内容物移し替え装置
【課題】 サンプリング機構を用いずに、内容物を入れた状態の採尿カップから、他の容器に内容物を移し替える。
【解決手段】 1対の押圧手段7は、それぞれ第1の押圧部7aと、第2の押圧部7bと、凹部7cとを備え、対応する押圧部7が水平方向から近接して、内容物を入れた状態のカップ2を押圧することにより、カップ2に注ぎ口3が形成される。1対の押圧手段7が採尿カップ2を保持した状態で、移し替え手段を構成する移し替え駆動部5が装置の上部を旋回させて、採尿カップ2を傾斜させる。
【解決手段】 1対の押圧手段7は、それぞれ第1の押圧部7aと、第2の押圧部7bと、凹部7cとを備え、対応する押圧部7が水平方向から近接して、内容物を入れた状態のカップ2を押圧することにより、カップ2に注ぎ口3が形成される。1対の押圧手段7が採尿カップ2を保持した状態で、移し替え手段を構成する移し替え駆動部5が装置の上部を旋回させて、採尿カップ2を傾斜させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汎用カップに採取した内容物を、他の容器に正確に移し替えるためにカップに注ぎ口を成形し、当該注ぎ口を成形したカップから内容物を移し替えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
健康診断などで実施される尿検査の際には、図18に示すような採尿カップ2が用いられており、被験者自身がトイレで尿を採尿カップ2に採取する。採尿カップ2に採取された尿は、医師や看護師、検査技師などが手作業で検査用の試験管に移し替え、複数の検査が行われる。
【0003】
特許文献1の技術では、尿を試験管に移し替える際に、サンプリングノズルなどの分取用の器具(例えば、特許文献1の図6に示す分液・廃液ノズル115)を用いて移し替え作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−142235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術のように、採尿カップの内部にサンプリングノズルなど分取用の器具を入れると、器具を洗浄する必要が生じてしまう。
【0006】
この発明は、内容物を入れた状態の採尿カップから、サンプリング機構を使用することなく、他の容器に正確に内容物を移し替えることが可能な内容物移し替え装置の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)この発明の内容物移し替え装置は、
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧してカップを変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
前記カップの内容物を他の容器に移し替えるための移し替え手段と、
を備えた内容物移し替え装置であって、
前記1対の押圧手段がそれぞれ、第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形し、さらに前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする。
【0008】
これにより、カップに内容物が入った状態で、カップの開口付近に1つ以上の注ぎ口を形成し、サンプリング機構を使用せず、カップから他の容器へ内容物を直接移し替えることができる。
【0009】
(2)この発明の内容物移し替え装置は、
前記移し替え手段は、測定により得られる前記カップに入っている内容物の容積、および前記カップから移し替えようとする内容物の量から決定される所定角度まで、注ぎ口を成形した前記カップを傾斜させること、
を特徴とする。
【0010】
これにより、所定量の内容物を他の容器に移し替えることができる。
【0011】
(3)この発明の内容物移し替え装置は、
前記移し替え手段が、前記注ぎ口を成形した変形後のカップを傾斜させてから前記内容物の上面が初めて前記注ぎ口に達する角度まで、第1の回転速度でカップを傾斜させ、その後、前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で前記所定角度まで前記カップを傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【0012】
これにより、カップを第1の回転速度で直ちに傾斜させた後、さらに所望量の内容物を他の容器へ第2の回転速度で徐々に移し替えることができる。
【0013】
(4)この発明の内容物移し替え装置は、
前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧して変形させた後、さらに所定幅だけ押圧部の間隔を広げた状態で、前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【0014】
これにより、所定幅だけ押圧部の間隔を広げた後、注ぎ口を形成したカップを傾斜させることにより、注ぎ口の幅を広げた状態で内容物を容器に移し替えることができる。
【0015】
(5)この発明の内容物移し替え装置は、
請求項1〜4の内容物移し替え装置において、
前記内容物移し替え手段が、前記注ぎ口の先端位置付近を中心として前記カップを前記所定角度まで傾斜させること、
を特徴とする。
【0016】
このように、注ぎ口の位置を中心としてカップを傾斜させるため、移し替える先の容器の位置を内容物の量に応じて変更する必要がない利点がある。
【0017】
(6)この発明の内容物移し替え装置は、
傾斜角度毎に、液面が注ぎ口に達する内容物の容積を記憶した傾斜角度設定テーブルを備えており、
前記カップに入っている内容物の容積および前記カップから移し替えようとする内容物の量から、前記傾斜角度設定テーブルを参照して、注ぎ口を成形したカップを最終的に傾斜させる前記所定角度を決定すること、
を特徴とする。
【0018】
これにより、対応する変形後のカップについての傾斜角度(開始角度、最終角度)を複雑な計算によってその都度演算する必要がなく、現在の液量と移し替えようとする液量から直ちにこれを取得することが可能になる。
【0019】
(7)この発明の内容物移し替え装置は、さらに、
前記他の容器に移し替えられた内容物の液面を検知する液面位置検知手段を備えており、
前記移し替え手段は、前記液面位置検知手段が、前記他の容器の所定位置に液面を検知したときに、前記カップを傾斜した所定角度からの反転を開始すること、
を特徴とする。
【0020】
これにより、カップの傾斜時に生じた慣性力などにより、他の容器に移し替えようとする量が超過するのを防止することができる。また、内容物の粘性、表面張力などによっては、移し替えに時間を要する場合もあるため、そのような性質の内容物を扱う場合にも用いることができる。
【0021】
(8)この発明の移し替えカップ成形装置は、
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
を備えた移し替えカップ成形装置であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形すること、
を特徴とする。
【0022】
これにより、カップに内容物が入った状態で、カップの開口付近に1つ以上の注ぎ口を形成することができる。また、サンプリング機構を使用せず、採尿カップから試験管へ尿を直接移し替えることができる。
【0023】
(9)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記凹部の幅と前記凹部の深さの和が、少なくとも前記カップの開口近辺における直径の2倍よりも小さいこと、
を特徴とする。
【0024】
これにより、カップの開口付近に、注ぎ口を確実に形成することができる。
【0025】
(10)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記凹部が、曲面または階段状に成形して設けられていること、
を特徴とする。
【0026】
これにより、曲面に成形した凹部または階段状に成形した凹部の段でカップと接触してこれを保持し、カップの内部空間を確保した状態で注ぎ口を設けることができる。
【0027】
(11)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1および第2の押圧部は、前記カップを水平方向から同時に近接して押圧すること、
を特徴とする。
【0028】
これにより、カップの開口付近に、1つ以上の注ぎ口を同時に形成することができる。
【0029】
(12)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1の押圧部または第2の押圧部は、何れか一方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧した後に、他方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧すること、
を特徴とする。
【0030】
これにより、カップの開口付近に、1つ以上の注ぎ口を段階的に形成することが容易である。
【0031】
(13)この発明の移し替えカップ成形装置は、さらに、
前記カップの側面にある重なり部が対応する押圧部の中間位置に存在するか否かを検出するための重なりセンサーと、
前記重なりセンサーにより重なり部が存在すること検出した場合に、前記カップを水平方向に所定角度だけ回転させる回転駆動部と、を備えたこと、
を特徴とする。
【0032】
これにより、押圧して注ぎ口を形成しようとする部分にカップの重なり部が存在するのを回避することができ、カップに正しい形状の注ぎ口を形成することができる。
【0033】
なお、この実施形態において、「押圧部」とは、カップ2の開口2a近辺を水平方向(側面)から押圧するための部分をいい、図2bに示すような押圧面7a、7bを有するものに限らず、図16B、Cに示すように押圧面を有さない点又は線でカップ2と接触するようなものも押圧部に含まれる。
【0034】
この実施形態において、「測定により得られる」とは、直接的または間接的に測定することで得られるものをいい、例えば、図2に示す重量センサー13によって測定した重量から比重を考慮して間接的に内容物の容積を算出する場合や、カップ内の液面位置を測定して直接的に容積を得るなどの場合などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す上面図および断面矢視図である。
【図4】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す部分断面図である。
【図5】制御部10のハードウェア構成を示す図である。
【図6】傾斜角度設定テーブル222のデータ例を示す図である。
【図7】内容物移し替え装置100の動作を示すフローチャートである。
