説明

共生乳酸産生細菌およびその使用

【課題】抗生物質耐性の乳酸産性細菌株を、種々の型の治療適用における利用のために、選択的に育種および単離するための方法論を提供すること。
【解決手段】病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の乳酸産生細菌の1以上の種または株を含み、ここで、当該乳酸産生細菌は、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、治療組成物における共生生物の利用のための方法および組成物に関する。より詳細には、本発明は、乳酸産生細菌(好ましくは、Bacillus coagulans株)の1つ以上の種または株の、胃腸管病原体(抗生物質耐性胃腸管病原体を含む)ならびにその関連疾患の制御のための利用に関し、この制御は、その抗生物質耐性病原体のコロニー形成の速度の減少、およびそのコロニー形成の有害な生理学的効果の重篤度の減少の両方による。さらに、本発明は、乳酸産生細菌および抗微生物剤(例えば、抗生物質、抗真菌化合物、抗酵母化合物、または抗ウイルス化合物)を含む、治療化合物の利用に関する。さらに、本発明は、動物において乳酸産生細菌を使用して、胃腸管病原体を緩和することに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(1.共生微生物)
胃腸の微生物叢は、胃腸管機能および全体の生理学的健康を維持するのに、多くの重要な役割を果たすことが示されている。例えば、胃腸管に存在する多くの個々の細菌種の増殖および代謝は、それらが利用し得る基質に主に依存し、その基質のほとんどは、食餌に由来する。例えば、Gibson G.R.ら、1995、Gastroenterology 106:975〜982;Christl,S.U.ら、1992、Gut 33:1234〜1238を参照のこと。これらの知見は、この共同体の構造および代謝活性を、食餌(生きた微生物食物補助剤である共生生物を主に用いて)を通じて改変する試みをもたらした。公知の最良の共生生物は、乳酸産生細菌(すなわち、Lactobacilli)およびBifidobacteriaであり、これらは、ヨーグルトおよび他の乳製品において広く利用されている。これらの共生生物は、非病原性でありかつ非毒素原性であり、貯蔵の間に生存能力を保持し、そして胃および小腸を通じる通路で生存する。共生生物は宿主において永続的にはコロニー形成しないので、これらはいかなる健康促進特性も存続するように、規則的に摂取される必要がある。市販の共生生物調製物は、一般的に、LactobacilliおよびBifidobacteriaの混合物から構成されるが、酵母(例えば、Saccharomyces)もまた利用されている。
【0003】
共生生物調製物は、1900年代初期に、健康および長寿に対するその効果が、最初に系統的に評価された(例えば、Metchinikoff,E.、Prolongation of life、Willaim Heinermann、London 1910)が、その利用は、1950年代における病原性微生物を処置するための抗生物質の出現以来、著しく制限されていた。例えば、Winbergら、1993、Pediatr.Nephrol.7:509〜514;Malinら、Ann.Nutr.Metab.40:137〜145;および米国特許第5,176,911号を参照のこと。同様に、乳酸産生細菌(例えば、Bacillus種、Lactobacillus種およびStreptococcus種)が、食品添加物として利用されており、そしてそれらが栄養的価値および/または治療的価値を提供するという主張がいくらか存在する。例えば、Gorbach、1990、Ann.Med.22:37〜41;Reidら、1990、Clin.Microbiol.Rev.3:335〜344を参照のこと。
【0004】
従って、共生微生物は、特定の環境において増殖する場合に、しばしば、同じ環境において他の生物学的生物の増殖を阻害することにより利益を付与する微生物である。共生生物の例としては、胃腸管内において、少なくとも一時的には、増殖して病原性生物を追い払うかまたは破壊する能力を保持し、ならびに宿主に他の利益を提供する、細菌およびバクテリオファージが挙げられる。例えば、Salminenら、1996、Antonie Van Leeuwenhoek 70:347〜358;Elmerら、1996、JAMA 275:870〜876;Rafter、1995、Scand.J.Gastroenterol.30:497〜502;Perdigonら、1995、J.Dairy Sci.78:1597〜1606;Gandi、Townsend Lett.Doctors&Patients、108〜110頁、1994年1月;Lidbeckら、1992、Eur.J.Cancer Prev.1:341〜353を参照のこと。
【0005】
共生に対する以前の研究の大部分は、事実、機械論的であるよりむしろ観察的であった。従って、多くの共生現象を担うプロセスは、未だ定性的には解明されていない。いくらかの共生生物は、正常な結腸の微生物叢のメンバーであり、そして明白に病原性であるとは見なされていない。しかし、これらの生物は、時々、例えば、免疫無防備状態である個体において感染(例えば、菌血症)を引き起こしてきた。例えば、Sussman,J.ら、1986、Rev Infect.Dis.8:771〜776;Hata,D.ら、1988、Pediatr.Infect.Dis.7:669〜671を参照のこと。
【0006】
胃腸管上皮への共生生物の付着は、宿主免反応性を改変するその能力の重要な決定因子であるが、これは、LactobacilliまたはBifidobacteriaの普遍的特性ではなく、首尾良い共生に必須でもない。例えば、Fuller,R.1989、J.Appl.Bacteriol.66:365〜378を参照のこと。例えば、ヒト腸細胞様CACO−2細胞へのLactobacillus acidophilusおよびいくらかのBfidobacteriaの付着は、腸毒素産生性および腸病原性のEscherichia coli、ならびにSalmonella typhimuriumおよびYersinia pseudotuberculosisの結合を予防することが示された。例えば、Bermet,M.F.ら、1984、Gut 35:483〜489;Bernet,M.F.ら、1993、Appl.Environ.Microbiol.59:4121〜4128を参照のこと。
【0007】
胃腸微生物叢は、生物の侵入に対して微生物に基く障壁を提供するが、微生物叢の完全性が、ストレス、疾病、抗生物質処理、食餌の変化、または胃腸管中の生理学的変化を通じて損われる場合に、病原体はしばしば樹立される。例えば、Bifidobacteriaは、大腸において病原体のコロニー形成に抵抗することに関与することが公知である。例えば、Yamazaki,S.ら、1982、Bifidobacteria and Microflora 1:55〜60を参照のこと。同様に、胃腸炎を有する子供へのBifidobacteria breveの投与により、その便から鎮静性病原性細菌(すなわち、Campylobacter jejuni)が根絶され(例えば、Tojo,M.1987、Acta Pediatr.Jpn.29:160〜167を参照のこと)、そして乳児の調合乳にBifidobacteria bifidumおよびStreptococcus thermophilusを補充することが、入院していた子供におけるロタウイルスの脱殻(shedding)および下痢のエピソードを減少することが見出された(例えば、Saavedra,J.M.、1994、The Lancet 344:1046〜109を参照のこと)。
【0008】
さらに、いくらかの乳酸産性細菌はまた、細菌の抗微生物効果を担う阻害性代謝物である、バクテリオシンを産生する。例えば、Klaenhammer、1993、FEMS Microbiol.Rev.12:39〜85;Barefootら、1993、J.Diary Sci.76:2366〜2379を参照のこと。例えば、抗生物質を産生する選択されたLactobacillus株は、感染、静脈洞炎、痔核、歯の炎症、および種々の他の炎症状態の処置に有効であると示された。例えば、米国特許第5,439,995号を参照のこと。さらに、Lactobacillus reuteriは、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌、酵母、ならびに種々の原生生物に対する抗微生物活性を保有する抗生物質を産生することが示された。例えば、米国特許第5,413,960号および同5,439,678号を参照のこと。
【0009】
共生生物はまた、抗変異原性特性を保有することが示された。例えば、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌は、高温で調理する間に産生される変異原性の熱分解産物(prolysate)に結合することが示された。乳酸産生細菌を用いて実施された研究は、このプロセスが、この細菌の細胞壁に存在する糖質ポリマーへの変異原性熱分解産物の吸着により生じるという事実に起因して、これらの細菌が生きているかまたは死んでいるかの、いずれでもあり得ることが示された。例えば、Zang,X.B.ら、1990、J.Dairy Sci.73:2702〜2710を参照のこと。Lactobacilliはまた、発癌物質(例えば、N−ニトロサミン)を分解することが示された。これは、このプロセスがその後に、粘膜表面のレベルで生じることが見出される場合に、重要な役割を果たし得る。例えば、Rowland,I.R.およびGrasso,P.、Appl.Microbiol.29:7〜12を参照のこと。さらに、発癌物質であるアゾキシメタンを注射されたラットへのラクトースとBifidobacteria longumの同時投与は、腸の異常な隠れた病巣(crypt foci)(これは、一般的に、新生物発生前のマーカーであると考えられる)を減少することが示された。例えば、Challa,A.ら、1997、Carcinogenesis 18:5175〜21を参照のこと。Bifidobacteriaの精製された細胞壁はまた、Bifidobacteria infantisの細胞壁が腫瘍細胞の増殖を破壊するように食細胞の活性化を誘導するという点で、抗腫瘍原性活性を保有し得る。例えば、Sekine,K.ら、1994、Bifidobacteria and Microflora 13:65〜77を参照のこと。Bifidobacteria共生生物はまた、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)を同時投与された場合に、マウスにおいて1,2−ジメチルヒドラジンにより誘導される結腸の発癌現象を減少すること(例えば、Koo,M.B.およびRao,A.V.、1991、Nutrit.Rev.51:137〜146を参照のこと)、ならびにラットにおいて肝臓癌および乳癌を阻害すること(例えば、Reddy,B.S.およびRiverson,A.、1993、Cancer Res.53:3914〜3919を参照のこと)が示された。
【0010】
胃腸管の微生物叢が、宿主中の粘膜性免疫および全身性免疫の両方に影響することもまた示された。例えば、Famularo,G.ら、Stimulation of Immunity by Probiotics、Probiotics:Therapeutic and Other Beneficial Effects、133〜161頁(Fuller.R.編、ChapmanおよびにHall、1997)を参照のこと。腸上皮細胞、血液白血球、Bリンパ球およびTリンパ球、ならびに免疫系の補助細胞は、全て、上述の免疫に関与している。例えば、Schiffrin,E.J.ら、1997、Am.J.Clin.Nutr.66(補遺):5〜20Sを参照のこと。免疫調節特性を保有する他の細菌代謝産物としては、腸毒素リポサッカライド、ペプチドグリカン、およびリポテイコ酸が挙げられる。例えば、Standiford,T.K.1994、Infect.Linmun.62:119〜125を参照のこと。従って、共生生物は、以下を含むが、これらに限定されない多くのレベルで免疫系と相互作用すると考えられる:サイトカイン産生、単核細胞増殖、マクロファージの食作用および殺傷、自己免疫の調節、細菌病原体および原性生物病原体に対する免疫など。例えば、Matsumara,K.ら、1992、Animal Sci.Technol.(Jpn)63:1157〜1159;Solis−Pereyra,B.およびLemmonier,D.、1993、Nutr.Res.13:1127〜1140を参照のこと。Lactobacillus株はまた、炎症および免疫学的応答における変化(Bリンパ球およびTリンパ球の数に同様の減少をもたらすことのない結腸炎症浸潤の減少を含むが、これに限定されない)を顕著にもたらすことが見出された。例えば、De Simone,C.ら、1992、Immunopharmacol.Immumotoxicol.14:331〜340を参照のこと。
【0011】
(2.抗生物質投与の胃腸の効果)
抗生物質は、ヒトおよび動物の両方において、病原性微生物を制御するために広く使用される。不運にも、抗微生物剤(特に広いスペクトルの抗生物質)の広範な使用が、多数の深刻な臨床結果を生じた。例えば、抗生物質は、消化機能および健康に寄与する、胃腸管内の有益な非病原性微生物(例えば、微生物叢)をしばしば殺傷する。従って、再発(感染の回帰およびその関連症状)および二次的日和見感染が、乳酸産生微生物叢および胃腸管内の他の有益な微生物叢の枯渇からしばしば生じる。
【0012】
不運にも、ほとんど(すべてではない場合)の乳酸産生細菌または共生生物細菌は、一般的抗生物質化合物に極めて感受性である。従って、抗生物質治療の正常の過程の間に、多くの個体が、多数の有害な生理学的副作用(下痢、腸痙攣、および時折の便秘を含む)を発症する。これらの副作用は、抗生物質の非選択的作用に主に起因する。なぜなら、抗生物質は、有益な非病原性細菌と病原性細菌とを区別する能力を保有せず、両方の細菌型が、これらの薬剤により殺傷されるからである。従って、抗生物質を摂取している個体は、しばしば、有益な微生物(すなわち、腸の微生物叢)の結果として、胃腸の問題に苦しむ。この微生物は、通常、胃腸管にコロニー形成し、殺傷されるか、または深刻に弱められる。生じた腸の微生物叢の組成の変化は、ビタミン産生腸細菌が殺傷される場合にビタミン欠乏を生じ得、下痢および脱水、そしてより深刻には、疾病が病原性生物を過剰増殖させ、そして残りの有益な胃腸細菌を置換するはずである。
【0013】
抗微生物剤の無差別の使用の別の有害な結果は、多剤耐性病原体の産生である。例えば、Mitchell,P.1998、The Lancet 352:462〜463;Shannon,K.1998、Lancet 352:490〜491を参照のこと。メチシリン耐性Staphylococcus aurous(MRSA)感染の最初の報告は、バンコマイシン耐性Enterococci(VRE)のより最近の発生によって、影を薄くされた。このような耐性の発生は、従来の抗生物質治療で処置可能でないままである全身感染の多数の報告をもたらした。最近、Staphylococcus aurousのバンコマイシン(一般的に、「最後の楽園」の抗生物質とみなされる)耐性株が、オーストラリアの1つの病院において、50を超える死亡の原因であった。例えば、Shannon,K.1998、Lancet 352:490〜491を参照のこと。
【0014】
Enterococciは、現在、主な院内病原体であり、そして長期の間、そのままであるだろう。Enterococci、ならびに他の微生物は、いくつかの異なる方法で抗生物質耐性遺伝子を得る。例えば、Enterococciは、自身を「粘着性」にし、そして凝集させるフェロモンを発し、それにより遺伝物質(例えば、プラスミド(しばしば抗生物質耐性遺伝子を保有する、自律複製する環状DNA))の交換を容易にする。さらに、いくつかのEnterococciはまた、プラスミドの媒介を伴わずに、Enterococciが耐性遺伝子を直接転移することを可能にするDNA配列である「接合性トランスポゾン」を保有する。ペニシリン耐性は、この後者の機構を介して、EnterococciからStreptococciへStaphylococciへと付与されたと考えられる。
【0015】
1989年以来、バンコマイシン耐性Enterococci(VRE)での感染およびコロニー形成の発生の迅速な増加が、米国内の多数の病院により報告された。この増加は、以下を含む重要な問題を提起する:(i)VRE感染に利用可能な抗微生物治療の欠如(ほとんどのVREがこのような感染を処置するために以前に使用された薬物(例えば、アミノグリコシドおよびアンピシリン)にも耐性であるという事実に起因する);ならびに(ii)VREに存在するバンコマイシン耐性遺伝子が他のグラム陽性微生物(例えば、Staphylococcus aureus)に転移され得るという可能性。
【0016】
VRE感染およびコロニー形成の増加する危険はまた、以前のバンコマイシン治療および/または多剤(multi−anti−microbial)治療、重篤な潜在的疾患または免疫抑制、ならびに腹腔内手術と関係している。Enterococciは正常な胃腸および女性の生殖管内で見出され得るので、ほとんどの腸球菌感染は、個々の患者中の内因性供給源に帰せられていた。しかし、Enterococci(VREを含む)により引き起こされた最近の発生および地方感染の報告は、この微生物の患者から患者への伝達が、直接の接触、あるいは(i)個人の手;または(ii)汚染された患者ケアの道具または環境の表面を介しての間接的接触のいずれかを通じて、生じ得ることを示した。
【0017】
従って、ヒトおよび動物の両方において、消化病原体(抗生物質耐性胃腸管病原体を含む)の有害な生理学的効果を緩和するように機能する非常に効力のある生体合理(biorational)療法の必要性が存在する。この治療は、共生微生物による胃腸管のコロニー形成(または再コロニー形成)、続いて、抗生物質、抗真菌物質、抗ウイルス物質、および類似の物質の投与による。さらに、ヒトおよび動物の両方において、共生微生物による胃腸管のコロニー形成(または再コロニー形成)、続いて、抗生物質、抗真菌物質、抗ウイルス物質、および類似の物質の投与によって、コロニー形成率、および抗生物質耐性消化病原体のコロニー形成に起因する生理学的に有害な潜在的効果の両方を減少するように機能することによって、抗生物質耐性消化病原体を緩和するように機能する、非常に効力のある生物合理療法の開発の必要性も同様に残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、抗生物質耐性の乳酸産性細菌株を、種々の型の治療適用における利用のために、選択的に育種および単離するための方法論を開示する。例えば、1つの具体的な実施態様において、これらの乳酸産性細菌が、1つ以上の抗微生物化合物(例えば、抗生物質、抗真菌化合物、抗ウイルス化合物など)とともに同時投与される。ほとんどの臨床分野および科学分野において、抗生物質耐性微生物の産生または進化は、抗生物質化合物の不必要な支給および/または不適切な使用の望まれない結果である。しかし、本発明は、単一の(複数とは対照的に)抗生物質に対する耐性を保有する細菌を構築的に産生するように作用する。
【0019】
別の関連する局面において、本発明は、非病原性の共生乳酸産生細菌を含む組成物、ならびにこれらの組成物の利用のための方法論を開示し、この細菌は、ヒトおよび動物の両方において、共生微生物での胃腸管のコロニー形成(またはより正確には、再コロニー形成)、続いて、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および類似の薬剤の投与によって、胃腸管病原体(抗生物質耐性胃腸管病原体を含む)の有害な生理学的効果を緩和するために使用される。
【0020】
さらに、本発明は、動物において、寄生生物および病原体の効果を緩和するための乳酸産生細菌の使用に関する。
【0021】
(1.抗微生物化合物との共生細菌の同時投与)
一般的かつ抗生物質耐性の消化病原体が、抗生物質治療の間に胃腸管において生存可能なままである能力について同定された特定の共生生物の利用によって制御され得ることが、示されている。しかし、本発明の開示の前に、共生細菌のほとんどの株(例えば、Lactobacillus、Bifidobacterium、およびBacillus)が、大多数の抗生物質に対して感受性であることが見出された。従って、それらは、広いスペクトルの抗生物質とともに同時投与するには特に適切ではなかった。
【0022】
従って、本発明において、Bacillus coagulansの株が単離され、そして消化病原体を緩和するために一般的に使用される抗生物質の代表的治療濃度に曝露された場合に、生存可能なままである能力について同定された。本明細書中に開示されたこれらの新規なBacillus変異株は、抗生物質の投与の前か、投与と同時にか、または投与の後に、投与され得る。好ましい実施態様において、これらのBacillus株は、それらが耐性である選択された抗生物質と組合せて同時投与される。
【0023】
本発明により開示される1つの共生細菌株は、Bacillus coagulans GB−Mであり、Bacillus coagulans ATCC第31284株の新規な変異株(variantまたはmutant)である。Bacillus coagulans GB−Mは、マクロライド抗生物質(例えば、アジスロマイシン、エリスロマイシンおよび他の類似の抗生物質化合物)に耐性であることが示されている。化学的抗生物質と組合せて生物学的抗生物質を使用する利点、または化学的抗生物質との生物学的抗生物質の同時投与は、抗生物質治療の多くの障害および副作用に取り組むように働く。さらに、これら前述の変異株、ならびに他の乳酸産生細菌の、化学治療薬物および抗真菌剤と組合せての使用は、これらの化合物を摂取するものに、非常に有益であり、それは、これらの個体が、このようなことがないというよりむしろ頻繁に、「正常な」胃腸の微生物叢が枯渇した直接の結果である、副作用に苦しむという事実に起因する。
【0024】
本発明の前述の局面に加えて、ビフィドジェニック(bifidogenic)オリゴサッカライド(例えば、フルクト−オリゴサッカライド(FOS))が、他の有益な乳酸産生細菌の再樹立および増殖を容易にするために、そしてさらに胃腸の微生物の生物多様性を促進するために、有益である。本発明の1つの実施態様において、単離されかつ特定の抗生物質耐性のBacillus coagulans株を、ヒトまたは動物の胃腸管に投与するに適切な薬学的に受容可能なキャリア中に有効量のフルクト−オリゴサッカライド(FOS)と組合せて含む組成物が、開示される。本発明の好ましい実施態様において、Bacillus coagulans株が、芽胞(乾燥した細胞塊)の形態、流動可能な濃縮物の形態、または安定したゲルもしくはペーストの形態の、組成物中に含まれる。
【0025】
本発明の別の実施態様において、このBacillus coagulans株が、治療有効用量の抗生物質と組み合わされる。本発明の好ましい実施態様において、このBacillus coagulans株は、以下を含むがこれらに限定されない、治療濃度の抗生物質と組み合わされる:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリム−スルファメトキサゾール;セフロスポリン抗生物質ファミリーのメンバー(例えば、セファクロル、セファドロキシル;セフィキシム、セフプロジル、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン(Cephalexin)、ロラカルベフ(Loracarbef)など);ペニシリンファミリー抗生物質のメンバー(例えば、アンピシリン、アモキシリン/クラブラネート、バカンピシリン、クロキサシリン(Cloxicillin)、ペニシリンVKなど);フルオロキノロンファミリーの抗生物質のメンバー(例えば、シプロフロキサシン、グレパフロキサシン(Grepafloxacin)、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン(Trovaflixacin)など)、またはマクロライド抗生物質ファミリーのメンバー(例えば、アジスロマイシン、エリスロマイシンなど)。
【0026】
同様に、治療有効濃度の抗真菌剤もまた、利用され得る。このような抗真菌剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、およびチオコナゾール。
【0027】
