説明

共振センサを保護する方法及びオープン保護共振センサ

【課題】 共振センサが生体内に埋め込まれるとき、センサ(特にその振動可能部分)に組織または他の生物材料や液体または固体材料または粒子などが堆積すると、センサの性能等に悪影響を及ぼすことがある。
【解決手段】 少なくとも1つの共振センサユニットを含み得る保護共振センサを提供する。各センサユニットは、1若しくは複数の振動可能部材を有する。保護センサには、センサの振動可能な膜を保護するための少なくとも1つのゲル体が含まれる。ゲルは、センサユニット上に堆積されるかまたは付着され、センサの振動可能な膜を被覆することがある。ゲルはまた、1若しくは複数のセンサユニットを有するオープンハウジング内に配置されることもあり、異なるセンサユニットの振動可能な膜を被覆することがある。センサユニットは、測定環境における物理変数の値に依存する共振周波数を有する共振センサユニットであることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、特許文献1に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、共振センサの分野に関し、詳細には、共振センサを異物または組織の堆積から保護する方法及び保護共振センサ(protected resonating sensor)に関する。
【背景技術】
【0003】
測定環境において共振センサを用いて種々の物理パラメータ値を決定するための方法、装置及びシステムは、当該分野で公知である。例えば、超音波的に活性化されたパッシブセンサを用いてヒトの体内または他の環境及び科学的・産業的用途において異なる物理パラメータ値を検知及び測定する方法、システム及び装置については、既に報告がなされている。特許文献2(引用を以って本明細書の一部となす)には、超音波エネルギーを用いたパッシブセンサシステムが開示されている。
【0004】
超音波活性化及び検出システムは、体内に埋め込むかまたは他の環境に配置できるような振動可能部分(振動可能なビームまたは振動可能な膜など)を有するパッシブセンサを、超音波のビームをパッシブセンサに向けることによって、超音波的に活性化する。活性化されたパッシブセンサまたはその振動可能部分は、被測定物理変数値の関数である周波数で振動または共振させる。パッシブセンサは、このようにして、励起超音波ビームの周波数で励起超音波ビームから超音波エネルギーを吸収する。そのようなパッシブセンサの振動可能部分の振動の振幅は、励起超音波ビームの周波数が振動可能なセンサ部分(例えば、パッシブセンサに含まれる振動可能な膜または振動可能なビームなど)の共振周波数と同じであるときに最大である。パッシブセンサがエネルギーを吸収及び/または放出する周波数は、適切な検出器により検出され、物理パラメータの値を決定するために用いられることがある。
【0005】
そのようなパッシブ超音波センサによって測定可能な物理パラメータには、限定されるものではないが、センサが浸漬または配置される流体または媒体における化学物質の濃度、温度、圧力などが含まれることがある。
【0006】
励起超音波ビームがパルスにされると、励起ビームを止めた後に超音波センサが振動し続けることがある。励起超音波ビームを止めた後に、活性化されたパッシブセンサが発する超音波放射線を検出し、これを用いて所定の物理パラメータの値を決定することができる。
【0007】
2つ以上の物理変数がパッシブセンサの振動周波数に影響を及ぼし得るので、決定される必要がある物理パラメータに関係ない他の物理パラメータの被測定センサ振動周波数に対する効果を補償するために補正が必要になることがある。例えば、求める物理パラメータが圧力であれば、温度変化がセンサの振動周波数に影響することがある。特許文献3及び4(共に引用を以って本明細書の一部となす)には、補償されたセンサ対と、決定されている別の物理変数の決定値に対する関係ない異なる物理変数の効果を補償するためにセンサを使用する方法が開示されている。例えば、そのような補償されたセンサ対を用いて、温度変化による圧力測定値の誤差を補償することがある。
【0008】
特許文献5(引用を以って本明細書の一部となす)には、保護コーティングされた埋込型パッシブセンサ及び種々の型のセンサ・ポジショナまたはセンサ固着装置が開示されている。とりわけ、センサの腔内埋込みによって腔内血圧を測定するためにそのようなセンサを用いることがある。
【0009】
特許文献6(引用を以って本明細書の一部となす)には、とりわけ、パッシブ共振器の共振周波数を決定するためのドップラー偏移に基づく方法を用いる方法、共振センサ及びシステムが開示されている。とりわけ、限定されるものではないが、心血管系の一部内でのin-vivo血圧測定など測定環境中の圧力または他の物理パラメータを検知するためにこの方法、センサ及びシステムが適用されることがある。
【0010】
上記の例は全てパッシブ共振超音波センサに関連するものであるが、種々の異なる物理パラメータの測定に対して、多くの他の型のアクティブセンサ及びパッシブセンサの両方を含む共振センサが当該分野で公知である。そのようなセンサは、受動的または能動的に振動され得る1若しくは複数の共振性の振動可能な構造または部分、例えば振動可能な膜またはビームなどと共に使用される。そのようなセンサの共振構造の共振周波数は、決定される物理変数の関数として変化するものであり、種々の異なる方法で検知または測定し、物理変数の値の決定に用いることができる。そのようなセンサの例は、特許文献7に開示されているアクティブ超音波センサである。特許文献8には追加のセンサ型が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第10/876,763号
【特許文献2】米国特許第5,619,997号明細書
【特許文献3】米国特許第5,989,190号明細書
【特許文献4】米国特許第6,083,165号明細書
【特許文献5】米国特許第6,331,163号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開公報第20040211260A1号(同時係属特許出願第10/828,218号)
【特許文献7】米国特許第6,461,301号明細書
【特許文献8】米国特許第6,312,380号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
限定されるものではないが上記したセンサなどの共振センサが生体内に埋め込まれるときの一般的な問題は、組織または他の生物起源の材料がセンサまたはその一部に堆積することである。例えば、種々の物質または生細胞が共振センサの表面または共振センサの種々の部分に付着することがあり、隣接する組織は、センサの表面上への材料及び/または細胞及び/または組織の層またはフィルム(薄膜)の堆積を生じさせることがある。(限定されるものではないが)パッシブ(またはアクティブ)共振センサの振動可能な膜など、センサの振動可能部分に組織または他の生物材料が堆積すると、振動可能な膜(または他の振動可能な部分)の共振特性、とりわけ、共振周波数、応力への感受性、振動可能な膜の振動振幅などの共振特性が変化することがある。そのような変化は、センサの性能及び被測定物理変数を決定する精度に悪影響を及ぼすことがある。
【0013】
同様に、液体または気体または他の媒体または種々の物質を含む測定環境中(例えば、リアクタ中の化学反応混合物内、またはスプレーまたはエアゾールを含む測定環境中など)に共振センサが配置されるとき、共振センサの振動可能部分に液体または固体材料または粒子が堆積し、センサの性能への同様の悪影響と共に、センサの振動可能部分の共振特性に同様に影響を及ぼすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に基づいて保護共振センサが提供される。センサには、1若しくは複数の共振センサユニットが含まれる。共振センサユニットの各センサユニットは、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する振動可能部材を少なくとも1つは有する。保護センサには、共振センサユニットの振動可能部材に接している少なくとも1つのゲル体も含まれる。
【0015】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の共振センサユニットは、少なくとも1つのゲル体に埋め込まれている。
【0016】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのゲル体は、共振センサユニットに含まれる振動可能部材全てを完全に被覆する。
【0017】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルは、合成ゲル、天然ゲル、ヒドロゲル、脂質ゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、生物適合性ゲル、血液適合性ゲル、ポリマーベースのゲル、架橋ポリマーベースのゲル、及びその組合せからなる群から選択される。
【0018】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには更にハウジングが含まれる。
【0019】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルは少なくとも部分的にハウジングに注入される。
【0020】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのゲル体には、共振センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材に付着(attach)される少なくとも1つの薄いゲル膜が含まれる。
【0021】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、共振センサユニットは、少なくとも1つのオープンチャンバ内に配置される。
【0022】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのチャンバは、センサ固着装置内に形成される少なくとも1つのチャンバであるか、またはセンサ固着装置の一部を含む少なくとも1つのチャンバである。
【0023】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、センサ固着装置は、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な(autonomous)内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、ひも状の(tethered)内視鏡機器、ひも状の内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、埋込型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択される。
【0024】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、共振センサユニットは、パッシブセンサユニット、アクティブセンサユニット、パッシブ共振センサユニット、アクティブ共振センサユニット、圧力センサ、パッシブ超音波圧力センサユニット、アクティブ超音波圧力センサユニット、測定環境において化学物質の濃度を検知するセンサから選択される。
【0025】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の共振センサユニットの少なくとも1つの共振センサユニットには、内部に形成された1若しくは複数の凹部を有する基体と、基体に気密に取り付けられて少なくとも1つの共振センサユニット内に1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを形成する第2の層が含まれる。
【0026】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの共振センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材は、基体の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材と、凹部の上にある第2の層の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材から選択される。
【0027】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバの各気密センサユニットチャンバは、内部に圧力レベルを有する。
【0028】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、圧力レベルは、ゼロ圧力レベルと、非ゼロ圧力レベルとから選択される。
【0029】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する第1の共振センサユニットと、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する少なくとも1つの第2の共振センサユニットとが含まれ、第1の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルは、少なくとも1つの第2の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルと異なる。
【0030】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の共振センサユニットは、単一の振動可能な膜を有するパッシブ超音波圧力センサまたは複数の振動可能な膜を有するパッシブ超音波圧力センサである。
【0031】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは埋込型保護センサである。
【0032】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、埋込型保護センサの構成部分の1若しくは複数には、生物適合性材料及び血液適合性材料から選択される1若しくは複数の材料が含まれる。
【0033】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、測定環境内に埋め込むために構成されている。測定環境は、目、尿道、心室、心血管系、心血管系の一部、血管内修復後の動脈瘤嚢、脊椎、椎間板、脊髄、脊柱、頭蓋内区画、血管の腔内空間、動脈、静脈、大動脈、肺血管、頚動脈血管、脳血管、及び冠状動脈、大腿動脈、腸骨動脈、肝動脈、大静脈であることがある。
【0034】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサの表面の少なくとも一部は、改質表面特性を有する改質表面である。
【0035】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、改質表面特性は、物理的表面特性、化学的表面特性、電気化学的表面特性、生物学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗、流体力学的表面特性、及びその任意の組合せであることがある。
【0036】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、改質表面は化学的に処理された表面である。
【0037】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、改質表面はゲルの表面である。
【0038】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには、少なくとも1つの非共振センサユニットも含まれる。
【0039】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルには、少なくとも1つの放出可能物質が含まれることがある。
【0040】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、放出可能物質は、タンパク質、ペプチド、薬剤、多糖類、脂質、糖脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、細胞外マトリクス成分、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、及びその任意の組合せからなる群から選択されることがある。
【0041】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルは、実質的に非圧縮性のゲルを含む。
【0042】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルは、ゲル中への1若しくは複数の物質の拡散を遅延または低減させることができる組成を有するゲルを含む。
【0043】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルは、共振センサユニットの振動可能部材上への1若しくは複数の物質の堆積を遅延または低減させることができる組成を有するゲルを含む。
【0044】
また、本発明の一実施形態に基づき、少なくとも1つの共振センサユニットを含む保護センサが提供される。少なくとも1つの共振センサユニットの各センサユニットは、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を有する。共振センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材は、自身に付着されるゲルによって保護される。
【0045】
また、本発明の一実施形態に基づき、共振センサを作製する方法が提供される。当該方法には、1若しくは複数の共振センサユニットを供給する過程が含まれ、1若しくは複数の共振センサユニットの各センサユニットは、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を有する。この方法には、共振センサユニットに少なくとも1つのゲル体を付着させる過程も含まれる。
【0046】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、付着過程には、共振センサユニットの振動可能部材全てをゲルで被覆する過程が含まれる。
【0047】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、付着過程には、液化ゲルを適用し、共振センサユニットの少なくとも振動可能部材を液化ゲルで被覆する過程と、液化ゲルをそのまま凝固させる過程とが含まれる。
【0048】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、液化ゲルは、液化可能なゲルを加熱することによって得られる。
【0049】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、付着過程には、少なくとも1つのゲル前駆物質を含む液体を適用し、共振センサユニットの少なくとも振動可能部材を液体で被覆する過程と、前記ゲルを当該液体から生じさせるようにする過程とが含まれる。
【0050】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲル前駆物質には、重合されてゲルを形成することができる少なくとも1つの単量体が含まれる。
【0051】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、付着過程には、少なくとも1つのゲル体内に共振センサユニットを埋め込む過程が含まれる。
【0052】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、付着過程には、ある表面に付着された少なくとも1つのゲル体に共振センサユニットを完全に埋め込むかまたは部分的に埋め込む過程が含まれる。
【0053】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、表面は、センサハウジングの表面、センサ固着装置の表面、埋込型グラフトの表面、埋込型装置の表面、インプラントの表面、挿入型装置の表面、測定環境を取り巻くエンクロージャの表面から選択される。
【0054】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲルの音響インピーダンスは、保護センサが配置される測定環境に含まれる媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0055】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、ゲルの音響インピーダンスは、生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0056】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、付着過程には、共振センサユニットをハウジングに配置する過程と、少なくとも1つのゲル前駆物質を含む液体でハウジングを少なくとも部分的に充填し、共振センサユニットの少なくとも振動可能部材を液体で被覆する過程と、ゲルを当該液体から生じさせるようにする過程とが含まれる。
【0057】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護共振センサには少なくとも1つの非共振センサユニットも含まれ、付着過程には、少なくとも1つのゲル体に非共振センサユニットを付着させる過程が含まれる。
【0058】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、上記方法には、表面特性改質のために保護センサの表面の少なくとも一部を処理する過程が更に含まれる。
【0059】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、処理過程はゲル上で実行され、ゲルの表面特性を変える。
【0060】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、処理過程によって改質される表面特性は、物理的表面特性、化学的表面特性、電気化学的表面特性、生物学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗、流体力学的表面特性、及びその任意の組合せから選択される。
