説明

共振器に基づくフィルタを用いる装置

【課題】共振器に基づくフィルタを提供する。
【解決手段】入力及び負荷アドミタンスYin及びYoutを有する入力及び出力電子回路、2種類の2個の圧電共振器(RZs,RZs’;RZp,RZp’)を備えた格子フィルタで、共振器は特性インピーダンスZcを有、第1の共振器は共振周波数Fr1およびFr1とは異なる反共振周波数Fa1を有し、第2の共振器は、Fr1とは異なる共振周波数Fr2と、Fr2およびFa1とは異なる反共振周波数Fa2を有する。入力及び出力インピーダンスは共振器の特性インピーダンスとは一致しないが、アドミタンスYinの実部Re{Yin}の逆数およびアドミタンスYoutの実部Re{Yout}の逆数は共振器の特性インピーダンスZcより少なくとも2〜5倍大きくされる。更に、周波数差Fa1−Fr1およびFa2−Fr2は、差分Fr1−Fr2の絶対値より少なくとも2〜3倍大きくされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振器に基づくフィルタを用いる回路に関し、より具体的には数百MHz〜数GHzの範囲のUHF帯域の電気信号用のフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
益々多くのモバイルアプリケーションが異なるノード間でデータを交換する無線周波数通信システムを使用している。製造上の制約として通常、特に電池または周辺エネルギーを回収するシステムにより電力供給される場合、低電力消費の制約がある。
【発明の概要】
【0003】
アプリケーションの数が増大しているため、これらのシステムが、特に産業、科学、および医療用途において頻繁に使用する2.4GHz前後のUHF周波数帯が益々混雑しており、従って受信器の入力を飽和させやすい干渉信号の数が増加している。このような干渉からの保護を提供すべく、システムの設計者には、一般に電力消費の増大と引き換えに、受信器の線形性を向上させるか、または理想的には受信チェインのはるか上流すなわちアンテナのなるべく近くにおける選択性を向上させるかの選択肢がある。この第2の手法では従って、相対的に狭い帯域幅(認可された周波数分布でチャネル用に予約された帯域幅の順序の)を有するUHF周波数に集中した帯域フィルタが必要になり、且つ自身の電力消費への影響を最小限にして受信器に組み込み可能なことが必要になる。
【0004】
UHF周波数で直接動作する必要性により、通常はより低い周波数で使用される能動フィルタリング技術の利用は除外される。従って目的は、例えば表面音響波(SAW)またはバルク音響波(BAW)技術、すなわち表面音響波共振器およびバルク音響波共振器に基づく、UHF周波数で直接動作する受動共振器を使用することである。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような共振器は、能動回路に関連付けられているため自身の共振周波数または反共振周波数の周辺の共振器の周波数選択性という利点が得られる個別の共振器として、または能動要素により互いに分離されている個別の共振器の組として、あるいは自身が入力回路および出力回路(これら2個の回路の各々は能動または受動型であってよい)に関連付けられた純粋に受動フィルタ内の共振器として用いることができる。個別の共振器で得られるフィルタ機能では選択性が制約されていて、有用な帯域で必ずしも充分に平坦な帯域幅が得られない。一方で、能動回路は機器のエネルギー消費を増大させる点で望ましくない。
【0006】
従来技術において、受動フィルタは、各セルが差動入出力端を有し、セルの入出力端の間に「直接」および「交差」的に接続された4個の共振器を用いる1個以上の格子セル(「格子フィルタ」として知られる)に基づいて既に提案されている。従来、2種類の共振器を用いて「直列」または「並列」共振器を製造している。各共振器は、特性インピーダンスZc、共振周波数(Fr)、および反共振周波数(Fa)を有し、Fa>Frである。ある種類の共振器の共振周波数は他の種類のものとは異なり、反共振周波数についても同様である。第1の種類の共振器の共振周波数は従来、帯域の中心周波数付近で充分に平坦な帯域幅を得るべく第2の種類の反共振周波数に一致している。
【0007】
これらの格子フィルタは、入力回路と出力回路の間に配置されていて、出力回路により負荷が掛かる際に自身の入力から見て入力回路のインピーダンスがフィルタのインピーダンスに一致し、同様に、自身の入力が入力回路に接続された際に自身の出力から見て出力回路のインピーダンスがフィルタのインピーダンスに一致することが一般に認められている。このように一致させる目的は信号電力の伝達を最適化することである。
【0008】
フィルタの入力および出力インピーダンスおよび各共振器の特性インピーダンスは、殆どの場合共通の標準値を有するように選択される。共通の標準値は、殆どの場合50オーム、100オーム、および恐らくは200オーム(特に差動動作の場合)である。
【0009】