上述の実施態様は、この共生細菌(選択された抗生物質に最初に感受性であり得る)を、漸増濃度の抗生物質中で選択的に培養する工程を包含し、この工程は、減少した抗生物質感受性の発生、または好ましくは、全体の抗生物質耐性の発生を容易にするためである。現在のFDA(および他の政府機関)の規制が、組換え抗生物質耐性細菌株が環境中へ意図的に放出されることを明らかに防止するという事実に起因して、これは、本発明の最も好ましい実施態様であることが留意されるべきである。従って、本発明において開示される、非組換え方法論を通じて産生される、細菌の抗生物質耐性株の利用は、これら上述の規制を侵害しない。
【0028】
同様に、本発明のさらなる実施態様は、微生物の遺伝および組換えDNAに基く技術による、乳酸産生細菌の抗生物質耐性菌株の産生のための方法論を開示する。この微生物の遺伝に基く方法論に関して、抗生物質耐性が、抗生物質耐性細菌株から抗生物質感受性菌株への、プラスミド媒介遺伝子転移および非プラスミド媒介遺伝子転移を介する遺伝情報の「転移」によって、付与され得る。プラスミドとは、小さく、非染色体性の、自己複製する環状DNAであって、しばしば抗生物質耐性遺伝子を保有する。例えば、本発明の1つの実施態様において、接合性トランスポゾン(すなわち、プラスミド媒介を伴わずに耐性遺伝子の直接の転移を可能にするDNA配列)が利用されて、抗生物質感受性細菌株に抗生物質耐性を付与し得る。別の実施態様において、組換えDNAに基く、プラスミド媒介方法論もまた、利用され得る。
【0029】
次いで、これらの新規な抗生物質耐性細菌単離株は、病原関連疾患の緩和に適切な抗生物質、ならびに/あるいは抗生物質および/または胃腸管の生態環境を枯渇させる他の薬剤の投与後の正常な消化微生物叢の再樹立と組合せて使用される。従って、本発明は、すべての抗生物質化合物が、有害な副作用を同時に緩和しつつ、抗生物質投与の全体の効力を増加するように、抗生物質耐性生体合理性(biorational)と相乗作用して働く能力を保有することを示す。
【0030】
本発明の別の実施態様において、この有益な、抗生物質耐性の乳酸産生細菌株が、抗真菌剤および/または抗生物質と同時投与されて、真菌病原体および/細菌病原体の両方の増殖が緩和される。さらに、抗ウイルス剤、ならびに酵母の増殖を阻害する薬剤もまた、抗生物質の同時投与を伴うかまたは伴わずに、利用され得る。
【0031】
本発明のなお別の実施態様において、有益な乳酸産生細菌株の投与は、例示のためであって制限のためではないが、局所投与、膣投与、眼内投与、鼻内投与、耳内投与、口腔投与などである。
【0032】
(2.抗生物質耐生胃腸病原体のコロニー形成を阻害するための共生細菌の使用)
さらに本明細書中で開示されるのは、特定の乳酸産生細菌(例えば、Bacillus coagulans)が、胃腸細菌感染(特に、Enterococcus、Clostridium、Escherichia、およびStaphylococcus種のような抗生物質耐性病原体に関連する感染)を予防し、そしてその感染のコロニー形成率を減少させる際、ならびにその病原体による感染の有害な生理学的効果を緩和する際に、阻害活性を示す能力を保有するという新規な発見を利用する、処置の組成物ならびに方法である。例外的に、丈夫な(hardy)コーティングまたは腸溶性コーティングされた乳酸産性細菌が、好ましく使用され、芽胞形成Bacillus種(特に、Bacilus coagulans)が好ましい実施態様である。本発明はまた、種々の病原性細菌の胃腸管感染(特に、抗生物質耐性病原体に関係する感染)の処置および/または予防のための、治療組成物、治療系、および使用の方法を開示する。
【0033】
本発明の1つの実施態様において、生存可能な、非病原性の乳酸産生細菌(好ましくは、Bacillus coagulans)を、ヒトまたは動物の胃腸管に経口投与するために適切な薬学的に受容可能なキャリア中に含む治療組成物が、開示される。別の実施態様において、Bacillus coagulans株が、芽胞の形態において、治療組成物中に含まれる。別の実施態様において、Bacillus coagulans株が、乾燥した細胞塊の形態において、組成物中に含まれる。
【0034】
本発明の別の局面において、乳酸産生細菌(好ましくは、Bacillus coagulans)の細胞外産物を、ヒトまたは動物の経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア中に含有する組成物が、開示される。好ましい実施態様において、この細胞外産物は、単離されたBacillus coagulans株の上清または濾液である。
【0035】
本発明の別の局面は、ヒトにおいて細菌の胃腸感染を予防または処置する方法であって、この方法は、ヒト被験体に、非病原性の乳酸産生細菌(好ましくは、Bacillus種、より好ましくは、単離されたBacillus coagulans株)の生存可能なコロニー形成単位を含有する食物処方物または飲料処方物を経口投与する工程、およびその細菌を、ヒト被験体の胃腸管内で増殖させる工程を包含する。
【0036】
上記の方法の1つの実施態様において、非病原性細菌を増殖させる工程は、さらに抗生物質耐性のCandida種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Proteus種、Pseudomonas種、Eschericia coli、Clostridium種、Klebsiella種、およびEnterococcus種の増殖を阻害する工程をさらに包含する。好ましい実施態様において、この方法は、抗生物質耐性のPseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Staphylococcus pyogenes、Clostridium perfingens、Clostridium dificile、Clostridium botulinum、Clostridium tributrycum、Clostridium sporogenes、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、および抗生物質胃腸病原体の種々の他の顕著な種またはその組み合わせを阻害する。
【0037】
本発明の1つの局面は、単離されたBacillus種株を含み、ヒトまたは動物の経口投与のために適切な薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせられた乳酸産生細菌組成物であり、ここで、この単離されたBacillus種株は、約30℃〜約65℃の温度で増殖可能であり、L(+)右旋性乳酸を産生し、90℃までの熱に耐性な芽胞を産生し、そして胃腸に付随する病原性細菌および他の顕著な消化病原体のコロニー形成率を阻害するか、または減少する、競合的、抗生物質的、または寄生性活性を示す。共生活性は、おもに、ヒトまたは動物の胃腸管内の単離されたBacillus種株の栄養増殖より生じる。この増殖は、病原性細菌との直接的競合、ならびに酸性、非受容的(non−hospitable)環境を生じる。さらに別の実施態様において、共生活性は、胃腸内に進んだ、単離された乳酸菌産生株の細胞外産物から生じる。本発明はまた、胃腸細菌感染(特に抗生物質耐性病原体に付随する感染)を、処置、減少または制御するための治療系を開示する。
【0038】
本発明は、いくつかの利点を提供する。特に、抗生物質耐性微生物種を生じる可能性のために、抗生物質の使用に対する有害な影響が存在する限りにおいて、従来の抗微生物剤を使用しない抗微生物治療を有することが所望される。従って、本発明は、抗生物質耐性病原の、将来の生成を生じることに寄与しない。
【0039】
(3.動物における共生細菌の使用)
現在、動物の腸管にコロニー形成する寄生生物および病原体が、共生乳酸産生細菌の使用と組み合わせた珪藻土の使用によって阻害および/または制御され得ることが実証されている。
【0040】
本発明は、動物の胃腸管および糞における病原体および/または寄生生物を阻害するための、組成物、治療系、および使用方法を記載する。本発明の組成物は、非病原性乳酸産生細菌(芽胞形成Bacillus種、特にBacillus
coagulansが好ましい実施態様である)と組み合わせた珪藻土の有効量を含む。
【0041】
本発明に従って、動物の消化管に対する経口投与のために適切な薬学的または栄養的に受容可能なキャリア中の、乳酸産生細菌と組み合わせた珪藻土を含む組成物を提供される。この組成物の1つの実施態様において、Bacillus coagulans株が、芽胞の形態において組成物中に含まれる。別の実施態様において、Bacillus coagulans株が、乾燥細胞塊の形態において、組成物中に含まれる。別の実施態様において、Bacillus coagulans株が、安定化ペーストの形態において、組成物中に含まれる。別の実施態様において、Bacillus coagulans株が、安定化ゲルの形態において、組成物中に含まれる。別の実施態様において、Bacillus coagulans株が、安定化液体懸濁液の形態において、組成物中に含まれる。
【0042】
1つの実施態様において、本発明は、Melosira属を主に(好ましくは少なくとも80%)含む珪藻土を含む組成物を意図する。1つの実施態様において、細菌は、約1×103〜1×1014コロニー形成単位(CFU)/グラム、好ましくは約1×105〜1×1012CFU/グラムの濃度で、組成物中に存在する。一方、他の好ましい実施態様において、濃度は、約1×109〜1×1013CFU/グラム、約1×105〜1×107CFU/グラム、または約1×108〜1×109CFU/グラムである。1つの実施態様において、細菌は、動物の経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア(好ましくは、粉末食品補充物、種々のペレット化された処方物、または液体処方物)中にある。1つの実施態様において、組成物は、さらに、本明細書において記載されるような病原体細菌によって容易に分解されないビフィドジェニック(bifidogenic)オリゴサッカライド(例えば、短鎖フルクトオリゴサッカライド(FOS)または長鎖フルクトオリゴサッカライド、グルコオリゴサッカライド(GOS)または他の長鎖オリゴサッカライドポリマー)の有効量を含む。
【0043】
本発明はまた、ラベルおよび本明細書に記載の組成物を含む容器を含む、動物の胃腸管および/または糞中で増殖する病原体および/または寄生生物を阻害するための治療システムを記載する。ここで、このラベルは、病原体および/または寄生生物増殖を阻害するための組成物の使用のための指示書を含む。
【0044】
上記の一般的記載および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明のみであり、そして特許請求の範囲に記載される本発明の限定ではないことが理解されるべきである。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の乳酸産生細菌の1以上の種または株を含み、ここで、当該乳酸産生細菌は、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、組成物。
・(項目2) 項目1に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bacillus coagulans;Bacillus coagulans Hammer;およびBacillus brevis亜種coagulans、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bacillus種である、組成物。
・(項目3) 項目1に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus gasserii、Lactobacillus jensenii、Lactobacillus delbruekii、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivariusおよびLactobacillus sporogenes(またBacillus coagulansとしても命名される)、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Lactobacillus種である、組成物。
・(項目4) 項目1に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Sporolactobacillus P44、およびその任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Sporolactobacillus種である、組成物。
・(項目5) 項目1に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bifidiobacterium adolescentis、Bifidiobacterium animalis、Bifidiobacterium bifidum、Bifidiobacterium
bifidus、Bifidiobacterium breve、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium longum、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bifidiobacterium種である、組成物。
・(項目6) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、抗生物質、抗真菌剤および抗酵母剤を含む群より選択される抗微生物剤、または抗ウイルス剤を治療有効濃度、ならびに乳酸産生細菌の1以上の種または株を治療有効濃度含み、ここで、当該乳酸産生細菌は、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、組成物。
・(項目7) 項目6に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bacillus coagulans;Bacillus coagulans Hammer;およびBacillus brevis亜種coagulans、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bacillus種である、組成物。
・(項目8) 項目6に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus gasserii、Lactobacillus jensenii、Lactobacillus delbruekii、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivariusおよびLactobacillus sporogenes(またBacillus coagulansとしても命名される)、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Lactobacillus種である、組成物。
・(項目9) 項目6に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Sporolactobacillus P44、およびその任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Sporolactobacillus種である、組成物。
・(項目10) 項目6に記載の治療組成物であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bifidiobacterium adolescentis、Bifidiobacterium animalis、Bifidiobacterium bifidum、Bifidiobacterium bifidus、Bifidiobacterium breve、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium longum、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bifidiobacterium種である、組成物。
・(項目11) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の抗微生物剤、およびBacillus coagulansの1以上の種または株を含み、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、当該組成物における使用のために選択された抗生物質に対する抗生物質耐性または減少された抗生物質感受性を保持し、かつここで、当該Bacillus coagulansは、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、組成物。
・(項目12) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内の乾燥細菌細胞塊、安定化ゲル内の乾燥細菌細胞塊または安定化ペースト内の乾燥細菌細胞塊からなる群より選択される形態で、当該組成物中に含まれる、組成物。
・(項目13) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内、安定化ゲル内または安定化ペースト内で投与後に出芽する能力を保持する、乾燥細菌芽胞塊の形態である、組成物。
・(項目14) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物の全投与濃度は、1日あたり約10mg〜約10gの組成物の範囲であり、そして好ましくは、1日あたり約0.1g〜約5gの組成物の範囲である、組成物。
・(項目15) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×103〜約1×104の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×105〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約5×108〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲である、組成物。
・(項目16) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、処置されるべき上記感染は、成体内におけるものであり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、当該治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×102〜約1×1014の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約2.5×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲である、組成物。
・(項目17) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、処置されるべき上記感染は、6ヶ月齢を超える幼児における乳児突然死症候群(SIDS)であり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、当該治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×106〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約5×104〜約2.5×105の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約1.5×105〜約2×105の生存細菌または生存芽胞の範囲である、組成物。
・(項目18) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、ここで、当該ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)、グルコ−オリゴサッカライド(GOS)、ラフィノース、および長鎖オリゴサッカライドからなる群より選択される、組成物。
・(項目19) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、かつここで、当該ビフィドジェニック因子は、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)であり、かつここで、当該治療組成物内の当該ビフィドジェニック因子の全投与濃度は、約10mg/1g治療組成物/日〜約20g/1g治療組成物/日、好ましくは、約50mg/1g治療組成物/日〜約10g/1g治療組成物/日、そしてより好ましくは、約150mg/1g治療組成物/日〜約5g/1g治療組成物/日の範囲である、組成物。
・(項目20) 上記病原性細菌が、抗生物質耐性病原性細菌である、項目11に記載の治療組成物。
・(項目21) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物の投与の生理学的位置は、口腔;局所;膣内;経鼻;眼内;および耳内の投与位置を含む群より選択される、組成物。
・(項目22) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、上記抗微生物剤は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および抗酵母剤を含む群より選択される、組成物。
・(項目23) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、上記抗微生物剤は、以下:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリムスルファメトキサゾール;セファロスポリン抗生物質ファミリーのメンバー;ペニシリン抗生物質ファミリーのメンバー;フルオロキノロン抗生物質ファミリーのメンバー;およびマクロライド抗生物質ファミリーのメンバーからなる群より選択される、治療有効濃度の抗生物質を含む、組成物。
・(項目24) 項目11に記載の治療組成物であって、ここで、上記抗微生物剤は、以下:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、およびチオコナゾールからなる群より選択される、治療有効濃度の抗真菌剤を含む、組成物。
・(項目25) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に治療有効濃度のBacillus coagulansの1以上の種または株を含み、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、組成物。
・(項目26) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内の乾燥細菌細胞塊、安定化ゲル内の乾燥細菌細胞塊または安定化ペースト内の乾燥細菌細胞塊からなる群より選択される形態で、当該組成物中に含まれる、組成物。
・(項目27) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内、安定化ゲル内または安定化ペースト内で投与後に出芽する能力を保持する、乾燥細菌芽胞塊の形態である、組成物。
・(項目28) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物の全投与濃度は、1日あたり約10mg〜約10gの組成物の範囲であり、そして好ましくは、1日あたり約0.1g〜約5gの組成物の範囲である、組成物。
・(項目29) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×103〜約1×1012の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×105〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約5×108〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲である、組成物。
・(項目30) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、処置されるべき上記感染は、成体内におけるものであり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、当該治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×102〜約1×1014の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約2.5×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲である、組成物。
