説明

共重合体および化粧料用組成物

【課題】高いセット性と再整髪性を持ちながら、スプレー、ミスト、ワックス状など幅広い製剤の自由度を有する共重合体と、この共重合体を含むおよび化粧料用組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)に相当する構成単位と特定式で示される[(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はN−アルキル(メタ)アクリルアミド]系のビニルモノマー(B)に相当する構成単位とを含み、30℃未満の水に溶解せず、低温から昇温する際に−25℃〜40℃の間に吸熱開始点を有する共重合体。この共重合体を含む化粧料用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定構造の共重合体、および該共重合体含む化粧料用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、若年層を中心に、ワックス状の整髪料(ヘアワックス)が広く受け入れられている。従来のヘアセット剤であるヘアムース、ジェル、スプレーなどが、毛髪上で樹脂がフィルムを形成してセット性を発現するのに対して、ヘアワックスは、カルナバロウ、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスを中心とした固形油分により、毛髪をまとめる、アレンジする、といった整髪効果を実現している(例えば特許文献1および2)。
【0003】
ヘアワックスについても、これまで、より高い整髪性(セット力、維持性、再整髪性)および良好な使用感触を求めて開発が行われている。例えば、高重合度のポリエチレングリコール、ワックス、非イオン性界面活性剤を配合した整髪料(特許文献3)、12−ヒドロキシステアリン酸とアルカリ剤を配合したヘアワックス(特許文献4)、などが開示されている。
【0004】
一方、親水基として特定のアルキレンオキシド基を有するビニル系モノマー、および疎水基として特定のアルキル基を有するビニル系モノマーに由来する構成単位を有し、水に溶解して30℃〜70℃に曇点を有する共重合体が知られている(特許文献5)。この共重合体においては、ヘアドライヤーを用いて毛髪上に疎水性被膜を形成させることができ、整髪などに有用な化粧料を提供することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−45546号公報
【特許文献2】特開2001−316228号公報
【特許文献3】特開2002−241243号公報
【特許文献4】特開2000−86450号公報
【特許文献5】特開2001−316422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3〜4のように高い整髪性を求めて固形成分や樹脂を多量に配合すると、乳化が困難になり製剤化できなくなる問題や、また製剤化できたとしても頭髪への伸びが悪く、感触が悪くなるといった問題点がある。さらに、天然物由来の固形油分であるワックス類は、経時での臭いや安定した品質の提供といった面から課題があり、これに代わる素材が求められている。
【0007】
また、特許文献5に記載されるような共重合体には、ヘアドライヤーなどを用いた際に毛髪上に疎水性被膜を形成させることでトリートメント性はあるものの、整髪料としてのセット性は全く不十分である。
特に、ヘアワックスなどの用途においては、高いセット力に加えて柔軟な毛髪の感触や、一度セットしたスタイルを変えることができるといったような再整髪性に優れることが求められている。
【0008】
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、高いセット性と再整髪性を持ちながら、スプレー、ミスト、ワックス状など幅広い製剤の自由度を有する共重合体と、この共重合体を含むおよび化粧料用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定構造のビニルモノマーに由来する構成単位を含んでなる共重合体であって、30℃未満の水に溶解せず、低温から昇温する際に−25℃〜40℃の間に吸熱開始点を有する共重合体が、毛髪に塗布した際に高いセット性と再整髪性を有し、さらに該共重合体を、例えば水やエタノールに分散させることで、化粧料用組成物として幅広い製剤形態を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は、以下の[1]〜[9]に存する。
【0010】
[1] 下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)に相当する構成単位と下記一般式(2)で表されるビニルモノマー(B)に相当する構成単位とを含んでなる共重合体であって、30℃未満の水に溶解せず、低温から昇温する際に−25℃〜40℃の間に吸熱開始点を有することを特徴とする共重合体。
【0011】
【化1】

【0012】
(一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。mは1〜100を満たす整数を示す。)
【0013】
【化2】

【0014】
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ0または1の整数を示し、p+q=1である。)
【0015】
[2] さらに、下記一般式(3)で表されるモノマーおよび/または下記一般式(4)で表されるモノマーであるビニルモノマー(C)に相当する構成単位を含む、[1]に記載の共重合体。
【0016】
【化3】

【0017】
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0018】
【化4】

【0019】
(一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。rは0または1であり、sは1〜4を満たす整数である。Xは下記一般式(5)〜(7)のいずれか1つを示す。)
【0020】
【化5】