特に無線周波数送信システムに適した共振器の一例として、最新の電気通信システムで通常用いられるUHF帯域に対応する約800MHz〜3GHzの周波数で共振が得られるようにするバルク音響波(BAW)共振器がある。共振器は、例えば、背面が凹部である基板、当該凹部上の支持膜、および2個の金属電極間に挟まれた圧電材料の層で構成されている。当該共振器の共振周波数は、スタックの質量を増やして共振および反共振周波数を減少させる追加的な層を層のスタックに負荷を掛けることにより調整してもよい。
【0010】
これらの共振器は、高品質係数を有し、且つ極めて小型である。しかし、極めて低い帯域幅と、所要の帯域内で平坦な帯域と、および共振器を組み込むフィルタ構造の消費電力が低いこととが同時に要求される場合、これらは使い勝手が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、帯域のリップル無しに、且つフィルタの入出力に関連付けられた回路の電力消費を抑える、所要の小帯域幅が得られるようにする、UHF周波数で動作する受動共振器に基づく新規なフィルタ構造を提案することである。本発明の目的は更に、所望の帯域において単一の共振器を用いる構造で実現でき得るよりも平坦な周波数応答曲線を有するフィルタ構造を得ることである。
【0012】
本発明は、入力アドミタンスYinを有する入力電子回路、出力アドミタンスYoutを有する出力電子回路、および入力回路に接続された差動入力と出力回路に接続された差動出力を有するフィルタを含むフィルタ装置を提案するものであり、当該フィルタは、当該フィルタの入力と出力の間に接続された2種類の複数の共振器を含み、第1の種類の共振器が共振周波数Fr1および反共振周波数Fa1を有し、第2の種類の共振器が各々Fr1およびFa1とは異なる共振周波数Fr2および反共振周波数Fa2を有し、アドミタンスYinの実部の逆数(1/Re{Yin})およびアドミタンスYoutの実部の逆数(1/Re{Yout})が、共振器の特性インピーダンス(Zc)の幾何平均の値よりk倍大きく、kは少なくとも2以上の数であり、周波数差Fa1−Fr1およびFa2−Fr2が差分Fr1−Fr2の絶対値のk’倍より大きく、k’は少なくとも2に等しい数であることを特徴とする。
【0013】
反共振周波数と共振周波数の差は好適には、両方の種類の共振器のものと(ほぼ)同一である。
【0014】
入力回路の出力アドミタンスの絶対値(モジュラス)は好適には、出力回路の入力アドミタンスの絶対値に等しい。
【0015】
数kは好適には5以上である。数k'は好適には3以上である。
【0016】
フィルタは好適には、差動入力の2個の端子およびフィルタの差動出力の2個の端子の間で交差するように搭載された4個の共振器、すなわち第1の種類である2個の共振器および第2の種類である2個の共振器からなる少なくとも1個の格子セルを含んでいる。
【0017】
従って本発明の一態様によれば、2種類の共振器を有する格子フィルタが入力電気回路および出力電気回路に接続されていて、これらの2個の回路は、従来の方法で使用されるよりも高い入力および出力インピーダンスを有し、入出力回路は共振器の特性インピーダンスに一致するインピーダンスを有している。2種類の共振器の共振周波数間の差を同時に減らすことにより、フィルタに求められる帯域幅が、(インピーダンスが一致する従来の構成でこの差が減少すれば必然的に生じる)減衰のリスク無しに得られる。インピーダンスが高レベルであることで入出力回路の電力消費が抑えられる利点が得られると共に、比較的平坦且つ狭い帯域幅が得られ得ることが分かっている。
【0018】
要約すれば、格子フィルタを用いるフィルタ装置の従来の構成は通常、入力および出力においてインピーダンスが一致する、およびある種類の共振器の共振周波数と他の種類の反共振周波数がほぼ一致することを利用するが、本発明は、インピーダンスが大幅に異なり、且つ2種類の共振器の共振周波数の差が大幅に減少した構成を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細説明を精査すれば明らかになろう。
【0020】
【図1】本発明で有用なバルク音響波共振器構造を示す。
【図2】共振器の主共振周辺における簡素化された等価電気回路を示す。
【図3】共振器のインピーダンスの絶対値を、共振周波数で最小値および反共振周波数で最大値をとる周波数の関数として示す。
【図4】本発明で用いる4個の共振器を有する格子セルからなるフィルタを示す。
【図5】等しい入力および出力インピーダンスにより負荷が掛かる従来技術格子フィルタの透過係数の絶対値を示す。
【図6】入力および出力インピーダンス(270オームおよび1000オーム)の異なる2個の値についてフィルタの等価負荷の絶対値を示す。
【図7】フィルタの2種類の共振器の共振周波数の差が異なる異なる2個の値をとる場合に、1000オームの入力および出力インピーダンスに対する等価負荷の絶対値を示す。
【図8】従来の構造および本発明のフィルタ構造における等価負荷の絶対値を示す。
【図9】標準的なBAW技術を採用して2350MHzを中心とする共振器により作成されたフィルタの入力または出力インピーダンスの関数として望ましい周波数差の変化の曲線を示す。
【図10】本発明および単一共振器フィルタに対する応答曲線の比較を、後者の品質係数を200から1000まで変動させたときの周波数の関数として示す。
