説明

内照式面状照明装置

【課題】光源からの照射光を制御し電力消費を削減でき、薄型内照式面状照明装置を提供する。
【解決手段】開口部11a周りに配置される額縁状フレーム部12を有する本体ケース11と、開口部に覆設される光拡散板13と、フレーム部に配設された線状光源14と、フレーム部内面と線状光源との間の側面反射板16と、本体ケース内面に配設された背面反射板17と、を有し、側面反射板は、中央が線状光源方向に張出し線状光源の軸芯方向に凸状に形成された凸面反射部16aと、凸面反射部の一方端縁から延設され背面反射板基部16b1に連接された背面側凹面反射部16bと、凸面反射部の他方端縁から延設されフレーム部内面正面側基部に連接される正面側凹面反射部16cと、からなり、背面反射板は、端縁から中央に向かって光拡散板方向に傾斜して延設され、線状光源軸芯14a方向に線状背面反射板中央部18を形成し、線状光源からの照射光を光拡散板に導くように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井用、壁用の面状発光照明や電飾看板として広範でソフトな面状照明光効果を有する照明装置を提供するとともに、商空間やインテリア内などを演出するための電飾看板や液晶パネルなどのバックライト光源としても利用可能な内照式面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より内照式面状照明装置には、その光源として蛍光灯や冷陰極管等の線状光源を直接利用する方式のものや、導光板を用いたエッジライト方式などが採用されている。エッジライト方式では、発光面の輝度や均一性を確保することが難しく構造が複雑でコスト面でも不利である。このため、従来の内照式面状照明装置は、内部に配置した蛍光管や冷陰極管等の線状光源からの出射光を反射板により前方開口部に配置した光拡散板に導く形式のものが多く用いられている。このような光拡散板の表面における線状光源からの遠近差などによる輝度差(照度差)を低減し、発光面の均一性を向上させる技術のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2000−11724号公報)には、反射手段を光源から遠ざかるにつれて光拡散手段に近づく向きに傾斜させ、光源から離れた位置において反射手段の裏面側と本体ケースの底面部との間に隙間部を形成したバックライト用などの照明装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2004-288498号公報)には、反射板の端部に光源が配置され、上記反射板が、光源付近の反射面を後方へ傾斜させた第1傾斜部と、第1傾斜部よりも光源から遠い反射面を第1傾斜部よりも緩やかに前方へ傾斜させた第2傾斜部とを有するようにした面状光源装置が提案されている。
【0005】
特許文献3(特開2006−339136号公報)には、正面が開口して内側背面上または内側背面近傍に反射板が施された箱形枠部の内側に2本以上の直管状光源を配置し、隣接する直管状光源同士の間に前記反射板から山型に突出する反射性の山型仕切り板を設けた面光源照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−11724号公報
【特許文献2】特開2004−288498号公報
【特許文献3】特開2006−339136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記従来の面状照明装置のように、蛍光管を本体フレーム内に配列して正面側に配置した光拡散板(アクリル製などの表示パネル、照明パネル)をその背面側から照明するタイプのものでは、蛍光管に近接する部分では明るく、並設される蛍光管の中間部では暗くなるために、光拡散板のパネル面での照度の均一性が得られ難い。その照度を均一するために蛍光管の位置と光拡散板との間隔を離す必要があり、全体が厚肉化すると共に、光源と光拡散板との距離を大きくすると必要以上に電力を多く消費して効率性に欠けるという問題があった。
特に、特許文献1〜3に記載の装置では、その線状光源回り360°全方位にわたって放射される線状光源からの照明光の一部を用いて光拡散板を照射するために、その照射効率や経済性に欠けるとともに、光拡散板に向けて照射される線状光源からの照射光を効率的に配光するための制御性に欠けるために均一な発光面を得るためにはなお改良の余地があった。
【0008】
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、光拡散板のパネル面における光源からの照射光を適正制御することができ、その照度にむらがなく均一かつ高輝度な照射特性に優れるとともに、光源の電力消費を削減できる効率性と、薄型化が可能なコンパクト設計にも対応できる内照式面状照明装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の内照式面状照明装置は、