【図8】移し替え時における詳細な処理を示すフローチャートである。
【図9】内容物移し替え装置100が作動した状態(中間位置)を示す上面図および断面矢視図である。
【図10】内容物移し替え装置100が作動した状態(停止位置)を示す上面図および断面矢視図である。
【図11】内容物移し替え装置100が作動した状態(停止位置)を示す正面図である。
【図12】内容物移し替え装置100が作動した状態(退避位置)を示す上面図および断面矢視図である。
【図13】内容物移し替え装置100が作動した状態(傾斜前)を示す部分断面図である。
【図14】内容物移し替え装置100が作動した状態(開始角度)を示す部分断面図である。
【図15】内容物移し替え装置100が作動した状態(最終角度)を示す部分断面図である。
【図16】他の実施形態における押圧部の形状を示す図である。
【図17】他の実施形態における内容物移し替え装置100の構造を示す上面図である。
【図18】従来技術の採尿カップの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[発明の概略]
図1は、本発明の内容物移し替え装置100の構成を簡略化した斜視図である。
【0037】
図1に示すように、内容物移し替え装置100は、枠体1と、円形の開口を有する採尿カップ2を置するためのカップ受け4と、押圧機構6と、当該押圧機構6の作用によりカップ受け4に載置されたカップ2を水平方向から押圧する1対の押圧手段7と、押圧機構6を作動させるためのモーター8と、採尿カップ2の内容物(尿)を他の容器に移し替えるための移し替え駆動部5(移し替え手段)と、を備えている。
【0038】
内容物移し替え装置100が行う一連の動作について、図1を用いてまず簡単に説明する。なお、以下の実施形態では、採尿カップ2に被験者が尿を既に採取しており、当該採尿カップ2を載置した状態から内容物移し替え装置100を用いて検査用の試験管に尿を移し替える場合を例に説明する。
【0039】
図1に示すモーター8の駆動により、ギア、シャフトなどで構成される押圧機構6が作動すると、1対の押圧手段7が共に内側(図1に示すX1方向)に移動する。対応する押圧部7a、7bがそれぞれ近接したときには、採尿カップ2の開口2a付近が一対の押圧手段7により押圧され、挟み込まれる。これにより、採尿カップ2の開口2a付近が部分的に変形して、1以上の注ぎ口3が成形される(例えば、図1に、2点鎖線で示す2つ)。
【0040】
さらに、1対の押圧手段7が採尿カップ2を保持した状態で、移し替え手段を構成する移し替え駆動部5が装置の上部全体を旋回させる。これにより、採尿カップ2が傾斜させられ、片方の注ぎ口3から内容物である尿が他の容器に移し替えられる。
【0041】
以上のように、本発明の内容物移し替え装置100によれば、サンプリング機構を使用することなく、注ぎ口3(図1に、2点鎖線で示す)から尿を試験管に移し替えることができる。
【0042】
[内容物移し替え装置100の構成]
図1に示す内容物移し替え装置100の詳細な構成について、図2などを用いて以下に説明する。
【0043】
図2は、本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す正面図である。図3は、図2に示す内容物移し替え装置100の上面図、すなわち図2におけるα矢視図(図3A)、およびβ−β断面矢視図(図3B)である。図4は、図2に示す内容物移し替え装置100のγ−γ部分断面図である。
【0044】
なお、図3Bに実線で示す採尿カップ2や押圧部7を、図3Aでは2点鎖線で示している。また、図4に示すように、採尿カップ2(図2)には内容物である尿Zが半分程度(例えば、150mL用のカップに70mL)入っている。
【0045】
この実施形態で用いる採尿カップ2は、紙製のものであり、図3Bに示すように円形の開口2aを有し、側面に重なり部2bを有している。この実施形態では、上径φ73mm、下径φ51mm、高さ79mmのものを用いている。なお、プラスチック製など他の材質のカップを用いることも可能である。
【0046】
図2に示すように、枠体1は、板状の金属を加工した部材である底面1aと、底面1aの端部において垂直上方に立設する2つの側面1bとで構成されており、これらがネジ等で固定されている。また、側面1bの上部は、図3Aに示すように、2本のシャフトS1によって互いに固着されている。なお、枠体1の底面1aの下には、ゴム製の支持部材1cが4カ所取り付けられている。
【0047】
図4に示すように、枠体1の側壁1bは上部1b’と下部1b”に分かれており、その間には、移し替え手段を構成する移し替え駆動部5が2カ所設けられている。移し替え駆動部5は、制御部10からの制御により、図4に示す軸Y(後述する注ぎ口3(図2)が形成される付近)を中心として上部1b’(採尿カップ2などを含む)全体を回転(図4のX3方向)させるように構成されている。
【0048】
図5は、制御部10のハードウェア構成を示す図である。
【0049】
図5に示すように、制御部10は、CPU202、RAM204、I/O206、表示部206、フラッシュメモリ208、入力手段210などを備えている。
【0050】
フラッシュメモリ208には、移し替え制御プログラム220および傾斜角度設定テーブル222などが記憶されている。
【0051】
制御部10は、図5に示すI/O206を介して、内容物移し替え装置100の各部(移し替え駆動部5,モーター8,重なりセンサー12,重量センサー13,回転駆動部14など)に接続されいる(図2を参照)。移し替え制御プログラム220に従い、CPU202は、所定のタイミングでこれら各部が作動するように制御する。
【0052】
図6に、傾斜角度設定テーブル222に記憶されているデータ例を示す。図6に示すように、傾斜角度設定テーブル222には、カップ2内の液量と傾斜角度とを対応付けたデータが記憶されており、本実施形態では予め実験により取得したデータが入力されている。なお、図1に示す最初に載置した状態の傾斜角度は0°である。
【0053】
ここで、傾斜角度とは、図1に2点鎖線で示す注ぎ口3を成形した後(変形後)の採尿カップ2を傾斜させた時に、内容物(図4に示す尿Z)の上面が注ぎ口3に達する角度のことであり、例えば、カップ2に入っている液量が70mLで、10mLだけ試験管に移し替えたい場合には、移し替えを開始する角度(開始角度)は50°となり、移し替えを完了する角度(最終角度)は53°となる。
【0054】
つまり、傾斜角度設定テーブル222(図6)を参照すれば、採尿カップ2に所定量(例えば、70mL)の尿が入っている場合に、変形後の採尿カップ2をどの開始角度(例えば、50°)に傾斜させたときに液面が初めて注ぎ口3に達することが分かる。さらに、所定量(例えば、10mL)の尿を移し替えたい場合には、変形後の採尿カップ2をさらにどの最終角度(例えば、53°(移し替え後の採尿カップ2内の液量60mLに対応する角度))まで傾斜させればよいことが分かる。
【0055】
なお、この実施形態では、採尿カップ2として同じ形状、材質のものを用いており、注ぎ口3を成形した場合に、採尿カップ2がほぼ一様に変形することを前提としている。
【0056】
図2に示すカップ受け4は、プラスチック製の部材で構成されており、枠体1の底面1aに固着された下部部材4aおよび回転駆動部14を介してその上に設けられる上部部材4bを備える。また、採尿カップ2が載置される面には、内容量測定手段である重量センサー13が設けられている。
【0057】
重量センサー13によって採尿カップ2の内容物の重量が測定されると、制御部10により当該重量(および内容物の比重)に基づいて対応する容積が算出される。なお、この実施形態においては、尿の比重は一定の値を用いることとしているため、個人差は考慮していないが、移し替える量の正確さが求められているような場合には、被験者毎に変動する比重から容積を算出すればよい。
【0058】
図2に示す重なりセンサー12は、枠体1の底面1aに固定された光学センサーであり、対応する押圧部の水平方向における中間位置付近に採尿カップ2の重なり部2b(図2)が存在するか否かを検出するために用いられる。後述するように、採尿カップ2の重なり部2bが押圧しようとする位置に存在する場合には、注ぎ口3が上手く形成できない恐れがあるので、これを避けるためである。
【0059】
押圧機構6は、図2に示すように、下方に1対の押圧手段7を連結しており、プラスチック製の基材B、ネジ溝を設けたソケットP、金属製の板状部材C1などの部材で構成されている。
【0060】
押圧機構6を構成する基材Bには、図2および図3Aに示すように、ネジ移動シャフトS2が貫通されており、ネジ移動シャフトS2には前述のソケットPに形成されるネジ山に噛みあうネジ山が設けられている。また、2本のネジ移動シャフトS2の同じ側の端部(図2の右側)には、それぞれ互いに噛み合うギアG1、G2が設けられており(図3A)、片方のギアG1には、モーター8が連結されている。図3Aに示すように、基材Bにはさらに、その移動をガイドするための2本の摺動シャフトS3が何れも基材Bと摺動接触するように貫通して設けられている。
【0061】
図3Aに示すネジソケットPは、基材Bに固定され、前述のようにネジ移動シャフトS2に噛み合うネジ機構を内側に有している。かかる構造により、モーター8が駆動することでネジ移動シャフトS2が回転し、基材Bおよび基部Bに固定された押圧部(後述する)などが正、逆の何れかの回転方向に対応して開き、または、閉じる方向に移動する。なお、ネジソケットPおよびネジ移動シャフトS2のネジ山は上記のような移動を可能とする向きに形成されている。その他、ネジ移動シャフトS2には、基材Bの外側への移動を制限する弾性部材Rが取り付けられている(図3A)。
【0062】
つぎに、押圧手段7の構造および採尿カップ2を押圧する押圧部7a、7bの形状について、図3Bを用いて以下に説明する。
【0063】
図2の基部Bに連結される板状部材C1には押圧手段7が固着されており、その下方には、移し替えのために回転させた時に、採尿カップ2が落下するのを防止するためのカップ落下防止部材C2が延伸して形成されている。なお、図1の斜視図では、押圧手段7が基材Bに直接取り付けられているように図を簡略化したため、板状部材C1およびカップ落下防止部材C2は省略した。
【0064】
図3Bに示すように、各押圧手段7は、第1の押圧部7aと、第2の押圧部7bと、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bの間に設けられる凹部7cと、を備えている。
【0065】
