説明

内燃機関の作動方法

【課題】機関の動作効率を高くし、NOX の排出物の量を少なくすることができるようにする。
【解決手段】空気を内燃機関に導入する段階と、混合物を目標燃焼温度で燃焼させ、排気ガスを生成する段階と、給気の第1の部分を熱交換器に通し、給気の第2の部分をバイパスさせる段階と、給気の吸込温度を検出する段階と、混合物中の酸素濃度を検出する段階と、トルク要求量、クランク角及び燃焼圧を含む機関動作状態を検出する段階と、トルク要求量におけるピーク燃焼圧の目標クランク角を決定する段階と、制御弁を操作し、第2の部分の量を制御して検出された吸込温度を調整し、再循環される排出物の一部分を調整することによって、クランク角を目標クランク角に一致させる段階とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関からのNOX (窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)の排出物の削減を対象とする。本出願の分野は、主として自動車用の内燃機関であるが、本発明は、発電装置等、又は化学燃料の燃焼を利用する他のエネルギー変換「機関(engine)」に適用することもできる。
【背景技術】
【0002】
自動車の利用の増大によって、窒素酸化物、粒子状物質等の空気中の汚染物質が増え、そのような排出物を大幅に削減する必要性が生じている。
【0003】
従来のガソリン機関は、一般に、燃焼室に導入するための燃料と給気(charge-air)との混合物を提供する給気のスロットリング(以下「給気スロットリング」という。)、及び吸気ポート燃料噴射によって動作する。本明細書で使用される用語「給気」は、空気、及び空気と再循環排気ガスとの混合物のいずれをも意味する。給気スロットリングは、機関の負荷(又はトルク)出力を制御するために行われ、特に、負荷が小さいときに効率を大きく低下させる。吸気ポート燃料噴射は、必要な燃料及び給気を適切に制御して混合するために行われる。あらかじめ混合された(予混合された)燃料と給気とから成る混合物は、燃料及び給気の特性によって、燃料と給気との混合物の自己着火温度に対応する一定の圧縮比で圧縮されると、自己着火する。従来のガソリン機関は、一般に、自然に自己着火しないように、圧縮比が9:1〜10:1に制限される。着火プロセスは、スパークプラグの火花の発生によって開始され、ピストンの上死点であるTDC又はその近く(一般に、TDCとTDCの後のクランク角度で20度との間)で急速に燃焼が始まり、燃焼伝播は、着火位置から、可燃混合気中を移動する「火炎面」として進行する。圧縮比が高い場合、又は動作条件によっては、燃料と給気との混合物が自然に自己着火し、許容できない「ノッキング」が起こる。高い圧縮比で安全に動作することができないと、機関の潜在効率が大幅に低下してしまう。
【0004】
いくつかのガソリン機関は、給気スロットリングをする場合もしない場合も、直接燃料噴射を利用する(燃料を燃焼室に直接噴射する)。一般に、そのような機関においては、負荷が小さい場合、層状燃焼によって動作する。燃料は、圧縮行程において、給気スロットリングがほとんど又は全く行われることなく、比較的緩やかに噴射される。次に、火花によって燃焼が開始され、該燃焼は、層状混合物が燃料の可燃限界内にある限り起こる。噴射が遅いほど、燃料及び給気を適切に混合する時間が予混合操作より短くなるので、未燃焼燃料及び粒子状排出物が多くなってしまう。そして、局所的温度が高くなり、NOが生成されて排気物質の一部になる。負荷が大きいほど燃料噴射の開始が早く行われ、燃料及び給気を混合する時間が長くなる。実質的に大きい負荷では予混合機関になるので、燃料噴射を早くすると、ガソリンの圧縮比が予混合機関に匹敵するレベルに制限される。また、予混合ガソリン機関は、燃焼温度が高くなり、大量のNO排出物を生成する。
【0005】
従来のディーゼル機関は、全負荷にわたって、直接燃料噴射が遅く、かつ、給気スロットリングがほとんど又は全く行われることなく動作する。また、ディーゼル機関は、従来のガソリン機関より高い圧縮比(一般に、15:1〜20:1)で動作させられる。この理由は、ディーゼル機関が、ディーゼル燃料の自己着火特性を利用するためである。ディーゼル燃料は、すべての設計上の動作条件下で、TDC又はその近くで圧縮給気中に噴射されたときに自己着火する。そのような動作特性の結果、ディーゼル機関は高い効率を示す。ところが、ディーゼル機関の大きな問題は、ガソリンの遅い直接噴射について前述されたように、未燃焼燃料、粒子状物質、及びNOX の排出物である。従来のディーゼル機関においては、確実な着火源(例えば、スパーク又はグロープラグ)を追加することによってガソリンを使用することができたが、依然として同様の排出物の問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の機関の問題点を解決して、機関の動作効率を高くし、NOX の排出物の量を少なくすることができる内燃機関の作動方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、機関の回転速度及び負荷の範囲の全体にわたって圧縮温度及びピーク燃焼温度を制御することができる内燃機関の作動方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の内燃機関の作動方法においては、給気を提供するために周囲の空気を吸い込み、前記給気を内燃機関に導入する段階と、燃料と給気との混合物を目標燃焼温度で燃焼させるために、前記燃料を内燃機関に導入し、排気ガスを生成する段階と、前記給気の第1の部分を熱交換のために熱交換器に通し、前記給気の第2の部分を前記熱交換器の周りのバイパス管路にバイパスさせる段階と、前記バイパス管路及び熱交換器の下流において給気の吸込温度を検出する段階と、混合物中の酸素濃度を検出する段階と、トルク要求量、クランク角及び燃焼圧を含む機関動作状態を検出する段階と、検出されたトルク要求量におけるピーク燃焼圧の目標クランク角を決定する段階と、バイパス管路内の制御弁を操作し、熱交換器をバイパスする前記第2の部分の量を制御して検出された吸込温度を調整し、かつ/又は、再循環される排出物の前記一部分を調整することによって、検出されたクランク角を目標クランク角に一致させる段階とを有する。
