説明

共重合体の製造方法

【課題】ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を形成するための材料である共重合体を得る共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】重合可能な温度に昇温した溶媒に、所定の単量体(A)を含有する第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤とを、それぞれ滴下しながら重合反応を行い、重合体溶液を得る工程と、得られた重合体溶液に、酸性の官能基を有する単量体(B)を含有する第二の単量体溶液を滴下して、液浸露光用の上層膜を形成するための材料として使用される共重合体を含有する共重合体溶液を得る工程と、を有する共重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を形成するための材料である共重合体を得ることができる共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等を製造するに際し、ステッパー型、またはステップアンドスキャン方式の投影露光装置が使用されている。この投影露光装置は、投影光学系によってフォトマスク(レチクル)のパターンをフォトレジストに転写するものである。
【0003】
近年、集積回路の微細化に伴い、投影光学系の高い解像度が求められている。そして、投影光学系の解像度は、使用する光の波長(露光波長)が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そこで、露光波長は、短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。
【0004】
また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度も重要となる。ここで、解像度R、及び焦点深度δは、それぞれ以下の式(i)、(ii)で表すことができる。式(i)、(ii)から分かるように、同じ解像度Rを得る場合には、短い波長を有する放射線を用いた方が大きな焦点深度δを得ることができる。なお、λは露光波長であり、NAは投影光学系の開口数であり、k1、k2はプロセス係数である。
R=k1・λ/NA (i)
δ=k2・λ/NA (ii)
【0005】
また、従来の投影露光装置では、投影光学系(レンズ)とフォトレジストとの間の空間は空気または窒素で満たされていたが、この空間が屈折率nの媒体で満たされた場合、上記解像度R、焦点深度δは、以下の式(iii)、(iv)で表すことができる。
R=k1・(λ/n)NA (iii)
δ=k2・nλ/NA (iv)
【0006】
例えば、ArFプロセスで、上記媒体として水を使用する場合、波長193nmの光の水中での屈折率nは、1.44である。そして、空気または窒素を媒体とする場合と比較すると、解像度Rは69.4%(R=k1・(λ/1.44)NA)、焦点深度は144%(δ=k2・1.44λ/NA)となる。
【0007】
このように光(例えば、放射線)の波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光方法を液浸露光という。この液浸露光は、リソグラフィの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィにおいて必須の技術であり、その投影露光装置が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
上記液浸露光方法においては、ウェハ上に塗布・形成されたフォトレジストと投影露光装置のレンズは、それぞれ媒体(液浸媒体)と接触することになる。そのため、フォトレジストに液浸媒体が浸透し、フォトレジストの解像度が低下するという問題があった。即ち、フォトレジストは、一般的にシリコン基板に密着させるものであるため、フォトレジストを形成するための樹脂に極性基を導入することが通常であるが、この極性基を導入することによって、フォトレジストは水などに膨潤する性質を有している。従って、液浸媒体として、水を用いた場合には、上記問題が顕著であった。このような問題を防止するため、フォトレジスト上に、水などに抵抗性のある保護膜(液浸露光用上層膜)を配置することが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平11−176727号公報
【特許文献2】特開2006−047351号公報
【特許文献3】特開2006−064711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2、3に記載された保護膜を用いると、液浸露光時に介在する水(液浸媒体)が保護膜上に残留することに起因して、レジストパターン上に液滴痕が残る欠陥(以下、「ウォーターマーク欠陥」と記す。)や、レジストパターン上に微小な溶け残りが生じるという欠陥(以下、「溶け残り欠陥」と記す。)が発生するという問題があった。このように、特許文献2、3に記載された保護膜は、ウォーターマーク欠陥や、溶け残り欠陥が発生する場合があるため、未だ十分に満足できるものではなく、ウォーターマーク欠陥や、溶け残り欠陥を発生させ難い保護膜、特に、この保護膜の材料として用いることのできる共重合体の開発が切望されていた。
【0011】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥を発生させ難い共重合体を得ることができる共重合体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥の原因の一つとして、保護膜を形成するための材料である共重合体溶液中に、この共重合体の製造工程に由来する副産物(例えば、低分子オリゴマー、残留モノマー、超高分子量体重合体など)が存在すること、及び、共重合体に導入されるアルカリ可溶性単量体の導入量にばらつきがあること、即ち、共重合体の分子量分布が広いことが問題であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明により、以下の共重合体の製造方法が提供される。
【0014】
[1] 重合可能な温度に昇温した溶媒に、下記一般式(1)で表される単量体(A)を含有する第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤とを、それぞれ滴下しながら重合反応を行い、重合体溶液を得る工程と、得られた前記重合体溶液に、酸性の官能基を有する単量体(B)を含有する第二の単量体溶液を滴下して、液浸露光用の上層膜を形成するための材料として使用される共重合体を含有する共重合体溶液を得る工程と、を有する共重合体の製造方法。
【0015】
【化1】

(但し、前記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、またはフェニル基を表し、Aは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜20の2価の有機基を表し、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、Rは、パーフルオロアルキル基を表す。)
