説明

共用スリッパの消毒箱

【課題】本発明の目的とするところは、病院の診察待合室、ゴルフ場、宿泊レジャー施設等の浴室等に配置されている共用スリッパを、多くの人が繰り返し使用しても、使用するたびに消毒殺菌、消臭され、常に清潔なスリッパを安心して快適に使用できるようにすることである。
【解決の手段】本発明の共用スリッパ消毒箱は、使用済のスリッパを収納箱に納め、引出しあるいは開閉扉をしめると、自動的に紫外線殺菌灯あるいはオゾン発生器が点灯稼動し、予め設定された時間スリッパに照射反応させて、消毒殺菌消臭することにより、次の利用者が消毒済スリッパとして認識して使用することができ、使用後は利用者が空いている収納箱へ使用済スリッパを返却することによって、次の人、次の人と消毒済のスリッパを安心快適に使用することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、ゴルフ場更衣室、宿泊レジャー施設等で共用して使用するスリッパの消毒殺菌、消臭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院の診察待合室にあるスリッパは、あらかじめ消毒、消臭したものを間口、あるいは棚に並べてあり、利用者が任意に使用しているが、利用者からみると、それが消毒され清潔なものであるかどうかは、病院側を信頼する以外なく、また利用した人が使用済スリッパを回収カゴに入れず、元の棚に戻してしまう人もおり、不潔に感じながらもやむを得ず使用することが多い。
【0003】
また、ゴルフ場、宿泊レジャー施設内の浴場などでは、浴場まで履いてきたスリッパは間口で脱ぎ入浴する。入浴後、履いてきたスリッパと同じものを捜すことは困難でやむを得ず、他人が使用したスリッパを使用することになり、水虫等、雑菌に接触している可能性に不安を感じる人が多い。
【0004】
このように、病院の待合室、ゴルフ場、レジャー施設の浴場などで、提供されている共用スリッパは、清潔で安心快適に使用されるべきですが、上述のように利用者に不安、不快な気持を与えているのが現状である。
【0005】
このような不快感を排除するため、スリッパ数足から数十足をまとめて消毒殺菌する紫外線殺菌灯付きスリッパボックスが市販されているが、照射の不均一、照射時間のバラツキ等による消毒殺菌が不十分になる欠点が指摘されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スリッパを共用利用として提供する病院、ゴルフ場、宿泊レジャー施設等において、利用者が入れ替わり使用する時は、使用される前に必ず雑菌を消毒し、不快な臭気を除去し、安心快適に使用できるようにすることである。しかしながら、共用利用として提供されているスリッパは、利用者側からみると、必ずしも清潔であると確認できず、安心して快適に利用しているとは限らない。
【0007】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、病院、ゴルフ場、宿泊レジャー施設等において、共用利用されるスリッパを使用者が利用する目の前で必ず消毒殺菌、消臭れたものが使用できるようにした共用スリッパ消毒箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記、問題を解決するために、図1に示すように、スリッパ2が一足はいる大きさの収納箱1を用意する。収納箱1には引出し21あるいは開閉扉22を設け、スリッパ2の出し入れができるようにする。引出し21あいは開閉扉22には、閉まった状態を検出するため開閉検出リミットスイッチ6の電気信号による検出装置を付設する。
【0009】
図2、図3において収納箱1の中には、スリッパ2の有無を識別するため、スリッパ2の自重あるいは偏重心により、上下または斜めに変位する台3,32、あるいは偏心テコ34などの支点を利用して変位させて、スリッパの有無を検出するスリッパ有無検出リミットスイッチ7による検出装置を付設する。
【0010】
さらに、収納箱1の内部後方に消毒殺菌、消臭の機能をもつ紫外線殺菌灯4あるいは、オゾン発生器5を個別にまたは併用して配設する。紫外線殺菌灯4あるいはオゾン発生器5による消毒殺菌、消臭の効力については、文献あるいは実績に証明されており、本共用スリッパ消毒箱には適切な能力のものを選定する。
【0011】
消毒殺菌、消臭の実行は、スリッパ2を収納箱1に納め、引出し21あるいは開閉扉22を閉めると、スリッパ2が有ること、引出し21あるいは開閉扉22が閉まっていることを、スリッパ有無検出リミットスイッチ7および開閉検出リミットスイッチ6により認識して、自動的に紫外線殺菌灯4あるいはオゾン発生機5を点灯稼動させ、予め設定された時間スリッパ2に照射反応させて消毒殺菌、消臭を行う。照射反応中は消毒中表示灯41を点灯すると共に、安全のため引出し21あるいは開閉扉22はロックピン8により開閉不可とする。
