説明

内照式広告用看板

【課題】コンパクトで消費電力を低下させるとともに広告表示の光の均整度を向上できる内照式広告用看板を提供すること。
【解決手段】広告用看板1は、前面に表示板5を装着した筐体状のフレーム2と、フレーム2内に配置される導光板3と、導光板3の上方位置に配置して導光板3に向かって光を照射するLED光源4と、を備えている。導光板3は、上部2隅をネジ止めしてフレーム2に吊り下げられ、厚み方向に指挿通孔32を形成している。LED4は、導光板3の上方で、導光板3の長手方向に沿って形成するコ字状のLED支持部材11に多数配置することにより、ユニット化されたLED基板4Aとして形成する。導光板3に形成した取り付け孔31及び指挿通孔32には、光の入射側内周面の一部、180〜60°の範囲で光漏れ防止用反射シート10を貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内照式広告用看板に関し、さらには、LED光源の照射により案内表示を行う内照式広告用看板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内照式広告用看板として特許文献1に示されているものがある。これによると、従来では会社名又は宣伝広告等をパネル表示するために、内側あるいは外側からの電球による光線投射のような照明効果を狙ったものがあり、このような内照式広告用看板では、夜間使用での光源の温度上昇や消耗による電球等の交換が伴い、消費電力が高くなるという課題があった。そのために、LED光源を使用し、LED光源による内照式広告表示体を構成することによって消費電力の嵩張りを防止するとともに長寿命化を図ろうとするものである。つまり、この特許文献1の一実施形態として開示されている広告表示体は、前面に広告表示板を装着した立体広告体内に、矩形板状の導光板を挿入し、導光板の上方にLED光源を配置させて構成している。導光板の前面、背面、下面には反射シートを貼着し、上方のLED光源から入射される光を反射シートで反射させて、広告表示板の表示を照射させるようにしていた。
【0003】
これにより、コンパクトな構成でLED光源による独特な照明及び長寿命化等の効果を達成できることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−142417公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、導光板が従来に比べて大きな矩形板状に形成されると、導光板は撓みやすくなる。撓むことによって、表示板と導光板との距離が不均等になるから表示面に照射する光の均整度を低下させてしまう。撓みの弊害は、さらに、LED基板の破壊に繋がるとともに、アクリル製の基板が、一旦、撓むと元に戻りにくい事から、撓みを少なくして配置させる必要があった。
【0006】
このため、導光板を撓まないようにする一つの方法として、自然重力にしたがって導光板を吊り下げる方法がある。導光板を吊り下げるためには、導光板の上部に孔をあけてボルトを貫通させる必要がある。また、そのフレームケースの背面に電源スイッチ等を配置したものであっては、その電源スイッチを操作するために、導光板に指を挿通する孔をあける必要がある。
【0007】
導光板に孔をあけることによって、LED光源から入射した光が孔の中に入り、光漏れとなって現れることになる。孔から漏れた光は、導光板の光の均整度を著しく阻害する要因となり、表示面への光斑となって現れる。
【0008】
また、一般に透明部材に光を入射する際、導光板に加工された部位があると、その部位から屈折して光の方向を切り換えることが周知事項として知られている。したがって入射された光が加工された孔に到達すると方向が切り換わることになっていた。そのため、表示板に照射する光のバランスを崩すものとなるばかりでなく、撓みよって各方向に分散する可能性があった。したがって、表示内容の一部が明るく別の一部が暗くなって表示板の照射バランスを低下させる要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、導光板に入射した光が孔の中に入ることを防止することにより、表示板に照射する光のバランスを崩さないで光の均整度を向上できる内照式広告用看板を提供することを目的とする。
【0010】