【図11】入力回路をそのノートン型等価物で表したフィルタ構造の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、いわゆるフィルムバルク音響共振器(FBAR)におけるバルク音響波共振器の例のハードウェア構成を模式的に示す。本図は断面図である。基板10が、凹部12の上方に膜14を、およびその上に共振器本体を構成する多くの層が搭載されている。スタックは、少なくとも1個の下部電極16、圧電層18、および上部電極20を含んでいる。圧電層18は単一の層として描かれているが、複数の層を含んでいてもよい。断面の外における層のスタックの横方向寸法は両側で数十マイクロメートルであって、厚さが約1マイクロメートルであってもよい。上から見た形状は好適には正方形またはほぼ正方形である。本発明は図1に示すFBARの実施形態に限定されず、バルク音響波技術を用いる場合、音響反射器の用途に応じて固定搭載共振器(SMR)構成で代替可能である。
【0022】
この種の共振器RZは、主共振周辺において、図2に示すようにインダクタLm、抵抗Rm、および別のコンデンサCmが直列接続された組合せと並列に構成されたコンデンサCからなる等価電気回路によりモデル化することができる。これは、周波数に応じて変化するインピーダンスZrzを端子間に有している。
【0023】
共振器は、共振周波数Frおよび反共振周波数Faを有している。共振周波数は、反共振周波数に近く且つそれより低い。共振器の等価回路のインピーダンスの絶対値|Zrz|は、|Zrz|をデシベル(20log(|Zrz|))で表す図の3曲線で示すように、周波数に応じて変化する。図3に、インピーダンスがゼロへ向かう共振周波数およびインピーダンスが非常に高くなる反共振周波数を明示的に示す。
【0024】
共振器の特性インピーダンスZcは1/2πFにより与えられ、ここにFは共振周波数と反共振周波数の間の中心動作周波数である。これは従って、主に等価コンデンサCの値に依存する。
【0025】
このコンデンサCは、層のスタックの技術的製造データおよび形状因子(厚さ/横方向寸法)に紐付けられた値を有し、静電容量は共振器の面積と圧電層の厚さの比に比例している。
【0026】
特に注目する約2GHzの周波数において、最小の共振器の特性インピーダンスを、ほぼ2%という最小形状因子に共振器が準拠する場合、200オームを上回るまで増やすのは困難である。2%を超えた場合、好ましくないバルク音響波伝播モードが現われ、共振器の動作が求められる周波数帯に偽信号(スプリアス)を誘導する。
【0027】
これは、特性インピーダンスが完全に自由選択可能ではないことを意味する。
【0028】
更に、反共振周波数と共振周波数間の差Fa−Frが、共振器の電気エネルギーと機械的エネルギーの間の結合の効率を示す技術的パラメータ「kt」に比例することに注意されたい。このパラメータは、共振器の物理特性に、且つ第1に、採用される圧電材料の性質に依存する。従って理論的には、差Fa−Frが圧電材料に固有の値の周辺で調節可能なように共振器を製造してもよい。
【0029】
実際には、無線周波数システムにおける効果的な動作、および証明された技術の理由により、約6%の係数ktおよび設計された中心周波数において約50オーム〜100オームの特性インピーダンスを有する共振器を備えた、容易に入手可能な市販フィルタが製造されている。
【0030】
最後に、特性インピーダンスおよびパラメータktの観点から同一またはほぼ同一の特性を有するが共振周波数は異なる2個の共振器を、例えば図1の一方の共振器のスタックの上に追加的な層を堆積させ、もう一方にはこの追加的な層を堆積させないような簡単な手段により同一技術で製造してもよい。この追加的な層は、窒化シリコン、酸化シリコンまたは金属層等の誘電層である。これにより通常、等価コンデンサCの電気特性を変更することなく構造に重量を加えることにより共振周波数が下がる。
【0031】
図4は、フィルタ装置の全般的構造を模式的に示す。差動入力(E;E’)および差動出力(S;S’)を有する4個の共振器RZs、RZs’、RZp、RZp’を備えた単一の対称格子セルFLTからなるフィルタが、入力回路と出力回路の間に挿入されている。これらの回路の各々は能動的または受動的であってもよい。入力回路は、入力回路の出力インピーダンスと呼ばれ、且つ「フィルタの入力における負荷インピーダンス」と考えられるインピーダンスZinと直列な電圧源Vinにより記号化されている。出力回路は、出力回路の入力インピーダンスと呼ばれ、且つ「フィルタの出力における負荷インピーダンス」と考えられ得るインピーダンスZoutにより記号化されている。共振器RZsおよびRZs’は、「直列共振器」として知られる第1の種類の共振器を構成し、RZsは入力Eと出力Sの間に直列接続され、RZs’は入力E’と出力S’の間に直列接続されている。共振器RZpおよびRZp’は、「並列共振器」として知られる第2の種類の共振器を構成している。これらは、他の2つと比較して交差した状態で接続されている。すなわち、RZpは入力Eとび出力S’ の間に接続され、RZp’は入力E’と出力Sの間に接続されている。この構成は、4個の共振器を備えた受動格子フィルタとして知られる構成である。
