説明

共振型光ファイバジャイロに存在するエラーを低減するためのシステム及び方法

【課題】共振型光ファイバジャイロに存在するエラーを低減するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】代表的共振型光ファイバジャイロは、光ファイバループを有する共振器と、光ビームを発生するように構成された光源と、それら光源及び共振器相互間に結合された強度変調回路とを備えている。その強度変調回路は、光源からの光ビームの強度を変調して、強度変調された信号を共振器に出力するように構成されている。強度変調回路は、上記強度変調信号の高調波であって、共振器内の逆行する光ビームの基本波とオーバーラップする高調波が、所定しきい値未満の振幅を有するような形で、上記強度変調信号を生成するように構成されている。その所定しきい値に満たない振幅は、無視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振型光ファイバジャイロに存在するエラーを低減するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]ジャイロスコープ(本明細書では、ジャイロとも呼ばれる)は、回転速度又は回転軸を中心とする角速度の変化を測定するのに用いられてきた。従来の光ファイバジャイロ(FOG)は、基本的には、光源と、ビーム発生装置と、そのビーム発生装置につながった、一定区域を包囲する光ファイバのコイルとを具備している。ビーム発生装置は、そのコイルに、光ファイバのコアに沿って右回り(CW)及び左回り(CCW)に伝搬する各光ビームを送り込む。FOGの多くは、ガラスを基材とした、中実ガラスコア沿いに光を伝達する光ファイバを利用している。逆行する2本の(例えば、CWとCCW)ビームは、回転する閉光路の周りを伝搬するときに異なる行路長に遭遇し、それら2つの行路長の差は、上記包囲区域の法線方向の回転速度に比例する。
【0003】
[0002]従来の共振型FOG(RFOG)では、逆行する各光ビームは、典型的には単色性(例えば単一周波数)であり、複数ターンの光ファイバコイルを伝って巡回する。ファイバカプラのようなコイルを通過した光を戻して再度コイルに送り込む(即ち、光を巡回させる)装置を使用すれば、コイルを複数回通過させることができる。ビーム発生装置は、逆行する各光ビームの周波数を変調し且つ/又はシフトさせる。したがって、共振コイルは、複数の共振周波数が観察されることになる。コイルの端から端までのCW行路及びCCW行路それぞれに対する共振周波数は、建設的干渉条件に基づいており、したがって、コイルを異なる回数通り抜けた光波は全て、コイル内のあらゆる点で建設的に干渉する。このような建設的干渉の結果として、波長λを有する光波は、共振器の一周行路長が波長の整数倍に等しいときに、「共振状態(on resonance)」であると称される。コイルが軸を中心に回転すると、右回りと左回りとで異なる行路長が生じ、したがって、共振器のそれぞれの共振周波数相互間にシフトが生じる。その周波数差がその回転の速度を表しており、例えば回転に起因してシフトした閉光路の共振周波数に整合するようにCWビーム及びCCWビームの各周波数を調整することによって、その周波数差を測定することができる。典型的なRFOG動作では、共通キャビティ変調で共振を検出するのが有利であると考えられている。というのは、CW光波及びCCW光波に誘起バイアス(induced bias)をもたらす変調歪みを、効果的に打ち消すことができるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、共通キャビティ変調を用いると、逆行する後方散乱光波との干渉から基本光波(primary lightwave)を分離することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0003]一実施形態では、共振型光ファイバジャイロ(RFOG)が提供される。本共振型光ファイバジャイロは、光ファイバループを有する共振器と、光ビームを発生するように構成された光源と、それら光源及び共振器相互間に結合された強度変調回路とを備えている。その強度変調回路は、光源からの光ビームの強度を変調して、強度変調された信号を共振器に出力するように構成されている。強度変調回路は、上記強度変調信号の高調波であって、共振器内の逆行する光ビームの基本波(primary wave)とオーバーラップする高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、上記強度変調信号を生成するように構成されている。その所定しきい値に満たない振幅は、無視することができる。
【0006】
[0004]図面は代表的実施形態を示しているに過ぎず、それゆえ範囲を限定しているものと解すべきでないことは了解されているものとして、付属図面を用いて、他の特異性及び細部を加えながら、本実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】[0005]共振型光ファイバジャイロを利用したシステムの一実施形態のブロック図である。
【図2】[0006]強度変調信号及び対応する高調波の一例を示すグラフである。
【図3】[0007]右回りの強度波形例及び左回りの強度波形例を示すグラフである。
【図4A】[0008]共振型光ファイバジャイロの代表的実施形態のブロック図である。
【図4B】共振型光ファイバジャイロの代表的実施形態のブロック図である。
【図5】[0009]共振型光ファイバジャイロの別の代表的実施形態のブロック図である。
【図6】[0010]共振型光ファイバジャイロの別の代表的実施形態のブロック図である。
【図7】[0011]共振型光ファイバジャイロの別の代表的実施形態のブロック図である。
【図8】[0012]代表的変調回路の一実施形態のブロック図である。
【図9】[0013]代表的変調回路の別の実施形態のブロック図である。
【図10】[0014]代表的変調回路の別の実施形態のブロック図である。
【図11】[0015]代表的共振トラッキングエレクトロニクスの一実施形態のブロック図である。
【図12】[0016]共振型光ファイバジャイロに存在する回転検知エラーを低減する方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017]記載されている種々の特徴的部分は、慣行に従い、一律の縮尺では描かれておらず、本実施形態に関連する特定の特徴的部分を誇張するように描かれている。
[0018]以下の詳細な説明では、付属図面を参照している。これは詳細な説明の一部を形成するものであり、そこには、説明図として、例示的実施形態が具体的に示されている。しかし、他の実施形態も利用可能であること、ならびに論理的側面、機械的側面、及び電子的側面において変更を加えてもかまわないことは、理解されるべきである。更に、それら絵図及び明細書に提示されている方法は、個々の行為を実施する順序を限定しているものと解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で把握されるべきではない。
【0009】
[0019]図1は、RFOG102を利用したシステム100の一実施形態のブロック図である。本実施形態において、システム100はナビゲーションシステムである。但し、当然のことながら、他の実施形態では、共振型光ファイバジャイロ(RFOG)102を他のシステムで使用することができる。プラットフォーム安定化システム又はポインティングシステムが例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、いくつかの実施形態では、RFOG102は、1又は複数のRFOG及び1又は複数の線形加速度計を具備した慣性センサユニットの一部として実現される。RFOG102は、回転速度を測定すると共に、回転速度を表す信号を処理ユニット104に出力する。処理ユニット104は、RFOG102からの回転速度測定値を使って位置、姿勢、及び角速度といったパラメータを算出する。
【0010】
[0020]処理ユニット104は、いくつかの実施形態において、算出されたそれらのパラメータを使って1又は複数の任意選択のアクチュエータ106に出力される制御信号を算出する。例えば、いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム100は、無人車両に組み込まれている。そのため、アクチュエータ106は、車両のタイプに応じて実現される。例えば、アクチュエータ106は、無人航空車両では、ウイングフラップ、スラスター(thruster)、等として実現される。
【0011】
