説明

共役リノール酸組成物

【課題】共役リノール酸を含む新規の組成物を提供すること
【解決手段】共役リノール酸を含む新規の組成物は、動物の飼料添加物およびヒトの栄養補助食品として効果的である。リノール酸は、その共役形態に転換される。この共役形態において、生じる組成物は、従来の共役リノール生成物と比較して、特定の通常でない異性体が低い。さらに、本発明は、揮発性有機化合物へのCLAの酸化を制御する新規方法に従って調製され、かつ貯蔵の間に酸化を制御するための金属酸化剤キレート剤を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許出願番号09/132,593(1998年8月11日出願)および米国特許出願番号09/270,940(1999年3月17日出願)の一部継続出願であり、これらの出願は、米国特許出願番号09/042,767(1998年3月17日出願:現在米国特許第6,015,833号)および米国特許出願番号09/042,538(1998年3月17日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヒトおよび動物の栄養の分野に関し、そして特に共役リノール酸(CLA)の特定の新規組成物に関する。これらの組成物は、揮発性有機化合物へのCLAの酸化を制御して、そしていくつかの場合、酸化を調節する抗酸化剤を含む、新規方法に従って調製される。本発明はまた、共役リノール酸の製造、特に、共役リノール酸を含む飼料および食品に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
1978年に、University of Wisconsinの研究者らは、調理された牛肉中に含まれる物質の同定を得た。これは、突然変異誘発を阻害するようである。この物質は、共役した二重結合を有するリノール酸(C18:2)の位置的異性体の混合物であることが見出された。c9,t11異性体およびt10,c12異性体は、非常に多量存在するが、どの異性体が観察された生物学的活性の原因であるかは不確定である。9,11異性体が動物組織のリン脂質画分に好ましくはいくらか取り込まれかつ組み込まれ、そして10,12異性体はその程度が低いようであることが、標識された取り込み研究より記述されてきた(Haら、Cancer Res.,50:1097(1990))。
【0004】
共役リノール酸(CLAと称する)に関する生物学的活性は、多様でありかつ複雑である。現在、作用の機構についてほとんど知られていないが、進行中のいくつかの前臨床研究および臨床研究は、作用の生理学的様式および生化学的様式に新たな光を与えるようである。CLAの抗発癌性特性は、十分実証されてきた。CLAの投与は、Birtら、Cancer Res.,52:2035s(1992)によって実証されるようにラット乳房腫瘍形成を阻害する。同様に報告されたHaら、Cancer Res.,50:1097(1990)は、マウス噴門洞新生物形成様式を生じた。CLAはまた、インビトロで標的ヒト黒色腫、結腸直腸癌細胞および乳癌細胞に対する強力な細胞傷害性剤として同定された。最近の主要な総説論文は、個々の研究より得られる結論を確認する(Ip,Am.J.Clin.Nutr.,66(6補遺):1523s(1997))。
【0005】
CLA作用の機構は未だ不明であるが、免疫系のいくつかの成分が、少なくともインビボで関与され得るという証拠が存在する。米国特許第5,585,400号(Cookら、本明細書中に参照として援用される)は、CLAを含有する食餌を投与することによって、I型またはTgE高感受性によって媒介される、動物でのアレルギー性反応を減弱するための方法を開示する。約0.1〜1.0%の濃度でのCLAはまた、白血球を保存するに効果的なアジュバントであることが示された。本明細書中に参照として援用される米国特許第5,674,901号(Cookら、)は、細胞性免疫に関与するCD−4およびCD−8のリンパ球亜集団における上昇をもたらした、遊離酸または遊離塩のいずれかの形態でのCLAの経口または非経口の投与を開示した。外因性腫瘍壊死因子での前処置により生じる不利な効果は、CLAが投与された動物中のCD−4細胞およびCD−8細胞のレベルの上昇または維持により間接的に緩和され得る。最終的には、米国特許第5,430,066号(参考として本明細書中に援用される)は、免疫刺激による体重減少および食欲不振を予防する際のCLAの効果を記載する。
【0006】
上記のCLAの有力な治療的適用および薬理的適用とは別に、栄養補助食品として栄養的なCLAの使用に関して、非常に興奮させられている。CLAは、身体構成に対して非常に一般化された効果を発揮することが見出されている。特に、脂肪組織塊と脂肪のない組織塊との区画を再指向する。参考として本明細書中に援用される、米国特許第5,554,646号(Cookら)は、栄養補助食品としてCLAを利用する方法を開示し、ここで、ブタ、マウスおよびヒトは、0.5% CLAを含有する食品を給餌された。各種において、脂肪含量における顕著な減少が、タンパク質質量において付随する増加とともに観察された。これらの動物において、CLAの添加による食餌の脂肪酸含量の増加は、体重の増加をもたらさないが、身体内の脂肪および無脂肪(lean)の再分布に関連した。目的の別の食餌現象は、食餌転換に対するCLA補填の効果である。米国特許第5,428,072号(Cookら、本明細書中に参考として援用される)は、動物食餌(トリおよび哺乳動物)へのCLAの組み込みがCLA補填動物におけるかなりの体重増加を導く食餌変換の効果を増加することを示すデータを提供した。食品動物飼育者にとってCLA補填の有利な効果は、明白である。
【0007】
CLAに目的の別の重要な供給源、およびその初期の商業的潜在性を強調するものは、それがヒトおよび動物などによって消費される食品および食餌の中に天然に存在することである。特に、CLAは、反芻動物からの産物中に豊富である。例えば、いくつかの研究が実施されてきた。ここで、CLAは、種々の乳製品において調査された。Anejaら、J.Dairy Sci.,43:231(1990)は、牛乳からヨーグルトへの処理がCLAの濃縮を生じることを観察した。(Shantaら、Food Chem.,47:257(1993))は、処理する温度および乳清の添加における組合わせた増加が処理されたチーズの調製の間CLA濃度を増加したことを示した。別の研究において、Shantaら、J.Food Sci.60:695(1995)は、処理および貯蔵の条件は明らかにはCLA濃度を減少しないがいずれの増加も観察されなかったことを報告した。実際、いくつかの研究は、季節的変動および動物間の変動は牛乳のCLA含量における3倍もの差異の原因であり得ることを示した。(例えば、Parodiら、J Dairy Sci.,60:1550(1997)を参照のこと。)また、Chinら、J Food Camp.Anal.,5:185(1992)に記されるように、食物因子は、CLA含量の変動において関係している。天然の供給源におけるCLA含量の変動のために、規定された量の種々の食品の摂取は、ヒト(individual)または動物が最適用量を受けて所望の栄養効果を達成することを確保することを保障しない。
【0008】
リノール酸は、重要な生物脂質の成分であり、顕著な割合のトリグリセリドおよびリン脂質を含む。リノール酸は、「必須」脂肪酸として公知であり、自己合成され得ないので、動物は、外因性食餌供給源からそれを得なければならないことを意味する。リノール酸のCLA型の組み込みは、脂質位置へのCLAの直接置換を生じ得、ここで、非共役リノール酸が移動した。しかし、このことは証明されておらず、そしてかなり有利だが説明できない観察された効果のいくつかが、非共役リノール酸がさもなければ移動しない部位での脂質構造内のCLAの再位置付けから生じ得る。現在、動物CLAのある供給源(特に、乳製品において)がネイティブなリノール酸への特定のルーメン細菌の生化学的作用から生じ、まず、リノール酸をCLAに異性化し、次いで、ルーメンキャビティー内にそれを分泌することが、明白である。Keplerら、J.Nutrition,56:1191(1966)は、ルーメン細菌であるButyrivibrio fibrisolvensを単離した。この細菌は、リノール酸の生物水素化における中間体として9,11−CLAの形成を触媒する。Chinら、J.Nutrition,124:694(1994)はさらに、対応する無菌ラットがCLAを産生しないので、げっ歯類の組織中に見出されたCLAは細菌と関連することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,585,400号
【特許文献2】米国特許第5,430,066号
【特許文献3】米国特許第5,674,901号
【特許文献4】米国特許第5,554,646号
【特許文献5】米国特許第5,428,072号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Haら、Cancer Res.,50:1097(1990)
【非特許文献2】Birtら、Cancer Res.,52:2035s(1992)
【非特許文献3】Ip,Am.J.Clin.Nutr.,66(6補遺):1523s(1997)
【非特許文献4】Anejaら、J.Dairy Sci.,43:231(1990)
【非特許文献5】Shantaら、Food Chem.,47:257(1993)
【非特許文献6】Parodiら、J Dairy Sci.,60:1550(1997)
【非特許文献7】Chinら、J Food Camp.Anal.,5:185(1992)
【非特許文献8】Keplerら、J.Nutrition,56:1191(1966)
【非特許文献9】Chinら、J.Nutrition,124:694(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
治療的適用および栄養的適用の両方のための、CLAの規定された商業的供給源の開発において、大量の規定された材料を生成するためのプロセスが必要である。慣用的な手段によって作製されたほとんどのCLA産物の問題は、その異質性であり、そしてバッチ間で実質的なアイソフォームの変動である。獣脂の代わりに多量の硬化油およびショートニングを摂取することは、トランス脂肪酸量の高い食餌を生じるという事実に、多くの注意が払われてきた。例えば、Holmanら、PNAS,88:4830(1991)は、硬化油を給餌されたラットは異常なポリ不飽和脂肪酸異性体のラット肝における蓄積を生じることを示した。これは、天然に存在するポリ不飽和脂肪酸の正常な代謝を妨害するようである。これらの関係は、初期の論説(Am.J.Public Health,84:722(1974))に要約された。従って、規定された組成物の生物学的に活性なCLA産物に対して強い要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、後述する手段により、上記課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明のアルカリ異性化プロセスのフロー図である。
【図2】図2は、抗酸化剤の存在下でのCLA組成物についてのOSI値のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、ヒトおよび動物の栄養の分野に関し、特に、共役リノール酸(CLA)の特定の新規組成物に関する。これらの組成物は、新規方法に従って調製され、これは、CLAの揮発性有機化合物への酸化を調節して、そしていくつかの実施形態は、酸化を調節する抗酸化剤を含む。
【0015】
本発明は、異性化された(すなわち、共役した)高純度のリノール酸部分を含む組成物を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、これらの組成物は、異性化され共役したリノール酸部分を含み、ある程度の低分子量の揮発性有機化合物を有するが、不活性な貯蔵条件下で少なくとも30日間の貯蔵期間の間、合計100ppmを超えない。他の好ましい実施形態において、本発明は、異性化され共役したリノール酸部分を含む組成物を提供し、この組成物は、合計100ppm以下の低分子量揮発性有機化合物を含みかつ60℃で約20〜100時間の油安定性指数を有する。特定の好ましい実施形態において、油安定性指数は、60℃で約40時間より大きい。よりさらなる実施形態において、本発明は、異性化され共役したリノール酸部分を含む組成物を提供し、この組成物は、合計100ppm未満の揮発性有機化合物を含み、この組成物は、以下の工程を包含するプロセスを通じて入手可能である:a)異性化され共役したリノール酸部分を含む組成物を提供する工程;b)吸収剤を提供する工程;およびc)上記共役リノール酸部分を上記吸収剤で処理する工程。いくつかの好ましい実施形態において、異性化され共役したリノール酸部分を含む組成物は、合計約1〜約10ppmの金属イオン濃度を含み、これは、安定性を増加するために減少されなければならない。
【0016】
上記の組成物のCLA部分は、特定のCLA部分のいずれか1つに限定されない。いくつかの異なる部分は、本発明によって意図される。いくつかの実施形態において、CLA部分は、遊離脂肪酸である。他の実施形態において、CLA部分は、アルキルエステルである。なおさらなる実施形態において、CLA部分は、トリアシルグリセリドである。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の組成物はさらに、金属酸化剤キレート剤を含む。本発明は、金属酸化剤キレート剤のいずれか1つに限定されない。種々の金属酸化剤キレート剤は、本発明によって意図される。いくつかの実施形態において、金属酸化剤キレート剤は、クエン酸エステルを含む。他の実施形態において、金属酸化剤キレート剤はレシチンを含む。
【0018】
上記の異性化されたリノール酸組成物の純度は、特定のレベルのいずれかに限定されない。いくつかのレベルの純度は、本発明によって意図される。いくつかの実施形態において、組成物は、合計100ppm未満の揮発性有機化合物を含む。他の実施形態において、組成物は、合計50ppm未満の揮発性有機化合物を含む。なお他の実施形態において、組成物は、合計10ppm未満の揮発性有機化合物を含む。なおさらなる実施形態において、組成物は、合計5ppm未満の揮発性有機化合物を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記の組成物を含有する食品または食物添加物を提供する。
【0020】
本発明はまた、共役リノール酸の製造、特に、共役リノール酸を含有する食餌および食品に関する。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、以下の工程を包含する、共役リノール酸エステルを含む食品を産生するための方法を提供する:a)以下を提供する工程:i)共役リノール酸エステル(ここで、このエステルは、アルコラート触媒でリノール酸エステルを処理することによって産生される);および食材;ならびにb)この食材を共役リノール酸エステルと組み合わされる工程。
【0021】
本発明は、特定の供給源由来のリノール酸エステルに限定されない。実際、種々のリノール酸の供給源は、紅花、ヒマワリおよびトウモロコシ油を含むがこれらに限定されないことが意図される。
【0022】
本発明は、共役リノール酸の特定の誘導体に限定されない。実際、種々の共役リノール酸部分は、アルコラート触媒によって産生された共役リノール酸エステル由来の遊離脂肪酸、アルコラート触媒によって産生されるアルキルエステルおよびアルコラート触媒によって産生されたCLA部分を含むトリグリセリドを含むが、これらに限定されないことが意図される。
【0023】
本発明は、特定のアルコラート触媒の使用を介して産生されるCLA部分に限定されない。実際、種々のアルコラート触媒は、ナトリウムメチラートおよびカリウムメチラートを含むが、これらに限定されないことが意図される。
【0024】
本発明のさらなる実施形態において、抗酸化剤は、食品に含まれる。本発明は、特定の抗酸化剤に限定されない。実際、種々の抗酸化剤は、α−トコフェノール、β−トコフェノール、レシチン、アスコルビルパルミテートおよびBHTを含むが、これらに限定されないことが意図される。
【0025】
本発明のなおさらなる実施形態において、共役リノール酸部分およびアルコールを含む食品が提供される。本発明は、特定のアルコールに限定されない。実際、種々のアルコールは、エチルアルコールを含むが、これらに限定されないことが意図される。本発明は、特定の濃度のアルコールに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、アルコールの濃度は、約10ppm未満である。
【0026】
他の実施形態において、以下の工程を包含する、安定化され共役リノール酸産物を提供するための方法が提供される:a)共役リノール酸部分および吸収剤を含む組成物を提供する工程;ならびにb)得られた共役リノール酸化合物が不活性な貯蔵条件下で10ppm未満の量の低分子量揮発性有機化合物を維持するような条件下で、この共役リノール酸部分を吸収剤で処理する工程。いくつかの実施形態において、共役リノール酸部分は、工程(b)の前に脱臭される。他の実施形態において、方法はさらに、上記共役リノール酸部分を抗酸化剤で処理する工程を包含する。
【0027】
なお他の実施形態において、方法は、以下の工程を包含する安定化され共役したリノール酸産物を提供する:a)共役リノール酸部分、吸収剤および少なくとも1つの抗酸化剤組成物を含む組成物を提供する工程;b)共役リノール酸部分を含む組成物を脱臭する工程;c)共役リノール酸部分を含む組成物を少なくとも1つの抗酸化剤組成物で処理する工程;およびd)得られた共役リノール酸化合物が不活性な貯蔵条件下で10ppm未満の量の低分子量揮発性有機化合物を維持するような条件下で、共役リノール酸部分を吸収剤で処理する工程。いくつかの実施形態において、共役リノール酸化合物は、遊離脂肪酸として提供される。他の実施形態において、共役リノール酸部分は、アルキルエステルとして提供される。いくつかの実施形態において、共役リノール酸部分は、トリグリセリドとして提供される。なおさらなるの実施形態において、吸収剤は、漂白土類、活性炭ゼオライトおよびシリカからなる群より選択される。