・(項目31) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、処置されるべき上記感染は、6ヶ月齢を超える幼児における乳児突然死症候群(SIDS)であり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、当該治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×106〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約5×104〜約2.5×105の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約1.5×105〜約2×105の生存細菌または生存芽胞の範囲である、組成物。
・(項目32) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、ここで、当該ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)、グルコ−オリゴサッカライド(GOS)、ラフィノース、および長鎖オリゴサッカライドからなる群より選択される、組成物。
・(項目33) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、かつここで、当該ビフィドジェニック因子は、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)であり、かつここで、当該治療組成物内の当該ビフィドジェニック因子の全投与濃度は、約10mg/1g治療組成物/日〜約20g/1g治療組成物/日、好ましくは、約50mg/1g治療組成物/日〜約10g/1g治療組成物/日、そしてより好ましくは、約150mg/1g治療組成物/日〜約5g/1g治療組成物/日の範囲である、組成物。
・(項目34) 上記病原性細菌が、抗生物質耐性病原性細菌である、項目25に記載の治療組成物。
・(項目35) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物の投与の生理学的位置は、口腔;局所;膣内;経鼻;眼内;および耳内の投与位置を含む群より選択される、組成物。
・(項目36) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および抗酵母剤を含む群より選択される抗微生物剤をさらに含む、組成物。
・(項目37) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、以下:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリムスルファメトキサゾール;セファロスポリン抗生物質ファミリーのメンバー;ペニシリン抗生物質ファミリーのメンバー;フルオロキノロン抗生物質ファミリーのメンバー;およびマクロライド抗生物質ファミリーのメンバーからなる群より選択される、治療有効濃度の抗生物質からさらに構成される、組成物。
・(項目38) 項目25に記載の治療組成物であって、ここで、当該治療組成物は、以下:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、およびチオコナゾールからなる群より選択される、治療有効濃度の抗真菌剤からさらに構成される、組成物。
・(項目39) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内の治療有効濃度の乳酸産生細菌の1以上の種または株を含む治療組成物を投与する工程を包含し、ここで、当該乳酸産生細菌は、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、方法。
・(項目40) 項目39に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bacillus coagulans;Bacillus coagulans Hammer;およびBacillus brevis亜種coagulans、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bacillus種である、方法。
・(項目41) 項目39に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus gasserii、Lactobacillus jensenii、Lactobacillus delbruekii、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivariusおよびLactobacillus sporogenes(またBacillus coagulansとしても命名される)、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Lactobacillus種である、方法。
・(項目42) 項目39に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Sporolactobacillus P44、およびその任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Sporolactobacillus種である、方法。
・(項目43) 項目39に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bifidiobacterium adolescentis、Bifidiobacterium animalis、Bifidiobacterium bifidum、Bifidiobacterium bifidus、Bifidiobacterium breve、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium longum、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bifidiobacterium種である、方法。
・(項目44) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内の、抗生物質、抗真菌剤および抗酵母剤を含む群より選択される抗微生物剤、または抗ウイルス剤の治療有効濃度、ならびに乳酸産生細菌の1以上の種または株の治療有効濃度を投与する工程を包含し、ここで、当該乳酸産生細菌は、当該病原性細菌のコロニー形成率および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、方法。
・(項目45) 項目44に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bacillus coagulans;Bacillus coagulans Hammer;およびBacillus brevis亜種coagulans、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bacillus種である、方法。
・(項目46) 項目44に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus gasserii、Lactobacillus jensenii、Lactobacillus delbruekii、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivariusおよびLactobacillus sporogenes(またBacillus coagulansとしても命名される)、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Lactobacillus種である、方法。
・(項目47) 項目44に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Sporolactobacillus P44、およびその任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Sporolactobacillus種である、方法。
・(項目48) 項目44に記載の方法であって、ここで、上記乳酸産生細菌の1つは、以下:Bifidiobacterium adolescentis、Bifidiobacterium animalis、Bifidiobacterium bifidum、Bifidiobacterium bifidus、Bifidiobacterium breve、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium longum、ならびにこれらの任意の遺伝的改変株を含む群より選択される、Bifidiobacterium種である、方法。
・(項目49) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸管感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に治療有効濃度の抗微生物剤およびBacillus coagulansの1以上の種または株を含む治療組成物を投与する工程を包含し、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、当該組成物における使用のために選択された抗生物質に対する抗生物質耐性または減少された抗生物質感受性を保持し、かつここで、当該Bacillus coagulansは、当該病原性細菌のコロニー形成率、および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、方法。
・(項目50) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内の乾燥細菌細胞塊、安定化ゲル内の乾燥細菌細胞塊または安定化ペースト内の乾燥細菌細胞塊からなる群より選択される形態で、上記組成物中に含まれる、方法。
・(項目51) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内、安定化ゲル内または安定化ペースト内で投与後に出芽する能力を保持する、乾燥細菌芽胞塊の形態である、方法。
・(項目52) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物の全投与濃度は、1日あたり約10mg〜約10gの組成物の範囲であり、そして好ましくは、1日あたり約0.1g〜約5gの組成物の範囲である、方法。
・(項目53) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×103〜約1×104の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×105〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約5×108〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲である、方法。
・(項目54) 項目49に記載の方法であって、ここで、処置されるべき上記感染は、成体内におけるものであり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、上記治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×102〜約1×1014の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約2.5×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲である、方法。
・(項目55) 項目49に記載の方法であって、ここで、処置されるべき上記感染は、6ヶ月齢を超える幼児における乳児突然死症候群(SIDS)であり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、上記治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×106〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約5×104〜約2.5×105の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約1.5×105〜約2×105の生存細菌または生存芽胞の範囲である、方法。
・(項目56) 項目49に記載の方法であって、ここで、当該治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、ここで、当該ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)、グルコ−オリゴサッカライド(GOS)、ラフィノース、および長鎖オリゴサッカライドからなる群より選択される、方法。
・(項目57) 項目49に記載の方法であって、ここで、当該治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、かつここで、当該ビフィドジェニック因子は、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)であり、かつここで、治療組成物内の当該ビフィドジェニック因子の全投与濃度は、約10mg/1g治療組成物/日〜約20g/1g治療組成物/日、好ましくは、約50mg/1g治療組成物/日〜約10g/1g治療組成物/日、そしてより好ましくは、約150mg/1g治療組成物/日〜約5g/1g治療組成物/日の範囲である、方法。
・(項目58) 上記病原性細菌が、抗生物質耐性病原性細菌である、項目49に記載の方法。
・(項目59) 項目49に記載の方法であって、ここで、当該治療組成物の投与の生理学的位置は、口腔;局所;膣内;経鼻;眼内;および耳内の投与位置を含む群より選択される、方法。
・(項目60) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記抗微生物剤は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および抗酵母剤を含む群より選択される、方法。
・(項目61) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記抗微生物剤は、以下:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリムスルファメトキサゾール;セファロスポリン抗生物質ファミリーのメンバー;ペニシリン抗生物質ファミリーのメンバー;フルオロキノロン抗生物質ファミリーのメンバー;およびマクロライド抗生物質ファミリーのメンバーからなる群より選択される、治療有効濃度の抗生物質を含む、方法。
・(項目62) 項目49に記載の方法であって、ここで、上記抗微生物剤は、以下:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、およびチオコナゾールからなる群より選択される、治療有効濃度の抗真菌剤を含む、方法。
・(項目63) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に治療有効濃度のBacillus coagulansの1以上の種または株を含む組成物を投与する工程を包含し、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、当該病原性細菌のコロニー形成率および当該コロニー形成に起因する潜在的な生理学的に有害な効果の両方を減少する能力を保持する、方法。
・(項目64) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内の乾燥細菌細胞塊、安定化ゲル内の乾燥細菌細胞塊または安定化ペースト内の乾燥細菌細胞塊からなる群より選択される形態で、上記組成物中に含まれる、方法。
・(項目65) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記Bacillus coagulans細菌株は、流動可能な濃縮物内、安定化ゲル内または安定化ペースト内で投与後に出芽する能力を保持する、乾燥細菌芽胞塊の形態である、方法。
・(項目66) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物の全投与濃度は、1日あたり約10mg〜約10gの組成物の範囲であり、そして好ましくは、1日あたり約0.1g〜約5gの組成物の範囲である、方法。
・(項目67) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×103〜約1×104の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×105〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約5×108〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲である、方法。
・(項目68) 項目63に記載の方法であって、ここで、処置されるべき上記感染は、成体内におけるものであり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、上記治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×102〜約1×1014の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約1×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約2.5×108〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞の範囲である、方法。
・(項目69) 項目63に記載の方法であって、ここで、処置されるべき上記感染は、6ヶ月齢を超える幼児における乳児突然死症候群(SIDS)であり、かつ抗生物質耐性病原体によって引き起こされ、かつここで、上記治療組成物内のBacillus coagulansの全投与濃度は、1日あたり約1×106〜約1×109の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、好ましくは、1日あたり約5×104〜約2.5×105の生存細菌または生存芽胞の範囲であり、そしてより好ましくは、1日あたり約1.5×105〜約2×105の生存細菌または生存芽胞の範囲である、方法。
・(項目70) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、ここで、当該ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)、グルコ−オリゴサッカライド(GOS)、ラフィノース、および長鎖オリゴサッカライドからなる群より選択される、方法。
・(項目71) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物は、1以上のビフィドジェニック因子をさらに含み、かつここで、当該ビフィドジェニック因子は、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)であり、かつここで、当該治療組成物内の当該ビフィドジェニック因子の全投与濃度は、約10mg/1g治療組成物/日〜約20g/1g治療組成物/日、好ましくは、約50mg/1g治療組成物/日〜約10g/1g治療組成物/日、そしてより好ましくは、約150mg/1g治療組成物/日〜約5g/1g治療組成物/日の範囲である、方法。
・(項目72) 上記病原性細菌が、抗生物質耐性病原性細菌である、項目63に記載の方法。
・(項目73) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物の投与の生理学的位置は、口腔;局所;膣内;経鼻;眼内;および耳内の投与位置を含む群より選択される、方法。
・(項目74) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物が、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および抗酵母剤を含む群より選択される抗微生物剤をさらに含む、方法。
・(項目75) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物がさらに、以下:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリムスルファメトキサゾール;セファロスポリン抗生物質ファミリーのメンバー;ペニシリン抗生物質ファミリーのメンバー;フルオロキノロン抗生物質ファミリーのメンバー;およびマクロライド抗生物質ファミリーのメンバーからなる群より選択される、治療有効濃度の抗生物質を含む、方法。
・(項目76) 項目63に記載の方法であって、ここで、上記治療組成物はさらに、以下:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、およびチオコナゾールからなる群より選択される、治療有効濃度の抗真菌剤を含む、方法。
・(項目77) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該治療組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の抗生物質および当該組成物内における使用のために選択された当該抗生物質に対して抗生物質耐性または減少した抗生物質感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株を含み、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、治療組成物。
・(項目78) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該治療組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の抗真菌剤および当該組成物内における使用のために選択された当該抗真菌剤に対して耐性または減少した感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株を含み、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、治療組成物。
・(項目79) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該治療組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の抗酵母剤および当該組成物内における使用のために選択された当該抗酵母剤に対して耐性または減少した感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株を含み、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、治療組成物。
・(項目80) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための治療組成物であって、当該治療組成物は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度の抗ウイルス剤および当該組成物内における使用のために選択された当該抗ウイルス剤に対して耐性または減少した感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株を含み、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、治療組成物。
・(項目81) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内の、治療有効濃度の抗生物質および組成物における使用のために選択された当該抗生物質に対して抗生物質耐性または減少した抗生物質感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株の投与を包含し、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、方法。
・(項目82) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内の、治療有効濃度の抗真菌剤および組成物における使用のために選択された当該真菌剤に対して耐性または減少した感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株の投与を包含し、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、方法。
・(項目83) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内の、治療有効濃度の抗酵母剤および組成物における使用のために選択された当該酵母剤に対して耐性または減少した感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株の投与を包含し、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、方法。
・(項目84) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内の、治療有効濃度の抗ウイルス剤および組成物における使用のために選択された当該抗ウイルス剤に対して耐性または減少した感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株の投与を包含し、ここで、当該Bacillus coagulans細菌株は、投与後に出芽する能力を保持する芽胞の形態である、方法。
・(項目85) 抗生物質、抗真菌剤、抗酵母剤、および抗ウイルス剤を含む群から選択される抗微生物剤の先の投与と同時または当該投与の後に、脊椎動物胃腸管の微生物叢を樹立または再樹立させるための組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内で、Bacillus coagulansの1以上の細菌株および1以上のビフィドジェニック因子から構成され、ここで当該Bacillus coagulans細菌株は、当該抗微生物剤に対して耐性または減少した感受性を保有する、組成物。
・(項目86) 抗生物質、抗真菌剤、抗酵母剤、および抗ウイルス剤を含む群から選択される抗微生物剤の先の投与と同時または当該投与の後に、脊椎動物胃腸管の微生物叢を樹立または再樹立させるための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内で、Bacillus coagulansの1以上の細菌株および1以上のビフィドジェニック因子を含む組成物の投与を包含し、ここで当該Bacillus coagulans細菌株は、当該抗微生物剤に対して耐性または減少した感受性を保有する、方法。
・(項目87) Bacillus coagulans細菌株において、抗微生物剤に対する耐性または減少した感受性を生成するための方法であって、以下:
(i)当該Bacillus coagulans細菌株の増殖を支持し得る寒天ベースの培地および致死下濃度の選択された抗微生物剤を含有するペトリ皿上で、当該細菌株を培養する工程;
(ii)次いで、当該細菌株の増殖を支持し得る寒天ベースの培地および当該細菌株に対してなお致死下である増加した濃度の選択された当該抗微生物剤を含有するペトリ皿上で、生存可能なコロニーを個別選択および再培養する工程;ならびに
(iii)当該単離されたBacillus coagulans細菌株が、同時に投与される組成物において利用される当該抗微生物剤の治療有効濃度に近似する、当該選択された抗微生物剤の濃度で、生存可能性を維持する能力を獲得する時点まで、徐々に増加する致死下濃度の当該選択された抗微生物剤を利用して工程(ii)を繰り返す工程
を包含する、方法。
・(項目88) 項目87に記載の方法であって、ここで、上記抗微生物剤が、以下:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリムスルファメトキサゾール;セファロスポリン抗生物質ファミリーのメンバー;ペニシリン抗生物質ファミリーのメンバー;フルオロキノロン抗生物質ファミリーのメンバー;およびマクロライド抗生物質ファミリーのメンバーからなる群より選択される抗生物質である、方法。
・(項目89) 項目87に記載の方法であって、ここで、上記抗微生物剤が、以下:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、およびチオコナゾールからなる群より選択される抗真菌剤である、方法。
・(項目90) 単離されたBacillus coagulans細菌株において抗生物質耐性または減少した抗生物質感受性を生成するための方法であって、選択された抗生物質に対する耐性を付与し得るDNA配列を保有し、プラスミド媒介を伴わない当該抗生物質耐性遺伝子の直接転移を可能にする接合性トランスポゾンの利用を包含する、方法。
・(項目91) 単離されたBacillus coagulans細菌株において抗生物質耐性または減少した抗生物質感受性を生成するための方法であって、選択された抗生物質に対する耐性を付与し得るDNA配列を保有するプラスミドを生成するための組換えDNAベースの技術の利用、および当該Bacillus coagulans細菌株を当該プラスミドでトランスフェクトする工程を包含する、方法。
・(項目92) 脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、Bacillus coagulansの1以上の細菌株を含む共生組成物であって、ここで当該Bacillus coagulans細菌株は、約30℃〜約65℃の温度で増殖し得、L(+)右旋性乳酸を産生し、約90℃までの温度に対して耐性の芽胞を産生し、そして細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはそれらの任意の組み合わせの増殖を阻害する共生活性を示す、共生組成物。
・(項目93) 上記共生活性が、上記単離されたBacillus種細菌株の栄養生長から生じる、項目92に記載の共生組成物。
・(項目94) 上記共生活性が、上記単離されたBacillus種細菌株によって産生される細胞外産物から生じる、項目92に記載の共生組成物。
・(項目95) 共生組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、抗生物質および当該組成物内における使用のために選択された当該抗生物質に対して抗生物質耐性または減少した抗生物質感受性を保有するBacillus coagulansの1以上の細菌株を含み、ここで当該Bacillus coagulans細菌株は、約30℃〜約65℃の温度で増殖し得、L(+)右旋性乳酸を産生し、約90℃までの温度に対して耐性の芽胞を産生し、そして細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはそれらの任意の組み合わせの増殖を阻害する共生活性を示す、共生組成物。
・(項目96) 上記共生活性が、上記抗生物質および上記単離されたBacillus種細菌株の栄養生長の両方から生じる、項目95に記載の共生組成物。
・(項目97) 上記共生活性が、上記抗生物質および上記単離されたBacillus種細菌株によって産生される細胞外産物の両方から生じる、項目95に記載の共生組成物。
・(項目98) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、治療有効濃度のBacillus coagulans株の細胞外産物を含む、組成物。
・(項目99) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内にある治療有効濃度のBacillus coagulans株の細胞外産物の投与を包含する、方法。
・(項目100) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための組成物であって、当該組成物は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内に、抗生物質、抗真菌剤、抗酵母剤、または抗ウイルス剤を含む群から選択される抗微生物剤およびBacillus coagulans株の細胞外産物の治療有効濃度を含む、組成物。
・(項目101) 病原性細菌によって引き起こされる胃腸感染の処置または予防のための方法であって、当該方法は、脊椎動物の胃腸管への経口投与に適切な薬学的に受容可能なキャリア内にある、抗生物質、抗真菌剤、抗酵母剤、または抗ウイルス剤を含む群から選択される抗微生物剤およびBacillus coagulans株の細胞外産物の治療有効濃度の投与を包含する、方法。
・(項目102) 動物の胃腸管および/または糞便における寄生生物増殖を阻害するための組成物であって、当該組成物は、有効量の珪藻土および1つ以上の生存非病原性乳酸細菌を含む、組成物。
・(項目103) 上記珪藻土が、少なくとも80%(重量/重量)のMelosiraである、項目102に記載の組成物。
・(項目104) 上記珪藻土が、約0.1〜95重量パーセントの量で存在する、項目102に記載の組成物。
・(項目105) 上記珪藻土が、約1〜10重量パーセントの量で存在する、項目102に記載の組成物。
・(項目106) 項目102に記載の組成物であって、ここで上記非病原性乳酸細菌が、以下:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus planterum、Lactobacillus deibrukeil、Lactobacillus sporegenes、Sporolactobacillus P44、Lactobacillus rhainnosus、Lactobacillus casei、Lactobacillus gasseril、Lactobacillus jensenhi、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus
rhamnosus CC、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus thermophilus、Lactobacillus fermenturn、Lactobacillus cereale、Bifidiobacterium longum、Bifidiobacterium bitidum、Bifidiobacterium intantus、Bifidiobacterium bitidus、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium ion gum、Bifidiobacterium breve、Bifidiobacterium animalis、Bifidiobacterium adolescentis、Bacillus coagulans、Bacillus laevolacticus、およびBacillus
brevis subsp.coagulansからなる群から選択される、組成物。
・(項目107) 上記Bacillus coagulansが、Bacillus coagulans亜種Hammerである、項目102に記載の組成物。
・(項目108) 上記細菌を、芽胞の形態で当該組成物内に含む、項目102に記載の組成物。
・(項目109) 上記細菌を、乾燥細胞塊の形態で当該組成物内に含む、項目102に記載の組成物。
・(項目110) 上記組成物が、液体、ペースト、粉末、顆粒、小丸剤、または錠剤に処方される、項目102に記載の組成物。
・(項目111) 上記組成物が、当該組成物1グラムあたり1×103〜1×1014CFUの生存細菌または生存芽胞を含む、項目102に記載の組成物。
・(項目112) 上記組成物が、有効量のビフィドジェニックオリゴサッカライドをさらに含む、項目102に記載の組成物。
・(項目113) 項目112に記載の組成物であって、ここで、上記ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)、グルコ−オリゴサッカライド(GOS)、ラフィノース、および長鎖オリゴサッカライドからなる群より選択される、組成物。
・(項目114) 上記オリゴサッカライドが、約4〜100糖単位のポリマー鎖長を有するポリマーを含む、項目112に記載の組成物。
・(項目115) 上記組成物が、当該組成物1グラムあたり約10ミリグラムから約1グラムのFOSを含む、項目113に記載の組成物。
・(項目116) 上記組成物が、当該組成物1グラムあたり100ミリグラムから500ミリグラムのFOSを含む、項目113に記載の組成物。
・(項目117) ビタミンおよび無機質からなる群から選択される栄養補助剤をさらに含む、項目102に記載の組成物。
・(項目118) 上記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB−1、ビタミンB−2、ビタミンB−3、ビタミンB−6、ビタミンB−12、ビタミンK、およびパントテン酸からなる群から選択される、項目117に記載の組成物。
・(項目119) 上記無機質が、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、マンガン、銅、およびカリウムからなる群から選択される、項目117に記載の組成物。
・(項目120) 上記無機質が、アンチモン、バリウム、ベリリウム、ビスマス、ホウ素、臭素、クロム、、コバルト、ゲルマニウム、金、ヨウ素、鉄、リチウム、ニッケル、パラジウム、白金、セレン、ケイ素、銀、ストロンチウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、およびジルコニウムからなる群から選択される、項目117に記載の組成物。
・(項目121) 上記組成物が、食品物質または調味料をさらに含む、項目102に記載の組成物。
・(項目122) 上記組成物が、粉末食品補助剤、包装食品、液体処方物、または経口電解質維持処方物をさらに含む、項目102に記載の組成物。
・(項目123) 上記経口電解質維持処方物が、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、またはグルコースを含む粉末である、項目122に記載の組成物。
・(項目124) 動物の胃腸管における寄生生物感染を阻害するための方法であって、当該方法は、項目102に記載の組成物を動物の消化管に投与する工程を包含する、方法。
・(項目125) 上記投与する工程が、上記組成物の経口摂取を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目126) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり0.1〜50グラムの上記組成物を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目127) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり約1×102〜約1×1010の生存細菌または生存芽胞を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目128) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり1×103〜1×106の生存細菌または生存芽胞を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目129) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり1×106〜1×109の生存細菌または生存芽胞を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目130) 上記投与する工程が、1日あたり1キログラムの動物体重あたり50ミリグラム〜10グラムの珪藻土を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目131) 上記投与する工程が、1日あたり1キログラムの動物体重あたり200ミリグラム〜500ミリグラムの珪藻土を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目124に記載の方法。
・(項目132) 上記組成物が、有効量のビフィドジェニックオリゴサッカライドをさらに含む、項目124に記載の方法。
・(項目133) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり10ミリグラム〜20グラムのビフィドジェニックオリゴサッカライドを上記消化管内に導入する工程を包含する、項目132に記載の方法。
・(項目134) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり150ミリグラム〜5グラムのビフィドジェニックオリゴサッカライドを上記消化管内に導入する工程を包含する、項目132に記載の方法。
・(項目135) 動物性有機質肥料において昆虫集団を減少させるための方法であって、当該方法は、項目102に記載の組成物を動物の消化管に投与する工程を包含する、方法。
・(項目136) 上記投与する工程が、上記組成物の経口摂取を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目137) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり0.1〜50グラムの上記組成物を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目138) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり1×102〜1×1010の生存細菌または生存芽胞を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目139) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり1×103〜1×106の生存細菌または生存芽胞を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目140) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり1×106〜1×109の生存細菌または生存芽胞を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目141) 上記投与する工程が、1日あたり1キログラムの動物体重あたり50ミリグラム〜10グラムの珪藻土を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目142) 上記投与する工程が、1日あたり1キログラムの動物体重あたり200ミリグラム〜500ミリグラムの珪藻土を上記消化管内に導入する工程を包含する、項目135に記載の方法。
・(項目143) 上記組成物が、有効量のビフィドジェニックオリゴサッカライドをさらに含む、項目135に記載の組成物。
・(項目144) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり10ミリグラム〜20グラムのビフィドジェニックオリゴサッカライドを上記消化管内に導入する工程を包含する、項目143に記載の方法。
・(項目145) 上記投与する工程が、1日あたり100キログラムの動物体重あたり150ミリグラム〜5グラムのビフィドジェニックオリゴサッカライドを上記消化管内に導入する工程を包含する、項目143に記載の方法。
・(項目146) 動物の胃腸管における寄生生物感染を阻害するためのシステムであって、当該システムは、ラベルおよび項目102に記載の組成物を有する容器を備え、ここで当該ラベルは、動物の胃腸管における寄生生物感染を阻害するための当該組成物の使用に関する使用説明書を含む、システム。
・(項目147) 動物性有機質肥料において昆虫集団を減少させるためのシステムであって、当該システムは、ラベルおよび項目102に記載の組成物を有する容器を備え、ここで当該ラベルは、動物性有機質肥料において昆虫集団を減少させるための当該組成物の使用に関する使用説明書を含む、システム。
・(項目148) 動物の胃腸管および/または糞便における寄生生物増殖を阻害するための組成物であって、当該組成物は、有効量の珪藻土を含み、ここで当該組成物中の当該珪藻土が本質的に、少なくとも50%(重量/重量)のMelosiraからなる、組成物。
・(項目149) 上記珪藻土が本質的に、少なくとも80%(重量/重量)のMelosiraからなる、項目148に記載の組成物。
・(項目150) 上記組成物が、生存非病原性乳酸産生細菌の培養物をさらに含む、項目148に記載の組成物。
・(項目151) 動物の胃腸管内における寄生生物感染を阻害するための方法であって、当該方法は、項目148に記載の組成物を動物の消化管に投与する工程を包含する、方法。
・(項目152) 動物性有機質肥料において昆虫集団を減少させるための方法であって、当該方法は、項目148に記載の組成物を哺乳動物の消化管に投与する工程を包含する、方法。
・(項目153) 動物の胃腸管における寄生生物感染を阻害するためのシステムであって、当該システムは、ラベルおよび項目148に記載の組成物を有する容器を備え、ここで当該ラベルは、動物の胃腸管における寄生生物感染を阻害するための当該組成物の使用に関する使用説明書を含む、システム。
・(項目154) 動物性有機質肥料において昆虫集団を減少させるためのシステムであって、当該システムは、ラベルおよび項目148に記載の組成物を有する容器を備え、ここで当該ラベルは、動物性有機質肥料において昆虫集団を減少させるための当該組成物の使用に関する使用説明書を含む、システム。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、表形式で、Bacillus coagulansの代謝増殖特徴および要求性の概要を示す。
【図2】図2は、表形式で、インビトロアッセイを使用した、Bacillus coagulansが種々の真菌病原体(Trichophyton種)を阻害する能力を示す。アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)からのTrichophyton種の各真菌株のATCC受託番号もまた、図中に列挙する。
【図3】図3は、表形式で、インビトロアッセイを使用した、Bacillus coagulansが種々の酵母病原体(Candida種)を阻害する能力を示す。アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)からのCandida種の各酵母株のATCC受託番号もまた、図中に列挙する。
【図4】図4は、表形式で、本発明の治療組成物の処方物1〜6を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(発明の詳細な説明)
他に定義しない限り、本明細書において使用する全ての科学用語および技術用語は、関連する分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。他に言及しない限り、本明細書において使用されるか、または意図される技術は、当業者に周知の標準的な方法論である。実施態様の実施例は、例示のみのためである。
・本発明は、非病原性の乳酸産生細菌種(すなわち、「共生細菌」)(例えば、例示的なBacillus coagulans)を、ヒトおよび動物の両方における胃腸管での病原性細菌のコロニー形成を寛解および/または制御することにおける使用のための治療的組成物を形成するように、抗生物質化合物または他の機能的な抗微生物薬物および補足物と組み合わせて利用し得るという、最近の発見を開示する。さらに、これらの非病原性、乳酸産生共生細菌を、抗真菌剤および/または抗生物質とともに同時投与して、問題となる真菌性病原体または細菌性病原体の増殖を寛解し得る。手短には、本発明は、抗生物質耐性の、非病原性細菌を利用して、例えば、胃腸管内の、抗生物質耐性病原性微生物の増殖およびその後の樹立を緩和する。種々の治療組成物、その治療組成物を使用する方法、およびその治療組成物を含みそして投与/送達するためのシステムもまた、本明細書において開示される。
【0047】
さらに、本発明はまた、非病原性共生乳酸産生細菌を含む組成物、ならびに抗生物質、抗真菌、抗ウイルス、および類似の薬剤の投与後の共生微生物の胃腸管でのコロニー形成(または、より正確には、再コロニー形成)による、胃腸管病原体(ヒトおよび動物の両方における、抗生物質耐性胃腸管病原体を含む)の有害な生理学的効果を緩和することにおけるこれら組成物の利用のための方法論を開示する。
