説明

内径測定具

【課題】対象の管路等の寸法に関わらず正確な測定を行うことができる内径測定具を提供する。
【解決手段】管腔に挿入されて内径を測定するための内径測定具1は、管腔内に挿入される管状のシース2と、シース2の先端側に取り付けられ、内部に流体が供給されて拡張可能なバルーン3と、第1の端部4Aがシース2の先端側又はバルーン3に固定され、バルーン3の拡張と連動して第2の端部4Bがシース2の先端側に移動する線状の指標部材4と、シース2の基端側に設けられ、指標部材4の第2の端部4Bの位置を確認可能な測定部9とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管腔の内径を計測するための内径測定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用や工業用等の各種内視鏡のチャンネルに挿通され、気管支や食道等の管腔臓器や、ガス管、水道管、あるいは機械、設備等の配管等に挿通されて、その内径を測定するのに使用される内径測定具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、測長部が径方向に収縮及び拡張可能で、操作部の動きと連動させることができる内径測定具も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】実公平2−44722号公報
【特許文献2】特開2000−292108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の内径測定具は、コイルシース等の外装管の先端にワイヤに両端を接続されたスケールが設けられて構成されており、当該スケールによって寸法を測定することができる。
しかしながら、例えば、測定する管路の内径がスケールより小さい場合は、スケールが開いていく過程で管路の内壁と干渉し、管路の軸方向に対して斜めになった状態で保持されてしまう。このため、内径が正確に測定できないという問題がある。
【0005】
また、この内径測定具は、測定する管路等の径方向に対して2点接触の状態で測定しているが、操作するワイヤの剛性が不足していると、管路内壁への接触時にワイヤが捻れてしまうという問題もある。さらに、スケールのメモリを内視鏡画像で確認しなければならないため、正確性が充分でないという問題もある。
【0006】
一方、特許文献2に記載の内径測定具は、拡張部材の拡張と連動する操作部の位置を指標として管路内径を測定するが、拡張部材を実際に測定していないため、実際の内径値とずれが生じる可能性があるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、測定のばらつきが少なく、対象の管路等の寸法に関わらず正確な測定を行うことができる内径測定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、管腔に挿入されて内径を測定するための内径測定具であって、前記管腔内に挿入される管状の挿入部と、前記挿入部の先端側に取り付けられ、内部に流体が供給されて拡張可能な拡張部と、第1の端部が前記挿入部の先端側又は前記拡張部に固定され、前記拡張部の拡張と連動して第2の端部が前記挿入部の先端側に移動する少なくとも1本の線状の指標部材と、前記挿入部の基端側に設けられ、前記指標部材の前記第2の端部の位置を確認可能な測定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の内径測定具によれば、拡張部を管腔の内径に合わせて拡張させると、指標部材の第2の端部が拡張部の拡張に伴う径の拡大に連動して挿入部の先端側に移動し、測定部で当該第2の端部の位置によって指標部材の移動量を確認することによって、管腔の内径を測定することができる。
【0010】
前記指標部材は、前記挿入部の内腔に、軸線方向に摺動可能に挿通されてもよい。この場合、挿入部が管腔の内部で蛇行しても、指標部材を容易に追従させることができる。
【0011】
前記指標部材は、前記第2の端部側に、前記測定部で視認可能なマーカーを有してもよい。この場合、ユーザが測定部において、指標部材の変位を容易に読み取って確認することができる。
【0012】
前記指標部材の前記第2の端部は、弾性を有する位置調節部材を介して前記測定部に取り付けられてもよい。この場合、拡張部が収縮すると、指標部材の第2の端部が自動的に測定値ゼロを示す初期位置に戻るように設定することができる。
【0013】