【0028】
(定義)
本明細書において用いる場合、「共役リノール酸」または「CLA」とは、任意の、共役リノール酸、またはオクタデカジエン遊離脂肪酸をいう。この用語は、リノール酸の分子の任意の位置で2つの共役炭素間二重結合を有する、リノール酸の全ての位置的および幾何的な異性体(アイソマー)を包含し、そして示すことが意図される。CLAは、普通のリノール酸とは、普通のリノール酸は、炭素原子9および12で二重結合を有するという点で異なる。CLAの例としては、以下:2,4−オクタデカジエン、4,6−オクタデカジエン、6,8−オクタデカジエン、7,9−オクタデカジエン、8,10−オクタデカジエン、9,11−オクタデカジエン、および10,12−オクタデカジエン、11,13−オクタデカジエン、の位置異性体のシス異性体およびトランス異性体(「E/Z異性体」)が挙げられる。本明細書において用いる場合、「CLA」は、単一の異性体、2つ以上の異性体の選択された混合物、および天然の供給源から得られた異性体の非選択的混合物、ならびに合成および半合成のCLAを包含する。
【0029】
本明細書において用いる場合、用語「異性体化された共役リノール酸」は、化学的方法(例えば、アルカリ水溶液異性体化、非アルカリ水溶液異性体化、またはアルカリアルコレート異性体化)によって合成されたCLAをいう。
【0030】
本明細書において用いる場合、用語「共役リノール酸部分」とは、共役リノール酸または誘導体を含む任意の化合物または複数の化合物をいう。例としては、脂肪酸、アルキルエステル、および共役リノール酸のトリグリセリドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
本明細書において用いる場合、CLAの「トリグリセリド」は、トリグリセリド骨格の上の任意の位置または3つ全ての位置(例えば、SN−1、SN−2、またはSN−3の位置)においてCLAを含むことが意図される。従って、CLAを含有するトリグリセリドは、CLAの位置異性体および幾何異性体のうちいずれかを含み得る。
【0032】
本明細書において用いる場合、CLAの「エステル」は、アルコールまたは任意の他の化学基(生理学的に受容可能な、天然に存在するアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)が挙げられるがこれらに限定されない)に対してエステル結合を通じて結合したCLAの位置異性体および幾何異性体のいずれかおよび全てを含むことが意図される。従って、CLAのエステルまたはエステル化されたCLAは、CLAの位置異性体および幾何異性体のいずれかを含み得る。
【0033】
CLAの「天然に存在しない異性体」としては、c11,t13;t11,c13;t11,t13;c11,c13;c8,t10;t8,c10;t8,t10;c8,c10;ならびにオクタデカジエンのトランス−トランス異性体が挙げられるがこれらに限定されない。そしてオクタデカジエンのt10、c12、およびc9,t11の異性体を含まない。「天然に存在しない異性体」はまた、CLAがアルカリ異性体化によって合成されるとき、これらの異性体が一般に低量で生成されるので、CLAの「マイナー異性体」とも呼ばれ得る。
【0034】
本明細書において用いる場合、「低不純物」CLAとは、遊離脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドを含んでいるが、1%未満の8,10−オクタデカジエン、11,13−オクタデカジエン、およびトランス−トランスオクタデカジエンの総量、含む、CLA組成物をいう。
【0035】
本明細書において用いる場合、「c」は、シス配向における化学結合を包含し、そして「t」は、トランス配向における化学結合をいう。CLAの位置異性体が「c」も「t」もなしに命名されるならば、その命名は、4つ全ての可能性のある異性体を含む。例えば、10,12−オクタデカジエンは,c10,t12;t10,c12;t10,t12;およびc10,c12オクタデカジエンを包含するが、t10,c12−オクタデカジエンすなわちCLAは、単一の異性体をのみをいう。
【0036】
本明細書において用いる場合、用語「オイル(油脂)」とは、長鎖脂肪酸(例えば,cLA)、トリグリセリド、または他の長鎖炭化水素基を含む、流動性の流体をいう。長鎖脂肪酸としては、CLAの種々の異性体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
本明細書において用いる場合、用語「生理学的に受容可能なキャリア」とは、油状の薬学的組成物(医薬品)とともに通常用いられる任意のキャリアまたは賦形剤をいう。このようなキャリアまたは賦形剤としては、オイル、デンプン、ショ糖(スクロース)、およびラクトースが挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
本明細書において用いる場合、用語「経口送達ビヒクル」とは、薬学的組成物を経口的に送達する任意の手段をいい、カプセル、丸剤、錠剤、およびシロップが挙げられるがこれらに限定されない。
【0039】
本明細書において用いる場合、用語「食品(food product)」とは、ヒト、非反芻動物、または反芻動物による消費に適切な任意の食物または飼料(餌)をいう。「食品」とは、調製され包装された食物(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズ)、または動物用飼料(例えば、押し出されたおよびペレット化された動物用飼料または粗混合飼料)であり得る。「調製された食品」とは、ヒトの消費について承認された任意の予め包装された食物を意味する。
【0040】
本明細書において用いる場合、用語「フードスタッフ(食材、栄養素)」とは、ヒトまたは動物の消費に適した任意の物質をいう。
【0041】
本明細書において用いる場合、用語「揮発性有機化合物」とは、所定の温度で部分的に、または完全にガス状態で存在する、任意の炭素含有化合物をいう。揮発性有機化合物は、有機化合物(例えば、CLA)の酸化から形成され得る。本発明において特に目的であるのは、炭素を10以下含む、低分子量揮発性有機化合物である。これらの低分子量揮発性有機化合物の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテナール、エタノール、3−メチルブタナール、4−メチルペンタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、2−ペンチルフラン、オクタナールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0042】
本明細書において用いる場合、用語「金属酸化剤キレート剤(メタルオキシダントキレーター)」とは、金属をキレート化する任意の抗酸化剤をいう。例としては、レシチンおよびクエン酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
本明細書において用いる場合、用語「アルコレート触媒」とは、カリウムメチレートおよびカリウムエチレートが挙げられるがこれらに限定されない、任意の一価アルコールのアルカリ金属化合物をいう。
【0044】
本明細書において言及する場合、用語「不活性貯蔵状態(inert storage condition)」とは、貯蔵されている組成物が、本質的に、反応性ガス、貯蔵容器から溶出する化合物などのような任意の外因性の影響なしに維持されている貯蔵状態をいう。
【0045】
(発明の詳細な説明)
本発明の組成物は、高度に制御された異性体化プロセスから、そして好ましくはヒマワリ油、サフラワー油、またはコーン油の出発物質を用いて生じる。この組成物は、工業的規模に対する適用については、これまで得られなかった。なぜなら、この従来のプロセスは、歴史的に、全く異なる目的のために(すなわち、ペイント工業における乾燥オイルとして)共役リノール酸を生成しているからである。また、最終製品の異性体含量の意味の認識がなかった。なぜなら、この脂肪酸を特徴付けるための分析方法は広く利用可能ではなかったからである。さらに、本発明は、貯蔵の間のCLAの酸化を防止して揮発性有機化合物を形成するための方法を提供する。
【0046】
(I.リノール酸を共役させるための方法)
さらに古い異性体化プロセス(そのいくつかは、さらに現代的な様式でなお使用中である)において、共役させた脂肪酸の生成をアルカリ水溶液(一般にはNaOH)中で、200℃を超える高温で、そして通常大気圧を超える圧力で実行した。例えば、米国特許第2,350,583号(Bradley)は、処理済みの石鹸を利用するアルカリ水溶液プロセスを開示している。このプロセスでは、共役および重合の両方が、200〜250℃で、数時間にわたる、かなり過酷な条件下で生じた。リンシードオイル(アマニ油)で開始する乾燥オイルの画分を、蒸留によって得た(非常に類似のプロセスについては、英国特許番号558,881号も参照のこと)。このプロセスのバリエーションにおいて、米国特許出願第4,381,264号は、低水含量反応ゾーン(0.5%水)が、SOの存在下で化学量論塩基を含み、種々の多飽和脂肪酸の二重結合の共役を得るプロセスを教示している。アルカリ水溶液プロセスは、米国特許第4,164,505号において連続的フロープロセス適応された。ここでアルカリ金属水酸化物および水は、200℃〜370℃で維持されているフローゾーンに連続的に充填される。これらの温度では、反応時間は、一般に短縮されなければならないが、この異性体化に対する制御は比較的小さい。温度範囲のさらに高い端で、当業者は二重トランス種へのほぼ完全な変換を予測する。
【0047】
種々の非水性溶媒および触媒を用いるCLAの生成の方法は、文献中に記載されている。Burr(米国特許第2,242,230号)は、種々の触媒と組み合わせた、メタノール、ブタノール、エタノールおよびグリコールのような溶媒の使用を開示している。これらの反応パラメーターは、表1にまとめられている。グリコールを除いて、この反応は、還流条件下または密閉したチューブのいずれかにおいて実行された。この反応条件によって、重要な反応パラメーターのうちの2つである、温度および圧力の不正確な制御が生じる。これらの反応パラメーターの不正確な制御によって、完全でない共役および所望されない異性体の形成が導かれる可能性が高い。
【0048】
【表1】