【0048】
(1.抗生物質投与および生体療法)
抗生物質は、ヒトおよび動物の両方において、病原性微生物を制御するために、広範に使用される。不運なことに、これら薬剤の無差別的な使用は、複数の抗生物質に対する耐性を頻繁に示す病原性細菌の生成をもたらす。さらに、抗生物質の投与は、しばしば、「正常な」胃腸機能(例えば、消化、吸収、ビタミン産生など)に寄与する、胃腸管内の多くの有益な微生物(すなわち、微生物叢)の死滅を生じる。従って、再発(感染およびその関連する症状の復帰)および二次的な日和見感染は、しばしば、胃腸管内のLactobacillusおよび他の型の有利な微生物叢の枯渇より生じる。不運なことに、全てではないにしても、ほとんどの乳酸産生細菌または共生細菌は、一般的な抗生物質化合物に対して、非常に感受性である。従って、抗生物質治療の通常の治療の経過において、多くの個体が、多数の有害な生理学的副作用(下痢、腸痙攣、および時として便秘症を含む)を発症する。これらの副作用は、おもに、抗生物質の非選択的作用に起因する。なぜなら、抗生物質は、有益な細菌と病原性細菌とを区別する能力を有さないからである。従って、病原性細菌および非病原性細菌の両方が、これら薬剤によって、死滅する。
【0049】
抗生物質および選択された抗生物質に耐性である適切な微生物を含む生体合理性(biorational)治療は、抗生物質の効率を増強するように働き(この抗生物質が、胃腸管病原体を制御する目的で使用される場合)、そして内因性乳酸細菌の再樹立を促し、かつ病原体の増殖を抑制する消化環境を提供することを補助する。
【0050】
本発明は、本明細書中に開示される治療化合物の経口投与に単に制限されないこともまた留意されるべきである。例えば、抗生物質および抗真菌耐性もまた、局所および膣内の薬物適用と関連する。従って、さらなる実施態様では、膣への抗真菌薬物適用での乳酸または他の有益な細菌培養物の同時投与は、問題の真菌病原体または細菌病原体の緩和を効果的に補助し、そして膣を再増殖させ、そして再発の発生率を低下する。膣内の乳酸産生細菌の非存在は、膣の酵母感染および細菌性膣疾患の最も一般的な病因であることが実証されていることに留意すべきである。
【0051】
さらなる実施態様では、皮膚クリーム、ローション、ゲルなどは、皮膚での病原性生物の制御に効果的であり、かつ抗生物質耐性病原体の発生をさらに低下させる、有益な生体合理性成分を同様に含み得る。例示のためであり限定ではないが、このような有益な生体合理性細菌に由来する細胞、芽胞または細胞外物質は、この明白な目的のためにこれらの皮膚産物中に取り込まれ得る。火傷の患者は、通常、日和見感染の発生率を低下させるために抗生物質を与えられる。病原性Pseudomonas、Staphylococcus、および/またはEnterococciは、しばしば、重篤な火傷の感染と関連している。従って、本発明中に開示されるように、有益性、生体合理性微生物またはそれらの細胞外産物と組み合わされた、軟膏、ローション、ゲルなどは、火傷の場合に皮膚に適切な生物多様性の状態(一般に、このような生物多様性は、病原性過剰増殖と関連していない)を達成する際に効果的である。
【0052】
本発明のさらなる実施態様は、家畜の育成における共生生物の利用を含み、ここで抗生物質(例えば、バンコマイシンおよびゲンタマイシン)は、一般に、健康および体重増加を刺激するために使用される。全てではないがほとんどの共生生物は、これらの2つの抗生物質に感受性であり、そしてこの事実は、家畜産業におけるこのような微生物の潜在的な使用を制限した。さらに、家畜の育成における抗生物質の使用と関連付けられた、多くの環境的に関連する問題が存在する。例えば、抗生物質を含む動物廃棄物は、非常にゆっくりと分解し、そしてこの抗生物質残留物は、さらなる遅い生分解を持続し得る。バンコマイシン、ゲンタマイシン、および他の抗生物質に耐性である細菌の種を加えると、生分解は、実際に増強され得る。
【0053】
(2.共生乳酸産生細菌株)
抗生物質および選択された抗生物質に耐性である適切な微生物を含む生体合理的治療は、抗生物質の全体的な治療効力を増強し(この抗生物質が消化管病原体を制御する目的のために使用される場合)、そして内因性乳酸産生細菌の再樹立を促し、かつ病原性微生物の同時増殖を抑制する胃腸管の環境を提供することを補助する両方のために働く。
【0054】
本明細書中で利用される場合、「共生」とは、一過性または内因性の微生物叢の少なくとも一部を形成し、それによって宿主生物に対する有益な予防効果および/または治療効果を示す微生物をいう。共生は、臨床的に安全(すなわち、非病原性)であることが当業者により公知である。例示のためであり任意の特定の機構への限定ではないが、本発明の乳酸産生細菌の予防効果および/または治療効果は、部分的に、以下に起因する病原体の増殖の競合阻害から生じる:(i)それらのより優れたコロニー形成能力;(ii)所望されない微生物の寄生;(iii)乳酸および/または抗微生物活性を有する細胞外産物の産生;または(iv)それらの種々の組合せ。本発明の前述の産物および乳酸産生細菌の活性は、本明細書中で開示される有益な共生効果を相乗的に生じることが留意されるべきである。
【0055】
本発明の方法および組成物に使用するために適切な共生細菌は、(i)乳酸を産生する能力を有し;(ii)胃腸管内で有益な機能を実証する。例示のためであり限定ではないが、多くの適切な細菌が同定されており、そして本明細書中に開示される。しかし、本発明は、開示される目的および対象の範囲において、現在分類されている細菌の種に限定されないことに留意すべきである。乳酸のインビボでの産生から生じる生理化学的な結果は、本発明の共生乳酸産生細菌の有効性の鍵である。乳酸産生は、局所的な微生物叢環境内のpHを低下させ(すなわち、酸性を増大させる)、そして多くの所望されない生理学的に有害な細菌および真菌の増殖に寄与しない。従って、乳酸酸性の機構によって、この共生は、病原性細菌が競合する増殖を阻害する。
【0056】
本発明の共生生物として有用な代表的な乳酸産生細菌は、病原性生物の増殖を阻害するバクテリオシンまたはその他の化合物を産生するBacillus属の非病原性のメンバーを含む効率的な乳酸産生者である。例示的な乳酸産生、非病原性Bacillus種には、Bacillus coagulans;Bacillus coagulans Hammer;およびBacillus brevis亜種coagulansが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
例示的な乳酸産生Lactobacillus種には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus gasserii、Lactobacillus jensenii、Lactobacillus delbruekii、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivariusおよびLactobacillus sporogenes(Bacillus coagulansとしても示される)。
【0058】
例示的な乳酸産生Sporolactobacillus種には、全てのSporolactobacillus種(例えば、Sporolactobacillus P44)が挙げられる。
【0059】
例示的な乳酸産生Bifidiobacterium種には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bifidiobacterium adolescentis、Bifidiobacterium animalis、Bifidiobacterium bifidum、Bifidiobacterium bifidus、Bifidiobacterium breve、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium infantis、Bifidiobacterium longum、およびそれらの任意の遺伝的改変株。
【0060】
本発明の実施において好ましいいくつかのBacillus種には、乳酸産生Bacillus coagulansおよびBacillus laevalacticusが含まれるが、これらに限定されない。種々の他の非乳酸産生Bacillus種は、それらが病原性細菌または糸状菌の増殖を阻害する能力を有する化合物を産生する限りは、本発明において利用され得る。このような適切な非乳酸産生Bacillusの例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bacillus subtilis、Bacillus uniflagellatus、Bacillus lateropsorus、Bacillus lateropsorus BOD、Bacillus megaterium、Bacillus polymyxa、Bacillus licheniformis、Bacillus pumilus、およびBacillus sterothermophilus。共生活性に起因して利用され得る他の株には、Streptococcus(Enterococcus)属のメンバーが挙げられる。例えば、Enterococcus faeciumは、家畜共生として一般に使用され、それゆえに、同時投与薬剤として利用され得る。本発明の例示は、Bacillus coagulansが本発明の実施に有用であり得る共生細菌の種々の他の酸(例えば、乳酸)産生種に対するモデルとして本明細書で利用されるのみであるが、限定とみなされるべきではないことに留意されるべきである。さらに、共生細菌または栄養性細菌の任意の酸産生種が、本発明の組成物、治療システムおよび方法に使用され得ることもまた、意図される。
【0061】
Bacillus種、特に芽胞を形成する能力を有する種(例えば、Bacillus coagulans)は、本発明の好ましい実施態様である。芽胞化に対する能力は、これらの細菌種を熱および他の条件に比較的耐性にし、製品処方物における長い有効期限を提供し、そしてpH、塩度、および胃腸管内と同じような条件下での組織の生存およびコロニー形成に対して理想的である。さらに、多くのBacillus種のさらなる有用な特性には、非病原性、好気性、通性および従属栄養性(従って、これらの種を安全なものにしている)、および胃腸管を容易にコロニー形成し得ることが挙げられる。
【0062】
例示的な方法および組成物は、共生生物としてBacillus coagulans ATCC番号31284(およびその新たな改変株および変異株)を使用して本明細書に記載される。一般に、種々の「古典的」Lactobacillusおよび/またはBifidiobacterium種が胃腸管、特に、ヒト胃腸管の高度に酸性の環境における不安定に起因して腸のコロニー形成に不適切であるということが受け入れられているので、精製されたBacillus
coagulansは、本発明において共生生物として特に有用である。対照的に、本発明の好ましいBacillus種は、高度に有効な様式において胃腸管を生存およびコロニー形成し得る。さらに、共生Bacillus coagulansは非病原性であり、一般に、米国食品医薬品庁(FDA)および米国農務省(USDA)によって、および当業者によって、安全である(すなわち、GRAS分類)と考えられている。
【0063】
Bacillus coagulansは、熱耐性芽胞を産生する能力を有するので、それらの製造において熱および圧力を必要とする薬学的組成物を作製するために特に有用である。従って、薬学的に受容可能なキャリア中に利用化生存可能Bacillus coagulans芽胞を含む処方物が、本発明に開示される組成物を作製し、かつ使用するために特に好ましい。
【0064】
細胞培養物、細胞ペースト、および芽胞調製物を形成するこれらの種々のBacillus種の増殖は、一般に、当該分野で周知である。Bacillus coagulansについて本明細書に記載される例示的な培養物および調製方法が、本発明に開示される他の(乳)酸産生細菌の増殖および調製のために容易に利用され、および/または改変され得ることにも留意するべきである。
【0065】
(3.Bacillus coagulansの特徴および供給源)
Bacillus coagulansのグラム陽性桿状体は、パラ芽胞(parasporal)結晶産生を伴わず、芽胞嚢の可変性の肥大を伴い、1.0μmより大きい細胞直径を有する。Bacillus coagulansは、非病原性、グラム陽性、芽胞形成細菌であり、ホモ発酵条件下でL(+)乳酸(右旋性)を産生する。これは、栄養培地中に播種された熱処理した土壌サンプルのような、天然の供給源から単離されている(例えば、Bergey’s Manual of Systemic Bacteriology、第2巻、Sneath,P.H.Aら編、Williams & Wilkins,Baltimore,MD,1986を参照のこと)。精製されたBacillus coagulans株は、以下を含む酵素の供給源として役立ってきた:エンドヌクレアーゼ(例えば、米国特許第5,200,336号);アミラーゼ(米国特許第4,980,180号);ラクターゼ(米国特許第4,323,651号)およびシクロ−マルト−デキストリングルカノ−トランスフェラーゼ(米国特許第5,102,800号)。Bacillus coagulansはまた、乳酸を生成するために利用されている(米国特許第5,079,164号)。Bacillus coagulansのある株(Lactobacillus sporogenesとしても称される;SakagutiおよびNakayama,ATCC番号31284)は、他の乳酸産生細菌およびBacillus nattoと組み合せられ、蒸した大豆から発酵食品を生産する(米国特許第4,110,477号)。Bacillus coagulans株はまた、家禽および家畜の動物飼料添加物として、疾患を減少し、そして飼料利用を改善し、従って動物の成長率を増加するために、使用されている(国際PCT特許出願番号WO 9314187および同WO9411492)。特に、Bacillus coagulans株は、一般の栄養補給剤および栄養剤として、ヒトおよび動物において便秘および下痢を制御するために使用されている。
【0066】
本発明で利用される精製されたBacillus coagulans細菌は、American Type Culture Collection(ATCC,Rockville,MD)から、以下の登録番号を使用して入手可能である:Bacillus coagulans Hammer NRS727(ATCC番号11014);Bacillus coagulans Hammer株C(ATCC番号11369);Bacillus coagulans
Hammer(ATCC番号31284);およびBacillus coagulans Hammer NCA 4259(ATCC番号15949)。精製されたBacillus coagulans細菌はまた、Deutsche Sarumlug von Mikroorganismen und Zellkuturen GmbH(Braunschweig,Germany)から、以下の登録番号を使用して入手可能である:Bacillus coagulans Hammer 1915(DSM番号2356);Bacillus coagulans Hammer 1915(DSM番号2383、ATCC番号11014に対応);Bacillus coagulans Hammer(DSM番号2384、ATCC番号11369に対応);およびBacillus coagulans Hammer(DSM番号2385、ATCC15949に対応)。Bacillus coagulans細菌はまた、Sabinsa Corporation(Piscataway,NJ)またはK.K.Fermentation(Kyto,Japan)のような商業的供給者から入手され得る。
【0067】
これらの上記のBacillus coagulans株およびそれらの増殖要求性は、以前に記載されている(例えば、Baker,Dら、1960.Can.J.Microbiol.6:557−563;Nakamura,H.ら、1988.Int.J.Svst.Bacteriol.38:63−73を参照のこと)。さらに、Bacillus coagulansの種々の株はまた、周知の手順を使用して天然の供給源(例えば、熱処理した土壌サンプル)から単離され得る(例えば、Bergey’s Manual of Systemic Bacteriology、第2巻、第1117頁、Sneath,P.H.Aら編、Williams & Wilkins,Baltimore,MD,1986を参照のこと)。
【0068】
Bacillus coagulansは、元々記載されたように、この細菌がLactobacillus sporogenesとして命名された事実を考慮して、Lactobacillusとして、以前に誤って分類されていたことに留意すべきである(Nakamuraら、1988.Int.J.Syst.Bacteriol.38:63−73を参照のこと)。しかし、初期の分類は、Bacillus coagulansが芽胞を形成し、そして代謝を通してL(+)−乳酸を分泌するという事実(この両局面は、その有用性に対する鍵となる特徴を提供する)が原因で、不正確であった。代わりに、これらの発生的および代謝的局面は、この細菌を乳酸bacillusとして分類されることを必要とし、従って、この細菌は再度命名された。さらに、古典的Lactobacillus種は、胆汁(特に、ヒト胆汁)の厳しい(すなわち、酸性)pH環境下でのそれらの不安定性に起因して、腸のコロニー形成に不適切であることは、一般的に理解されていない。対照的に、Bacillus coagulansは、胆汁環境下の胃腸管を生存およびコロニー形成し得、そしてこの低いpH範囲中で増殖さえする。特に、ヒト胆汁環境は、動物モデルの胆汁環境とは異なり、そして従来、ヒト胃腸管モデルにおけるBacillus coagulansの増殖の正確な記載は全く存在しなかった。
【0069】
(3.1 栄養増殖性Bacillus coagulansの培養)
Bacillus coagulansは、好気性および通性であり、そして代表的には、2重量%までのNaClを含有する栄養ブロス中でpH5.7〜6.8で培養されるが、増殖のためにはNaClもKClも必要とされない。芽胞形成(すなわち、芽胞の形成)の開始のためには、約4.0〜約7.5のpHが最適である。この細菌は、30℃〜45℃にて最適に増殖され、そしてこの芽胞は、低温殺菌に耐え得る。さらに、この細菌は、窒素源または硫酸源を利用することによる、通性および従属栄養性の増殖を示す。Bacillus coagulansの代謝特性を図1にまとめる。
【0070】
Bacillus coagulansは、種々の培地において培養され得るが、特定の増殖条件が、高レベルの芽胞形成を生じる培養物を産生する際に、より有効であることが実証されている。例えば、芽胞形成は、培養培地が、10mg/lのMgSO4硫酸塩を含む場合に増強されることが実証されており、約80:20の芽胞の栄養細胞に対する比を生じる。さらに、特定の培養条件は、本発明に特に好適な、ある範囲の代謝酵素を含む細菌芽胞を産生する(すなわち、増強された共生活性および生分解のための、乳酸および酵素の産生)。これらの上記の培養条件によって産生される芽胞が好ましいが、生存可能なBacillus coagulans芽胞を産生する種々の他の適合性の培養条件が本発明の実施において利用され得る。
【0071】
Bacillus coagulansの培養のために適切な培地としては以下が挙げられる:PDB(ジャガイモデキストロースブロス);TSB(トリプシン大豆ブロス);およびNB(栄養ブロス)(これらは全て、当該分野で周知であり、そして種々の供給源から利用可能である)。本発明の1つの実施態様では、家禽および/または魚の組織の酵素消化物を含む培地補充物、および食用酵母を含む培地補充物が特に好ましい。特に好ましい補充物は、少なくとも60%のタンパク質、および約20%複合炭水化物および6%脂質を含有する培地を産生する。培地は、種々の商業的供給源(特にDIFCO(Newark,NJ);BBL(Cockeyesville,MD);Advanced Microbial Systems(Shakopee,MN);およびTroy Biologicals(Troy,MD))から入手され得る。
【0072】
本発明の好ましい実施態様では、Bacillus coagulans Hammer細菌(ATCC番号31284)の培養物を以下を含む栄養ブロス中に接種し、そして約1×108〜109細胞/mlの細胞密度まで増殖させた:5.0g Peptone;3.0g Meat Extract;10〜30mg MnSO4および1,000ml蒸留水(次いでこのブロスをpH7.0に調整した)。この細菌を、標準エアリフト発酵容器の利用により30℃にて培養した。芽胞形成に受け入れられるMnSO4の範囲は、1.0mg/l〜1.0g/lであることが見出された。この栄養細菌細胞は、65℃まで活性に繁殖し得、そしてこの芽胞は90℃まで安定である。
【0073】
培養後、Bacillus coagulans Hammer細菌細胞または芽胞を、標準的方法(例えば、濾過、遠心分離)を用いて収集し、そして収集した細胞および芽胞を続いて凍結乾燥、噴霧乾燥、風乾または凍結し得る。本明細書中に記載されるように、細胞培養物からの上清を収集し得、そして本発明の処方物において有用な、抗微生物活性を保有するBacillus coagulansによって分泌される細胞外因子として用い得る。
【0074】
上記の培養方法論から得られる代表的収量は、乾燥前の重量1グラムあたり、約1×109〜1×1013生存可能な細胞/芽胞、より代表的には約1×1011〜1.5×1011細胞/芽胞の範囲である。Bacillus coagulans芽胞は、乾燥工程の後、室温で保存した場合、7年までの間、少なくとも90%の生存率を維持することにも留意すべきである。それゆえ、Bacillus coagulans Hammer芽胞を含有する組成物の、室温での有効貯蔵寿命は、約10年である。
【0075】
(3.2 Bacillus coagulans芽胞の調製)
あるいは、乾燥したBacillus coagulans Hammer細菌(ATCC番号31284)芽胞の培養物を以下の通りに調製した。約1×107芽胞を、以下を含有する1リットルの培養培地に接種した:24g(重量/容量)のジャガイモデキストロースブロス;家禽および魚の組織の酵素消化物10g;5gのフルクトオリゴサッカライド(FOS);ならびに10g MnSO4。この培養物を、高酸素環境下で72時間、37℃にて保持して、約15×1010細胞/培養物のグラムを有する培養物を産生するようにした。次いでこの培養物を濾過して液体の培養培地を除去し、そして得られる細菌ペレットを水に再懸濁し、そして凍結乾燥した。凍結乾燥した細菌を、標準的な良好な製造実施(GMP)方法論を利用して、微細な「粉末」へと粉砕した。
【0076】
本発明の最も好ましい実施態様は、増殖性細菌形態ではなく、芽胞の状態のBacillus coagulansを利用することであることに留意すべきである。
【0077】
(3.3 B.coagulans細胞外産物の調製)
本発明の主な焦点は、栄養細胞または芽胞の形態の乳酸産生共生細菌の利用にあるが、さらなる実施態様は、細菌、真菌、酵母およびウイルスならびにそれらの組み合わせによって引き起こされる感染の予防および/または制御のために、Bacillus coagulans株の培養物の上清または濾液を含む細胞外産物を利用する。Bacillus coagulansの細胞外産物もまた、乳児に補給されるべき食物および液体のような組成物中に含まれ得る。
【0078】
Bacillus coagulansの1リットル培養物を、フルクトオリゴサッカライド(FOS)を省略した以外は第5.1節において記載のように調製した。この培養物を、記載されるように5日間維持し、この時点でFOSを、5g/リットルの濃度で添加し、そしてこの培養を続けた。続いて、次いで20mlのニンジンパルプを7日目に添加し、そしてこの培養物が飽和した時点でこの培養物を収集した(すなわち、実質的な細胞分裂なし)。
【0079】
この培養物を最初に、250°Fにて30分間オートクレーブし、次いで4000r.p.m.にて15分間遠心分離した。得られる上清を収集し、そしてブーフナー漏斗において0.8μmフィルターを通して濾過した。この濾液を収集し、そしてさらに0.2μm Nalge真空フィルターを通して濾過した。次いで、得られる最終濾液を収集し(約900mlの容量)、当該分野で周知の種々の方法論の使用によりさらに精製および/または定量分析され得る、細胞外産物を含有する液体を形成させた。
【0080】
(4 ビフィドジェニックオリゴサッカライド)
