説明

内因性修復因子産生促進剤

プロスタグランジン(PG)I2アゴニスト、EP2アゴニストおよびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上を含有する内因性修復因子産生促進剤に関する。プロスタグランジン(PG)I2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストは各種内因性修復因子産生促進作用があり、血管新生促進作用や幹細胞分化誘導作用を有するため、虚血性臓器障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病、心筋梗塞、狭心症、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、脳血管障害、脳梗塞、肺高血圧症、骨折またはアルツハイマー病等)、および各種細胞・臓器障害等の予防や治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、プロスタグランジン(以下、PGと略す。)I2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上を含有する内因性修復因子産生促進剤に関する。
【背景技術】
再生医療は血管、肝臓、腎臓、肺臓、膵臓、骨や骨格筋細胞、心筋細胞、および末梢・中枢神経細胞等の組織・細胞障害時の再生療法として注目されている。自己修復系には、肝、腎などの多くの実質臓器の再生の様に成熟細胞の細胞分裂により達成される系(simple duplication system)と造血細胞の再生の様に、幹細胞(前駆細胞)増殖・分化誘導を介した系(stem cell system)とがある。現在、多くの組織・臓器の再生にこれらの2つの系が存在すると言われている。例えば、血管新生(再生)にもこれらの2つの系が存在すると言われており、これらは、障害(近傍)部位の(血管)内皮細胞、(血管)平滑筋細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、滑膜細胞、上皮細胞、血小板、単球、リンパ球およびマクロファージ等からの各種内因性修復因子(例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、各種の線維芽細胞増殖因子(a/bFGF)、形質転換増殖因子−β(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)、アンジオポエチン、低酸素誘導因子(HIF)、インスリン様成長因子(IGF)、骨形成蛋白質(BMP)、結合組織成長因子(CTGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)等およびそのファミリーの増殖因子等)放出により、近傍の血管内皮細胞および血管平滑筋細胞等の増殖による血管新生(Angiogenesis)系と各種炎症性サイトカイン(例えば、IL−1、IL−4、IL−8、TNFα、IFNα/γ、G−CSF、GM−CSF等、およびNO(一酸化窒素)等)、および各種内因性修復因子放出により成熟個体の骨髄細胞等から血管内皮幹細胞(stem cell)が分化・誘導され、血管を形成する脈管形成(Vasuculogenesis)系とがある。
幹細胞(前駆細胞)の存在は、血管以外にも肝細胞、膵(β)細胞、心筋細胞、腎、肺、骨、関節、神経、脂肪、皮膚等多くの組織にも存在し、各種内因性修復因子、各種炎症性サイトカイン等により増殖および分化誘導される。
これらの内因性修復因子の産生が促進されることにより、虚血部位への血管新生効果により副側血行路が形成促進される。また、各々の組織幹細胞からの分化・誘導作用により各種臓器障害の予防・治療(修復再生)が促進されることが知られている。例えば、HGFは細胞増殖促進作用、形態形成誘導作用、分化誘導作用、遊走促進作用、抗アポトーシス作用等を有していることが知られている(例えば、Biochem.Biophys.Res.Commun.,239,639−644(1997)等参照)。これらの内因性修復因子産生促進は、例えば肝疾患(例えば、劇症肝炎、急性肝炎、肝硬変、脂肪肝、肝移植等)、腎疾患(例えば、急性腎不全、慢性腎不全等)、肺疾患(例えば、急性肺炎、肺線維症、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息等)、膵疾患(例えば、糖尿病、慢性膵炎等)、骨疾患(例えば、変形性関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、骨折、骨膜損傷等)、消化器疾患(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病等)、神経変性疾患(例えば、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊柱管狭窄症、脳血管障害、モヤモヤ病等)、糖尿病性合併症(例えば、神経障害、皮膚潰瘍、腎症、網膜症等)、血管内皮細胞障害(例えば)PTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty:経皮経管冠動脈形成術)後の再狭窄、動脈硬化等)、心疾患(例えば、上室性頻脈性不整脈、うっ血性心不全、冠動脈疾患、特発性心筋症、拡張型心筋症等)、歯科疾患(例えば、歯周病、抜歯創、口腔創傷、歯周組織障害等)、褥瘡、緑内障、脱毛等の予防および/または治療に有効であることが知られている。
内因性修復因子を介した再生療法は、血管新生(再生)療法や肝臓、膵臓、腎臓、心臓、中枢/末梢神経、血管、歯、眼、骨膜および骨等の臓器・組織障害時における組織再生療法として注目されている。特に治療法のない、重症の虚血性臓器障害の再生治療として注目され、幾つかの方法が閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;以下、ASOと略す。)、バージャー病、レイノー病、心血管障害(例えば、心筋梗塞、狭心症等)、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、虚血性脳障害(例えば、脳血管障害、脳梗塞等)、肺高血圧症、骨折、またはアルツハイマー病等に対して検討されている。
例えば、ASOやバージャー病に代表される閉塞性末梢血管障害の患者は間歇性跛行、安静時疼痛および下肢の潰瘍・壊死を呈し、最終的には下肢切断を余儀無くされる。しかし、現在、これらの重傷ASO患者に対しては有効な治療法がない。重症ASO患者はPGE1の静脈内投与やシロスタゾールの経口剤である血管拡張剤や血小板凝集抑制剤で効果を示さず、血管内治療(バルーン拡張術、ステント挿入)や血行再建手術ができない。最近、このような患者に対してVEGF遺伝子プラスミドおよびHGF遺伝子プラスミドの下肢虚血部位への骨格筋に直接筋肉内投与による遺伝子治療(Circulation.,97,1114−1123(1998)およびGene Therapy.,,181−189(2001)参照)が臨床応用され、その効果が注目されている。また、増殖因子蛋白のスローリリース製剤(例えば、ゼラチン封入シート)も基礎検討されている(Circulation.,106,(Suppl2),II350,(2002))。
一方、患者自身の骨髄または末梢血から分離した血管内皮幹細胞を直接下肢虚血部位へ筋肉内投与することによる血管新生療法が注目され、幾つかの大学病院で実施され、注目されている(THE LANCET360,427−435(2002)参照)。
心筋梗塞、狭心症においても、低侵襲の針付き血管カテーテルにて梗塞部位に直接これらの遺伝子や幹細胞を導入することが可能となり、血管新生療法として臨床応用されつつある。例えば、不安定狭心症に対してVEGF遺伝子プラスミドを直接心筋に注射することにより、虚血が改善することが報告されている(Circulation.,98,2800−2804(1998))。また、脳梗塞患者梗塞巣のフェナンブラ(梗塞により組織は死んではいないが機能が出来ない。)領域の神経細胞にPDGFの増加を認め、脳卒中後の血管新生に関与していると考えられた(Stroke.,28,564−573(1997))。虚血性脳血管障害においても、大槽から髄液を介した脳へのベクターを用いた遺伝子治療等も試みられている。これらの治療は虚血領域への側副血行路の発達を即す治療的血管新生(再生)療法であり、組織幹細胞の分化誘導による組織再生療法である。しかしながら、これらの遺伝子治療や細胞治療の臨床応用には、倫理面、安全性(免疫、感染、癌等)、汎用性、および経済性等において問題点も多い。
ASO、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、および動脈硬化等における血管閉塞時の再開通治療として、PTCA(経皮経管冠動脈形成術)が施行され良好な結果が得られている。しかし、バルーンによる強制的血管拡張やステント留置等により閉塞近傍の血管内皮細胞が損傷されることにより再狭窄が惹起されることが知られている。再狭窄予防法として、血小板凝集抑制剤等が投与されているが、なお満足される状況ではない。最近、抗生物質、制癌剤(ラパマイシン、シロリムス等)等の薬剤、またはβ線等のラジオアイソトープ製剤をコーティングしたステントが開発され、再狭窄予防に対して良好な結果を得ている(N EnglJMed.,346(No.23),1769−1771(2002))。しかし、これらの方法も長期的には問題点も多い。よって、血管内皮細胞損傷部位局所での血小板凝集抑制作用、および血管内皮細胞増殖による損傷修復作用を促進する薬剤が期待される。
一方、プロスタグランジン(PG)は、アラキドン酸カスケードと呼ばれる生体内代謝経路においてPGH2より生合成される天然生理活性物質である。アラキドン酸からPGH2までの生合成酵素をシクロオキシゲナーゼ(COX)と言い、現在COX−1、COX−2、およびCOX−3が知られている(Proc Natl,Acad,Sci.,99,1371(2002))。また、これらの酵素を阻害する化合物群は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)として、一般に解熱・鎮痛・消炎剤および循環器系疾患予防薬として使用されている。特に、炎症部において誘導されるCOX−2は、PGI2およびPGE2等の生合成に関与する。これらの生合成されたPG類は、炎症部での発熱・疼痛・炎症の発症、およびこれらの治癒に関与する。すなわち、炎症部で生合成されたPG類は、直接起炎剤として働き、各種炎症性サイトカイン等を誘導し、炎症を惹起し、かつ治癒を促進する。
一方、NSAIDを長期間服用した患者は、大腸癌および肺癌による死亡率が有意に低いことが知られている(N Engl J Med.,328,1313−1316(1993))。本作用は、NSAIDによるPGI2、PGE2等の生合成阻害により癌組織増殖のための血管新生が抑制されるため癌細胞増殖抑制作用があると言われている。すなわち、血管新生を阻害して腫瘍の増殖や転移を抑制する抗血管新生療法が新しい癌治療の戦略として注目されている。また、COX−2選択的阻害剤はそのものを投与しても胃潰瘍を誘発しないが、胃潰瘍の治癒を遷延させることが知られている。その原因として損傷組織の修復のための血管新生作用が抑制されているためとの報告もある(Am J Med.,104,43S−51S(1998))。また、選択的COX−2阻害剤は、炎症に伴う血管新生を抑制する(Jpn J Pharmacol.,75,105−114(1997))。
PGI2は極めて強力な血小板凝集抑制作用をはじめ、血小板粘着抑制、血管拡張、胃酸分泌抑制等の作用を有していることが知られている。また,PGE2投与は、単球を初めとして炎症性細胞の集積、および炎症性サイトカイン(例えば、IL−1(インターロイキン−1)、IL−8、IL−6、IFN−α(インターフェロン−α)、TNFα(腫瘍壊死因子)等およびNO(一酸化窒素)等を産生促進し、起炎剤として働く。
PGI2アゴニスト(IPアゴニスト)として本発明で使用する後記一般式(I)で示されるオキシム誘導体またはその非毒性塩は、血小板凝集抑制、血小板粘着抑制、血管拡張、胃酸分泌抑制作用を有していることから、血栓症、動脈硬化、虚血性心疾患、胃潰瘍、高血圧等の予防および/または治療に有用である旨、特開平6−87811号明細書に開示されているが、内因性修復因子産生促進作用に基づいて血管内皮細胞および血管平滑筋細胞増殖作用を発揮することによる血管新生作用に関する記載、およびこれらの内因性修復因子産生促進作用等により、各種幹細胞の分化誘導による各種細胞・臓器障害(前記HGFの予防・治療(修復再生)対象疾患)に関する記載は全くないし、示唆もされていない。
また、Diabetologia.,40,1053−1061(1997)では、PGI2誘導体であるベラプロスト(Beraprost;(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩)が、インビトロ(in vitro)において、血管内皮細胞でのHGF産生を上昇させ、内皮細胞増殖作用を示すことが報告されているが、ベラプロストの持続性製剤を局所投与することによる血管新生促進作用や各種臓器障害の予防・治療に有効である旨の記載はない。
また、PGE2は、アラキドン酸カスケードの中の代謝産物として知られており、その作用は、細胞保護作用、子宮収縮作用、発痛作用、消化管の蠕動運動促進作用、覚醒作用、胃酸分泌抑制作用、血圧降下作用、利尿作用等の多彩な機能を有していることが知られている。
近年の研究の中で、PGE2受容体には、それぞれ役割の異なったサブタイプが存在することが分かってきた。現時点で知られているサブタイプは、大別して4つあり、それぞれ、EP1、EP2、EP3、およびEP4と呼ばれている(J.Lipid Mediators Cell Signaling 12,379−391(1995))。これらの役割分担を調べることによって、おのおの他のサブタイプ受容体に結合しない化合物を見出すことにより、より副作用の少ない薬剤を得ることが可能となった。
例えば、EP2アゴニストとして本発明で使用する、一般式(I−a)で示される化合物、それらの非毒性塩、それらのプロドラッグまたはシクロデキストリン包接化合物は、免疫疾患(例えば、自己免疫疾患、臓器移植など)、喘息、骨形成異常、神経細胞死、肝障害、早産、流産、緑内障等の網膜神経障害などに対する予防および/または治療に有用である旨、特開平11−193268号明細書で開示されているが、内因性修復因子放出作用、幹細胞分化誘導作用や血管新生促進作用に関する記載は全くないし、示唆もされていない。
例えば、EP4アゴニストとして本発明で使用する、一般式(I−b)で示される化合物、その非毒性塩、またはシクロデキストリン包接化合物は、免疫疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、シェーグレン症候群、慢性関節リューマチ、全身性エリトマトーデス等の自己免疫疾患、臓器移植後の拒絶反応など)、喘息、骨形成異常、神経細胞死、肺傷害、肝障害、急性肝炎、腎炎、腎不全、高血圧、心筋虚血、全身性炎症反応症候群、火傷性疼痛、敗血症、血球貪食症候群、マクロファージ活性化症候群、スティル(Still)病、川崎病、熱傷、全身性肉芽腫、潰瘍性大腸炎、クローン病、透析時の高サイトカイン血症、多臓器不全、ショック、睡眠異常、血小板凝集等の疾患の予防および/または治療に有用である旨、WO00/03980号明細書で開示されているが、内因性修復因子放出作用、幹細胞分化誘導作用や血管新生促進作用に関する記載は全くないし、示唆もされていない。
【発明の開示】
(虚血性)臓器障害の予防・治療剤として有用であり、副作用の少ない内因性修復因子産生促進剤、幹細胞分化誘導剤(前駆細胞分化誘導剤)や血管新生促進剤の開発が切望されている。
本発明者らは(虚血性)臓器障害の予防・治療のために有用である、内因性修復因子産生促進剤、幹細胞分化誘導剤や血管新生促進剤を見出すべく鋭意研究を行なった結果、PGI2アゴニスト(例えば、一般式(I)で示される化合物またはその塩)、EP2アゴニスト(例えば、一般式(I−a)で示されるその塩、そのプロドラッグまたはそのシクロデキストリン包接化合物)、またはEP4アゴニスト(例えば、一般式(I−b)で示される化合物、その塩、またはそのシクロデキストリン包接化合物)が目的を達成することを見出し、発明を完成した。
また、本発明者らは、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストを、血管新生を必要とする虚血部位または組織修復を必要とする損傷部位に局所投与することができれば、虚血部残存血管の血管拡張、および血小板凝集抑制作用に加えて、損傷局所近傍で内因性修復因子、および炎症性サイトカイン等を産生することが可能となり、全身投与における副作用の少ない薬剤が創製可能であると考えた。さらに、虚血部位または組織損傷近傍局所において、血管新生(再生)または組織修復が起こる期間の持続放出製剤化が可能であれば、全身投与における副作用が少なく、かつ投与回数の少ない投与コンプライアンスが改善された薬剤が創製可能であると考えた。
例えば、血管新生作用は一般的には1週間〜6ヶ月、さらに好ましくは1週間〜8週間の期間が必要とされており、その間虚血部位での持続的な有効成分の放出が必要である。また、PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストは、各種内因性増殖因子を産生促進することにより血管新生促進作用、血管幹細胞分化誘導作用に加えて、血管拡張作用および血小板凝集抑制作用も有しており、これらの作用が加わることにより、さらに虚血性臓器障害に対して強い予防および/または治療効果を示すと考えた。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行なった結果、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストの持続性製剤が、上記目的を達成することも見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は
(1)PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上を含有する内因性修復因子産生促進剤、
(2)内因性修復因子が、血管内皮細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子−β、血小板由来増殖因子、骨形成蛋白質または上皮細胞増殖因子である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(3)幹細胞分化誘導剤である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(4)血管新生促進剤である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(5)さらに、生体内分解性重合物を含有する持続性製剤である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(6)持続性製剤が、マイクロスフェア製剤、マイクロカプセル製剤、またはナノスフェア製剤である前記(5)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(7)臓器障害の予防および/または治療剤である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(8)臓器障害が、虚血性臓器障害、肝疾患、腎疾患、肺疾患、膵疾患、骨疾患、消化器疾患、神経変性疾患、糖尿病性合併症、血管内皮細胞障害、心疾患、歯科疾患、褥瘡、緑内障、または脱毛である前記(7)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(9)虚血性臓器障害が、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病、心筋梗塞、狭心症、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、脳血管障害、脳梗塞、肺高血圧症、骨折、またはアルツハイマー病である前記(8)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(10)PGI2アゴニストが、一般式(I)