同様に、Baltesら(米国特許第3,162,658号)は、脂肪酸の共役のための触媒としての非水性溶媒および種々の金属塩素の使用を開示している。Baltesらによって記載された方法の種々の反応パラメーターを表2にまとめる。Baltesらはまた、種々の低沸点溶媒の使用を開示している。これらの反応のほとんどが、使用される溶媒の沸点を超える温度で行われた。この反応は圧力下で行われたことが明らかである。この圧力は、オクタデカジエン異性体の形成に影響する独立した因子である。従って、これらの反応に由来する生成物は所望されない異性体を含む。
【0049】
【表2】


(II.制御された異性体化反応)
本発明のCLAは、8,10異性体、11,13異性体、および種々のトランス−トランス異性体のような大量の異性体を欠く。これらの組成物は、図1におけるフローチャートに示される密接に制御された非水性のアルカリ異性体化プロセスによって、およびアルカリアルコレート触媒での異性体化によって、生成された。いくつかの実施形態において、ヒマワリ油、サフラワー油、またはコーン油を、過剰のアルカリと、不活性ガス雰囲気下で大気圧において、高沸点溶媒(すなわち、ポリエチレングリコール)中で、この溶媒の沸点未満の温度で、反応させる。他の実施形態では、ヒマワリ油、サフラワー油、またはコーン油を、アルカリアルコレート触媒および少量の適切な溶媒の存在下で、反応させる。
【0050】
(A.リノール酸の供給源)
共役について好ましい油は、ヒマワリ油、サフラワー油、およびコーン油である。ダイズ油と比べた場合、これらの油は、低濃度の、ホスファチドおよびステロールのような所望されない成分を有する。これらの所望されない成分は、共役設備および他の所望されないポリマーを汚染する、ガム(粘性物質)の形成に寄与し得る。これらの油の種々の特性を表3、4、および5にまとめる。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】