モーター8(図2)の駆動により、図3Bに示す対応する押圧部7aおよび7bが内側(図3Bに示すX1方向)に近接するように移動する。これにより、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bが、採尿カップ2の開口2a付近を同時に押圧することになる。このように、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bが、採尿カップ2を同時に押圧するので、採尿カップ2の両側から同時にカップの中心方向に向かう力を加えることが可能となり、押圧時にカップとの間に滑りが生じるのを防止しつつ注ぎ口を形成することができる。
【0066】
[内容物移し替え装置100の動作]
以下に、図7に示すフローチャートなどを用いて、内容物移し替え装置100の動作について説明する。なお、以下の動作は、採尿カップ2をカップ受け4に載置した後、操作者が表示部212(図5)に表示されたスタートボタン(図示せず)を入力手段210(図5)を介して押下した後のものである。
【0067】
操作者からの入力を受けると、まず、制御部10からの制御により、重なりセンサー12が、採尿カップ2の重なり部2b(図2)が対応する押圧部の中間位置に存在するか否かを検出する(図7、ステップS02)。
【0068】
重なり部2bを検出した場合には(図7、ステップS04のYes)、制御部10は、カップ受け4の上部部材4bを回転(例えば、90°)させるように回転駆動部14を制御する(図7、ステップS06)。これにより、採尿カップ2の重なり部2b(図2)の位置を注ぎ口3を形成する部分を避けるように移動させることが可能であり、押圧の際に、注ぎ口3(図2)が歪んで成形されるのを防止することができる。
【0069】
重なり部2b(図2)が検出されないとき(図7、ステップS04のNo)、またはカップ受け4の上部部材4bを回転させた後(図7、ステップS06)には、下記動作が行われる。
【0070】
制御部10(図2)が、モーター8を回転制御することによって、1対の押圧手段7がネジ機構によって内側(図3Bに示すX1方向)に移動を開始する(図7、ステップS06)。これにより、採尿カップ2の開口2aは、押圧部7aおよび7bからの力を受けて、図9に示すようにまず楕円に変形する。なお、図9A、Bは、それぞれ図3A,Bに対応する上面図および断面矢視図である。
【0071】
さらに、制御部10は、対応する押圧部7a、7bが所定間隔(例えば、2mm)まで近接すると、モーター8を停止するよう制御する(図7、ステップS08)。このとき、図10Bに示すように、押圧部7は楕円に変形した開口2aの端部(長軸の長手方向)を押しつぶした状態となっている。なお、図10A、Bは、それぞれ図3A,Bに対応する上面図および断面矢視図である。
【0072】
これにより、図10Bに示すように、2つの注ぎ口3が成形される。なお、図10Bに示すように、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bは、採尿カップ2を水平方向から同時に押圧している。図11は、図10に示す停止位置に対応する正面図である。
【0073】
なお、注ぎ口3を作るためには、図3Bに示す採尿カップ2の直径φが凹部の幅Wより大きいことが望ましい。ただし、採尿カップ2の直径φが凹部の幅Wより小さい場合であっても、採尿カップ2が図9Bに示すような楕円形状となった場合には開口2aが押圧方向(図9のX1方向)に対して垂直に伸びるので、採尿カップ2の開口2aが押圧部7a、7bまで達すれば押圧することは可能である。一方で、図3Bに示す採尿カップ2の直径φが凹部の幅Wより小さい場合で、かつ、採尿カップ2の直径φが、凹部の深さ2hよりも小さく凹部に接触しないような場合には、楕円形状とならないため開口を2aを押圧できない。
【0074】
つまり、注ぎ口3を作るための条件としては、図3Bに示す凹部の幅Wと前記凹部の深さ2hの和が、少なくとも前記カップ2の開口2a近辺における直径φの2倍よりも小さいことが必要である。すなわち、W+2h<2φの関係を満たす必要がある。このように設計すれば、採尿カップ2の開口2a付近を容易に変形させて、確実に注ぎ口3を成形することができる。
【0075】
例えば、この実施形態においては、凹部の幅W=80mm、深さh=25mmであり、カップの直径φ=70mmであるため、W+2h(80+2・25=130)<2φ(140)の関係を満たしている。また、押圧部7a、7b(近接する面)の幅および高さは、何れも20mmとしている。なお、押圧部7a、7bおよび凹部7cの寸法は、これらの数値には限定されず、例えば、押圧部7a、7bの高さを10mmとしても良い。
【0076】
制御部10は、さらに、図12に示すように押圧機構6を外側(図12のX2方向)に移動させ、押圧部7a(7b)の間隔が後述する試験管の径より広くなるように所定幅(例えば、20mm)だけさらに広げて退避するようモーター8を制御する(図7、ステップS12)。これにより、注ぎ口3の幅を確保するとともに、試験管と押圧部7が干渉するのを防止することができる。なお、図12A、Bは、それぞれ図3A,Bに対応する上面図および断面矢視図である。なお、上記ステップS12において、押圧部7を退避したときに採尿カップ2が押圧手段7の間から抜け落ちるような場合には、これを防止するために所定幅を狭く(例えば、2mm)に設定すればよい。
【0077】
その後、制御部10は、移し替え駆動部5が、図13に示すように、軸Y(注ぎ口3の付近に存在)を中心として、枠体1の側壁上部1b’と採尿カップ2を、まず内容物の容積に応じた開始角度まで回転(図13のX3方向)して傾斜させる。さらに、速度を落として最終角度まで回転し、試験管V内における内容物の液面が所定位置に達したことを透過センサ15(図10)が検知するまで移し替えを行うよう制御する(図7、ステップS14)。なお、図13は、図4に対応する部分断面図である。
【0078】
図13に示すように、採尿カップ2の注ぎ口3付近には、ラックUに置かれた試験管Vが予め配置されている。また、ラックUには、試験管V内における液面の位置を検知するための投受光素子を備えた透過センサ15(液面位置検知手段)が取り付けられている。
【0079】
図8は、上記移し替え時(図7のステップS14)における詳細な処理を示すフローチャートである。
【0080】
制御部10のCPU202は、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照し、重量センサー13から算出した液量(容積)から、内容物の移し替えを開始する開始角度θ1のデータを取得する(図8のステップS142)。例えば、移し替え前の液量が70mLの場合には、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照することにより、これに対応する開始角度θ1=50°のデータが得られる(図6を参照)。
【0081】
さらに、第1の回転速度ω1で開始角度θ1まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS144)。これにより、図14に示すように、初めて液面が注ぎ口3に達して、移し替えを開始する前の状態になる。
【0082】
また、制御部10のCPU202は、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照し、重量センサー13から算出した(容積)から、内容物の移し替えを完了する最終角度θ2のデータを取得する(図8のステップS146)。例えば、移し替え前の液量が70mLで移し替えようとする液量が10mLの場合には、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照することにより、液量60mL(=70mL−10mL)に対応する開始角度θ1=53°のデータが得られる。
【0083】
さらに、第1の回転速度ω1よりも遅い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS148)。これにより、図15に示すように最終的に角度θ2で停止する。
【0084】
移し替え(図7、ステップS14)が完了すると、まず、移し替え駆動部5が図15に示すX4方向に反転して元の位置に戻る(図7、ステップS16)。具体的には、移し替え駆動部5が反転するタイミングは、所定位置に液面(例えば、8〜10mL)が達したことを透過センサ15(図10)が検知したときであり、図15に示す状態から図13に示す状態に戻ることになる。
【0085】
さらに、押圧機構6は外側方向(図12のX2方向)に移動を開始し(図7、ステップS18)、最終的に全開の状態となって初期位置(図3に示す状態)に復帰する。以降の採尿カップ2についても、同様に移し替え処理が行われる。
【0086】
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態では、採尿カップ2の内容物を容器に移し替える移し替え手段5を備えた内容物移し替え装置100について説明したが、採尿カップ2の内容物を容器に移し替えるための移し替え手段5(図2)を備えない、つまり、採尿カップ2に注ぎ口3を成型するための装置(移し替えカップ成形装置)として本発明を実現するようにしてもよい。
【0087】
なお、図3に示す押圧手段7の凹部7cは、階段状に成形されているが、図16Aに示す押圧手段71のように、凹部71cを斜面に形成したり、図16B、Cに示す押圧手段72、73のように、凹部72c、73cを曲面に形成しても良い。
【0088】
また、図3に示す押圧手段7の押圧部7a、7bは、採尿カップ2を押圧する部分を平面としたが、図16B、Cの押圧手段72、73のように、平面部を有さない、点状(又は線状)の押圧部72a、b(73a、b)で採尿カップ2を押圧するようにしても良い。点又は線で採尿カップ2を押圧すれば、図16B、Cに点線で示すように、採尿カップ2の開口2aの形状、材質などによっては、押圧した際に採尿カップ2の注ぎ口3が完全には潰れないことがある。なお、このような場合には、回転前に退避するステップ(図7、ステップS12)が不要となる。
【0089】
また、図16Dに示す押圧手段74のように、採尿カップ2の内容物が少ない場合には1つの押圧面のみ、すなわち、凹部を設けないで押圧部7を構成することも可能である。
【0090】
なお、上記実施形態では、注ぎ口3を作るための条件として、図3Bに示す凹部の幅Wと前記凹部の深さ2hの和が、少なくとも前記カップ2の開口2a近辺における直径φの2倍よりも小さい、すなわち、W+2h<2φの関係を満たすことが必要であるとしたが、凹部7cの形状に応じた他の条件を設定してもよい。
【0091】
例えば、採尿カップ2の開口2a付近を押圧するためには、少なくとも押圧部7a、7bによって押圧される部分が存在する必要があるという観点から、凹部7cが曲面の場合、次のような条件が導かれる。
【0092】
