説明

共有結合性離型剤を含むケミカルトナー、及びトナーの製造方法

【課題】非共有結合性成分として別個に加えられる離型剤を必要としないケミカルトナー(特に乳化重合凝集法トナー)、及び該トナーの製造方法を得る。
【解決手段】樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分から重合されるポリマーを含むケミカルトナー組成物又は乳化重合凝集法トナー組成物が提供される。また、(a)(i)樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分を含む分散相、及び(ii)水と相間移動触媒とを含む出発成分を含む連続相、を含む分散体を形成すること;(b)前記樹脂モノマーおよび前記離型剤モノマーを重合させてポリマーを形成させること;(c)前記ポリマーと着色剤とを含むトナー前駆体材料を凝集させて、凝集トナー前駆体材料を得ること;および(d)前記凝集トナー前駆体材料を合一させて、前記着色剤と前記ポリマーとを含む乳化重合凝集法トナー組成物を得ること、を含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルトナー組成物、及び乳化重合凝集法トナー組成物、並びに該ケミカルトナー組成物又は該乳化重合凝集法トナー組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケミカルトナーおよびオイルレス定着サブシステムを用いるゼログラフィー印刷又はゼログラフィーコピー機において、ケミカルトナーは通常、定着ローラから融解トナーを剥離させるために非共有結合性離型剤を含む。非共有結合性離型剤は通常、ポリエチレンまたはカルナバワックスなどのワックスであるが、これらは水性分散液にする必要があり、このプロセスには費用がかかる。さらに、トナー粒子内のワックスドメインの大きさおよび位置は、いくつかの定着特性、例えば最低定着温度、光沢、ドキュメントオフセット(document offset)およびホットオフセット(hot offset)において重要な役割を果たしている。ワックスドメインの大きさおよび位置を調節することは難しいが、トナーが機能を十分に発揮するために重要なパラメーターである。本発明の実施形態において対処されているように、ケミカルトナーにおける非共有結合性離型剤の使用の際の不都合を最小限にするかまたは該不都合がない新規なケミカルトナー、特に新規な乳化重合凝集法トナーが求められている。
【0003】
以下の文書は背景情報を提供している。
Qian他、米国特許第7,005,225号。
Lau、米国特許第5,521,266号。
Bartel他、米国特許第6,808,851号。
Vanbesien他、米国特許第6,962,764号。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非共有結合性成分として別個に加えられる離型剤を必要としないケミカルトナー(特に乳化重合凝集法トナー)、及び該トナーの製造方法を得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
或る実施形態によれば、樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分から重合されるポリマーを含むケミカルトナー組成物が提供される。
【0006】
さらに、或る実施形態によれば、樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分から重合されるポリマーを含む乳化重合凝集法トナー組成物が提供される。
【0007】
さらに、或る実施形態によれば、
(a)(i)樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分を含む分散相、及び(ii)水と相間移動触媒(phase transport catalyst)とを含む出発成分を含む連続相、を含む分散体を形成すること;
(b)前記樹脂モノマーおよび前記離型剤モノマーを重合させてポリマーを形成させること;
(c)前記ポリマーと着色剤とを含むトナー前駆体材料を凝集させて、凝集トナー前駆体材料を得ること;および
(d)前記凝集トナー前駆体材料を合一させて、前記着色剤と前記ポリマーとを含む乳化重合凝集法トナー組成物を得ること、
を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書において、例えば、「樹脂モノマー」、「離型剤モノマー」、又は「相間移動触媒」などと記載されている場合、1種類に限定されず、2つまたは3つ以上の異なる種類を示してよい。例えば、前記樹脂モノマーは、実施形態によっては2つの異なる種類のモノマーを含み得る。
【0009】
「ケミカルトナー」という用語は、機械的粉砕方法により製造される旧世代トナーとは対照的に、新規な化学的方法により製造されるトナーを指す。「ケミカルトナー」は、例えば乳化重合凝集法(該方法により「乳化重合凝集法トナー」が得られる)および懸濁重合を含む種々の方法により製造できる。
【0010】
好都合には、本発明の実施形態により、ケミカルトナー(特に乳化重合凝集法トナー)製造方法において、非共有結合性成分として別個に加えられる離型剤が不要になる。或る実施形態においては、樹脂ポリマーの主鎖に離型剤、例えば蝋質モノマーであるオクタデシルアクリレートを直接に組み込むことにより、ワックスドメインの大きさおよび位置をよく調節できるばかりでなく、トナー中の個別成分の1つが不要になることによりケミカルトナーの製造を単純化することも可能になる。実施形態によっては、この組み込みにより、原料のばらつきが抑えられ再現性が向上するばかりでなく、費用のかかるワックスが配合物において不要になることにより、オイルレス定着用途のケミカルトナーを得るための総費用の抑制も可能になる。
【0011】
ここで、非架橋樹脂、ワックスおよび着色剤を含む典型的なトナー組成物;ならびに、非架橋樹脂、ワックス、着色剤および凝集剤を混合して、トナーサイズの凝集体を得ること;場合により、形成した凝集体にさらなる樹脂ラテックスを加え、それにより上記形成した凝集体上にシェルを形成させること;凝集体を加熱して合一トナーを作成すること;及び場合により、トナーを単離すること、を含むトナーの製造方法について説明する。実施形態によって、トナー製造方法は、反応混合物の全重量に基づいて、例えば約0.01重量%〜約20重量%の量のアニオン性界面活性剤を供給することを含み、ここで該アニオン性界面活性剤は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート、ジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、アジピン酸、ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホネート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。さらなる実施形態においては、このように形成されたシェルの厚さは、例えば、約0.3μm〜約0.8μmである。
【0012】
本発明のトナー組成物および該トナー組成物の製造方法に関する実施形態には非架橋樹脂が記載されているが、実施形態によっては、本発明のトナー組成物および該トナー組成物の製造方法における非架橋樹脂の代わり、または非架橋樹脂に加えて架橋樹脂を使用できることが理解される。
【0013】
離型剤モノマー
「離型剤モノマー」という用語は、本発明のケミカルトナー組成物の製造に用いられた場合、定着オイルを使用しなくても、定着ローラから溶融トナーを十分に剥離し得る、任意のモノマーを指す。或る実施形態において、離型剤モノマーは、少なくとも下記の2つの特徴を有する:(1)長鎖脂肪族基(例えば、炭素数が少なくとも約15、約15〜約200、または約18〜約100である長鎖脂肪族基);および(2)例えばラジカル重合により重合可能な二重結合。
【0014】
