説明

内燃機関のエアクリーナ

【課題】 内燃機関の吸気系に使用するエアクリーナに関して内部に配置される蒸発燃料の吸着体の強度及び剛性を向上させる。
【解決手段】 内燃機関の吸気系に使用するエアクリーナ1に関して、そのハウジング2内に、フィルタエレメント20よりこのエアクリーナ1の出口側の位置に、蒸発燃料を吸着する吸着体30を前記フィルタエレメント20に対向させて配置する。そして、吸着体30を構成する吸着部31を、蒸発燃料を吸着する吸着材35と、この吸着材35を両側から挟み込む一対の不織布36,37とで構成し、少なくとも出口側に位置する一方の不織布37は、その内部に補強材38を挟み込み、不織布37と補強材38とを一体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気系統に存在する蒸発燃料を吸着する蒸発燃料を吸着する吸着体を備えたエアクリーナの発明に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気系統においては、エンジン側から戻される蒸発燃料が外気に放出されることを阻止するために、エアクリーナの内部に蒸発燃料を吸着する吸着体を設けることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたエアクリーナにおいては、活性炭からなる吸着材を不織布で挟み込んで吸着フィルタを形成し、この吸着フィルタをエアクリーナのハウジング内に配置することが開示されている。
【0004】
そして、この特許文献1に開示されている発明では、かかる吸着体をバックファイヤーから保護するために、吸着体におけるエンジン側に耐熱性の網状部材を配置してフィルタを構成することが示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−276486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、不織布で吸着材を挟み込んで構成された吸着体においては、バックファイヤーから吸着体をいかにして保護するかという課題は存在する。
【0007】
しかし、このような構成を有する吸着体においては、吸気により発生する吸着体の撓みや破損を如何にして防止するかという課題が存在する。ところが、上記の特許文献1に開示された発明では、吸気により発生する吸着体の撓みや破損を防止することは困難である。
【0008】
そこで、本発明では、吸着体が吸気によって撓みの発生や、破損が生じることのない吸着体を具備するエアクリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
吸着体が吸気によって、撓みや破損が生ずるのは、要するに、不織布の強度及び剛性が低いからである。不織布の強度及び剛性を向上させるという課題を解決するために、本発明では下記の手段を採用した。
【0010】
第1に、本発明では、大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、内部に補強材が挟み込まれ、不織布と補強材とが一体に形成されたエアクリーナを採用した。
【0011】
第2に、大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、濾材目付量が30〜500g/m2とされているエアクリーナを採用した。
【0012】
第3に、大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれかの樹脂が含浸されているエアクリーナを採用した。
【0013】
第4に、大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布には、樹脂バインダが繊維重量に対して20〜50%の重量比となるように付着されているエアクリーナを採用した。
【0014】
第5に、大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、溶融したポリマーをノズルから紡出するスパンボンド方式により形成される不織布を積層して複数層としたエアクリーナを採用した。
【0015】
なお、上記の第1〜第4の発明に関しても、一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、溶融したポリマーをノズルから紡出するスパンボンド方式により形成される不織布を積層して複数層としても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エアクリーナのハウジング内部に設けられる吸着体の強度及び剛性を向上させることができる。具体的には、少なくとも、ハウジングの出口側、即ち下流側に配置される不織布に関し、補強材を内部に設けること、濾材目付量を増大させること、樹脂バインダをフェノール樹脂、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂とすること、樹脂バインダの繊維重量に対する比率を増大させること、又はスパンボンド方式により形成される不織布を積層させることにより、その強度及び剛性を向上させる。そして、吸着体の強度及び剛性が向上することにより、吸気の際のエアの流れが乱されることなく安定させることができる。また、吸着体の破損を防止できることから、エンジンに破損片が飛散することがなく、エンジンへ悪影響を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態にかかるエアクリーナ1の内部構造を示す部分断面側面図を示している。
【0019】
このエアクリーナ1は、内燃機関の吸気系統に接続して使用するものであり、吸気した外気から不純物を濾過してエンジンへ濾過後の外気を供給するものである。このエアクリーナ1は、外殻をなすハウジング2を有し、このハウジング2の内部には、当該ハウジング2の内部に導入されてエアを濾過するフィルタエレメント20と、内部に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体30とが設けられている。
