説明

共重合体およびその製造方法

【課題】 高解像性を有するとともに、レジストパターンの矩形性、LER、DOF、およびELマージンの少なくとも1つを改善できるようにする。
【解決手段】フェノール性水酸基を有する構成単位(a1)と、ラクトン含有単環又は多環式基を有する構成単位(a2)と、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a3)とを有する共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型レジスト組成物に好適に用いることができる共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザ(248nm)が導入され、さらに、ArFエキシマレーザ(193nm)が導入され始めている。
【0003】
微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を有機溶剤に溶解した化学増幅型レジスト組成物が知られている。
KrFエキシマレーザを用いて露光する方法に好適なレジスト材料として提案されている化学増幅型ポジ型レジスト組成物に用いられるベース樹脂としては、一般に、ポリヒドロキシスチレン系樹脂の水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護したものが用いられている。このようなベース樹脂の具体例として、ヒドロキシスチレン由来の繰り返し単位と酸分解性アルコキシスチレン由来の繰り返し単位とを含む共重合体(例えば、特許文献1等参照)、ヒドロキシスチレン由来の繰り返し単位と酸分解性アルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を含む共重合体(例えば、特許文献2等参照)、ヒドロキシスチレン由来の繰り返し単位の一部をアセタールで保護した(共)重合体(例えば、特許文献3〜4等参照)等が知られている。
【0004】
レジストパターンの微細化が進むにつれ、レジストパターンの矩形性、ラインパターン側壁表面が不均一になるラインエッジラフネス(LER)等の形状の問題や、焦点深度(DOF)、パターン寸法の変動が所定の範囲内となるときの露光量の変化量を表す露光量マージン(ELマージン)等の改善が重要な課題となっている。
このような課題を改善する技術として、例えばヒドロキシスチレン由来の繰り返し単位の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した共重合体であって、分子量分散度が1.5以下である共重合体(例えば、特許文献5等参照)等が知られている。
しかし、このような樹脂も、さらなる微細化にともなって要求される、上記した課題のさらなる改善を達成するには至らなかった。
【特許文献1】特開平4−211258号公報
【特許文献2】特開平5−113667号公報
【特許文献3】特開平5−249682号公報
【特許文献4】特開平6−194842号公報
【特許文献5】特開平10−53621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高解像性を有するとともに、レジストパターンの矩形性、LER、DOF、およびELマージンの少なくとも1つを改善できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも、フェノール性水酸基を有する構成単位(a1)と、ラクトン含有単環又は多環式基を有する構成単位(a2)と、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a3)とを有する共重合体を提供する。
また本発明は、前記構成単位(a1)と(a2)とを含む共重合体を、酸触媒の存在下でアルキルビニルエーテルと反応させることにより本発明の共重合体を製造する方法を提供する。
【0007】
なお、本発明において、露光には電子線の照射も含まれる。「単位」および「構成単位」はいずれも重合体を構成するモノマー単位を意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポジ型レジスト組成物に好適な共重合体が得られる。本発明の共重合体を樹脂成分として用いたポジ型レジスト組成物によれば、高解像性を有するとともに、レジストパターンの矩形性、LER、DOF、およびELマージンの少なくとも1つを改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の共重合体(A1)(以下、(A1)成分ということもある。)は、少なくとも、フェノール性水酸基を有する構成単位(a1)と、ラクトン含有単環又は多環式基を有する構成単位(a2)と、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a3)とを有する。
<構成単位(a1)>
構成単位(a1)は、フェノール性水酸基を有する構成単位である。好ましくは、下記一般式(I)で表される構成単位(a1−1)、すなわち(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。
なお、「(α−メチル)ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレンとα−メチルヒドロキシスチレンの一方あるいは両方を意味する。「(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」は、一般式(I)から明らかであるが、(α−メチル)ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
構成単位(a1−1)において、水酸基の位置は、o−位、m−位、p−位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0012】
<構成単位(a2)>
構成単位(a2)は、ラクトン含有単環又は多環式基を有する構成単位である。
本発明において、ラクトン含有単環又は多環式基とは、ラクトン環からなる単環式基またはラクトン環を有する多環式基である。このときラクトン環とは、−CO−O−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつ目の環として数える。したがって、ラクトン環のみの場合はラクトン含有単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらずラクトン含有多環式基と称するものとする。
【0013】
構成単位(a2)は、好ましくは下記一般式(II)で表される構成単位(a2−1)、すなわち(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子がX(ラクトン含有単環又は多環式基)で置換された(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Xはラクトン含有単環又は多環式基を表す。)
