共同文書処理システム
【目的】本発明は、複数の人やグループの共同利用に便利なように文書の変更箇所、変更内容を、コメントと関連づけて表示している。
【構成】文書の編集を受付ける文書エディタ141 、コメントを入力するコメントエディタ142 、版情報を提示する版情報表示部143 を有するエディタ部14と編集文書を管理する文書管理部151 、コメントを管理するコメント管理部152 、編集前の文書と編集後の文書を版情報として管理する版情報管理部153 を有する文書情報管理部15を備えた端末装置1,2 に対し、編集文書を記憶する文書記憶部41、コメントを記憶するコメント記憶部42、版情報を記憶する版情報記憶部43を有する文書データベース4 を共通に設け、これら編集文書を、版情報、コメントともにリンクして管理、記憶すると同時に、これらを文書情報を各端末装置1,2 から検索できるように構成している。
【構成】文書の編集を受付ける文書エディタ141 、コメントを入力するコメントエディタ142 、版情報を提示する版情報表示部143 を有するエディタ部14と編集文書を管理する文書管理部151 、コメントを管理するコメント管理部152 、編集前の文書と編集後の文書を版情報として管理する版情報管理部153 を有する文書情報管理部15を備えた端末装置1,2 に対し、編集文書を記憶する文書記憶部41、コメントを記憶するコメント記憶部42、版情報を記憶する版情報記憶部43を有する文書データベース4 を共通に設け、これら編集文書を、版情報、コメントともにリンクして管理、記憶すると同時に、これらを文書情報を各端末装置1,2 から検索できるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数の人やグループが共同で文書を作成して利用する共同文書処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、複数の人やグループが共同で文書を作成し、これら文書を各人が適宜利用できるようにした文書処理システムが考えられているが、これらシステムの一例として作成文書の版管理を行うことができるシステムや作成文書に作者のコメントを付けることができるシステム(T.Catlin et al.InterNote:Extending a Hypermedia Framework to Support Annotative Collaboration,Proc.of Hypertext 89) などが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のこれらシステムでは、改訂された文書の版情報や文書に付けられた作者のコメントは、それぞれ文書とは別に独立して状態で管理されるようになっていた。
【0004】このため、このように管理される共同文書に対して改訂がなされた場合に、「なぜこの変更があったのか」「誰の意見を参考にして変更を行ったのか」など、文書の変更理由を知りたい場合も変更の理由を示したコメントを文書と関連づけて呈示できないことから、これら変更理由を正しく把握できないことがあり、また、文書にコメントがつけられた場合も同様で、そのコメントが最終的にどのように文書の変更に反映されたのかを知ることが難しかった。つまり、従来の共同文書作成システムでは、文書作成者とコメントをつける共著者との間での意思疎通を明確に行えることが難しく、共同文書の作成作業を支援するものとしては十分なものでなかった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、文書の変更箇所、変更内容などを、その変更を促したコメントと関連づけて呈示することができ、これらの情報をグループ内で共有することによってメンバー間の意思疎通を明確にして、共同編集作業をより円滑に行うことのができる共同文書処理システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の人またはグループが共同で文書を作成して利用する共同文書処理システムであって、文書を画面に表示して編集コマンドを受け付ける文書エディタ、該文書エディタに表示された文書に対するユーザのコメントを入力して表示するコメントエディタ、版情報をユーザに提示する版情報表示部を有するエディタ手段と、文書エディタにて編集された文書を管理する文書管理部、コメントエディタより入力されたコメントを管理するコメント管理部、文書エディタでの編集前の文書と編集後の文書をそれぞれ旧版と新版とし且つその違いを記述した版情報とともに文書を管理する版情報管理部を有する文書情報管理手段とを備えた複数の端末装置と、これら複数の端末装置に対して共通に設けられ且つ前記文書エディタで編集された文書を記憶する文書記憶部、前記コメントエディタより入力されたコメントを記憶するコメント記憶部、前記版情報表示部に提示される版情報を記憶する版情報記憶部を有する文書データベースとを具備していて、文書エディタにより編集された文書を、旧版および新版の文書と、変更内容を示す版情報と、変更を促したコメントとを互いにリンクして文書情報管理手段および文書データベースで管理、記憶するとともに、これらを各端末装置から検索できるように構成されている。
【0007】
【作用】この結果、本発明によれば、文書の内容変更を促すコメントを見たユーザが、文書エディタから文書を編集するコマンドを起動することにより、新しい版が生成されて、その編集を行うことができる。そして、編集後の文書には、旧版の文書と新版の文書と、その変更内容を示す版情報と、変更を促したコメントの文書情報が、互いにリンクして記憶、管理されるようになる。
【0008】このようにリンクされた文書情報は、文書を見る際に随時取り出して表示することができるようになり、これによって作成された新しい版の文書を見た別のユーザは、「なぜ変更されたのか」「変更箇所はどこか」といった文書の変更箇所、変更内容、変更理由などを関連を確認しながら見ることができるようになる。また、例えば、グループの中でこれらの情報を共有することにより、グループメンバー間の意思疎通が明確になり、同じ議論を繰り返すなどの無駄がなくなって、共同編集作業をより円滑に行うことが可能となる。さらに、これらの情報の管理は文書のエディタの機能と統合して実現されるため、ユーザが新たに版を作り出すなどの操作を、陽に指定することなく行うことができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に従い説明する。
【0010】図1は同実施例のシステム構成を示している。図において、1、2はワークステーションに代表される個人用端末装置で、これら個人用端末装置1、2は、ネットワーク3を通じて文書データベース4を共有する構成になっている。
【0011】個人用端末装置1、2は、同じ構成からなるもので、いま、個人用端末装置1についてのみ述べると、マルチウインドウ機能を備えたビットマップディスプレイに代表される表示装置11とキーボード、マウスなどの入力装置12は入出力制御部13に接続され、この入出力制御部13にエディタ部14が接続される。エディタ部14は、文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143から構成されている。そして、エディタ部14は文書情報管理部15に接続され、この文書情報管理部15にてエディタ部14で処理された文書、コメント、版情報などの文書情報を管理するようにする。文書情報管理部15は、文書管理部151、コメント管理部152、版管理部153から構成されている。また、文書情報管理部15は文書データベースアクセス部16に接続され、文書情報管理部15で管理される、文書、コメント、版情報などの文書情報を文書データベースアクセス部16を通じて文書データベース4に格納するようにしている。この場合、文書データベース4に格納された文書情報は、必要に応じて文書データベースアクセス部16を通して各個人用端末装置1、2から検索できるようになっている。
【0012】文書データベース4は、文書情報を記憶するもので、文書記憶部41、コメント記憶部42、版情報記憶部43を有し、各種の文書情報を格納するようにしている。
【0013】次に、このように構成した共同文書処理システムの動作について説明する。
【0014】この場合、複数のユーザが、各個人用端末装置1、2から共有する文書データベース4にアクセスするようになる。つまり、この場合、ユーザは、入力装置13からエディタ部14に対する入力を行い、エディタ部14のコマンドを発行する。そして、エディタ部14で扱われた情報は、文書情報管理部12で管理されると同時に、必要に応じて入出力制御部13を通して表示装置11に出力され、ユーザに内容提示されるようになる。
【0015】図2は、エディタ部14による表示画面の一例を示すものである。
【0016】この場合、エディタ部14は、文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143からなり、それぞれが別のウィンドゥとして表示されるようになっている。ここでは、これら文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143のすべて起動された表示例を示している。
【0017】図において、AおよびA´は、文書エディタ141に関する表示例で、ここではAが同じ文書の新版、A´が同じ文書の旧版を示し、これらが同時に並列表示されている。また、Bはコメントエディタ142に関する表示例で、ここではA´の表示文書につけられたコメントを示している。このコメントには、文書Aを文書A´に変更する示唆を行っている。さらにCは版情報表示部143に関する表示例で、AとA´それぞれの表示文書の版間の変更情報を示している。
【0018】この場合、エディタ部14では、各部から任意のものが起動できるようになっている。例えば、文書エディタ141から、コメントエディタ142、版情報表示部143の起動が可能であり、また別の文書を表示する別の文書エディタ141を表示することも可能である。
【0019】この状態で、ユーザは、文書エディタ141を用いて文書の編集を行うようになる。この間、文書の編集コマンドだけでなく、エディタ部14の表示画面により編集中の文書の古い版を見たり、他のユーザにより文書に付けられたコメントを参照することができる。また、他のユーザが作った文書(自分で作ったものでもよい)について、コメントをつけることができるようになる。
【0020】そして、エディタ部14によって変更される文書、コメント、版などの文書情報は、文書情報管理部15の文書管理部151、コメント管理部152、版管理部153により管理され、その後、これらの文書情報は、エディタ部14での実行の終了、文書編集の終了を待って、文書データベースアクセス部16を通して文書データベース4に格納される。
【0021】文書データベース4に格納された文書情報は、別のユーザにより個人用端末1、2からアクセス可能であり、そのユーザは作成された文書を見て、変更を勧めたり感想を述べるなどのコメントを文書につけることができる。このコメントづけは、エディタ部14のコメントエディタ142により行うようになる。
【0022】また、この新たに付けられたコメントも、文書情報として文書データベース4に格納され、その後にそれぞれ文書作成者が再びアクセスすることによって、そのコメントを参照できるようになる。
【0023】この場合、文書データベース4に格納される文書情報は、文書情報管理部12で管理される文書情報と同等であり、文書記憶部41、コメント記憶部42、版情報記憶部43に、それぞれ文書、コメント、版情報の各文書情報が記憶されるうになる。