【0061】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、処理過程には、表面特性改質のために保護センサの表面の少なくとも一部を化学的に処理する過程が含まれる。
【0062】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、上記方法には、ゲルに少なくとも1つの放出可能物質を組み入れる過程が更に含まれる。
【0063】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの放出可能物質は、タンパク質、ペプチド、薬剤、多糖類、脂質、糖脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、細胞外マトリクス成分、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、及びその任意の組合せからなる群から選択される。
【0064】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、組み入れ過程には、保護センサにおいてゲルを配置する前に少なくとも1つの放出可能物質をゲルに加える過程が含まれる。
【0065】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、加える過程は、少なくとも1つの放出可能物質を液体ゲル前駆物質に加える過程と、少なくとも1つの放出可能物質を液化ゲルに加える過程とから選択される。
【0066】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、組み入れ過程には、前記保護センサにおいてゲルを配置した後に少なくとも1つの放出可能物質をゲルに導入する過程が含まれる。
【0067】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、導入過程には、少なくとも1つの放出可能物質をゲル中に拡散する過程が含まれる。
【0068】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、拡散過程には、少なくとも1つの放出可能物質を含む溶液中で保護センサを保温する過程が含まれる。
【0069】
また、本発明の一実施形態に基づき、共振センサを作製する方法が提供される。当該方法には、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を各々が有するような、1若しくは複数の共振センサユニットを供給する過程と、前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材をゲルで被覆する過程とが含まれる。
【0070】
また、本発明の一実施形態に基づき、共振センサを作製する方法が提供される。当該方法には、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を各々が有するような、1若しくは複数の共振センサユニットを供給する過程と、前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材に接してゲルを供給する過程とが含まれる。
【0071】
また、本発明の一実施形態に基づき、1若しくは複数の振動可能部材を有する共振センサユニットを保護する方法が提供される。当該方法には、センサユニットの少なくとも1若しくは複数の振動可能部材をゲルで被覆する過程が含まれる。
【0072】
また、本発明の一実施形態に基づき、1若しくは複数の振動可能部材を有する共振センサユニットを保護する方法が提供される。当該方法には、センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材をゲルで被覆する過程が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に基づき複数の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図2】本発明の更なる実施形態に基づきハウジングに封入された保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図3】本発明の更なる実施形態に基づき単一の保護ハウジング内に配置された2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図4】本発明の更なる実施形態に基づきセンサ固着装置または別の埋込型グラフトまたは埋込型装置を用いて作製された保護センサの一部を示す概略断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態に基づきセンサ固着装置または別の埋込型グラフトまたは埋込型装置内に作製された複数の気密チャンバを有する保護センサの一部の概略断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に基づき単一の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図7】本発明の更に別の実施形態に基づきスペーサ内に形成された複数の気密チャンバを有する複数の振動可能な膜を備えた保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に基づき保護共振センサの一般的形状を示す概略部分断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に基づき波形部分を有する機械的にコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態に基づき波形部分を有する機械的にコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に基づき複数の振動可能な膜を備えたゲル保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に基づきオープンハウジング内に配置されかつゲルによって保護される保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【図13】本発明の別の実施形態に基づき単一の保護ハウジング内に配置されかつゲルによって被覆される2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図14】本発明の更なる実施形態に基づきセンサ固着装置または埋込型グラフトまたは埋込型装置を用いて作製されるオープンゲル保護センサの一部を示す概略断面図である。
【図15】本発明の別の実施形態に基づきゲルで充填されたオープンチャンバを複数有しかつセンサ固着装置または埋込型グラフトまたは埋込型装置内に作製されるゲル保護センサの一部を示す概略断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に基づき単一の振動可能な膜を有するオープンゲル保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図17】本発明の更に別の実施形態に基づき保護ゲル体に完全に埋め込まれた多膜パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【図18】本発明の別の実施形態に基づきゲル保護パッシブ共振圧力センサを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明は、センサの振動可能部分に望ましくない材料または細胞または組織または他の望ましくないデポジットが堆積しないようにする新たな共振センサ及びそのような保護センサを作製する方法を開示する。
【0075】
本発明の1つの可能な実施形態に基づけば、共振センサの振動可能な共振部は、非圧縮性媒体によってセンサの振動可能部分に結合された保護用のコンプライアントな(compliant)膜を用いることによって保護される。本願では、「非圧縮性媒体」なる語を、任意の適切な実質的に非圧縮性の液体または任意の適切な実質的に非圧縮性のゲルと定義する。被測定物理変数(限定されるものではないが、圧力、温度など)は、共振センサの振動可能部分に最小の減衰で伝達され、同時に、コンプライアントな膜がセンサの振動可能部分に異物が蓄積または堆積することを防止する。
【0076】
本発明の別の可能な実施形態に基づけば、共振センサの振動可能な共振部分は、センサの振動可能部分をゲル体またはゲルの層でカバーするかまたはコーティングすることによって保護される。そのような保護センサはコンプライアントな部材を有さず、ゲルの少なくとも一部は、測定環境に配置された媒体に直接接しているので、この型のセンサは「オープン保護センサ」と呼ばれることがある。この後に詳述するように、センサの振動可能部分を保護するためのゲル体またはゲルの層は、限定されるものではないが、キャスティング法、コーティング法、ディッピング法、ゲル重合及び/または架橋などを含むゲル形成の分野で既知の方法を用いて、センサまたはセンサユニットの共振部分に付着されることがある。或いは、センサ全体(1若しくは複数の共振センサユニットを含む)が、ゲル体に埋め込まれるかまたは部分的に埋め込まれることがある。一般的に、当技術分野で公知のように、ゲルを形成するための任意の適切な方法が用いられることがある。被測定物理変数(限定されるものではないが、圧力、温度など)は、共振センサの振動可能部分に最小の減衰で伝達され、同時に、ゲル体またはゲルの層がセンサの振動可能部分に異物が蓄積または堆積することを防止する。好適には(必須ではないが)、オープン保護共振圧力センサにおいて、ゲルは実質的に非圧縮性のゲルであることがある。他のオープン共振センサ(限定されるものではないが、保護共振温度センサ、化学物質の濃度を決定するための保護共振センサなど)は、圧縮性のゲルを用いることがある。
【0077】
本発明のオープン保護センサには、音波または超音波によって問い合わせられるパッシブ及び/またはアクティブ共振センサユニットが含まれることがある。本発明のオープン保護センサには、保護センサ中のゲルによって操作に有害な影響が及ぼされないならば、当技術分野で公知の他の型のパッシブまたはアクティブセンサユニット(共振センサユニットであることもあるが、そうでないこともある)が含まれることがある。
【0078】
この後に詳述しかつ図面にしめされる特定の例のほとんどはパッシブ超音波共振センサに適合されているが、共振センサの保護方法は、センサの共振部分の表面に異物または不要な組織または細胞が堆積または蓄積することによってひどい悪影響を及ぼされることがある共振部を含む任意の型の共振センサに適用可能であることに留意されたい。従って、本発明の共振センサの保護方法は、一般的な方法であり、音響エネルギーを用いてセンサに問い合わせる限り、限定されるものではないが、アクティブまたはパッシブ音響共振センサ、アクティブまたはパッシブ超音波センサ、光学的に問い合わせられるアクティブまたはパッシブセンサ、容量性共振センサ、内部エネルギー源を有するかまたは有線または無線で外部エネルギー源に結合されたアクティブ共振センサなど多くの異なる型の共振センサに適用可能である。
【0079】
従って、当業者には明らかなように、本明細書中に開示されている共振センサを保護する方法は、測定環境または媒体に曝される1若しくは複数の共振器または共振部分を有する当該分野で公知である任意の適切な型の共振センサに適用されることがある(保護共振センサの概略図は図8を参照)。
【0080】
ここで図1を参照すると、図1は本発明の一実施形態に基づき複数の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【0081】
保護センサ10には、センサユニット82が含まれることがある。センサユニット82には、第1の凹型基体層12と、第1の凹型層12に気密に取り付けられた第2の層14が含まれることがある。第1の凹型層12内には、複数の凹部16が形成されている。図1の断面図には3つの凹部16しか示していないが、実用的な数の凹部(例えば、1、2、3、または4以上の凹部16)を含むように保護センサ10を設計することができる。例えば、保護センサ10には、3つの列の各列に3つずつ配置された9つの凹部16を含めることができる(図1には図示せず)。
【0082】
第1の凹型基体層12及び第2の層14は、限定されるものではないが、金属、シリコン、パイレックス(登録商標)、窒化ホウ素、ガラスなどの適切な材料から製造することができる。第1の基体層12は、シリコン、パイレックス(登録商標)、または当該分野で公知である標準的なリソグラフィー方法を用いて機械加工しやすい別の適切な材料などの材料から製造する(例えば、従来のマスキング、フォトレジスト塗布、エッチング方法などを用いて第1の基体層12に凹部16を形成する)のが好ましい(しかし必須ではない)。しかしながら、当該分野で公知である他の機械加工またはミクロ機械加工方法または処理方法を用い、他の所望の材料を適切に選択して、本発明のセンサユニットを作製することもできる。
【0083】
第1の層12に第2の層14を気密に取り付けまたは接着または付加し、複数の気密センサユニットチャンバ17を形成する。本明細書中で上記開示しているように、図1の断面図には気密センサユニットチャンバ17が3つしか示されていないが、保護センサ10には3つ以上の気密センサユニットチャンバがあってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、保護センサ10には、3つの列の各列に3つずつ配置された9つの気密センサユニットチャンバ17を含めることができる。この配置は、特許文献6の図2及び図3に詳しく開示されている多膜センサに類似している。凹部16の上方にある第2の層14の一部で符号14A、14B、14Cを付された部分は、保護センサ10の振動可能な膜14A、14B、14Cを表している。
【0084】
保護センサ10には、センサユニット82に取り付けられたスペーサ18を含めることもできる。スペーサ18は、限定されるものではないが、金属、シリコン、窒化ホウ素、ガラス、またはSU8(登録商標)エポキシベースのフォトレジスト(米国マサチューセッツ州のマイクロケム社(MicroChem Corp.)から市販されている)などポリマーベースの材料などの硬質材料から製作することができる。
【0085】
スペーサ18は、センサユニット82の第2の層14に気密に取り付けまたは接着された分離した構成部分として示されているが、他の可能な実施形態においてはスペーサ18を第2の層12の一部として或いは第1の凹型層12の一部として形成することができる。保護センサ10には、(適切な接着剤、またはコンプライアントな部材20をスペーサ18に気密に取り付けるための当該分野で公知である他の適切な方法を用いることによって)スペーサ18に気密に取り付けられて気密チャンバ22を形成するコンプライアントな部材20も含まれる。コンプライアントな部材20は、高いコンプライアンスを有する薄膜から製造することができる。例えば、本発明の一実施形態に基づけば、コンプライアントな部材20は約9μm厚のカプトン(登録商標)膜であることがある。
【0086】
コンプライアントな部材20の材料を選択するときには、(超音波の伝播のために)選択された材料の音響インピーダンスが、媒体24の音響インピーダンスに整合し、センサが配置される材料または媒体または組織の音響インピーダンスに整合することが確実になるように注意されたい。この整合(マッチング)は、測定環境における媒体とコンプライアントな部材20間の界面及びコンプライアントな部材20と媒体24間の界面で超音波の過剰な反射を防止し得る。非圧縮性媒体24及びコンプライアントな部材20を形成する材料の選択における実際的な制約のために1つ1つの用途に対して最良のインピーダンスマッチを得ることが必ずしも可能ではないかもしれず、妥協しなければならないこともあろうが、センサ性能を向上させるために本発明の保護センサの設計及び実現においてそのようなインピーダンスマッチングを慎重に考慮すべきである。
【0087】
本発明の更なる実施形態に基づき、限定されるものではないが、米国レン・プラスチック社(Ren Plastics)から市販されている6400ウレタンゴムまたは6410ウレタンゴムなどの適切なウレタンゴムからコンプライアントな部材20を製造することができる。米国GEコーポレーション(GE Corporation)から市販されているRTV60からコンプライアントな部材20を製造することもできる。埋込型センサにおいて、RTV60が用いられるとき、RTV60を1重量%のタングステン粉末(平均粒子サイズ約1ミクロン)と混合してコンプライアントな部材20の音響インピーダンスをいくつかの組織の音響インピーダンスに近い約1.5〜1.54Mrayl(Mrayl=106rayl)の値に調整することが好ましいことがある。しかしながら、この音響インピーダンス値の範囲は限定的なものではなく、とりわけ特定の適用形態及び検出システムの感度に依って、コンプライアントな部材20の音響インピーダンスの他の異なる値も許容されることがある。本発明の他の実施形態に基づき、哺乳類またはヒトに埋め込まれるように構成されたセンサに対して、コンプライアントな部材20をEchothane CPC-41またはEchothane CPC-29で製作するのが好ましいことがある。Echothane CPC-41及びEchothane CPC-29は、エマソン・カミングズ社(Emerson Cummings, 604 W 182nd St., Gardena, CA, USA)から市販されている。これらの材料は、水(媒体24として水が用いられるセンサにおいて)及び組織の音響インピーダンスとの許容マッチを示す音響インピーダンス値(超音波の範囲)を有する。
【0088】
しかしながら、コンプライアントな部材20は、当該分野で公知である他の適切な高度にコンプライアントな材料から製作することができるか或いはそのような材料を含むことができ、コンプライアントな部材20の厚さ及び/または寸法及び/または組成は、とりわけ、センサ固有のデザイン、所望のセンサ性能、測定中にセンサを配置しておく媒体、センサの動作圧力と温度の範囲、他の製造及び作製パラメータ及び検討材料に応じて変えることができることに留意されたい。
【0089】
気密チャンバ22は、非圧縮性媒体24で充填されることがある。非圧縮性媒体24は、限定されるものではないが水などの実質的に非圧縮性の液体であるか、または、限定されるものではないが適切なシリコン溶液配合物などの当該分野で公知である他の適切な実質的に非圧縮性の液体であることがある。非圧縮性媒体24はまた、限定されるものではないが、ゼラチン、アガロース、天然のゲル、ポリマーベースの合成ゲル、架橋ポリマーベースのゲル、ヒドロゲル、当該分野で公知である他の適切な型のゲルなどの適切な実質的に非圧縮性のゲルであってもよい。ある適用形態においては、例えば、生体に埋め込む必要があるセンサや、無菌環境に置かれるセンサ、例えばバイオリアクタなどにおいて、保護センサを滅菌する必要があることがある。そのような適用形態において、媒体24は、(限定されるものではないが)米国ダウコーニング社(Dow Corning Inc.)から市販されているダウコーニング710(R)シリコン溶液などの低蒸気圧の液体であることがある。他の適用形態においては、媒体24は、米国スリーエム社(3M corporation)から市販されているフロリナートFC40液体とフロリナートFC70液体を混合したもの(体積比約60:40)、または他の適切な混合物(異なる比率でこれらの液体を混合したもの)、または類似の適切なフロリナート液体またはその混合物などの液体であることがある。
【0090】
熱を用いて保護センサを滅菌するのであれば、媒体24として低蒸気圧の液体を使用することにより、気密チャンバ22内における高い圧力の発生とそれに続くコンプライアントな部材20の破断が回避されるので、そのようなセンサの滅菌が必要な適用形態及び他の適用形態型において低粘度・低蒸気圧の液体を用いることは有用であることがある。同様の理由で、センサが高温環境に置かれる適用形態において、コンプライアントな部材20の破断を回避するのに低蒸気圧の液体またはゲルを用いることが有用であることがある。
【0091】
低圧力条件下でセンサを滅菌気体に曝す必要がある気相化学滅菌を用いてセンサを滅菌する適用形態においては、気密チャンバ22内で低蒸気圧の媒体を用いてコンプライアントな部材20の破断を防止することも好ましいことがある。
【0092】
コンプライアントな部材20の設計及び作製は、コンプライアントな部材20の振動に対応する周波数により被測定信号に影響することを回避するべく、保護センサ10の動作圧力範囲内で振動可能な膜(例えば保護センサ10の振動可能な膜14A、14B、14Cなど)が振動する周波数範囲に比べてコンプライアントな部材20の共振周波数が十分に低い共振周波数となるように行うことができる。
【0093】
一般的に、コンプライアントな部材20の組成は、コンプライアントな部材20の過剰な劣化または腐食を回避するべく測定環境内で媒体(気体または液体)に適切に化学的抵抗性を有する材料を選択することによって適用形態に適合されるべきである。体内に埋め込まれるように設計されたセンサでは、生物適合性材料からコンプライアントな部材20を作製する(または生物適合性材料でカバーするかまたはコーティングする)ことが好ましい。本明細書中で上記開示したEchothane-CPC-41またはEchothane-CPC-29は、コンプライアントな部材20を埋め込むための適切な十分にコンプライアントかつ生物適合性のある材料であり得るが、限定されるものではないが、ポリマーベースの材料、生物適合性ポリマー、ポリウレタン、エチルビニルアセテートベースのポリマー、パリレン(登録商標)ベースのポリマーまたは他の適切なコンプライアントな材料など、他の異なる材料を用いてコンプライアントな部材20を作製することもできることに留意されたい。
【0094】
さらに、測定環境(図示せず)における媒体とコンプライアントな部材20間の界面からまたはコンプライアントな部材20と媒体24間の界面からの問い合わせ超音波ビームの反射を比較的小さくして、これらの界面からの問い合わせビームが過剰に反射することと、センサの振動可能な膜に到達する問い合わせ超音波ビームのエネルギーの一部が同時に減少することを回避することができるように、媒体24及びコンプライアントな部材20を作製する材料を選択するように注意されたい。このことは、コンプライアントな膜20の及び非圧縮性媒体24における音響インピーダンスが、測定中に保護センサ10が配置される媒体の音響インピーダンスに適度に近付くようにコンプライアントな部材20及び媒体24の材料を選択することによって、事実上達成することができる。
【0095】
