説明

共有結合した化学種を含むポリマー粒子

共有結合した化学種を含むポリマー粒子と、関連する組成物および方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、共有結合した化学種を含むポリマー粒子、関連する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療剤などの薬剤は、たとえば、脈管系を介した注入または経口摂取によって全身送達されることや、治療が望まれる部位に直接投与されることがある。場合によっては、治療剤を標的部位に送達するために粒子が用いられる。これに加えて、またはこれに代えて、塞栓法を行うために、および/または放射線治療法を行うために粒子が用いられることがある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1A】粒子の一実施形態の側面図。
【図1B】図1Aの粒子の、線1B−1Bに沿った断面図。
【図2A】粒子を含む組成物を血管中に注入する方法の一実施形態の模式図。
【図2B】図2Aの領域2Bの拡大図。
【図3】粒子の一実施形態の断面図。
【図4A】粒子を製造するためのシステムおよび方法の一実施形態を示す図。
【図4B】粒子を製造するためのシステムおよび方法の一実施形態を示す図。
【図4C】粒子を製造するためのシステムおよび方法の一実施形態を示す図。
【図5】液滴発生器の一実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0004】
一態様において、本発明は、ポリマーと、該ポリマーに共有結合した化学種とを含む粒子を特徴とする。ポリマーはビニルアルコールモノマー単位を含み、化学種は、ポリマー、オリゴマーおよびモノマーから選択される。粒子は5000μm以下の最大寸法を有する。
【0005】
別の態様において、本発明は、ポリマーと、該ポリマーに共有結合した化学種と、治療剤とを含む粒子を特徴とする。ポリマーは、少なくとも5重量%のビニルアルコールモノマー単位と、少なくとも5重量%のビニルホルマールモノマー単位とを含む。化学種は、ポリマー、オリゴマーおよびモノマーから選択され、粒子は5000μm以下の最大寸法を有する。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、キャリア流体と、該キャリア流体中の複数の粒子とを含む組成物を特徴とする。複数の粒子のうちの少なくともいくつかは、5000μm以下の最大寸法を有し、ポリマーと、該ポリマーに共有結合した化学種とを含む。ポリマーはビニルアルコールモノマー単位を含み、化学種は、ポリマー、オリゴマーおよびモノマーから選択される。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、ポリマーを含む粒子を形成することを含む方法を特徴とする。ポリマーはビニルアルコールモノマー単位を含む。当該方法は、ポリマーを、ポリマー、オリゴマー、およびモノマーから選択される化学種と接触させることも含む。当該方法は、ポリマーおよび化学種に照射を行って化学種をポリマーに結合させ、ポリマーに結合した化学種を含む、5000μm以下の最大寸法を有する粒子を形成することをさらに含む。
【0008】
別の態様において、本方法は、ポリマーを含む粒子を形成することを含む方法を特徴とする。ポリマーは、少なくとも5重量%のビニルアルコールモノマー単位と、少なくとも5重量%のビニルホルマールモノマー単位とを含む。当該方法は、ポリマーを、ポリマー、オリゴマー、およびモノマーから選択される化学種と接触させることも含む。当該方法は、ポリマーおよび化学種に照射を行って化学種をポリマーに結合させ、ポリマーに結合した化学種を有した粒子を形成することをさらに含む。さらに、当該方法は、治療剤を粒子と接触させることを含む。粒子は5000μm以下の最大寸法を有する。
【0009】
実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含んでいてもよい。
ポリマーは、少なくとも5重量%のビニルアルコールモノマーを含んでいてもよい。
ポリマーは、ビニルホルマールモノマー単位(たとえば、少なくとも5重量%のビニルホルマールモノマー単位)をさらに含んでいてもよい。
【0010】
ポリマーは、酢酸ビニルモノマー単位をさらに含んでいてもよい。
ポリマーは、孔を含んでいてもよい。たとえば、化学種は、ポリマーの孔の中に少なくとも部分的に配置されていてもよい。
【0011】
化学種はポリマーの表面上に塗装されていてもよい。
粒子は、治療剤をさらに含んでいてもよい。たとえば、治療剤は化学種に優先的に会合していてもよい。
【0012】
ポリマーは架橋されていてもよい。
化学種は、ポリマー、たとえば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、(メタ)アクリル酸ポリジアルキルアミノアルキル、および/または、粒子の化学的性質を変えて治療薬が優先的に吸収および放出される道筋を変える任意の親水性または疎水性ポリマーなどからなる。
【0013】
本方法では、たとえば、電子ビーム照射、紫外線照射およびガンマ線照射(たとえば、紫外線照射)から選択される照射を用いてもよい。
ポリマーおよび化学種に照射を行うことで、ポリマーを架橋することができる。たとえば、粒子内のポリマーと、粒子の化学的性質を変更するために加えられた追加のポリマー(化学種)との間に、化学結合を生じさせることができる。
【0014】
実施形態は、以下の利点の1つ以上を含んでいてもよい。
1つ以上の治療剤の放出特性(たとえば、タイミング、量)を所望の通りに操作するために、化学種(ポリマー、オリゴマー、モノマー)を用いてもよい。たとえば、化学種は会合(たとえばイオン的に結合)していてもよいし、または、たとえば治療剤が、粒子が存在する環境の変化に伴って粒子によって放出可能なように、治療剤と会合(たとえば、分子間力または化学種中での治療剤の溶解性を介して)していてもよい。
【0015】
粒子は、体腔内に治療剤を送達するために、随意で単独または塞栓術と組み合わせて用いてもよい。
図1Aおよび1Bは、たとえば塞栓術において使用可能な粒子100を示す。粒子100は、孔106を含むマトリックス104によって囲まれる空隙102を含む。マトリックス104は、マトリックスポリマーからなる。粒子100は、マトリックスポリマーに共有結合した(たとえば、粒子100の外表面に共有結合した、および/または1つ以上の孔104の表面に共有結合した)化学種も含む。当該化学種は、1つ以上のモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーである。
【0016】
一般に、マトリックスポリマーは、生体適合性材料からなる。その例としては、ビニル
アルコールモノマー、ビニルホルマールモノマー、および/または酢酸ビニルモノマーを含むポリマーが挙げられる。ここでいうビニルホルマールモノマー単位は、下記の構造を有する。
【0017】
【化1】

【0018】
ここでいうビニルアルコールモノマー単位は、下記の構造を有する。
【0019】
【化2】

【0020】
ここでいう酢酸ビニルモノマー単位は、下記の構造を有する。
【0021】
【化3】

【0022】
一般に、モノマー単位は、様々に配置可能である。一例として、いくつかの実施形態において、ポリマーは、交互に異なるモノマー単位を含むものであってよい。たとえば、ポリマーは、各ブロックがビニルホルマールモノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、および酢酸ビニルモノマー単位を含む、繰り返しブロックを含むものであってよい。別の例としては、ある実施形態においては、ポリマーは、同じ種類の複数のモノマー単位を含むブロックを含んでいてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、下記に模式的に示される式を有してもよい。式中、x、yおよびzはそれぞれゼロよりも大きい整数である。示された個々のモノマー単位は、互いに直接結合していてもよいし、および/または、間に1つ以上の他のモノマー単位(たとえば、ビニルホルマールモノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、
酢酸ビニルモノマー単位)を含んでいてもよい。
【0024】
【化4】

【0025】
随意で、架橋を与えるホルマール結合がPVA分子間に生じてもよい。
いくつかの実施形態において、ポリマーは、少なくとも5重量%(たとえば、少なくとも15重量%、少なくとも25重量%、少なくとも35重量%)のビニルアルコールモノマー単位、および/または多くとも80重量%(たとえば、多くとも50重量%、多くとも25重量%、多くとも10重量%)のビニルアルコールモノマー単位を含んでいてもよい。ポリマー中のモノマー単位の重量%は、固体NMR分光法を用いて測定することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、少なくとも5重量%(たとえば、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも85重量%)のビニルホルマールモノマー単位、および/または多くとも90重量%(たとえば、多くとも75重量%、多くとも50重量%、多くとも25重量%)のビニルホルマールモノマー単位を含んでいてもよい。ここで用いるポリマー中のモノマー単位の重量パーセントは、上述のように固体NMR分光法を用いて測定される。
【0027】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、少なくとも1重量%(たとえば、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%)の酢酸ビニルモノマー単位、および/または多くとも20重量%(たとえば、多くとも15重量%、多くとも10重量%、多くとも5重量%)の酢酸ビニルモノマー単位を含んでいてもよい。ここで用いるポリマー中のモノマー単位の重量パーセントは、上述のように固体NMR分光法を用いて測定される。
【0028】