【0021】
(一般式(5)〜(7)中、R10およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、一般式(6)におけるR12は炭素数1〜4のアルキル基、または−(CH−COO(uは1〜4の整数である。)とその塩とのいずれかを示す。)
【0022】
[3] 共重合体全体に対して、ビニルモノマー(A)〜(C)のそれぞれに相当する構成単位を、以下の割合で含む、[2]に記載の共重合体。
ビニルモノマー(A): 30〜80重量%
ビニルモノマー(B): 20〜70重量%
ビニルモノマー(C): 0.1〜50重量%
【0023】
[4] ビニルモノマー(B)を表す一般式(2)において、p=1である、[1]ないし[3]のいずれか1つに記載の共重合体。
【0024】
[5] さらに、炭素数12〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(D)に相当する構成単位を含む、[1]ないし[4]のいずれか1つに記載の共重合体。
【0025】
[6] 重量平均分子量が、5,000以上2,000,000以下である、[1]ないし[5]のいずれか1つに記載の共重合体。
【0026】
[7] [1]ないし[6]のいずれか1つに記載の共重合体を含む微粒子が、水を含む連続相に分散していることを特徴とする水性分散体。
【0027】
[8] [1]ないし[6]のいずれか1つに記載の共重合体を含む微粒子が、体積平均粒子径10〜500nmで分散している、[7]に記載の水性分散体。
【0028】
[9] [1]ないし[6]のいずれか1つに記載の共重合体を含むことを特徴とする化粧料用組成物。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、高いセット性と再整髪性を持ちながら、スプレー、ミスト、ワックス状など幅広い製剤の自由度を有する共重合体と、この共重合体を含むおよび化粧料用組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
【0031】
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の総称である。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。また、本明細書において、「〜」は、その前後に記載される数値または物理値を含む意味で使用することとする。
【0032】
1.共重合体
本発明の共重合体は、下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)に相当する構成単位と下記一般式(2)で表されるビニルモノマー(B)に相当する構成単位とを含んでなる共重合体(以下、単に「共重合体」と称す。)である。加えて、該共重合体は、30℃未満の水に溶解せず、低温から昇温する際に−25℃〜40℃の間に吸熱開始点を有することを特徴とする。
【0033】
【化6】

【0034】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは1〜100を満たす整数を示す。)
【0035】
【化7】

【0036】
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ0または1の整数を示し、p+q=1である。)
【0037】
<非水溶解性>
本発明の共重合体は、水温30℃未満の水に溶解しない。
ここで、「水に溶解しない」とは、乾燥させた共重合体を固形分として30℃未満の水、例えば10〜30℃程度の水に1重量%となるように加えた際に、加熱・スターラー攪拌処理を行っても、30℃未満の温度でサンプルが不均一の状態であることを示し、具体的には目視で確認することができる、大きさが100μm以上の不溶物が存在するか、或いは、不溶物の体積平均粒子径が50μm以上、好ましくは100μm以上となる状態を意味する。
【0038】
30℃未満の水で溶解してしまう共重合体としては、共重合体中のビニルモノマー(A)に相当する構成単位の割合が多過ぎる、あるいは共重合体の分子量が小さ過ぎる、または共重合体中の任意の親水性ビニルモノマーに相当する構成単位の割合が多過ぎる、などが考えられる。
【0039】
共重合体中のビニルモノマー(A)に相当する構成単位の割合が多過ぎる場合、疎水部分が少なく共重合体の被膜強度が小さいため、再整髪性が損なわれる傾向にある。また、共重合体の分子量が小さ過ぎる場合も、共重合体の流動性が高いため、再整髪性が劣る傾向にある。さらに、任意の親水性ビニルモノマーに相当する構成単位の割合が多過ぎる場合、ポリオキシアルキレン基の結晶性の阻害による粘着性の低下、また疎水部分が少ないために生じる被膜強度の低下で、セット性、再整髪性ともに劣るものとなる。また、いずれの場合も、高湿度下における整髪性、整髪維持性が顕著に低下する傾向にある。
【0040】
30℃未満の水に溶解しない共重合体とするためには、例えば、共重合体中のビニルモノマー(A)に相当する構成単位の割合を少なくする;重合度を高めたり、架橋剤を加えることで共重合体の分子量を大きくする;共重合体中の任意の親水性ビニルモノマーに相当する構成単位の割合を少なくする;あるいは、共重合体に長鎖アルキル基などの疎水性の高い側鎖を持つビニルモノマーに相当する構成単位を導入する;などの手段が挙げられる。また、以上の方法を適宜組み合わせることによっても水溶解性を制御することが可能である。
【0041】
<吸熱開始点>
本発明の共重合体は、低温から昇温する際に−25℃〜40℃の間に吸熱開始点を有するものである。
【0042】
共重合体の吸熱開始点とは、例えば、示差走査熱量計(DSC)を使用して、アルミ密閉セルを用い、空気をリファレンスとして、セル内の共重合体を低温側から10℃/分の速度で昇温させた時、ベースラインからの熱流の増加が認められた場合の熱流増加開始温度をさし、吸熱開始点が−25〜40℃にあることは室温(20℃)付近で相転移点があることを意味する。共重合体の吸熱開始点は、具体的には、後掲の実施例に記載される方法で評価することができる。
【0043】
本発明の共重合体は親水的なモノマー(A)に由来する構造部分が、疎水的なモノマー(B)に由来する構造部分からミクロ相分離する場合がある。本発明で述べる吸熱挙動は、共重合体中で相分離したビニルモノマー(A)に相当する構成単位のポリオキシアルキレン基の結晶性に由来するものと考えられる。吸熱開始温度付近では、ポリオキシアルキレン鎖の結晶性が弱められてペースト状になり、毛髪上に塗布した時に粘着性を発現して、整髪性を高めるものと考えられる。
【0044】
一方、疎水的なビニルモノマー(B)に相当する構成単位を主とする相は、共重合体鎖の疎水部同士をファンデルワールス力や疎水結合によって繋ぎ合わせ、共重合体の流動性を抑えている。その結果、共重合体の強度が向上し、ポリオキシアルキレン基の粘着性によってくっついた毛髪間の接着を維持することができる。以上のようなことから、高いセット性に加えて再整髪性が実現される。
【0045】
また、この疎水部分により、軽く手で触れた時にはポリオキシアルキレン鎖由来のべたつき感が少なく、手で整えるなどの行為で強く毛髪間に圧力がかかった場合に毛髪同士を強く接着させることができる。
【0046】
吸熱開始点が−25℃以上40℃以下であると、室温(20℃)において共重合体が毛髪上に塗布した際に粘着性を示し、これを含む毛髪化粧料とした際に高いセット性を発揮することができる
【0047】
本発明の共重合体の吸熱開始点は、好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下、特に好ましくは20℃以下、さらに好ましくは18℃以下であり、一方、好ましくは−25℃以上、より好ましくは−10℃以上、さらに好ましくは0℃以上である。
【0048】
<吸熱量>
本発明の共重合体は、上記の吸熱開始点の測定において測定される吸熱量が0.5〜90mJ/mgであることが、共重合体中のポリオキシアルキレン基の部分の構造の粘着性が高くなり、整髪性を高めることできるために好ましい。吸熱量は、より好ましくは1.0mJ/mg以上、更に好ましくは1.5mJ/mg以上であり、一方、より好ましくは70mJ/mg以下、更に好ましくは50mJ/mg以下、特に好ましくは35mJ/mg以下である。共重合体の吸熱量は、共重合体を形成するモノマーとして疎水性が高いビニルモノマーを適宜選択し、共重合体中に疎水性の高い構造を導入することにより調整することができる。
【0049】
<分子量>
本発明の共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上であって、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、更に好ましくは500,000以下、特に好ましくは300,000以下である共重合体の重量平均分子量が上記上限値以下であることにより化粧料用組成物としたときの共重合体の水への分散性の観点で好ましく、上記下限値以上であることは水に溶解しない共重合体とする観点から好ましい。
共重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、展開溶媒として、テトラヒドロフランを用いる)や光散乱法など従来公知の種々の方法により測定することができる。
【0050】
本発明の共重合体の重量平均分子量/数平均分子量で表される分子量分布[Mw/Mn]は、通常1.0以上、好ましくは1.5以上であって、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。
【0051】
<共重合体を構成する構成単位>
以下、本発明の共重合体を構成する構成単位について詳述する。
本発明の共重合体は、ポリオキシアルキレン基を有するビニルモノマー(一般式(1)で表されるビニルモノマー)とアルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび/または(メタ)アクリルアミド(一般式(2)で表されるビニルモノマー)とを含むモノマー混合物の共重合体に相当する構造を有する。つまり、前記一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)に相当する構成単位と、前記一般式(2)で表されるビニルモノマー(B)に相当する構成単位とを含む共重合体である。
【0052】
ここで、本発明の共重合体は、一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)と一般式(2)で表されるビニルモノマー(B)とを含むモノマー混合物を共重合して得られる共重合体に限られるものではなく、これに相当する構成単位を有していればその原料や製造方法が制限されるものではない。
【0053】
<ビニルモノマー(A)に相当する構成単位>
一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)(以下、「モノマー(A)」と称する場合がある。)としては、下記一般式(1)で表されるモノマーであれば特に限定されない。
【0054】
【化8】