【0016】
[2] 前記共重合体の重量平均分子量が、2,000〜100,000である前記[1]に記載の共重合体の製造方法。
【0017】
[3] 前記共重合体の分子量分布の値が、1.1〜2.5である前記[1]または[2]に記載の共重合体の製造方法。
【0018】
[4] 前記共重合体は、50〜110℃、1〜10時間の条件で前記重合反応を行って得られるものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の共重合体の製造方法は、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を形成するための材料である共重合体を得ることができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0021】
[1]共重合体の製造方法:
本発明の共重合体の製造方法の一実施形態は、重合可能な温度に昇温した溶媒に、下記一般式(1)で表される単量体(A)(以下、単に「単量体(A)」と記す場合がある。)を含有する第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤とを、それぞれ滴下しながら重合反応を行い、重合体溶液を得る工程(以下、「第一の重合工程」と記す場合がある。)と、得られた前記重合体溶液に、酸性の官能基を有する単量体(B)を含有する第二の単量体溶液を滴下して、液浸露光用の上層膜を形成するための材料として使用される共重合体を含有する共重合体溶液を得る工程(以下、「第二の重合工程」と記す場合がある。)と、を有するものである。このような共重合体の製造方法は、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を形成するための材料である共重合体を得ることができる。
【0022】
【化2】

(但し、前記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、またはフェニル基を表し、Aは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜20の2価の有機基を表し、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、Rは、パーフルオロアルキル基を表す。)
【0023】
[1−1]第一の重合工程:
本実施形態の共重合体の製造方法は、まず、重合可能な温度に昇温した溶媒に、上記一般式(1)で表される単量体(A)を含有する第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤とを、それぞれ滴下しながら重合反応を行い、重合体溶液を得る工程を行う。本工程は、第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤(ラジカル重合開始剤溶液)とをそれぞれ別個に滴下するものであるため、単量体(A)とラジカル重合開始剤とを混合溶液にした後、反応系内(溶媒内)に滴下する場合と比較して、例えば、低分子オリゴマー、残留モノマー、超高分子量体重合体などの、欠陥を誘発する有機物(副産物)の生成が少ないという利点がある。
【0024】
即ち、単量体(A)とラジカル重合開始剤とを混合すると、この混合溶液が滴下されるまでの間または滴下されている間に、単量体(A)がラジカル重合開始剤によって重合反応を開始してしまうため、欠陥を誘発する有機物が生成するという問題がある。そして、この有機物は、液浸リソグラフィ工程において、形成されるレジストパターン表面に欠陥(例えば、ウォーターマーク欠陥や溶け残り欠陥)を生じる原因になっている。本実施形態の共重合体の製造方法は、このような有機物の生成を防止することができる。
【0025】
本工程に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;
【0026】
エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のエステル類などを挙げることができる。
【0027】
これらの中でも、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類が好ましい。なお、これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
溶媒の温度は、適宜設定することができるが、50〜150℃であることが好ましく、55〜140℃であることが更に好ましく、60〜120℃であることが特に好ましい。
【0029】
一般式(1)で表される単量体(A)における、R、R、またはRの炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを挙げることができる。これらの中でも、Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましく、R、Rは、それぞれ水素原子であることが好ましい。
【0030】
一般式(1)で表される単量体(A)における、Bの炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基若しくは1,2−プロピレン基などのプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、または、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、
【0031】
1,3−シクロブチレン基などのシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基などのシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基などのシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基などの単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基若しくは2,5−ノルボルニレン基などのノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基などのアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜20の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基等が挙げられる。
【0032】
なお、Bが2価の脂肪族環状炭化水素基であるときは、ビスパーフルオロアルキル−ヒドロキシ−メチル基とこの脂肪族環状炭化水素基との間にスペーサーとして炭素数1〜4のアルキレン基を挿入することが好ましい。
【0033】
一般式(1)中の、Aはカルボニルオキシ基であることが好ましく、Bは2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基を含む炭化水素基、または1,2−プロピレン基であることが好ましい。