【0012】
所定の時間の消毒殺菌、消臭が終了した後、引出し21あるいは開閉扉22のロックピン8が解除され、収納箱1には消毒済表示灯42を点灯、利用者に直前に消毒されたスリッパであることを知らせる。
【0013】
スリッパ2を使用する人は、消毒済表示灯42が点灯している収納箱1からスリッパ2を取り出して、消毒殺菌、消臭され清潔であることを認識して、安心快適に使用することができる。
【0014】
スリッパ2を取り出した後、引出し21あるいは開閉扉22を閉めると、収納箱1には空き表示灯43が点灯する。
【0015】
スリッパを使用し終えた人は、空き表示灯43が点灯している収納箱1に、使用済のスリッパ2を入れたのち、引出し21あるいは開閉扉22を閉めることにより、利用者のスリッパが収納箱1に返却され一回りの使用を完結する。
【0016】
使用済スリッパ2を収納箱1に納め、引出し21あるいは開閉扉22を閉めると、収納箱1はスリッパ有り、引出し21あるいは開閉扉22閉を検出、再び紫外線殺菌灯4あるいはオゾン発生器5が点灯稼動し、次の利用者のためのスリッパ2を消毒殺菌、消臭を行う。
【0017】
この収納箱1は、施設の規模に合わせて必要数設置されるが、不特定多数の人が任意に共用スリッパを利用するとき、この収納箱1を経由して使用されるためスリッパは必ず消毒殺菌、消臭され、次の利用者が消毒済表示灯42が点灯している収納箱1から取り出したスリッパ2を使用すれば、常に消毒済の清潔なスリッパ2であることを認識して、安心快適に使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の共用スリッパ消毒箱を設置することにより、病院、ゴルフ場、レジャー施設等は利用者に安心感、清潔感を与え、それぞれの施設のイメージアップにつながる。
【0019】
本発明の共用スリッパ消毒箱を設置することにより、共用スリッパの利用者が安心、快適に使用できるとともに、利用者間での細菌、水虫等の感染を防止する。
【0020】
本発明の共用スリッパ消毒箱を設置することにより、病院、ゴルフ場、レジャー施設等はスリッパの消毒費用、使用済のスリッパの回収等に要する経費の削減ができる。
【0021】
本発明の共用スリッパ消毒箱を設置することにより、病院、ゴルフ場、レジャー施設等においては、使用済のスリッパが放置されることによる雑菌の飛散や悪臭がなくなり、施設内が衛生的で爽快な環境がえられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の共用スリッパ消毒箱の外観図の一例
【図2】本発明のシーソー式台による消毒箱の「消毒中」の断面図
【図3】図2からスリッパの着脱時の状態を示す断面図
【図4】本発明のシーソー式台による消毒箱のスリッパなし状態の断面図
【図5】図4から引出しを引き出した状態を示す断面図
【図6】本発明の片吊式台による消毒箱の「消毒中」の状態の断面図
【図7】図6からスリッパを取り出した後の状態の断面図
【図8】本発明のハネ板による消毒箱の消毒中の状態の断面図
【図9】図8からスリッパを取り出した後の状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施にあたり、収納箱1の中のスリッパ2の有無を識別することが重要であり、識別方法の実施例のいくつかを図2−図9を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図2および図4は、シーソー式台3による実施例をを示す断図面である。図2はシーソー式台3にスリッパ2を載せた状態を示す。図4はスリッパ2がない状態を示す。シーソー式台3にはシーソー支点31を中央よりやや後方の位置に設け、且つ後方部が下がるようにバランスウエイト33により調整し、図4の状態を維持させる。そこにスリッパ2を載せると、スリッパの重みの大部分はシーソー支点31の前方にかかり、シーソー台3は前傾し、スリッパ有無識別リミットスイッチ7に接圧し、スリッパ有りを識別する。この方法は、シーソーを偏重心に構成し、スリッパ2の自重を利用して、スリッパの有無を識別することを特徴とするものである。
【実施例2】
【0025】