【0032】
共振器RZs、RZs’は共振周波数Fr1および反共振周波数Fa1を有し、Fr1<Fa1である。
【0033】
共振器RZp、RZp’は共振周波数Fr2および反共振周波数Fa2を有し、Fr2<Fa2である。
【0034】
第2の種類の共振器(並列共振器)の共振周波数Fr2は通常、第1の種類の共振器(直列共振器)の共振周波数Fr1より低い。格子構成の対称性および入力および出力への差動信号の印加により、全体的な電気挙動を変更することなく直列共振器を並列共振器で代替することができる。
【0035】
従来、ZinはZoutに等しくされ、この共通インピーダンスは直列共振器Zcおよび並列共振器Zcの特性インピーダンスの幾何平均にほぼ等しくされる。すなわちZin=Zout=(Zcs・Zcp)1/2である。並列共振器の反共振周波数Fa2もまた、直列共振器の共振周波数Fr1にほぼ等しくされる。この構成により、帯域幅が最大、挿入損失が最小、且つ帯域幅内のリップルフィルタが最小であるフィルタが得られる。
【0036】
従来方法では依然として、フィルタの中心周波数における当該フィルタ用に設計された共振器の等価コンデンサのインピーダンスの絶対値として上で定義した共振器の特性インピーダンスは、50〜100オーム、または200オームにのぼる標準的な値をとる。
【0037】
図5は、4個の共振器を備えた従来の格子フィルタの挙動を示す3個の曲線を含んでいる。並列共振器RZpおよびRZp’には、それらの共振周波数を下げる追加的な層により負荷が掛けられる。これらの曲線において周波数が横軸および縦軸にプロットされている。
−共振器RZpまたはRZp’のインピーダンス(オーム単位)の絶対値:左側の目盛りで値を示す点線曲線;
−共振器RZsまたはRZs’のインピーダンス(オーム単位)の絶対値:左側の目盛りで値を示す破線曲線;
−4個の共振器RZs、RZs’、RZp、RZp’により製造される格子フィルタの透過係数S2,1(dB単位)の絶対値:右側の目盛りで値を示す実線曲線。
【0038】
共振器RZpおよびRZp’の反共振周波数が、共振器RZsおよびRZs’の共振周波数にほぼ等しくされていることがわかる。2種類の共振器の共振周波数間の差Fr1−Fr2は、共振器の反共振周波数と共振周波数の間の差Fa2−Fr2またはFa1−Fr1にほぼ等しい。
【0039】
また、当該フィルタが、平坦且つ当該周波数差を僅かに上回る3dBの帯域幅を有することがわかる。
【0040】
本発明の一態様によれば、入力回路Zinの出力インピーダンスおよびフィルタZoutの出力回路の入力インピーダンス、すなわち当該フィルタの入力および出力における負荷インピーダンスには、共振器の特性インピーダンスに等しくない値が割り当てられる。
【0041】
より正確には、入力回路Re{Yin}の入力アドミタンスの実部の逆数(Yinは入力回路の入力アドミタンス1/Zin)には共振器の特性インピーダンスの少なくともk倍(kは2以上の数)大きい値が割り当てられている。直列および並列共振器の特性インピーダンスが異なる場合、直列および並列共振器の特性インピーダンスの幾何平均が共振器の特性インピーダンスとしてとられる。例えば、共振器の等価コンデンサCが、直列および並列共振器において実際には異なるコンデンサC0sおよびC0pを含んでいる場合、特性インピーダンスZcは[1/(C0s・C0p・ω)]1/2であると考えられる。
【0042】
従って、フィルタの入力端子EおよびE’に接続された出力インピーダンスZinを有する入力回路(信号源)および格子フィルタの出力端子に接続された入力インピーダンスZoutを有する出力回路(フィルター負荷)が用いられる。
【0043】
本発明によれば、入力回路の入力アドミタンスYin=1/Zinは、実部Re{Yin}を有し、その逆数1/Re{Yin}はZcよりも少なくともk倍大きい。出力回路のアドミタンスは実部Re{Yout}を有し、その逆数1/Re{Yout}はZcよりも少なくともk倍大きい。
1/Re{Yin}>=k・Zc
1/Re{Yout}>=k・Zc
【0044】
乗数kは少なくとも2に等しく、好適には5以上である。数kは正数であるが、必ずしも整数とは限らない。
【0045】
しかし、単に1/Re{Yin}および1/Re{Yout}をこのように増やしただけでは、数dBを上回る可能性がある帯域内にリップルを含む周波数の関数としてフィルタテンプレートが得られるリスクがある。帯域内におけるそのようなレベルのリップルは通常受容できない。
【0046】
図6に、入力および出力インピーダンスの2個の異なる値(270オームおよび1000オーム)対する同一フィルタの「等価負荷」(デシベル単位)の絶対値の一般的傾向を示す。「等価負荷」の概念について後で詳述する。実線で示す入力および出力インピーダンスはフィルタの共振器の特性インピーダンスに等しいのに対し、点線で示す入力および出力インピーダンスは特性インピーダンスよりもかなり大きい。等価負荷は、入力回路がフィルタの入力EおよびE‘に接続されたとき、および入力回路の等価な相互コンダクタンスが1に等しいときの入力回路の入力とフィルタの出力の間の電圧ゲインを示し、フィルタの出力にはインピーダンスZoutにより負荷が掛けられている。この等価負荷曲線がフィルタの透過係数S2,1を表すことが以下で示される。
