説明

内容物押出容器

【課題】片手に持ちながらその片手で内容物を押し出す操作を行うことができ、また適量の内容物を安定して押し出すことができる内容物押出容器を提供すること。
【解決手段】本発明の内容物押出容器1は、内部が隔壁23で内袋収容室2と空気室22とに仕切られた把持部3及び把持部3に突設された内容物排出部4を備える。把持部3は、隔壁23と対向する部位に、押圧により変形する凸曲面状の押圧変形部15を有する。内袋収容室2には、内容物が収容される内袋50が、その口部を内容物排出部2又はその近傍に固定された状態で収容されている。隔壁23には、空気室22内の空気を内袋収容室2に送る逆止弁28付きの通気路31が設けられ、把持部3には、外気を空気室22内に吸入する逆止弁29付きの吸気路32が設けられている。片手で押圧変形部15の押圧及びその解除を繰り返すことにより、内袋50内の内容物を内容物排出部4から排出させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物押出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の操作により内容物を押し出すことのできる内容物押出容器は種々知られている。例えば、特許文献1には、整髪料や染毛剤、育毛剤等の内容物を収容するのに好適な容器として、内容物を収容する内容器と内容器を内装する外容器とを組み合わせた二重構造の容器本体を備えたスクイズタイプの櫛付き容器が記載されている。引用文献1記載の容器は、内容物の排出路に配された第1チェック弁と、内容器と外容器の相互間に空気を導入する通気路に配された第2チェック弁とを備え、容器本体の胴部を握って圧縮することにより櫛部から内容物を排出させることができる。
【0003】
また、特許文献2には、有底筒体に蓋体を被着して形成した押出具本体に、押出具本体内の空気圧を高める加圧手段と押出具本体の内外を連通する排出管を設けた容器が記載されている。引用文献2記載の容器は、加圧手段により押出具本体内の空気圧を高めることによって、押出具本体内に収容した袋体が圧縮され、それにより袋体の内部の流動性内容物が排出管から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−114279号公報
【特許文献2】特開平10−181762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の容器においては、外容器の変形量を細かくコントロールすることが難しく、排出させようとした量と実際に排出された量との間に大きな差が生じる場合があった。
また、特許文献2記載の容器においては、加圧手段としてポンプ機構を用いた場合、容器を片手で持ちながらポンプ機構を操作することが難しい。他方、有底筒体を変形させて内容物を押し出すようにした場合には、特許文献1と同様に、適量の内容物を安定して排出させることが難しかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、片手に持ちながらその片手で内容物を押し出す操作を容易に行うことができる共に、適量の内容物を安定して押し出すことのできる内容物押出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内容物押出容器は、内部が隔壁で内袋収容室と空気室とに仕切られた把持部、及び該把持部に突設された内容物排出部を備えている。前記把持部は、前記空気室を挟んで前記隔壁と対向する部位に、手による押圧により変形しその押圧の解除により元の状態に復帰する凸曲面状の押圧変形部を有している。前記内袋収容室には、内容物が収容される内袋が、該内袋の口部を前記内容物排出部又はその近傍に固定された状態で収容されている。前記隔壁には、前記押圧変形部を押圧したときに前記空気室内の空気を前記内袋収容室に送る、逆止弁付きの通気路が設けられており、前記把持部本体には、該押圧変形部の押圧を解除したときに外気を前記空気室内に吸入する、逆止弁付きの吸気路が設けられている。本発明の内容物押出容器は、片手に持ちながらその片手で前記押圧変形部の押圧及びその解除を繰り返すことにより、前記内袋内の内容物が前記内容物排出部から排出されるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内容物押出容器によれば、片手に持ちながらその片手で内容物を押し出す操作を容易に行うことができる共に、適量の内容物を安定して押し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の内容物押出容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図3は、図1の内容物押出容器における押圧変形部を押圧変形させた状態を示す断面図である。
【図4】図4は、図1の内容物押出容器における押圧変形部が変形状態から元の状態に復帰した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態である内容物押出容器1は、図2に示すように、内部に隔壁23で仕切られた内袋収容室2と空気室22とを有する把持部3、及び該把持部3に突設された内容物排出部4を備えている。
【0011】
内容物押出容器1は、図1に示すように、扁平楕円体状の概略形状を有しており、片手で持ちながらその片手で内容物の押出操作を行うことができる。
