説明

公図取得支援方法

【課題】必要な公図を効率よく取得する。
【解決手段】公図取得支援装置1は、基準地点を、起点SPから起点終点角度の方向へ移動単位距離の位置に移動し、緯度と経度を求める。基準地点を中心とする公図範囲内で、直線上の住所をチェックする。直線上に字境(例えば、字Aと、字Bとの間の境界線)があれば、その交点(例えば、地点P3)に基準地点を移動し、緯度と経度を求め、その先の住所(例えば、字B)を取得し、取得住所データとして記憶し、基準地点をさらに公図範囲サイズの1/2の位置(例えば、地点P4)に移動し、緯度と経度を求める。一方、直線上に字境がなければ、基準地点(例えば、地点P4)をさらに移動単位距離の位置(例えば、地点P5)に移動し、緯度と経度を求める。基準地点が終点EPを越えていなければ、公図範囲内の住所チェックを行う。終点EPを超えていれば、取得した住所を取得住所データから読み出し、出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公図を取得する際に必要な住所を出力する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
法務局においては、広範囲の公図がなく、比較的狭い範囲の公図が提供されている。そこで、電力会社において、広範囲の公図が必要な場合には、必要なすべての地番を網羅する複数の公図を法務局等から取得し、取得した複数の公図を貼り合わせている。
なお、関連する技術として、特許文献1には、公図画像データが表す画像の画像レイヤを表示し、その上にユーザによる筆を表すポリゴンを描画し、各ポリゴンへの字や地番等の地籍属性項目を、各ポリゴンの属性として付与すると共に、ユーザが選択したポリゴンに設定されている属性を表示する地籍処理支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−279827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、工事の都合等から必要な範囲が明確にできず、公図を取得すべき範囲が明確にならないことも多く、公図取得者の判断に頼る部分が大きい。また、地図の重複、不要範囲の取得等により無駄なコストがかかることもある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、必要な公図を効率よく取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、住所と、緯度及び経度の範囲との対応付けを示す住所範囲データを記憶する記憶部と、処理部とを備えるコンピュータにより、公図を取得する際に必要な住所を提供する公図取得支援方法であって、前記処理部が、取得すべき公図の領域の起点及び終点の住所、前記公図の倍率を取得するステップと、前記起点及び終点の住所を前記記憶部に記憶するステップと、前記住所範囲データに基づいて、前記起点及び終点の住所から前記起点及び終点の緯度及び経度を求め、その緯度及び経度に基づいて、前記起点から終点への方向を特定するステップと、前記倍率に基づいて、1枚の公図範囲のサイズを特定する公図範囲サイズ及び前記公図範囲の中心である基準地点を一回移動する距離である移動単位距離を計算するステップと、前記起点から前記方向へ前記移動単位距離だけ前記基準地点を移動するステップと、前記住所範囲データに基づいて、前記基準地点を中心とし、前記公図範囲サイズにより特定される公図範囲内で、かつ、前記方向の直線上に住所の境界があるか否かを判定するステップと、住所の境界があれば、直線上の境界に前記基準地点を移動し、その境界を越えたところの住所を前記記憶部に記憶し、前記基準地点を現在の位置から前記方向へ前記公図範囲サイズの1/2以下の距離だけ移動するステップと、住所の境界がなければ、前記基準地点を現在の位置から前記方向へ前記移動単位距離だけ移動するステップと、移動した前記基準地点が前記終点を越えていなければ、前記住所の境界があるか否かを判定するステップへ移行するステップと、移動した前記基準地点が前記終点を越えていれば、前記記憶部に記憶した前記住所を出力するステップと、を実行することを特徴とする。
【0007】
この方法によれば、取得したい公図の領域の起点及び終点の住所、公図の倍率をコンピュータに入力すると、その領域内にある住所を網羅するように、必要な公図を指定する住所の一覧が出力される。これによれば、出力された住所の一覧を法務局に提示することにより、必要な公図を効率よく取得することができる。
【0008】
また、本発明の上記公図取得支援方法において、前記処理部が、前記基準地点を移動する前の公図範囲と、前記基準地点を移動した後の公図範囲とが重なる距離である重複距離を取得し、前記公図範囲サイズから前記重複距離を減算した値を前記移動単位距離とすることとしてもよい。
