内圧防爆型測定機器

【課題】電池を内蔵ぜす、かつ停電復帰後にユーザーによる時刻設定を行わないで、測定値と測定時刻を出力する内圧防爆型測定機器の提供を目的とする。
【解決手段】測定値とこの測定値の測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器100において、外部の時刻発生装置200、210から定期的に時刻情報を受信する時刻受信部110と、測定値を求め、時刻受信部110によって受信された時刻情報を測定時刻として取得する測定値演算部120と、測定値演算部120によって求められた測定値および取得された測定時刻を記憶する記憶部130と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定値と測定時刻を出力する内圧防爆型測定機器に関し、特に、内蔵電池によるバックアップに頼らずに測定時刻を得ることができる内圧防爆型測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
測定機器には様々な種類の機器が存在するが、その一種である分析計にはプロセスガスクロマトグラフ分析計などが知られている。このような分析計の内部を動作させるための電源に、外部から供給される外部電源および内蔵された電池の両方が用いられる。
【0003】
被測定対象を分析するためのセンサ、測定値を演算するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)、タイマーおよび出力回路などは、外部電源から電源が供給されて動作する。タイマーは、測定時刻を得るために用いられ、停電によって外部電源からの電源供給が断たれた場合、内蔵電池から電源供給を受けて動作を継続する。
【0004】
このようなタイマーが必要なのは以下の理由による。プロセスガスクロマトグラフ分析計は、被測定ガスをゆっくり移動させて測定するので、測定周期が30分と長くなる場合がある。
【0005】
このため、ユーザーは、出力または表示された測定値がいつ測定されたのかを示す測定時刻を知りたいという要求がある。この要求に基づいて、分析計は測定値とその測定時刻とを記憶し、出力を行う。
【0006】
分析計は、タイマーがカウントしたカウント値を用いて測定時刻を得ている。そして、タイマーが外部電源のみから電源供給を受けていると、停電時にカウントを継続できず、正確な測定時刻が得られなくなってしまう。このため、上述したように、タイマーは、停電時に内蔵電池から電源供給を受けてカウントを継続し、正確な測定時刻を得られるようにしている。
【0007】
停電時に、タイマーへの電源供給が、外部電源から内蔵電池に切り替わる動作について、図2の構成図を用いて説明する。図2は、タイマー、電池などを含む内圧防爆型測定機器1(分析計)の構成図を示す。
【0008】
図2において、外部電源(図示しない)からの供給電圧をVDとし、電圧VDと電池2の電池電圧とは等しい。外部電源から供給されている間、PNPトランジスタ4はオフ(遮断)し、タイマー3は電圧VDによって駆動されてカウントを行う。
【0009】
つぎに、停電した場合、電圧VDはゼロボルトに低下するので、PNPトランジスタ4はオン(導通)する。そして、電池2の電池電圧は、抵抗5およびPNPトランジスタ4を介してタイマー3に供給され、タイマー3はカウントを継続する。このように、停電中および停電から復帰してもカウントは継続されるので、正確な測定時刻を得ることができる。
【0010】
なお、特許文献1には、時間計測に用いられるクロック発生器と電池とを備えた分析計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平5−62876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、電池を内蔵することによって、定期的な電池交換を必要とすること、また、電池からの液漏れが発生した場合、他の回路などに腐食などを発生させ最悪火災などの事故に至る、という問題がある。
【0013】
さらに、内圧防爆型測定機器では、電池の有する電気エネルギーによって周囲に爆発を発生させないという防爆要件を満足するために、電池や電池で駆動するタイマーなどの回路と他の回路とを離さなければならない(沿面距離、空間距離の確保)。このため、内部回路の占有面積が大きくなり、内圧防爆型測定機器が大型になるという問題がある。
【0014】
このような問題を避けるために電池を内蔵しないことも考えられるが、電池を内蔵しない場合、停電時にタイマーは動作しないので、停電復帰後、ユーザーは時刻を再設定しなければならないという問題がある。
【0015】
本発明は、電池を内蔵ぜす、かつ停電復帰後にユーザーによる時刻設定を行わないで、測定値と測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するために、請求項1の発明は、
測定値とこの測定値の測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器において、
外部の時刻発生装置から定期的に時刻情報を受信する時刻受信部と、
前記測定値を求め、前記時刻受信部によって受信された前記時刻情報を前記測定時刻として取得する測定値演算部と、
前記測定値演算部によって求められた前記測定値および取得された前記測定時刻を記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、
外部の電源発生装置から入力された電源を安定化して前記内圧防爆型測定機器の各部に供給する電源部と、この電源部から前記各部に供給される電圧の起動を検出する起動検出部とを備え、
前記測定値演算部は、前記起動検出部によって検出された起動検出信号を受け取った後、前記測定値を求める前に、前記時刻受信部によって受信された前記時刻情報を起動時刻として取得し、