【0024】従って、このような共同文書処理システムでは、主に文書に付けられたコメントを文書データベース4により共有することにより、文書作成者と他のユーザとの意思疎通が可能になる。
【0025】次に、このように構成したシステムの各部についてさらに詳しく説明する。
【0026】この場合、はじめにエディタ部14を構成する文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143について説明し、次に、文書情報管理部12と文書データベース4とで管理される文書情報(文書,コメント,版情報)のデータ構造と、それらがどのように関連づけられて表現されるかを説明する。さらに、エディタ部14で管理される情報と、文書データベース4および文書情報管理部12で管理される情報との間でのデータのやりとりを、一つの例に基づいて、コメント者,著者,読者のそれぞれの観点から説明し、最後に、文書エディタの主要なコマンドにより実行される手続きを説明する。
【0027】図3は、起動状態にある文書エディタ141の画面表示の一例を示したもので、文書エディタ141に対応するウィンドゥ上に一つの文書が表示されている。この場合、文書エディタ141のウィンドゥは、DA、DB、DCの3つの部分からなっていて、DAには、編集する文書の文書名を表示し、DBには、文書エディタ141のコマンドを起動するための制御用ボタンを示すアイコンを表示し、DCには、黒い三角で現すカーソルに対して文章の挿入、削除などの編集を可能にした文書を表示している。
【0028】ここで、DB中に表示されるボタン・アイコンは、所望するアイコン上にマウスカーソルを運び、マウスのボタンをクリックすることで、編集コマンドのメニューを表示したり、実際の編集コマンドを発行するようにしている。図示例では、5種類のボタン・アイコンを備えており、ここでの[Close] はウィンドゥをアイコン化するコマンドを発するためのボタン、[Done]は文書エディタ141を終了させるためのボタン、そして、[Document],[Comment],[Version]は図4に示すコマンドメニューを表示し、ユーザに選択を行わせるためのものである。
【0029】図4(a)は[Document]ボタンに対応するメニュー表示例で、ここでは実際に編集を開始することをシステムに指示する[Edit]、文書データベース4への文書格納を指示する[Save]、文書データベース4からの文書の取り出し/検索を指示する[Load]の各メニューが表示される。
【0030】また、図4(b)は[Comment] ボタンに対応するメニュー表示例で、このメニューからの選択によりコメントエディタ142が起動される。ここでは文書についているコメントを取り出す[Attached]、文書になるに至って参考にされたコメントを取り出す[Reflected] 、コメントの付加/削除を指示する[Add]/[Delete]の各メニューが表示される。
【0031】さらに、図4(c)は[Version] ボタンに対応するメニュー表示例で、このメニューからの選択により版情報表示部143が起動される。ここでは現在注目している版のみを表示する[Current] 、最新版を表示する[Latest]、前/次の版を表示する[Previous]/[Next] の各メニューが表示される。
【0032】次に、図5は、コメントエディタ142の画面表示の一例を示したもので、コメントエディタ142に対応するウィンドゥ上に一つのコメントが表示されている。この場合、コメントエディタ142のウィンドゥは、CA、CB、CC、CDの4つの部分からなっていて、CAには、すべてのコメントに付けられた番号を表示し、CBには、「誰がいつどのようなコメントをつけたのか」を表す情報を表示している。図示例では、「共同文書処理システム」文書の「エディタ部」なる語句に関して、「森本」さんが「1991年3月29日」に「変更を示唆する」ようなコメントをつけている。また、CDには、コメントの具体的内容を表示している。コメントを入力する時には、この部分でコメントの編集を行うことになる。そして、CCには、コメントエディタ142のコマンドを起動するための制御用のボタンを示すアイコンを表示している。
【0033】ここで、CDに表示されるボタン・アイコンは、所望するアイコン上にマウスカーソルを運び、マウスのボタンをクリックすることで、編集コマンドのメニューを表示したり、実際の編集コマンドを発行するようにしている。図示例では、5種類のボタンアイコンを備えており、ここでの[Close] はウィンドゥをアイコン化するコマンドを発するためのボタン、[Done]は文書エディタ142を終了させるためのボタン、そして[Document],[Comment],[Type] は図6に示すコマンドのメニューを表示し、ユーザに選択を行わせるためのものである。
【0034】図6(a)、(b)は[Document],[Comment]の各ボタンに対応するメニュー表示例で、これらの表示画面から、コメントがつけられた文書、コメントが影響した文書、コメントへの反応コメントなどにアクセスするコマンドが起動されるようになる。また、図6(c)は[Type]ボタンからのメニュー表示例で、ここではコメントのタイプを指定するものとして「変更を示唆する」「意見を表明する」「感想を述べる」「その他」などの各メニューが表示される。
【0035】次に、図7は、版情報表示部143の画面表示の一例を示したもので、版情報表示部143に対応するウィンドゥ上に一つのコメントが表示されている。この場合、版情報表示部143のウィンドゥは、VA、VB、VC、VD、VEの5つの部分からなっていて、VAには、すべての版情報に付けられた番号と文書名を表示し、VBには、版情報のサマリとして「誰がいつどのコメントに影響された新しい版を作ったのか」を表す情報を表示している。図示例では「共同文書処理システム」文書について「村田」さんが「1991年4月7日」にコメントNo.101に示唆を受けて、新しい版を作っている場合を表示している。また、VDには、新しい版への変更に関する説明を表示している。編集作業による文書変更について何らかの説明を残したい時に、この部分で説明を入力することになる。VEには、旧版から新版への変更、あるいは旧版と新版との違いの記述を表示している。このVEへの入力は、ユーザ自身がしても、システムが旧版と新版との比較を行うことによって得られる情報を入れるようにしてもよい。本実施例では、文書エディタ141における編集コマンドのシーケンスをシステム側が入力するのがデフォールトとなっている。そして、VCには、版情報表示部143のコマンドを起動するための制御用のボタンを示すアイコンを表示している。
【0036】ここで、VCに表示されるボタン・アイコンは、所望するアイコン上にマウスカーソルを運び、マウスのボタンをクリックすることで、表示コマンドのメニューを表示し、それを選択することで実際の編集コマンドを発行するようにしている。図示例では、4種類のボタンアイコンを備えており、ここでの[Close] はこのウィンドゥをアイコン化するコマンドを発するためのボタン、[Done]は版情報表示部143を終了させるためのボタン、そして、[Comment],[Version] は図8に示すコマンドメニューを表示し、ユーザに選択を行わせるためのものである。図8(a)は[Comment] ボタンに対応するメニュー表示例で、版表示画面から版が影響を受けたコメント、それに対する応答コメントにアクセスするコマンドが起動できるようにしている。また、図8(b)は[Version] ボタンに対応するメニュー表示例で、これらメニューから項目を選択することにより、版表示画面から版のウィンドゥだけを表示し、最新版の版情報、一つ前の版の版情報、一つ後の版の版情報などの表示操作を行うことができるようにしている。
【0037】次に、エディタ部14のコマンドによりアクセスされるデータ表現について説明する。
【0038】このデータ表現は、文書情報管理部15と文書データベース4とで管理され、図9に同実施例における文書、コメント、版情報の各データが形成するデータモデル表現を示している。
【0039】この場合、基本的にはノードとリンクとで構成されるネットワーク型のデータモデルであり、ここでのノードには3種類あり、四角(□)が文書ノード、三角(△)がコメントノード、丸(○)が版ノードをそれぞれ表している。そして、文書ノードは、文書管理部151と文書記憶部41で管理され、コメントノードはコメント管理部152とコメント記憶部42で管理され、版ノードは版管理部153と版情報記憶部43で管理される。この場合、管理の上で各ノードは識別子(ID)を持ち、文書IDをDi 、コメントIDをCi 、版IDをVi で示している。ここでは文書の各版に文書ノードと版情報ノードを対応させている。また、各ノード間は有向リンクで結ばれ、これは基本的には逆関係を持つ双方向リンクからなっている。さらに文書ノードとコメントノードの間は、attached,influenced と言う関係で結ばれ、版ノード同士、コメントノード同士はprevious,next といった関係で結ばれる。そして、図で2重の矢印で示したものは、ノードからデータ実体へのポインタを表すリンクである。
【0040】図10は、文書ノードを表すDocument構造体のデータ構造を示している。この場合、ID、文書名、作成/変更した日付、作成/変更者の他に、付けられたコメントのリスト、文書に影響を与えたコメントのリスト、文書の版情報へのリンク、文書実体へのポインタなどをフィールドとして有している。
【0041】図11は、コメントノードを表すComment 構造体のデータ構造を示している。この場合、ID、コメントのタイプ、コメントした日付、コメントした人の他に、このコメントが付けられた文書のリスト、このコメントが影響を与えた文書のリスト、コメント実体へのポインタなどをフィールドとして有している。
【0042】図12は、版情報ノードを表すVersion 構造体のデータ構造を示している。この場合、ID、版が作成された日付、作成者の他に、新規に文書が作られた時の版(root-version) 、最新版、一つ前の版、一つ次の版、この版に相当する文書へのリンク、一つ前の版との違いを表す変更情報の実体へのポインタ、変更に関する補足説明の実体へのポインタなどをフィールドとして有している。
【0043】図13は、文書データベース4により管理される文書テーブルを示している。この場合、文書テーブルは、文書名と、これら文書名毎の新規生成時の版と最新版のそれぞれの文書IDを格納している。
【0044】また、図14は、エディタ部14で管理されるテーブルを示している。この場合、図14(a)は、起動されている文書エディタ141と各文書エディタから起動されたコメントエデイタ142を管理する文書エディタテーブルで、最も最近にアクセスした文書エディタ141へのポインタを持っている。また、図14(b)は、起動されているコメントエディタ142を管理するコメントエディタテーブルで、最も最近にアクセスしたコメントエディタ142へのポインタを持っている。つまり、このようにしたエディタ部14では、複数の文書エディタ141、複数のコメントエディタ142、複数の版情報表示部143をそれぞれ起動して、これらを同時に管理して表示することができるようになっている。
【0045】次に、その動作について説明する。
【0046】図15は、本実施例におけるメインの制御動作のフローを示している。