正面側の開口部周りに配置される額縁状のフレーム部を有する本体ケースと、前記開口部に覆設され本体ケース内側の照射光を本体ケース外方に放射させる光拡散板と、前記フレーム部の内面側に沿って配設された線状光源と、前記フレーム部内面と前記線状光源との間に配置された側面反射板と、前記本体ケースの内面で前記開口部に対向して配設された背面反射板と、を有する照明装置であって、
前記側面反射板は、
断面視においてその中央が線状光源方向に張出し前記線状光源の軸芯方向に凸状に形成された凸面反射部と、その凸面反射部の一方の端縁から延設され前記背面反射板の基部に連接された背面側凹面反射部と、その凸面反射部の他方の端縁から延設され前記フレーム部内面の正面側の基部に連接される正面側凹面反射部と、からなり、
前記背面反射板は、
前記背面側凹面反射部の端縁から前記本体ケース内面の中央に向かって前記光拡散板方向に傾斜して延設され、前記線状光源の軸芯方向に線状の背面反射板中央部を形成し、前記線状光源からの照射光を前記光拡散板に導くように構成されている。
【0010】
(2)本発明の内照式面状照明装置は、前記(1)において、前記背面側凹面反射部の本体ケース奥行き方向の幅が、前記正面側凹面反射部の本体ケース奥行き方向の幅に比べて大きく、かつ前記背面反射板に延設される背面側凹面反射部の基部が、前記線状光源よりも前記本体ケース中央側に配置することもできる。
【0011】
(3)本発明の内照式面状照明装置は、前記(1)又は(2)において、前記凸面反射部の本体ケース奥行き方向の幅は、前記線状光源の本体ケース奥行き方向の幅と同じか広く、前記凸面反射部は、その先端位置が、前記正面側凹面反射部及び前記背面側凹面反射部に比べて、前記線状光源に近接する位置に配置することができる。
【0012】
(4)本発明の内照式面状照明装置は、前記(1)〜(3)いずれかにおいて、前記線状光源が蛍光灯やLEDなどの管状光源であって、その直径が前記本体ケースの奥行き長さの1/10〜1/3であるように構成することができる。
【0013】
(5)本発明の内照式面状照明装置は、前記(1)〜(4)いずれかにおいて、前記線状光源に対向して前記フレーム部裏面側に配置され、前記線状光源からの照明光や反射光を内面側に向けて散乱させる正面側反射板を備えるようにすることができる。
【0014】
(6)本発明の内照式面状照明装置は、前記(1)〜(5)いずれかにおいて、前記側面反射板、背面反射板又は正面側反射板の少なくとも一部に銀鏡めっき金属板を用いた構成とすることができる。
【0015】
(7)本発明の内照式面状照明装置は、前記(1)〜(6)いずれかにおいて、前記光拡散板が透光性プラスチックパネルからなり、そのパネル表面に広告イメージがプリントもしくはフィルム貼着された電飾看板表示部として機能させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本体ケース周縁のフレーム部に沿って配設される線状光源の軸芯周囲に相対して配置される凸面反射部と、その凸面反射部の背面側及び正面側の基部にそれぞれ延設される背面側凹面反射部及び正面側凹面反射部とからなる側面反射板、とを備えるので、光拡散板への線状光源の配光制御を可能にして照射条件を適正化できる。
すなわち、本体フレームの側面側に配置した側面反射板を介して線状光源の後方に照射される照射エネルギーを面状発光面へ導くとともに、線状光源の真後ろ反射面を山型形状とすることで、照明効率を高め、面状発光面の輝度(照度)と均一性を大幅に向上させることができる。こうして、光源の電力消費を適正化して削減する効率性と、薄型化が可能なコンパクト設計にも対応できる内照式面状照明装置を容易かつ安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の内照式面状照明装置の分解斜視図である。
【図2】図1のX−X断面説明図である。
【図3】実施例1の内照式面状照明装置における線状光源周囲の拡大断面図である。
【図4】実施例1の内照式面状照明装置における配光設計概念を示す説明図である。
【図5】実施例1の内照式面状照明装置における全体の配光状態を示す説明図である。
【図6】実施例1の内照式面状照明装置の光拡散板の平面照度分布図である。
【図7】比較例の光拡散板における平面照度分布図である。
【図8】実施例2の内照式面状照明装置における断面説明図である。
