説明

具材入り野菜すりつぶし状調味液

【課題】口に入れた後の食感の変化と多様な食感を楽しむことができる新規な具材入り野菜すりつぶし状調味液を提供する。
【解決手段】目開き2mmのフルイ上に残る多種類の具材を、全体に対して30〜70%含み、具材を除く液部には少なくとも野菜を含む具材入り野菜すりつぶし状調味液であって、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0〜7cmであり、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前に比べて希釈後の粘度がBH形粘度計の測定値で40〜300Pa・s低下する具材入り野菜すりつぶし状調味液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来食したことのない新しいおいしさを楽しむことができる具材入り野菜すりつぶし状調味液であって、より詳しくは、口に入れた後の食感の変化と多様な食感を楽しむことができる新規な具材入り野菜すりつぶし状調味液に関する。
【背景技術】
【0002】
具材を含む調味液としては、例えば、みじん切りしたピーマン、玉ねぎ、セロリ等を配合したサウザンアイランドドレッシングや、茹で卵のダイスカットをマヨネーズと和えたタマゴスプレッド、更に、挽肉を配合したミートソース等がある。
【0003】
具材入り調味液としては、例えば、特許第2760664号公報(特許文献1)には、500〜2300cp(500〜2300mPa・s)のドレッシング50重量部に対して、5〜10mm×5〜30mmの大きさを最大とする面を少なくとも一つは有する具材が、20〜60質量部の割合で含有されていることを特徴とする具材入り水中油滴型ドレッシングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2760664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、おいしさについて消費者のニーズも多様化しており、伝統的な食品の慣れ親しんだおいしさだけでなく、従来食したことのない新しいおいしさについてのニーズも高まっている。そこで、本発明者等は、具材入り調味液について、従来食したことのない新しいおいしさを実現するため検討を重ねた結果、口に入れた後の食感の変化と多様な食感が、調味料としての新しいおいしさにつながることを見出した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、従来食したことのない新しいおいしさを楽しむことができる具材入り野菜すりつぶし状調味液であって、口に入れた後の食感の変化と多様な食感を楽しむことができる新規な具材入り野菜すりつぶし状調味液を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、具材入り調味液の具材の種類や量、液部の状態など種々の条件について鋭意研究を重ねた結果、口に入れると一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなる食感の変化と、更に、その一体感がなくなった後に、複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれ独立して感じることができるようにするならば、従来食したことのない新しいおいしさを楽しむことができることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 目開き2mmのフルイ上に残る多種類の具材を、全体に対して30〜70%含み、具材を除く液部には少なくとも野菜を含む具材入り野菜すりつぶし状調味液であって、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0〜7cm、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前に比べて希釈後の粘度がBH形粘度計の測定値で40〜300Pa・s低下する具材入り野菜すりつぶし状調味液、
(2) 前記野菜として、トマト、タマネギ、ニンジンから選ばれる一種又は二種以上を含む(1)の具材入り野菜すりつぶし状調味液、
(3) 粒子状の冷水膨潤性澱粉が液部に分散している(1)又は(2)に記載の具材入り野菜すりつぶし状調味液、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来食したことのない新しいおいしさを楽しむことができる具材入り野菜すりつぶし状調味液であって、口に入れた後の食感の変化と多様な食感を楽しむことができる新規な具材入り野菜すりつぶし状調味液を提供することができる。したがって、従来食したことのない新しいおいしさを楽しみたいといった消費者のニーズに応えることができ、具材入り野菜すりつぶし状調味液の更なる需要の拡大が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0011】
本発明における具材入り野菜すりつぶし状調味液は、目開き2mmのフルイ上に残る具材と、前記具材を除いた液部からなる。本発明における前記具材とは、目開き2mmのフルイ上に残るものをいう。従って、例えば、目開き2mmのフルイを通過する極めて小さな固形物またはペースト状物は、実質的に液部の一部とみなす。
【0012】
本発明の前記具材としては、例えば、タマネギ、トマト、キュウリ、ナス、ズッキーニ、ニンジン、パプリカ、ダイコン、ネギ、ショウガ、ニンニク、リンゴ、パイナップル、ブドウ、オリーブ、しいたけ、肉類等が挙げられる。
【0013】