(B.溶媒としてプロピレングリコールを用いた異性体化)
本発明のいくつかの実施形態において、共役リノール酸は、非水性アルカリ異性体化によって生成される。制御された異性体化プロセスの反応条件によって、共役プロセスの温度(および一定の環境圧力)の正確な制御が可能になる。好ましくは、アルカリは、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムのような無機アルカリ、または水酸化テトラエチルアンモニウムのような有機アルカリである。触媒は、好ましくは、油の脂肪酸含量に比較してモル過剰で提供される。溶媒は、プロピレングリコールである。好ましくは、この反応を130〜165℃の温度範囲内、最も好ましくは約150℃で行う。反応の時間は、変化し得るが、反応が長時間行われるとき、所望されない異性体の形成の確率が増大する。優れた収率には、比較的短い反応時間である2.0〜6.5時間で十分であることが証明されている。
【0054】
所望の組成物を生成するためには、上記の反応条件は、共役されるべき油(オイル)、アルカリの供給源、および設備によって変化し得ることが当業者には理解される。特定の油の事前分析によって、この条件が所望の組成物を得るために変化されなければならないことが示され得る。従って、温度範囲、圧力、および他の反応パラメーターは、個々のプロセスの設計のための開始点を表し、そしてガイドとしてのみ意図される。例えば、所望の温度範囲が、用いられ得る唯一の範囲であるとは意図されない。本質的な局面は、正確な温度制御を提供することである。しかし、注意を払わなければならない。なぜなら、圧力の増大は、不完全な異性体化および所望されない異性体の形成をもたらし得るからである。結局、共役化反応の長さは変化され得る。一般に、反応時間の延長に伴って、漸増量の所望されない異性体が形成される。従って、至適反応時間によって反応をほぼ、または本質的に完了するまで進行することが可能になるが、所望されない異性体の形成は生じない。
【0055】
共役反応後、得られたCLA含有組成物は、図1に従ってさらに精製され得る。共役反応混合物から脂肪酸を分離するため、この反応混合物を約95℃に冷却し、過剰の水を50℃で添加し、そして温度を約50〜60℃に低下したまま、この混合物を緩徐に攪拌する。水の添加の際に、脂肪酸の石鹸を形成し、そしてグリセロールを副産物として形成する。次に、モル過剰の濃HClを、攪拌しながら添加する。次いで、水性および非水性の層を約80〜90℃で分離させる。次いで、水およびポリエチレングリコールを含有する底部層を流し出す。残ったポリエチレングリコールを、60〜80℃の減圧脱水によって除去する。
【0056】
次いで、乾燥したCLA組成物を、好ましくは、コールドトラップを有する脱気ユニット中で、脱気し、残りのプロピレングリコールを除去し得る。次に、CLAを、10−1〜10−2ミリバールの減圧下で分子蒸留プラントにおいて、190℃で蒸留する。この精製システムの利点は、短時間(1分未満)であることである。ここでCLAが、高温で保持される。従来のバッチ蒸留手順は、厳密に回避されるべきである。なぜなら、その手順は、数時間まで、約180〜200℃の高温を含むからである。これらの高温で、所望されないトランス−トランス異性体の形成が生じる。供給物質の約90%が、わずかに黄色の蒸留物として回収される。次いで、CLAを、約120℃〜170℃への、好ましくは約150℃への2時間の加熱によって脱臭し、匂いと風味を改善し得る。過剰の熱が、トランス−トランス異性体の形成を生じ得る。これらの手順は、約5ppm未満、好ましくは約1ppm未満の溶媒レベルでCLA組成物を生成する。このプロセスは、得られた組成物が本質的に毒性溶媒残留分を本質的に含まないように、有毒なわずかなレベルの溶媒を排除する。
【0057】
上記のプロセスは、パイロット規模および商業的規模の両方に容易に適応可能である。例えば、400kgのヒマワリ油は、触媒として添加された200kg KOHとともに400kgのプロピレングリコール中で、150℃で5時間、共役され得る。次いで、得られたCLAは、上記のように精製され得る。さらに、商業的規模のバッチシステムは、所望のCLA組成物を生成するために容易に改変され得る。例えば、ステンレス鋼反応器(リアクター)は、好ましくはガラスで裏打ちされて、3.0未満のpHレベルに起因する腐食を防止するべきである。しかし、非水性溶媒を利用する共役プロセスは、水で行われたプロセスよりも一般に腐食が少ないことに注意すべきである。
【0058】
次善の条件下かまたは先行技術の水性アルカリ方法に従ってかのいずれかでなされたものと対照的に、本発明のCLA組成物の重要な特性を強調するために、いくつかの比較実験を実行した。実施例1において、CLAを本発明の方法によって調製した。CLAを、実施例2において、従来の水性アルカリ方法によって生成した。実施例3において、実施例1の反応を、高い温度でのみ実質的に繰り返す。最後に、実施例4において、実施例2のものに実質的に同一である水性アルカリ反応を、低い温度で実行している。各実験の正確な条件および詳細が、実施例に示される。CLA異性体含有量の分析のプロフィールが、表6〜11に示される。
【0059】
表6のデータを参照して、相対的な面積のパーセンテージが、4つの実験の各々について、個々の異性体に対応する各同定されたピークについて提供される。GCプロットは、試験した各サンプルについて多数のピークを与えた。これらのピークの各々の下の面積は、総計の値を得るために積分された。ピークの同一性は、標準溶出プロフィールの公開されたアトラスからのその相対的な位置、および科学文献によって決定した。最上列は、共役していない出発材料(9,12−リノール酸)についての残基の値を表す。プロピレングリコールにおける低温度の反応および高温度の反応の両方が、総出発材料の99%を超える極めて高い転換を生じた。
【0060】
カラム1を参照して、実施例1において、コントロール組成物のいずれとも異なり、異性体の11,13混合物に対応するピーク、詳細にはc11,c13に対応するピーク、8,10異性体のいずれかについてのピーク、および同定されていない異性体についてのピークがすべて完全に失われていることは、明らかである。c9,t11異性体の異性体の場合、8,10異性体および9,11異性体の両方についてのGCにおけるピークが、重ね合わされ、そして、NMR研究によって8,10として同定されたピークのその部分を差し引きすることによって、実施例1の材料に関してのみここで分離される。これは、他の実験において実行されず、故に、列3は、実施例2〜4について、組み合わされた8,10および9,11についての値を与える。一般的に、8,10異性体、11,13異性体および同定されていない異性体に関して、1%未満から検出不能までの値は、治療的および栄養学的な価値がある。なぜならこの値は、潜在的に有害な夾雑物(特に、脂質生成において疑わしい吸収経路を有することが公知であるもの)を微量レベルに低下するからである。例えば、非反芻動物において、0.25〜2.5%のCLAの食品への添加は、組織におけるCLAの発生率を増加して、反芻動物における発生率に近づへ得、その結果、他の動物は、純度を落とす異性体が存在しない場合、CLAの供給源であり得る。
【0061】
実施例2は、慣用的に製造されたCLAを代表する、典型的な水性アルカリ生成物を提供する。変換は、全体的ならびにc9,t11異性体およびt10,c12異性体を生成する場合の両方においてあまり効果的ではない。疑わしい11,13異性体の高い割合、および同定されていない材料の有意な割合にもまた、注意すること。
【0062】
実施例3は、温度パラメーターの臨界を示す。プロピレングリコール媒体における温度の上方へのシフトは、c9,t11異性体およびt10,c12異性体を犠牲にして夾雑している異性体の量を急に増加する。トランス,トランス種において急激な増加がより高い温度において存在する(なぜなら、増加したエネルギーストレスのレベルにおいてより安定な電子配置を生じる二重結合転移が好まれるからである)こともまた興味深い。
【0063】
実施例4は、水性アルカリ系における温度の低下が、実際に、夾雑している異性体のうちのいくつかのの量を減少することを示す。しかし、収量における劇的な低下が存在し、11,13群の異性体のレベルは非常に高いままである。このことは、この電子配置の形成が、この系における全体的な運動エネルギーによって説明されるよりも、水性媒体中の塩基の作用によって影響を受けることを示唆する。22.5時間というの極度に長い反応時間(効率的な産業スケールのバッチプロセスにとって長すぎる)にもまた注意すること。
【0064】
表6は、ピーク面積の関数として種々の反応における相対的な異性体の割合を、それらの対応するピーク比に変換する。本プロセスは、おおよそ等しい量の2つの所望のCLA異性体の各々への、9,12−リノール酸の実質的に完全な変換を生じる。ましてより高い温度において、プロピレングリコールにおいてさえ、11,13異性体の発生は、低い温度の水性アルカリプロセスの発生の3分の1である。
【0065】
(C.アルコラート触媒を用いた異性化)
いくつかの実施形態において、本発明はまた、CLAのアルキルエステルを生成するための方法を提供する。脂肪の分割および脱水後、遊離の脂肪酸を、メタノールまたは他の一価低分子量アルコールと合わせ、そしてアルコールが沸騰する温度まで加熱した。エステル化は、反応水を凝縮器を介して除去する、再還流条件下で進行する。さらなる量の同じかまたは異なる一価アルコールの添加後、アルコラート触媒を、このエステル混合物にブレンドする(例えば、米国特許第3,162,658号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。代表的なアルコラート触媒は、ナトリウムエトキシドもしくはカリウムエトキシド、またはこれらのメチル対応物、ブチル対応物もしくはプロピル対応物である。
【0066】
エステル化において、メタノールまたはエタノールが好ましいが、他の分枝鎖一価アルコールまたは直鎖一価アルコールが、使用され得る。アルキル基の脂肪族鎖が長くなるにつれ、この材料はより脂質適合性になる。粘性もまた、増加する傾向がある。異なる型の食餌または食物(その粘稠度は変化する)に関して、種々の粘性の生成物が、CLA部分から生じる治療特性または栄養学的特性に影響を与えることなく所望の流動特徴または混合特徴を得るために使用され得る。エステル化の理論および実際は、慣用的である。最も一般的な方法の基本的な説明は、McGraw−Hill Encyclopedia of Science & Technology,McGraw−Hill Book Co.,N.Y.:1996(第5版)に示される。動物およびヒトの身体は、多様なエステラーゼを有し、故に、CLA−エステルは、切断されて、遊離の脂肪酸を容易に放出する。組織取り込みは、関与する組織および要求される利点に依存して、異なる動態を有し得る。
【0067】
異性化工程において、アルコラート触媒が、水性アルカリに媒介される異性化よりも、はるかに優れた生成物を生成したことが見出された。後者のプロセスは、温和な反応条件下であっても所望されない異性体を、常に生成する。温和な条件は、実施例に示されるように、より低い量の所望されない異性体を与えるが、収率を大きく犠牲にする。ほとんどの系において、c9,t11異性体およびt10,c12異性体の発生が優勢であり、そしてこれらは、おおよそ等モル量で形成される。一方の異性体の、他方を除外した異性化を制御することは、これまで可能ではなかった。一方または他方の異性体の割合を増加することは(達成される生理学的効果に依存して)望ましいが、現在のところこれは、所望の異性体が富化された供給源を添加することによって、大規模に実行されなければならない。
【0068】
アルコラート触媒を用いた共役のための好ましい出発材料は、ヒマワリ油、サフラワー油、およびトウモロコシ油である。これらの油の各々は、高レベルのリノール酸および低レベルのリノレン酸を含む。実施例18に示されるように、リノレン酸の共役は、いくつかの特徴付けられていない脂肪酸部分の形成を引き起こし、これらの生物学的な特性は、未知である。以前の共役プロセスは、未知化合物の生成と関連しなかった。なぜなら、これらの生成物は、乾性油、塗料およびワニスにおいて使用され、ヒトまたは動物による消費が予定された製品においては使用されなかったからである。従って、高レベルのリノレン酸を含む油を用いたこれらのプロセスによって生成されたCLAは、栄養学的使用に適していなかった。
【0069】
いくつかの実施形態において、グリセロールまたはグリセロールのエステルは、脂肪酸のモノエステルを作製する前に除去されるべきであることが、さらに意図される。共役の間に存在する微量のグリセロールは、トリメトキシプロパンおよびトリエトキシプロパンの生成に寄与する。従って、共役の前に、アルコール分解によって得られたモノエステルを蒸留することが好ましい。
【0070】
(D.CLAのトリアシルグリセリド誘導体)
本発明は、CLAの誘導体の使用を意図する。例えば、CLAは、実施例5、6、および14に記載されるように、遊離であり得るかもしくは上記のようにエステル結合を介して結合され得るか、またはCLAトリグリセリドを含む油の形態で提供され得る。これらの実施形態において、このトリグリセリドは、グリセロール骨格に結合したCLAから部分的または完全に構成され得る。CLAはまた、好ましくは、実施例8および9に記載されるように、メチルエステルまたはエチルエステルとして提供され得る。さらに、CLAは、非毒性塩の形態(例えば、カリウム塩またはナトリウム塩(例えば、化学的に等価な量の遊離酸をアルカリ水酸化物と約pH8〜9において反応させることによって形成される塩))であり得る。
【0071】
本発明の1つの実施形態において、ヒマワリ油および/またはサフラワー油由来のリノール酸の非水性異性化に関して本明細書中の以後に開示される新規CLA異性体混合物を含む、新規トリアシルグリセロールが合成される。CLAに関して高度に富化された(90〜96%)純粋なトリアシルグリセロールが、H NMRによって確認され得る。エステル化は、固定されたCandida antarcticaリパーゼを用いて進行させる。好ましくは、CLAは、少なくとも40%、および45〜48%以上のc9,t11−オクタデカジエン酸およびt10,c12−オクタデカジエン酸、ならびにこれらの混合物を含む。1%未満のエステル8,10;11,13;およびトランス,トランス異性体が存在するか、またはこれらは、総計5%未満で存在する。いくつかの実施形態において、生じるトリアシルグリセロールは、全レベルのホスファチジル残基およびステロール残基を除去するためにさらに精製されない。しかし、ヒマワリ油およびサフラワー油の異性化からの残存するレベルは、食餌および食物における安全で可食の製品を含む商業的適用に対して十分である。他の実施形態において、トリアシルグリセロールは、分子蒸留によってさらに精製される。
【0072】
固定されたCandida antarcticaリパーゼは、Harraldsonらにおいて、n−3型の多価不飽和脂肪酸について記載されたものと類似の様式で使用される。エステル化反応は、50°〜75℃、好ましくは65℃で、そして形成の際に同時生成される水またはアルコールを(エステルから)除去するために使用されるいかなる溶媒も減圧も存在させずに、実行される。これは、トリアシルグリセロール生成を完了にシフトさせ、そして本質的に定量的な収率での、いかなるモノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロールも実質的に含まない高度に純粋な生成物を確実にする。化学量論量の遊離の脂肪酸(すなわち、グリセロールに基づく場合、3モル当量、またはグルセロール部分に存在するヒドロキシル基のモル当量の数に基づく場合、1モル当量)が使用され得る。基質の総重量に基づく場合、10%投与量のリパーゼのみしか、必要でなく、これは多数回使用され得る。これは、生産性の観点から非常に重要である。これらの全ては、溶媒が必要とされないという事実とともに、このプロセスを、スケールアップおよび工業化の観点から非常に実現可能性のあるものにする。なぜなら、容積およびかさ高さの削減が、莫大であるからである。また、わずかに過剰な(<5/5)遊離の脂肪酸は、終了へと反応を加速するため、および反応の完結を確実にするために、使用され得る。
【0073】
反応の開始において、1−モノ−アシルグリセリドまたは3−モノ−アシルグリセリドが最初に形成され、続いて1,3ジアシルグリセリドが形成され、そして最終的に、より長い反応時間においてトリグリセリドが形成される。モノアシルグリセリドおよびジアシルグリセリドは、これらが生物学的活性を表すが、水性細胞環境においてより大きな可溶性を有し、かつ代替的な分子合成経路(例えば、リン脂質または他の機能的脂質の合成)に関与し得るという点で、有用な中間体である。対照的に、トリグリセリドは、しばしば細胞膜または貯蔵小胞中にインタクトで沈積される。従って、遊離の脂肪酸またはエステルよりもモノグリセロール、ジグリセロールまたはトリグリセロール形態のCLAの投与は、CLA成分の取り込みの様式および分布、代謝速度ならびに構造的役割または生理学的役割に影響を与え得る。
【0074】
(III.CLA化合物の安定化)
本発明者らは、不活性でない容器または不活性でない条件下でのCLA組成物の貯蔵が、長期の安定性に有害であり得ることを最初に理解した。これは詳細には、金属イオン(例えば、鉄イオンおよび銅イオン)が、容器から溶解され得、そしてこの組成物の望ましくない酸化および揮発性有機化合物(特に、低分子量揮発性有機化合物)の形成を引き起こし得るという事実に起因する。これらの所望されない化合物は、CLA製品の味および香りの両方に影響を与える。本発明者らはまた、これらの化合物の形成を回避するためにCLAの加工の各工程において金属イオンを制限する(例えば、分子蒸留および他の蒸留工程の組合わせを介した金属の除去、貯蔵に適した製品を生成するためのこの蒸留した生成物に対する吸着剤の使用、および貯蔵製品における抗酸化剤およびキレート剤の使用による)ことが好ましいことを発見した。
【0075】
従って、本発明は、CLA(CLA、CLAのエステル、およびCLAのトリグリセリドを含むがこれらに限定されない化合物を含む)の、これらの化合物の酸化を回避することによる安定化を意図する。好ましい実施形態において、これらの組成物は、少なくとも30日間安定であり、そして好ましくは最大2年間安定である。安定性は、貯蔵されるCLA製品における低分子量揮発性有機化合物のレベルによって、慣用的に記載され得る。従って、約30日〜約2年間貯蔵されるこれらのCLA製品は、約100ppm未満の低分子量揮発性有機化合物、好ましくは約10ppm未満の低分子量揮発性有機化合物、および最も好ましくは約5ppmまたは1ppm未満の低分子量揮発性有機化合物を含む。
【0076】
本発明は、いかなる1つの機構にも限定されない。実際、本発明の機構の理解は、本発明の組成物を生成するためにも本発明の方法を実行するためにも、必ずしも必要ではない。それにもかかわらず、共役されていない脂肪酸と異なり、CLAは、過酸化物分解生成物を形成しないようである。これは、比色定量的チオシアン酸鉄方法(chlorimetric ferric thiocyanate method)によって過酸化物値(PV)を分光光度的に測定することによって、実験的に実証された。開放したガラスにおける貯蔵後、CLAのPVは32であった;比較において、リノール酸の値は370であった。
【0077】
CLAは、分解の間に、ヘキサンを含む揮発性有機化合物を形成する。スチールドラム中に数週間貯蔵された製品は、最大25ppmのヘキサンを含むことが見出された。ヘキサンは、食物製品において所望されない特徴的な味および香りを有する。CLAの酸化は、金属夾雑物の存在によって引き起こされるようである。従って、精製の間に酸化を促進するこのような化合物の除去のためのシステムが、有利である。
【0078】