前記拡張部は、前記挿入部の少なくとも一部の外周を取り巻くように取り付けられており、前記指標部材は、前記挿入部の前記内腔から突出し、前記挿入部の軸線方向にわたって前記拡張部の外周面上を通り、前記第1の端部が前記挿入部に固定されてもよい。この場合、拡張した拡張部の最大径が指標部材の移動量に正しく反映され、精度の高い測定を行うことができる。
【0014】
前記拡張部は、球形に拡張するように構成され、前記挿入部の少なくとも一部の外周を取り巻くように取り付けられており、前記挿入部の前記内腔は前記拡張部の内部に開口しており、前記指標部材の前記第1の端部は、前記内腔の開口から突出して、前記拡張部の、前記挿入部の軸線方向における中央部の内周線上に固定されてもよい。この場合、拡張部の径と指標部材の移動量とが良好に相関し、精度の高い測定を行うことができる。
【0015】
前記指標部材は、前記拡張部の伸展によって前記挿入部の先端側に移動させられるものでもよい。この場合、指標部材の移動量は拡張部の径の拡大をより強く反映するので、精度の高い測定を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の内径測定具によれば、測定のばらつきが少なく、対象の管路等の寸法に関わらず正確な測定を行うことができる内径測定具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1実施形態の内径測定具について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の内径測定具1を示す図であり、図2は内径測定具1の先端付近の断面図である。図1に示すように、内径測定具1は、測定対象の管腔内に挿入されるシース(挿入部)2と、シース2の先端付近に、シース2の外周を取り巻くように取り付けられたバルーン(拡張部)3と、シース2の先端付近に固定された指標部材4と、シース2の基端側に設けられた操作部5とを備えて構成されている。
【0018】
シース2は、図2に示すように、内部に指標部材4が挿通される第1ルーメン(内腔)6と、バルーン3の内部に流体を供給するための第2ルーメン7との2つの管腔を有している。シース2は、樹脂等の可撓性を有する材料で形成されると、管路が蛇行等していても良好に挿入できるので好ましい。
【0019】
バルーン3は、樹脂等で形成されており、第2ルーメン7を通って内部に気体や液体等の流体が供給されることによって、球状に拡張するように構成されている。
【0020】
指標部材4は、糸あるいは小径のワイヤ等の、軸線方向に伸縮しにくい線状の材料で形成されている。指標部材4が軸線方向に摺動可能に挿通される第1ルーメン6は、バルーン3よりもシース2の先端側に開口しており、シース2から突出した指標部材4の第1端部4Aは、シース2の軸線と略平行にシース2の基端側に折り返されてバルーン3の径方向外側、すなわち外周面上を、シース2の軸線方向にわたって通り、バルーン3よりも基端側でシース2に固定されている。
したがって、バルーン3が拡張すると、指標部材4のシース2から突出した部分が連動してシース2の径方向外側に広がり、後述するように指標部材4がバルーン3によってシース2の先端側に引き寄せられるように移動する。
なお、指標部材4は、バルーン3の外周面のうち、拡張した時に径が最大となる挿入部2の軸線方向における中央部を通過するように固定されていれば、バルーンの径の拡大と良好に相関して移動し、内径測定が可能であるので、シース2の軸線と平行でないように折り返されてもよい。例えば、指標部材4がシース2の軸線回りに180度ねじれて、第1端部4Aが、第1ルーメン6が開口しているのと反対側の外周面においてシース2に固定されてもよい。
【0021】
図3は、操作部5を一部断面で示す拡大図である。操作部5は、バルーン3に流体を供給するための供給口8と、指標部材4の基端位置を確認するための測定部9とを備えて構成されている。
【0022】
供給口8には、第2ルーメン7の基端が開口しており、シリンジ等を接続することによってバルーン3に流体を供給することができる。
【0023】
測定部9は、透明な視認窓10を有し、内部の指標部材4を視認することができる。指標部材4の基端である第2端部4B付近には、指標部材4の移動距離を容易に把握するために、マーカー11が取り付けられている。マーカー11は、指標部材4の第2端部4Bに設けられてもよいし、第2端部4Bから所定の長さ、例えば1センチメートル離れた位置に設けられてもよい。
【0024】
測定部9には、指標部材4の移動距離に対応するバルーン3の径を示す目盛12が設けられており、指標部材4の第2端部4Bやマーカー11の移動距離を目盛12で確認することによって、バルーン3の径を把握することができる。
