説明

共焦点光スキャナ検出装置、光スキャナおよびそれに用いられるニポウディスク

【課題】開口率を変更することができて測定対象に応じた適切な画像を取得できるようにした共焦点光スキャナ検出装置、光スキャナおよびそれに用いられるニポウディスクを提供する。
【解決手段】共焦点光スキャナ検出装置はニポウディスクを回転させて試料を走査する光スキャナと、ニポウディスクを介して試料を照射する光源と、光スキャナからの出射光を入力して前記試料の画像を撮影する撮像装置とを有する。ニポウディスクは、中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本のピンホール列または2本以上のピンホール列ごとにそれぞれのピンホール列を構成するピンホールの大きさが相違している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点顕微鏡などに用いられる共焦点光スキャナ検出装置、光スキャナおよびそれに用いられる改良型のニポウディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光イメージングによる生体の機能測定法において、共焦点光走査法が適用されている。この共焦点光走査法の1つにニポウディスクを用いるニポウディスク法がある。
【0003】
従来のニポウディスクは多数のピンホールが設けられている(ニポウディスクはピンホールディスクともいう)。ここで、図8は従来のニポウディスク100の一例を示す平面図である。このニポウディスク100は均一の直径(50ミクロン)のピンホールPが中心から周辺部に向かって螺旋状に並べられたピンホール列PLを12条(12本)有している。また、ニポウディスク100は、ピンホールPが2万個形成され、ディスク全体でみたときの開口率(ディスクの所定面積あたりのピンホールの占める割合)が3%程度である。なお、この種のニポウディスクを用いた顕微鏡に関しては、特許文献1に示す共焦点顕微鏡が知られている。
【特許文献1】特開2006−201207号公報
【特許文献2】特開2004−93721号公報
【0004】
前記の構成では、ニポウディスクに照射された光のおよそ3%程度しか利用することができず、効率が悪いという問題があった。この点を改良したものとして、ニポウディスクと共にマイクロレンズディスクを用いた光スキャナを構成したものが知られている。この構成においては照射される光をマイクロレンズディスクで受けてニポウディスク上に集光するため、照射する光の約40%を利用できるという利点がある。これらのマイクロレンズディスクとニポウディスクは、一体としてモータによって一定の速度で回転するようになっている。
【0005】
このニポウディスク100を用いた光スキャナでは、ニポウディスク100が回転することによって、多数の光スポットが走査されて共焦点像が形成され、最速で毎秒千枚程度の画像が得られるようになっている。なお、この種の光スキャナに関しては、例えば、特許文献2に示す共焦点光スキャナが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のニポウディスク100を用いた光スキャナはニポウディスク100に形成されているピンホールの大きさが等しく個数も一定であり、ディスク全体の開口率が一定でこれを変えることができなかった。
【0007】
また、光スキャナの分解能を上げようとするには、ピンホールの大きさをできるだけ小さくして開口率を低くする方がよいが、そうすると、得られる画像が暗くなりやすい。得られる画像を明るくするにはピンホールの大きさをできるだけ大きくする必要があるが、そうすると、光スキャナの分解能を上げることができなくなってしまう。
【0008】
このように、従来の光スキャナは分解能と画像の明るさという相反するパラメータを考慮しなければならず、測定対象に応じてそのどちらかを優先させた使い方がなし得るのが望ましいところ、開口率が一定であったためにこれを実現することができなかった。例えば、ニポウディスク100を用いた光スキャナは、空間解像力は有しているものの、蛍光の取得効率が低く、落射像(非共焦点像)のようにディスク開口率を100%近くにして画像を取得することが困難であった。また、ある程度空間解像力は犠牲にしても明るさを稼いだ、上記の共焦点画像と落射像の中間画像なども得ることができなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、開口率を変更することができて測定対象に応じた適切な画像を取得できるようにした共焦点光スキャナ検出装置、光スキャナおよびそれに用いられるニポウディスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、ニポウディスクを回転させて試料を走査する光スキャナと、ニポウディスクを介して試料を照射する光源と、光スキャナからの出射光を入力して試料の画像を撮影する撮像装置とを有する共焦点光スキャナ検出装置であって、ニポウディスクは、中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本のピンホール列または2本以上のピンホール列ごとにそれぞれのピンホール列を構成するピンホールの大きさが相違している共焦点光スキャナ検出装置を特徴とする。