これに代えて、またはこれに加えて、粒子100中のマトリックスポリマーとして、他のポリマーを用いてもよい。ポリマーとしては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスルホン酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、多糖、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリメチルメタクリル酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(たとえば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール酸))およびそれらの共重合体または混合物が挙げられる。ポリマー類については、たとえば、Lanphereら(米国特許出願第2004/0096662号、2004年5月20日発行、名称「塞栓術」);Songら(米国特許出願第11/314,056号、2005年12月21日提出、名称「ブロック共重合体粒子」);およびSongら(米国特許出願第11/314,557号、2005年12月21日提出、名称「ブロック共重合体粒子」)に記載されている。そのすべてを引用によって本明細書に援用する。
【0029】
粒子100のマトリックスポリマーに共有結合させることのできるモノマーとしては、たとえば、上記に開示したポリマーのモノマーが挙げられる。一例としては、マトリックスポリマーが、ホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、スチレンスルホン酸をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。別の例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、ジメチルアミノエチルアクリル酸をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。さらなる例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、スチレンをマトリックスポリマーに共有結合させることができる。さらなる例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、アクリル酸をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。
【0030】
粒子100のマトリックスポリマーに共有結合させることのできるオリゴマーとしては、たとえばPEGアクリレートオリゴマー、および上記ポリマーの低分子量のものが挙げられる。一例としては、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、PLAをマトリックスポリマーに共有結合させることができる。別の例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、PEGをマトリックスポリマーに共有結合させることができる。
【0031】
粒子100のマトリックスポリマーに共有結合させることのできるポリマーとしては、たとえば、上記に開示したポリマーが挙げられる。一例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、ポリスチレン(たとえば、ポリスチレンスルホン酸)をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。別の例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、ポリスチレンスルホン酸をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。別の例として、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、ポリジメチルアミノエチルアクリル酸をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。さらなる例において、マトリックスポリマーがホルマール化または非ホルマール化PVAからなる場合には、ポリアクリル酸をマトリックスポリマーに共有結合させることができる。
【0032】
一般に、化学種は、任意の所望の方法を用いて、マトリックスポリマーに共有結合させることができる。その手順は、たとえば、それらを接触させることを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、このことは、マトリックスポリマーを化学種でコーティングすることによって達成することができる。ある実施形態において、化学種を粒子の孔内に拡散させてもよい。続いて、この化学種をマトリックスポリマーに共有結合させてもよい。たとえば、化学種およびマトリックスポリマーは、適切な照射(たとえば、電子ビーム照射、ガンマ線照射)を行ってもよい。ガンマまたは電子ビーム照射についての例示的な放射線量の範囲は、最小で1kGyである。紫外線照射に対する例示的用量の範囲は、250nmで5分間である。照射により、たとえば、マトリックスポリマーを架橋することができる。
【0033】
一例として、ガンマまたは電子ビームは、ポリスチレンスルホン酸をホルマール化または非ホルマール化PVAに共有結合させるために用いてもよい。別の例として、ガンマまたは電子ビームは、ポリアクリル酸をホルマール化または非ホルマール化PVAに共有結合させるために用いてもよい。さらなる例として、ガンマまたは電子ビームは、ポリスチレンスルホン酸をホルマール化または非ホルマール化PVAに共有結合させるために用いてもよい。さらなる例として、ガンマまたは電子ビームは、PEGアクリレートオリゴマーをホルマール化または非ホルマール化PVAに共有結合させるために用いてもよい。
【0034】
これに代えて、またはこれに加えて、化学種は、マトリックスポリマー内に組み込まれたフリーラジカル開始剤と、そのようなマトリックスに曝露される1つ以上のモノマーとの間の反応によって、マトリックスポリマーに共有結合させてもよい。
【0035】
一般に、粒子100の最大寸法は、5,000μm以下(たとえば、2μm〜5,000μm;10μm〜5,000μm;40μm〜2,000μm;100μm〜700μm;500μm〜700μm;100μm〜500μm;100μm〜300μm;300μm〜500μm;500μm〜1,200μm;500μm〜700μm;700μm〜900μm;900μm〜1,200μm;1,000μm〜1,200μm)である。いくつかの実施形態において、粒子100の最大寸法は、5,000μm以下(たとえば、4,500μm以下、4,000μm以下、3,500μm以下、3,000μm以下、2,500μm以下;2,000μm以下;1,500μm以下;1,200μm以下;1,150μm以下;1,100μm以下;1,050μm以下;1,000μm以下;900μm以下;700μm以下;500μm以下;400μm以下;300μm以下;100μm以下;50μm以下;10μm以下;5μm以下)および/または1μm以上(たとえば、5μm以上;10μm以上;50μm以上;100μm以上;300μm以上;400μm以上;500μm以上;700μm以上;900μm以上;1,000μm以上;1,050μm以上;1,100μm以上;1,150μm以上;1,200μm以上;1,500μm以上;2,000μm以上;2,500μm以上)である。いくつかの実施形態において、粒子100の最大寸法は、100μm未満(たとえば、50μm未満)である。
【0036】
いくつかの実施形態において、粒子100は実質的に球形である。ある実施形態において、粒子100は、0.8以上(たとえば,0.85以上、0.9以上、0.95以上、0.97以上)の真球度を有していてもよい。粒子100は、たとえば、湿潤下でその元の系の50%以下まで手動で圧縮、実質的には平坦化し、流体にさらすことで、0.8以上(たとえば,0.85以上、0.9以上、0.95以上、0.97以上)の真球度を回復するようにしてもよい。粒子の真球度は、ベックマン・コールター・ラピッドVUE画像解析装置(Beckman Coulter Rapid VUE Image Analyzer)バージョン2.06(ベックマン・コールター社、フロリダ州マイアミ)を用いて決定することができる。簡単に説明すると、Rapid VUEが、連続階調(グレースケール)形式の画像を撮影し、これをサンプリングおよび量子化の処理を経てデジタル形式に変換する。システムソフトウェアが、画像内の繊維状、桿状または球状の粒子の同定と測定とを行う。Da/Dp(Da=√(4A/π);Dp=P/π;A=ピクセル面積;P=ピクセル周長)として計算される粒子の真球度は、ゼロから1の間の値であり、1が真球を示す。
【0037】
複数の粒子をキャリア流体(たとえば、生理食塩水、造影剤、またはその両方などの、薬学的に許容される担体)に組み合わせて組成物を形成することもでき、該組成物をある部位に送達して、該部位の塞栓を行うこともできる。図2Aおよび2Bは、粒子を含む組成物を被術者の管腔を塞栓するために使用することを示したものである。図示のごとく、粒子100とキャリア流体とを含む組成物を、カテーテル250などの器具を介して血管内に注入する。カテーテル250を、プランジャ260を備えたシリンジ筒210と接続する。カテーテル250を、たとえば、被術者の大腿動脈220に挿入する。カテーテル250は、組成物を送達して、たとえば、女性被術者の子宮内にある筋腫240に繋がる子宮動脈230を閉塞する。組成物は、まず最初にシリンジ210に充填される。シリンジ210のプランジャ260を圧縮して、カテーテル250を通して組成物を子宮動脈230の管腔265内に送達する。
【0038】
図2Aの部分2Bの拡大図である図2Bには、筋腫240に繋がるより小さい子宮血管
270(たとえば、2ミリメートル以下の直径を有する)に分化する子宮動脈230が示されている。組成物中の粒子100は、部分的または全体的に子宮動脈230の管腔を満たし、子宮筋腫240に繋がる子宮動脈230の管腔を部分的または完全に閉塞する。
【0039】
