説明

共鳴音発生装置

【課題】 より合理的に構成された共鳴音発生装置を得ること。
【解決手段】 共鳴音発生体100と、ハンマー200と、ハンマーを駆動す駆動手段300とを備え、ハンマーが共鳴音発生体を打撃して共鳴音を発生する共鳴音発生装置において、共鳴音発生体に当接して共鳴音を停止する消音体400と、消音体を共鳴音発生体に当接する消音体当接手段500とを備え、ハンマーは、所定の停止位置に向って付勢されたものであるとともに、駆動手段により停止位置から移動して共鳴音発生体を打撃するものであり、消音体は、打撃に伴う衝撃により共鳴音発生体から離れるものとし、消音体当接手段は、ハンマーに連動するものであり、ハンマーが停止位置にもたらされるとともに、消音体を共鳴音発生体に向って移動して、消音体を共鳴音発生体に当接する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマーが共鳴音発生体を打撃して共鳴音を発生する共鳴音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、共鳴音を発生する装置としては、ハンマーにて棒鈴や鐘体等の共鳴音発生体を打撃するものが知られている。ハンマーの駆動については、ソレノイドを用いる構成が広く採用されている。ソレノイドを用いてなる装置は、特許文献1乃至5にも開示されている。また、共鳴音発生装置は、共鳴音発生体の音色が異なるものを複数設けて、メロディーを奏でるように構成することも可能であり、からくり時計やオルゴール装置のパフォーマンスを向上するものとしても、広く利用されている。特許文献6及び7には、この種の装置を用いてなる優れた時計装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−53571号公報
【特許文献2】特開平6−64295号公報
【特許文献3】特開平10−105176号公報
【特許文献4】特開平11−175055号公報
【特許文献5】特開2000−137482号公報
【特許文献6】特開平11−161276号公報
【特許文献7】特開平11−161277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、前述した共鳴音発生装置の利用形態は、近年ますます多様化される傾向にあり、その性能についても、優れた共鳴音の発生能力を確保するとともに、発生した共鳴音を適宜停止するための構成も必要とされている。例えば、複数の装置にてメロディーを奏でる場合には、共鳴音の余韻が邪魔になることもある。
【0004】
共鳴音は、共鳴音発生体に消音体を当接して停止することが可能である。ここで、消音体とは、共鳴音発生体の振動を吸収する部材をいう。但し、共鳴音発生体に消音体を当接するための駆動手段を別途に設けると、装置の複雑化や大型化を招くとともに、制御も煩雑化するという問題がある。つまるところ、発生した共鳴音を所要のタイミングで停止するという構成を、より簡単に達成するための工夫が求められている。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より合理的に構成された共鳴音発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願第1請求項に記載した発明は、共鳴音発生体と、前記共鳴音発生体を打撃するハンマーと、前記ハンマーを駆動す駆動手段とを備え、前記ハンマーが前記共鳴音発生体を打撃して共鳴音を発生する共鳴音発生装置において、前記共鳴音発生体に当接して前記共鳴音を停止する消音体と、前記消音体を前記共鳴音発生体に当接する消音体当接手段とを備え、前記ハンマーは、所定の停止位置に向って付勢されたものであるとともに、前記駆動手段により前記停止位置から移動して前記共鳴音発生体を打撃するものであり、前記消音体は、前記打撃に伴う衝撃により前記共鳴音発生体から離れるものとし、前記消音体当接手段は、前記ハンマーに連動するものであり、前記ハンマーが前記停止位置にもたらされるとともに、前記消音体を前記共鳴音発生体に向って移動して、前記消音体を前記共鳴音発生体に当接する構成の共鳴音発生装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より合理的に構成された共鳴音発生装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図4に示す本例の共鳴音発生装置1は、共鳴音発生体100と、共鳴音発生体100を打撃するハンマー200と、ハンマー200を駆動す駆動手段300とを備え、ハンマー200が共鳴音発生体100を打撃して共鳴音を発生するものである。また、この共鳴音発生装置1は、共鳴音発生体100に当接して共鳴音を停止する消音体400と、消音体400を共鳴音発生体100に当接する消音体当接手段500とを備えている。各構成部材は、壁体600及び壁体600に設置された支持体610に支持されている。
【0008】
共鳴音発生体100は、金属製又は陶器製の棒鈴である。支持体610に部分的に固定され、その長径が上下方向となるように設けられている。或は、天井等に吊下げて設けるようにしてもよい。
【0009】
ハンマー200は、駆動手段300により所定の停止位置から移動して共鳴音発生体100を打撃するものである。このハンマーは、支持体610に支持した軸部201を中心に揺動するものであり、共鳴音発生体100に当接してこれを打撃する金属製の打撃部210と、打撃部210を支える棒状部220と、軸部201にて枢支されるとともに棒状部220を固定した基端部230と、基端部に設けられた槓杆部240とを備えている。尚、棒状部220は、可撓性を有する部材となっている。駆動手段300は、槓杆部240に連結されている。
【0010】
更に、このハンマー200は、その停止位置に向って付勢されたものとなっている。具体的には、槓杆部240と支持体610との間にそれらを連結するコイルばね250が設けられており、ハンマー200は、その自重及びコイルばね250の力によって、打撃部210が共鳴音発生体100から離れる方向に付勢されており、所定の停止位置で停止する構成となっている(図1及び図2参照)。
【0011】