本明細書中で命名したようなビフィドジェニックオリゴサッカライドは、本発明の乳酸産生細菌の増殖を優先的に促進するために特に有用なあるクラスの炭水化物である。これらのオリゴサッカライドとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない:フルクトオリゴサッカライド(FOS);グルコオリゴサッカライド(GOS);フルクトースおよび/またはグルコースの他の長鎖のオリゴサッカライドポリマー;ならびに三糖(ラフィノース)。これらの上記の炭水化物は全て、病原性細菌によっては容易に消化されない。従って、乳酸産生細菌の優先的な増殖は、このクラスの細菌の栄養要求に起因した、これらのビフィドジェニックオリゴサッカライドの利用により、病原性細菌と比較して促進される。
【0081】
ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、腸管における固有のBifidobacteriaおよびLactobacillusによってほぼ排他的に利用される長鎖ポリマーであり、そしてBacillusによって同様に利用され得る。対照的に、生理学的に有害な細菌(例えば、Clostridium、Staphylococcus、SalmonellaおよびEscherichia coli)は、FOSも他のビフィドジェニックオリゴサッカライドをも代謝し得ず、それゆえ、本発明の乳酸産生細菌(好ましくはBacillus coagulans)と組み合わせたこれらのビフィドジェニックオリゴサッカライドの使用は、これらの有益な共生細菌が増殖し、そして胃腸管内の全ての望ましくない病原性微生物と効果的に競合し、そして結局、これらの微生物と置き換わるのを可能にする。
【0082】
本発明の組成物におけるビフィドジェニックオリゴサッカライドの使用は、相乗効果を提供し、それにより、本明細書中に開示される共生含有組成物の有効性を増加させる。この相乗作用は、例えば、感染組織内の多くの他の細菌種に対して共生細菌の増殖を優先的に選択する栄養補充のレベルを増加させることにより、共生細菌が増殖する能力を選択的に増加させることにより明示される。
【0083】
さらに、BifidobacteiaおよびLactobacillusもまた、乳酸のプロデューサーであることが容易に理解される。ビフィドジェニックオリゴサッカライドは、これらの上記の共生生物が、胃腸管内の望ましくない細菌に対して優先的に増殖することを可能にし、それによって、(食品起源のものであるかまたは栄養補充増強の結果としてであるかにかかわらず)これらの栄養の溶解度をさらに増強することにより、身体の共生状態を増強する。従って、本発明の組成物におけるビフィドジェニックオリゴサッカライドの存在は、全ての種類の共生細菌が増殖する能力を増加させることにより、より有効な微生物阻害を可能にし、それゆえ、上記の利点を提供する。
【0084】
本発明のビフィドジェニックオリゴサッカライドは、治療組成物において単独で、または乳酸産生微生物と組み合わせてのいずれかで用いられ得る。より詳細には、ビフィドジェニックオリゴサッカライドの増殖促進活性に起因して、本発明は、乳酸産生微生物の増殖を促進するのに充分な濃度でビフィドジェニックオリゴサッカライドを含む組成物を意図する。本明細書中に示すように、これらの濃度の量は、非常に広範に変動し得る。なぜなら、この共生微生物は、任意の代謝量の栄養オリゴサッカライドに応答し、それゆえ、本発明はそのように限定されない必要があるからである。
【0085】
好適なそして例示的なビフィドジェニック オリゴサッカライドはFOSであるが、他の炭水化物もまた、単独でまたは組み合わせてのいずれかで利用され得る。FOSは、商業的供給業者を含む、種々の天然の供給源から入手され得る。産物は天然の供給源から単離されたので、成分は、非常に広範に変動し得、そして有利な薬剤、すなわちFOSをなお提供する。FOSは代表的には、約4〜200糖単位のポリマー鎖長を有し、より長い長さが好ましい。例えば、純度の程度は、生物学的に機能的なFOSが最終処方物中に存在する限り、広範に変動し得る。好ましいFOS処方物は、単純(単糖または二糖)糖(例えば、グルコース、フルクトースまたはスクロース)と比較して、少なくとも50重量%のフルクトオリゴサッカライド、好ましくは少なくとも80%のフルクトリゴ糖(FOS)、より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%のFOSを含む。糖含量および組成は、周知であるような、任意の種々の複合炭水化物分析検出方法によって決定され得る。FOSの好ましい供給源としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:イヌリン;Frutafit IQTM(Imperial Suiker Unie;Sugar Land,Texas);NutraFloraTM(Americal Ingredients, Inc.;Anaheim,CA);およびFruittrimfat Replacers and Sweeteners(Emeryville,CA)。ビフィドジェニックオリゴサッカライド(例えば、GOS)およびより長鎖のオリゴサッカライドもまた、商業的販売業者から入手可能である。
【0086】
(5.珪藻土)
珪藻土は、寄託物の供給源および寄託物中に存在する珪藻類の成分種に依存して、代表的に組成が比較的均質である、珪藻類として公知の単細胞水生植物の骨格残存物である。珪藻土は、種に依存して特有の、シリカ含量、形態学的状態、および約5〜20ミクロン(μm)の直径の平均サイズを有すると特徴付けられる。
【0087】
珪藻土中の異なる種類の珪藻類は、多様な範囲の形状を提供し、昆虫、寄生生物および小さな微生物と接触した場合に、標的寄生生物/病原体の防御コーティングに孔を空ける、異なる程度の鋭いおよび/またはとげ状の縁を提供する。珪藻土は、投与様式に依存して広範な種々の濃度で本発明の治療組成物中に含まれる。代表的な組成物は、組成物の重量あたり約0.1重量%〜99重量%(w/w)の珪藻土を含む。濃縮された単一用量での使用のためには、代表的には5〜50% w/w、そして好ましくは約5〜10% w/wの、高含有量の珪藻土が用いられる。連続供給適用のためには、代表的には0.5〜10% w/w、そして好ましくは1〜5% w/wの、中程度の含有量から低い含有量の珪藻土が用いられる。
【0088】
本発明の組成物における使用のために好ましい珪藻土は、代表的には1% w/w未満の低い灰分、代表的には1% w/w未満の低い非晶質シリカ含量、および代表的には1% w/w未満の低い火山砕屑堆積物(volconoclastic sediment)を有する。好ましい珪藻土である限り、阻害されるべき寄生生物/病原体の外部保護表面に損傷を与える、鋭いおよび/またはとげ状の縁を提示するというさらなる特徴を有する。珪藻類の形状は、当該分野で充分に特徴付けられており、そしてとげ状の鋭い特徴は、珪藻の検鏡によって容易に観察され得る。観察および定量分析によって、珪藻土中の成分珪藻類の比率を容易に決定し得る。好ましい珪藻土は、高い含量の研磨珪藻を含む。特に好ましい珪藻土はMelosira珪藻を含み、そして好ましくは、少なくとも50% w/wのMelosira珪藻、より好ましくは少なくとも70% w/wのMelosira珪藻、そして最も好ましくは少なくとも80% Melosira珪藻を含む。
【0089】
珪藻土は、種々の供給源から入手され得る。代表的には、任意の珪藻類寄託物は、珪藻土の供給源である。商業的供給業者は、異なるグレードの珪藻土を慣用的に採掘し、特徴付け、そして提供する。Melosira珪藻類が豊富な珪藻土の特に好ましい供給業者は、CR Minerals Corporation,Golden,Coloradoである。
【0090】
(6.抗生物質耐性を生じるかまたは増強する方法)
以前に考察したように、本発明は、同時に投与される生体合理剤(biorational agent)として使用されるべき乳酸産生細菌の抗生物質耐性株を、選択、単離および培養するための方法論を開示する。これらの実施態様は、以下によって内含され得る:(i)減少した抗生物質感受性、または好ましくは抗生物質耐性の発達を促進するために、共生細菌(これは、最初に選り抜きの抗生物質に対して感受性であり得る)を漸増濃度の選り抜きの抗生物質中で選択的に培養すること;(ii)抗生物質感受性細菌株に対して抗生物質耐性を付与するために、「接合性トランスポゾン」(すなわち、プラスミドの媒介を伴わない耐性遺伝子の直接転移を可能にするDNA配列)を利用すること;および(iii)標準的組換えDNAに基づく技術によって生成される、選り抜きの抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子を保有するプラスミド(すなわち、しばしば、天然で抗生物質耐性遺伝子を保有する、小さな、非染色体性の自律複製する、環状のDNA)を利用すること。
【0091】
しかし、本発明の最も好ましい実施態様は、減少した抗生物質感受性、または好ましくは抗生物質耐性の発達を促進するために、漸増濃度の選り抜きの抗生物質中で、共生細菌の選択的培養を利用することに留意すべきである。この実施態様は、以下でより充分に開示されるが、現行のFDAおよび他の政府機関の統制が、「人工の」(例えば、組換え)抗生物質耐性細菌株の、環境中への意図的放出を明らかに禁ずることに起因して好ましい。それゆえ、非組換え体に基づいた、選択的培養に基づく方法論を通して産生される、本明細書中に開示される細菌の抗生物質耐性株の利用は、これらの上記の統制を犯さない。しかし、この実施態様の好ましさは、限定することを意図せず、むしろこの分野の試みを支配する現行の統制を反映することに留意すべきである。これらの統制は変えられるべきであるか、または新たな統制が公布されるかもしれず、本発明者らは、可能な最も有効な様式において本発明を実施するために本明細書中に開示される全ての方法論を利用することを完全に意図する。
【0092】
Bacillus coagulans(株ATCC登録番号31284)を、Kirby−Bauer寒天希釈方法を利用する抗生物質耐性/感受性についてアッセイした(例えば、Bergey’s Manual of Systemic Bacteriology,第2巻,Sneath,P.H.A.ら編,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,1986を参照のこと)。この方法論は、このBacillus coagulans株がピペラシリン、トリメトプリム−スルファメトキシゾール(Sulfamethoxasole)、アンピシリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、バンコマイシン、ゲンタマイシンおよびオキサシリンに感受性であり、そしてクリンダマイシンおよびテトラサイクリンに関して中間であることを実証した。具体的には、Vitekによって、MICは以下のようであることが見出された:(i)アンピシリン−2;(ii)ペニシリンG−0.12;(iii)バンコマイシン−<0.5;(iv)ニトロフラントイン−<32;(v)ノルフロキサシン−<4;(vi)クロラムフェニコール−8;(vii)クリンダマイシン−>8(耐性);およびテトラサイクリン−>16(耐性)。Bacillus coagulans(株ATCC登録番号31284)は、抗生物質クリンダマイシンおよびテトラサイクリンに対する自然耐性を保有する。
【0093】
続いて、次いで、各予期された微生物を、上記の方法論を利用して、抗生物質感受性についてスクリーニングした。各予期された細菌に特異的である培地および寒天を、致死レベル以下の所望の抗生物質化合物と混合した。例えば、致死レベル以下のバンコマイシンを含有するDIFCO Trypticase Soy Agar(TSA)を調製した。次いで、この培地/抗生物質混合物を、問題の抗生物質が極度の熱に感受性である場合、蒸気オートクレーブ、エチレンオキシドまたは電離放射線(すなわち、γ処理)によって滅菌した。寒天/抗生物質混合物を含むペトリ皿を注ぎ、そして予期された微生物(単一コロニーから選択される)をこれらのプレートに画線した。
【0094】
次いで、生存(すなわち、生存可能な)細菌コロニーを選択し、そして選択された抗生物質の濃度を治療レベルまで漸増させた新たな抗生物質含有培地に移した。選択プロセスの各段階で、治療レベルの抗生物質耐性が確立されるまで、Bacillus coagulansの生存コロニーを選択し、そして新たな培地に移した。
【0095】
(7.Bacillus coagulansの共生活性)
細菌、真菌性および酵母の病原体の多くの種が、以下を含むがこれらに限定されない種々の胃腸障害を引き起こす能力を保有することが臨床的に充分に実証されている:正常な胃腸生化学的機能の破壊、生化学機能、胃腸組織の壊死および栄養の生体吸収(bioabsorption)の破壊などのような状態。それゆえ、これらの病原体を阻害する本発明の共生微生物含有組成物の利用は、これらの上記の病原体による感染に関連した状態の予防的なまたは治療的な処置において有用である。
【0096】
(7.1 抗微生物共生活性)
Bacillus coagulansが種々の細菌病原体を阻害する能力は、インビトロアッセイの使用により定量的に確認された。このアッセイは、標準化された細菌病原体スクリーニング(U.S.Food and Drug Administration(FDA)により開発された)の一部であり、そして固体支持体ディスクで市販される(DIFCO(登録商標) BACTROL(登録商標)Antibiotic Disks)。このアッセイを実施するために、ジャガイモ−デキストロースプレート(DIFCO(登録商標))を、標準的手順を用いて最初に調製した。次いで、このプレートに、コンフルエントな細菌床を形成するように試験されるこの細菌(約1.5×106CFU)を個々に接種した。
【0097】
Bacillus coagulansによる阻害を、10μlのブロスまたは緩衝液中の約1.8×106 CFUのBacillus coagulansを、プレート1枚あたり直径約8mmである1つの試験位置を有するジャガイモ−デキストロースプレートの中心に直接置くことにより、続いて確認した。最低3つの試験位置を、各アッセイについて用いた。ネガティブコントロールは10μl容量の滅菌生理食塩水溶液からなっていたが、一方、ポジティブコントロールは1μl容量のグルタルアルデヒドからなっていた。次いで、このプレートを、約18時間にわたり30℃にてインキュベートし、その時点で、阻害ゾーンを測定した。本明細書中で命名されるように、「優れた阻害」とは、このゾーンが直径10mm以上であったことを意味し;そして「良好な阻害」とは、このゾーンが直径2mmより大きかったが直径10mm未満であったことを意味する。
【0098】
予期されるように、「阻害」なしは、ネガティブな生理食塩水コントロールについて見られ、そして優れた「阻害」(直径約16.2mm;3回の試験の平均)は、ポジティブなグルタルアルデヒドコントロールについて見られた。試験した腸微生物については、Bacillus coagulansによる以下の阻害が見出された:(i)Clostridium種−優れた阻害;(ii)Escherichia coli−優れた阻害;(iii)Clostridium種−優れた阻害、ここで,阻害ゾーンは、一貫して直径が15mmよりも大きかった。同様に、優れた阻害はまた、日和見病原体(Pseudornonas
aeruginosaおよびStaphylococcus aureus)についても見られた。要約すると、Bacillus coagulans活性によって阻害されることが示された病原性腸細菌としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:Staphylococcus aureus;Staphylococcus epidermidis;Streptococcus
pyogenes;Pseudomonas aeruginosa;Escherichia coli(腸出血性種(enterohemorragic
species));多数のClostridium種(例えば、Clostridium perfingens、Clostridium botulinum、Clostridium tributrycum、Clostridium sporogenesなど);Gardnereia vaginails;Proponbacterium aenes;Aeromonas hydrophia;Aspergillus種;Proteus種;ならびにKlebsiella種。
【0099】
(7.2 抗真菌共生活性)
Bacillus coagulansが、種々の真菌病原体を阻害する能力を、インビトロでのアッセイを用いて実証した。Trichophyton種の試験した真菌株は、American Type Culture Collection(ATCC;Rockville,Maryland)から入手可能であり、そしてそれらのATCC登録番号を、図2に例示する。
【0100】
このアッセイでは、ジャガイモ−デキストロースプレート(DIFCO(登録商標),Detroit,MI)を、標準的手順を用いて調製し、そしてこれらに、真菌Trichophytonの種々の種のコンフルエントな床(約1.7×106)を個々に接種した。Bacillus coagulansによる阻害を、10μlのブロスまたは緩衝液中の約1.5×106コロニー形成単位(CFU)を、プレート1枚につき1試験位置で、ジャガイモ−デキストロースプレートにおける中心にプレート上に直接配置することにより確認した。各試験位置のサイズは直径約8mmであり、そして最小3つの試験を、各阻害アッセイについて行った。ネガティブコントロールは、10ml容量の滅菌生理食塩水からなっており、一方、ポジティブコントロールは、不活性クリーム中の10ml容量の2% ミコナゾール(1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[(2,4−ジクロロフェニル)メトキシルメチル−1,11−イミダゾールからなっていた。
【0101】
次いで、このプレートを、約18時間にわたり30℃にてインキュベートし、その時点で、阻害ゾーンを測定した。本明細書中で命名されるように、「優れた阻害」とは、このゾーンが直径10mm以上であったことを意味し;そして「良好な阻害」とは、このゾーンが直径2mmより大きかったが直径10mm未満であったことを意味する。
【0102】
Bacillus coagulansによるインビトロでの阻害の結果を図2に例示する。試験したTrichophyton種の各々について、感染に関連した疾患状態を、図2の第2欄に示す。比較のために、ネガティブコントロールについて阻害ゾーンは見られなず、一方、良好な阻害(直径約8.5mm、3回の試験の平均)がポジティブコントロールについて見られた。
【0103】
(7.3 酵母の共生阻害)
同様に、Bacillus coagulansが種々の酵母病原体を阻害する能力が、4種のCandidaについてインビトロで実証された。これらの全ては、American Type Culture Collection(ATCC;Rockville,Maryland)から入手可能であり、それらのATCC登録番号を図3に例示する。
【0104】
このアッセイでは、ジャガイモ−デキストロースプレート(DIFCO(登録商標),Detroit,MI)を、標準的な手順を用いて調製し、そして約1.7×106の4つの種のCandidaのコンフルエントな床を個々に接種した。B.coagulansによる阻害を、プレート1枚あたり直径約8mmである1つの試験位置を有するジャガイモ−デキストロースプレートの中心に直接プレートすることにより、10μlのブロスまたは緩衝液中の約1.5×106コロニー形成単位(CFU)をプレートに置くことにより試験した。最小3回の試験を、各阻害アッセイについて行った。ネガティブコントロールは、1ml容量の滅菌生理食塩水溶液からなっていたが、一方、ポジティブコントロールは1ml容量のミコナゾールクリームからなっていた。
【0105】
次いで、このプレートを約18時間にわたって30℃にてインキュベート、その時点で阻害ゾーンを測定した。本明細書中で命名されるように、「優れた阻害」とは、このゾーンが直径10mm以上であったことを意味し;そして「良好な阻害」とは、このゾーンが直径2mmより大きかったが直径10mm未満であったことを意味する。
【0106】
インビトロでの試験の結果を、第2欄に示されるCandida種による感染に関連したヒトにおける病理状態とともに図3に示す。予期されるように、阻害なしがネガティブコントロールについて見られ、そして良好な阻害(直径約8.7mm;3回の試験の平均)がポジティブコントロールについて見られた。
【0107】
(8.治療組成物)
(8.1:抗微生物剤を含有する治療化合物)
本明細書において、Bacillus coagulansが、共生種の好ましい例として利用されるが、すべての乳酸産生細菌に特有である共通の生理学的特徴によって、これらの乳酸産生細菌の他の種が本発明に開示される方法および/または治療組成物において効果的であり得ることに注目すべきである。本発明の治療組成物の好ましい例示的処方物が図4に示される。
【0108】
細胞/芽胞は、胃腸管の組織への細菌の導入の目的に向けて、胃腸管への経口投与に適した種々の組成物中に提示され得る。本発明の治療組成物は、例えば、乳酸産生細菌株、好ましくは栄養Bacillus coagulans、Bacillus coagurans芽胞、またはそれらの組み合わせで構成される。これらは、細菌、真菌および/または酵母の病因を有する感染を寛解させる能力を有する選択された因子と同時投与される。前述の実施態様において、本発明の活性な乳酸産生細菌種は、経口投与のために適切な処方物内に含まれる、最終組成物の約0.1重量%〜50重量%、そして好ましくは、約1重量%〜10重量%を含む。より詳細には、本発明の治療組成物は、350mg用量の処方物内に、例えば、約2×106〜1×1010の生存可能なコロニー形成単位(CFU)の乳酸産生栄養細菌または細菌芽胞(Bacillus coagulansの場合)を含み得る。
【0109】
本発明の治療組成物のための処方物はまた、芽胞の発芽および/または細菌の増殖を促進する他の共生因子または栄養物を含み得る。特に好ましい材料はビフィドジェニックオリゴサッカライドであり、これは以前に記載(前出)のように有利な共生細菌の増殖を促進する。ビフィドジェニックオリゴサッカライド(例えば、フルクト−オリゴサッカライド(FOS)またはグルコ−オリゴサッカライド(GOS))は、特定の処方物に依存して、種々の組み合わせで利用され得る。好ましい治療組成物は、治療組成物の1単位あたり、約10〜200mgのビフィドジェニックオリゴサッカライド、そして最も好ましくは約100〜500mgの濃度のビフィドジェニックオリゴサッカライドを含む。さらに、本発明の治療組成物は増殖を促進するための他の共生因子または栄養物、および他の生理学的に活性な成分(治療組成物内に含まれる他の活性因子の全般的治療効力を妨害しない)を含み得る。
【0110】
本発明の別の実施態様において、Bacillus coagulans株は、治療上有効な用量の(好ましくは広範なスペクトルの)抗生物質と組み合わされる。本発明の治療組成物はまた、治療組成物の1単位あたり、約1〜約250mgの選択した抗生物質を含み得る。本発明の好ましい実施態様において、Bacillus coagulans株は、以下のような抗生物質の治療的用量と組み合わされる:ゲンタマイシン;バンコマイシン;オキサシリン;テトラサイクリン;ニトロフルラントイン;クロラムフェニコール;クリンダマイシン;トリメトプリム−スルファメトキサゾール;多数のセファロスポリン抗生物質ファミリー(例えば、セファクロル、セファドロキシル、セフィキシム、セフプロジル(cefprozil)、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン、ロラカルベフ(loracarbef)など);多数のペニシリンファミリーの抗生物質(例えば、アンピシリン、アモキシリン/クラブラネート(Clavulanate)、バカンピシリン、クロキシシリン(cloxicillin)、ペニシリンVKなど);多数のフルオロキノロンファミリーの抗生物質(例えば、シプロフロキサシン、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシンなど);または多数のマクロライド抗生物質ファミリー(例えば、アジスロマイシン、エリスロマイシンなど)。
【0111】
本発明の別の実施態様において、Bacillus coagulans株は、治療有効用量の抗真菌剤と組み合わされる。本発明の治療組成物はまた、治療組成物の1単位あたり、約1〜約250mgの選択した抗真菌剤を含み得る。利用され得る代表的抗真菌剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾールなど。
【0112】