【0016】
具体的に、構成単位(a2)としては、下記一般式(IV)で表される構成単位(a2−11)、下記一般式(V)で表される構成単位(a2−12)、下記一般式(VI)で表される構成単位(a2−13)、および下記一般式(VII)で表される構成単位(a2−14)、からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
特に好ましいのは、一般式(VI)で表される構成単位(a2−13)である。
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、mは0又は1である。)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0021】
【化5】

【0022】
結合位置が5位又は6位の異性体の混合物として存在する。
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0023】
【化6】

【0024】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0025】
<構成単位(a3)>
構成単位(a3)は酸解離性溶解抑制基を有する構成単位である。構成単位(a3)は、特に限定されず、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物およびArF用ポジ型レジスト組成物におけるベース樹脂として提案されているヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位として提案されているものを適宜用いることができる。
構成単位(a3)として、好ましくは、下記一般式(III)で表される構成単位(a3−1)、すなわち(α−メチル)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子がY(酸解離性溶解抑制基)で置換された構成単位、および下記一般式(iii)で表される構成単位(a3−2)、即ち(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子がY(酸解離性溶解抑制基)で置換された構成単位から選ばれる少なくとも1種が用いられる。特に好ましくは、前記一般式(III)で表される構成単位(a3−1)である。
【0026】
【化7】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Yは酸解離性溶解抑制基を表す。)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Yは酸解離性溶解抑制基を表す。)
【0029】
酸解離性溶解抑制基Yの具体例としては、アルコキシアルキル基、好ましくは1−アルコキシアルキル基、第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、第3級アルコキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
【0030】
前記1−アルコキシアルキル基は、下記一般式(VIII)で表される、1位が鎖状、分岐状、又は環状のアルコキシ基で置換された構造である。
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜12の鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表し、Rのアルキル基の末端と、Rの鎖状または分岐状のアルキル基の末端とが結合して環を形成していてもよい。)
具体例としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−iso−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、iso−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基等の1−アルコキシアルキル基;1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシエチル基、シクロペンチルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシメチル基等の脂環構造を有する1−アルコキシアルキル基;テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の環状エーテル基等が挙げられる。
【0033】
前記第3級アルキル基としては、tert−ブチル基、tert−アミル基等の鎖状第3級アルキル基;1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−プロピル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、8−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル基、8−エチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル基等の脂環構造を有するアルキル基第3級アルキル基等が挙げられる。
前記第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記第3級アルコキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−アミルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、解像性能に優れることから、1−アルコキシアルキル基および第3級アルキル基が好ましく、特に1−アルコキシアルキル基が好ましい。それらの中でも特に、1−エトキシエチル基が好ましい。
【0035】
本発明において、共重合体(A1)を構成する全構成単位に対する構成単位(a2)の割合は5〜50モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。構成単位(a2)が上記の範囲より多いと、ポジ型レジスト組成物に用いたときに、現像液に対する溶解性が不足し、レジストパターンが形成できなくなるおそれがある。他方、少ないと、構成単位(a2)を用いたことによる効果が十分に得られない。
共重合体(A1)を構成する全構成単位に対する構成単位(a1)と(a3)の合計の割合は、現像液に対する良好な溶解性を確保し、本発明による効果を得るために、40〜95モル%であることが好ましく、50〜90モル%がより好ましい。
