説明

具入りスープ類の自動販売機

【課題】具入りスープ類を均一に攪拌できる容器内からカップに小分けできるようにし、容器内に具入りスープ類が無くなる前に、自動的に具入りスープ類を容器内に投入する具入りスープ類の自動販売機を提供する。
【解決手段】具入りスープ類を攪拌混合する容器と、該容器の下端開口に連通する具入りスープ類を一定量取出し吐出する定量切出弁とを具備する具入りスープ類の小分け装置と、前記具入りスープ類を攪拌混合する容器の重量を測る秤と、一定の重量に減じたことを該秤が検知すると、モータのオン信号を発し、このオン信号で具入りスープ類を攪拌しながら収容した容器の移送ポンプをオンし、具入りスープ類を配管を通して、前記具入りスープ類を攪拌混合する容器内に一定量注入充填し、一定量注入充填すると、前記秤がこれを検知しオフ信号を発して前記移送ポンプをオフすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コーンスープ、カレースープ、ミネソタローネ、豚汁、味噌汁、グリーンスープ等の具入りスープ類の一定量をカップ内に供することができる具入りスープ類の自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中に肉類や野菜類が混入しているコーンスープ、カレースープ、ミネソタローネ、豚汁、味噌汁、グリーンスープ等の具入りスープ類を、そのままカップ内に供する自動販売機は知られていない。
最近は、昼食に弁当やパンを購入する人が増えているので、自動販売機で供する商品としては、緑茶等よりも、味噌汁やスープ等の要望が強かったが、味噌汁等の具入りスープ類を供する自動販売機は未だ存在しない。
【0003】
粉末状の原料をカップ内に供した後、お湯をカップ内に注入する自動販売機が提案されている(特許文献1)が、これは、単に即席味噌汁にお湯を注いだのと同じであるので、現実にはこの自動販売機は、本発明者の知る限り、どこにも設置されていない。
【0004】
具入りスープ類の自動販売機が知られていなかったのは、具入りスープ類を容易に小分けすることができなかったからであるが、本発明者は具入りスープ類を容易に小分けする装置を既に開発し、多くの特許を取得している。
本発明者は、このものを使用して自動販売機とすることを考えたが、無人の状態でも多数杯の具入りスープ類をカップに取れるようにするには、非常に大きな容器内に具入りスープ類を入れて小分けしなければならないが、それでは均一に小分けすることは困難であり、均一にしようとすると激しく攪拌しなければならないので、具の型崩れを起こす問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−220162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、このような点に着目してなされたものであり、具入りスープ類を均一に攪拌できる容器内からカップに小分けできるようにし、容器内に具入りスープ類が無くなる前に、自動的に具入りスープ類を容器内に投入する味噌汁等の具入りスープ類の自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究の結果、小分けする具入りスープ類を収容した容器が空に近くなると、それを秤で検知してモータをオンし、自動的に容器内に具入りスープ類を注入し得ることを想到し、本発明に到達した。
【0008】
即ち本発明は、具入りスープ類を攪拌混合する容器と、該容器の下端開口に連通する具入りスープ類を一定量取出し吐出する定量切出弁とを具備する具入りスープ類の小分け装置と、前記具入りスープ類を攪拌混合する容器の重量を測る秤と、一定の重量に減じたことを該秤が検知すると、モータのオン信号を発し、このオン信号で具入りスープ類を攪拌しながら収容した容器の移送ポンプをオンし、具入りスープ類を配管を通して、前記具入りスープ類を攪拌混合する容器内に一定量注入充填し、一定量注入充填すると、前記秤がこれを検知しオフ信号を発して前記移送ポンプをオフすることを特徴とする。
【0009】
前記秤としては、ロードセルを使用するのが好ましい(請求項2)。
前記定量切出弁は、前記容器の下端開口に連通する吸引口と小分け充填する容器への吐出口とを有する定量切出弁本体と、該定量切出弁本体に回動自在に嵌合させた内筒と、該内筒内に摺動自在に嵌合させたピストンと、前記内筒に形成された貫通孔とを具備し、該内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吸引孔と連通すると、前記ピストンは後退して内筒内に所定量の具入りスープ類を充填し、前記内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吐出孔と連通すると、前記ピストンは前進して、前記連通した吐出孔から具入りスープ類を吐出するように構成するのが好ましい(請求項3)。前記定量切出弁本体は、先端が閉鎖した円筒状内面を有するのが好ましい(請求項4)。
【0010】
自動販売機にお金を入れると、供給できる商品にランプが点灯し、購入する商品のボタンを押すと、第一のモータのオン信号を発し、第一のモータが回転し、内筒の貫通孔が定量切出弁本体の吸引孔と連通する状態でピストンが後退して、内筒内に一定量の具入りスープ類が収容されると第一のモータが停止し、同時に第二のモータがオンし、内筒が半回転して内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吐出孔と連通すると、第二のモータが停止し、同時に第一のモータがオンし、ピストンが前進して、具入りスープ類をカップ内に注入すると、第一のモータが停止するようにプログラミングするのが好ましい(請求項5)。