【0009】
この方法によれば、基準地点を起点から終点へ一回ずつ移動する際に、その基準地点を中心とする公図範囲が移動の前後で重なるので、住所の境界を確実に検出し、取得すべき公図の領域内にある住所を漏れなく記憶し、出力することができる。
【0010】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、必要な公図を効率よく取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】公図取得支援装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図2】公図取得支援装置1の記憶部15に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は条件データ15Aの構成を示し、(b)は取得住所データ15Bの構成を示し、(c)は住所範囲データ15Cの構成を示す。
【図3】公図取得支援装置1の処理を示すフローチャートである。
【図4】公図取得支援装置1が公図範囲を移動する様子を示す図である。
【図5】公図取得支援装置1の処理の実施例を示す図であり、(a)は字境がなく、公図範囲を東又は西の方向へ移動する例を示し、(b)は字境がなく、公図範囲を北西又は南東の方向へ移動する例を示し、(c)は公図範囲を広範囲(通常の2倍)に指定した場合に、東の方向へ移動する例を示し、(d)は字境がある場合の例を示す。
【図6】地番を指定して取得される公図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る公図取得支援装置は、所望の公図の領域を特定する2地点(起点及び終点)の住所(地番)を取得し、住所から緯度及び経度を求め、次に、一方の地点から他方の地点までの直線に沿って基準地点を移動しながら、基準地点を中心とする公図の範囲内において、住所の境界があった場合に、その境界を越えた先の住所を取得し、取得した住所のリストを、公図の取得時に指定すべき住所として出力するものである。
【0014】
なお、起点及び終点としては、例えば、隣接する2つの鉄塔の設置が計画されている2地点を用いる。この例では、鉄塔設置のための用地に関する調査を行う上で、その領域の公図を取得することが目的となる。
【0015】
≪装置の構成と概要≫
図1は、公図取得支援装置1のハードウェア構成を示す図である。公図取得支援装置1は、通信部11、表示部12、入力部13、処理部14及び記憶部15を備え、各部がバス16を介してデータの送受信が可能なように接続されている。通信部11は、ネットワークを介して他の装置とIP(Internet Protocol)通信等を行う部分であり、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。表示部12は、処理部14からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。入力部13は、オペレータがデータ(例えば、公図取得領域の起点及び終点の住所、公図の倍率や重複範囲等)を入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。処理部14は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、公図取得支援装置1全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部15は、処理部14からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。なお、公図取得支援装置1は、スタンドアロンの装置(PC(Personal Computer)等)であってもよいし、複数の端末とネットワークを介して通信可能となっている装置(サーバ等)であってもよい。
【0016】
≪データの構成≫
図2は、公図取得支援装置1の記憶部15に記憶されるデータの構成を示す図である。図2(a)は、条件データ15Aの構成を示す。条件データ15Aは、公図取得支援装置1が処理を行う上での前提条件として初期設定されるデータであり、公図倍率15A1、重複距離15A2、公図範囲サイズ15A3、移動単位距離15A4、起点終点距離15A5及び起点終点角度15A6を含む。公図倍率15A1は、取得すべき公図の倍率(縮尺)を示す。重複距離15A2は、起点から終点に向かって1枚の公図の範囲を移動させながら住所を取得する際に、一回の移動の前後で一部の範囲を重複させるために、その距離を設定するものである。範囲を重複させるのは、必要な住所の取得漏れを防ぐためである。
【0017】