気密センサユニットチャンバ17内には、気体または複数の気体の混合物が含まれることがある。気密センサユニットチャンバ17が形成されるとき、気密センサユニットチャンバ17内の圧力はP1に設定される。保護センサ10の作製後、保護センサ10が測定環境または媒体に配置されるとき、保護センサ10が配置される測定環境または媒体における圧力値はP2で表される(図1)。
【0096】
媒体24は実質的に非圧縮性であり、コンプライアントな部材20は高いコンプライアンスを有するので、コンプライアントな部材20に作用する圧力P2はコンプライアントな部材20によって媒体24を通過して振動可能な膜14A、14B、14Cへ伝達される。ゆえに、ある圧力値範囲内で、媒体24に接触する振動可能な膜14A、14B、14Cの表面は、事実上同じ圧力値P2を受ける。従って、保護センサ10の実際的な作業圧力範囲内で、センサ10の全ての振動可能な膜(図1の断面図に図示されていない振動可能な膜も含む)は、媒体24に接触する表面上で保護センサ10に作用する外部圧力P2を効率的に受けることになる。
【0097】
気密センサユニットチャンバ17内の圧力P1が測定環境における外部圧力P2と等しい(P1=P2)とき、センサユニット82の振動可能な膜(例えば振動可能14A、14B、14Cなど)に加えられる応力は実質的に最小である。
【0098】
P1≠P2のとき、センサユニット82の振動可能な膜(例えば振動可能14A、14B、14Cなど)は、圧力差に押されて曲がり、ゆえに応力を加えられた状態になる。測定媒体における外部圧力P2とセンサユニット82の気密センサユニットチャンバ17内の圧力P1との差の絶対値は、ΔP=|(P2−P1)|である。振動可能な膜における応力は、ΔPに依存する。
【0099】
センサユニット82の振動可能な膜の共振周波数は、センサユニット82の振動可能な膜における応力に依存する。共振周波数は、振動可能な膜に加えられる応力が最小であるときに最も小さい。振動可能な膜の応力が増加すると、振動可能な膜の共振周波数はそれに伴って増加する。従って、振動可能な膜の共振周波数fR はΔPの関数なので、センサユニット82の振動可能な膜の共振周波数が決まればfR からΔP(圧力差の絶対値)を求めることができる。内部圧力P1を適切に選択することによって、較正されたパッシブ超音波センサ(限定されるものではないが図1に示される保護センサ10など)の被測定共振周波数からP2の値を決定することができる。例えば、単純なケースでは、(センサの製造中にセンサユニット82の気密センサユニットチャンバ17に真空を作ることによって)P1=0に設定すると、ΔP=0になり、圧力P2を直接決定することができる。
【0100】
従って、使用前に保護センサ10を予め較正し、較正曲線またはルックアップテーブル(LUT)を用いてパッシブセンサの振動可能な膜(またはセンサ型によっては振動可能部分)の被測定共振周波数fR から圧力P2を直接求めることができるようにすることができる。しかし、センサ10の気密センサユニットチャンバ17が非ゼロ内部圧力レベルを有するのであれば(気密センサユニットチャンバ17内に気体が含まれ、そのために実質的な非ゼロ内部圧力レベルを有する場合)、気密センサユニットチャンバ17内に封入された気体への温度の影響を考慮して圧力を補正しなければならないことがあることに留意されたい。
【0101】
パッシブ超音波センサの共振周波数を測定する方法は、当該分野で公知であり、本発明の対象事項ではないので、ここでは詳述しない。簡単に説明すると、励起超音波のビームをセンサに指向させることができ、センサの共振周波数は、センサから戻る超音波信号から(または、それに代えて、励起ビームからセンサによって吸収されたエネルギー量を決定することによって)決定することができる。問い合わせ超音波ビームは、連続、パルス、またはチャープ(chirp)とすることができる。そのような方法は、とりわけ、特許文献2〜4に記載されている。
【0102】
ドップラー効果を利用してパッシブ超音波センサの共振周波数を決定する別の方法は、特許文献6に開示されている。
【0103】
図1の概略断面図は、P1>P2の状況を表していることに留意されたい。この圧力差のため、振動可能な膜14A、14B、14Cは、コンプライアントな部材20の向きに凸状である曲線形状を有するものとして示されている(分かり易く図解するため、振動可能な膜14A、14B、14Cの曲率の度合いは誇張されている)。P1=P2(図示せず)のときは、センサユニット82の振動可能な膜は、とりわけセンサの構造及び実現例によって、平ら(平面)であってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、センサが被覆材料(図示せず)の層でコーティングされると、振動可能な膜14A、14B、14Cは、P1=P2のときであっても曲線形状を有することがある。更に、製造時に振動可能な膜14A、14B、14Cが予め応力を加えられたセンサでは、振動可能な膜14A、14B、14Cは、P1=P2のときであっても曲線形状を有することがある。P1<P2(図示せず)のときは、気密センサユニットチャンバ17の空洞に面した振動可能な膜の側面が凸状になるようにセンサユニット82の振動可能な膜を曲線状にすることができる。
【0104】
本発明の保護センサの操作性を以下のように実験的に検査した。実験は、特許文献6の図2及び図3に示されている多膜パッシブ超音波圧力センサ20を用いて行った。
【0105】
(特許文献6の)センサの9つのセンサ気密チャンバ29A、29B、29C、29D、29E、29F、29G、29H、29Iを空気で充填した。非保護センサを被制御圧力チャンバに置き、水でカバーし、搬送周波数750KHz及び11のセンサ励起周波数即ち72KHz、74KHz、76KHz、78KHz、80KHz、82KHz、84KHz、86KHz、88KHz、90KHz、92KHzを有する超音波ビームにより特許文献6に開示されているドップラー法を用いて種々の異なる圧力レベルで問い合わせることによって、圧力チャンバにおいて既知の各圧力レベルでセンサの共振周波数を決定した。
【0106】
小型のステンレス鋼製環状座金を被制御圧力チャンバのホルダーに載置し、センサが座金の浅い開口部のほぼ中心に来るようにした(座金の高さはセンサの高さより高い)。約9ミクロン厚の薄いコンプライアントなポリエチレンフィルムを適切なフレーム内に保持し、座金の上面にしっかり取り付けられるまで慎重に下に下げた。このようにして、センサの振動可能な膜がコンプライアントなポリエチレンフィルムに対向するように座金及び上に位置するコンプライアントなポリエチレンフィルムにより水で充填されたチャンバを形成し、座金及び取り付けられたポリエチレンフィルムにより形成された空間を水で完全に充填して保護センサを形成した。
【0107】
保護センサを用いて同一実験圧力レベルに対して共振周波数の測定を繰り返すことにより、非保護センサ上で行ったものと同じ一連の共振周波数対圧力の測定を行った。第1及び第2組の測定(それぞれ非保護センサ、保護センサにより実施)に対してセンサの共振周波数の圧力レベルへの依存を比較したところ、非保護センサに対するデータと保護センサに対するデータ間に有意差はなかった。この実験は、コンプライアントな部材による検査されたセンサの保護を、センサの振動可能な膜の共振周波数の外部圧力への依存度に実質的に影響を及ぼすことなく行うことができることを示している。
【0108】
本発明の保護センサを実現する際に種々の構造及びデザインの変更を行うことができることに留意されたい。例えば図1の保護センサ10ではスペーサ18及びコンプライアントな部材20がセンサユニット82に取り付けられているが、他の異なる構成も可能である。
【0109】
ここで図2を参照すると、図2は本発明の更なる実施形態に基づきハウジングに封入された保護パッシブ超音波センサを示す概略断面図である。
【0110】
保護センサ30において、第1の凹型基体層12、第2の層14、複数の凹部16、気密センサユニットチャンバ17、振動可能な膜14A、14B、14Cについては、センサ10に対して上記で詳細に開示した通りである。第1の基体層12及び第2の基体層14はひとまとめに取り付けられてセンサユニット82が形成され、硬質ハウジング34内に配置または取り付けられている。ハウジング34には、限定されるものではないが、金属、金属合金、チタン、白金、ステンレス鋼、限定されるものではないがニチノール(NITINOL)(登録商標)などの形状記憶合金、シリコン、ガラス、石英、セラミック材料、複合材料、金属または非金属窒化物、窒化ホウ素、カーバイド、金属酸化物、非金属酸化物、ポリマーベースの材料、及びその組合せなどの硬質材料が含まれる。そのようなポリマーベースの材料には、限定されるものではないが、デルリン(登録商標)(米国デュポン社(Dupont)から市販されている)などが含まれることがある。
【0111】
埋込型センサに関しては、好適にはチタン、白金などの生物適合性材料(本明細書中に開示されている生物適合性物質を含む)からハウジング34を作製することができ、或いは限定されるものではないがパリレン(登録商標)などの生物適合性材料(図示せず)の層によってハウジング34を被覆することができる。コンプライアントな部材20Aはハウジング34に気密に取り付けられ、気密チャンバ32を形成する。コンプライアントな部材20Aについては、センサ10のコンプライアントな部材20に関して既に詳述した通りである。
【0112】
保護センサ10のチャンバ22に対して本明細書中で上記開示したように、気密チャンバ32は、実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。ハウジング34、コンプライアントな部材20A、及び媒体24の組合せは、本明細書中で上記開示したように、保護センサ30の振動可能な膜14A、14B、14Cに伝達される圧力を著しく減弱することなく、保護センサ30の振動可能部材(限定されるものではないが図2に示されている振動可能な膜14A、14B、14Cを含む)を異物または不要な組織または細胞の堆積から保護する。
【0113】
保護センサ30の第1の凹型基体層12及び第2の層14はハウジング34の中にしっかりと納まる(適切な接着剤または当該分野で公知である他の適切な取付方法によって取り付けることができることもある)が、気密ハウジング内に取り付けられたセンサの他の構成も当業者により実現することができることに留意されたい。例えば、センサユニット82(第1の凹型層12及び第2の層14を含む)の外部寸法及び/または形状は、ハウジング34の内部寸法に正確には整合しないことがある。従って、そのような実施形態(図示せず)においてはセンサのハウジングの断面積は保護されていないセンサの断面積よりも大きいことがある。さらに、本発明の別の実施形態の保護センサに基づけば、単一の保護ハウジング内に2つ以上の保護されていないパッシブセンサを配置することができる。
【0114】
ここで図3を簡単に参照すると、図3は、本発明の更なる実施形態に基づき単一の保護ハウジング内に配置された2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波センサの概略断面図である。
【0115】
図3の保護センサ50には、保護ハウジング54が含まれる。ハウジング54には、ハウジング部分54A及びコンプライアントな部材54Bが含まれる。ハウジング部分54Aは、図2のハウジング34に対して本明細書中で上記開示したように、限定されるものではないが、金属、ガラス、シリコン、プラスチックまたはポリマーベースの材料などの適切な材料から作製することができる。コンプライアントな部材54Bは、カプトン(登録商標)、ポリウレタン、または、限定されるものではないが、コンプライアントなポリマー材料などまたは当該分野で公知である他の適切な材料など他の適切にコンプライアントな材料から作製された高度にコンプライアントな薄膜であってよい。
【0116】
コンプライアントな部材54Bをハウジング部分54Aに気密に取り付けまたは接着または適切に堆積または別な方法で気密に結合して気密チャンバ52を形成することができる。保護センサ50には、2つのパッシブ超音波センサユニット55、57が更に含まれる。当該分野で公知である適切な取付方法または取付材料を用いてパッシブ超音波センサユニット55、57をハウジング部分54Aに接着または取付けまたは別な方法で結合することができる。
【0117】
センサユニット55には、第1の凹型基体層62と第2の層64とが含まれる。第2の層64の部分64A及び64Bは、第1の凹型基体層62内に形成された凹部66A及び66Bの上にある層64の一部を含む振動可能な膜である。図3の断面図には2つの振動可能な膜部分64A及び64Bしか示していないが、センサユニット55に含まれる振動可能な膜は、1つであってもよいし、(それぞれ図1、2の)センサ10、30に関して既に詳細に開示したように2つ以上であってもよい。このようにして、センサユニット55には適切な数の振動可能な膜を含めることができる。第2の層64は、適切な圧力条件下で第1の凹型基体層62に適切に気密に取り付けられ、気密センサユニットチャンバが形成される(そのうち気密センサユニットチャンバ67A及び67Bのみを図3の断面図に示す)。気密センサユニットチャンバ67A及び67B内の圧力はP3である。
【0118】
センサユニット57には、第1の凹型基体層72と第2の層74とが含まれる。第2の層74の部分74A及び74Bは、第1の凹型基体層72内に形成された凹部63A及び63Bの上にある層74の部分を含む振動可能な膜である。図3の断面図には2つの振動可能な膜部分74A及び74Bしか示していないが、センサユニット57には1つの振動可能な膜を含めることも、(それぞれ図1、2の)保護センサ10、30に対して詳述したように2つ以上の振動可能な膜を含めることもできる。このようにして、センサユニット57には適切な数の振動可能な膜を含めることができる。第2の層74は、適切な圧力条件下で第1の凹型基体層72に適切に気密に取り付けられ、気密センサユニットチャンバが形成される(そのうち気密センサユニットチャンバ69A及び69Bのみを図3の断面図に示す)。気密センサユニットチャンバ69A及び69B内の圧力はP4である。P3=P4になるように、またはP3≠P4になるように、センサユニット55、57を製造することができる。
【0119】
気密チャンバ52は、本明細書中で上記開示したように実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。保護センサ50の外部の圧力P5は、本明細書中で上記開示したように、コンプライアントな部材54B及び媒体24を介してセンサユニット55、57の振動可能な膜(例えば、センサユニット55の振動可能な膜64A及び64B、センサユニット57の振動可能な膜74A及び74Bなど)へ最小の減衰で伝達される。
【0120】
異なる内部圧力値を有する2つ(または状況に応じて2つ以上)のセンサユニットを用いることは、温度補償された圧力測定を提供するため、または、限定されるものではないが、保護センサ内にそれぞれ特定の圧力範囲に対して最適化されている2つ若しくはそれ以上の異なる圧力センサを含むことによって広い測定範囲を提供するなど他の目的のために有用であることがある。さらに、同一保護センサ内で類似の内部センサ圧力値を有する1若しくは複数のセンサユニットを用いて、保護センサにおける振動可能な膜の総表面積を増加させることによって保護センサの信号強度を増大させることができる。
【0121】
本発明の保護センサは、センサ固着装置の一部として形成されるか、またはセンサ固着装置内に形成されるか、またはセンサ固着装置に取り付けられ得るように実現されることがあることに留意されたい。そのようなセンサ固着装置は、限定されるものではないが、センサアンカー(限定されるものではないが特許文献5に開示された装置など)、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、埋込型装置の適切な部分、ペースメーカ、除細動器またはその一部、埋込型電極またはその一部、挿入型電極またはその一部、埋込型カテーテルまたはその一部、挿入型カテーテルまたはその一部、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤまたはその一部、内視鏡機器またはその一部、自律的なまたはひも状の内視鏡機器またはその一部、埋込型グラフトまたは他の埋込み型、または生物、動物またはヒト患者の体内に埋込みまたは挿入することができる他の適切な装置であることがある。
【0122】
本発明の保護センサを取り付けることができるセンサ固着装置(またはそのように保護された固着装置が内部に形成され得るかまたはその一部として含まれ得るセンサ固着装置)は、本発明の保護センサのための支持台または保持台(carrying platform)として働くという唯一の目的を有する装置に限定されるものではないことは当業者に理解されよう。むしろ、固着装置は、保護センサの構造及び/または機能に関連があってもなくてもよい他の適切な構造及び/または機能を有することがあり、保護センサに対する支えとして機能する以外に他の関係ない目的のために用いられることもあり得る。例えば、保護センサがペースメーカの埋込電極に取付けまたは形成または封入されるのであれば、電極は、当該分野で公知であるように、刺激電極及び/または検知電極として独立的に機能する一方で、保護センサを保持するための台または部材として機能することがある。このように、本発明の保護センサを測定環境に位置指定可能である装置に取り付けること(またはそのような装置に含めること)は、その装置の機能に必ずしも関連付けられる必要はない。
【0123】
同様に、本発明の保護センサの気密チャンバを、そのような適切なセンサ固着装置またはセンサ支持装置またはセンサ固定装置、または埋込型グラフトまたは他の型のインプラントまたは埋込型装置内に形成することができる。本発明の保護センサの気密チャンバは、気密チャンバの一部として、そのような適切なセンサ固着装置またはセンサ支持装置またはセンサ固定装置、または埋込型グラフトまたは他の型のインプラントまたは埋込型装置またはステントの一部を含むように、またはその一部として、構成されることもある。
【0124】
ここで図4を参照すると、図4は、本発明の更なる実施形態に基づき、センサ固着装置、またはセンサ・ポジショナ、または埋込型グラフト、または埋込型装置を用いて作製された保護センサの一部を示す概略断面図である。保護センサ80には、センサユニット82、アンカー88(アンカー88の一部のみを図4に示す)、及びコンプライアントな部材87が含まれる。アンカー88は、自身を貫通する開口部88Cを有する。開口部88Cはセンサユニット82より僅かに小さい。コンプライアントな部材87は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー88の第1の表面88Aに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられ、センサユニット82は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー88の第2の表面88Bに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられる。
【0125】
コンプライアントな部材87は、(それぞれ図1、2、3の)コンプライアントな部材20、20A、54Bに関して既に詳細に開示したように作製された高いコンプライアンスを有する薄膜であることがある。当該分野で公知であるかまたは本明細書中で上記開示した適切な接着剤または他のシーリング材または他の適切な取付方法によってコンプライアントな部材87をアンカー88の第1の表面88Aに気密に取り付けて気密チャンバ90を形成することができる。気密チャンバ90は、本明細書中で上記開示したように実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。
【0126】
センサユニット82には、凹型基体層12と、(それぞれ図1及び図2の)保護センサ10、30のセンサユニット82に関して既に詳細に開示したように作製されかつ機能的に作用する(operative)第2の層14とが含まれることがある。
【0127】
ここで図5を参照すると、図5は、本発明の別の実施形態に基づきセンサ固着装置または埋込型グラフトまたは埋込型装置内に作製された複数の気密チャンバを有する保護センサを説明する概略部分断面図である。保護センサ100には、既に詳細に開示したようなセンサユニット82(図4を参照)と、アンカー89(アンカー89の一部のみを図5に示す)と、コンプライアントな部材87とが含まれる。アンカー89は、自身を貫通する複数の開口部95A、95B、95Cを有する。コンプライアントな部材87は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー89の第1の表面89Aに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられ、センサユニット82は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー89の第2の表面89Bに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられる。
【0128】
コンプライアントな部材87は、(それぞれ図1、2、3の)コンプライアントな部材20、20A、54Bに関して既に詳細に開示したように作製された高いコンプライアンスを有する薄膜であることがある。当該分野で公知であるかまたは本明細書中で上記開示した適切な接着剤またはシーラーまたは他のシーリング材または他の適切な取付方法によってコンプライアントな部材87をアンカー89の第1の表面89Aに気密に取り付けて複数の気密チャンバ90A、90B、90Cを形成することができる。気密チャンバ90は、本明細書中で上記開示したように実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。
【0129】
図4を参照しながら既に詳細に開示したようにセンサユニット82を作製しかつ作動させることができる。図5の保護センサ100には3つの気密チャンバ(90A、90B、90C)が含まれるが、保護センサ100は、任意の適切な数の気密チャンバ及び任意の適切な数の振動可能部材を有して実現されることができることに留意されたい。
【0130】
図を分かり易くするため、振動可能な膜14A、14B、14Cの寸法と、チャンバ90A、90B、90Cの上にあるコンプライアントな部材87の一部の寸法とは、それぞれ必ずしもこれらの部分の実寸及び断面積の真の比率(例えば、振動可能な膜14Bの表面積とチャンバ90Bの上にあるコンプライアントな部材87の一部の面積との比など)を表示しているとは限らないことに留意されたい。適切なセンサ操作を可能にするために、チャンバ90A、90B、90Cの上にあるコンプライアントな部材の一部の表面積は、対応する振動可能な膜14A、14B、14Cの表面積よりもかなり大きいのが好ましい。他の図面全てにおいても、図面の性質から、特定のチャンバの上にあるコンプライアントな部材の一部の表面積とそのチャンバに含まれる振動可能部材または膜の表面積との比及び尺度は必ずしも正確に表示されているとは限らないことに留意されたい。
