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共重合体および分散剤
説明

共重合体および分散剤

新規な共重合体と該共重合体を用いた分散剤を提供するもので、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸のポリアルキレングリコールジエステル体と、(メタ)アクリル酸類との共重合体である。更に、共重合可能な他の単量体を含んでいてもよい。本発明の共重合体は、分散性、減水性に優れ、かつフロー値が高いため、セメント組成物を用いる施行の際の作業性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イタコン酸、シトラコン酸またはメサコン酸のポリアルキレングリコールジエステルと、特定の(メタ)アクリル酸類との共重合体、および該共重合体を含む分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
土木建築現場ではセメントが多用され、セメントに水を添加したセメントペーストやこれに細骨材である砂を混合したモルタル、更に小石を混合したコンクリートは、構造材や土台、耐火壁など使用され使用量も多い。このセメントペースト、モルタルおよびコンクリートは、セメントと水との水和反応により、凝集、硬化を経て強度を発生させる。従って水添加後の時間経過と共に作業性が低下し、この現象は、生コンクリートでは一般にスランプロスと呼ばれており、セメントペースト中の単位水量の低いものほどスランプロスが大きくなる。一方、作業性の改善の為に、生コンクリート中の単位水量を増加させるとコンクリート等の強度低下を招くため、セメントと水とを必須とする材料では、強度、耐久性の点から水の使用量をできる限り少なくすることが必要である。このため、水の量を減らしても流動性を落とさずに、施工性を維持する目的でセメント分散剤や減水剤が各種開発されている。
【0003】
例えば、アルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸エステルとを塩基性触媒の存在下にエステル交換反応して得られるアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体(単量体A)を重合して得られる共重合体からなるセメント分散剤がある(EP0799807B1)。塩基性触媒の存在下にエステル交換して得た上記単量体Aは減水性が大幅に改善され、かつ該単量体Aを得るまでの反応時間も大幅に短縮でき工業的にも優位性に優れる、というものである。共重合成分(単量体B)としては(メタ)アクリル酸(塩)がある。一般に、セメント分散剤として使用される共重合体には、ポリアルキレングリコール類と重合性カルボン酸とのエステルを単量体として使用する場合が多い。ポリアルキレングリコール類の親水性、およびアルカリによる加水分解によって経時的にカルボン酸を生成し得る点を利用したものである。従って、重合性カルボン酸として(メタ)アクリル酸に代えてイタコン酸などのジカルボン酸を併用することも可能であり、例えば該EP0799807B1には、任意に配合可能な単量体Cとして、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;これらのジカルボン酸類とポリアルキレンオキシドの片末端アルコキシ体とのモノエステル体またはジエステル体が例示されている。ただし、実施例において、単量体Cとして上記ジカルボン酸とポリアルキレンオキシドの片末端アルコキシ体とのエステル体は製造されていない。
【0004】
また、オキシアルキレンを有するエチレン性不飽和単量体(単量体A)とエチレン性不飽和モノまたはジカルボン酸のアルキルエステル単量体(単量体B)とのビニル共重合体からなるコンクリート混和剤も開示されている(US000005911820A)。該コンクリート混和剤は、水硬性組成物に対する流動性の保持に優れ、かつ少ない硬化遅延でスランプ保持性を改良すべく研究されたものである。単量体Aとして、片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化物に加えてポリアルキレングリコールモノアリルエーテル、或いは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を付加した無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸系化合物が例示されている。上記単量体A、Bのほかに他の単量体Cを含んでもよいとされ、このような単量体Cとして、アクリル酸などの不飽和カルボン酸単量体が開示されている。該US000005911820Aの実施例において、マレイン酸のEO付加物とアクリル酸メチルとの共重合体が製造されている。
【0005】
一方、ポリアルキレングリコール類の親水性を利用したものとして、炭素数1〜22のイタコン酸モノアルキレートにポリアルキレングリコールを一分子エステル結合した化合物が乳化剤として使用されている(US3,689,532)。該化合物は、四級アンモニウムおよびフッ化ホウ素の存在下にイタコン酸にエポキシドを作用させて調製され、フッ化ホウ素の併用により長鎖ポリアルキレングリコールエステルとなることが開示されている。なお、イタコン酸とポリアルキレングリコール類とのエステル体の製造方法に関していえば、たとえばイタコン酸とポリエチレングリコールモノドデシルエーテルとをトルエンスルホン酸の存在下に反応させ、または、イタコン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテとをヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウムの存在下に反応させる方法もある(濱秀行ら、ポリスチレン/イタコン酸長鎖エステル系グラフト共重合体の合成、科学と工業、456〜462ページ、1994年)。
【発明の開示】
【0006】
従来の分散剤は、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルを含むものが一般的であり、分散性や減水性などにおいて一定の成果を発揮し、また、(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸に代えてマレイン酸などのジカルボン酸のポリアルキレングリコールジエステルを共重合成分に含むものもある。しかしながら、更に分散性および施工作業性に優れる新たな分散剤の開発が期待されている。
【0007】
一般に、分散剤はセメントに限らず、塗料、紙塗工剤、セラミック焼結体成形用バインダー等でも必要とされる。このように広範囲に使用される共重合体を製造するには、生産効率の向上や、製造工程における反応安定性に優れることも重要である。従って、製造が容易で収率高く製造しうる新規な分散剤の開発が望まれる。
【0008】
上記より、本発明は、分散性および減水性に優れる新規な共重合体を提供することを目的とする。
【0009】