適切な離型剤モノマーとしては、例えば、下記式のようなアクリルモノマーが挙げられる。
【0015】
【化1】

【0016】
式中、R1は水素またはカルボン酸もしくはその塩であり、
2は水素またはメチルまたはエチルであり、
3は、nが約15〜約200であるメチレン基であり、またはR3は、エトキシ基、プロポキシ基もしくはブトキシ基、またはnが約10〜約100であるプロピレン基であり、
4はメチル基、ヒドロキシル基もしくはカルボン酸基またはその塩である。該アクリルモノマーは、例えば、オクタデシルアクリレートであり得る。
【0017】
適切な離型剤モノマーとしては、例えば、下記式のようなスチレンモノマーも挙げられる。
【0018】
【化2】

【0019】
式中、R1は水素またはメチル基であり、
2は水素またはメチル基であり、
3はメチレン基、酸素またはカルボニル基であり、
4はメチレン基または酸素であり、
5は、nが約15〜約200であるメチレン基であり、またはR5は、エトキシ基、プロポキシ基もしくはブトキシ基、またはnが約10〜約100であるプロピレン基であり、
6は水素、メチル基、ヒドロキシル基もしくはカルボン酸基又はその塩である。
【0020】
トナー中の離型剤モノマーの濃度は、約3重量%〜約20重量%であってよく、例えば約4重量%〜約13重量%または約5重量%〜約12重量%であってよい。
【0021】
樹脂モノマー
樹脂モノマーの具体例としては、限定するものではないが、下記のものが挙げられる(モノマーの特定の組み合わせもポリマー用に記述されている):スチレンアクリレート、スチレンメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、エステル、スチレン−ブタジエン、メチルスチレン−ブタジエン、メチルメタクリレートブタジエン、エチルメタクリレートブタジエン、プロピルメタクリレートブタジエン、ブチルメタクリレートブタジエン、メチルアクリレート−ブタジエン、エチルアクリレート−ブタジエン、プロピルアクリレート−ブタジエン、ブチルアクリレート−ブタジエン、スチレン−イソプレン、メチルスチレン−イソプレン、メチルメタクリレートイソプレン、エチルメタクリレートイソプレン、プロピルメタクリレートイソプレン、ブチルメタクリレートイソプレン、メチルアクリレート−イソプレン、エチルアクリレート−イソプレン、プロピルアクリレート−イソプレン、ブチルアクリレート−イソプレン;スチレン−プロピルアクリレート、スチレン−ブチルアクリレート、スチレン−ブタジエン−アクリル酸、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸、スチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸、スチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸、スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル、スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸、スチレン/ブチルアクリレート/カルボン酸、及びスチレン/ブチルアクリレート/β−カルボキシエチルアクリレートなど。
【0022】
実施形態によって、例えば、樹脂は、限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)、フマル酸、マレイン酸およびケイヒ酸からなる群から選択されるカルボン酸基を含むように選択されてよい。ここで例えば、カルボン酸は樹脂の全重量の約0.1重量%〜約10重量%を形成する量で選択される。
【0023】
或る実施形態において、選択された非架橋樹脂の重量平均分子量は少なくとも約10,000であり、例えば、約15,000〜約120,000、または約15,000〜約200,000である。或る実施形態において、非架橋樹脂の重量平均分子量は約10,000〜約200,000であり、重量平均分子量の範囲の例として、下限を約15,000および約27,000および約30,000のいずれかとし、上限を約90,000および約120,000および約200,000のいずれかとする範囲が挙げられる。或る実施形態において、非架橋樹脂の数平均分子量は約5,000〜約100,000であり、例えば、約7,000〜約50,000、または約9,000〜約30,000である。
【0024】
実施形態によっては、非架橋樹脂は架橋を実質的に含まない。本明細書において、「架橋を実質的に含まない」(本明細書においては非架橋樹脂とも呼ぶ)は、ポリマー鎖間の架橋密度が、例えば約10%未満、例えば約5%未満、約1%未満または約0.1%未満である樹脂を指す。したがって、実施形態において、樹脂ラテックスは、樹脂中に存在し得る任意の官能基に関しても架橋を実質的に含まないが、これは樹脂ラテックス全体の架橋が、例えば約10%未満、例えば約5%未満、約1%未満または約0.1%未満であることを意味する。
【0025】
実施形態によっては、トナー組成物は特定の非架橋樹脂のほかに架橋樹脂を含んでもよい。例えば、このような架橋樹脂または任意の架橋樹脂は、トナー組成物の全重量に基づいて、0〜約15重量%または0〜約20重量%の量で存在し、例えば0〜約15重量%の総量で存在する。
【0026】
樹脂モノマーおよび離型剤モノマーから重合されるポリマー
ポリマーの配合物の例として以下が挙げられる:
ポリスチレン/ブチルアクリレート/オクタデシルアクリレート 78/7.5/14.5(トナー配合物中には顔料およびゲルが添加され得るので、トナー中のオクタデシルアクリレートの全添加量は、例えばトナーの約9重量%であり得る);
ポリスチレン/ブタジエン/オクタデシルアクリレート 78/7.5/14.5;
ポリスチレン/ブチルアクリレート/ドコサニルアクリレート 78/7.5/14.5;
ポリスチレン/ブチルアクリレート/トリアコンチルアクリレート 78/7.5/14.5;
ポリスチレン/ブチルアクリレート/ヘキサコシルアクリレート 78/7.5/14.5;
ポリスチレン/ブチルアクリレート/1−(ドコシルオキシ)−4−ビニルベンゼン 63.5/22/14.5;
ポリスチレン/ブチルアクリレート/1−(ヘキサコシルオキシ)−4−ビニルベンゼン 63.5/22/14.5。
【0027】
明らかなように、非架橋樹脂の特性は、構成モノマーの種類および量を調節すること、又は連鎖移動剤(chain transport agent)の種類および量を調節すること等により適切に調節することができる。例えば、構成モノマーの比率を調節することによりトナーのガラス転移温度(Tg)を調節することができ、これによりトナーのブロッキング特性及び定着特性などに影響を与えることができる。
【0028】
同様に、コアおよび/またはシェル樹脂成分に使用する樹脂ラテックスの製造に使用する連鎖移動剤の量を調節することにより、樹脂の特性を調節することができる。例えば、樹脂ラテックスを製造するとき、異なる量の連鎖移動剤、例えばドデカンチオールを用いることにより、樹脂の特性、例えば分子量、及びガラス転移温度などを変えることができる。例えば、コア樹脂ラテックスの製造時に連鎖移動剤の量を増すと、重合中の連鎖停止により分子量の低下をもたらすことができる。一方、シェル樹脂ラテックスの製造時において連鎖移動剤の量を低下させると、分子量が上昇し、これは、トナーのブロッキング特性に役立ち得る。
【0029】
樹脂ラテックス(単数又は複数)の製造に用いるモノマー単位は、任意の既知の方法により適切に重合させることができる。例えば、該モノマー単位は、スターブ・フェッド半連続乳化重合方法、又は標準的な乳化重合方法などにより重合され、樹脂ラテックスを得ることができる。このような重合は、例えば、開始剤、連鎖移動剤(CTA)および界面活性剤の存在下で実施され得る。
【0030】