【0009】
したがって、本発明は、独特な新しい作動方法によって、内燃機関において、高効率なディーゼル機関の特徴であるが従来の機関のような排出物の問題のない、給気スロットリングをほとんど又は全く行うことなく高い圧縮比(例えば、一般に圧縮行程で15:1より大きい。)での動作を実現する。
【0010】
燃料燃焼プロセス中の汚染NOの生成率は、C1 、C2 、C3 及びC4 (Cx )を定数、[N2 ]を窒素濃度、[O2 ]を酸素濃度、expを定数、Tを混合物の絶対温度とすると、一般に、以下のように単純化した形で表すことができる。
【0011】
【化1】

前記式(1)において、温度は指数なので、窒素及び酸素が所定の濃度の場合、NO生成率が温度と共に指数関数的に増大すると予想することができる。この関係は、典型的な機関動作状態において、広く認識されており、図1にグラフで示されている。機関燃焼時間は、一般に、1〜5〔ミリ秒〕の範囲である。機関燃焼温度を約2000〔ケルビン(°K)〕より低く維持できる場合は、NOの生成が最少になることがはっきり分かる。燃焼温度をこのレベルより更に低く維持することが、実際の機関回転速度にとって十分に迅速な燃焼を実現するのに望ましいことは周知である。Cummins Engine CompanyのPatrick F. Flynnほかによる最近の Society of Automotive Engineers Technical Paper (#2000-01-1177)は、既知の機関の作動方法の従来の理解を、NO生成を減少させるために燃焼温度を制御する目的に反映させている。この論文は、ガソリン機関、他のスパーク着火機関等では、「最低可能ピーク燃焼温度が2100〔°K〕であり」、また、「NOx 数が0.5〔g/bhp−hr〕の限度を示し」、ディーゼル機関においては、「NOx 排気物レベルが1.0〔g/bhp−hr〕」で「最低可能ピーク燃焼温度が約2300〔°K〕である」と結論を下している。
【0012】
本発明は、2100〔°K〕より低い温度で安定し、かつ、効率的な燃焼を行う新しい機関作動方法を提供する。ガソリン、ディーゼル及び他の燃料によるNOx 排出物の生成は、一貫して0.2〔g/bhp−hr〕より低く、これは従来の機関の値より実質的に低い。
【0013】
前記NO生成率に関する式(1)を再び参照すると、酸素濃度は、例えば、給気与圧レベル等の所定の機関動作状態の場合に、使用可能な燃料と完全に反応するのに十分でなければならない。窒素濃度は給気中では当然高く、したがって、酸素濃度が動作状態において最小にされ最適化された後、NO生成を制限する制御に利用できる変数は温度である。また、温度が2000〔°K〕より高いとNOがすぐに生成されるので、局部的に温度を制御することが極めて重要である。
【0014】
本発明の方法による燃焼のピーク温度の制御では、二つの要素が最も重要である。第1に、圧縮の最初における給気、又は予混合された場合は給気と燃料との混合物の温度T1 を制御しなければならない。一般に、圧縮プロセスがT1 の(絶対温度における)乗数なので、目的はT1 を最小にすることである。理想気体の場合、断熱圧縮と仮定すると、最終圧縮温度T2 は圧縮比CRの関数であり、すなわち、T2 =T1 f(CR) である(ここで、f(CR) はCRの関数である。)。例えば、圧縮比が16の場合、T1 の乗数は約3である。したがって、T1 が300〔°K〕(27〔°C〕)ならT2 は900〔°K〕になる。しかしながら、T1 が400〔°K〕(127〔°C〕)ならT2 は1200〔°K〕になる。
【0015】
第2に、断熱燃焼を仮定すると、所定量の燃料を燃焼させる場合、最終燃焼温度T3 は、T3 =T2 +Hc /Cv のように計算することができる(ここで、Hc =燃料の燃焼によって放出された熱、Cv は、給気と燃料との混合物の全熱容量、すなわち、混合物の質量と比熱とを掛けたものである。)。所定量の燃料が燃焼した場合、Hc が一定なので、T3 の制御に利用できる変数はCv である。Cv が大きいとT3 は低くなる。その結果、燃焼する燃料の量は、トルク要求量(に比例する)の関数である。
【0016】
本発明は、NO生成を最少にするために、T3 を例えば2000〔°K〕(図1参照)に制御する。したがって、T2 が一定の場合は、Hc /Cv を一定に維持しなければならない。Hc /Cv を一定に維持するために、Cv は、消費される燃料の量(機関負荷)が多くなるほど大きくならなければならない。Cv は、Cv =cv Mなので(ここで、cv は給気燃料混合物の比熱、Mは給気燃料混合物の質量である。)、Mは、消費燃料量が多くなるほど大きくなり、消費燃料量が少なくなるほど小さくならなければならない。これは、本発明において、吸気システムの給気の与圧を制御し、すなわち、給気密度を制御することによって行われる。質量Mは、給気の圧力に比例する。