本発明においては、これら具材として多種類の具材を用いる。これにより、複数種類の具材特有の変化に富んだ食感を楽しむことができる。
【0014】
前記具材は、具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して30〜70%、好ましくは35〜60%含む。これにより、複数種類の具材特有の変化に富んだ食感を充分に楽しむことができる。更に、このように具材を一定量以上含むことにより、後述の液部に野菜を含むこととあわせて、具材入り野菜すりつぶし状調味液を口に入れた場合には一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなるという本発明特有の食感の変化を生み出すことができる。
【0015】
本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液を構成する液部としては、味付け等は特に制限は無く、トマトソース、タマネギソースなどのベジタブルソース、フルーツソース、ドレッシング、タレ等が挙げられる。
【0016】
前記液部には、少なくともすりつぶし状の野菜を含む。つまり、目開き2mmのフルイを通過する極めて小さな固形物またはペースト状物として、すりつぶし状の野菜を含むことにより、上述の具材を一定量以上含むこととあわせて、具材入り野菜すりつぶし状調味液を口に入れた場合には一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなるという本発明特有の食感の変化を生み出すことができる。このような食感の変化を生み出しやすい点から、液部に含まれる野菜は、目開きが1mm未満のフルイで濾過された一般的に市販されている野菜ジュースや野菜ペーストを用いてもよいが、野菜の大きさが1mm以上に粗く砕いたものを用いることが特に好ましい。また、このような食感の変化を生み出しやすい点から、液部に含まれる野菜は、トマト、タマネギ、ニンジンから選ばれる一種又は二種以上であることが好ましく、特にトマトを用いることが好ましい。液部に含有する野菜含有量は、上述した食感の変化を生み出しやすい点から、具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して10〜60%、好ましくは30〜60%である。
【0017】
上述した具材と液部で構成される本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、粘度がボストウィック粘度計による測定値として0〜7cm、好ましくは0〜6cm、より好ましくは0〜4cmである。ボストウィック粘度計による測定値は、数値が小さいほど流動性が低くまとまり感があることを意味する。ボストウィック粘度計による具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度が前記範囲であることにより、口に入れた際に具材入り液状調味料の一体感が感じられ、咀嚼により流動性が生じる食感の変化を楽しむことができる。
【0018】
更に、本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前に比べて希釈後の粘度がBH形粘度計の測定値で40〜300Pa・s、好ましくは60〜300Pa・s、より好ましくは80〜300Pa・s低下する。このように加水されて低粘度化する具材入り野菜すりつぶし状調味液は、咀嚼後すぐに流動性が生じて一体感がなくなる。これに加えて、本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、多種類の具材を、全体に対して一定量以上含むことから、咀嚼後すぐに流動性が生じるだけでなく、複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれ独立して感じられるようになる。その結果、本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、口に入れた後の食感の変化と多様な食感を楽しむことができるものとなる。
【0019】
本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、上述のように具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0〜7cmであり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の液部を2倍希釈した場合に希釈前に比べて希釈後の粘度がBH形粘度計の測定値で40〜300Pa・s低下するという性質を有する。このような性質とするには、上述した具材の含有量と液部の野菜の含有量や野菜の大きさにより調整すればよいが、液部に粒子状の冷水膨潤性澱粉を分散させるとよりこのような性質に調整しやすい上に、口に入れた後の食感の変化が感じられやすくなり好ましい。
【0020】
粒子状の冷水膨潤性澱粉とは、冷水(約0〜30℃の水)を加えた時に、冷水を吸収して膨潤し、冷水に分散して粒子状となる澱粉であり、粒子状となっているかどうかは、冷水に分散させた澱粉を観察することにより確認できる。なお、前記粒子状の冷水膨潤性澱粉としては、澱粉粒子の外殻膜構造を破壊することなくアルファー化処理した部分アルファー化澱粉やアルファー化処理に加えて架橋処理等を行った澱粉等を挙げることができる。これらは市販されているので、市販品を用いればよい。前記澱粉粒子としては、まとまり感があるが希釈により流動性が生じてまとまり感がなくなる前記性質に調整しやすいことから、冷水に分散させた際の大きさが0.1〜5mmのものを用いることが好ましく、具材入り野菜すりつぶし状調味液に対する配合量としては、乾物換算で好ましくは0.1〜15%、より好ましくは0.1〜10%である。