把持部3は、内容物押出容器1の使用時に、使用者が把持する部分である。把持部3の持ち方は、天面部14に親指を当て、把持部3をその親指と他の複数本の指との間に挟んで持つことが好ましい。
把持部3は、図2に示すように、凹曲面状の内面を有する容器本体6と、容器本体6に脱着自在に取り付けられた蓋体7とを備えている。容器本体6は、上端部の内周面に螺合用凸条8を有し、蓋体7は下端部の外周面に螺合用凸条9を有している。容器本体6と蓋体7とは、螺合用凸条部8及び螺合用凸条9を介して脱着自在に螺合されている。
【0012】
蓋体7は、天面部形成部材11及び隔壁形成部材12を有してなる。
天面部形成部材11は、凸曲面状の天面部14を形成している。把持部3は、空気室22を挟んで隔壁23と対向する部位に、天面部14を有している。
【0013】
天面部14は、その全体又は一部が、手による押圧により容易に変形しその押圧の解除により元の状態に復帰する押圧変形部15となっている。押圧変形部15も、凸曲面状の形状を有している。
天面部形成部材11の周縁部には筒状接続部17が垂設され、隔壁形成部材12の周縁部及びその近傍には上下に延びる一対の筒状接続部18,19が設けられている。天面部形成部材11と隔壁形成部材12とは、筒状接続部17と筒状接続部18とを、それぞれに設けられた螺合用凸条を螺合させることにより気密に接続されて一体化している。また、それによって、天面部形成部材11と隔壁形成部材12との間に空気室22が形成されている。前述した蓋体7の螺合用凸条9は、隔壁形成部材12の筒状接続部19に形成されている。
【0014】
隔壁形成部材12は、空気室22と内袋収容室2との間に、板状の隔壁23を形成している。本実施形態における隔壁23は、平面視円形で、やや凹曲面状に形成されている。隔壁23は、図3に示すように、押圧変形部15を手で押圧して変形させたときにも殆ど変形しないよう、材質及び厚みなどの形状が選択されている。
【0015】
把持部3は、内袋収容室2を挟んで隔壁23と対向する部位に、容器1の外方に向かって凸の凸曲面状の底面部21を有している。底面部21は、内袋収容室2側の面が、内袋収容室2における、凹曲面状の底面を形成している。
【0016】
内容物排出部4は、把持部3の周から突出するように形成されており、その内部に、容器1の外部と内袋収容部2内とを連通する排出路5を有している。内容物排出部4は、把持部3から延出する延出管40と、該延出管40の一端開口部に脱着自在に装着されたノズル部材41とを有している。排出路5の内袋収容室2側の開口部25は、内袋収容室2内に円形ないし楕円形状に開口しており、排出路5の容器外部側の開口部27は、ノズル部材41のノズル部45の先端部に開口している。
【0017】
ノズル部材41は、有天筒状に形成された接続部42の筒状部43のやや内側に、延出管40内に挿入される内側筒状部44を有している。ノズル部材41は、外側に位置する筒状部43の内面と延出管40の外面とに螺合用凸条を設け、それらを螺合させることで、延出管40に脱着自在に固定されている。
【0018】
内容物が収容される内袋50は、内袋収容室2内に配置されていると共に、ノズル部材41を、延出管40に固定する際に、それらの間に内袋50の口部を挟み込むことで、その口部が、内容物排出部4又はその近傍に固定されている。ノズル部材41は、ノズル内流路46の内袋収容室2側の一端に、漏れ防止弁48を有している。漏れ防止弁48は、内袋50が加圧されていないときにはノズル内流路46を閉鎖し、内容物33が漏れ出るのを防止する。他方、内袋50が加圧されて内容物33が押し出される際にはその内容物を通過させる。
【0019】
ノズル部材41は、脱着自在に設けられ、その交換が容易であることから、容器の外部側の開口部27に通じるノズル内流路46の長さや直径、開口部27の寸法等が異なるノズル部材に交換したり、周囲に刷毛47のついたブラシ付きのノズル部材41から、刷毛47のないノズル部材等に交換すること等ができる。
【0020】
隔壁23には、図3に示すように、押圧変形部15を押圧したときに空気室22内の空気を内袋収容室2に向かって送る、逆止弁(第1逆止弁28)付きの通気路31が設けられている。
第1逆止弁28は、隔壁23に形成された通気路31に設けられており、図3に示すように、押圧変形部15を手で押圧して変形させたときに、通気路31を開放し、空気室22内の空気を、内袋収容室2内、より具体的には、内袋収容室2の内面と内袋50の外面との間に送る。それにより、内袋収容室2の内圧が高まり、その空気圧により内袋50が潰され、内袋50内の内容物33がノズル部45の開口部27から押し出される。他方、図4に示すように、押圧変形部15の押圧を解除すると、第1逆止弁28によって通気路31が封鎖される。それにより、内袋収容室2内の空気が空気室22に逆流することが阻止される。
【0021】
また、把持部3には、押圧変形部15の押圧を解除したときに外気(容器1の外部の空気)を空気室22内に吸入する、逆止弁(第2逆止弁29)付きの吸気路32が設けられている。
第2逆止弁29は、天面部14に形成された吸気路32に設けられており、図3に示すように、押圧変形部15を手で押圧して変形させる際には、吸気路32を封鎖する。他方、押圧変形部15の押圧後にその押圧を解除すると、図4に示すように、押圧変形部15はその復元弾性によって元の状態に復帰する。この復帰の際には、第2逆止弁29は、吸気路32を開放しており、吸気路32を介して外気が空気室22内に吸入される。