粒子100などの粒子を含む組成物は、たとえば、乳、前立腺、肺、甲状腺または卵巣などの癌病巣を有する部位を含む体内の様々な部位に送達することができる。組成物は、たとえば、神経系、肺疾患、および/または腹部大動脈瘤(AAA:abdominal
sortie aneurysm)の用途に用いることができる。組成物は、たとえば、筋腫、腫瘍、内出血、動静脈奇形(AVM)、および/または高血管性(hypervascular)腫瘍の治療において用いることができる。組成物は、たとえば、動脈瘤嚢、AAA嚢(II型エンドリーク)のための充填剤、エンドリーク密封剤、動脈密封剤、および/または穿刺密封剤として用いることができ、および/または卵管などの他の管腔を閉塞するために用いることができる。筋腫としては、子宮壁内(壁内型)、子宮の外側(漿膜下型)、子宮空隙内(粘膜下型)、子宮を支持する広靱帯の層の間(靱帯間型)、別の器官に付着して(寄生型)、またはマッシュルーム様茎上(有茎型)で増殖する子宮筋腫が挙げられる。内出血には、胃腸管、尿管、腎臓、および静脈瘤出血が含まれる。AVMは、異常な血管の集積(たとえば、脳における)であり、たとえば、血液を高圧力の動脈から低圧力の静脈にそらして、血液がそらされる元の領域の低酸素および栄養不良をもたらす。いくつかの実施形態において、粒子を含む組成物は、症状を予防的に治療するために用いることもできる。
【0040】
組成物の用量の大きさは、投与経路だけでなく、治療すべき症状の性質、位置および重篤度に基づいて変えることができる。症状、疾病または不全を治療する医師は、組成物の有効量を決定することができる。塞栓組成物の有効量とは、徴候の改善および/または被術者の生存の延長をもたらすのに十分な量、または被術者を予防的に治療するのに十分な量のことをいう。組成物は、薬学的に許容される組成物として、静脈内、皮下、経皮、気管内、筋肉内、粘膜内、皮内、動脈内、経口または非経口で被術者に投与されるものを含む任意の治療上許容される用量で被術者に投与することができる。
【0041】
組成物は、粒子の混合物(たとえば、異なる重量%のビニルアルコールモノマー単位を含むポリマーからなる粒子、異なる種類の治療剤を含む粒子)を含むものであってもよいし、または、すべて同じ種類の粒子を含むものであってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、医師による送達を容易にするために、較正粒子濃度を有するように調製してもよい。医師は、たとえば、行うべき処置の種類に基づいて特定の濃度の組成物を選択することができる。ある実施形態において、医師は、塞栓術の一部において比較的高濃度の粒子を含む組成物を使用して、塞栓術の別の一部において比較的低濃度の粒子を含む組成物を使用することもできる。
【0042】
所望の期間にわたって安定に(たとえば、溶液中に懸濁状態に保ち、沈殿および/または浮遊することがない)しておくために、粒子を生理食塩水中に懸濁した懸濁液を調製してもよい。粒子の懸濁液は、たとえば、1分間から20分間(たとえば、1分間から10分間、2分間から7分間、3分間から6分間)のあいだ安定であることが可能である。
【0043】
いくつかの実施形態において、粒子は、溶液の密度を粒子の密度と一致させることにより、生理溶液中に懸濁してもよい。いくつかの実施形態において、粒子および/または生理溶液は、1立方センチメートルあたり1グラムから1立方センチメートルあたり1.5グラム(たとえば、1立方センチメートルあたり1.2グラムから1立方センチメートルあたり1.4グラム、1立方センチメートルあたり1.2グラムから1立方センチメートルあたり1.3グラム)の密度を有していてもよい。
【0044】
ある実施形態において、組成物のキャリア流体は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、粒子が、キャリア流体中で均一に混合することを助けることができ、および/または、送達機器(たとえば、カテーテル)が粒子によって閉塞される可能性を低減することができる。ある実施形態において、界面活性剤は、組成物の送達を(たとえば、粒子の湿潤特性を高め、粒子が送達装置内を容易に通過できるようにすることにより)高めることができる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、組成物中の粒子による(たとえば、組成物中の多孔粒子による)空気の取り込みの発生を低減することができる.液体界面活性剤としては、たとえば、Tween(登録商標)80(Sigma−Aldrich製)およびCremophor EL(登録商標)(Sigma−Aldrich製)が挙げられる。粉末界面活性剤としては、たとえば、Pluronic(登録商標)127NF(BASF製)が挙げられる。ある実施形態において、組成物は0.05重量%〜1重量%(たとえば、0.1重量%,0.5重量%)の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、キャリア流体に粒子との混合前に加えてもよいし、および/またはキャリア流体と混合する前に粒子に加えてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、被術者に送達される粒子のうち(たとえば、組成物中)、大部分(たとえば、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上)の粒子は、5000μm以下の最大寸法(たとえば、4,500μm以下、4,000μm以下、3,500μm以下、3,000μm以下、2,500μm以下;2,000μm以下;1,500μm以下;1200μm以下;1,150μm以下;1,100μm以下;1,050μm以下;1,000μm以下;900μm以下;700μm以下;500μm以下;400μm以下;300μm以下;100μm以下;50μm以下;10μm以下;5μm以下)および/または1μm以上(たとえば、5μm以上;10μm以上;50μm以上;100μm以上;300μm以上;400μm以上;500μm以上;700μm以上;900μm以上;1,000μm以上;1,050μm以上;1,100μm以上;1,150μm以上;1,200μm以上;1,500μm以上;2,000μm以上;2,500μm以上)を有してもよい。いくつかの実施形態において、被術者に送達される粒子のうち、大部分の粒子は、100μm未満(たとえば、50μm未満)の最大寸法を有していてもよい。
【0046】
ある実施形態において、被術者に送達される粒子(たとえば、組成物中)は、算術平均5000μm以下の最大寸法(たとえば、4,500μm以下、4,000μm以下、3,500μm以下、3,000μm以下、2,500μm以下;2,000μm以下;1,500μm以下;1,200μm以下;1,150μm以下;1,100μm以下;1,050μm以下;1,000μm以下;900μm以下;700μm以下;500μm以下;400μm以下;300μm以下;100μm以下;50μm以下;10μm以下;5μm以下)および/または1μm以上(たとえば、5μm以上;10μm以上;50μm以上;100μm以上;300μm以上;400μm以上;500μm以上;700μm以上;900μm以上;1,000μm以上;1,050μm以上;1,100μm以上;1,150μm以上;1,200μm以上;1,500μm以上;2,000μm以上;2,500μm以上)を有していてもよい。いくつかの実施形態において、被術者に送達される粒子は、100μm未満(たとえば、50μm未満)の算術平均最大寸法を有していてもよい。
【0047】
被術者に送達される粒子の算術平均最大寸法に対する例示的な範囲としては、100μm〜500μm;100μm〜300μm;300μm〜500μm;500μm〜700μm;700μm〜900μm;900μm〜1,200μm;および1,000μm〜1,200μmが挙げられる。一般に、被術者に送達される粒子(たとえば、組成物中)は、個々の粒子の直径の範囲の略中間に、20%以下(たとえば、15%以下、10%以下)の分散で、算術平均最大寸法を有しうる。
【0048】
いくつかの実施形態において、被術者に送達される粒子(たとえば、組成物中)の算術平均最大寸法は、治療すべき個々の状態に応じて変えることができる。一例として、肝腫瘍を塞栓するために粒子が用いられるある実施形態において、被術者に送達される粒子は、500μm以下(たとえば、100μm〜300μm;300μm〜500μm)の算術平均最大寸法を有していてもよい。別の例として、子宮筋腫を塞栓するために粒子が用いられるいくつかの実施形態において、被術者に送達される粒子は、1,200μm以下(たとえば、500μm〜700μm;700μm〜900μm;900μm〜1,200μm)の算術平均最大寸法を有していてもよい。さらなる例として、神経系の状態(たとえば、脳腫瘍)および/または脳障害(たとえば、脳内出血)を治療するために、粒子が用いられるある実施形態において、被術者に送達される粒子は、100μm未満(たとえば、50μm未満)の算術平均最大寸法を有していてもよい。さらなる例として、肺の状態を治療するために、粒子が用いられるある実施形態において、被術者に送達される粒子は、100μm未満(たとえば、50μm未満)の算術平均最大寸法を有していてもよい。別の例として、甲状腺癌を治療するために、粒子が用いられるある実施形態において、粒子は、1,200μm以下(たとえば、1,000μm〜1,200μm)の算術平均最大寸法を有していてもよい。さらなる例として、粒子が治療剤送達のためだけに用いられるいくつかの実施形態において、粒子は、100μm未満(たとえば、50μm未満、10μm未満、5μm未満)の算術平均最大寸法を有していてもよい。
【0049】
粒子群の算術平均最大寸法は、上述のベックマン・コールター迅速VUE画像解析装置バージョン2.06(ベックマン・コールター社、フロリダ州マイアミ)を用いて決定することができる。粒子群の算術平均最大寸法(たとえば、組成物中)は、その群中のすべての粒子の直径の合計を、当該群中の粒子の数で割ることによって決定することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、粒子100は孔を有していてもよい。たとえば、ポリマーは孔が存在するマトリックスを形成してもよい。これに加えて、またはこれに代えて、粒子100は、1つ以上の空隙を有していてもよい。たとえば、粒子100は、ポリマーが1つ以上の空隙を囲むように形成されてもよい。