図3Bに示す凹部7cを曲面とした例である図16のB、Cを参照すると、上記の条件を満たすためには、押圧部72a、72bまたは押圧部73a、73bが近接した状態で(図16のB、Cに点線で示す)、当該凹部72c、73cからはみ出すようなカップ2の部分が存在することが必要となる。そのためには、凹部72c、73cのうちカップ2と接する部分における全周長(片側の凹部72c、73cの長さがLのときは、両側の和である2Lが全周長となる)が、少なくともカップ2(直径φ)の円周長2π(φ/2)よりも小さいことの条件、2L<2π(φ/2)、すなわち、L<π(φ/2)の条件を満たすことが必要となる。
【0093】
なお、上記実施形態では、1対の押圧手段7がそれぞれ有する第1および第2の押圧部7a、7bが、図3Bに示すように採尿カップ2を水平方向から同時に近接して押圧することとしたが、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7b(図3)を分離した構造を採用し、何れか一方の対応する押圧部(例えば、1の押圧部7a)が近接して採尿カップ2を水平方向から押圧した後に、他方の対応する押圧部(例えば、2の押圧部7b)が近接して採尿カップ2を水平方向から押圧するようにしてもよい。
【0094】
図17に、第1の押圧部および第2の押圧部7a、7bを分離した状態の構成を示す。図17において、それぞれが独立して動くので、図3Aに示すようなギアG1、ギアG2は不要であり、2つのモーター8a、8bがそれぞれ両方のネジ移動シャフトS2’、S2”を駆動する。なお、押圧部の取付板も分離されている。
【0095】
なお、上記実施形態では、第1の回転速度ω1で開始角度θ1まで採尿カップ2を傾斜させ(図8のステップS144)、さらに、第1の回転速度ω1よりも遅い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS148)こととしたが、最終角度θ2まで停止することなく同じ速度で傾斜させるように制御してもよい。
【0096】
また、開始角度θ1で一旦停止し、所定時間経過後に最終角度θ2まで傾斜するように移し替え駆動部5を制御してもよい。
【0097】
なお、上記実施形態では、第1の回転速度ω1よりも遅い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS148)こととしたが、これに限定されるものではない。例えば、移し替えを行う内容物の粘性が高いような場合には、慣性力を利用して内容物を円滑に移し替えるために、第1の回転速度ω1よりも速い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御することも有効である。
【0098】
なお、上記実施形態では、重なり部2bを検出するために重なりセンサー12(図2)を設けることとしたが、重なりセンサー12を設けないようにしてもよい。
【0099】
なお、上記実施形態では、重なりセンサー12、透過センサ15として光学センサーを用いたがその他のセンサーを用いてもよい。
【0100】
なお、上記実施形態では、移し替え手段を、移し替え駆動部5および押圧手段7により構成することとしたが、その他の構成を採用してもよい。
【0101】
なお、上記実施形態では、透過センサ15を設けることとしたが、これを設けないよう構成してもよい。例えば、図15に示す最終角度θ2に達してから、所定時間(例えば、5秒)経過した後に反転するよう構成してもよい。
【0102】
なお、上記実施形態では、尿を内容物とする採尿カップ2に注ぎ口を成形する場合について説明したが、他の物質を内容物とする他のカップにも適用することができる。
【0103】
なお、上記実施形態では、重量センサー13により測定した質量から内容物の容積を求めることとしたが、液面センサーなどを用いて容積を直接求めるようにしても良い。また、カップ受け4にカップを載置する前に測定しておいてもよい。
【0104】
なお、上記実施形態では、傾斜角度設定テーブル(図4)を1つ記憶することとしたが、カップ2の形状および押圧手段7の形状に応じて、複数タイプのテーブルを記憶するようにしても良い。
【技術分野】
【0001】
この発明は、汎用カップに採取した内容物を、他の容器に正確に移し替えるためにカップに注ぎ口を成形し、当該注ぎ口を成形したカップから内容物を移し替えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
健康診断などで実施される尿検査の際には、図18に示すような採尿カップ2が用いられており、被験者自身がトイレで尿を採尿カップ2に採取する。採尿カップ2に採取された尿は、医師や看護師、検査技師などが手作業で検査用の試験管に移し替え、複数の検査が行われる。
【0003】
特許文献1の技術では、尿を試験管に移し替える際に、サンプリングノズルなどの分取用の器具(例えば、特許文献1の図6に示す分液・廃液ノズル115)を用いて移し替え作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−142235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術のように、採尿カップの内部にサンプリングノズルなど分取用の器具を入れると、器具を洗浄する必要が生じてしまう。
【0006】
この発明は、内容物を入れた状態の採尿カップから、サンプリング機構を使用することなく、他の容器に正確に内容物を移し替えることが可能な内容物移し替え装置の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)この発明の内容物移し替え装置は、
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧してカップを変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
前記カップの内容物を他の容器に移し替えるための移し替え手段と、
を備えた内容物移し替え装置であって、
前記1対の押圧手段がそれぞれ、第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形し、さらに前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする。
【0008】
これにより、カップに内容物が入った状態で、カップの開口付近に1つ以上の注ぎ口を形成し、サンプリング機構を使用せず、カップから他の容器へ内容物を直接移し替えることができる。
【0009】
(2)この発明の内容物移し替え装置は、
前記移し替え手段は、測定により得られる前記カップに入っている内容物の容積、および前記カップから移し替えようとする内容物の量から決定される所定角度まで、注ぎ口を成形した前記カップを傾斜させること、
を特徴とする。
【0010】
これにより、所定量の内容物を他の容器に移し替えることができる。
【0011】
(3)この発明の内容物移し替え装置は、
前記移し替え手段が、前記注ぎ口を成形した変形後のカップを傾斜させてから前記内容物の上面が初めて前記注ぎ口に達する角度まで、第1の回転速度でカップを傾斜させ、その後、前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で前記所定角度まで前記カップを傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【0012】
これにより、カップを第1の回転速度で直ちに傾斜させた後、さらに所望量の内容物を他の容器へ第2の回転速度で徐々に移し替えることができる。
【0013】
(4)この発明の内容物移し替え装置は、
前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧して変形させた後、さらに所定幅だけ押圧部の間隔を広げた状態で、前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【0014】
これにより、所定幅だけ押圧部の間隔を広げた後、注ぎ口を形成したカップを傾斜させることにより、注ぎ口の幅を広げた状態で内容物を容器に移し替えることができる。
【0015】
(5)この発明の内容物移し替え装置は、
請求項1〜4の内容物移し替え装置において、
前記内容物移し替え手段が、前記注ぎ口の先端位置付近を中心として前記カップを前記所定角度まで傾斜させること、
を特徴とする。
【0016】
このように、注ぎ口の位置を中心としてカップを傾斜させるため、移し替える先の容器の位置を内容物の量に応じて変更する必要がない利点がある。
【0017】
(6)この発明の内容物移し替え装置は、
傾斜角度毎に、液面が注ぎ口に達する内容物の容積を記憶した傾斜角度設定テーブルを備えており、
前記カップに入っている内容物の容積および前記カップから移し替えようとする内容物の量から、前記傾斜角度設定テーブルを参照して、注ぎ口を成形したカップを最終的に傾斜させる前記所定角度を決定すること、
を特徴とする。
【0018】
これにより、対応する変形後のカップについての傾斜角度(開始角度、最終角度)を複雑な計算によってその都度演算する必要がなく、現在の液量と移し替えようとする液量から直ちにこれを取得することが可能になる。
【0019】
(7)この発明の内容物移し替え装置は、さらに、
前記他の容器に移し替えられた内容物の液面を検知する液面位置検知手段を備えており、
前記移し替え手段は、前記液面位置検知手段が、前記他の容器の所定位置に液面を検知したときに、前記カップを傾斜した所定角度からの反転を開始すること、
を特徴とする。
【0020】
これにより、カップの傾斜時に生じた慣性力などにより、他の容器に移し替えようとする量が超過するのを防止することができる。また、内容物の粘性、表面張力などによっては、移し替えに時間を要する場合もあるため、そのような性質の内容物を扱う場合にも用いることができる。
【0021】
(8)この発明の移し替えカップ成形装置は、
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
を備えた移し替えカップ成形装置であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形すること、
を特徴とする。
【0022】
これにより、カップに内容物が入った状態で、カップの開口付近に1つ以上の注ぎ口を形成することができる。また、サンプリング機構を使用せず、採尿カップから試験管へ尿を直接移し替えることができる。
【0023】
(9)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記凹部の幅と前記凹部の深さの和が、少なくとも前記カップの開口近辺における直径の2倍よりも小さいこと、
を特徴とする。
【0024】
これにより、カップの開口付近に、注ぎ口を確実に形成することができる。
【0025】
(10)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記凹部が、曲面または階段状に成形して設けられていること、
を特徴とする。
【0026】