【0017】
考慮し、検討すべきその他の重要な要素は、実際の機関が断熱的でないということである。給気が吸気システムに入るときの温度がT0で、吸気システムの部分より低い温度の場合、熱は吸気システムから給気に流れ、給気の温度が上昇する。また、給気が吸気弁を通って機関シリンダに導入されるので、給気は、シリンダヘッド、ピストン頂面及びシリンダ壁の高温面、燃焼プロセスに晒(さら)される直前の面、(4サイクル機関の場合)膨張排気行程の期間中の高温(例えば、燃焼の終わりで2000〔°K〕)の燃焼ガスに晒される。したがって、熱は、吸気行程中及び圧縮行程の初期部分で給気に流れ込む。圧縮温度が上昇する前に給気の温度の上昇を制御する(通常は、最小にする。)ために、本発明の作動方法は、主に、与圧の制御を利用する。与圧が給気の質量(又は、燃料が存在する場合は、給気/燃料混合物の質量、これらは両方とも本明細書においては「チャージ質量(charge mass )」、又は単に「チャージ(charge)」と呼ぶ。)を制御するので、所定の熱エネルギーがシステム表面からの給気質量に流れ込む場合、温度は、T1 =T0 +Hw /Cv の関係で示されるように給気質量に正比例するので、チャージ質量の温度上昇を直接制御する。ここで、Hw は、システム表面からの熱エネルギーである。Cv は、前述されたように、チャージ質量を増やすことによってT1 を低くするために増加される。
【0018】
本発明の第1、第2の実施の形態の作動方法においては、実際の機関の運転速度及び負荷の全体にわたって効率的で、かつ、有効であるように、自己着火及び燃焼が十分に迅速になる(一般に、1〜5〔ミリ秒〕以内で90〔%〕の燃焼が完了する)ようにT2 を制御して、NO生成が最少になるようにT3 を制御する。また、従来のT3 レベルより低いと膨張の際の燃焼ガスからの熱損失が減少するので、T3 を本発明のレベルに制御することによって、機関効率が改善される。システムの壁を介して機関の「冷却剤」に流れる熱(エネルギー)は、燃焼ガス中に保持される場合に、膨張中のシステム圧力を一層高く保持し、所定量の燃焼燃料で一層有効な仕事を取り出すために使用される。T3 が低いと、燃焼ガスとシステム表面との間の温度差△Tが小さくなり、冷却剤に流れる熱エネルギーが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の実施の形態
図2は、本発明の第1の実施の形態における、オクタン価が比較的低く、セタン価が比較的高いことを特徴とする燃料、すなわち、従来のディーゼル燃料の類いの比較的自己着火温度が低い燃料で動作する温度制御式の内燃機関22を示す図である。第1の実施の形態(及びすべての実施の形態)において、最終燃焼温度(T3 )は、NOX の生成を最小限に抑えるために約2000〔°K〕以下に制御される。最終燃焼温度T3 の制御は、(1)給気圧の制御、及び(2)最終圧縮温度(T2 )の制御によって行われるが、それぞれについては、後に詳しく説明する。第1の実施の形態において、内燃機関22は、ディーゼル機関の従来の圧縮比で、すなわち、約16:1〜20:1の範囲内で作動させられる。自己着火は、燃料の噴射の際に起こるので、自己着火が起こる位置は、燃料噴射のタイミングを制御することによって変更される。好ましくは、TDCの直後からTDCの後のクランク角度約15〔°〕の範囲でピークシリンダ圧力が生成されるように、燃料噴射のタイミングが約20〔°〕BTDC(上死点前角度)からTDC近くになるように制御される。
【0020】
高い圧縮比(例えば、15より高い圧縮比)を使用することによって効率を高くしようとする場合、シリンダ燃料噴射装置23によって直接機関に主燃料が供給される。吸気はポート11から入り、その流れは、オプションの弁12によって調節される。排気ガスは、ポート13で吸気と混合されて給気混合物を形成する。排気ガスは、ポート16で排気管から、排気ガス冷却装置17を通り、オプションの排気ガス流制御弁14を通り、ポート13に送られる。前記冷却装置17は、オプションの排気管路18への凝縮液回収路を備える。排気パイプのポート16のすぐ下流に主排気ガス再循環(EGR)制御弁12’が配設され、該主排気ガス再循環制御弁12’を通る流れを制限することによって、ポート13への排気ガスの流量が制御される。
【0021】
本発明の方法において、目標NO排出レベルは、前述された方式で特定の機関を作動させることによって達成され、コントローラ26に記憶されたマップを利用して、機関の作動範囲の各速度及び負荷(トルク)に対して、最適な与圧レベル及び給気温度(これらから所望の給気質量流量が得られる。)、最適取入れ給気及び/又は排気酸素濃度、並びに所望の燃料比を特定して、燃焼温度を2100〔°K〕より低い目標レベル、例えば、2000〔°K〕に維持することができる。
与圧の制御
給気は、圧縮機19を流れて圧縮される。圧縮機19は、単段圧縮機でもよいし、二つ、又は複数の圧縮機を並列又は直列に並べてもよい。前記圧縮機19は、主に、制御された与圧レベルを吸気マニホールド21に提供するために排気ガスエキスパンダ・モータ (expander motor) 27によって駆動される。与圧レベルは、与圧給気圧力センサ31によって測定される。コントローラ26は、与圧を制御するために前記排気ガスエキスパンダ・モータ27に適切な信号を送る。オプションの電気モータ又は油圧モータ28を使用し、該油圧モータ28をコントローラ26で制御して与圧レベルを素早く変化させ、排気ガスエキスパンダ・モータ27が素早くトルク応答をすることができるように支援することができるが、これは、トルクが与圧レベルに依存し、該与圧レベルが、前述されたように、制御された温度の燃焼のために制御されるからである。したがって、前記コントローラ26は、過渡状態、排気ガスエキスパンダ・モータ27が単独で十分な与圧を供給することができない動作状態等において、モータ28に適切な信号を送り、与圧レベルを制御する。