を表わし、
は、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル基、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(v)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(vi)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)C1〜8アルキル基、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(iv)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(v)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
eは3〜5の整数を表わし、fは1〜3の整数を表わし、pは1〜4の整数を表わし、qは1または2を表わし、rは1〜3の整数を表わす、ただし、

−および=CH−(CH−は、環上のaまたはbの位置に結合するものとし、RおよびR中の環は、1個から3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基で置換されていてもよいとする。)
で示される化合物またはその塩である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(11)PGI2アゴニストが、
(1)(E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸、または
(2)(Z)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸である前記(10)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(12)PGI2アゴニストが、
(1)(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩、
(2)5−{(3aR,4R,6aS)−5−ヒドロキシ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−3−(シス−4−プロピルシクロヘキシル)プロプ−1−エニル]−3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−2−イル}ペンタン酸メチルエステル、または
(3)(5E)−5−[(3aS,4R,5R,6aS)−4−[(1E,3S)−3−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロプ−1−エニル]−5−ヒドロキシヘキサヒドロペンタレン−2(1H)−イリデン]ペンタン酸である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(13)EP2アゴニストが、一般式(I−a)

(式中、Rは、カルボキシ基またはヒドロキシメチル基を表わし、
1aは、オキソ基、メチレン基またはハロゲン原子を表わし、
2aは、水素原子、水酸基、またはC1〜4アルコキシ基を表わし、
3aは、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、または1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基またはC2〜8アルキニル基を表わし:(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4アルコキシ基、(3)C3〜7シクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基;
naは0または1〜4の整数を表わし、


位が三重結合を表わすとき、13−14位は三重結合を表わさない。(2)13−14位が二重結合を表わすとき、その二重結合はE体、Z体またはEZ体の混合物を表わす。)
で示される化合物、その塩、そのプロドラッグまたはそのシクロデキストリン包接化合物である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(14)EP2アゴニストが(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸である前記(13)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(15)EP4アゴニストが一般式(I−b)

(式中、R1bは、水酸基、C1〜6アルコキシ基、または−NR6b7b基(基中、R6bおよびR7bは独立して、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)を表わし、
2bは、オキソ基、ハロゲン原子または−O−COR8b基(基中、R8bは、C1〜4アルキル基、フェニル基またはフェニル(C1〜4アルキル)を表わす。)を表わし、
3bは、水素原子または、水酸基を表わし、
4abおよびR4bbは、それぞれ独立して、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
5bは、以下のi)〜iv)の基で置換されているフェニル基を表わす:
i)1〜3個の
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルケニルオキシ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルキニルオキシ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキルオキシ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキル(C1〜4アルコキシ)−C1〜4アルキル、
フェニルオキシ−C1〜4アルキル、
フェニル−C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルケニルチオ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルキニルチオ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキルチオ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキル(C1〜4アルキルチオ)−C1〜4アルキル、
フェニルチオ−C1〜4アルキル、または
フェニル−C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキル、
ii)C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル、
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシ、
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびヒドロキシ、
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびハロゲン、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシ、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびヒドロキシ、または
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびハロゲン、
iii)ハロアルキル、またはヒドロキシ−C1〜4アルキル、または
iv)C1〜4アルキルおよびヒドロキシ;