また、製造が容易で生産効率に優れる分散剤を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、従来から分散剤として使用される単量体や得られる共重合体について詳細に検討した結果、イタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルを単量体成分として含む共重合体が分散剤として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
従来から、(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸とポリアルキレングリコール類とのエステル体が分散剤として使用されることは知られているが、(メタ)アクリル酸は熱安定性が低いため、高温でエステル化することが困難であった。熱安定性に優れる物質を検索したところ、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などのジカルボン酸がその要件に合致し、かつこれらのジカルボン酸のポリアルキレングリコールジエステルは(メタ)アクリル酸などとの共重合性に優れた。
【0012】
本発明の共重合体は、イタコン酸、シトラコン酸および/またはメサコン酸のポリアルキレングリコールジエステルを単量体成分として含み、分散剤として好適に使用することができる。特に、液状媒体に不溶な無機質、あるいは有機質を均一に分散させうる。したがって、セメント分散剤、塗料、紙塗工等に使用される顔料分散剤、セラミック焼結体成形用分散剤等に用いることができる。
【0013】
しかも、該単量体は熱安定性に優れるため触媒などの添加量を低減でき、かつ生産性が高く、該単量体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第一は、下記式(1)〜(3)に示すいずれか1種以上の単量体(A)と、下記式(4)に示す単量体(B)とを含む単量体成分を重合してなる共重合体である。
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、−RO−、−RO−は、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のオ
キシアルキレンを示し、m個の−RO−は同一でも異なっていてもよく、2種以上のオキシアルキレンを含む場合は、ブロック状に付加してもランダム状に付加してもよく、n個の−OR−は同一でも異なっていてもよく、2種以上のオキシアルキレンを含む場合は、ブロック状に付加してもランダム状に付加してもよく、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜14個の置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基を表し、mは1〜300の数を示し、nは1〜300の数を示す。)
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、R、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチルまたは−(CHCOOMであり、−(CHCOOMは−COOMまたは他の−(CHCOOMと無水物を形成していてもよく、その場合それらの基のM、M
は存在せず、M、Mは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは水酸基で置換されたアルキルアンモニウムを示し、pは0〜2の数を示す。)
上記式(1)は、イタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルであり、上記式(2)、式(3)はそれぞれシトラコン酸、メサコン酸のポリアルキレングリコールジエステルであり、シトラコン酸とメサコン酸とは共にイタコン酸の異性体である。重合性ジカルボン酸としてはマレイン酸があり、そのポリアルキレングリコールジエステルを共重合成分とした共重合体が分散剤として使用されている。しかしながら、前記科学と工業(p456〜462、1994年)に示すように、イタコン酸とポリアルキレングリコール類とを反応させるとモノエステル体が主成分となり、副生するジエステル体との分離も困難なため、イタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルは単離されていない。従って、イタコン酸のジエステル体と(メタ)アクリル酸との共重合性も不明であり、これらの共重合体も合成されていない。本発明者らは、実際にイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルを合成したところ、イタコン酸は二重結合の熱安定性に優れるため従来よりも高温でエステル化を進行させることができ、単量体の収率に優れた。また、該単量体と(メタ)アクリル酸類との共重合性を検討したところ高い共重合性を有し、かつ、得られる共重合体は、マレイン酸のポリアルキレングリコールジエステルと比較して極めて優れたモルタルフロー値を示すことが判明した。以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用する単量体(A)は上記式(1)〜(3)で示される。上記式(1)〜(3)において、−RO−と−RO−とは、それぞれ炭素数2〜4のオキシアルキレンを示す。好ましいオキシアルキレンとしては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシトリメチレン、オキシイソブチレンなどがあり、好ましくはオキシエチレン、オキシプロピレンである。m個の−RO−は、同一でも異なっていてもよく、2種以上のオキシアルキレンを含む場合は、ブロック状に付加してもランダム状に付加してもよい。n個の−OR−も同様である。−RO−と−RO−とが共にオキシエチレンであれば水媒体での分散性に優れる。また、m個の−RO−とn個の−RO−とにそれぞれ0〜30モル%、より好ましくは5〜25モル%、特に好ましくは10〜20モル%の範囲でオキシプロピレンを含む場合には、得られる共重合体の水溶性と疎水性とのバランスに優れる。
【0020】
およびRとして規定される炭素数1〜20個の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、テトラデシル、オクタデシルなどの直鎖アルキル基のほか、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルオクタンなどの分岐を有するアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの脂環式炭化水素がある。また、炭素数6〜14個の置換もしくは非置換のアリール基としては、フェニル、o−,m−若しくはp−トリル、2,3−若しくは2,4−キシリル、クメニル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル及びピレニルなどがある。炭素数6〜14個の置換もしくは非置換のアラルキル基としてはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルおよびトリチルなどがある。本発明では、R、Rとしては、水素、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数1〜20個の脂環式炭化水素、炭素数6〜14個の置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジルである。