【0051】
孔は少なくとも0,01μm(たとえば、少なくとも0.05μm、少なくとも0.1μm、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも25μm、少なくとも30μm、少なくとも35μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm)、および/または多くとも300μm(たとえば、多くとも250μm、多くとも200μm、多くとも150μm、多くとも100μm、多くとも50μm、多くとも35μm、多くとも30μm、多くとも25μm、多くとも20μm、多くとも15μm、多くとも10μm、多くとも5μm、多くとも1μm、多くとも0.5μm、多くとも0.1μm、多くとも0.05μm)の最大寸法を有する。
【0052】
空隙は、少なくとも1μm(たとえば、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも25μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも250μm、少なくとも500μm、少なくとも750μm)および/または多くとも1000μm(たとえば、多くとも750μm、多くとも500μm、多くとも250μm、多くとも100μm、多くとも50μm、多くとも25μm、多くとも10μm、多くとも5μm)の最大寸法を有する。いくつかの実施形態(たとえば、塞栓が望まれるかどうかに関係なく、治療剤を体腔内に送達するために粒子が用いられる場合)において、粒子は治療剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、治療剤は、粒子の表面上、および/ま
たは粒子の孔の中に存在していてもよい。随意で、治療剤は、化学種および/またはマトリックスポリマーに結合または会合させてもよい。そのような結合の例としては、イオン結合、共有結合、分子間力結合または治療剤と化学種の間の溶解性が含まれる。
【0053】
治療剤は、たとえば、遺伝子治療剤、非遺伝子治療剤、および細胞を含み、負に荷電、正に荷電、両性または中性のいずれであってもよい。治療剤は、たとえば、生理的状態を治療するのに生物学的に活性な材料;薬学的に活性な化合物;タンパク質;遺伝子治療;担体ベクターを有するまたは有しない核酸(たとえば、組換え型核酸、DNA(たとえば、裸のDNA)、cDNA、RNA、ゲノムDNA、そして、ペプチド標的配列、アンチセンス核酸(RNA,DNA)が付加されていてもよい非感染性のベクター中またはウィルスベクター中のcDNAまたはRNA);オリゴヌクレオチド;遺伝子/ベクター系(たとえば、核酸の取り込みおよび発現を可能にする任意のもの);DNAキメラ(たとえば遺伝子配列を含み、膜転位配列(MTS)や単純ヘルペスウィルス1型(VP22)などのフェリータンパク質をコードするもの);圧縮剤(たとえば、DNA圧縮剤);ウィルス;ポリマー;ヒアルロン酸;タンパク質(たとえば、リボザイム、アスパラギナーゼなどの酵素);免疫学的種;非ステロイド抗炎症薬;経口避妊薬;プロゲスチン;ゴナドトロフィン放出ホルモンアゴニスト;化学治療剤;および放射性種(たとえば、放射性同位体、放射性分子)であってよい。放射性種としては、たとえば、イットリウム(90Y)、ホルミウム(166Ho)、リン(32P)、ルテニウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、サマリウム(153Sm)、イリジウム(192Ir)、ロジウム(105Rh)、ヨウ素(131Iまたは125I)、インジウム(111In)、テクネチウム(99Tc)、リン(32P)、硫黄(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、クロム(51Cr)、塩素(36Cl)、コバルト(57Coまたは58Co)、鉄(59Fe)、セレン(75Se)、および/またはガリウム(67Ga)が挙げられる。いくつかの実施形態において、イットリウム(90Y)、ルテニウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、ホルミウム(166Ho)、サマリウム(153Sm)、イリジウム(192Ir)、および/またはロジウム(105Rh)を治療剤として用いてもよい。ある実施形態において、イットリウム(90Y)、ルテニウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、ホルミウム(166Ho)、サマリウム(153Sm)、イリジウム(192Ir)、ロジウム(105Rh)、ヨウ素(131Iまたは125I)、インジウム(111In)、テクネチウム(99Tc)、リン(32P)、炭素(14C)、および/またはトリチウム(H)を(たとえば、診断のための)放射性標識として用いることができる。いくつかの実施形態において、放射性種は、1つ以上の放射性同位体を含む抗体、たとえば、放射性標識された抗体を含む放射性分子であってもよい。抗体に結合させることのできる放射性同位体としては、たとえば、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテニウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、インジウム(111In)、テクネチウム(99Tc)、リン(32P)、ロジウム(105Rh)、硫黄(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、クロム(51Cr)、塩素(36Cl)、コバルト(57Coまたは58Co)、鉄(59Fe)、セレン(75Se)、および/またはガリウム(67Ga)が挙げられる。抗体としては、たとえば、RS7,Mov18,MN−14 IgG,CC49,COL−1,mAB A33,NP−4 F(ab)2抗−CEA,抗−PSMA,ChL6,m−170、またはCD20、CD74もしくはCD52抗原に対する抗体を含むモノクローナルおよびポリクローナル抗体が挙げられる。放射性同位体/抗体の対としては、たとえば、m−170MABと90Yが挙げられる。市販の放射性同位
体/抗体の対としては、たとえば、Zevalin(登録商標)(IDEC pharmaceuticals、カリフォルニア州サンディエゴ)とBexxar(登録商標)(Corixa corporation、ワシントン州シアトル)が挙げられる。放射性同位体/抗体の対のさらに別の例は、J.Nucl.Med.2003、4月:44(4):632〜640頁に記載されている。
【0054】
治療剤としては、限定はされないが、たとえば、抗血栓剤;血栓形成剤;凝固を促進する薬剤;凝固を阻害する薬剤;抗酸化剤;血管形成剤;抗血管形成剤および因子;抗増殖剤(たとえば、ラパマイシンなどの、平滑筋細胞の増殖を素子することのできる薬剤);カルシウム流入阻害剤(たとえば、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン);標的因子(たとえば、多糖、炭水化物);血管系にはり付くことのできる薬剤(たとえば、荷電部分)(たとえば、ゼラチン、シトシン、コラーゲン、RGDペプチドなどの生体活性基を含むポリマー);および、細胞死から保護するサバイバル遺伝子(たとえば、抗アポトーシスBcl−2ファミリー因子およびAktキナーゼ)が挙げられる。
【0055】
非遺伝子治療剤としては、たとえば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの抗血栓形成剤;デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、アセチルサリチル酸、スルファサラジンおよびメサラミンなどの抗炎症剤;パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、メトトレキサート、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、アンジオペプチン、平滑筋細胞の増殖を阻止することのできるモノクローナル抗体、およびチミジンキナーゼ阻害剤などの、抗腫瘍/抗増殖/抗分裂剤;リドカイン、ブピバカインおよびロピバカインなどの麻酔剤;D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤およびダニ抗血小板因子またはペプチドなどの抗凝固剤;成長因子などの血管細胞成長促進剤;転写活性化因子および翻訳プロモータ;成長因子阻害剤(たとえば、PDGF阻害剤トラピジル)、成長因子受容体拮抗剤、転写受容体、翻訳受容体、複製阻害剤、阻害的抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒からなる二官能性分子、抗体と細胞毒からなる二官能性分子などの血管細胞成長阻害剤;タンパク質キナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤(たとえば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);プロスタサイクリンアナログ;コレステロール降下剤;アンジオポエチン;トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシドおよびニトロフラントインなどの抗菌剤;細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤および細胞増殖影響因子;血管拡張剤;および内在性血管作用機構を干渉する薬剤が挙げられる。
【0056】