或る実施形態において、樹脂またはポリマーはスチレン/ブチルアクリレート/β−カルボキシエチルアクリレートターポリマーである。他の実施形態において、樹脂またはポリマーはスチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸ターポリマー、スチレン/ブチルアクリレート/メタクリル酸ターポリマー、スチレン/ブチルアクリレート/イタコン酸ターポリマー、スチレン/ブチルアクリレート/フマル酸ターポリマー、スチレン/ブタジエン/β−カルボキシエチルアクリレートターポリマー、スチレン/ブタジエン/メタクリル酸ターポリマー、スチレン/ブタジエン/アクリル酸ターポリマー、スチレン/イソプレン/β−カルボキシエチルアクリレートターポリマーなどであり得る。
【0031】
或る実施形態において、架橋を実質的に含まない樹脂としてはスチレン:ブチルアクリレート:β−カルボキシエチルアクリレートが挙げられ、ここで例えば、非架橋樹脂モノマーは、約70重量%〜約90重量%のスチレン、約10重量%〜約30重量%のブチルアクリレート、ならびに、スチレン及びブチルアクリレートの全重量に基づいて、約100分の0.05〜約100分の10のβ−CEA、例えばβ−CEA約100分の3の量で存在する。しかしながら、成分の比率はこれらの範囲に限定されるものではなく、他の量も使用できる。
【0032】
本明細書における特徴において、非架橋樹脂は、約73重量%〜約85重量%のスチレン、約27重量%〜約15重量%のブチルアクリレート、ならびに、スチレン及びブチルアクリレートの全重量に基づいて、100分の1.0〜100分の5のβ−CEAを含むが、組成物および方法はこれらの特定の種類のモノマー類または範囲に限定されない。他の特徴において、非架橋樹脂は、約81.7重量%のスチレン、約18.3重量%のブチルアクリレート、ならびに、スチレン及びブチルアクリレートの全重量に基づいて、約100分の3のβ−CEAを含む。
【0033】
開始剤は、限定するものではないが、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムであってよく、モノマーの重量に基づいて、例えば、約0.5〜約3.0%の範囲で存在できるが、これらに限定されない。連鎖移動剤は、モノマー類の合計重量に基づいて、約0.5〜約5.0重量%の量で存在してよいが、これらに限定されない。或る実施形態において、界面活性剤は水相の重量に基づいて約0.7〜約5.0重量%の範囲で存在するアニオン性界面活性剤であるが、この種類または範囲に限定されない。
【0034】
例えば、米国特許第6,447,974号、第6,576,389号、第6,617,092号および第6,664,017号(これらの開示内容は全て参照により本願に組み込まれる)に記載されているスターブ・フェッド条件でモノマーを重合させて、約100nm〜約300nmの範囲の直径を有するラテックス樹脂粒子を得ることができる。
【0035】
実施形態において、非架橋樹脂のガラス転移開始温度(Tg)は、例えば、約48℃〜約62℃または約50℃〜約60℃であり、例えば約53℃〜約60℃であり得るが、これらに限定されない。
【0036】
界面活性剤
或る実施形態において、例えば、反応混合物の約0.01重量%〜約20重量%、または約0.1重量%〜約15重量%の量の界面活性剤を使用することができる。適切な界面活性剤の例としては、例えば、イゲパル(IGEPAL)CA−210(商標)、イゲパルCA−520(商標)、イゲパルCA−720(商標)、イゲパルCO−890(商標)、イゲパルCO−720(商標)、イゲパルCO−290(商標)、イゲパルCA−210(商標)、アンタロックス(ANTAROX)890(商標)およびアンタロックス897(商標)としてローヌ・プーラン社(Rhone−Poulenc)から入手できるジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。例えば、非イオン性界面活性剤の有効濃度は、実施形態によって、反応混合物の約0.01重量%〜約10重量%または約0.1重量%〜約5重量%である。
【0037】
アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート、ジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能なアジピン酸、花王株式会社(Kao Corporation)から入手可能なネオゲン(NEOGEN)R(商標)、ネオゲンSC(商標)、ダウファックス2A1(Dowfax 2A1)(ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホナート)などが挙げられる。例えば、一般に使用されるアニオン性界面活性剤の有効濃度は、反応混合物の約0.01重量%〜約10重量%、または約0.1重量%〜約5重量%であり得る。
【0038】
pHを上げ、凝集体粒子をイオン化して、凝集体に安定性を付与し、凝集体のサイズが大きくならないようにするために、1種類以上の塩基を使用することもできる。選択される塩基の例としては、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。
【0039】
合一前または合一中に、任意に、凝集体懸濁液にさらなる界面活性剤を加えることもできる。例えば、温度が上昇しても、凝集体のサイズが大きくならないようにするために、または凝集体のサイズを安定化するために、このようなさらなる界面活性剤を使用することができる。適切なさらなる界面活性剤は、特に、アニオン性界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート、ジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、アルドリッチから入手可能なアジピン酸、花王株式会社から入手可能なネオゲンR(商標)、ネオゲンSC(商標)などから選択することができる。これらの界面活性剤はまた、非イオン性界面活性剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、並びに、イゲパルCA−210(商標)、イゲパルCA−520(商標)、イゲパルCA−72(商標)、イゲパルCO−890(商標)、イゲパルCO−720(商標)、イゲパルCO−290(商標)、イゲパルCA−210(商標)、アンタロックス890(商標)およびアンタロックス897(商標)としてローヌ・プーラン社から入手可能なジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールから選択することもできる。一般に凝集体サイズ安定剤として用いられるアニオン性または非イオン性界面活性剤の有効量は、例えば、反応混合物の約0.01重量%〜約10重量%または約0.1重量%〜約5重量%である。
【0040】
使用できる酸の例としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、及びサリチル酸などが挙げられる。これらの酸は、実施形態によって、水の約0.5重量%〜約10重量%または約0.7重量%〜約5重量%の範囲の希釈形で用いられる。
【0041】
相間移動触媒
相間移動触媒には、疎水性空隙を有する有機高分子化合物、例えば米国特許第5,521,266号(Lau)に記載されているものがある(本開示内容は全て参照により本願に組み込まれる)。
【0042】
疎水性空隙を有する有用な有機高分子化合物の例としては、例えば、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体;疎水性空隙を有する環状オリゴ糖、例えば、シクロイヌロヘキソース、シクロイヌロヘプトースおよびシクロイヌロオクトース;カリックスアレーン;ならびにキャビタンドが挙げられる。
【0043】