[0021]加えて、いくつかの実施形態では、処理ユニット104は、算出されたパラメータを任意選択の表示ユニット108に出力する。例えば、いくつかの実施形態では、表示ユニット108は、RFOG102が設置されている車両の地理的位置、速度、及び/又は姿勢(例えば、ピッチ(pitch)、ロール(roll)、及び/又はヨー(yaw))を表示する。表示ユニット108は、任意の適切な表示ユニットとして実現することができる。種々のCRT、アクティブ型及びパッシブ型のマトリクスLCD、ならびにプラズマといった表示ユニットが例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
[0022]典型的RFOGの性能は、光後方反射によって制約される場合がある。例えば、CWビームの一部が後方に反射してCCWビームに進入した場合、その後方反射した部分は、CCWビームと一緒に検出されることになる。CWビームの後方反射部分から、結果として2タイプのエラーが生じる。1つのタイプは、後方反射CWビームとCCWビームとの間の光干渉の結果である。このタイプは、干渉タイプと呼ばれる。干渉タイプの後方反射エラーの影響に打ち勝つには、図3に示すように、CWビーム及びCCWビームを別々の共振モードで動作させればよい。詳細には、図3は、右回りの強度波形例(CW)68及び左回りの強度波形例(CCW)70のグラフである。CWビームを共振器のCW方向の共振周波数に合わせると、CW強度波形68に共振部のへこみ72、74が現れるのが観察される。これは、様々な縦共振モードで起こる。同様に、CCWビームを共振器のCCW方向の共振周波数に合わせると、CCW強度波形70に共振部のへこみ76、78が現れるのが観察される。これも、様々な縦共振モードで起こる。これら共振部のへこみ72、74、76、78の各中心は、CW方向及びCCW方向の様々な縦共振モードにおける共振周波数を表している。隣接するモード相互間の周波数間隔は、フリースペクトルレンジ、fFSRである。
【0013】
[0023]このようにして、2つの共振モードの周波数分離に等しい周波数において、2本のビーム相互間に干渉エラーが生じることになる。周波数分離は、システムの測定周波数帯域よりもかなり高くなっており、したがって、システムの性能に影響を及ぼすことなく、干渉エラーをフィルタで除くことができる。他方のエラーのタイプは強度タイプと呼ばれるものであり、CWビーム及びCCWビーム相互間の周波数分離では除去されない。
【0014】
[0024]上記CW共振の線形状の上でCWビームが周波数変調されるため、後方反射CWビームには更に強度信号も乗ることになる。CWビーム及びCCWビームが共に同一周波数で変調されると、後方反射CWの強度信号はCCWビームの基本信号(primary signal)と一緒に検出されることになり、結果として、従来のRFOGに回転検知エラーをもたらす。しかし、本明細書に記載のRFOG102は、基本信号と後方反射信号とを判別するように構成されている。したがって、RFOG102は、前述したように、回転検知エラーのエラー補正が向上するように構成されている。
【0015】
[0025]例えば、RFOG102は、光源116と共振器112の入力部との間に結合された変調回路110を具備している。異なる周波数で各共振器入力ビームを強度変調すれば、基本共振器出力信号と後方反射信号との間の判別が可能になる。しかし、図3に示すように周波数分離と一緒に強度変調を使用すれば、結果として、従来のRFOGシステムでは識別もされなければ計上もされない潜在的エラーが追加的に生じる。詳細には、強度変調プロセスに関連する高調波歪みに起因して、CWビーム及びCCWビームのエネルギーが、図2に示すように、強度変調周波数によって分離された多くの高調波にわたって拡散する。歪みの1つの発生原因は、一部の強度変調器が、印加電圧と出力光強度との間に二乗余弦(レイズドコサイン)伝達関数を有する光干渉、例えばマッハツェンダー干渉計に基づいているという事実である。強度変調駆動エレクトロニクスの非線形性も含め、他にも歪みの原因がある。後方反射CWエネルギーのかなりの量が、CCWビームのエネルギーのかなりの部分と周波数的にオーバーラップする場合、干渉タイプのエラーが発生することになる。
【0016】
[0026]このタイプのエラーは、CWビームとCCWビームとで強度変調周波数を異ならせることで、低減することができる。しかし、CW共振周波数とCCW共振周波数とが異なってシフトする一定の回転速度下では、CW及びCCWの各ビームのいくつかの高調波がオーバーラップすることになる。例えば、回転中に、CW共振周波数及びCCW共振周波数は反対方向にシフトすることになり、したがって、CW及びCCWの各ビームの高調波相互間の関係がシフトすることになる。強度変調の周波数は、ゼロ回転では高調波のオーバーラップが起こらないような形で選択することができるものの(例えば、強度変調の周波数を、強度変調の周波数がフリースペクトルレンジを整数で除したものとならないような形で設定することによって)、RFOGが回転すれば、周波数がシフトするために、オーバーラップが生じる可能性がある。
【0017】
[0027]したがって、変調回路110は、振幅が指定しきい値レベル未満の高調波を有する強度変調信号を出力するように構成されている。そのしきい値レベルは、光後方散乱が存在していても、しきい値レベル未満の振幅を有する高調波信号が逆行する同一周波数の信号にほとんど影響を及ぼさないような形で決定される。いくつかの実施形態では、変調110での強度変調周波数は、フリースペクトルレンジの周波数から十分な程度に、又はフリースペクトルレンジ周波数複数個分だけ分離されている。1つの実施形態例では、フリースペクトルレンジ周波数は20MHzであり、回転時の最大周波数シフトは600kHzに定められる。かかる実施形態では、強度変調の周波数は、フリースペクトルレンジの周波数から600kHzを超えて離隔するように構成される。上記のように分離距離を選択することで、振幅が小さい高次高調波だけが、逆行する信号の基本波と可能性としてオーバーラップするに過ぎない。したがって、逆行する信号の基本波とオーバーラップする高調波はどれも、振幅はしきい値レベル未満であってほとんど影響を及ぼさない。
【0018】
[0028]例えば、図2に示すように、強度変調右回り(CW)信号201は、複数の高調波205を生成する。同様に、左回り(CCW)信号203は、複数の高調波207を生成する。図2に示す例において、高調波205のうちの1つは、CCW信号203の基本波とオーバーラップしている。前述したように、変調回路110から出力される強度変調信号の高調波のうちの逆行する信号の基本波とオーバーラップする高調波は、無視できるほど小さな振幅を有する。例えば、いくつかの実施形態では、強度変調の周波数は、フリースペクトルレンジ(fFSR)の周波数から十分な程度に分離されており、オーバーラップする高調波はどれも、振幅は所定しきい値未満である。フリースペクトルレンジは、隣接するモード相互間の周波数間隔として規定される。隣接共振モードは、図3に関連して、前に説明されている。
【0019】
[0029]他の実施形態では、変調回路110は、変調回路110の出力の線形性が向上するように構成される。これについては後で、図4に関連してより詳細に説明する。線形性を向上することによって、どの高調波も振幅が減少し、したがって、逆行する信号の基本波の周波数とオーバーラップする高調波の振幅は、しきい値未満である。
【0020】
[0030]共振器112は、逆行する強度変調信号を、共通キャビティ長変調によって更に変調するように構成される。これについては後で、より詳細に説明する。共振トラッキングエレクトロニクス114は、共通キャビティ変調及び変調回路110による強度変調に基づき、後方散乱に起因する無用な強度信号を受けつけないように構成される。これについては後で、より詳細に説明する。
【0021】
[0031]図4は、共振型光ファイバジャイロ402の代表的実施形態のブロック図であり、回転検知共振器412の各入力部と、該当の光源416−1及び416−2との間に、強度変調回路410−1及び410−2を具備している。詳細には、図4に示すように、RFOG402は、光源416−1と共振器412の第1の入力部との間に結合された右回り(CW)強度変調回路410−1を具備している。同様に、RFOG402は、光源416−2と共振器412の第2の入力部との間に結合された左回り(CCW)強度変調回路410−2を具備している。
【0022】
[0032]この実施形態において、強度変調回路410−1及び410−2はそれぞれ、該当の変調信号発生器438、補償回路434、及び強度変調器440を具備している。加えて、図4に示す実施形態では、補償回路434は、デジタル式変調回路として実現されている。したがって、この実施形態では、強度変調回路410−1及び410−2はそれぞれ、該当のデジタル−アナログコンバータ436を具備している。但し、強度変調回路410をアナログ回路だけで実現する実施形態では、デジタル−アナログコンバータ436は含まれないのであり、このことは理解されるべきである。