駆動手段300は、ソレノイド310の鉄芯311をハンマー200の槓杆部240にリンク320を介して接続してなるものである。ソレノイド310を励起すると、鉄芯311が押し出されてハンマー200が勢い良く持ち上がる。すると、ハンマー200の基端部230の要所が支持体610に設けられた凸部611に激突し、棒状部220が撓みつつ打撃部210が共鳴音発生体100を打撃し、その後共鳴音が発生する(図3参照)。
【0012】
消音体400は、共鳴音発生体100の振動を吸収するクッション状の部材である。消音体400の移動方向は、支持体610に設けられたガイド部612にて規制されている。図例したガイド部612は、消音体400の背面に設けられたプレート体410を貫通するレールであり、水平方向に真っ直ぐ延びている。消音体400は、共鳴音発生体100に対してハンマー200の打撃方向と対抗する方向から当接し、また、打撃に伴う衝撃により共鳴音発生体100から離れるものとなっている。図3中の白矢印は、衝撃により消音体400が共鳴音発生体100から離れる方向を示している。
【0013】
共鳴音発生体100を打撃した後は、棒状部220が復元して打撃部210が共鳴音発生体100から離れるとともに、消音体400が共鳴音発生体100から離れる。ソレノイド310を励起したままであると、ハンマー200は持ち上げられた状態を維持する(図4参照)。共鳴音は、この際に継続して発生している。
【0014】
消音体当接手段500は、ハンマー200に連動するものであり、ハンマー200が停止位置にもたらされるとともに、消音体400を共鳴音発生体100に向って移動して、消音体400を共鳴音発生体100に当接する。すなわち、前述したようにハンマー200が持ち上げられた状態からソレノイド310の励起を終了すると、付勢されたハンマー200に連動して消音体400を移動し、消音体400が共鳴音発生体100に当接したところで停止する構成となっている。ハンマー200の停止位置は、消音体当接手段500により規制されている。
【0015】
本例の消音体当接手段500は、ハンマー200の基端部230に固定されたアーム部510と、アーム部510の先端に支持されたローラー部520とを備えている。ソレノイド310の励起を終了してハンマー200が停止位置へと移動すると、アーム部510の角度が変化してローラー部520が消音体400の背面に設けられたプレート体410を押しつつ共鳴音発生体100に向って移動する。消音体400が共鳴音発生体100に当接すると、共鳴音が停止する。共鳴音発生体100には、消音体400を介してハンマー200の付勢力がかかる。尚、ハンマー200が共鳴音発生体100を打撃する際には、ローラー部520は消音体400のプレート体410から離脱している。
【0016】
このような構成によると、ソレノイド310を励磁している間は共鳴音が発生し、ソレノイド310の励磁を終了すると共鳴音が停止する。すなわち、ソレノイド310の制御のみにて共鳴音の発生・停止を行うことが可能である。
【0017】
以上説明したように、本例の共鳴音発生装置によると、発生した共鳴音を所要のタイミングで停止することができる。共鳴音を停止するための構成も簡素であり、装置の複雑化や大型化を回避することができる。また、制御も容易である。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の共鳴音発生装置は、共鳴音を発生する装置として好適に利用することが可能である。特に、共鳴音発生体の音色が異なるものを複数設けて、メロディーを奏でるように構成することも可能である。また、からくり時計やオルゴール装置のパフォーマンスを向上するものとしても、好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例に係り、共鳴音発生装置(ハンマーが停止位置にある状態)を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、共鳴音発生装置(ハンマーが停止位置にある状態)を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、共鳴音発生装置(ハンマーが共鳴音発生体を打撃した瞬間)を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、共鳴音発生装置(共鳴音を発生している状態)を示す側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 共鳴音発生装置
100 共鳴音発生体
200 ハンマー
201 軸部
210 打撃部
220 棒状部
230 基端部
240 槓杆部
250 コイルばね
300 駆動手段
310 ソレノイド
311 鉄芯
320 リンク
400 消音体
410 プレート体
500 消音体当接手段
510 アーム部
520 ローラー部
600 壁体
610 支持体
611 凸部
612 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共鳴音発生体と、前記共鳴音発生体を打撃するハンマーと、前記ハンマーを駆動す駆動手段とを備え、前記ハンマーが前記共鳴音発生体を打撃して共鳴音を発生する共鳴音発生装置において、
前記共鳴音発生体に当接して前記共鳴音を停止する消音体と、前記消音体を前記共鳴音発生体に当接する消音体当接手段とを備え、
前記ハンマーは、所定の停止位置に向って付勢されたものであるとともに、前記駆動手段により前記停止位置から移動して前記共鳴音発生体を打撃するものであり、
前記消音体は、前記打撃に伴う衝撃により前記共鳴音発生体から離れるものとし、
前記消音体当接手段は、前記ハンマーに連動するものであり、前記ハンマーが前記停止位置にもたらされるとともに、前記消音体を前記共鳴音発生体に向って移動して、前記消音体を前記共鳴音発生体に当接することを特徴とする共鳴音発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−185886(P2008−185886A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20762(P2007−20762)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)