また、指標部材4の第2端部4Bは、バネ(位置調節部材)13を介して測定部9の基端に固定されており、バルーン3が収縮した状態において、マーカー11が、目盛12のうち、径の値ゼロを示す目盛(初期位置)に位置するように調節されている。
【0025】
上記のように構成された内径測定具1の使用時の動作について、以下に説明する。
まずユーザは、内径を測定する対象である消化管や配管等の管路内に、医療用や工業用等の対応する内視鏡を挿入する。そして、当該内視鏡の鉗子口からバルーン3が収縮した状態で内径測定具1のシース2を挿入する。このとき、マーカー11の位置は、バネ13の弾性力によって初期位置に調節されている。
【0026】
内径測定具1の先端及びバルーン3を内視鏡の先端から突出させ、測定箇所までバルーン3を移動させた後、ユーザは供給口8から図示しないシリンジ等を用いてバルーン3に流体を注入する。注入された流体は、第2ルーメン7を通ってバルーン3の内部に供給され、バルーン3を拡張させる。ユーザは、バルーン3の径が最大となるシース2の軸線方向における中央部において、バルーン3と管路の内壁が接触するまで、内視鏡で確認しながらバルーン3を拡張させる。
【0027】
バルーン3が拡張して径が拡大するのと連動して、指標部材4も、バルーン3によって、バルーン3の外面に沿ってシース2の径方向外側に押し広げられる。指標部材4の第1端部4Aはシース2に固定されているので、指標部材4が押し広げられると、指標部材4は、図4に示すように第1ルーメン6内を摺動して、マーカー11及び第2端部4Bがシース2の先端側に移動する。
【0028】
ユーザは、指標部材4の移動量を示すマーカー11の位置を測定部9の目盛12で確認し、バルーン3の径、すなわち、測定箇所における管路の内径を判断する。
測定終了後、ユーザは供給口8から流体を回収してバルーン3を収縮させ、管路から内径測定具1を抜き取る。バルーン3を収縮させると、マーカー11はバネ13の弾性力によって初期位置に戻る。
【0029】
本実施形態の内径測定具1によれば、シース2の先端付近に取り付けられたバルーン3が挿入部2の外周を取り巻くように取り付けられているので、測定対象の管路の内壁に対して周方向にわたって接触する。そのため、従来のように管路の内腔に対して2点でスケール等を接触させるのに比較して、測定時のずれが少ない。したがって、測定時のばらつきを少なくし、内径測定の精度を向上させることができる。
【0030】
また、指標部材4が摺動する第1ルーメン6と、バルーン3を拡張させるための第2ルーメン7とが別々となっているので、バルーン3を拡張する際には指標部材4を動かす必要がなく、指標部材4は、バルーン3の拡張及び収縮のみによって第1ルーメン6内を摺動させられる。したがって、従来の内径測定具と比較して、指標部材4の移動量がより強くバルーン3の径の変化を反映しているので、より精度の高い内径測定を行うことができる。
【0031】
また、測定前はバルーン3が収縮しており、シース2とほぼ同一径となっているので、シース2との寸法差が比較的小さいような内径を有する管路であっても、スケールが内壁と干渉する等の問題は発生せず、良好に内径測定を行うことができる。
【0032】
さらに、操作部5の目盛12を確認することによって、バルーン3の径を容易に把握することができるので、内視鏡等によって内径測定具1の先端を確認する必要がなく、容易に内径測定を行うことができる。
【0033】
さらに、指標部材4がシース2に挿通されているので、シース2が管路内で蛇行しても指標部材4がシースから離間することなく追従し、測定を良好に行うことができる。そして、指標部材用の管腔をシース2と別に設けるのに比較して、内径測定具1全体としての径を小さくしてコンパクトに構成することができる。
【0034】
さらに、指標部材4が、軸線方向に伸縮しにくい材料で形成されているので、内径測定示に指標部材4が伸び縮みすることがなく、測定部9におけるブレが発生しにくい。したがって、より正確に内径を測定することができる。
【0035】
さらに、指標部材4の第2端部4B付近にマーカー11が設けられているので、指標部材4のシース2の先端側への移動量をユーザが容易に把握して実測することができる。
加えて、指標部材4の第2端部4Bが、バネ13を介して測定部9に固定されているので、非測定時にはマーカー11が常に初期位置に戻り、安定した測定を行うことができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態の内径測定具について、図5及び図6を参照して説明する。本実施形態の内径測定具21と第1実施形態の内径測定具1との異なるところは、バルーンの形状、及び指標部材の第2端部がフリーとなっている点である。なお、上述の内径測定具1と同一の構成要素については、共通する符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