【0011】
この共焦点光スキャナ検出装置は、ニポウディスクにおいて1本のピンホール列または2本以上のピンホール列ごとにそれぞれのピンホール列を構成するピンホールの大きさが相違しているから、開口率を変更することができ、複数の光学特性に応じた画像を撮影することができる。
【0012】
また、上記共焦点光スキャナ検出装置はピンホールの大きさが2本または3本のピンホール列ごとに相違し、かつ周回方向に沿って昇順または降順に変更されているようにすることができる。
【0013】
このようなニポウディスクを用いると、開口率を順次変更した画像を撮影することができる。
【0014】
また、上記共焦点光スキャナ検出装置は上記ニポウディスクに対向し、ピンホールに光源からの光を集光するマイクロレンズディスクを設けることができる。
【0015】
このようにしてマイクロレンズディスクを設けることで、より明るい画像を撮影することができる。
【0016】
そして、本発明は、ニポウディスクを回転させて試料を走査する光スキャナであって、ニポウディスクは、中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本のピンホール列または2本以上のピンホール列ごとにそれぞれのピンホール列を構成するピンホールの大きさが相違している光スキャナを特徴とする。
【0017】
この光スキャナの場合、ニポウディスクにおける1本のピンホール列または2本以上のピンホール列ごとにそれぞれのピンホール列を構成するピンホールの大きさが相違しているから、開口率を変更することができる。
【0018】
また、上記光スキャナはピンホールの大きさが2本または3本のピンホール列ごとに相違し、かつ周回方向に沿って昇順または降順に変更されているようにすることができる。
【0019】
このようなニポウディスクを用いると、開口率を順次変更した画像を撮影できるようになる。
【0020】
さらに、ニポウディスクは、隣接しているピンホール列の間に開口率が100%になるようにして開口している開口部を更に有することが好ましい。
【0021】
こうすると、開口率を100%に適応した画像(落射照明像のような非共焦点画像)を撮影する上で好適である。
【0022】
また、上記光スキャナは上記ニポウディスクに対向し、ピンホールに光源からの光を集光するマイクロレンズディスクを設けることができる。
【0023】
このようにしてマイクロレンズディスクを設けることで、より明るい画像を撮影することができる。
【0024】
また、ニポウディスクは、同じ大きさのピンホールを備えたピンホール列の本数がピンホールの大きさの昇順に少なくなっているようにすることもできる。
【0025】
さらに、ニポウディスクは、各ピンホールが螺旋状に並べられているようにすることが好ましい。
【0026】
こうすると、ニポウディスクの内周と外周での光走査時の明暗むらが生じなくすることができる。
【0027】
そして、本発明は、光スキャナに用いられるニポウディスクであって、中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本のピンホール列または2本以上のピンホール列ごとにピンホール列を構成するピンホールの大きさが相違しているニポウディスクを提供する。
【発明の効果】
【0028】
以上詳述したように、本発明によれば、開口率を変更することができて測定対象に応じた適切な画像を取得することができる共焦点光スキャナ検出装置、光スキャナおよびそれに用いられるニポウディスクを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0030】
(共焦点光スキャナ検出装置および光スキャナの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る共焦点光スキャナ検出装置30の概略構成を示す図である。共焦点光スキャナ検出装置30は、光スキャナ1と、光源20、21と、リレーレンズ22と、対物レンズ23とを有し、さらに撮像装置24およびコントローラ25を有している。
【0031】
光スキャナ1は、マイクロレンズディスク2と、改良型ニポウディスク3と、モータ4と、固定部材5およびビームスプリッタ6を有している。この光スキャナ1は、固定部材5によってマイクロレンズディスク2と改良型ニポウディスク3とが一体とされ、その一体となったマイクロレンズディスク2と改良型ニポウディスク3がモータ4の駆動力を受けて回転軸7の周りに一定の速度で回転するようになっている。