【0055】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは1〜100を満たす整数を示す。)
【0056】
一般式(1)におけるRは、水素原子またはメチル基である。
【0057】
一般式(1)におけるRは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。なお、一分子中に複数あるRは同一であっても異なるものであってもよいが、好ましくは同一のものである。
【0058】
一般式(1)におけるRは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0059】
一般式(1)におけるmは1〜100の整数である。共重合体の親水性を確保し、十分な結晶性が得られることから、mは1以上であり、好ましくは3以上、さらに好ましくは11以上、特に好ましくは15以上である。一方、重合反応後のモノマー残存量が少なく、また工業グレードでの入手が容易なため、mは100以下であり、好ましくは50以下である。
【0060】
モノマー(A)として具体的には、例えば、メトキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも親水性の強さおよび結晶性の理由から、メトキシポリオキシエチレン(23モル)(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレン(9モル)(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレン(40モル)(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(23モル)(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(9モル)(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(40モル)(メタ)アクリレートが好ましい(ここで、カッコ内のモル数は一般式(1)におけるmの値を示す。)。
【0061】
モノマー(A)に相当する構成単位は、共重合体において親水性を有する部分として働き、共重合体を水系溶媒に分散させた際には微粒子を形成し、共重合体を含む微粒子の外側に存在して化粧料用組成物の安定性を向上させる機能を有するものと考えられる。なお、「微粒子」の詳細については後述する。
【0062】
また、モノマー(A)に相当する構成単位が有するポリオキシアルキレン基の結晶性によって、本発明の共重合体を含む化粧料用組成物では、毛髪塗布後に粘着性が発現するものと推察される。
本発明の共重合体は、1種類のモノマー(A)に相当する構成単位を含むものであってもよく、2種以上のモノマー(A)に相当する構成単位を含むものであってもよい。
【0063】
本発明の共重合体において、モノマー(A)に相当する構成単位の含有量は共重合体全体の30重量%以上であることが好ましく、35重量%以上であることがより好ましく、一方、80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましい。モノマー(A)に相当する構成単位の含有量が上記下限値以上であると、共重合体が適度な親水性を有するので水系溶媒へ分散させるのが容易となり、また上記上限値以下であると、耐湿性を損なう事なく配合できるため好ましい。
【0064】
<ビニルモノマー(B)に相当する構成単位>
一般式(2)で表されるビニルモノマー(B)(以下、「モノマー(B)」と称する場合がある。)としては、下記一般式(2)で表されるモノマーであれば特に限定されない。
【0065】
【化9】