本発明の実施形態に有用なシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体は、特定の重合条件下で選択されるシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体の溶解性によってのみ限定され得る。適切なシクロデキストリンの例としては、限定するものではないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンが挙げられる。適切なシクロデキストリン誘導体の例としては、限定するものではないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンのメチル誘導体、トリアセチルヒドロキシプロピル誘導体およびヒドロキシエチル誘導体が挙げられる。或る実施形態において、シクロデキストリン誘導体はメチル−β−シクロデキストリンである。
【0044】
疎水性空隙を有する適切な環状オリゴ糖、例えばシクロイヌロヘキソース及びシクロイヌロヘプトースの例は、Takai他によりJournal of Organic Chemistry,1994,volume 59,number 11,pages 2967−2975に記載されている(本開示内容は参照により本願に組み込まれる)。
【0045】
適切なカリックスアレーンの例は、米国特許第4,699,966号、国際公開番号WO89/08092ならびに日本特許出願第1988/197544号および同第1989/007837号に記載されている(これらの開示内容は全て参照により本願に組み込まれる)。
【0046】
適切なキャビタンドの例は、イタリア出願第22522A/89号およびMoran他によるJournal of the American Chemical Society,volume 184,1982,pages 5826−5828に記載されている(これらの開示内容は全て参照により本願に組み込まれる)。
【0047】
連鎖移動触媒(chain transport catalyst)は、離型剤モノマーの約0.3重量%〜約70重量%または約0.5重量%〜約30重量%または約1重量%〜約5重量%の濃度で使用できる。
【0048】
非共有結合性離型剤
或る実施形態において、本発明のケミカルトナーは非共有結合性離型剤を実質的に含まない。しかし他の実施形態においては、本発明のケミカルトナー組成物は、場合によりワックスなどの非共有結合性離型剤を含む。例えば、本発明のトナー組成物に適したワックスの例としては、限定するものではないが、アルキレンワックス、例えば炭素数が約1〜約25のアルキレンワックス、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの混合物が挙げられる。ワックスは、例えば、組成物の全重量に基づいて、約6重量%〜約15重量%の量で存在できる。ワックスの例としては、本明細書に記載されているもの、例えば前述の同時係属中の出願に記載されているもの、アライド・ケミカル社(Allied Chemical)およびペトロライト社(Petrolite Corporation)から市販されているポリプロピレンおよびポリエチレン、マイケルマン・インク社(Michaelman Inc.)およびダニエル・プロダクツ社(Daniels Products Company)から入手可能なワックスエマルジョン、イーストマンケミカルプロダクツ社(Eastman Chemical Products,Inc.)から市販されているエポレン(Epolene)N−15(商標)、ビスコール(Viscol)550−P(商標)、三洋化成工業(株)(Sanyo Kasei K.K.)から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレン、ならびに同様な材料が挙げられる。市販ポリエチレンは、約100〜約3,000の分子量(Mw)を有すると考えられ、市販ポリプロピレンは約1,000〜約10,000の分子量(Mw)を有すると考えられる。官能化ワックスの例としては、アミン、アミド、例えばマイクロパウダー社(Micro Powder Inc.)から入手可能なアクア・スーパースリップ(Aqua Superslip)6550(商標)、スーパースリップ(Superslip)6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、マイクロパウダー社から入手可能なポリフルオ(Polyfluo)190(商標)、ポリフルオ200(商標)、ポリフルオ523XF(商標)、アクアポリフルオ(Aqua Polyfluo)411(商標)、アクア・ポリシルク(Aqua Polysilk)19(商標)、ポリシルク(Polysilk)14(商標)、混合フッ素化アミドワックス、例えば同様にマイクロパウダー社から入手可能なマイクロスパーション(Microspersion)19(商標)、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸もしくはアクリルポリマーエマルジョン、例えばジョンクリル(Joncryl)74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)および538(商標)(全てSCジョンソンワックス社(Johnson Wax)から入手可能)、アライド・ケミカル社およびペトロライト社およびSCジョンソンワックス社から入手可能な塩素化ポリプロピレン及び塩素化ポリエチレンが挙げられる。モノマータイプの非共有結合性離型剤の(例えばワックス)を離型剤モノマーとして使用できる。
【0049】
或る実施形態において、上記ワックスは、例えば、約100nm〜約500nmの粒径を有するワックスと、水と、アニオン性界面活性剤とを含む分散体の形でであり得る。或る実施形態において、ワックスを例えば約6重量%〜約15重量%の量で含むことができる。或る実施形態において、限定するものでないが、ワックスはポリエチレンワックス粒子、例えばベーカーペトロライト社(Baker Petrolite)から市販され、限定するものではないが、約100nm〜約500nmの範囲の粒径を有するポリワックス(Polywax)850を含む。ワックスを分散させるのに使用する界面活性剤は、限定するものではないが、アニオン性界面活性剤、例えば、花王株式会社(Kao Corporation)から市販されているネオゲンRK(商標)またはテイカ株式会社(Tayca Corporation)から市販されているテイカパワー(TAYCAPOWER)BN2060であり得る。
【0050】
着色剤
トナー組成物はまた、少なくとも1つの着色剤、例えば染料および/または顔料を含む。着色剤の例としては、顔料、染料、顔料と染料との混合物、顔料の混合物、及び染料の混合物などが挙げられる。簡便性のため、「着色剤」という用語は、特定の顔料または他の着色剤成分を指定しない限り、例えば有機可溶性染料、顔料および混合物を指す。実施形態によって、着色剤は、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウンまたはこれらの混合物であり、該着色剤は、組成物の全重量に基づいて、約1重量%〜約25重量%(例えば、下限としては約2重量%および約5重量%のいずれかが挙げられ、上限としては約15重量%および約20重量%が挙げられる)の量で含む。本開示に基づいて他の有用な着色剤が容易に理解されることは理解されるべきである。
【0051】
通常、有用な着色剤としては、限定するものではないが、黒色着色剤、例えば、パリオゲンブラック(Paliogen Black)L9984(BASF社)、ピグメントブラック(Pigment Black)K801(BASF社)、ならびにカーボンブラック、例えばリーガル(REGAL)330(キャボット社(Cabot))、リーガル660(キャボット社)、カーボンブラック(Carbon Black)5250および5750(コロンビアン・ケミカルズ社(Columbian Chemicals))、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