【0021】
本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、上述した原料の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、調味料に一般的に使用されている原料を適宜配合することができる。このような原料としては、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油等の油脂、食酢、食塩、砂糖、醤油、味噌、味醂、アミノ酸、核酸系旨味調味料等の各種調味料、クエン酸、リンゴ酸、柑橘果汁等の酸材、香辛料、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、キサンタンガム、タマリンドシードガム、加工澱粉、ゼラチン等の増粘材、卵黄、ホスフォリパーゼA処理卵黄、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化材等が挙げられる。
【0022】
本発明の具材入り野菜すりつぶし状調味液は、本発明の必須の原料として、目開き2mmのフルイ上に残る多種類の具材を、全体に対して30〜70%含み、具材を除く液部には少なくとも野菜を含むことに加えて、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0〜7cmであり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の液部を2倍希釈した場合に希釈前に比べて希釈後の粘度がBH形粘度計の測定値で40〜300Pa・s低下する性質を有するようにする以外は、製造方法に特に制限は無く、一般的な調味液の製造方法に準じて製造することができる。
【0023】
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、更に説明する。
【実施例】
【0024】
本発明の実施例において、具材の含有量及び粘度は以下のように測定した。
【0025】
具材の含有量の測定方法
具材入り野菜すりつぶし状調味液に清水を加えて2倍希釈することにより希釈液中に具材を分散させ、この分散物をJISZ8801−2000(日本工業規格)の目開き2mmの標準フルイで濾過する。次に、当該目開き2mmの標準フルイの裏側よりキムタオル(登録商標)を用いて余分な水分を除き、当該目開き2mmのフルイ上に残る具材の量を測定する。
【0026】
ボストウィック粘度計による粘度
KO式ボストウィック粘度計の試料投入部に品温20℃の試料を満杯量充填し、仕切り板をはね上げてから、30秒後の試料流出先端までの距離を測定する。
【0027】
BH形粘度計による粘度の測定方法
(1)具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度
具材入り野菜すりつぶし状調味液をJISZ8801−2000(日本工業規格)の目開き2mmの標準フルイで濾過し、この濾液を試料とする。ここで、粘度が高く濾過できない試料については、5mmをこえる具材を取り除いたものを試料とする。このように調整した試料についてBH形粘度計で、品温20℃、回転数20rpmの条件で、粘度が0.375Pa・s未満のときローターNo.1、0.375Pa・s以上1.5Pa・s未満のときローターNo.2、1.5Pa・s以上3.75Pa・s未満のときローターNo.3、3.75Pa・s以上7.5Pa・s未満のときローターNo.4、7.5Pa・s以上15Pa・s未満のときローターNo.5、15Pa・s以上のときローターNo.6を使用し、測定開始後ローターが2回転した時の示度により値を求める。なお、更に粘度が高い場合は、回転数:2rpmの条件で、ローター:No.6を使用し2回転した時の示度により値を求める。
【0028】
(2)具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合の粘度
具材入り野菜すりつぶし状調味液に清水を加えて2倍希釈することにより希釈液中に具材を分散させ、この分散物をJISZ8801−2000(日本工業規格)の目開き2mmの標準フルイで濾過し、この濾液を試料とする。このように調整した試料について(1)と同様にしてBH形粘度計で測定する。
【0029】
[実施例1]
トマトをミキサーで粉砕し、常法により鍋で6倍に濃縮するまで煮詰めた。次に、この処理済みトマトと下記配合原料とを合わせて撹拌タンクに投入し、これらを全体が略均一となって一体感がでるまで撹拌混合して具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。
【0030】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液は、目開き2mmのフルイ上に残る具材の含有量が具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して40%であり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として1.2cmであった。また、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前後における粘度の差は、BH形粘度計の測定値で129Pa・sであった。