【0023】
[0033]第1のレーザ光源416−1は、共振器412の中を右回り方向に伝搬する周波数変調レーザビームを出力する。これはCWレーザビームとも呼ばれる。同様に、第2のレーザ光源416−2は、共振器412の中を左回り方向に伝搬する周波数変調レーザビームを出力する。これはCCWレーザビームとも呼ばれる。本明細書では、「レーザビーム」、「光波」、及び「光」なる用語は、区別しないで使用されている。同様に、「レーザ光源」及び「光源」なる用語も、本明細書では区別しないで使用されている。
【0024】
[0034]この実施形態では、第1のレーザ光源416−1は、CWスレーブレーザ418−1と、CWビームスプリッタ420−1とを備えている。CWビームスプリッタ420−1は、CWレーザ418−1からの光を2本のビームに分岐する。一方のレーザビームは第1の光レーザ416−1から出力され、他方はCWビームコンバイナ422−1に進む。CWビームコンバイナ422−1は、CWビームを、参照レーザビームから一部取り出した光と合波する。詳細には、本例のRFOG402は、参照レーザ426を駆動する参照レーザ駆動部424を具備している。参照レーザ426は、参照レーザビームを生成する。このレーザビームは、参照ビームスプリッタ428によって2本のビームに分岐される。参照ビームスプリッタ428の一方の出力は、CWビームコンバイナ422−1に進み、参照ビームスプリッタ428の他方の出力は、第2のレーザ光源416−2のCCWビームコンバイナ422−2に進む。
【0025】
[0035]CWビームコンバイナ422−1は、CWレーザビームを、参照ビームスプリッタ428からの参照レーザビームと、光学的に混合する。そのように光学的に混合することによって、CWビームコンバイナ422−1の出力部に強度信号が現れる。その強度信号の周波数は、CWビームと参照レーザビームとの間のビート周波数である。強度信号は、CW位相同期ループ(PLL)前置増幅器(プリアンプ)430−1によって電気信号に変換される。その電気信号は、CW PLL431−1に入力される。CW PLL431−1は、基準周波数ΔfCWによって定められる量だけ周波数をオフセットさせて、CWスレーブレーザ418−1を参照レーザ426に同期させる。この基準周波数は、共振トラッキングエレクトロニクス414によって電子的に発生される。CW PLL431−1は、CWレーザ駆動部432−1を介してCWレーザ周波数を制御し、CWレーザと参照レーザとの間のビート信号を基準周波数ΔfCWに維持する。
【0026】
[0036]第1のレーザ光源416−1から出力されたCWビームは、共振器412の共振周波数に同期される。共振器CW共振周波数の中心を決定するために、その共振器412の共振周波数は、共通キャビティ信号発生器415から取り込んだ信号に基づき、共通キャビティ長変調を使って共振器412内で変調される。共通キャビティ長変調は、例えば、共振器ファイバでくるまれた圧電チューブ、又は共振器ミラー上に載置された圧電エレメントによって実施することができる。その共振器ファイバは、逆行する各ビームが同じ変調及び変調エラーに遭遇するような形で変調される。
【0027】
[0037]RFOG402は、共通キャビティ変調を使用することによって、変調器の不完全性に起因する回転検知エラーを低減している。同一の変調器を使用すれば、CW方向とCCW方向は共に共振検出エラーが同じである。回転測定結果は、検出されたCW及びCCWの各共振周波数相互間の差であるため、回転測定において、共通のエラーは打ち消し合うことになる(同相信号除去)。
【0028】
[0038]変調が加えられているため、検知共振器412のCW出力は、CWレーザビーム周波数とCW共振周波数の中心周波数との間の周波数差を表す信号である。周波数が変調周波数であるその信号は、CWレーザビーム周波数が共振周波数であるときに、ゼロ振幅を通過することになる。共振トラッキングエレクトロニクス414は、変調周波数の共振器CW出力信号を復調し、CWレーザが共振からずれたときに現れる制御信号、ΔfCW、を発生する。その制御信号は、CWレーザ418−1を共振周波数に同期させるのに使用される。CW共振トラッキングエレクトロニクス414は、基準周波数として使用させるべく、その制御信号ΔfCWをCW PLL431−1に出力する。共振トラッキングエレクトロニクス414は、基準周波数ΔfCWを制御することによって、CWレーザ周波数をCW共振周波数に維持する。
【0029】
[0039]RFOG402は、変調器の不完全性及び後方散乱に起因する回転検知エラーを低減し又は排除するように構成されている。例えば、共通キャビティ変調が加えられているため、RFOG402は、共振器内部の光後方反射又は光後方散乱の影響を受け易くなっている。詳細には、後方散乱光は、結果として、強度タイプのエラーを生じさせる可能性がある。この場合、後方散乱波の強度は、基本波とちょうど同じように、共振部のへこみ上でなされる変調作用によって変調される。共振器412の手前に強度変調回路410−1及び410−2を配置することによって、CW信号及びCCW信号は、共振器出力光波上にシグネチャー(signature)を配置するように変調される。これによって、後方散乱光に起因する信号及びエラーを、共振トラッキングエレクトロニクス414が受けつけないようにすることができる。詳細には、強度変調回路410−1及び410−2は、特定の周波数で変動する強度を使って光ビームの強度を変調する。その強度変調の周波数は、該当の変調信号発生器438が発生する信号によって決まる。加えて、その強度変調の周波数は、共振器412での共通キャビティ変調の周波数とは、同調するような関係にはなっていない。
【0030】
[0040]加えて、この実施形態では、後方散乱エラーを低減すべく、強度変調回路410−1及び410−2はそれぞれ、該当の補償回路434を具備している。例えば、後方散乱エラーは、前述したように、逆行する信号の基本波とオーバーラップする高調波によって誘発される可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、変調器440は、二乗余弦伝達関数を有するマッハツェンダー型変調器として実現される。典型的なマッハツェンダー変調器では、光を変調するために、変調信号発生器438から変調器440に電気的正弦波が印加される。しかし、このようなことを行えば、結果として、高調波が数多く発生することになる。
【0031】
[0041]この実施形態では、正弦波が補償回路434に入力される。この補償回路は、強度変調器440の出力の線形性を向上するために、その正弦波を、逆余弦関数を使って事前に歪ませる。但し、他の実施形態では他の変調回路410が使用されるのであり、このことは理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、変調信号発生器438は、変調器440に、2*πに近い強度変調器のピーク間位相振幅をもたらす三角波電圧を印加する。したがって、2*π付近の振幅を有する三角波を強度変調器440に入力することによって、得られる強度変調の高調波歪みが低減される。基本変調周波数よりも高周波側にある強度変調高調波の低減は、強度変調器の光学的位相差における三角波の振幅がどれだけ2*πに接近して設定されるかによって変わる。かかる実施形態では、補償回路434が省略される場合がある。
【0032】
[0042]図8〜10を参照して、以下で、種々の実施形態で実現可能な代表的変調回路についてより詳細に説明する。更に、本例の実施形態ではマッハツェンダー型変調器について説明されているが、他の実施形態では他の変調器も使用可能であることを理解されたい。他のタイプの変調器を実現する実施形態では、補償回路434が使用される場合がある。補償回路434によってもたらされる歪みは、強度変調器440として実現される変調器のタイプによって変わる。詳細には、歪みは、変調器440の伝達関数に存在する非線形性を補償するように選択される。
【0033】
[0043]共振トラッキングエレクトロニクス414は、和周波数及び差周波数の各共振出力信号を検出するように構成されている。例えば、共振トラッキングエレクトロニクス414において、共振器出力信号と無用のノイズとを判別するために、二重復調(double demodulation)法を活用することができる。本例の共振トラッキングエレクトロニクス414については、図9を参照して、より詳細に説明する。
【0034】