ただし、R2bが−O−COR8b基である場合、8−9位は二重結合を表わす。)で示される化合物、その塩、またはそのシクロデキストリン包接化合物である前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(16)EP4アゴニストが、
(1)(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸、または
(2)(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸メチルエステルである前記(15)記載の内因性修復因子産生促進剤、
(17)PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における内因性修復因子産生を促進する方法、
(18)PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における臓器障害の予防および/または治療方法、
(19)内因性修復因子産生促進剤を製造するためのPGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の使用、
(20)臓器障害の予防および/または治療剤を製造するためのPGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の使用、および
(21)前記(1)記載の内因性修復因子産生促進剤と抗血栓剤、循環改善剤、気管支平滑筋拡張剤、抗炎症剤、局麻剤、鎮痛剤、骨セメント、間接潤滑剤、PG誘導体、内因性修復因子蛋白、内因性修復因子遺伝子、および幹細胞から選ばれる1種または2種以上とを組み合わせてなる医薬組成物に関する。
本明細書中、C1〜4アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基等の直鎖状または分岐鎖状のC1〜4アルキル基等が挙げられる。
本明細書中、C1〜6アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の直鎖状または分岐状のC1〜6アルキル基等が挙げられる。
本明細書中、C1〜8アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状または分岐状のC1〜8アルキル基等が挙げられる。
本明細書中、C2〜8アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル基等の直鎖状または分岐鎖状のC2〜8アルケニル基等が挙げられる。
本明細書中、C2〜8アルキニル基としては、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル基等の直鎖状または分岐鎖状のC2〜8アルキニル基等が挙げられる。
本明細書中、C1〜4アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ基等の直鎖状または分岐鎖状のC1〜4アルコキシ基等が挙げられる。
本明細書中、C1〜6アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の直鎖状または分岐鎖状のC1〜6アルコキシ基等が挙げられる。
本明細書中、C2〜4アルケニルオキシ基としては、例えばエテニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ基等の直鎖状または分岐鎖状のC2〜4アルケニルオキシ基等が挙げられる。
本明細書中、C2〜4アルキニルオキシ基としては、例えばエチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ基等の直鎖状または分岐鎖状のC2〜4アルキニルオキシ基等が挙げられる。
本明細書中、C1〜4アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ基等の直鎖状または分岐鎖状のC1〜4アルキルチオ基等が挙げられる。
本明細書中、C2〜4アルケニルチオ基としては、例えばエテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ基等の直鎖状または分岐鎖状のC2〜4アルケニルチオ基等が挙げられる。
本明細書中、C2〜4アルキニルチオ基としては、例えばエチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ基等の直鎖状または分岐鎖状のC2〜4アルキニルチオ基等が挙げられる。
本明細書中、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等が挙げられる。
本明細書中、トリハロメチル基としては、例えばヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子、塩素原子によってトリ置換されたメチル基が挙げられる。
本明細書中、C4〜7シクロアルキル基としては、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル基等が挙げられる。
本明細書中、C3〜7シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル基等が挙げられる。
本明細書中、窒素原子1個を含む4〜7員単環としては、例えばアゼート、アゾール、ピリジン、アゼピン環またはこれらの環の一部または全部が飽和した環等が挙げられる。
本明細書中、C3〜7シクロアルキルオキシ基としては、例えばシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシまたはシクロヘプチルオキシ基等が挙げられる。
本明細書中、C3〜7シクロアルキルチオ基としては、例えばシクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオまたはシクロヘプチルチオ基等が挙げられる。
本明細書中、一般式(I−a)で示される化合物のプロドラッグとしては、例えば、(1)RがCOOR10a(基中、R10aはC1〜6アルキル基を表わす。)である化合物、(2)RがCONR12a13a(基中、R12aおよびR13aは独立して水素原子またはC1〜6アルキル基を表わす。)である化合物、および(3)RがCOOR10a(基中、R10aは前記と同じ意味を表わす。)であり、R1aがR11a−COO(基中、R11aはC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、フェニル基、フェニル−C1〜4アルキル基、R14a−OOC−C1〜4アルキル基またはR14a−OOC−C2〜4アルケニル基(基中、R14aは水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)であり、8−9位が二重結合である。)である化合物等が挙げられる。
本明細書中、内因性修復因子としては、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、各種の線維芽細胞増殖因子(a/bFGF)、形質転換増殖因子−β(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)、アンジオポエチン、低酸素誘導因子(HIF)、インスリン様成長因子(IGF)、骨形成蛋白質(BMP)、結合組織成長因子(CTGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)等またはそのファミリーの増殖因子等が挙げられる。
本明細書中、PGI2アゴニストには、例えばIPアゴニストも含まれる。
本明細書中、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストには、プロドラッグ体も含まれる。プロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により活性体に変換する化合物をいう。PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストのプロドラッグとしては、例えばPGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストがアミノ基を有する場合、そのアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストのアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストが水酸基を有する場合、その水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストの水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストがカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストのカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストのプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストのプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように

置とβ配置の混合物であることを表わす。
一般式(I)、一般式(I−a)または一般式(I−b)で示される化合物の塩には薬理学的に許容されるものすべてが含まれる。薬理学的に許容される塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。一般式(I)で示される化合物の適当な塩として、例えばアルカリ金属(カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)が挙げられる。本発明化合物の塩には、溶媒和物、または上記本発明化合物のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩の溶媒和物も含まれる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。
本発明化合物は、公知の方法で薬理学的に許容される塩に変換される。
さらに、塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。四級アンモニウム塩とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、R基(R基は、C1〜8アルキル基、フェニル基によって置換されたC1〜8アルキル基を表わす。)によって四級化されたものを表わす。
また塩には、N−オキシドも含まれる。本発明化合物は任意の方法でN−オキシドにすることができる。N−オキシドとは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。
一般式(I−a)、(I−b)で示される化合物は、α−、β−あるいはγ−シクロデキストリン、あるいはこれらの混合物を用いて、特公昭50−3362号、同52−31404号または同61−52146号明細書記載の方法を用いることによりシクロデキストリン包接化合物に変換することができる。シクロデキストリン包接化合物に変換することにより、安定性が増大し、また水溶性が大きくなるため、薬剤として使用する際好都合である。
本明細書中、好ましい態様としては、プロスタグランジン(PG)I2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストの持続性製剤による(虚血性)臓器障害の予防および/または治療剤が好ましく、さらに好ましくは、プロスタグランジン(PG)I2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストの持続性製剤を虚血部位または障害部位に局所投与することによる、(虚血性)臓器障害の予防および/または治療剤である。
本明細書中、PGI2アゴニストとしては、現在までに知られているPGI2アゴニストや今後見出されるPGI2アゴニストをすべて包含する。
例えば、PGI2アゴニストとして、一般式(I)で示される化合物またはその塩が好ましい。
さらに、一般式(I)中、

一般式(I)中、Rとして好ましいのは、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(v)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(vi)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基であり、特に好ましいのは、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、または(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環である。
一般式(I)中、Rとして好ましいのは、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(iv)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(v)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基であり、特に好ましいのは、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、または(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環である。さらに、より好ましくは
化合物1:(E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸

化合物2:(Z)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸

である。
また、他のPGI2アゴニストとしては、例えば、ベラプロストナトリウム((±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩)、OP−2507(5−{(3aR,4R,6aS)−5−ヒドロキシ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−3−(シス−4−プロピルシクロヘキシル)プロプ−1−エニル]−3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−2−イル}ペンタン酸メチルエステル、またはOP−41483((5E)−5−[(3aS,4R,5R,6aS)−4−[(1E,3S)−3−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロプ−1−エニル]−5−ヒドロキシヘキサヒドロペンタレン−2(1H)−イリデン]ペンタン酸)等が挙げられ、化学的に安定なカルバサイクリン系PGI2関連化合物が好ましい。
本明細書中、EP2アゴニストとしては、現在までに知られているEP2アゴニストおよび今後見出されるEP2アゴニストをすべて包含する。例えば、現在までに知られているEP2アゴニストとしては、特開平11−193268号記載化合物、すなわち、上記一般式(I−a)で示される化合物、その塩、そのプロドラッグまたはそのシクロデキストリン包接化合物等が挙げられる。
他のEP2アゴニストとしては、例えば、WO99/33794号、欧州特許出願公開第974580号、WO95/19964号、WO98/28264号、WO99/19300号、欧州特許出願公開第0911321号、WO98/58911号、米国特許第5698598号、米国特許第6376533号、米国特許第4132738号、または米国特許第3965143号明細書記載の化合物等が挙げられる。
一般式(I−a)で示される化合物のうち、より好ましい化合物としては、
化合物3:(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸

(特開平11−193268号明細書中、実施例17記載化合物)、そのリジン塩またはそのα−シクロデキストリン包接化合物等が挙げられる。
本明細書中、EP4アゴニストとしては、現在までに知られているEP4アゴニストや今後見出されるEP4アゴニストをすべて包含する。例えば、現在までに知られているEP4アゴニストとしては、WO00/03980号明細書記載化合物、すなわち、上記一般式(I−b)で示される化合物、その塩、またはそのシクロデキストリン包接化合物等が挙げられる。
他のEP4アゴニストとしては、例えばWO99/02164号、WO00/16760号、WO00/18744号、WO00/21542号、WO00/38663号、WO00/38690号、WO00/38667号、WO00/40248号、WO00/54808号、WO00/54809号、WO01/10426号、欧州特許出願公開第1110949号、欧州特許出願公開第1121939号、欧州特許出願公開第1132086号、WO200172268号、特開2002−104939号、WO02/42268号、特開2002−179595号、WO02/47669号、WO02/64564号、WO03/035064号、WO03/053923号、または米国特許第6552067号明細書記載の化合物等が挙げられる。
一般式(I−b)で示される化合物のうち、より好ましい化合物としては、
化合物4:(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸

(WO00/03980号明細書中、実施例3記載化合物)、および(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸メチルエステル等が挙げられる。
[本発明に係る化合物の製造方法]
本発明で用いるPGI2アゴニストのうち、例えば、一般式(I)で示される化合物の製造方法は、特開平6−87811号明細書に開示されている。
例えば、(E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸(化合物1)は、実施例2(g)に記載されている。
また、(Z)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸(化合物2)は、実施例2(f)に記載されている。
ベラプロストナトリウム((±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩)の製造方法は、特開昭62−134787号明細書に開示されている。
OP−2507(5−{(3aR,4R,6aS)−5−ヒドロキシ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−3−(シス−4−プロピルシクロヘキシル)プロプ−1−エニル]−3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−2−イル}ペンタン酸メチルエステル)の製造方法は、特開昭61−30519号明細書に開示されている。
OP−41483((5E)−5−[(3aS,4R,5R,6aS)−4−[(1E,3S)−3−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロプ−1−エニル]−5−ヒドロキシヘキサヒドロペンタレン−2(1H)−イリデン]ペンタン酸)の製造方法は、特開昭54−130543号明細書に開示されている。
一般式(I−a)で示される化合物の製造方法は、特開平11−193268号明細書に開示されている。例えば、(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸(化合物3)は、実施例17に記載されている。
一般式(1−b)で示される化合物の製造方法は、WO00/03980号明細書に開示されている。例えば、(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸(化合物4)は、実施例3に記載されている。
[毒性]
本発明の薬剤の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
【産業上の利用可能性】
[医薬品への適用]
PGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストは、血管新生促進作用を有しているため、虚血性臓器障害(例えば、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病、心血管障害(例えば、心筋梗塞、狭心症等)、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、虚血性脳障害(例えば、脳血管障害、脳梗塞等)、肺高血圧症、骨折またはアルツハイマー病等)の予防および/または治療剤として有用である。またPGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストは、内因性修復因子産生促進作用を有しているため、各々の幹細胞から組織修復のための分化誘導作用により、各種臓器障害(例えば、肝疾患(例えば、劇症肝炎、急性肝炎、肝硬変、脂肪肝、肝移植等)、腎疾患(例えば、急性腎不全、慢性腎不全等)、肺疾患(例えば、急性肺炎、肺線維症、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息等)、膵疾患(例えば、糖尿病、慢性膵炎等)、骨疾患(例えば、変形性関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、骨折、骨膜損傷等)、消化器疾患(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病等)、神経変性疾患(例えば、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊柱管狭窄症、脳血管障害、モヤモヤ病等)、糖尿病性合併症(例えば、神経障害、皮膚潰瘍、腎症、網膜症等)、血管内皮細胞障害(例えば、PTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty:経皮経管冠動脈形成術)後の再狭窄、動脈硬化等)、心疾患(例えば、上室性頻脈性不整脈、うっ血性心不全、冠動脈疾患、特発性心筋症、拡張型心筋症等)、歯科疾患(例えば、歯周病、抜歯創、口腔創傷、歯周組織障害等)、褥瘡、緑内障、脱毛等)の予防および/または治療剤として有用である。
本発明の内因性修復因子産生促進剤の有効成分としては、PGI2アゴニスト、EP2アゴニストおよびEP4アゴニストの同種群および異種群から任意に選択される1種または2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
本発明のPGI2アゴニスト、EP2アゴニストまたはEP4アゴニストには、例えばPGE1、PGE2、およびPGI2、それらの誘導体(例えば、6−オキソPGE1、オルノプロスチル、リマプロスチル、エンプロスチル、ミソプロストール等)、そのプロドラッグ、それらの持続性製剤(徐放性製剤)(例えば、リポPGE1等)、またはそれらの内因性誘導剤も含まれ、それらを1種または2種以上適宜配合して用いてもよい。
本発明の薬剤は、(1)その本発明の薬剤の予防および/または治療効果の補完および/または増強、(2)その本発明の薬剤の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)その本発明の薬剤の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
本発明の薬剤と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明の薬剤を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明の薬剤を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
その他の薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体であるか、またはワクチン、組織から分離された幹細胞等であってもよい。他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の薬剤と他の薬剤の配合比は、投与対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば、本発明の薬剤1質量部に対し、他の薬剤を0.01乃至100質量部用いればよい。他の薬剤は以下に示す同種群および異種群から任意に選択される1種または2種以上を適宜の割合で組み合わせて投与してもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明の薬剤の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
他の薬剤としては、例えば、抗血栓剤、循環改善剤、気管支平滑筋拡張剤、抗炎症剤、局麻剤、鎮痛剤、骨セメント剤、関節潤滑剤、プロスタグランジン誘導体、内因性修復因子蛋白、内因性修復因子遺伝子、各種臓器幹細胞等が挙げられる。
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン製剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパンナトリウム等)、経口抗凝固薬(ワーファリンカリウム等)、抗トロンビン薬(メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、アルガトロバン等)、抗血小板凝集抑制薬(アスピリン、ジピリダモール、塩酸チクロピジン、ベラプロストナトリウム、シロスタゾール、オザグレルナトリウム、塩酸サルポグレラート、イコサペント酸エチル等)、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ等)、ファクターXa阻害薬、ファクターVIIa阻害薬等が挙げられる。
循環改善剤としては、例えば酒石酸イフェンプロジル、アニラセタム、塩酸ドネペジル、塩酸アマンタジン、ニセルゴジン、イブジラスト、パパベリン系、ニコチン系、カルシューム拮抗剤、β受容体作動薬、α受容体抑制薬等が挙げられる。
気管支平滑筋拡張剤としては、例えばβ2刺激剤(例えば塩酸エフェドリン、硫酸イシプレナリ、硫酸サルブタノール、塩酸ツロブテロール等)、テオフィリン薬(例えばジプロフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリン等)、または抗コリン薬(例えば臭化イプラトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化オキシトロピウム等)等が挙げられる。
局麻剤としては、例えばステロイド剤、プロカイン、塩酸コカイン、塩酸リドカイン、塩酸ロピバカイン等が挙げられる。
鎮痛剤としては、例えばアスピリン、インドメタシン、ジクロフェナク、メロキシカム、セレコキシブ等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、コデイン、モルヒネ等のオピオイド鎮痛薬、ペンタゾシン、塩酸ブプレノルフィン、臭化水素酸エプタゾシン等が挙げられる。
骨セメントとしては、例えばリン酸カルシューム等が挙げられる。
関節潤滑剤としては、例えば、スベニール等が挙げられる。
プロスタグランジン誘導体としては、例えば、PGE1、PGE2、PGI2またはそれらのプロドラッグ、リポPGE1、6−オキソPGE1、6−オキソPGE1誘導体、オルノプロスチル、リマプロスチル、エンプロスチル、ミソプロストール等が挙げられる。
「内因性修復因子蛋白および内因性修復因子遺伝子」における内因性修復因子としては、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、各種の線維芽細胞増殖因子(a/bFGF)、形質転換増殖因子−β(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)、アンジオポエチン、低酸素誘導因子(HIF)、インスリン様成長因子(IGF)、骨形成蛋白質(BMP)、結合組織成長因子(CTGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)またはそのファミリーの増殖因子等が挙げられる。
また、本発明の薬剤の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
本発明の薬剤、または本発明の薬剤と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから100mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから50mgの範囲で一日一回から数回、一週に一回から数回、または三ヶ月に一回から数回程度持続性製剤を非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
本発明の薬剤、または本発明の薬剤と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、皮下・筋注剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤、医療用具含有剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤・カプセル剤・散剤・顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。また生体内分解重合体に封入して医療用具(手術糸、骨折治療に用いるボルト等)として用いても良い。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により調製される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に懸和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。これらの注射剤は、静脈内、動脈内、筋肉、皮下、脳内、関節内、骨内およびその他の臓器局所に注射、または針付き血管カテーテル等を用いて直接投与してもよい。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための点眼剤には、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。
これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。点眼剤の溶剤としては、例えば、滅菌精製水、生理食塩水、その他の水性溶剤または注射用非水性用剤(例えば、植物油等)等およびそれらの組み合わせが用いられる。点眼剤は、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性化剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)等などを必要に応じて適宜選択して含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか、無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の滅菌精製水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
[局所への適用]
本発明の局所投与としては、疾患の部位へ本発明の薬剤、または本発明の薬剤と他の薬剤の併用剤を局所的に供給できればよく、その投与方法は特に限定されない。例えば、筋肉内、皮下、皮内、血管内、心筋内、肺胞内、関節部位、脊椎内、骨部、歯根部、障害臓器などへの注射剤、埋め込み剤、医療用具(ステント、固定ボルト、固定器、糸等)に本発明の薬剤、または本発明の薬剤と他の薬剤の併用剤を含有させた医療用具含有剤、またはコーティングしたコーティング剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、貼付剤、ゲル剤、軟膏剤、フィルム剤、生体内分解重合体に封入された製剤、または封入された医療用具等が挙げられる。
本発明の持続性製剤としては、疾患の部位で、有効成分を持続的に供給できればよく、その製剤に限定されない。例えば、徐放性注射剤(例えば、マイクロカプセル製剤、マイクロスフェア製剤、ナノスフェア製剤等)、埋め込み製剤(例えば、フィルム製剤等)、軟膏剤、医療器具(ステント、固定ボルト、縫合糸等)に有効成分を含有またはコーティングしたコーティング剤等が挙げられる。
本発明のマイクロカプセル製剤、マイクロスフェア製剤、ナノスフェア製剤とは、活性成分として有効成分を含有し、生体内分解性重合物との微粒子状の医薬組成物である。
本発明の薬物徐放システムには、生体吸収性高分子があり、天然高分子、または合成高分子より達成される。これらからの徐放速度の制御機構には、分解制御型、拡散制御型、および膜透過制御型等がある。
本発明の生体吸収性高分子である天然高分子では、植物産生多糖(例えば、セルロース、デンプン、アルギン酸等)、動物産生多糖およびタンパク質(例えば、キチン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、グルコサミノグリカン等)、微生物産生ポリエステルおよび多糖(例えば、ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート、ヒアルロン酸等)がある。
また、生体内分解性重合物とは、脂肪酸エステル重合体またはその共重合体、ポリアクリル酸エステル類、ポリヒドロキシ酪酸類、ポリアルキレンオキサレート類、ポリオルソエステル、ポリカーボネートおよびポリアミノ酸類が挙げられ、これらは1種類またはそれ以上混合して使用することができる。脂肪酸エステル重合体またはその共重合体とは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリブチレンテレフタレート・アジペートまたは乳酸−グリコール酸共重合体が挙げられ、これらは1種類またはそれ以上混合して使用することができる。その他に、ポリα−シアノアクリル酸エステル、ポリβ−ヒドロキシ酪酸、ポリトリメチレンオキサート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリγ−ベンジル−L−グルタミン酸、ポリビニルアルコール、ポリエステルカーボネート、ポリ酸無水物、ポリシアノアクリレート、ポリホスファゼンまたはポリL−アラニンの1種類またはそれ以上混合も使用することができる。好ましくは、ポリ乳酸、ポリグルコール酸または乳酸−グリコール酸共重合体であり、より好ましくは、乳酸−グリコール酸共重合体である。
本発明に使用されるこれらの生体内分解性高分子重合物の平均分子量は約2,000ないし約800,000のものが好ましく、より好ましくは約5,000ないし約200,000である。例えば、ポリ乳酸において、その重量平均分子量は約5,000から約100,000のものが好ましい。さらに好ましくは約6,000から約50,000である。ポリ乳酸は、自体公知の製造方法に従って合成できる。乳酸−グリコール酸共重合物においては、その乳酸とグリコール酸との組成比は約100/0から約50/50(W/W)が好ましく、特に約90/10から50/50(W/W)が好ましい。乳酸−グリコール酸共重合物の重量平均分子量は約5,000から約100,000が好ましい。さらに好ましくは約10,000から80,000である。乳酸−グリコール酸共重合物は、自体公知の製造方法に従って合成できる。また初期バーストを抑制するために、塩基性アミノ酸類(例えばアルギン酸等)等を添加しても良い。
本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子量をいう。
前記した生体内分解性高分子重合物は、本発明の目的が達成される限り、有効成分の薬理活性の強さと、目的とする薬物放出によって変えることができ、例えば当該生理活性物質に対して約0.2ないし10,000倍(質量比)の量で用いられ、好ましくは約1ないし1,000倍(質量比)、さらに好ましくは約1ないし100倍(質量比)の量で用いるのがよい。
本発明のマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノカプセルは、例えば水中乾燥法(例えば、o/w法、w/o法、w/o/w法等)、相分離法、噴霧乾燥法、超臨界流体による造粒法あるいはこれらに準ずる方法などが挙げられる。
以下に、水中乾燥法(o/w法)と噴霧乾燥法について、具体的な製造方法を記述する。
(1)水中乾燥法(o/w法)本方法においては、まず生体内分解性重合物の有機溶媒溶液を作製する。本発明のマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノカプセルの製造の際に使用する有機溶媒は、沸点が120℃以下であることが好ましい。有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム等)、脂肪族エステル(例、酢酸エチル等)、エーテル類、芳香族炭化水素、ケトン類(アセトン等)等が挙げられる。これらは2種以上適宜の割合で混合して用いてもよい。好ましい有機溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリルである。有機溶媒は、好ましくはジクロロメタンである。生体内分解性重合物の有機溶媒溶液中の濃度は、生体内分解性重合物の分子量、有機溶媒の種類などによって異なるが、一般的には約0.01〜約80%(v/w)から選ばれる。好ましくは約0.1〜約70%(v/w)、さらに好ましくは約1〜約60%(v/w)である。
このようにして得られた生体内分解性重合物の有機溶媒溶液中に、有効成分を添加し、溶解させる。この有効成分の添加量は、薬物の種類、血管形成作用および効果の持続時間等により異なるが、生体内分解性高分子重合物の有機溶媒溶液中の濃度として、約0.001%〜約90%(w/w)、好ましくは約0.01%〜約80%(w/w)、さらに好ましくは約0.3〜30%(w/w)である。
次いで、このようにして調製された有機溶媒溶液をさらに水相中に加えて、撹拌機、乳化機などを用いてo/wエマルジョンを形成させる。この際の水相体積は一般的には油相体積の約1倍〜約10,000倍から選ばれる。さらに好ましくは、約2倍〜約5,000倍から選ばれる。特に好ましくは、約5倍〜約2,000倍から選ばれる。前記外相の水相中に乳化剤を加えてもよい。乳化剤は、一般的に安定なo/wエマルジョンを形成できるものであれば何れでもよい。乳化剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチンなどが挙げられる。これらは適宜組み合わせて使用してもよい。外水相中の乳化剤の濃度は、好ましくは約0.001%〜約20%(w/w)である。さらに好ましくは約0.01%〜約10%(w/w)、特に好ましくは約0.05%〜約5%(w/w)である。
油相の溶媒の蒸発には、通常用いられる方法が採用される。その方法としては、撹拌機、あるいはマグネチックスターラー等で撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧して行なうか、ロータリーエバポレーターなどを用いて、真空度を調節しながら行なう。このようにして得られたマイクロスフェアは遠心分離法あるいはろ過して分取した後、マイクロスフェアの表面に付着している遊離の有効成分、乳化剤などを、例えば界面活性剤溶液またはアルコール等で数回繰り返し洗浄した後、再び、蒸留水または賦形剤(マンニトール、ソルビトール、ラクトース等)を含有した分散媒などに分散して凍結乾燥する。前記したo/w法においては、有効成分を生体内分解性重合物の有機溶媒溶液中に分散させる方法、すなわちs/o/w法によりマイクロスフェアを製造してもよい。
(2)噴霧乾燥法によりマイクロスフェアを製造する場合には、生体内分解性重合物と有効成分を溶解した有機溶媒またはエマルジョンを、ノズルを用いてスプレードライヤー装置(噴霧乾燥機)の乾燥室内へ噴霧し、きわめて短時間に微粒化液滴内の有機溶媒または水を揮発させマイクロスフェアを調製する。ノズルとしては、二液体ノズル型、圧力ノズル型、回転ディスク型等がある。このとき、所望により、o/wエマルジョンの噴霧と同時にマイクロスフェアの凝集防止を目的として、有機溶媒または凝集防止剤(マンニトール、ラクトース、ゼラチン等)の水溶液を別ノズルより噴霧することも有効である。このようにして得られたマイクロスフェアは、必要があれば加温し、減圧化でマイクロスフェア中の水分及び溶媒の除去をより完全に行なう。
フィルム製剤とは、前記の生体内分解性重合物と有効成分を有機溶媒に溶解した後、蒸留乾固し、フィルム状としたものまたは生体内分解性重合物と有効成分を適当な溶剤に溶かした後、増粒剤(セルロース類、ポリカーボネート類等)を加えて、ゲル化したもの等がある。
本発明のマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノスフェアは、例えばそのまま、あるいは球状、棒状、針状、ボルト状、糸状、ペレット状、フイルム状、クリーム状の医薬組成物を原料物質として種々の剤型に製剤化することもできる。
また、この製剤を用いて、局所投与用の非経口剤(例えば、筋肉内、皮下、皮内、心筋内、腹腔内、気管支内、血管内、肺胞内、血管内皮損傷部位、脳内、髄内、硬膜内、硬膜外、関節内、脊椎内、骨部位、歯周部位および各種臓器内などへの注射剤、埋め込み剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、懸濁剤等の液剤、貼付剤、フィルム製剤、軟膏剤等、医療用具(ステント、ボルト、縫合糸等)に有効成分を含有させた医療用具含有剤、またはコーティングしたコーティング剤等)などとして投与することもできる。また、血管カテーテル等を用いて、例えば、心筋虚血部等に直接投与することが出来る。
例えば、マイクロスフェアを注射剤とするには、マイクロスフェアを分散剤、保存剤、等張化剤、緩衝剤、pH調整剤等と共に水性懸濁剤とすることにより実用的な注射用製剤が得られる。また、植物油あるいはこれにレシチンなどのリン脂質を混合したもの、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール812等)と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用できる注射剤とする。
マイクロスフェアの粒子径は、例えば懸濁注射剤として使用する場合にはその分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例えば平均粒子径として約0.1〜約300μmの範囲が挙げられる。好ましくは、約1〜150μm、さらに好ましくは、約2〜100μmの範囲の粒子径である。本発明の医薬組成物は、前記のように懸濁液であることが好ましい。本発明の医薬組成物は微粒子状であることが好ましい。なぜならばその医薬組成物は、通常の皮下あるいは筋肉内注射に使用される注射針を通して投与される方が、患者に対し過度の苦痛を与えることがないからである。本発明の医薬組成物は特に注射剤として好ましい。マイクロスフェアを無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明の医薬組成物は、有効成分の作用が徐放性を有し、生体内分解性重合物の種類、配合量などによりその徐放期間は異なるが、通常1週から3カ月の徐放期間を有するので、(虚血性)臓器障害部において各種内因性修復因子を産生促進させることにより、幹細胞の分化誘導促進剤や血管新生促進剤として用いることができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、有効成分の種類と含量、剤型、薬物放出の持続時間、投与対象動物などにより異なるが、有効成分の有効量であればよい。例えばマイクロスフェアとして虚血部位に使用する場合、1回当りの投与量として、成人(体重50kg)当たり、有効成分として約0.001mgから500mg、好ましくは約0.01mgから50mgを1日ないし3カ月に1回投与すればよい。
また、ASO、バージャー病または糖尿病性神経障害等の手足の冷感、しびれ感、間歇性跛行、安静時疼痛または皮膚潰瘍等に対しては、例えば本発明の薬剤またはその持続性製剤を疾患部位またはその近傍に1日〜4週間に1回程度連続的に筋肉内投与することが好ましい。
心筋梗塞、狭心症等に対しては、例えば本発明の薬剤またはその持続性製剤を心筋虚血部またはその近傍に直接筋肉内投与を行なうことが好ましく、投与は開胸下直接、または針付き血管カテーテル等を用いて筋注することが好ましい。投与期間は例えば1日〜4週間に1回程度連続的に筋肉内投与することが好ましい。
骨粗鬆症、歯周組織損傷、骨折、変形性関節炎等に対しては、本発明の薬剤またはその持続性製剤を単独、または骨セメント、関節潤滑剤、または補綴用具等に混合して、疾患部位またはその近傍に局所に投与することが好ましい。
肺高血圧症、COPD等に対しては、本発明の薬剤またはその持続性製剤を吸入用液剤、または吸入用粉末剤として吸入することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、化合物1((E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸)の管腔形成促進作用の測定結果を示す。
図2は、製剤例1で製造したマイクロスフェア製剤のリリース試験結果を示す。
図3は、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤のリリース試験結果を示す。
図4は、製剤例3で製造したマイクロスフェア製剤のリリース試験結果を示す。
図5は、化合物3((5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸)および化合物4((11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸)の管腔形成促進作用の測定結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の実施例として薬理試験を示すが、これは本発明をよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。なお、本発明化合物を評価するための測定法は以下の如く測定精度の向上および測定感度の改良を加えたものである。
実施例1:血管新生促進作用の測定(in vitro)
[実験方法]
血管新生キット(倉敷紡績株式会社製;正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞と正常ヒト皮膚線維芽細胞から構成)を3時間培養し、その後に培養液(培養液は血管新生キットに付属する血管新生専用培地を使用し、37℃、5%二酸化炭素−95%空気、湿潤環境で培養し、培養機器は炭酸ガス培養器BNA−121Dを使用した。)を交換することにより、各ウエルに被験薬を添加した(0.5mL/well)。培養開始3、6および8日後にも培養液交換を行なうことにより新しい被験薬を添加した。被験薬の種類および濃度は、無処置、溶媒(DMSO)0.1%、化合物1 10−9、10−8および10−7mol/L、VEGF−A 0.1、1および10ng/mL、HGF 0.1、1および10ng/mLとし、各濃度について3ウエルずつを用いて培養した。培養開始10日後に固定を行ない、管腔染色キット(倉敷紡績株式会社製)を用いて抗CD31抗体により管腔の染色を行なった。評価は、Chalkley Grid(グリッドレンズ、倉敷紡績株式会社)を顕微鏡の接眼レンズに装着しChalkley Gridのランダムに配置された点と形成された管腔との交点をカウントすることにより管腔形成を評価した(評価方法はJ Pathol.,177,275−283(1995)参照した。)。カウントは1ウエルあたり12箇所行ない、その和を求めた。
被験薬としては、化合物1((E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸)をジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4、10−5および10−6mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
VEGF−A(Vascular endothelial growth factor−A)は、倉敷紡績株式会社の血管新生コントロール試薬キットに含まれるVEGF2μg/mL液を培養液で希釈して使用した。
HGF(Human hepatocyte growth factor)は、R&D system社−フナコシ株式会社から購入したHGF 5μg/mL液を培養液で希釈して使用した。
[統計解析方法]
無処置のウエルの管腔形成のカウントと各濃度の被験薬を処置したウエルのそれとをDunnett検定(両側検定)により比較した。有意水準は5%とした。
なお、データは3ウエルの平均値と標準偏差で示した。
実験結果を図1に示す。
[結果]
化合物1は10−8および10−7mol/Lにおいて統計学的に有意に管腔形成を促進した。また、VEGF−AおよびHGFは10ng/mLの濃度で管腔形成を促進した。以上の結果から、化合物1はヒト血管内皮細胞とヒト繊維芽細胞の共培養の系において陽性対照薬であるVEGF−AやHGFに匹敵する強さの血管新生促進作用を有することが明らかとなった。
実施例2:内因性修復因子(HGF、VEGF)蛋白産生作用の測定(in vitro)
[実験方法]
血管新生キット(倉敷紡績株式会社製;正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞と正常ヒト皮膚線維芽細胞から構成)を3時間培養し、その後に培養液(培養液は血管新生キットに付属する血管新生専用培地を使用し、37℃、5%二酸化炭素−95%空気、湿潤環境で培養し、培養機器は炭酸ガス培養器BNA−121Dを使用した。)を交換することにより、各ウエルに被験薬を添加した(0.5mL/well)。被験薬および濃度は溶媒(DMSO)0.1%、化合物1 10−7mol/Lとし、各3ウエルずつ用いて培養した。培養開始前、開始後1、2、6、24、48および72時間後に培養上清を採取した。培養上清中のHGFおよびVEGF蛋白濃度はELISAキット(R&D system−フナコシ株式会社)を用いて測定した。
被験薬としては、化合物1((E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸)をジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
[統計解析方法]
溶媒対象のウエルと被験薬を処置したウエルのそれとをDunnett検定(両側検定)により比較した。有意水準は5%とした。
なお、データは3ウエルの平均値と標準偏差で示した。
培養72時間後の実験結果を表1に示す。