さらなる有用な着色剤としては、顔料の水性分散液、例えばサン・ケミカル(Sun Chemical)から市販されているもの、例えばサンスパース(SUNSPERSE)BHD 6011X(ブルー(Blue)15タイプ(Type))、サンスパースBHD 9312X(ピグメントブルー15 74160)、サンスパースBHD 6000X(ピグメントブルー15:3 74160)、サンスパースGHD 9600XおよびGHD 6004X(ピグメントグリーン7 74260)、サンスパースQHD 6040X(ピグメントレッド12 273915)、サンスパースRHD 9668X(ピグメントレッド185 12516)、サンスパースRHD 9365Xおよび9504X(ピグメントレッド57 15850:1)、サンスパースYHD 6005X(ピグメントイエロー83 21108)、フレキシバース(FLEXIVERSE)YFD 4249(ピグメントイエロー17 21105)、サンスパースYHD 6020Xおよび6045X(ピグメントイエロー74 11741)、サンスパースYHD 600Xおよび9604X(ピグメントイエロー14 21095)、フレキシバースLFD 4343およびLFD 9736(ピグメントブラック7 77226)など、またはこれらの混合物が挙げられる。他の有用な水性着色剤分散液は、クラリアント社(Clariant)から市販されているもの、例えば、ホスタファインイエロー(HOSTAFINE Yellow)GR、ホスタファインブラック(HOSTAFINE Black)Tおよびブラック(Black)TS、ホスタファインブルー(HOSTAFINE Blue)B2G、ホスタファインルバイン(HOSTAFINE Rubine)F6B、ならびに使用前に水および/または界面活性剤に分散させることが可能なマゼンタドライ顔料、例えばトナーマゼンタ(Toner Magenta)6BVP2213およびトナーマゼンタEO2が挙げられる。
【0053】
その他の有用な着色剤の例としては、マグネタイト、例えばモベイ(Mobay)マグネタイトMO8029、MO8960;コロンビアン(Columbian)マグネタイト、マピコブラック(MAPICO BLACK)および表面処理マグネタイト;ファイザー(Pfizer)マグネタイトCB4799、CB5300、CB5600、MCX6369;バイエル(Bayer)マグネタイト、バイフェロックス(BAYFERROX)8600、8610;ノーザン・ピグメンツ(Northern Pigments)マグネタイト、NP−604、NP−608;マグノックス(Magnox)マグネタイトTMB−100またはTMB−104;など、またはこれらの混合物が挙げられる。さらなる顔料の具体例としては、フタロシアニンヘリオゲン・ブルー(HELIOGEN BLUE)L6900、D6840、D7080、D7020、ピラム・オイルブルー(PYLAM OIL BLUE)、ピラム・オイルイエロー(PYLAM OIL YELLOW)、ポール・ウルリッヒ・アンド・カンパニー・インク社(Paul Uhlrich & Company Inc.)から入手可能なピグメント・ブルー1、ピグメント・バイオレット1、ピグメントレッド48、レモン・クローム・イエロー(LEMON CHROME YELLOW)DCC1026、オンタリオ州トロント(Toronto,Ontario)のドミニオンカラー社(株)(Dominion Color Corporation,Ltd.)から入手可能なE.D.トルイジンレッド(TOLUIDINE RED)およびボン・レッド(BON RED)C、ノバパーム・イエロー(NOVAPERM YELLOW)FGL、ヘキスト社(Hoechst)製のホスタパームピンク(HOSTAPERM PINK)、ならびにイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Company)から入手可能なチンクアジア・マゼンタ(CINQUASIA MAGENTA)などが挙げられる。マゼンタの例としては、例えば、カラーインデックス(Color Index)にCI60710、CIディスパースレッド(Dispersed Red)15として収載されている2,9−ジメチル置換キナクリドンおよびアントラキノン染料、カラーインデックスにCI26050、CIソルベントレッド(Solvent Red)19などとして収載されているジアゾ染料、またはこれらの混合物が挙げられる。シアンの具体例としては、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、カラーインデックスにCI74160、CIピグメントブルーとして収載されているx−銅フタロシアニン顔料ならびにカラーインデックスにDI69810、スペシャル・ブルー(Special Blue)X−2137として収載されているアントラトレン・ブルー(Anthrathrene Blue)など、またはこれらの混合物が挙げられる。選択可能なイエローの具体例としては、ジアリライドイエロー(diarylide yellow)である3,3−ジクロロベンジデンアセトアセタニリド、CI12700、CIソルベントイエロー(Solvent Yellow)16としてカラーインデックスに収載されているモノアゾ顔料、フォロンイエロー(Foron Yellow)SE/GLNとしてカラーインデックスに収載されているニトロフェニルアミンスルホンアミド、CIディスパースイエロー(Dispersed Yellow)33である2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,4−ジメトキシアセトアセタニリドおよびパーマネントイエロー(Permanent Yellow)FGLが挙げられる。有色マグネタイト、例えばマピコブラック(MAPICOBLACK)およびシアン成分の混合物も顔料として選択できる。
【0054】
その他の有用な着色剤の例としては、限定するものではないが、パリオゲン・バイオレット(Paliogen Violet)5100および5890(BASF社)、ノルマンディ・マゼンタ(Normandy Magenta)RD−2400(ポール・ウルリッヒ社(Paul Uhlrich))、パーマネントバイオレット(Permanent Violet)VT2645(ポール・ウルリッヒ社)、ヘリオゲン・グリーン(Heliogen Green)L8730(BASF社)、アーガイル・グリーン(Argyle Green)XP−111−S(ポール・ウルリッヒ社)、ブリリアント・グリーン・トナー(Brilliant Green Toner)GR 0991(ポール・ウルリッヒ社)、リソール・スカーレット(Lithol Scarlet)D3700(BASF社)、トルイジンレッド(Toluidine Red)(アルドリッチ社)、スカーレットフォーサーモプラスト(Scarlet for Thermoplast)NSDレッド(アルドリッチ)、リソール・ルバイン・トナー(Lithol Rubine Toner)(ポール・ウルリッヒ社)、リソール・スカーレット4440、NBD3700(BASF社)、ボン・レッドC(ドミニオンカラー社)、ロイヤル・ブリリアント・レッド(Royal Brilliant Red)RD−8192(ポール・ウルリッヒ社)、オラセットピンク(Oracet Pink)RF(チバガイギー社(Ciba Geigy))、パリオゲン・レッド(Paliogen Red)3340および3871K(BASF社)、リソール・ファスト・スカーレット(Lithol Fast Scarlet) L4300(BASF社)、ヘリオゲン・ブルーD6840、D7080、K7090、K6910およびL7020(BASF社)、スーダン・ブルー(Sudan Blue)OS(BASF社)、ネオペン・ブルー(Neopen Blue)FF4012(BASF社)、PVファストブルー(Fast Blue)B2G01(アメリカンヘキスト社(American Hoechst))、イルガライト・ブルー(Irgalite Blue)BCA(チバガイギー社)、パリオゲン・ブルー6470(BASF社)、スーダン(Sudan)II、IIIおよびIV(マテソン・コールマン・ベル社(Matheson,Coleman,Bell))、スーダンオレンジ(Sudan