【0021】
mおよびnはそれぞれアルキレンオキシの重合度を示し、mは1〜300、好ましくは1〜150、より好ましくは4〜150、更に好ましくは4〜100、特に好ましくは4〜50である。また、nは1〜300、好ましくは1〜150、より好ましくは4〜150、更に好ましくは4〜100、特に好ましくは4〜50である。この範囲外であると重合性が低下し、また、分散性の低下が生じる場合がある。
【0022】
本発明においては、単量体(A)として上記(1)〜(3)のいずれも好適に使用することができ、いずれか1種に限定されず2種以上を併用することもできる。なお、単量体(B)との共重合性に優れる点で上記式(1)で示されるイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルが好ましい。特に好ましくは下記式(1’)に示す単量体である。
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、−RO−、−RO−は、オキシエチレンまたはオキシプロピレンであり、
m個の−RO−およびn個の−OR−には、それぞれ0〜30モル%のオキシプロピレンを含み、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜14個の置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基を表し、mは1〜300の数を示し、nは1〜300の数を示す。)
本発明で使用する単量体(B)は上記式(4)で示される。上記式(4)において、MおよびMは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは水酸基で置換されたアルキルアンモニウムを示し、アルカリ金属原子としてはナトリウム、カリウムが好ましく、アルカリ土類金属原子としてはマグネシウム、カルシウムが好ましく、アルキルアンモニウムとしては、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、n−ブチルアンモニウム、sec−ブチルアンモニウム、tert−ブチルアンモニウムがあり、水酸基で置換されたアルキルアンモニウムとしては、ヒドロキシメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ヒドロキシジメチルアンモニウム、ヒドロキシジエチルアンモニウム、ヒドロキシプロピルアンモニウム、ヒドロキシn−ブチルアンモニウム、ヒドロキシsec−ブチルアンモニウム、ヒドロキシtert−ブチルアンモニウムがある。本発明では、MおよびMとして、水素原子、ナトリウム、カリウムであることが好ましい。
【0025】
、R、Rで規定する−(CHCOOMとしては、カルボキシルのほか、そのナトリウム塩、カリウム塩;他の−COOMとの無水物などがある。なお、上記式(4)においてMおよび/またはMがアルカリ土類金属原子の場合には、−COOMが他の−(CHCOOMと塩を形成してもよい。この場合Mは存在しない。R、R、Rとしては、水素原子、メチルであることが好ましい。
【0026】
本発明で使用する単量体(B)としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、またはこれらの無水物が挙げられ、さらには、これらの不飽和カルボン酸類、不飽和ジカルボン酸類の塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、水酸基が置換したアルキルアンモニウム塩が挙げられる。単量体(B)としては、特に、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらのナトリウム塩、カルシウム塩から選ばれる1種、あるいは2種以上が好ましい。
【0027】
本発明の共重合体を得るための、前記単量体(A)と前記単量体(B)との構成比に限定はなく用途に応じて適宜選択することができる。例えば、分散剤として使用する場合には、前記単量体(A)と単量体(B)との合計を100モル%とした場合に、前記単量体(A)を0.5〜99.5モル%、前記単量体(B)を0.5〜99.5モル%、より好ましくは前記単量体(A)を3〜85モル%、前記単量体(B)を15〜97モル%、前記単量体(A)を5〜70モル%、前記単量体(B)を30〜95モル%とする。
【0028】
本発明の共重合体は、更に前記単量体(A)または単量体(B)と共重合可能な他の単量体(C)を含めることができる。このような単量体(C)としては、例えば、マレイン酸モノ(メトキシポリエチレングリコール)エステル、イタコン酸モノ(メトキシポリエチレングリコール)エステル等の不飽和ジカルボン酸のハーフエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;スチレン、アクリルアミド、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸またはそのナトリウム塩などが挙げられる。
【0029】
前記単量体(C)の配合量に限定はなく、用途に応じて適宜選択することができる。この場合の配合量は、前記単量体(A)、単量体(B)および単量体(C)の合計を100モル%とした場合に、単量体(C)を40モル%以下の範囲で配合することができる。好ましくは、前記単量体(A)を0.5〜99モル%、前記単量体(B)を0.5〜99モル%、前記単量体(C)を0.5〜40モル%、より好ましくは前記単量体(A)を4〜80モル%、前記単量体(B)を20〜90モル%、前記単量体(C)を6〜30モル%、特に好ましくは、前記単量体(A)を5〜70モル%、前記単量体(B)を30〜80モル%、前記単量体(C)を15〜30モル%とする(ただし、単量体(A)+(B)+(C)の合計量は100モル%である。)。また、質量%で示せば、単量体(A)、単量体(B)および単量体(C)の合計を100質量%とした場合、単量体(A)は55〜95質量%であることが好ましく、さらには65〜90質量%の範囲であることが好ましい。特にこの範囲で各単量体を共重合することで分散性に優れる共重合体が得られる。なお、上記単量体を重合することで得られる本発明の共重合体は、本発明で開示の製法に限定されず、上記単量体由来の構成単位を含むものであればよい。上記単量体由来の構成単位とは、重合反応によって各単量体の重合性二重結合(C=C)が開いた構造(−C−C−)に相当する。