【0032】
マイクロレンズディスク2は、マイクロレンズ2aを有し、そのマイクロレンズ2aによって光源20からの照射光L1を集光して改良型ニポウディスク3に備えられた後述するピンホール(微小開口部)P1、P2、P3または開口部8に照射する。
【0033】
改良型ニポウディスク3は、複数のピンホールP1、P2、P3が中心から周辺に向かって並べられた後述する複数のピンホール列PL1、PL2、PL3を有している。この改良型ニポウディスク3は従来のニポウディスクの改良型となるもので、その構成については後に詳述する。
【0034】
ビームスプリッタ6はマイクロレンズディスク2と改良型ニポウディスク3との間に設置されている。このビームスプリッタ6は、マイクロレンズディスク2を通った後述する照射光L1を改良型ニポウディスク3に入射させる。また、ビームスプリッタ6は、試料31からの後述する戻り光L3または後述する透過照明光L2を反射させてリレーレンズ22に入射させる。
【0035】
光源20はレーザ光(または白色光)を照射光L1として出力し、その照射光L1を光スキャナ1のマイクロレンズディスク2に入射させる。また、光源21はレーザ光(または白色光)透過照明光L2として出力し、試料31を照射する。
【0036】
リレーレンズ22はビームスプリッタ6で反射される戻り光L3または透過照明光L2を撮像装置24に結像させる。対物レンズ23は、光スキャナ1から出力される照射光L1を入力して試料31上に微小スポットを形成する。
【0037】
撮像装置24はビームスプリッタ6から出力される戻り光L3または透過照明光L2を入射して試料31の画像を撮影する。
【0038】
コントローラ25は少なくともCPU,ROMおよびRAMを有し、CPUがROMに記憶されている制御プログラムにしたがい作動する。そして、コントローラ25は撮像装置24の撮影タイミングや撮像装置24内部の図示しないシャッタと、回転している改良型ニポウディスク3のピンホールP1、P2、P3または開口部8の位置との同期をとるなどして撮影タイミングを制御する。
【0039】
(改良型ニポウディスク3の構成)
改良型ニポウディスク3は、ガラス等からなる円形状の透明基板の表面に遮光膜をコーティングなどした基板であって、図2に示すように、周回方向に沿って所定の割合で区画された大きさを有し、互いに開口率の異なる4つのゾーンZ1、Z2、Z3、Z4に分けられている。そして、ゾーンZ1、Z2、Z3は、それぞれピンホール列PL1、PL2、PL3が形成され、ゾーンZ4には開口部8が形成されている(ピンホール列PL1、PL2、PL3のピンホールP1、P2、P3および開口部8の部分はエッチングによって遮光膜が除去され、光が透過するようになっている)。
【0040】
この改良型ニポウディスク3はゾーンZ1、Z2、Z3にそれぞれピンホール列PL1、PL2、PL3が3条(3本)ずつ形成されているので、全体で9条のピンホール列を有している。ピンホール列PL1は複数のピンホールP1が中心から周辺に向かって螺旋状に並べられている。同様にピンホール列PL2は複数のピンホールP2、ピンホール列PL3は複数のピンホールP3がそれぞれ中心から周辺に向かって螺旋状に並べられている。
【0041】
また、ピンホール列PL1、PL2、PL3は、それぞれを構成するピンホールP1、P2、P3の大きさが互いに相違しており、ピンホール列PL1、PL2、PL3は、ディスクの周回方向fに沿ってピンホールP1、P2、P3の大きさの降順に並ぶようにして配置されている。
【0042】
すなわち、ピンホール列PL1、PL2、PL3を構成するピンホールP1、P2、P3の順にそれぞれの直径が小さくなっている(P1>P2>P3)。そのため、ゾーンZ1、Z2、Z3ごとの開口率(α1、α2、α3)もα1>α2>α3であり、ゾーンごとの開口率が3段階で変化するようになっている。
【0043】
開口部8は、ピンホール列PL1と、ピンホール列PL3の間の部分に配置され、その部分のコーティングを除去して形成されている。開口部8は、ゾーンZ4の部分の遮光膜がすべて除去されているので開口率が100%になっている。
【0044】
また、マイクロレンズディスク2の例を図6および7に示す。マイクロレンズディスク2には、上記の各ピンホールP1、P2、P3に対応する位置にマイクロレンズ2aがレイアウトされている。各マイクロレンズ2aは各ピンホールP1、P2、P3と同様のレンズ列2Lを形成している。なお、図6に示すマイクロレンズディスク2は開口部8に対応する部分にマイクロレンズ2aが最密になるように多数配置され、図7に示すマイクロレンズディスク32は開口部8に対応する部分にマイクロレンズ2aが配置されていない。