さらに、化合物をCLA調製物に添加して保存中の酸化を減少することもまた有利である。酸化を防止する化合物(酸化防止剤)は、2つの一般的な作用機構を有する。第1は、脂質過酸化物のラジカルの除去による酸化の防止である。例としては、トコフェロールおよびアスコルビルパルミテートが挙げられるが、これらに限定されない。酸化を防止するための第2の機構は、金属イオンのキレート化による。金属酸化剤キレート剤の例としては、クエン酸エステルおよびレシチンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの市販の化合物(例えば、Controx、Grumau(Henkel)、Illertissen、DE)は、過酸化物除去剤および金属キレート剤の両方(例えば、レシチン、トコフェロール、アスコルビルパルミテートおよびクエン酸エステル)を含む。本発明のいくつかの実施形態において、金属酸化剤キレート剤が、CLA含有化合物に添加され、酸化を防止する。他の実施形態において、金属酸化剤キレート剤および過酸化物除去剤の組み合わせが、CLA組成物に含まれる。
【0079】
いくつかの実施形態において、ガスクロマトグラフィー/質量分析法が、CLAの揮発性の有機分解生成物の存在の検出において使用される。他の実施形態において、油安定性指数(OSI)測定が、CLAの揮発性の有機分解生成物の存在を検出するために使用される。好ましい実施形態において、本発明の安定化された組成物は、60℃で少なくとも約20〜100時間のOSIを有する。特に好ましい実施形態において、60℃で約40時間のOSIを有する。これらの値は、金属イオンの除去ならびに抗酸化剤およびキレート剤の添加に起因して、OSI測定AOCS Official Method(公定方法) Cd 12b−92の推奨範囲を超えることに留意する。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態において、CLAサンプルからの酸化促進剤(pro−oxidant)(例えば、鉄)の除去のための方法が、提供される。方法としては、蒸留または吸着によるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、異性化されたCLAの金属イオン濃度は、約1ppm〜10ppmである。好ましくは、金属イオン濃度は、約1ppm未満であり、そして最も好ましくは、蒸留および/または吸着後に、約0.5ppm未満である。本発明のいくつかの実施形態において、以下に記載のように、化合物が、CLAの酸化を防止するために添加される。
【0081】
実施例12は、ガスクロマトグラフィー、その後の質量分析法による、揮発性有機化合物の測定を示す。CLAは、実施例11の方法によって調製される。GC/MSを行い、そしてピークを、参照物質(例えば、Wiley参照検索)を使用して同定される。表28は、同定された化合物およびそれらの相対量を列挙する。同定された揮発性の有機化合物としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテナール、エタノール、3−メチルブタナール、4−メチルペンタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、2−ペンチルフラン、およびオクタナールが挙げられる。実施例12は、CLAのサンプルが、所望でない揮発性の有機化合物を含むことを示す。サンプルが、出発物質および正確な反応条件に依存して、さらなる揮発性の有機化合物を含み得ることが、当業者に理解される。
【0082】
1つの例示的な実施例において、揮発性の有機酸の生成が経時的に増加することが示される。実施例13は、60℃で21日間の外気中での保存の前後のCLA溶液中のペンタンおよびヘキサンの相対量を示す。結果を表28に示す。ペンタンおよびヘキサンの両方の量が、21日後に約2倍に増加した。この実施例は、CLAの酸化生成物として存在する揮発性の有機化合物のレベルが、経時的に増加することを示す。
【0083】
好ましい実施形態において、保存中の酸化を防止するために、精製中に予防措置を講じる。これらの予防措置としては、酸化促進剤として作用する化合物(鉄または他の金属を含むが、これらに限定されない)の除去が挙げられる。いくつかの実施形態において、金属は、吸着剤(漂白土類(bleaching earth)、活性炭ゼオライト、およびシリカが挙げられるが、これらに限定されない)での処理によって除去される。他の実施形態において、酸化促進剤は、蒸留によって除去される。
【0084】
実施例16は、金属を吸着するための1つの方法の例示的な実施例を提供する。この実施例において、シリカを、吸着剤として使用する。実施例14の方法によって調製されたトリアシルグリセリドを、最初に、上昇した温度および圧力にて脱臭した。次いで、このサンプルをシリカと混合し、減圧下で加熱した。本発明は、実施例16に記載の吸着条件に限定されることを意図されず;当業者に公知の他の吸着方法が意図される。
【0085】
いくつかの実施形態において、酸化促進剤は、蒸留プロセスにおいて除去される。例示的な実施例を、実施例14に与える。この実施例において、CLAのトリアシルグリセリドの蒸留を、分子蒸留装置で行う。蒸留を、150℃および10−2mbarの圧力にて行う。本発明は、この蒸留について記載した条件に限定されることを意図されない。他の温度および圧力は、本発明の範囲内にある。
【0086】
いくつかの実施形態において、CLAの酸化は、最終生成物への金属酸化剤キレート剤または過酸化物除去剤の添加によって防止される。好ましい金属イオンキレート剤としては、EDTA、DTPA、ペニシラミン、デフェロキサミン、および他の安全であると一般に認識されている(GRAS)キレート剤、ならびにそれらの生理学的に受容可能な塩が挙げられる。
【0087】
いくつかの実施形態おいて、酸化の量は、油安定性指数(OSI)によって測定される。OSI(例えば、AOCS公定方法Cd 12b−92を参照のこと)は、酸化に対する油の耐性の尺度である。これは、酸化速度の最大変化の時間として数学的に規定される。この速度は、数学的に決定され得る。実験的に、OSIは、揮発性の有機酸(酸化生成物)が溶解される脱イオン水の伝導性における変化を測定することによって計算される。OSI測定を行う場合、酸化プロセスを促進し得る微量の金属の混入を回避することが重要である。これは、一般に、クロメートまたは界面活性剤を欠く洗浄溶液と共に用いる、全てのガラス製品の注意深い洗浄によって達成され得る。水は脱イオン化されなければならず、そして全ての溶媒は高度に精製された品質のものでなければならない。
【0088】
抗酸化剤の存在下または非存在下でのCLAのOSI測定を例示する実施例を、実施例15に与える。実施例15において、CLAのトリアシルグリセリドを、実施例14の方法によって調製する。サンプルを、種々の量(0〜0.1%)の4つの抗酸化剤(Controx(Grunau(Henkel)、Illertissen,DE)、Herbalox(ローズマリーの抽出物;Kalsec、Kalamazoo、MI)、Covi−OX(Grunau(Henkel)、Illertissen,DE)、およびα−トコフェロール)を含む開口皿に配置する。OSIを、上記のように計算する。結果を、表29および図2に示す。α−トコフェロールの添加は、OSI値を有意に増加しなかった。Herbaloxは、この値を約2〜3倍増加した。Covi−OXおよびControxは、OSI値をより高い量(それぞれ、約4倍および6倍)に増加した。この実験は、抗酸化剤の添加が、保存中のCLA含有化合物の酸化を遅らせ得ることを実証した。
【0089】
(IV.CLA含有化合物の投与)
本発明の共役リノール酸部分は、種々の形態で提供され得る。いくつかの実施形態において、投与は、経口である。CLA部分は、適切なキャリア(例えば、デンプン、スクロースまたはラクトース)と共に、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、溶液、液体、スラリー、懸濁液およびエマルジョンに処方され得る。好ましくは、CLA処方物は、抗酸化剤(Controx、Covi−OX、レシチン、およびビタミンC(アスコルビルパルミテート)の油溶性形態が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。CLAは、水溶液、油性溶液、または上記の他の形態のいずれかで提供され得る。本発明の錠剤またはカプセル剤は、腸溶性コーティングでコートされ得、このコーティングは、約6.0〜7.0のpHで溶解する。小腸で溶解するが胃で溶解しない適切な腸溶性コーティングは、酢酸フタル酸セルロースである。いくつかの実施形態において、CLAは、750mgの80%CLAを含む軟性ゼラチンカプセル剤(TonalinTM)として提供される。CLAはまた、多くの他の経路のいずれかによって提供され得る。これらの経路としては、静脈内、筋内、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所的、舌下または直腸手段が挙げられるが、これらに限定されない。処方および投与のための技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出され得る。
【0090】
有効量のCLA部分が、種々の食品(動物飼料、および飲料を含む)における補助剤として提供され得る。この適用の目的のために、CLAを含む食品は、外来性のCLAが添加された、任意の天然の食品、加工食品、ダイエット食品または非ダイエット食品を意金属酸化剤キレート剤する。CLAは、遊離脂肪酸、共役リノール酸のエステルの形態で、または油含有のCLAの部分トリグリセリドまたは全トリグリセリドとして添加され得る。従って、CLAは、種々の調製された食品(ダイエット飲料、ダイエットバー、補助剤、加工凍結食、キャンディー、スナック製品(例えば、チップス)、加工肉製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトおよび任意の他の脂肪または油含有食品が挙げられるが、これらに限定されない)に直接含まれ得る。アルキルエステルまたはアルカリアルコラート触媒によって生成された共役リノール酸成分を処方された食品は、使用する溶媒および触媒に依存して、アルコール(例えば、メチルアルコールまたはエチルアルコール)を含む。一般に、これらのアルコールは、約1〜10ppmで存在する。
【0091】
さらに、上記および実施例に示されるように、CLA組成物は、CLAを含有する食品の味および香りに悪影響をもたらさないレベルの揮発性有機化合物を含み得る。100ppm未満の揮発性有機化合物、そして好ましくは、5ppm未満の揮発性有機化合物を有するCLA組成物を含む本発明の食品が、より高いレベルの揮発性有機化合物を含む食品に比べて味および香りが優れており、そして味および香りの盲検において好まれることが意図される。従って、本発明のいくつかの実施形態は、共役リノール酸部分を含む食品を提供し、ここで、この共役リノール酸部分は、その食品の味および香りが影響されないように十分に低い揮発性有機酸化合物濃度を有する。
【実施例】
【0092】
(実験)
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および局面を実証およびさらに例示するために提供され、そして本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0093】
以下の実験の開示において、以下の略語を適用する:M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);kg(キログラム);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);Lまたはl(リットル);ml(ミリリットル)μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏度);KOH(水酸化カリウム);HCL(塩酸);Hg(水銀)。
【0094】
(実施例1)
(低温でプロピレングリコールを使用するサフラワー油の異性化)
サフラワー油を、触媒としてKOHを使用して、低温にてプロピレングリコール中で異性化した。この異性化装置は、温度計を備えた2首フラスコからなり、温度計は、一方の首に配置され、過剰の圧力を放出するために小さい開口を残す。窒素供給源を、このフラスコのもう一方の首に取り付けた。フラスコに添加した溶液を、磁気棒および磁気スターラーの使用によって攪拌した。フラスコの温度を、磁気スターラー上に配置したサーモスタット制御油浴中にフラスコを配置することによって制御した。
【0095】
フラスコを、60.27gのプロピレングリコールおよび28.20gのKOHで満たし、そして油浴中に漬けた。温度を130℃に上昇させ、KOHを溶解させた。KOHが溶解した後、60.09gのサフラワー油をフラスコに導入した。多量の窒素を、2首フラスコを通して5分間循環させ、次いで、より少量に減少させた。この混合物を150℃に加熱した(約40分を要した)。次いで、この混合物を、3.5時間150℃で反応させた。間隔を開けながら、3mlのサンプルを分析用に採取した。
【0096】
これらのサンプルを、6mlの熱水中に直接配置し、そしてクエン酸を、遊離脂肪酸が上層として分離されるまで過剰に添加した。加熱は、クエン酸を添加する間の凝固を防止するために必要であった。ガスクロマトグラフィーによる分析のために遊離脂肪酸をメチルエステルに変換するために、0.025gの遊離脂肪酸、5mlの4% HCl溶液およびエタノールを試験管に添加した。窒素を試験管に添加し、次いで、試験管を密閉し、そして20分間60℃の水浴中に置いた。次いで、試験管を冷却し、1mlの精製水および5mlのイソオクタンを添加した。窒素を試験管に添加し、そして試験管を30秒間振盪した。得られた上層を、新しい試験管中の1μlの精製水に添加し、そして再度窒素下で振盪した。次いで、得られた上層をイソオクタンで洗浄し、第3の試験管にデカントした。少量の硫酸ナトリウムを、水分吸収のために添加した。次いで、1μlのサンプルを、ガスクロマトグラフに直接注入した。
【0097】
ガスクロマトグラフィー条件は、以下のとおりである:
システム:Perkins−Elmer自動システム
注入器:240℃でのスプリットなし(Splitless)
検出器:280℃での水素炎イオン化検出器
キャリア:ヘリウム
カラム:WCOT融合シリカ0.25mm×100M、CP−SL 88 FAME用、DF0.2
オーブンプログラム:80℃(0分)から、10℃/分で220℃まで上昇し、220℃で10分間維持
全ての結果を、相対的なピーク面積%として表す。標準は一般的に利用可能でなく、そのため、溶出したピークを他のシステムで確かめた。GC−MSは、シス結合およびトランス結合の数を決定するが、これらの位置を決定しない。従って、NMR分析を使用して、結合の位置を確認した。大きいピークは、c9,t11およびt10,c12であった。CLA異性体のNMR分析については、Marcel S.F.Lie Ken JieおよびJ.Mustafa,Lipids,32(10)1019−34(1997)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0098】
このデータ(表6に示されそして表10に要約される)は、プロピレングリコール(溶媒として)、KOH(触媒として)および低い温度を使用するサフラワー油の異性化が、8,10異性体および11,13異性体を欠く共役リノール酸の生成を生じることを実証する。この実験において使用した高度に極性のカラムは、c9,t11異性体およびt10,c12異性体から8,10異性体および11,13異性体を分離するために首尾よく使用され得る。8,10異性体は、c9,t11異性体と同時に溶出されるかまたはc9,t11異性体の直後に溶出される傾向がある。11,13異性体は、カラム条件に依存して、t10,c11異性体の前に溶出するか、またはt10,c12異性体と共に溶出する。
【0099】
この方法に従って生成された共役リノール酸を、生成される種々の異性体を比較することによって特徴付けた。第1に、この異性化反応は、実質的に完了するまで進行した。この反応の完全性は、リノール酸異性体−残留するc9,t12リノール酸についての総ピーク面積を、総ピーク面積によって除算することによって得られる。この値は、0.994である。第2に、総ピーク面積に対するc9,t11異性体およびt10,c12異性体の比が決定され得る。この値は、0.953である。第3に、c9,t11異性体およびt10,c12異性体に対するt9,t11異性体およびt10,t12異性体の比が決定され得る。この値は、0.010である。第4に、総ピーク面積に対するt9,t11異性体およびt10,t12異性体の比が決定され得る。この値は、0.009である。第5に、c9,t11異性体に対するt10,c12異性体の比が決定され得る。この値は、1.018である。これらの比を、表11に要約する。
【0100】
(実施例2)
(高温および高圧での水性異性化)
50gの水および25.32gのNaOHを、高圧リアクタ(Parr Model 450 ML Benchtop Alloy 400(圧力ゲージおよびスターラーを備える))に添加した。NaOHを溶解させ、そして94.0gのサフラワー油をリアクタに添加した。リアクタを閉じ、そして2分間窒素をフラッシュし、次いで、全ての弁を閉じた。リアクタを電気ガスケット中で210℃に加熱し、この温度で6時間維持した。次いで、温度を60℃に減少し、その後圧力を放出し、そしてリアクタを開けた。2gの生じた凝固セッケンをリアクタから採取し、そして約40℃の水に溶解した。次いで、クエン酸を添加して溶液中のpHを6未満に低下させた。サンプルを、脂肪酸の上層から採取し、そして実施例1のようにガスクロマトグラフィー用に調製した。
【0101】
ガスクロマトグラフィーの結果を表7に表し、そして表10に要約する。これらのデータは、この異性化方法が、比較的多い量の8,10異性体および11,13異性体の形成を生じることを示す。比を表11に示す。
【0102】
(実施例3)
(高温高圧でのサフラワー油の非水性アルカリ異性化)
100.48gのプロピレングリコールおよび46.75gのKOHを、実施例2に記載されるような高圧反応器に添加した。次いで、この反応器を、KOHを溶解するために130℃まで加熱した。次いで、100.12gのサフラワー油を、KOH−プロピレングリコール混合物に添加した。この反応器を閉じ、窒素で1分間フラッシュし、そして全てのバルブを閉じた。次いで、この反応器を210℃まで加熱し、そしてこの温度で1時間維持した。この反応器を冷却し、そして内容物を120gの熱水にデカントした。攪拌しながら、35.3gの37%HClおよび27.59gのクエン酸を、この脂肪酸に連続して添加した。最上層からサンプルを採取し、そして減圧フラスコ中60℃で乾燥させた。得られた脂肪酸のサンプルを、実施例1に記載のようにガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0103】
この結果を表8に表し、そして表10に要約する。この実験は、高温でKOHおよび非水性溶媒を用いるサフラワー油の異性化が、有意な量の8,10異性体および11,13異性体、ならびにt9,t11異性体およびt10,t12異性体の形成を生じることを実証する。比を表11に示す。
【0104】
(実施例4)
(低温での水性アルカリ反応)
49.94gの水および39.96gのNaOHを、実施例3に記載される高圧反応器に添加した。この混合物を、NaOHが溶解するまで加熱した。次に、100.54gのサフラワー油をこの高圧反応器に添加し、この反応器を窒素でフラッシュし、そして全てのバルブを閉じた。この高圧反応器を、179℃まで22.5時間加熱した。実施例3のように、ガスクロマトグラフィーのためのサンプルを調製した。このデータを表9に示し、そして表10に要約する。この実験は、水性アルカリ異性化について低温が用いられる場合、共役反応は完了しないことを実証する。さらに、有意な量の8,10異性体および11,13異性体が生成される。比を表11に示す。
【0105】
【表6】