前記記憶部は、前記測定値演算部によって取得された前記起動時刻を記憶する、
ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記電源部は、前記内圧防爆型測定機器の内部圧力が所定値以上の場合、前記外部の電源発生装置から前記電源が入力され、前記所定値以下の場合、前記電源が入力されない、
ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、
前記時刻受信部は、前記外部の時刻発生装置として、グローバルポジショニングシステム用通信衛星または標準電波局から定期的に前記時刻情報を受信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部の時刻発生装置から定期的に時刻情報を受信し、この時刻情報を用いて測定時刻とすることによって、電池を内蔵ぜす、かつ停電復帰後にユーザーによる時刻設定を行わないで、測定値と測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した内圧防爆型測定機器と外部電源発生装置の構成図の例である。
【図2】背景技術で示した内圧防爆型測定機器の構成図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施例を適用した内圧防爆型測定機器について、図1を用いて説明する。図1は内圧防爆型測定機器100と外部電源発生装置300との構成図である。
【0020】
図1において、内圧防爆型測定機器100は、時刻受信部110、測定値演算部(CPU)120、記憶部130、出力部140、分析センサ部150、電源部160、起動検出部170および圧力検出部180を備える。なお、内圧防爆型測定機器100には、図2に示した電池は存在しない。
【0021】
測定値演算部(CPU)120は、時刻受信部110、記憶部130、出力部140、分析センサ部150および起動検出部170に接続される。時刻受信部110は、外部のGPS(グローバルポジショニングシステム)用通信衛星200または標準電波局210から時刻情報信号を受信する。分析センサ部150は、被測定対象Mが入力される。
【0022】
電源部160は、外部電源発生装置300から電源が入力され、この電源を安定化して直流電圧VPに変換し、直流電圧VPを内圧防爆型測定機器100内の各部に供給する。さらに、直流電圧VPの起動検出のために、電源部160と起動検出部170とが接続される。
【0023】
圧力検出部180は、内圧防爆型測定機器100内部の圧力Pが入力され、検出した圧力値を外部電源発生装置300のスイッチ制御部330へ出力する。
【0024】
つぎに、内圧防爆型測定機器100の動作について説明する。分析センサ部150は、例えば、ガスクロマトグラフィー法によって被測定対象Mの成分を検出するセンサであり、成分検出信号を測定値演算部120へ出力する。
【0025】
測定値演算部120は、成分検出信号を受け取り、これに基づいて被測定対象Mの成分値(測定値)を演算する。
【0026】
一方、内圧防爆型測定機器100は、測定時刻を得るために以下の動作を行う。内圧防爆型測定機器100の外部に位置するGPS用通信衛星200および標準電波局210(例えば、日本の場合はJJY(登録商標))は、現在の時刻情報を定期的に発する時刻発生装置の例である。
【0027】
時刻受信部110は、GPS用通信衛星200または標準電波局210から定期的に発せられる時刻情報信号を受信し格納する。時刻受信部110は、例えば、アンテナおよび時刻情報格納部(いずれも図示しない)から構成されている。
【0028】
そして、測定値演算部120は、被測定対象Mの成分値を演算した後、時刻受信部110よって受信および格納された時刻情報を取得する。
【0029】
測定値演算部120は、取得した時刻情報を被測定対象Mを測定したときの測定時刻とし、この測定時刻と被測定対象Mの成分値とを出力部140を介して出力する(表示を含む)とともに、記憶部130に記憶させる。
【0030】
このように、外部の時刻発生装置から定期的に時刻情報を時刻受信部110によって受信し、この時刻情報を測定時刻とすることによって、電池を内蔵しないで、測定値と測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器を実現できる。
【0031】
さらに、外部電源発生装置300の入力源である交流電源400が停電して、外部電源発生装置300から電源部160への電源入力が無くなっても、停電復帰後に時刻受信部110によって時刻情報を受信できるので、停電復帰後にユーザーによる時刻設定を行わないで、測定値と測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器を実現できる。
【0032】
つぎに、起動検出部170の動作について説明する。図1において、起動検出部170は、電源部160から直流電圧VPを受け取る。
【0033】
起動検出部170は、外部電源発生装置300からの電源投入または停電復帰を検出するために、直流電圧VPが所定電圧以下から以上へと変化したときに直流電圧VPが起動したと判断し、起動検出信号を測定値演算部120へ出力する。
【0034】
そして、測定値演算部120は、起動検出信号を受け取った後、被測定対象Mの成分値を演算する前に、時刻受信部110に時刻情報要求信号を送って時刻情報を取得し、この時刻情報を電源投入時刻または停電復帰時刻(起動時刻)として、記憶部130に記憶させる。
【0035】
このような起動検出部170によって、電源投入または停電復帰後、迅速に時刻情報および測定時刻を得られるとともに、記憶部130に記憶された電源投入時刻または停電復帰時刻を事後的に確認することによって、停電などの電源異常診断に役立てることができる。