[0044]第2のレーザ光源416−2は第1のレーザ光源416−1と同様に構成されており、共振器412の中を左回り方向に伝搬する周波数変調レーザビームを提供する。これはCCWレーザビームとも呼ばれる。そのCCWレーザビームは、前に論じたCWレーザビームと同様の態様で、但し参照レーザ周波数とのビート周波数ΔfCCWを有するように、制御される。回転速度は、2つのビート周波数ΔfCW及びΔfCCW相互間の差をとることによって導かれる。
【0035】
[0045]前に論じたように、CCW方向の共振周波数は、CW方向で使用される共振周波数とは異なる縦共振モード(例えば、CW方向の共振周波数から少なくとも縦共振モード1つ分だけ離隔した共振周波数における)に関連する。いくつかの実施形態では、CCWビームは、CW方向の共振周波数よりも少なくとも縦共振モード1つ分だけ低いCCW共振周波数と、CW方向の共振周波数よりも少なくとも縦共振モード1つ分だけ高いCCW共振周波数との間で切り替えられる。CCWビームは、バイアス及び関連するバイアス不安定性(例えば、FSRが測定の一部であることに起因する)を除去するように切り替えられる。
【0036】
[0046]他の実施形態では、図5に示すように、スレーブレーザが3台使用される。RFOG502の構成要素は、前に説明したRFOG402の構成要素と同様である。但し、RFOG502は、3台の光源516−1、516−2、及び516−3を具備している。参照光ビームは、参照ビームスプリッタ528によって分岐され、光源516−1、516−2、及び516−3の各々に提供される。光源516−1は、前に説明した光源416−1と同様の右回り信号を提供する。光源516−2及び516−3はそれぞれ、ビームコンバイナ544で合波される左回り信号を提供する。
【0037】
[0047]詳細には、スレーブ光源516−1、516−2、及び516−3は、参照レーザ526に位相が同期されており、周波数オフセットは、スレーブレーザそれぞれ毎に独立した制御が可能となっている。参照レーザ526の周波数(fr)は、スレーブ光源516−1、516−2、516−3が共振器512に同期されているときに、スレーブ光源516−1、516−2、516−3と参照レーザ526との間のビート周波数が、ジャイロエレクトロニクスの通常の動作限界内に入るような形で、設定される。詳細には、図3に示すように、第1のスレーブ光源516−1は、CW共振周波数fCW又はfに合わせられ、第2のスレーブ光源516−2は、RFOG502のゼロ回転速度におけるCW共振周波数よりも縦モード1つ分だけ低い第1のCCW共振周波数fCCW,1又はfに合わせられ、第3のスレーブ光源516−3は、RFOG502のゼロ回転速度におけるCW共振周波数よりも縦モード1つ分だけ高い第2のCCW共振周波数fCCW,2又はfに合わせられる。
【0038】
[0048]1つの例では、基準周波数、f、は、スレーブ光源516−1、516−2、516−3の周波数よりも高く設定される。この例では、スレーブ光源516−1、516−2、516−3のスレーブビート周波数はそれぞれ、Δf=f−f、Δf=f−f、及びΔf=f−fである。ジャイロデータΔf、Δf、及びΔfを使って、(Δf−Δf)−(Δf−Δf)=2ΔfΩを算出することができる。式中、ΔfΩは回転速度に比例するものであり、Δf−Δf=fFSR+ΔfΩ、且つΔf−Δf=fFSR−ΔfΩである。したがって、FSRを使わずに、且ついかなる関連バイアス及びバイアス不安定性もない状態で、回転測定が実現される。
【0039】
[0049]他の実施形態では、例えば図6に示すように、参照レーザは使用されない。詳細には、図6に示す本例のRFOG602は、2台の光源616−1及び616−2を具備している。光源616−1及び616−2が参照レーザに同期されないことを除けば、光源616−1及び616−2はそれぞれ、光源416−1及び416−2と同様に動作する。RFOG602の他の構成要素、例えば変調回路610−1及び610−2は、図4を参照して前に説明した対応する構成要素と同様に動作する。
【0040】
[0050]更に別の実施形態では、例えば図7に示すように、光源が1台だけ使用される。図7において、単一の光源716は、前に説明した光源416−1と同様の光ビームを発生する。しかし、光源716は、参照レーザに同期されていない。加えて、光源716が発生する光ビームは、ビームスプリッタ717によって分岐される。その光ビームの一部は右回り変調回路710−1に提供され、一部は周波数シフタ719に提供される。その周波数シフタは、その分け与えられた光ビームの周波数をシフトさせる。次いで、その周波数シフト後の光ビームは、左回り変調回路710−2に出力される。変調回路710−1及び710−2はそれぞれ、前に説明した変調回路410−1及び410−2と同様に動作し、逆行する信号にオーバーラップする高調波の振幅がしきい値未満であって無視できる信号を提供する。RFOG702の他の構成要素、例えば共振器712及び共振器トラッキングエレクトロニクス714は、前に説明したRFOG402の対応する構成要素と同様に動作する。
【0041】
[0051]図8は、前に説明したジャイロに用いるための代表的変調回路810の一実施形態のブロック図である。本例の変調回路810は、強度変調器840を具備している。この実施形態では、強度変調器840は、マッハツェンダー型強度変調器として実現されている。変調回路810は更に、変調発生器838及び乗算器886も具備している。これらは、この実施形態では、デジタルエレクトロニクス回路として実現されている。そのため、乗算器886の出力は、強度変調器840に印加される前に、デジタル−アナログ(D/A)コンバータ836を経由する。
【0042】
[0052]この実施形態では、変調発生器838は、三角波を発生する。その三角波の振幅は、部分的には、乗算器886で三角波発生器の出力に固定乗算値を乗ずることによって決定される。その固定乗算値は、三角波変調が、マッハツェンダー型強度変調器840内部に、2つの光波の2*πピーク間位相差変調をもたらすように設定される。三角波が、光学的位相面で完全な三角波であり、2*πピーク間振幅及び同一の線形陽性傾斜と陰性傾斜を有する場合、強度変調器840は、単に三角波の基本周波数で強度変調を発生するに過ぎず、より高次の高調波は存在しないことになる。換言すれば、高次高調波の振幅はゼロであるため、前述したように、各高次高調波は、しきい値未満の振幅を有する。2*πピーク間振幅から少しでもずれれば、結果として、高次高調波に強度変調が生じることになる。しかし、前述したように、2*πピーク間振幅からの小さなずれは、それら高調波がしきい値レベルに満たない振幅を有している限り、許容することができる。
【0043】
[0053]三角波を発生する1つの方法は、アップ/ダウンカウンタを使用することである。アップ/ダウンカウンタは、その出力が何らかの指定最終計数値に達するまでクロックパルスを積算できるようになされている。最終計数値に達すると、カウンタの動作は、その出力がゼロに達するまでクロックパルス数を逆積算するように切り替えられ、ゼロに達すると、計数動作は積算する方に戻される。クロックパルスが一定の周波数で生じている限り、三角波が昇降する陽性傾斜と陰性傾斜とは、概ね等しくなるであろう。
【0044】
[0054]図9は、変調回路910の別の実施形態のブロック図である。この例でも、変調回路910の強度変調器940は、マッハツェンダー型変調器を使って実現されている。加えて、変調発生器938は、三角波を出力するように構成されている。2*πピーク間の位相差振幅からのずれは、結果として、強度変調器940において高次高調波を発生させるため、三角波電圧振幅は、時間とともにドリフトするおそれがある。所望の振幅からのずれを検出するために、強度変調器940の後にビームスプリッタ988を配置し、光のほんの一部を分岐して光検出器990に入れている。その光検出器信号は、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ992まで進み、そこでデジタル化され、次いで、復調器994に送られる。この復調器は、信号を、強度変調の基本周波数の2倍の周波数で復調する。したがって、2f復調器994は、強度変調器940がどれだけ2次高調波強度変調を発生しているかを検出する。これは、三角波振幅が所望の振幅からずれていることの指標である。アキュムレータ996は、復調器994からの出力に基づいて、乗算器986への乗算値入力を制御する。したがって、アキュムレータ996は、乗算器986から強度変調器940への三角波出力の振幅が所望の振幅に達するまで、乗算器986への乗算値入力を調節する。光検出器990、A/Dコンバータ992、2f復調器994、及びアキュムレータ996は、所望の三角波振幅を得るように変動を自動的に補正する帰還ループを形成している。加えて、図9に示すように、変調発生器938、乗算器986、復調器994、及びアキュムレータ996は、デジタルエレクトロニクスを使って実現されている。但し、他の実施形態ではアナログ回路が使用される場合があるのであって、このことは理解されるべきである。かかる実施形態では、D/Aコンバータ936及びA/Dコンバータ992は省略される。