【0047】
この説明的な曲線において、簡便のため入力インピーダンスおよび出力インピーダンスが実数であるものと仮定する。例えば、入力と出力の両方において、第1の曲線の場合インピーダンスが270オーム、および第2の曲線の場合インピーダンスが1000オームであることを示している。このフィルタで使用される2種類の共振器の共振周波数の周波数差は例えば55MHzであり、この差は共振器の共振周波数と反共振周波数の差に対応する。一致しない1000オームのインピーダンスの曲線が所要の帯域内で不要なリップルを含んでいることがわかる。
【0048】
本発明の一態様によれば、このリップルをなくすため、2種類の共振器の共振周波数間の差Fr1−Fr2を、共振器の共振周波数と反共振周波数の間の差Fa1−Fr1(またはFa2−Fr2)にほぼ等しく維持するのではなく、大幅に減らす。
【0049】
より正確には、Fa1−Fr1およびFa2−Fr2には、Fr1−Fr2より少なくともk’倍大きい値が割り当てられ、ここにk’は少なくとも2に等しい係数である。
Fa1−Fr1>=k’・(Fr1−Fr2)
Fa2−Fr2>=k’・(Fr1−Fr2)
但しk'>= 2
【0050】
図7に、図6と同縮尺で、当該動作により得られうるフィルタの等価負荷(デシベル単位)の絶対値の曲線を示す。図7において、点線の曲線は図6と同様に、フィルタの入力における負荷インピーダンスおよび出力における負荷インピーダンスが共振器の特性インピーダンスより大幅に大きいときのフィルタ(リップル有り)の等価負荷を示す。実線の曲線は、入力および出力に同じ高負荷インピーダンスが生じている状態で、共振器の共振周波数間の差Fr1−Fr2を、それらの技術条件を変更することなく、すなわち共振と反共振の差を支配するパラメータktを変更せずに約3である係数k’で除したときのフィルタの等価負荷を示す。この例では周波数差df=Fr1−Fr2が55MHzから20MHzに減らされる。
【0051】
等価負荷(またはそのイメージである透過係数)が有用な帯域にリップルが無い狭い平坦な帯域幅を有していることがわかる。
【0052】
この例では、3dBの帯域幅は差Fr1−Fr2より僅かに大きい(その差の1.5倍〜2倍の間)。
【0053】
乗数k’は少なくとも2に等しく、好適には3以上である。数k’は正数であるが、必ずしも整数とは限らない。
【0054】
図8に、本発明のフィルタの等価負荷の絶対値の曲線(実線)、および従来設計のフィルタ(破線)を周波数の関数として詳細に示す。本発明のフィルタで使用する共振器RZpおよびRZsの対応するインピーダンス曲線を横軸の同じ周波数目盛りに従い点線で示すが、明らかに2種類の共振器間の周波数差が小さいことがわかる。本図で比較する2個のフィルタは同一技術条件(kt=6%、品質係数1000、主コンデンサCの値が700フェムトファラッド)に基づく共振器を有している。本発明のフィルタは0.5ピコファラドと直列な500オームに等しい入力負荷および出力負荷インピーダンスZinおよびZoutを用いる。従来設計のフィルタは100オームのインピーダンスZinおよびZoutを用いる。第1のフィルタは約10MHzの共振器周波数差を有するように形成されている。従来設計のフィルタは共振と反共振間の差にほぼ対応する65MHzの差を有するように製造されている。
【0055】
図9に、上述の特徴を有する共振器を用いるフィルタのために、0.1dBより狭い所望の帯域内に残余リップルを有する本発明のフィルタを得るべくフィルタ(実数であって変数値Rrefに等しいと仮定)に接続された入力および出力インピーダンスの関数として用いることが望ましい周波数差値を示す。
【0056】
インピーダンスZinおよびZoutが共振器の特性インピーダンス(実際には技術条件により定まる)より大幅に高い前提で、入出力能動回路の電力消費が相応に減少し得ることは明らかであろう。入力電子回路の出力インピーダンスが低いという事実は、回路の供給電圧(例:1.2ボルトまたは2.5ボルト)が全般的に印加されると考えた場合、同じ電圧ゲインを得るためにより大きな振幅の電流源を用いる必要があることを示唆する。これはまた、出力電子回路についても成り立つ。
【0057】
図6、7の曲線は無論、同一共振器と比較したものである。共振器の特性および特にその主コンデンサC並びに電気機械結合係数ktの値を修正することにより帯域幅を更に調整し得ることは明らかであろう。
【0058】
図10に、単一の共振器をその共振または反共振周波数で用いる能動フィルタに対して本発明のフィルタ装置を用いる利点を示す。共振周波数で動作する共振器を用いることにより、当該共振器が高い品質係数を有していれば、高い選択性が得られるようになる。点線の曲線は、共振器の5個の異なる品質係数に対する能動フィルタの周波数応答曲線を示し、最も尖った曲線が最も高い品質係数(1000)に該当する曲線であり、最も平坦な曲線が最も低い品質係数(200)に該当する曲線である。選択性が高い、従って狭い帯域幅は必然的に、所要の帯域内での応答が平坦でない旨を示唆することは明らかである。