好ましい実施態様において、Bacillus coagulans芽胞、治療有効濃度の抗生物質、抗真菌剤など、そして所望されるならば、種々の他の成分(例えば、ビフィドジェニックオリゴサッカライド、結合剤など)が腸溶性コートされた(enterically−coated)徐放性カプセルまたは錠剤にカプセル化される。腸溶性コーティング(enteric coating)は、カプセル/錠剤が、胃腸管を通過するとき、小腸に達するような時間まで、インタクト(すなわち、未溶解)で保持されることを可能にする。同様に、徐放性成分は、事前に決定した時間、Bacillus coagulans芽胞の「放出(release)」を妨げる。好ましくは、これは、その血清中レベルが実質的に低いレベルまで低下するような時間まで、抗生物質が、芽胞が出芽するのを妨げるので、抗生物質処置期間の終わりと同時に生じる。一旦抗生物質レジメンが完了すれば、Bacillus coagulans芽胞は、出芽し、そして、以前の常在微生物叢の抗生物質による殺滅によって、この微生物が胃腸管の主要な常在微生物叢となる。
【0113】
さらに、栄養Bacillus coagulans微生物は、腸上皮に付着しない。従って(反復用量なしに)、この細菌は、約10日の最大時間、胃腸管に残存し、そして一過性微生物叢になると考えられる。Bacillus coagulansの比較的迅速な胃腸管クリアランス時間および胃腸管上皮への付着不能性は、(例えば)免疫無防備状態個体における菌血症のより後期への発達を防ぐ利点を有する。
【0114】
本発明の治療組成物はまた、公知の抗酸化剤、緩衝化剤および他の因子(例えば、着色剤、香味料、ビタミン、または鉱物)を含み得る。例えば、好ましい治療組成物はまた、1つ以上の以下の鉱物を含み得る:クエン酸カルシウム(15〜350mg);グルコン酸カリウム(5〜150mg);クエン酸マグネシウム(5〜15mg);およびクロミウム・ピコリネート(5〜200μg)。さらに、クエン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、クエン酸マグネシウムおよびクロミウム・ピコリネートを含む種々の塩が利用され得る。ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはカルボキシメチルセルロースのような濃稠化剤がこの組成物に添加され得る。本発明の治療組成物の好ましいさらなる成分としては、多種多様な着色料または香味料、ビタミン、繊維、酵素および他の栄養物が挙げられ得る。繊維の好ましい供給源としては、以下を含むがこれらに限定されない任意の種々の供給源が挙げられる:オオバコ、米糠、オート麦糠、コーンブラン、ふすま、果実繊維など。ラクターゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、カタラーゼなどの酵素のような食餌性酵素または補充酵素もまた、含まれ得る。本発明の組成物に用いられる化学物質は、Spectrum Quality Products,Inc(Gardena,CA),Sigma Chemicals(St.Louis,MI),Seltzer Chemicals,Inc.,(Carlsbad,CA)およびJarchem Industries,Inc.,(Newark,NJ)を含む種々の商業的供給源から入手され得る。
【0115】
種々の活性因子(例えば、共生細菌、抗生物質、抗真菌剤、ビフィドジェニックオリゴサッカライドなど)は、投与される種の胃腸管組織と生理学的に適合可能であるキャリアと組み合わされる。キャリアは、錠剤、カプセルまたは粉末形態への処方のための固体ベースの乾燥材料から構成され得る;またはキャリアは液体またはゲル形態への処方のための液体またはゲルベースの材料から構成され得る。特定の型のキャリアおよび最終処方物は、部分的には選択された投与経路に依存する。
【0116】
本発明の治療組成物はまた、種々のキャリアおよび/または結合剤を含み得る。好ましいキャリアは、1グラムの投薬総重量を完成するために十分な量で添加される微結晶セルロース(MCC)である。本発明の治療組成物に特に好ましい処方を以下に記載する。キャリアは、錠剤、カプセルまたは粉末形態の処方のための固体ベースの乾燥材料であり得る;そして液体またはゲル形態の処方のための液体またはゲルベースの材料であり得る。これは、部分的には投与経路に依存する。
【0117】
乾燥処方物のための代表的キャリアとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:トレハロース、マルトデキストリン、米粉、微小結晶セルロース(MCC)ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、FOS、GOS、デキストロース、スクロースなどのキャリア。組成物が乾燥され、そして組成物が固化する傾向(成分芽胞、塩、粉末、および油の固着)を生じる揮発油を含む場合、成分を分散しそして固化を防ぐ乾燥充填剤を含むことが好ましい。例示的な抗固化剤としてはMCC、滑石、珪藻土、アモルファスシリカなどが挙げられ、そして代表的に、約1重量%〜95重量%の量が添加される。続いて再水和される(例えば液体処方物)または乾燥状態で与えられる(例えば、咀嚼可能オブラート、ペレットまたは錠剤)乾燥処方物は、初期に水和される処方物であることが好ましいということにも気づくべきである。乾燥処方物(例えば、粉末)は、商業的に入手可能な食物(例えば、液体処方物、裏ごし食品、または飲料水供給)に補充するために添加され得る。同様に、特定の型の処方物は、投与経路に依存する。
【0118】
適切な液体キャリアまたはゲルベースのキャリアとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:水および生理学的塩溶液;尿素;アルコールおよび誘導体(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール);グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)。好ましくは、水ベースのキャリアは、中性のpH価(すなわち、pH7.0)を有する。この組成物はまた、天然のまたは合成の香味量および食品品質着色剤を含み得る。この全ては、乳酸産生微生物の生存度の維持と両立し得なければならない。コーンスターチ、グアールガム、キサンタンガムなどのような周知の濃稠化剤もまた、組成物に添加され得る。芽胞を含有する液体ベースの組成物が提供される場合、長期保存を促進するため芽胞発芽インヒビターを含むことが所望される。任意の芽胞発芽インヒビターが用いられ得る。例示の目的であり限定はしないが、好ましいインヒビターとしては以下が挙げられる:高度塩キャリア、メチルパラベン、グアールガム、ポリソルベート、保存剤など。
【0119】
保存剤もまた、キャリア内に含まれ得る。このような保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコールおよびエチレンジアミン四酢酸塩が挙げられる。周知の人工香味量および/または顔料もキャリア内に含まれ得る。本発明の組成物はまた、グリセロールまたはポリエチレングリコールのような可塑剤(MW=800〜20,000の好ましい分子量を有する)を含み得る。このキャリアの組成は、それが活性成分の薬学的活性またはBacillus coagulans芽胞の生存度を有意に妨害しない限り変化され得る。
【0120】
組成物は、種々の方法で、例えば、液体、粉末化された食品補充物、ペースト、ゲル、固体食物、包装食品、水などで、経口投与に適するように処方され得る。他の処方物は、当業者に容易に明白である。
【0121】
本発明の組成物の栄養物補充成分は、周知のように、任意の種々の栄養因子を含み得る。これには、ビタミン、鉱物、必須アミノ酸および非必須アミノ酸、炭水化物、脂質、栄養素、食餌性補充物などが挙げられる。好ましい組成物は、任意の組み合わせのビタミンおよび/または鉱物を含む。本発明の組成物における使用のためのビタミンとしては、ビタミンB、C、D、E、葉酸、K、ナイアシンなどのビタミンが挙げられ得る。この組成物は、特定の適用のために有用であるとみなされ得る場合、任意のまたは種々のビタミンを含み得、従ってこのビタミン内容物は限定であるとしてみなされるべきでない。例えば、代表的なビタミンは毎日の消費および1日あたりの推奨許容量(RDA)が推奨されるものであるが、正確な量は変化し得る。この組成物は、好ましくは、RDAのビタミンの複合体、鉱物および微量元素、ならびに確立されたRDAを有さないが、健常なヒトまたは哺乳動物の生理学において有利な役割を有する栄養物を含む。好ましい鉱物形態としては、グルコン酸形態またはクエン酸形態のいずれかであるものが挙げられる。なぜなら、これらの形態は、乳酸細菌により、より容易に代謝されるからである。関連する実施態様において、本発明は吸着されるべき任意の材料と組み合わせて、生存可能な乳酸細菌を含む組成物を意図する。これには、栄養補充物、食糧、ビタミン、鉱物、医薬、治療組成物、抗生物質、ホルモン、ステロイドなどの化合物(compound)が挙げられるがこれらに限定されない。ここで胃腸管から血中への材料の効率的かつ健常な吸収を保証することが望ましい。組成物に含まれる材料の量は、材料およびその吸収のために意図された目的に依存して広範に変化し得、そのため本発明は限定であると考えられるべきではない。本発明の組成物の他の成分は、本明細書において記載されるようにビフィドジェニックオリゴサッカライドであり得る。
【0122】
例であって限定する目的ではないが、Bacillus coagulans芽胞は、任意のタイプの乾燥製品または凍結乾燥製品に組み込まれ得る。これは、Bacillus coagulansの芽胞含有混合物の温度が、芽胞の出芽に必要な必要熱ショック温度(すなわち、80℃、5分間)まで上昇される限り、熱水で溶解または熱水と混合される。Bacillus coagulansの芽胞は、製品の製造業者または調製の間の消費者により、乾燥製品または凍結乾燥製品のいずれかに組み込まれ得る。これらの乾燥製品または凍結乾燥製品としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ティーバッグ、コーヒー(例えば、「凍結乾燥した」かまたは粉末化した)、甘味料(例えば、合成(NutraSweet(登録商標))および天然);温かいシリアル(例えば、オートミール、Cream of Wheat(登録商標)など)、温かい飲料、調味料/香味料 およびクリーマーなど。
【0123】
別の特定の実施態様では、Bacillus coagulans芽胞は、乾燥製品または凍結乾燥製品として利用され得るか、または、虫歯、歯肉炎、および他の形態の歯周部疾患の形成を防ぐために咀嚼可能錠剤、歯磨き剤、うがい薬、口腔点滴剤などに組み込まれ得る。同様に、Bacillus coagulans芽胞は、抗微生物剤とともに、またはともなわずに、酵母により生じる口腔感染(すなわち、「鵞口瘡」)、単純ヘルペスI型(すなわち、ヘルペス)、および口腔病因により生じる種々の他の感染を処置するために咀嚼可能錠剤、歯磨き剤、うがい薬、口腔点滴剤などに組み込まれ得る。
【0124】
なお別の特定の実施態様において、Bacillus coagulans栄養細菌細胞/芽胞は、結腸に共生細菌を直接投与するように、結腸洗浄として、浣腸によるなどの投与のための水溶液(例えば、生理食塩水)に組み込まれ得る。この投与方法は栄養細菌細胞の利用のために非常に有効である。なぜなら、それらは、経口投与の間の場合のように、胃の高度に酸性の環境に曝されないからである。
【0125】
(8.2 細菌感染の処置のための治療組成物方法)
本発明は、本明細書において開示される治療組成物または治療システムを用いる胃腸管細菌感染を処置、軽減または制御するための方法を意図する。開示された処置方法は、胃腸管感染に関連する病原性細菌の増殖を阻害するために、そして同時に、これらの病原性感染の有害な生理学的効果/徴候を緩和するために機能する。
【0126】
共生乳酸細菌、好ましくはBacillus coagulansは、一般に当業者により安全とみなされており(すなわち、FDAによりGRAS保証されている)、従って食糧における直接摂取または食品補充物として適切である。本発明の方法は、細菌感染を処置または防御するための、生存可能な乳酸産生細菌を含有する治療組成物のヒトまたは動物の胃腸管への投与を含む。投与は好ましくは液体、粉末、固体食品などの経口投与に適した処方物を用いてなされる。これら全ては当該分野で周知の方法の使用により本発明の治療組成物を含むように処方される。
【0127】
本発明の方法は、胃腸管での抗生物質耐性病原体のコロニー形成を処置または予防するための、乳酸産生細菌細胞(すなわち、栄養細菌細胞)および/または芽胞、あるいは単離されたBacillus coagulans細胞外産物(これは、抗生物質様特性を有する代謝体を含む)を含有する組成物のヒトまたは動物への投与を含む。詳細には、VRE、VISA、PRPおよび他の病原体について、この方法は、例えば、食物中のBacollus coagulansまたは食物補充物としての患者への投与を含む。好ましくは、経口投与は、水性懸濁液、エマルジョン、粉末または固体中で、食物中に、または、消費の前に使用者によって食物に添加される組成物としてのいずれかですでに処方されている。胃腸管への投与はまた、肛門坐剤の形態(例えば、ゲルまたは半コロイド処方物)であり得る。これら全ての処方物は標準的な方法論を用いてなされる。
【0128】
治療組成物の投与は、好ましくは、本発明の治療組成物を含む、ゲル、懸濁液、エアロゾル、噴霧剤、カプセル、錠剤、粉末または半固体処方物(例えば坐剤)を用いて胃腸管に対してである。これら全ては、当該分野で周知の方法を用いて処方される。病原性細菌感染を予防または処置する場合に有効である活性な共生乳酸産生細菌を含有する組成物の投与は、一般に、1日〜1ヶ月の時間間隔にわたる、1投与量あたり約10mg〜10gの組成物の1〜10投与量からなる。投与は(通常)12時間毎に1回で、そして4時間ごとに1回までである。好ましい実施態様においては、1〜7日間に、1用量あたり約0.1g〜5gで、1日あたり2〜4投与の治療組成物である。この好ましい用量は、病原性細菌感染を予防または処置するのに十分である。当然ながら、投与の特定の経路、投与量およびタイミングは、一部は、処置される特定の病原および/または状態、ならびにこのような状態の程度に依存する。
【0129】
本発明の好ましい実施態様は、1日あたり約1×103〜1×1014CFUの生存可能な栄養細菌または芽胞、より好ましくは1日あたり約1×105〜1×1010、そして最も好ましくは約5×108〜1×109CFUの生存可能な栄養細菌または芽胞の投与を含む。処置されるべき状態が、抗生物質耐性消化病原体を含み、そして患者が成体である場合、代表的な投与量は、1日あたり約1×102〜1×1014CFUの生存可能な栄養細菌または芽胞、好ましくは1日あたり約1×108〜1×1010、そしてより好ましくは約2.5×108〜1×1010CFUの生存可能な栄養細菌または芽胞である。処置されるべき状態が、乳幼児突然死症候群(SIDS)であり、そして患者が6カ月齢をこえる乳児である場合、投与量は、代表的に、1日あたり1×106〜1×109、好ましくは約5×104〜2.5×105、そしてより好ましくは約1.5×105〜2×105CFUの生存可能な栄養細菌または芽胞である。
【0130】
さらに、本発明は、病原体の増殖を超える共生乳酸産生細菌の増殖を優先的に促進するために、1日あたり約10mg〜20gのビフィドジェニックオリゴサッカライド、好ましくはフルクトオリゴサッカライド(FOS)、好ましくは1日あたり約50mg〜10g、そしてより好ましくは約150mg〜5gを含む組成物の経口投与を含む方法を意図する。この方法は、本明細書において記載されるように、共生乳酸産生細菌を用いる処置方法と組み合わせられ得る。
【0131】
本発明は、病原性細菌感染を処置、減弱および/または制御するための治療システムをさらに意図する。代表的に、このシステムは、本発明の治療組成物を含む包装の形態、または包装材料との組み合わせである。包装材料は、包装の構成要素の使用のためのラベルまたは説明書を含む。この説明書は、本発明の方法または組成物について本明細書において記載される包装要素の意図される用途を示す。
【0132】
例であり、限定ではないが、システムは、本発明に従う治療組成物の1つ以上の単位投与量を含み得る。あるいは、このシステムは、治療組成物のバルク量を代わりに含み得る。このラベルは、適切なように単位用量またはバルク形態のいずれかで治療組成物を使用するための説明書を含み、そしてまた組成物の貯蔵、疾患兆候、投与量、投与の経路および形態などの情報に関する情報を含み得る。
【0133】
さらに、特定の意図する使用に依存して、このシステムは、必要に応じて、以下の成分の1つ以上を組み合わせてか、または以下の成分の1つ以上を別の包装のいずれかで含み得る:ビフィドジェニックオリゴサッカライド、香味料、キャリアなどの成分。1つの特に好ましい実施態様は、治療方法における使用のための形態と共生菌の組み合わせるための説明書と一緒に、従来の液体製品と組み合わせて用いるためのBacillus芽胞の単位用量包装を含む。
【0134】
(9.細菌性胃腸炎の処置における本発明の治療組成物の利用)
いくつかの微生物種は、食物が原因の胃腸管感染(すなわち、細菌性胃腸炎)の大部分の病因として定量的に確認されてきた。ここで、Campylobacter jejuni媒介カンピロバクター感染症(46%)が、米国における細菌性胃腸炎の原因として最も通常に報告されており、罹患率として、これにSalmonella typhimurium媒介サルモネラ感染症(28%);細菌性下痢(17%);およびEscherichia coli O157感染(5%)が続く。さらに、種々のSalmonellaおよびShigella種が、Enterococciが、もともとStaphylococcus
aureusから抗生物質耐性を獲得したのと同じ様式で、最終的に抗生物質(すなわち、メチシリン(Metacillin)またはバンコマイシン)耐性を獲得し得るという可能性が非常にある。
【0135】
本発明に開示された方法論は細菌性胃腸炎のすべての形態の治療的介入に等しく適応し得るが、例であり、限定はしないが、以下の考察は、主に、Campylobacter jejuni媒介細菌性胃腸炎の処置におけるこれらの方法論の利用に限定される。
【0136】
Campylobacter jejuniが、1973年にヒト胃腸管(すなわち、下痢)病原体として初めて同定された。以前に言及されたように、1996年に、Centers for Disease Control and
Prevention(CDC)に報告された細菌性胃腸炎の実験室で確認された全ての例の46%が、Campylobacter種により生じた。米国だけでも、毎年、210万〜240万と推定されるヒトカンピロバクター感染症の症例が生じている。例えば、Tauxe、R.V.「Epidemiology
of Campylobacter jejuni infections in the United States and other industrial nations」Campylobacter jejuni:current and future trends.第9〜13頁(Nachamkin,I.およびTompkin L.S.編;American Society for Microbiology;1992)を参照のこと。より低い頻度で、Campylobacter jejuni感染はまた、菌血症、敗血性関節炎および種々の他の腸外病状を生じることが報告されている。例えば、Peterson,M.C.1994.Wes.J.Med.161:148〜152を参照のこと。さらに、Campylobacter jejuniにより起こるヒト感染の増加する割合は、抗微生物治療に耐性である。生の鶏肉の誤った取り扱いおよび生煮えの鶏肉の消費がヒトのカンピロバクター感染症の主な危険因子である。
【0137】
Campylobacter jejuni関連感染による死亡は比較的まれであり、そして主に乳児、高齢者および潜在的な疾病を有する個体で起こる。例えば、HIV陽性/AIDS患者におけるカンピロバクター感染症の頻度は一般的集団より著明に高い。1983年〜1987年にロサンゼルス市で報告されたAIDS患者のカンピロバクター感染症の頻度は、100,000人あたり519例であった。これは、一般的な集団における割合よりも39倍高い。例えば、Sorvillo,F.J.ら、1991.J.Acquired Immune Defic.Syndr.Hum.Retrovirol.4:595〜602.を参照のこと。HIV感染個体におけるカンピロバクター感染症の通常の合併症としては、抗微生物耐性細菌株での感染再発が挙げられる。例えば、Penman、D.J.ら、1988.Ann. Intern.Med.108:540〜546を参照のこと。
【0138】
(9.1 Campylobacter jejuni媒介胃腸炎の病態生理学)
Campylobacter jejuni媒介胃腸炎の病態生理学は、宿主特異的因子および病原特異的因子の両方を含む。宿主の全般的健康度および年齢(例えば、Tauxe,R.V.「Epidemiology of Campylobacter jejuni infections in the United States and other industrial nations」Campylobacter jejuni:current and future trends.第9〜13頁(Nachamkin,I.およびTompkins L.S.編;American Society for Microbiology;1992)を参照のこと)ならびに以前の曝露からのCampylobacter jejuni特異的体液性免疫(例えば、Blaser,M.J.ら、1987.JAMA 257:43〜46)を含むがこれらに限定されない因子が、感染後の臨床結果に影響する。
【0139】
健常な成体において感染を生じるには、相対的に少ない数の生存可能な生物体の摂取で十分である。例えば、1つのボランティア研究では、Campylobacter jejuni感染は、800程度の少ない生物体の摂取後に生じることが示された。感染の全般的割合は、摂取した用量の関数として増加する。例えば、Black,R.E.ら、1988.J.Infect.Dis.157:472〜479を参照のこと。さらに、細菌性摂取が、胃の酸性度を低下するように緩衝化された懸濁液に摂取された場合、感染の割合は増加するようであった。例えば、Black,R.E.ら、1988.J.Infect.Dis.157:472〜479を参照のこと。同様に、Campylobacter jejuni感染性の割合および付随する疾患の重篤度の両方は、感染した個体の全般的胃腸管「健康度」における障害(例えば、低いレベルの正常胃腸管微生物叢を沈殿させる続発性の疾患または感染など)によりポジティブに影響されるようであった。一致して、低下したpH(すなわち、酸性環境)および競合する細菌種に対するCampylobacter jejuniの感受性は、個体の胃腸管内の条件の悪い酸性の競合的環境を生成することにより、Campylobacter jejuniのインビボ増殖(それゆえ、その感染性の割合)を緩和するための本発明に開示された抗生物質耐性の乳酸産生共生細菌の(適切な抗生物質との組み合わせでの)利用の潜在的効力を示すように働く。
【0140】
多くの病原体特異的毒性決定因子は、Campylobacter jejuni媒介感染の病原性に寄与し得るが、量的に確認された役割はない。例えば、Ketley,J.M.,1997.Microbiology 143:5〜21を参照のこと。疑わしい病原性決定因子としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:走化性、運動性、および鞭毛。これら全てが、胃腸管上皮の付着およびコロニー形成に必要である。例えば、Ketley,J.M.1997.Microbiology 143:5〜21を参照のこと。一旦コロニー形成が起これば、他のありうる毒性決定因子は、鉄獲得、宿主細胞侵襲、毒素産生、炎症および活性な分泌、ならびに漿液の漏出をともなう上皮破損である。例えば、Ketley,J.M.,1997.Microbiology 143:5〜21を参照のこと。
【0141】
(9.2 Campylobacter jejuni感染に対する続発症)
いくつかの慢性の胃腸管外の続発症は、Campylobacter jejuni媒介細菌性胃腸炎(例えば、ギヤン−バレー症候群およびライター症候群−活動型の関節症)と関連づけられる。
【0142】