【0030】
本発明の共重合体は、そのまま各種分散剤として使用することができる。また、これを水などの溶媒に溶かして水溶液の状態で用いてもよい。水溶液中の該共重合体の濃度は、用途や重合体の分子量などによって適宜選択することができるが、一般には、5〜60質量%である。
【0031】
分散剤としての対象物は、セメント用、塗料用、製紙用、顔料用、セラミック焼結体成形用等であり、特にセメント分散剤として有用である。
【0032】
該分散剤をセメント分散剤として使用する場合には、他のセメント混和剤を併用してもよい。このような混和剤としては、「コンクリート混和材料ハンドブック((株)エヌ・ティー・エス発行、発行日2004年4月23日)」の第4章に記載されている、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、遅延剤、流動化剤、収縮低減剤、膨張剤、促進剤、消泡剤等が例示できる。これらの配合量は、必要とされる性能との兼ね合いで混合量をきめることができるが、好ましくは、本発明の共重合体100質量%に対し、0〜50質量%の範囲で混合することができる。
【0033】
このようにして得られる重合体を主成分とするセメント分散剤は、少なくともセメントおよび水よりなるセメント組成物に配合することによりセメントの分散を促進する。本発明のセメント分散剤は、ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメント、各種混合セメント等の水硬セメント、あるいは、石膏などのセメント以外の水硬材料などに用いることができる。
【0034】
本発明において使用されるセメント分散剤は、従来のセメント分散剤に比較して少量の添加でも優れた効果を発揮する。たとえば水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント質量の0.02〜3.0%、好ましくは0.1〜2.0%となる量を練り混ぜの際に添加すればよい。この添加により高減水率の達成、スランプロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされる。添加量が0.02%未満では性能的に不十分であり、逆に3
.0%を越えても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面から不利となる。
【0035】
上記セメント分散剤、セメントおよび水からなるセメント組成物は、該組成物1mあたりのセメント使用量、単位水量にはとりたてて制限はないが、単位水量150〜190kg/m、水/セメント質量比=0.10〜0.65、好ましくは単位水量160〜185kg/m、水/セメント質量比=0.2〜0.5である。該セメント組成物には、さらに必要により砂、砂利等の骨材が配合される。
【0036】
本発明で使用する単量体(A)は、何れの方法で製造されたものであってもよい。上記式(1)で示す単量体は、方法1:イタコン酸またはイタコン酸無水物と、ポリアルキレングリコール類とのエステル化反応、方法2:イタコン酸アルキレートとポリアルキレングリコール類のエステル交換反応、方法3:イタコン酸へのアルキレンオキシド付加、方法4:イタコン酸ヒドロキシアルキルエステルへのアルキレンオキシド付加などで合成することが好ましい。なお、上記式(2)および(3)に示す化合物は、イタコン酸に代えてシトラコン酸、メサコン酸を使用することで同様に合成することができる。
【0037】
方法1:イタコン酸またはイタコン酸無水物と、ポリアルキレングリコール類とのエステル化反応
該反応で使用するポリアルキレングリコール類としては、イタコン酸またはイタコン酸無水物とのエステル化反応によって、上記式(1)で示す化合物となるものを広く使用することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体等のポリアルキレングリコール;モノメトキシポリエチレングリコール、モノエトキシポリエチレングリコール、モノブトキシポリエチレングリコール、モノメトキシポリプロピレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体の片末端アルキル体などのポリアルキレングリコールの片末端アルコキシ体;モノフェノキシポリエチレングリコール、モノフェノキシポリエチレングリコール、モノフェノキシポリエチレングリコール、モノフェノキシポリプロピレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体の片末端フェノキシ体などのポリアルキレングリコールの片末端アリールオキシ体;モノベンジルオキシポリエチレングリコール、モノベンジルオキシポリエチレングリコール、モノベンジルオキシポリエチレングリコール、モノベンジルオキシポリプロピレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体の片末端ベンジルオキシ体などのポリアルキレングリコールの片末端アリールアルコキシ体などがある。なお、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を使用する場合は、1〜30モル%のプロピレンオキシドを含むことが好ましい。本発明では、反応性に優れる点、および得られる共重合体の分散性に優れる点で、ポリアルキレングリコールの片末端アルコキシ体、ポリアルキレングリコールの片末端アリールオキシ体、ポリアルキレングリコールの片末端アリールアルコキシ体を使用することが好ましく、より好ましくはポリアルキレングリコールの片末端アルコキシ体である。
【0038】
イタコン酸またはイタコン酸無水物1モルに対するポリアルキレングリコール類の配合量は、理論的には2モルであるが、1.5〜2.5モル、より好ましくは1.7〜2.1モル、特に好ましくは1.8〜2.0モルである。1.5モルを下回ると、イタコン酸ポリアルキレングリコールモノエステルの混合率が増加し、得られる共重合体の分散性が低下する場合がある。一方、2.5モルを上回ってもイタコン酸ポリアルキレンジエステルの収率に変化は少ないため、経済的に不利である。
【0039】
反応には、エステル化触媒を使用することができる。このような触媒としては、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸などのスルホン酸系化合物などを触媒として使用することができる。なお、イタコン酸の重合を防止するため、フェノチアジン、Nオキシル化合物、フェノール化合物、酢酸マンガン等のマンガン塩、ジブチルチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅塩、ニトロソ化合物およびアミン化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有することが可能であるが、熱安定が高いため使用しなくても製造できる。使用する場合は最低限の量よく、例えばイタコン酸とポリアルキレングリコール類量の総質量に対して200ppm以下の使用量でよい。