【0045】
(共焦点光スキャナ検出装置および光スキャナの動作の説明)
共焦点光スキャナ検出装置30は次のようにして作動する。まず、光源20からの照射光L1が光スキャナ1に入射される。光スキャナ1に入射された照射光L1はマイクロレンズディスク2のマイクロレンズ2aにより集光され、ビ−ムスプリッタ6を透過して、改良型ニポウディスク3に形成されたピンホ−ルP1、P2、P3または開口部8に集光する。ピンホ−ルP1、P2、P3または開口部8を通った照射光L1は、対物レンズ23により試料31上に照射される。
【0046】
一方、試料31からの戻り光L3は、再び対物レンズ23および改良型ニポウディスク3を通って、ビ−ムスプリッタ6で反射され(照射光L1の光軸方向と直角方向に曲げられ)、リレーレンズ22を介して撮像装置24に入射する。こうして、試料31の画像が撮像装置24に結像される。また、ここでコントローラ25はピンホ−ルP1、P2、P3または開口部8からの画像がそれぞれ別の画像になるように、撮像装置24の撮影タイミングや撮像装置24内部の図示しないシャッタの同期を取る。
【0047】
この共焦点光スキャナ検出装置30では、光スキャナ1のマイクロレンズディスク2および改良型ニポウディスク3がモータ4により一定速度で回転しており、改良型ニポウディスク3の回転により、ピンホ−ルP1、P2、P3または開口部8からの光スポットが試料31上を走査している。
【0048】
また、改良型ニポウディスク3上のピンホ−ルP1、P2、P3と試料31上の光スポットとが共焦点関係にあり、光源20からの照射光L1と、試料31からの戻り光L3とが共にピンホ−ルP1、P2、P3を通過するため、それぞれのピンホール径に応じた共焦点効果による分解能が得られる。
【0049】
さらに、光源21からの透過照明光L2が試料31を透過した上で光スキャナ1に入射すると、透過照明光L2は対物レンズ23を透過したのち、改良型ニポウディスク3上のピンホ−ルP1、P2、P3または開口部8を透過する。さらに、透過照明光L2はビ−ムスプリッタ6で反射され、リレーレンズ22を介して撮像装置24に入射する。この場合も、試料31の画像が撮像装置24に結像される。
【0050】
以上の場合において、改良型ニポウディスク3は大きさ(直径)の異なる3タイプのピンホ−ルP1、P2、P3を有しており、開口率を3段階で変更することができる。また、改良型ニポウディスク3は開口部8を有しているから、全体でみると開口率を4段階で変更することができる。したがって、共焦点光スキャナ検出装置30は分解能と画像の明るさを4通りのパターンで変更でき、1台で光学特性の異なる4種類の画像を撮影することができる。
【0051】
この場合、仮に改良型ニポウディスク3にピンホール列がX条形成され、n条で1枚の画像を取得可能に構成されていた場合において、ディスク1回転あたりに取得できる画像の光学特性をY段階で変化させようとすると(n、X、Yは整数)、
X/(nY)で求まる条数のピンホール列を各ゾーンに形成すればよいことになる。
【0052】
この改良型ニポウディスク3は、ピンホール列PL1、PL2、PL3が9条形成されているが、ゾーンZ4に開口部8の代わりにピンホ−ルP3よりも大きいピンホ−ルが並んだピンホール列を設けたとすると(図示せず)、全体で12条のピンホール列を有していることになる。また、3条で1枚の画像が取得可能に構成されていたとする。
【0053】
この場合、共焦点光スキャナ検出装置30にこのような改良型ニポウディスクを用いてピンホール3条で1枚の画像を取得可能に構成すると、1回転で4枚の画像を得ることができる。
【0054】
光スキャナ1の標準的なディスク回転スピードが毎秒80回転であるから、この12条のピンホール列を備えた改良型ニポウディスクを用いるときは毎秒320枚の画像を撮影することができる。また、開口率(ゾーン)ごとの画像形成速度は毎秒80枚になる。
【0055】
さらに、仮に改良型ニポウディスク3の全体でピンホールの大きさを8段階で変更するようにしたとすると、各開口率について毎秒40枚の画像がとれる。これでも、リアルタイムイメージングにおいて標準的速度とされている毎秒30枚よりも撮影できる枚数が多い。したがって、このような共焦点光スキャナ検出装置30の撮影速度(単位時間当たりの撮影枚数)は標準的速度と比べても遜色のないものである。
【0056】
その上、共焦点光スキャナ検出装置30は、開口部8を用いて撮影するときは開口率を100%にすることができるため、共焦点画像だけでなく、落射照明像のような非共焦点画像の撮影にも好適である。
【0057】
改良型ニポウディスク3は、ピンホールP1、P2、P3の大きさが周回方向fに沿って降順に(小さくなるようにして)変更されているから、共焦点光スキャナ検出装置30は、開口率を順次変更した画像(この場合は開口率を大中小と順次変更した画像)を撮影することができる。