構成単位(a1)と(a3)の合計に対する構成単位(a3)の割合は5〜50モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。該構成単位(a3)の割合を上記範囲の上限以下とすることにより、特に現像後のレジストパターンの矩形性が良好なものとなる。また、現像後のレジストパターンの現像欠陥(ディフェクト)を効果的に防止することができる。一方、構成単位(a3)の割合を上記範囲の下限以上とすることにより、良好な解像性能が得られる。
また、共重合体(A1)中、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)の合計量は、共重合体(A1)を構成する全構成単位に対し、80モル%以上であることが好ましい。80モル%より少ないと、解像性が劣化する傾向がある。構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)の合計は、より好ましくは90モル%以上であり、100モル%が最も好ましい。
【0036】
<その他の構成単位(a4)>
共重合体(A1)は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、および構成単位(a3)のほかに、酸安定性溶解抑制基を有する構成単位(a4)を含んでも良い。構成単位(a4)は特に限定されず、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物およびArF用ポジ型レジスト組成物におけるベース樹脂として提案されているヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂において、酸安定性溶解抑制基を有する構成単位として提案されているものを適宜用いることができる。
【0037】
構成単位(a4)として好ましくは、下記一般式(IX)で表される構成単位(a4−1)、すなわち(α−メチル)スチレンから誘導される構成単位、下記一般式(ix)で表される構成単位(a4−2)、即ち(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子がZ(酸安定性溶解抑制基)で置換された構成単位から選ばれる少なくとも1種が用いられる。中でもドライエッチング耐性に優れることから、一般式(IX)で表される構成単位(a4−1)が特に好ましい。尚、酸安定性溶解抑制基とは、酸によって解離しない基を意味する。
【0038】
【化10】

【0039】
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、nは0または1〜3の整数である。)
【0040】
【化11】

【0041】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Zは酸安定性溶解抑制基を表す。)
【0042】
一般式(IX)における、Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましい。
nは、0または1〜3の整数である。これらのうち、nは0または1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。
なお、nが1〜3である場合には、Rの置換位置はo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、さらに、nが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0043】
また、一般式(ix)における酸安定性溶解抑制基Zの具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、2−アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基等の脂環構造を有するアルキル基を挙げることができる。
【0044】
本発明において、構成単位(a4)は必須ではないが、これを含有させると、ポジ型レジスト組成物に用いたときに、焦点深度が向上する、耐ドライエッチング性が向上するなどの利点が得られる。
構成単位(a4)を用いる場合、共重合体(A1)中の構成単位(a4)の割合は、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計の0.5〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは2〜5モル%である。構成単位(a4)が上記範囲より多いと、現像液に対する溶解性が劣化する傾向にある。
【0045】
共重合体(A1)の質量平均分子量Mw(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算、以下同様)は特に限定するものではないが、好ましくは3000〜30000、さらに好ましくは5000〜20000である。
また、共重合体(A1)の分散度(Mw/Mn比、Mnは数平均分子量である)については、該分散度が小さいと解像性に優れるため好ましい。具体的には、2.0以下が好ましく、より好ましくは1.7以下である。
【0046】
<共重合体の製造方法>
共重合体(A1)の製造方法としては、例えば、〔1〕構成単位(a1)に相当するモノマーと、構成単位(a2)に相当するモノマーと、構成単位(a3)の酸解離性溶解抑制基を導入する前の状態の構成単位に相当するモノマーを共重合させた後、構成単位(a3)の水酸基又はカルボキシ基を酸解離性溶解抑制基で保護する方法、〔2〕予め酸解離性溶解抑制基が導入された構成単位(a3)に相当するモノマーを調整し、このモノマーを構成単位(a1)に相当するモノマー、構成単位(a2)に相当するモノマーと共重合させる方法、〔3〕構成単位(a3)に相当するモノマーを構成単位(a2)に相当するモノマーと共重合させた後、加水分解などにより酸解離性溶解抑制基で保護された構成単位(a3)の置換基の一部を水酸基に変えて構成単位(a1)を精製する方法等によって得ることができる。
【0047】