【0040】
反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどの溶媒の存在下に行うことができ、溶媒中の反応基質濃度(イタコン酸またはイタコン酸無水物と、ポリアルキレングリコール類との総量)は、50〜98質量%、より好ましくは70〜95質量%の範囲で好適に反応が進行する。従来からイタコン酸のポリアルキレングリコールエステルの合成は試みられているが、極めて収率が低かった。例えば、前記した非特許文献1では、イタコン酸とポリエチレングリコールモノドデシルエーテルとの反応においてトルエンスルホン酸を触媒として使用しているが収率高くジエステル体を製造できず、トルエンスルホン酸に代えてヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウムを使用してもモノエステル体が主成分となった。このような収率低下の要因は不明であるが、ベンゼンを多量に共沸溶媒として用いているため、反応温度が120℃程度までしかあがらず、そのため収率が低かったと推察できる。本発明では、イタコン酸の熱安定性に優れる点に着目し、溶媒量を上記範囲に制限することでエステル化温度を従来よりも高く設定し、収率を向上させることができる。なお、非特許文献1の生成物にはモノエステル体とジエステル体とが混在するが、両者の分離も困難なため、実質的にはイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステル体は単離されていない。
【0041】
反応温度は、50〜220℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは130〜180℃である。(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルは熱安性が低く、反応温度が130℃を超えると、重合が開始して反応液の粘度が上昇するため攪拌が困難となり、収率が低下する場合があった。しかしながらイタコン酸は熱安定性に優れるため上記範囲に温度を加熱することができ、短時間で高収率にエステル化を行うことができる。50℃を下回ると反応に長持間を要し、一方、220℃を超えても、反応の進行がそれ以上加速されず不利である。なお、エステル化反応の進行に伴い水が副生するため、これを留出しながら反応させるとイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルが得られる。
【0042】
方法2:イタコン酸アルキレートとポリアルキレングリコール類のエステル交換反応
該反応で使用するポリアルキレングリコール類とは、イタコン酸アルキレートとのエステル交換反応によって、上記式(1)で示す化合物となるものを広く使用することができ、上記方法1で例示したポリアルキレングリコール類を好ましく使用することができる。
【0043】
また、イタコン酸アルキレートとしては、イタコン酸と炭素数1〜8のアルコールとのジエステル体を好ましく使用することができ、例えば、イタコン酸ジメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、イタコン酸ジプロピルエステル、イタコン酸メチルエチルエステル、イタコン酸メチルプロピルエステルなどが例示できる。
【0044】
イタコン酸ジアルキレート1モルに対するポリアルキレングリコール類の配合量は理論的には2モルであるが、1.5〜2.5モル、より好ましくは1.7〜2.1モル、特に好ましくは1.5〜2.0モルである。1.5モルを下回ると、エステル交換が不十分となり、一方、2.5モルを上回ってもイタコン酸ポリアルキレングリコールジエステルの収率に変化は少ない。
【0045】
反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどの溶媒の存在下に行うことができ、溶媒中の反応基質濃度(イタコン酸ジアルキレートとポリアルキレングリコール類との総量)は、50〜98質量%、より好ましくは70〜95質量%の範囲で好適に反応が進行する。
【0046】
反応には、酸性触媒や塩基性触媒を使用することができるが、得られるジエステル体を使用した共重合体の分散性に優れる点で塩基性触媒を使用する。好適な塩基性触媒としては、水酸化ナトリム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウムイソプロポキサイド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキサイド、カリウムイソプロポキサイド等のアルカリ金属アルコキサイド;アンモニウム塩型アミンを交換基に持つ強塩基性のイオン交換樹脂等がある。これらの塩基性触媒の中でもアルカリ金属水酸化物と金属アルコキサイドが好ましく、中でも、水酸化ナトリウムあるいはナトリウムメトキサイドが特に好ましい。塩基性触媒の使用量は、イタコン酸アルキレートに対して、0.05〜5質量%、特に0.1〜2.0質量%が好ましい。0.05質量%未満の量では触媒効果が充分発現されず、0.5質量%を超える量を使用しても不経済なだけである。塩基性触媒は、一度に仕込む方法、連続あるいは分割添加する方法が可能であるが、触媒表面が、系内で不活性化し、触媒作用が失活するのを防ぐ面では、連続あるいは分割添加するのが好ましい。
【0047】
反応温度は、50〜220℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜190℃である。50℃を下回ると反応に長持間を要し、一方、220℃を超えてもエステル化率がそれ以上向上せず不利である。エステル交換反応は、回分、連続いずれによっても行ないうるが、例えば回分反応では内温を徐々に上げていき、許容温度に達してもアルキルアルコールが留出しなくなれば、反応の終結が確認される。そして、減圧下に原料のイタコン酸アルキレートを留去すると、目的のイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルが得られる。なお、該方法においても、イタコン酸は(メタ)アクリル酸よりも熱安定性に優れるため、短時間に収率高くジエステルを製造することができる。
【0048】
方法3:イタコン酸へのアルキレンオキシド付加
イタコン酸に付加するアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドであり、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、イソブチレンオキシドなどがあり、好適にはエチレンオキシド単独、プロピレンオキシド単独、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの併用である。
【0049】
イタコン酸1モルに対するアルキレンオキシドの付加量は理論的にはm+nモルであるが、2〜400モル、より好ましくは8〜200モル、特に好ましくは16〜130モルである。この際、プロピレンオキシドを併用する場合には、1〜30モル%の範囲でプロピレンオキシドを使用することが好ましい。
