説明

共重合ポリエステル熱収縮フィルム

【課題】一定の温度での耐熱度を向上させた共重合ポリエステル熱収縮フィルムを提供すること。
【解決手段】共重合ポリエステル熱収縮フィルムは、テレフタル酸を含む酸成分およびイソソルバイドおよびエチレングリコールを含むジオール成分が共重合されて、酸成分から誘導された酸部分およびジオール成分から誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有する共重合ポリエステル樹脂からなり、収縮開始温度が60℃以上であり、60ないし70℃での最大熱収縮率が2%未満であり、90ないし100℃での最大熱収縮率が50ないし90%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共重合ポリエステル熱収縮フィルムに関し、より詳しくは、各種容器のラベル、キャップシールまたは直接包装などの用途に使用可能な共重合ポリエステル熱収縮フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性プラスチック製品は加熱時に収縮する性質を利用して収縮包装、収縮ラベルなどのフィルム用途に広く用いられている。その中で、ポリ塩化ビニル(poly vinyl chloride:PVC)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエステル(polyester)系プラスチックフィルムなどが各種容器などのラベル、キャップシール(capseal)または直接包装などの目的で使用されてきた。
【0003】
しかしながら、前記ポリ塩化ビニルからなるフィルムは焼却時に塩化水素ガスおよびダイオキシンの原因になる物質などが出るなど、環境的に規制の対象となっており、前記フィルムをPET(poly ethylene terephthalate)容器などの収縮ラベルとして利用する場合、前記容器をリサイクルするためには収去時にラベルと容器を分離しなければならないという面倒さがある。
【0004】
また、前記ポリスチレン系フィルムは収縮工程に応じた作業安定性が良く、製品の外形は良好であるが、 耐化学性が良くないので印刷時には特殊な組成のインクを使わなければならない。さらに、常温での保管安定性が不足で自ずから収縮するなど、サイズが変形するという短所がある。
【0005】
前記環境性、耐化学性などに問題のない、ポリエステル樹脂からなるフィルムは前記二つの原料からなるフィルムを代替できる熱収縮フィルムであり、PET容器の使用量が増加することによって、再利用時に別途のラベル分離工程が必要でないポリエステルフィルムからなる収縮ラベルの使用量が増加する傾向である。
【0006】
しかしながら、従来の熱収縮ポリエステルフィルムは低い耐熱度によって新たな改善が要求されている。特に、前記熱収縮ポリエステルフィルムからなる収縮ラベルを用いた容器に高温(60ないし70℃)の飲み物を注入するなど、前記容器が熱に露出する場合、収縮ラベルに収縮および変形が発生することになり、その結果、意図通りのラベルの形態とは異なり、曲がっているなどの問題が発生するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、一定の温度(60ないし70℃)での耐熱度を向上させた(熱収縮率を減少させた)共重合ポリエステル熱収縮フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、テレフタル酸を含む酸成分(acid component)および下記の化学式(I)で表示されるイソソルバイドおよびエチレングリコールを含むジオール成分(diol component)が共重合され、前記酸成分から誘導された酸部分(acid moiety)およびジオール成分から誘導されたジオール部分(diol moiety)が繰り返される構造を有する共重合ポリエステル樹脂からなり、収縮開始温度が60℃以上であり、60ないし70℃での最大熱収縮率が2%未満であり、90ないし100℃での最大熱収縮率が50ないし90%である共重合ポリエステル熱収縮フィルムを提供する。
【0009】
【化1】

【発明の効果】
【0010】
本発明による共重合ポリエステル熱収縮フィルムは耐熱度を増大させることによって、これを利用して製作した熱収縮ラベルに90ないし100℃の熱を加えて収縮させてビンにラベルを貼った後、高温(60ないし70℃)の飲み物をビンに注入しても、形成されたラベルの変形および収縮を防止できる。したがって、前記共重合ポリエステル熱収縮フィルムは各種容器のラベル、キャップシールまたは直接包装などの用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
本発明による共重合ポリエステル熱収縮フィルムは、テレフタル酸を含む酸成分および下記の化学式(I)で表示されるイソソルバイドおよびエチレングリコールを含むジオール成分が共重合され、前記酸成分から誘導された酸部分およびジオール成分から誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有する共重合ポリエステル樹脂からなる。
【0012】
【化2】

【0013】