【0034】
一般式(1)中のRは、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基などを挙げることができる。
【0035】
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1,3−プロピル基若しくは1,2−プロピル基などのプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、インサル基、1−メチル−1,3−プロピル基、2−メチル−1,3−プロピル基、2−メチル−1,2−プロピル基、1−メチル−1,4−ブチル基、2−メチル−1,4−ブチル基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、または、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基;フェニル基、トリル基等のアリル基;
【0036】
1,3−シクロブチル基などのシクロブチル基、1,3−シクロペンチル基などのシクロペンチル基、1,4−シクロヘキシル基などのシクロヘキシル基、1,5−シクロオクチル基などのシクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基などの単環式炭化水素環基;1,4−ノルボルニル基若しくは2,5−ノルボルニル基などのノルボルニル基、1,5−アダマンチル基、2,6−アダマンチル基などのアダマンチル基等の2〜4環式炭素数4〜20の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの炭素数1〜10のポリアルキレングリコールより誘導される1価の基等を挙げることができる。
【0037】
炭素数1〜20のフルオロアルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、パーフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、パーフルオロエチルメチル基、パーフルオロプロピル基、1−トリフルオロメチル−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジメチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1−ジメチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基、1,1−ジメチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル基、1,1−ジメチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、パーフルオロペンチルメチル基、パーフルオロヘキシル基、
【0038】
1,1−ジメチル−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、1,1−ジメチル−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、2−(パーフルオロペンチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘプチル基、パーフルオロヘキシルメチル基、パーフルオロヘプチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−テトラデカフルオロオクチル基、パーフルオロヘプチルメチル基、パーフルオロオクチル基、2−(パーフルオロヘプチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘキサデカフルオロノニル基、パーフルオロオクチルメチル基、パーフルオロノニル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−オクタデカフルオロデシル基、パーフルオロノニルメチル基、パーフルオロデシル基、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリドデカフルオロオクチル基などを挙げることができる。
【0039】
これらの中でも、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を良好に形成することができるため、メチル基、エチル基、イソプロピル基、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロエチル基が好ましい。
【0040】
一般式(1)中のRは、パーフルオロアルキル基を表し、パーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロエチルメチル基、パーフルオロプロピル基、1−トリフルオロメチル−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、1,1−ビストリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロペンチルメチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘキシルメチル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロヘプチルメチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロオクチルメチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基などを挙げることができる。
【0041】
これらの中でも、液浸露光用上層膜に要求される水などの液浸溶媒に対する撥水性を良好に確保することができるため、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、1−トリフルオロメチル−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基が好ましい。
【0042】
単量体(A)に由来する繰り返し単位の含有割合は、共重合体の全繰り返し単位に対して、30〜99.7モル%であることが好ましく、40〜99.5モル%であることが更に好ましい。上記含有割合が30モル%未満であると、側鎖のフッ素基に由来する撥水性が低下して、樹脂組成物中の一部が液浸露光用溶媒へ溶出して、投影露光装置のレンズ表面を汚染するおそれがある。一方、99.7モル%超であると、得られる共重合体の、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、現像ができなくなるおそれがある。
【0043】
なお、単量体(A)を滴下する条件は、適宜設定することができる。
【0044】
第一の単量体溶液は、一般式(1)で表される単量体(A)以外に、その他の単量体を含有することができる。
【0045】