遺伝子治療剤としては、たとえば、アンチセンスDNAおよびRNA;欠陥または欠失内在性分子を置換するためのアンチセンスRNA、tRNAまたはrRNAをコードするDNA、酸性および塩基性線維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、表皮成長因子、形質転換成長因子αおよびβ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍新生因子α、肝細胞成長因子、およびインスリン様成長因子などの成長因子、CD阻害剤を含む細胞周期阻害剤、チミジンキナーゼ(“TK”)および細胞の増殖を妨げるのに有用な他の薬剤、およびBMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6(Vgr1)、BMP7(OP1)、BMP8、BMP9、BMP10,BMP11,BMP12、BMP13、BMP14、BMP15、およびBMP16を含む骨形態形成タンパク質(“BMP”)を含む血管新生因子が挙げられる。現時点で好ましいBMPは、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6およびBMP7のいずれかである。これらの二量体タンパク質は、ホモ二量体、ヘテロ二量体、またはその組み合わせ、単独または他の分子とともに提供されるものであってよい。これに代えて、またはこれに加えて、BMPの上流また
は下流効果を誘発することのできる分子を提供してもよい。そのような分子としては、「ヘッジホッグ」タンパク質またはそれらをコードするDNAの任意のものが含まれる。遺伝子治療剤の送達のための重要なベクターとしては、プラスミド;アデノウィルス(AV)、アデノ関連ウィルス(AAV)およびレンチウィルスなどのウィルスベクター;および脂質、リポソームおよびカチオン性脂質などの非ウィルスベクターが挙げられる。
【0057】
細胞は、幹細胞を含むヒト起源(自己または同種)の細胞、または動物起源(異種)からの細胞を含み、これらは、目的のタンパク質を送達するために必要である場合には遺伝子操作されてもよい。
【0058】
上記および多数の追加の治療剤のうちのいくつかは、参照により本願に組み込むKunzらの、米国特許第5,733,925号に記載されている。この特許中に開示されている治療剤は、以下のものを含んでいる。
【0059】
「細胞増殖抑制剤」(すなわち、たとえば、DNAの複製を阻害するか、紡錘糸の形成を阻害することにより、増殖中の細胞の細胞分化を妨害または遅延させる薬剤)。細胞増殖抑制剤の代表的な例としては、変性毒素、メトトレキサート、アドリアマイシン、放射性ヌクレオチド(たとえば、Fritzbergらの、米国特許第4,897,255号に記載されているような)、スタウロスポリン、以下の式のタンパク質キナーゼC阻害剤を含むタンパク質キナーゼ阻害剤、
【0060】
【化5】

【0061】
ならびに、以下の一般構造のうちの1つを有するジインドールアルカロイド、
【0062】
【化6】

【0063】
ならびに、タモキシフェンおよびその機能的均等物の誘導体(たとえば、プラスミン、ヘパリン、リポプロテインLp(a)または糖タンパク質アポリポプロテインの濃度を低下させるか、不活性化することのできる化合物)を含む、TGF−βの産生または活性化の刺激剤、TGF−βまたはその機能的均等物、誘導体またはアナログ、スラミン、酸化窒素放出化合物(たとえば、ニトログリセリン)またはそのアナログまたは機能的均等物、パクリタキセルまたはそのアナログ(たとえば、タキソテレ)、特定酵素の阻害剤(核酵素DNAトポイソメラーゼIIおよびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、アデニルグアニルシクラーゼ)、スーパーオキシドジスムターゼ阻害剤、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、逆転写酵素、平滑筋細胞増殖などを抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。「細胞増殖抑制剤」の別の例としては、(たとえば、細胞外マトリックスの存在下において)平滑筋細胞または周皮細胞の増殖を誘発しうる細胞性因子のペプチドまたは模倣阻害剤(すなわち、拮抗剤、アゴニスト、または競争
または非競争阻害剤)、たとえば、サイトカイン(たとえば、IL−1などのインターロイキン)、成長因子(たとえば、FDGF、TGF−αまたはβ、腫瘍新生因子、平滑筋および内皮由来の成長因子、すなわち、エンドセリン、FGF)、ホーミング受容体(たとえば、血小板または白血球に対する)、および細胞外マトリックス受容体(たとえば、インテグリン)が挙げられる。平滑筋増殖に対する細胞増殖抑制剤のこのカテゴリ内の有用な治療剤の代表例としては、ヘパリン、トリアゾロピリミジン(トラピジル;PDG拮抗剤)、ロバスタチン、およびプロスタグランジンE1またはI2のサブフラグメントが挙げられる。
【0064】
細胞骨格阻害剤または代謝阻害剤などの、細胞体積(すなわち、細胞によって占められる組織体積)の細胞内増加を阻害する薬剤。細胞骨格阻害剤の代表的な例としては、細胞内の微小管およびミクロフィラメントネットワークに作用するコルチシン、ビンブラスチン、サイトカラシン、パクリタキセルなどが挙げられる。代謝阻害剤の代表的な例としては、スタウロスポリン、トリコテセン、および変成ジフテリアおよびリシン毒、シュードモナス外毒素などが挙げられる。トリコテセンには、単純トリコテセン(すなわち、中心セスキテルペノイド構造しか有しないもの)および大環状トリコテセン(すなわち、追加の大環状環を有するもの)、たとえば、ベルカリンA、ベルカリンB、ベルカリンJ(サトラトキシンC)、ロリジンA、ロリジンC、ロリジンD、ロリジンE(サトラトキシンD)、ロリジンHを含むベルカリンまたはロリジンがある。
【0065】
細胞性タンパク質合成および/または細胞外マトリックスの分泌または組織化を阻止する阻害剤として作用する薬剤(すなわち、「抗マトリックス剤」)。「抗マトリックス剤」の代表的な例としては、マトリックス合成、合成、分泌および集合、有機的架橋(たとえば、トランスグルタミナーゼ架橋コラーゲン)、およびマトリックスの再形成(たとえば、創傷治癒後)の阻害剤(すなわち、アゴニストおよび拮抗剤および競争および非競争阻害剤)が挙げられる。抗マトリックス剤のこのカテゴリ内の有用な治療剤の代表的な例としては、細胞外マトリックスの分泌の阻害剤であるコルチシンが挙げられる。別の例としては、血管形成術後に平滑筋細胞増殖を縮小するだけでなく、組織化および/または安定化を行うこともできることの証拠も存在する、タモキシフェンが挙げられる。有機化または安定化は、血管の平滑筋細胞が病理学的に増殖する形態に成熟するのを阻止することが原因と考えられる。
【0066】
細胞、とりわけ癌細胞に対して細胞毒性の薬剤。好ましい薬剤はロリジンA、シュードモナス外毒素など、またはそのアナログまたは機能的均等物である。放射性同位体なども含めて、多数のこのような治療剤が同定されており、当該技術分野において知られている。さらに、細胞毒部分の同定のためのプロトコールが知られており、当該技術分野においては常套的に用いられている。
【0067】
多数の上記の治療薬およびいくつかの他のものが、血管治療レジメンの候補として、たとえば、再狭窄をターゲットとした薬剤として同定されている。このような薬剤は、以下に示すものの1つ以上を含む。ベンゾチアザピン(たとえば、ジルチアゼム、クレンチアゼム)を含むカルシウムチャンネル阻害剤;ジヒドロピリジン(たとえば、ニフェジピン、アムロジピン、ニカルジピン);フェニルアルキルアミン(たとえば、ベラパミル);S−HT拮抗剤(たとえば、ケタンセリン、ナフチドロフリル)および5−HT取り込み阻害剤(たとえば、フルオキセチン)を含むセロトニン経路調節剤;ホスホジエステラーゼ阻害剤(たとえば、シロスタゾール、ジピリダモール)、アデニレート/グアニレートシクラーゼ刺激剤(たとえば、フォルスコリン)、およびアデノシンアナログを含む環状ヌクレオチド経路剤;α−拮抗剤(たとえば、プラゾシン、ブナゾシン)、β−拮抗剤(たとえば、プロプラノール)、およびα/β−拮抗剤(たとえば、ラベタロール、カルベジロール)を含むカテコールアミン調節剤;エンドセリン受容体拮抗剤;有機硝酸塩/亜
硝酸塩(たとえば、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、亜硝酸アミル)、無機ニトロソ化合物(たとえば、ニトロプルシドナトリウム)、シドノニミン(たとえば、モルシドミン、リンシドミン)、ノノエート(たとえば、ジアゼニウムジオレート、アルカンジアミンのNOアダクト)、低分子量化合物(たとえば、カプトプリル、グルタチオンおよびN−アセチルペニシラミンのS−ニトロソ誘導体)および高分子量化合物(たとえば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖、合成ポリマー/オリゴマーおよび天然のポリマー/オリゴマーのS−ニトロソ誘導体)を含むS−ニトロソ化合物、C−ニトロソ−、O−ニトロソ−およびN−ニトロソ化合物、およびL−アルギニンを含む酸化窒素供与体/放出分子;ACE阻害剤(たとえば、シラザプリル、フォシノプリル、エナラプリル);ATII−受容体拮抗剤(たとえば、サララシン、ロサルチン);血小板付着阻害剤(たとえば、アルブミン、ポリエチレンオキサイド);アスピリンおよびチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)およびGPIib/IIIa阻害剤(たとえば、アブシキシマブ、エピチフィバチド、チロフィバン、インテグリリン)を含む血小板凝集阻害剤;ヘパリノイド(たとえば、ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストラン、β−シクロデキストランテトラデカサルフェート)、トロンビン阻害剤(たとえば、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D−phe−L−プロピル−L−arg−クロロメチルケトン)、アルガトロバン)、Fxa阻害剤(たとえば、アンチスタチン、TAP(ダニ抗凝固ペプチド))、ビタミンK阻害剤(たとえば、ワルファリン)、および活性化Cタンパク質を含む凝固経路調節剤;シクロオキシゲナーゼ経路阻害剤(たとえば、アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、スルフィンピラゾン);天然および合成のコルチコステロイド(たとえば、デキサメタゾン、プレドニソロン、メトプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン);リポキシゲナーゼ経路阻害剤(たとえば、ノルジヒドログアヤレチック酸、コーヒー酸);ロイコトリエン受容体拮抗剤;E−およびP−セレクチンの拮抗剤;VCAM−1およびICAM−1相互作用の阻害剤;PGE1およびPGI2などのプロスタグランジンを含むプロスタグランジンとそのアナログ;プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリンアナログ(たとえば、シプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロスト、ベラプロスト);マクロファージ活性化防止剤(たとえば、ビスホスフォネート);HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(たとえば、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチン、セリバスタチン);魚油およびオメガ−3−脂肪酸;フリーラジカルスカベンジャ/抗酸化剤(たとえば、プロブコール、ビタミンCおよびエブセレン、レチノイン酸(たとえば、トランス−レチノイン酸)、SOD模倣体);FGF経路剤(たとえば、bFGF抗体、キメラ融合タンパク質)、PDGF受容体拮抗剤(たとえば、トラピジル)、IGF経路剤(たとえば、アンジオペプチンやオクレオチドなどのソマトスタチンアナログ)、ポリアニオン系剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、およびTGF−β抗体などのTGF−β経路剤、EGF経路剤(たとえば、EGF抗体、受容体拮抗剤、キメラ融合タンパク質)、TNF−α経路剤(たとえば、サリドマイドおよびそのアナログ)、トロンボキサンA2(TXA2)経路調節剤(たとえば、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン、リドグレル)、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(たとえば、チルホスチン、ゲニステイン、およびキノキサリン誘導体)を含む様々な成長因子に影響を与える薬剤;MMP経路阻害剤(たとえば、マリマスタット、イロマスタット、メタスタット)、および細胞運動阻害剤(たとえば、サイトカラシンB);プリンアナログ(たとえば、6−メルカプトプリン)、ピリミジンアナログ(たとえば、シタラビンおよび5−フルオロウラシル)およびメトトレキセート、窒素マスタード、スルホン酸アルキル、エチレンイミン、抗生物質(たとえば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、ブレオマイシン、ミトマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、アミノグリコシド、キノロン、ポリミキシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リノマイシン、スルホンアミド、およびそれらのホモログ、アナログ、断片、誘導体、および薬学的塩)、ニトロソウレア(たとえば、カルムスチン、ロムスチン)およびシスプラチンなどの代謝拮抗剤、微小管の動力学に影響を及ぼす薬剤(たとえば、ビ
ンブラスチン、ビンクリスチン、コルチシン、パクリタキセル、エポチロン)、カスパーゼ活性化剤、プロテアソーム阻害剤、血管形成阻害剤(たとえば、エンドスタチン、アンジオスタチンおよびスクアラミン)、およびラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドールおよびスラミンを含む抗増殖/抗腫瘍剤;マトリックス堆積/有機化経路阻害剤(たとえば、ハロフギノンまたは他のキナゾリノン誘導体、トラニラスト);内皮活性化易化剤(たとえば、VEGFおよびRGDペプチド);および血液レオロジー調節剤(たとえば、ペントキシフィリン)。
【0068】
治療剤の他の例としては、ドセタキセルなどの抗腫瘍剤、アルキル化剤(たとえば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、植物アルカロイド(たとえば、エトポシド)、無機イオン(たとえば、シスプラチン)、生体反応調節剤(たとえば、インターフェロン)、およびホルモン(たとえば、タモキシフェン、フルタミド)、ならびに、それらのホモログ、アナログ、断片、誘導体および薬学的塩が挙げられる。
【0069】
治療剤の別の例としては、ミトラマイシン、シクロスポリンおよびプリカマイシンなどの有機可溶性治療剤が挙げられる。治療剤のさらなる例としては、薬学的に活性な化合物、アンチセンス遺伝子、ウィルス、リポソームおよびカチオン性ポリマー(たとえば、用途に応じて選択される)、生体活性溶質(たとえば、ヘパリン)、プロスタグランジン、プロストサイクリン、L−アルギニン、酸化窒素(NO)供与体(たとえば、リシドミン、モルシドミン、NO−タンパク質アダクト、NO−多糖アダクト、ポリマーまたはオリゴマーNOアダクトまたは化学複合体)、エノキサパリン、ワルファリンナトリウム、ジクマロール、インターフェロン、インターロイキン、チマーゼ阻害剤(たとえば、トラニラスト)、ACE阻害剤(たとえば、エナラプリル)、セロトニン拮抗剤、5−HT取り込み阻害剤、およびβ遮断薬、および他の抗腫瘍および/または化学治療薬、たとえば、BiCNU、ブスルファン、カルボプラチナム、シスプラチナム、シトキサン、DTlC、フルダラビン、ミトキサントロン、ベルバン、VP−16、ヘルセプチン、ロイスタチン、ナベルビン、リツキサン、およびタキソテレが挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態において、治療剤は親水性であってもよい。親水性治療剤としては、たとえば、ドキソルビシン塩酸塩が挙げられる。ある実施形態において、治療剤は疎水性であってもよい。疎水性治療剤としては、たとえば、パクリタキセル、シスプラチン、タモキシフェン、およびドキソルビシン塩基が挙げられる。いくつかの実施形態において、治療剤は親油性であってもよい。親油性治療剤としては、たとえば、パクリタキセル、他のタキサン誘導体、デキサメタゾン、他のステロイド系治療剤が挙げられる。
【0071】
治療剤は、たとえば、DiMatteo(米国特許出願第2004/0076582号、2004年4月22日発行、名称「薬剤送達粒子);Schwarzら(米国特許第6,368,658号);Baiserら(米国特許出願第11/311,617号、2005年12月19日提出、名称「コイル」);およびSong(米国特許出願第11/355,301号、2006年2月15日提出、名称「ブロックコポリマー粒子」)中に記載されており、これらのすべては参照により本願に組み込む。ある実施形態において、治療剤を含むことに加えて、または代えて、粒子100は、放射線不透過材料、磁気共鳴映像法によって可視化される材料(MRI−可視材料)、強磁性材料、および/または造影剤(たとえば、超音波造影剤)のうちの1つ以上を含んでいてもよい。これらの材料は、たとえば、化学種(モノマー、オリゴマー、ポリマー)に結合されていてもよい。放射線不透過材料、MRI可視材料、強磁性材料、および造影剤は、たとえば、Riouxら(米国特許出願第2004/0101564号,2004年5月27日発行、名称「塞栓術」)に記載されており、これを参照により本願に組み込む。
【0072】
ある実施形態において、粒子はコーティングを含んでいてもよい。たとえば、図3は、マトリックス104、孔106およびコーティング310を有する粒子300を示している。コーティング310は、たとえば、マトリックス304中のポリマーとは異なるポリマー(たとえば、アルギン酸塩)からなるものであってよい。コーティング310は、たとえば、粒子300からの治療剤の放出を調節することができる、および/または、粒子300の内部領域に対する保護を与える(たとえば、粒子300を標的部位に送達する間)ことができる。ある実施形態において、コーティング310は、粒子300が標的部位に送達された際に侵食および/または吸収されうる生体侵食性および/または生体吸収性材料からなるものであってよい。このことにより、たとえば、粒子300の内部領域は、粒子300が一旦標的部位に達すると、該標的部位に治療剤を送達することができるようになる。生体侵食性材料は、たとえば、多糖(たとえば、アルギン酸塩);多糖誘導体;無機イオン性塩;水溶性ポリマー(たとえば、架橋されていないポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール);生分解性ポリDL−ラクチド−ポリエチレングリコール(PELA);ハイドロゲル(たとえば、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース);ポリエチレングリコール(PEG);キトサン;ポリエステル(たとえば、ポリカプロラクトン);ポリ(オルトエステル);ポリ無水物;ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(たとえば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール酸));ポリ(乳酸)(PLA);ポリ(グリコール酸)(PGA);またはその組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、コーティング310は、ハイドロゲル(たとえば、ポリアクリルアミドコアクリル酸)などの膨潤性材料からなるものであってもよい。膨潤性材料は、たとえば、pH、温度、および/または塩の変更によって膨潤させることができる。粒子300が塞栓術において用いられるある実施形態において、コーティング310は、標的部位において膨潤することにより粒子300による標的部位の閉塞を増進することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、コーティングは多孔性であってもよい。コーティングは、たとえば、上記開示したポリマーの1つ以上からなるものであってよい。