Orenge)(アルドリッチ社)、スーダンオレンジ220(BASF社)、パリオゲン・オレンジ(Paliogen Orenge)3040(BASF社)、オルト・オレンジ(Ortho Orenge)OR2673(ポール・ウルリッヒ社)、パリオゲン・イエロー(Paliogen Yellow)152および1560(BASF社)、リソール・ファスト・イエロー(Lithol Fast Yellow)0991K(BASF社)、パリオトール・イエロー(Paliotol Yellow)1840(BASF社)、ノバパーム・イエロー(Novaperm Yellow)FGL(ヘキスト社)、パーマネントイエローYE0305(ポール・ウルリッヒ社)、ルモゲン・イエロー(Lumogen Yellow)D0790(BASF社)、スコ−ゲルプ(Suco−Gelb)1250(BASF社)、スコ−イエロー(Suco−Yellow)D1355(BASF社)、スコ・ファスト・イエロー(Suco Fast Yellow)D1165、D1355およびD1351(BASF社)、ホスタパームピンク(Hostaperm Pink)E(ヘキスト社)、ファナル・ピンク(Fanal Pink)D4830(BASF社)、チンクアジア・マゼンタ(デュポン社(DuPont))などが挙げられる。
【0055】
凝集剤
或る実施形態において、本発明の方法に用いられる凝集剤は、既知の成分、例えばポリハロゲン化金属、例えばポリハロゲン化アルミニウム、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC)またはポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)を含む。例えば、一実施形態において、凝集剤により、例えば金属含量が約400〜約10,000ppmである最終トナーが得られる。別の実施形態において、凝集剤はポリ塩化アルミニウムを含み、これにより、アルミニウム含量が約400〜約10,000ppm、例えば約400〜約1,000ppmである最終トナーが得られる。実施形態によって、凝集剤は、外添剤を除き、乾量基準で、トナー粒子の0〜約5重量%、例えばトナー粒子の0〜約3重量%の量でトナー粒子中に存在することができる。
【0056】
トナー粒子の製造
或る実施形態において、トナー組成物は、乳化重合凝集法、例えば乳化/凝集/合一方法により製造される。例えば、トナーの製造に用いられる乳化/凝集/合一方法については、多くのゼロックス社(Xerox)の特許、例えば米国特許第5,290,654号、第5,278,020号、第5,308,734号、第5,370,963号、第5,344,738号、第5,403,693号、第5,418,108号、第5,364,729号および第5,346,797号に例示されている(これらの開示内容はすべて参照により本願に組み込まれる)。同様に、米国特許第5,348,832号;第5,405,728号;第5,366,841号;第5,496,676号;第5,527,658号;第5,585,215号;第5,650,255号;第5,650,256号;第5,501,935号;第5,723,253号;第5,744,520号;第5,763,133号;第5,766,818号;第5,747,215号;第5,827,633号;第5,853,944号;第5,804,349号;第5,840,462号;第5,869,215号;第5,863,698号;第5,902,710号;第5,910,387号;第5,916,725号;第5,919,595号;第5,925,488号;および第5,977,210号がある(これらの開示内容はすべて参照により本願に組み込まれる)。さらに、本明細書において、ゼロックス社の米国特許第6,627,373号;第6,656,657号;第6,617,092号;第6,638,677号;第6,576,389号;第6,664,017号;第6,656,658号;および第6,673,505号の開示内容はすべて参照により本願に組み込まれる。前述の米国特許のそれぞれの適切な成分および方法の態様を、実施形態における本発明の組成物および方法に選択してよい。
【0057】
或る実施形態において、トナーの製造方法は、非架橋ラテックス、及び場合により架橋ラテックスを、ワックスおよび着色剤分散液と混合し、これに、ポリトロンなどを用いて高速攪拌(blend)しながら凝集剤(例えば、ポリ塩化アルミニウムなどのポリハロゲン化金属)を加えることにより、トナー粒子を製造することを含む。得られた混合物のpHは約2〜約3であるが、該混合物を、おおよそ樹脂のTg以下の温度に加熱することにより凝集させ、トナーサイズの凝集体を得る。さらなる非架橋ラテックス(前述のとおり、最初の非架橋ラテックスと同じあっても異なっていてもよい)を形成された凝集体に加え、該形成された凝集体上にシェルを形成させる。例えば、実施形態によっては、約10%〜約35%または約15%〜約30%のさらなる非架橋ラテックスを、形成された凝集体に加え、該形成された凝集体上にシェルを形成させることができる。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えることにより該混合物のpHを約7になるまで変化させる。混合物のpHが約7になると、カルボン酸がイオン化して、凝集体上にさらなる負電荷が供給され、それにより安定性がもたらされ、かつラテックス樹脂のTg以上に加熱されたときに粒子がさらに成長したり、粒径分布が増大することが防がれる。次いで、混合物の温度を約95℃まで上げる。約30分後、混合物のpHを、さらなる加熱により複合粒子を得るために、凝集体が合一または溶融するのに十分な値、例えば約4.5に低下させる。形状係数または円形度に関して、例えばシスメックス(Sysmex)FPIA2100分析装置などを用いて、望ましい形状が得られるまで溶融粒子を測定することができる。
【0058】
混合物を室温まで冷却(約20℃〜約25℃)し、場合により洗浄することができる。混合物を洗浄する場合、多工程洗浄手順を用いることができ、この場合、最初の洗浄はpH約10、温度約63℃で行い、ついで室温で脱イオン水(DIW)洗浄を行う。これに続いて、pH約4.0、温度約40℃で洗浄し、最後にDIW水洗浄を行うことができる。ついでトナーを乾燥することができる。
【0059】
最終トナー組成物は、非架橋樹脂、ワックスおよび着色剤を有するトナー粒子を含む。理論に拘束されることを意図しないが、非架橋ラテックス、ワックスおよび着色剤を含む本発明のトナー組成物において、この樹脂の使用により、主にホットオフセットが増大し、最低定着温度(MFT)が低下し、低い光沢特性、例えば約1〜約20光沢単位が付与される一方、ワックスの使用により剥離特性が付与される。ワックス含量および着色剤含量に対する非架橋ラテックスの割合は、トナーのレオロジーを調節するために選択される。
【0060】
或る実施形態において、最終トナー組成物は、BYK 75度マイクログロスメーターで測定したとき、最低定着温度で測定して約1〜約70光沢単位(例えば、下限としては約2または約5光沢単位が挙げられ、上限としては約50または約60光沢単位が挙げられる)の光沢を有する。「光沢単位」とは、普通紙(例えばゼロックス(Xerox)90gsmカラーエクスプレッションズ+(COLOR XPRESSIONS+)紙またはゼロックス(Xerox)4024紙)上で測定されたガードナー(Gardner)光沢単位を指す。折り目定着MFTは、広範囲の定着温度で定着された画像を折りたたみ、ついで折りたたまれた領域に渡って規定量を巻き取ることにより測定される。プリントは、デュプロ(Duplo)D−590紙ホルダーなどの市販ホルダーを用いて折りたたむこともできる。ついで用紙を広げ、破断されたトナーを用紙の表面からふき取る。次に、破断された領域を内部参照図に対して比較する。破断された領域がより小さいと、トナー付着性がより優れていることを示し、許容される付着性を達成するのに必要な温度は、折り目定着MFTとして定義される。