【0131】
本発明の保護センサが、単一の気密チャンバ内の単一の共振センサまたは単一の振動可能部材を含むセンサに限定されるものではないことは当業者に理解されよう。従って、気密チャンバ内に2つ以上のセンサまたは2つ以上の振動可能部材を含む保護センサは、本発明の範囲に含まれる。
【0132】
例えば、複数の気密チャンバがある保護センサを作製することができ、複数の気密チャンバのそれぞれはその中に2つ以上の共振センサを備えることができる。同様に、各気密チャンバがその中に2つ以上の振動可能部材を備えることができるような複数の気密チャンバを有するように保護センサを作製することができる。さらに、2つ以上の共振センサまたは2つ以上の振動可能部材が配置され得る単一の気密チャンバを有するように保護センサを作製することができる。
【0133】
ここで図6を参照すると、図6は本発明の一実施形態に基づき単一の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0134】
センサ110には、基体112と、第2の層114と、コンプライアントな部材120と、気密チャンバ122を充填する実質的に非圧縮性の媒体24とが含まれることがある。既に詳述したように、基体112の表面112Bに第2の層114を接着または気密に取り付けることができる。基体112内には凹部116が形成される。基体112は、表面112Bの高さより上に突き出た隆起部(ridge)112Aを有する。隆起部112Aは、(任意で)自身を貫通する開口部25を有し得る。開口部25は、後で詳細に開示するように、チャンバ122を媒体24で充填するために用いることができる。隆起部112A内に1若しくは複数の開口部25が形成されていれば、適切なシーリング材27を施用することによって媒体24の充填後に開口部25を閉じることができる。シーリング材27は、後に詳述するように、当該分野で公知である適切なシーリング材、例えば限定されるものではないが、RTV、シリコンベースのシーラント、エポキシベースのシーリング材などであることがある。
【0135】
第2の層114を基体122の表面112Bに接着または気密に取り付けて気密センサユニットチャンバ117を形成することができる。凹部116の上にある第2の層114の一部分は、センサ110に到達する力学的な波(例えば超音波など)に応じて振動し得る振動可能部材114Aを形成する。気密センサユニットチャンバ117内には、本明細書中で上記開示したように、圧力レベルを有する気体または複数の気体の混合物が含まれることがある。気密センサユニットチャンバ117内の圧力レベルは、(チャンバ117から気体が排除されていれば)ゼロ圧力レベルであってもよいし、(チャンバ117にある量の気体が存在すれば)非ゼロ圧力レベルであってもよい。コンプライアントな部材120を(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)基体112の隆起部112Aに取付けまたは接着または気密に取り付けてチャンバ122を形成することができる。チャンバ122は、実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填されるのが好ましい。センサ110の部分の材料組成は、他のセンサに対して本明細書中で上記開示したものと類似であってよい。
【0136】
図6の保護センサ110は、媒体24で充填される単一の気密チャンバ122と、単一の気密センサユニットチャンバ117と、単一の振動可能部材114Aとを有しているが、他のセンサ実施形態に関して既に詳細に開示したように、センサの他の実施形態には、2つ以上の振動可能部材、及び/または2つ以上の気密センサユニットチャンバ、及び/または媒体24で充填される2つ以上の気密チャンバが含まれることがあることに留意されたい。
【0137】
(図4の)アンカー88及び(図5の)アンカー89は、図4に示す構成または非圧縮性媒体で充填される気密チャンバを形成するための他の適切な構成においてセンサユニット82を適切に取り付けることができる装置(限定されるものではないが、埋込型または挿入型装置を含む)の適切な部分であってよいことに留意されたい。例えば、アンカー88及びアンカー89は、限定されるものではないが、特許文献5に開示されたセンサ支持装置及び/またはセンサ固定装置などの、適切なセンサ支持装置またはセンサ固定装置であってよい。アンカー88及びアンカー89は、限定されるものではないが、既に詳述したような、グラフト、ステント、埋込型電極、挿入型電極、ペースメーカ、除細動器、ガイドワイヤ、内視鏡、内視鏡機器、自律的な内視鏡機器または自律的な内視鏡カプセル、ひも状の内視鏡機器またはカプセル、埋込型または挿入型の薬剤または治療物質放出装置またはチップまたはポンプ、または当該分野で公知である他の埋込型または挿入型装置の適切な部分であってよい。
【0138】
更に、本発明の保護センサが内蔵型保護センサ(限定されるものではないが図1〜3、6〜9に示されている保護センサなど)として形成されるのであれば、所望の測定環境に載置または配置され得る他の適切な装置に本発明の保護センサを適切に取り付け及び/または接着及び/または装着及び/または付加及び/または封入することができる。例えば、ケミカルリアクタまたはバイオリアクタ(図示せず)の壁または他の内部部分に、またはリアクタに配置された測定装置または撹拌装置に、またはバルブまたはチューブまたは貯蔵タンクなどの内側に、本発明の保護センサを取り付けることができる。
【0139】
同様に、保護センサが生物または動物にまたはヒト患者に埋込みまたは挿入されるのであれば、限定されるものではないが、適切なグラフト、ステント、埋込型電極、挿入型電極、ペースメーカ、除細動器、ガイドワイヤ、内視鏡、内視鏡機器、自律的な内視鏡機器または自律的な内視鏡カプセル、ひも状の内視鏡機器またはカプセル、埋込型または挿入型薬剤または治療物質放出装置またはチップまたはポンプ、または、当該分野で公知であり、既に詳細に開示されているような他の埋込型または挿入型装置などの適切な挿入型または埋込型装置に保護センサを適切に取り付け及び/または接着及び/または装着及び/または付加及び/または封入することができる。
【0140】
ここで図7を参照すると、図7は、本発明の別の実施形態に基づきスペーサ内に形成された複数の気密チャンバを有する、複数の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0141】
保護センサ130には、パッシブ超音波圧力センサユニット152、スペーサ部材138、コンプライアントな部材147、実質的に非圧縮性の媒体24が含まれることがある。スペーサ部材138内には、2つの開口部138A及び138Bが形成されている。センサユニット152には、2つの凹部136A及び136Bが形成されている基体152が含まれる。センサユニット152には、基体132に気密に取り付けまたは結合または接着された第2の層144も含まれ、2つの別個の気密センサユニットチャンバ137A及び137Bが形成されている。本明細書中で上記開示したように、気密センサユニットチャンバ137A及び137Bを気体または複数の気体の混合物で充填することも真空にすることもできる。凹部136A及び136Bの上にある層144の一部は、2つの振動可能な膜144A及び144Bをそれぞれ形成する。層144にスペーサ部材138を気密に取り付けまたは接着または結合することができる。コンプライアントな部材147をスペーサ部材138に適切にまたは気密に取り付けまたは接着または結合して2つの気密チャンバ142A、142Bを形成することができる。当該分野で公知である適切な充填方法を用いて気密チャンバ142A、142Bを実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填することができるのが好ましい。
【0142】
既に詳細に開示したように、コンプライアントな部材147の部分147Aにより、振動可能な膜144Aが異物の堆積から保護されることがある。同様に、コンプライアントな部材147の部分147Bにより、振動可能な膜144Bが異物の堆積から保護されることがある。
【0143】
図7の保護センサ130は、媒体24で充填される2つの気密チャンバ142A、142Bと、単一の気密センサチャンバ117と、単一の振動可能部材114Aとを有しているが、他のセンサ実施形態に関して既に詳細に開示したように、センサの他の実施形態には、2つ以上の振動可能部材及び/または2つ以上のセンサ気密チャンバ、及び/または媒体24で充填される2つ以上の気密チャンバが含まれることがあることに留意されたい。
【0144】
例示の実施形態の異なるバリエーションの構成部分または機能は、図1〜8に示されるような保護センサアセンブリの異なる実施形態間で可換であり、その多くの異なる置換及び変更が可能でありかつ本発明の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0145】
限定されるものではないが本明細書中で上記開示しかつ図1〜8に示したセンサを含む本発明の保護センサは、種々の異なる方法を用いて作製または組み立てることができることに留意されたい。例えば、簡単に図6に戻ると、次のようにしてセンサ110を作製することができる。即ち、先ず、当該分野で公知である適切なフォトリソグラフィ法を用いて(限定されるものではないが、シリコンウェーハまたは他の適切な基板に適用される標準的なリソグラフィック・マスキング、フォトレジスト、ウェットエッチング方法、または他の適切なミクロ機械加工方法などにより)内部に基体112と凹部166と開口部25を形成し、次に、センサ気密チャンバ117内で所望の圧力レベルを確保するために適切な圧力チャンバ内で第2の層114を基体層112に接着または結合または取り付けることができる。
【0146】
コンプライアントな部材120を基体112の隆起部112Aに気密に取り付けまたは接着または結合することができる。その後、センサ110を適切な真空チャンバ(図示せず)に載置し、十分な時間をかけて圧力を平衡にしてチャンバ122(この段階ではまだ密閉されていない)内に適切な真空を形成することができる。チャンバ122内を高真空状態にした後で、例えば、開口部25が媒体24によって完全にふたをされる適切なレベルまで媒体24を真空チャンバに導入することによって、センサを媒体24に浸漬することができる(この真空利用充填法では、媒体24は、限定されるものではないが、本明細書中で上記開示したダウコーニング710(R)シリコン溶液などの低蒸気圧の液体、または当該分野で公知である他の適切な低蒸気圧の流体または液体である)。
【0147】
開口部25が媒体24によってふた(カバー)をされると、センサ110が配置されている真空チャンバ内の圧力は、(例えば真空チャンバを大気圧に開放することによって)真空チャンバ内に配置された媒体24に作用する圧力が増加するにつれて増加することがあり、チャンバ122が媒体24で完全に充填されるまで媒体24がチャンバ122の空きスペースに入れられることになる。チャンバ122が媒体24で充填された後、センサ110を洗浄し(必要であれば)、シーリング材27により開口部25を気密に閉じてチャンバ122の密閉を完了することができる。シーリング材27は、既に詳細に開示したように、当該分野で公知である適切なシーリング材であってよい。
【0148】
本発明の別の実施形態に基づき、細針または他の適切な注入装置を用いて開口部25からセンサ110のチャンバ122に媒体24を注入し、その後シーリング材を適用して開口部25を密閉することもできることに留意されたい。
【0149】
チャンバ122(または使用されている保護センサの他のチャンバ)を媒体24で充填する方法は、非圧縮性液体の使用に限定されるものではなく、種々の種類のゲルを用いるときにも適用することができることに留意されたい。例えば、ゼラチン使用時には、加熱された液化ゼラチン溶液を用いて凝固させるまでゼラチンが流動性液体状態にある間に、既に説明した方法を用いて、ゼラチンを適用することによってセンサを充填することが可能である。そのような場合には、ゲルの凝固を防止または遅延させる適切な温度まで充填されているセンサを暖めると都合がよいことがある。ヒドロゲルまたは他のゲルの種類を用いるときは、ゲル化が生じる前に保護センサのチャンバを充填することができるようにゲル化に時間が必要である。別の例では、当該分野で公知であるように、アルギン酸塩ベースのゲル(例えば液体アルギン酸ナトリウム溶液など)を用いること、カルシウムイオンを加えることによってゲル形成を誘導することができることがある。
【0150】
本明細書中で上記開示したようにチャンバ122に充填または注入後にゲルを形成し得る他の液状配合物または液体ゲル前駆物質を用いることができることもある。例えば、本発明の一実施形態に基づけば、単量体の混合物と、化学的に反応して適切なゲルをゆっくりと産出し得る適切な触媒及び/または重合剤及び/または架橋剤とを用いることが可能である。既に説明したいずれかの方法を用いて、単量体と架橋剤の混合物を液体状態にある間にチャンバ(限定されるものではないがセンサ110のチャンバ122など)に注入または別な方法で導入し、その後、チャンバにおいて重合させてゲルにすることができる。
【0151】
非埋込型センサの適用形態においては、当該分野で公知であるように、ポリアクリルアミドゲルなどのゲルを用いることが可能である。そのようなゲルは、重合触媒または開始剤(例えば過硫酸塩など)及び/または適切な架橋剤(例えばビスアクリルアミドベースの架橋剤)を用いてアクリルアミドまたはアクリルアミド系単量体を重合することによって形成することができる。埋込型センサを用いる適用形態の場合、ゼラチン、または当該分野で公知である他の適切な生物適合性ヒドロゲルなど、より生物適合性の高いゲルが用いられることがある。
【0152】
保護センサを作製する他の異なる方法を用いることもできることに更に留意されたい。そのような方法には、保護センサに実質的に非圧縮性の媒体を載置した後でコンプライアントな部材をセンサに取り付けるか或いはセンサ上で形成する方法を含めることができる。簡単に図1に戻ると、次のようにしてセンサ10を作製することができる。先ず、図6のセンサ110に対して本明細書中で上記開示した方法と類似の方法で、または特許文献6に開示されているように、真空チャンバ(図示せず)において凹型基体層12を第2の層14に取り付けてセンサユニット82を形成することができる。センサユニット82を作製後、スペーサ18をセンサユニット82に取り付けまたは接着してチャンバ22(この段階ではまだ気密チャンバではない)の一部分を形成することができる。次に、媒体24をチャンバ22の形成された一部分に導入し、当該分野で公知である取付方法または接着方法または結合方法を用いてコンプライアントな部材20をスペーサ18に適切に気密に取り付けるかまたは結合して媒体24を封止し、気密チャンバ22を完成することができる。この方法は、媒体24が液体またはゲルであるときに適用できる。ゲルが用いられる場合には、予めゲル化した液体の形または本明細書中で上記開示したような単量体/架橋剤混合物の状態でゲルをチャンバ22に導入することができる。
【0153】
保護センサを作製する更に別の方法(例として図6のセンサ10に関して説明しているが、本明細書中で開示及び説明している他のセンサの多くに一般的に適用可能である)では、化学蒸着法(またはおそらく当該分野で公知である他の異なる方法)を用いてコンプライアントな部材を直接形成してセンサユニットに取り付けることができる。再び図1に戻ると、次のようにしてセンサ10を作製することもできる。先ず、本明細書中で上記開示した方法と類似の方法で、真空チャンバ(図示せず)において凹型基体層12を第2の層14に取り付けてセンサユニット82を形成することができる。センサユニット82を作製後、スペーサ18をセンサユニット82に取り付けるかまたは接着してチャンバ22(この段階ではまだ気密チャンバではない)の一部分を形成することができる。次に媒体24をチャンバ22の形成された(まだ開いている)一部分に導入することができる。次に、適切な化学蒸着(CVD)法を用いてその場所にコンプライアントな部材を形成することによりコンプライアントな部材20を媒体24上及びスペーサ18上に直接蒸着することができる。例えば、コンプライアントな部材20がパリレン(登録商標)Cから作製されるのであれば、標準的なCVD法を用いてパリレン(登録商標)Cの適切な層を媒体24及びスペーサ18上に気密に蒸着または形成することができる。この場合には、実質的に非圧縮性の媒体24の上方に形成されかつスペーサ18の上面に取り付けられたパリレン(登録商標)Cの層は、コンプライアントな部材20を含む。そのような場合、大気圧以下でCVDを行うのであれば、気密チャンバで用いる媒体は低蒸気圧のものでなければならない。
【0154】
保護センサを作製するための開示された異なる方法は、原則として、本明細書中で上記開示しかつ図面に示した保護センサのいずれにも適切な変更を加えて適用することができることに留意されたい。例えば、図1のセンサ10のチャンバ22を媒体24で充填するための開口部が必要であれば、スペーサ18に1若しくは複数の開口部(図示せず)を設けることができる。
【0155】
同様に、保護センサが充填されている当該チャンバに実質的に非圧縮性の媒体24を導入できるようにするために、(図2の)保護センサ30のハウジング34または(図3の)保護センサ50のハウジング54または本明細書中に開示されている保護センサの他の適切な部分に適切な開口部(図示せず)を設ける必要があることがある。
【0156】
本発明の別の実施形態に基づけば、媒体24を導入するのに適した1若しくは複数の開口部(図示せず)をセンサユニット82または固着部材88及び/または89の適切な部分に(任意で)形成し、そこから媒体24を充填することができる。そのような開口部は、図6のセンサ110の開口部25に関して詳細に開示したように、充填完了後にシーリング材によって密閉することができる。従って、実質的に非圧縮性の媒体が1若しくは複数の開口部から本発明の保護センサの気密チャンバに導入されるのであれば、そのような開口部(図示せず)は、限定されるものではないが、センサのハウジングまたはセンサ固着装置(使用する場合)またはスペーサ(使用する場合)などセンサの選択された部分または所望の部分に、または用いられるセンサユニット本体の適切な部分を貫通して形成されることができることに留意されたい。そのような開口部は、当業者に明らかなように、センサの操作を損なうことのないような適所に配置することができる。
【0157】
更に、保護センサに複数の気密チャンバ(例えば、図5の保護センサ100のチャンバ90A、90B、90Cなど)が含まれるならば、必要に応じて、センサまたはセンサユニットまたはスペーサまたは固着装置の適切な部分に追加の開口部(図示せず)を設けなければならないこともある。
【0158】
本明細書中に開示されている本発明の保護センサを組立てまたは作製する異なる方法は、説明のためだけに与えられているものであり、義務的なものではなく、当該分野で公知であるように、開示されている保護センサを他の異なる方法を用いて作製及び/または組立て及び/または充填することができることは当業者に理解されよう。そのような方法には、限定されるものではないが、任意の適切なリソグラフィー法、エッチング法、マスキング法、半導体製造法、ミクロ機械加工法、インプリント法、エンボス法、プリント法、層形成法、化学蒸着法、結合法、接着法、密閉法などが含まれる。
【0159】
上記説明しかつ図4に示した保護センサの実施形態は、上記または特許文献5に示されるセンサアンカーまたはセンサ固定装置またはステント部の形に限定されるものではないことは当業者に理解されよう。むしろ、当業者は、本発明の保護センサの多くの異なる改変を実現することができる。例えば、可能な実現例を挙げると、限定されるものではないが、当該分野で公知であるように、アンカー88が、埋込型グラフト(例えば、当該分野で公知であるようなチューブ様ゴアテックス(登録商標)グラフト)の一部であるか、またはペースメーカ装置または除細動器の埋込型電極の一部であるか、または、血管または心血管系の他の部分に、または頭蓋内に、または脳室内に、または脊髄の中心管に、または心臓に、または他の体の空洞または内腔に埋め込むことができる他の適切な装置であり得るような実現例が含まれよう。
【0160】
ここで、図8を参照されたい。図8は、本発明の一実施形態に基づく保護共振センサの一般的形状を示す概略部分断面図である。
【0161】
図8の保護センサ180には、共振センサユニット5、スペーサ18、コンプライアントな部材20、非圧縮性媒体24が含まれている。共振センサユニット5は、限定されるものではないが、本明細書中で上記開示したかまたは当該分野で公知である任意の共振センサなど、測定環境または媒体に曝される1若しくは複数の共振器または共振部を有するような当該分野で公知である任意の型の共振センサであってよい。共振センサユニット5の共振器部分5Aは、非保護共振センサユニット5において測定環境または媒体に曝されていたであろう共振センサユニット5の共振器の一部を概略的に表している。
【0162】
保護センサ180には、図1のスペーサ18に関して既に詳細に開示したように、センサ5に適切に気密に取り付けまたは接着されたスペーサ18が含まれることがある。保護センサ180には、図1のセンサ10に関して既に詳細に開示したように、コンプライアントな部材20が含まれることもある。コンプライアントな部材20はスペーサ18に適切に気密に取り付けられ、気密チャンバ102が形成される。気密チャンバ102は、(それぞれ図1、2、4の)センサ10、30、80に関して既に詳細に開示したように、非圧縮性媒体24で完全に充填される。
【0163】
保護センサ180によって測定される物理変数(限定されるものではないが、圧力、温度など)は、本明細書中で上記開示した他のパッシブ超音波センサに対して詳細に開示したように、コンプライアントな部材20及び非圧縮性媒体24を経て共振センサユニット5の部分5Aに最小の減衰で伝達される。コンプライアントな部材20及びスペーサ18は、物質または細胞または組織または他の望ましくない異物が気密チャンバ102に入り込んで共振センサユニット5の部分5Aに堆積または別な方法で付着しないようにする。センサユニット5の共振部(図8には詳細を図示せず)は、このようにして、保護センサ180の経時的測定の安定性及び精度を維持する能力を向上させ得る測定環境または測定媒体に見られる任意のそのような物質または細胞または組織または他の望ましくない異物から保護される。