本発明に使用される酸成分は主成分としてテレフタル酸を含む。つまり、前記酸成分は全体酸成分がテレフタル酸成分であるか、ポリエステル樹脂の物性改善のためにテレフタル酸成分以外に炭素数8ないし14の芳香族ジカルボン酸成分および炭素数4ないし12の脂肪族ジカルボン酸成分からなる群から選択される共重合酸成分(共重合モノマー)を一部含むことができる。物性改善のための前記共重合酸成分の含有量は、全体酸成分に対し、好ましくは0ないし50モル%であり、例えば、0.1ないし40モル%、さらに好ましくは1ないし10モル%である。ここで、前記共重合酸成分の含有量が少なすぎるか多すぎる場合には、物性改善効果が不十分であるか、ポリエステルの物性がむしろ低下するおそれがある。前記炭素数8ないし14の芳香族ジカルボン酸成分は、テレフタル酸成分を除いた、イソフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などポリエステル樹脂の製造に通常使用される芳香族ジカルボン酸成分を含み、前記炭素数4ないし12の脂肪族ジカルボン酸成分は1、4−サイクロヘキサンジカルボン酸、1、3−サイクロヘキサンジカルボン酸などのサイクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、琥珀酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アディピック酸、グルタル酸、アゼライン酸などポリエステル樹脂の製造に通常使用される線状、分枝型または環状脂肪族ジカルボン酸成分を含む。前記酸成分は、単独または二つ以上が配合された形態に用いることができる。本明細書において、テレフタル酸成分などの用語はテレフタル酸、そのアルキルエステル(モノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルまたはジブチルエステルなど炭素数1ないし4の低級アルキルエステル)および/またはこれらの酸無水物(acid anhydride)を含む意味で使用され、グリコール成分と反応してテレフタロイル部分(terephthaloyl moiety)を形成する。また、本明細書において、酸部分(acid moiety)およびジオール部分(diol moiety)とは、酸成分およびジオール成分が通常のポリエステル重合反応するとき、水素、ヒドロキシ基またはアルコキシ基が除去され、残った残基(residue)を言う。
【0014】
本発明に使用されるジオール成分は、上記化学式(I)で表示されるイソソルバイドおよびエチレングリコールを含み、高分子の成形性またはその他物性を改善するために、選択的に1、4−シクロヘキサンジメタノールを含むことができる。例えば、前記ジオール成分は、前記イソソルバイド0.1ないし60モル%、好ましくは0.5ないし40モル%、さらに好ましくは1ないし30モル%、最も好ましくは5ないし15モル%、1、4−シクロヘキサンジメタノール0ないし90モル%、好ましくは10ないし80モル%、さらに好ましくは15ないし30モル%、および残りのエチレングリコールを含む。前記化学式(I)で表示されるイソソルバイドの含有量が全体ジオール成分中、0.1モル%未満であれば、熱収縮フィルムの耐熱度が向上しないおそれがあり、60モル%を超えれば、過度な耐熱度によって熱収縮フィルムの収縮工程の際、収縮による成形が十分でないおそれがある。前記1、4−シクロヘキサンジメタノールはシース−、トランス−、または二つの異性体の混合物を用いることができ、前記1、4−シクロヘキサンジメタノールの使用の際、含有量が少なすぎる場合、衝撃強度が不十分であるおそれがあり、含有量が多すぎる場合、相対的にイソソルバイドの含有量が減少して耐熱度が低下するおそれがあり、結晶化に応じた成形性不良が発生するおそれがある。
【0015】
前記ジオール成分の残り成分としては、全体ジオール成分の和が100モル%となるようにエチレングリコールを用いることができ、必要に応じて下記のジオール成分を一つ以上追加して使用することができる。使用可能な追加ジオール成分としては、プロパン−1、2−ジオール、2、2−メチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−1、3−プロパンジオール、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−イソプロピル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−プロピル−1、3−プロパンジオール、1、1−エチル−n−ブチル−1、3−プロパンジオール、2−n−プロピル−2−n−ブチル−1、3−プロパンジオール、2、2−ジ−n−プロピル−1、3−プロパンジオール、2−エチル−n−プロピル−1、3−プロパンジオール、2−エチル−イソプロピル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−n−ブチル−1、3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、2、3−ジメチル−1、4−ブタンジオール、2−メチル−1、4−ブタンジオール、2−エチル−1、4−ブタンジオール、2、3、4−トリメチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ヘキシル−1、3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ヘキシル−1、3−プロパンジオール、2、3−ジメチル−2、3−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、2、2、4、4−テトラメチル−1、3−シクロブタンジオール、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレングリコール(triethylene