公図範囲サイズ15A3は、1枚の公図が網羅する実際の正方形範囲の一辺の長さを示し、公図倍率15A1と、公図の用紙サイズ(正方形の一辺の長さ)とから算出される。例えば、公図倍率15A1が1/500、公図の一辺の長さが25cmであれば、公図範囲サイズ15A3は、25[cm]×500=125[m]となる。移動単位距離15A4は、上記一回の移動において領域範囲の中心を移動させる距離を示し、「公図範囲サイズ15A3−重複距離15A2」により算出される。例えば、公図範囲サイズ15A3が125[m]、重複距離15A2が25[m]であれば、移動単位距離15A4は、125−25=100[m]となる。
【0018】
起点終点距離15A5は、公図取得領域の起点と、終点との間の直線距離を示し、公図範囲の移動の終了を判定するために用いられる。起点終点角度15A6は、起点から終点への方向の角度を示し、例えば、地図上で東西方向の直線に対する、起点から終点への方向の直線の角度であり、公図範囲の移動方向を決めるのに用いられる。
【0019】
図2(b)は、取得住所データ15Bの構成を示す。取得住所データ15Bは、起点から終点までの公図範囲の移動により取得される住所の一覧であり、換言すれば、起点から終点までの直線上に存在する住所の一覧であり、まず、起点の住所及び終点の住所が設定され、次に、公図範囲の移動により、起点と、終点との間にある異なる住所が逐次設定される。
【0020】
図2(c)は、住所範囲データ15Cの構成を示す。住所範囲データ15Cは、住所と、緯度及び経度の範囲との対応付けを示すデータであり、住所15C1、緯度範囲15C2及び経度範囲15C3を含むレコードからなる。住所15C1は、公図取得支援装置1の処理において緯度及び経度との対応付けが必要な住所であり、例えば、地番や字等である。緯度範囲15C2は、住所15C1の領域の緯度範囲を示す。経度範囲15C3は、住所15C1の領域の経度範囲を示す。緯度範囲15C2及び経度範囲15C3は、組合せにより住所15C1の領域範囲を特定するものであり、1の住所15C1に対して、複数の緯度範囲15C2及び経度範囲15C3の組合せがある。従って、ある緯度及び経度が指定されると、その緯度を含む緯度範囲15C2と、その経度を含む経度範囲15C3との組合せにより、1の住所15C1が特定される。なお、住所と、緯度及び経度の範囲との対応付けを示すデータとして、住所の境界線と、各地点の緯度及び経度とが分かる地図データを用いてもよい。
【0021】
≪装置の処理≫
図3は、公図取得支援装置1の処理を示すフローチャートである。本処理は、公図取得支援装置1が所定範囲の公図取得の際に必要な住所を出力するものであり、公図取得支援装置1において、主として処理部14が記憶部15のデータを参照、更新しながら行われる。なお、S307の説明以降は、図4を参照する。図4は、公図取得支援装置1が公図範囲を移動する様子を示す図である。
【0022】
まず、公図取得支援装置1は、通信部11又は入力部13を通じて、公図を取得すべき領域の起点及び終点の住所(例えば、地番)を取得し、取得住所データ15Bとして記憶部15に記憶する(S301)。続いて、同じく通信部11又は入力部13を通じて、公図を取得する際の条件として、公図の倍率及び重複範囲を取得し、記憶部15の条件データ15Aのうち、公図倍率15A1及び重複距離15A2として記憶する(S302)。S301及びS302においては、オペレータが公図取得支援装置1又は公図取得支援装置1と通信可能な他の端末等を用いて、所望のデータを入力することになる。S301においては、オペレータが公図を取得したい領域の両端の住所、例えば、2つの鉄塔の設置が計画されている箇所の地番が入力される。S302においては、倍率の大小によって1枚の公図(例えば、25×25[cm]のサイズ)が網羅する範囲が異なるとともに、重複範囲の大小によって住所取得の精度(取得漏れ防止の程度)が変わるので、オペレータによって検討され、調整されたデータが入力される。例えば、同じ重複範囲を適用すると、傾斜面では、平面より実際の重複範囲が小さくなるので、大きめに重複範囲を設定することで対応する。
【0023】
なお、公図の倍率や用紙サイズによって、取得すべき公図が広範に亘る場合には、通常とは異なる基準地点の設定を行う必要があるが、その詳細は、実施例の説明において詳述する。また、公図の取得条件の取得、記憶に際しては、工事件名や担当者名を併せて取得し、入出力情報を保存し、全ての利用者が過去の利用履歴を参照できるようにしてもよい。
【0024】
続いて、公図取得支援装置1は、公図倍率15A1及び重複距離15A2に基づいて、1枚の公図の範囲距離(正方形範囲の一辺の実長)及び一回の移動距離を計算し、記憶部15の条件データ15Aのうち、公図範囲サイズ15A3及び移動単位距離15A4として記憶する(S303)。そして、記憶部15の住所範囲データ15C1を参照して、S301で取得した起点及び終点の地番(住所)から、それぞれの緯度及び経度を求める(S304)。例えば、地番の住所15C1から緯度範囲15C2及び経度範囲15C3の組合せを特定し、その組合せによる領域範囲の中心地点の緯度及び経度を計算する。