【0031】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、口に入れると一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなり複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれ独立して感じることができ、食感の変化と多様な食感の点から大変好ましいものであった。
【0032】
<具材入り野菜すりつぶし状調味液の配合割合>
大豆油 1部
ズッキーニ(ボイル済み5mmダイスカット品) 40部
トマト(ミキサーで粉砕し6倍濃縮するまで煮詰めたもの)40部
キサンタンガム 0.2部
食塩 2部
冷水膨潤性澱粉(冷水分散時の大きさが0.1〜5mm) 0.5部
香辛料 0.1部
清水 残余
(合計) 100部
【0033】
[実施例2]
実施例1において下記配合割合に変えた以外は同様の方法で具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。
【0034】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液は、目開き2mmのフルイ上に残る具材の含有量が具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して12%であり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0cmであった。また、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前後における粘度の差は、BH形粘度計の測定値で269Pa・sであった。
【0035】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、口に入れると一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなり複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれ独立して感じることができ、食感の変化と多様な食感の点から大変好ましいものであった。
【0036】
<具材入り野菜すりつぶし状調味液の配合割合>
大豆油 1部
タマネギ(ボイル済み5mmダイスカット品) 12部
トマト(ミキサーで粉砕し6倍濃縮するまで煮詰めたもの)40部
タマネギ(粉砕物) 1部
ニンジン(粉砕物) 1部
キサンタンガム 0.2部
食塩 2部
冷水膨潤性澱粉(冷水分散時の大きさが0.1〜5mm) 0.1部
香辛料 0.1部
清水 残余
(合計) 100部
【0037】
[実施例3]
実施例1において下記配合割合に変えた以外は同様の方法で具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。
【0038】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液は、目開き2mmのフルイ上に残る具材の含有量が具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して12%であり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0.2cmであった。また、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前後における粘度の差は、BH形粘度計の測定値で158Pa・sであった。
【0039】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、口に入れると一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなり複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれ独立して感じることができ、食感の変化と多様な食感の点から大変好ましいものであった。
【0040】
<具材入り野菜すりつぶし状調味液の配合割合>
大豆油 1部
赤ピーマン(ボイル済み5mmダイスカット品) 25部
ニンジン(ボイル済み5mmダイスカット品) 25部
トマト(ミキサーで粉砕し6倍濃縮するまで煮詰めたもの)40部
キサンタンガム 0.2部
食塩 2部
冷水膨潤性澱粉(冷水分散時の大きさが0.1〜5mm) 0.3部
香辛料 0.1部
清水 残余
(合計) 100部
【0041】
[実施例4]
実施例1において下記配合割合に変えた以外は同様の方法で具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。
【0042】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液は、目開き2mmのフルイ上に残る具材の含有量が具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して30%であり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として7cmであった。また、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前後における粘度の差は、BH形粘度計の測定値で59Pa・sであった。
【0043】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、口に入れるとある程度は一体感が感じられた。そして、咀嚼後は一体感がなくなり複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれある程度は独立して感じることができ、好ましいものであった。