重合方法としては特に制限されないが、ラジカル重合が容易であるため好ましい。特に、原料モノマー、重合開始剤、重合触媒及び連鎖移動剤を重合溶媒に溶解した状態で重合させる溶液ラジカル重合が好ましい。この場合、例えば、全てのモノマー、重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤を重合溶媒に溶解して重合温度に加熱するいわゆる一括重合法や、モノマーを溶媒に溶解し、重合温度に加熱した後で重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤を添加する後添加法、モノマー、重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤の一部もしくは全てを混合もしくは独立して重合温度に加熱した重合系内に滴下するいわゆる滴下重合法などにより実施することができる。中でもいわゆる滴下重合法は、製造ロット毎の再現性が高いため好ましく、特にモノマーとラジカル発生源である重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤を別々に滴下するいわゆる独立滴下法が好ましい。なお、重合触媒、重合開始剤、連鎖移動剤は重合性単量体を供給する前に、予め全量もしくは一部を重合系内に供給しておくことができる。これら滴下法においては、重合系内の単量体の濃度および組成、ラジカル濃度等に応じてそれぞれの供給速度を変化させることにより、共重合体の分子量分布や組成分布を制御することができる。
【0048】
ラジカル重合の場合、重合開始剤として、例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート等の有機過酸化物を単独もしくは混合して用いることができる。また、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、4,4−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシ−1−メルカプトブタンなどの既知のチオール化合物を単独もしくは混合して用いることができる。
【0049】
ラジカル重合に用いる溶媒としては、原料モノマー、得られた共重合体、重合開始剤及び連鎖移動剤を安定して溶解しうる溶媒であれば特に制限されない。好適な溶媒の具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができ、これらを単独または混合して用いることができる。
重合条件は特に制限されないが、一般に重合温度は40℃〜100℃程度である。重合時間は、重合方法により異なるので一概に規定できないが、例えば、一括重合の場合、重合温度到達後の反応時間は1〜24時間、好ましくは2〜12時間の間を選択する。滴下重合の場合は、滴下時間が長い方が重合系内の単量体組成および濃度とラジカル濃度が一定に保てるので、滴下時間中に生成する単量体の組成、分子量が均一になりやすく好ましいが、逆に滴下時間が長すぎると、時間当たりの生産効率及び滴下液中の単量体の安定性という面で不利であるから好ましくない。従って、滴下時間は0.5〜25時間、好ましくは1〜10時間の間を選択する。滴下終了後は未反応単量体が残るので、一定時間、重合温度を維持しながら熟成することが好ましい。熟成時間は8時間以内、好ましくは1〜6時間の中から選択する。
【0050】
重合して得た共重合体は、未反応モノマー、オリゴマー、重合開始剤や連鎖移動剤およびこれらの反応副生物等の低分子量不純物を含んでいるため、これらを精製工程によって除いた方が好ましい。この場合、重合反応液を、必要に応じて良溶媒を加えて希釈した後、貧溶媒と接触させることにより、共重合体を固体として析出させ、不純物を貧溶媒相に抽出する(以下、再沈という)か、もしくは液−液二相として溶媒相に不純物を抽出することによって行われる。再沈させた場合、析出した固体を濾過やデカンテーション等の方法で溶媒から分離した後、この固体を、良溶媒で再溶解してさらに貧溶媒を加えて再沈する工程、もしくは析出した固体を貧溶媒もしくは良溶媒と貧溶媒の混合溶媒で洗浄する工程によってさらに精製することができる。また、液−液二層分離した場合、分液によって貧溶媒相を分離した後、得られた共重合体溶液に貧溶媒もしくは良溶媒と貧溶媒の混合溶媒を加えて再沈もしくは液液二相分離することより、さらに精製することができる。これらの操作は、同じ操作を繰り返しても、異なる操作を組み合わせても良い。
【0051】
共重合体の水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護する方法としては、〔1〕の方法で得られた共重合体を、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、強酸性イオン交換樹脂等、既知の酸触媒存在下でビニルエーテルやハロゲン化アルキルエーテルなどの酸解離性基を与える化合物と反応させる方法等を挙げることができる。
共重合体の酸解離性溶解抑制基を水酸基に変える方法としては、〔3〕の方法で得られた共重合体を、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、強酸性イオン交換樹脂等、既知の酸触媒存在下で水と反応させて加水分解する方法等を挙げることができる。
中でも、好ましくは〔1〕の方法で、構成単位(a1)と(a2)とを含む共重合体を調製した後、上記酸触媒の存在下でアルキルビニルエーテルと反応させて共重合体(A1)を得る方法がより好ましい。
【0052】
これらの反応に用いる溶媒としては、共重合体を溶解しうる溶媒であれば特に制限されない。好適な溶媒の具体的な例としては、重合溶媒で例示した溶媒をそのまま用いることができる。
反応条件は特に制限されず、一般に反応温度は0〜100℃の範囲を選択することができるが、酸触媒による溶媒への影響および製造安定性を考慮すると0〜80℃、特に好ましくは0〜60℃の範囲を選択する。反応時間は、反応温度等によって異なり、所望の反応率に達する時間を選択する。
反応終了後は、反応液を既知の塩基性化合物もしくは陰イオン交換樹脂と接触させることにより酸触媒を除くことができる。
必要に応じて、平均孔径が好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下のミクロポアを有するフィルターに通液することにより極微小な固形分、不溶解性の異物を除去することができる。また、正のゼータ電位を有するフィルターやイオン交換基を有する樹脂やフィルター等と接触させることにより、金属分を除去することができる。
【0053】
また、必要に応じて塗膜形成用の溶媒を供給しながら、低沸点成分を減圧下で留去するなどして、所定濃度の塗膜形成用溶液に仕上げることができる。塗膜形成用の溶媒は、共重合体を溶解するものであれば特に制限されないが、通常、沸点、半導体基板やその他の塗布膜への影響、リソグラフィーに用いられる放射線の吸収を勘案して選択される。塗膜形成用に一般的に用いられる溶媒の例としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルアミルケトン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン等の溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限されないが、通常、共重合体1質量部に対して1質量部〜20質量部の範囲である。
【0054】