【0164】
図5に示される保護センサ80の実施形態において媒体24を含む気密チャンバ102はスペーサ18を用いて作製されるが、保護センサの別の実施形態に基づき、センサユニット5の一部として形成された一段高い円周隆起部(図6のセンサ110の隆起部112Aに類似であるが必ずしも同一である必要はない)などのセンサユニット5の適切に形成された部分(図示せず)にコンプライアントな部材20を取り付けることも可能であることに留意されたい。
【0165】
センサユニット5が測定媒体中で化学物質の濃度を検知するための共振センサである場合には、測定している化学物質に適度に透過性のある材料からコンプライアントな部材20が形成され、測定される化学物質が選択された媒体24において拡散可能であるように、または(例えば、当該分野で公知であるように、媒体24に適合性のある適切な輸送体種または輸送分子を媒体24に含めることによって)媒体24を通過して輸送されて被測定化学物質の濃度に感受性があるセンサユニット5の一部(センサユニット5の部分5Aにおそらく含まれる)に到達することができるように、コンプライアントな部材20及び非圧縮性媒体24を慎重に選択すべきであることに留意されたい。
【0166】
本発明の保護圧力センサは、本明細書中で上記開示した型のコンプライアントな部材のみを用いることに限定されない。むしろ、異なって構成されたコンプライアントな部材を用いることによって本発明の保護圧力センサを実現することもできることは当業者に理解されよう。そのような機械的にコンプライアントな部材を(当該分野で公知であるような)多くの異なる方法で構成または造形して、測定領域から用いられるセンサの振動可能な膜または振動可能な部材への圧力の効率的な伝達を可能にすることができる。コンプライアントな部材はまた、品質要素を減少させかねない振動する振動可能な部材または膜の圧力波に実質的に干渉しないように十分にコンプライアントでなければならない。
【0167】
ここで図9を参照すると、図9は本発明の一実施形態に基づき波形部分を有するコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【0168】
図9の圧力センサ140は、図6の圧力センサ110に類似しているが同一ではない。基体112、隆起部112A、開口部25、シーリング材27、第2の層114、表面112B、表面114A、及び実質的に非圧縮性の媒体24は、図6において説明したように作製することができる。しかしながら、図6のセンサ110は、隆起部112Aに気密に取り付けられて気密チャンバ122を形成するコンプライアントな部材120を有するが、センサ140は、隆起部112Aに気密に取り付けられて気密チャンバ123を形成するコンプライアントな部材150を有する。
【0169】
図9のコンプライアントな部材150は、図6のコンプライアントな部材120とは異なる。図9のコンプライアントな部材150は、第1の平坦な部分150A、第2の平坦な部分150B、波形部分150Cを含む機械的にコンプライアントな部材である。センサ110に関して既に詳細に開示したように、第2の平坦な部分150Bを基体112の隆起部112Aに気密に取り付けまたは接着して、実質的に非圧縮性の媒体24(例えば実質的に非圧縮性の液体またはゲルなど)で充填され得る気密チャンバ123を形成することができる。第1の平坦な部分150A、第2の平坦な部分150B、波形部分150Cは、コンプライアントな部材150の近接部分であるのが好ましい(必須ではない)。波形部分150Cは、センサ140外の圧力をチャンバ123内に配置された媒体24及び振動可能部材114Aに伝達しかつ振動部材(または振動膜)から測定環境に配置された外側の媒体まで圧力波を伝達するために第1の平坦な部分150Aが動くことを許容する。
【0170】
図10は、本発明の別の実施形態に基づき波形部分を有する機械的にコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【0171】
図10のセンサ210は、図1のセンサ10に機能的には類似するが構造的には同一でない。センサ10と210の同様の構成部分には同様の符号を付している。センサ210には、コンプライアントな部材21が含まれる。図10のコンプライアントな部材21は、図1のコンプライアントな部材20とは異なる。図10のコンプライアントな部材21は、第1の平坦な部分210A、第2の平坦な部分21B、波形部分21Cを含む機械的にコンプライアントな部材である。第2の平坦な部分21Bは、スペーサ19に気密に取り付けまたは接着することができる。(図1のスペーサ18に関して既に詳細に開示したように)スペーサ19を基体層12に気密に取り付けまたは接着し、センサ110に関して既に詳細に開示したように実質的に非圧縮性の媒体24(例えば実質的に非圧縮性の液体またはヒドロゲルなど)で充填され得る気密チャンバ23を形成することができる。第1の平坦な部分21A、第2の平坦な部分21B、波形部分21Cは、コンプライアントな部材21の近接部分であるのが好ましい(必須ではない)。波形部分21Cは、センサ210外の圧力をチャンバ23内に配置された媒体24及びセンサ210の振動可能な膜14A、14B、14Cに伝達するために第1の平坦な部分21Aが動くことを許容する。波形部分21Cはまた、振動可能な膜14A、14B、14Cの圧力波が保護センサの外側の測定環境における媒体に伝達されることも可能にする。
【0172】
センサ210には、スペーサ19が含まれる。(図10の)スペーサ19の寸法は、とりわけコンプライアントな部材21の被選択寸法により、(図1の)スペーサ18の寸法と異なるかまたは(図1の)スペーサ18の寸法と同じであることがある。
【0173】
図面(図1〜10)の種々の部分(部品)及び構成部分は一定の縮尺で描かれているわけではなく、寸法及び形状は(分かり易く図解するため)例示目的のみに描かれたものであり、種々の例示した構成部分の実際の寸法を表しているとは限らないことにも留意されたい。例えば、(図1の)第2の層14の振動可能な膜14A、14B、14Cの曲率は、実際のセンサの振動可能な膜の実際の曲率に対して(例示を目的として)かなり誇張されている。
【0174】
本明細書中で上記開示しかつ図1〜10に示したセンサの特定の例は圧力測定のために適合されているが、当該分野で公知であるように、そして本明細書中で上記開示したように、本発明の保護センサを温度センサとして用いることもできることに更に留意されたい。一般的には、被測定パラメータがセンサの振動可能部分または振動可能な膜の共振周波数に影響を及ぼすならば、本発明の保護センサを用いて測定環境内で他の物理パラメータを決定することも可能である。
【0175】
本明細書中で上記開示しかつ図面に示したセンサは複数の振動可能な膜を有するセンサ(多膜センサ)として実現されているが、本発明の保護センサは、限定されるものではないが、とりわけ特許文献2〜4に開示されているセンサ、または当該分野で公知である他のセンサなど、単一の振動可能な膜または単一の振動可能部分を有するセンサとして実現されることもあることに更に留意されたい。そのようなセンサは全て、コンプライアントな部材及び非圧縮性媒体を適切に用いて、非圧縮性媒体がセンサの振動可能部分にまたは振動可能部分に結合される適切なカプラに被測定物理変数を伝達するような非圧縮性媒体で充填される気密チャンバを形成することによって、保護センサとして実現されることがある。
【0176】
本発明の保護センサを用いて、種々の異なる測定方法を用いることによって物理変数の値を決定することができることは当業者に理解されよう。例えば、本発明の保護センサを問い合わせるために超音波の連続ビームまたはパルスビームまたはチャープビームを用いることによって、そして、当該分野で公知であるように、センサによる励起ビームのエネルギーの吸収またはセンサから発信されるかまたはセンサに戻される超音波信号のいずれかを測定することによって、本明細書中で上記開示した保護センサ振動可能部分のまたは振動可能な膜の共振周波数を決定することができる。そのようなパッシブセンサの共振周波数の測定を行う方法及びシステムは、特許文献2〜6に詳細に開示されている。
【0177】
しかしながら、本明細書中で上記開示した共振センサを保護する方法は、本明細書中で上記開示したパッシブ超音波センサまたは本明細書中で上記開示した特定の測定方法に限定されるものではなく、限定されるものではないが、パッシブ共振センサ、アクティブ共振センサ、光学的に問い合わせられるアクティブまたはパッシブ共振センサ、容量性共振センサ、または当該分野で公知である他の共振センサであって音波または超音波ビームによって問い合わせられる限りその共振構造の少なくとも一部が測定環境または媒体に曝されるような他の共振センサなど任意の型の共振センサと共に用いるのに適した様式の測定方法に適用することができることに留意されたい。
【0178】
更に、本発明の保護センサ(例えば保護センサ10の気密チャンバ22など)の作製中に気密チャンバを媒体24で充填して密閉するとき、気密チャンバに気泡または空気の泡を閉じ込めることを避けるように注意されたい。測定を行うためのそのような気泡または気体で充填された空間を含む保護センサを用いることは尚も可能であろうが(とりわけ、そのような気泡または気体で充填された空間のサイズ及び断面積に依る)、非圧縮性媒体24に閉じ込められたそのような気泡または任意の量の気体または空気は、保護センサの性能に望ましくない影響を及ぼすかまたは性能を低下させることがある。と言うのも、そのような気泡などは、気密チャンバ中の媒体に圧縮性部分(空間中の気体または気体を含む泡)を導入し、これが、保護センサの振動可能な膜(例えばセンサユニット82の振動可能な膜14A、14B、14Cなど)が受ける実際の圧力に影響を及ぼすことがあり、同様に、ある一定の測定誤差を生じさせることがあるためである。さらに、気密チャンバに包含される媒体24に閉じ込められた気泡は、ビームの問い合わせ超音波の一部を反射または散乱させることがあり、これはセンサの性能または測定システムの性能に望ましくない影響を及ぼすこともある。
【0179】
更に、本発明の保護センサ及びその一部を多層材料で作製することができる。例えば、本明細書中に開示されかつ図面に示されている保護センサの作製に用いられる凹型基体、スペーサ、ハウジング、固着装置のいずれも、(任意で)2層以上の材料を含む多層構造として形成することができる。更には、そのような多層構造が保護センサの一部で用いられているとき、ある層が別の層と同じ材料を含んでも含まなくてもよい。
【0180】
更には、本明細書中で上記開示した例では本発明の保護センサを実現するために特定の典型的なゲルの種類を用いることができるが、多くの他種類のゲルも用いることができる。例えば、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール(PVAL)ベースのゲル、ポリビニルピロリドン(PVP)ベースのゲル、ポリエチレンオキシド(PEO)ベースのゲル、ポリビニルメチルエステル(PVME)ベースのゲル、ポリアクリルアミド(PAAM)ベースのゲル、または当該分野で公知である他の種類の適切なゲルまたはヒドロゲルなど他の種類のゲルを用いて本発明の保護センサを実現することができる。
【0181】
選択されたゲル形成方法に単量体を形成する適切なゲルを含む混合物の重合(架橋剤の有無は問わない)が含まれるとき、当該分野で公知である適切な方法によって重合を誘導することができることに留意されたい。例えば1つの可能なゲル形成方法は、単量体(と、状況に応じて架橋剤と)を含む溶液に重合開始剤を加えることである。重合開始剤は、限定されるものではないが、ポリアクリルアミド形成単量体の使用時には過硫酸カリウム、または当該分野で公知である他の適切な重合開始化合物など、適切な遊離基形成剤であってよい。しかしながら、適切な波長を有する光(限定されるものではないが、紫外線、または他の適切な波長を有する光など)を適切な単量体溶液(適切な架橋剤または他のコポリマーの有無は問わない)に照射するかまたは他のタイプの電離放射線または他のタイプの放射線を用いるなど、単量体の重合(または異なる単量体の混合)を開始する他の方法を用いることもできる。しかしながら、当該分野で公知である他の適切な重合開始方法を用いて、本発明の保護センサが含まれるゲルを形成することができる。当該分野で公知であるような多くの他の種類のゲル及びゲル形成方法を本発明において用いることができることに更に留意されたい。そのようなゲルには、限定されるものではないが、寒天、アガロース、アルギン酸塩、ゼラチン、種々の多糖類ベースのゲル、タンパク質ベースのゲル、合成ポリマーベースのゲル(架橋及び非架橋ポリマーベースのゲルを含む)などが含まれることがある。
【0182】
本発明の保護センサ及びその一部を多層材料で作製することができることに更に留意されたい。例えば、本明細書中に開示されかつ図面に示されている保護センサのいずれかの作製に用いられる凹型基体、スペーサ、ハウジング、及び固着装置のいずれも、(任意で)2層以上の材料を含む多層構造とすることができる。更に、保護センサの一部でそのような多層構造が用いられるとき、ある層が別の層と同じ材料を含むこともあるし、含まないこともある。
【0183】
更に、本発明の保護センサに用いられるセンサユニットの振動可能部材(または共振部材)は多くの異なる形状及び/または幾何学形状を有し得ることにも留意されたい。例えば、本明細書中で上記開示したパッシブ超音波センサユニットの振動可能な膜(限定されるものではないが、センサ10、30、50、80、100、110、130、140、180、185、190、210、250、260、270、280、290、300の振動可能な膜など)は、当該分野で公知であるように、円形形状、矩形形状、多角形形状、または当該分野で公知でありかつ振動可能な共振器に適した他の形状を有し得る。例えば、特許文献6の図2に示されているセンサは、矩形形状の複数の振動可能な膜を有しているが、その他の膜形状を用いることもできる。
【0184】
本発明の保護センサの実施形態は全て単一の近接するコンプライアントな部材を有するものとして説明されているが、本発明の別の実施形態に基づき、センサを改造して、センサユニットに、または保護センサのハウジングに、またはセンサユニットが取り付けられるアンカーまたは支持物に、適切にかつ気密に取り付けられる2つ以上の別個のコンプライアントな部材を含むようにすることができることに更に留意されたい。
【0185】
本明細書中で上記開示したセンサを保護し保護センサを作製する方法(限定されるものではないが、本明細書中で上記開示したコンプライアントな部材を有するセンサ及び本明細書中で上記開示したオープンゲル保護センサを含む)が本明細書中で開示及び説明された種々の例示的実施形態に限定されるものではなく、振動可能部分または振動可能部材を有する他の異なるセンサに適用することができることは当業者に理解されよう。例えば、本明細書中で上記開示した方法を特許文献3及び4に記載のパッシブ超音波センサに適用し、本発明の範囲に含まれると考えられる保護パッシブ超音波センサを作製することができる。従って、本発明の保護センサを作製するために用いられるセンサユニットの振動可能部材または振動可能な膜を凹型層の薄い一体部分(例えば、特許文献3の図7のセンサ90の膜91など)として形成することができる。このように、本明細書中に開示されている、共振センサユニット、実質的に非圧縮性の媒体、コンプライアントな部材を用いて保護センサを作製する方法は、一般的な方法であり、当該分野で公知である他の適切なパッシブ及びアクティブ共振センサに一般的に適用することができる。
【0186】
本明細書中で上記開示しかつ図面に示した全ての保護センサには1若しくは複数のパッシブ共振センサユニットが含まれるが、本発明の保護センサ(限定されるものではないが、本明細書中で上記開示したコンプライアントな部材を有するセンサ及び本明細書中で上記開示したオープンゲル保護センサを含む)は共振センサユニットのみに限定されるものではなく、追加型のセンサユニットを含むことができることに留意されたい。このように、本発明の保護センサには、当該分野で公知である他の適切な型のセンサユニットを含めることもできる。例えば、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには、本明細書中で上記開示した1若しくは複数の共振圧力センサユニット及び当該分野で公知である適切な型の追加の非共振温度センサユニット(図示せず)が含まれることがある。そのような温度センサユニットは、保護センサのチャンバ内に配置されてもされなくてもよい。例えば、そのような非共振温度センサが図3に示す型の保護センサに含まれるならば、追加の温度センサユニットを気密チャンバ52の媒体24内に配置するか、或いは、追加の温度センサユニットをハウジング54に適切に取り付けて気密チャンバ52の外側に配置されるようにすることができる。そのような非共振温度センサユニット(または他の物理的または化学的パラメータを測定するための他種類の非共振センサユニット)は、ハウジング54内に埋め込まれるかまたは形成されるかまたは含められるかまたは適切に取り付けられることもある。同様に、本発明のオープンゲル保護センサが1若しくは複数の非共振センサを含むこともある。
【0187】
従って、当業者であれば理解するであろうように、多くの他の型の共振センサユニットと非共振センサユニットの組合せを本発明の保護センサに実装することができる。当該分野で公知であるように、そのようなセンサユニットの組合せの非共振センサユニットを、測定環境において所望の物理または化学パラメータを決定するべく構成することができる。従って、そのような共振及び/または非共振センサユニットの組合せを含む保護センサは、本発明の範囲に含まれる。
【0188】
本発明の保護センサが血液に接触して配置されるように構成される実施形態において(限定されるものではないが、血管系または心血管系の他の部分に埋め込まれるように設計された保護圧力センサなど)、血液に接触するセンサの部分は、当該分野で公知であるように、血液適合性材料から製作するかまたは血液適合性材料で適切にコーティングするのが好ましいことに留意されたい。血液適合性材料の使用は、とりわけ、血液凝固、血球堆積、または他の悪影響を低減または予防するので有利であることがある。
【0189】
チャンバ22(図1)、32(図2)、52(図3)、90(図4)、90A〜90C(図5)、122(図6)、142A及び142(図7)、102(図8)、123(図9)、23(図10)は気密チャンバとして描かれているが、これは必須ではないことに更に留意されたい。従って、チャンバ22、32、52、90、90A、90B、90C、122、142A、142、102、123、23を充填する媒体24がゲルまたはヒドロゲルであるとき、チャンバ22、32、52、90、90A、90B、90C、122、142A、142、102、123、23はオープンチャンバ(図1〜図10には図示せず)であってもよく、必ずしも義務的に完全に密閉する必要はない。
【0190】
例えば、センサにゲル24を流し込んだ後にセンサ10のコンプライアントな部材20をスペーサ18に接着または取り付けるのであれば、センサの性能は気密チャンバであるチャンバ22には実質的に依存しないので、コンプライアントな部材20は形成されたチャンバ22を十分にかつ完全に密閉する必要がない。従って、コンプライアントな部材20をスペーサ18に非気密に取り付けてもよい。
【0191】
別の例においては、(既に詳細に開示したように)開口部25を介して図6のセンサ110のチャンバ122をゲルで充填するとき、開口部25を(図6に関連して説明したようにシーリング材27により閉じないことによって)開けたままにしておくことができる。ゲル化完了後には、開口部25が開いたままであっても固化したゲルはチャンバ122内に留まることになる。代わりに、チャンバ122内でゲルを用いるとき、液体で充填されるチャンバに関して既に詳細に開示したように開口部25をシーリング材27で閉じることによってチャンバ122を密閉することもできる。
【0192】
同様に、ゲルを媒体24として用いるとき、既に例示したように、1若しくは複数の適切な開口部(図示せず)を他のセンサの適切な部分に設けることができ、共振器としてのセンサの操作に実質的に影響を及ぼすことなくそのような開口部を開けたままにしておくことができる。そのような開口部は、センサの適切な部分に設けることができ、限定されるものではないが、(図1及び2の)基体層12及び/または層14、及び/またはスペーサ18及び/またはコンプライアントな部材20、(図2の)ハウジング34及び/またはコンプライアントな部材20A、(図3の)ハウジング54及び/または基体層62及び/または72、及び/または層64及び/または74及び/またはコンプライアントな部材54B、(図4の)基体層82及び/または層14、及び/またはアンカー88及び/またはコンプライアントな部材87、(図5の)基体82及び/または層14、及び/またはアンカー89及び/またはコンプライアントな部材87、(図6の)基体層112及び/または層114及び/またはコンプライアントな部材120、(図7の)基体132及び/または層144及び/またはスペーサ138及び/またはコンプライアントな部材147、(図8の)センサ5、及び/またはスペーサ18及び/またはコンプライアントな部材20、(図9の)基体112及び/または隆起部112A及び/または層114、及び/またはコンプライアントな部材150、(図10の)基体層12及び/または層14及び/またはスペーサ19及び/またはコンプライアントな部材21に設けることができる。
【0193】
しかしながら、ここで示したセンサの特定の例はほんの一例であり、本発明の範囲内で多くの他のセンサ構成が可能であるので、とりわけ、共振センサの構造及び構成、コンプライアントな部材の構造及び構成、スペーサまたはハウジング、アンカー、または他のセンサ部品の存在及び構造次第で、本発明の保護センサの他の適切な部分及び/またはセンサの異なる部分間に(例えば、スペーサ18を基体層12に非気密にまたは不完全に取り付けるかまたは接着することによりセンサ10の基体層12とスペーサ18の間に開口部を形成することによって)そのような開口部を形成することができる。
【0194】
(センサ110の開口部25に対して詳細に開示したように)そのような開口部(図示せず)を介してセンサを媒体24で充填することが可能であるが、これは必須ではなく、詳細に開示したように、または当該分野で公知であるように、センサを媒体24(ゲルまたは液体のいずれか)で充填する他の方法を用いることができることに留意されたい。
【0195】
本発明について限られた数の実施形態に関して説明してきたが、本発明の保護センサの構造、寸法、材料組成、製造方法、そして全てが本発明の範囲内にあると考えられる本発明の保護センサの他の多くの適用例に多くの変形、置換、改変がなされ得ることを理解されたい。