【0050】
反応には、触媒を使用することができ、四級アンモニウム化合物、フッ化ホウ素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを好適に使用できる。これらの中でも、フッ化ホウ素は非水系反応を効率的に促進できる点で好適である。
【0051】
このような四級アンモニウム化合物としては、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジエトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジイソプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジブトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ブフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−エチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジエトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−エチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−エチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジイソプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−エチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジブトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−エチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ブフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−エチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−イソブチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジエトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−イソブチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−イソブチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジイソプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−イソブチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ジブトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−イソブチルモルフォリニウムクロライド,4−(4,6−ブフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−イソブチルモルフォリニウムクロライドなどが例示できる。
【0052】
四級アンモニウム化合物とフッ化ホウ素とを併用することで、ポリアルキレンオキシドの重合度を300まで長鎖に重合することができる。
【0053】
反応温度は、40〜220℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜150℃である。40℃を下回ると反応に長持間を要し、一方、220℃を超えると重合反応が生じる場合があり不利である。2〜20時間でイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルが得られる。該反応によれば、溶媒を使用せずに反応を行うことができるため、目的物の単離が容易な利点がある。なお、該方法においても、イタコン酸は(
メタ)アクリル酸よりも熱安定性に優れるため、短時間に収率高くジエステルを製造する
ことができる。
【0054】
方法4:イタコン酸ヒドロキシアルキルエステルへのアルキレンオキシド付加
使用するイタコン酸ヒドロキシアルキルエステルは、イタコン酸と炭素数2〜4の直鎖または分岐を有していてもよいモノヒドロキシアルコールとのエステル体であり、ヒドロキシエタノール、ヒドロキシブタノールなどとのジエステル体が好適である。
【0055】
アルキレンオキシドとイタコン酸ヒドロキシアルキルエステルとを混合すると、イタコン酸ヒドロキシアルキルエステルが重合開始剤として作用するため、イタコン酸ヒドロキシアルキルエステルの水酸基にオキシアルキレンが重合する。従って、得られるイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステル体の末端は水酸基となる。反応には、上記方法3で記載した、四級アンモニウム化合物、フッ化ホウ素、水酸化ナトリウムなどの触媒を好適に使用できる。
【0056】
反応温度は、40〜220℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜150℃である。40℃を下回ると反応に長持間を要し、一方、220℃を超えると重合反応が生じる場合があり不利である。2〜20時間でイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルが得られる。なお、該方法においても、イタコン酸は(メタ)アクリル酸よりも熱安定性に優れるため、短時間に収率高くジエステルを製造することができる。
【0057】
本発明の共重合体は、上記単量体(A)と単量体(B)、必要に応じて添加される単量体(C)とを含む単量体成分を、重合開始剤を用いて共重合させればよい。共重合は、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行なうことができる。
【0058】
溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行なうことができ、その際使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;等が挙げられる。原料単量体および得られる共重合体の溶解性ならびに該共重合体の使用時の便からは、水および炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。その場合、炭素数1〜4の低級アルコールの中でもメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が特に有効である。
【0059】