その他の単量体としては、ラジカル重合性を有する単量体であれば特に制限はなく、適宜選択して用いることができる。これらの中でも、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を良好に形成することができるという観点、即ち、これらの欠陥の原因となる有機物を更に発生し難いという観点から、アクリル酸、メタアクリル酸やこれらのエステルモノマー、一般的なビニルモノマーを用いることができる。第一の単量体溶液中のその他の単量体の含有割合は、単量体(A)100質量部に対して、0〜50質量部であることが好ましく、0〜40質量部であることが更に好ましく、0〜30質量部であることが特に好ましい。
【0046】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート等の有機過酸化物等を挙げることができる。なお、これらは1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0047】
また、本工程においては、適宜、連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、4,4−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシ−1−メルカプトブタン等のチオール化合物などを挙げることができる。なお、これらは1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0048】
ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤の使用量は、重合反応に用いるモノマーや重合開始剤、連鎖移動剤の種類、重合温度、重合反応溶媒、重合方法、精製条件等の製造条件により適宜設定することができる。
【0049】
ラジカル重合開始剤を滴下する条件は、適宜設定することができるが、10分〜8時間かけて任意の量を滴下することが好ましい。
【0050】
本実施形態の共重合体の製造方法は、第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤を、それぞれ滴下しながら重合反応を行うものである。具体的には、第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤溶液は、個別のタンク内にそれぞれ貯留し、重合反応に際し、各タンクから適宜滴下させる。このように個別のタンク内に貯留すること、即ち、第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤とを予め混合させておかないことによって、重合反応前に副産物が生成してしまうことを防止することができる。
【0051】
本工程の重合反応を行うための装置としては、例えば、第一の単量体溶液を貯留し、排出口を有する単量体用タンクと、ラジカル重合開始剤を貯留し、排出口を有する開始剤用タンクと、予め溶媒が投入され、投入口を有する重合反応タンクと、を備えるものを挙げることができる。そして、上記装置は、単量体用タンクの排出口に接続され、その先端が重合反応タンクの投入口の上方に位置するように配置された第一配管と、開始剤用タンクの排出口に接続され、その先端が重合反応タンクの投入口の上方に位置するように配置された第二配管と、を更に備え、第一配管及び第二配管の途中には、それぞれ、送液ポンプ、開閉バルブが配設されているものである。また、重合反応タンクは、その内部の溶媒を昇温し、反応温度を制御することが可能なヒーターを有する調温器を備えているものである。
【0052】
本工程の重合反応の条件は、従来公知の条件を採用することができるが、50〜110℃で1〜10時間重合させることが好ましく、55〜110℃で1〜8時間であることが更に好ましく、60〜110℃で1〜6時間であることが特に好ましい。
【0053】
[1−2]第二の重合工程:
次に、本実施形態の共重合体の製造方法は、得られた重合体溶液に、酸性の官能基を有する単量体(B)を含有する第二の単量体溶液を滴下して、液浸露光用の上層膜を形成するための材料として使用される共重合体を含有する共重合体溶液を得る工程を行う。第一の重合工程の後に、本工程を行うことによって、単量体(B)を、第一の重合工程で得られた重合体溶液中の重合体の末端にのみ付加させることができるとともに、付加させる単量体(B)の分子数を、一定分子数に調節することができる。
【0054】
このような第二の重合工程を行わない場合、即ち、酸性の官能基を有するアクリル、(メタ)アクリル、またはビニル化合物の単量体などの単量体(B)を、単量体(A)の存在下で重合させた場合、得られる共重合体中の単量体組成比率を制御することは困難である。また、所望の分子量と分子量分布とを有する共重合体を得ることも困難である。このような理由により、上記第二の重合工程を行うことは有効である。
【0055】
このように第一の重合工程及び第二の重合工程を行うと、共重合体の一次構造の制御と単量体(B)の導入量の制御とが可能になる。別言すると、共重合体に導入する単量体(B)の量を良好に調整することができるため、共重合体中の単量体(A)に由来する繰り返し単位及び単量体(B)に由来する繰り返し単位の含有割合を適切に制御することができる。従って、分子量分布が狭く、重合度が均一化された共重合体を得ることができる。そして、この共重合体を材料に用いると、液浸露光時に液浸媒体に溶出し難く、安定であるとともに、現像液であるアルカリ溶液に容易に溶解可能な上層膜を形成することができる。従って、第一の重合工程によって副産物の生成を防止可能であること、及び、共重合体の分子量分布が狭く、重合度が均一化されたものであることが相俟って、ウォーターマーク欠陥等の液浸露光プロセス由来の欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
【0056】
第二の単量体溶液が含有する酸性の官能基を有する単量体(B)は、ラジカル重合が可能である限り特に制限がないが、下記一般式(2)、一般式(3)で表される化合物が好ましい。これらの化合物を用いることによって、アルカリ現像液に対して良好な溶解性を発現するため、レジストパターン上に欠陥が発生し難くなるという利点がある。
【0057】
【化3】

(但し、上記一般式(2)及び(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Xは単結合、メチレン基、または炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Yは単結合、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキレン基、アミド結合を有する炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または芳香族炭化水素化合物を表す。)
【0058】
単量体(B)は、具体的には、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、4−ビニル−1−ベンゼンスルホン酸が好ましい。これらの化合物を用いることによって、液浸溶媒に対する不溶解性の制御が可能であり、欠陥が発生し難くなるなどの利点がある。