給気温度の制御
圧縮された給気の第1の部分は、熱交換器20を通って吸気マニホールド21まで流れる。前記熱交換器20の周りには、バイパス管路60及びバイパス制御弁61が配設され、コントローラ26は、制御弁61を調整し、圧縮された給気の第2の部分を調整し、給気温度(T1 )を制御する。給気温度T1 は温度センサ30によって測定され、コントローラ26に入力される。熱交換器20は、給気を冷却するか(本実施の形態においては通常モード)、又は給気温度を所望のレベルに制御するために必要に応じて給気を加熱する「冷却装置」として機能する。熱交換器20に使用される熱交換媒体は、周囲の空気、機関冷却剤、排気ガス等とすることができる。
【0022】
更に、本発明によれば、Ts を露出面の温度(当然ながら場所及び時間により異なる。)、T’o を露出面におけるチャージ質量の温度、Wを全体の熱伝達係数とすると、熱エネルギーの流れがHw =(Ts −T’o )Wに従って生じるので、チャージ質量(charge mass )に晒された表面の温度を制御することによってT1 を制御することもできる。Ts の制御は、機関冷却剤の温度Tc及び冷却剤流量Fを制御することにより行われる。Fは、冷却剤から「表面」(システム壁全体に亘り小さく一定の温度差があると仮定する。)への熱伝達率に直接関係する。したがって、Ts は、Ts =BTc F(式中、Bは定数)の関係に従って変化する。Tc は、冷却剤熱交換器(一般に、ラジエータと呼ばれる。)の外部冷却率を制御することにより制御されるが、これは、周囲の空気流に晒される冷却面積を調整し、かつ/又は、冷却剤熱交換器中の周囲の空気流を制御し、「ラジエータ」ファンの速度を変化させることによって達成可能で、一方、Fは、通常、機関冷却剤供給管路又は排気管路内の電子制御弁によって制御することができる。Tc は、参照マップに機関回転速度及び負荷の関数として示された冷却剤供給目標温度に制御される。Fは、また、参照マップに機関回転速度及び負荷の関数として示された目標レベルに制御される。図3は、機関22の冷却システムを示す。機関22に出入りする機関冷却剤流量Fは、冷却剤ポンプ80によって制御される。機関冷却剤温度Tc は、ファン82の速度を変化させることによりラジエータ81の出口で制御される。
2 濃度の制御
直接燃料噴射装置23と共にオプションのポート燃料噴射装置53を使用して、粒子状物質の生成を最小限に抑え、かつ、燃料噴射レベルを素早く調整することができる。オプションの酸素センサ25’を使用して、排気酸素センサ25に基づいて計算された(又は、「予想された」)酸素吸入レベルに依るより早い制御信号として、給気中の酸素濃度を直接に測定することができる。酸素濃度信号は、排気ガス再循環(EGR)、すなわち、弁12’の制御に使用される。代替として、給気酸素濃度は、排気酸素濃度、燃料噴射量、並びに給気与圧レベル及び温度に基づいて決定することができる。また、オプションの給気質量流量センサ29は、一層早く、かつ、一層高精度の機関制御の実現、すなわち、機関トルク出力を決定する機関燃料供給量の制御に使用することができ、吸い込み給気酸素濃度を決定する(すなわち、計算する)際の間接的なセンサとして使用することができる。給気は、通常の弁(図示せず)を通って従来通り燃焼室(図示せず)に入り、排気ガスは、通常の弁(図示せず)を通って燃焼室から出て、排気マニホールド24を通り機関22から出る。排出微粒子トラップ酸化剤54は、任意の粒子状排出物を除去し、触媒51は、残留(未燃)燃料と一酸化炭素とを酸化させる。速度センサ32によって機関回転速度がコントローラ26に提供される。加速ペダルセンサ33によってトルク指令レベルがコントローラ26に提供される。
【0023】
従来のディーゼル燃料のように自己着火温度が低い燃料の場合は、燃焼発生熱を分散させる(すなわち、燃料分子を給気と均一に混合させて酸素分子に触れさせ、それにより給気質量中に燃焼発生熱を均一に拡散させる)ために、主に排気ガス再循環が使用される。排気ガス再循環の熱容量が空気とほぼ同じであるので、そのような燃料を使用することにより、主に、NOの生成閾(しきい)値(例えば、2000〔°K〕)を超える温度の局所的集中が抑制される。したがって、燃焼するために燃料分子が給気質量中に分散して酸素分子と確実に触れるように、(与圧レベル及び吸い込み給気温度、すなわち、質量給気流量を考慮し)吸い込み給気酸素濃度を制御しなければならない。弁12’は、前記検出された酸素濃度に応じて排気ガス再循環を調整する。
【0024】
ところが、所定の燃料レベルに対し酸素を少し過剰にすると、不完全燃焼による粒子状物質の生成が最小になる。特定の動作条件では、特定の排気酸素濃度になる。例えば、0.2〔グラム/ブレーキ馬力〕より少ないNOx 排出物を目標とする機関の場合、従来のディーゼル燃料及び類似の燃料では、吸込み給気酸素の濃度値が12〜14〔%〕未満であり、排気酸素濃度が6〔%〕未満であるときに良好な結果が得られる。所定の燃料の場合、酸素濃度を特定の目標レベル(例えば、従来のディーゼル燃料では約6〔%〕)まで下げるために使用可能な酸素質量を利用するときに、燃焼発生熱と関連した温度上昇を(熱エネルギーを吸収することにより)NO生成閾値より低いピーク燃焼温度に制限するのに十分な給気質量に対応する給気中の酸素濃度レベルがある(例えば、従来のディーゼル燃料では約12〔%〕である。)。この例では、燃焼反応で給気酸素質量の約50〔%〕が利用された。そのような制限がある場合、トルク出力を高くする(すなわち、より多くの燃料を燃焼させる)唯一の方法は、前述されたように、給気質量を多くすることである。
