を必要としない電子ペーパー9から構成されていることで、少ない電力供給で投票情報を何度でも書き換えることができるばかりか、投票カード4を有効に利用することができる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施例では、投票機3にて投票、払戻し、会員登録及び投票カード4の発行、追加入金、精算を全て行うことができるようになっているが、投票機以外の他の機械にて行うようにしてもよい。
【0050】
また、前記実施例では、投票カード4は会員登録した会員にのみ発行される会員カードであったが、例えば当日のみ有効に発行されるビジターカード等に本発明を適用してもよい。
【0051】
また、前記実施例では、表示部8は電子ペーパー9にて構成されていたが、表示部を有機ELや磁鉄による印字が可能な印刷面等により構成してもよい。
【0052】
また、前記実施例では、電子ペーパー9の表示方式を、帯電された白と黒の粒子が内包されているマイクロカプセル14を封入した磁気泳動記憶層12内に透明電極によって所定の電圧をかけることで、マイクロカプセル14の粒子を移動させ、表示部8の書き換えを行うマイクロカプセル電気泳動方式として説明したが、半球ごとに白と黒に塗り分けられた球形微粒子に電圧をかけることで、球形微粒子を回転させて表示画面12aの書き換えを行うツイストボール方式等、表示部8の表示情報を電力の消費無しに保持できるものであれば、電子ペーパー9の表示方式は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例における公営競技の投票システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】投票券を示す正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】公営競技の投票システムの構成を示すブロック図である。図5は、管理サーバに記憶される投票・払戻し管理テーブルである。
【図5】管理サーバに記憶される投票・払戻し管理テーブルである。
【図6】(a)は会員管理サーバに記憶される会員管理テーブルであり、(b)は残金管理テーブルである。
【図7】(a)は図2に示す投票券に記憶された投票情報の2頁目を示す図であり、(b)は3頁目を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 投票システム
3 投票機
4 投票カード
5 管理サーバ
6 会員管理サーバ
7a,7b 切替スイッチ
8 表示部
9 電子ペーパー
17 ICチップ
17a 制御部
17b 記憶部
19 電池
34 リーダライタ
37 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各公営競技場にて開催される公営競技に投票するための投票手段と、
前記投票手段にて投票した投票者を個々に識別可能な識別情報及び該投票者にて投票された投票内容を特定可能な投票情報を記憶可能な記憶手段並びに前記投票情報が表示される表示部を有する投票情報表示媒体と、
前記投票手段にて投票された前記投票情報を登録管理する管理装置と、
競技結果に基づいて、的中した投票情報から算出される払戻し価値の大きさを払い戻すための払戻手段と、
を備え、
前記投票手段は、
前記投票情報表示媒体を受け付け、該受け付けた前記投票情報表示媒体の記憶手段に記憶されている識別情報を読み取る読取手段と、
前記投票者から受け付けた前記投票情報を、前記読取手段により読み取られた識別情報とともに前記管理装置に送信する投票情報送信手段と、
前記投票情報送信手段により送信された前記投票情報を前記表示部に更新表示させる更新表示処理を行う表示処理手段と、
を備えることを特徴とする公営競技の投票システム。
【請求項2】
前記払戻手段にて払戻しすべき払戻し価値の大きさを特定可能な払戻し価値情報を前記投票情報表示媒体に記憶可能な価値記憶手段を備え、
前記表示処理手段は、前記価値記憶手段に記憶されている価値情報を前記表示部に表示させる処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の公営競技の投票システム。
【請求項3】
前記投票情報表示媒体は、
前記表示部に表示される表示内容を切り替える操作を行うための切替操作部と、
前記表示部の表示内容の切り替えに必要な電力を供給するバッテリと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の公営競技の投票システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の公営競技の投票システムにおいて使用され、前記表示部が所定の情報を電子的に書き換え可能な電子ペーパーにて構成されることを特徴とする投票情報表示媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−26642(P2010−26642A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184932(P2008−184932)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】