【図9】比較例の内照式面状照明装置の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の内照式面状照明装置は、本体ケース周縁のフレーム部に配置した線状光源を用いるいわゆるサイドライト方式の照明装置であって、本体ケースの正面側の開口部周りに額縁状のフレーム部が配置されており、この開口部に光拡散板が覆設されており、フレーム部の内面側に沿って線状光源が配設されるとともに、フレーム部内面と線状光源との間に配置された側面反射板と、本体ケースの内面で開口部に対向して配設された背面反射板と、を有し、本体ケース内側の照射光を本体ケース外方に放射させるように構成されている。
【0019】
側面反射板は、断面視において、中央に位置する凸面反射部と、上方に位置する背面側凹面反射部と、下方に位置する正面側凹面反射部と、から構成され、凸面反射部は、断面視においてその中央が線状光源方向に張出し線状光源の軸芯方向に凸状に形成されており、背面側凹面反射部は、凸面反射部の一方の端縁から延設され背面反射板の基部に連接され、正面側凹面反射部は、凸面反射部の他方の端縁から延設されフレーム部内面の正面側の基部に連接されるように構成されている。
なお、凸面反射部、背面側凹面反射部、正面側凹面反射部は、それぞれを別体として製造した後、連接して側面反射板とする。あるいは、全体を一体的に加工することもできる。
【0020】
背面反射板は、本体ケースの背面底部に覆設されており、背面側凹面反射部の端縁から本体ケース内面の中央に向かって光拡散板方向に傾斜して延設され、線状光源の軸芯方向に線状の背面反射板中央部を形成している。すなわち、背面反射板は、線状光源から遠ざかるにつれて光拡散板に近づく向きに傾斜して配置されており、その中央部が光拡散板へ最も近接するように配設されている。
これによって、線状光源からの照射光を側面反射板を介して背面反射板によって前方の光拡散板に向けて配光制御して光拡散板に導くようすることができ、本体ケースの開口部に覆設された光拡散板のパネル面を、フレーム部の内面に沿って配設された線状光源で均一かつ高輝度に照射することができる。
【0021】
これら側面反射板や背面反射板の素材としては、鏡面加工金属板や鏡面処理されたプラスチック板などを用いることができるが、特に、反射率を向上させるために、その表面が銀鏡処理された金属薄板や、アルミなどの金属蒸着処理フィルムやアルミ箔などをラミネート加工された金属薄板などを適用することが好ましい。
反射板の板厚としては、それが周状に曲げ加工ができ、その反射板の反射面が形状保持ができるものであれば特に限定されるものではないが、例えばアルミや表面処理鋼板などの金属薄板の場合、0.2mm〜2mmが、軽量かつ加工がしやすく入手も容易なので好適である。
【0022】
内照式面状照明装置の本体ケースは、略矩形平板状に形成された薄肉の中空箱型状に形成されており、内照式面状照明装置は、屋内外の壁面や天井面に設置される電飾看板や照明パネルなどの照明装置に適用される壁掛けタイプなどとして適用できる。
【0023】
本体ケースには、その正面側が開口した開口部が設けられており、開口部の周囲に沿って縁取りするように額縁状に形成されたフレーム部が設けられている。
このフレーム部は、本体ケースの側面外周を構成するように、断面視で「コ」の字状に形成されている。本体ケース及びフレーム部の材質としては、金属やプラスチックなどが好適に挙げられる。
【0024】
線状光源は、フレーム部の内面側に沿って配設されており、線状光源から照射される照射光が、後述する反射板を介して光拡散板のパネル面を本体ケース内側から均一照射するように設定されている。線状光源としては、管径の細い蛍光管や、管状に形成されエコ特性に優れたLEDランプなどを適用することができる。
これらの線状光源をフレーム部の内面側に沿って配設することで、光拡散板における単位面積当たりの照度を高めたり、光拡散板への照射光を各線状光源毎に調整して演出効果などを付加することもできる。
【0025】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の内照式面状照明装置は実施例のものに限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
図1は、本体ケース11の正面側の開口部11aに上方から光拡散板13を覆設して、実施例1の内照式面状照明装置を完成状態を示す分解斜視図である。図2は図1におけるX−X断面図である。図3は線状光源周囲の拡大断面図である。
実施例1の内照式面状照明装置10は、図示するように、サイドライト方式の照明装置であって、本体ケース11の正面側の開口部11a周りに額縁状のフレーム部12が配置されており、この開口部11aに光拡散板13が覆設されており、フレーム部12の内面側に沿って線状光源14が配設されるとともに、フレーム部12内面と線状光源14との間に配置された側面反射板16と、本体ケース11の内面で開口部11aに対向して配設された背面反射板17と、を有し、本体ケース11内側の照射光を本体ケース外方に放射させるようになっている。