水媒体中で重合を行なう時は、重合開始剤としてアンモニウムまたはアルカリ金属の過硫酸塩あるいは過酸化水素等の水溶性の重合開始剤が使用される。この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩等の促進剤を併用することもできる。また、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケトン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等の芳香族アゾ化合物等が重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜120℃の範囲内で行なわれる。
【0060】
塊状重合は、重合開始剤としてベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物等を用い、50〜200℃の温度範囲内で行なわれる。
【0061】
また、得られる共重合体の分子量調節のために、チオール系連鎖移動剤を併用することもできる。本発明の共重合体の重量平均分子量としては、4,000〜80,000、より好ましくは6,000〜50,000、特に好ましくは10,000〜30,000である。重量平均分子量が4,000未満では、分散性が低下する場合があり、一方、80,000を越えると、これをセメント分散剤として使用した場合に、セメント分散剤の減水性能、スランプロス防止能が低下するために好ましくない。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリエチレングリコール換算より求めた値である。
【0062】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。また、特に記載ない場合、「部」は質量部を意味する。
【0063】
合成例1
(イタコン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルの合成)
窒素導入管、温度計、攪拌装置及びディーンスターク型水分離装置を備えた反応器に、イタコン酸52g(0.4モル)、モノメトキシポリエチレングリコール(メタノールのエチレンオキサイド10モル付加体)340g(0.72モル)、フェノチアジン0.078g、トルエンスルホン酸1水和物7.16g、及び、トルエン30gを仕込み窒素
気流下で加熱攪拌した。内容物の温度が137℃に達したところで還流が始まり、生成した水を除去しながらさらに昇温を続け、還流開始から5時間後に180℃に達し、反応を終了した。除去した水の量は12.0g(0.67モル)であった。除去した水の量から計算して、エステル化率は93%であった。続いて、160℃減圧下でトルエンを除去し、酸価18.3mgKOH/g、イタコン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを84.1質量%、イタコン酸モノ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを
13.3質量%含む反応混合物(IT−1)381gを得た。
【0064】
合成例2
(イタコン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルの合成)
窒素導入管、温度計、攪拌装置、及び、ディーンスターク型水分離装置を備えた反応器に、イタコン酸42g(0.32mol)、モノメトキシポリエチレングリコール(メタノールのエチレンオキサイド10mol付加体)302g(0.64mol)、トルエンスルホン酸1水和物6.2g、及び、トルエン30gを仕込み窒素気流下で加熱攪拌した。内容物の温度が147℃に達したところで還流が始まり、生成した水を除去しながらさらに昇温を続け、還流開始から6時間後に185℃に達し、反応を終了した。除去した水の量は10.5g(0.58mol)であった。除去した水の量から計算して、エステル化率は91%であった。続いて、160℃減圧下でトルエンを除去し、酸価13.4mgKOH/g、イタコン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを84.7重量%、イタコン酸モノ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを8.2重量%含む反応混合物(IT−2)334gを得た。
【0065】
合成例3
(イタコン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルの合成)
窒素導入管、温度計、攪拌装置、及び、ディーンスターク型水分離装置を備えた反応器に、イタコン酸21g(0.16mol)、モノメトキシポリエチレングリコール(メタノールのエチレンオキサイド25mol付加体)326g(0.29mol)、フェノチアジン0.035g、トルエンスルホン酸1水和物5.2g、及び、トルエン60gを仕込み窒素気流下で加熱攪拌した。内容物の温度が138℃に達したところで還流が始まり、生成した水を除去しながらさらに昇温を続け、還流開始から19時間後に150℃に達し、反応を終了した。除去した水の量は3.8g(0.21mol)であった。除去した水の量から計算して、エステル化率は73%であった。続いて、160℃減圧下でトルエンを除去し、酸価11.9mgKOH/g、イタコン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを76.9重量%、イタコン酸モノ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを16.4重量%含む反応混合物(IT−3)348gを得た。
【0066】
比較合成例1
(マレイン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルの合成)
合成例1と同様の装置に、マレイン酸46g(0.4mol)、モノメトキシポリエチレングリコール(メタノールのエチレンオキサイド10mol付加体)340g(0.72mol)、フェノチアジン0.072g、トルエンスルホン酸1水和物6.95g、及び、トルエン30gを仕込み窒素気流下で加熱攪拌した。内容物の温度が140℃に達したところで還流が始まり、生成した水を除去しながらさらに昇温を続け、還流開始から2.2時間後に164℃に達し、反応を終了した。除去した水の量は12.3g(0.68mol)であった。除去した水の量から計算して、エステル化率は95%であった。続いて、60℃減圧下でトルエンを除去し、酸価25.5mgKOH/g、マレイン酸ジ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを68.5重量%、マレイン酸モノ(メトキシポリエチレングリコール)エステルを20.5重量%含む反応混合物(MA−1)386gを得た。
【0067】
比較合成例2