【0059】
単量体(B)に由来する繰り返し単位の含有割合は、共重合体の全繰り返し単位に対して、0.1〜50モル%であることが好ましく、0.5〜40モル%であることが更に好ましく、1〜35モル%であることが特に好ましい。上記含有割合が0.1モル%未満であると、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、現像できなくなるおそれがある。一方、50モル%超であると、アルカリ現像液に対する溶解性が極端に高くなり、形成した上層膜の一部が液浸露光用の溶媒に溶出する場合があるため、投影露光装置のレンズ表面を汚染する等の不具合が発生するおそれがある。
【0060】
共重合体の重量平均分子量は、2,000〜100,000であることが好ましく、3,000〜80,000であることが更に好ましく、4,000〜7,000であることが特に好ましい。上記重量平均分子量が2,000未満であると、上層膜を形成した場合、形成される上層膜の耐水性及び機械的特性が著しく低くなるおそれがある。一方、100,000超であると、アルカリ現像液に対する溶解性が著しく悪くなるおそれがある。なお、本明細書において「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算による値である。
【0061】
共重合体の分子量分布の値は、1.1〜2.5であることが好ましく、1.2〜2.3であることが更に好ましく、1.3〜2.3であることが特に好ましい。上記分子量分布の値が1.1未満とすることは、現在の技術では難しい。一方、2.5超であると、ウォーターマーク欠陥が発生する可能性が高くなるおそれがある。なお、未反応モノマー成分、オリゴマー成分、及び超高分子量体重合物などが存在すると分子量分布は広くなる(分子量分布の値は大きくなる)ため、分子量分布は狭い(分子量分布の値は1に近い)方が好ましいが、上述したように、通常のラジカル重合反応において1.1より小さくすることは技術的に困難である。
【0062】
ここで、分子量分布の値は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)により算出される値である。なお、本明細書において「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によってポリスチレンを標準物質に用いて測定される値である。
【0063】
[1−3]その他の工程:
本実施形態の共重合体の製造方法は、上述した第一の重合工程及び第二の重合工程以外に、ハロゲン、金属等の不純物を除去して精製する精製工程や、共重合体溶液を乾燥させて、乾燥した共重合体を得る乾燥工程を行うことができる。
【0064】
精製工程としては、具体的には、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。精製工程を行うことによって、ハロゲン、金属等の不純物の含有量を低減することができる。不純物を少なくすることにより、塗布性及びアルカリ現像液に対する均一な溶解性を向上させることができる。
【0065】
このようにして得られる共重合体(本実施形態の共重合体の製造方法によって得られる共重合体)は、液浸露光用の上層膜を形成するための材料として使用されるものである。液浸露光用の上層膜とは、半導体素子等の製造に際して用いられるものであって、フォトレジストパターンが形成されるフォトレジスト膜上に配置され、液浸媒体からフォトレジスト膜を保護するための膜のことである。
【0066】
本実施形態の共重合体の製造方法によって得られる共重合体を材料として、フォトレジストパターンを形成するための方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができるが、上記共重合体を含有する上層膜形成用組成物の効果を最大限に発揮するためには、以下に示す方法を採用することが好ましい。
【0067】
[2]フォトレジストパターン形成方法:
上述したように、上記共重合体を含有する上層膜形成用組成物の効果を最大限に発揮するためのフォトレジストパターンの形成方法としては、(1)基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」と記す場合がある。)と、(2)このフォトレジスト膜の表面上に、本実施形態の共重合体の製造方法によって得られた共重合体を含有する液浸露光用組成物を塗布して上層膜を形成する工程(以下、「工程(2)」と記す場合がある。)と、(3)この上層膜と投影露光装置のレンズとの間に液浸媒体を配置し、上記液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介して上記上層膜及びフォトレジスト膜に露光光を照射した後、現像することによってフォトレジスト膜にフォトレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(3)」と記す場合がある。)と、を有する方法が好ましい。
【0068】
このような方法によれば、短い露光波長、特に248nm(KrF)及び193nm(ArF)に対する十分な透過性を有し、フォトレジスト膜と殆どインターミキシングを起こすことのない上層膜をフォトレジスト膜上に形成することができるとともに、液浸露光の際に、水等の液浸媒体に極めて溶出し難く安定な被膜を維持することができるため、高解像度のレジストパターンを形成することができる。
【0069】
[2−1]工程(1):
まず、工程(1)は、基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程である。基板としては、通常、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆したシリコンウェハ等が用いられる。この基板の表面には、フォトレジスト膜の特性を最大限に引き出すため、予め、有機系または無機系の反射防止膜を形成してもよい(例えば、特公平6−12452号公報等を参照)。
【0070】
フォトレジスト組成物としては、従来公知のものを適宜選択することができるが、例えば、酸発生剤を含有する化学増幅型のレジスト材料、特に、ポジ型レジスト材料を用いることが好ましい。
【0071】
化学増幅型のポジ型レジスト材料としては、例えば、酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性酸発生剤とを必須成分として含有する感放射線性の樹脂組成物等を挙げることができる。このような樹脂組成物は、放射線照射(即ち、露光)により酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸の作用によって、樹脂の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基が解離して、酸性基が露出するものである。そして、酸性基が露出することにより、レジストの露光部のアルカリ溶解性が高くなり、その露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去すると、ポジ型のレジストパターンを得ることができる。