【0196】
本発明のコンプライアントな部材(例えば、上記開示したコンプライアントな部材20、20A、21、54B、87、120、147、150など)は、測定環境にセンサが置かれる間、媒体24を機械的損傷(ダメージ)または他の種類の損傷から保護するのに有利であり得ることに留意されたい。更に、媒体24が液体であるとき、本発明のコンプライアントな部材は、既に詳細に示したようにセンサ内に液体を密閉し、液体がセンサから出ること及び測定環境に存在する液体によって測定環境において除去または分散されることを防止し得る。しかしながら、保護センサにおいてセンサのまたは任意の共振センサユニットの振動可能な他の共振部分を被覆するための適切なゲルを用いることによってコンプライアントな部材を用いることなく保護センサを作製することも可能である。
【0197】
ここで図11を参照すると、図11は、本発明の一実施形態に基づき、複数の振動可能な膜を有するゲル保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0198】
センサ185には、(図1の)センサユニット82が含まれることがある。センサユニット82、図1のセンサ10に関して既に詳細に開示したように作製されることがある。センサ185は、センサユニット82に取り付けられたスペーサ18を更に含むことがある。スペーサ18は、既に詳細に開示したような剛直なスペーサであることがあるが、当該分野で公知の適切な材料から作られる剛直でないスペーサとして製造されることもある。
【0199】
ゲル体124は、センサユニット82の第2の層14及びスペーサ18によって画定されるオープンチャンバ113内に配置される。ゲル124は、上記開示したような任意の型の適切なゲルであることがある。例えば、ゲル124は、ゼラチン、または任意の適切な型の脂質ゲルまたはヒドロゲル、例えば限定されるものではないが、上記した当該分野で公知のポリアクリルアミドベースのゲルであることがある。他の適切な型の天然ゲル(限定されるものではないが、寒天、アガロースなど)、または合成ゲル(限定されるものではないが合成ヒドロゲルなど)、または、上記開示したかまたは当該分野で公知の他の型の適切なゲルを用いることも可能である。埋込型センサである本発明のオープン保護センサでは、ゲルは好適には生物適合性ゲルであることがある。同様に、埋込型保護オープンセンサが血液に曝されることになるのであれば、ゲルは好適には、当該分野で公知であるように、血液適合性ゲルであることがある。
【0200】
更に、ゲルの組成または型は、それが物質または化学薬品または溶媒または生細胞または酵素、または保護センサが曝される測定環境に存在する他の成分による劣化または消費に実質的に耐性があるように選択されるのが好ましい。例えば、保護センサが化学反応器に配置されていれば、保護ゲルの種類は、反応器内で見つけられる任意の溶媒または化学反応剤によって劣化に実質的に耐性があるように選択されるべきである。同様に、センサが体内に埋め込まれ、血液(または他の組織)に接触していれば、ゲルは、他の血液成分または他の組織成分の血液酵素による劣化に実質的に耐性があるゲルであることがある。
【0201】
本発明の一実施形態に基づき、ゲル124は、予めゲル化された液体をオープンチャンバ113中にキャスティングすることによってオープンチャンバ113に配置されることがある。例えば、温められた液体水性ゼラチン溶液をチャンバ113内に導入し、室温まで冷却するにつれて凝固させておくことがある。本発明の別の実施形態に基づけば、チャンバ113は、重合及び/または架橋ゲルを形成するための適切な成分を含む液体混合物で充填されることがあり、混合物を重合させておく。例えば、この方法は、(既に詳述したように)チャンバ113内でポリアクリルアミドベースのゲルを形成するために用いられることがあるが、他の種類の適切な重合可能な単量体及び/または架橋化合物及び開始化合物及び/または他のゲル前駆物質を用いてチャンバ113において他の適切な型のゲルを形成することもできる。
【0202】
ゲル124は、ゲル124と測定環境に存在する媒体または組織間の界面(図示せず)から反射される超音波の問い合わせビーム(または他の音響ビーム)の一部を減少させるべくゲル124の音響インピーダンスが測定環境において媒体(図示せず)または組織(図示せず)の音響インピーダンスに近いように選択されるのが好ましい。しかし、これは必須ではなく、ゲル124の音響インピーダンスが測定環境の媒体または組織の音響インピーダンスに等しいかまたは非常に近い必要はなく、とりわけ、信号雑音比、センサを問い合わせるために用いられるシステムの感度、センサを問い合わせるために用いられる音響ビームの特定の周波数及び強さ、ゲル及び/または測定環境の実際の組成に依り、幾分かのインピーダンス不整合が許容できることがある。
【0203】
ゲル124は、第2の層14に接触し、振動可能な膜14A、14B、14Cを完全に被覆する。ゲル124は、従って、センサユニット82の振動可能な膜14A、14B、14Cに対する保護を与え、測定環境からの異物が振動可能な膜14A、14B、14C上に堆積または付着することを防ぐ。
【0204】
図11のゲル体124はスペーサ18の上部までチャンバ113を完全に充填するものとして示されているが、これは必須ではなく、ゲル124は、測定環境からの異物の振動可能な膜14A、14B、14C上の蓄積による振動可能な膜14A、14B、14Cの共振周波数の変化を妨げるべく振動可能な膜14A、14B、14Cを完全に被覆している限り、チャンバ113を部分的に充填するだけでもよいことに留意されたい。
【0205】
ここで図12を参照すると、図12は、本発明の別の実施形態に基づき、オープンハウジング内に配置されかつゲルによって保護される保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0206】
保護センサ190には、上記開示されているセンサユニット82(図11を参照)、上記開示されているようなハウジング34、ゲル体124Aが含まれる。ゲル体124Aは、第2の層14を被覆しかつ(図12に示されるように)ハウジング34の表面34Aの一部に接するように、オープンチャンバ213に配置される。
【0207】
ゲル124Aは、ゲル124(図11)に類似し、ゲル124に関して上記したように構成されることがある。ゲル124Aは、チャンバ113にゲル124を置くための上記開示した方法のいずれかを用いてセンサ190のチャンバ213に配置されることがある。ゲル124Aは、チャンバ213を部分的に充填するものとして示されているが、ゲル124Aがチャンバ213を完全に充填するように(図12に図示せず)保護センサ190内にゲル124を配置することも可能であり、ハウジング34の縁38Bを超えて突出することすらあることに留意されたい。例えば、ゲル124Aは、その上面がメニスカス(図示せず)を形成し、ゲル124の上面の一部が縁34Bのレベルを超えて突出するようにハウジング34に配置されることがある。単一の保護ハウジング内に配置された2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0208】
ここで図13を参照すると、図13は、本発明の別の実施形態に基づき、単一の保護ハウジング内に配置されかつゲルによって被覆される2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0209】
図13のセンサ250は、(図3の)センサ50に構造が類似している(同一ではない)が、但しセンサ250にはセンサ50のコンプライアントな部材54Bが含まれない。センサ250には、ハウジング54に取り付けられたセンサユニット55及び57が含まれる。図3のセンサ50は、チャンバ52に密閉された媒体24(液体またはゲル)を有するが、図13のセンサ250にはゲル体124Bが含まれる。センサ250は、図3の気密チャンバ52のような気密チャンバを有していない。代わりに、センサ250は、ゲル体124Bが配置されているオープンチャンバ252を有する。ゲル124Bは、上記開示したように、センサユニット55の振動可能な膜64A、64B及びセンサユニット57の振動可能な膜74A、74Bに、測定環境において見つけられる異物が堆積しないようにする。ゲル体は、図13に示されるようにチャンバ252全体を充填する必要は義務的にはないことに留意されたい。むしろ、ゲルは、振動可能な膜64A、64B、74A、74Bに十分な保護を与えるのに足る厚さである限り、チャンバ252を部分的に充填するだけでよい。
【0210】
ゲル体124Bは、本明細書に記載のゲルのいずれかであることがあり、既に詳細に開示した方法のいずれかによってチャンバ252に配置されることがある。
【0211】
ここで図14を参照すると、図14は、本発明の更なる実施形態に基づき、センサ固着装置または埋込型グラフトまたは埋込型装置を用いて製作されるオープンゲル保護センサの一部を示す概略断面図である。センサ260には、(上記開示されかつ図4に示されているような)センサユニット82が含まれる。センサ260には、(上記開示されかつ図4に示されているような)アンカー80も含まれる。センサユニット82は、既に詳細に開示したようにアンカー88に取り付けられる。しかし、図4のセンサ80とは対照的に、センサ260はコンプライアントな部材87及び気密チャンバ90を含んでいない。代わりに、センサ260は、図14に示されているようなオープンチャンバ92に配置されているゲル体124Cを有する。ゲル体は、アンカー88の表面88Aの一部を被覆することもあるし、しないこともある。図14に示されているセンサの実施形態においてゲル体124Cはまたアンカー88の表面88Aの一部を被覆しているが、これは必須ではなく、ゲル体は、アンカー88の表面88Aによって画定される平面とほぼ同じレベル(図14に図示せず)にあるように、オープンチャンバ92に配置されることもある。或いは、本発明の別の実施形態に基づき、ゲル体は、オープンチャンバ92を部分的にのみ充填する(図14に図示せず)ことがあり、その結果、ゲル体の上面のレベルが表面88Aのレベルより低いが、一方でゲルは尚もセンサユニット82の振動可能な膜14A、14B、14Cを十分に被覆する。
【0212】
ゲル体124Cは、本明細書に記載のゲルのいずれかであることがあり、本明細書に詳細に開示した方法のいずれかによってオープンチャンバ92内に形成または配置されることがある。
【0213】
ここで図15を参照すると、図15は、本発明の別の実施形態に基づき、ゲルで充填されたオープンチャンバを複数有しかつセンサ固着装置または埋込型グラフトまたは埋込型装置内に作製されたゲル保護センサの一部を示す概略断面図である。センサ270には、(上記開示しかつ図5に示したように)センサユニット82が含まれる。センサ270には、(上記開示しかつ図5に示したように)アンカー89も含まれる。センサユニット82は、上記開示したようにアンカー89に取り付けられる。しかしながら、図5のセンサ100と対照的に、センサ270には、コンプライアントな部材87及び気密チャンバ90A、90B、90Cが含まれない。代わりに、センサ270は、図15に示したようにオープンチャンバ91A、91B、91Cにそれぞれ配置されている3つのゲル体124D、124E、124Fを有する。
【0214】
ゲル体124Dは、オープンチャンバ91Aに配置され、振動可能な膜14Aの上にある。ゲル体124Eは、オープンチャンバ91Bに配置され、振動可能な膜14Bの上にある。ゲル体124Fは、オープンチャンバ91Cに配置され、振動可能な膜14Cの上にある。ゲル体124D、124E、124Fは、それぞれ振動可能な膜14A、14B、124Cを測定環境からの異物の堆積から保護し、振動可能な膜14A、14B、14Cの共振周波数の変化を防止する。
【0215】
チャンバ91A、91B、91Cに配置されるゲルのレベルは、図15に示されているようにアンカー89の表面89Aの平面と同一平面である必要は義務的にはないことに留意されたい。むしろ、本発明の一実施形態に基づけば、それぞれのチャンバ内のゲル体124D、124E、124Fのいずれかのレベルは、表面89Aのレベルより低いことがある。或いは、本発明の別の実施形態(図15に図示せず)に基づけば、単一のゲル体は、チャンバ91A、91B、91C全てを完全に充填し、また、アンカー89の表面89Aの一部を被覆するように、保護センサ270上に配置されることがある。
【0216】
ゲル体124D、124E、124Fは、本明細書に記載のゲルのいずれかであることがあり、本明細書に詳細に開示した方法のいずれかによってオープンチャンバ91A、91B、91C内に形成または配置されることがある。
【0217】
ここで図16を参照すると、図16は、本発明の一実施形態に基づき、単一の振動可能な膜を有するオープンゲル保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0218】
図16のセンサ280は、(図6の)センサ110に類似している(同一ではない)。センサ280には、図6のセンサ110に関して既に詳細に開示したように、基体112及びその隆起部112A、気密チャンバ117の上の振動可能な膜114Aを有する第2の層114が含まれる。図16の隆起部112Aは図6の開口部25を有しないことに留意されたい。というのも、そのような開口部はセンサにおけるゲル充填に必要ないからである。更に、センサ110と対照的に、図16のセンサ280には(図6の)コンプライアントな部材20が含まれない。センサ280は、オープンチャンバ121内に配置されたゲル体124Gが含まれる。ゲル体124Gは、単一の振動可能な膜114Aの上にある。ゲル体124Gはまた、隆起部112Aの表面112Cの上にある。
【0219】
ゲル体は、図16に示されているセンサ実施形態に示されているように隆起部112Aの表面112Cまで延在する必要は義務的にはないことに留意されたい。本発明の他の可能な実施形態に基づけば、チャンバ121におけるゲルのレベルは、ゲルのレベルが隆起部112Aの表面112Cのレベルにあるかまたは隆起部112Aの表面112Cのレベルより低くなるように変えることができる。ゲル体124Gは、本明細書に記載のゲルのいずれかであることがあり、本明細書に詳細に開示した方法のいずれかによってオープンチャンバ121内に形成または配置されることがある。
【0220】
ここで図17を参照すると、図17は、本発明の更に別の実施形態に基づき、保護ゲル体に完全に埋め込まれた多膜パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0221】
埋め込まれたセンサ290には、上記開示したセンサユニット152が含まれることがある(図7を参照)。センサユニット152は、表面300上に配置されるかまたは適切に取り付けられることがある(分かり易く図解するため図17には表面300の一部のみを示す)。表面300は、アンカーまたは他の型のセンサ保持体またはセンサ保持装置またはセンサ位置決め装置の表面であることがある。例えば、表面300は、次のような装置の一部であることがあり、例えば、センサ固着装置、センサアンカー(限定されるものではないが、特許文献5に開示されている装置のいずれかなど)、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、埋込型装置の適切な一部分、ペースメーカ、除細動器またはその一部、埋込型電極またはその一部、挿入型電極またはその一部、埋込型カテーテルまたはその一部、挿入型カテーテルまたはその一部、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤまたはその一部、内視鏡機器またはその一部、自律的なまたはひも状の内視鏡機器またはその一部、埋込型グラフトまたは他のインプラント型、または任意の生体、動物またはヒト患者の体に埋め込まれるかまたは挿入されることがある他の適切な装置であることがある。
【0222】
表面300は、測定環境を取り囲むかまたは測定環境の一部である容器または他の型のエンクロージャの表面であることもある。例えば、表面300は、測定環境に対応する化学反応器またはバイオリアクタまたはチューブまたは他のエンクロージャまたは容器の壁の内面の一部であることがある。
【0223】
センサユニット152は、適切な接着剤を用いることによって、または当該分野で公知である他の適切な取付方法または適切な取付材料を用いることによって、表面300に取り付けられることがある。
【0224】
保護センサ290には更にゲル体224が含まれる。ゲル224は、明細書中に開示されたゲルのうち任意のものであることがある。本発明の一実施形態に基づき、センサユニット152は先ず、表面300に適切に取り付けられるかまたは接着されることがある。センサを表面300に取り付けた後、適量のゲル前駆物質または液化ゲル、またはゲルを形成することができる成分の混合物がセンサユニット152上に配置され、それがセンサユニット152及び表面300の一部を被覆するようにされることがある。ゲルはその後、そうするのが適切であるように、固化または凝固または重合するに任せられることがある。ゲル形成または重合または固化後、センサユニット152は、結果として得られるゲル体224内に埋め込まれることがある。
【0225】
先ずセンサユニット152が表面300に取り付けられるかまたは接着されるかでないのであれば、ゲル体224はセンサユニット152を表面300に取り付けるのに役立つこともある。後者の場合、センサユニットは先ず表面300上の所望の位置に置かれることがあり、一滴または他の適量のゲル前駆物質または液化ゲル、またはゲルを形成することができる成分の混合物がセンサユニット152上に配置され、それがセンサユニット152及び表面300の一部を被覆するようにされることがある。ゲルはその後、そうするのが適切であるように、固化または凝固または重合するに任せられることがある。
【0226】
或いは、本発明の別の実施形態に基づき、一滴または他の適量または所望の量のゲル前駆物質または液化ゲル、またはゲルを形成することができる成分の混合物が先ず表面300上の所望の位置に配置されることがあり、次にセンサユニット152が一滴の(または他の量の)ゲル前駆物質または液化ゲル内に置かれるかまたは沈められることがあり、またはゲルを形成することができる成分の混合物及びゲルはその後、そうするのが適切であるように、固化または凝固または重合するに任せられることがある。
【0227】
ゲル224がセンサユニット152を表面300に取り付けるために用いられるのであれば、センサユニット152は、表面300に接することなくゲル体224に完全に取り囲まれるように置かれることができるので、センサユニット152は、表面300に接触してもしなくてもよいことに留意されたい。従って、表面300に接触することなくゲル224中に自由に動くように取り付けられるセンサユニット152を有する一方で、ゲル体224を表面300に付着させることが可能である。
【0228】
1若しくは複数のセンサユニットをゲルに埋め込む開示された方法は、センサユニットが埋め込まれているゲルが生物適合性ゲルまたは血液適合性ゲル(血液に接触するセンサユニットの場合)であるとき、生物適合性材料で作られていないセンサユニットを生体または身体に埋め込むために使用することができるという追加的な利点を有することがあることに留意されたい。そのような生物適合性または血液適合性ゲルは、測定環境の成分によって急速に劣化または消費されることはなく、かつ十分な厚さを有するのが好ましい。
【0229】
図17に示されているゲル体内にセンサを埋め込む方法は、限定されるものではないが、単一のセンサまたは単一のセンサユニットと共に用いられていることに更に留意されたい。むしろ、本明細書中に開示されているかまたは当該分野で公知である型のいずれかの複数のセンサまたは複数のセンサユニットが、表面300に付着されるゲル224内に置かれるかまたは配置または埋め込まれることがある。このことは、異なる型のセンサを表面300の同一領域に配置する必要があるとき(例えば温度補償センサ対を形成する場合)、または測定環境において異なる物理変数を検出及び/または決定するため、または互いに隣接する構造的にまたは機能的に類似または異なる保護センサの組合せを必要とする他の目的のため、異なる共振周波数範囲を有する複数のセンサユニットまたは複数のセンサを用いるとき、有利であることがある。
【0230】
ここで図18を参照すると、図18は、本発明の別の実施形態に基づき、ゲル保護パッシブ共振圧力センサを示す概略断面図である。
【0231】
保護センサ300には、センサユニット302及びセンサユニット302に付着されたゲル体324が含まれる。センサユニット302には、凹部316が形成された凹型基体315が含まれる。凹型基体315は、例えばシリコン基体であることがあるが、他の適切な材料で作られたものであることもある。凹部316は、当該分野で公知の成形方法または機械加工法またはミクロ機械加工法を用いて、基体315内に形成されることがある。例えば、基体315がシリコンで出来ていれば、凹部316は、当該分野で公知のシリコンエッチング法またはミクロ機械加工法を用いて、基体315にエッチングされることがある。或いは、基体315は、センサ10の基体層12に関して上記で詳細に開示したように、当該分野で公知の他の適切な材料、例えば限定されるものではないが、金属、シリコン、窒化ホウ素、ガラスなどから作られることがある。
【0232】
第2の基体層310は、センサ10または他のセンサに関して上記開示したような、または特許文献3及び4に開示されているような、当該分野で公知の適切な取付方法を用いて層315に接着されるかまたは別な方法で気密に取り付けられて気密チャンバ317を形成する。第2の基体層310は、センサ10の基体層12に関して上記で詳細に開示したように、当該分野で公知の他の適切な材料、例えば限定されるものではないが、シリコン、金属、窒化ホウ素、ガラスなどから作られることがある。
【0233】
気密チャンバ317は、上記開示したように、または特許文献3及び4に開示されているように、真空チャンバに層317を取り付けることによって中の空気を抜かれて内部を真空にされることがある。或いは、気密チャンバは、当該分野で公知であるように、適切な制御された大気圧力チャンバにおいて層310を凹型基体315に気密に取り付けることによって内部に適切な圧力レベルでガスを含むことがある。基体315の薄い部分は、センサ10の振動可能な膜14A、14B、14Cに関して上記に詳細に開示したような適正な周波数を有する音響または超音波ビームに問い合わせられたときに振動し得るような振動可能な膜315Aを形成する。センサユニット302は、センサ10または上記開示した他のセンサのいずれかに関して既に詳細に開示したように測定環境内の圧力を決定するために用いられることがある。
【0234】