【0011】
具入りスープが満たされたカップは、取り出し口から取り出すが、取り出し口の自動ドアは、通常は開くようになっており、所定の位置にカップを置いて購入する具入りスープ類のボタンを押すと、自動的にドアが閉まり、カップ内への具入りスープ類の注入が終わると、自動的にドアが開くようにプログラミングするのが、購入者が誤って火傷をするのが防止できることから好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カレースープ、豚汁、コーンスープ等の具入りスープ類を自動販売機でカップ内に供することに世界で初めて成功したものであるから、特に弁当、おにぎり、パン等と一緒に食事するのに極めて好適であり、新しい昼食形態を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の自動販売機の内部の状態を示す概略側面図である。
【図2】本発明の自動販売機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
具入りスープ類を収容したホッパー(容器)1内には、攪拌モータ2で回転する攪拌羽根3が配設されている。ホッパー1内の具入りスープ類は、IH基盤(IHヒータ)4により適当な温度に加熱されるようになっている。
ホッパー1下端開口には、具入りスープ類を一定量取出し吐出する定量切出弁5が接続されている。定量切出弁5の下方には、ドレン受け6上に、カップ7が載置されている。
【0015】
図中8は、取出口自動ドアであり、通常は開くようになっており、所定の位置にカップ7を置いて購入する具入りスープ類のボタンを押すと、自動的にドアが閉まり、カップ内への具入りスープ類の注入が終わると、自動的にドアが開くようにプログラミングされている。このようにすることによって、誤って熱い具入りスープ類で火傷をする恐れをなくすことができる。
【0016】
ドレン受け6の後方(図1の右側)には、具入りスープ類を収容したホッパー1と定量切出弁5を含む小分け装置の重量がかかるロードセル(秤)9が配置されている。
ドレン受け6の下方には、コップ出し器10が固定され、コップ出し器10の下方には、具入りスープ類を収容するストレージホッパー11が置かれている。ストレージホッパー11内を所定の温度に加熱するため、ストレージホッパー11は、IHヒータ(ストレージスープ保温)12上に置かれて、適当な温度に加熱されている。ストレージホッパー11の下端部は、移送ポンプ16と連通し、具入りスープは、移送ポンプ16により、配管18を通して、ホッパー1内に投入されるようになっている。移送ポンプ16は、架台21上に置かれて、ストレージホッパー11下端と同じ高さになっている。尚、図中、13は温度制御機であり、14は攪拌機15を回転させる攪拌モータである。
【0017】
ホッパー1内の具入りスープ類が、予め設定した一定の重量に減ずると前記ロードセル9から発したオン信号で具入りスープ類を攪拌しながら収容したストレージホッパー11の具入りスープ移送ポンプ16をモータ17で駆動し、具入りスープ類を配管18を通して、継ぎ足し開口口19から攪拌混合する容器1内に一定量注入充填する。ロードセル9が一定の重量になったことを検知すると、オフ信号を発し、モータ17、移送ポンプ16は停止する。
このようにすることによって、ホッパー1内の具入りスープは、ストレージホッパー11内の具入りスープ類が空になるまで、無くなりかけると自動的に充填される。
【0018】
前記定量切出弁5は、前記容器1の下端開口に連通する吸引口と小分け充填する容器への吐出口とを有する先端が閉鎖した円筒状の内面を有する定量切出弁本体と、該定量切出弁本体に回動自在に嵌合させた内筒と、該内筒内に摺動自在に嵌合させたピストンと、前記内筒に形成された貫通孔とを具備し、該内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吸引孔と連通すると、前記ピストンは後退して内筒内に所定量の具入りスープ類を充填し、前記内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吐出孔と連通すると、前記ピストンは前進して、前記連通した吐出孔20から具入りスープ類を吐出するように構成されている。
【0019】
定量切出弁5の内筒を回転させるクラッチ22には、ピストンシャフトが進退自在に嵌合し、ピストンシャフトはラックギア23に連結されている。クラッチ22には、ピストンシャフトに外嵌して歯車25が固定され、該歯車25は、内筒を回転させるモータ24の回転軸に固定された歯車26に歯合している。
ラックギア23は、吐出制御モータ27の回転軸に連結した歯車でリニアガイド28に案内されて移動し、ピストンを前進・後進させる。尚、図中29は、ネオン灯、30は攪拌機BOX、31は制御基板、32は電源基盤、33はIHコイルBOX、34は自動販売機本体である。
【0020】
上記実施例では、図2に示すように。3台の小分け装置35が並設され、3種類の具入りスープ類が出るようになっている。お金を投入すると、どれを選択するかの表示が出る。一つ選択すると、残金がある場合は、更に選択するかどうかの表示が出る、そこで選択しないを押すとおつりがでるようになっている。これは、現在市販の自動販売機と同じである。
【0021】
自動販売機34にお金を投入すると、供給できる商品にランプが点灯する。購入する商品のボタンを押すと、モーターをオンする信号を発する。それから予めプログラミングされているようにモーターのオン、オフが行われて、カップに一杯の具入りスープが注入される。