【0058】
そして、このような共焦点光スキャナ検出装置30によって、改良型ニポウディスク3を回転させながら撮像装置24の撮影を継続した場合、ゾーンZ1、Z2、Z3、Z4ごとに光学特性の異なる画像が順次得られる。
【0059】
そのため、ゾーンZ1、Z2、Z3、Z4を用いて撮影される画像をそれぞれA,B,C,Dとし、ゾーンZ1、Z2、Z3では1枚ずつ撮影されるとすると、撮影される画像はA,B,C,D,A,B,C,D・・・となって、光学特性の異なる4種類の画像が混在してしまうおそれがある。
【0060】
そこで、コントローラ25により、撮像装置24の撮影タイミングをゾーンZ1、Z2、Z3、Z4のうちの撮影に用いるゾーンの位置に合わせるように制御する(各ゾーンの画像がそれぞれ別の画像になるように、撮像装置24の撮影タイミングや像装置24内部のシャッタと、改良型ニポウディスク3の回転の同期を取る)ことによって、必要とする開口率で撮影された画像が得られるようにでき、光学特性の異なる画像の混在を回避することができる。
【0061】
例えば、撮像装置24の撮影タイミングとゾーンZ1の位置との同期をとることによって、撮影される画像は、A,A,A,A,A・・・となるようにすることができる。
【0062】
この場合、所定のセンサで改良型ニポウディスク3におけるゾーンZ1の位置を検出しつつ(センサが位置検出手段としての動作を行い)、その検出されたゾーンZ1の位置に基づき、コントローラ25が撮像装置24の撮影タイミングを制御する同期制御手段としての動作を実行するようにすればよい。
【0063】
以上のように、共焦点光スキャナ検出装置30および光スキャナ1では、改良型ニポウディスク3に大きさの異なるピンホールを設けているため、開口率を段階的に変更することが可能になっている。したがって、共焦点光スキャナ検出装置30では、共焦点法において取得できる光学的断層像を光学特性の異なる複数のタイプで撮影することができる。また、透過像や発光像の撮影もほぼ同じタイミングで行えるので、測定対象に合わせて光学条件を柔軟に変更することもできる。
【0064】
また、共焦点光スキャナ検出装置30は、撮像装置24の撮影タイミングや撮像装置24内部のシャッタとゾーンの位置との同期を取ることによって、所望のピンホールを用いた共焦点画像を取得することもできる。
【0065】
さらに、ピンホールP1、P2、P3が螺旋状に並べられているので、ピンホールのピッチを適宜コントロールすることによって、改良型ニポウディスク3の内周と外周での光走査時の明暗むらが生じなくなっている。
【0066】
(変形例)
上述した共焦点光スキャナ検出装置30は、改良型ニポウディスク3の代わりに図3に示す改良型ニポウディスク13を用いてもよい。改良型ニポウディスク13は改良型ニポウディスク3と比較して、以下の点が相違し、そのほかの点は同じである。すなわち、改良型ニポウディスク13はゾーンZ1、Z2、Z3がいずれもピンホール列PL1、PL2、PL3を1本ずつ有している。
【0067】
したがって、改良型ニポウディスク13はピンホール列1本ごとにピンホールの大きさが相違している。この改良型ニポウディスク13を用いても、分解能と画像の明るさを段階的に変更することができる。この改良型ニポウディスク13を用いる場合は、撮像装置24の撮影タイミングとピンホール列の位置との同期を取ることによって、所望の開口率で共焦点画像を撮影することができる。
【0068】
また、共焦点光スキャナ検出装置30は、改良型ニポウディスク3の代わりに図4に示す改良型ニポウディスク14を用いてもよい。改良型ニポウディスク14は改良型ニポウディスク3と比較して、以下の点が相違し、そのほかの点は同じである。すなわち、改良型ニポウディスク14は、各ゾーンZ1、Z2、Z3について、ピンホール列PL1、PL2、PL3の本数がそれぞれ2本、3本、4本となり、ピンホールP1、P2、P3の大きさの降順にピンホール列PL1、PL2、PL3の本数が多くなっている。
【0069】
なお、マイクロレンズディスク2におけるレンズ2aの位置は、図6のほか、図7のようにしても効果は変わらない。
【0070】
さらに、共焦点光スキャナ検出装置30は、改良型ニポウディスク3の代わりに図5に示す改良型ニポウディスク15を用いてもよい。改良型ニポウディスク15は改良型ニポウディスク3と比較して、以下の点が相違し、そのほかの点は同じである。すなわち、改良型ニポウディスク15は、ピンホール列PL1、PL2、PL3のピンホールP1、P2、P3が直線状に並べられ、各ゾーンZ1、Z2、Z3、Z4が周方向に沿って4等分された均等な大きさの4分円になっている。
【0071】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【0072】