保護センサ300は、図18に示されているように、ゲル体324を振動可能な膜315Aの表面部分319A及び基体315の振動可能でない部分の表面319Bの一部に配置するかまたは付着させることによって形成されることがある。ゲル324は、適切なゲル形成方法、限定されるものではないが、ゲル前駆物質または液化ゲル、または上述の他のセンサに関して記載したような重合及び/または架橋によってゲルを形成することができる成分の混合物を用いた方法を用いて、センサユニット302上に形成されるかまたは付着されることがある。ゲル体324は、ゲル体324が膜315Aの表面319A上の異物(図示せず)の堆積または付着から振動可能な膜315Aを保護し得るように振動可能な膜315Aの表面319A全体を被覆することがあることに留意されたい。ゲル体324はまた、基体315の振動可能でない表面部分319Bの一部を(図18に示されているように)被覆することがある。或いは、ゲル体324は、振動可能な膜315Aの表面319A全体及び基体315の振動可能でない厚い部分の表面319B全てを被覆することがある。
【0235】
実験1
【0236】
特許文献6の図2及び図3に示されている多膜パッシブ超音波圧力センサ20を用いて実験を行った。センサを先ずゼラチンのスラブ上に置いた。温水(42%w/w)と混合した市販の食品用ゼラチン粉末からゼラチンスラブを作成し、キャスティングして約6cmの厚さ(高さ)を有するスラブを形成した。ゼラチンスラブを制御圧力チャンバ内に置き、センサをゼラチンスラブの上部に配置した。その後、ゼラチンスラブ及びセンサを水でカバーし、搬送周波数750KHz及び11のセンサ励起周波数即ち72KHz、74KHz、76KHz、78KHz、80KHz、82KHz、84KHz、86KHz、88KHz、90KHz、92KHzを有する超音波ビームにより特許文献6に開示されているドップラー法を用いて種々の異なる圧力レベルで問い合わせることによって、第1の測定データの組を得て、圧力チャンバにおいて既知の各圧力レベルでセンサの共振周波数を決定した。
【0237】
次に、ゼラチンスラブ及び圧力センサを圧力チャンバから取り出し、容器の中に置いた。水に溶かした市販の食品用ゼラチン(42%w/w)の温かい溶液を、センサ及び上にセンサが配置される第1のゲルスラブを完全に被覆するように容器に注ぎ、室温まで冷却させて、キャスティングしたゼラチンを凝固させた。センサを被覆するゼラチン層の厚さは、約4cmであった。センサを上に述べたようにゼラチンの塊に完全に埋め込み、センサの振動可能な膜がゼラチンに接触しかつゼラチンに被覆されるようにした。結果的に得られる、センサが内部に埋め込まれたゼラチンの塊を、同じ制御圧力チャンバの中に置き、同じ問い合わせ超音波ビームパラメータを用いて同じ実験圧力レベルに対して共振周波数の測定を繰り返すことによって同じ一連の共振周波数対圧力測定を再度行い、第2の測定データの組を得た。第1及び第2の測定値の組についてセンサの共振周波数の圧力レベルへの依存を比較したとき、裸の(非ゼラチン被覆)センサとゼラチンに完全に埋め込んだ同じセンサとでデータの組の間に大した差はなかった。この実験は、実験に使用されたセンサが、センサの振動可能な膜の共振周波数の外部圧力への依存を実質的に影響することなくゲルによって保護されることがあることを示している。
【0238】
実験2
【0239】
特許文献6の図2及び図3に示されている多膜パッシブ超音波圧力センサ20を用いて実験を行った。センサを先ず制御圧力チャンバの中に置き、水で覆い、上記実験1で述べたように種々の異なる圧力レベルで超音波ビームによって問い合わせ、第1の測定結果データの組を得て、圧力チャンバにおける各既知の圧力レベルでセンサの共振周波数を決定した。次に、センサを水から取り出し、上記実験1で開示したように温かいゼラチン溶液をセンサの上面にキャスティングしかつゲルを凝固させることによって作成した薄いゼラチン層(水に溶かして42%w/wとしたもの)でセンサの上部(センサの9つの振動可能な膜を含む)を被覆した。センサの上面を被覆しかつセンサの振動可能な膜を被覆するゼラチン層の厚さは、約150ミクロンであった。その後、ゲル保護センサを水で覆い、同一の制御圧力チャンバにおいて同じ一連の共振周波数対圧力測定を再度行、第2の測定データの組を得た。
【0240】
第1及び第2の測定データの組についてセンサの共振周波数の圧力レベルへの依存を比較したとき、裸の(非ゼラチン被覆)センサと薄いゼラチン層で被覆した同じセンサとでデータの組の間に大した差はなかった。この実験は、実験に使用されたセンサが、センサの振動可能な膜の共振周波数の外部圧力への依存を実質的に影響することなく薄いゲル層によって保護されることがあることを示している。
【0241】
図面(図1〜18)の種々の部分(部品)及び構成部分は一定の縮尺で描かれているわけではなく、寸法及び形状は(分かり易く図解するため)例示目的のみに描かれたものであり、種々の例示した構成部分の実際の寸法を表しているとは限らないことにも留意されたい。例えば、(図1の)第2の層14の振動可能な膜14A、14B、14Cの曲率は、実際のセンサの振動可能な膜の実際の曲率に対して(例示を目的として)かなり誇張されている。
【0242】
本明細書中で上記開示しかつ図1〜18に示したセンサの特定の例は圧力測定のために適合されているが、当該分野で公知であるように、そして本明細書中で上記開示したように、本発明の保護センサを温度センサとして用いることもできることに更に留意されたい。一般的には、被測定パラメータがセンサの振動可能部分または振動可能な膜の共振周波数に影響を及ぼすならば、本発明のゲル保護共振センサを用いて測定環境内で他の物理パラメータを決定することも可能である。一般的に、センサユニットの少なくとも共振部分(限定されるものではないが、共振部材または共振膜など)がゲルによって被覆されるように任意の型の共振センサユニットをゲルで被覆すること、または共振センサユニットをゲルに埋め込むことは、共振センサユニットの共振周波数特性に実質的に影響することなく、共振センサユニットの共振部分への保護を与えることができかつ共振部分上への測定環境からの異物の堆積を防止することができる。
【0243】
とりわけ特許文献2〜4に開示されているセンサ、または当該分野で公知である他のセンサなどの他の型の共振センサは、センサの振動可能部分にまたは振動可能部分に結合される適切なカプラに被測定物理変数を伝達するような非圧縮性媒体で充填される気密チャンバを形成するべく、コンプライアントな部材及び非圧縮性媒体の適切な使用によって、保護センサとして実現されることがあることに更に留意されたい。
【0244】
本発明の保護センサを用いて、種々の異なる測定方法を用いることによって物理変数の値を決定することができることは当業者に理解されよう。例えば、本発明の保護センサを問い合わせるために連続ビームまたはパルスビームまたはチャープビームを用いることによって、そして、当該分野で公知であるように、センサによる励起ビームのエネルギーの吸収またはセンサから発信されるかまたはセンサに戻される超音波信号のいずれかを測定することによって、本明細書中で上記開示した保護センサ振動可能部分のまたは振動可能な膜の共振周波数を決定することができる。そのようなパッシブセンサの共振周波数の測定を行う方法及びシステムは、特許文献2〜6に詳細に開示されている。
【0245】
しかしながら、本明細書中で上記開示した共振センサを保護する方法は、本明細書中で上記開示したパッシブ超音波センサまたは本明細書中で上記開示した特定の測定方法に限定されるものではなく、限定されるものではないが、パッシブ共振センサ、アクティブ共振センサ、光学的に問い合わせられるアクティブまたはパッシブ共振センサ、容量性共振センサ、またはその共振構造の少なくとも一部が測定環境または媒体に曝されるような当該分野で公知である他の共振センサなど任意の型の共振センサと共に用いるのに適した測定方法に適用されることがあることに留意されたい。
【0246】
更に、本発明の保護センサ(例えば保護センサ10の気密チャンバ22など)の作製中に気密チャンバを媒体24で充填して密閉するとき、気密チャンバに気泡または空気の泡を閉じ込めることを避けるように注意されたい。測定を行うためにそのような気泡または気体で満たされた空間を含む保護センサを用いることは尚も可能であろうが(とりわけ、そのような気泡または気体で充填された空間のサイズ及び断面積に依る)、非圧縮性媒体24に閉じ込められたそのような気泡または任意の量の気体または空気は、保護センサの性能に望ましくない影響を及ぼすかまたは性能を低下させることがある。なぜならば、それは気密チャンバの媒体中に圧縮性部分(空間中の気体または気体を含む泡)を導入し、これが、保護センサの振動可能な膜(例えばセンサユニット82の振動可能な膜14A、14B、14Cなど)が受ける実際の圧力に影響を及ぼすことがあり、同様に、ある一定の測定誤差を生じさせることがあるためである。さらに、気密チャンバ内に包含される媒体24に閉じ込められた気泡は、ビームの問い合わせ超音波の一部を反射または散乱させることがあり、これはセンサの性能または測定システムの性能に望ましくない影響を及ぼすこともある。
【0247】
同様に、オープンゲル保護またはゲル被覆センサ(限定されるものではないが、図11〜18に示されているセンサなど)を作製するとき、センサを保護するゲル体または層内で気泡の形成または閉じ込めを回避または最小にするように注意が払われなければならない。そのような気泡は、問い合わせ超音波ビームの一部を反射または散乱することがあり、このことはセンサの性能または測定システムの性能に望ましくない影響を及ぼすことがある。ゲルにおける気泡の形成または閉じ込めは、当該分野で公知であるように、予めゲル化された液体または予め重合されたゲル前駆物質混合物の適切な脱気または脱ガスを用いることによって、または存在する気泡を除去するかまたはゲル内での気泡形成を防止または低減するための当該分野で公知の適切な脱ガスまたは脱泡法を用いることによって、減少させるかまたは最小にすることができる。
【0248】
更に、本発明の保護センサ及びその一部は、多層材料で作製されることがある。例えば、本明細書中に開示されかつ図面に示されている保護センサの作製に用いられる凹型基体、スペーサ、ハウジング、固着装置のいずれも、(任意で)2層以上の材料を含む多層構造として形成されることがある。更には、そのような多層構造が保護センサの一部で用いられているとき、ある層が別の層と同じ材料を含んでも含まなくてもよい。
【0249】
更には、本明細書中で上記開示した例では本発明の保護センサを実現するために特定の典型的なゲルの種類を用いることができるが、多くの他種類のゲルも用いることができる。例えば、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール(PVAL)ベースのゲル、ポリビニルピロリドン(PVP)ベースのゲル、ポリエチレンオキシド(PEO)ベースのゲル、ポリビニルメチルエステル(PVME)ベースのゲル、ポリアクリルアミド(PAAM)ベースのゲル、または当該分野で公知である他の種類の適切なゲル、脂質ゲルまたはヒドロゲルを用いて本発明の保護センサを実現することができる。
【0250】
選択されたゲル形成方法に単量体を形成する適切なゲルを含む混合物の重合(架橋剤の有無は問わない)が含まれるとき、当該分野で公知である適切な方法によって重合を誘導することができることに留意されたい。例えば1つの可能なゲル形成方法は、単量体(と、状況に応じて架橋剤と)を含む溶液に重合開始剤を加えることである。重合開始剤は、限定されるものではないが、ポリアクリルアミド形成単量体の使用時には過硫酸カリウム、または当該分野で公知である他の適切な重合開始化合物など、適切な遊離基形成剤であってよい。しかしながら、適切な波長を有する光(限定されるものではないが、紫外線、または他の適切な波長を有する光など)を適切な単量体溶液(適切な架橋剤または他のコポリマーの有無は問わない)に照射するかまたは他のタイプの電離放射線または他のタイプの放射線を用いるなど、単量体の重合を開始する他の方法を用いることもできる。しかしながら、当該分野で公知である他の適切な重合開始方法を用いて、本発明の保護センサが含まれるか取り付けられるかカプセル化するゲルを形成することができる。
【0251】
上記したように、ゲルの音響インピーダンスは、測定環境における媒体または組織の音響インピーダンスに近いのが好ましい。その上、ゲルが測定環境における媒体に曝されることになるのであれば、ゲルの組成は、測定環境における媒体によるゲルの過剰な劣化または分解を回避するべく媒体と適合するように適応されるのが好ましい。ゲル‐保護センサが、図11〜18に開示されている型のセンサであり、身体に埋め込まれているならば、他の身体組織または血液または他の体液に曝され得るゲルは、当該分野で公知であるような生物適合性ゲルであるのが好ましい。
【0252】
更に、本発明の保護センサに用いられるセンサユニットの振動可能部材または膜(または共振部材または膜)は、多くの異なる形状及び/または幾何学形状を有し得ることにも留意されたい。例えば、本明細書中で上記開示したパッシブ超音波センサユニットの振動可能な膜(限定されるものではないが、図1〜18に示したセンサの振動可能な膜など)は、円形形状、矩形形状、多角形形状、または当該分野で公知でありかつ振動可能な共振器に適した他の形状を有することがある。
【0253】
上記開示されたセンサを保護するため及び保護センサを作製するための方法は、本明細書中で開示及び例示された種々の典型的な実施形態に限定されるものではなく、振動可能部分または振動可能部材または振動可能な膜を有する他の異なるセンサに適用されることがあることは、当業者に理解されよう。例えば、本明細書中で上記開示した方法は、保護補償パッシブ超音波センサを作製するために特許文献3及び4に記載の補償パッシブ超音波センサに適用されることがあり、当該保護補償パッシブ超音波センサは本発明の範囲内にあると考えられる。
【0254】
本発明の保護共振センサ及び共振センサを保護する方法の実施形態はパッシブ共振センサに適用されているものとして説明されているが、本発明の方法及び保護センサは、当業者によって容易に具現化され得る改変及び適用によって当該分野で公知のアクティブ共振センサを用いて埋込に容易に適応されることがあることは理解されよう。本発明の範囲には、従って、当該分野で公知の適切なアクティブ共振センサユニットに適用される保護センサ及びセンサを保護する方法も含まれる。
【0255】
本明細書中に開示されている保護センサの全てにおいて(コンプライアントな部材の有無を問わず)、特別な所望の特性を有する薄いコンプライアントな材料層で保護センサまたはセンサの一部分(限定されるものではないが、センサのハウジング及び/またはセンサユニットの非振動可能部分または保護センサのコンプライアントな部材など)の表面全体をコーティングまたはカバーすることが可能である(分かり易く図解するため、被覆層(covering layer)は図示していないことに留意されたい)。被覆層の追加は、センサの組立てまたは作製の前、途中または後で、特定のセンサ型に適したときに行うことができる。そのような被覆層がコンプライアントな部材上に加えられるとき、層の材料を十分にコンプライアントなであるものとし、被覆層は、測定環境におけるコンプライアントな部材及び/または媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しい音響インピーダンスを有することができるのが好ましい。
【0256】
被覆層は、センサの性能を損なわないように十分にコンプライアントなものであることとする。被覆層には、所望の特性を有し得る1若しくは複数の材料を含めることができるか、またはセンサユニットまたは保護センサの任意の部分に所望の特性を与えることができるか、または望ましい効果を達成することができる。例えば、被覆層に1若しくは複数の親水性材料または疎水性材料を含めて保護センサまたはその一部に所望の親水性または疎水性特性をそれぞれ与えるようにすることができる。更に、被覆層には、限定されるものではないがコーティング層の表面に接触する流体または液体の流れに対する抵抗(または摩擦係数)など所望の流体力学上の表面特性を有し得る1若しくは複数の材料を含めることができる。
【0257】
さらに、被覆層には、1若しくは複数の所望の生物学的特性を有し得る1若しくは複数の材料が含まれることがある。例えば、そのような材料は、当該分野で公知であるように、生物組織または細胞の成長に影響し得る。生物学的作用には、限定されるものではないが、内皮細胞成長(または内皮細胞単分子層成長)の誘導または阻害、血餅形成への影響、血球堆積及び/または接着の阻害または促進、または当該分野で公知である他の望ましい生物学的作用を含めることができる。
【0258】
二者択一的にまたは付加的に、当該分野で公知である保護センサまたはその一部分の表面特性を変えるために有用な適切な表面処理または表面改質法を用いて、保護センサのコンプライアントな部材または本発明のオープン保護ゲルにおけるゲル体の表面または保護センサの他の部分(限定されるものではないが、センサのハウジング、センサアンカー、スペーサなど)の他の表面の表面特性改質も本発明に含まれる。そのような方法には、当該分野で公知であるように、任意の化学的及び/または物理的表面改質法が含まれ得る。例えば保護センサまたはその一部を化学的に処理して、限定されるものではないが、化学的表面特性、表面疎水性、表面親水性、流体力学的表面特性、生物学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗などの表面特性を変化させることができる。化学処理は、当該分野で公知であるような化学基の表面を化学的に改質すること(例えば表面ヒドロキシル基のシラン処理など)によって、または種々の異なる化学分子または成分または生体分子を表面に適切に付着させることによって(結び付ける分子または薬剤の使用の有無を問わず)のいずれかにより達成することができる。そのような分子または剤には、当該分野で公知であるように、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、薬剤、多糖類、脂質、糖脂質、リポ、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、または所望の生物学的または治療特性または効果を有する他の種類の分子または因子または薬物または薬剤が含まれることがある。当該分野で公知である適切な方法を用いて、そのような表面誘導体化または表面改質または表面処置、または本発明の保護センサの所望の表面への薬剤または分子の表面付着を行うことができる。そのような表面の処置及び/または改質方法は、当該分野で公知であり、ここでは詳述しないことにする。
【0259】
その表面特性を改質するようにゲル体を処理するのであれば、保護ゲル体の表面特性を改質するために用いられるゲル処理または化学的改質が、ゲル体を介しての被測定物理変数(限定されるものではないが、測定環境における圧力など)の適正な伝達を確実にするゲルの特性またはゲルの音響インピーダンスを実質的に変化させず、保護センサの性能に悪影響を及ぼさないことを確実にするように注意が払われなければならないことに留意されたい。
【0260】
本発明の更なる実施形態に基づき、本発明の保護センサのゲル体は、所望の物質を放出する貯蔵器として働くことがある。ゲル体(限定されるものではないが、ゲル体124、124A、124B、124C、124G、224、324を含む)には、当該分野で公知であるように、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、異なる薬剤または治療薬、多糖類、脂質、糖脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、細胞外マトリクス成分、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、または所望の生物学的または治療的な特性または効果を有する他の種類の分子または因子または薬剤または作用薬を含み得る1若しくは複数の物質が含まれることがある。そのような物質は、ゲルを作成する段階で物質をゲルまたはゲル形成液体に導入することによってゲルが保護センサに配置されるかまたは適用される前にゲル体に導入されることがある。或いは、ゲルが保護センサに置かれるかまたは保護センサ上に配置された後に、物質はゲル体に導入されることがある。例えば、所望の物質は、当該物質を含む適切な溶液中に保護センサを置くことによってゲル体に導入されることがある。物質はその後、拡散によってゲル体に入ることがある。
【0261】
ゲル体は、従って、身体または生体内に埋め込まれるときに物質として働くことがあり、物質を(心血管系の一部に埋め込まれていれば)血液中に、またはセンサの埋込部位に応じて他の体液または組織液に放出することがある。そのような物質の放出は、当該分野で公知であるように、生体組織または細胞の成長に影響することによって有利であることがある。放出された物質の効果には、限定されるものではないが、内皮細胞成長(または内皮細胞単層成長)の誘発または阻害、血塊形成への影響、血液細胞の堆積及び/または接着の阻害または促進、または当該分野における他の望ましい生物学的効果が含まれる。そのような効果は、ゲル上への血液細胞または他の物質または組織の堆積を低減または防止し得る。その上、ゲルからの物質または薬剤の放出は、ゲル上への細胞または組織の堆積を低減する際の物質または薬剤の有効性に関係なく、センサの近くで組織、細胞または他の標的に対する所望の治療効果を有することもある。例えば、冠動脈に埋め込まれた超音波保護圧力センサのゲルから放出される適切な薬剤または物質は、冠血管におけるアテローム斑形成を減少させることがある。他の薬剤または物質は、薬学分野で公知のように、センサの埋込部位またはその付近で他の所望の治療効果を誘発することがある。保護センサにおいて用いられる型のゲルは、ゲルに含まれかつゲルから効率的に放出され得る物質または薬剤の型に影響することがあることに留意されたい。例えば、適切な脂質ゲルまたは疎水性ゲルは、親油性または疎水性物質または薬剤を貯蔵及び放出するために用いられることがあり、ヒドロゲルは、親水性または極性物質または薬剤を貯蔵及び放出するために用いられることがある。このようにして、異なる型のゲルが、異なる型の薬剤及び物質を貯蔵及び放出するように選択されることがある。
【0262】