[ポジ型レジスト組成物]
本発明の共重合体(A1)は、ポジ型レジスト組成物の樹脂成分として有用である。
該(A1)成分を用いたポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分ということもある。)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、(A)成分が本発明の(A1)成分を含む。
(A)成分においては、露光により(B)成分から発生した酸が作用すると、(A1)成分に含まれる酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。
そのため、レジストパターンの形成において、マスクパターンを介して露光すると又は露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
【0055】
なお、ポジ型レジスト組成物は、(A)成分として、上記共重合体(A1)の他に、ポリヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等の、ポジ型レジスト組成物に用い得る他の樹脂を適宜配合することもできるが、本発明の効果のためには、ポジ型レジスト組成物に含まれる(A)成分中、共重合体(A1)が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、最も好ましくは100質量%である。
またポジ型レジスト組成物中の、(A)成分の割合は、目的とするレジスト膜厚によって適宜調製することができる。
【0056】
・酸発生剤(B)(以下、(B)成分ということもある。)
(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
【0057】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α‐(p‐トルエンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(p‐クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(4‐ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(4‐ニトロ‐2‐トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐クロロベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐2,4‐ジクロロベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐2,6‐ジクロロベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシベンジルシアニド、α‐(2‐クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシベンジルシアニド、α‐(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐チエン‐2‐イルアセトニトリル、α‐(4‐ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐ベンジルシアニド、α‐[(p‐トルエンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニル]アセトニトリル、α‐[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)‐4‐メトキシフェニル]アセトニトリル、α‐(トシルオキシイミノ)‐4‐チエニルシアニド、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘプテニルアセトニトリル、α‐(メチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロオクテニルアセトニトリル、α‐(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)‐シクロヘキシルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐エチルアセトニトリル、α‐(プロピルスルホニルオキシイミノ)‐プロピルアセトニトリル、α‐(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)‐シクロペンチルアセトニトリル、α‐(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)‐シクロヘキシルアセトニトリル、α‐(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(n‐ブチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロペンテニルアセトニトリル、α‐(エチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α‐(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α‐(n‐ブチルスルホニルオキシイミノ)‐1‐シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリル、ビス−O−(n−ブチルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシムなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
【0058】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
【0059】
【化12】

【0060】
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(B)成分がジアゾメタン系酸発生剤を含有することが好ましい。上記(A)成分とジアゾメタン系酸発生剤とを組み合わせて用いることにより、LERがさらに低減され、解像性が良好になる。(B)成分中、ジアゾメタン系酸発生剤の配合量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。
【0061】
(B)成分は、上記ジアゾメタン系酸発生剤に加えて、さらにオニウム塩系酸発生剤を含有することが好ましい。これにより、ポジ型レジスト組成物の感度が向上する。また、マスクリニアリティ(マスク再現性)も向上する。
(B)成分中、オニウム塩系酸発生剤の配合量は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