図5は、内径測定具21を示す図である。指標部材4が挿通される第1ルーメン24は、バルーン3よりも基端側に開口している。指標部材4の第1端部4Aは、バルーン3の径方向外側を通ってバルーン3よりも先端側のシース23に設けられた固定ルーメン25に挿入されて固定されている。
【0038】
図6は、内径測定具21の操作部26を示す断面図である。指標部材4の第2端部4Bは固定されておらず、フリーとなっている。したがって、指標部材4は、第1ルーメン24内を自由に摺動することができる。第1ルーメン24の基端付近には、視認窓27を有する測定部28が設けられており、指標部材4の第2端部4Bの位置を目盛29で確認することができる。
シース2の基端には、第2ルーメン7が開口しており、バルーン3に供給される流体を収容する流体収容部30が設けられている。流体収容部30内の流体は、ピストン31によって、バルーン3内に供給及びバルーン22内から回収可能となっている。
【0039】
本実施形態の内径測定具21においても、第1実施形態の内径測定具1と同様に、対象管路等の内径を高精度に測定することができる。
また、操作部26にピストンを備える流体収容部30が設けられているので、別にシリンジ等を用意しなくても内径測定を行うことができる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態の内径測定具について、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態の内径測定具31と第1実施形態の内径測定具1との異なるところは、指標部材の第1端部がバルーンに固定されている点である。なお、上述の各実施形態の内径測定具と同一の構成要素については、共通する符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
図7は内径測定具31を示す図である。シース32は1つのルーメン(内腔)33を有し、指標部材4はルーメン33に挿通されている。
ルーメン33は、バルーン3の、シース32の軸線方向における中央部でバルーン3の内部に開口している。そして、当該開口から突出した指標部材4の第1端部4Aは、バルーン3の内面に固定されている。第1端部4Aのバルーン3に対する固定位置は、バルーン3が拡張した際に径が最大となる、シース32の軸線方向における中央部の内周線上の一点とされるのが好ましい。このようにすると、バルーン3の内径の半径と、指標部材4の移動量とがほぼ同一となり、バルーン3と指標部材4とをより良好に連動させることができる。
なお、ルーメン33の開口位置がバルーン3の、シース32の軸線方向における中央部から若干ずれていても、バルーン3の径の増加と、指標部材4の移動量とは良好に相関するため、内径測定は可能である。
【0042】
上記のように構成された内径測定具31の使用時の動作について、以下に説明する。
ユーザが第1実施形態と同様にバルーン3を測定箇所まで移動させ、供給口8から図示しないシリンジ等を用いて流体を注入すると、流体はルーメン33を通ってバルーン3の内部に供給される。
【0043】
バルーン3が拡張すると、図8に示すように、バルーン3の内面に固定された指標部材4の第1端部4Aがシース32の径方向外側に移動し、第2端部4Bがシース32の先端側に移動する。ユーザは上述の第1実施形態と同様に、測定部9でマーカー11等の位置を確認することによって、バルーン3の径を判断する。
【0044】
本実施形態の内径測定具31によれば、指標部材4がバルーン3の外面側に露出しないので、管路の内壁と接触することがない。したがって、内壁との摩擦等によって、指標部材が損傷したり、切断されたりするのを防ぐことができる。
【0045】
また、指標部材4の第1端部4Aをシース32の外部に突出させるための開口と、バルーン3に流体を供給するための開口とを兼用することができるので、シース32の内部にルーメンを1つ設けるだけでよい。したがって、より簡素な構造の内径測定具とすることができる。
【0046】