【0047】このフローは、ユーザからの入力を待って、この入力があるとそれにしたがってエディタ部14の各サブコンポーネント(文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143)に飛ぶ(ディスパッチする)イベントディスパッチのループになっている。この場合、入力イベントには、どのサブコンポーネントを起動したのかが情報として含まれている。
【0048】まず、入力装置からの入力を待つ(ステップS151)。次いで、ユーザの入力によりイベントがきたなら次へ進み、起動済みのエディタ部14を選択したかどうか判定する(ステップS152)。ここで、NOならば、エディタ部14を起動したか調べ(ステップS153)、エディタ部14の起動、あるいは既に起動済みのエディタ部14へのアクセスが判明したなら、どのサブコンポーネントを起動したか判定(ステップS154)する。一方、ステップS152でYESならば直ちにステップS154に進み、サブコンポーネントを起動したか判定する。そして、イベントに応じて各サブコンポーネントの処理部へディスパッチするようになる(ステップS155、S156,S157)。
【0049】次に、図16は、エディタ部14の各サブコンポーネントに共通のメインの制御動作のフローを示している。このフローは、どのサブコンポーネントも基本的にはこの入力イベントに基づいてディスパッチするという制御動作に従うようになっている。
【0050】まず、入力イベントを待つ(ステップS161)。そして、入力イベントがくると、これがサブコンポーネントで受け付け可能なイベントか判断する(ステップS162)。ここで、受け付け可能なイベントならばその処理ルーチンへディスパッチし(ステップS163)、各イベントの処理を実行する(ステップS164)。この場合の各イベントの処理としては、ボタン・アイコンがマウスによりクリックされた時、文字の入力をはじめとする編集操作、スクロールバーによる内容のスクロールなどがある。
【0051】ところで、いま、コメント者がある人(著者)の書いた文書を読んでコメントを付け、それを見た著者が文書を変更し、この変更した文書を別のメンバー(読者)が読むという例について考える。
【0052】図17、図18は、コメント者がコメントをつける際の文書エディタ141とコメントエディタ142との対話のフローを示している。
【0053】まず、上述した図15に示すようにメインの制御ルーチンから文書エディタ141を起動し(ステップS171)、読みたい文書を[Load]ボタンにより文書データベース4から読み出し(ステップS172)、その文書を読む(ステップS173)。そして、内容をチェックし(ステップS174)、何らの変更もなかったら、ステップS175の他の処理に進む。一方、内容をチェックし何らかの変更を促したくなったら(ステップS174)、[Comment] ボタンよりメニューを出して[Add] を選択する(ステップS176)。これにより、コメントエディタ142が起動される(ステップS177)。コメントエディタ142の中では、まず[Type]ボタンによりコメントのタイプを指定する(ステップS178)。ここでは変更を促したいので、「変更示唆」というコメントタイプを選択する(ステップS179)。その後、コメントの入力・編集をして(ステップS180)、入力が終わったならば[Done]ボタンによりコメントエディタ142を終了する(ステップS181)。
【0054】この際、入力したコメントと読んでいた文書との間で関連づけがなされる(ステップS182)。具体的には、図10に示したDocument構造体のattached-commentフィールドのリストに現在作ったコメントのIDが入り、また図11に示したComment 構造体のattach-document フィールドのリストに文書のIDが入る。その後、コメントを付け終わった文書の表示された文書エディタ141を終わらせると(ステップS1813)、現在作られたDocument構造体とComment 構造体との関係づけを含んだ文書情報が、文書データベース4中に格納される(ステップS184)。
【0055】次に、図19、図20は、コメントを付けられた文書の著者が、それを読んで文書を変更する際の文書エディタ141とコメントエディタ142との対話のフローを示している。
【0056】まず、上述した図15に示すようにメインの制御ルーチンから文書エディタ141を起動し(ステップS191)、自分が以前に書いた文書を[Load]ボタンにより、文書データベース4から読み出し(ステップS192)、その文書を読む(ステップS193)。文書を表示した際に、コメントがついていなければ(ステップS193)、ステップS195の他の処理に進む。一方、コメントがついているならば(Document構造体のattached-commentフィールドに新しい値が入っているならば)、そのことが著者に提示される。
【0057】これによって、コメントがあることがわかったならば(ステップS194)、そのコメントをマウスで選択することによりコメントエディタ142を起動する(ステップS196)。ここでは先に付けられた「変更示唆」のコメントを読んだとする(ステップS197)。ここで、文書の変更を必要としない場合は(ステップS198)、ステップS199の他の処理に進む。一方、文書を変更することにするとなると(ステップS198)、エディタ部14の [Document] ボタンアイコンのメニューから[Edit]を指定する(ステップS200)。この処理についてはさらに後で詳述する。
【0058】ここでは「変更示唆」のコメントを見ながら、編集する意志を示したので、エディタ部14は、内部でその文書の版を一つ進め(ステップS201)、版情報を表示する版情報部143が起動される。ここのとき新しい Version構造体とDocument構造体を作り、その接続処理を行う(ステップS202)。
【0059】具体的には、図10に示したDocument構造体のmodifierには著者の名前、modify-date フィールドにその時の時刻が書き込まれ、contentsフィールドは文書の実体の新たなコピーを指すことになる。またversion フィールドには一緒に作られたversion 構造体のIDが入る。一方、図12に示したversion 構造体側では、root-versionフィールドにその文書が最初に作られた際の版ID,latest-versionフィールドにはそれ自体の版ID,previous-versionフィールドには今まで読んでいた文書の版IDが、それぞれ値として書き込まれる。
【0060】さらに今見たコメントのConmment構造体と新たに作られたDocument構造体との間での接続処理が行われる(ステップS203)。具体的には、Document構造体のinfluenced-commentフィールドのリストに現在見ているコメントのIDが、またそのコメントのComment 構造体のinfluence-documentフィールドのリストに現在見ているコメントのIDが、またそのコメントのComment 構造体のinfluence-documentフィールドのリストに今作られた文書のIDがそれぞれ付加されて格納される。
【0061】その後、文書自体の編集が始まるが、そこで実行された編集コマンドは順番にすべて、先ほど作られたVersion 構造体のmodificationフィールドに書き込まれる(ステップS204)。またこの際に、変更がどのようなものであったか補足的に説明することもでき、それは版情報表示部11のVD部にて入力することにより、Version 構造体のexplanation フィールドに書き込まれる。そして変更が終ると[Done]により文書エディタを終了させ(ステップS205)、それにより現在作られたDocument構造体とVersion 構造体との関係づけを含んだ文書情報が、文書データベース4中に格納される(ステップS206)。
【0062】次に、図21は、図19、図20の処理によって変更された文書を、その著者でもなくコメント者でもない別のメンバーが読むときの対話のフローを示している。
【0063】まず、上述した図15に示したメインの制御ルーチンから文書エディタ141を起動し(ステップS211)、読みたい文書を[Load]ボタンにより、文書データベース4から読み出し(ステップS212)、その文書を読む(ステップS213)。
【0064】この時表示される文書は、デフォルトでは最新版を表示するようになっている(このことは後述する。)。このとき読者は、「なぜこの文書がこのように変更されたのか」(ステップS214)、あるいは「具体的にどのように変更されたのか」(ステップS217)を知りたいことがある。これらについて知りたくない場合は、ステップS218のその他の処理に進む。
【0065】上述のステップS214でYESの場合の「なぜ」については、[Comment] ボタンの[Influenced]メニュー項目を選択する(ステップS215)。すると、コメントエディタ142が起動して、その文書が影響を受けたコメントを表示する(Document構造体のinfluenced-commentフィールドに入っているコメントをコメントエディタ142は表示)。これを読んで変更の理由を知ることができる(ステップS216)。このとき、コメントエディタ142の[Previous]ボタンを繰り返しクリックすることにより、今までの変更理由のすべてを次々に読み出すことが可能になる。
【0066】また、ステップS217でYESの場合の「どのように」については、[Version] ボタンの[Previous]メニュー項目を選択する(ステップS219)。すると、版情報表示部143が起動して、最新版とその一つ前の版との間での変更内容を表示する(Document構造体のversion フィールドに入っている版情報を版情報表示部143は表示)。これを読んで変更内容を知ることができる(ステップS220)。このとき、版情報表示部143の[Previous]ボタンを繰り返しクリックすることにより、今までの変更内容のすべてを次々に読み出すことが可能になる。
【0067】次に、図22は、文書エディタ141から文書を読んだり編集したりする際に、文書を[Load]ボタンにより読み込む際の処理のフローを示している。
【0068】この場合、図22のフローは、図17のステップS172、図19のステップS192、図20のステップS212での処理を詳細に述べるもので、特にユーザが指定しない限り最新の版の文書を読み出す(ロードする)ようにしている。
【0069】まず[Load]ボタンを押した時点で、ユーザに特定の版を読み出すかどうか聞き(ステップS221)、ここで特定の版が指定されなかったら、文書データベース4が管理する文書テーブルを検索する(ステップS222)。これは図13で示したテーブルで、最新版の文書IDを得ることが出来(ステップS223)、この文書IDで指定される文書をロードするようになる(ステップS224)。
【0070】一方、特定の版を読み出すような指定を受けたならば、文書データベース4が管理する文書テーブルを検索し(ステップS225)、その文書が最初に作られた時の版、すなわちルートの版の文書IDを得る(ステップS226)。
【0071】これにより得られた文書IDからルートの版の版IDを得(ステップS227)、このルートの版から作られた版を次々にたどり、指定された版を得るようにする(ステップS228)。そして、指定した版に相当する文書IDを得て、それをロードするようになる(ステップS229)。