【0025】
したがって、利用可能な極めて短い時間(例えば、一般に5〔ミリ秒〕未満)内にすべての燃料分子が十分な酸素分子を「見つける」ために、機関燃焼システム(燃焼室、給気運動、及び燃料噴射装置)を最適に構成しなければならない。燃料分子と酸素分子とが「出会わ」なければならないが、良好な燃焼が起こるためには、システムの温度がやはり燃料の高速自己着火温度より高くなければならない。幸い、本実施の形態におけるほとんどの燃料の高速自己着火温度は、NOの生成温度閾値(すなわち、2000〔°K〕)よりかなり低い(例えば、1000〔°K〕未満)。自己着火は、制御された動作温度で素早く行われるが、燃焼速度は、燃料分子が給気と混ざり酸素分子に触れる速度によって決まる。
【0026】
開ループ動作の場合、コントローラ26は、ペダルセンサ33からトルク指令を読み出し、速度センサ32から実際の機関回転速度を読み出す。トルクを高くする指令の場合、コントローラ26は、測定された機関回転速度で指令トルクと関連付けられた記憶マップを参照し、圧縮機モータ27、及び必要に応じて圧縮機モータ28に、与圧レベルを新しい目標値に高くするよう指示する。コントローラ26は、記憶マップを参照し、機関動作の状態に望ましい吸込み給気温度を目標とするバイパス制御弁61の弁位置を読み出し、熱交換器20のバイパス制御弁61が前記弁位置になるようにする。コントローラ26は、記憶マップを参照し、所望の吸い込み給気及び排気酸素濃度を達成するのに適切なEGR弁12’の弁位置を読み出し、EGR弁12’が前記弁位置になるようにする。コントローラ26は、センサ31から実際の与圧レベルを読み出し、センサ30から実際の吸込み給気温度を読み出し、記憶マップを参照して適切な燃料比になるようにする。
【0027】
機関制御の精度を高くするために、閉ループ制御ループを利用することができる。排気酸素濃度は、センサ25から読み込むことができ、必要に応じて、センサ25’から吸込み給気酸素濃度を読み込むことができ、その結果、コントローラ26は、実際の酸素濃度と(記憶マップからの)実際の動作点に望ましいレベルとを比較し、目標酸素濃度を達成するようにEGR弁12’を調整する。コントローラ26は、センサ31からの実際の与圧レベルと記憶マップから読み出した望ましいレベルとを比較し、目標与圧レベルを達成するのに適切となるようモータ27、28を調整する。同様に、コントローラ26は、センサ30からの実際の吸い込み給気温度と記憶マップからの所望の温度とを比較し、目標給気温度を適切に達成できるよう、冷却装置20のバイパス制御弁61を調整することができる。また、実際の読み出し値に基づいて燃料流量を調整して、目標燃料比を達成するすることもできる。
第2の実施の形態
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、制御された温度の内燃機関22は、オクタン価が比較的高く、セタン価が比較的低い特性を有する燃料、すなわち、従来のガソリン燃料の類いの比較的高い自己着火温度を有する燃料によって、ディーゼル機関と同等の効率で動作する。従来のガソリン燃料で動作するが、本実施の形態おいては、従来のガソリン機関と異なり、一般に12〜19.5:1、好ましくは、少なくとも14:1、更に好ましくは、少なくとも16:1の高い圧縮比を使用する。さらに、本実施の形態においては、均一な燃焼のために、すなわち燃料及び給気の予混合チャージを利用することによって、自己着火前に燃料及び給気を混合すること(一般に、圧縮TDC前30〔°〕のクランク角度までに行われる混合)を特徴とする。
【0028】
本実施の形態においては、他の実施の形態と同様に、NOx が最少になるように、T3 が(1)与圧の制御、及び(2)T2 の制御によって制御される独特な制御方式を利用する。本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、自己着火で動作するが、各シリンダのピークシリンダ圧力の位置を個々に制御するために、燃焼イベントの位置、すなわち、自己着火のタイミングが、燃料噴射のタイミングではなく、(与圧及びT2 の他に)吸込み給気酸素濃度の制御によって制御される点が第1の実施の形態と異なる。また、酸素濃度及びT2 が一層正確に制御される点が第1の実施の形態と異なる。
給気酸素濃度の制御
着火前に燃料及び給気が予混合されているという性質のため、燃料及び給気があらかじめよく混合されているので、第1の実施の形態と同様、混合物中に燃焼発生熱を分散させるためにEGRを利用して吸込み給気酸素濃度を下げる必要がない。しかしながら、本実施の形態においては、後に詳細に述べるように、自己着火開始を支援するために給気酸素の濃度を制御し、かつ、ピーク燃焼シリンダ圧力の位置をTDC直後からTDC後約15〔°〕のクランク角度の最適な範囲内に制御するために、EGRが使用される。NOの生成を制限するためにT3 (ピーク燃焼温度)を制御する点については、第1の実施の形態と同じである。
【0029】