合成例1と同様の装置に、メタクリル酸34.4g(0.4mol)、モノメトキシポリエチレングリコール(メタノールのエチレンオキサイド10mol付加体)170g(0.36mol)、トルエンスルホン酸1水和物3.68g、及び、トルエン16gを仕込み窒素気流下で加熱攪拌した。内容物の温度が125℃に達したところで重合物と思われる固形物が析出し、攪拌困難となり反応を中止した。
【0068】
実施例1
(重合体の合成)
窒素導入管、冷却管、及び、攪拌装置を備えた反応器に、合成例1で得たIT−1を8.5g、アクリル酸1.5g、水40g、30質量%水酸化ナトリウム水溶液0.23g、過硫酸アンモニウム0.2g、及び、メルカプトプロピオン酸0.1gを仕込み、窒素気流下、80℃の油浴で2hr加熱し、続いて、30質量%水酸化ナトリウム水溶液を2.45g加え、pH6.3の共重合体(P−1)の水溶液を得た。この水溶液の固形分は19.5質量%であり、P−1の重量平均分子量は14,800であった。
【0069】
実施例2
(重合体の合成)
窒素導入管、冷却管、及び、攪拌装置を備えた反応器に、合成例2で得たIT−2を8.5g、アクリル酸1.5g、水40g、30重量%水酸化ナトリウム水溶液0.23g、過硫酸アンモニウム0.2g、及び、メルカプトプロピオン酸0.1gを仕込み、窒素気流下、80℃の油浴で2hr加熱し、続いて、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を2.20g加え、PH6.2の重合体(P−2)の水溶液を得た。この水溶液の固形分は19.7重量%であり、P−2の重量平均分子量は22800であった。
【0070】
実施例3
(重合体の合成)
窒素導入管、冷却管、及び、攪拌装置を備えた反応器に、水13gを仕込み、窒素気流下60℃に加熱した。そこに合成例3で得たIT−3を4.38g、20%アクリル酸水溶液3.10g、メルカプトプロピオン酸0.1g、及び、0.1N水酸化ナトリウム水溶液5.00gを混合した溶液Aを1時間で滴下し、同時に、2,2−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライドの5%水溶液2.06gを1時間30分かけて滴下した。滴下終了後さらに1時間加熱し、続いて、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を0.7g、水15gを加え、PH6.3の重合体(P−3)の水溶液を得た。この水溶液の固形分は11.0重量%であり、P−3の重量平均分子量は26000であった。
【0071】
比較例1
(重合体の合成)
窒素導入管、冷却管、及び、攪拌装置を備えた反応器に、比較合成例1で得たMA−1を8.5g、アクリル酸1.5g、水40g、30重量%水酸化ナトリウム水溶液0.23g、過硫酸アンモニウム0.2gを仕込み、窒素気流下、80℃の油浴で2hr加熱し、続いて、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を2.53g加え、PH6.2の重合体(C−1)の水溶液を得た。この水溶液の固形分は22.2重量%であり、C−1の重量平均分子量は31000であった。
【0072】
(セメント分散剤としての評価)
JIS R5201−1997規格に記載の機械練り用練り混ぜ機を用い、同規格のモルタルフロー試験方法に準じて試験を行なった。ただし、モルタルフロー試験での落下運動は行わずにコーンを上げただけでのフロー値を測定した。また、モルタルの配合は、水240g、普通ポルトランドセメント595g、標準砂1350gを用いた。なお、本発明の重合体、及び、消泡剤として用いたMA404(ポゾリス物産製)は、モルタルに配合する水に予め溶かし、配合した。重合体、及び、消泡剤の添加量はセメントに対する重量%で表示し、表1に示した。
【0073】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明で使用するイタコン酸のポリアルキレングリコールジエステルは、熱安定性に優れるため収率高く製造することができる。該ジエステルと(メタ)アクリル酸類との共重合体は優れた分散性を示し、分散剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)〜(3)に示すいずれか1種以上の単量体(A)と、下記式(4)に示す単量体(B)とを含む単量体成分を重合してなる共重合体。
【化1】

(式中、−RO−、−RO−は、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のオ
キシアルキレンを示し、m個の−RO−は同一でも異なっていてもよく、2種以上のオキシアルキレンを含む場合は、ブロック状に付加してもランダム状に付加してもよく、n個の−OR−は同一でも異なっていてもよく、2種以上のオキシアルキレンを含む場合は、ブロック状に付加してもランダム状に付加してもよく、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜14個の置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基を表し、mは1〜300の数を示し、nは1〜300の数を示す。)
【化2】

(式中、R、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチルまたは−(CHCOOMであり、−(CHCOOMは−COOMまたは他の−(
CHCOOMと無水物を形成していてもよく、その場合それらの基のM、M
は存在せず、M、Mは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは水酸基で置換されたアルキルアンモニウムを示し、pは0〜2の数を示す。)
【請求項2】
前記単量体(A)が上記式(1)で示される単量体である請求項1記載の共重合体。
【請求項3】
前記単量体(A)と単量体(B)とを含み、前記単量体(A)と(B)の合計を100モル%とした場合に、前記単量体(A)を共重合体中に0.5〜99.5モル%、前記単量体(B)を0.5〜99.5モル%の範囲で含む請求項1または2記載の共重合体。
【請求項4】
更に、前記単量体(A)および単量体(B)と共重合可能な他の単量体(C)を含み、前記単量体(A)、(B)および(C)の合計を100モル%とした場合に、単量体(A)を0.5〜99モル%、単量体(B)を0.5〜99モル%、単量体(C)を0.5〜50モル%の範囲で含む請求項1または2に記載の共重合体。
5.請求項1〜4のいずれかの共重合体を含む分散剤。

【公表番号】特表2008−512541(P2008−512541A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530900(P2007−530900)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/JP2005/016863
【国際公開番号】WO2006/028252
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】