【0072】次に、図23は、文書エディタ141において[Edit]ボタンにより、これから編集することを明示した時の処理のフローを示している。
【0073】この場合、図23のフローは、図20のステップS200の処理を詳細に示すもので、現在見ているコメントが変更を示唆するものである場合に文書の版を進ませる処理を行う。
【0074】まず[Edit]ボタンが押された時点で、図14R>4(a)に示したエディタ部14で管理される文書エディタテーブルを検索する(ステップS231)。そして、現在ユーザが対話している文書エディタ141から起動されたコメントエディタ142の識別子(コメントエディタID,CIDと記す)のリストを得る(ステップS232)。その一方で図14(b)に示したエディタ部14で管理されるコメントエディタテーブルを検索し(ステップS233)、現在ユーザが見ているコメントエディタのIDを得る。
【0075】ここで、現在のコメントエディタのIDが、先に検索したCIDのリスト中に含まれ(ステップS234)、かつ現在のコメントエディタに表示されているコメントのタイプが「変更示唆」である(ステップS235)ならば、現在編集中である文書エディタ141内の文書の版を一つ進ませる(ステップS237)。具体的には、新しい文書IDと版IDとを得て、現在編集中の文書の内容をコピーした実体を、そのIDから参照できるようにする。つまり新たに生成されたDocument構造体のcontentsフィールドに、コピーした文書実体へのポインタを格納する。また図13に示した文書テーブルのlatest-versionの文書IDのフィールドに、新たに生成された文書IDの値を格納する。そして新たに生成された文書に対して通常の編集操作を実行する(ステップS238)が、このとき用いられた編集コマンドを順次、先に生成されたversion 構造体のmodificationフィールドに記憶する(ステップS239)。
【0076】すなわち、編集コマンドのシーケンスが、古い版と新しい版との相違を表す変更情報として蓄えられる。編集操作を終り、編集終了の指示が出されると(ステップS240)、補足の説明を入力するかどうかをユーザに尋ねる(ステップS241)。ここで、補足説明を入力しない場合は、処理を終了する。一方、補足説明を入力する場合は、版情報表示部143のウィンドゥのVD部で入力を行い、その入力をversion 構造体のexplanation フィールドに格納するようになる(ステップS242)。
【0077】これにより、modificationフィールドに格納された、システム可読であるが、人間のユーザにはわかりにくい編集コマンドのシーケンスによる変更情報を、具体的にわかり易く補足説明することができる。
【0078】なお、ここでは著者が文書エディタ141を起動した時点で、他の人からのコメントがあるかどうかわかる例を示したが、コメントがついた時点で(図18R>8のステップS182)、コメントがついたことを著者に電子メールなどの手段で通知する方法もある。
【0079】またここで述べた実施例では、新たな版を作り出す毎に古い版の文書をすべてコピーするようにしていたが、記憶容量を少なくするために、文書全体の情報はルートの版だけに持たせておき、それ以降の版には一つ前の版との違いだけを記憶しておく方法がある。あるいは最新の版だけ文書全体の情報を保持し、それ以外は一つ後ろの版との違いだけを記憶する方法もある。
【0080】図24は、本発明の他の実施例における、文書、コメント、版情報の各データが形成するデータモデル表現を示している。この場合、上述した図9に示したデータモデル表現においては、コメントノード(△)は文書ノード(○)に対してリンクが張られていたが、図24に示すように版ノード(□)にリンクを張っても構わない。
【0081】また本実施例では、特定のデータ構造を用いて説明したが、実行速度や記憶容量の観点から、同等の機能を持つ別のデータ構造を用いても構わない。例えば、リストは、配列、テーブルなどで代替することができる。
【0082】さらに本実施例では、文書もコメントもすべてテキスト形式のデータとして説明したが、他のメディア(音声,図形,表,静止画,動画など)が、文書ノードやコメントノードに含まれてもよい。
【0083】また、上述の実施例では、複数の個人用端末装置に対して文書データベースを共用する構成の場合を述べたが、複数の個人用端末装置に対して複数の文書データベースを接続する構成の場合にも適用することができる。
【0084】その他、本発明は、上記実施例にのみ限定されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施できる。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複数の人が共同で文書を作成して管理する場合に、文書の版情報や変更情報を、変更を促したコメントと関連づけて記憶するようにしたので、文書の変更箇所、変更内容、変更理由など(「どこを誰がどのようになぜ変更したのか」)を随時、関連を確認しながら見ることができる。例えば異なる版を別のウィンドゥに同時に表示して比較することができ、また、旧版からはどのような変更がなされていったのか時間的にたどることもでき、逆に、新版からはなぜこのような変更が行われたのかという正当な理由を見つけるために、文書変更の履歴を逆にたどっていくこともできる。
【0086】また、グループのメンバーの間でこれらの情報を共有できることから、メンバー間の意思疎通がより明確になって、共同の編集作業をより円滑に行うことができる。例えば誰のどのような意見を尊重して変更が行われたのかが分かるため、重複するコメントを異なるメンバーが発して議論が発散したり、あるいは同じ議論を繰り返して時間を浪費したりすることが抑制することができる。しかも、これらの情報の管理は文書のエディタの機能と統合して実現されるため、ユーザは新たに版を作り出すなどの操作を、陽に意識することなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による共同文書処理システムの一実施例を示すシステム構成図。
【図2】図1に示す実施例に用いられるエディタ部による画面表示の例を示した図。
【図3】図2に示すエディタ部の文書エディタによる画面表示の例を示した図。
【図4】図3に示す文書エディタでのメニュー表示の例を示した図。
【図5】図2に示すエディタ部のコメントエディタによる画面表示の例を示した図。
【図6】図5に示すコメントエディタでのメニュー表示の例を示した図。
【図7】図2に示すエディタ部の版情報表示部による画面表示の例を示した図。
【図8】図7に示す版情報表示部でのメニュー表示の例を示した図。
【図9】図1に示す実施例におけるデータモデルの例を示した図。
【図10】図1に示す実施例における文書を表現するノードのデータ構造図。
【図11】図1に示す実施例におけるコメントを表現するノードのデータ構造図。
【図12】図1に示す実施例における版情報を表現するノードのデータ構造図。
【図13】図1に示す実施例に用いられる文書データベースで管理される文書管理用テーブルを示した図。
【図14】図2に示すエディタ部で管理される文書エディタとコメントエディタの管理用テーブルを示した図。
【図15】図1に示す実施例におけるメインの制御動作を示すフロー図。
【図16】図1に示す実施例におけるエディタ部の各サブコンポーネントのメインの制御動作を示すフロー図。
【図17】図1に示す実施例におけるコメント者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図18】図1に示す実施例におけるコメント者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図19】図1に示す実施例における著者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図20】図1に示す実施例における著者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図21】図1に示す実施例における読者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図22】図1に示す実施例における文書エディタでの文書の読み込みの動作を示すフロー図。
【図23】図1に示す実施例における文書エディタでの文書の編集コマンド起動の動作を示すフロー図。
【図24】本発明の他の実施例におけるデータモデルの例を示した図。
【符号の説明】
1、2…個人用端末装置、11…表示装置、12…入力装置、13…入出力制御部、14…エディタ部、141…文書エディタ、142…コメントエディタ、143…版情報表示部、15…文書情報管理部、151…文書管理部、152…コメント管理部、153…版管理部、16…文書データベースアクセス部、3…ネットワーク、4…文書データベース、41…文書記憶部、42…コメント記憶部、43…版情報記憶部。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数の人やグループが共同で文書を作成して利用する共同文書処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、複数の人やグループが共同で文書を作成し、これら文書を各人が適宜利用できるようにした文書処理システムが考えられているが、これらシステムの一例として作成文書の版管理を行うことができるシステムや作成文書に作者のコメントを付けることができるシステム(T.Catlin et al.InterNote:Extending a Hypermedia Framework to Support Annotative Collaboration,Proc.of Hypertext 89) などが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のこれらシステムでは、改訂された文書の版情報や文書に付けられた作者のコメントは、それぞれ文書とは別に独立して状態で管理されるようになっていた。
【0004】このため、このように管理される共同文書に対して改訂がなされた場合に、「なぜこの変更があったのか」「誰の意見を参考にして変更を行ったのか」など、文書の変更理由を知りたい場合も変更の理由を示したコメントを文書と関連づけて呈示できないことから、これら変更理由を正しく把握できないことがあり、また、文書にコメントがつけられた場合も同様で、そのコメントが最終的にどのように文書の変更に反映されたのかを知ることが難しかった。つまり、従来の共同文書作成システムでは、文書作成者とコメントをつける共著者との間での意思疎通を明確に行えることが難しく、共同文書の作成作業を支援するものとしては十分なものでなかった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、文書の変更箇所、変更内容などを、その変更を促したコメントと関連づけて呈示することができ、これらの情報をグループ内で共有することによってメンバー間の意思疎通を明確にして、共同編集作業をより円滑に行うことのができる共同文書処理システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の人またはグループが共同で文書を作成して利用する共同文書処理システムであって、文書を画面に表示して編集コマンドを受け付ける文書エディタ、該文書エディタに表示された文書に対するユーザのコメントを入力して表示するコメントエディタ、版情報をユーザに提示する版情報表示部を有するエディタ手段と、文書エディタにて編集された文書を管理する文書管理部、コメントエディタより入力されたコメントを管理するコメント管理部、文書エディタでの編集前の文書と編集後の文書をそれぞれ旧版と新版とし且つその違いを記述した版情報とともに文書を管理する版情報管理部を有する文書情報管理手段とを備えた複数の端末装置と、これら複数の端末装置に対して共通に設けられ且つ前記文書エディタで編集された文書を記憶する文書記憶部、前記コメントエディタより入力されたコメントを記憶するコメント記憶部、前記版情報表示部に提示される版情報を記憶する版情報記憶部を有する文書データベースとを具備していて、文書エディタにより編集された文書を、旧版および新版の文書と、変更内容を示す版情報と、変更を促したコメントとを互いにリンクして文書情報管理手段および文書データベースで管理、記憶するとともに、これらを各端末装置から検索できるように構成されている。
