説明

内容物残量確認装置

【課題】 二重エアゾール容器内の内容物の残量を、簡単に量ることができる装置。

【解決手段】 少なくとも、二重エアゾール容器の噴射圧力でシリンダー内を上下動するピストンと、該ピストンに連結され、ピストンの上下動に合わせて伸縮する、ばね体とから構成されることを特徴とする内容物残量確認装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内容物残量確認装置に関し、さらに詳しくは、二重エアゾール容器内に充填された染毛剤等の残量を量ることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内に充填された内容物の残量を確認する考案として、容器の胴部表面に部分的に透明部を形成し、この透明部から、容器内部を透視可能とすることにより、内容物の残量を目視で確認していた(特許文献1)。そして、このような容器は、主として合成樹脂製のチューブ容器であり、胴部に透明部を作ることは比較的容易であった。

【特許文献1】実開昭59−112739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アルミニウム等の金属材料で製造されるエアゾール容器においては、胴部に透明部を作ることは製造面において不可能であり、又胴部に一定の面積の孔を開けることは、耐内容物性及び耐圧性の点で妥当ではない。さらに、二重エアゾール容器にあっては、二重エアゾール容器内にアルミニウム製の内筒が挿入され、内容物はこのアルミニウム製の内筒内に充填されているので、内部を目視で確認することは不可能であった。したがって、従来二重エアゾール容器にあっては、内容物の残量を確認する方法がなく、内容物が染毛剤である場合、染毛剤の使用中に染毛剤がなくなり、頭髪に染め残し部分ができるという欠点があった。この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、二重エアゾール容器内に充填された染毛剤等の残量を、簡単に量ることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の手段は、少なくとも、二重エアゾール容器の噴射圧力でシリンダー内を上下動するピストンと、該ピストンに連結され、ピストンの上下動に合わせて伸縮する、ばね体とから構成されることを特徴とする内容物残量確認装置である。二重エアゾールの内容物の圧力をピストンが受け、ピストンがばね体を圧縮又は伸張して、ピストンを上方に押し上げる。このピストンを押し上げる程度を目視することにより、二重エアゾール容器内の内容物の残量を確認することができる。
【0005】
請求項2記載の発明の手段は、内容物残量確認装置が、くしに装着されたことを特徴とする内容物残量確認装置である。例えば、染毛剤を使用する際に、染毛剤を塗布するくしに、内容物残量確認装置を取り付けることにより、染毛剤を充填した二重エアゾール容器と一体として使用することができ頗る便利である。
【0006】
請求項3記載の発明の手段は、シリンダーが透明な合成樹脂のケースで構成されることを特徴とする内容物残量確認装置である。シリンダーを透明にしておくことで、二重エアゾール容器からの内容物の圧力によって、ピストンがどれくらい上昇したかを、外部から確認することができ、内容物の残量を容易に量ることができる。
【0007】
請求項4記載の発明の手段は、シリンダーに目盛りが刻印され、内容物の残量が確認できることを特徴とする内容物残量確認装置である。シリンダーの外部にメモリを刻印することで、内容物の残量をより分かり易くかつ数量的に量ることができる。この場合、残量が目盛りによって表示可能であれば、シリンダーは透明でなくてもよい。
【0008】
請求項5記載の発明の手段は、二重エアゾール容器の内容物の圧力で圧縮又は伸張するばね体と、このばね体に連結されて上下動するピストンを、シリンダー内に設けた内容物残量確認装置を、二重エアゾール容器のステム先端に押し当てて、二重エアゾール容器内に充填された内容物の残量を量ることを特徴とする内容物残量確認方法である。二重エアゾール容器のステムを、内容物残量確認装置の噴射ガス入り口に当接し、ステムを押圧すると、ステムから内容物の圧力である噴射ガスが、内容物残量確認装置内に入る。そして、この噴射ガスの圧力をピストンが受け、ばね体を圧縮して、ピストンを上方に押し上げる。このピストンを押し上げる程度によって、二重エアゾール容器内の内容物の残量を確認することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、例えば、二重エアゾール容器内に充填された染毛剤等の残量を、簡単に量ることができるので、頭髪を染毛する前に予め内容物残量確認装置を用いて、二重エアゾール容器内の染毛剤の残量を量ることができる。したがって、染毛の途中で染毛剤がなくなる等を防止でき、染毛剤が足りない場合は、補充した後に染毛作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜図3は、この発明に係る実施例1を示す図面である。1は内容物残量確認装置であり、この内容物残量確認装置1が、くし2に装着された実施例を示している。内容物残量確認装置1は、シリンダー3が円筒状又は四角柱状の透明な合成樹脂のケースで形成されており、このシリンダー3内には、ピストン4とばね体5が挿入されており、ばね体5の上端は、シリンダー3の上端部に固定された天板6に連結され、ばね体4の下端は、ピストン4に連結されている。シリンダー3の表面には目盛りが付され、ピストン3の上昇する位置が目視できる。内容物の圧力がかかっていない状態では、ピストン4は、スリーブ7上に当接している。スリーブ7は、下方に二重エアゾール容器10のステム11が嵌入される挿入部7aが形成されると共に、ステム10aからの内容物の圧力である噴射ガスが通る連通孔7bが形成されている。図3に示すように、シリンダー3の下方には、支持板8が装着され、シリンダー3が装着された支持板8は、くし2の下方に形成された固定部9の嵌合溝9aに挿入されることにより、くし2内に固定されている。なお、シリンダー3は全体が金属で構成されてもよく、或いは本体が金属で構成され、その一部が透明の合成樹脂で構成されてもよい。また、ばね体5は、図面の実施例では、圧縮ばねであるが、引張りばねを使用することもできる。この場合はピストン4が、ばね体5の伸張の程度を目視することにより、二重エアゾール容器10内の内容物の残量を確認することができる。