前述されたように、燃焼温度T3 の制御は、本質的に最終圧縮温度T2 の制御を含むので、本実施の形態の作動方法は、制御された予混合圧縮着火(HCCI:homogeneous charge compression ignition )も提供する。本発明におけるこの予混合自己着火機関は、高い効率(前述されたように、圧縮膨張比が高く、給気スロットリングがほとんど又は全くない。)、低NOx 排出(前述されたように燃焼温度を制御することによる。)、及び低粒子状排出物排出(主に自己着火及び燃焼の前に均質な燃料給気混合物を提供する能力による。)を提供する。
【0030】
図2を再び参照すると、本実施の形態においては、従来のガソリンの類の燃料が、ポート燃料噴射装置53による主燃料供給に依存している間でも、「ディーゼル同様」の効率を得るために高い圧縮比(例えば、一般に圧力が2〔バール〕より低い比較的低い与圧レベルで14〔バール〕より大きく、一般に圧力が〔3バール〕より低い比較的控えめな与圧レベルで19〔バール〕より大きい圧縮比)で幅広い速度及び負荷にわたって動作することができる。本実施の形態による動作は、ここに示した特徴を除き、第1の実施の形態で示したものと同一である。一層高い圧縮比(例えば、18を超える)を利用するとき、特定の高い出力モードにオプションの直接燃料噴射装置23を使用することができるが、特定の粒子状排出物が増大する可能性が高く、トラップ酸化剤54への依存が大きくなるので、このような噴射装置を利用するのは魅力的なことではない。熱交換器20は、低圧縮比機関構成の軽い負荷では排気ガスからの熱添加が一層期待できるので、第1の実施の形態における場合より給気加熱モード(前述のような)での動作となる可能性が高い。
2 の制御
第2の実施の形態の作動方法は、更に、前述されたようにT2 (最終圧縮温度)及び給気酸素濃度を一層厳密に制御して、自己着火を確実にし、かつ、ピーク燃焼シリンダ圧力の位置(すなわち、燃焼シリンダ圧力上昇率又はピーク燃焼シリンダ圧力レベル)を制御する必要性により、第1の実施の形態と区別される。自己着火及び高速燃焼の開始は、Cx を定数、[HC]を燃料の濃度、[O2 ]を酸素の濃度、expを定数、Tを混合物の絶対温度とすると、一般に、以下のように示される。
【0031】
【化2】

前記NOの生成反応と同じように、燃料燃焼開始及び反応速度は、最終圧縮温度T2 による影響を大きく受ける。この場合、燃焼の開始及び速度の制御も、酸素の濃度による影響を大きく受ける。その理由は、所定の機関負荷レベルで燃料濃度が一定であるからである。例えば、前述されたように、確立され、コントローラ26に記憶された機関マップは、軽い負荷で動作する実施の形態の低圧縮比構成(例えば、14)の場合、一層高い酸素濃度で一層低いT2 を利用してシステムコストを最少にするように選択することができる。さらに高い圧縮比(例えば、18)及び高い負荷で自己着火の開始及びピークシリンダ燃焼圧の位置を制御するには、T2を最小にしようとするマップを必要とし、これは、酸素濃度を低くするために一層高いコストの一層高い与圧レベルを必要とするからである。
【0032】
第1の実施の形態について前述された閉ループ動作の説明は、本実施の形態にも当てはまるが、重要な点は、直接燃料噴射装置23(図2)を、燃焼と関連するシリンダ圧力上昇を検出するセンサ23’と置き換えていることである。センサ23’は、自己着火又は好ましいピークシリンダ燃焼圧が起こるクランク角位置を決定するために、従来のクランク角位置検出器34と共に使用される。センサ23’は、直接シリンダ圧力センサでもよく、例えば、ノックセンサ、負荷センサ等の間接手段によってシリンダ圧力を決定することもできる。センサ23’は、記憶マップからコントローラ26によって決定される最適位置を達成するために、該位置を決定する前述のパラメータのうちの1種を調整する閉ループ信号を確立する入力をコントローラ26に提供する。
【0033】
したがって、第2の実施の形態において、燃焼イベントの位置、すなわち、ピークシリンダ圧力の位置は、最終圧縮給気温度T2 及び吸気マニホールドへの給気中の酸素濃度から得られる。コントローラ26は、メモリに記憶されたマップから、機関の所定の負荷及び速度の場合の燃焼イベントの位置の最適クランク角を決定し、T2 及び/又は酸素濃度を、メモリに記憶されたマップから、決定されたレベルに調整する。コントローラ26は、第1の実施の形態について前述された方式、すなわち、弁14及び12’の操作及び与圧レベルの制御によって、吸気マニホールドへの給気中の酸素濃度を制御する。コントローラ26は、代替又は追加として、熱交換器20の周りのバイパス管路60のバイパス制御弁61の調整によるT1 の制御によって、T2 を制御することができる。センサ23’からの信号は、燃焼イベントの実際の検出クランク角位置を表す信号をコントローラ26に入力することにより、燃焼イベントの位置の閉ループ制御を可能にする。前記信号に応じて、コントローラ26は、ピーク燃焼圧が生じる実際のクランク角位置をピーク燃焼シリンダ圧力が生じるクランク角位置の目標値と一致させるため、T1 (及びT2 )の調整、及び/又は、前記給気中の酸素濃度の調整によって、給気中のT2 、及び/又は、酸素濃度を調整する。
【0034】
第1の実施の形態と同様に、T1 は、前述されたように給気と接触する機関表面の温度を制御することによって制御することもできる。
【0035】
当然ながら、T2 もT3 に依存し、第2の実施の形態は、第1の実施の形態について説明したようにT3 の制御と組み合わせることもできる。
【0036】