例えば、上記の実施の形態の改良型ニポウディスクでは、4つのゾーンを設けているが、ゾーンの個数を2つにして開口率を大小2段階で変更できるようにしてもよいし、ゾーンの個数を5以上にして、開口率を5段階以上で変更できるようにしてもよい。ゾーンの大きさは等しくしてもよいが、異ならせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係る共焦点光スキャナ検出装置30の概略構成を示す図である。
【図2】改良型ニポウディスクの一例を示す平面図である。
【図3】変形例に係る改良型ニポウディスクの一例を示す平面図である。
【図4】別の変形例に係る改良型ニポウディスクの一例を示す平面図である。
【図5】さらに別の変形例に係る改良型ニポウディスクの一例を示す平面図である。
【図6】マイクロレンズディスクの一例を示す平面図である。
【図7】マイクロレンズディスクの他例を示す平面図である。
【図8】従来のニポウディスクの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0074】
1…光スキャナ、2…マイクロレンズディスク、3…改良型ニポウディスク
8…開口部、24…光撮影装置、25…コントローラ、20,21…光源
PL1、PL2、PL3…ピンホール列
P1、P2、P3…ピンホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニポウディスクを回転させて試料を走査する光スキャナと、前記ニポウディスクを介して前記試料を照射する光源と、前記光スキャナからの出射光を入力して前記試料の画像を撮影する撮像装置とを有する共焦点光スキャナ検出装置であって、
前記ニポウディスクは、中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本の前記ピンホール列または2本以上の前記ピンホール列ごとにそれぞれの前記ピンホール列を構成する前記ピンホールの大きさが相違していることを特徴とする共焦点光スキャナ検出装置。
【請求項2】
前記ピンホールの大きさが2本または3本の前記ピンホール列ごとに相違し、かつ周回方向に沿って昇順または降順に変更されていることを特徴とする請求項1記載の共焦点光スキャナ検出装置。
【請求項3】
前記ニポウディスクに対向し、前記ピンホールに前記光源からの光を集光するマイクロレンズディスクを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の共焦点光スキャナ検出装置。
【請求項4】
ニポウディスクを回転させて試料を走査する光スキャナであって、
前記ニポウディスクは、中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本の前記ピンホール列または2本以上の前記ピンホール列ごとにそれぞれの前記ピンホール列を構成する前記ピンホールの大きさが相違していることを特徴とする光スキャナ。
【請求項5】
前記ピンホールの大きさが2本または3本の前記ピンホール列ごとに相違し、かつ周回方向に沿って昇順または降順に変更されていることを特徴とする請求項4記載の光スキャナ。
【請求項6】
前記ニポウディスクは、隣接している前記ピンホール列の間に開口率が100%になるようにして開口している開口部を更に有する請求項4または5記載の光スキャナ。
【請求項7】
前記ニポウディスクに対向し、前記ピンホールに前記光源からの光を集光するマイクロレンズディスクを設けたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項記載の光スキャナ。
【請求項8】
前記ニポウディスクは、同じ大きさの前記ピンホールを備えた前記ピンホール列の本数が前記ピンホールの大きさの昇順に少なくなっていることを特徴とする請求項4記載の光スキャナ。
【請求項9】
前記ニポウディスクは、前記各ピンホールが螺旋状に並べられていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項記載の光スキャナ。
【請求項10】
光スキャナに用いられるニポウディスクであって、
中心から周辺に向かって複数のピンホールが並んだピンホール列を複数有し、1本の前記ピンホール列または2本以上の前記ピンホール列ごとに前記ピンホール列を構成する前記ピンホールの大きさが相違していることを特徴とするニポウディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−233543(P2008−233543A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73085(P2007−73085)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】