【0059】
比較のため、実線の曲線は、品質係数の値が1000である共振器を用いて本発明に従い製造されたフィルタの応答を示す。
【0060】
本図は、高度に選択的(狭帯域幅)であり、且つ所要の帯域の最上位で極めて平坦である応答曲線が得られる可能性があることを示す。本発明に従い製造されたフィルタの選択性はまた、一般に正確な制御が困難なパラメータである共振器の品質係数の値に影響を受ける度合いがはるかに低い。
【0061】
上の説明では、入力回路の出力インピーダンスが中心周波数において出力回路の入力インピーダンスと同一であると考えられている。これは好適な解決策であるにもかかわらず、インピーダンスが異なる場合がある。
【0062】
更に、これらの入出力負荷は実数であっても多くの場合、部分的にまたは完全に容量性である。CMOS回路において、ある機能の電圧ゲインを最適化するには、例えば小型のCMOSトランジスタのゲートとの直接的な相互接続により、ブロック間の高いインピーダンスを用いるのがむしろ一般的である。従って、低い値の容量性負荷を用いることが一般的である。
【0063】
フィルタの入力インピーダンスおよび出力インピーダンスが増やされた(または、より正確には、入力または出力アドミタンスの実部の逆数が増やされた)場合のフィルタ装置の挙動をより良く理解すべく、回路設計者が極めて有用であると認める概念である「等価負荷」の観点から考察することが可能である。
【0064】
等価負荷を定義するために、1)相互コンダクタンスの入力間に差動電圧Vinが印加されたときに入力電流I=gVin/2および−I=gVin/2を生じる値がgである2個の相互コンダクタンス。および2)差動出力インピーダンスZinを含む図11に示すようなノートン等価回路により入力回路をモデル化する。
【0065】
「等価負荷」とは、フィルタの入力端子E、E’がインピーダンスZinの端子に接続されていて、フィルタの出力端子S、S’がインピーダンスZoutの端子に接続されている場合に相互コンダクタンスgにより分割されたVinとVoutの間の電圧ゲインである。出力電圧Voutは、フィルタの端子SとS’の間に生じた電圧である。等価負荷は従って、1に等しいと仮定された相互コンダクタンスgの電圧ゲインを表す。
【0066】
受動フィルタ自体はインピーダンス(Z行列)の母体により特徴付けられる。
フィルタのZ行列:
【数1】

ゲインVout/Vinは以下の比で表すことができる。
Vout/Vin=−[g・Z21・Zin・Zout]/2・[Zout・Zin+Zout・Z11+Z22・Zin+Z11・Z22−Z21・Z12]
【0067】
行列が対称である場合(すなわちZ11=Z22且つZ12=Z21)、格子フィルタのケースに該当し、以下のように書くことができる。
Vout/Vin=−[g・Z21・Zin・Zout]/2・[Zout・Zin+Zout・Z11+Z11・Zin+Z11−Z21]
【0068】
上式から、電圧ゲインが入力能動回路の相互コンダクタンスgと入力回路の等価負荷CH_eqとも呼ばれるインピーダンスを示す項の積であることがわかる。
【0069】
等価負荷は従って以下のように書かれる。
CH_eq=[Z21・Zin・Zout]/2・[Zout・Zin+Zout・Z11+Z11・Zin+Z11−Z21]
【0070】
入力回路の相互コンダクタンスgは、例えば、当該入力回路の出力トランジスタのそれである。第1に、トランジスタの相互コンダクタンスは自身のバイアス電流に比例して変化し、後者の値は電力消費に直接影響を及ぼす。従って、所与の電圧ゲインに対して入力回路の電力消費を最小化するために、相互コンダクタンスを減らすことが有利であることは明らかある。所与の電圧ゲインに対して相互コンダクタンスを減らすことは、電圧ゲインVout/Vinが相互コンダクタンスと等価負荷の両方に比例するため、等価負荷CH_eqの値を相応に増大させる必要がある。
【0071】
従って、等価負荷を増やすことは、入力回路が能動回路である場合にそのエネルギー消費量を減らすことにつながることが明らかである。更に、集積回路設計の事情から低バイアス電流で高インピーダンスを生じることは通常容易であるため、入出力回路が能動回路である場合にその電力消費を更に減らすべく高いZinおよびZoutの値で動作する利点が明らかである。
【0072】
中心周波数に相対的な格子フィルタのフィルタ機能の対称性を維持すべく、インピーダンスZinおよびZoutが入力および出力において等しく、または少なくともそれらの絶対値が等しくなるようにする(|Zin| = |Zout|)。
【0073】
以下ではZout=Zinと仮定する。
【0074】
インピーダンスZinおよびZoutが実数であって電気抵抗値Rrefに等しい場合、フィルタの透過係数S21の値は次式により極めて容易に表すことができる。
21=2・[Z21・(Zin・Zout)1/2]/[Zout・Zin+Z11・Zout+Z22・Zin+Z11・Z22−Z12・Z21]
また、ZinおよびZoutがRrefで代替される場合、等価負荷を与えてS21の関数として表す式に戻れば、等価負荷が次式で得られることがわかる。