【0044】
<具材入り野菜すりつぶし状調味液の配合割合>
大豆油 1部
ズッキーニ(ボイル済み5mmダイスカット品) 30部
トマト(ミキサーで粉砕し6倍濃縮するまで煮詰めたもの)30部
キサンタンガム 0.2部
食塩 2部
冷水膨潤性澱粉(冷水分散時の大きさが0.1〜5mm)0.2部
香辛料 0.1部
清水 残余
(合計) 100部
【0045】
[実施例5]
実施例1において下記配合割合に変えた以外は同様の方法で具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。
【0046】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液は、目開き2mmのフルイ上に残る具材の含有量が具材入り野菜すりつぶし状調味液全体に対して35%であり、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として6cmであった。また、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前後における粘度の差は、BH形粘度計の測定値で46Pa・sであった。
【0047】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、口に入れるとある程度は一体感が感じられた。そして、咀嚼後は一体感がなくなり複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれある程度は独立して感じることができ、好ましいものであった。
【0048】
<具材入り野菜すりつぶし状調味液の配合割合>
大豆油 1部
ズッキーニ(ボイル済み5mmダイスカット品) 15部
赤ピーマン(ボイル済み5mmダイスカット品) 10部
ニンジン(ボイル済み5mmダイスカット品) 10部
トマト(ミキサーで粉砕し6倍濃縮するまで煮詰めたもの)30部
キサンタンガム 0.2部
食塩 2部
冷水膨潤性澱粉(冷水分散時の大きさが0.1〜5mm) 0.3部
香辛料 0.1部
清水 残余
(合計) 100部
【0049】
[試験例1]
具材入り野菜すりつぶし状調味液の冷水膨潤性澱粉の含有量が、具材入り野菜すりつぶし状調味液に与える影響を調べるために以下の試験を行った。つまり、冷水膨潤性澱粉の含有量が表1の含有量となるように変えた以外は実施例1と同様にして5種類の具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1より、粒子状の冷水膨潤性澱粉を配合量が増えることにより、ボストウィック粘度計による粘度が増加すること、また、それに比例して具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合の希釈前後における粘度の差の値が大きくなる傾向があることが理解できる。また、得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、いずれも、口に入れると一体感があるが、咀嚼後すぐに一体感がなくなり複数種類の各具材特有の食感と液部のさらっとした食感がそれぞれ独立して感じることができ、食感の変化と多様な食感の点から大変好ましいものであった。中でも、粒子状の冷水膨潤性澱粉を配合したものは、口に入れた後の食感の変化が感じられやすくなり好ましかった。
【0052】
[比較例1]
下記配合原料を鍋に投入し撹拌しながら煮立てることにより具材入り野菜すりつぶし状調味液を調製した。
【0053】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として8.7cmであった。また、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前後における粘度の差は、BH形粘度計の測定値で21Pa・sであった。
【0054】
得られた具材入り野菜すりつぶし状調味液を喫食したところ、タマネギの食感がある程度感じられたものの口に入れた後の食感の変化は感じられなかった。
【0055】
<具材入り野菜すりつぶし状調味液の配合割合>
トマト(ホールトマト粉砕物) 50部
トマトペースト 5部
タマネギ(ボイル済み5mmダイスカット品) 35部
食塩 2部
澱粉 1部
香辛料 1部
清水 残余
(合計) 100部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目開き2mmのフルイ上に残る多種類の具材を、全体に対して30〜70%含み、具材を除く液部には少なくとも野菜を含む具材入り野菜すりつぶし状調味液であって、具材入り野菜すりつぶし状調味液の粘度がボストウィック粘度計による測定値として0〜7cmであり、具材入り野菜すりつぶし状調味液を2倍希釈した場合に希釈前に比べて希釈後の粘度がBH形粘度計の測定値で40〜300Pa・s低下することを特徴とする具材入り野菜すりつぶし状調味液。
【請求項2】
前記野菜として、トマト、タマネギ、ニンジンから選ばれる一種又は二種以上を含む請求項1記載の具材入り野菜すりつぶし状調味液。
【請求項3】
粒子状の冷水膨潤性澱粉が液部に分散している請求項1又は2に記載の具材入り野菜すりつぶし状調味液。

【公開番号】特開2013−39097(P2013−39097A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179266(P2011−179266)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】