そのために本発明に係る内照式広告用看板は、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、前面に表示板が配設された筐体状のフレームケースと、前記フレームケース内に配設された矩形板状の導光板と、前記導光板の一方側から光を入射するLED光源と、を備え、前記導光板には前記LED光源から入射された光を反射又は拡散するシート部材が貼着された内照式広告用看板であって、前記導光板には、前記フレームケース内で前記導光板を吊り下げるための取り付け孔や指を挿通するための指挿通孔が形成され、前記取り付け孔又は前記指挿通孔には前記LED光源から入射される光の入射側面の一部に、光漏れ防止用反射手段が配設されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1の発明に係るものであって、前記光漏れ防止用反射手段が、前記取り付け孔や前記指挿通孔における前記LED光源からの入射側面の入射角度に対して60〜180°の範囲内に貼着された光漏れ防止用反射シートであることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に係るものであって、前記LED光源は、前記導光板の上方の位置に配設されて、前記導光板の上面から下方に向かって入射されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1,2,3のいずれかの発明に係るものであって、前記導光板における、前記表示板側の面には拡散シートが貼着され、その反対側の面及び下面側には反射シートが貼着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明の内照式広告用看板によれば、導光板をフレームケース内で吊り下げることにより、導光板の撓みを少なくするとともに、LED光源を内部に配設し、導光板を介して表示板を照射させるように構成されている。LED光源から導光板に入射した光は、導光板内を、直進あるいは屈折、反射しながら均整度を保ち散乱する。導光板に形成された上記のそれぞれの孔の内周面には、LED光源の入射側面の一部に光漏れ防止用反射手段を設けていることから、遮光された部位においてはLED光源の強い光を遮断し、取り付け孔や指挿通孔の内部には到達させない。また、遮光されていない部位においては、上記のそれぞれの孔の内側に漏れ光を反射する。これにより、それぞれの孔の内側に適切な交配光を生じ、導光板とそれぞれの孔の照度差を緩和することができる。したがって、導光板の撓みを少なくすることで、導光板の表示板からの距離を小さくすることができるとともに、導光板に形成した上記のそれぞれの孔の入射側面の一部に光漏れ防止用反射手段を設けることにより、表示板に照射する光の均整度を向上することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、光漏れ防止用反射手段が、導光板を吊り下げる取り付け孔や指挿通孔における前記LED光源からの入射側面の入射角度に対して60〜180°の範囲内に貼着された光漏れ防止用反射シートであるから、上記のそれぞれの孔に向かって入射された光は、光漏れ防止用反射シートの入射側中心位置に対して60〜180°の範囲内で反射することになる。遮光された部位においてはLED光源の強い光を遮断し、上記のそれぞれの孔の内部には到達させない。また、遮光されていない部位においては、弱い漏れ光を上記のそれぞれの孔の内側に反射する。これにより、それぞれの孔の内側に適切な交配光を生じ、導光板と上記のそれぞれの孔の照度差を緩和することができ、請求項1と同様の効果を達成することができる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、LED光源が、導光板の上方に配設されているから、光漏れ防止用反射シートに衝突した強い光は、上方からの入射角度に対して60〜180°の範囲内で上方又は側方に向かって反射して、上記のそれぞれの孔の中に入ることを遮断され、60〜180°の範囲外の遮光されていない面から弱い漏れ光をそれぞれの孔の中に反射するから、請求項1又は2と同様の効果を達成することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、導光板における、表示板側の面には拡散シートが貼着され、その反対側の面及び下面側には反射シートが貼着されているから、導光板の上方から入射された光は、導光板の孔以外の部位を通って導光板の背面側に貼着された反射シート及び導光板の底面に貼着された反射シートで反射され、導光板の前面側に貼着された拡散シートにより拡散されて表示板全体の案内表示を、光の均整度を低下させることなく照射することできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一形態による広告看板を示す正面一部断面図である。
【図2】図1における側面断面図である。
【図3】(a)孔に反射シートを180°の範囲で貼着した状態を示す図であり、(b)孔に反射シートを60°の範囲で貼着した状態を示す図である。
【図4】図2における上部拡大断面図である
【図5】図2における下部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の内照式広告用看板の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