【0027】
側面反射板16は、図3の断面視において、中央に位置する凸面反射部16aと、上方に位置する背面側凹面反射部16bと、下方に位置する正面側凹面反射部16cと、から構成される。
凸面反射部16aは、断面視においてその中央が線状光源14方向に張出し線状光源14の軸芯14a方向に凸状に形成されており、背面側凹面反射部16bは、凸面反射部16aの一方の端縁から延設され背面反射板17bにその基部16b1において連接され、正面側凹面反射部16cは、凸面反射部16aの他方の端縁から延設されフレーム部12の内面に接触するように構成されている。
【0028】
さらに、両背面反射板17は、背面側凹面反射部16bの端縁から本体ケース11内面の中央に向かって光拡散板13方向に傾斜して延設され、線状光源14の軸芯14a方向に線状の背面反射板中央部18を形成している。これにより、線状光源14からの照射光を光拡散板13に導くように構成される。
すなわち、本体ケース11の背面側の内面には、背面側凹面反射部16bの基部16b1に連接して、背面反射板17が、線状光源14から遠ざかるにつれて光拡散板13方向に近づく向きに傾斜配置されており、背面反射板17それぞれの先端部が接合されて、光拡散板13方向に突出した背面側反射板中央部18を形成している。
【0029】
図示するように、実施例1の内照式面状照明装置10の本体ケース11は、縦横約600〜800mm、厚さ約65mmの略矩形中空箱型状に形成させたものであり、正面側の開口部11a周りに額縁状のフレーム部12が設けられている。この本体ケース11は、図示しないボルトナットやヒンジなどの係止具を介して建物の天井面や壁面に取り付けられるようになっている。
【0030】
本体ケース11の開口部11aには、アクリル樹脂などの透明又は不透明プラスチック材からなる光拡散板13が覆設されており、本体ケース11内側の照射光を本体ケース外方に均一に放射させるようになっている。なお、光拡散板13の上面に、ポスターなどの広告イメージをプリントすることによって、内照式面状照明装置を電飾装置として用いることもできる。
本体ケース11の対向する左右両内面側にそってそれぞれ配設された線状光源14としては、軸芯14a方向の長さが約700mm、直径が約15.5mmの蛍光管や、線状に配設されたLEDランプが採用され、線状光源の制御機器(図示しない)を介して電力を供給して発光させるようになっている。
【0031】
また、図3に示すように、内照式面状照明装置10は、背面側凹面反射部16bの本体ケース11奥行き方向の幅Aが、正面側凹面反射部16cの本体ケース11奥行き方向の幅Bに比べて大きく、かつ、背面反射板17に延設される背面側凹面反射部16bの基部16b1が線状光源14よりも本体ケース内面の中央(背面反射板中央部18と同方向)に配置することが望ましい。
これによって、フレーム部12内に配置された線状光源14からの直接の照射光の光量を、背面反射板17側へ向う照射光の光量よりも相対的に多く設定することができ、光拡散板13への配光制御をさらに適切に行なうことができる。
【0032】
さらに、図3に示すように、照式面状照明装置は、凸面反射部16aの本体ケース奥行き方向の幅Cは、線状光源14の本体ケース奥行き方向の幅(管径)Dと同じか広く、凸面反射部16aは、その先端位置16a1を、正面側凹面反射部16c及び背面側凹面反射部16bに比べ、線状光源14に近接する位置に配置している。
これによって、線状光源14による照射光を、本体ケース奥行き方向の背面側と正面側とに効率的に分散させることができる。
【0033】
なお、線状光源14としては、蛍光灯やLEDなどの管状光源であって、その管径Dは、本体ケースの奥行き長さHに対して、その1/10〜1/3となるように構成することで、線状光源自体が原因となって生じる照射光の死角領域を設定制御して線状光源による電力消費効率や光拡散面への照射強度の均一性を適正に維持させることができる。
管状光源の管径Dを、1/10より小さくすると、本体ケース奥行き方向の幅Hが相対的に大きくなるために、照明装置の省スペース化にはつながらず好ましくない。
一方、1/3より大きくすると、側面反射板16方向に照射された光が、線状光源自身に遮られる割合が増加して照射効率が極端に低下する要因となるので好ましくない。
【0034】
また、フレーム部裏面側には、フレーム部裏面に照射される照射光を背面反射板17方向に向けて反射させるフレーム部内面反射板19を設けることができる。これによって、フレーム部裏面に照射される照射光を有効に利用することができる。