[結果]
化合物1は10−7mol/Lの濃度の72時間培養において溶媒対照に比して統計学的に有意にHGF蛋白およびVEGF蛋白の産生を促進した。
実施例3:持続性製剤の製造
製剤例1
ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(以下、PLGAと略記する)(ポリ乳酸:グリコール酸=1:1(モル%)、重量平均分子量40,000、PLGA5−1、三井化学製)100mgと化合物1(5mg)のジクロロメタン(1mL)溶液を調製した。TKロボミックス(特殊機化、MARK II 2.5型)を用いて、5,000rpmで撹拌した0.1%ポリビニルアルコール(ナカライテスク株式会社)水溶液(pH3.0、1N塩酸により調整)300mL中に、上記で調製した溶液を加え、室温で3分間撹拌し、O/Wエマルジョンとした。このO/Wエマルジョンを室温で2時間撹拌し、ジクロロメタンを揮発させ、油相を固化させた後、遠心分離器(日立、05PR−22)を用いて、3,000rpmで10分間遠心分離した。上清を除き、注射用蒸留水(35mL)で分散後、遠心分離器を用いて、3,000rpmで10分間遠心分離した。上清を除き、0.2%Tween80液(35mL)で分散後、遠心分離器を用いて、3,000rpmで10分間遠心分離した。上清を除き、注射用蒸留水(35mL)で分散後、再び遠心分離器を用いて、3,000rpmで10分間遠心分離した。最終的に上清を除き、沈殿物をドライアイス−メタノールに浸し、凍結後、減圧下で乾燥させることによって、化合物1のマイクロスフェア製剤を製造した。
製剤例2
ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(以下、PLGAと略記する)(ポリ乳酸:グリコール酸=1:1(モル%)、重量平均分子量20,000、PLGA5020、和光純薬工業株式会社)100mgと化合物1(5mg)のジクロロメタン(1mL)溶液を調製した。それ以降の操作は製剤例1と同様に行なうことにより、化合物1のマイクロスフェア製剤を製造した。
製剤例3
ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(以下、PLGAと略記する)(ポリ乳酸:グリコール酸=1:1(モル%)、重量平均分子量40,000、PLGA5−1、三井化学製)100mgと化合物1(5mg)のジクロロメタン(3mL)溶液を調製した。それ以降の操作は製剤例1と同様に行なうことにより、化合物1のマイクロスフェア製剤を製造した。
製剤試験例1:封入効率測定
製剤例1、2および3で製造したマイクロスフェア(それぞれ約10mg)に適当な内部標準含有のアセトニトリル溶液を加えて、超音波処理し、溶解した。この各溶液中の化合物1の含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、マイクロスフェア中の化合物1の封入効率を次式により算出した。
封入効率(%)=(測定含有量/理論上の含有量)×100
その結果、製剤例1のマイクロスフェア製剤は70.9%の封入効率であり、製剤例2のマイクロスフェア製剤は100%の封入効率であり、製剤例3のマイクロスフェア製剤は74.3%の封入効率であった。
製剤試験例2:in vitroリリース試験
製剤例1、2および3で製造したマイクロスフェア製剤を、薬物として100μg/mLになるように0.2%Tween80 1/15M pH6.8リン酸緩衝液に加えて、超音波処理とボルテックスにて均一に分散させた。1mLずつ容器に小分けして充填し、37℃恒温槽に入れた。経時的に容器ごとサンプリングを行なって12,000rpmで5分間遠心分離し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってペレット中のマイクロスフェア内の化合物1の残存量を測定した。
製剤例1で製造したマイクロスフェア製剤の結果を図2に、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤の結果を図3に、製造例3で製造したマイクロスフェア製剤の結果を図4に示す。
なお、図2、3および4中の残存率とは、イニシャルに対する、マイクロスフェア中に残存している化合物1の比率を意味する。
その結果、製剤例1のマイクロスフェア製剤は14日間で約40%をリリースした。製剤例2のマイクロスフェア製剤は約10日間で全量をリリースした。製剤例3のマイクロスフェア製剤は28日間で約60%をリリースした。
実施例4:ラット下肢虚血(閉塞性動脈硬化症(ASO))モデルを用いた血管新生試験(in vivo試験)
ラット左大腿動静脈を結紮し、下肢虚血モデルを作製した。作製2週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、血流量の平均値がほぼ均等になるよう6群(n=5)に群分けした。
群分け翌日より被験液を1週間に1回、計4回、左大腿部内転筋に0.1mL/site、2site被験物質を筋肉内投与した。最終投与終了日から1週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、処置足(左足)と無処置足(右足)の血流量を比較検討した。処置足/無処置足(%)結果を表2に示す。
なお、被験液の構成は以下の通りである。
溶媒(Control)群:0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)。
ポリマー(Polymer)群:製剤例2で使用したポリ乳酸−グリコール酸共重合体を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。なお、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体の量は、化合物1MS(1mg)に含まれる量と同じである。
化合物1(1mg)群:化合物1(1mg)を0.2w/v% Tween 80溶液(0.2mL)に懸濁した。
化合物1MS(0.01mg)群:化合物1が0.01mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。
化合物1MS(0.1mg)群:化合物1が0.1mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。
化合物1MS(1mg)群:化合物1が1mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。