【0020】
ハウジング2は、エアクリーナ1の上半分をなすカバー3と下半分をなすケース15とから構成されている。カバー3は、天面4及び周面5からなり下部が開口部として構成され、ケース15は、底面16及び周面17からなり、上部が開口部として構成されている。また、ケース15の周面には外側に向けて筒状に突出し、大気から取り込まれたエアを流入させる入口18が形成され、カバー3の周面には、外側に向けて筒状に突出して、濾過されたエアをエンジンに向けて送り出す出口6が形成されている。
【0021】
また、カバー3の開口部及びケース15の開口部には、外側方に向けて張り出すフランジ部7,19がそれぞれ形成されている。ハウジング2は、カバー3の開口部とケース15の開口部とが合わされて、両者のフランジ部7,19同士が係合されて着脱自在に組み合わされることで構成される。
【0022】
なお、このエアクリーナ1では、カバー3の開口部に形成されたフランジ部が外側に向けて階段状に張り出して2段構成とされている。2段構成となされた段部のうち、カバー3の奥側、かつ内側に形成された第1の段部は後に説明するように、吸着体30が取り付けられる取付部8として構成され、外側、かつ、端部側に形成された第2の段部はフィルタエレメント20の装着部9として構成される。
【0023】
フィルタエレメント20は、襞折りされた濾過材21と、この濾過材21の周囲に配置され、濾過材21を保持するフレーム22と、フレーム22の外面にて全周に取り付けられたパッキン23とを備えている。このフィルタエレメント20は、ケース15とカバー3とに挟み込まれてハウジング2内に装着される。そして、ハウジング2の内部をケース15側がダストサイドに、カバー3側がクリーンサイドになるように区分している。
【0024】
カバー3の外側、かつ、端部側に形成された装着部9には、この図1に示すように、フィルタエレメント20のフレーム22が配置され、この装着部9とケース15の開放端に形成されたフランジ部19とでフィルタエレメント20の外周部に設けられているパッキン23を挟み込んでいる。このように、フレーム22に取り付けられたパッキン23が装着部9とケース15のフランジ部19とで挟み込まれることでシールされ、これによりケース15とカバー3の合わせ部分が密閉される。
【0025】
吸着体30は、板状に形成されており、吸着材35を含む吸着部31とその周囲に配されて吸着部31を保持する樹脂製のフレーム32とから構成されている。この吸着体30は、その周縁をなすフレーム32が、カバー3に形成されている第1の段部である取付部8に溶着され、カバー3と一体化される。この実施形態にかかるエアクリーナ1では、振動溶着により、吸着体30をカバー3の取付部8に溶着したものである。
【0026】
図1に示すように、カバー3の取付部8には溶着突起10が形成され、フレーム32の一面にも溶着突起33が形成されている。これら取付部8の溶着突起10とフレーム32の溶着突起33とは、相互に突き合わされて、カバー3に対して吸着体30を振動させて、これらの間に生ずる摩擦熱により双方の溶着突起10,33同士が溶融され、これにより吸着体30のフレーム32がカバー3の取付部8に溶着される。
【0027】
また、カバー3の取付部8には、これら溶着突起10の内外に形成された平行に延びる壁部11が、吸着体30のフレーム32に向けて突出している。これら壁部11は、カバー3の全周に渡って形成されている。これら壁部11は、振動溶着の際に溶着突起10,33から発生するバリが飛散することを防止するバリ隠しとしてそれぞれ機能するものである。
【0028】
なお、吸着体30をカバー3に固定する方法としては、振動溶着には限定されず、超音波溶着などの他の溶着方法により固定しても良い。さらに、溶着により固定する方法以外にも、例えば、カバー3の取付部8に複数の突起を形成する一方で、吸着体30のフレーム32に、カバー3に形成した突起に対応する位置に貫通孔を形成し、突起を穴に差し込み、差込後にフレームから突出している突起の頭部を潰して吸着体30をカバーに取り付けても良い。
【0029】
そして、この吸着体30の吸着部31は、図2に示すようにして構成される。
【0030】
吸着部31は、吸着材35と、この吸着材35を両側から挟み込む不織布36,37とを備えている。なお、この図2において、上側が出口6側をなす下流側であり、下側がフィルタエレメント20の配置された上流側である。
【0031】
吸着材35としては粒状の活性炭、炭化繊維あるいは多孔質が使用される。この吸着材35は、不織布36,37により挟み込まれた際に、不織布36,37の全面にわたり、偏重されることなくまんべんなく散在される。一方、吸着材35を挟み込んでいる一対の不織布36,37のうち、図2の下側に配置された上流側の不織布36は、一般的に濾材として使用されているものが用いられる。これに対して、図2の上側に配置された下流側の不織布37は補強材38が内部に設けられ、ニードルパンチ法により補強材38が不織布37により交絡されて、これらが一体に構成されたものが使用される。
【0032】
補強材38は、複数のリブを相互に平行をなして配置して構成したものや、複数のリブを縦横に配置して、リブ同士を格子状に交差させて構成したものである。また、補強材は、ポリプロピレン、グラスファイバー、ナイロン、又はスチールなどの材料により構成される。ただし、エンジン側、即ち、エアの流れの下流側の不織布37の強度、剛性を向上させるものであれば、補強材の構造や、材料はこれらに限定されるものではなく、板材に複数の貫通孔を形成して構成したり、リブ同士により複数の菱形が形成されるように交差させて構成しても良い。材料についても、その他の樹脂材等を使用しても構わない。
【0033】