ジアゾメタン系酸発生剤とオニウム塩系酸発生剤とを組み合わせて用いる場合の両者の割合(ジアゾメタン系酸発生剤:オニウム塩系酸発生剤、質量比)は、9:1〜1:9が好ましく、8:2〜6:4がより好ましい。
さらに、(B)成分中、ジアゾメタン系酸発生剤およびオニウム塩系酸発生剤の合計量が80質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0062】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に行われないおそれがあり、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
【0063】
・有機溶剤
本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、および後述する任意の各成分を、有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
【0064】
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましいが、その配合比は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは9:1〜1:9、より好ましくは8:2〜2:8の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは8:2〜2:8であり、より好ましくは7:3〜3:7である。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内とされる。
【0065】
・含窒素有機化合物(C)(以下、(C)成分ということもある。)
本発明にかかるポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(C)(以下、(C)成分という)を配合させることができる。
この(C)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0066】
・酸成分(D)(以下、(D)成分ということもある。)
前記(C)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体からなる酸成分(D)(以下、(D)成分という)を含有させることができる。なお、(C)成分と(D)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
【0067】
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0068】
<その他の任意成分>
本発明にかかるポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
【0069】
また、任意の添加剤として、少なくとも一つの酸解離性溶解抑制基を有し(B)成分から発生した酸の作用により該溶解抑制基が解離し有機カルボン酸を発生し得る化合物(E)を含有させてもよい。
かかる(E)成分としては、例えば、質量平均分子量が200〜1000であって、置換または未置換のベンゼン核を1〜6個を有するフェノール誘導体が好ましい。具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0070】
【化13】

【0071】
(式中、R’は酸解離性溶解抑制基である。)
【0072】
酸解離性溶解抑制基R’はこれまで化学増幅型のポジレジストにおいて知られているものから任意に選択できる。具体的には、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基のような第3級アルキルオキシカルボニル基;tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基のような第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基;tert−ブチル基、tert−アミル基などの第3級アルキル基;テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基などの環状エーテル基;エトキシエチル基、メトキシプロピル基などのアルコキシアルキル基が好ましいものとして挙げられる。
中でも、tert―ブチルオキシカルボニル基、tert―ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、1−メチルシクロヘキシル基および1−エチルシクロヘキシル基が好ましい。
但し、少なくとも一つの酸解離性溶解抑制基R’は第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基のようなカルボン酸発生基を用いること必要である。
【0073】
本発明の共重合体を用いてなるポジ型レジスト組成物は、従来のKrF用ポジ型レジスト組成物と同様に、レジストパターンの形成に用いることができる。
ポジ型レジスト組成物に本発明の共重合体を含有させることによれば、矩形性が高く、LERが低減され、解像性能に優れたレジストパターンが得られる。このようなレジストパターンは、実用性の高いものである。また、DOFおよびELマージンも向上する。
かかる効果については、ラクトン含有単環又は多環式基を有する構成単位(a2)が親水性を有しており、またラクトン含有単環又は多環式基が嵩高いため上記構成単位(a1)よりもアルカリ溶解性は低いこと、そのために、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)からなる共重合体は、構成単位(a1)のみからなるポリヒドロキシスチレンよりも、親水性は高く、アルカリ溶解性は低いものとなっていることが関係しているものと考えられる。
なお、本発明における解像性能、矩形性、LERの向上効果は、例えば、現像工程を経て得られたレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)によりレジストパターンを観察して確認することができる。
【0074】
次に、本発明の共重合体を含有するポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する方法について説明する。