実施形態の内照式広告用看板は、従来の看板より大型に形成されるとともに、筐体状のフレームケース内に配置された矩形板状の導光板には、加工された孔が形成されているものであって、複数のLED光源をユニット化したLED基板を内部に配置した内照式に構成されている。
【0021】
図1は、内照式広告用看板(以下、単に広告用看板という。)1の正面一部断面を示すものであり、図2は、その側面断面を示すものである。広告用看板1は、前面側が開口された筐体状のフレームケース(以下、単にフレームという。)2と、フレーム2内に配置された導光板3と、導光板3の上方に位置する複数のLED光源(以下、単にLEDという。)4と、を備えている。
【0022】
フレーム2の開口された前面側には、アクリル製の表示板5が、フレーム2の開口部を覆うように装着されている。表示板5には、広告するための会社名や広告文字あるいは図形等が描かれている。
【0023】
導光板3は、光を透過するために透明あるいは半透明からなる材料で矩形板状に形成され、フレーム2の内部に吊り下げられた状態で装着されている。導光板3には、上下4隅又は上下各3箇所に取り付け孔31(図1参照)が形成されている。上部の2箇所又は1箇所の取り付け孔31に図示しないボルトを挿通してフレーム2に螺着することにより導光板3が吊り下げられている。導光板3の背面及び底面には、反射シート6、7(図2参照)が貼着され、導光板3の前面には拡散シート8(図2参照)が貼着されている。反射シート6、7は、例えば、遮光性を有したライトエンハンストフィルム(3M社製)で形成され、拡散シート8は、透過性を有した光拡散・ディフーザーフィルム(3M社製)で形成されている。また、導光板3には、下部にフレーム2に装着された押し釦スイッチ9を操作するための指挿通孔32が形成されている。
【0024】
図3に示すように、取り付け孔31及び指挿通孔32の内周面の上面側には、それぞれ光漏れ防止用反射シート10、10が貼着されている。取り付け孔31は丸孔あるいは長孔であってもよく、また指挿通孔32は丸孔で形成されている。取り付け孔31や指挿通孔32の各孔に貼着された光漏れ防止用反射シート10、10は、いずれも内周面の上面側から入射する入射角度、つまりLED4から取り付け孔31又は指挿通孔32の中心位置に向かう光軸に対してLED4の入射側内周面に左右90°ずつ、全180°(図3(a))で取り付けられている。この光漏れ防止用反射シート10は、内周面の上面側から入射する入射角度に対して左右30度ずつ、全60°(図3(b))で取り付けるようにしてもよく、つまり、180°〜60°の範囲内で形成されていることが望ましい。光漏れ防止用反射シート10は、導光板3の背面に貼着された反射シート6や前面に貼着された同様の材料、例えば、上述のライトエンハンストフィルム(3M社製)で形成されている。
【0025】
なお、光漏れ防止用反射シート10の代わりに、取り付け孔31や指挿通孔32の一部に白色ペイントを塗布したり、白色プラスチック複合成形をしたりして形成しても同等の効果を有することができる。
【0026】
図4に示すように、LED4は、導光板3の上方の位置で、フレーム2に支持されて下方が開口されたコ字状のLED支持部材11に、導光板3の長手方向に沿って多数装着されてLED基板4Aとしてユニット化されている。つまり、個々のLED4は、その底面(図4においては上面に相当する。)4aが、コ字状に形成されたLED支持部材11の底面11a(図4においては上面に相当する。)に図示しない両面テープで貼着されている。
【0027】
また、LED支持部材11は、その内側面11bに、図示しない両面テープを貼着して導光板3の上部背面3aと上部前面3bに、反射シート6と拡散シート8を介して貼着されている。これにより、LED基板4Aは、フレーム2に支持された導光板3に支持されていることになる。
【0028】
図5に示すように、導光板3の下部に形成された指挿通孔32は、フレーム2の背面下部に装着された押し釦スイッチ9に指を挿通するために、例えば、一般の成人男子の指の太さより大きい孔(例えば、Φ25以上)に形成されている。通常、Φ25以上の指挿通孔32をあけると導光板3の光均整度を失うことになり導光板3と表示板5との距離を大きく(例えば、25mm以上)しなければならない。しかし、導光板3を吊り下げるように配置して撓みを少なくし、指挿通孔32に光漏れ防止用反射シート10を貼着することにより、導光板3と表示板5との距離を小さく(例えば、10〜15mm程度)することができ、広告用看板1の厚みの増大を抑制することができる。また、この押し釦スイッチ9を操作する場合には、フレーム2前面側の表示板5を開けた状態で、指を前面より指挿通孔32に挿通させて行う。
【0029】
次に、上述のように構成された広告用看板1の表示板5の表示内容を表示する作用について説明する。
【0030】