【0106】
【表7】



【0107】
【表8】



【0108】
【表9】



【0109】
【表10】

【0110】
【表11】


(実施例5)
(直接エステル化によるCLAのトリアシルグリセロールの調製)
概要。溶媒としての重水素化クロロホルム中で、H核磁気共鳴スペクトルをBruker AC 250 NMR分光器で記録した。MilliporeからのPrepPak(登録商標)500/Silica Cartridgeカラムを使用し、石油エーテル中の10%ジエチルエーテルで溶出する、WatersからのPrepLCTM System 500A機器によってHPCL分離を行った。分析GLCを、Haraldssonら,Acta Chem Scanned 45:723(1991)に記載されるような、以前に記載された手順に従って、Perkin−Elmer 8140 Gas Chromatographで行った。
【0111】
固定したCandida antarcticaリパーゼを、DenmarkのNovo NordiskからNovozymeTMとして得た。これを、エステル化実験において提供する場合、直接使用した。Merckから購入した分析等級のジエチルエーテルは、いずれの精製もなく使用したが、Merckからの合成等級のn−ヘキサンは、抽出およびHPLCクロマトグラフィーにおいて使用する前に、新たに蒸留した。グリセロール(99%)を、SigmaおよびAldrich Chemical Companyから購入し、そしてさらなる精製なしで使用した。CLA濃縮物を、NorwayのNatural Lipidsから、遊離脂肪酸としてTonalinTMとして得た。この純度を、分析用GLCおよび高磁場NMR分光法によって確認し、これによってある程度のグリセリド不純物が明らかになった。Science InstituteでのGLCによって、CLA濃縮物は、43.3%の9−cis,11−trans−リノール酸、44.5%の10−trans,l2−cis−リノール酸、5.4%の他のCLA異性体、5.6%のオレイン酸、および各々0.6%のパルミチン酸およびステアリン酸を含むことがわかった。
【0112】
(実施例6)
(直接エステル化によるCLAのトリアシルグリセロールの調製)
固定したCandida antarcticaリパーゼ(1.25g)を、グリセロール(1.22g、13.3mmol)および遊離脂肪酸としてのCLA(M.wt.280.3g/mol;11.6g,41.5mmol)の混合物に添加した。この混合物をマグネチックスターラーホットプレート上、65℃、0.01〜0.5Torrの持続減圧下で、緩やかに攪拌した。この反応の進行の間に精製した揮発性の水を、液体窒素冷却トラップ中に持続的に濃縮した。48時間後、この反応を中断し、n−ヘキサンを添加し、そして酵素を濾過によって濾別した。この有機相を、炭酸ナトリウムのアルカリ性水溶液で処理して、過剰の遊離脂肪酸を除去した(必要な場合)。この有機溶媒(適切な場合、無水硫酸マグネシウムで乾燥後)を、ロータリーエバポレーターで減圧下で除去し、続いて、高減圧処理によって実質的に純粋な生成物を、わずかに黄色がかった油状物として得た(10.9g;平均M.wt.878.6g/mol;収率93%)。化学量論量の遊離脂肪酸が使用される場合、標準化水酸化ナトリウムによる滴定を適用して、粗反応生成物の遊離脂肪酸含有量を決定した(エステル基のモル数に基づく場合の1%未満の遊離脂肪酸含有量は、少なくとも99%の取り込みに対応し、これは、最低97%のトリグリセリド含有量と等価である)。この粗生成物を、HPLCに直接導入し、n−ヘキサン中の10%ジエチルエーテルで溶出して、100%純度のトリグリセリドを無色の油状物として得た。250MHz 1H NMR(CDCl3)8(ppm)6.35−6.23(3H,ddt,Jtrans=15.0Hz,J=10.9Hz,Jアリール=1.3,=CHCH=CH),5.98−5.90(3H,dd,Icis=10.9,J=10.9,−CH=CHCH=),5.71−5.59(3H,dtd,Jtrans=15.0Hz,J=6.9Hz,J=6.9Hz,J=2.2Hz,=CH=CHCH2−),5.35−5.26(4H,m,=CH2CH=CH−および−CH2C−ICH2−),4.33−4.26(2H,dd,Jgem=11.9Hz,J=4.3,−CH2CHCH2−),4.18−4.10(2H,dd,Jgem=1.8Hz,J=6.0,−CH2CHCH2−),2.37−2.31(6H,t,J=7.4 H2,−CH2COOR),2.19−2.05(12H,m,−CH2CH=CH−),1.66−1.60(6H,qu.,J=Hz,−CH2CH2COOR),1.43−1.30 18H,m,−CH2−),0.91−0.86(9H,t,J=6.7Hz,−CH3)。13C−NMR(CDCl3):8(ppm)173.2,172.8,134.6,130.0,128.6,125.5,68.8,62.0,34.0,32.9,31.6,29.6−28.9(6C),27.6,24.8,22.5,14.1。
【0113】
この反応の進行をモニターするため、およびこの反応の間の個々のグリセリドの組成についてのより詳細を提供するために、サンプルを、この反応の進行に伴なって規則正しく収集した。これらをHNMR分光法によって分析し、そしてこの反応の進行の間のモノ−、ジ−およびトリアシルグリセロールの組成における良好な洞察を提供した。この結果を、以下の表12に示す。この表から認識され得るように、1,3−ジアシルグリセロールは、この反応の最初の2時間の間、この反応混合物の優位を占める。4時間後、トリアシルグリセロールが優勢になり、そして22時間後に98%の組成に達し、そして48時間後に100%に達した。予想され得るように、1,2−ジアシルグリセロールは、1,3−ジアシルグリセロールよりも相当低いレベルに達した。1−モノアシルグリセロールは、この反応の最初の時間の間に最大に達したが、2−モノアシルグリセロールは、この反応を通して検出されなかった。
【0114】
【表12】