保護ゲルの組成及び特性は、センサを保護するゲル体へのタンパク質の拡散(とりわけ、コラーゲンなど)または他の物質(例えば、反応器またはバイオリアクタにおける測定環境に含まれる物質など)及びセンサユニットの振動可能な部材または膜上への起こり得る堆積を減少させるかまたは阻止するように選択されることもある。特性には、とりわけ、ゲルの気孔率、モレキュラーシーブ特性、架橋の程度、ゲルの化学組成におけるイオン性基または荷電基または極性基または無極性基または疎水基の存在、ゲルの疎水性、または他のゲル特性であって、ゲル中に拡散され最後には振動可能なセンサ部分上に堆積されるというタンパク質または他の物質または分子の能力を望ましく低下させるかまたは妨げることがあるものが含まれることがある。例えば、親油性ゲル組成は、ゲルを介してのコラーゲン(及び/または他のタンパク質または物質)の拡散及び振動可能なセンサ部分上への堆積を遅延または低減させることがあるが、他の異なるゲルの種類または組成が用いられることもある。
【0263】
その上、ゲルは、上記開示した方法及び当該分野で公知である方法のうち任意のものを用いてゲル中に組み入れられることがあり、ゲルを介してのコラーゲン(及び/または他のタンパク質または物質)及び振動可能なセンサ部分上への堆積を遅延または低減させることがあるような、適切な物質または作用薬または分子の貯蔵器として用いられることもある。そのような物質は、とりわけ、ゲルに組み入れられるかまたは導入される際にゲルの特性を変えることによって、機能することがある。異物の拡散及び堆積を遅延または低減させるためにゲルに物質を加えるかまたは組み入れるかまたはゲルの組成を選択するとき、上記で詳述したように選択されたゲル組成の音響インピーダンスは測定環境における媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいのが好ましい(必須ではない)ことを覚えておく必要がある。
【0264】
共振センサの振動可能な部材または部分を保護するゲル体は、必ずしも単一の接触ゲル体である必要はないが、(図7及び図15に示されているように)幾つかの非接触ゲル体を含むことがあることに留意されたい。更に、本発明の他の実施形態に基づけば、単一の保護センサに2つ以上のゲル体が用いられることがある。例えば、図14のセンサ260において、振動可能な膜14A、14B、14Cのそれぞれに別個のゲル塊(図14に図示せず)を付着させることは可能である。同様に、図13の保護センサ250において、1つのゲル体252を2つの非接触ゲル体(図示せず)に置き換え、第1のゲル体(図示せず)がセンサユニット55に付着されかつ第2のゲル体(図示せず)がセンサユニット57に付着されるようにすることは可能である。同様に、簡単に図17に戻ると、ゲル体224は、各々が振動可能な膜144A及び144Bの一方に適切に付着させた2つのゲル体(図示せず)と取り替えられることがある。(図17の)保護センサ290はまた、単一の埋め込まれたセンサユニット152の代わりにゲル体224に2つ若しくはそれ以上の別個のセンサユニット(図示せず)を埋め込むことによって改変されることがある。上記開示しかつ図面に示した保護センサの任意のものに対して同様の置換及び改変が同様に用いられることがある。これらの置換及び改変は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0265】
本発明について限られた数の実施形態に関連して説明してきたが、本発明の保護センサの構造、寸法、材料組成、共振部材の数及び形状、1つの保護センサまたはセンサユニット当たりのゲル体の数及び/または形状、作製方法、及び全て本発明の範囲に含まれると考えられる本発明の保護センサの他の多くの適用形態に、多くの変更、置換及び改変をなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護された共振センサであって、
測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を各々が有するような、1若しくは複数の共振センサユニットと、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材に接する少なくとも1つのゲル体とを含むことを特徴とする保護センサ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのゲル体の音響インピーダンスが、前記測定環境に配置された媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項3】
前記保護センサが、身体または生体に埋め込まれるように構成された埋込型センサであり、前記少なくとも1つのゲル体の音響インピーダンスが、前記身体または生体の1若しくは複数の組織の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項4】
前記1若しくは複数の共振センサユニットが、前記少なくとも1つのゲル体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのゲル体が、前記1若しくは複数の共振センサユニットに含まれる振動可能部材全てを完全に被覆することを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのゲル体が、合成ゲル、天然ゲル、ヒドロゲル、脂質ゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、生物適合性ゲル、血液適合性ゲル、ポリマーベースのゲル、架橋ポリマーベースのゲル、及びその組合せから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項7】
前記保護センサが、ハウジングを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのゲル体が、前記ハウジングを少なくとも部分的に充填することを特徴とする請求項7に記載の保護センサ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのゲル体が、前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材に付着された少なくとも1つの薄いゲルの層を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項10】
前記1若しくは複数の共振センサユニットが、少なくとも1つのオープンチャンバ内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのチャンバが、
センサ固着装置内に形成された少なくとも1つのチャンバと、
センサ固着装置の一部を構成する少なくとも1つのチャンバとから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項12】
前記センサ固着装置が、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型グラフト、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、ひも状の内視鏡機器、ひも状の内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、埋込型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択されることを特徴とする請求項11に記載の保護センサ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、パッシブセンサユニット、アクティブセンサユニット、パッシブ共振センサユニット、アクティブ共振センサユニット、圧力センサ、パッシブ超音波圧力センサユニット、アクティブ超音波圧力センサユニット、測定環境において化学物質の濃度を検知するセンサから選択されることを特徴とする請求項11に記載の保護センサ。
【請求項14】
前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの共振センサユニットが、
内部に1若しくは複数の凹部が形成された基体と、
前記基体に気密に取り付けられて前記1若しくは複数の共振センサユニット内に1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを形成する第2の層とを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材が、
前記基体の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材と、
前記1若しくは複数の凹部の上にある前記第2の層の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材とから選択されることを特徴とする請求項14に記載の保護センサ。
【請求項16】
前記1若しくは複数の気密センサユニットチャンバの各気密センサユニットチャンバが、内部に圧力レベルを有することを特徴とする請求項14に記載の保護センサ。
【請求項17】
前記圧力レベルが、ゼロ圧力レベルと、非ゼロ圧力レベルとから選択されることを特徴とする請求項16に記載の保護センサ。
【請求項18】
前記保護センサが、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する第1の共振センサユニットと、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する少なくとも第2の共振センサユニットとを有し、
前記第1の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルが、前記少なくとも第2の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルと異なることを特徴とする請求項16に記載の保護センサ。
【請求項19】
前記1若しくは複数の共振センサユニットが、
単一の振動可能な膜を有する少なくとも1つのパッシブ超音波圧力センサと、
複数の振動可能な膜を有する少なくとも1つのパッシブ超音波圧力センサとから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項20】
前記保護センサが、埋込型保護センサであることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項21】
前記埋込型保護センサの構成部分の1若しくは複数が、生物適合性材料及び血液適合性材料から選択される1若しくは複数の材料を含むことを特徴とする請求項20に記載の保護センサ。
【請求項22】
前記保護センサが、目、尿道、心室、心血管系、心血管系の一部、血管内修復後の動脈瘤嚢、脊椎、椎間板、脊髄、脊柱、頭蓋内区画、血管の腔内空間、動脈、静脈、大動脈、肺血管、頚動脈血管、脳血管、及び冠状動脈、大腿動脈、腸骨動脈、肝動脈、腎動脈、大静脈から選択される測定環境内に埋め込まれるように構成されていることを特徴とする請求項20に記載の保護センサ。
【請求項23】
前記保護センサの表面の少なくとも一部が、改質表面特性を有する改質表面であることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項24】
前記改質表面特性が、物理的表面特性、化学的表面特性、電気化学的表面特性、生物学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗、流体力学的表面特性、及びその任意の組合せから選択されることを特徴とする請求項23に記載の保護センサ。
【請求項25】
前記改質表面が、化学的に処理されることを特徴とする請求項23に記載の保護センサ。
【請求項26】
前記保護センサが、少なくとも1つの非共振センサユニットを更に含むことを特徴とする請求項23に記載の保護センサ。
【請求項27】
前記改質表面が、前記少なくとも1つのゲル体の表面であることを特徴とする請求項23に記載の保護センサ。
【請求項28】
前記少なくとも1つのゲル体が、少なくとも1つの放出可能物質を含むことを特徴とする請求項23に記載の保護センサ。
【請求項29】
前記少なくとも1つの放出可能物質が、タンパク質、ペプチド、薬剤、治療薬、多糖類、脂質、糖脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、細胞外マトリクス成分、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の保護センサ。
【請求項30】
前記少なくとも1つのゲル体が、実質的に非圧縮性のゲルを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項31】
前記少なくとも1つのゲル体が、あるゲルを含み、前記ゲルが該ゲル中への1若しくは複数の物質の拡散を遅延または低減させることができる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項32】
前記少なくとも1つのゲル体が、前記1若しくは複数の前記少なくとも1つの振動可能部材上への1若しくは複数の物質の堆積を遅延または低減させることができる組成を有するゲルを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項33】
少なくとも1つの共振センサユニットを含む保護センサであって、前記少なくとも1つの共振センサユニットの各センサユニットが、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を有し、前記少なくとも1つの共振センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材が、自身に付着されたゲルによって保護されることを特徴とする保護センサ。
【請求項34】
保護共振センサを作製する方法であって、
1若しくは複数の共振センサユニットを供給する過程と、
前記1若しくは複数の共振センサユニットに少なくとも1つのゲル体を付着させる過程とを含み、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの各センサユニットが、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を有することを特徴とする方法。
【請求項35】
前記付着過程が、前記1若しくは複数の共振センサユニットの振動可能部材全てを前記ゲルで被覆する過程を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記付着過程が、
液化ゲルを適用し、前記1若しくは複数の共振センサユニットの少なくとも振動可能部材全てを前記液化ゲルで被覆する過程と、
前記液化ゲルをそのまま凝固させる過程とを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記液化ゲルが、液化可能なゲルを加熱することによって得られることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記付着過程が、
少なくとも1つのゲル前駆物質を含む液体を適用し、前記1若しくは複数の共振センサユニットの少なくとも振動可能部材全てを前記液体で被覆する過程と、
前記少なくとも1つのゲル体を前記液体から生じさせるようにする過程とを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つのゲル前駆物質が、重合されて前記少なくとも1つのゲル体を形成することができる少なくとも1つの単量体を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記付着過程が、
前記少なくとも1つのゲル体内に前記1若しくは複数の共振センサユニットを埋め込む過程を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記付着過程が、
前記少なくとも1つのゲル体が表面に付着された前記少なくとも1つのゲル体に前記1若しくは複数の共振センサユニットを完全に埋め込むかまたは部分的に埋め込む過程を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記表面が、センサハウジングの表面、センサ固着装置の表面、埋込型グラフトの表面、埋込型装置の表面、インプラントの表面、挿入型装置の表面、測定環境を取り巻くエンクロージャの表面から選択されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ゲルの音響インピーダンスが、前記保護センサが配置される測定環境に含まれる媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記保護センサが、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、
前記ゲルの音響インピーダンスが、前記生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項45】
前記付着過程が、
ハウジング内に前記1若しくは複数の共振センサユニットを配置する過程と、
少なくとも1つのゲル前駆物質を含む液体で前記ハウジングを少なくとも部分的に充填し、前記1若しくは複数の共振センサユニットの少なくとも振動可能部材を前記液体で被覆する過程と、
前記少なくとも1つのゲル体を前記液体から生じさせるようにする過程とを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記保護共振センサが、少なくとも1つの非共振センサユニットを含み、
前記付着過程が、前記少なくとも1つの非共振センサユニットを前記少なくとも1つのゲル体に付着させる過程を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記保護センサの前記少なくとも一部の表面特性を改質するために前記保護センサの表面の少なくとも一部を処理する過程を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項48】
前記処理過程が、前記少なくとも1つのゲル体上で実行され、前記ゲルの表面特性を変えることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記表面特性が、物理的表面特性、化学的表面特性、電気化学的表面特性、生物学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗、流体力学的表面特性、及びその任意の組合せから選択されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記処理過程が、表面特性改質のために前記保護センサの表面の前記少なくとも一部を化学的に処理する過程を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つのゲル体に少なくとも1つの放出可能物質を組み入れる過程を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの放出可能物質が、タンパク質、ペプチド、薬剤、治療薬、多糖類、脂質、糖脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、細胞外マトリクス成分、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記組み入れ過程が、前記保護センサにおいて前記ゲルを配置する前に前記少なくとも1つの放出可能物質を前記ゲルに加える過程を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記加える過程が、前記少なくとも1つの放出可能物質を液体ゲル前駆物質に加える過程と、前記少なくとも1つの放出可能物質を液化ゲルに加える過程から選択されることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記組み入れ過程が、前記保護センサにおいて前記ゲルを配置した後に前記少なくとも1つの放出可能物質を前記ゲルに導入する過程を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記導入過程が、前記少なくとも1つの放出可能物質を前記少なくとも1つのゲル体中に拡散する過程を含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記拡散過程が、前記少なくとも1つの放出可能物質を含む溶液中で前記保護センサを保温する過程を含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
保護共振センサを作製する方法であって、
1若しくは複数の共振センサユニットを供給する過程と、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材をゲルで被覆する過程とを含み、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの各センサユニットが、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を有することを特徴とする方法。
【請求項59】
保護共振センサを作製する方法であって、
1若しくは複数の共振センサユニットを供給する過程と、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材に接するゲルを供給する過程とを含み、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの各センサユニットが、測定環境において物理変数の関数として変化する共振周波数を有する少なくとも1つの振動可能部材を有することを特徴とする方法。
【請求項60】
1若しくは複数の振動可能部材を有する共振センサを保護する方法であって、前記センサユニットの少なくとも前記1若しくは複数の振動可能部材をゲルで被覆する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
1若しくは複数の振動可能部材を有する共振センサを保護する方法であって、前記センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材をゲルで被覆する過程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−101156(P2013−101156A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−38776(P2013−38776)
【出願日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【分割の表示】特願2007−517652(P2007−517652)の分割
【原出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(511118698)マイクロテック メディカル テクノロジーズ リミテッド (1)