【0045】
[0055]図10は、変調回路1010の別の例を図示したブロック図である。変調回路1010は、強度変調器の非線形性を補正するのに使用される補償回路1034を具備している。一部の強度変調器、例えばマッハツェンダー型変調器は、光ビームの強度を制御するのに光干渉に依存している。しかし、光ビームの強度を制御するのに光干渉に依存せず、したがって、駆動電圧と出力強度との間に二乗余弦関係を有しない他のタイプの強度変調器も存在している。多くの場合、かかる変調器も若干の非線形性を有しており、結果として、強度変調の高調波歪みが生じる。
【0046】
[0056]変調回路1010は、正弦波変調発生器1038及びデジタル補償回路1034を内蔵したデジタル処理エレクトロニクスを具備している。補償回路1034の補償機能の一例は、変調発生器1038の出力を多項式関数、例えば図10に示す代表的多項式関数に通すことである。多項式の各係数は、補償回路1034によって生成された歪みが、強度変調器1040によって生成された歪みを打ち消すような形で、調節されると共に設定される。換言すると、それらの係数は、正弦波発生器出力部から強度変調器出力部までの正味の伝達関数が線形になるような形で設定される。
【0047】
[0057]図11は、前に説明したRFOGに用いるための代表的共振トラッキングエレクトロニクス(RTE)1114の一実施形態のブロック図である。共振トラッキングエレクトロニクス1114は、デジタルシグナルプロセッサ1150と、CWアナログシグナルコンディショナ1146−1と、CWアナログ−デジタルコンバータ1148−1と、CCWアナログシグナルコンディショナ1146−2と、CCWアナログ−デジタルコンバータ1148−2とを備えている。CWアナログシグナルコンディショナ1146−1及びCCWアナログシグナルコンディショナ1146−2は共に、該当のフォトダイオード、例えば図4に示すCWフォトダイオード442−1又はCCWフォトダイオード442−2からの出力に信号調節を施す。例えば、CWアナログシグナルコンディショナ1146−1及びCCWアナログシグナルコンディショナ1146−2は、エレクトロニクスを飽和させずに更なるアナログ利得を与えられるように無用の信号をフィルタ処理すること、及び該当のアナログ−デジタルコンバータ1148−1及び1148−2でデジタル化する前にアンチエイリアシングのためのフィルタ処理を行うことを含むことができる。
【0048】
[0058]別の実施形態では、中間周波数(IF)段があって、そこで、フォトダイオード(例えば、CWフォトダイオード442−1又はCCWフォトダイオード442−2)の出力が、該当のアナログ−デジタルコンバータによってデジタル化される前に、中間周波数にダウンコンバートされる。1つの実施態様では、CWアナログ信号コンディショナ1146−1及びCCWアナログ信号コンディショナ1146−2それぞれにおいてダウンコンバージョンが行われる。アナログ−デジタルコンバータ1148−1及び1148−2が該当の信号をデジタル化した後、それらデジタル化信号は、デジタルシグナルプロセッサ1150に入力される。デジタルシグナルプロセッサ1150は、例えば、フィールドプログラマブルアレイ(FPGA)チップ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はマイクロプロセッサとして実現することができる。
【0049】
[0059]デジタルシグナルプロセッサ1150は、デジタル信号を処理する。詳細には、CW信号は、CW復調器1154−1において、周波数が例えば前に説明した変調回路410−1のようなCW変調回路によって施される強度変調の周波数である参照信号を使って復調される。これにより、回転情報と回転検知エラーとの間の判別が可能になる。CW復調器1154−1によって回転検知エラーが判別、即ち遮断された後、CW復調器1154−1から出力される復調信号には、CW共通キャビティ(C.C.)復調器1156−1において、2回目の復調が施される。CW C.C.復調器1156−1は、周波数が共通キャビティ変調周波数、fm、である参照信号を使って、CW復調器1154−1の出力を復調する。
【0050】
[0060]CW C.C.復調器1156−1の出力は、CW光源、例えば光源416−1が共振状態であるのか、それとも非共振状態であるのかを表している。共振状態は、特定の光ビームが波長の整数倍に等しい一周行路長を有していることを指す。同様に、光ビームは、その一周行路長が同じ整数倍波長に等しくない場合に、非共振状態である。全ビームが概ね共振状態である場合に、回転速度情報を確定することができる。一実施形態において、もしCW C.C.復調器1156−1の出力がゼロであれば、CW光源は共振状態である。もしCW C.C.復調器1156−1の出力がゼロ以外の値を有していれば、CW光源は非共振状態である。ゼロでない出力はエラー信号と呼ばれており、光ビームを共振状態に調節するために、制御ループで使用することができる。これについては、後で詳述する。
【0051】
[0061]CW C.C.復調器1156−1の出力は、第1のCWアキュムレータ1158−1において積分される。アキュムレータ1158−1の出力は、CW加算器1160−1及び第2のCWアキュムレータ1162−1に結合されている。参照レーザを利用する実施形態では、第2のCWアキュムレータ1162−1は、参照レーザ駆動部を駆動するのに使用されるデジタル−アナログコンバータ1164−1に結合される。詳細には、アキュムレータ1162−1は、全レーザ及びエレクトロニクスを正常な動作範囲に保つように、参照レーザ周波数を制御する。例えば、アキュムレータ1162−1は、参照レーザとスレーブレーザとの間のビート周波数がエレクトロニクスの動作範囲を超えないように、参照レーザ周波数を制御して、第1のCWアキュムレータ1158−1の時間平均値をゼロ付近に保つ。
【0052】
[0062]CW加算器1160−1は、第1のCWアキュムレータ1158−1の出力をCW定数1166と合算する。一実施形態では、CW定数1166は、CW C.C.復調器1156−1の出力がゼロのときにCW光源を概ね共振状態で動作させる公称値である。CW加算器1160−1の出力は、第1の減算器1168の第2の入力部及び第2の減算器1170の第1の入力部に結合されると共に、基準周波数としてCWダイレクトデジタルシンセサイザチップ1172−1(DDS)に結合されている。CW DDS1172−1の出力は、新たなΔfである。これは、CW光源を共振状態に制御すべく、エラー信号から算出される。これは、基準信号として、CW PLL、例えばCW PLL430−1に供給される。
【0053】
[0063]デジタルシグナルプロセッサ1150は、右回り信号と同様の態様で、左回り信号を処理する。図11に示す特定の実施形態において、デジタルシグナルプロセッサ1150は、前述したように、CW信号モードよりも少なくとも共振モード1つ分だけ高周波側にある成分(CCW1信号と呼ばれる)、及びCW信号モードよりも少なくとも共振モード1つ分だけ低周波側にある成分(CCW2信号と呼ばれる)を有するCCW信号を処理するように構成されている。
【0054】
[0064]このように、CCW1復調器1154−2及びCCW2復調器1154−3は、前に説明したものと同様のプロセスを使いながら、この例ではロックイン検出を使って異なる信号間の判別を行っている。加えて、CCW1復調器1154−2はCCW2信号を除去するものであり、残りのCCW1信号は、前に論じたCW信号と同様に、CCW1復調器1154−2〜加算器1160−2で更に処理される。同様に、CCW2復調器1154−3はCCW1信号を除去するものであり、残りのCCW2信号は、CW信号と同様に、CCW2復調器1154−3〜加算器1160−3で更に処理される。
【0055】
[0065]更に、CCW1 DDS1172−2及びCCW2 DDS1172−3の出力は、それぞれΔf及びΔfである。これらは、CCWビームを共振状態にするために、基準信号としてCCW光源、例えばCCW1 PLL431−2に供給される。CCW1加算器1160−2の出力は第2の減算器1170の第2の入力部に結合され、CCW2加算器1160−3の出力は第1の減算器1168の第1の入力部に結合されている。
【0056】
[0066]一実施形態では、減算器1168は減算器1174の第1の入力部に結合され、減算器1170は減算器1174の第2の入力部に結合される。減算器1168〜1174は、式2ΔfΩ=(Δf−Δf)−(Δf−Δf)を計算するように機能する。この場合、減算器1174の出力は実質的にΔfΩの2倍に等しく、ΔfΩは回転速度に比例する。