まずシリコンウェーハ等の基板上に、ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布した後、プレベークを行う。次いで、露光装置などを用い、ポジ型レジスト組成物の塗膜に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に露光を行った後、PEB(露光後加熱)を行う。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させる。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光は、好ましくはKrFエキシマレーザーを用いて行うが、電子線レジストやEUV(極端紫外光)等にも有用である。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
【0075】
プレベークにおける加熱温度および露光後加熱(PEB)における加熱温度は、一般に90℃以上でよいが、矩形性の良好なレジストパターンを形成するためには、特にそれぞれ90〜120℃、好ましくは90〜110℃が好ましい。また、この温度範囲とすることにより、マイクロブリッジの発生を効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0076】
以下において、「%」は特にことわりのない限り「質量%」である。
[合成例1]
<共重合体(A1)の前駆体の合成>
窒素雰囲気に保った容器にp−ヒドロキシスチレン(以下、「PHS」と記す。)24%、p−エチルフェノール43%、メタノール23%、水10%を含む混合溶液933g(以下モノマー1溶液と記す)を仕込んだ。別に窒素雰囲気に保った容器にPHS24%、p−エチルフェノール43%、メタノール23%、水10%を含む混合溶液62g、MAIB(化合物名:ジメチル2−2’アゾビス(2−メチルプロピオネート))39gを仕込んで溶解し、開始剤溶液を調製した。また別に窒素雰囲気に保った容器にoxa−トリシクロデカノンメタクリレート(以下OTMと記す)の50%MEK(メチルエチルケトン)溶液252g、TDM(化合物名:tert-ドデシルメルカプタン)5.9gを仕込んで混合し、モノマー2溶液を調製した。モノマー1溶液を撹拌しながら80℃に昇温した後、モノマー2溶液および開始剤溶液を4時間かけて80℃に保った重合槽内に供給して重合させた。供給終了後、重合温度を80℃に保ったまま1時間熟成させ、室温まで冷却した。得られた重合液をトルエン3500gに滴下してポリマーを沈殿させた後、上澄みを除去した。次いで、メタノール500gで溶解し、トルエン3500gに再沈殿させ、上澄みを除去する操作を3回繰り返した後、メタノール100gに再溶解した。得られたメタノール溶液を減圧下で加熱してメタノールなどの低沸点溶媒を追い出しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)を投入し、共重合体(前駆体)20質量%を含むPGMEA溶液を調製した。これを樹脂1とする。カーボン13(質量数13のカーボンの意、以下同様。)核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)とGPCにて分析し、共重合体(前駆体)の組成とMw、Mw/Mnを求めた。
共重合(前駆体)の組成;PHS/OTM=82.5/17.5(モル%)、
分子量(Mw);7300、
分子量分布(Mw/Mn);1.55。
【0077】
[合成例2]
<共重合体(A1)の合成;前駆体への酸解離性溶解抑制基の導入(アセタール化)>
窒素雰囲気に保った容器に上記で調製した樹脂1の溶液250gを仕込み、40℃に加温した。次いで20%トリフルオロ酢酸(以下TFAと記す)/PGMEA溶液1.5gを加え10分間攪拌した後、50%エチルビニルエーテル(以下EVEと記す)/PGMEA溶液17.8gを加え、40℃を保ったまま5時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、ガラスカラムに詰めたイオン交換樹脂(オルガノ製 B20HG DRY)中を通液させ、TFAを除去した。この反応溶液を、キュノ社製フィルターゼータプラス40QSHに通液させた後、減圧下で濃縮し、アセタール化共重合体30質量%を含むPGMEA溶液を調製した。これを樹脂2とする。この溶液を13C−NMRとGPCにて分析し、アセタール化率とMw、Mw/Mnを求めた。
なお、ここでのアセタール化率とは、前駆体のPHS単位の水酸基のうち、エチルビニルエーテルから誘導されるアセタール型の酸解離性溶解抑制基(1−エトキシ−1−エチル基)で置換されたものの割合をモル%で表したものである(以下、同様)。
アセタール化率 33.8%、
分子量 Mw=8000、
分子量分布 Mw/Mn=1.64。
【0078】
本合成例で得られたアセタール化共重合体(樹脂2)は下記化学式[化14]で表される3種の構成単位からなる。該化学式においてx:y:z(モル比)=54.6:27.9:17.5である。
【0079】
【化14】

【0080】
[合成例3]
<共重合体(A1)の合成;前駆体への酸解離性溶解抑制基の導入(アセタール化)>
合成例2において、EVE/PGMEA溶液の添加量を12.2gに変更した他は、合成例2と同様にしてアセタール化共重合体30質量%を含むPGMEA溶液を調製した。これを樹脂3とする。この溶液を13C−NMRとGPCにて分析し、アセタール化率とMw、Mw/Mnを求めた。
アセタール化率 22.9%
分子量 Mw=7860
分子量分布 Mw/Mn=1.60
【0081】
本合成例で得られたアセタール化共重合体(樹脂3)は前記化学式[化14]で表される3種の構成単位からなる。該化学式においてx:y:z(モル比)=63.6:18.9:17.5である。
【0082】
[比較合成例1]
合成例2で用いた樹脂1の溶液の代わりに、市販のポリヒドロキシスチレン樹脂(Mw=8000、Mw/Mn=1.1)50gをPGMEA200gに溶解して調製した樹脂溶液を用い、EVE/PGMEA溶液の添加量を13.6gに変更した他は合成例2と同様にしてアセタール化重合体30質量%を含むPGMEA溶液を調製した。これを樹脂Yとする。この溶液を13C−NMRとGPCにて分析し、アセタール化率とMw、Mw/Mnを求めた。
アセタール化率 41.8%
分子量 Mw=8210
分子量分布 Mw/Mn=1.1
【0083】
この比較合成例1で得られたアセタール化重合体(樹脂Y)は、下記化学式で表される2種の構成単位からなる共重合体である。該化学式においてx:y(モル比)=58:42である。
【0084】
【化15】

【0085】
<レジスト調製例1>
(A)成分として、上記合成例2で得られた樹脂2および合成例3で得られた樹脂3を用いてポジ型レジスト組成物を調製した。