【0066】
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ0または1の整数を示し、p+q=1である。)
【0067】
一般式(2)におけるRは、水素原子またはメチル基である。
【0068】
一般式(2)におけるRは、炭素数2〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、好ましくは炭素数4〜8の直鎖または分岐のアルキル基、より好ましくは炭素数4の直鎖または分岐のアルキル基である。
一般式(2)におけるpおよびqは、それぞれ0または1の整数を示し、p+q=1である。好ましくはp=1でq=0である。
【0069】
モノマー(B)として具体的には、例えばエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリルアミド、プロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、ペンチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、エチルヘキシル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、全体的な感触のバランスから、モノマー(B)がn−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0070】
本発明の共重合体は、1種類のモノマー(B)に相当する構成単位を含むものであってもよく、2種以上のモノマー(B)に相当する構成単位を含むものであってもよい。
【0071】
モノマー(B)に相当する構成単位は、Rの炭素数2〜10のアルキル基に相当する疎水性を共重合体に付与する効果があり、共重合体を水を含む連続相に分散させた場合、共重合体の微粒子形成を促す効果がある。
【0072】
また、モノマー(B)に相当する構成単位は、被膜などのような共重合体を乾燥させた残留物においては、親水性の高いモノマー(A)に相当する構成単位と相溶性が低いので相分離を生じている場合がある。本発明では、この相分離したモノマー(B)に相当する構成単位の相によって被膜強度が高まり、モノマー(A)に相当する構成単位によって発生する粘着性由来の整髪力を維持させ、高いセット性とその維持力の要因になっているものと考えられる。また、この機構では、皮脂などにより汚染された表面が、圧力を掛けることによって更新されることで、繰り返し機能することが可能となり、再整髪性を発揮できるものと推察される。
【0073】
本発明の共重合体において、モノマー(B)に相当する構成単位の含有量は共重合体全体の20重量%以上であることが好ましく、22重量%以上であることがより好ましく、一方、70重量%以下であることが好ましく、65重量%以下であることがより好ましい。モノマー(B)に相当する構成単位の含有量が上記下限値以上で上限値以下であると、共重合体が耐水性を保持しつつ、適度な親水性を有するため、水系溶媒へ分散させやすくなるため好ましい。
【0074】
なお、本発明の共重合体において、モノマー(A)に相当する構成単位とモノマー(B)に相当する構成単位とを含有させることにより、非水溶解性の共重合体を得る観点では共重合体中のモノマー(A)に相当する構成単位とモノマー(B)に相当する構成単位との合計100重量部中に、モノマー(A)に相当する構成単位を35〜60重量部、モノマー(B)に相当する構成単位を22〜65重量部含むことが好ましい。
【0075】
<ビニルモノマー(C)に相当する構成単位>
本発明の共重合体はさらに下記一般式(3)および/または一般式(4)で表されるビニルモノマー(C)(以下、「モノマー(C)」と称する場合がある。)に相当する構成単位を有することが好ましい。
【0076】
モノマー(C)は窒素原子を含む極性の高い官能基を有するビニルモノマーであり、モノマー(C)に相当する構成単位を含むことにより、本発明の共重合体と、アミド基などを多く含む毛髪との界面相互作用を高めることができ、この相互作用によって、毛先などの毛髪の中でも動きが多い場所においても、高いまとまり感を実現させることができるものと推察される。
【0077】
【化10】

【0078】
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0079】
【化11】

【0080】
(一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。rは0または1であり、sは1〜4を満たす整数である。Xは下記一般式(5)〜(7)のいずれか1つを示す。)
【0081】
【化12】