[結果]
化合物1(1mg)のみの投与でもControlに対し、有意な血流量の回復が見られたが、化合物1のマイクロスフェア(MS)製剤(製剤例2)を投与することにより、化合物1(1mg)に比し、さらに強力な血流量改善効果が認められた。
化合物1MS製剤はポリマー群に比し、用量相関的に血流量改静効果が認められ、化合物1MS(0.1mg)および化合物1MS(1mg)においては有意な血流量改善効果作用が認められた。
実施例5:ラット下肢虚血(閉塞性動脈硬化症(ASO))モデルを用いた血管新生試験;最小有効投与量の決定(in vivo試験)
ラット左大腿動静脈を結紮し、下肢虚血モデルを作製した。作製1週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、血流量の平均値がほぼ均等になるよう4群(n=5)に群分けした。
群分け翌日より被験液を1週間に1回、計4回、左大腿部内転筋(ポリマー群、化合物1MS群)に0.1mL/site、2site被験物質を筋肉内投与した。最終投与終了日から1週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、処置足(左足)と無処置足(右足)の血流量を比較検討した。処置足/無処置足(%)結果を表3に示す。
なお、被験液の構成は以下の通りである。
ポリマー(Polymer)群:製剤例2で使用したポリ乳酸−グリコール酸共重合体を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。なお、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体の量は、化合物1MS(0.1mg)に含まれる量と同じである。
化合物1MS(0.03mg)群:化合物1が0.03mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。
化合物1MS(0.1mg)群:化合物1が0.1mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。
化合物1MS(0.3mg)群:化合物1が0.3mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。