CH_eq=Rref・S21/4
【0075】
上式において、S21は、入力側にZin、出力側にZout、従って各側にRrefの負荷が掛かると仮定されるフィルタの透過係数の値である。
【0076】
上の計算から、透過係数が等価負荷に比例することがわかり、この理由により縦軸に等価負荷がプロットされた図6、7、8および10の曲線がフィルタの透過係数も示している。
【0077】
損失が低いフィルタの場合、高い品質係数を有する共振器と共に設計されたケースに該当し、S21の値はフィルタの帯域幅において1に近い。これは従って、等価負荷が大域的に入出力負荷の抵抗Rrefに比例することを意味し、このため等価負荷を高くする必要がある場合にこの抵抗を増やす利点がある。等価負荷は実際に、所要の帯域においてRref/4にほぼ等しい(Rrefが大幅に増大した場合この値から逸脱する点に注意されたい)。
【0078】
数学的推論から、抵抗Rrefに係数が乗算されても伝達応答S21(基準Rrefに対して計算される)は変化しないことを示すことができるようになり、これと並行して、コンデンサCの値が同じ係数で除算された共振器が用いられる。しかし、上述のように、共振を妨げることなく共振器の大きさを無制限に小さくすることはできず、更にこれは帯域幅を減少させない。
【0079】
また、抵抗Rrefに2または3(またはより大きい値)を掛けても、あるいは格子フィルタの各分岐に1個だけではなく2または3個(またはより多くの)共振器が直列に接続されていても伝達応答S21(基準Rrefに対して計算される)は変化しないことが示される。しかし、このように共振器の数を増やせばコストが掛かると共に、フィルタ全体の大きさが増大して、この場合もフィルタの帯域幅は減少しない。
【0080】
refの増大に伴い2個の共振器間の周波数差を同時に変更することにより、従来設計による共振器に基づく狭帯域フィルタの場合のように共振器の電気機械結合係数を減らす必要無しに、最終的には入力および/または出力能動回路の電力消費の減少およびリップルの無い狭帯域幅の両方が得られる可能性がある。
【0081】
簡便のため、上述の説明では入力および出力インピーダンスZinおよびZoutが抵抗性であると仮定していた。しかし、これらは純粋に容量性または複素数であってもよい。容量性インピーダンスは通常、格子フィルタの出力がMOSトランジスタのゲートに接続された状態にある。
【0082】
インピーダンスZ=Zin=Zoutが複素数である場合、その状況は、Im{1/Z}/(2πf)、但しfは周波数、を値とする仮想コンデンサが格子フィルタの4個の共振器の各々と並列に接続されていると考慮すればRref=1/Re{1/Z}である実数インピーダンスの上述の状況と同様であると示すことができる。この仮想コンデンサの効果は、共振器の結合係数ktが実質的に減少し、且つそれらの主コンデンサCの値が増大するが、等価負荷の観点からの推論はそのままである点である。
【0083】
この理由により、複素入出力負荷インピーダンスの場合において、本発明では格子フィルタの端子に接続された入出力負荷インピーダンスの絶対値ではなく、より正確には入力アドミタンスの実部Re{Yin}の逆数および出力アドミタンスの実部Re{Yout}の逆数を考慮すべきであると提案する。すなわち、共振器の特性インピーダンスZcの値よりk倍(kは上述のように少なくとも2に等しい)大きくなければならないのはこれらの値である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は特に、約1GHzの中間周波数を用いる受信器に適用することができる。この種の受信器において、アンテナにより例えばUHF周波数で受信された有用な信号は、可変周波数ローカル発振器からの信号と混合される。混合から生じ、且つ適切な場合において増幅された信号は、本発明の原理に従い製造された狭帯域中間周波数フィルタによりフィルタリングされる。このフィルタは、受信チェインの後続段の選択性および線形制約を減らすべくチャネルに対応する帯域の選択、第2の中間周波数の画像帯域の減衰、サンプリングまたはデシメーションプロセスの間におけるスペクトルエイリアシング帯域の減衰等、多くの機能を備えていてよい。
【0085】
現在は中間周波数である有用な信号はその後、ベース帯域または第1の中間周波数よりも低い第2の中間周波数へ変換することができる。この変換は、例えば、第2のミキサーの支援を受けて、または第1の中間周波数より低い周波数でのアンダーサンプリングにより実行できる。両方の場合において、フィルタ装置を用いて、これが無ければ所要の帯域に現れる(エイリアシングと呼ばれる)信号を除去することができる。アンダーサンプリングによる周波数変換の場合、フィルタ装置は、第1の中間周波数で信号を生じるミキサーとアンダーサンプリング回路(後者は格子フィルタの負荷を構成する)の間に配置される。
【0086】