【0007】
【作用】この結果、本発明によれば、文書の内容変更を促すコメントを見たユーザが、文書エディタから文書を編集するコマンドを起動することにより、新しい版が生成されて、その編集を行うことができる。そして、編集後の文書には、旧版の文書と新版の文書と、その変更内容を示す版情報と、変更を促したコメントの文書情報が、互いにリンクして記憶、管理されるようになる。
【0008】このようにリンクされた文書情報は、文書を見る際に随時取り出して表示することができるようになり、これによって作成された新しい版の文書を見た別のユーザは、「なぜ変更されたのか」「変更箇所はどこか」といった文書の変更箇所、変更内容、変更理由などを関連を確認しながら見ることができるようになる。また、例えば、グループの中でこれらの情報を共有することにより、グループメンバー間の意思疎通が明確になり、同じ議論を繰り返すなどの無駄がなくなって、共同編集作業をより円滑に行うことが可能となる。さらに、これらの情報の管理は文書のエディタの機能と統合して実現されるため、ユーザが新たに版を作り出すなどの操作を、陽に指定することなく行うことができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に従い説明する。
【0010】図1は同実施例のシステム構成を示している。図において、1、2はワークステーションに代表される個人用端末装置で、これら個人用端末装置1、2は、ネットワーク3を通じて文書データベース4を共有する構成になっている。
【0011】個人用端末装置1、2は、同じ構成からなるもので、いま、個人用端末装置1についてのみ述べると、マルチウインドウ機能を備えたビットマップディスプレイに代表される表示装置11とキーボード、マウスなどの入力装置12は入出力制御部13に接続され、この入出力制御部13にエディタ部14が接続される。エディタ部14は、文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143から構成されている。そして、エディタ部14は文書情報管理部15に接続され、この文書情報管理部15にてエディタ部14で処理された文書、コメント、版情報などの文書情報を管理するようにする。文書情報管理部15は、文書管理部151、コメント管理部152、版管理部153から構成されている。また、文書情報管理部15は文書データベースアクセス部16に接続され、文書情報管理部15で管理される、文書、コメント、版情報などの文書情報を文書データベースアクセス部16を通じて文書データベース4に格納するようにしている。この場合、文書データベース4に格納された文書情報は、必要に応じて文書データベースアクセス部16を通して各個人用端末装置1、2から検索できるようになっている。
【0012】文書データベース4は、文書情報を記憶するもので、文書記憶部41、コメント記憶部42、版情報記憶部43を有し、各種の文書情報を格納するようにしている。
【0013】次に、このように構成した共同文書処理システムの動作について説明する。
【0014】この場合、複数のユーザが、各個人用端末装置1、2から共有する文書データベース4にアクセスするようになる。つまり、この場合、ユーザは、入力装置13からエディタ部14に対する入力を行い、エディタ部14のコマンドを発行する。そして、エディタ部14で扱われた情報は、文書情報管理部12で管理されると同時に、必要に応じて入出力制御部13を通して表示装置11に出力され、ユーザに内容提示されるようになる。
【0015】図2は、エディタ部14による表示画面の一例を示すものである。
【0016】この場合、エディタ部14は、文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143からなり、それぞれが別のウィンドゥとして表示されるようになっている。ここでは、これら文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143のすべて起動された表示例を示している。
【0017】図において、AおよびA´は、文書エディタ141に関する表示例で、ここではAが同じ文書の新版、A´が同じ文書の旧版を示し、これらが同時に並列表示されている。また、Bはコメントエディタ142に関する表示例で、ここではA´の表示文書につけられたコメントを示している。このコメントには、文書Aを文書A´に変更する示唆を行っている。さらにCは版情報表示部143に関する表示例で、AとA´それぞれの表示文書の版間の変更情報を示している。
【0018】この場合、エディタ部14では、各部から任意のものが起動できるようになっている。例えば、文書エディタ141から、コメントエディタ142、版情報表示部143の起動が可能であり、また別の文書を表示する別の文書エディタ141を表示することも可能である。
【0019】この状態で、ユーザは、文書エディタ141を用いて文書の編集を行うようになる。この間、文書の編集コマンドだけでなく、エディタ部14の表示画面により編集中の文書の古い版を見たり、他のユーザにより文書に付けられたコメントを参照することができる。また、他のユーザが作った文書(自分で作ったものでもよい)について、コメントをつけることができるようになる。
【0020】そして、エディタ部14によって変更される文書、コメント、版などの文書情報は、文書情報管理部15の文書管理部151、コメント管理部152、版管理部153により管理され、その後、これらの文書情報は、エディタ部14での実行の終了、文書編集の終了を待って、文書データベースアクセス部16を通して文書データベース4に格納される。
【0021】文書データベース4に格納された文書情報は、別のユーザにより個人用端末1、2からアクセス可能であり、そのユーザは作成された文書を見て、変更を勧めたり感想を述べるなどのコメントを文書につけることができる。このコメントづけは、エディタ部14のコメントエディタ142により行うようになる。
【0022】また、この新たに付けられたコメントも、文書情報として文書データベース4に格納され、その後にそれぞれ文書作成者が再びアクセスすることによって、そのコメントを参照できるようになる。
【0023】この場合、文書データベース4に格納される文書情報は、文書情報管理部12で管理される文書情報と同等であり、文書記憶部41、コメント記憶部42、版情報記憶部43に、それぞれ文書、コメント、版情報の各文書情報が記憶されるうになる。
【0024】従って、このような共同文書処理システムでは、主に文書に付けられたコメントを文書データベース4により共有することにより、文書作成者と他のユーザとの意思疎通が可能になる。
【0025】次に、このように構成したシステムの各部についてさらに詳しく説明する。
【0026】この場合、はじめにエディタ部14を構成する文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143について説明し、次に、文書情報管理部12と文書データベース4とで管理される文書情報(文書,コメント,版情報)のデータ構造と、それらがどのように関連づけられて表現されるかを説明する。さらに、エディタ部14で管理される情報と、文書データベース4および文書情報管理部12で管理される情報との間でのデータのやりとりを、一つの例に基づいて、コメント者,著者,読者のそれぞれの観点から説明し、最後に、文書エディタの主要なコマンドにより実行される手続きを説明する。
【0027】図3は、起動状態にある文書エディタ141の画面表示の一例を示したもので、文書エディタ141に対応するウィンドゥ上に一つの文書が表示されている。この場合、文書エディタ141のウィンドゥは、DA、DB、DCの3つの部分からなっていて、DAには、編集する文書の文書名を表示し、DBには、文書エディタ141のコマンドを起動するための制御用ボタンを示すアイコンを表示し、DCには、黒い三角で現すカーソルに対して文章の挿入、削除などの編集を可能にした文書を表示している。
【0028】ここで、DB中に表示されるボタン・アイコンは、所望するアイコン上にマウスカーソルを運び、マウスのボタンをクリックすることで、編集コマンドのメニューを表示したり、実際の編集コマンドを発行するようにしている。図示例では、5種類のボタン・アイコンを備えており、ここでの[Close] はウィンドゥをアイコン化するコマンドを発するためのボタン、[Done]は文書エディタ141を終了させるためのボタン、そして、[Document],[Comment],[Version]は図4に示すコマンドメニューを表示し、ユーザに選択を行わせるためのものである。
【0029】図4(a)は[Document]ボタンに対応するメニュー表示例で、ここでは実際に編集を開始することをシステムに指示する[Edit]、文書データベース4への文書格納を指示する[Save]、文書データベース4からの文書の取り出し/検索を指示する[Load]の各メニューが表示される。
【0030】また、図4(b)は[Comment] ボタンに対応するメニュー表示例で、このメニューからの選択によりコメントエディタ142が起動される。ここでは文書についているコメントを取り出す[Attached]、文書になるに至って参考にされたコメントを取り出す[Reflected] 、コメントの付加/削除を指示する[Add]/[Delete]の各メニューが表示される。
【0031】さらに、図4(c)は[Version] ボタンに対応するメニュー表示例で、このメニューからの選択により版情報表示部143が起動される。ここでは現在注目している版のみを表示する[Current] 、最新版を表示する[Latest]、前/次の版を表示する[Previous]/[Next] の各メニューが表示される。
【0032】次に、図5は、コメントエディタ142の画面表示の一例を示したもので、コメントエディタ142に対応するウィンドゥ上に一つのコメントが表示されている。この場合、コメントエディタ142のウィンドゥは、CA、CB、CC、CDの4つの部分からなっていて、CAには、すべてのコメントに付けられた番号を表示し、CBには、「誰がいつどのようなコメントをつけたのか」を表す情報を表示している。図示例では、「共同文書処理システム」文書の「エディタ部」なる語句に関して、「森本」さんが「1991年3月29日」に「変更を示唆する」ようなコメントをつけている。また、CDには、コメントの具体的内容を表示している。コメントを入力する時には、この部分でコメントの編集を行うことになる。そして、CCには、コメントエディタ142のコマンドを起動するための制御用のボタンを示すアイコンを表示している。