【0022】
即ち、購入する商品のボタンを押すとモータのオン信号を発し、第一のモータ27が回転して回転軸に固定した歯車が回転し、該歯車と歯合するラックギア23が後進して、内筒の貫通孔が定量切出弁本体の吸引孔と連通する状態でピストンが引かれて、内筒内に一定量の具入りスープ類が収容されると、第一のモータ27は停止し、同時に第二のモータ24が回転し、モータの回転軸に固定した歯車26に歯合した歯車25が回転し、歯車25を固定したクラッチ22が回転して、内筒が半回転して内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吐出孔と連通すると、第二のモータ24が停止し、同時に第一のモータ27が前記と逆回転してラックギアー23が前進し、ピストンが押されて、具入りスープをカップ内に投入すると、第一のモータ27がオフするようにプログラミングされている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、カレースープ、豚汁、コーンスープ等の具入りスープ類を自動販売機でカップ内に供することに世界で初めて成功したものであるから、特に弁当、おにぎり、パン等と一緒に食事するのに極めて好適であり、新しい昼食形態を提供することができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・・・・・・・・・・ホッパー(容器)
3・・・・・・・・・・・攪拌羽根
4・・・・・・・・・・・IH基盤
5・・・・・・・・・・・定量切出弁
7・・・・・・・・・・・カップ
8・・・・・・・・・・・取出口自動ドア
9・・・・・・・・・・・ロードセル(秤)
10・・・・・・・・・・・カップ出し器
11・・・・・・・・・・ストレージホッパー
12・・・・・・・・・・IHヒータ
16・・・・・・・・・・移送ポンプ
18・・・・・・・・・・配管
19・・・・・・・・・・継ぎ足し開口口
22・・・・・・・・・・内筒を回転させるクラッチ
23・・・・・・・・・・ラックギア
28・・・・・・・・・・リニアガイド
34・・・・・・・・・・自動販売機本体
35・・・・・・・・・・小分け装置



























【特許請求の範囲】
【請求項1】
具入りスープ類を攪拌混合する容器と、該容器の下端開口に連通する具入りスープ類を一定量取出し吐出する定量切出弁とを具備する具入りスープ類の小分け装置と、前記具入りスープ類を攪拌混合する容器の重量を測る秤と、一定の重量に減じたことを該秤が検知すると、モータのオン信号を発し、このオン信号で具入りスープ類を攪拌しながら収容した容器の移送ポンプをオンし、具入りスープ類を配管を通して、前記具入りスープ類を攪拌混合する容器内に一定量注入充填し、一定量注入充填すると、前記秤がこれを検知しオフ信号を発して前記移送ポンプをオフすることを特徴とする具入りスープ類の自動販売機。
【請求項2】
前記秤が、ロードセルである請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記定量切出弁は、前記容器の下端開口に連通する吸引口と小分け充填する容器への吐出口とを有する定量切出弁本体と、該定量切出弁本体に回動自在に嵌合させた内筒と、該内筒内に摺動自在に嵌合させたピストンと、前記内筒に形成された貫通孔とを具備し、該内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吸引孔と連通すると、前記ピストンは後退して内筒内に所定量の具入りスープ類を充填し、前記内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吐出孔と連通すると、前記ピストンは前進して、前記連通した吐出孔から具入りスープ類を吐出するように構成されている請求項1又は2記載の自動販売機。
【請求項4】
前記定量切出弁本体は、先端が閉鎖した円筒状内面を有する請求項3記載の自動販売機。
【請求項5】
自動販売機にお金を入れると、供給できる商品にランプが点灯し、購入する商品のボタンを押すと、第一のモータのオン信号を発し、第一のモータが回転し、内筒の貫通孔が定量切出弁本体の吸引孔と連通する状態でピストンが引かれて、内筒内に一定量の具入りスープ類が収容されると第一のモータが停止し、同時に第二のモータがオンし、内筒が半回転して内筒の貫通孔が前記定量切出弁本体の吐出孔と連通すると、第二のモータが停止し、同時に第一のモータがオンし、ピストンが押されて、具入りスープ類をカップ内に注入すると、第一のモータが停止するようにプログラミングする請求項3又は4記載の自動販売機。
【請求項6】
具入りスープが満たされたカップは、取り出し口から取り出すが、取り出し口の自動ドアは、通常は開くようになっており、所定の位置にカップを置いて購入する具入りスープ類のボタンを押すと、自動的にドアが閉まり、カップ内への具入りスープ類の注入が終わると、自動的にドアが開くようにプログラミングされている請求項1〜5のいずれかに記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−222033(P2010−222033A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71512(P2009−71512)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(597141977)
【Fターム(参考)】