これにより、曲面に成形した凹部または階段状に成形した凹部の段でカップと接触してこれを保持し、カップの内部空間を確保した状態で注ぎ口を設けることができる。
【0027】
(11)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1および第2の押圧部は、前記カップを水平方向から同時に近接して押圧すること、
を特徴とする。
【0028】
これにより、カップの開口付近に、1つ以上の注ぎ口を同時に形成することができる。
【0029】
(12)この発明の移し替えカップ成形装置は、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1の押圧部または第2の押圧部は、何れか一方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧した後に、他方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧すること、
を特徴とする。
【0030】
これにより、カップの開口付近に、1つ以上の注ぎ口を段階的に形成することが容易である。
【0031】
(13)この発明の移し替えカップ成形装置は、さらに、
前記カップの側面にある重なり部が対応する押圧部の中間位置に存在するか否かを検出するための重なりセンサーと、
前記重なりセンサーにより重なり部が存在すること検出した場合に、前記カップを水平方向に所定角度だけ回転させる回転駆動部と、を備えたこと、
を特徴とする。
【0032】
これにより、押圧して注ぎ口を形成しようとする部分にカップの重なり部が存在するのを回避することができ、カップに正しい形状の注ぎ口を形成することができる。
【0033】
なお、この実施形態において、「押圧部」とは、カップ2の開口2a近辺を水平方向(側面)から押圧するための部分をいい、図2bに示すような押圧面7a、7bを有するものに限らず、図16B、Cに示すように押圧面を有さない点又は線でカップ2と接触するようなものも押圧部に含まれる。
【0034】
この実施形態において、「測定により得られる」とは、直接的または間接的に測定することで得られるものをいい、例えば、図2に示す重量センサー13によって測定した重量から比重を考慮して間接的に内容物の容積を算出する場合や、カップ内の液面位置を測定して直接的に容積を得るなどの場合などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す上面図および断面矢視図である。
【図4】本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す部分断面図である。
【図5】制御部10のハードウェア構成を示す図である。
【図6】傾斜角度設定テーブル222のデータ例を示す図である。
【図7】内容物移し替え装置100の動作を示すフローチャートである。
【図8】移し替え時における詳細な処理を示すフローチャートである。
【図9】内容物移し替え装置100が作動した状態(中間位置)を示す上面図および断面矢視図である。
【図10】内容物移し替え装置100が作動した状態(停止位置)を示す上面図および断面矢視図である。
【図11】内容物移し替え装置100が作動した状態(停止位置)を示す正面図である。
【図12】内容物移し替え装置100が作動した状態(退避位置)を示す上面図および断面矢視図である。
【図13】内容物移し替え装置100が作動した状態(傾斜前)を示す部分断面図である。
【図14】内容物移し替え装置100が作動した状態(開始角度)を示す部分断面図である。
【図15】内容物移し替え装置100が作動した状態(最終角度)を示す部分断面図である。
【図16】他の実施形態における押圧部の形状を示す図である。
【図17】他の実施形態における内容物移し替え装置100の構造を示す上面図である。
【図18】従来技術の採尿カップの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[発明の概略]
図1は、本発明の内容物移し替え装置100の構成を簡略化した斜視図である。
【0037】
図1に示すように、内容物移し替え装置100は、枠体1と、円形の開口を有する採尿カップ2を置するためのカップ受け4と、押圧機構6と、当該押圧機構6の作用によりカップ受け4に載置されたカップ2を水平方向から押圧する1対の押圧手段7と、押圧機構6を作動させるためのモーター8と、採尿カップ2の内容物(尿)を他の容器に移し替えるための移し替え駆動部5(移し替え手段)と、を備えている。
【0038】
内容物移し替え装置100が行う一連の動作について、図1を用いてまず簡単に説明する。なお、以下の実施形態では、採尿カップ2に被験者が尿を既に採取しており、当該採尿カップ2を載置した状態から内容物移し替え装置100を用いて検査用の試験管に尿を移し替える場合を例に説明する。
【0039】
図1に示すモーター8の駆動により、ギア、シャフトなどで構成される押圧機構6が作動すると、1対の押圧手段7が共に内側(図1に示すX1方向)に移動する。対応する押圧部7a、7bがそれぞれ近接したときには、採尿カップ2の開口2a付近が一対の押圧手段7により押圧され、挟み込まれる。これにより、採尿カップ2の開口2a付近が部分的に変形して、1以上の注ぎ口3が成形される(例えば、図1に、2点鎖線で示す2つ)。
【0040】
さらに、1対の押圧手段7が採尿カップ2を保持した状態で、移し替え手段を構成する移し替え駆動部5が装置の上部全体を旋回させる。これにより、採尿カップ2が傾斜させられ、片方の注ぎ口3から内容物である尿が他の容器に移し替えられる。
【0041】
以上のように、本発明の内容物移し替え装置100によれば、サンプリング機構を使用することなく、注ぎ口3(図1に、2点鎖線で示す)から尿を試験管に移し替えることができる。
【0042】
[内容物移し替え装置100の構成]
図1に示す内容物移し替え装置100の詳細な構成について、図2などを用いて以下に説明する。
【0043】
図2は、本発明の内容物移し替え装置100の構成を示す正面図である。図3は、図2に示す内容物移し替え装置100の上面図、すなわち図2におけるα矢視図(図3A)、およびβ−β断面矢視図(図3B)である。図4は、図2に示す内容物移し替え装置100のγ−γ部分断面図である。
【0044】
なお、図3Bに実線で示す採尿カップ2や押圧部7を、図3Aでは2点鎖線で示している。また、図4に示すように、採尿カップ2(図2)には内容物である尿Zが半分程度(例えば、150mL用のカップに70mL)入っている。
【0045】
この実施形態で用いる採尿カップ2は、紙製のものであり、図3Bに示すように円形の開口2aを有し、側面に重なり部2bを有している。この実施形態では、上径φ73mm、下径φ51mm、高さ79mmのものを用いている。なお、プラスチック製など他の材質のカップを用いることも可能である。
【0046】
図2に示すように、枠体1は、板状の金属を加工した部材である底面1aと、底面1aの端部において垂直上方に立設する2つの側面1bとで構成されており、これらがネジ等で固定されている。また、側面1bの上部は、図3Aに示すように、2本のシャフトS1によって互いに固着されている。なお、枠体1の底面1aの下には、ゴム製の支持部材1cが4カ所取り付けられている。
【0047】
図4に示すように、枠体1の側壁1bは上部1b’と下部1b”に分かれており、その間には、移し替え手段を構成する移し替え駆動部5が2カ所設けられている。移し替え駆動部5は、制御部10からの制御により、図4に示す軸Y(後述する注ぎ口3(図2)が形成される付近)を中心として上部1b’(採尿カップ2などを含む)全体を回転(図4のX3方向)させるように構成されている。
【0048】
図5は、制御部10のハードウェア構成を示す図である。
【0049】
図5に示すように、制御部10は、CPU202、RAM204、I/O206、表示部206、フラッシュメモリ208、入力手段210などを備えている。
【0050】
フラッシュメモリ208には、移し替え制御プログラム220および傾斜角度設定テーブル222などが記憶されている。
【0051】
制御部10は、図5に示すI/O206を介して、内容物移し替え装置100の各部(移し替え駆動部5,モーター8,重なりセンサー12,重量センサー13,回転駆動部14など)に接続されいる(図2を参照)。移し替え制御プログラム220に従い、CPU202は、所定のタイミングでこれら各部が作動するように制御する。
【0052】
図6に、傾斜角度設定テーブル222に記憶されているデータ例を示す。図6に示すように、傾斜角度設定テーブル222には、カップ2内の液量と傾斜角度とを対応付けたデータが記憶されており、本実施形態では予め実験により取得したデータが入力されている。なお、図1に示す最初に載置した状態の傾斜角度は0°である。
【0053】
ここで、傾斜角度とは、図1に2点鎖線で示す注ぎ口3を成形した後(変形後)の採尿カップ2を傾斜させた時に、内容物(図4に示す尿Z)の上面が注ぎ口3に達する角度のことであり、例えば、カップ2に入っている液量が70mLで、10mLだけ試験管に移し替えたい場合には、移し替えを開始する角度(開始角度)は50°となり、移し替えを完了する角度(最終角度)は53°となる。
【0054】
つまり、傾斜角度設定テーブル222(図6)を参照すれば、採尿カップ2に所定量(例えば、70mL)の尿が入っている場合に、変形後の採尿カップ2をどの開始角度(例えば、50°)に傾斜させたときに液面が初めて注ぎ口3に達することが分かる。さらに、所定量(例えば、10mL)の尿を移し替えたい場合には、変形後の採尿カップ2をさらにどの最終角度(例えば、53°(移し替え後の採尿カップ2内の液量60mLに対応する角度))まで傾斜させればよいことが分かる。
【0055】
なお、この実施形態では、採尿カップ2として同じ形状、材質のものを用いており、注ぎ口3を成形した場合に、採尿カップ2がほぼ一様に変形することを前提としている。
【0056】
図2に示すカップ受け4は、プラスチック製の部材で構成されており、枠体1の底面1aに固着された下部部材4aおよび回転駆動部14を介してその上に設けられる上部部材4bを備える。また、採尿カップ2が載置される面には、内容量測定手段である重量センサー13が設けられている。
【0057】
重量センサー13によって採尿カップ2の内容物の重量が測定されると、制御部10により当該重量(および内容物の比重)に基づいて対応する容積が算出される。なお、この実施形態においては、尿の比重は一定の値を用いることとしているため、個人差は考慮していないが、移し替える量の正確さが求められているような場合には、被験者毎に変動する比重から容積を算出すればよい。
【0058】
図2に示す重なりセンサー12は、枠体1の底面1aに固定された光学センサーであり、対応する押圧部の水平方向における中間位置付近に採尿カップ2の重なり部2b(図2)が存在するか否かを検出するために用いられる。後述するように、採尿カップ2の重なり部2bが押圧しようとする位置に存在する場合には、注ぎ口3が上手く形成できない恐れがあるので、これを避けるためである。