【0036】
つぎに、外部電源発生装置300から電源部160に入力される電源について説明する。図1において、外部電源発生装置300は、電源出力部310、スイッチ320およびスイッチ制御部330を備える。
【0037】
電源出力部310は、外部の交流電源400およびスイッチ320の一端に接続される。スイッチ320の他端は、内圧防爆型測定機器100の電源部160に接続される。スイッチ制御部330は、スイッチ320の開閉制御端子および内圧防爆型測定機器100の圧力検出部180に接続される。
【0038】
電源出力部310は、交流電源400から入力された電源を、電源部160へ出力する電源に変換する。スイッチ320が閉じていれば、電源部160へ電源出力部310から電源が入力され、開いていれば入力されない。
【0039】
このように、電源部160へ電源が入力されるか否かは、スイッチ320の開閉状態に依存する。スイッチ320の開閉を制御するのは、スイッチ制御部330と圧力検出部180である。
【0040】
以下に説明するスイッチ320の開閉制御は、内圧防爆型測定機器100の防爆要件を満足するために行われる。
【0041】
防爆要件を満足するために、内圧防爆型測定機器100の内部圧力Pが所定圧力値以上の場合には電源を供給しても良いが、所定圧力値以下の場合には内部および周囲の爆発を防止するため、電源を供給してはならない。
【0042】
これを実現するために、圧力検出部180は内部圧力Pを検出し、検出した圧力値をスイッチ制御部330へ出力する。
【0043】
スイッチ制御部330は、受け取った圧力値が所定圧力値以上の場合、スイッチ320を閉じるように制御し、電源部160へ電源を入力する。一方、受け取った圧力値が所定圧力値以下の場合、スイッチ320を開くように制御し、電源部160へ電源を入力しない。
【0044】
なお、圧力値が所定圧力値以上または以下であるかの判断はスイッチ制御部330で行ったが、圧力検出部180でこの判断を行い、開閉を指示するデジタル信号(例えば、開信号は「1」、閉信号は「0」)をスイッチ制御部330へ出力するようにしてもよい。
【0045】
このような電源部160への電源入力制御を行うことによって、内圧防爆型測定機器100は防爆要件を満足することができる。さらに、電池を内蔵していないので、大きな沿面距離、空間距離を確保する必要がなく、内部回路の占有面積を小さくし、小型の内圧防爆型測定機器100を実現できる。
【0046】
なお、外部電源発生装置300は、内圧防爆型測定機器100の防爆上の安全保持装置として機能し、内圧防爆型測定機器100と外部電源発生装置300との組合せによって、内圧防爆型測定システムを構成できる。
【0047】
以上、プロセスガスクロマトグラフ分析計を中心に説明したが、本発明は、他のプロセス分析計のほか、内圧防爆型の測定機器に用いることができる。
【0048】
なお、本発明は、前述の実施例に限定されることなく、その本質を逸脱しない範囲で、さらに多くの変更および変形を含む。また、前述した各手段の組み合わせ以外の組み合わせを含むことができる。
【符号の説明】
【0049】
100 内圧防爆型測定機器
110 時刻受信部
120 測定値演算部
130 記憶部
140 出力部
150 分析センサ部
160 電源部
170 起動検出部
180 圧力検出部
200 GPS用通信衛星(外部時刻発生装置)
210 標準電波局(外部時刻発生装置)
300 外部電源発生装置
310 電源出力部
320 スイッチ
330 スイッチ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定値とこの測定値の測定時刻とを出力する内圧防爆型測定機器において、
外部の時刻発生装置から定期的に時刻情報を受信する時刻受信部と、
前記測定値を求め、前記時刻受信部によって受信された前記時刻情報を前記測定時刻として取得する測定値演算部と、
前記測定値演算部によって求められた前記測定値および取得された前記測定時刻を記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする内圧防爆型測定機器。
【請求項2】
外部の電源発生装置から入力された電源を安定化して前記内圧防爆型測定機器の各部に供給する電源部と、この電源部から前記各部に供給される電圧の起動を検出する起動検出部とを備え、
前記測定値演算部は、前記起動検出部によって検出された起動検出信号を受け取った後、前記測定値を求める前に、前記時刻受信部によって受信された前記時刻情報を起動時刻として取得し、
前記記憶部は、前記測定値演算部によって取得された前記起動時刻を記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内圧防爆型測定機器。
【請求項3】
前記電源部は、前記内圧防爆型測定機器の内部圧力が所定値以上の場合、前記外部の電源発生装置から前記電源が入力され、前記所定値以下の場合、前記電源が入力されない、
ことを特徴とする請求項2に記載の内圧防爆型測定機器。
【請求項4】
前記時刻受信部は、前記外部の時刻発生装置として、グローバルポジショニングシステム用通信衛星または標準電波局から定期的に前記時刻情報を受信する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内圧防爆型測定機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−37275(P2012−37275A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175386(P2010−175386)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)