【0033】ここで、CDに表示されるボタン・アイコンは、所望するアイコン上にマウスカーソルを運び、マウスのボタンをクリックすることで、編集コマンドのメニューを表示したり、実際の編集コマンドを発行するようにしている。図示例では、5種類のボタンアイコンを備えており、ここでの[Close] はウィンドゥをアイコン化するコマンドを発するためのボタン、[Done]は文書エディタ142を終了させるためのボタン、そして[Document],[Comment],[Type] は図6に示すコマンドのメニューを表示し、ユーザに選択を行わせるためのものである。
【0034】図6(a)、(b)は[Document],[Comment]の各ボタンに対応するメニュー表示例で、これらの表示画面から、コメントがつけられた文書、コメントが影響した文書、コメントへの反応コメントなどにアクセスするコマンドが起動されるようになる。また、図6(c)は[Type]ボタンからのメニュー表示例で、ここではコメントのタイプを指定するものとして「変更を示唆する」「意見を表明する」「感想を述べる」「その他」などの各メニューが表示される。
【0035】次に、図7は、版情報表示部143の画面表示の一例を示したもので、版情報表示部143に対応するウィンドゥ上に一つのコメントが表示されている。この場合、版情報表示部143のウィンドゥは、VA、VB、VC、VD、VEの5つの部分からなっていて、VAには、すべての版情報に付けられた番号と文書名を表示し、VBには、版情報のサマリとして「誰がいつどのコメントに影響された新しい版を作ったのか」を表す情報を表示している。図示例では「共同文書処理システム」文書について「村田」さんが「1991年4月7日」にコメントNo.101に示唆を受けて、新しい版を作っている場合を表示している。また、VDには、新しい版への変更に関する説明を表示している。編集作業による文書変更について何らかの説明を残したい時に、この部分で説明を入力することになる。VEには、旧版から新版への変更、あるいは旧版と新版との違いの記述を表示している。このVEへの入力は、ユーザ自身がしても、システムが旧版と新版との比較を行うことによって得られる情報を入れるようにしてもよい。本実施例では、文書エディタ141における編集コマンドのシーケンスをシステム側が入力するのがデフォールトとなっている。そして、VCには、版情報表示部143のコマンドを起動するための制御用のボタンを示すアイコンを表示している。
【0036】ここで、VCに表示されるボタン・アイコンは、所望するアイコン上にマウスカーソルを運び、マウスのボタンをクリックすることで、表示コマンドのメニューを表示し、それを選択することで実際の編集コマンドを発行するようにしている。図示例では、4種類のボタンアイコンを備えており、ここでの[Close] はこのウィンドゥをアイコン化するコマンドを発するためのボタン、[Done]は版情報表示部143を終了させるためのボタン、そして、[Comment],[Version] は図8に示すコマンドメニューを表示し、ユーザに選択を行わせるためのものである。図8(a)は[Comment] ボタンに対応するメニュー表示例で、版表示画面から版が影響を受けたコメント、それに対する応答コメントにアクセスするコマンドが起動できるようにしている。また、図8(b)は[Version] ボタンに対応するメニュー表示例で、これらメニューから項目を選択することにより、版表示画面から版のウィンドゥだけを表示し、最新版の版情報、一つ前の版の版情報、一つ後の版の版情報などの表示操作を行うことができるようにしている。
【0037】次に、エディタ部14のコマンドによりアクセスされるデータ表現について説明する。
【0038】このデータ表現は、文書情報管理部15と文書データベース4とで管理され、図9に同実施例における文書、コメント、版情報の各データが形成するデータモデル表現を示している。
【0039】この場合、基本的にはノードとリンクとで構成されるネットワーク型のデータモデルであり、ここでのノードには3種類あり、四角(□)が文書ノード、三角(△)がコメントノード、丸(○)が版ノードをそれぞれ表している。そして、文書ノードは、文書管理部151と文書記憶部41で管理され、コメントノードはコメント管理部152とコメント記憶部42で管理され、版ノードは版管理部153と版情報記憶部43で管理される。この場合、管理の上で各ノードは識別子(ID)を持ち、文書IDをDi 、コメントIDをCi 、版IDをVi で示している。ここでは文書の各版に文書ノードと版情報ノードを対応させている。また、各ノード間は有向リンクで結ばれ、これは基本的には逆関係を持つ双方向リンクからなっている。さらに文書ノードとコメントノードの間は、attached,influenced と言う関係で結ばれ、版ノード同士、コメントノード同士はprevious,next といった関係で結ばれる。そして、図で2重の矢印で示したものは、ノードからデータ実体へのポインタを表すリンクである。
【0040】図10は、文書ノードを表すDocument構造体のデータ構造を示している。この場合、ID、文書名、作成/変更した日付、作成/変更者の他に、付けられたコメントのリスト、文書に影響を与えたコメントのリスト、文書の版情報へのリンク、文書実体へのポインタなどをフィールドとして有している。
【0041】図11は、コメントノードを表すComment 構造体のデータ構造を示している。この場合、ID、コメントのタイプ、コメントした日付、コメントした人の他に、このコメントが付けられた文書のリスト、このコメントが影響を与えた文書のリスト、コメント実体へのポインタなどをフィールドとして有している。
【0042】図12は、版情報ノードを表すVersion 構造体のデータ構造を示している。この場合、ID、版が作成された日付、作成者の他に、新規に文書が作られた時の版(root-version) 、最新版、一つ前の版、一つ次の版、この版に相当する文書へのリンク、一つ前の版との違いを表す変更情報の実体へのポインタ、変更に関する補足説明の実体へのポインタなどをフィールドとして有している。
【0043】図13は、文書データベース4により管理される文書テーブルを示している。この場合、文書テーブルは、文書名と、これら文書名毎の新規生成時の版と最新版のそれぞれの文書IDを格納している。
【0044】また、図14は、エディタ部14で管理されるテーブルを示している。この場合、図14(a)は、起動されている文書エディタ141と各文書エディタから起動されたコメントエデイタ142を管理する文書エディタテーブルで、最も最近にアクセスした文書エディタ141へのポインタを持っている。また、図14(b)は、起動されているコメントエディタ142を管理するコメントエディタテーブルで、最も最近にアクセスしたコメントエディタ142へのポインタを持っている。つまり、このようにしたエディタ部14では、複数の文書エディタ141、複数のコメントエディタ142、複数の版情報表示部143をそれぞれ起動して、これらを同時に管理して表示することができるようになっている。
【0045】次に、その動作について説明する。
【0046】図15は、本実施例におけるメインの制御動作のフローを示している。
【0047】このフローは、ユーザからの入力を待って、この入力があるとそれにしたがってエディタ部14の各サブコンポーネント(文書エディタ141、コメントエディタ142、版情報表示部143)に飛ぶ(ディスパッチする)イベントディスパッチのループになっている。この場合、入力イベントには、どのサブコンポーネントを起動したのかが情報として含まれている。
【0048】まず、入力装置からの入力を待つ(ステップS151)。次いで、ユーザの入力によりイベントがきたなら次へ進み、起動済みのエディタ部14を選択したかどうか判定する(ステップS152)。ここで、NOならば、エディタ部14を起動したか調べ(ステップS153)、エディタ部14の起動、あるいは既に起動済みのエディタ部14へのアクセスが判明したなら、どのサブコンポーネントを起動したか判定(ステップS154)する。一方、ステップS152でYESならば直ちにステップS154に進み、サブコンポーネントを起動したか判定する。そして、イベントに応じて各サブコンポーネントの処理部へディスパッチするようになる(ステップS155、S156,S157)。
【0049】次に、図16は、エディタ部14の各サブコンポーネントに共通のメインの制御動作のフローを示している。このフローは、どのサブコンポーネントも基本的にはこの入力イベントに基づいてディスパッチするという制御動作に従うようになっている。
【0050】まず、入力イベントを待つ(ステップS161)。そして、入力イベントがくると、これがサブコンポーネントで受け付け可能なイベントか判断する(ステップS162)。ここで、受け付け可能なイベントならばその処理ルーチンへディスパッチし(ステップS163)、各イベントの処理を実行する(ステップS164)。この場合の各イベントの処理としては、ボタン・アイコンがマウスによりクリックされた時、文字の入力をはじめとする編集操作、スクロールバーによる内容のスクロールなどがある。
【0051】ところで、いま、コメント者がある人(著者)の書いた文書を読んでコメントを付け、それを見た著者が文書を変更し、この変更した文書を別のメンバー(読者)が読むという例について考える。
【0052】図17、図18は、コメント者がコメントをつける際の文書エディタ141とコメントエディタ142との対話のフローを示している。
【0053】まず、上述した図15に示すようにメインの制御ルーチンから文書エディタ141を起動し(ステップS171)、読みたい文書を[Load]ボタンにより文書データベース4から読み出し(ステップS172)、その文書を読む(ステップS173)。そして、内容をチェックし(ステップS174)、何らの変更もなかったら、ステップS175の他の処理に進む。一方、内容をチェックし何らかの変更を促したくなったら(ステップS174)、[Comment] ボタンよりメニューを出して[Add] を選択する(ステップS176)。これにより、コメントエディタ142が起動される(ステップS177)。コメントエディタ142の中では、まず[Type]ボタンによりコメントのタイプを指定する(ステップS178)。ここでは変更を促したいので、「変更示唆」というコメントタイプを選択する(ステップS179)。その後、コメントの入力・編集をして(ステップS180)、入力が終わったならば[Done]ボタンによりコメントエディタ142を終了する(ステップS181)。
【0054】この際、入力したコメントと読んでいた文書との間で関連づけがなされる(ステップS182)。具体的には、図10に示したDocument構造体のattached-commentフィールドのリストに現在作ったコメントのIDが入り、また図11に示したComment 構造体のattach-document フィールドのリストに文書のIDが入る。その後、コメントを付け終わった文書の表示された文書エディタ141を終わらせると(ステップS1813)、現在作られたDocument構造体とComment 構造体との関係づけを含んだ文書情報が、文書データベース4中に格納される(ステップS184)。