【0059】
押圧機構6は、図2に示すように、下方に1対の押圧手段7を連結しており、プラスチック製の基材B、ネジ溝を設けたソケットP、金属製の板状部材C1などの部材で構成されている。
【0060】
押圧機構6を構成する基材Bには、図2および図3Aに示すように、ネジ移動シャフトS2が貫通されており、ネジ移動シャフトS2には前述のソケットPに形成されるネジ山に噛みあうネジ山が設けられている。また、2本のネジ移動シャフトS2の同じ側の端部(図2の右側)には、それぞれ互いに噛み合うギアG1、G2が設けられており(図3A)、片方のギアG1には、モーター8が連結されている。図3Aに示すように、基材Bにはさらに、その移動をガイドするための2本の摺動シャフトS3が何れも基材Bと摺動接触するように貫通して設けられている。
【0061】
図3Aに示すネジソケットPは、基材Bに固定され、前述のようにネジ移動シャフトS2に噛み合うネジ機構を内側に有している。かかる構造により、モーター8が駆動することでネジ移動シャフトS2が回転し、基材Bおよび基部Bに固定された押圧部(後述する)などが正、逆の何れかの回転方向に対応して開き、または、閉じる方向に移動する。なお、ネジソケットPおよびネジ移動シャフトS2のネジ山は上記のような移動を可能とする向きに形成されている。その他、ネジ移動シャフトS2には、基材Bの外側への移動を制限する弾性部材Rが取り付けられている(図3A)。
【0062】
つぎに、押圧手段7の構造および採尿カップ2を押圧する押圧部7a、7bの形状について、図3Bを用いて以下に説明する。
【0063】
図2の基部Bに連結される板状部材C1には押圧手段7が固着されており、その下方には、移し替えのために回転させた時に、採尿カップ2が落下するのを防止するためのカップ落下防止部材C2が延伸して形成されている。なお、図1の斜視図では、押圧手段7が基材Bに直接取り付けられているように図を簡略化したため、板状部材C1およびカップ落下防止部材C2は省略した。
【0064】
図3Bに示すように、各押圧手段7は、第1の押圧部7aと、第2の押圧部7bと、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bの間に設けられる凹部7cと、を備えている。
【0065】
モーター8(図2)の駆動により、図3Bに示す対応する押圧部7aおよび7bが内側(図3Bに示すX1方向)に近接するように移動する。これにより、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bが、採尿カップ2の開口2a付近を同時に押圧することになる。このように、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bが、採尿カップ2を同時に押圧するので、採尿カップ2の両側から同時にカップの中心方向に向かう力を加えることが可能となり、押圧時にカップとの間に滑りが生じるのを防止しつつ注ぎ口を形成することができる。
【0066】
[内容物移し替え装置100の動作]
以下に、図7に示すフローチャートなどを用いて、内容物移し替え装置100の動作について説明する。なお、以下の動作は、採尿カップ2をカップ受け4に載置した後、操作者が表示部212(図5)に表示されたスタートボタン(図示せず)を入力手段210(図5)を介して押下した後のものである。
【0067】
操作者からの入力を受けると、まず、制御部10からの制御により、重なりセンサー12が、採尿カップ2の重なり部2b(図2)が対応する押圧部の中間位置に存在するか否かを検出する(図7、ステップS02)。
【0068】
重なり部2bを検出した場合には(図7、ステップS04のYes)、制御部10は、カップ受け4の上部部材4bを回転(例えば、90°)させるように回転駆動部14を制御する(図7、ステップS06)。これにより、採尿カップ2の重なり部2b(図2)の位置を注ぎ口3を形成する部分を避けるように移動させることが可能であり、押圧の際に、注ぎ口3(図2)が歪んで成形されるのを防止することができる。
【0069】
重なり部2b(図2)が検出されないとき(図7、ステップS04のNo)、またはカップ受け4の上部部材4bを回転させた後(図7、ステップS06)には、下記動作が行われる。
【0070】
制御部10(図2)が、モーター8を回転制御することによって、1対の押圧手段7がネジ機構によって内側(図3Bに示すX1方向)に移動を開始する(図7、ステップS06)。これにより、採尿カップ2の開口2aは、押圧部7aおよび7bからの力を受けて、図9に示すようにまず楕円に変形する。なお、図9A、Bは、それぞれ図3A,Bに対応する上面図および断面矢視図である。
【0071】
さらに、制御部10は、対応する押圧部7a、7bが所定間隔(例えば、2mm)まで近接すると、モーター8を停止するよう制御する(図7、ステップS08)。このとき、図10Bに示すように、押圧部7は楕円に変形した開口2aの端部(長軸の長手方向)を押しつぶした状態となっている。なお、図10A、Bは、それぞれ図3A,Bに対応する上面図および断面矢視図である。
【0072】
これにより、図10Bに示すように、2つの注ぎ口3が成形される。なお、図10Bに示すように、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7bは、採尿カップ2を水平方向から同時に押圧している。図11は、図10に示す停止位置に対応する正面図である。
【0073】
なお、注ぎ口3を作るためには、図3Bに示す採尿カップ2の直径φが凹部の幅Wより大きいことが望ましい。ただし、採尿カップ2の直径φが凹部の幅Wより小さい場合であっても、採尿カップ2が図9Bに示すような楕円形状となった場合には開口2aが押圧方向(図9のX1方向)に対して垂直に伸びるので、採尿カップ2の開口2aが押圧部7a、7bまで達すれば押圧することは可能である。一方で、図3Bに示す採尿カップ2の直径φが凹部の幅Wより小さい場合で、かつ、採尿カップ2の直径φが、凹部の深さ2hよりも小さく凹部に接触しないような場合には、楕円形状とならないため開口を2aを押圧できない。
【0074】
つまり、注ぎ口3を作るための条件としては、図3Bに示す凹部の幅Wと前記凹部の深さ2hの和が、少なくとも前記カップ2の開口2a近辺における直径φの2倍よりも小さいことが必要である。すなわち、W+2h<2φの関係を満たす必要がある。このように設計すれば、採尿カップ2の開口2a付近を容易に変形させて、確実に注ぎ口3を成形することができる。
【0075】
例えば、この実施形態においては、凹部の幅W=80mm、深さh=25mmであり、カップの直径φ=70mmであるため、W+2h(80+2・25=130)<2φ(140)の関係を満たしている。また、押圧部7a、7b(近接する面)の幅および高さは、何れも20mmとしている。なお、押圧部7a、7bおよび凹部7cの寸法は、これらの数値には限定されず、例えば、押圧部7a、7bの高さを10mmとしても良い。
【0076】
制御部10は、さらに、図12に示すように押圧機構6を外側(図12のX2方向)に移動させ、押圧部7a(7b)の間隔が後述する試験管の径より広くなるように所定幅(例えば、20mm)だけさらに広げて退避するようモーター8を制御する(図7、ステップS12)。これにより、注ぎ口3の幅を確保するとともに、試験管と押圧部7が干渉するのを防止することができる。なお、図12A、Bは、それぞれ図3A,Bに対応する上面図および断面矢視図である。なお、上記ステップS12において、押圧部7を退避したときに採尿カップ2が押圧手段7の間から抜け落ちるような場合には、これを防止するために所定幅を狭く(例えば、2mm)に設定すればよい。
【0077】
その後、制御部10は、移し替え駆動部5が、図13に示すように、軸Y(注ぎ口3の付近に存在)を中心として、枠体1の側壁上部1b’と採尿カップ2を、まず内容物の容積に応じた開始角度まで回転(図13のX3方向)して傾斜させる。さらに、速度を落として最終角度まで回転し、試験管V内における内容物の液面が所定位置に達したことを透過センサ15(図10)が検知するまで移し替えを行うよう制御する(図7、ステップS14)。なお、図13は、図4に対応する部分断面図である。
【0078】
図13に示すように、採尿カップ2の注ぎ口3付近には、ラックUに置かれた試験管Vが予め配置されている。また、ラックUには、試験管V内における液面の位置を検知するための投受光素子を備えた透過センサ15(液面位置検知手段)が取り付けられている。
【0079】
図8は、上記移し替え時(図7のステップS14)における詳細な処理を示すフローチャートである。
【0080】
制御部10のCPU202は、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照し、重量センサー13から算出した液量(容積)から、内容物の移し替えを開始する開始角度θ1のデータを取得する(図8のステップS142)。例えば、移し替え前の液量が70mLの場合には、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照することにより、これに対応する開始角度θ1=50°のデータが得られる(図6を参照)。
【0081】
さらに、第1の回転速度ω1で開始角度θ1まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS144)。これにより、図14に示すように、初めて液面が注ぎ口3に達して、移し替えを開始する前の状態になる。
【0082】
また、制御部10のCPU202は、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照し、重量センサー13から算出した(容積)から、内容物の移し替えを完了する最終角度θ2のデータを取得する(図8のステップS146)。例えば、移し替え前の液量が70mLで移し替えようとする液量が10mLの場合には、傾斜角度設定テーブル222(図3)を参照することにより、液量60mL(=70mL−10mL)に対応する開始角度θ1=53°のデータが得られる。
【0083】
さらに、第1の回転速度ω1よりも遅い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS148)。これにより、図15に示すように最終的に角度θ2で停止する。
【0084】
移し替え(図7、ステップS14)が完了すると、まず、移し替え駆動部5が図15に示すX4方向に反転して元の位置に戻る(図7、ステップS16)。具体的には、移し替え駆動部5が反転するタイミングは、所定位置に液面(例えば、8〜10mL)が達したことを透過センサ15(図10)が検知したときであり、図15に示す状態から図13に示す状態に戻ることになる。