【0057】
[0067]図12は、共振型光ファイバジャイロに存在する回転検知エラーを低減する方法1200の一実施形態のフローチャートである。ブロック1202において、光ビームが発生される。例えば、前に説明した光源等の光源は、光ビームを発生することができる。加えて、その光源は、前述したように、いくつかの実施形態では、参照レーザに同期されたスレーブ光源とすることができる。発生された光ビームは、ブロック1204において、強度変調光ビームを生成するために強度が変調される。詳細には、光ビームの強度は、強度変調光ビームの1又は複数の高次高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で変調される。そのしきい値は、前述したように、しきい値に満たない振幅が逆行する光ビームにほとんど影響を与えないような形で決定される。加えて、本明細書では、「高次高調波」なる用語は、ゼロ回転時又は回転中に、逆行する光ビームと可能性としてオーバーラップする高調波を指す。
【0058】
[0068]いくつかの実施形態では、光ビームの強度は、前述したように、共振器の隣接する共振モード相互間のフリースペクトルレンジの周波数から分離された周波数で変調される。詳細には、強度変調周波数とフリースペクトルレンジ周波数との間の分離距離は、上記1又は複数の高次高調波の振幅がしきい値未満になるような形で選択される。
【0059】
[0069]他の実施形態では、光ビームの強度を変調することは、所定周波数の変調信号を発生することと、その変調信号を歪ませることと、その歪んだ変調信号に基づいてその光ビームの強度を変調することとを含んでいる。変調信号の歪みは、歪んだ変調信号が光ビームの変調に存在する別の非線形性を補償するような形で選択される。他の実施形態では、光ビームの強度を変調することは、三角波変調信号を発生することと、その三角波変調信号に乗算値を乗算することとを含んでいる。次いで、光ビームの強度は、その乗算後の三角波変調信号に基づいて変調される。
【0060】
[0070]ブロック1206において、強度変調光ビームは、共振器の中を伝って第1の方向に伝搬させられる。共振器の中を伝搬するときに、しきい値未満の振幅を有する上記1又は複数の高次高調波しか、共振器の中を第2の反対方向に伝搬している光ビームの基本波の周波数とオーバーラップしない。したがって、上記1又は複数の高次高調波が逆行する光ビームに及ぼす影響は、無視することができる。加えて、強度変調光ビームを伝搬させることは、いくつかの実施形態では、前述したように、共通キャビティ長変調を使って強度変調光ビームを変調することを含んでいる。単一光ビームに即して方法1200を説明してきたが、前述したように、方法1200は、共振器の中を伝搬する光ビームそれぞれ毎に実現してもかまわないことを理解されたい。
【0061】
[0071]実施例
例1は、光ファイバループを有する共振器と、光ビームを発生するように構成された光源と、それら光源及び共振器相互間に結合された強度変調回路であって、光源からの光ビームの強度を変調して、強度変調された信号を共振器に出力するように構成された強度変調回路と、を備えた共振型光ファイバジャイロ(RFOG)を具備している。この場合、その強度変調回路は、共振器内の逆行する光ビームの基本波とオーバーラップするその強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、その強度変調信号を生成するように構成されており、その所定しきい値に満たない振幅は、無視することができる。
【0062】
[0072]例2は、例1の共振型光ファイバジャイロ、但し上記光源は第1の周波数が上記共振器の第1の共振周波数に合わされている第1の光源であり、上記強度変調回路は第1の強度変調回路である共振型光ファイバジャイロであって、更に、第1の光ビームの第1の周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ高周波側にある共振器の共振周波数に合わされた第2の周波数を有する第2の光ビームを発生するように構成された第2の光源と、その第2の光源と共振器との間に結合された第2の強度変調回路であって、その第2の光ビームを変調して第2の強度変調信号を出力するように構成された第2の強度変調回路と、第1の光ビームの第1の周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ低周波側にある共振器の共振周波数に合わされた第3の周波数を有する第3の光ビームを発生するように構成された第3の光源と、その第3の光源と共振器との間に結合された第3の強度変調回路であって、その第3の光ビームを変調して第3の強度変調信号を出力するように構成された第3の強度変調回路と、第2の強度変調信号と第3の強度変調信号とを合波するように構成されたビームコンバイナであって、その合波後の強度変調信号を共振器に出力するように構成されたビームコンバイナと、を備えたRFOGを具備している。この場合、第1の強度変調信号は共振器の中を第1の方向に伝搬し、合波強度変調信号は共振器の中を第2の方向に伝搬し、第2の強度変調回路及び第3の強度変調回路はそれぞれ、第1の強度変調信号の基本波とオーバーラップする第2及び第3の各強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、該当の第2の強度変調信号及び第3の強度変調信号を生成するように構成されている。
【0063】
[0073]例3は、例1の共振型光ファイバジャイロ、但し上記光源は第1の光源であり、上記強度変調回路は第1の強度変調回路である共振型光ファイバジャイロであって、更に、第2の周波数の第2の光ビームを発生するように構成された第2の光源であって、その第2の光ビームの周波数を、第1の光ビームの周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ高周波側にある上記共振器の共振周波数と、第1の光ビームの周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ低周波側にある上記共振器の共振周波数との間で切り替えるように構成された第2の光源と、その第2の光源と共振器との間に結合された第2の強度変調回路であって、その第2の光ビームを変調して第2の強度変調信号を出力するように構成された第2の強度変調回路と、を備えたRFOGを具備している。この場合、第1の強度変調信号は共振器の中を第1の方向に伝搬し、第2の強度変調信号は共振器の中を第2の方向に伝搬し、第2の強度変調回路は、第1の強度変調信号の基本波とオーバーラップする第2の強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、第2の強度変調信号を生成するように構成されている。
【0064】
[0074]例4は、例1の共振型光ファイバジャイロであって、更に、上記光源と上記強度変調回路との間に結合されたビームスプリッタであって、上記光ビームの第1の部分を強度変調回路に出力するように構成されたビームスプリッタと、そのビームスプリッタがそこに上記光ビームの第2の部分を出力するように構成されている、そのビームスプリッタに結合された周波数シフタであって、上記光ビームのその第2の部分の周波数をシフトさせて第2の光ビームを生成するように構成された周波数シフタと、その周波数シフタに結合され、且つその第2の光ビームの強度を変調して上記共振器に第2の強度変調信号を出力するように構成された第2の強度変調回路と、を備えたRFOGを具備している。この場合、上記強度変調信号は共振器の中を第1の方向に伝搬し、第2の強度変調信号は共振器の中を第2の方向に伝搬し、第2の強度変調回路は、共振器内の第1の強度変調信号の基本波とオーバーラップする第2の強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、第2の強度変調信号を生成するように構成されている。
【0065】
[0075]例5は、例1〜4のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロあって、参照光ビームを生成するように構成された参照レーザ発生器を更に備えた共振型光ファイバジャイロを具備している。この場合、上記光源は、光ビームをその参照光ビームに同期させるように構成されたスレーブ光源である。
【0066】
[0076]例6は、例1〜5のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロであって、上記強度変調回路は、上記共振器の隣接する共振モード相互間のフリースペクトルレンジの周波数から分離された周波数であって、共振器内の逆行する光ビームの基本波とオーバーラップする上記強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で選択された分離距離だけ分離された周波数で、上記光ビームの強度を変調するように構成されたものである、共振型光ファイバジャイロを具備している。