glycol)などのポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、ポリオキシテトラメチレングリコール(polyoxy tetramethylene glycol)、ビスフェノール(bisphenol)化合物またはそのアルキレンオキシド(alkylene oxide)誘導体などのエーテルグリコール(ether glycol)またはダイマージオール(dimer diol)またはこれらの混合物などがある。前記追加されるジオール成分の含有量はポリエステル樹脂の物性を害しない範囲で全体ジオール成分の0.1ないし20モル%、好ましくは1ないし10モル%となるように使用することができる。
【0016】
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂はエステル化反応(第1段階)および重縮合反応(第2段階)を通じて製造される。第1段階であるエステル化反応はバッチ(Batch)式または連続式で遂行することができ、それぞれの原料(酸成分およびジオール成分)は別途に投入することもできるが、ジオール成分に酸成分をスラリー形態に作って投入することが望ましい。
【0017】
前記共重合ポリエステル樹脂の重合方法について具体的に説明すると、一次的にテレフタル酸などの酸成分に対し、全体ジオール成分がモル比で1.05ないし3.0となるように投入し、200ないし300℃、好ましくは210ないし290℃、さらに好ましくは230ないし280℃および0.1ないし3.0kg/cm、好ましくは0.2ないし3.0kg/cmの加圧圧力条件でエステル化反応を実施する。ここで、前記ジオール成分/酸成分の比率が1.05未満であれば、重合反応時に未反応酸成分が残留して樹脂の透明性が低下するおそれがあり、3.0を超過すれば重合反応速度が遅すぎて樹脂の生産性が低下するおそれがある。前記エステル化反応時間(平均滞留時間)は通常100分ないし20時間、好ましくは2ないし18時間程度であり、反応温度、圧力、使用する酸成分対比ジオール成分のモル比により変わることができる。共重合ポリエステル樹脂の製造過程をエステル化反応(第1段階)および重縮合反応(第2段階)に区分する場合、エステル化反応では触媒を必要としないが、反応時間の短縮のために触媒を投入することができる。
【0018】
前記エステル化反応(第1段階)の完了後には、重縮合反応(第2段階)が実施され、前記重縮合反応(第2段階)の開始前に、エステル化反応の生成物に重縮合触媒、安定剤、呈色剤などを添加することができる。前記重縮合触媒としては、通常のチタニウム、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ系化合物などを一つ以上適切に選択して使用することができる。前記重縮合反応に添加される安定剤としては、一般にリン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのリン系化合物を用いることができ、その添加量はリン元素量を基準に最終ポリマーの重量対比10ないし100ppmである。前記安定剤の添加量が10ppm未満であれば安定化効果が不十分で、ポリマーの色が黄色く変わるおそれがあり、100ppmを超えれば所望する高重合度のポリマーを得られないおそれがある。また、ポリマーの色を向上させるために添加される呈色剤としては、コバルトアセテート、コバルトプロピオン酸塩などの通常の呈色剤を例示することができ、必要に応じて有機化合物呈色剤を使用することもでき、その添加量は最終ポリマー重量対比0ないし100ppmである。一般に、前記重縮合反応は260ないし290℃、好ましくは260ないし280℃、さらに好ましくは265ないし275℃および400ないし0.1mmHgの減圧条件で行われる。前記400ないし0.1mmHgの減圧条件は重縮合反応の副産物であるグリコールを除去するためである。前記重縮合反応は、所望する固有粘度に到達するまで必要な時間、例えば、平均滞留時間1ないし20時間実施される。
【0019】
本発明による共重合ポリエステル熱収縮フィルムは通常の熱収縮フィルム製造方法により製造でき、例えば、圧出ブロイングまたは二軸延伸押出機を利用して圧出し、TD(Transverse Direction)方向に1ないし4倍延伸して製造することができる。前記製造方法によって製造された共重合ポリエステル熱収縮フィルムの厚さは、通常20μmないし1mmである。
【0020】