また、本実施の形態は、軽い負荷(例えば、最大負荷の30〔%〕未満)においては制御された自己着火によって、また、それより高い負荷においては酸素濃度を化学量論値に制御することによって、3方向NO削減触媒51の有効性を可能にするように動作することができる。この機関構成は、T2 を制御するためにT1 の制御に大きな注意を払う必要があるが、NOの排気触媒還元により許容される低い与圧レベル(しかし、T3 及びNO生成が高い。)によって機関のコストが削減される。
第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態も、また、ディーゼルと同様の効率を提供する。ただし、スパーク手段又は類似の制御された着火手段を備えた、メタノール又はエタノール及び特定のガソリン等の極めて高いオクタン燃料(リサーチオクタン価が90を超え、一層好ましくは100を超える。)の予混合装置を利用する機関においてそのような効率を提供するものである。本発明の作動方法は、自己着火を回避するために、給気中の圧縮温度T2及び酸素濃度を制御するために利用され、高圧縮機関において高い効率を達成するために、最適な時間に着火源が給気燃料混合物に着火することを可能にする。圧縮比は、15:1〜20:1であることが好ましく、約19:1以上であることが更に好ましい。そのような機関の場合、すべての機関の特徴は、要素23がスパークプラグ23”になることを除き、前に図2について説明したものと同じである。前述された実施の形態のように、T2 は、T1 及び与圧を制御することによって制御される。
【0037】
第3の実施の形態におけるスパークタイミングは、TDC直後からTDC後約15〔°〕のピークシリンダ圧力を生成するために、約30〔°〕BTDCからほぼTDCであることが好ましい。
【0038】
本実施の形態は、第1、第2の実施の形態と同じように、各シリンダの個別のピークシリンダ圧力の位置を、TDC直後からTDC後約15〔°〕の範囲で制御する。
【0039】
自己着火直前のレベルで制御されたT2 によって動作し、かつ、制御された着火源(例えば、スパークプラグ、グロープラグ等)を利用して燃焼を開始する他の実施の形態、及び制御された自己着火と支援された着火との組み合わせの動作を利用する実施の形態(この場合、図2の直接燃料噴射装置23が着火源に置き換えられる。)は、当業者にとっては明らかであろう。
【0040】
他の形態においては、給気の第2の部分が熱交換器をバイパスする状態で給気の一部分を熱交換器に通す。給気の温度は、バイパス管路及び熱交換器の下流で検出され、熱交換器をバイパスする第2の部分の量は、検出された機関動作状態に従って、検出された吸込温度が決定された目標温度になるように、バイパス管路の制御弁の操作によって制御される。
【0041】
給気と燃料との混合のために排気ガスの一部分を再循環させることができる。この場合、混合物中の酸素濃度が検出され、検出された酸素濃度を、検出された機関動作状態に関して決定された目標酸素濃度にするためにEGRの量が調整される。燃料材料は、給気吸込みの検出温度と検出された与圧に応じて制御される。
【0042】
燃料は、燃料が給気に含まれるようにするために、圧縮機の下流又は上流で給気に導入されることがある。
【0043】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。したがって、本実施の形態は、すべて点において限定ではなく例示と見なされるべきであり、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示され、従って、特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲内にあるすべての変更は、本発明に含まれるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】NO排気物レベル及び絶対温度で表した機関燃焼温度の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の方法に従って作動される機関のパワートレインの概略図である。
【図3】本発明の方法で利用することができる機関冷却システムの概略図である。
【符号の説明】
【0045】
11、13、16 ポート
12 弁
14 排気ガス流制御弁
17 排気ガス冷却装置
18 排気管路
19 圧縮機
20 熱交換器
22 内燃機関
23 直接シリンダ燃料噴射装置
26 コントローラ
81 ラジエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気を提供するために周囲の空気を吸い込み、前記給気を内燃機関に導入する段階と、
燃料と給気との混合物を目標燃焼温度で燃焼させるために、前記燃料を内燃機関に導入し、排気ガスを生成する段階と、
前記給気の第1の部分を熱交換のために熱交換器に通し、前記給気の第2の部分を前記熱交換器の周りのバイパス管路にバイパスさせる段階と、
前記バイパス管路及び熱交換器の下流において給気の吸込温度を検出する段階と、
混合物中の酸素濃度を検出する段階と、
トルク要求量、クランク角及び燃焼圧を含む機関動作状態を検出する段階と、
検出されたトルク要求量におけるピーク燃焼圧の目標クランク角を決定する段階と、
バイパス管路内の制御弁を操作し、熱交換器をバイパスする前記第2の部分の量を制御して検出された吸込温度を調整し、かつ/又は、再循環される排出物の前記一部分を調整することによって、検出されたクランク角を目標クランク角に一致させる段階とを有することを特徴とする内燃機関の作動方法。
【請求項2】
与圧された給気を提供するために給気を圧縮する段階と、