【0085】
さらに、押圧機構6は外側方向(図12のX2方向)に移動を開始し(図7、ステップS18)、最終的に全開の状態となって初期位置(図3に示す状態)に復帰する。以降の採尿カップ2についても、同様に移し替え処理が行われる。
【0086】
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態では、採尿カップ2の内容物を容器に移し替える移し替え手段5を備えた内容物移し替え装置100について説明したが、採尿カップ2の内容物を容器に移し替えるための移し替え手段5(図2)を備えない、つまり、採尿カップ2に注ぎ口3を成型するための装置(移し替えカップ成形装置)として本発明を実現するようにしてもよい。
【0087】
なお、図3に示す押圧手段7の凹部7cは、階段状に成形されているが、図16Aに示す押圧手段71のように、凹部71cを斜面に形成したり、図16B、Cに示す押圧手段72、73のように、凹部72c、73cを曲面に形成しても良い。
【0088】
また、図3に示す押圧手段7の押圧部7a、7bは、採尿カップ2を押圧する部分を平面としたが、図16B、Cの押圧手段72、73のように、平面部を有さない、点状(又は線状)の押圧部72a、b(73a、b)で採尿カップ2を押圧するようにしても良い。点又は線で採尿カップ2を押圧すれば、図16B、Cに点線で示すように、採尿カップ2の開口2aの形状、材質などによっては、押圧した際に採尿カップ2の注ぎ口3が完全には潰れないことがある。なお、このような場合には、回転前に退避するステップ(図7、ステップS12)が不要となる。
【0089】
また、図16Dに示す押圧手段74のように、採尿カップ2の内容物が少ない場合には1つの押圧面のみ、すなわち、凹部を設けないで押圧部7を構成することも可能である。
【0090】
なお、上記実施形態では、注ぎ口3を作るための条件として、図3Bに示す凹部の幅Wと前記凹部の深さ2hの和が、少なくとも前記カップ2の開口2a近辺における直径φの2倍よりも小さい、すなわち、W+2h<2φの関係を満たすことが必要であるとしたが、凹部7cの形状に応じた他の条件を設定してもよい。
【0091】
例えば、採尿カップ2の開口2a付近を押圧するためには、少なくとも押圧部7a、7bによって押圧される部分が存在する必要があるという観点から、凹部7cが曲面の場合、次のような条件が導かれる。
【0092】
図3Bに示す凹部7cを曲面とした例である図16のB、Cを参照すると、上記の条件を満たすためには、押圧部72a、72bまたは押圧部73a、73bが近接した状態で(図16のB、Cに点線で示す)、当該凹部72c、73cからはみ出すようなカップ2の部分が存在することが必要となる。そのためには、凹部72c、73cのうちカップ2と接する部分における全周長(片側の凹部72c、73cの長さがLのときは、両側の和である2Lが全周長となる)が、少なくともカップ2(直径φ)の円周長2π(φ/2)よりも小さいことの条件、2L<2π(φ/2)、すなわち、L<π(φ/2)の条件を満たすことが必要となる。
【0093】
なお、上記実施形態では、1対の押圧手段7がそれぞれ有する第1および第2の押圧部7a、7bが、図3Bに示すように採尿カップ2を水平方向から同時に近接して押圧することとしたが、第1の押圧部7aおよび第2の押圧部7b(図3)を分離した構造を採用し、何れか一方の対応する押圧部(例えば、1の押圧部7a)が近接して採尿カップ2を水平方向から押圧した後に、他方の対応する押圧部(例えば、2の押圧部7b)が近接して採尿カップ2を水平方向から押圧するようにしてもよい。
【0094】
図17に、第1の押圧部および第2の押圧部7a、7bを分離した状態の構成を示す。図17において、それぞれが独立して動くので、図3Aに示すようなギアG1、ギアG2は不要であり、2つのモーター8a、8bがそれぞれ両方のネジ移動シャフトS2’、S2”を駆動する。なお、押圧部の取付板も分離されている。
【0095】
なお、上記実施形態では、第1の回転速度ω1で開始角度θ1まで採尿カップ2を傾斜させ(図8のステップS144)、さらに、第1の回転速度ω1よりも遅い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS148)こととしたが、最終角度θ2まで停止することなく同じ速度で傾斜させるように制御してもよい。
【0096】
また、開始角度θ1で一旦停止し、所定時間経過後に最終角度θ2まで傾斜するように移し替え駆動部5を制御してもよい。
【0097】
なお、上記実施形態では、第1の回転速度ω1よりも遅い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御する(図8のステップS148)こととしたが、これに限定されるものではない。例えば、移し替えを行う内容物の粘性が高いような場合には、慣性力を利用して内容物を円滑に移し替えるために、第1の回転速度ω1よりも速い第2の回転速度ω2で最終角度θ2まで採尿カップ2を傾斜するよう、移し替え駆動部5を制御することも有効である。
【0098】
なお、上記実施形態では、重なり部2bを検出するために重なりセンサー12(図2)を設けることとしたが、重なりセンサー12を設けないようにしてもよい。
【0099】
なお、上記実施形態では、重なりセンサー12、透過センサ15として光学センサーを用いたがその他のセンサーを用いてもよい。
【0100】
なお、上記実施形態では、移し替え手段を、移し替え駆動部5および押圧手段7により構成することとしたが、その他の構成を採用してもよい。
【0101】
なお、上記実施形態では、透過センサ15を設けることとしたが、これを設けないよう構成してもよい。例えば、図15に示す最終角度θ2に達してから、所定時間(例えば、5秒)経過した後に反転するよう構成してもよい。
【0102】
なお、上記実施形態では、尿を内容物とする採尿カップ2に注ぎ口を成形する場合について説明したが、他の物質を内容物とする他のカップにも適用することができる。
【0103】
なお、上記実施形態では、重量センサー13により測定した質量から内容物の容積を求めることとしたが、液面センサーなどを用いて容積を直接求めるようにしても良い。また、カップ受け4にカップを載置する前に測定しておいてもよい。
【0104】
なお、上記実施形態では、傾斜角度設定テーブル(図4)を1つ記憶することとしたが、カップ2の形状および押圧手段7の形状に応じて、複数タイプのテーブルを記憶するようにしても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧してカップを変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
前記カップの内容物を他の容器に移し替えるための移し替え手段と、
を備えた内容物移し替え装置であって、
前記1対の押圧手段がそれぞれ、第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形し、さらに前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項2】
請求項1の内容物移し替え装置において、さらに、
前記移し替え手段は、測定により得られる前記カップに入っている内容物の容積、および前記カップから移し替えようとする内容物の量から決定される所定角度まで、注ぎ口を成形した前記カップを傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項3】
請求項2の内容物移し替え装置において、
前記移し替え手段が、前記注ぎ口を成形した変形後のカップを傾斜させてから前記内容物の上面が初めて前記注ぎ口に達する角度まで、第1の回転速度でカップを傾斜させ、その後、前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で前記所定角度まで前記カップを傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項4】
請求項1〜3の内容物移し替え装置において、
前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧して変形させた後、さらに所定幅だけ押圧部の間隔を広げた状態で、前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項5】
請求項1〜4の内容物移し替え装置において、
前記内容物移し替え手段が、前記注ぎ口の先端位置付近を中心として前記カップを前記所定角度まで傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項6】
請求項1〜5の内容物移し替え装置において、さらに、
傾斜角度毎に、液面が注ぎ口に達する内容物の容積を記憶した傾斜角度設定テーブルを備えており、
前記カップに入っている内容物の容積および前記カップから移し替えようとする内容物の量から、前記傾斜角度設定テーブルを参照して、注ぎ口を成形したカップを最終的に傾斜させる前記所定角度を決定すること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項7】
請求項1〜6の内容物移し替え装置において、さらに、
前記他の容器に移し替えられた内容物の液面を検知する液面位置検知手段を備えており、
前記移し替え手段は、前記液面位置検知手段が、前記他の容器の所定位置に液面を検知したときに、前記カップを傾斜した所定角度からの反転を開始すること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項8】
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
を備えた移し替えカップ成形装置であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形すること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項9】
請求項8の移し替えカップ成形装置において、
前記凹部の幅と前記凹部の深さの和が、少なくとも前記カップの開口近辺における直径の2倍よりも小さいこと、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項10】
請求項8または9の移し替えカップ成形装置において、
前記凹部が、曲面または階段状に成形して設けられていること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項11】
請求項8〜10の何れかの移し替えカップ成形装置において、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1および第2の押圧部は、前記カップを水平方向から同時に近接して押圧すること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項12】