【0082】
(一般式(5)〜(7)中、R10およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、一般式(6)におけるR12は炭素数1〜4のアルキル基、または−(CH−COO(uは1〜4の整数である。)とその塩とのいずれかを示す。)
【0083】
一般式(3)において、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、RとRは特に同一のアルキル基であることが好ましい。
【0084】
一般式(4)において、rは1がであることが好ましく、またsは1〜6であることが好ましい。また、R11とR13は同一のアルキル基であることが好ましい。
【0085】
モノマー(C)のうち、一般式(3)で表されるビニルモノマーとして具体的には、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(イソプロピル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、好ましいものとしてはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、より好ましいものとしてはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0086】
また、モノマー(C)のうち、一般式(4)で表されるビニルモノマーとして具体的には、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、またはこれらの両性化物、またはこれらのアミンオキシド化物などが挙げられる。
【0087】
これらのモノマー(C)の中でも、毛髪化粧料として用いたときの全体的な感触のバランスから、モノマー(C)がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、またはこれらの両性化物、またはこれらのアミンオキシド化物、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミドを含むことが好ましい。
【0088】
本発明の共重合体は、1種類のモノマー(C)に相当する構成単位を含むものであってもよく、2種以上のモノマー(C)に相当する構成単位を含むものであってもよい。
【0089】
本発明の共重合体において、モノマー(C)に相当する構成単位の含有量は全体の0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは0〜30重量%であり、さらに好ましくは1〜25重量%である。モノマー(C)に相当する構成単位の含有量が上記下限値以上で上限値以下であると、本発明の共重合体の再整髪性が維持できるために好ましい。
【0090】
<ビニルモノマー(D)に相当する構成単位>
本発明の共重合体は、上記モノマー(A)、(B)に相当する構成単位に加えて、炭素数12〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(D)(以下、「モノマー(D)」と称する場合がある。)に相当する構成単位を含むことが好ましい。モノマー(D)に相当する構成単位を含むことにより、疎水基部分の疎水性が高まり、ポリオキシアルキレン部分の相分離を促進し、その結果として吸熱量が大きくなる。モノマー(D)が有するアルキル基の炭素数としては特に16〜20であることが好ましい。
【0091】
炭素数12〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(D)として、例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0092】
本発明の共重合体は、1種類のモノマー(D)に相当する構成単位を含むものであってもよく、2種以上のモノマー(D)に相当する構成単位を含むものであってもよい。
【0093】
本発明の共重合体において、モノマー(D)に相当する構成単位の含有量は全体の0〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。モノマー(D)に相当する構成単位の含有量が上記下限値以上であると、共重合体を化粧料用組成物として用いたときの水への配合性の観点から好ましく、また上記上限値以下であると、共重合体が疎水的な構造となることにより化粧料用組成物としたときの粘着性が向上するため好ましい。
【0094】
<その他のモノマーに相当する構成単位>
本発明の共重合体中には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに上記で挙げたモノマー以外のビニル系モノマー(以下、「モノマー(E)」と称する場合がある。)に相当する構造単位を含有させてもよい。
【0095】
モノマー(E)としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル;さらにはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル;(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのノニオン性モノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのアニオン系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライドなどのカチオン性基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル系4級アンモニウム塩;L−アルギニンとグリシジルメタクリレートの反応物等のアミノ酸系のカチオン性モノマー;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルアルコールのアルキルエーテル;スチレン、α−アルキルスチレン、ブタジエン、イソプレン、プロペン、塩化ビニル、アクリロニトリル、多官能(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0096】
本発明の共重合体は、1種類のモノマー(E)に相当する構成単位を含むものであってもよく、2種以上のモノマー(E)に相当する構成単位を含むものであってもよい。
【0097】
本発明の共重合体において、モノマー(E)に相当する構成単位の含有量は全体の0〜30重量%が好ましく、より好ましくは0〜25重量%である。
【0098】
<共重合体の製造方法>
本発明の共重合体の製造方法は特に制限されないが、例えば、それぞれの構成単位を与えるモノマーまたはその前駆体を混合し、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法により共重合させることにより製造することができる。
【0099】
重合反応は水および/または親水性溶媒中で行うのが好ましい。親水性溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらの水および/または親水性溶媒は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、アルコール系溶媒および/または水を用いることが好ましい。
【0100】
重合反応には重合開始剤を用いてもよく、重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プリピオンアミド)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸塩、またはそのレドックス系など、特に限定することなく用いることができる。
【0101】
重合開始剤は全モノマーに対して、0.01〜5重量%の範囲で用いることが好ましく、0.1〜3重量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0102】
重合反応は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃で通常1〜30時間行うことができる。重合終了後は、生成した共重合体を、溶媒留去、貧溶媒の添加など適宜の手段で反応液から単離するとよい。得られた共重合体はそのまま、またはさらに精製して本発明の化粧料用組成物の製造に用いることができる。精製は再沈澱、溶媒洗浄、膜分離など、適宜、公知の手段を必要に応じて選択し、組み合わせて行うことができる。
【0103】
本発明の共重合体としては、ランダム共重合体やブロック共重合体、グラフト共重合体など任意の構造とすることができ、特に限定されない。
【0104】
ランダム共重合体は、重合に用いる全モノマーを混合した状態に開始剤を添加して一度に反応させる方法や、モノマーの一部或いは全量を滴下しながら徐々に反応させる方法等により合成することができる。モノマー組成を変化させながら滴下して重合することも出来る。ブロック共重合体は、公知のラジカル開始剤または触媒などを利用して合成することができる。グラフト共重合体は、ビニル系官能基を有するマクロマーを利用する方法や、反応性官能基を有する重合体同士を反応させる方法等により合成することができる。
【0105】
なかでも、特別な工程を必要とせず安価な原料から合成することができるものが工業的な利用価値が高いので望ましく、通常の原料を利用し最も簡便に製造しうるランダム共重合体が最も好ましい。
【0106】
本発明の共重合体は、上記の方法で、水を含む連続相に本発明の共重合体を含む微粒子が、好ましくは体積平均粒子径10〜500nmで分散している水性分散体として得ることが好ましい。