与圧を検出する段階と、
内燃機関への燃料導入率を、検出された給気吸込温度と検出された与圧に応じて制御する段階とを有する請求項1に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項3】
給気の第1の部分を熱交換のための熱交換器内に通し、前記給気の第2の部分を前記熱交換器の周りのバイパス管路にバイパスさせる段階と、
前記バイパス管路及び熱交換器の下流において給気の吸込温度を検出する段階と、
検出された吸込温度をほぼ目標給気温度にするために、熱交換器をバイパスする前記第2の部分の量をバイパス管路の制御弁の操作によって制御する段階とを有する請求項1に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項4】
機関表面が給気と接触している状態で、熱交換器内の機関冷却剤をラジエータに循環させる段階と、
前記ラジエータを通る機関冷却剤の冷却を、機関回転速度及び負荷の変化に応じて制御する段階とを更に有する請求項1に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項5】
前記給気及び燃料の混合のために排気ガスの一部分を再循環させる段階を更に有する請求項1に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項6】
ガソリン燃料及び給気を少なくとも12:1の圧縮比、及び目標燃焼温度に近い燃焼温度で燃焼させるために内燃機関内に導入し、排気ガスを生成する段階と、
給気及び燃料と混合するために排気ガスの一部分を再循環させる段階と、
ピークシリンダ圧力を決定する段階と、
混合物中の酸素濃度を決定する段階と、
自己着火及びピークシリンダ圧力を燃焼サイクルにおける所定の位置の範囲内で生成するために、再循環される前記排気ガスの一部分を調整する段階とを有することを特徴とする内燃機関の作動方法。
【請求項7】
給気の第1の部分を熱交換のために熱交換器に通し、前記給気の第2の部分を前記熱交換器の周りのバイパス管路にバイパスさせる段階と、
前記バイパス管路及び熱交換器の下流において給気の吸込温度を検出する段階と、
検出された吸込温度を目標給気温度にするために、熱交換器をバイパスする前記第2の部分の量をバイパス管路の制御弁の操作によって制御する段階とを有する請求項6に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項8】
内燃機関からラジエータに、機関冷却剤を循環させることによって、給気と接触している機関表面を冷却する段階と、
自己着火及びピークシリンダ圧力を前記所定の位置内に調整するのを支援するために、ラジエータを通る機関冷却剤の冷却を制御する段階とを更に有する請求項7に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項9】
燃焼サイクルにおける前記所定の位置は、TDC直後からTDC後約15〔度〕の範囲内である請求項8に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項10】
燃焼サイクルにおける前記所定の位置は、TDC直後からTDC後約15〔度〕の範囲内である請求項6に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項11】
少なくとも90のオクタン価を有する燃料及び給気を、15:1〜20:1の圧縮比の混合物をNOx 生成を最少にするためにあらかじめ決定された目標燃焼温度で燃焼させるために内燃機関に導入し、排気ガスを生成する段階と、
前記給気及び燃料の混合物の排気ガスの一部分を再循環させる段階と、
ピークシリンダ圧力を検出する段階と、
混合物中の酸素濃度を検出する段階と、
スパーク装置からのスパークによって混合物を所定のタイミングで着火する段階と、
最終圧縮温度を調整し、かつ、自己着火を防ぐため、排気ガスの再循環される部分を調整する段階とを有することを特徴とする内燃機関の作動方法。
【請求項12】
給気の第1の部分を熱交換のために熱交換器に通し、前記給気の第2の部分を前記熱交換器の周りのバイパス管路にバイパスさせる段階と、
バイパス管路及び熱交換器の下流で給気の吸込温度を検出する段階と、
検出された吸込温度を目標給気温度にするために、熱交換器をバイパスする前記第2の部分の量をバイパス管路の制御弁の操作によって制御する段階とを更に有する請求項11に記載の内燃機関の作動方法。
【請求項13】
内燃機関からラジエータに、機関冷却剤を循環させることによって、給気と接触している機関表面を冷却する段階と、
最終圧縮温度の制御を支援するために機関冷却剤の冷却を制御する段階とを更に有する請求項12に記載の内燃機関の作動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−185041(P2008−185041A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121017(P2008−121017)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【分割の表示】特願2004−527535(P2004−527535)の分割
【原出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(500311923)ユナイテッド ステイツ エンバイロメンタル プロテクション エージェンシー (5)
【Fターム(参考)】