(A)成分を100質量部(樹脂2:樹脂3=5:5)と、(B)成分として下記化学式(2)で表される化合物1.0質量部、下記化学式(3)で表される化合物4.0質量部、下記化学式(4)で表される化合物4.0質量部、および下記化学式(5)で表される化合物0.3質量部と、(C)成分としてトリエタノールアミン0.28質量部およびトリイソプロパノールアミン0.28質量部と、(E)成分として下記化学式(6)で表される化合物2質量部と、フッ素系界面活性剤(製品名XR−104、大日本インキ化学工業社製)0.025質量部を、PGMEAとELの混合溶剤(PGMEA:ELの質量比が6:4)に溶解させてポジ型レジスト組成物(固形分濃度10質量%)を得た。
【0086】
【化16】

【0087】
【化17】

【0088】
8インチのシリコンウェーハ上に有機反射防止膜用材料(ブリューワーサイエンス社製、商品名DUV−44)を塗布し、225℃で60秒間焼成して膜厚65nmの反射防止膜を形成して基板とした。該基板上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いて均一に塗布し、ホットプレート上で100℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚287nmのレジスト層を形成した。
【0089】
ついで、KrF露光装置(波長248nm)NSR−S203B(Nikon社製、NA(開口数)=0.68,2/3輪帯照明)を用い、8%ハーフトーンレクチルを介して選択的に露光した。
そして、110℃、60秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。さらに、100℃で60秒間加熱して乾燥させて120nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという)を形成した。
【0090】
このようにしてL/Sパターンを形成した基板を、日立社製の走査型電子顕微鏡(測長SEM、S−9200)により観察したところ、L/Sパターンの断面形状は、矩形性が高く、良好なものであった。
上記で形成したパターンのLERを示す尺度である3σを求めた。その結果、得られたパターンの3σは3.4nmであった。なお、3σは、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)である。この3σは、その値が小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。
焦点深度幅(DOF)は0.5μmであった。
120nmL/Sパターンが±10%の範囲で得られる露光量マージン(ELマージン)は14.79%であった。
【0091】
(比較レジスト調製例1)
(A)成分として、比較合成例1で得られた樹脂Yを用いた以外はレジスト調製例1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、該ポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した。
【0092】
このようにしてL/Sパターンを形成した基板について、レジスト調製例1と同様にして評価した。その結果、120nmのL/Sパターンが形成されたが、該パターンはトップ部の形状が丸くなっていた。LERは3σ=5.5nm、焦点深度幅は0.2μm、露光量マージンは7.73%であった。
【0093】
以上の結果から明らかなように、レジスト調製例1では比較レジスト調製例1に比べて、レジストパターンの矩形性が良好で、LERが低減されており、微細なレジストパターンが得られた。また、焦点深度幅、露光マージンも向上した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、フェノール性水酸基を有する構成単位(a1)と、ラクトン含有単環又は多環式基を有する構成単位(a2)と、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a3)とを有する共重合体。
【請求項2】
前記構成単位(a1)が、下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表される構成単位(a1−1)であり、前記構成単位(a2)が下記一般式(II)
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Xはラクトン含有単環又は多環式基を表す。)で表される構成単位(a2−1)であり、かつ前記構成単位(a3)が下記一般式(III)
【化3】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Yは酸解離性溶解抑制基を表す。)
で表される構成単位(a3−1)である請求項1記載の共重合体。
【請求項3】
前記構成単位(a2)が、下記一般式(IV)で表される構成単位(a2−11)、
【化4】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、mは0又は1である。)
下記一般式(V)で表される構成単位(a2−12)、
【化5】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
下記一般式(VI)で表される構成単位(a2−13)、
【化6】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
および下記一般式(VII)で表される構成単位(a2−14)
【化7】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の共重合体。
【請求項4】
前記構成単位(a1)と(a3)の合計に対する構成単位(a3)の割合が5〜50モル%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項5】
構成単位(a2)の割合が5〜50モル%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項6】
前記構成単位(a3)の酸解離性溶解抑制基が、アルコキシアルキル基である請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項7】
前記共重合体の質量平均分子量が3000〜30000である請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の共重合体を製造する方法であって、前記構成単位(a1)と(a2)とを含む共重合体を、酸触媒の存在下でアルキルビニルエーテルと反応させることを特徴とする共重合体の製造方法。


【公開番号】特開2006−16490(P2006−16490A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195674(P2004−195674)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【出願人】(000157603)丸善石油化学株式会社 (84)
【Fターム(参考)】