本発明はまた、「ウェイクアップ」アプリケーションの消費電力が極めて低い受信器に適用してもよい。ウェイクアップ受信器は、性能は落ちるものの電力消費が極めて低い無線周波受信器である。これは、高性能ながら電力消費も高くエネルギー資源を保存すべく限られた時間しか動作できない受信器を補完するものである。ウェイクアップ受信器は、常時電源投入されていても、あるいは主受信器よりも頻繁に電源投入されてもよい。これをセンサのネットワークで用いて、通信待ち時間を短縮し、同期を簡素化して、スループットを最適化することができる。電力消費を減らすべく設計されたフィルタの利用は従って、特にこの種の受信器に適している。
【0087】
当業者であれば、本発明の他の実施形態に想到できるであろう。
【0088】
特に、例えば表面音響波(SAW)共振器、バルク音響波(BAW)共振器、ラム波共振器、MEMS共振器のような共振周波数および反共振周波数を有する様々な種類の共振器を用いてもよい。
【0089】
更に、格子フィルタは、複数の格子または他のセルで構成されていてもよい。
【0090】
また、本発明の装置は、例えば「3D」チップアセンブリ技術を用いて同一電子チップまたは同一チップセット上に製造できる点が好都合であり得る。
【符号の説明】
【0091】
10 基板
12 凹部
14 膜
16 下部電極
18 圧電層
20 上部電極
,Cm コンデンサ
RZ 共振器
Lm インダクタ
Rm 抵抗
Fr 共振周波数
Fa 反共振周波数
Zrz インピーダンス
Zc 特性インピーダンス
FLT 対称格子セル
RZs,RZs’,RZp,RZp’ 共振器
E,E’ 差動入力
S,S’ 差動出力
Zin,Zout インピーダンス
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
2,1 透過係数
CH_eq 等価負荷
相互コンダクタンス
Fr1,Fr2 共振周波数
Fa1,Fa2 反共振周波数
ref 電気抵抗値
Yin 入力アドミタンス
Yout 出力アドミタンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力アドミタンスYinを有する入力電子回路、出力アドミタンスYoutを有する出力電子回路、および入力回路に接続された差動入力と出力回路に接続された差動出力を有するフィルタを含むフィルタ装置であって、前記フィルタが、前記フィルタの入力と出力の間に接続された2種類の複数の共振器(RZs,RZs’;RZp,RZp’)を含み、第1の種類の共振器が共振周波数Fr1および反共振周波数Fa1を有し、第2の種類の共振器が各々Fr1およびFa1とは異なる共振周波数Fr2および反共振周波数Fa2を有し、前記アドミタンスYinの実部の逆数(1/Re{Yin})および前記アドミタンスYoutの実部の逆数(1/Re{Yout})が、前記共振器の特性インピーダンス(Zc)の幾何平均の値よりk倍大きく、kは少なくとも2以上の数であり、周波数差Fa1−Fr1およびFa2−Fr2が差分Fr1−Fr2の絶対値のk’倍より大きく、k’は少なくとも2に等しい数であることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記反共振周波数と前記共振周波数の差が、両方の種類の共振器のものとほぼ同一であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力回路の前記出力アドミタンスの実部Re{Yin}が、前記出力回路の前記入力アドミタンスの実部Re{Yout}に等しいことを特徴とする、請求項1および2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記数kが5以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記数k’が3以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタが、4個の共振器、すなわち第1の種類である2個の共振器(RZs;RZs’)および第2の種類である2個の共振器(RZp;Rzp’)からなる少なくとも1個の格子セルを含み、前記差動入力が2個の入力端子EおよびE’を有し、前記フィルタの差動出力が2個の出力端子SおよびS’を有し、前記第1の種類の共振器(RZs)が前記入力Eと前記出力Sの間に配置され、前記第1の種類の別の共振器(RZs’)が前記入力E’と前記出力S’の間に配置され、前記第2の種類の共振器(Rzp)が前記入力Eと前記出力S’の間に配置され、前記第2の種類の別の共振器(Rzp’)が前記入力E’と前記出力Sの間に配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記共振器がバルク音響波または表面音響波圧電共振器であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−222819(P2012−222819A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−85090(P2012−85090)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(510163846)コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ (47)
【Fターム(参考)】