【0107】
ここで、水を30重量%以上含む分散媒体の水以外の媒体としては、共重合体の製造に用いられる親水性溶媒として例示したものの1種または2種以上が挙げられ、この分散媒体の水含有量はより好ましくは40〜100重量%以上である。
なお、このようにして得られる水性分散体における水含有量、体積平均粒子径の好適範囲は、後述の通りである。
【0108】
2.化粧料用組成物
本発明の共重合体は、高いセット性と再整髪性を有し、さらに幅広い製剤の自由度を有するため、水系〜油系と幅広い連続相において、これを含む化粧料用組成物とすることができる。中でも、本発明の共重合体を含む微粒子が、水を30重量%以上含む連続相に分散している、化粧料用組成物とすることが特に好ましい。
【0109】
ここでいう微粒子とは、30重量%以上の水を含む連続相に対して1分子以上の共重合体分子により、共重合体中の疎水基部分の凝集力によって形成される微粒子のことをいい、特に球状、塊状などの形状については問わない。該微粒子は主として本発明の共重合体を含んでいればよく、1種の共重合体単独でも、2種以上の共重合体を併用していてもよい。
【0110】
また、本発明の共重合体を含む微粒子は、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明の共重合体以外の重合体の1種または2種以上を含んでいてもよい。このような重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、部分疎水化されたポリアクリル酸(アクリル酸とビニル系モノマーおよび/または(アルコキシ)ポリアルキレングリコールメタクリレートの共重合体など)や、アクリル酸および/またはビニル系モノマーの共重合体などのセット用樹脂などが挙げられる。微粒子中のこれらの含有量としては微粒子全体に対して0〜10重量%であることが好ましい。
【0111】
微粒子の製造方法については特に限定されず、例えば、良溶媒に溶解させておき貧溶媒で析出させる手法、溶媒に対する自己乳化による手法、また分散機などを利用する手法などが挙げられる。
【0112】
連続相に分散された微粒子の動的光散乱法で測定した体積平均粒子径は、10〜500nmであることが好ましい。体積平均粒子径は15nm以上であることがより好ましい。また、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。体積平均粒子径が上記下限値以上であるとセット性などの効果に優れ、上記上限値以下であると再整髪性などの効果に優れるため好ましい。この体積平均粒子径は、ビニルモノマー(A)におけるポリオキシアルキレン基の長さや量、共重合体を構成する構成単位(ビニルモノマー)の疎水性の高さ、量を変えるにより調整することができる。
【0113】
化粧料用組成物の連続相中の水の量は、30重量%以上が好ましく、より好ましくは40重量%以上である。水の量がこれ以上であると、共重合体が溶解してしまうことなく微粒子が形成されやすいので、セット性や再整髪性などの整髪効果に優れる傾向がある。また、連続相中の水の量は100重量%であってもよい。連続相中の水以外の成分としては、共重合体の製造に用いられる親水性溶媒として例示したものの1種または2種以上が挙げられる。
【0114】
本発明の化粧料用組成物に含まれる本発明の共重合体の量には特に制限はないが、0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%であることが好ましい。化粧料用組成物中の本発明の共重合体の含有量が上記下限値以上であることにより整髪性が発現し、上記上限値以下であることにより過剰なべたつき感が減少する。
【0115】
本発明の化粧料用組成物には、その効果を損なわない限り、本発明の共重合体に加えて、通常化粧料用組成物に配合することのできる成分を任意で添加することができる。
【0116】
化粧料用組成物に含有される他の成分は特に限定されず、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で配合することが可能である。係る成分としては下記のようなものが挙げられ、下記成分を適宜配合して化粧料用組成物を製造することができる。
【0117】
化粧料用組成物中に配合することのできる、その他の任意成分について以下に詳述する。ただし、以下に記載する各成分は「1.共重合体」で記載した本発明の共重合体は含まないものとする。
【0118】
<高分子>
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。
カチオン性高分子としては、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、カチオン変性ガラクトマンナン多糖類、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
アニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸およびその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体およびその塩、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/ステアレス20メタクリレート共重合体およびその塩、等)、メタクリル酸誘導体、クロトン酸誘導体等が挙げられる。
ノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。
両性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。
これらの高分子は、その1種または2種以上を化粧料用組成物中に0.1〜1重量%含有させることが好ましい。
【0119】
<界面活性剤>
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。
【0120】
アニオン界面活性剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩等の化粧料用組成物に常用されているものが挙げられる。これらのアニオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの1種または2種以上が挙げられる。
【0121】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略することがある)ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPと略することがある)アルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等の1種または2種以上が挙げられる。
【0122】
カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等)、アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
【0123】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α′−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
【0124】
これらの界面活性剤は、その1種または2種以上を化粧料用組成物中に5重量%以下の割合で含有させることができる。
【0125】
<油分>
油分としては、鎖状ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、三次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性シリコーン(アルキル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等)、直鎖アルコール(ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分岐鎖アルコール(モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)、炭化水素系油分(流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス)、エステル系油分(ホホバ油、カルナバワックス、オレイン酸オクチルドデシル)、トリグリセライド系油分(オリーブ油、牛脂、ヤシ油)、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸)等の1種または2種以上が挙げられる。
油分は、その1種または2種以上を、化粧料用組成物中に0.1〜20重量%含有させることが好ましい。
【0126】
<その他の成分>
その他の成分として、動植物の天然エキスおよびその誘導体、クエン酸、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウム等の無機塩、アミノ酸類(グルタミン酸またはその塩、アルギニンまたはその塩、グリシンなど)、可溶化剤(エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)、多価アルコール類(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール等)、糖類(ソルビトール、マルチトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、マンニトール、イノシトール等)、ヒアルロン酸等の高分子類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、香料、色剤、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、起泡増進剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