ギヤン−バレー症候群(GBS)、すなわち急性神経筋麻痺を生じる脱髄(demyelating)障害は、Campylobacter感染の重篤な続発症である。例えば、Allos,B.M.,1997.J.Infect.Dis.176:5125−5128を参照のこと。GBSの1症例は、キャンピロバクター症の1,000症例毎に生じ、そしてこの症候群を有する患者の約40%までが最近Campylobacterに感染したという証拠を示したことが推定されている。GBSを有する患者の約20%は、何らかの障害が残り、そして呼吸器系の治療が最近発展したにもかかわらず、約5%は死亡する。キャンピロバクター症はまた、反応性関節症であるライター症候群と関連づけられる。例えば、Peterson.M.C.,1994.Scand.J.Rheumatol.23:167−170を参照のこと。キャンピロバクター症を有する患者の約1%において、生殖不能の(sterile)感染後プロセスが、下痢を発症して7〜10日後に生じる。複数の関節が罹患し、特に膝関節が罹患し得る。疼痛および活動不能が数ヶ月にわたって続き得るか、またはいくつかの症例では慢性化し得る。
【0143】
GBSおよびライター症候群はともに、感染によって刺激される自己免疫応答であると考えられる。例えば、ライター症候群を有する多くの個体は、HLA B27抗原性マーカーを有することが見出された。例えば、Peterson,M.C.,1994.Scand J.Rheumatol.23:167−170を参照のこと。不運なことには、GBSの病理(例えば、Shoenfeld,Y.ら,1996.Int.Arch.Allergy Immunol.109:318−326を参照のこと)およびライター症候群の病理は、完全に理解されてはいない。
【0144】
(9.3 Campylobacter jejuniの抗微生物剤耐性株)
Campylobacter jejuniの抗微生物剤耐性株により引き起こされる、増加した割合のヒト感染により、キャンピロバクター症の症例の臨床的管理が明らかにより困難になっている。例えば、Murphy,G.S.ら,1996.Clin.Infect.Dis.22:568−569;Piddock,L.V.,1995.Antimicrob.Agents Chemother.36:891−898を参照のこと。以前に議論されたように、抗微生物薬剤耐性は、疾患を長引かせ得、そして菌血症を有する患者の処置に欠陥を生じ得る。興味深いことには、抗微生物剤耐性Campylobacter jejuni媒介腸感染の割合は、発展途上国で最も高く、そこでは、ヒトおよび動物における抗微生物薬剤の使用は比較的制限されている。例えば、1994年の研究において、タイランドの米軍由来のCampylobacter jejuniの大部分の臨床単離株が広域スペクトルの抗生物質であるシプロフロキサシンに耐性であることがわかった。同様に、Hat Yaiに駐留する米軍由来のCampylobacter jejuni単離株の約1/3がアジスロマイシンに耐性であることもまた分かった。例えば、Murphy,G.S.ら,1996.Clin.Infect.Dis.22:568−569を参照のこと。工業国では、広域スペクトルの抗生物質であるフルオロキノロンに耐性であることが分かったCampylobacter jejuni株の出現は、食用動物生産における抗生物質の使用については細心の注意が必要であることを示す。例えば、Piddock,L.V.,1995.Antimicrob.Agents Chemother.36:891−898を参照のこと。実験的証拠は、フルオロキノロン感受性のCampylobacter jejuniが、これらの薬物が投与される場合に家禽中で薬物耐性に容易になり得ることを実証する。例えば、Jacobs−Reitsma,W.F.ら,The induction of quinolone resistance in Campylobacter bacteria in broilers by quinolone treatment.(Campylobacter,Helicobacters,and related organisms.1996.(Newell,D.G.,Ketley,J.M.およびFeldman,R.A.,編、New York:Plenum Press)307〜11頁)を参照のこと。家禽におけるフルオロキノロンの使用が欧州で認可された後に、耐性Campylobacter jejuni株が、1990年代初頭の間にヒトにおいて急速に出現したことが示された。例えば、Piddock,L.V.,1995.Antimicrob.Agents Chemother.36:891−898を参照のこと。同様に、米国において家禽に対するフルオロキノロンの使用を1995に認可してから2年以内に、シプロフロキサン耐性キャンピロバクター症の、家畜から感染した(domestically−acquired)ヒト症例の数がミネソタで二倍になった。ミネソタで行われた1997年の研究では、食品雑貨店で購入した鶏肉から得られた、60のCampylobacter jejuni単離株の(20%)が、シプロフロキサン耐性であることがわかった。例えば、Smith,K.E.ら,Fluoroquinolone−resistant Campylobacter isolated from humans and poultry in Minnesota.1995.Program of the 1st International Conference on Emerging Infectious
Diseases;Mar 7−10,1998.Centers for Disease Control and Prevention;Atlanta,GAを参照のこと。
【0145】
(9.4 Campylobacter jejuni媒介感染の処置)
現在の伝統的な治療モダリティーは、主に、キャンピロバクター症を有する患者の大部分に対する補助的手段(特に体液置換および電解質置換)を包含する。例えば、Blaser,M.J.,Campylobacter Species.(Principles and practice of infectious diseases.1990.1649−1658頁(Mandell,G.L.ら,Churchhill Livingstone))を参照のこと。重篤な脱水症状の患者は、速やかな静脈内液体の容量の増大を受けるべきであるが、大部分の他の患者については、経口的再水和が指示される。
【0146】
Campylobacter感染は、一般に、その性質が自己限定型であるが、抗生物質治療は、高熱、血便様下痢(bloody diarrhea)または24時間内に8回を超える排便を有する患者;免疫抑制された患者、全身性感染を有する患者、および彼らの症状が最初の診断時から1週間より長きにわたり悪くなっているか、または持続している患者には細心の注意が払われ得る。指示されるように、症状が発生した後すぐの抗微生物剤治療は、疾患持続期間の中央値を約10日〜5日へと減少し得る。しかし、このような処置が遅れた場合(例えば、Campylobacter jejuni感染が医学実験室で確認される場合)、抗生物質治療は成功しないかもしれない。投与の容易さ、重篤な毒性の欠如、および高度な有効性により、エリスロマイシンがCampylobacter jejuni感染のために選択される薬物になっている;しかし、他の抗微生物剤(特にキノロン系およびより新たなマクロライド系抗生物質(例えば、アジスロマイシン))もまた利用され得る。
【0147】
抗生物質剤の利用(このことにより正常な微生物叢は殺傷される)は、頻繁には、Campylobacter jejuni媒介細菌性胃腸炎を有する患者において有害な生理学的効果(例えば、下痢、胃腸内粘膜の喪失、脱水など)を悪化させる。従って、これらの個体に対する、抗生物質および本発明の抗生物質耐性共生微生物の付随した投与は、胃腸内微生物叢を再樹立することによりこれら前述の有害な生理学的症状を改善し得る。この胃腸内微生物叢は、必要な増殖成分(例えば、脂質、炭水化物、電解質、アミノ酸など)について病原性細菌と直接競合し、かつ乳酸の生成によりpHを低下させることにより、病原細菌が連続して増殖しにくい胃腸内環境にする。
【0148】
(9.5 他の細菌性胃腸内病原体)
種々の他の胃腸内病原体(いくつかは抗生物質耐性)が最近報告されている。これらの病原体は、本発明での予防または処置になじみやすい。
【0149】
例えば、FDAはキノロン系抗生物質に耐性の細菌が食用動物において出現し、そしてヒトにおいて疾患を引き起こすか否かを調査している。充分な調理を通して、食肉中に生存する抗生物質耐性細菌がヒトに感染するという可能性は急激に減少することが実証されたが、フルオロキノロン以外の薬物に耐性の病原体は、食肉中で生存し、引き続きヒトに感染することが散発的に報告された。例えば、1983年には、中西部4州における18名の人々が、抗生物質を摂取させたウシ由来の牛肉を食べた後に、多剤耐性Salmonella食中毒を発症した。これらの人々のうち、11名が入院し、そして1名が死亡した。
【0150】
Comettaらにより行われた研究は、抗生物質耐性の増加と、ヒトにおける抗生物質の使用の増加とが並行していることを示した。例えば、Cometta,ら,1994.New Engl.J.Med.126:43−47を参照のこと。彼らは、フルオロキノロン抗生物質を与えた癌患者の大きな集団を試験した。これらの患者の白血球数は、それらの癌処置の結果として非常に低く、そのため、日和見感染症に対して無防備になっていた。1983と1993年との間に、抗生物質を受けたこのような患者の割合は、1.4%から45%に上昇した。その期間に、研究者らは、患者から毎年Escherichia coli細菌を単離し、そして5つの型のフルオロキノロンに対する耐性についてその微生物を試験した。1983年と1990年との間に、試験した92のE.coli株全てが抗生物質により容易に殺傷された。しかし、1991年から1993年まででは、試験した40株のうち11株(28%)が、5つの薬物全てに耐性であることが分かった。
【0151】
(10.動物中の寄生虫を阻害するための治療方法)
本発明はまた、動物の胃腸管中の寄生虫および/または病原生物の増殖を阻害するための方法に関する。この方法は、本発明の組成物を、動物の胃腸管に投与し、それによってその胃腸管にいる任意の寄生虫と、この組成物中の有効量の活性成分とを接触させる工程を包含する。
【0152】
本明細書中で使用される場合、用語「病原体」および「寄生虫」は、動物の胃腸管中および/または糞便中で増殖する有害な生物の状況で交換可能に使用されるが、これらの用語は特有の意味を有することが理解される。
【0153】
本発明は、動物の胃腸管中の寄生虫の増殖を阻害するための方法を記載し、この方法は、動物の胃腸管に本発明の組成物を投与する工程を包含する。組成物は、好ましくは、珪藻土および生きた乳酸産生細菌を含む。寄生虫に対する本発明の組成物に存在する珪藻土の代謝的効果は、寄生虫の組織(代表的には、表面骨格(ectoskeleton)の軟性の小皮部分(soft cuticle
portion))を破壊することであり、これは、小皮に対する珪藻土の研磨性の性質に基づいて、CEを接触させた後に、寄生虫の動きについての機構的効果の間に生じる。小皮におけるこれらの破壊は、寄生虫の防御性表面骨格を破り、このことにより、寄生虫を、感染されやすくし、脱水されやすくし、液交換されやすくし、そして/または液体を喪失されやすくするなどの、寄生虫の健康状態を阻害し、それにより増殖を阻害する効果を付与する。
【0154】
珪藻土と乳酸産生細菌とを組み合わせた使用は、本願組成物、本願方法および本願システムに対して重要な利点をもたらす有益な相乗効果を提供する。本明細書中で記載されるように、共生細菌の使用は、腸管内での健康的な増殖を促進して、有害な細菌と競合し、有害細菌により標的とされる組織を、より健康的にする。寄生虫は、増殖および摂食部位で局所的な組織損傷を引き起こし、そしてしばしば、その部位で炎症および組織傷害ももたらす。この組織損傷は、組織が破壊され、そして/または健康が損なわれる病理的環境または非健康的環境をもたらし、所望されない病原体または日和見病原体が組織近傍で増殖することを許容してしまう。寄生虫は組織を損傷し、かつ病原体感染に都合のよい環境を作り出すので、珪藻土は、寄生虫および病原体感染の両方を、組織損傷の程度を低減させることにより阻害する。宿主の健康状態は、寄生虫を撃退する能力に寄与するので、共生物質を用いて病原体感染を低減させることによる組織の健康状態の改善は、寄生虫増殖を阻害する能力が増大する。従って、共生物質および珪藻土は、それぞれ、病原体および寄生虫を阻害することにおいて協同し、次いで、共生物質の増殖が互いの増殖を促進し、組織損傷を低減させ、かつ宿主の消化器系の健康状態を増大させる。
【0155】
1つの実施態様において、本発明は、動物の糞便中の寄生虫および病原生物の増殖を阻害する方法を企図する。この方法は、本発明の組成物を動物の胃腸管に投与し、これによってこの組成物中の活性成分を動物の胃腸管に導入する工程を包含する。有効量の珪藻土を含む組成物は、最初に腸内(ここで、最初に寄生虫が増殖する)での生存能力のある増殖を妨げ、このことによって糞便に到達した(すなわち、接種された)寄生虫の量を低減し、続いて、糞便が排泄された後に、糞便中で生じる増殖を妨げることにより、糞便中の寄生虫もしくは病原生物を制御および/または阻害する。
【0156】
糞便が所望でない生物の増殖および交配拠点を提供する限り、糞便中で寄生虫および病原生物の増殖を制御および/または阻害することは、糞便が生じ、排泄され、そして/または貯蔵される領域で、これらの所望されない生物の増殖および再生を阻害する。例えば、納屋および畜舎において、動物のケージにおいて、フィードロットにおいて、動物展示囲い内などの、動物が維持管理され、そして糞便が排泄される領域では、寄生虫/病原体が他の宿主に炎症を起こさせ、伝播し、再生し、そして/または感染する機会がある。これらの環境は、本発明により解決される、所望されない種々の問題をもたらす。例えば、寄生虫または病原体が宿主に伝播し、そしてさらに感染することは所望されず、そして感染の伝播を制御するそれらのおよび任意の手段は、複数の動物が一緒に飼われている場所で大いに有益である。さらに、多くの環境では、寄生虫もしくは飛び回る昆虫が宿主動物をかむことによって動物が苛立ち、そして/または動揺し、このことは、過剰な襲撃行動、噛み付き行動および関連する行動(これは隣にいる動物および動物取扱者にとって危険である)を含む行動問題をもたらす。
【0157】
特に好ましい実施態様において、本発明は、動物が維持管理されている動物のケージ/畜舎/囲い中の飛び回る昆虫集団を減少および/または制御するための方法を企図する。この方法は、本発明の組成物を、飼われた動物の胃腸管に投与する工程を包含する。
【0158】
本発明は、多くの種々の寄生虫および病原生物を制御するにおいて有用であるため、本発明は生物の任意の特定の属または種を阻害することに限定される必要はない。例えば、この組成物の有効性について本明細書中に記載された機構に基づいて、動物寄生虫として作用し得る全ての昆虫の種類は本発明の方法によって標的とされ得ることが理解される。寄生虫は、任意の種々の動物(哺乳動物、爬虫類、トリなどを含む)に感染し得、従って、本発明は、任意の特定の動物に限定されないと認められる。周知のまたは重要な寄生虫の例は、本発明を例示するために本明細書中に記載されるが、本発明を限定するとはみなされない。動物および/またはヒト宿主の代表的な寄生虫は、種々の獣医学上での取り決め(例えば、「Merck’s Veterinary Manual」および「Cecil’s Human Diseases」)に広く詳細に記載される。ウマの寄生虫としては、Gasterophilus種(例えば、G.intestinalis、G.haemorrhiodalisおよびG.nasalis)が原因であるウマバエ、口唇バエ(lip bot)もしくは咽頭バエ(throat bot)、Habronema種(例えば、H.muscaeもしくはH.microstoma mulus)が原因であるか、またはCrascia種(例えば、C.mepastoma)が原因であるか、またはTrichostrongvlus種(例えば、T.axei)が原因である毛様線虫、Parascaris種(例えば、P.eciuorum)が原因である回虫(白色蠕虫(white worm))、Stroncrvlus種(例えば、S.vulcraris、S.epuinusまたはS.edentatus)が原因である住血吸虫(blood worm)(柵状虫(palisade worm)、円虫(red worm)または線虫(sclerostome))、Triodontophorus種(例えば、T.tenuicollis)が原因である盲腸および結腸の小円虫(small strongyles)、Oxvuris種(例えば、O.eaui)が原因である蟯虫、Stroncivloides westeriが原因である腸の糞線虫感染、Anonlocephala種(例えば、A.macmaおよびA.perfoliata)が原因であり、そしてParanonlocephala mamillanaが原因である条虫類が挙げられる。
【0159】
種々の他の寄生虫は、反芻動物(代表的には、ウシ)において疾患を引き起こし、そしてそれらの寄生虫としては、Haemonchus種が原因である捻転胃虫(wire worm)(またはbarber’s pole wormまたは大毛様線虫(large stomach worm))が挙げられる。反芻動物(代表的には、ブタ)において生じる寄生虫としては、Hvostroncmulus種が原因である毛様線虫が挙げられる。
【0160】
さらなる寄生虫は、種々の動物宿主に感染することが公知であり、従って、本発明の方法によって処置するための標的である。例えば、胃腸寄生虫は、種々の動物に感染し得、そして、それらの寄生虫としては、イヌの食道虫(esophegeal worm)の原因であるSpirocerca種(例えば、S.lupi)ならびにイヌおよびネコの毛様線虫の原因であるPhysoloptera種が挙げられ得る。
【0161】
ヒトにおいて、多くの種々の寄生虫は、これらの寄生虫が周知である限り、本発明の方法の特に重要な標的である。しかし、本発明は、これらの寄生虫に限定されると解釈されるべきではない。
【0162】
動物がペレット化飼料もしくは粒状飼料を摂取する場合、この組成物は、ペレット化飼料または粒状飼料中に含まれ得るか、または本発明のペレット化組成物と合わせたペレット化飼料の混合物を含み得る。ペレット化飼料と本発明の組成物のペレット化処方物とを混合することは、このことが市販の飼料を使用し、そして投与される本発明の組成物の量を同時に調節するために、便利なシステムを提供する限り、本発明を実施するために特に好ましい方法である。
【0163】
治療組成物の投与は、好ましくは、本発明の栄養組成物を含むゲル、懸濁物、エアロゾルスプレー、カプセル剤、錠剤、顆粒、ペレット剤、カシェ剤、散剤または半固体の処方物(例えば、坐剤)を用いて腸に投与され、全て、当該分野で周知の方法を用いて処方される。
【0164】
この方法は、栄養学上の結果を達成するために、本明細書中に記載されるように種々の投薬レジメンで活性成分を含む本発明の組成物のヒトまたは動物に対する投与を包含する。腸および糞便中の寄生虫の増殖を阻害するに有効な活性成分を含む組成物の投与は、一般に、約100kg体重の動物に対しては、10ヶ月まで1日につき10mg〜10g/組成物投薬量の1〜10単位投薬量からなる。単位投薬量は、一般に、12時間毎に1回与えられ、そして4時間毎に1回まで与えられる。好ましくは、1〜7日の間は、1日につき2〜4投薬量の組成物(各々、約0.1g〜50g/投薬量を含む)が所望の結果を達成するに十分である。
【0165】
好ましい方法は、1日あたり、1×102〜1×1010の生細菌または芽胞、いくつかの実施態様においては、1×103〜1×106の生細菌または芽胞、他の実施態様においては、1×106〜1×109の生細菌または芽胞、およびより好ましくは約5×108〜1×109の生細菌または芽胞を消化管に投与することを包含する。例示的な投薬量は、1日あたり、約1×103〜1×106の生細菌の範囲であるか、あるいは1日あたり、約1×106〜1×109の生細菌の範囲である。
【0166】
関連する実施態様において、好ましい方法は、組成物の容量につき約0.1%〜25%重量(w/v)の珪藻土を送達する組成物の投与を包含する。ここでこの組成物は、代表的には、動物飼料として、好ましくは、約0.5〜10%(w/v)、そしてより好ましくは約1〜5%(w/v)が処方される。代表的には、動物飼料中で使用される場合、投与の単一投薬経路は高濃度の珪藻土(例えば、約2〜10% w/v、好ましくは約5% w/v)を使用する。動物摂食経路という投与が毎日の給餌態様で用いられる場合、低濃度の珪藻土が代表的には使用される(例えば、約0.5〜2% w/v、好ましくは、約1% w/v)。異なる言い方をすると、代表的な単位投薬量は、一日あたり、100kgの動物につき約50mg〜10gの珪藻土、好ましくは約200〜500mgの珪藻土を含む組成物である。
【0167】
さらに、好ましい方法は、1日あたり、10mg〜20gのフルクトオリゴサッカライド、好ましくは、約50mg〜10gのフルクトオリゴサッカライド、そしてより好ましくは、約150mg〜5gのフルクトオリゴサッカライドを消化管に投与する工程を包含する。これらの投薬量は、約70〜100kg体重の動物について表される。他の体サイズの動物については、この投薬量は、上記の体重対投薬の比に従って調節される。
【0168】
この方法は、代表的には、病原体または寄生虫を阻害することが所望される場合に、任意の動物に対して行われる。この動物は、任意の家畜または動物標本、であり得、ここで寄生虫/病原体のこのような阻害は、経済的利点および健康上の利点を提供する。任意の動物が、本願方法により恩恵を受け得、これらの動物としては、トリ、爬虫類、哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜)または動物学目的の任意の種々の動物が挙げられる。他の目的は、栄養吸収、飼料利用およびバイオアベイラビリティーの分野の当業者に容易に明らかである。
【0169】
(10.1 寄生虫増殖を阻害するための治療システム)
本発明は、動物の胃腸管および動物の糞便中の寄生虫および/または病原体の増殖を阻害するためのシステムをさらに企図する。このシステムは、ラベルおよび本発明に従う組成物を含む容器を含み、ここで上記のラベルは、病原体/寄生虫の増殖を阻害するための組成物の使用についての説明書を含む。
【0170】
代表的には、このシステムは、本発明の組成物を含むパッケージの形態で、またはパッケージされた材料の組み合わせで存在する。このパッケージ材料は、パッケージの成分の使用に関するラベルまたは説明書を含む。この説明書は、本発明の方法または組成物に関して本明細書中で記載されるように、パッケージ成分の企図された使用を示す。
【0171】
例えば、システムは、本発明に従う治療組成物の1以上の単位投薬量を含み得る。あるいは、このシステムは、組成物のバルク量を含み得る。ラベルは、単位容量または適切な場合にはバルク形態のいずれかでこの組成物を使用するための説明書を含み、そしてこの組成物の貯蔵、給餌の指示、健康状態および食餌の指示、投薬量、投与経路、この組成物と予め選択された食糧とをブレンドするための方法などの情報に関する情報を含み得る。
【0172】
(等価物)
本発明の特定の実施態様の前述の詳細な説明から、胃腸管病原体およびそれらに関連する疾患を予防および処置するために乳酸産生細菌(好ましくは、Bacillus coagulans)を利用するための独自の方法論が記載されてきたことは容易に明らかである。特定の実施態様が本明細書中に詳細に開示されたが、これは、例示の目的のみのために例によって開示され、そして上記の添付された特許請求の範囲の範囲を制限することは意図されない。特に、種々の置換、改変、および変更が、特許請求の範囲により規定される発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に対して行われ得ることを、本発明者らは企図する。例えば、本発明の治療組成物において利用される特定の抗生物質の選択は、本明細書中に記載される実施態様の知見に基づいて、当業者にとって慣用的事項であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−215665(P2010−215665A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153465(P2010−153465)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【分割の表示】特願2000−565902(P2000−565902)の分割
【原出願日】平成11年8月6日(1999.8.6)
【出願人】(500457634)ガネデン バイオテック, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】