前記共重合ポリエステル熱収縮フィルムは収縮開始温度が60℃以上、好ましくは65ないし90℃であり、60ないし70℃での最大熱収縮率が5%未満、好ましくは0ないし2%であり、90ないし100℃での最大熱収縮率が50ないし90%、好ましくは60ないし85%である。前記収縮開始温度が前記の範囲を外れる場合、常温でフィルムの変形が発生するおそれがあり、前記60ないし70℃での最大熱収縮率が前記の範囲を外れる場合、前記熱収縮フィルムで製造したラベルを用いた容器などに高温(60ないし70℃)の飲物などの注入の際、前記ラベルが変形したり収縮するおそれがある。また、前記90ないし100℃での最大熱収縮率が前記の範囲を外れる場合、前記熱収縮フィルムを十分に成形(収縮)できなくて容器などのラベル、キャップシールまたは直接包装などの用途に使用できない。
【実施例】
【0021】
以下、具体的な実施例を通して本発明をより詳しく説明する。下記実施例は、本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の範囲がこれらのみに制限されるものではない。
【0022】
下記実施例および比較例において物性の評価方法は、以下のようである。
(1)ガラス転移温度(Tg):耐熱性を評価するためのものであって、熱収縮フィルムを300℃で5分間アニーリング(Annealing)し、常温で冷却させた後、昇温速度10℃/minで、2次スキャン(2nd Scan)時のTg温度を測定する。ティエイインスツルメント(TA instrument)社の示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry)利用。
(2)熱収縮率:熱収縮フィルムを10cm×10cmの正方形に裁って、下記表1に記載した温度(65℃および95℃)の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させ、25℃の水中に10秒間浸漬した後、試料の縦方向および横方向の長さを測定し、下記の式により熱収縮率を算出。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/(収縮前の長さ)
(3)溶融比抵抗値(Si):275℃で溶融させた熱収縮フィルム内に一対の電極板を挿入し、120Vの電圧を加えた後、その時の電流を測定し、下記式により溶融比抵抗値(Si、単位:Ω・cm)を算出。
溶融比抵抗値(Si)=(A/I)×(V/io)
(A:電極の面積(cm)、I:電極間距離(cm)、V:電圧(V)、io:電流(A))
【0023】
[製造例1]共重合ポリエステル樹脂の製造
酸成分としてテレフタル酸およびジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%を、酸成分に対して全体ジオール成分がモル比で1.05ないし3.0となるように、撹拌機と流出コンデンサを備えた3L反応器に投入し、混合して温度を徐々に255℃まで上昇させてエステル化反応させた。このとき、発生する水は系外に流出させ、水の発生、流出が終了すると撹拌機と冷却コンデンサおよび真空システム付き重縮合反応器に前記反応物を移した。前記エステル化反応物に触媒、安定剤、呈色剤を適正比率で添加した後に反応機内部温度を240℃で275℃まで上げながら圧力を1次に常圧から50mmHgまで減圧し、40分間低真空反応でエチレングリコールを取り出し、再び0.1mmHgまで徐々に減圧して高真空雰囲気下で所望する固有粘度となるまで重縮合反応させて共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0024】
[製造例2]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%の代わりに1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール69モル%およびイソソルバイド15モル%を使ったのを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0025】
[製造例3]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%の代わりに1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール60モル%およびイソソルバイド24モル%を使ったのを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0026】
[製造例4]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%の代わりにエチレングリコール76モル%およびイソソルバイド24モル%を使ったのを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0027】
[製造例5]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%の代わりに1、4−シクロヘキサンジメタノール30モル%およびエチレングリコール70モル%を使ったのを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0028】