[結果]
化合物1のマイクロスフェア(MS)製剤はポリマー群に比し、用量相関的に血流量改善効果が認められ、化合物1MS(0.03mg)から有意な血流量改善効果作用が認められた。よって、実施例4により化合物1MS(0.01mg)では有意な血流量改善効果作用が認められなかったことから、最小有効投与量は0.03mgと示唆された。
実施例6:ラット下肢虚血(閉塞性動脈硬化症(ASO))モデルを用いた血管新生試験;局所投与の有用性(in vivo試験)
ラット左大腿動静脈を結紮し、下肢虚血モデルを作製した。作製1週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、血流量の平均値がほぼ均等になるよう4群(n=5)に群分けした。
群分け翌日より被験液を1週間に1回、計4回、左大腿部内転筋の虚血部(ポリマー群、化合物1群、化合物1MS群)および右肩上腕部の正常部(化合物1MS群)に0.1mL/site、2site被験物質を筋肉内投与した。最終投与終了日から1週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、処置足(左足)と無処置足(右足)の血流量を比較検討した。処置足/無処置足(%)結果を表4に示す。
なお、被験液の構成は以下の通りである。
ポリマー(Polymer)群:製剤例2で使用したポリ乳酸−グリコール酸共重合体を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。なお、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体の量は、化合物1MS(1mg)に含まれる量と同じである。
化合物1(0.1mg)群:化合物1(0.1mg)を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。
化合物1MS(0.1mg)群:化合物1が0.1mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。

[結果]
化合物1MS(0.1mg)の右正常上腕部への筋肉内投与は有意な血流量の増加は認められなかったが、同量の左虚血大腿部への筋肉内投与は有意な血流量の増加が認められた。このことより、化合物1の有効性は血流を介したものではなく、虚血部位への局所投与の重要性が示唆された。また、化合物1の虚血部位への局所投与では有意な血流量の増加作用は認められず、持続性製剤(MS)の有効性が示唆された。
実施例7:ラット下肢虚血(閉塞性動脈硬化症(ASO))モデルを用いた血管新生試験;血管拡張作用と血管新生促進作用(in vivo試験)
ラット左大腿動静脈を結紮し、下肢虚血モデルを作製した。作製1週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、血流量の平均値がほぼ均等になるよう2群(n=5)に群分けした。
群分け翌日より被験液を1週間に1回、計4回、左大腿部内転筋(ポリマー群、化合物1MS群)に筋肉内投与した。2回目投与3日後(群分け後10日目)、最終投与終了日から1週間後および2週間後にLaser Doppler Imager(Moor Instruments)を用いて後肢の血流量を測定し、処置足(左足)と無処置足(右足)の血流量を比較検討した。処置足/無処置足(%)結果を表5に示す。
なお、被験液の構成は以下の通りである。
ポリマー(Polymer)群:製剤例2で使用したポリ乳酸−グリコール酸共重合体を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。なお、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体の量は、化合物1MS(0.3mg)に含まれる量と同じである。
化合物1MS(0.3mg)群:化合物1が0.3mg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.2mL)に懸濁した。

[結果]
化合物1MS(0.3mg)は、初回投与後10日目(2回目投与3日後)においても虚血部位でポリマー投与に比し、10%程度の有意な血流量の増加が認められた。血管新生には4週間程度の期間が必要なこと、および2回目投与3日後では化合物1が虚血局所で放出中であることから、この改善効果はスローリリースされた化合物1の血管拡張作用および血小板凝集抑制作用等の直接作用による血流量増加効果であることが示唆された。また、最終投与後1週間および2週間においても共に11%程度の有意な血流量増加作用を示した。このことは、最終投与1週間後においてはマイクロスフェア製剤からの化合物1のリリースは完全に消失していると考えられ、この効果は化合物1の直接作用(血管拡張作用、血小板凝集抑制作用等)ではなく、血管新生作用による効果であることが示唆された。
実施例8:マウススポンジ移植モデルを用いた血管新生試験(in vivo試験)
麻酔下、マウスの背部を切開し、円盤状ウレタンスポンジ(厚さ約5mm、直径13mm)を埋め込んだ。薬剤投与はスポンジ移植モデル作製日(手術終了後)から1日1回、計14回、または手術終了日および7日後の計2回、直接スポンジ内に局所投与した。スポンジ移植後15日後に、肉芽組織を含むスポンジを摘出し、肉眼観察後、湿質量を測定した。また、湿質量の4倍量の蒸留水を加えホモジナイズし、遠心分離後、上清をヘモグロビンβ−テストワコー(和光純薬製)を用いて、ヘモグロビン含量を測定した。摘出されたスポンジ内の総ヘモグロビン含量の結果を表6に示す。
なお、被験液の構成は以下の通りである。
ポリマー(Polymer)群:製剤例2で使用したポリ乳酸−グリコール酸共重合体を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。なお、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体の量は、化合物1MS(200μg)に含まれる量と同じである。
化合物1(20μg)群:化合物1(20μg)を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。
化合物1(40μg)群:化合物1(40μg)を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。
化合物1(200μg)群:化合物1(200μg)を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。
化合物1MS(200μg)群:化合物1が200μg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。
化合物1MS(400μg)群:化合物1が400μg含まれる、製剤例2で製造したマイクロスフェア製剤を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。
化合物3(20μg)群:化合物3(20μg)を0.2w/v% Tween80溶液(0.05mL)に懸濁した。