このように、エアの下流側に位置する不織布37が、補強材38を有していることから、この下流側の不織布37は、その強度及び剛性が向上され、その結果、吸着部31の全体の強度及び剛性が向上される。吸着部31の全体の強度及び剛性が向上することにより、吸着体30の吸着部31の撓みの発生が効果的に阻止され、かつ破損が効果的に阻止される。
【0034】
なお、下流側の不織布37の内部に補強材38を設ける場合、ニードルパンチ法により不織布37を補強材38に交絡させることの他、接着剤で補強材38を不織布37の内部に固定させてもよい。このようにして、下流側の不織布37を構成した場合にも、吸着部31の全体の強度及び剛性が向上される。
【0035】
もっとも、吸着部31の強度及び剛性を更に向上させたい場合には、吸着材35を挟み込んでいる不織布の双方に関して、補強材38を内部に備えた不織布37を使用すると良い。
【0036】
図3は、吸着体30を構成する吸着部31について図2のものとは別の構造により強度及び剛性の向上させたものを示している。
【0037】
この図3に示した吸着部31も吸着材35を不織布36,39で挟み込んで構成されている。吸着材35は、粒状の活性炭が使用され、この吸着材35を挟み込んでいる不織布36,39の全面に渡りまんべんなく散在される。
【0038】
そして、吸着材35を挟み込んでいる不織布36,39のうち、図3の下側に配置された上流側の不織布36は一般的に濾材として使用されるものが使用されている。これに対し、上側に位置する、下流側に配置された不織布39は、濾材目付量が一般的な濾材に使用される不織布36よりも多くなっている。即ち、上流側に使用される一般的な不織布36は、その濾材目付量が30g/m2未満であるのに対し、下流側に位置する不織布39は濾材目付量が30〜500g/m2とされている。このように、濾材目付量を増大すれば、下流側の不織布39の繊維密度が増し、その分だけ強度及び剛性が向上する。これにより吸着部31全体の強度及び剛性が向上する。また、濾材目付量の上限が500g/m2程度となるように不織布39を形成すれば、吸着部31の通気抵抗も大幅に増大することなく、円滑なエアの流れを確保できる。
【0039】
この図3に示す吸着部31に関しても、下流側に配置された不織布だけでなく、双方の不織布について濾材目付量を30〜500g/m2に増大したものを使用することもできる。
【0040】
不織布の強度及び剛性を向上させる手法としては、さらに、樹脂バインダを通常使用するアクリル系樹脂に代え、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂を使用して不織布を形成する手法を採用しても良い。このような樹脂材を樹脂バインダとして採用することで、不織布の強度及び剛性を向上させることができる。
【0041】
特に、エポキシ樹脂は、高い接着性を有するため、たとえエアクリーナ1のようにエアの通気路の一部に使用した場合でも、これを樹脂バインダとして使用した場合には不織布36からエポキシ樹脂が分離してしまうことがない。
【0042】
なお、樹脂バインダを調整して不織布の強度及び剛性を向上させる手法としては、不織布に付着させる樹脂バインダの量を通常の場合よりも増大させることでも実現できる。
【0043】
一般的に樹脂バインダはアクリル系樹脂が使用される。そして、このアクリル系樹脂を樹脂バインダとして使用する場合、繊維重量に対して10〜15%の重量比となるように樹脂バインダを不織布に付着させている。これに対し、樹脂バインダを繊維重量に対して20〜50%の重量比となるように付着されれば、不織布の強度及び剛性を向上させることができる。しかも、繊維重量に対する重量比の上限を約50%とすれば、不織布内部に形成される隙間は確保され、通気を阻害することもない。
【0044】
さらに、吸着体30の吸着部31全体の強度及び剛性を向上させるために、吸着部31の構造を図4に示すようにしても良い。この図4に示す吸着部31は、吸着材35を挟み込んでいる不織布36のうち、少なくとも下流側である出口6側の不織布40が2層に形成されたものである。この吸着体30の吸着部31においても、吸着材35は粒状の活性炭が使用される。そして、吸着材35は、この吸着材35を挟み込んでいる不織布36,40の全面に渡り、まんべんなく散在される。一方、吸着材35を直接挟み込んでいる一対の不織布36は、濾過材21として一般的に使用されるものが使用される。
【0045】
そして、この吸着部31では、出口6側に配置され不織布40は、一般的な不織布36の外側に、スパンボンド方式で形成された別の不織布41がさらに積層されて複数層となされている。なお、スパンボンド方式とは、溶融された不織布の繊維を高速でノズルから紡糸し、これを堆積捕集してシート乃至ウェッブとして形成する手法である。なお、形成されたシート乃至ウェブを更に加熱圧着してもよい。
【0046】
複数層となされた不織布40は、不織布36の片面にスパンボンド方式で形成された不織布41を重ね合わせ、これらを加熱圧着して形成される。そして、この複数層の不織布40と、単層の不織布36とで吸着材35を挟み込んで吸着体30の吸着部31を構成する。この際、スパンボンド方式で形成された不織布41は、複数層の不織布40において外側の層となるようにして吸着材35を挟み込む。ただし、スパンボンド方式で形成された不織布41を、複数層の不織布40において内側の層となるようにしてもよい。なお、通常の不織布36とスパンボンド方式で形成される不織布41とを重ね合わせ、両者を接着剤で貼り合わせて一体としても良い。
【0047】
このようして形成された吸着部31を有する吸着体30は、複数層の不織布40がエアクリーナ1の下流側である出口6側に向けられて、ハウジング2内に設けられる。ただし、一対の複数層の不織布40で吸着材35を挟み込んで吸着部31を構成しても良い。
【0048】
