説明

公営競技向け自動発券端末

【課題】利用者自らが操作して投票を行なう公営競技の自動発券端末において、特に、的中した投票券の的中金額を全額利用して次レース以降の投票券を購入する際に複数の組合せに投票できるようにし、また、端数金額を金額情報として残すことで払い戻しの手間を省く。
【解決手段】投票を行なうためのマークカードに従来の金額指定欄と全額指定欄を設けて複数の組合せに投票できるようにした。また100円以下の端数を初めとする残金が出た場合、払い戻しを行なう代わりに当該残金を投票券に情報として記録して金券扱いとして残し、その後のレースにも使えるよう工夫することで、都度100円以下の残金払い戻しを受ける手間を省くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は払い戻し機能を備えた自動発券端末、投票カード、投票券に関し、以前のレースの投票券が的中した時にその後に行われる任意のレースの投票券を購入する際にその的中券の払戻金を用い、複数の組合せの投票券を購入することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
以前のレースで的中した投票券を読取る的中券読取部とマーク式の投票カードを読取る投票カード読取部と、投票券発行部と、現金の入出力機構を備えた現金部と各部の制御を行なう処理部を備えた端末で、的中券が挿入された際に、的中情報から的中金額を算出後、投票カード読取部による投票カードの読取情報により全額指定投票であることを検出した際には、算出された払い戻し金額により購入可能な投票券の金額を確定し、100円未満の端数を払い戻したうえで、確定した金額分の投票券を発行させるよう構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005-338890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に利用されている投票カードは複数の組合せを記入して購入できるようになっているが、上記発明(特開2005-338890号)によると全額指定は1枚の投票カード全体に反映されるため、複数の組合せには対応できず、1つの組合せに全額を充当することとなり、2種類以上の組合せの購入には対応不可である。さらに、100円以下の端数については都度払い戻しがされるため、ほとんどの精算ごとに小銭の受け取りが発生するためわずらわしい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該システムにおいて、投票カードの“全額指定”を各組合せごとに可能とし、通常の金額指定欄と併用させることで複数の組合せの投票に対応できるようにし、かつ、発行された投票券に100円未満の端数や任意の指定金額を情報としてプールすることで都度の払い戻しを不要とすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、利用者自らが操作して投票を行なう公営競技の自動発券端末において、特に、的中した投票券の的中金額を全額利用して次レース以降の投票券を購入する際に複数の組合せに投票できるようにし、また、端数金額を金額情報として残すことで払い戻しの手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0008】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、各図面に共通な要素には同一符号を付す。
【0009】
図2は、本発明で示される機能を有する自動発券端末1であり、図3、図4、図5はそれぞれ該自動発券端末で使用される媒体の例であり、図3は投票に用いるマークカード31、図4は発券された投票券41、図5は的中券51である。無論、実現手段が本媒体に限らないことは言うまでもない。
【0010】
図2の自動発券端末1は少なくとも、利用者への操作案内および情報表示と、入力手段の一例としてタッチパネル等を備えた表示部/操作部2と、現金の入出金を行なうための紙幣入出金部3、硬貨投入部4、硬貨受取り部5と、投票の際に利用するマークカード31を投入するためのマークカード投入部8と、的中券51を投入するための的中券投入部7と、投入されたマークカード31や的中券51が読み取れなかった場合などに該券片を返却するための投入券返却部6と、投票券41を発券するための発券部9と、それらの制御をつかさどる制御部10とレース情報などを管理するホスト11で構成される。
【0011】
図1は本発明の自動発券端末における投票券発売のフローを簡略に示したものである。
【0012】
自動発券端末1において、利用者は、表示部/操作部2に表示される案内に従って操作を行なう。
【0013】