(実施例7)
(CLAの収率および組成に対する、種々の温度および反応持続時間の影響) サフラワー油の共役に対する温度および反応持続時間の影響を決定した。水およびNaOHを、表1、欄1および2に示されるように、高圧反応器(圧力ゲージおよびスターラーを備えたParr Model 450ML Benchtop Alloy 400)に添加した。NaOHを溶解し、そしてサフラワー油(欄3)をこの反応器に添加した。この反応器を閉じ、そして2分間窒素でフラッシュし、次いで全てのバルブを閉じた。この反応器を、電気的ガスケットで所望の温度まで加熱し(欄4)、そして所望の時間(欄5)この温度を維持した。ついで、圧力を開放する前に、この温度を60℃まで低下し、そして反応器を開けた。各反応について、反応器から、得られた2グラムの凝固した石鹸を取り出し、そして約40℃の水に溶解した。ついで、クエン酸を添加して、この溶液のpHを6未満まで下げた。サンプルを、この脂肪酸最上層から取り出し、そしてガスクロマトグラフィーのために調製した。
【0115】
このガスクロマトグラフィーの結果を、欄6(9,11異性体および10,12異性体の全パーセンテージ)、欄7(11,13異性体の全パーセンテージ)、ならびに欄8(全てのCLA異性体の全パーセンテージまたは収率)に示す。これらのデータは、反応の持続時間および温度が増加するにつれて、共役体の総量および11,13異性体のパーセンテージが増加することを示す。11,13異性体の形成が少ない条件下では、共役体の総量もまた少ない。
【0116】
【表13】


(実施例8)
(サフラワー脂肪酸メチルエステル(FAME)の結合)
この反応を、閉鎖容器中で行った。以下の成分を一緒に混合した:100gのサフラワーFAME、および約2.8gのKOCHおよび2.8gのメタノールの混合物。2種の成分の混合の間のメタノールの蒸発に起因して、メタノールより多くのKOMeがおそらく存在する。この混合物を、この閉鎖反応容器中、窒素雰囲気下で、111〜115℃で5時間攪拌した。異性体の分布を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。この結果を、表2に要約する。未処理のGCデータを、表3に示す。これらのデータは、結合サフラワーFAMEが、穏やかな条件下で達成され得、かなりの量の所望でない8,10異性体および11,13異性体を含まない生成物を生じることを示す。
【0117】
表14:異性体の分布
パルミチン酸 6.6%
ステアリン酸 2.7%
オレイン酸 12.9%
リノール酸 5.7%(未結合)
CLA c9,t11 34.1%
CLA t10,c12 33.3%
CLA c,c 1.8%
CLA t,t 1.0%
CLA 合計 70.2%。
【0118】
(実施例9)
(共役サフラワーFAMEの大規模バッチ生成物)
サフラワー結合FAMEの生成を、2つの段階に分け得る:メタノール分解および結合。メタノール分解のために、6,000kgのサフラワー油を、閉鎖反応器に入れた。この反応器を、大気圧の窒素でパージし、そして1150リットルのメタノールおよび160kgのNaOCH(30%溶液)を添加した。この混合物を、攪拌しながら65℃まで加熱し、そして65℃で2時間反応させた。得られた底部層を、反応器を窒素ガスでパージしながらデカントした。次いで、1000リットルの水(40〜50℃、これに50kgのクエン酸一水和物が溶解される)を、攪拌しながら添加した。この層を分離させ(約60分)、そして底部層を、この反応器を窒素ガスでパージしながらデカントした。得られたサフラワーFAME生成物を、80℃、減圧下で1時間乾燥させた。
【0119】
サフラワーFAMEを結合するために、メタノールに溶解してぺーストを形成した250kgのKOCHを、この反応器に添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら120℃まで加熱し、そして反応を3時間続けた。この混合物を100℃まで冷却し、そして1000リットルの水(40〜50℃、これに50kgのクエン酸一水和物が溶解される)を、攪拌しながら添加した。この混合物を15分間攪拌し、次いでこの層を20分かけて分離した。底部層をデカントし、そして生成物を80℃で1時間乾燥させ、次いで窒素下で保存した。
【0120】
得られたCLAを、以下の条件下で、Perkin Elmer Autosystem XL GCを用いて分析した:
カラム: WCOT融合シリカ 100m×0.25mm,Coating CP SIL 88
キャリア: Heガス,30.0PSI
温度: 220℃
作動時間: 35〜90分
注入: Splitless,240℃
検出: FID,280℃。
【0121】
このGCの結果を、表15および16に要約する。
【0122】
【表14】




(実施例10)
以下は、本発明のCLA遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびエステルを含む代表的な動物の食料の例である。
【0123】
A.ブタの開始食料
【0124】
【表15】


B.ブタのための成長停止食料(40−240LBS[18−109KGS])
【0125】
【表16】


C.ブタの成長停止食料(ブタ121−240LBS[55−109KGS])
【0126】
【表17】


ブタの微量鉱物再混合物の組成および分析
【0127】
【表18】


(ブタビタミンプレ混合物の組成)
(表20)
【0128】
【表19】


(D.雌鶏についての18%タンパク質層食料)
(表21)
【0129】
【表20】


(E.ブロイラーについての開始期食料および仕上げ期食料)
(表22)
【0130】
【表21】


(F.飼育期/仕上げ期シチメンチョウ食料)
(表23)
【0131】
【表22】


(G.乾燥ドッグフード処方)
(表24)
【0132】
【表23】


(H.やや湿気のあるドッグフードの処方)
(表25)
【0133】
【表24】


(実施例11)
(CLAの大スケール調製)
本実施例は、サフラワー油の異性化によるパイロットスケールでのCLAの遊離脂肪酸の方法を示す。1000kgのKOHを、2070Lのプロピレングリコールに溶解した。その後、この混合物を、攪拌しながら100℃まで加熱した。ついで、2340Lのサフラワー油を添加し、そしてその温度を、150℃まで3時間上昇させた。その後、この混合物を、冷却し、そして1000Lの水および1350LのHCLを添加した。この時点で、その溶液が、遊離脂肪酸を上層として、二層に分離した。これらの層を分離し、そして下の水層を廃棄した。上層を、50kgのクエン酸を含む1000Lの水を用いて洗浄した。この水層を廃棄し、そして油(CLA)含有層を、減圧下で乾燥した。
【0134】
(実施例12)
(揮発性化合物の検出)
本実施例は、ヘッドスペースキャピラリーガスクロマトグラフィーおよび質量分析計を使用する、揮発性有機化合物の検出を示す。実施例11の方法により調製した3gのCLAを、スリフ(sliff)管において70℃、100ml/分の窒素を用いてパージした。放出された揮発性化合物を、パージおよび捕捉技術によって、Tenex GR上に吸収した。その後、吸収された化合物を、ロウエーテルカラム(J&W)を備えたHewlett Packard 5890/5970 GC/MSDガスクロマトグラフィーシステムに、Perkin Elmer ATD注入器によって注入した。ピークを、Wiley参照サーチを使用して同定した。
【0135】
表27は、最も優勢なピークおよびその相対的存在度(面積%)を示す。11個の揮発性化合物を、サンプル(ペンタンおよびヘキサンを含む)中で同定した。これらの化合物の多く(ヘキサンを含む)は、動物またはヒトによる消費のための製品中では望ましくない。これらの結果は、油の化学的共役により調製されたCLAサンプルは、望ましくない揮発性有機化合物を含むことを示す。
【0136】
(実施例13)
(CLAの酸化)
本実施例は、経時的なCLAの酸化を示す。CLAを、実施例11に記載されるように調製した。1つのサンプルを、試験管中にて室温で21日間放置した。第2の参照サンプルを、−30℃で貯蔵した。両方のサンプルにおけるペンタンおよびヘキサンの増加を、実施例12に記載される方法によって測定した。結果を、表28に示す。サンプル中に存在するペンタンおよびヘキサンの両方の量が、室温で21日間の貯蔵の後、約2倍増加した。本実施例は、油の化学的共役により調製されたCLAサンプルが、経時的に酸化して、望ましくない揮発性有機化合物を形成することを示した。
【0137】
(実施例14)
(トリアシルグリセリドの生成)
CLAを、実施例11の方法に従って調製した。その後、この製品を、150℃および圧力102mbarで分子蒸留プラントにて蒸留した。次いで、1000kgのこの蒸留産物を、97kgの純粋なグリセロールおよび80kgリパーゼと混合した。この反応を、減圧下で攪拌しながら、55℃で12時間進行させた。そのトリアシルグリセリド産物を、分子蒸留装置にて希釈して、未反応脂肪酸を除去した。
【0138】
(実施例15)
(CLAトリアシルグリセリドの酸化)
実施例14の産物のアリコートを、フタをしない皿に配置し、制御した条件下で60℃にて貯蔵した。抗酸化剤を、種々の量で、これらのサンプルのうちのいくつかに添加した。使用した抗酸化剤は、Controx(Grunau(Henkel),Illertissen,DE)、Herbalox(Kalsec,Kalamazoo,MI)、Covi−OX(Grunau(Henkel),Illertissen,DE)、およびα−トコフェロールであった。抗酸化剤を、0重量%、0.02重量%、0.05重量%、および0.10重量%で添加した。
【0139】
油安定性指数(OSI)を、当該分野で公知の方法(Omnion InstrumentsからのOSI装置を使用する、AOCS公式方法Cd 12b−92)を使用して測定した。サンプル(5g)を、耐熱浴中で保持し、そして精製空気流を、このサンプルに通した。このサンプルからの流出空気を、脱イオン水を含む容器を通してバブリングした。この水の伝導性を、経時的に継続モニタリングする。そのOSI(酸化率の最大変化の点)を、数学的に決定する。このOSI測定の結果を、表29および図2に示す。α−トコフェノールの添加は、このOSI地を有意には増加しなかった。Herbaloxは、その値を約2〜3倍増加した。Covi−OXおよびControxは、より大量に、それぞれ、約4倍および6倍、このOSI値を増加した。本実験は、特定の抗酸化剤(金属酸化剤キレート剤を含む)の添加は、貯蔵の間のCLA含有化合物の酸化を遅らせ得ること示す。
【0140】
(実施例16)
(吸収剤での処理)
CLAのトリグリセリドを、実施例14に記載されるように調製した。このサンプルを、150℃および1mmHgで3時間脱臭した。次いで、このサンプル500mlを、粉末シリカで処理した。シリカを2%まで添加し、減圧下で30分間、90〜100℃まで加熱した。次いで、このサンプルを冷却し、そして濾過した。
【0141】
(表26)
【0142】
【表25】