この図4に示した実施の形態においては、一般に使用されている不織布36にスパンボンド方式による不織布41を積層したものを例に説明したが、このスパンボンド方式による不織布41を積層して複数層の不織布40を吸着部31に適用する手法は、図2に示した補強材38を設けた吸着部31、図3に示した濾材目付量を増大させた吸着部31、樹脂バインダとしてフェノール樹脂又はエポキシ樹脂を使用した吸着部31、さらに、樹脂バインダの繊維に対する重量比を増大させた吸着部31に対して適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態にかかるエアクリーナの内部構造を示す部分断面側面図。
【図2】吸着部の構成の一例を示す図。
【図3】吸着部の別構造を示す図。
【図4】さらに、吸着部の別構造を示す図。
【符号の説明】
【0050】
1…エアクリーナ、2…ハウジング、3…カバー、6…出口、7…フランジ部
8…取付部、9…装着部、10…溶着突起、11…壁部、15…ケース
18…入口、19…フランジ部、20…フィルタエレメント、30…吸着体
31…吸着部、32…フレーム、33…溶着突起、35…吸着材
36,37…不織布、38…補強材、39…不織布、40…複数層の不織布
41…スパンボンド方式による不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、
このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、
前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、
前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、
一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、内部に補強材が挟み込まれ、不織布と補強材とが一体に形成されたことを特徴とするエアクリーナ。
【請求項2】
大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、
このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、
前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、
前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、
一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、濾材目付量が30〜500g/m2とされていることを特徴とするエアクリーナ。
【請求項3】
大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、
このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、
前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、
前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、
一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれかの樹脂が含浸されていることを特徴とするエアクリーナ。
【請求項4】
大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、
このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、
前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、
前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、
一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布には、樹脂バインダが繊維重量に対して20〜50%の重量比となるように付着されていることを特徴とするエアクリーナ。
【請求項5】
大気から取り込まれたエアが導入される入口及び濾過されたエアをエンジン側へ供給する出口を有するハウジングと、
このハウジング内を前記入口側と前記出口側とを区分けするようにして配置され、入口から導入された大気を濾過するフィルタエレメントと、
前記ハウジング内において、前記フィルタエレメントより前記出口側の位置に配され、前記出口からハウジング内に浸入する蒸発燃料を吸着する吸着体とを有し、
前記吸着体は、蒸発燃料を吸着する吸着材と、この吸着材を両側から挟み込む一対の不織布とを備えてなり、前記フィルタエレメントに対向されて配置され、
一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、溶融したポリマーをノズルから紡出するスパンボンド方式により形成される不織布を積層して複数層としたことを特徴とするエアクリーナ。
【請求項6】
一対の前記不織布のうち、少なくとも出口側に位置する一方の不織布は、溶融したポリマーをノズルから紡出するスパンボンド方式により形成される不織布を積層して複数層としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアクリーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−144610(P2008−144610A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329885(P2006−329885)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000223034)東洋▲ろ▼機製造株式会社 (51)
【Fターム(参考)】