【0022】
本実施形態の内容物押出容器1によれば、内袋50内に、液やゲル状の内容物33を充填した状態で、押圧変形部15の押圧及びその解除を繰り返すことにより、内袋50を徐徐に潰して内容物33を押し出させることができる。
そのため、押圧変形部15の押圧を繰り返す速度を適宜にコントロールすることで、排出させる内容物の量や速度を任意にコントロールすることができる。
なお、内袋50内への内容物33の充填は、蓋体7やノズル部材41を取り外し、内袋50を内袋収容室2から取り出して行っても良いし、ノズル部材41のノズル内流路46を介して外部から注入することにより、内袋50を内袋収容室2から取り出さずに行ってもよい。
【0023】
また、本実施形態の内容物押出容器1は、空気室22と内袋収容室2との間に、押圧変形部15を変形させても殆ど変形しない隔壁23を有するため、押圧変形部15の1回の押圧により内袋収容室2に送られる空気の量が大きく変動することを防止することができる。そのため、適量の内容物を安定して押し出すことができる。
【0024】
また、本実施形態の内容物押出容器1は、片手に持ちながらその片手で押圧変形部15を繰り返し押圧することができる。「その片手」とは、右手に持っている場合にはその右手、左手に持っている場合にはその左手という意味である。
そのため、例えば内容物として、ヘアカラー等の染毛剤、育毛剤、整髪剤、シャンプー、マッサージ剤等の頭髪又は頭皮処理剤を充填して、それらを頭髪に塗布する場合、塗布する部位を移動させながら塗布作業を行うことも容易である。また、内容物押出容器1を用いて塗布作業を行いながら、該容器を持っていない方の手で別の作業を同時に行うことも可能である。
内容物押出容器1内に収容して排出させる内容物としては、上記の頭髪又は頭皮処理剤の他、絵の具などの文具、マヨネーズ、ケチャップなどの食品等が挙げられる。但し、本発明における内容物は、これらに限られるものではない。
【0025】
把持部3は、片手で持ちながらその片手で内容物の押出操作を容易に行うことができるようにする観点から、その厚みTが、2〜7cmであることが好ましく、4〜5cmであることがより好ましい。
【0026】
内容物押出容器1の各部の材料について説明する。
押圧変形部15の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂や、熱可塑性エラストマー等を使用することができるが、手による押圧により容易に変形させることができるようにする観点や押圧の解除により自然に元の状態に復帰するようにする観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。
【0027】
また、押圧変形部15は、変形後に元の状態に自然に戻るようにする観点から、曲率半径が50mm〜100mmの断面円弧状の凸曲面状とすることが好ましい。
【0028】
また、内袋50の形成材料は、液を通さず、比較的柔軟なものが好ましい。内袋50の好ましい形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂が挙げられる。内袋50の形成材料は、残量を少なくするという観点から、ポリエチレンであることが好ましい。
【0029】
以上、本発明の一実施形態である内容物押出容器1を例に説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、吸気路32及び第2逆止弁29は、凸曲面状の天面部14と隔壁23との間に設けた周壁部に形成することもできる。また、内容物押出容器1における漏れ防止弁48は省略することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 内容物押出容器
2 内袋収容室
3 把持部
4 内容物排出部
15 押圧変形部
22 空気室
23 隔壁
28 第1逆止弁(逆止弁)
29 第2逆止弁(逆止弁)
31 通気路
32 吸気路
50 内袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が隔壁で内袋収容室と空気室とに仕切られた把持部、及び該把持部に突設された内容物排出部を備えた内容物押出容器であって、
前記把持部は、前記空気室を挟んで前記隔壁と対向する部位に、手による押圧により変形しその押圧の解除により元の状態に復帰する凸曲面状の押圧変形部を有しており、
前記内袋収容室には、内容物が収容される内袋が、該内袋の口部を前記内容物排出部又はその近傍に固定された状態で収容されており、
前記隔壁には、前記押圧変形部を押圧したときに前記空気室内の空気を前記内袋収容室に送る、逆止弁付きの通気路が設けられており、前記把持本体には、該押圧変形部の押圧を解除したときに外気を前記空気室内に吸入する、逆止弁付きの吸気路が設けられており、
片手に持ちながらその片手で前記押圧変形部の押圧及びその解除を繰り返すことにより、前記内袋内の内容物が前記内容物排出部から排出されるように構成されている内容物押出容器。
【請求項2】
前記把持本体は、厚みTが2〜7cmである請求項1記載の内容物押出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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