【0072】
また、フォトレジスト組成物が、酸解離性基を含有する樹脂と酸発生剤とを含むものである場合、上記樹脂は、酸解離性基を含む繰り返し単位を含有し、この繰り返し単位が、樹脂の全繰り返し単位に対して、40〜60モル%含まれるものであることが好ましい。この繰り返し単位が40モル%未満であると、レジストとしての解像度が劣化するおそれがある。一方、この繰り返し単位が60モル%超であると、上層膜剥離後のレジスト膜厚が極度に減少するおそれがある。
【0073】
樹脂としては、例えば、下記一般式(M−1)で表される繰り返し単位(M−1)、下記一般式(M−2)で表される繰り返し単位(M−2)、及び下記一般式(M−3)で表される繰り返し単位(M−3)を含有する樹脂、下記一般式(M−1)で表される繰り返し単位(M−1)、下記一般式(M−2)で表される繰り返し単位(M−2)、及び下記一般式(M−4)で表される繰り返し単位(M−4)を含有する樹脂、下記一般式(M−1)で表される繰り返し単位(M−1)、下記一般式(M−3)で表される繰り返し単位(M−3)、及び下記一般式(M−5)で表される繰り返し単位(M−5)を含有する樹脂等を挙げることができる。
【0074】
【化4】

【0075】
酸発生剤は、放射線照射(露光)により酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸の作用によって、樹脂の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基が解離して、酸性基が露出するものである。
【0076】
このような酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル・ジフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等を挙げることができる。なお、これらの酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
フォトレジスト組成物は、溶剤を加えた後、その全固形分濃度が0.2〜20質量%となるように調整し、孔径30nm程度のフィルターでろ過することにより塗工液とすることができる。なお、この塗工液は、自ら調製してもよいし、市販のレジスト溶液を塗工液として使用してもよい。
【0078】
フォトレジスト膜は、塗工液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の従来公知の塗布方法を用いて基板上に塗布することによって形成することができる。なお、フォトレジスト膜を形成する際に、溶媒を揮発させるために予備焼成(以下、「PB」ともいう)を行ってもよい。
【0079】
[2−2]工程(2):
次に、工程(2)は、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜の表面上に、本実施形態の共重合体の製造方法によって得られた共重合体を含有する液浸露光用組成物を塗布して上層膜を形成する工程である。このように上層膜を形成することによって、液浸露光の際に液浸媒体がフォトレジスト膜と直接接触することを防止することができる。そのため、液浸媒体が浸透することに起因してフォトレジスト膜のリソグラフィ性能が低下したり、フォトレジスト膜から溶出する成分により投影露光装置のレンズが汚染されたりする事態を効果的に防止することができる。
【0080】
液浸露光用組成物には、本実施形態の共重合体の製造方法によって得られた共重合体以外に、溶剤を含有させることができる。溶剤は、共重合体を溶解するものであり、フォトレジスト膜上に塗布する際に、フォトレジスト膜とインターミキシングを発生する等の、フォトリソグラフィ性能を劣化させることが殆どないものを好適に使用することができる。
【0081】
溶剤としては、例えば、1価アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、環状エーテル類、高級炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、水等を挙げることができる。
【0082】
1価アルコール類としては、例えば、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール等の炭素数4〜10の1価アルコールなどを挙げることができる。
【0083】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0084】
多価アルコールのアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
【0085】
多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類としては、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0086】
エーテル類としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0087】
環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。高級炭化水素類としては、例えば、デカン、ドデカン、ウンデカン等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0088】
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
【0089】
エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0090】
これらの溶剤の中でも、1価アルコール類、エーテル類、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、高級炭化水素類が好ましい。特に、上記炭素数4〜10のアルコール、及び/または炭素数4〜10のアルキル鎖を有するアルキルエーテルを含有するものが好ましい。
【0091】
液浸露光用組成物の固形分濃度は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることが更に好ましく、0.1〜20質量%であることが特に好ましい。
【0092】
上層膜の厚さは、フォトレジスト膜の上側界面における反射抑制効果が大きくなるため、λ/4m(但し、λ:放射線の波長、m:保護膜の屈折率)の奇数倍にできる限り近づけることが好ましい。
【0093】
[2−3]工程(3):
次に、工程(3)は、工程(2)で形成した上層膜と投影露光装置のレンズとの間に液浸媒体を配置し、液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介して上層膜及びフォトレジスト膜に露光光を照射した後、現像することによってフォトレジスト膜にフォトレジストパターンを形成する工程である。
【0094】