[結果]
化合物1MS(200μg)(7日間隔2回投与)および化合物1MS(400μg)(7日間隔2回投与)が投与されたスポンジは、肉芽形成が認められ、淡赤色、赤色または暗褐色を呈していた。また、スポンジに形成された肉芽組織中ヘモグロビン濃度を測定した結果、ポリマー群と比較し有意なヘモグロビン濃度の増加が観察され、血管新生効果が認められた。一方、化合物1(20μg)(14日間反復投与)および化合物1(40μg)(14日間反復投与)においては、スポンジに形成された肉芽組織中ヘモグロビン濃度は増加傾向にあったが、有意な増加ではなかった。また、化合物1(200μg)(7日間隔2回投与)においては、スポンジに形成された肉芽組織中ヘモグロビン濃度は全く増加していなかった。このことから、血管新生を誘導するには化合物1のスローリリース製剤(化合物1MS)が特に有用であることがわかった。また、化合物3(20μg)(14日間反復投与)が投与されたスポンジは、肉芽形成が認められ、淡赤色、赤色または暗褐色を呈していた。また、スポンジに形成された肉芽組織中ヘモグロビン濃度を測定した結果、ポリマー群と比較し有意なヘモグロビン濃度の増加が観察され、血管新生効果が認められた。
実施例9:血管新生促進作用の測定(in vitro)
[実験方法]
血管新生キット(倉敷紡績株式会社製;正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞と正常ヒト皮膚線維芽細胞から構成)を3時間培養し、その後に培養液(培養液は血管新生キットに付属する血管新生専用培地を使用し、37℃、5%二酸化炭素−95%空気、湿潤環境で培養し、培養機器は炭酸ガス培養器BNA−121Dを使用した。)を交換することにより、各ウエルに被験薬を添加した(0.5mL/well)。培養開始3、6および8日後にも培養液交換を行なうことにより新しい被験薬を添加した。被験薬の種類および濃度は、無処置;DMSO:0.1%;α−CD:0.0118、0.118および1.18mg/mL;PGE2−αCD:1、10および100nmol/L;化合物3(EP2アゴニスト)、化合物4(EP4アゴニスト)、EP1アゴニストおよびEP3アゴニスト:1、10および100nmol/L;VEGF:0.1、1および10ng/mL;HGF:0.1、1および10ng/mLとし、各濃度について3ウエルずつを用いて培養した。培養開始10日後に固定を行い、管腔染色キット(倉敷紡績株式会社製)を用いて抗CD31抗体により管腔の染色を行なった。評価は、Chalkley Grid(グリッドレンズ、倉敷紡績株式会社)を顕微鏡の接眼レンズに装着しChalkley Gridのランダムに配置された点と形成された管腔との交点をカウントすることにより管腔形成を評価した(評価方法はJ Pathol.,177,275−283(1995)参照した。)。カウントは1ウエルあたり12箇所行ない、その和を求めた。
なお、EP2アゴニストである化合物3((5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4、10−5および10−6mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
EP4アゴニストである化合物4((11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4、10−5および10−6mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
EP1アゴニスト((13E)−(11α,15S,17S)−2,5−エタノ−6,9−ジオキソ−11,15−ジヒドロキシ−17,20−ジメチルプロスタ−13−エン酸;特開平11−322709号明細書実施例1記載化合物)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4、10−5および10−6mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
EP3アゴニスト(11α,15α−ジメトキシ−9−オキソプロスタ−5Z,13E−ジエン酸;WO98/34916号明細書実施例1記載化合物)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4、10−5および10mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
PGE2−αCDは、注射用水に溶解して、10−4、10−5および10−6mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
VEGF(Vascular endothelial growth factor)は、倉敷紡績株式会社の血管新生コントロール試薬キットに含まれるVEGF2μg/mL液を培養液で希釈して使用した。
HGF(Human hepatocyte growth factor)は、R&D system社−フナコシ株式会社から購入したHGF5μg/mL液を培養液で希釈して使用した。
[統計解析方法]
無処置のウエルの管腔形成のカウントと各濃度の被験薬を処置したウエルのそれとをDunnett検定(両側検定)により比較した。有意水準は5%とした。
なお、データは3ウエルの平均値と標準偏差で示した。
実験結果を図5に示す。
[結果]
PGE2−αCD、化合物3(EP2アゴニスト)および化合物4(EP4アゴニスト)は10nmol/Lおよび100nmol/Lの濃度で有意に管腔形成を促進した。また、VEGFおよびHGFは10ng/mLの濃度で管腔形成を促進した。しかし、EP1アゴニスト、EP3アゴニストおよびα−CDは管腔形成には影響を与えなかった。
実施例10:内因性修復因子放出作用の測定(in vitro)
[実験方法]
血管新生キット(倉敷紡績株式会社製;正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞と正常ヒト皮膚線維芽細胞から構成)を3時間培養し、その後に培養液(培養液は血管新生キットに付属する血管新生専用培地を使用し、37℃、5%二酸化炭素−95%空気、湿潤環境で培養し、培養機器は炭酸ガス培養器BNA−121Dを使用した。)を交換することにより、各ウエルに被験薬を添加した(0.5mL/well)。培養開始3日後に培養上清中のHGFおよびVEGF濃度を測定した。被験薬の種類および濃度は、無処置;DMSO:0.1%;PGE1−αCD:100nmol/L;PGE2−αCD:100nmol/L;化合物3(EP2アゴニスト)および化合物4(EP4アゴニスト):100nmol/L濃度について3ウエルずつを用いて培養した。HGFおよびVEGF濃度はELISAキット(R&D system社−フナコシ株式会社)を用いて測定した。
なお、EP2アゴニストである化合物3((5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
EP4アゴニストである化合物4((11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して、10−4mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
PGE1−αCDおよびPGE2−αCDは、注射用水に溶解して、10mol/L溶液を調整後、培養液で1/1000倍に希釈して使用した。
[統計解析方法]
溶媒対照群と被験薬を処置した上清中のHGFおよびVEGF濃度をDunnett検定(両側検定)により比較した。有意水準は5%とした。
なお、データは3ウエルの平均値と標準偏差で示した。
培養72時間後の実験結果を7に示す。

[結果]
PGE1−αCD、PGE2−αCD、化合物3(EP2アゴニスト)および化合物4(EP4アゴニスト)は100nmol/Lの濃度で上清中のHGFおよびVEGF濃度を有意に上昇させた。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上を含有する内因性修復因子産生促進剤。
【請求項2】
内因性修復因子が、血管内皮細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子−β、血小板由来増殖因子、骨形成蛋白質または上皮細胞増殖因子である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項3】
幹細胞分化誘導剤である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項4】
血管新生促進剤である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項5】
さらに、生体内分解性重合物を含有する持続性製剤である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項6】
持続性製剤が、マイクロスフェア製剤、マイクロカプセル製剤、またはナノスフェア製剤である請求の範囲5記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項7】
臓器障害の予防および/または治療剤である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項8】
臓器障害が、虚血性臓器障害、肝疾患、腎疾患、肺疾患、膵疾患、骨疾患、消化器疾患、神経変性疾患、糖尿病性合併症、血管内皮細胞障害、心疾患、歯科疾患、褥瘡、緑内障、または脱毛である請求の範囲7記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項9】
虚血性臓器障害が、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病、心筋梗塞、狭心症、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、脳血管障害、脳梗塞、肺高血圧症、骨折、またはアルツハイマー病である請求の範囲8記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項10】
PGI2アゴニストが、一般式(I)

を表わし、
は、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル基、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(v)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(vi)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)C1〜8アルキル基、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(iv)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(v)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
eは3〜5の整数を表わし、fは1〜3の整数を表わし、pは1〜4の整数を表わし、qは1または2を表わし、rは1〜3の整数を表わす。

は、−(CH−および=CH−(CH−は、環上のaまたはbの位置に結合するものとし、RおよびR中の環は、1個から3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基で置換されていてもよいとする。)
で示される化合物またはその塩である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項11】
PGI2アゴニストが、
(1)(E)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸、または
(2)(Z)−[5−[2−[1−フェニル−1−(3−ピリジル)メチリデンアミノオキシ]エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ]酢酸である請求の範囲10記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項12】
PGI2アゴニストが、
(1)(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸トリウム塩、
(2)5−{(3aR,4R,6aS)−5−ヒドロキシ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−3−(シス−4−プロピルシクロヘキシル)プロプ−1−エニル]−3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−2−イル}ペンタン酸メチルエステル、または
(3)(5E)−5−[(3aS,4R,5R,6aS)−4−[(1E,3S)−3−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロプ−1−エニル]−5−ヒドロキシヘキサヒドロペンタレン−2(1H)−イリデン]ペンタン酸である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項13】
EP2アゴニストが、一般式(I−a)

(式中、Rは、カルボキシ基またはヒドロキシメチル基を表わし、
1aは、オキソ基、メチレン基またはハロゲン原子を表わし、
2aは、水素原子、水酸基、またはC1〜4アルコキシ基を表わし、
3aは、水素原子、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基、または1〜3個の以下の(1)〜(5)の基で置換されているC1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基またはC2〜8アルキニル基を表わし:(1)ハロゲン原子、(2)C1〜4アルコキシ基、(3)C3〜7シクロアルキル基、(4)フェニル基、または(5)1〜3個のハロゲン原子、C1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基で置換されているフェニル基;
naは0または1〜4の整数を表わし、

ただし、(1)5−6位が三重結合を表わすとき、13−14位は三重結合を表わさない。(2)13−14位が二重結合を表わすとき、その二重結合はE体、Z体またはEZ体の混合物を表わす。)
で示される化合物、その塩、そのプロドラッグまたはそのシクロデキストリン包接化合物である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項14】
EP2アゴニストが(5Z,9β,11α,13E)−17,17−プロパノ−11,16−ジヒドロキシ−9−クロロ−20−ノルプロスタ−5,13−ジエン酸である請求の範囲13記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項15】
EP4アゴニストが一般式(I−b)

(式中、R1bは、水酸基、C1〜6アルコキシ基、またはNR6b7b基(基中、R6bおよびR7bは独立して、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わす。)を表わし、
2bは、オキソ基、ハロゲン原子またはO−COR8b基(基中、R8bは、C1〜4アルキル基、フェニル基またはフェニル(C1〜4アルキル)を表わす。)を表わし、
3bは、水素原子または、水酸基を表わし、
4abおよびR4bbは、それぞれ独立して、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
5bは、以下のi)〜iv)の基で置換されているフェニル基を表わす:
i)1〜3個の
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルケニルオキシ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルキニルオキシ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキルオキシ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキル(C1〜4アルコキシ)−C1〜4アルキル、
フェニルオキシ−C1〜4アルキル、
フェニル−C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルケニルチオ−C1〜4アルキル、
C2〜4アルキニルチオ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキルチオ−C1〜4アルキル、
C3〜7シクロアルキル(C1〜4アルキルチオ)−C1〜4アルキル、
フェニルチオ−C1〜4アルキル、または
フェニル−C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキル、
ii)C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル、
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシ、
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびヒドロキシ、
C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキルおよびハロゲン、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシ、
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびヒドロキシ、または
C1〜4アルキルチオ−C1〜4アルキルおよびハロゲン、
iii)ハロアルキル、またはヒドロキシ−C1〜4アルキル、または
iv)C1〜4アルキルおよびヒドロキシ;

ただし、R2bがO−COR8b基である場合、8−9位は二重結合を表わす。)で示される化合物、その塩、またはそのシクロデキストリン包接化合物である請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項16】
EP4アゴニストが、
(1)(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸、または
(2)(11α,13E,15α)−9−オキソ−11,15−ジヒドロキシ−16−(3−メトキシメチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノル−5−チアプロスト−13−エン酸メチルエステルである請求の範囲15記載の内因性修復因子産生促進剤。
【請求項17】
PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における内因性修復因子産生を促進する方法。
【請求項18】
PGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における臓器障害の予防および/または治療方法。
【請求項19】
内因性修復因子産生促進剤を製造するためのPGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の使用。
【請求項20】
臓器障害の予防および/または治療剤を製造するためのPGI2アゴニスト、EP2アゴニスト、およびEP4アゴニストから選択される1種または2種以上の使用。
【請求項21】
請求の範囲1記載の内因性修復因子産生促進剤と抗血栓剤、循環改善剤、気管支平滑筋拡張剤、抗炎症剤、局麻剤、鎮痛剤、骨セメント、間接潤滑剤、PG誘導体、内因性修復因子蛋白、内因性修復因子遺伝子、および幹細胞から選ばれる1種または2種以上とを組み合わせてなる医薬組成物。

【国際公開番号】WO2004/032965
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501023(P2005−501023)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012981
【国際出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】