【0012】
図4は、この発明に係る実施例2を示す図面である。11は内容物残量確認装置であり、この内容物残量確認装置11が、単独の装置である場合の実施例を示している。内容物残量確認装置11は、シリンダー13が円筒状又は四角柱状の透明な合成樹脂のケースで形成されており、このシリンダー13内には、ピストン14とばね体15が挿入されており、ばね体15の上端は、シリンダー13の上端部に固定された天板16に連結され、ばね体14の下端は、ピストン14に連結されている。シリンダー13の表面には目盛りが付され、ピストン13の上昇する位置が目視できる。内容物の圧力がかかっていない状態では、ピストン14は、スリーブ17上に当接している。スリーブ17は、下方に二重エアゾール容器10のステム10aが嵌入できるように挿入部17aが形成されると共に、ステム10aから内容物の圧力である噴射ガスが通る連通孔17bが形成されている。実施例1と異なるのは、実施例2の内容物残量確認装置11は、くし等に取り付けられるものではなく、単独の装置として存在する。なお、シリンダー3は全体が金属で構成されてもよく、或いは本体が金属で構成され、その一部が透明の合成樹脂で構成されてもよい。また、ばね体15は、図面の実施例では、圧縮ばねであるが、引張りばねを使用することもできる。この場合はピストン14が、ばね体15を伸張する程度を目視することにより、二重エアゾール容器10内の内容物の残量を確認することができる。
【0013】
図5は、二重エアゾール容器内の内容物の残量が多い場合のシリンダー3内のピストン4の位置を示す図面である。内部に内筒を有する二重エアゾール容器においては、内筒内に、内容物として染毛剤等が充填されている。このような二重エアゾール容器において、内容物の残量が多い場合は、内容物の噴射圧力が強く、そのためピストン4がスリーブ7の上端から遠く離れた部位に押し上げられる。図5において、例えば距離Lである。図6は、二重エアゾール容器内の内容物の残量が少ない場合のシリンダー3内のピストン4の位置を示す図面である。二重エアゾール容器において、内容物の残量が少ない場合は、内容物の噴射圧力が弱く、そのためピストン4がスリーブ7の上端から近い部位まで押し上げられる。図6において、例えば距離Sである。このように、内圧の状態により二重エアゾール容器内の内容物の残量を知ることができる。そして、αの目盛り位置にピストンがあれば、二重エアゾール容器内の内容物の残量は多く、逆にβの目盛り位置にピストンがあれば、二重エアゾール容器内の内容物の残量は少ない、という判断が可能となる。したがって、染毛剤の使用者は、これを容易に確認することができる。なお、シリンダー3が金属で製造され、シリンダー3の表面に目盛りが付されており、矢印がその目盛りを示し、内側のピストンの位置が確認できるものであれば、シリンダー3は透明でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の活用例として、特に染毛剤が充填された二重エアゾール容器の内圧を量ることができ、二重エアゾール容器内に充填された染毛剤の残量を容易に知ることができる。したがって、従来、残量が少ないにもかかわらず、頭髪の染色するために染毛剤を使用し、頭髪の染色中に染毛剤が足りないことに気付くいう問題を解消することができ、適切な補充の時期を判断することができる。そして、この発明は、染毛剤以外に化粧品、薬剤、食品等を充填した二重エアゾール容器の内容物の残量を量るのに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る内容物確認装置が、くしに取付けられた状態を示す正面図(a)及び側面図(b)。
【図2】本発明の実施例1に係る内容物確認装置を、二重エアゾール容器のステムに嵌合する状態を示す断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る内容物確認装置を、くしの固定部に取り付ける状態を示す斜視図。
【図4】本発明の実施例2に係る内容物確認装置を、二重エアゾール容器のステムに嵌合する状態を示す断面図。
【図5】本発明に係る内容物確認装置において、内容物の残量が多い場合のピストンの位置を示す断面図。
【図6】本発明に係る内容物確認装置において、内容物の残量が少ない場合のピストンの位置を示す断面図。
【符号の説明】
【0016】

1 11 内容物残量確認装置
2 くし
3 13 シリンダー
4 14 ピストン
5 15 ばね体
10 二重エアゾール容器
10aステム
7 17 スリーブ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、二重エアゾール容器の噴射圧力でシリンダー内を上下動するピストンと、該ピストンに連結され、ピストンの上下動に合わせて伸縮する、ばね体とから構成されることを特徴とする内容物残量確認装置。
【請求項2】
前記内容物残量確認装置が、くしに装着されたことを特徴とする請求項1記載の内容物残量確認装置。
【請求項3】
前記シリンダーが透明な合成樹脂のケースで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の内容物残量確認装置。
【請求項4】
前記シリンダーに、目盛りが刻印され、内容物の残量が確認できることを特徴とする請求項1〜3記載の内容物残量確認装置。
【請求項5】
二重エアゾール容器の噴射圧力で伸縮するばね体と、このばね体に連結されて上下動するピストンを、シリンダー内に設けた内容物残量確認装置を、二重エアゾール容器のステム先端に押し当てて、二重エアゾール容器内に充填された内容物の残量を量ることを特徴とする内容物残量確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−151418(P2006−151418A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341889(P2004−341889)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】