【0055】次に、図19、図20は、コメントを付けられた文書の著者が、それを読んで文書を変更する際の文書エディタ141とコメントエディタ142との対話のフローを示している。
【0056】まず、上述した図15に示すようにメインの制御ルーチンから文書エディタ141を起動し(ステップS191)、自分が以前に書いた文書を[Load]ボタンにより、文書データベース4から読み出し(ステップS192)、その文書を読む(ステップS193)。文書を表示した際に、コメントがついていなければ(ステップS193)、ステップS195の他の処理に進む。一方、コメントがついているならば(Document構造体のattached-commentフィールドに新しい値が入っているならば)、そのことが著者に提示される。
【0057】これによって、コメントがあることがわかったならば(ステップS194)、そのコメントをマウスで選択することによりコメントエディタ142を起動する(ステップS196)。ここでは先に付けられた「変更示唆」のコメントを読んだとする(ステップS197)。ここで、文書の変更を必要としない場合は(ステップS198)、ステップS199の他の処理に進む。一方、文書を変更することにするとなると(ステップS198)、エディタ部14の [Document] ボタンアイコンのメニューから[Edit]を指定する(ステップS200)。この処理についてはさらに後で詳述する。
【0058】ここでは「変更示唆」のコメントを見ながら、編集する意志を示したので、エディタ部14は、内部でその文書の版を一つ進め(ステップS201)、版情報を表示する版情報部143が起動される。ここのとき新しい Version構造体とDocument構造体を作り、その接続処理を行う(ステップS202)。
【0059】具体的には、図10に示したDocument構造体のmodifierには著者の名前、modify-date フィールドにその時の時刻が書き込まれ、contentsフィールドは文書の実体の新たなコピーを指すことになる。またversion フィールドには一緒に作られたversion 構造体のIDが入る。一方、図12に示したversion 構造体側では、root-versionフィールドにその文書が最初に作られた際の版ID,latest-versionフィールドにはそれ自体の版ID,previous-versionフィールドには今まで読んでいた文書の版IDが、それぞれ値として書き込まれる。
【0060】さらに今見たコメントのConmment構造体と新たに作られたDocument構造体との間での接続処理が行われる(ステップS203)。具体的には、Document構造体のinfluenced-commentフィールドのリストに現在見ているコメントのIDが、またそのコメントのComment 構造体のinfluence-documentフィールドのリストに現在見ているコメントのIDが、またそのコメントのComment 構造体のinfluence-documentフィールドのリストに今作られた文書のIDがそれぞれ付加されて格納される。
【0061】その後、文書自体の編集が始まるが、そこで実行された編集コマンドは順番にすべて、先ほど作られたVersion 構造体のmodificationフィールドに書き込まれる(ステップS204)。またこの際に、変更がどのようなものであったか補足的に説明することもでき、それは版情報表示部11のVD部にて入力することにより、Version 構造体のexplanation フィールドに書き込まれる。そして変更が終ると[Done]により文書エディタを終了させ(ステップS205)、それにより現在作られたDocument構造体とVersion 構造体との関係づけを含んだ文書情報が、文書データベース4中に格納される(ステップS206)。
【0062】次に、図21は、図19、図20の処理によって変更された文書を、その著者でもなくコメント者でもない別のメンバーが読むときの対話のフローを示している。
【0063】まず、上述した図15に示したメインの制御ルーチンから文書エディタ141を起動し(ステップS211)、読みたい文書を[Load]ボタンにより、文書データベース4から読み出し(ステップS212)、その文書を読む(ステップS213)。
【0064】この時表示される文書は、デフォルトでは最新版を表示するようになっている(このことは後述する。)。このとき読者は、「なぜこの文書がこのように変更されたのか」(ステップS214)、あるいは「具体的にどのように変更されたのか」(ステップS217)を知りたいことがある。これらについて知りたくない場合は、ステップS218のその他の処理に進む。
【0065】上述のステップS214でYESの場合の「なぜ」については、[Comment] ボタンの[Influenced]メニュー項目を選択する(ステップS215)。すると、コメントエディタ142が起動して、その文書が影響を受けたコメントを表示する(Document構造体のinfluenced-commentフィールドに入っているコメントをコメントエディタ142は表示)。これを読んで変更の理由を知ることができる(ステップS216)。このとき、コメントエディタ142の[Previous]ボタンを繰り返しクリックすることにより、今までの変更理由のすべてを次々に読み出すことが可能になる。
【0066】また、ステップS217でYESの場合の「どのように」については、[Version] ボタンの[Previous]メニュー項目を選択する(ステップS219)。すると、版情報表示部143が起動して、最新版とその一つ前の版との間での変更内容を表示する(Document構造体のversion フィールドに入っている版情報を版情報表示部143は表示)。これを読んで変更内容を知ることができる(ステップS220)。このとき、版情報表示部143の[Previous]ボタンを繰り返しクリックすることにより、今までの変更内容のすべてを次々に読み出すことが可能になる。
【0067】次に、図22は、文書エディタ141から文書を読んだり編集したりする際に、文書を[Load]ボタンにより読み込む際の処理のフローを示している。
【0068】この場合、図22のフローは、図17のステップS172、図19のステップS192、図20のステップS212での処理を詳細に述べるもので、特にユーザが指定しない限り最新の版の文書を読み出す(ロードする)ようにしている。
【0069】まず[Load]ボタンを押した時点で、ユーザに特定の版を読み出すかどうか聞き(ステップS221)、ここで特定の版が指定されなかったら、文書データベース4が管理する文書テーブルを検索する(ステップS222)。これは図13で示したテーブルで、最新版の文書IDを得ることが出来(ステップS223)、この文書IDで指定される文書をロードするようになる(ステップS224)。
【0070】一方、特定の版を読み出すような指定を受けたならば、文書データベース4が管理する文書テーブルを検索し(ステップS225)、その文書が最初に作られた時の版、すなわちルートの版の文書IDを得る(ステップS226)。
【0071】これにより得られた文書IDからルートの版の版IDを得(ステップS227)、このルートの版から作られた版を次々にたどり、指定された版を得るようにする(ステップS228)。そして、指定した版に相当する文書IDを得て、それをロードするようになる(ステップS229)。
【0072】次に、図23は、文書エディタ141において[Edit]ボタンにより、これから編集することを明示した時の処理のフローを示している。
【0073】この場合、図23のフローは、図20のステップS200の処理を詳細に示すもので、現在見ているコメントが変更を示唆するものである場合に文書の版を進ませる処理を行う。
【0074】まず[Edit]ボタンが押された時点で、図14R>4(a)に示したエディタ部14で管理される文書エディタテーブルを検索する(ステップS231)。そして、現在ユーザが対話している文書エディタ141から起動されたコメントエディタ142の識別子(コメントエディタID,CIDと記す)のリストを得る(ステップS232)。その一方で図14(b)に示したエディタ部14で管理されるコメントエディタテーブルを検索し(ステップS233)、現在ユーザが見ているコメントエディタのIDを得る。
【0075】ここで、現在のコメントエディタのIDが、先に検索したCIDのリスト中に含まれ(ステップS234)、かつ現在のコメントエディタに表示されているコメントのタイプが「変更示唆」である(ステップS235)ならば、現在編集中である文書エディタ141内の文書の版を一つ進ませる(ステップS237)。具体的には、新しい文書IDと版IDとを得て、現在編集中の文書の内容をコピーした実体を、そのIDから参照できるようにする。つまり新たに生成されたDocument構造体のcontentsフィールドに、コピーした文書実体へのポインタを格納する。また図13に示した文書テーブルのlatest-versionの文書IDのフィールドに、新たに生成された文書IDの値を格納する。そして新たに生成された文書に対して通常の編集操作を実行する(ステップS238)が、このとき用いられた編集コマンドを順次、先に生成されたversion 構造体のmodificationフィールドに記憶する(ステップS239)。
【0076】すなわち、編集コマンドのシーケンスが、古い版と新しい版との相違を表す変更情報として蓄えられる。編集操作を終り、編集終了の指示が出されると(ステップS240)、補足の説明を入力するかどうかをユーザに尋ねる(ステップS241)。ここで、補足説明を入力しない場合は、処理を終了する。一方、補足説明を入力する場合は、版情報表示部143のウィンドゥのVD部で入力を行い、その入力をversion 構造体のexplanation フィールドに格納するようになる(ステップS242)。
【0077】これにより、modificationフィールドに格納された、システム可読であるが、人間のユーザにはわかりにくい編集コマンドのシーケンスによる変更情報を、具体的にわかり易く補足説明することができる。
【0078】なお、ここでは著者が文書エディタ141を起動した時点で、他の人からのコメントがあるかどうかわかる例を示したが、コメントがついた時点で(図18R>8のステップS182)、コメントがついたことを著者に電子メールなどの手段で通知する方法もある。
【0079】またここで述べた実施例では、新たな版を作り出す毎に古い版の文書をすべてコピーするようにしていたが、記憶容量を少なくするために、文書全体の情報はルートの版だけに持たせておき、それ以降の版には一つ前の版との違いだけを記憶しておく方法がある。あるいは最新の版だけ文書全体の情報を保持し、それ以外は一つ後ろの版との違いだけを記憶する方法もある。
【0080】図24は、本発明の他の実施例における、文書、コメント、版情報の各データが形成するデータモデル表現を示している。この場合、上述した図9に示したデータモデル表現においては、コメントノード(△)は文書ノード(○)に対してリンクが張られていたが、図24に示すように版ノード(□)にリンクを張っても構わない。
【0081】また本実施例では、特定のデータ構造を用いて説明したが、実行速度や記憶容量の観点から、同等の機能を持つ別のデータ構造を用いても構わない。例えば、リストは、配列、テーブルなどで代替することができる。
【0082】さらに本実施例では、文書もコメントもすべてテキスト形式のデータとして説明したが、他のメディア(音声,図形,表,静止画,動画など)が、文書ノードやコメントノードに含まれてもよい。