【0025】
次に、公図取得支援装置1は、起点と終点の緯度及び経度から、起点と、終点との間の距離を求め、記憶部15の条件データ15Aのうち、起点終点距離15A5として記憶する(S305)。また、起点と終点の緯度及び経度から、起点から終点への方向の角度を求め、記憶部15の条件データ15Aのうち、起点終点角度15A6として記憶する(S306)。起点終点角度15A6は、例えば、起点及び終点が2つの鉄塔の設置位置であれば、鉄塔間の送電線の角度に相当する。ここで、公図範囲の中心となる基準地点を起点SPとする。
【0026】
そして、図4に示すように、基準地点を、起点SPから起点終点角度15A6の方向へ移動単位距離15A4の位置にある地点P1に移動し、その移動した基準地点の緯度及び経度を求める(S307)。このとき、移動単位距離15A4を緯度及び経度の変化分に予め換算しておくものとする。なお、移動単位距離15A4は、起点終点角度15A6により補正して用いるものとする。例えば、起点終点角度15A6をθとすると、移動単位距離15A4×arccosθを用いる(以下、基準地点の移動について同様)。また、基準地点を地点P1に移動する前に、起点SPから終点EPへの直線上で、かつ、起点SPを中心とする公図範囲内に字境があるか否かをチェックするようにしてもよい。
【0027】
続いて、公図取得支援装置1は、移動した基準地点(地点P1)を中心とする公図範囲内で、起点終点角度15A6の方向(直線上)に存在する住所をチェックする(S308)。公図範囲は、例えば、基準地点を中心とする公図範囲サイズ15A3×公図範囲サイズ15A3の正方形の領域範囲になる。チェックの結果、当該方向の直線上に字境(例えば、図4の字Aと、字Bとの間の境界線)があれば(S309のYES)、直線と字境の交点(例えば、図4の地点P3)に基準地点を移動し、緯度及び経度を求め、その交点を越えた先の住所(例えば、図4の字B)を取得し、記憶部15のうち、取得住所データ15Bとして追加し、記憶する(S310)。そして、基準地点をさらに公図範囲サイズ15A3の1/2の位置(例えば、図4の地点P4)に移動し、その移動した基準地点の緯度及び経度を求める(S311)。このとき、公図範囲サイズ15A3の1/2を緯度及び経度の変化分に予め換算しておくものとする。なお、公図範囲サイズ15A3の1/2は、起点終点角度15A6により補正して用いるものとする。例えば、起点終点角度15A6をθとすると公図範囲サイズ15A3×1/2×arccosθを用いる。また、基準地点を移動する距離は、公図範囲サイズ15A3の1/2に限らず、公図範囲サイズ15A3の1/2より短い距離であってもよい。
【0028】
一方、当該方向の直線上に字境がなければ(S309のNO)、公図取得支援装置1は、基準地点をさらに移動単位距離15A4の位置に移動し、その移動した基準地点の緯度及び経度を求める(S312)。例えば、地点P1を中心とする公図範囲には、字境がないので、さらに基準地点を移動した地点P2の緯度及び経度を計算する。また、地点P4を中心とする公図範囲には、字境がないので、さらに基準地点を移動した地点P5の緯度及び経度を計算する。
【0029】
公図取得支援装置1は、S310とS311又はS312の処理を行った後、基準地点が終点EPを越えたか否かを判定する(S313)。終点EPを超えていない場合には(S313のNO)、S308に戻る。終点EPを超えた場合には(S313のYES)、取得した住所を記憶部15の取得住所データ15Bから読み出し、出力する(S314)。住所の出力は、S301で公図範囲の起点及び終点の住所を取得したときと同様に、通信部11又は表示部12を通じて行われる。
【0030】
以上によれば、本処理は、公図を取得すべき範囲の起点SPと、終点EPとの間を、公図範囲サイズ15A3で特定される大きさ(例えば、125m×125m)の板(すなわち、1枚の公図の範囲)により埋め合わせていきながら、その板の中心である基準地点の住所をリスト化し、出力するものである。なお、起点から終点への方向ではなく、別の方向に異なる字(住所)があった場合は、担当者の判断によるところが大きく、新たな住所の公図を取得するか否かは、任意に選択可能とする。
【0031】
≪実施例≫
図5は、公図取得支援装置1の処理の実施例を示す図である。図5(a)は、字境がなく、公図範囲を東又は西の方向へ移動する例を示す。図5(b)は、字境がなく、公図範囲を北西又は南東の方向へ移動する例を示す。図5(a)及び(b)では、基準地点を公図範囲の中心として、移動単位距離だけ移動する例が示される。
【0032】