【0067】
[0077]例7は、例1〜5のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロであって、上記強度変調回路は、所定周波数で信号を発生するように構成された変調信号発生器と、その変調信号発生器から出力された信号を歪ませるように構成された補償回路と、その補償回路に結合された強度変調器であって、その補償回路から出力されるその歪んだ信号に基づいて、第1の光源からの光ビームの強度を変調するように構成された強度変調器と、を備えたものである、共振型光ファイバジャイロを具備している。
【0068】
[0078]例8は、例1〜5のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロであって、上記強度変調回路は、三角波信号を発生するように構成された変調信号発生器と、その変調信号発生器に結合され、且つその三角波に乗算値を乗算するように構成された乗算器と、その乗算器に結合され、且つその乗算器から出力された三角波に基づいて、第1の光源からの光ビームの強度を変調するように構成された強度変調器と、を備えたものである、共振型光ファイバジャイロを具備している。
【0069】
[0079]例9は、回転速度を測定するように構成された共振型光ファイバジャイロ(RFOG)と、その共振型光ファイバジャイロに結合され、且つその共振型光ファイバジャイロによって測定された回転速度に基づいて計算を実施するように構成された処理ユニットと、を備えたシステムを具備している。この場合、上記共振型光ファイバジャイロは、光ファイバループを有する共振器と、光ビームを発生するように構成された光源と、それら光源及び共振器相互間に結合された強度変調回路であって、光源からの光ビームの強度を変調して、強度変調された信号を共振器に出力するように構成された強度変調回路と、を具備しており、その強度変調回路は、共振器内の逆行する光ビームの基本波とオーバーラップするその強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、その強度変調信号を生成するように構成されており、その所定しきい値に満たない振幅は、無視することができる。
【0070】
[0080]例10は、例9の共振型光ファイバジャイロ、但し上記光源は第1の光源であり、上記強度変調回路は第1の強度変調回路である共振型光ファイバジャイロであって、更に、第2の周波数の第2の光ビームを、第1の光ビームの周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ高周波側にある上記共振器の共振周波数で発生するように構成された第2の光源と、その第2の光源と共振器との間に結合された第2の強度変調回路であって、その第2の光ビームを変調して第2の強度変調信号を出力するように構成された第2の強度変調回路と、第3の周波数の第3の光ビームを、第1の光ビームの周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ低周波側にある共振器の共振周波数で発生するように構成された第3の光源と、その第3の光源と共振器との間に結合された第3の強度変調回路であって、その第3の光ビームを変調して第3の強度変調信号を出力するように構成された第3の強度変調回路と、第2の強度変調信号と第3の強度変調信号とを合波するように構成されたビームコンバイナであって、その合波後の強度変調信号を共振器に出力するように構成されたビームコンバイナと、を備えたRFOGを具備している。この場合、第1の強度変調信号は共振器の中を第1の方向に伝搬し、合波強度変調信号は共振器の中を第2の方向に伝搬し、第2の強度変調回路及び第3の強度変調回路はそれぞれ、第1の強度変調信号の基本波とオーバーラップする第2及び第3の各強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、該当の第2の強度変調信号及び第3の強度変調信を生成するように構成されている。
【0071】
[0081]例11は、例9の共振型光ファイバジャイロ、但し上記光源は第1の光源であり、上記強度変調回路は第1の強度変調回路である共振型光ファイバジャイロであって、更に、第2の周波数の第2の光ビームを発生するように構成された第2の光源であって、その第2の光ビーム周波数を、第1の光ビームの周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ高周波側にある共振周波数と、第1の光ビームの周波数よりも少なくともフリースペクトルレンジ1つ分だけ低周波側にある共振周波数との間で切り替えるように構成された第2の光源と、その第2の光源と上記共振器との間に結合された第2の強度変調回路であって、その第2の光ビームを変調して第2の強度変調信号を出力するように構成された第2の強度変調回路と、を備えたRFOGを具備している。この場合、第1の強度変調信号は共振器の中を第1の方向に伝搬し、第2の強度変調信号は共振器の中を第2の方向に伝搬し、第2の強度変調回路は、第1の強度変調信号の基本波とオーバーラップする第2の強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、第2の強度変調信号を生成するように構成されている。
【0072】
[0082]例12は、例9の共振型光ファイバジャイロであって、更に、上記光源と上記強度変調回路との間に結合されたビームスプリッタであって、上記光ビームの第1の部分を強度変調回路に出力するように構成されたビームスプリッタと、そのビームスプリッタがそこに上記光ビームの第2の部分を出力するように構成されている、そのビームスプリッタに結合された周波数シフタであって、上記光ビームのその第2の部分の周波数をシフトさせて第2の光ビームを生成するように構成された周波数シフタと、その周波数シフタに結合され、且つその第2の光ビームの強度を変調して上記共振器に第2の強度変調信号を出力するように構成された第2の強度変調回路と、を備えた共振型光ファイバジャイロを具備している。この場合、上記強度変調信号は共振器の中を第1の方向に伝搬し、第2の強度変調信号は共振器の中を第2の方向に伝搬し、第2の強度変調回路は、共振器内の第1の強度変調信号の基本波とオーバーラップする第2の強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、第2の強度変調信号を生成するように構成されている。
【0073】
[0083]例13は、例9〜12のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロあって、参照光ビームを生成するように構成された参照レーザ発生器を更に備えた共振型光ファイバジャイロを具備している。この場合、上記光源は、上記光ビームをその参照光ビームに同期させるように構成されたスレーブ光源である。
【0074】
[0084]例14は、例9〜13のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロであって、上記強度変調回路は、上記共振器の隣接する共振モード相互間のフリースペクトルレンジの周波数から分離された周波数であって、共振器内の逆行する光ビームの基本波とオーバーラップする上記強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で選択された周波数分離距離だけ分離された周波数で、上記光ビームの強度を変調するように構成されたものである、共振型光ファイバジャイロを具備している。
【0075】
[0085]例15は、例9〜13のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロであって、上記強度変調回路は、所定周波数で信号を発生するように構成された変調信号発生器と、その変調信号発生器から出力された信号を歪ませるように構成された補償回路と、その補償回路に結合された強度変調器であって、その補償回路から出力されるその歪んだ信号に基づいて、第1の光源からの光ビームの強度を変調するように構成された強度変調器と、を備えたものである、共振型光ファイバジャイロを具備している。
【0076】
[0086]例16は、例9〜13のうちのいずれかの共振型光ファイバジャイロであって、上記強度変調回路は、三角波信号を発生するように構成された変調信号発生器と、その変調信号発生器に結合され、且つその三角波に乗算値を乗算するように構成された乗算器と、その乗算器に結合され、且つその乗算器から出力された三角波に基づいて、第1の光源からの光ビームの強度を変調するように構成された強度変調器と、を備えたものである、共振型光ファイバジャイロを具備している。