ある実施形態において、粒子は、1つ以上の治療剤(たとえば、比較的高濃度の1つ以上の治療剤)を含むコーティングを含んでいてもよい。1つ以上の治療剤は、粒子の内部領域中に装填してもよい。こうして、粒子の表面が初期用量の治療剤を放出し、その後、粒子の内部領域が治療剤をバースト放出するようにできる。粒子表面上の治療剤は、粒子の内部領域中の治療剤と同じであっても異なっていてもよい。粒子表面上の治療剤は、たとえば、治療剤の高濃度溶液に粒子を晒すことによって、施すことができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、治療剤でコートした粒子は、治療剤の表面の上に別のコーティングを含んでいてもよい(たとえば、粒子が投与された場合に侵食される生体侵食性ポリマー)。このコーティングは、粒子からの治療剤の放出速度の制御を助ける。たとえば、コーティングは、多孔性膜の形態であってもよい。コーティングは、治療剤放出の初期バーストを遅らせることができる。ある実施形態において、コーティングは、粒子に対して浸漬および/または噴射を行うことによって施すことができる。生体侵食性ポリマーは、多糖(たとえば、アルギン酸塩)であってもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、無機イオン塩であってよい。生体侵食性コーティング材料の他の例としては、多糖誘導体、水溶性ポリマー(たとえば、架橋されていないポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール)、生分解性ポリDL−ラクチド−ポリエチレングリコール(PELA)、ハイドロゲル(たとえば、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル(たとえば、ポリカプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(たとえば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール酸));およびその組み合わせが挙げられる。コーティングは、治療剤を含んでいてもよいし、実質的に治療剤を含まなくてもよい
。コーティング中の治療剤は、粒子の表面層上および/または粒子内の薬剤と同じであっても異なっていてもよい。高濃度の治療剤が粒子表面に施されていない実施形態において、ポリマーコーティング(たとえば、生体侵食性コーティング)を粒子表面に施すことができる。コーティングは、たとえば、DiMatteoら(米国特許出願第US2004/0076582号、2004年4月22日発行、名称「薬剤送達粒子」)に記載されており、この文献は参照により本願に組み込む。
【0075】
一般に、単独乳化プロセスなどの乳化プロセスは、液滴発生器を用いてまたは用いずに行うことができる。一例として、液滴発生器を伴わないプロセスにおいて、水と混和性のない有機溶媒中のポリマー溶液を、界面活性剤を含む水性溶液中に加えて、小粒子を自発的に形成させることができる。別の例として、図4A〜4Cは、たとえば、ビニルアルコールモノマー単位およびビニルホルマールモノマー単位を有する粒子を作成するために用いることのできる単独乳化プロセスを示す。図4A〜4Cに示すように、液滴発生器500(たとえば、ピペット、針)は、有機溶媒と、治療剤と、ビニルアルコールモノマー単位およびビニルホルマールモノマー単位を含むポリマーとを含む有機溶液の液滴510を形成する。有機溶媒としては、たとえば、氷酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。ある実施形態において、有機溶媒は、極性治療剤といくつかの非極性治療剤のい両方を溶解することのできる非プロトン性極性溶媒(たとえば、DMF)であってよい。いくつかの実施形態において、有機溶液は、少なくとも約5重量%および/または多くとも約100重量%の有機溶媒を含んでいてもよい。一般には、有機溶液中のポリマーの濃度が増大すると、該有機溶液から形成される粒子の大きさおよび/または質量もまた増加しうる。典型的には、液滴510を形成するために用いられる有機溶液中の有機溶媒の体積が減少すると、粒子の形成速度が増加する。一般に、用いられる有機溶媒の体積が減少するにつれ、粒子形成の速度が増加しうる。特定の理論に拘束されることはないが、これは、有機溶媒が、粒子形成プロセスのあいだに液滴510からより迅速に蒸発できるためと考えられる。
【0076】
形成後、液滴510は、液滴発生器500から、水(たとえば、約50ミリリットルから約100ミリリットルの水)および界面活性剤を含む水性溶液を入れた容器520に落下する。界面活性剤としては、たとえば、ラウリル硫酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)(PVP)、およびポリソルベート(たとえば、Tween(登録商標)20、Tweeen(登録商標)80)が挙げられる。水性溶液中の界面活性剤の濃度は、少なくとも約0.1%(w/v)、および/または多くとも約20%(w/v)であってよい。たとえば、いくつかの実施形態において、溶液は、約1%(w/v)ラウリル硫酸を含んでいてもよい。一般に、水性溶液中の界面活性剤の濃度が増加すると、液滴発生プロセスで作られる粒子の真球度、および粒子形成プロセスの間の粒子の形成速度も増加しうる。いくつかの実施形態において、水性溶液は、低くともおよそ凍結温度および/または高くとも約100℃の温度とすることができる。典型的には、水性溶液の温度が増加すると、粒子(比較的剛性の粒子)の形成速度も増加しうる。
【0077】
図4Bが示すように、液滴510が容器520中に落下した後、攪拌機530を用いて溶液を混合(均質化)する。いくつかの実施形態において、溶液は、少なくとも約1分間および/または多くとも約24時間のあいだ混合してもよい。ある実施形態において、混合は、低くともおよそ凍結温度および/または高くとも約100℃の温度で行うことができる。混合により、溶媒中に懸濁された粒子100を含む懸濁液540が得られる(図4C)。
【0078】
粒子100は、形成後、たとえば、濾過(たとえば、滴下漏斗、ろ紙および/または金網を通した)、遠心分離とその後の上清の除去、および/またはデカンテーションにより
、溶媒から分離される。その後、粒子100を(たとえば、蒸発により、真空乾燥により、風乾により)乾燥させる。いくつかの実施形態において、乾燥方法を組み合わせて用いてもよい。ある実施形態において、粒子100は形成後、生理食塩水などのキャリア流体中で保存してもよい。いくつかの実施形態において、粒子100は、脱イオン水中に保存してもよい。このようなプロセスの例が、たとえば、参照により本願に組み込む、米国特許出願[代理人明細書:01194−495001]に記載されている。
【0079】
ピペットと針とを粒子形成プロセス中で使用しうる液滴発生器の例として記載したが、いくつかの実施形態においては、他の種類の液滴発生器または液滴発生システムを粒子形成プロセスにおいて使用してもよい。たとえば、図5は、流量調整器600、粘度調整器605、液滴発生器610、および容器620を含む液滴発生器システム601を示す。流量調整器600は、溶液(たとえば、溶媒と、治療剤と、ビニルホルマールモノマー単位を含むポリマーとを含む溶液)を粘度調整器605に送達し、溶液はここで加熱により粘度を低下させてから、液滴発生器610へと送達される。その後、溶液は、液滴発生器610中のノズル内の口を通過して、溶液の液滴が形成される。そして、液滴は、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)などの界面活性剤を含んだ水性溶液を入れた溶液620に導入される。液滴発生器は、たとえば、Lanphereら(米国特許出願第2004/0096662号、2004年5月20日発行、名称「塞栓術」)およびDiCarloら(米国特許出願第11/111,511号、2005年4月21日提出、名称「粒子」)に記載されており、そのいずれも参照により本願に組み込む。
【0080】
ある実施形態について記載してきたが、他の実施形態も可能である。
別の例として、いくつかの実施形態において、粒子を組織のバルキング(bulking)に用いてもよい。一例として、粒子を体通路に隣接した組織中に配置(たとえば、注入)してもよい。粒子は、通路を狭めることによって嵩高さを与えて、組織がより容易に通路を圧迫できるようにする。粒子は、たとえば、経皮的、腹腔鏡下、および/またはカテーテルを通してなど、多様な方法によって組織内に配置することができる。ある実施形態において、組織内に空隙を形成し、粒子を該空隙内に配置してもよい。粒子組織バルキングは、たとえば、固有括約筋不全(ISD)、膀胱尿管逆流現象、胃食道逆流性疾患(GERD)、および/または声帯麻痺(たとえば、麻痺性発声困難の場合における声門能力を回復するため)を治療するために用いることができる。いくつかの実施形態において、粒子組織バルキングは、尿失禁および/または便失禁を治療するために用いることができる。粒子は、再建または化粧品用途(たとえば外科手術)などのための、軟組織欠損を充填および/または平滑化するためのグラフト材料または充填剤として用いてもよい。軟組織欠損用途の例としては、たとえば、口唇裂、瘢痕(たとえば、水疱瘡による陥没瘢痕または座瘡瘢痕)、脂肪吸引に起因する圧入、しわ(たとえば、眉間のしわ)、および薄い唇の軟組織増大などが挙げられる。組織バルキングは、たとえば、参照により本願に組み込む、Bourneら(米国特許出願第2003/0233150号、2003年12月18日発行、名称「組織治療」)に記載されている。
【0081】
さらなる例として、ある実施形態において、粒子は、外傷の治療、および/または創傷を埋めるために用いてもよい。いくつかの実施形態において、粒子は、1つ以上の殺菌剤および/または静菌剤を含んでいてもよい。
【0082】
さらなる例として、少なくとも1つのキャリア流体中に懸濁された粒子を含む組成物について記載したが、ある実施形態において、粒子はキャリア流体中に懸濁されていなくてもよい。たとえば、粒子だけをシリンジ内に収容して、組織切除術および/または組織バルキング術のあいだに、シリンジから組織中に注入するようにしてもよい。
【0083】
追加の例として、いくつかの実施形態において、異なる形状、大きさ、物理的性質、お