図5(c)は、公図範囲を広範囲(通常の2倍)に指定した場合に、東の方向へ移動する例を示す。この例では、鉄塔の位置する起点を基準地点とせず、別の2つの地点を基準地点として、次の鉄塔の位置する終点の方向へ、2つずつポイントしながら、移動する。すなわち、起点及び終点により基準地点を移動するルートが決定した後は、地図上に起点及び終点の位置を表示し、取得領域の中心線(直線)からの距離(実長)により、所望の範囲が網羅されるか否かを評価し、必要に応じて基準地点を複数設定する。
【0033】
図5(d)は、字境がある場合の例を示す。この例では、終点の付近に字境がある場合に、終点に近い地番を取得住所データ15Bとして記憶する。
【0034】
図6は、地番を指定して取得される公図の例を示す図である。法務局に対して「673−1」の地番を付けて公図の請求を行うと、その地番の領域を中心とした、所定の倍率の公図が取得できる。
【0035】
なお、上記実施の形態では、図1に示す公図取得支援装置1内の各部を機能させるために、処理部14で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る公図取得支援装置1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0036】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、公図取得支援装置1は、公図の取得に必要な住所だけを出力するので、無駄なく、効率よく公図を取得できるとともに、取得する公図枚数の削減になり、コストの削減を図ることができる。そして、実際に、出力された住所を指定して公図を取得し、その公図により所望の範囲が網羅されているか否かを確認することにより、取得結果の評価、さらには公図取得支援装置1の処理精度の評価が可能になる。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 公図取得支援装置
14 処理部
15 記憶部
15A 条件データ
15A1 公図倍率
15A2 重複距離
15A3 公図範囲サイズ
15A4 移動単位距離
15A5 起点終点距離
15A6 起点終点角度
15B 取得住所データ
15C 住所範囲データ
15C1 住所
15C2 緯度範囲
15C3 経度範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住所と、緯度及び経度の範囲との対応付けを示す住所範囲データを記憶する記憶部と、処理部とを備えるコンピュータにより、公図を取得する際に必要な住所を提供する公図取得支援方法であって、
前記処理部は、
取得すべき公図の領域の起点及び終点の住所、前記公図の倍率を取得するステップと、
前記起点及び終点の住所を前記記憶部に記憶するステップと、
前記住所範囲データに基づいて、前記起点及び終点の住所から前記起点及び終点の緯度及び経度を求め、その緯度及び経度に基づいて、前記起点から終点への方向を特定するステップと、
前記倍率に基づいて、1枚の公図範囲のサイズを特定する公図範囲サイズ及び前記公図範囲の中心である基準地点を一回移動する距離である移動単位距離を計算するステップと、
前記起点から前記方向へ前記移動単位距離だけ前記基準地点を移動するステップと、
前記住所範囲データに基づいて、前記基準地点を中心とし、前記公図範囲サイズにより特定される公図範囲内で、かつ、前記方向の直線上に住所の境界があるか否かを判定するステップと、
住所の境界があれば、直線上の境界に前記基準地点を移動し、その境界を越えたところの住所を前記記憶部に記憶し、前記基準地点を現在の位置から前記方向へ前記公図範囲サイズの1/2以下の距離だけ移動するステップと、
住所の境界がなければ、前記基準地点を現在の位置から前記方向へ前記移動単位距離だけ移動するステップと、
移動した前記基準地点が前記終点を越えていなければ、前記住所の境界があるか否かを判定するステップへ移行するステップと、
移動した前記基準地点が前記終点を越えていれば、前記記憶部に記憶した前記住所を出力するステップと、
を実行することを特徴とする公図取得支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の公図取得支援方法であって、
前記処理部は、
前記基準地点を移動する前の公図範囲と、前記基準地点を移動した後の公図範囲とが重なる距離である重複距離を取得し、
前記公図範囲サイズから前記重複距離を減算した値を前記移動単位距離とする
ことを特徴とする公図取得支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−128372(P2011−128372A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286763(P2009−286763)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】