図6は、片吊式台33による実施例を示す断図面である。片吊式台33は、その一端を蝶番34で固定し、他端が上下に動くようにし、伸縮するスプリング34を介して、やや傾斜させて吊下げてある。図6の状態は、スリッパ2が載っており、その重みでスプリング34が伸び、片吊式台33は下がり、スリッパ有無検出リミットスイッチ7を接圧し、スリッパ2有りを識別する。図7は、スリッパ2を取り出した後の状態を示し、片吊式台33は、スプリング34により引き上げられ、スリッパ有無検出リミットスイッチ7から離れ、スリッパ2の無しを識別するようにしたことを特徴とするものである。
【実施例3】
【0026】
図8および図9は、ハネ板37による実施例を示す断面図である。図8は、スリッパ2が入っている状態を示すもので、ハネ板37は、スリッパ2のつま先部がかかる位置に配置され、テコ支点38に支持されている。ズレ止め台39はスリッパ2がズレるのを防止するように形造る。ハネ板37はスリッパ2のつま先部の重みにより押し下げられ、スリッパ有無検出リミットスイッチ7に接圧し、スリッパ2の有りを識別する。図9はスリッパ2がない状態を示すもので、ハネ板37はスリッパ2が載る方が高くなるようにテコ支点38の位置を設定し、スリッパを載せたとき自重により下がるようにして、スリッパの有無を識別するようにしたことを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0027】
1・・・収納箱、2・・・スリッパ、3・・・シーソー式台、4・・・紫外線殺菌灯、5・・・オゾン発生器、6・・・開閉検出リミットスイッチ、7・・・スリッパ有無検出リミットスイッチ、8・・・ロックピン、21・・・引出し、22・・・開閉扉、31・・・シーソー支点、32・・・バランスウエイト、33・・・片吊式台、34・・・蝶番、35・・・スプリング、36・・・ハネ板、37・・・テコ支点、38・・・ズレ止め台、41・・・消毒中表示灯、42・・・消毒済表示灯、43・・・空き表示灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリッパを消毒殺菌、消臭処理する装置において、スリッパ一足分が入る大きさの収納箱とその前方正面に設けた開口部に、スリッパ出し入れのための引出しあるいは開閉扉を設け、内部後方上部に紫外線殺菌灯、オゾン発生器を個別あるいは併用して構成したことを特徴とする共用スリッパ消毒箱。
【請求項2】
前記収納箱の中にスリッパがあるときと、ないときを識別検出する方法の一つとして、スリッパを載せる板をシーソーのように形成し、支点をやや不均衡の位置、即ち支点からそれぞれの端までの距離が異なるように構成し、且つ距離の短い方がやや重くなるようにバランス調整して、スリッパを載せたとき、その重みによりシーソーが反対側に傾斜することにより、その変位を検出してスリッパの有無を識別するスリッパ台を備えた請求項1に記載の共用スリッパ消毒箱。
【請求項3】
前記収納箱の中にスリッパがあるときと、ないときを識別検出する方法の一つとして、スリッパを載せる板の片側を蝶番で支持し、他方をバネでやや傾斜した状態に支持、あるいは吊るして保持し、スリッパを載せれば重みにより下がり、板の他端の変異を検出してスリッパの有無を識別するスリッパ台を備えた請求項1に記載の共用スリッパ消毒箱。
【請求項4】
前記収納箱の中にスリッパがあるときと、ないときを識別検出する方法の一つとして、スリッパを載せたとき、つま先がかかる位置にテコ支点に不均衡に支持されたハネ板を設けつま先の重みで押し下げられ、テコ支点を介してハネ板の他端は押しあげられるようにして変位を検出して、スリッパの有無を識別することを特徴とした請求項1に記載の共用スリッパ消毒箱。
【請求項5】
請求項1に記載の収納箱に、請求項2,3,4のスリッパの有無の検出機構を組み合わせて引出しあるいは開閉扉が閉と、スリッパ有りの二つの条件をリミットスイッチ等の電気信号で検出し、自動的に紫外線殺菌灯、オゾン発生器を稼働させスリッパの消毒殺菌、消臭を行うようにした請求項1の共用スリッパ消毒箱。
【請求項6】
請求項1に記載の共用スリッパ消毒箱において、紫外線殺菌灯、オゾン発生器の照射反応中は、請求項5に記載のリミットスイッチ等の電気信号とシンクロして、引出しあるいは開閉扉をロックする機構を併設した請求項1に記載の共用スリッパ消毒箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−56224(P2011−56224A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231956(P2009−231956)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(593203907)株式会社テクサム技研 (5)
【Fターム(参考)】