液浸媒体としては、通常、空気より屈折率の高い液体が使用される。具体的には、水を用いることが好ましく、純水を用いることが更に好ましい。なお、必要に応じて液浸媒体のpHを調整してもよい。
【0095】
液浸露光の際には、液浸媒体を介在させた状態で(即ち、露光装置のレンズとフォトレジスト膜との間に液浸媒体を満たした状態で)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、フォトレジスト膜を露光させる。
【0096】
液浸露光の際に使用することができる放射線は、使用されるフォトレジスト膜や上層膜の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を用いることができる。これらの中でも、ArFエキシマレーザ(波長193nm)またはKrFエキシマレーザ(波長248nm)を用いることが好ましい。放射線量等の露光条件は、フォトレジスト組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0097】
フォトレジスト膜の解像度、パターン形状、及び現像性等を向上させるために、露光後に焼成(PEB)を行うことが好ましい。その焼成温度は、使用される感放射線性樹脂組成物の種類等によって適宜調節されるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
【0098】
そして、露光後またはPEB後に現像を行い、必要に応じて洗浄すれば、所望のフォトレジストパターンを形成することができる。
【0099】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類;ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を少なくとも1種溶解したアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。これらの中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液が好ましい。
【0100】
現像液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類をはじめとする水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液を用いて現像した場合には、通常、現像後に水洗する。また、現像または必要に応じた水洗後に適宜乾燥すれば、目的とするフォトレジストパターンを形成することができる。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【0102】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]:
測定装置として「HLC−8120(商品名)」(東ソー社製)、カラムとして有機溶媒系ゲルパーミエーションクロマトグラフカラム(「G2000HxL(商品名)」;2本、「G3000HxL」;1本、「G4000HxL」;1本(東ソー社製))、検出器として示差屈折率計を用い、温度40℃、溶媒をテトラヒドロフラン、流速を1ml/分、注入量を50μlとして測定した。
【0103】
[分子量分布(Mw/Mn)]:
上記[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]によって得られた値から算出した。
【0104】
(実施例1)
まず、一般式(1)で表される単量体(A)として、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル46.95g(85モル%)を、イソプロパノール85gに溶解させて第一の単量体溶液を調製した。また、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)6.91gを、イソプロパノール15gに溶解させた溶液をラジカル重合開始剤として調製した。
【0105】
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージした後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。その後、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤を、それぞれ2時間かけてイソプロパノールに滴下しながら重合反応を行った。その後、滴下を終了させて、更に1時間反応を行って重合体溶液を得た。
【0106】
次に、酸性の官能基を有する単量体(B)として、ビニルスルホン酸3.05g(15モル%)をイソプロパノール10gに溶解させて第二の単量体溶液を調製した。この第二の単量体溶液を30分かけて、上記重合体溶液に滴下して反応を行った。その後、更に1時間反応を行った後、30℃以下に冷却して、共重合体を含む共重合体溶液(I)を得た。
【0107】
得られた共重合体溶液(I)を150gに濃縮した後、分液漏斗に移した。その後、この分液漏斗にメタノール50gとn−ヘキサン600gを投入し、分離精製した。分離精製後、下層液を回収した。この下層液をイソプロパノールで希釈して100gとし、再度、分液漏斗に移した。その後、メタノール50gとn−ヘキサン600gを上記分液漏斗に投入して、分離精製した。分離精製後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、全量を250gに調整した。調整後、水250gを加えて分離精製した後、上層液を回収した。回収した上層液は、4−メチル−2−ペンタノールに置換して樹脂溶液(I)とした。
【0108】
なお、4−メチル−2−ペンタノールに置換した後の樹脂溶液の固形分濃度は、以下の方法によって算出した。まず、樹脂溶液0.3gをアルミ皿に計量し、ホットプレート上で140℃で1時間加熱した。次に、樹脂溶液の加熱前の質量と残渣(加熱後)の質量を測定し、これらの値から算出した。この固形分濃度は、液浸露光用組成物溶液の調製と収率の計算に利用した。
【0109】
得られた樹脂溶液(I)に含有されている共重合体(I)は、重量平均分子量(Mw)が9760であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.51であり、収率が65%であった。また、この共重合体(I)に含有される、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステルに由来する繰り返し単位、及びビニルスルホン酸に由来する繰り返し単位の含有率は、95:5(モル%)であった。
【0110】
樹脂溶液(I)を固形分含量として80部、溶剤(炭素数4〜10のアルコール)として4−メチル−2−ペンタノール2800部を混合し、2時間撹拌した後、孔径200nmのフィルターでろ過することにより、固形分濃度4%の液浸露光用組成物溶液を調製した。
【0111】
調製した液浸露光用組成物溶液を用いて、以下の評価を行った。
【0112】
(1)微粒子数測定:
ろ過後の液浸露光用組成物溶液を、液中パーティクルカウンター(リオン社製、型番「Ks−41」)を用いて、0.15μm以上の粒子数を測定し、「微粒子数測定」として評価した(表1中、「微粒子数測定」と示す)。評価基準は、液浸露光用組成物溶液10ml中に0.15μm以上の微粒子数が100個未満であれば「○」とし、100個以上であれば「×」とした。
【0113】
(2)溶解性の評価方法:
まず、液浸露光用組成物溶液を100℃で24時間乾燥して乾固させて液浸露光用組成物体を得た。次に、4−メチル−2ペンタノール99gに、得られた液浸露光用組成物体1gを加え、スリーワンモーターを使用して100rpmで3時間攪拌した。その後、4−メチル−2ペンタノールと液浸露光用組成物体との混合物が均一な溶液となっているか否かについて目視にて観察し、評価した(表1中、「溶解性」と示す)。評価基準は、均一な溶液であれば、溶解性が良好であると判断して「○」とし、溶け残りや白濁が確認された場合には、溶解性が乏しいとして「×」とした。
【0114】
(3)上層膜除去性の評価方法:
まず、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン社製)を用いて、8インチシリコンウェハ上に液浸露光用組成物溶液をスピンコートし、90℃で60秒間ベークを行い、膜厚32nmの塗膜(上層膜)を形成した。次に、この上層膜の膜厚を、「ラムダエースVM90」(大日本スクリーン社製)を用いて測定した。次に、この上層膜を「CLEAN TRACK ACT8」を用いて、60秒間パドル現像(現像液2.38%TMAH水溶液)を行ない、振り切りによりスピンドライした後、ウェハ表面を目視にて観察し、評価した(表1中、「除去性」と示す)。評価基準は、ウェハ表面上に残渣がなく(即ち、ウォーターマーク欠陥が観察されず)現像されていれば、除去性が良好として「○」とし、残渣が観察されれば、除去性が不良として「×」とした。
【0115】
本実施例では、微粒子数測定が「○」(微粒子数:38個/10ml)であり、溶解性が「○」であり、除去性が「○」であった。評価結果を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
(比較例1)
まず、一般式(1)で表される単量体(A)として、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル46.95g、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)6.91g、及び、酸性の官能基を有する単量体(B)として、ビニルスルホン酸3.05gを、イソプロパノール100gに溶解させて単量体混合溶液を調製した。
【0118】
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージした後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。その後、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体混合溶液をイソプロパノールに2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下を終了させて、更に1時間反応を行った後、30℃以下に冷却して、共重合体溶液(II)を得、以降の操作は実施例1と同様の手順で行い、共重合体(II)を含有する樹脂溶液(II)を得た。
【0119】
本比較例で得られた樹脂溶液(II)に含有されている共重合体(II)は、重量平均分子量(Mw)が6700であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.6であり、収率が47%であった。また、この共重合体(II)に含有される、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステルに由来する繰り返し単位、及びビニルスルホン酸に由来する繰り返し単位の含有率は、87:13(モル%)であった。
【0120】
次に、樹脂溶液(I)に代えて樹脂溶液(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして液浸露光用組成物溶液を調製した。調製した液浸露光用組成物溶液を用いて、微粒子数測定、溶解性、及び除去性の各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0121】
実施例1及び比較例1から明らかなように、実施例1の共重合体の製造方法は、比較例1の共重合体の製造方法に比べて、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を形成するための材料である共重合体を得ることができることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の共重合体の製造方法は、ウォーターマーク欠陥、及び、溶け残り欠陥が発生し難い液浸露光用の上層膜を形成するための材料である共重合体を得るための方法として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合可能な温度に昇温した溶媒に、下記一般式(1)で表される単量体(A)を含有する第一の単量体溶液とラジカル重合開始剤とを、それぞれ滴下しながら重合反応を行い、重合体溶液を得る工程と、
得られた前記重合体溶液に、酸性の官能基を有する単量体(B)を含有する第二の単量体溶液を滴下して、液浸露光用の上層膜を形成するための材料として使用される共重合体を含有する共重合体溶液を得る工程と、
を有する共重合体の製造方法。
【化1】

(但し、前記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、またはフェニル基を表し、Aは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜20の2価の有機基を表し、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、Rは、パーフルオロアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記共重合体の重量平均分子量が、2,000〜100,000である請求項1に記載の共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記共重合体の分子量分布の値が、1.1〜2.5である請求項1または2に記載の共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記共重合体は、50〜110℃、1〜10時間の条件で前記重合反応を行って得られるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2010−6863(P2010−6863A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164563(P2008−164563)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】