(表27)
【0143】
【表26】


(表28)
(抗酸化剤の存在下でのOSI値(標準偏差)
【0144】
【表27】


(実施例17)
(アルコラート触媒を用いたCLAの生成)
本実施例は、カリウムメチレートを触媒として使用して、サフラワー油からCLAを生成することを記載する。サフラワー油(41.5g)の蒸留メチルエステルを、0.207gメタノールおよび0.62gカリウムメチレートを含むリアクター中に配置し、そしてそのリアクターを、閉める前に窒素でパージした。このリアクターの内容物を、攪拌しながら120℃にした。その後、その反応を、120℃で4時間進行させた。その後、そのリアクターを80℃まで冷却し、そしてその内容物を、分離漏斗に移し、そして熱い蒸留水で洗浄し、その後、クエン酸を含む熱湯で洗浄した。その後、メチルエステルを、穏やかに加熱しながら、減圧下で乾燥させた。その乾燥メチルエステルを、イソオクタン中で溶解し、そしてPerkin Elmerオートサンプラーを用いてGLCにより分析した。そのカラムは、高極性の溶融シリカ型であった。以下のプログラムを使用した:
注入:250℃のスプリットレス(Splitless)
検出:280℃でフレームイオン化検出器
キャリア:psigでヘリウム
オーブンプログラム:80℃〜130℃(45℃/分)、その後1℃/分で220℃まで、そして220℃で10分間
カラム:WCOT FUSED SILICA 0.25mm 100m、CP−SIL 88 for FAME、df+0.2。
【0145】
得られたCLAは、ほぼ、表30に示されるようなCLAのc9、t11異性体およびt10,c12異性体のみからなった。
【0146】
【表28】


(実施例18)
(リノレン酸の共役により形成された産物)
本実施例は、リノレン酸の共役により形成された産物を記載する。純粋なリノレン酸(Nu Check Prep.)をエステル化し、そしてリノレン酸の脂肪酸メチルエステル1.08gを、43.0mgのカリウムメチレートおよび10.8mgメタノールとともに、試験管中で混合した。試験管を、窒素でパージして閉じた。その混合物を攪拌するために磁性バーを使用した。この反応を120℃で3時間進行させた。このサンプルを水で2回洗浄し、そしてクエン酸で1回洗浄し、そしてGLC分析のためにイソオクタン中に希釈した。その条件は、実施例17と同じであり、ただし、オーブンプログラムおよびカラムが以下であった:
オーブンプログラム:80〜160℃(25℃/分)、その後、5℃/分で220℃まで、そして220℃で10分間
カラム:WCOT FUSED SILICA 0.25mm 100m、CP−SIL 5CB for FAME、df+0.2。
【0147】
その結果(表31)は、1%以上の7つのピークの存在を示す。これらのピーク各々が、共役した位置で2つまたは3つの結合を有する酸を示す。これらのピークに対応する脂肪酸が天然で見出されるか否かは公知でなく、そしてその可能な効果は、公知ではない。
【0148】
【表29】


(実施例19)
(CLA酸化産物)
本実施例は、解放空気に曝したCLAの酸化を記載する。メチルエステルの小さいサンプルを調製し、そしてフタをしない試験管中にて室温で115日間貯蔵し、空気に自由に接近させた。そのサンプル中に最初に存在するCLAは、完全に分解され、そしてフラン脂肪酸および他の未同定の誘導体へと変換された。酸化前後のCLAサンプルの相対含量を、表3に示す。このクロマトグラムは、比較的非極性である成分のみを示す。同じサンプルのクロマトグラムもまた、極性カラム上で流した。その結果は、大量の短鎖の極性成分(すなわち、分解産物)の存在を示した。
【0149】
【表30】


上記から明らかであるべきことは、本発明が、動物の餌の処方において、およびヒトによる消費のために適切な食品において、使用され得る高純度の共役リノール酸組成物を提供することである。
【0150】
上記明細書に言及されたすべての刊行物および特許が、本明細書中に参考として援用される。本発明の記載された方法および系の種々の改変および変化形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されているが、特許請求された本発明が、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが、理解されるべきである。実際、医学分野、生化学分野、または関連分野における当業者に明らかである本発明を実施するための記載された様式の種々の改変が、上記の特許請求の範囲内にあることが意図される。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1) 異性化された共役リノール酸部分を含む組成物であって、該組成物は、不活性貯蔵条件下における少なくとも30日間の貯蔵期間の間に総100ppmを超えない、低分子量揮発性有機化合物の含有量を有する、組成物。
(項2) 前記異性化された共役リノール酸部分が遊離脂肪酸である、上記項1に記載の組成物。
(項3) 前記異性化された共役リノール酸部分がアルキルエステルである、上記項1に記載の組成物。
(項4) 前記異性化された共役リノール酸部分がトリアシルグリセリドである、上記項1に記載の組成物。
(項5) 前記組成物が金属酸化体キレート剤をさらに含む、上記項1〜4に記載の組成物。
(項6) 前記金属酸化剤キレート剤が、クエン酸エステルおよびレシチンからなる群より選択される、上記項5に記載の組成物。
(項7) 前記組成物が、総50ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項1〜6に記載の組成物。
(項8) 前記組成物が、総10ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項1〜6に記載の組成物。
(項9) 前記組成物が、総5ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項1〜6に記載の組成物。
(項10) 金属酸化剤キレート剤をさらに含む、上記項1〜9に記載の組成物。
(項11) 前記金属酸化剤キレート剤が、レシチンおよびアスコルビン酸から選択される、上記項10に記載の組成物。
(項12) 抗酸化剤をさらに含む、上記項1〜11に記載の組成物。
(項13) 前記抗酸化剤が、α−トコフェロール、β−トコフェロール、レシチン、アスコルビルパルミテート、およびBHTからなる群より選択される、上記項12に記載の組成物。
(項14) 上記項1〜13に記載の組成物を含む、食品。
(項15) 上記項1〜13に記載の組成物を含む、食物補助食品。
(項16) 異性化された共役リノール酸部分を含む組成物であって、
該組成物は、総100ppm以下の低分子量揮発性有機化合物を含み、そして60℃において約20〜100時間の油安定性指標を有する、組成物。
(項17) 上記項16に記載の組成物であって、ここで、前記油安定性指標がおおよそ、60℃において約20〜100時間より大きい、組成物。
(項18) 前記異性化された共役リノール酸部分が遊離の脂肪酸である、上記項16に記載の組成物。
(項19) 前記異性化された共役リノール酸部分がアルキルエステルである、上記項16に記載の組成物。
(項20) 前記異性化された共役リノール酸部分がトリアシルグリセリドである、上記項16に記載の組成物。
(項21) 前記組成物がさらに金属酸化剤キレート剤を含む、上記項16〜20に記載の組成物。
(項22) 前記金属酸化剤キレート剤が、クエン酸エステルおよびレシチンからなる群より選択される、上記項21に記載の組成物。
(項23) 前記組成物が、総50ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項16〜22に記載の組成物。
(項24) 前記組成物が、総10ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項16〜22に記載の組成物。
(項25) 前記組成物が、総5ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項16〜24に記載の組成物。
(項26) 金属酸化剤キレート剤をさらに含む、上記項16〜25に記載の組成物。
(項27) 前記金属酸化剤キレート剤が、レシチンおよびアスコルビン酸から選択される、上記項26に記載の組成物。
(項28) 抗酸化剤をさらに含む、上記項16〜27に記載の組成物。
(項29) 前記抗酸化剤が、α−トコフェロール、β−トコフェロール、レシチン、アスコルビルパルミテート、およびBHTからなる群より選択される、上記項28に記載の組成物。
(項30) 上記項16〜29に記載の組成物を含む、食品。
(項31) 上記項16〜29に記載の組成物を含む、食物補助食品。
(項32) 異性化された共役リノール酸部分を含む組成物であって、
該組成物は、総100ppm未満の揮発性有機化合物を含み、該組成物は、以下の工程:
a)異性化された共役リノール酸部分を含む組成物を提供する工程;
b)吸着剤を提供する工程;
c)該共役リノール酸部分を該吸着剤を用いて処理する工程、
を包含するプロセスを介して入手可能である、
組成物。
(項33) 前記異性化された共役リノール酸部分が遊離脂肪酸である、上記項32に記載の組成物。
(項34) 前記異性化された共役リノール酸部分がアルキルエステルである、上記項32に記載の組成物。
(項35) 前記異性化された共役リノール酸部分がトリアシルグリセリドである、上記項32に記載の組成物。
(項36) 前記組成物が金属酸化剤キレート剤をさらに含む、上記項32〜35に記載の組成物。
(項37) 前記金属酸化剤キレート剤が、クエン酸エステルおよびレシチンからなる群より選択される、上記項36に記載の組成物。
(項38) 前記組成物が、総50ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項32〜37に記載の組成物。
(項39) 前記組成物が、総10ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項32〜37に記載の組成物。
(項40) 前記組成物が、総5ppm未満の揮発性有機化合物を含む、上記項32〜37に記載の組成物。
(項41) 上記項32〜40に記載の組成物であって、ここで、該組成物は、約1〜10ppmの金属イオンを含む異性化された共役リノール酸部分を含む、組成物。
(項42) 金属酸化剤キレート剤をさらに含む、上記項32〜41に記載の組成物。
(項43) 前記金属酸化剤キレート剤が、レシチンおよびアスコルビン酸から選択される、上記項42に記載の組成物。
(項44) 抗酸化剤をさらに含む、上記項32〜43に記載の組成物。
(項45) 前記抗酸化剤が、α−トコフェロール、β−トコフェロール、レシチン、アスコルビルパルミテート、およびBHTからなる群より選択される、上記項44に記載の組成物。
(項46) 上記項32〜45に記載の組成物を含む、食品。
(項47) 上記項32〜45に記載の組成物を含む、食物補助食品。
(項48) 異性化された共役リノール酸部分を含む組成物であって、
該共役リノール酸部分は、該組成物の味および香りに影響を与えないように、十分に低い揮発性有機化合物の濃度を有する、組成物。
(項49) 前記共役リノール酸部分がアルキルエステルである、上記項48に記載の組成物。
(項50) 前記共役リノール酸部分が遊離の脂肪酸である、上記項48に記載の組成物。
(項51) 前記共役リノール酸部分がトリグリセリドである、上記項48に記載の組成物。
(項52) 安定化された共役リノール酸生成物を提供する方法であって、該方法は、以下:
a)共役リノール酸部分を含む組成物および吸着剤を提供する工程;ならびに
b)生じる共役リノール酸化合物が、不活性貯蔵条件下において10ppm未満の低分子量揮発性有機化合物の含有量を維持するような条件下で、該共役リノール酸部分を該吸着剤を用いて処理する工程、
を包含する、方法。
(項53) 前記共役リノール酸部分が工程(b)の前に脱臭される、上記項52に記載の方法。
(項54) 前記共役リノール酸部分を抗酸化剤を用いて処理する工程をさらに包含する、上記項52に記載の方法。
(項55) 安定化された共役リノール酸生成物を提供する方法であって、該方法は、以下:
a)共役リノール酸部分を含む組成物、吸着剤、および少なくとも1つの抗酸化組成物をを提供する工程;
b)該共役リノール酸部分を含む組成物を脱臭する工程;
c)該共役リノール酸部分を含む組成物を少なくとも1つの該抗酸化組成物を用いて処理する工程;ならびに
d)生じる共役リノール酸化合物が、不活性貯蔵条件下において10ppm未満の低分子量揮発性有機化合物の含有量を維持するような条件下で、該共役リノール酸部分を該吸着剤を用いて処理する工程、
を包含する、方法。
(項56) 前記共役リノール酸部分が遊離脂肪酸として提供される、上記項55に記載の方法。
(項57) 前記共役リノール酸部分がアルキルエステルとして提供される、上記項55に記載の方法。
(項58) 前記共役リノール酸部分がトリグリセリドとして提供される、上記項55に記載の方法。
(項59) 上記項55に記載の方法であって、該吸着剤が、漂白土類、活性な活性炭ゼオライト、およびシリカからなる群より選択される、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書または図面に記載の発明


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−176986(P2012−176986A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135894(P2012−135894)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2001−575125(P2001−575125)の分割
【原出願日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願人】(502208249)コンリンコ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】