一手順として、的中券投入部7から1枚もしくは複数枚の的中券51を投入する。自動発券端末1は、投入された的中券51に記入された情報を読取り、ホスト11と通信して当該的中券51の的中払い戻し金額を算出する。次にあらかじめ投票する内容にマークを記入したマークカード31をマークカード投入部8より投入する。自動発券端末1は、投入されたマークカード31に記入された情報を読取り、購入可能な組合せがあるかの確認を行なう。購入可能な組合せの金額指定欄33に金額指定があれば的中金額から該指定金額を差し引いた金額を残金としてセットする。金額指定欄33に金額がマークされていない場合には、全額指定欄32のチェックを行ない当該欄にマークがあれば”全額フラグ(初期値0)”に+1する。金額指定欄33、全額指定欄32ともにマークがない場合には他の有効な組合せを処理済みか確認し、処理済であれば例えば表示部/操作部2より金額を選択入力させるなどの処理を行い、未処理であればマークカードを返却する。無論、返却をせずに例えば表示部/操作部2より金額を選択入力させるなどの手段が有効であることは言うまでもない。
【0014】
マークカード31の複数の組合せにマークされている場合には上記の確認をすべての組合せ分繰り返し、すべての組合せが確認終了した時点で発売情報を確定させ組合せごとに購入金額を配分する。
【0015】
一例として、金額指定欄32にマークされた組合せについては該指定金額を割当て、当該金額分の投票を行なう。全額指定欄33にマークされた組合せについては的中払い戻し金額からすべての指定金額を差し引いた残額を全額フラグの数(=全額指定欄33にマークされた組合せの数)で割り算して求めた金額を配分し、当該額より100円以下の端数を除いた金額の投票を行なう。そのうえで残った端数を端数金額情報とする。的中金額と全額指定欄33のマーク数によっては100円以上の端数が出る場合があるが、その場合には当該金額を端数金額情報として扱うが、100円単位で任意の購入組合せに配分することも考えられる。自動発券端末1は上記の配分を元に発券部9で投票券41を印刷する。
【0016】
マークカード投入部8にマークカード31が残っているかどうかを確認して、残っている場合には同様の処理をマークカード31がなくなるまで繰り返す。
【0017】
以上により的中券51における的中金額全額を有効に複数の組合せに配分して投票券41を発券することで、資金を有効利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
払い戻し機能を備えた公営競技における自動発券端末に利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の自動発券端末における投票券発売の簡略フローである。
【図2】本発明の自動発券端末の斜視図である。
【図3】本発明の自動発券端末の例として使用するマークカードである。
【図4】本発明の自動発券端末の例として使用する投票券である。
【図5】本発明の自動発券端末の例として使用する的中券である。
【符号の説明】
【0020】
1…自動発券端末、2…表示部/操作部、3…紙幣入出金部、4…硬貨投入部、5…硬貨受取り部、6…投入券返却部、7…的中券投入部、8…マークカード投入部、9…発券部、10…制御部、11…ホスト、31…マークカード、32…全額指定欄、33…金額指定欄、41…投票券、42…情報記録エリア、51…的中券、52…情報記録エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払い戻し機能を備えた公営競技向けの自動発券端末において、挿入された投票券の的中払い戻し金を利用して任意のレースの投票券を購入する場合に、投票カードの組合せ記入欄ごとに”全額指定”欄を設け、複数の組合せで該”全額指定”欄にマークした場合に的中払い戻し金すべてを当該組合せの数で均等割りし、100円未満の端数は払い戻したうえで、残り全額を各組合せに充当して複数組合せの投票券を購入することができるようにしたことを特徴とする自動発券端末。
【請求項2】
請求項1において、投票カードの組合せ記入欄ごとに設けられた”全額指定”欄及び金額指定欄をマークすることで、金額指定された組合せにおいては当該金額分の購入として的中払い戻し金額から当該金額分を充当し、残りの金額を”全額指定”された組合せの数で均等割りし、100円未満の端数は払い戻したうえで、残り全額を”全額指定”された各組合せに充当して複数組合せの投票券を購入することができるようにしたことを特徴とする自動発券端末。
【請求項3】
上記請求項1、請求項2の各端末において、投票券の購入を行なう際に100円未満の端数を払い戻さず、端数金額情報として投票券に記録する等の手段で金額をプールすることにより、端数部分を次以後の投票券購入及び精算に充てることを特徴とする自動発券端末。
【請求項4】
請求項2の端末において任意の金額及び、”全額指定”欄がマークされなかった場合の的中金額から指定金額を控除した額を端数金額情報として投票券に記録する等の手段で金額をプールすることにより、端数部分を次以後の投票券購入及び精算に充てることを特徴とする自動発券端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−140271(P2009−140271A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316515(P2007−316515)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】