なお、フレーム部内面反射板19は、フレーム部12の裏面全面に設けられ、正面側凹面反射部16cの端縁に接続されている。
【0035】
側面反射板16、背面反射板17、フレーム部内面反射板19は、その少なくとも一部が銀鏡めっきされた金属板を用いることができる。反射率に優れた銀鏡めっき金属板としては、例えば、電気亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板などの金属板に銀鏡めっきを施した東洋鋼鈑株式会社製ミラーコートKが挙げられる。
【0036】
なお、内照式面状照明装置は、光拡散板が透光性プラスチックパネルからなり、そのパネル表面に広告イメージがプリントもしくはフィルム貼着された電飾看板の表示部として機能させることができる。これによって、広告媒体やインテリア等に利用可能で明暗差による照射ムラが少なく鮮明な視覚効果と省エネ効果とに優れた電飾装置を安価に提供できる。
光拡散板には、着色材で絵柄模様を施した画像フィルムや、紫外線発光性塗料もしくはインクでイメージをプリントした画像フィルムなどの積層フィルムを配置して、その本体ケース側面側のフレーム部に配置した蛍光灯などの線状光源を反射板を介して積層フィルに均一に照射する。
このように、複数配置した各線状光源の照度を変化させることで、色彩効果の異なる広告イメージなどを表示させることができる。
【0037】
次に、図4、図5を用いて、本実施例の内照式面状照明装置10の配光設計概念、全体の配光状態を説明する。
側面反射板16は、凸面反射部16a、背面側凹面反射部16b及び正面側凹面反射部16cとからなり、それぞれ各反射部から反射される照射光は、線状光源14の軸芯14aから臨む角度に応じて、光拡散板13が均一に照射できる位置になるように配光制御されている。すなわち、側面反射板16の角度範囲毎に、光拡散板13のパネル面における照射量、照射範囲を算定して、全体としての照射分布に輝度ムラなどの不具合が生じないように設計している。
【0038】
次に、図6の平面照度分布図を用いて、実施例1の内照式面状照明装置10における光拡散板13の照射状態を説明する。また、図7は、比較例の内照式面状照明装置における光拡散板の照射状態を示す平面照度分布図である。
比較例の内照式面状照明装置30は、図9に示すように、実施例1とは異なり側面反射板を設けていない構造のものであり、中央が凸面状に突出して形成された背面反射板32をその本体ケース31内に備え、本体ケース31の両サイドにそれぞれ線状光源33を対向して配置して光拡散板34が照射されるようになっている。
側面反射板16を設けた実施例1の内照式面状照明装置10は、図6に示すように、線状光源14からの照射光が光拡散板13へ導かれ、光拡散板13の発光面の輝度(面内照度)の均一性を大幅に向上していた。
これに対し、比較例の内照式面状照明装置30は、図7に示すように、線状光源33付近の照度は高いが、中心部まで照射光が届いていない。
【0039】
また、実施例1の各反射板は線状光源14から遠い領域に対して照射光を集めるように配光設計しているため、全体に均一な明るさが得られることがわかる。
すなわち、側面反射板16を設けた実施例1の場合の照度は、最大8350LX、最小1600LX、平均4738LXであったのに対し、比較例の内照式面状照明装置30の場合の照度は、最大5970LX、最小770LX、平均3273LXであった。このように反射板により有効利用される光量とほぼ等しい、平均照度約45%の向上がみられた。
また、照明の均斉度(最小照度/最大照度)は、比較例の内照式照明装置30の場合が0.13であるのに対し、実施例1の内照式照明装置10の場合は0.19となり、より均一な照明となっていることがわかる。
【実施例2】
【0040】
図8は、実施例2の内照式面状照明装置20の断面説明図である。
実施例2の内照式面状照明装置20は、本体ケース21の対向するフレーム部両側にそれぞれ上下一対の線状光源22、23を配置し、各線状光源22,23の軸芯にそれぞれの先端が対向するように、凸面反射部22a、23aを側面反射板24に設けたものである点で実施例1の内照式面状照明装置10とは異なるが、その他の点では同一である。
複数の線状光源22,23を配置することで、光拡散板25の照度が高めることができ、各線状光源からの照射光を上下一対の線状光源22、23によって光拡散板25へ導き、光拡散板25の発光面の輝度(面内照度)の均一性をさらに向上させることができる。
なお、光拡散板25には、ポスターイメージなどをプリントしたプラスチックフィルムを貼着し、電飾看板としても機能させることができ、片側のそれぞれ複数本の線状光源を配置することによって、これらの光源による光拡散板25の照度をさらに高めたり、パネル表面の照度の均一性・均斉度をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 実施例1の内照式面状照明装置