さらに、バルーン3に供給する流体を液体とすれば、指標部材4とルーメン33との摩擦を低減することによって、指標部材4がルーメン33内をスムーズに摺動することができ、より良好に内径の測定を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、シース32が1つのルーメンを有する例を説明したが、これに代えて、図9に示す変形例のように、第1実施形態のシース2のように、2つのルーメンを有するものを用いて、第1ルーメン6をバルーン3の内部に開口させて内径測定具を構成してもよい。
【0048】
次に、本発明の第4実施形態の内径測定具について、図10から図13を参照して説明する。本実施形態の内径測定具41と第1実施形態の内径測定具1との異なるところは、指標部材及び測定部を備えない点である。なお、上述の各実施形態の内径測定具と同一の構成要素については、共通する符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
図10は、内径測定具41を示す図である。内径測定具41は、シース42と、バルーン3と、シース42の基端に設けられたバルーン径調節部43とを備えて構成されている。
シース42は、第1ルーメン6を有しておらず、バルーン3に流体を供給するための第2ルーメン7のみを有している。第2ルーメン7は、シース42の基端付近において、バルーン径調節部43と接続されている。
【0050】
バルーン径調節部43は、可撓性を有する材料で形成されており、内部に流体が満たされた複数の流体収容室44を有している。各々の流体収容室には、図11に示すように、対応するバルーン3の径が表示されている。
【0051】
上記のように構成された内径測定具41の使用時の動作について、以下に説明する。
まず、ユーザは、シース42を管路内に挿入して、バルーン3を測定箇所まで移動させる。その後、ユーザは、図11に示すように、バルーン径調節部43を基端側から圧迫し、内部の流体をバルーン3に供給する。必要に応じて、図11に示すように棒S等を用いてバルーン径調節部43を巻き取りながら圧迫してもよい。
【0052】
このようにして、最も基端側の流体収容室44Aの先端までの流体をバルーン3に供給すると、バルーン3が、流体収容室44Aに表示された10ミリメートル(mm)の径に拡張するように各流体収容室の流体量が設定されている。同様に、例えば流体収容室44Bの先端までの流体をバルーン3に供給すると、バルーン3の拡張径が12mmとなる。
【0053】
ユーザは上記操作によって、バルーン3の径を漸増しながら、管路の内壁とバルーン3とが接触するまでバルーン3を拡張し、管路の内径測定を行う。バルーン3が管路の内壁と接触したことは、バルーン径調節部43圧迫時の抵抗感によって確認してもよいし、内視鏡等を用いて、バルーン3を直接観察することによって確認してもよい。
【0054】
本実施形態の内径測定具41によれば、バルーン径調節部43の操作によって、バルーン3に供給される流体の量を調節し、バルーン3の径が所望の値となるように調節することができるので、指標部材や測定部を必要とせずに内径の測定を行うことができ、内径測定具をより簡素な構成にすることができる。
【0055】
本実施形態においては、バルーン径調節部43が複数の流体収容室44を有する例を説明したが、バルーン径調節部の形状はこれには限定されない。以下に例を示す。
図12および図13は、いずれも、本実施形態の変形例の内径測定具におけるバルーン径調節部を示す図である。図12に示す変形例のバルーン径調節部45は直線状の容器46から形成されており、複数の流体収容室を有さない構造となっている。容器46には目盛47が設けられており、クリップC等を用いて内部の流体を任意の目盛分だけバルーン3内に供給すると、当該目盛が示す径にバルーン3が拡張するように流体量が設定されている。このようにするとバルーンの径をより細かく調節することができ、高精度に内径測定を行うことができる。
【0056】
また、図13に示す変形例のバルーン径調節部48は、第2ルーメン7と連通する複数のシリンジ49を有している。そして、各シリンジ49内の流体をバルーン3に供給することによって、シリンジに表示された数字の径にバルーンが拡張するように、各シリンジ49の流体量が設定されている。このようにすると、対応するシリンジを押し込むだけでバルーン3の径を所望の値に拡張させることができるので、より容易な操作でバルーン径の調節を行うことができる。
なお、いずれのバルーン調節部においても、測定対象を考慮して、それぞれの流体収容室やシリンジ等と対応するバルーンの拡張径とを自由に設定することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、本実施形態では、指標部材が1本の線状の部材である例を説明したが、これに代えて、複数の線状の指標部材をシース内に挿通し、シースの先端から見たときにそれぞれの指標部材が略放射状に位置するようにバルーンの外周面を通過させ、各指標部材の第1端部をシースに固定してもよい。このようにすると、バルーンの複数の部位で径の増加が検知されるため、より精度の高い内径測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態の内径測定具を示す図である。