【0061】
或る実施形態において、限定するものではないが、トナーは、組成物の全重量に基づいて、非架橋樹脂約68重量%〜約91重量%、ワックス約4重量%〜約15重量%および着色剤約5重量%〜約13重量%の量で非架橋樹脂、ワックスおよび着色剤を含み、成分の全量は、約100重量%である。実施形態によっては、非架橋樹脂、ワックスおよび着色剤は、組成物の全重量に基づいて、非架橋樹脂約81重量%、ワックス約9重量%および着色剤約10重量%の量で存在する。
【0062】
本発明のトナー組成物の或る実施形態において、得られるトナーは、約120〜約140の形状係数を有し(形状係数100は球形と考えられる)、シスメックスFPIA2100分析装置などの分析装置で測定したときの粒子円形度が約0.900〜約0.980、例えば約0.930〜約0.980である(円形度1.00は形状が球形と考えられる)。或る実施形態において、ケミカルトナー組成物は、約0.930〜1.000の円形度を有する粒子を含む。或る実施形態において、ケミカルトナー組成物は、約1.30以下の体積平均粒径分布係数を有する粒子を含む。
【0063】
一部の実施形態において、トナー組成物はブラックトナー組成物であり得る。或る実施形態において、ブラックトナー組成物は、約50℃〜約60℃のTg(開始温度又はオンセット温度)、約120〜約140の形状係数、および約0.900〜約0.980の円形度を有し得る。その他の実施形態において、トナー組成物は、モノマーの重量を基準にして約72:28:3pph(百分率)の比率でスチレン:ブチルアクリレート:β−CEAを含む高分子量(Mw)非架橋樹脂を含むことができる。その他の実施形態において、トナー組成物は、モノマーの重量を基準にして約65:53:3:1pphの比率でスチレン:ブチルアクリレート:β−CEA:DVB(ジビニルベンゼン)を含む架橋樹脂を任意の量で含むことができる。
【0064】
トナー粒子は、場合により、形成後に外添剤とブレンドすることができる。実施形態によって、任意の適切な表面添加剤を使用してもよい。適切な外添剤の例としては、SiO2、例えばTiO2および酸化アルミニウムなどの金属酸化物、潤滑剤、例えば脂肪酸の金属塩(ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムなど)、長鎖アルコール、例えばユニリン(UNILIN)(商標)700などが挙げられる。通常、トナー流れ(Toner flow)、摩擦電荷増強、混合(admix)制御、現像安定性および転写安定性の改善、ならびにトナーブロッキング温度の上昇のため、トナー表面にはシリカが付与される。相対湿度(RH)安定性の改善、摩擦制御、ならびに現像安定性および転写安定性の改善のため、トナー表面にはTiO2が付与される。潤滑特性を付与するために、ステアリン酸亜鉛が付与される。ステアリン酸亜鉛を用いると、その潤滑特性に応じて、現像剤導電率および摩擦電荷の両方の増強が可能となる。コーティングの有無にかかわらず、表面外添剤を用いることができる。
【0065】
或る実施形態において、トナーは、例えば、チタニアおよび/または他の金属酸化物を約0.1重量%〜約5重量%、シリカを約0.1重量%〜約8重量%、およびステアリン酸亜鉛または他のステアリン酸金属を約0.1重量%〜約4重量%含む。
【0066】
本開示のトナー粒子は、場合により、トナー粒子とキャリア粒子とを混合することにより現像剤組成物に配合されることができる。本開示に従って製造されるトナー組成物と混合するために選択され得るキャリア粒子の具体例としては、トナー粒子の荷電と逆極性の荷電を摩擦帯電により生じることが可能な粒子が挙げられる。従って、一実施形態において、正に荷電したトナー粒子がキャリア粒子に付着し取り囲むように、負の極性のキャリア粒子を選択することができる。このようなキャリア粒子の具体例としては、鉄、鉄合金、鋼、ニッケル、鉄フェライト(ストロンチウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛などを添加したフェライトを含む)、マグネタイトなどが挙げられる。さらに、キャリア粒子として、米国特許第3,847,604号(その開示内容はすべて参照により本願に組み込まれる)に開示されているニッケルベリーキャリアを選択することができる。該ニッケルベリーキャリアは、繰り返しの凹凸を表面に有する、ニッケルのノジュラー(nodular)キャリアビーズを含み、比較的大きい外面積を有する粒子が得られる。他のキャリアの例は、米国特許第4,937,166号および第4,935,326号に開示されている(これらの開示内容のすべては参照により本願に組み込まれる)。
【0067】
選択されたキャリア粒子は、コーティングの有無にかかわらず使用できるが、コーティングは、通常、アクリル酸ポリマーおよびメタクリル酸ポリマー、例えばメチルメタクリレート、フルオロポリマーとのアクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、モノアルキルアミンもしくはジアルキルアミンとのアクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリスチレン、例えばポリフッ化ビニリデン樹脂、スチレン、メチルメタクリレートおよびシラン(例えばトリエトキシシラン)のターポリマー、テトラフルオロエチレン、その他の既知のコーティングなどが挙げられる。
【0068】
キャリア粒子は、種々の適切な組み合わせでトナー粒子と混合することができる。トナー濃度は、通常、トナーが約2重量%〜約10重量%、およびキャリアが約90重量%〜約98重量%である。しかし、所望の特性を有する現像剤組成物を得るために、異なるトナーおよびキャリアの百分率を用いることができる。
【0069】
本開示のトナーは、静電写真画像形成方法(電子写真画像形成を含む)に使用できる。従って、例えば、本開示のトナーまたは現像剤を摩擦帯電などにより帯電させ、画像形成部材、例えば感光体またはイオノグラフィー受容体上の逆極性に帯電した潜像に塗布することができる。ついで、得られたトナー像を直接または中間移動部材を介して、紙または透明シートなどの支持体に転写することができる。ついで加熱および/または圧力の印加、例えば加熱した定着ローラを用いることにより、トナー像を支持体に定着させることができる。
【0070】
本開示のトナーは、ゼログラフィー用途以外の他の用途を含む、トナーを用いる画像形成に任意の適切な手順に用いることができると考えられる。
特記しない限り、百分率および部はすべて重量基準によるものである。室温とは、約20〜約25℃の範囲の温度を指す。
【実施例】
【0071】
オクタデシルアクリレート(離型剤モノマー)を14.5重量%含有するラテックスA(乳化重合凝集法用)の製造
相間移動触媒としてシクロデキストリンを用い、オクタデシルアクリレートを14.5重量%含有するラテックスを以下にようにして製造した。ダウファックス2A1(アニオン性乳化剤)0.8グラム、β−シクロデキストリン2.7グラムおよび脱イオン水514グラムからなる界面活性剤溶液を、ステンレススチール製貯蔵タンク内で10分間混合することにより調製した。ついで窒素で5分間貯蔵タンクでパージし、その後、反応器中に移した。次に反応器を、300RPMで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。ついで昇温速度を制御しながら反応器を76℃まで加熱し、その温度を維持した。別個に、過硫酸アンモニウム開始剤8.1グラムを脱イオン水45グラムに溶解した。別個に、モノマーエマルジョンを以下の方法で調製した。スチレン421.2グラム、ブチルアクリレート40.5グラム、オクタデシルアクリレート78.3グラム、β−カルボキシエチルアクリレート16.2グラム、1−ドデカンチオール3.78グラム、1,10−デカンジオールジアクリレート1.89グラム、ダウファックス2A1(アニオン性界面活性剤)10.69グラムおよび脱イオン水257グラムを混合してエマルジョンを作成した。ついで、窒素でパージしながら、上記エマルジョンの1%を、76℃の界面活性剤水性相を含有する反応器中にゆっくり送入して「シード」を形成させた。ついで開始剤溶液を反応器中にゆっくり注ぎ、10分後、エマルジョンの半分を0.5%/分の速度で計量ポンプを用いて連続的に送入する。100分後、モノマーエマルジョンの半分を反応器に添加し終えたら、1−ドデカンチオールをさらに4.54グラム、モノマーエマルジョンに撹拌しながら入れ、エマルジョンを0.5%/分の速度で連続的に送入する。同様にこの時点で反応器の撹拌機を350RPMに強めた。すべてのモノマーエマルジョンを主反応器に注いでから、さらに4時間温度を76℃に維持し、反応を完了させた。ついで十分に冷却し、反応器の温度を35℃に下げた。生成物を貯蔵タンクに集めた。ラテックスを乾燥した後、分子の特性はMw=53,300、Mn=10,300であり、Tg開始温度は49.4℃であった。