よび/または化学的性質を有する粒子を、施術(たとえば、塞栓術)中に一緒に用いてもよい。異なる粒子は、被術者の体内へ所定の順序または同時に送達することができる。ある実施形態において、異なる粒子の混合物をマルチルーメンカテーテルおよび/またはシリンジを用いて送達してもよい。いくつかの実施形態において、異なる形状および/またはサイズを有する粒子を、相乗的に相互作用できるようにして(たとえば、嵌め合いまたはかみ合わせによって)、よく充填された閉塞を形成し、これにより塞栓を増強することもできる。異なる形状、サイズ、物理的性質、および/または化学的性質を有した粒子、および、このような粒子を用いた塞栓法は、たとえば、Bellら(米国特許出願第2004/0091543号、2004年5月13日発行、名称「塞栓組成物」)およびDicarloら(米国特許出願第2005/0095428号、2005年5月5日発行、名称「塞栓組成物」)に記載されており、そのいずれも参照により本願に組み込む。
【0084】
さらなる例として、ポリマーを含む粒子が塞栓術のために用いられるいくつかの実施形態において、粒子は、(たとえばカプセル化された)1つ以上の塞栓剤、たとえば、硬化剤(たとえば、エタノール)、液体塞栓剤(たとえば、n−ブチル−シアノアクリレート)および/またはフィブリン剤を含んでいてもよい。他の塞栓剤は、標的部位における血流の制限を増強することができる。
【0085】
別の例として、いくつかの実施形態において、治療部位は、他の閉塞機器と組み合わせて粒子を用いることにより、閉塞してもよい。たとえば、粒子は、コイルと組み合わせて用いてもよい。コイルは、たとえば、Elliottら(米国特許出願第11/000,741号、2004年12月1日に提出、名称「塞栓コイル」)およびBtriserら(米国特許出願第11/311,617号、2005年12月19日提出、名称「コイル」)に記載されており、そのいずれも参照により本願に組み込む。ある実施形態において、粒子は、1つ以上のゲルと組み合わせて用いてもよい。ゲルは、たとえば、参照により本願に組み込む、Richardら(米国特許出願2006/0045900号、2006年3月2日発行、名称「塞栓術」)に記載されている。被術者の体内の標的部位を治療するために粒子と組み合わせて用いることのできる材料のさらなる例としては、ゲルフォーム、糊、オイル、およびアルコールが挙げられる。
【0086】
さらなる例として、ポリマーを含む粒子について記載してきたが、いくつかの実施形態において、他の種類の医療機器および/または治療剤送達装置が上述のようなポリマーを含んでいてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、コイルが上述のようにポリマーを含んでいてもよい。ある実施形態において、コイルは、ポリマー流を水性溶液中に流し、所望の長さのコイルが形成されたところでポリマー流の流れを停止することによって形成することができる。コイルは、たとえば、たとえば、Elliottら(米国特許出願第11/000,741号、2004年12月1日提出、名称「塞栓コイル」)およびBtriserら(米国特許出願第11/311,617号、2005年12月19日提出、名称「コイル」)に記載されており、そのいずれも参照により本願に組み込む。ある実施形態において、スポンジ(たとえば、止血剤として、および/または外傷を軽減するために使用)が、上述のポリマーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、コイルおよび/またはスポンジは、再建手術(たとえば外傷および/または先天性欠陥を治療するための)において、バルキング剤および/または組織支持剤として使用してもよい。
【0087】
他の実施形態は請求項中に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルアルコールモノマー単位を含むポリマーと、
前記ポリマーに共有結合した化学種と、を含む粒子であって、
前記化学種は、ポリマー、オリゴマーおよびモノマーからなる群より選択され、前記粒子は5,000μm以下の最大寸法を有する粒子。
【請求項2】
前記ポリマーは5重量%以上のビニルアルコールモノマーを含む請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記ポリマーはビニルホルマールモノマー単位をさらに含む請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
前記ポリマーは5重量%以上のビニルホルマールモノマー単位を含む請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
前記ポリマーは酢酸ビニルモノマー単位をさらに含む請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
前記ポリマーはビニルホルマールモノマー単位をさらに含む請求項5に記載の粒子。
【請求項7】
前記ポリマーは孔を含む請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
前記化学種は少なくとも部分的に前記ポリマーの前記孔内に配されている請求項7に記載の粒子。
【請求項9】
前記化学種は前記ポリマーの表面に塗工されている請求項1に記載の粒子。
【請求項10】
前記粒子は孔を含む請求項9に記載の粒子。
【請求項11】
前記粒子は治療剤をさらに含む請求項1に記載の粒子。
【請求項12】
前記治療剤は前記化学種に結合されている請求項11に記載の粒子。
【請求項13】
前記ポリマーは架橋されている請求項1に記載の粒子。
【請求項14】
前記化学種はポリマーを含む請求項1に記載の粒子。
【請求項15】
前記ポリマーは、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸、およびポリジメチルアミノエチルアクリレートからなる群より選択される請求項14に記載の粒子。
【請求項16】
5重量%以上のビニルアルコールモノマー単位と5重量%以上のビニルホルマールモノマー単位とを含むポリマーと、
前記ポリマーに共有結合した化学種と、
治療剤と、を含む粒子であって、
前記化学種は、ポリマー、オリゴマー、およびモノマーからなる群より選択され、
前記粒子は5,000μm以下の最大寸法を有する粒子。
【請求項17】
前記治療剤は前記化学種に結合されている請求項16に記載の粒子。
【請求項18】
キャリア流体と、
前記キャリア流体中の複数の粒子と、を含む組成物であって、
前記複数の粒子のうちの少なくともいくつかは、5,000μm以下の最大寸法を有し、ビニルアルコールモノマー単位を含むポリマーと、前記ポリマーに共有結合した化学種とを含み、
前記化学種は、ポリマー、オリゴマー、およびモノマーからなる群より選択される組成物。
【請求項19】
前記ポリマーは孔を含み、前記化学種は少なくとも部分的に前記ポリマーの前記孔内に配されている請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記化学種は前記ポリマーの表面に塗工されている請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記粒子は治療剤をさらに含む請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記治療剤は前記化学種に結合されている請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ビニルアルコールモノマー単位を含むポリマーを含む粒子を形成する工程と、
前記ポリマーを、ポリマー、オリゴマー、およびモノマーからなる群より選択される化学種と接触させる工程と、
前記ポリマーおよび前記化学種に照射を行って前記化学種を前記ポリマーと結合させ、前記ポリマーに結合した前記化学種を含む粒子を形成する工程と、を含む方法であって、
前記ポリマーに結合した前記化学種を含む粒子は5,000μm以下の最大寸法を有する方法。
【請求項24】
前記粒子は孔を有し、前記化学種は少なくとも部分的に前記ポリマーの前記孔内に配されている請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化学種は前記ポリマーの表面に塗工されている請求項23に記載の方法。
【請求項26】
治療剤を、前記ポリマーに結合した前記化学種を含む粒子と接触させる工程をさらに含む請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記治療剤は前記化学種に結合されている請求項26に記載の方法。
【請求項28】
照射は電子ビーム照射およびガンマ線照射からなる群より選択される請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーおよび前記化学種に照射を行う工程によって前記ポリマーが架橋される請求項23に記載の方法。
【請求項30】
5重量%以上のビニルアルコールモノマー単位と5重量%以上のビニルホルマールモノマー単位とを含むポリマーを含む粒子を形成する工程と、
前記ポリマーを、ポリマー、オリゴマー、およびモノマーからなる群より選択される化学種と接触させる工程と、
前記ポリマーおよび前記化学種に照射を行って前記化学種を前記ポリマーと結合させ、前記ポリマーに結合した前記化学種を含む粒子を形成する工程と、
治療剤を、前記ポリマーに結合した前記化学種を含む粒子と接触させる工程と、を含む方法であって、
前記ポリマーに結合した前記化学種を含む粒子は5,000μm以下の最大寸法を有する方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−500997(P2010−500997A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524718(P2009−524718)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/071636
【国際公開番号】WO2008/021619
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】