[製造例6]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%の代わりに1、4−シクロヘキサンジメタノール20モル%、エチレングリコール67モル%およびジエチレングリコール13モル%を使ったのを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0029】
[製造例7]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジオール成分として1、4−シクロヘキサンジメタノール16モル%、エチレングリコール78モル%およびイソソルバイド6モル%の代わりに1、4−シクロヘキサンジメタノール10モル%、エチレングリコール25モル%およびイソソルバイド65モル%を使ったのを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0030】
[実施例1ないし4および比較例1ないし4]共重合ポリエステル熱収縮フィルムの製造および評価
それぞれ前記製造例1ないし4の共重合ポリエステル樹脂(実施例1ないし4)、前記製造例5ないし7の共重合ポリエステル樹脂(比較例1ないし3)およびポリ塩化ビニル(poly vinyl chloride:PVC)樹脂(比較例4)を使用して、圧出ブロイングまたは二軸延伸押出機を利用して圧出し、TD(Transverse Direction)方向に1ないし4倍延伸するフィルム製造方法で熱収縮フィルムを製造した。製造された熱収縮フィルムの収縮開始温度を前記(2)に提示されている熱収縮率測定方法を利用して測定し(熱収縮率測定方法と同じ方式でサンプル測定時に収縮が発生する温度を測定)、上述した方法を使用してガラス転移温度、熱収縮率および溶融比抵抗値を測定し、その結果を下記の表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
上記表1から、本発明による共重合ポリエステル熱収縮フィルム(実施例1ないし4)はガラス転移温度が85ないし103℃で耐熱性(耐熱度)に優れており、収縮開始温度が73ないし85℃で高く、65℃での最大熱収縮率が0%であるので、本発明の熱収縮フィルムを収縮ラベルなどに使用する場合、高温(60ないし70℃)の飲み物などによるラベルの収縮および変形が起こらないことがわかる。また、95℃での最大熱収縮率が75ないし81%であって、熱収縮フィルムの成形(収縮)時に正常に使用が可能であり、溶融比抵抗値が0.12ないし0.14であって、通常の熱収縮フィルムと同一の溶融比抵抗値特性を有することがわかる。反面、イソソルバイドを添加しないポリエステル熱収縮フィルム(比較例1、2および4)は耐熱性(耐熱度)が落ち、65℃での最大熱収縮率が2%以上で高温の飲み物によって熱収縮フィルムが収縮および変形でき、イソソルバイドを過剰添加したポリエステル熱収縮フィルム(比較例3)の場合、耐熱性(耐熱度)は優れているが、熱収縮フィルムの収縮開始温度が高すぎて製品として成形しにくいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明による共重合ポリエステル熱収縮フィルムは、各種容器のラベル、キャップシールまたは直接包装などの用途に使用される熱収縮フィルムとして有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸を含む酸成分および下記の化学式(I)で表示されるイソソルバイドおよびエチレングリコールを含むジオール成分が共重合されて、前記酸成分から誘導された酸部分およびジオール成分から誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有する共重合ポリエステル樹脂からなり、収縮開始温度が60℃以上であり、60ないし70℃での最大熱収縮率が2%未満であり、90ないし100℃での最大熱収縮率が50ないし90%であることを特徴とする共重合ポリエステル熱収縮フィルム。
【化1】

【請求項2】
前記ジオール成分は、前記化学式(I)で表示されるイソソルバイド0.1ないし60モル%、1、4−シクロヘキサンジメタノール0ないし90モル%および残りのエチレングリコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル熱収縮フィルム。
【請求項3】
前記熱収縮フィルムは前記共重合ポリエステル樹脂を圧出ブロイングまたは二軸延伸押出機を利用して圧出し、TD(Transverse Direction)方向に1ないし4倍延伸して製造することを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル熱収縮フィルム。

【公表番号】特表2013−510919(P2013−510919A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538761(P2012−538761)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007981
【国際公開番号】WO2011/059252
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500116041)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (49)
【Fターム(参考)】