【0127】
3.毛髪化粧料
本発明の化粧料用組成物は、毛髪および皮膚に使用する任意の化粧料に用いられる。このような化粧料としては例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、染毛剤、パーマ剤、アウトバス用トリートメント、ヘアパック、ヘアワックス、ヘアスプレー、ヘアフォーム、スタイリング剤などの毛髪セット剤、ボディーシャンプー、メイククレンジング、ハンドソープ、乳液、化粧水、ローション、クリーム、美容液、日焼け止め、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドー、脱毛剤等を広く含むものである。また、その使用形態も、肌や毛髪等に塗布し全体によくなじませた後に洗い流す(すすぐ)ものや、洗い流さないもの等、いずれも含み得る。
【0128】
本発明の化粧料用組成物は、特にこれを含んでなる毛髪化粧料として好適である。毛髪化粧料としては、ローション、ミスト、スプレー、乳液、クリーム、ワッスク状など種々の形態を取ることができ、本発明の化粧料用組成物を配合した毛髪化粧料は、初期セット性に優れ、風などにより髪が乱れた場合、自在な再整髪が可能である。
【0129】
本発明の化粧料用組成物は、毛髪のべたつき感を抑えつつ、再アレンジ可能な再整髪性を有するような毛髪化粧料として特に好適であり、毛髪化粧料の中でもヘアワックスとして用いることが特に好ましい。
【実施例】
【0130】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0131】
[共重合体の製造]
<共重合体(1)の製造>
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管および撹拌装置を備えた反応器にエタノール100重量部と、表−1に示すモノマーを仕込み、反応器を窒素置換したのち84℃まで加熱した。ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.2重量部を反応器に投入後、84℃にて4時間加熱下攪拌した。その後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.3重量部を反応器に投入し、4時間攪拌する操作を2回行い、共重合体(1)を得た。
【0132】
<共重合体(2)〜(5)、共重合体(8)〜(10)の製造>
表−1に記載のモノマーを用いたこと以外は共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(2)〜(5)、共重合体(8)〜(10)を製造した。
【0133】
<共重合体(6)の製造>
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管および撹拌装置を備えた反応器にエタノール87.2重量部、表−1に示すモノマーを仕込み、反応器を窒素置換したのち84℃まで加熱した。ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.2重量部を反応器に投入後、84℃にて3時間加熱下攪拌した。その後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.3重量部を反応器に投入し、3時間攪拌する操作をさらに2回行った。その後、反応器を75℃とし、過酸化水素6.2gを投入後して3時間攪拌し、反応器の温度を80℃にしてさらに10時間攪拌することによって、共重合体(6)を得た。
【0134】
<共重合体(7)の製造>
表−1に記載のモノマーを用いたこと以外は共重合体(6)の製造と同様にして共重合体(7)を製造した。
【0135】
[共重合体の物性測定]
上記で得られた共重合体(1)〜(10)について、以下の物性の測定を行い、結果を表−1に示した
【0136】
<吸熱開始点・吸熱量>
セイコーインストルメンツ社製「DSC−7」を用いて熱量測定を行った。十分に乾燥した共重合体サンプル10mgをサンプルセルに入れて密閉し、下記温度サイクルにおいて、2回目の昇温時に低温からの熱挙動を測定・記録し、吸熱ピークの開始温度および吸熱量を測定した。
温度サイクル:室温→−100℃(50℃/分で降温)→−100℃で10分保持→100℃(10℃/分で昇温)→100℃で5分保持→−100℃(10℃/分で降温)→−100℃で5分保持→100℃(10℃/分で昇温)
【0137】
<水溶解性>
十分に乾燥した共重合体サンプル0.1gに対して水を9.9g添加し、スターラーで十分に攪拌した。共重合体サンプルが、溶解しない場合、加熱(90℃)・攪拌、冷却・攪拌を2回繰り返し、さらに溶解しない場合は超音波処理(超音波洗浄器、5分)・攪拌を行った。これらの操作を行った後、30℃未満に放冷し、目視で確認できる不溶物の確認を行った。目視で確認できる不溶物が存在しない場合は、粒度分布をマイクロトラック社製ナノトラック150を用いた動的光散乱測定、あるいはマイクロトラック社製ASVRを用いた粒度分布測定を実施して体積平均粒子径を測定し、下記評価基準にて評価を実施した。
○(30℃未満の水に溶解する) :サンプルに視認できる不溶物が存在しないか、
或いは不溶物の体積平均粒子径が50μm未満
×(30℃未満の水に溶解しない):サンプルに視認できる不溶物が存在するか、
或いは不溶物の体積平均粒子径が50μm以上
【0138】
<重量平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置: 東ソー株式会社製、SC8010, SD8022,RI8020,CO8011,PS8010、カラム:東ソー株式会社製TSK GEL G6600H)、展開溶媒:テトラヒドロフラン)を用いて、ポリエチレングリコールを標準物質として重量平均分子量を求めた。
【0139】
[化粧料用組成物の調製]
共重合体(1)〜(10)は固形分20重量%までエタノールで希釈して、その後攪拌した所定量の水に凝集を防ぐためにゆっくり滴下し、さらにエタノールで所定濃度まで調整することによって表−2に示す組成の化粧料用組成物を調製した。
【0140】
[化粧料用組成物の評価]
上記で得られた化粧料用組成物について以下の評価を行って、結果を表−3に示した。表−3には、マイクロトラック社製ナノトラック150を用いた動的光散乱法で測定した各化粧料用組成物中の共重合体の微粒子の体積平均粒子径を併記した。
【0141】
<初期整髪性>
5名の評価パネラーによって、各実施例および比較例で得られた化粧料用組成物の使用テストを行い、毛髪へのサンプル塗布時のセット性(初期整髪性)を下記の評価点基準に基いて評価した。次いで、各人がつけた評価点の平均点を算出し、下記評価基準に基いて評価した。
(評価点基準)
5点:非常にセットしやすい
4点:セットしやすい
3点:普通
2点:セットしにくい
1点:非常にセットしにくい
(評価基準)
4:平均点が4点以上である
3:平均点が3点以上4点未満である
2:平均点が2点以上3点未満である
1:平均点が1点以上2点未満である
【0142】
<再整髪性>
5名の評価パネラーによって、各実施例および比較例で得られた化粧料用組成物の使用テストを行い、毛髪へのサンプル塗布から3時間後に髪を乱し、再びセットしたときのセット性(再整髪性)を下記の評価点基準に基いて評価した。次いで、各人がつけた評価点の平均点を算出し、下記評価基準に基いて評価した。
(評価点基準)
5点:非常にセットしやすい
4点:セットしやすい
3点:普通
2点:セットしにくい
1点:非常にセットしにくい。
(評価基準)
4:平均点が4点以上である
3:平均手が3点以上4点未満である
2:平均点が2点以上3点未満である
1:平均点が1点以上2点未満である
【0143】
<毛先のまとまり感>
長さ15cm、幅3cm、重さ3gの人毛(ビューラックス社製)に、各実施例および比較例で得られた化粧料用組成物を0.3g塗布し、50℃で1時間乾燥させた後、23℃、湿度60%の恒温恒湿室に1時間以上放置して毛先サンプルを準備した。毛先に対して、櫛を60回通した後、毛先の形を手で整えたときの毛先のまとまり具感(まとまり具合)を目視にて下記評価基準に基いて評価した。
(評価基準)
4:良くまとまる
3:まとまる
2:あまりまとまらない
1:全くまとまらない
【0144】
<毛先のまとまり維持感>
長さ15cm、幅3cm、重さ3gの人毛(ビューラックス社製)に、各実施例および比較例で得られたサンプル試料を0.3g塗布し、50℃で1時間乾燥させた後、23℃、湿度60%の恒温恒湿室に1時間以上放置して毛先サンプルを準備した。毛先に対して、櫛を60回通した後、毛先の形を手で整え、続いて毛先の根元を持ち3回毛先を強く振った後の毛先のまとまり感の維持性を目視にて下記評価基準に基いて評価した。
(評価基準)
4:良くまとまりを維持している
3:まとまりを維持している
2:あまりまとまりを維持していない
1:全くまとまりを維持していない
【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
【表3】