【図2】同内径測定具の先端付近の断面図である。
【図3】同内径測定具の操作部を一部断面で示す拡大図である。
【図4】同内径測定具の使用時の動作を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の内径測定具を示す図である。
【図6】同内径測定具の操作部を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の内径測定具を示す図である。
【図8】同内径測定具の使用時の動作を示す図である。
【図9】同内径測定具の変形例のシース先端付近を示す拡大図である。
【図10】本発明の第4実施形態の内径測定具を示す図である。
【図11】同内径測定具のバルーン径調節部を示す図である。
【図12】同内径測定具の変形例のバルーン径調節部を示す図である。
【図13】同内径測定具の変形例のバルーン径調節部を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1、21、31、41 内径測定具
2、23、32、42 シース(挿入部)
3 バルーン(拡張部)
4 指標部材
4A 第1端部
4B 第2端部
6 第1ルーメン(内腔)
9、28 測定部
11 マーカー
13 バネ(位置調節部材)
33 ルーメン(内腔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔に挿入されて内径を測定するための内径測定具であって、
前記管腔内に挿入される管状の挿入部と、
前記挿入部の先端側に取り付けられ、内部に流体が供給されて拡張可能な拡張部と、
第1の端部が前記挿入部の先端側又は前記拡張部に固定され、前記拡張部の拡張と連動して第2の端部が前記挿入部の先端側に移動する少なくとも1本の線状の指標部材と、
前記挿入部の基端側に設けられ、前記指標部材の前記第2の端部の位置を確認可能な測定部と、
を備えることを特徴とする内径測定具。
【請求項2】
前記指標部材は、前記挿入部の内腔に、軸線方向に摺動可能に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の内径測定具。
【請求項3】
前記指標部材は、前記第2の端部側に、前記測定部で視認可能なマーカーを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の内径測定具。
【請求項4】
前記指標部材の前記第2の端部は、弾性を有する位置調節部材を介して前記測定部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内径測定具。
【請求項5】
前記拡張部は、前記挿入部の少なくとも一部の外周を取り巻くように取り付けられており、前記指標部材は、前記挿入部の前記内腔から突出し、前記挿入部の軸線方向にわたって前記拡張部の外周面上を通り、前記第1の端部が前記挿入部に固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内径測定具。
【請求項6】
前記拡張部は、球形に拡張するように構成され、前記挿入部の少なくとも一部の外周を取り巻くように取り付けられており、前記挿入部の前記内腔は前記拡張部の内部に開口しており、前記指標部材の前記第1の端部は、前記内腔の開口から突出して、前記拡張部の、前記挿入部の軸線方向における中央部の内周線上に固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内径測定具。
【請求項7】
前記指標部材は、前記拡張部の伸展によって前記挿入部の先端側に移動させられることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の内径測定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−165608(P2009−165608A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6282(P2008−6282)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】