11 本体ケース
11a 開口部
12 フレーム部
13 光拡散板
14 線状光源
14a 軸芯
16 側面反射板
16a 凸面反射部
16a1 凸面反射部の先端位置
16b 背面側凹面反射部
16b1 背面側凹面反射部の基部
16c 正面側凹面反射部
17 背面反射板
18 背面反射板中央部
19 フレーム部内面反射板
20 実施例2の内照式面状照明装置
21 本体ケース
22、23 線状光源
22a、23a 凸面反射部
24 側面反射板
25 光拡散板
26 背面反射板
30 比較例の内照式面状照明装置
31 本体ケース
32 背面反射板
33 線状光源
34 光拡散板
H 奥行き方向の幅
A 背面側凹面反射部の本体ケース奥行き方向の幅
B 正面側凹面反射部の本体ケース奥行き方向の幅
C 凸面反射部の本体ケース奥行き方向の幅
D 線状光源の本体ケース奥行き方向の幅(管径)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側の開口部周りに配置される額縁状のフレーム部を有する本体ケースと、前記開口部に覆設され本体ケース内側の照射光を本体ケース外方に放射させる光拡散板と、前記フレーム部の内面側に沿って配設された線状光源と、前記フレーム部内面と前記線状光源との間に配置された側面反射板と、前記本体ケースの内面で前記開口部に対向して配設された背面反射板と、を有する照明装置であって、
前記側面反射板は、
断面視においてその中央が線状光源方向に張出し前記線状光源の軸芯方向に凸状に形成された凸面反射部と、その凸面反射部の一方の端縁から延設され前記背面反射板の基部に連接された背面側凹面反射部と、その凸面反射部の他方の端縁から延設され前記フレーム部内面の正面側の基部に連接される正面側凹面反射部と、からなり、
前記背面反射板は、
前記背面側凹面反射部の端縁から前記本体ケース内面の中央に向かって前記光拡散板方向に傾斜して延設され、前記線状光源の軸芯方向に線状の背面反射板中央部を形成し、前記線状光源からの照射光を前記光拡散板に導くように構成されていることを特徴とする内照式面状照明装置。
【請求項2】
前記背面側凹面反射部の本体ケース奥行き方向の幅が、前記正面側凹面反射部の本体ケース奥行き方向の幅に比べて大きく、かつ前記背面反射板に延設される背面側凹面反射部の基部が、前記線状光源よりも前記本体ケース中央側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の内照式面状照明装置。
【請求項3】
前記凸面反射部の本体ケース奥行き方向の幅は、前記線状光源の本体ケース奥行き方向の幅と同じか広く、前記凸面反射部は、その先端位置が、前記正面側凹面反射部及び前記背面側凹面反射部に比べて前記線状光源に近接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内照式面状照明装置。
【請求項4】
前記線状光源が蛍光灯やLEDなどの管状光源であって、その直径が前記本体ケースの奥行き長さの1/10〜1/3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の内照式面状照明装置。
【請求項5】
前記線状光源に対向して前記フレーム部裏面側に配置され、前記線状光源からの照明光や反射光を内面側に向けて散乱させる正面側反射板を備えたことを特徴とする請求項1〜4記載のいずれか1項記載の内照式面状照明装置。
【請求項6】
前記側面反射板、背面反射板又は正面側反射板の少なくとも一部に銀鏡めっき金属板を用いた構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の内照式面状照明装置。
【請求項7】
前記光拡散板が透光性プラスチックパネルからなり、そのパネル表面に広告イメージがプリントもしくはフィルム貼着された電飾看板表示部とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の内照式面状照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−54026(P2012−54026A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194100(P2010−194100)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【出願人】(591081343)KYテクノロジー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】