【0148】
[結果の評価]
(1)実施例1〜7の化粧料用組成物は、初期整髪製、再整髪製、毛先のまとまり感、毛先のまとまり維持感が良好であった。なお、モノマー(C)を配合した共重合体を含む実施例4〜7は、毛先のまとまり感が特に良好であった。
(2)比較例1の化粧料用組成物は、吸熱ピークを持たない共重合体を使用したものであるが、再整髪性に劣り、また毛先のまとまり感、毛先のまとまり維持感で劣っていた。
(3)比較例2の化粧料用組成物は、モノマー(A)に該当するモノマーを配合しない共重合体を使用したものであるが、初期整髪性および再整髪性に劣り、また毛先のまとまり感、毛先のまとまり維持感で劣っていた。
(4)比較例3の化粧料用組成物は、水への溶解性が高い共重合体を使用したものであるが、整髪性に劣り、また毛先のまとまり感、毛先のまとまり維持感で劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(A)に相当する構成単位と下記一般式(2)で表されるビニルモノマー(B)に相当する構成単位とを含んでなる共重合体であって、30℃未満の水に溶解せず、低温から昇温する際に−25℃〜40℃の間に吸熱開始点を有することを特徴とする共重合体。
【化1】

(一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。mは1〜100を満たす整数を示す。)
【化2】

(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ0または1の整数を示し、p+q=1である。)
【請求項2】
さらに、下記一般式(3)で表されるモノマーおよび/または下記一般式(4)で表されるモノマーであるビニルモノマー(C)に相当する構成単位を含む、請求項1に記載の共重合体。
【化3】

(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【化4】

(一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。rは0または1であり、sは1〜4を満たす整数である。Xは下記一般式(5)〜(7)のいずれか1つを示す。)
【化5】

(一般式(5)〜(7)中、R10およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、一般式(6)におけるR12は炭素数1〜4のアルキル基、または−(CH−COO(uは1〜4の整数である。)とその塩とのいずれかを示す。)
【請求項3】
共重合体全体に対して、ビニルモノマー(A)〜(C)のそれぞれに相当する構成単位を、以下の割合で含む、請求項2に記載の共重合体。
ビニルモノマー(A): 30〜80重量%
ビニルモノマー(B): 20〜70重量%
ビニルモノマー(C): 0.1〜50重量%
【請求項4】
ビニルモノマー(B)を表す一般式(2)において、p=1である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項5】
さらに、炭素数12〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(D)に相当する構成単位を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項6】
重量平均分子量が、5,000以上2,000,000以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の共重合体を含む微粒子が、水を含む連続相に分散していることを特徴とする水性分散体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の共重合体を含む微粒子が、体積平均粒子径10〜500nmで分散している、請求項7に記載の水性分散体。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の共重合体を含むことを特徴とする化粧料用組成物。

【公開番号】特開2012−97160(P2012−97160A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244382(P2010−244382)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】