請求項8〜11の何れかの移し替えカップ成形装置において、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1の押圧部または第2の押圧部は、何れか一方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧した後に、他方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧すること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項13】
請求項8〜12の移し替えカップ成形装置において、さらに、
前記カップの側面にある重なり部が対応する押圧部の中間位置に存在するか否かを検出するための重なりセンサーと、
前記重なりセンサーにより重なり部が存在すること検出した場合に、前記カップを水平方向に所定角度だけ回転させる回転駆動部と、を備えたこと、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項14】
円形の開口を有するカップをカップ受けに載置し、前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から1対の押圧手段により押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形し、移し替え手段がカップの内容物を容器に移し替える内容物移し替え方法であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を楕円に変形させた状態で、当該楕円の長軸方向の端部を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形し、さらに前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え方法。
【請求項15】
円形の開口を有するカップをカップ受けに載置し、前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から1対の押圧手段により押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形するための移し替えカップ成形方法であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を楕円に変形させた状態で、当該楕円の長軸方向の端部を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形すること、
を特徴とする移し替えカップ成形方法。
【請求項1】
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧してカップを変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
前記カップの内容物を他の容器に移し替えるための移し替え手段と、
を備えた内容物移し替え装置であって、
前記1対の押圧手段がそれぞれ、第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形し、さらに前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項2】
請求項1の内容物移し替え装置において、さらに、
前記移し替え手段は、測定により得られる前記カップに入っている内容物の容積、および前記カップから移し替えようとする内容物の量から決定される所定角度まで、注ぎ口を成形した前記カップを傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項3】
請求項2の内容物移し替え装置において、
前記移し替え手段が、前記注ぎ口を成形した変形後のカップを傾斜させてから前記内容物の上面が初めて前記注ぎ口に達する角度まで、第1の回転速度でカップを傾斜させ、その後、前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で前記所定角度まで前記カップを傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項4】
請求項1〜3の内容物移し替え装置において、
前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧して変形させた後、さらに所定幅だけ押圧部の間隔を広げた状態で、前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を他の容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項5】
請求項1〜4の内容物移し替え装置において、
前記内容物移し替え手段が、前記注ぎ口の先端位置付近を中心として前記カップを前記所定角度まで傾斜させること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項6】
請求項1〜5の内容物移し替え装置において、さらに、
傾斜角度毎に、液面が注ぎ口に達する内容物の容積を記憶した傾斜角度設定テーブルを備えており、
前記カップに入っている内容物の容積および前記カップから移し替えようとする内容物の量から、前記傾斜角度設定テーブルを参照して、注ぎ口を成形したカップを最終的に傾斜させる前記所定角度を決定すること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項7】
請求項1〜6の内容物移し替え装置において、さらに、
前記他の容器に移し替えられた内容物の液面を検知する液面位置検知手段を備えており、
前記移し替え手段は、前記液面位置検知手段が、前記他の容器の所定位置に液面を検知したときに、前記カップを傾斜した所定角度からの反転を開始すること、
を特徴とする内容物移し替え装置。
【請求項8】
円形の開口を有するカップを所定位置に載置するためのカップ受けと、
前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形するための1対の押圧手段と、
を備えた移し替えカップ成形装置であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形すること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項9】
請求項8の移し替えカップ成形装置において、
前記凹部の幅と前記凹部の深さの和が、少なくとも前記カップの開口近辺における直径の2倍よりも小さいこと、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項10】
請求項8または9の移し替えカップ成形装置において、
前記凹部が、曲面または階段状に成形して設けられていること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項11】
請求項8〜10の何れかの移し替えカップ成形装置において、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1および第2の押圧部は、前記カップを水平方向から同時に近接して押圧すること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項12】
請求項8〜11の何れかの移し替えカップ成形装置において、
前記1対の押圧手段がそれぞれ有する第1の押圧部または第2の押圧部は、何れか一方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧した後に、他方の対応する押圧部が近接して前記カップを水平方向から押圧すること、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項13】
請求項8〜12の移し替えカップ成形装置において、さらに、
前記カップの側面にある重なり部が対応する押圧部の中間位置に存在するか否かを検出するための重なりセンサーと、
前記重なりセンサーにより重なり部が存在すること検出した場合に、前記カップを水平方向に所定角度だけ回転させる回転駆動部と、を備えたこと、
を特徴とする移し替えカップ成形装置。
【請求項14】
円形の開口を有するカップをカップ受けに載置し、前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から1対の押圧手段により押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形し、移し替え手段がカップの内容物を容器に移し替える内容物移し替え方法であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を楕円に変形させた状態で、当該楕円の長軸方向の端部を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形し、さらに前記移し替え手段が前記カップを傾斜させることにより内容物を容器に移し替えること、
を特徴とする内容物移し替え方法。
【請求項15】
円形の開口を有するカップをカップ受けに載置し、前記カップ受けに載置された前記カップを水平方向から1対の押圧手段により押圧して変形させることにより、注ぎ口を成形するための移し替えカップ成形方法であって、
前記1対の押圧手段が、それぞれ第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1および第2の押圧部の間に設けられる凹部と、を備えており、
対応する押圧部が近接したときに、前記1対の押圧手段が前記カップの開口付近を楕円に変形させた状態で、当該楕円の長軸方向の端部を押圧することにより、少なくとも1つ以上の注ぎ口を成形すること、
を特徴とする移し替えカップ成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−99817(P2011−99817A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256087(P2009−256087)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(591029518)テラメックス株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(591029518)テラメックス株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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