図1に示すように、導光板3の上方位置に配置されたLED4は、電源が投入されると光を導光板3の上方から導光板3の上面に直下する方向に入射する。導光板3の上面から下方に向かって入射されたLED4の光は、透明又は半透明の導光板3を通って、背面側に貼着された反射シート6、底面側に貼着された反射シート7で反射されて前面側に向かう。前面側に向かった光は拡散シート8で拡散されて表示板5全面を照射する。
【0031】
一方、LED4から入射された強い光が、導光板3内を通り、取り付け孔31や指挿通孔32に到達すると、強い光は、光漏れ防止用反射シート10で反射されて取り付け孔31や指挿通孔32内に入るのを遮断され、遮光されていない面からの比較的弱い漏れ光を、取り付け孔31や指挿通孔32の内側に反射する。これにより、取り付け孔31や指挿通孔32の内側に適切な光配光を生じて導光板と孔の照度差を緩和することになる。
【0032】
なお、LED支持部材11にLED4を装着したLED基板4Aを導光板3の上方ではなく、側方や下方に配置してもよい。例えば、LED基板4Aを導光板3の側方に配置した場合、導光板3の入射側の側面と反対側の側面に反射シート6を貼着することになり、また、下方に配置した場合、導光板3の上面に反射シート7を貼着することになる。この際、光漏れ防止用反射シート10は、導光板3に所定角度で入射する光に対して、あけられた取り付け孔31、又は指挿通孔32の入射側内周面における一部の面に光漏れ防止用反射シート10を貼着する。つまり、表示板5の正面視、導光板3の右側にLED基板4Aが配置されて、導光板3の右側から光が入射すれば、光漏れ防止用反射シート10は、取り付け孔31又は指挿通孔32の右側内周面の一部に貼着されることになる。LED基板4Aが導光板3の左側に配置されていれば、光漏れ防止用反射シート10は、取り付け孔31又は指挿通孔32の左側の内周面の一部に貼着されることになる。さらに、LED基板4Aが導光板3の下方に設置されていれば、光漏れ防止用反射シート10は、取り付け孔31又は指挿通孔32の下側の内周面の一部に貼着されることになる。
【0033】
上述のように、実施形態の内照式広告用看板1は、導光板3を吊り下げるようにして撓みを少なくした状態で配置し、導光板3に形成した取り付け孔31や指挿通孔32における、LED4から照射される光の入射側の内周面の一部(入射角度に対して180°〜60°の範囲内)に光漏れ防止用反射シート10を貼着するから、導光板3に入射した強い光は取り付け孔31や指挿通孔32内にはいることを遮断されて、遮光されていない面からの弱い光がそれぞれの孔の内部に反射することから導光板3と取り付け孔31や指挿通孔32の照度差を緩和できる。そのため、表示板5の表示面と導光板3との距離を小さくして、表示板5に照射する光の均整度を向上することができる。
【符号の説明】
【0034】
1、広告用看板
2、フレーム(フレームケース)
3、導光板
4、LED(LED光源)
5、表示板
6、反射シート
7、反射シート
8、拡散シート
10、光漏れ防止用反射シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に表示板が配設された筐体状のフレームケースと、前記フレームケース内に配設された矩形板状の導光板と、前記導光板の一方側から光を入射するLED光源と、を備え、前記導光板には前記LED光源から入射された光を反射又は拡散するシート部材が貼着された内照式広告用看板であって、
前記導光板には、前記フレームケース内で前記導光板を吊り下げるための取り付け孔や指を挿通するための指挿通孔が形成され、前記取り付け孔又は前記指挿通孔には前記LED光源から入射される光の入射側面の一部に、光漏れ防止用反射手段が配設されていることを特徴とする内照式広告用看板。
【請求項2】
前記光漏れ防止用反射手段が、前記取り付け孔や前記指挿通孔における前記LED光源からの入射側面の入射角度に対して60〜180°の範囲内に貼着された光漏れ防止用反射シートであることを特徴とする請求項1記載の内照式広告用看板。
【請求項3】
前記LED光源は、前記導光板の上方の位置に配設されて、前記導光板の上面から下方に向かって入射されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内照式広告用看板。
【請求項4】
前記導光板における、前記表示板側の面には拡散シートが貼着され、その反対側の面及び下面側には反射シートが貼着されていることを特徴とする請求項1,2又は3のいずれかに記載の内照式広告用看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−209623(P2011−209623A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79232(P2010−79232)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】