【0077】
[0087]例17は、共振型光ファイバジャイロに存在する回転検知エラーを低減する方法であって、光ビームを発生するステップと、その光ビームの強度を変調して、振幅が所定しきい値未満の1又は複数の高次高調波を有する強度変調光ビームを生成するステップと、その強度変調光ビームを共振器の中に通して第1の方向に伝搬させるステップと、を含んで構成される方法を含んでいる。この場合、所定しきい値未満の振幅を有する上記1又は複数の高次高調波だけが、共振器の中を通って第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する光ビームの基本波の周波数とオーバーラップする。
【0078】
[0088]例18は、例17の方法であって、上記光ビームの強度を変調するステップは、上記共振器の隣接する共振モード相互間のフリースペクトルレンジの周波数から分離された周波数であって、第2の方向に伝搬する光ビームの基本波とオーバーラップする上記強度変調信号の上記1又は複数の高次高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で選択された分離距離だけ分離された周波数で、上記光ビームの強度を変調するステップを含んで構成されるものである、方法を含んでいる。
【0079】
[0089]例19は、例17の方法であって、上記光ビームの強度を変調するステップは、所定周波数で変調信号を発生するステップと、その変調信号を歪ませるステップと、その歪んだ変調信号に基づいて、上記光ビームの強度を変調するステップと、を含んで構成されるものである、方法を含んでいる。この場合、その歪んだ変調信号は、光ビームの変調に存在する非線形性を補償する。
【0080】
[0090]例20は、例17の方法であって、上記光ビームの強度を変調するステップは、三角波変調信号を発生するステップと、その三角波変調信号に乗算値を乗算するステップと、その乗算後の三角波変調信号に基づいて上記光ビームの強度を変調するステップと、を含んで構成されるものである、方法を含んでいる。
【0081】
[0091]本明細書では、具体的な実施形態について図示すると共に説明してきたが、当業者であれば当然のことながら、同じ目的を達成するように考慮されたいかなる構成も、提示したそれら具体的実施形態の代わりに用いることができる。したがって、明白に意図しているように、本発明は、請求項及びその均等物によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0082】
100 システム
102 光ファイバジャイロ
104 処理ユニット
106 アクチュエータ
108 表示ユニット
110 変調回路
112 共振器
114 共振トラッキングエレクトロニクス
116 光源
201 CWビーム
203 CCWビーム1
410 強度変調回路
412 回転検知共振器
414 共振トラッキングエレクトロニクス
415 共通キャビティ変調発生器
416 光源
418−1 CWスレーブレーザ
418−2 CCWスレーブレーザ
420−1 CWビームスプリッタ
420−2 CCWビームスプリッタ
422−1 CWビームコンバイナ
422−2 CCWビームコンバイナ
424 参照レーザ駆動部
426 参照レーザ
428 参照ビームスプリッタ
430−1 CW PLLプリアンプ
430−2 CCW PLLプリアンプ
431−1 CW PLL
431−2 CCW PLL
431−2 CCWレーザ駆動部
432−1 CWレーザ駆動部
434−1 補償回路
434−2 補償回路
436−1 D/Aコンバータ
436−2 D/Aコンバータ
438−1 変調発生器
438−2 変調発生器
440−1 CW強度変調器
440−2 CCW強度変調器
442−1 CW PD
442−2 CCW PD
502 RFOG
510−1 変調回路
510−2 変調回路
510−3 変調回路
512 回転検知共振器
514 共振トラッキングエレクトロニクス
515 共通キャビティ変調発生器
516−1 CW光源
516−2 CCW1光源
516−3 CCW2光源
524 参照レーザ駆動部
526 参照レーザ
528 参照ビームスプリッタ
542−1 CW PD
542−2 CCW PD
544 ビームコンバイナ
602 RFOG
610−1 CW変調回路
610−2 CCW変調回路
612 共振器
614 RTE
615 共通キャビティ変調発生器
616−1 CW光源
616−2 CCW光源
642−1 CW PD
642−2 CCW PD
702 RFOG
710−1 CW変調回路
710−2 CCW変調回路
712 共振器
714 RTE
715 共通キャビティ変調発生器
716 光源
717 ビームスプリッタ
719 周波数シフタ
742−1 CW PD
742−2 CCW PD
810 変調回路
836 D/Aコンバータ
838 三角波発生器
840 強度変調器
886 乗算器
910 変調回路
936 D/Aコンバータ
938 三角波発生器
940 強度変調器
986 乗算器
988 ビームスプリッタ
990 光検出器
992 A/Dコンバータ
994 2f復調器
996 アキュムレータ
1010 変調回路
1034 補償回路
1036 D/Aコンバータ
1038 正弦波発生器
1040 強度変調器
1114 共振トラッキングエレクトロニクス
1146−1 CWアナログ信号コンディショナ
1146−2 CCWアナログ信号コンディショナ
1148−1 CW A/Dコンバータ
1148−2 CCW A/Dコンバータ
1150 デジタルシグナルプロセッサ
1154−1 CW復調器
1154−2 CCW1復調器
1154−3 CCW2復調器
1156−1 CW C.C.復調器
1156−2 CCW1 C.C.復調器
1156−3 CCW2 C.C.復調器
1158−1 CWアキュムレータ
1158−2 CCW1アキュムレータ
1158−3 CCW2アキュムレータ
1160−1 CW加算器
1160−2 CCW1加算器
1160−3 CCW2加算器
1162−1 CWアキュムレータ
1164−1 DAC
1166 CW定数
1167 CCW1定数
1169 CCW1定数
1172−1 CW加算器
1172−2 CCW1 DDS
1172−3 CCW2 DDS
1176 I/O

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバループを有する共振器(112)と、
光ビームを発生するように構成された光源(116)と、
前記光源(116)と前記共振器(112)との間に結合された強度変調回路(110)であって、前記光源(116)からの前記光ビームの強度を変調して、強度変調された信号を前記共振器(112)に出力するように構成された強度変調回路(110)と
を備えた共振型光ファイバジャイロ(RFOG)(102)であって、
前記強度変調回路(110)は、前記共振器内の逆行する光ビームの基本波とオーバーラップする前記強度変調信号の高調波が所定しきい値未満の振幅を有するような形で、前記強度変調信号を生成するように構成されたものであり、前記所定しきい値に満たない振幅は無視できるものである、共振型光ファイバジャイロ(RFOG)(102)。
【請求項2】
前記強度変調回路(110)は、前記共振器の隣接する共振モード相互間のフリースペクトルレンジの周波数から分離距離だけ分離された周波数で、前記光ビームの強度を変調するように構成されたものであり、前記分離距離は、前記共振器内の前記逆行する光ビームの前記基本波とオーバーラップする前記強度変調信号の前記高調波が前記所定しきい値未満の振幅を有するような形で選択されたものである、請求項1に記載の共振型光ファイバジャイロ(102)。
【請求項3】
共振型光ファイバジャイロに存在する回転検知エラーを低減する方法(1200)であって、
光ビームを発生するステップ(1202)と、
前記光ビームの強度を変調して、振幅が所定しきい値未満の1又は複数の高次高調波を有する強度変調光ビームを生成するステップ(1204)と、
前記強度変調光ビームを共振器の中に通して第1の方向に伝搬させるステップであって、所定しきい値未満の振幅を有する前記1又は複数の高次高調波だけが、前記共振器を通って前記第1の方向とは反対の第2の方向に伝搬する光ビームの基本波の周波数とオーバーラップするステップ(1206)と
を含む方法(1200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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