説明

共焦点顕微鏡を用いてシリンダ内壁の表面を測定するための装置及び方法

本発明は、コンピュータ制御型共焦点顕微鏡で、顕微鏡基部、当該顕微鏡基部に取り付けられた対物レンズ付チューブ、水平方向に位置している並進器(3)付偏向光学系(2)を有する共焦点顕微鏡を用いて、エンジンブロック内の円筒部内面の3次元表面画像を形成するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで説明する方法は、コンピュータ制御型共焦点顕微鏡を用いて、内壁、特殊なシリンダ内面の非破壊3D検査用に使われる。特に自動車産業では、特にシリンダ内面はエンジン技術にとって臨界的な部材であるので、この方法には大きな市場がある。
【0002】
従来技術では、接触式の方法及び結像顕微鏡での解決手段は公知である。接触式方法の欠点は、表面をスキャンし、それにより、作動が比較的遅速であるという点にある。結像顕微鏡が従来技術で有している欠点は、3次元データを形成することができないという点にある。ここでは、コンピュータ制御型共焦点顕微鏡を用いて、シリンダ内壁を3次元測定するための方法について説明する。
【0003】
その際:
図1は:シリンダ内面の観測用の偏向光学系を有する共焦点顕微鏡の原理図、
図2は:シリンダ内に共焦点顕微鏡を組み込むための保持及び調整装置の原理図
である。
【0004】
ここで紹介している本発明が有している基本的な利点は、非破壊及び比較的高速でシリンダ内面を、回折により限定されるラテラル方向での分解能で3次元結像することができる点にある。共焦点顕微鏡のチューブは、ほぼ全長に亘って、79mmの最小直径のシリンダ内に収納することができる。本発明を用いると、シリンダ内に、目下のところ10mmの最大挿入深さに至る迄共焦点表面画像を非破壊撮影することができる。
【0005】
特別なガイド部により、チューブが損傷しないようにすることができ、観測領域を垂直及び水平方向に調整することができるようになる。シリンダ内での回転運動によって、殆ど全シリンダ内面を測定することができる。
【0006】
入れられている顕微鏡は、コンピュータ制御され、ビデオ画像も共焦点画像も形成することができる。リモート制御部を設けてもよい評価ユニットを用いて、形成されたローデータからトポグラフィックなパラメータが形成される。
【0007】
ここで紹介している技術開発は、元来使用されている顕微鏡チューブの代わりの特殊チューブ、及び、共焦点顕微鏡をシリンダ上に取り付けて、調整ユニットとしても使用される保持機構である。基部の構造は、殆ど変更なしのままである。
【0008】
本発明によると、本発明に課せられた課題が、請求項1記載の各要件を用いて解決される。
【0009】
装置では、この課題は、請求項2及び10記載の要件を用いて解決される。
【0010】
図1は、シリンダ内面の観測用の偏向光学系を有する共焦点顕微鏡のビーム路を示す。水平方向に位置している対物レンズ(1)は、水平方向に位置している位置決め部材(3)、ここでは、圧電調整部材内にネジ式に挿入されている。鏡面状の斜辺を有するプリズム(2)によって、ビームが偏向される。構成スペースを節約するために、反射角は、垂直方向から6°だけずらされている。チューブ(8)は、中間画像内に位置しているニポーディスク(Nipkowscheibe)(4)の近傍で顕微鏡基部(9)に取り付けられている。顕微鏡基部は、実質的にモータドライブにより回転するニポーディスク(4)、ビームスプリッタ(5)並びに光源(6)及びCCDカメラ(7)から構成されている。
【0011】
図2は、共焦点顕微鏡をシリンダ内に組み込むための保持及び調整装置の原理図を示す。シリンダ(10)内には、上側4mmの領域内にクランププレート(11)がクランプされている。このクランププレートは、2つの部分から構成されており、クランプするために相互に拡がる。両部分は、各々下側に2つの突出したニップル部を有していて、シリンダ内に嵌め込むことができる。その上には、シフト可能な調整プレート(12)が取り付けられており、それにより、フォーカシングすることができる。対向し合った2つの送りガイド部(13)内にチューブ(8)が装着され、案内されて、クランプ装置を用いて正確な挿入深さに達するとロックすることができる。チューブには、水平方向に位置している圧電調整器(3)が取り付けられており、この圧電調整器(3)に対物レンズ(1)が保持されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】シリンダ内面の観測用の偏向光学系を有する共焦点顕微鏡の原理図
【図2】シリンダ内に共焦点顕微鏡を組み込むための保持及び調整装置の原理図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ制御型共焦点顕微鏡で、顕微鏡基部、当該顕微鏡基部に取り付けられた対物レンズ付チューブ、水平方向に位置している並進器(3)付偏向光学系(2)を有する共焦点顕微鏡を用いて、エンジンブロック内の円筒部内面の3次元表面画像を形成するための方法。
【請求項2】
対物レンズ(1)の前に位置している偏向光学系(2)を有する請求項1記載の方法を実施するための装置。
【請求項3】
偏向光学系(2)は、反射プリズムからなる請求項2記載の装置。
【請求項4】
偏向光学系(2)は、表面ミラーからなる請求項2記載の装置。
【請求項5】
偏向光学系(2)は、ビームを90°よりも小さな角度だけ偏向する請求項2から4迄の何れか1記載の装置。
【請求項6】
対物レンズ(1)は、45mmの補償長さを有する標準光学系である請求項2から5迄の何れか1記載の装置。
【請求項7】
対物レンズ(1)は、45mmよりも短い補償長さを有する請求項2から5迄の何れか1記載の装置。
【請求項8】
対物レンズ(1)は、圧電調整素子(3)を用いて移動可能である請求項2から7迄の何れか1記載の装置。
【請求項9】
対物レンズ(1)は、ステップモータを用いて移動可能である請求項2から7迄の何れか1記載の装置。
【請求項10】
シリンダ内面の測定のために、エンジンブロック内のシリンダ内に挿入するためのコンピュータ制御型共焦点顕微鏡の取付及び調整用の装置を有する請求項2から9迄の何れか1記載の装置。
【請求項11】
取付装置は、シリンダに対するクランプ又はネジ結合部を有している請求項10記載の装置。
【請求項12】
顕微鏡は、リニアガイド部(13)によってシリンダ内に挿入可能である請求項10又は12記載の装置。
【請求項13】
顕微鏡は、挿入深さに関してリニアガイド部(13)によって調整可能であり、固定可能である請求項10から12迄の何れか1記載の装置。
【請求項14】
固定又は調整装置は、シリンダ軸を中心にして回転可能である請求項10から13迄の何れか1記載の装置。
【請求項15】
取付部により、対物レンズとシリンダ内面との距離の調整、つまり、フォーカシングが可能である請求項10から14迄の何れか1記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−506628(P2006−506628A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552399(P2004−552399)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003781
【国際公開番号】WO2004/046642
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(301014719)ナノフォーカス アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Nanofocus AG
【住所又は居所原語表記】Im Lipperfeld 33、 D−46047 Oberhausen、 Germany
【Fターム(参考)】