【0083】また、上述の実施例では、複数の個人用端末装置に対して文書データベースを共用する構成の場合を述べたが、複数の個人用端末装置に対して複数の文書データベースを接続する構成の場合にも適用することができる。
【0084】その他、本発明は、上記実施例にのみ限定されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施できる。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複数の人が共同で文書を作成して管理する場合に、文書の版情報や変更情報を、変更を促したコメントと関連づけて記憶するようにしたので、文書の変更箇所、変更内容、変更理由など(「どこを誰がどのようになぜ変更したのか」)を随時、関連を確認しながら見ることができる。例えば異なる版を別のウィンドゥに同時に表示して比較することができ、また、旧版からはどのような変更がなされていったのか時間的にたどることもでき、逆に、新版からはなぜこのような変更が行われたのかという正当な理由を見つけるために、文書変更の履歴を逆にたどっていくこともできる。
【0086】また、グループのメンバーの間でこれらの情報を共有できることから、メンバー間の意思疎通がより明確になって、共同の編集作業をより円滑に行うことができる。例えば誰のどのような意見を尊重して変更が行われたのかが分かるため、重複するコメントを異なるメンバーが発して議論が発散したり、あるいは同じ議論を繰り返して時間を浪費したりすることが抑制することができる。しかも、これらの情報の管理は文書のエディタの機能と統合して実現されるため、ユーザは新たに版を作り出すなどの操作を、陽に意識することなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による共同文書処理システムの一実施例を示すシステム構成図。
【図2】図1に示す実施例に用いられるエディタ部による画面表示の例を示した図。
【図3】図2に示すエディタ部の文書エディタによる画面表示の例を示した図。
【図4】図3に示す文書エディタでのメニュー表示の例を示した図。
【図5】図2に示すエディタ部のコメントエディタによる画面表示の例を示した図。
【図6】図5に示すコメントエディタでのメニュー表示の例を示した図。
【図7】図2に示すエディタ部の版情報表示部による画面表示の例を示した図。
【図8】図7に示す版情報表示部でのメニュー表示の例を示した図。
【図9】図1に示す実施例におけるデータモデルの例を示した図。
【図10】図1に示す実施例における文書を表現するノードのデータ構造図。
【図11】図1に示す実施例におけるコメントを表現するノードのデータ構造図。
【図12】図1に示す実施例における版情報を表現するノードのデータ構造図。
【図13】図1に示す実施例に用いられる文書データベースで管理される文書管理用テーブルを示した図。
【図14】図2に示すエディタ部で管理される文書エディタとコメントエディタの管理用テーブルを示した図。
【図15】図1に示す実施例におけるメインの制御動作を示すフロー図。
【図16】図1に示す実施例におけるエディタ部の各サブコンポーネントのメインの制御動作を示すフロー図。
【図17】図1に示す実施例におけるコメント者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図18】図1に示す実施例におけるコメント者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図19】図1に示す実施例における著者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図20】図1に示す実施例における著者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図21】図1に示す実施例における読者とシステムとの対話を示すフロー図。
【図22】図1に示す実施例における文書エディタでの文書の読み込みの動作を示すフロー図。
【図23】図1に示す実施例における文書エディタでの文書の編集コマンド起動の動作を示すフロー図。
【図24】本発明の他の実施例におけるデータモデルの例を示した図。
【符号の説明】
1、2…個人用端末装置、11…表示装置、12…入力装置、13…入出力制御部、14…エディタ部、141…文書エディタ、142…コメントエディタ、143…版情報表示部、15…文書情報管理部、151…文書管理部、152…コメント管理部、153…版管理部、16…文書データベースアクセス部、3…ネットワーク、4…文書データベース、41…文書記憶部、42…コメント記憶部、43…版情報記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 共同で文書を作成して利用するようにした共同文書処理システムにおいて、文書を画面に表示して編集コマンドを受け付ける文書エディタ、該文書エディタに表示された文書に対するユーザのコメントを入力して表示するコメントエディタ、版情報をユーザに提示する版情報表示部を有するエディタ手段と、前記文書エディタにて編集された文書を管理する文書管理部、前記コメントエディタより入力されたコメントを管理するコメント管理部、前記文書エディタでの編集前の文書と編集後の文書をそれぞれ旧版と新版とし且つその違いを記述した版情報とともに文書を管理する版情報管理部を有する文書情報管理手段とを備えた複数の端末装置と、これら複数の端末装置に対して接続可能で且つ前記文書エディタで編集された文書を記憶する文書記憶部、前記コメントエディタより入力されたコメントを記憶するコメント記憶部、前記版情報表示部に提示される版情報を記憶する版情報記憶部を有する文書データベースとを具備し、前記文書エディタにより編集された文書は、旧版および新版の文書と、変更内容を示す版情報と、変更を促したコメントとが互いにリンクして前記文書情報管理手段および前記文書データベースで管理、記憶され、且つ前記文書データベースに記憶された内容を前記各端末装置から検索可能にしたことを特徴とする共同文書処理システム。
【請求項2】 版情報は、端末装置にて文書の内容変更を促すコメントを見たユーザが文書エディタから文書を編集するコマンドを起動するもしくは前記文書エディタの機能自体を起動することにより新しい版に進むものであることを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項3】 リンクして記憶される文書、版情報、コメントからなる文書情報の表示は、新版の表示状態から、該新版にリンクされた文書情報(その変更に至ったコメント、旧版との内容の違いを表わす版情報、旧版の文書)の表示を行うことができることを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項4】 リンクして記憶される文書、版情報、コメントからなる文書情報の表示は、旧版の表示状態から、該旧版にリンクされた文書情報(その変更に至ったコメント、旧版との内容の違いを表わす版情報、新版文書)の表示を行うことができることを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項5】 リンクされて記憶された文書、版情報、コメントからなる文書情報の表示は、版の異なる文書情報を同時に並列表示可能にしたことを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項1】 共同で文書を作成して利用するようにした共同文書処理システムにおいて、文書を画面に表示して編集コマンドを受け付ける文書エディタ、該文書エディタに表示された文書に対するユーザのコメントを入力して表示するコメントエディタ、版情報をユーザに提示する版情報表示部を有するエディタ手段と、前記文書エディタにて編集された文書を管理する文書管理部、前記コメントエディタより入力されたコメントを管理するコメント管理部、前記文書エディタでの編集前の文書と編集後の文書をそれぞれ旧版と新版とし且つその違いを記述した版情報とともに文書を管理する版情報管理部を有する文書情報管理手段とを備えた複数の端末装置と、これら複数の端末装置に対して接続可能で且つ前記文書エディタで編集された文書を記憶する文書記憶部、前記コメントエディタより入力されたコメントを記憶するコメント記憶部、前記版情報表示部に提示される版情報を記憶する版情報記憶部を有する文書データベースとを具備し、前記文書エディタにより編集された文書は、旧版および新版の文書と、変更内容を示す版情報と、変更を促したコメントとが互いにリンクして前記文書情報管理手段および前記文書データベースで管理、記憶され、且つ前記文書データベースに記憶された内容を前記各端末装置から検索可能にしたことを特徴とする共同文書処理システム。
【請求項2】 版情報は、端末装置にて文書の内容変更を促すコメントを見たユーザが文書エディタから文書を編集するコマンドを起動するもしくは前記文書エディタの機能自体を起動することにより新しい版に進むものであることを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項3】 リンクして記憶される文書、版情報、コメントからなる文書情報の表示は、新版の表示状態から、該新版にリンクされた文書情報(その変更に至ったコメント、旧版との内容の違いを表わす版情報、旧版の文書)の表示を行うことができることを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項4】 リンクして記憶される文書、版情報、コメントからなる文書情報の表示は、旧版の表示状態から、該旧版にリンクされた文書情報(その変更に至ったコメント、旧版との内容の違いを表わす版情報、新版文書)の表示を行うことができることを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【請求項5】 リンクされて記憶された文書、版情報、コメントからなる文書情報の表示は、版の異なる文書情報を同時に並列表示可能にしたことを特徴とする請求項1記載の共同文書処理システム。
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【図7】
【図8】
【図16】
【図9】
【図11】
【図10】
【図12】
【図14】
【図24】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【図20】
【図21】
【図22】
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【公開番号】特開平5−113975
【公開日】平成5年(1993)5月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−274259
【出願日】平成3年(1991)10月22日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成5年(1993)5月7日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)10月22日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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