【0072】
ついで、このラテックスの示差走査熱量曲線を作成した。このDSC曲線は、オクタデシルアクリレートの融点がおよそ34.9℃であり、Tg開始温度がおよそ49.6℃であることを示している。このラテックスはファウリングや粗大構造も示さなかった。
【0073】
ラテックスB(架橋樹脂)の製造
スチレン、n−ブチルアクリレート、ジビニルベンゼンおよびβ−CEAの半連続乳化重合により調製されたポリマーゲル粒子を含むラテックスエマルジョンを以下のようにして製造した。
【0074】
ネオゲンRK(アニオン性乳化剤)1.75キログラムおよび脱イオン水145.8キログラムからなる界面活性剤溶液を、ステンレススチール製貯蔵タンク内で10分間混合することにより調製した。ついで貯蔵タンクを窒素で5分間パージし、その後、反応器中に移した。次に反応器を、300RPMで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。ついで、昇温速度を制御しながら反応器を76℃まで加熱し、その温度で一定に保った。別の容器中で、過硫酸アンモニウム開始剤1.24キログラムを脱イオン水13.12キログラムに溶解した。同様に第2の別の容器中、以下の方法でモノマーエマルジョンを調製した。スチレン47.39キログラム、n−ブチルアクリレート25.52キログラム、β−CEA 2.19キログラムおよび55%グレードジビニルベンゼン729グラム、ネオゲンRK(アニオン性界面活性剤)4.08キログラムならびに脱イオン水78.73キログラムを混合し、エマルジョンを作成した。n−ブチルアクリレートモノマーに対するスチレンモノマーの割合は65重量%〜35重量%であった。ついで、窒素でパージしながら、上記のエマルジョンの1%を、76℃の界面活性剤水性相を含有する反応器中にゆっくり送入して、「シード」を形成させる。次に開始剤溶液を反応器中にゆっくり注ぎ、20分後、計量ポンプを用いて、残りのエマルジョンを連続的に送入する。
【0075】
すべてのモノマーエマルジョンを主反応器に注いだら、さらに2時間温度を76℃に維持し、反応を完了させる。ついで十分に冷却し、反応器の温度を35℃に下げる。1ミクロンフィルターバッグで濾過した後、生成物を貯蔵タンクに集める。ラテックスの一部を乾燥した後、分子の特性を測定したところ、Mw=134,700、Mn=27,300であり、Tg開始温度は43.0℃であった。ディスクセントリヒュージ(Disc Centrifuge)で測定したラテックスの平均粒径は48nmであり、GCで測定した残留モノマーは、スチレン<50ppmおよびn−ブチルアクリレート<100ppmであった。
【0076】
オイルレス定着に用いられる共有結合性離型剤を含有する乳化重合凝集法トナーの製造
固形分41.95重量%を有するラテックスA 257.4グラム、固形分17.05重量%を有する黒色顔料分散物キャビトロン(Cavitron)PD−K85(リーガル330)100.6グラム、および固形分25重量%を有するラテックスB 80グラムを、IKA社製ウルトラタラックス(Ultra Turrax)(商標)T50ホモジナイザーを用い、4,000rpmで撹拌しながら、容器中の脱イオン水585.5グラムに加える。4,000RPMで溶液を5分間ホモジナイズした後、ポリ塩化アルミニウム混合物3.4グラムおよび0.02モル硝酸溶液30.6グラムを含有する凝集剤混合物34グラムを滴下した。その後、混合物を1℃/分で温度51℃まで加熱し、その温度で約1.5〜約2時間維持し、コールターカウンターで測定して体積平均粒径5.2μmの粒子を得た。昇温時、撹拌機を約250rpmで運転し、設定温度の51℃に達してから10分後に撹拌機速度を約220rpmに下げた。ラテックスA 133.5グラムをさらに反応器中の混合物に加え、温度を52℃に加熱し、さらに約30分間その温度で維持して、体積平均粒径約5.8μmの粒子を得た。1.0M水酸化ナトリウム溶液で反応器中の混合物のpHを6に調節して粒径を固定する。その後、反応器中の混合物を1℃/分で95℃の温度まで加熱し、ついで0.3M硝酸溶液で反応器中の混合物をpH4.0に調節した。これに続いて、95℃で2.5時間、反応器中の混合物をゆっくり撹拌し、粒子を合一および球状化させた。シスメックスFPIA形状分析装置で測定して、所望の形状が得られたら、pHをpH7.0に調節した。93℃で2.5時間経った後、反応器のヒーターを切り、反応器中の混合物を1℃/分の速度で室温まで冷却した。得られたトナー混合物は、トナー約16.7重量%、アニオン性界面活性剤0.25重量%および水約82.9重量%を含んでいた。この混合物のトナーは、スチレン/アクリレートポリマー約82重量%、リーガル330顔料約8重量%およびラテックスB約10重量%を含み、約5.9μmの体積平均粒径および約1.29の幾何標準偏差(GSD)を有する。粒子を6回洗浄した。1回目の洗浄は63℃、pH10で行い、続く3回の洗浄は室温で脱イオン水を用いて行い、40℃、pH4.0で一回洗浄し、最後に室温で脱イオン水を用いて最終洗浄を行った。
【0077】
このトナーのDSCスキャンにより、ラテックスの蝋質成分の融点がおよそ34.2℃であり、Tg開始温度がおよそ48.6℃であることが示された。
【0078】
定着
上記で製造したワックスレス乳化重合凝集法トナーの初期定着性能を、クリーニングウェブを備えていないオイルレス色定着フィクスチャーを用いて試験した。クリーニングウェブを備えていないことにより、ホットオフセットの観察が容易になった。
【0079】
サンプルはつやがなく、最大光沢は11であった。その折り目定着MFTは159℃であり、210℃まではトナーのホットオフセットの徴候は見られなかった。共有結合した剥離材料を用いた本発明のワックスレス乳化重合凝集法トナーを用いても、定着器にホットオフセットが発生しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分から重合されるポリマーを含むケミカルトナー組成物。
【請求項2】
樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分から重合されるポリマーを含む乳化重合凝集法トナー組成物。
【請求項3】
(a)(i)樹脂モノマーと離型剤モノマーとを含む出発成分を含む分散相、及び(ii)水と相間移動触媒とを含む出発成分を含む連続相、を含む分散体を形成すること;
(b)前記樹脂モノマーおよび前記離型剤モノマーを重合させてポリマーを形成させること;
(c)前記ポリマーと着色剤とを含むトナー前駆体材料を凝集させて、凝集トナー前駆体材料を得ること;および
(d)前記凝集トナー前駆体材料を合一させて、前記着色剤と前記ポリマーとを含む乳化重合凝集法トナー組成物を得ること、
を含む方法。

【公開番号】特開2008−262200(P2008−262200A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100409(P2008−100409)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】